エコドライブ支援装置
【課題】燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うエコドライブ支援装置を提供する。
【解決手段】車両周辺情報取得部400で取得された車両の周辺状況情報と、周辺交通状況取得部700で取得された車両の周辺の交通状況と、走行情報取得部200で取得された車両の傾斜角と、に応じて使用領域記憶手段に記憶される最適使用領域又は許容使用領域のいずれかを選択する使用領域選択手段と、使用ポイント算出手段で算出された使用ポイントが、使用領域選択手段で選択された使用領域に含まれているかを判定する判定手段と、判定手段による判定に応じた表示を変更する表示部600と、を有する。
【解決手段】車両周辺情報取得部400で取得された車両の周辺状況情報と、周辺交通状況取得部700で取得された車両の周辺の交通状況と、走行情報取得部200で取得された車両の傾斜角と、に応じて使用領域記憶手段に記憶される最適使用領域又は許容使用領域のいずれかを選択する使用領域選択手段と、使用ポイント算出手段で算出された使用ポイントが、使用領域選択手段で選択された使用領域に含まれているかを判定する判定手段と、判定手段による判定に応じた表示を変更する表示部600と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、車両のエンジンなどの動力源の燃費向上に関し、運転者に対して運転操作に係るアシストを行うエコドライブ支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでの行き過ぎた化石燃料などのエネルギーの消費や、これに伴う環境の悪化に対する配慮から、近年においては世界規模で、車両が消費するエネルギーを最小化させ、なるべく環境に対する負荷をへらす、という趨勢にある。このような趨勢を受け、車両における燃費向上に対する取り組みが種々行われている。
【0003】
ところで、車両におけるエンジンなど動力源の燃費(或いは、車両が電気自動車やハイブリッド車の場合にはエネルギー消費効率。ただし、本明細書では、いかなる動力源の場合でも「燃費」の語に統一する)は、運転者による運転操作によって左右されるものであるので、前記のような取り組みの一つしては、燃費を向上させる運転操作を行なうように運転者にアドバイスする装置についての研究がある。
【0004】
このようなものの一例として、例えば、特許文献1(特開2003−220851号公報)には、エコノミー変速モードが選択された際に、運転者による運転操作が燃費向上に適したものであるか否かを判定し、これに応じてエコランプの点灯/消灯を切替える運転状態表示装置が開示されている。また、特許文献2(特開2008−105559号公報)には、燃費効率に適した操作領域を外れないように、運転者を誘導する情報の表示が可能なアクセル開度表示装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−220851号公報
【特許文献2】特開2008−105559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2記載のいずれの表示装置も、自車両が単独で道路上を走行している場合には燃費的観点からは最適な運転操作を促すことができるものであるものの、自車両周辺において他車両が多数走行している場合においては、周囲における他車両の走行状況などを加味した上で、最適な運転操作をアシストする表示を行うことができない、という問題があった。
【0006】
すなわち、従来技術では、運転者が表示装置による運転操作アシスト情報のみにとらわれ、それに沿うような走行を行っていると、自車両周辺の周辺環境に配慮した安全走行ができない可能性がある。例えば、燃費的側面からは最適な運転操作では、渋滞の原因となってしまうような場合においても、従来の表示装置は燃費的側面から最適な運転操作アシスト情報を表示するだけであるので、運転者が表示装置による運転操作アシスト情報のみに従って車両を運転すると、結果として、周囲状況にそぐわないような運転操作を行うこととなってしまう。このように従来の表示装置では、車両周辺状況に応じて、それを加味した運転操作アシスト情報の提示を行うことができない、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、車両に搭載され前記車両の動力源の燃費向上に関して運転者に対し運転操作のアシストを行うエコドライブ支援装置であって、前記車両の動力源の使用状況を示すパラメータと、前記車両の傾斜角を取得する走行情報取得部と、前記走行情報取得部で取得されたパラメータに基づいて前記動力源の使
用ポイントを算出する使用ポイント算出手段と、前記動力源の燃費効率が良好な最適使用領域と、前記最適使用領域を含み前記最適使用領域より広い許容使用領域とを記憶する使用領域記憶手段と、前記車両の周辺状況情報を取得する車両周辺情報取得部と、前記車両の周辺の交通状況を取得する周辺交通状況取得部と、前記車両周辺情報取得部で取得された前記車両の周辺状況情報と、前記周辺交通状況取得部で取得された前記車両の周辺の交通状況と、前記走行情報取得部で取得された前記車両の傾斜角と、に応じて前記使用領域記憶手段に記憶される最適使用領域又は許容使用領域のいずれかを選択する使用領域選択手段と、前記使用ポイント算出手段で算出された使用ポイントが、前記使用領域選択手段で選択された使用領域に含まれているかを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