説明

エアバッグ及びその折り畳み方法

【課題】乗員の位置に拘らず良好な展開特性を得ることができるエアバッグ及びその折り畳み方法を提供する。
【解決手段】エアバッグ本体部34に、ガス導入口31側に向けて反乗員側へと反転させた状態で折り畳んだ第1の集積部55を形成することで第1の集積部55の通気抵抗を相対的に大きくする。エアバッグ本体部34に、第1の集積部55上に重ねて顔面対向部45を位置させるとともにガス導入口31から導入した膨張ガスGが顔面対向部45に直接流入するように折り畳んだ第2の集積部56を形成する。第2の集積部56が第1の集積部55よりも先に展開し、乗員の胸部や頭部などが通常位置に対してずれている場合でもエアバッグ本体部34を適切に展開させることができる。乗員の位置に拘らず良好な展開特性を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳状態から供給された膨張ガスによって膨張展開して乗員を保護するエアバッグ及びその折り畳み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、自動車のインストルメントパネル部に備えられる助手席乗員用のエアバッグ装置が知られている。このエアバッグ装置は、膨張ガスを供給するインフレータと、所定の形状に折り畳まれた袋状のエアバッグ本体部を備えたエアバッグとを有している。そして、自動車の衝突などの際には、インフレータから膨張ガスを供給して、助手席に着いた乗員の前方にエアバッグ本体部を膨張展開させ、乗員に加わる衝撃を緩和するように構成されている。
【0003】
このようなエアバッグとして、エアバッグ本体部を車幅方向に所定幅に折り畳んで、インフレータからの膨張ガスの導入口のインストルメントパネル部側すなわち反乗員側である前側と乗員側である後側とのそれぞれに折り畳み部を形成し、乗員側の折り畳み部を導入口側へとロール状に折り畳んで導入口に対向させるとともに、反乗員側の折り畳み部をこのロール状に折り畳んだ乗員側の折り畳み部上に位置させるように蛇腹状に折り畳み、エアバッグカバー体の内部に収納した構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−91471号公報 (第3−4頁、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のエアバッグでは、インフレータからの膨張ガスが、導入口から乗員側の折り畳み部へと先行して導入されるため、乗員側の折り畳み部が前側の折り畳み部よりも先行して展開し、乗員の胸部、あるいは頭部などがエアバッグ装置すなわちインストルメントパネル部に近接した、いわゆるOOP(Out Of Position)状態への対応が容易でないなど、所望の展開特性を得ることが容易でないという問題点を有している。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、乗員の位置に拘らず良好な展開特性を得ることができるエアバッグ及びその折り畳み方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のエアバッグは、膨張ガスが導入されるガス導入口を有し、このガス導入口から導入された膨張ガスによって折畳状態から膨張展開して乗員を保護する袋状のエアバッグ本体部を備えたエアバッグであって、前記エアバッグ本体部の折畳状態で、前記ガス導入口側に向けて少なくとも一部が反乗員側へと反転された状態で折り畳まれた第1の集積部と、通常位置の乗員の顔面に対向する顔面対向部を備え、この顔面対向部が前記第1の集積部に重なり前記ガス導入口から導入された膨張ガスが前記顔面対向部へと直接流入する状態に折り畳まれた第2の集積部とを具備したものである。
【0008】
請求項2記載のエアバッグは、請求項1記載のエアバッグにおいて、第2の集積部の基端側を折り畳んで形成され顔面対向部の位置が第1の集積部上となるように調整する調整集積部を具備したものである。
【0009】
請求項3記載のエアバッグの折り畳み方法は、膨張ガスが導入されるガス導入口を有し、このガス導入口から導入された膨張ガスによって折畳状態から膨張展開して乗員を保護する袋状のエアバッグ本体部を備えたエアバッグの折り畳み方法であって、前記エアバッグ本体部を厚み方向に折り畳んで前記ガス導入口を厚み方向と交差する方向に挟む位置に、第1の折り部と第2の折り部とを形成し、前記第1の折り部を、前記ガス導入口側へと少なくとも一部を反乗員側へと反転させつつ折り畳んで第1の集積部を形成し、前記第2の折り部を、展開状態で通常位置の乗員の顔面に対向する顔面対向部を前記第1の集積部に重ねて前記顔面対向部に前記ガス導入口から導入された膨張ガスが直接流入するように折り畳んで第2の集積部を形成するものである。
【0010】
請求項4記載のエアバッグの折り畳み方法は、請求項3記載のエアバッグの折り畳み方法において、第1の折り部と第2の折り部とを形成する際に、前記第2の折り部の基端側を折り畳んで調整集積部を形成することで、第2の集積部を形成する際に顔面対向部の位置が第1の集積部上となるように調整するものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のエアバッグによれば、第1の集積部を、ガス導入口側に向けて少なくとも一部を反乗員側へと反転させた状態で折り畳んで第1の集積部の通気抵抗を相対的に大きくし、かつ、第2の集積部を、第1の集積部に重ねて顔面対向部を位置させるとともにガス導入口から導入された膨張ガスが顔面対向部に直接流入するように折り畳むことにより、第2の集積部が第1の集積部よりも先に展開し、例えば乗員の胸部や頭部などが通常位置に対してずれている場合でもエアバッグ本体部を適切に展開させることができ、乗員の位置に拘らず良好な展開特性を得ることができる。
【0012】
請求項2記載のエアバッグによれば、請求項1記載のエアバッグの効果に加え、第2の集積部の基端側を折り畳んで調整集積部を形成することで顔面対向部の位置が第1の集積部上となるように調整することにより、エアバッグ本体部の展開状態で顔面対向部を容易に適正位置に設定でき、折り畳みの自由度を向上できる。
【0013】
請求項3記載のエアバッグの折り畳み方法によれば、エアバッグ本体部の厚み方向と交差する方向にガス導入口を挟む第1の折り部及び第2の折り部を形成し、第1の折り部をガス導入口側へと少なくとも一部を反乗員側へと反転させた状態で折り畳んで第1の集積部を形成するとともに、第2の折り部をエアバッグ本体部の展開状態で通常位置の乗員の顔面に対向する顔面対向部を第1の集積部に重ねてこの顔面対向部にガス導入口から導入された膨張ガスが直接流入するように折り畳んで第2の集積部を形成することにより、エアバッグ本体部の折り畳みの作業性が良好であり、かつ、第2の集積部が第1の集積部よりも先に展開し、例えば乗員の胸部や頭部などが通常位置に対してずれている場合でもエアバッグ本体部を適切に展開させることができ、乗員の位置に拘らず良好な展開特性を得ることができる。
【0014】
請求項4記載のエアバッグの折り畳み方法によれば、請求項3記載のエアバッグの折り畳み方法の効果に加え、第1の折り部と第2の折り部とを形成する際に、第2の折り部の基端側を折り畳んで調整集積部を形成することで、第2の集積部を形成する際に顔面対向部の位置が第1の集積部上となるように調整することにより、エアバッグ本体部の展開状態で顔面対向部を容易に適正位置に設定でき、折り畳みの自由度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のエアバッグの第1の実施の形態の折畳状態を示す説明断面図である。
【図2】同上エアバッグの折り畳み手順を(a)ないし(e)の順に示す説明図である。
【図3】図2のA−A相当位置の断面を模式的に示す説明図である。
【図4】同上エアバッグの展開状態を示す説明図である。
【図5】本発明のエアバッグの第2の実施の形態を示す説明断面図である。
【図6】本発明のエアバッグの第3の実施の形態を示す説明断面図である。
【図7】本発明のエアバッグの第4の実施の形態を示す説明断面図である。
【図8】本発明のエアバッグの第5の実施の形態を示す説明断面図である。
【図9】本発明のエアバッグの第6の実施の形態を示す説明断面図である。
【図10】本発明のエアバッグの第7の実施の形態の折畳状態を示す説明断面図である。
【図11】同上エアバッグの整流体の製造手順を(a)及び(b)の順に示す説明図である。
【図12】同上エアバッグの展開を(a)及び(b)の順に模式的に示す説明図である。
【図13】本発明のエアバッグの第8の実施の形態の整流体の製造手順を(a)ないし(c)の順に示す説明図である。
【図14】同上エアバッグの折り畳み手順を(a)ないし(e)の順に示す説明図である。
【図15】本発明のエアバッグの第9の実施の形態の整流体の製造手順を(a)及び(b)の順に示す説明図である。
【図16】本発明のエアバッグの第10の実施の形態の折畳状態を示す説明断面図である。
【図17】同上エアバッグの整流体を示す斜視図である。
【図18】本発明のエアバッグの第11の実施の形態の折畳状態を示す説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のエアバッグの第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図4において、10はエアバッグ装置で、このエアバッグ装置10は、移動体である車両としての自動車11の助手席、すなわち助手席の乗員Aの前方に位置する被設置部としてのインストルメントパネル部14の内側に配置され、助手席乗員用のエアバッグ装置10を構成している。なお、以下、前後方向、両側方向、及び上下方向は、それぞれエアバッグ装置10を自動車11に取り付けた状態における自動車11の直進方向を基準として説明する。また、各図において、乗員Aはダミー、例えば比較的大柄な男性の乗員を模したダミー(AM50)により示されている。
【0018】
そして、インストルメントパネル部14は、後側すなわち助手席側に向かって若干下降する曲面状などに形成され、このインストルメントパネル部14の内側に配置された被取付部材としての図示しないステアリングメンバに、エアバッグ装置10が正面側を上方から若干後側すなわち乗員A側に向けて傾斜した状態でねじ止めなどして固定されている。また、インストルメントパネル部14の上方には、前側下方から上側後方に向かって傾斜したウインドシールドであるフロントガラス15が配置されている。