段による判定に応じた表示を変更する表示部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のエコドライブ支援装置において、前記周辺交通状況取得部は、前記車両が通過する予定の信号に係る情報を取得することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載のエコドライブ支援装置において、前記周辺交通状況取得部は、前記車両周辺を走行する他車両に係る情報を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1乃至3に係るエコドライブ支援装置は、将来の信号状態の変化、前後車両以外の周辺車両の走行状況、走行路の傾斜状況を考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。すなわち、本実施形態によれば、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報、さらに周辺交通状況情報、車両の周辺状況情報、車両が走行する地形情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置が搭載される車両の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置のブロック構成の概略を示す図である。
【図3】車両が停止状態から所定速度に燃費よく到達することが可能な運転方法を説明する図である。
【図4】車両が停止状態から所定速度に到達するまでにおける種々の周辺状況を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置が燃費がよいと判定する運転方法を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置のエコドライブ支援処理・動作のフローチャートを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図8】自車両と他車両に関連する周囲状況の判定のために用いられるパラメータを説明する図である。
【図9】自車両と他車両に関連する周囲状況の判定のために用いられるパラメータを説明する図である。
【図10】車両に搭載されるエンジンのエンジン回転数とエンジントルクとの関係を示すグラフである。
【図11】車両に搭載されるエンジンのエンジン回転数とエンジントルクとの関係を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置におけるディスプレイ610におけるエコドライブサイン表示例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置におけるディスプレイ610におけるエコドライブサイン表示例を示す図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置が搭載される車両の概略を示す図である。
【図15】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置のブロック構成の概略を示す図である。
【図16】信号が変わるタイミング情報を得ることなくエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【図17】信号が変わるタイミング情報に基づいてエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【図18】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(信号依拠)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図19】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における辺交通状況情報取得部700で取得される信号情報の概念図である。
【図20】車両周辺の渋滞状況情報を得ることなくエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【図21】車両周辺の渋滞状況情報に基づいてエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【図22】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(混雑度依拠)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図23】車両が走行する道路の傾斜を考慮せずにエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【図24】車両が走行する道路の傾斜に基づいてエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【図25】車両が走行する道路の傾斜に基づいてエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【図26】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(傾斜角依拠)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図27】車両の傾斜角の定義を説明する図である。