【0019】
そして、このエアバッグ装置10は、エアバッグモジュールとも呼び得るもので、基布にて構成されたエアバッグ21、このエアバッグ21にガスを供給するインフレータ22、これらエアバッグ21とインフレータ22となどが取り付けられるケース体24、リテーナプレート25、展開前のエアバッグ21を覆う図示しないカバー体、及びインフレータ22の動作を制御する図示しない制御手段などを備えている。
【0020】
そして、ケース体24は、略箱状に形成され、正面側あるいはフロントガラス15に向かう上側を開口部である矩形状の突出口27とし、内側が、折り畳んだエアバッグ21を収納するエアバッグ収納部28とされている。そして、この突出口27は、通常時は、カバー体により覆われている。
【0021】
また、インフレータ22は、例えば2個一組で用いられ、各インフレータ22は、円盤状をなす本体部22aを備え、この本体部22aの高さ方向の中間位置から、四角板状のフランジ部が突設され、このフランジ部の四隅には取付孔である通孔が形成されている。そして、この本体部22aの上側部、すなわちフランジ部の上方に位置して、本体部22aの外周面に、複数のガス噴射口が形成されている。そして、本体部22aの内側には、点火器及び薬剤が収納され、底部に接続されたコネクタを介して伝えられる制御手段からの電気信号により、点火器が薬剤を燃焼させ、ガス噴射口から膨張ガスGを急速に供給するようになっている。そして、このインフレータ22は、ガス噴射口を設けた本体部22aをエアバッグ21の内側に挿入した状態で、ケース体24の底部に取り付けられている。なお、インフレータ22は、種々の形状があり、例えば、円柱状の本体部をエアバッグ21の内側に配置する構成を採ることもできる。
【0022】
そして、リテーナプレート25は、枠状をなすリテーナ本体25aと、このリテーナ本体25aから突設された図示しない取付ボルトなどを備えている。
【0023】
また、カバー体は、樹脂にてインストルメントパネル部14と一体あるいは別体をなして形成され、他の部分より薄肉で容易に破断するテアラインが形成されている。
【0024】
そして、エアバッグ21は、単数あるいは複数の基布を組み合わせて形成されている。このエアバッグ21は、インフレータ取付口であるガス導入口31を有し、このガス導入口31の近傍の一端部である基端部32から他端部である先端部33に向かい、幅寸法は略一定で厚さ寸法が拡大する袋状のエアバッグ本体部34を備えている。このエアバッグ本体部34は、展開時に乗員Aに対向する正面部41、インストルメントパネル部14に向かう下面部42、フロントガラス15に向かう上面部43、及びこれらの両側に位置する側面部44,44が順次連続して形成されている。すなわち、エアバッグ本体部34は、基端部32において下面部42と上面部43とが連続し、正面部41の下側の縁部に下面部42が連続し、正面部41の上側の縁部に上面部43が連続するとともに、正面部41、下面部42及び上面部43の両側に側面部44,44が連続している。さらに、正面部41の上部は、正規位置の乗員Aの顔面Fに対向して接触する顔面接触位置である顔面対向部45となっている。
【0025】
また、ガス導入口31は、インフレータ22の形状に応じた孔部であり、その周囲には、リテーナプレート25の取付ボルトが挿入される図示しない取付孔が複数形成されている。
【0026】
そして、このエアバッグ21は、後述する所定の形状に折り畳まれ、ガス導入口31にインフレータ22のガス噴射口の部分が挿入され、このガス導入口31の周囲の部分をリテーナプレート25のリテーナ本体25aでケース体24の底部に押圧した状態で、ケース体24のエアバッグ収納部28の内側に収納される。そして、リテーナプレート25の取付ボルトに図示しないナットを螺合し締め付けた状態で、リテーナ本体25aとナットとの間に、エアバッグ21、ケース体24、及びインフレータ22が共締めして固定される。
【0027】
そして、このように構成されたエアバッグ装置10は、自動車の衝突などの際に、制御装置がインフレータ22を作動させ、このインフレータ22から膨張ガスGを噴射させる。すると、このエアバッグ21は、ガスの流入に伴い膨張展開し、カバー体のテアラインを破断して突出口27から正面側に突出し、さらに後述する挙動で膨張展開して、助手席に着席した乗員Aの前方に広がり、乗員Aを衝突の衝撃から保護するようになっている。
【0028】
次に、エアバッグ21の折畳形状及び折畳工程を説明する。
【0029】
まず、エアバッグ21のエアバッグ本体部34の内側にリテーナプレート25を挿入し、取付ボルトを外部に引き出すとともに、エアバッグ本体部34が展開した状態とする。ここから、第1折り畳み工程として、図2(a)に示すように、両側面部44,44を内側に折り込みながら(図3)、正面部41(図4)の略中央部をガス導入口31側に押圧してエアバッグ本体部34を厚み方向に折り畳むことにより、ガス導入口31を挟んで後側に位置する後方折り部である第1の折り部51と前側に位置する前方折り部である第2の折り部52とを形成するとともに、この第2の折り部52の基端側を前後方向に襞状に折り畳んで調整折り部である調整集積部53を形成する。すなわち、これら第1及び第2の折り部51,52は、ガス導入口31から後方及び前方に延びており、調整集積部53が第2の折り部52の基端側であるガス導入口31の近傍に位置している。この状態で、第1の折り部51は、エアバッグ本体部34のいわば南半球、すなわち正面部41及び両側面部44,44のそれぞれの下側と、下面部42のガス導入口31よりも乗員A側(後側)の部分とを含んで形成され、第2の折り部52は、エアバッグ本体部34のいわば北半球、すなわち顔面対向部45を含む正面部41の上側及び両側面部44,44の上側と、上面部43とを含んで形成され、かつ、調整集積部53は、下面部42のガス導入口31よりも反乗員A側(前側)の部分及び両側面部44,44の反乗員A側(前側)の部分を含んで形成されている。また、この状態で、エアバッグ21の形状に応じて、第2の折り部52が第1の折り部51よりも長く形成されており、調整集積部53が最も短く形成されている。
【0030】
次いで、第2折り畳み工程として、図2(b)に示すように、第1の折り部51をガス導入口31側へと、車幅方向を軸方向としてロール状に順次巻き込んで、すなわち反乗員A側へと反転するように折り畳んで、リテーナプレート25の後部の上方に第1の集積部55を形成する。この状態で、第1の集積部55は、ガス導入口31に対して後方に位置しているとともに、ガス導入口31から導入された膨張ガスGが流入する第1の開口部55aが、リテーナプレート25の後端に位置する第1の集積部55の後端下部、すなわちガス導入口31から離間された位置に下方に向けて開口している。
【0031】
さらに、第3折り畳み工程として、図2(c)に示すように、第2の折り部52を第1の集積部55の上方を覆うように乗員A側(後側)へと折り返すとともに、第1の集積部55から後方へと突出する先端部52aを、第1の集積部55からの突出部分の中間近傍の位置で反乗員A側(前側)へと折り返して顔面対向部45を第1の集積部55上の後端部に位置させ、さらに、図2(d)に示すように、第2の折り部52を顔面対向部45に対応する位置、すなわち第1の集積部55の後端の位置で折り返して、リテーナプレート25上に第1の集積部55の上側から前側に亘る第2の集積部56を形成する。この状態で、第2の集積部56は、ガス導入口31に対して上方から前方に亘って位置し、顔面対向部45が第1の集積部55の上部(頂部)に重ねられて位置し、ガス導入口31から導入された膨張ガスGが流入する第2の開口部56aが、ガス導入口31の直上に対向して下方に向けて開口しているとともに、少なくともこの第2の開口部56aから顔面対向部45、すなわち上端後部まで、第1の集積部55に沿って後方へと円弧状に湾曲し折れ点なく折り畳まれた状態となる。すなわち、第2の集積部56は、ガス導入口31から顔面対向部45へと膨張ガスGが直接流入するように折り畳まれた状態となる。
【0032】
そして、第4折り畳み工程として、図2(e)に示すように、調整集積部53を第2の集積部56側へと寄せるように立てて折り畳み、エアバッグ21は、図1に示すようにエアバッグ本体部34が折り畳まれた状態となる。この状態で、調整集積部53は、ガス導入口31に対して前方に位置しているとともに、ガス導入口31から導入された膨張ガスGが流入する第3の開口部53aが、リテーナプレート25の前端に位置する調整集積部53の後端下部、すなわちガス導入口31から離間された位置に下方に向けて開口している。また、第1の集積部55は、いわば乗員腹部側ロール状集積部であり、主として乗員Aの腹部Bに接触する部分となり、第2の集積部56は、いわば乗員頭部側集積部であり、展開時に主として乗員Aの頭部Hに接触する部分となり、調整集積部53は、主としてフロントガラス15側のインストルメントパネル部14に接触する部分となる。
【0033】
そして、このように折り畳まれたエアバッグ21は、破断可能なラッピング部材など適宜の手段で形状を保持され、ケース体24に収納される。
【0034】
次に、エアバッグ21の展開動作を説明する。
【0035】
図1に示す状態から、折り畳んで収納されたエアバッグ21にインフレータ22からガス導入口31に膨張ガスGが供給されると、エアバッグ21は、ガス導入口31にいずれも連通する第1及び第2の集積部55,56と調整集積部53との内側に膨張ガスGが直接供給される。このとき、第1及び第2の集積部55,56と調整集積部53とは、それぞれ迅速に展開可能であるが、第2の集積部56はガス導入口31の上方に対向して第2の開口部56aが開口しており、顔面対向部45まで膨張ガスGが直接流入するのに対して、第1の集積部55は反乗員A側へとロール状に折り畳まれて相対的に通気抵抗が大きくなり、かつ、ガス導入口31に対して後方に離間された位置に第1の開口部55aが開口しているとともにこの第1の集積部55の上部に第2の集積部56が位置して展開が規制され、調整集積部53はガス導入口31に対して前方に離間された位置に第3の開口部53aが開口していることにより、第2の集積部56が第1の集積部55及び調整集積部53に先行して膨張展開する。そこで、エアバッグ本体部34の展開の圧力によりカバー体が破断すると、第2の集積部56が第1の集積部55及び調整集積部53よりも迅速に正面側すなわち上側及び後方に展開する。すなわち、正面部41の上部が上側及び後方に向かって迅速に展開する。