【図28】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(総合)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図29】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(総合)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図30】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(総合)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置が搭載される車両の概略を示す図であり、図2は本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置のブロック構成の概略を示す図である。なお、本実施形態のエコドライブ支援装置は、自動車、ハイブリッド車、電気自動車などの車両に搭載されることを想定しているが、その他の移動手段に搭載することも可能である。そのとき、モーターなどの動力源、モーターとエンジンを組み合わせた動力源などのエネルギー消費効率などを、本明細書では総称して、「燃費」という言葉を用いることとする。
【0013】
図1及び図2において、10は車両、32はステアリング、54はアクセルペダル、100はECU、200は走行情報取得部、210は車速センサ、220はエンジン回転数センサ、230はエンジントルクセンサ、400は車両周辺情報取得部、410はミリ波
レーダー、420はカメラ、500は運転操作部、510はアクセルセンサ、540はアクセル反力制御部、560はステアリング振動制御部、600はインターフェイス部、610はディスプレイ、630はスピーカ、をそれぞれ示している。
【0014】
車両10は、本発明のエコドライブ支援装置が搭載されたものであり、通常のガソリンを燃料としエンジンを動力源として走行する車両を例にとり説明するが、上述したように本発明のエコドライブ支援装置が搭載される車両の種類はこれに限定されるものではない。
【0015】
ECU100はエレクトロニックコントロールユニットの略であり、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である。ECU100は、図示されているECU100と接続される各構成と協働・動作する。また、ECU100は、本発明のエコドライブ支援装置における種々の制御処理は、ECU100内のROMなどの記憶手段に記憶保持されるプログラムやデータに基づいて実行されるものである。なお、特許請求の範囲に記載された「使用ポイント算出手段」、「使用領域選択手段」、「第1判定手段」、「乖離算出手段」、「第2判定手段」は、このECU100の動作を上位概念的に表現したものである。なお、本実施形態においては、上記の各手段はECU100とECU100上で実行されるプログラムによって実現されるものとしているが、これらの各手段はこれに限定されるものではなく、論理回路などのハードウエアのみで実現されるようなものであってもよい。また、特許請求の範囲に記載された「使用領域記憶手段」などは、前記のROMなどの電子データを記憶する記憶媒体の構成を表現したものである。そして、その概念は車両の動力源の燃費効率を表す燃費曲線(後述する図10)が記憶するだけのものであるが、動力源の燃費効率を設計から決まる所定の演算式で求める燃費曲線も含めた場合には「使用領域取得手段」と定義しておく。本実施の形態では使用領域記憶手段を用いて説明していくが、使用領域を取得手段に置き換えることは可能である。この場合、所定の演算式で燃費を演算すると置き換えることになる。
【0016】
走行情報取得部200は、車両10の実走行に関連する情報などを取得する構成であり、少なくとも車速センサ210が設けられており、車両10の速度(自車両速度)のセンシングを行うようになっている。なお、走行情報取得部200として、ジャイロなどのその他のセンサ類を設けるようにしてもよい。また、エンジン回転数センサ220は、不図示の車両10に搭載されるエンジンからエンジンの回転数を検出するセンサであり、エンジントルクセンサ230は、前記エンジンが出力しているトルクを検出するセンサである。本実施形態においては、上記エンジン回転数センサ220と上記エンジントルクセンサ230によって得られるエンジン回転数とエンジントルクの関係から、エンジンを効率よく運転できる使用領域(図10参照)に基づいて、運転操作が燃費消費の上で適当か不適当かを判定するようにしている。なお、このような判定に、さらに、アクセル開度の急変を検知したときにはアクセル開度の絶対値に拘らず運転操作が燃費消費の上で不適当であるなどと判定してもよい。
【0017】
車両周辺情報取得部400は、車両10周辺の車外の情報などを取得する構成であり、本実施形態では、車両10の前方側及び後方側にミリ波レーダー410とカメラ420とを有している。ミリ波レーダー410は、車両10の前方を走行する車両や障害物との間の距離を計測するものである。ここで計測された前方車両、後方車両との車間距離は、ECU100に入力される。また、計測された車間距離と、車速センサ210で取得される自車両の速度情報とから、ECU100は、自車両の前方、後方を走行する車両の速度から自車両の速度を差し引いた相対速度の算出を行ったりする。また、特許請求の範囲に記載された「車両周辺情報取得手段」は、ミリ波レーダー410などの構成を上位概念で表現したものである。