【0036】
次いで、調整集積部53が第2の集積部56よりもわずかに遅れてインストルメントパネル部14に沿って前側へと展開するとともに、第2の集積部56が展開して規制がなくなった状態で、第1の集積部55がインストルメントパネル部14に沿って後側下方に展開する。すなわち、エアバッグ本体部34は、第2の集積部56、調整集積部53、及び第1の集積部55の順で、多少の時間差を持って展開する。
【0037】
このようにして、図4に示すように、エアバッグ21が全体的に展開する。
【0038】
そして、この展開の際、第2の集積部56が第1の集積部55及び調整集積部53よりも迅速に展開するため、正面部41が迅速に垂直状に展開し、通常位置に着席した乗員Aに対向して顔面対向部45が顔面Fに対向して接触する。
【0039】
また、上記の展開の際、通常位置よりも胸部Cがエアバッグ装置10すなわちインストルメントパネル部14に近接した位置(図4中の想像線L1に示す)に乗員Aが位置している、いわゆるOOP(Out Of Position)状態の場合には、先行して展開した第2の集積部56の顔面対向部45が、乗員Aの顎下などに入り込むことなく乗員Aの顔面Fに対向して接触する。
【0040】
さらに、上記の展開の際、通常位置よりも頭部Hがエアバッグ装置10すなわちインストルメントパネル部14に近接した位置(図4中の想像線L2に示す)に乗員Aが位置しているOOP状態の場合には、第1の集積部55が後方へと解けながら乗員Aの頭部Hの上部に沿って展開することにより、エアバッグ21が乗員Aの頭部Hを飛び越えて、この頭部Hを圧縮することなく上方に展開する。
【0041】
このように、本実施の形態によれば、エアバッグ21は、エアバッグ本体部34の厚み方向と交差する前後方向にガス導入口31を挟む第1の折り部51及び第2の折り部52を形成し、第1の折り部51をガス導入口31側へと反乗員A側へと反転させた状態で折り畳んで第1の集積部55を形成するとともに、第2の折り部52を、顔面対向部45を第1の集積部55に重ねて位置させて顔面対向部45にガス導入口31から導入された膨張ガスGが直接流入するように折り畳んで第2の集積部56を形成することにより、エアバッグ本体部34の折り畳みの作業性が良好となり、折り畳み時間を短縮できる。
【0042】
そして、折り畳まれたエアバッグ本体部34は、第1の集積部55がガス導入口31側に向けて反乗員A側へと反転させた状態で折り畳まれていることで第1の集積部55の通気抵抗が相対的に大きくなり、かつ、第2の集積部56が第1の集積部55上に重ねて顔面対向部45を位置させるとともにガス導入口31から導入された膨張ガスGが顔面対向部45に直接流入するように、第2の開口部56aから顔面対向部45まで折れ点が生じないように折り畳まれていることにより、第2の集積部56が第1の集積部55よりも先に展開し、例えば乗員Aの胸部Cや頭部Hなどが通常位置に対してずれている場合(図4の想像線L1,L2の状態)でもエアバッグ本体部34を適切に展開させることができ、乗員Aの位置に拘らず良好な展開特性を得ることができる。
【0043】
また、第2の集積部56の基端側を折り畳んで調整集積部53を形成することで顔面対向部45の位置が第1の集積部55上となるように調整することにより、エアバッグ本体部34の展開状態で顔面対向部45を容易に適正位置に設定でき、折り畳みの自由度を向上できる。
【0044】
さらに、インフレータ22のディレイタイムや自動車の車室レイアウトなどが異なる場合でも、上記のようにエアバッグ21を構成することで、追加部品などを用いることなくエアバッグ本体部34の折り畳みのみで対応できる。
【0045】
したがって、乗員Aの通常位置及びOOPでの傷害値を共に満足できるエアバッグ21を安価に提供できる。
【0046】
なお、上記の第1の実施の形態において、第2の集積部56は、顔面対向部45を第1の集積部55上に位置させてガス導入口31からの膨張ガスGを顔面対向部45へと直接流入させることができれば、任意の折り畳み方法を用いることができる。具体的に、例えば図5に示す第2の実施の形態のように、第3の折り畳み工程において第1の集積部55の上部から折り返す第2の折り部52の先端部52aを蛇腹状に折り畳むこともできるし、例えば図6に示す第3の実施の形態のように、第3の折り畳み工程において第1の集積部55の上部から折り返す第2の折り部52の先端部52aをロール状に巻き込んで折り畳むこともできる。
【0047】
また、第1の集積部55は、少なくとも一部を反乗員A側へと反転させるように折り畳む構成であれば、任意の折り畳み方法を用いることができる。具体的に、例えば図7に示す第4の実施の形態のように、第1の折り部51の先端部51aを蛇腹状に折り畳んだ後、反乗員A側へと反転させるように折り畳んで、先端部51aが前後に蛇腹状に位置する第1の集積部55を形成することもできるし、例えば図8に示す第5の実施の形態のように、第1の折り部51の先端部51aを蛇腹状に折り畳んだ後、反乗員A側へと反転させるように折り畳んで、先端部51aが上下に蛇腹状に位置する第1の集積部55を形成することもできるし、例えば図9に示す第6の実施の形態のように、第1の折り部51の先端部51aを蛇腹状に折り畳み、この先端部51aをロール状に巻き込みつつ反乗員A側へと反転させるように折り畳んで第1の集積部55を形成することもできる。
【0048】
次に、第7の実施の形態を図10ないし図12を参照して説明する。なお、上記の各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0049】
本実施の形態のエアバッグ21は、上記の第1の実施の形態のエアバッグ21の内部に整流体(整流布)であるディフューザ61が取り付けられている。このディフューザ61は、インナ筒などとも呼ばれるもので、例えば1枚の基布62を縫製などにより接合することで筒状に形成されており、エアバッグ本体部34が折り畳まれたエアバッグ21に対してインフレータ22から噴射された膨張ガスGを、第1の集積部55及び調整集積部53への直接の導入を制限(阻止)しつつ第2の集積部56へと導入する偏向面61aを内部に備えるものである。すなわち、このディフューザ61は、基端側がリテーナプレート25に固定されているとともに、エアバッグ21のエアバッグ本体部34を折り畳んだ状態で先端側が第2の集積部56内へと挿入されて折り込まれている。また、このディフューザ61は、エアバッグ21のエアバッグ本体部34を折り畳んだ状態でガス導入口31の上方に対向する第2の開口部56aに位置し、この第2の開口部56aから第2の集積部56内へと先端側が延びているとともに、第1及び第3の開口部55a,53aとガス導入口31との連通を遮断している。
【0050】
そして、このディフューザ61を製造する際には、例えば図11(a)及び図11(b)に示すように、まず、長方形状の基布62の中央部に、エアバッグ21のガス導入口31と連通する円形状の連通開口64を形成するとともに、この連通開口64の周囲に、リテーナプレート25の取付ボルトを挿通する通孔65を形成する。次いで、この基布62上に、リテーナプレート25のリテーナ本体25aを連通開口64に連通させるとともに取付ボルトを通孔65に挿通させた後、リテーナ本体25aを包み込むように基布62の長手方向の両端を互いに接近させて折り畳み、その両側部を縫製などによって接合する。この結果、内部に偏向面61aを有するディフューザ61が完成する。
【0051】
このように完成したディフューザ61は、リテーナプレート25とともにエアバッグ本体部34の内部へと挿入し、リテーナプレート25の取付ボルトによってこのリテーナプレート25と一体的にエアバッグ本体部34に対して固定する。
【0052】
そして、エアバッグ本体部34を折り畳んで収納されたエアバッグ21にインフレータ22からガス導入口31に膨張ガスGが供給されると、エアバッグ21は、ディフューザ61の偏向面61aによって導かれた膨張ガスGにより、第2の集積部56の内側に膨張ガスGが直接供給されるのに対して、第1の集積部55及び調整集積部53への膨張ガスGの供給はディフューザ61の偏向面61aによって制限(阻止)される。したがって、第2の集積部56には顔面対向部45まで膨張ガスGが整流されつつ直接流入し、第2の集積部56が第1の集積部55及び調整集積部53に先行して膨張展開する。そこで、エアバッグ本体部34の展開の圧力によりカバー体が破断すると、第2の集積部56が第1の集積部55及び調整集積部53よりも迅速に正面側すなわち上側及び後方に展開する。すなわち、正面部41の上部が上側及び後方に向かって迅速に展開する。
【0053】
次いで、この第2の集積部56の膨張展開に伴い、この第2の集積部56へと集中的に導入された膨張ガスGが第1の集積部55及び調整集積部53へと回り込み、調整集積部53が第2の集積部56よりもわずかに遅れてインストルメントパネル部14に沿って前側へと展開するとともに、第2の集積部56が展開して規制がなくなった状態で、第1の集積部55がインストルメントパネル部14に沿って後側下方に展開する。すなわち、エアバッグ本体部34は、第2の集積部56、調整集積部53、及び第1の集積部55の順で、多少の時間差を持って展開する。
【0054】
このように、本実施の形態によれば、ディフューザ61によって膨張ガスGを、第1の集積部55(及び調整集積部53)への導入を制限(阻止)しつつ第2の集積部56へと導くことにより、第2の集積部56を第1の集積部55(及び調整集積部53)よりも確実に先に(優先的に)膨張展開させることができるので、例えば乗員Aの胸部Cや頭部Hなどが通常位置に対してずれている場合でもエアバッグ本体部34を適切に展開させることができ、乗員Aの位置に拘らず良好な展開特性を得ることができる。
【0055】