【0018】
また、カメラ420は前方を走行する車両や障害物や路面に係る画像を取得する。取得された画像データはECU100に送信され、ECU100で画像解析されることによって、例えば前方車両と間の距離情報を得たり、或いは路面の状態を判断することによって路面の摩擦係数を得たりする。求められた摩擦係数は、制動距離を算出したり、空走距離を算出したりする上で利用される。
【0019】
運転操作部500は、車両10の運転に関連する構成であり、本発明のエコドライブ支援装置においては、例えばアクセルセンサ510、アクセル反力制御部540、ブレーキアシスト制御部550の各構成からなっている。
【0020】
アクセルセンサ510はアクセルペダル54の踏み込み量(角度)を検出するものであり、ブレーキセンサ520はブレーキペダル55の踏み込み量(角度)を検出するものである。特にアクセルセンサ510は車両の加減速を操作することになるため、運転操作を検出する「運転操作検出手段」と定義する。なお、本実施例ではアクセルセンサ510で説明を行っていくが、アクセルセンサ510に代わるものとして、内燃機関の燃焼室に供給される吸入空気量を調節するスロットルバルブ(不図示)や、ハイブリッド自動車の電動機を制御するための信号である制御信号も利用しても良く、これらを権利範囲から除外するものではない。
【0021】
アクセル反力制御部540は、運転者によるアクセルペダル54の踏み込みに抗する力(図1の矢印A)をアクチュエータ(不図示)などにより発生させて、アクセルペダル54にこの力をアクセル反力として伝える制御部である。このようなアクセル反力制御部540は、過度な燃料消費を防止するためにECU100によって動作指示がなされる。このようなアクセル反力制御部540によって、運転者は反力をアクセルペダル54から感じて、自らの運転が燃費向上運転操作から著しく外れていることを誘導される。特許請求の範囲に記載された「運転操作誘導手段」は、このアクセル反力制御部540などの構成を上位概念で表現したものである。
【0022】
また、このようなアクセル反力制御部540によって発生される反力は、運転者によるアクセルペダル54の踏み込みを押し戻し、車両10のさらなる急な加速を回避させる。
【0023】
ステアリング振動制御部560は、車両10の運転者が操作するステアリング32に搭載されて、運転者の手のひらに振動を与える制御を行うものであって、このようなステアリング振動制御部560が動作することによって、運転者に所定の運転操作の誘導を行うことが可能となる。特許請求の範囲に記載された「運転操作誘導手段」は、このステアリング振動制御部560などの構成を上位概念で表現したものである。
【0024】
インターフェイス部600は、車両10の運転席部に設けられ、運転者に対し車両10に係る情報などを提供する構成である。インターフェイス部600におけるディスプレイ610は液晶などの表示装置であり、このディスプレイ610に文字・図形情報等を表示することによって、運転者に対して視覚的に所定の情報を報知することを可能とする。このようなディスプレイ610によって、車両10の運転者はエコドライブ支援装置から、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を受けることができる。例えば、ディスプレイ610によって、エコドライブを行っている旨のサインなどの表示を確認することができる。このようなエコドライブサインの表示方法については種々の形態が考えられるが、ディスプレイ610において、運転者にエコドライブサインなどの運転操作アシスト情報を具体的に表示する方法については後に詳しく説明する。特許請求の範囲に記載された「表示変更手段」は、このようなディスプレイ610などの構成を上位概念で表現したものである。
【0025】
また、インターフェイス部600は、スピーカ630も含んでおり、必要に応じて運転者に対して、音声による案内や警告を行い得るようになっている。インターフェイス部600のディスプレイ610及びスピーカ630は、運転操作が燃費向上運転操作から著しく乖離しているような場合の運転者に対する提示手段として機能するものである。特許請求の範囲に記載された「提示手段」は、このようなディスプレイ610、スピーカ630などの構成を上位概念で表現したものである。なお、「運転操作誘導手段」および「提示手段」を包括する概念として、運転者に報知するという概念を「報知手段」と定義する。
【0026】
次に、本発明のエコドライブ支援装置が提示する周辺状況に応じた運転操作アシスト情報のイメージについて説明する。本実施形態に係るエコドライブ支援装置が搭載された車両が、例えば停止状態から60km/hに加速するときの状況を想定する。図3は車両が停止状態から所定速度(60km/h)に燃費よく到達することが可能な運転方法を説明する図である。図3において、斜線で示される領域が、車両を燃費よく運転することができる加速(運転操作)を示しており、例えば、従来の装置においても、このような運転操作がなされたときに、エコドライブを行っている旨のエコドライブサインなどを表示して、運転者への報知を行っていた。
【0027】