次に、第8の実施の形態を図13及び図14を参照して説明する。なお、上記の各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0056】
本実施の形態のエアバッグ21は、上記の第7の実施の形態のディフューザ61の基布62の長手方向の両端部を仮縫いして、ディフューザ61の先端側を仮閉塞したものである。すなわち、ディフューザ61は、先端側が仮閉塞された受け部67となっている。この受け部67は、インフレータ22から噴射された膨張ガスGの圧力によって破断するように構成されている。
【0057】
そして、このディフューザ61をリテーナプレート25とともにエアバッグ本体部34の内部へと挿入し、リテーナプレート25の取付ボルトによってこのリテーナプレート25と一体的にエアバッグ本体部34に対して固定した後、平面状のエアバッグ本体部34を折り畳む。
【0058】
まず、第1折り畳み工程として、図14(a)に示すように、ディフューザ61の先端側をガス導入口31からエアバッグ本体部34の外部(下方)へと引き出した後、両側面部44,44を内側に折り込みながら、正面部41の略中央部をガス導入口31側に押圧してエアバッグ本体部34を厚み方向に折り畳むことにより、ガス導入口31を挟んで後側に位置する後方折り部である第1の折り部51と前側に位置する前方折り部である第2の折り部52とを形成するとともに、この第2の折り部52の基端側を前後方向に襞状に折り畳んで調整折り部である調整集積部53を形成する。
【0059】
次いで、第2折り畳み工程として、図14(b)に示すように、第1の折り部51をガス導入口31側へと、車幅方向を軸方向としてロール状に順次巻き込んで、すなわち反乗員A側へと反転するように折り畳んで、リテーナプレート25の後部の上方に第1の集積部55を形成する。
【0060】
さらに、第3折り畳み工程として、図14(c)に示すように、第2の折り部52を第1の集積部55の上方を覆うように乗員A側(後側)へと折り返すとともに、第1の集積部55から後方へと突出する先端部52aを、第1の集積部55からの突出部分の中間近傍の位置で反乗員A側(前側)へと折り返して顔面対向部45を第1の集積部55上の後端部に位置させ、さらに、図14(d)に示すように、第2の折り部52を顔面対向部45に対応する位置、すなわち第1の集積部55の後端の位置で折り返して、リテーナプレート25上に第1の集積部55の上側から前側に亘る第2の集積部56を形成するとともに、外部へと引き出したディフューザ61の先端側に対して、図示しない長尺状の挿入治具を受け部67に当接させるようにして上方へと押し込み、ディフューザ61を第2の集積部56に対して第2の開口部56aから挿入する。
【0061】
そして、第4折り畳み工程として、図14(e)に示すように、調整集積部53を第2の集積部56側へと寄せるように立てて折り畳み、エアバッグ21は、エアバッグ本体部34が折り畳まれた状態となる。
【0062】
また、エアバッグ本体部34を折り畳んだエアバッグ21は、インフレータ22からガス導入口31に膨張ガスGが供給されると、ディフューザ61の偏向面61aに膨張ガスGが当たり、この膨張ガスGの圧力によって受け部67が破断して、膨張ガスGを第2の集積部56の内側へと整流しつつ直接導入させるとともに、第1の集積部55及び調整集積部53への膨張ガスGの供給を制限(阻止)する。この後、エアバッグ本体部34は、上記の第7の実施の形態と同様にして、第2の集積部56、調整集積部53、及び第1の集積部55の順で、多少の時間差を持って展開する。
【0063】
このように、ディフューザ61の先端側を仮閉塞して受け部67を形成することにより、挿入治具を受け部67に当てながらディフューザ61をエアバッグ本体部34の内部へと折り込むことができ、製造性をより向上できる。
【0064】
次に、第9の実施の形態を図15を参照して説明する。なお、上記の各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0065】
本実施の形態のエアバッグ21は、ディフューザ61の基布62の長手方向の両端部に複数の通気孔としての円形状の小孔であるパンチ孔69がそれぞれ形成されているものである。これらパンチ孔69は、インフレータ22から噴射された膨張ガスGを第2の集積部56へと通過させるものであり、それぞれ互いに等しい孔径に形成され、互いに等しい開口面積に設定されている。また、ディフューザ61の基布62は、両側部から長手方向の両端部に亘って連続して(一続きで)縫製などによって接合されている。このため、ディフューザ61の先端側は、パンチ孔69を除く位置で閉塞された受け部67となっている。
【0066】
そして、このようにディフューザ61の先端側に受け部67を形成することにより、上記の第8の実施の形態と同様に挿入治具を用いてディフューザ61をエアバッグ本体部34の内部へと容易に折り込むことができる。
【0067】
なお、上記の第9の実施の形態のパンチ孔69に代えて、例えばネット状などの通気性を有する部材を基布62の長手方向の両端部、あるいはディフューザ61の先端側に接合することにより受け部67を形成するようにしてもよい。
【0068】