しかしながら、車両の周辺状況によっては、燃費の観点のみから運転操作をすることができないことがある。図4は車両が停止状態から所定速度(60km/h)に到達するまでにおける種々の周辺状況を説明する図である。図4(A)は、自車両と前方車両との間の車間距離に余裕があり、自車両と後方車両との間の車間距離に余裕がない場合の周辺状況を示している。また、図4(B)は、自車両と前方車両との間の車間距離、自車両と後方車両との間の車間距離の両方に所定の余裕がある場合の周辺状況を示している。また、図4(C)は、自車両と前方車両との間の車間距離に余裕がなく、自車両と後方車両との間の車間距離に余裕がある場合の周辺状況を示している。このように車両が停止状態から所定速度(60km/h)に加速するまでの間には、上記のような種々の周辺状況があり得る。
【0028】
図5は本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置が燃費がよいと判定する運転方法を説明する図である。図5(A)(B)および(C)は、縦軸を速度、横軸を時間にして動力源の設計によって決まる燃費曲線に基づいて燃費が良い領域を時間に対する速度で表したグラフを示している。図5(A)(B)および(C)に記載される第一の運転領域である燃費が良い運転方法は、後述する図10(B)の車両エンジン本来の特性に基づく判定用グラフのエンジンを効率よく運転できる最適使用領域に記載される動力源の設計によって決まる燃費曲線に基づいて速度と時間を使って表現したものである。図5(A)に記載される第二の運転領域である周囲状況によって許容する運転方法は、第一の運転領域である燃費が良い運転方法に比べて燃費が悪いが、第一の運転領域である燃費が良い運転方法に比べて時間に対して車速を高くすることができる。これは後述する図10(A)の車両エンジンの高出力側での使用を許容する際の判定グラフ中の周囲状況によって供する許容使用領域によって決まる燃費曲線に基づいて速度と時間を使って表現したものである。図5(C)に記載される第三の運転領域である周囲状況によって許容される運転方法は、第三の運転領域である燃費が良い運転方法に比べて燃費が悪いが、第二の運転領域である周囲状況によって許容する運転方法と同等の燃費となるようにされており、第一の運転領域である燃費が良い運転方法に比べて時間に対して車速を低くすることができる。これは後述する図10(C)の車両エンジンの低出力側での使用を許容する際の判定グラフ中の周囲状況によって供する許容使用領域によって決まる燃費曲線に基づいて速度と時間を使って表現したものである。図5(B)および図(C)の周囲状況によって許容する運転方法は、本実施例では同等の燃費となるように設計されているとしたが、これは図10(A)および(B)の燃費曲線に基づいているからであり、駆動原であるエンジンの設計に
よっては同等の燃費となるように設計せずに一方が他方に比べて優れるように設計してもあっても良い。図4の関係に基づいて図5の詳細を説明する。
【0029】
図5(A)は、図4(A)に示す周辺状況下で、エコドライブサインを表示させるための運転方法の基準を示している。図4(A)に示す場合では、前方車両との車間距離に余裕があり、後方車両との車間距離に余裕がない状況であるので、本実施形態に係るエコドライブ支援装置では、先の斜線の運転方法に加えて、斜線の運転方法(図5(A)の燃費がよい運転方法)より後方車両との安全な車間または速度差を確保できるように加速が大きい縦線(図5(A)の周囲状況によって許容する運転方法)によって示される運転方法で運転(加速)して図4(B)および図5(B)における車両前後の状況、すなわち、前方車両および前方車両に共に余裕がある場合であって、自車両の燃費がよい使用領域での車速に対して車速を高くしたとしても、エコドライブサインを表示するようにする。
【0030】
図5(B)は、図4(B)に示す周辺状況下で、エコドライブサインを表示させるための運転方法の基準を示している。図4(B)に示す場合では、前方車両、後方車両との車間距離に共に余裕がある状況であるので、前方車両および後方車両に関わらず自車両のエンジン本来の燃費がよい使用領域で運転を行って本来の燃費が良い加速を行って、それに応じた車速で走行することが可能となるはずである。このような場合には、本実施形態に係るエコドライブ支援装置では、先の斜線の運転方法(図5の燃費がよい運転方法)に示される運転方法で運転(加速)したときのみ、エコドライブサインを表示するようにする。
【0031】
図5(C)は、図4(C)に示す周辺状況下で、エコドライブサインを表示させるための運転方法の基準を示している。図4(C)に示す場合では、前方車両との車間距離に余裕がなく、後方車両との車間距離に余裕がある状況なので、本実施形態に係るエコドライブ支援装置では、先の斜線の運転方法に加えて、斜線の運転方法(図5(C)の燃費が良い運転方法)より加速が小さい縦線(図5(C)の周囲状況によって許容する運転方法)によって示される運転方法で運転(加速)して図4(C)および図5(C)における車両前後の状況、すなわち、前方車両との車間距離に余裕がなく後方車両との車間距離に余裕がある場合であって、自車両の燃費がよい使用領域での車速に対して車速を低くしたとしても、エコドライブサインを表示するようにする。
【0032】
以上においては、前方車両、後方車両などとの車間距離という、周辺環境情報に基づいて、燃費が良い運転方法に対する車速と周囲状況によって許容する運転方法に対する車速の上下限を設定してエコドライブサインを表示する基準を変更する例について説明したが、本発明のエコドライブ支援装置は、このような周辺環境情報に限定されることなく、他の周辺環境情報に応じて、エコドライブサインの表示基準を変更するようにすることもできる。
【0033】