また、上記の第7ないし第9の実施の形態において、ディフューザ61は、例えば図16及び図17に示す第10の実施の形態のように、基布62の両側部を縫製などにより接合することなく、ガス導入口31と第1及び第3の開口部55a,53aとの間にそれぞれ基布62の長手方向の両端部がフラップ状に位置して先端側が第2の集積部56に挿入されていてもよい。この場合には、これらの両端部によって、膨張ガスGを第2の集積部56へと優先的に導くことができるとともに、基布62に対して縫製などの加工をする工程が不要となり、ディフューザ61の製造がより容易になる。
【0069】
さらに、上記の第7ないし第10の実施の形態のディフューザ61に代えて、例えば図18に示す第11の実施の形態のように、例えば1枚の基布などによって形成した整流体(整流布)であるフラップ71を用いてもよい。このフラップ71は、リテーナプレート25と一体的にエアバッグ本体部34の内部に収容され、このエアバッグ本体部34を折り畳んだ状態で例えばガス導入口31と第1の開口部55aとの間に壁状に位置し、先端側が第2の集積部56の内部へと挿入されている。そして、このフラップ71は、インフレータ22から噴射された膨張ガスGを、第1の集積部55への直接の導入を制限(阻止)しつつ第2の集積部56へと整流しつつ導入するなど、上記の第7ないし第10の実施の形態のディフューザ61と同様の作用効果を奏することができる。
【0070】
また、上記の第7ないし第10の実施の形態のディフューザ61及び第11の実施の形態のフラップ71は、それぞれ上記の第2ないし第6の実施の形態のいずれかに対して適用してもよい。
【0071】
さらに、上記の各実施の形態において、調整集積部53は、第2の折り部52の長さ及び顔面対向部45の位置に対応して任意に形成でき、第2の折り部52を折り畳むだけで顔面対向部45を第1の集積部55の後側上部に位置させることができる場合には形成しなくてもよい。
【0072】
そして、エアバッグ装置10は、前席後部から後席の乗員に向かって展開するエアバッグ装置などとして用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、例えば自動車の助手席乗員用のエアバッグに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0074】
21 エアバッグ
31 ガス導入口
34 エアバッグ本体部
45 顔面対向部
51 第1の折り部
52 第2の折り部
53 調整集積部
55 第1の集積部
56 第2の集積部
A 乗員
F 顔面
G 膨張ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張ガスが導入されるガス導入口を有し、このガス導入口から導入された膨張ガスによって折畳状態から膨張展開して乗員を保護する袋状のエアバッグ本体部を備えたエアバッグであって、
前記エアバッグ本体部の折畳状態で、
前記ガス導入口側に向けて少なくとも一部が反乗員側へと反転された状態で折り畳まれた第1の集積部と、
通常位置の乗員の顔面に対向する顔面対向部を備え、この顔面対向部が前記第1の集積部に重なり前記ガス導入口から導入された膨張ガスが前記顔面対向部へと直接流入する状態に折り畳まれた第2の集積部と
を具備したことを特徴とするエアバッグ。
【請求項2】
第2の集積部の基端側を折り畳んで形成され顔面対向部の位置が第1の集積部上となるように調整する調整集積部を具備した
ことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ。
【請求項3】
膨張ガスが導入されるガス導入口を有し、このガス導入口から導入された膨張ガスによって折畳状態から膨張展開して乗員を保護する袋状のエアバッグ本体部を備えたエアバッグの折り畳み方法であって、
前記エアバッグ本体部を厚み方向に折り畳んで前記ガス導入口を厚み方向と交差する方向に挟む位置に、第1の折り部と第2の折り部とを形成し、
前記第1の折り部を、前記ガス導入口側へと少なくとも一部を反乗員側へと反転させつつ折り畳んで第1の集積部を形成し、
前記第2の折り部を、展開状態で通常位置の乗員の顔面に対向する顔面対向部を前記第1の集積部に重ねて前記顔面対向部に前記ガス導入口から導入された膨張ガスが直接流入するように折り畳んで第2の集積部を形成する
ことを特徴とするエアバッグの折り畳み方法。
【請求項4】
第1の折り部と第2の折り部とを形成する際に、前記第2の折り部の基端側を折り畳んで調整集積部を形成することで、第2の集積部を形成する際に顔面対向部の位置が第1の集積部上となるように調整する
ことを特徴とする請求項3記載のエアバッグの折り畳み方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−250701(P2012−250701A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−55333(P2012−55333)
【出願日】平成24年3月13日(2012.3.13)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】