次に、以上のように構成される本実施形態に係るエコドライブ支援装置の処理・動作について説明する。図6は本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置のエコドライブ支援処理・動作のフローチャートを示す図である。
【0034】
図6において、ステップS100で、エコドライブ支援装置のエコドライブ支援処理動作が開始されると、続いて、ステップS101に進み、エンジン回転数センサ220よりエンジン回転数値(R)を、また、エンジントルクセンサ230よりエンジントルク値(T)を取得する。続いて、ステップS102では、判定条件選択処理に係るサブルーチンが実行される。
【0035】
ここで、この判定条件選択処理サブルーチンについて説明する。本実施形態に係るエコ
ドライブ支援装置では、この判定条件選択処理サブルーチンによって、エコドライブサイン表示を行うか否かなどの判定するための判定条件を選択するものである。図7は本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0036】
図7において、ステップS200で、判定条件選択処理のサブルーチンが開始されると、続いてステップS201に進み、車両周辺情報取得部400におけるミリ波レーダー410やカメラ420などから前方車両及び後方車両に関する情報を取得する。
【0037】
ステップS202では、自車両の前方を走行する他車両である前方車両が存在するか否かが判定される。ステップS202における判定結果がYESであるときにはステップS203に進み、NOであるときにはステップS207に進む。
【0038】
ステップS202の判定がNOであるときに進むステップS207では、自車両後方を走行する他車両である後方車両が存在するか否かが判定される。ステップS207における判定結果がYESであるときにはステップS208に進み、NOであるときにはステップS206に進む。
【0039】
ステップS207の判定がNOであるときには、前方車両及び後方車両のいずれも存在しないこととなる。そこで、ステップS206で、最適使用領域として図10の(B)を選択し、これに基づいて判定を行い、エコドライブサインなどの表示を実行するようにする。
【0040】
ここで、車両10に搭載されるエンジンの最適使用領域と、最適使用領域を含み、最適使用領域より広い許容使用領域の概念について説明する。なお、このような最適使用領域と許容使用領域については、前記ROMなどの記憶手段に記憶され、ECU100が判定に用いるように構成されている。
【0041】
図10は車両に搭載されるエンジンのエンジン回転数とエンジントルクとの関係を示すグラフであり、図10(A)乃至図10(C)において、いずれのグラフにおいても点線で囲まれた範囲内が、車両10のエンジン本来の最適使用領域である。この最適使用領域内に、エンジンの使用ポイント(エンジン回転数,エンジントルク)が存在すれば、燃費がよい運転操作を行っていることとなり、最適使用領域内に、当該使用ポイントが存在しなければ、燃費がよい運転操作を行っていない、という判定を行うことができる。このような考え方は、従来技術においても存在していたものであるが、本発明のエコドライブ支援装置では、さらに車両10の周囲状況に応じては、最適使用領域を外れていても、燃費がよい運転操作を行っていると判定する使用領域(許容使用領域)を設定するものである。また、図10(A)乃至図10(C)におけるエンジンを効率よく運転できる最適使用領域および周囲状況によって許容する許容使用領域は、本発明のエコドライブ支援装置は燃費効率の基準、すなわち、周囲状況に応じた判定基準であり、最適使用領域および許容使用領域はそれぞれ使用領域記憶手段またはこの上位概念の使用領域取得手段によって変更される。なお、使用領域取得手段で変更する場合には所定の演算式で燃費を演算する場合も含むのでこの場合には、所定の演算式を変更することで演算することができるようになる。
【0042】
図10(A)の斜線部は、周囲状況によって高出力側の領域の使用を許可する場合の判定用の許容使用領域を示している。このような判定用許容使用領域は、例えば、自車両後方を走行する他車両である後方車両との車間距離が接近しているような場合で、高出力側のエンジン出力が必要であるとき、すなわち、動力源であるエンジン本来の特性よりも動力源から高出力な出力が必要である場合の判定に適用される。
【0043】
また、図10(B)の斜線部は、車両10エンジン本来の特性に基づく最適使用領域が判定用の使用領域となる例である。この判定用の使用領域は、車両10が周囲状況によって左右されない、いわばマイペースの運転操作を行うことができる状況下にある場合に適用される。
【0044】
また、図10(C)の斜線部は、周囲状況によって低出力側の領域の使用を許可する場合の判定用の許容使用領域を示している。このような判定用許容使用領域は、例えば、自車両前方を走行する他車両である前方車両との車間距離が接近しているような場合で、低出力側のエンジン出力が必要であるとき、すなわち、動力源であるエンジン本来の特性よりも動力源から低出力な出力が必要である場合の判定に適用される。
【0045】
このように本実施形態に係るエコドライブ支援装置によれば、周囲状況に応じて判定基準を変更する設定であるので、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。
【0046】
再び、図7のフローチャートに戻り説明を続ける。ステップS207における判定結果がYESであるときに進むステップS208では、後方車両のみが存在する状況であるので、自車両10の速度と後方車両との速度の関係を判定する。すなわち、本ステップでは、Vb>VかつVb−V>Voであるか否かが判定される。ここで、速度Vに関連する定義
について説明する。Vは自車両10の速度であり、Vbは後方車両の速度であり、また、
Voは所定の基準となる速度である。なお、本ステップにおける判定を図示したものが図
9(B)である。図9は自車両と他車両に関連する周囲状況の判定のために用いられるパラメータを説明する図である。ステップS208での判定が真であるとき、すなわち、Vb>VかつVb−V>Voであるときには、後方車両の速度が自車両10の速度より速く、
なおかつ、所定以上の速度差をもって後方車両が接近してくる状況であるので、高出力側でエンジンを使用しても、エコドライブを行っているものと判定を行うようにする。
【0047】
すなわち、ステップS208の判定がYESであるときには、ステップS211に進み、最適使用領域として図10の(A)を選択し、これに基づいてエコドライブの判定などを行うようにする。また、ステップS208での判定がNOであるときは、ステップ206に進み、最適使用領域として図10の(B)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0048】
ステップS203では、自車両の後方を走行する後方車両が存在するか否かが判定される。ステップS203における判定結果がYESであるときにはステップS204に進み、NOであるときにはステップS209に進む。
【0049】
ステップS209では、前方車両のみが存在する状況であるので、自車両10の速度と前方車両との速度の関係を判定するものである。本ステップでは、V>VfかつV−Vf>Voであるか否かが判定される。Vは自車両10の速度であり、Vfは前方車両の速度であり、また、Voは所定の基準となる速度である。
【0050】
なお、本ステップにおける判定を図示したものが図9(A)である。ステップS209での判定が真であるとき、すなわち、V>VfかつV−Vf>Voであるときには、自車両
10の速度が前方車両の速度より速く、なおかつ、所定以上の速度差をもって前方車両に接近していく状況であるので、低出力側でエンジンを使用しても、エコドライブを行っているものと判定を行うようにする。
【0051】
すなわち、ステップS209の判定がYESであるときには、ステップS206に進み
、最適使用領域として図10の(C)を選択し、これに基づいてエコドライブの判定などを行うようにする。また、ステップS209での判定がNOであるときは、ステップ206に進み、最適使用領域として図10の(B)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0052】
ステップS204においては、自車両10の前方を走行する車両、及び、後方を走行する車両の双方が存在する場合での判定である。このようなステップS204では、Xf>
XbかつXf−Xb>Xoであるか否かが判定される。ここで、距離Xに関連する定義について説明する。Xfは自車両10と前方車両の車間距離であり、Xbは自車両10と後方車両の車間距離であり、Xoは所定の基準となる距離である。
【0053】
なお、図8は自車両と他車両に関連する周囲状況の判定のために用いられるパラメータを説明する図であり、図8(A)は自車両10と後方車両との間の車間距離に余裕がなく、エンジンを高出力領域でも使用すべき状況を示しており、図8(B)は自車両10と前方車両、後方車両との間の車間距離に余裕があり、エンジン本来の高効率領域でも使用すべき状況を示しており、図8(C)は自車両10と前方車両との間の車間距離に余裕がなく、エンジンを低出力領域でも使用すべき状況を示している。
【0054】
ステップS204での判定が真であるとき、すなわち、Xf>XbかつXf−Xb>Xoで
あるときには、後方車両との車間距離が乏しく、なおかつ、前方車両との車間距離をも加味したとき、所定以上の距離差が存在する状況であるので、高出力側でエンジンを使用しても、エコドライブを行っているものと判定を行うようにする。
【0055】
すなわち、ステップS204の判定がYESであるときには、ステップS211に進み、最適使用領域として図10の(A)を選択し、これに基づいてエコドライブの判定などを行うようにする。また、ステップS204での判定がNOであるときは、ステップ205に進み、さらに判定を行う。
【0056】
ステップS205においては、Xf<XbかつXf−Xb<XPであるか否かが判定される
。ここで、距離Xに関連する定義について説明する。Xfは自車両10と前方車両の車間
距離であり、Xbは自車両10と後方車両の車間距離であり、XPは所定の基準となる距離である。
【0057】
ステップS205での判定が真であるとき、すなわち、Xf<XbかつXf−Xb<XPで
あるときには、
前方車両との車間距離が乏しく、なおかつ、後方車両との車間距離をも加味したとき、所定以下の距離差がしか存在しない状況であるので、低出力側でエンジンを使用しても、エコドライブを行っているものと判定を行うようにする。
【0058】
すなわち、ステップS204の判定がYESであるときには、ステップS210に進み、最適使用領域として図10の(C)を選択し、これに基づいてエコドライブの判定などを行うようにする。また、ステップS204での判定がNOであるときは、ステップ206に進み、最適使用領域として図10の(B)を選択し、これに基づいてエコドライブの判定などを行うようにする。ステップS212でメインルーチンの方にリターンする。
【0059】
以上のように、本実施形態に係るエコドライブ支援装置によれば、周囲状況に応じて判定基準を変更する設定であるので、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。なお、本実施形態においては、車間距離や自車両速度や相対速度などに基づいて各種の判定を行う例について示したが、これは車両の周辺状況情報を把握するための一つの例にすぎず、他の方法を用いるこ
とも可能である。
【0060】
再び、図6に示すメインルーチンに戻って説明する。上記のようなエコドライブ支援装置における判定条件選択処理のサブルーチンからリターンすると、次に、ステップS103において、エンジンの使用ポイントである(R,T)が、選択された最適使用領域に存在するか否かが判定される。
【0061】
ステップS103の判定がYESであるときにはステップS109で、本実施形態によるエコドライブサイン表示を実行する。より具体的には、ディスプレイ610において、図13(B)に示すような表示のエコドライブ表示部で、バーグラフで中間位置の表示を実行する。本実施形態では、バーグラフが「ECO」のところに、ちょうど到達しているときに、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した最適運転がなされているものと報知する。
【0062】
ここで、本実施形態に係るエコドライブ支援装置において、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うための、表示部について説明する。図12は本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置におけるディスプレイ610におけるエコドライブサイン表示例を示す図である。図12に示すように、エコドライブサイン表示部においては、車速計が組み合わされた構成となっている。当該表示部において、上段(a)はバーグラフ式の速度表示部であり、中段(b)が数値式の速度表示部となっている。これらの速度表示部は、車速センサ210で取得された車速が表示される。
【0063】
また、図12において下段部(c)がエコドライブサインのための表示部である。本実施形態におけるエコドライブサイン表示部では、現在の運転操作が燃費的側面から理想的であるか否かのみならず、現在の運転操作が理想的な運転操作からどの程度乖離しているか(乖離の度合い)を示す(エコドライブのレベルを表示する)バーグラフ式のものとなっている。ここで、運転操作が燃費上理想的である場合にはバーグラフの表示が、「ECO」のところ(中立位置、図12の(d))に到達する。理想的な運転操作より低出力でエンジンを使用しているときには、その乖離に応じて中立位置から左側(図12の(d)の範囲)に外れた表示(図13(A)参照)となり、高出力でエンジンを使用しているときには、その乖離に応じて中立位置から右側(図12の(f)の範囲)に外れた表示(図13(C)参照)となる。本実施形態では、このような表示によって、車両運転者は自分がどの程度最適な運転操作から乖離しているかを簡便に目視確認することができる。なお、理想的な運転操作とは、図4(A)の周辺車両状況に対しては図5(A)で設定される第一の運転領域である燃費が良い運転方法および第二の運転方法である周囲状況によって許容する運転方法に基づく運転方法であり、図4(B)の周辺車両状況に対しては図5(B)で設定される第一の運転領域である燃費が良い運転方法に基づく運転方法であり、図4(C)の周辺車両状況に対しては図5(C)で設定される第一の運転領域である良い運転方法および第三の運転方法である周囲状況によって許容される運転方法に基づく運転方法である。
【0064】
再び、図6のフローチャートに戻って説明する。ステップS103の判定がNOであるときにはステップS104では、使用ポイント(R,T)と最適使用領域との間の距離を算出する。ここで、使用ポイント(R,T)と最適使用領域との間の距離の算出について、図11を用いて説明する。図11に示すように、ステップS104では、最適使用領域外に存在するP1やP2に示される使用ポイントと、最適使用領域との間の最短の距離a、bが求められるようになっている。このような求められた距離は、エンジンの最適使用からの乖離を示すものであり、この距離を参考情報として乖離の表示を行うようにする。
【0065】
続くステップS105では、エンジンの使用ポイントである(R,T)が領域Hに存在するか否かが判定される。ここで、図11を参照して、領域(H)と領域(L)について説明する。本実施形態では、図11に示すように、エンジン回転数対エンジントルクのグラフにおいて、高出力領域(領域(H))と低出力領域(領域(L))との2つの領域を便宜的に決めて、どちらに使用ポイントが存在するかによって、エンジンがどのような使われ方をしているかを決定する。なお、本実施形態においては、図11のような2つの領域に分けただけの場合を例にとり説明するが、本発明がこのような態様に限定されるものではない。
【0066】
ステップS105における判定結果がYESである場合にはステップS110に進み、ステップS104で算出した距離に応じたバーグラフ表示を実行する。ステップS104による表示によると、例えば図13(C)に示すようなものとなる。これは、所定の距離a乖離し、領域(H)に存在する使用ポイントP1などに対応する表示となる。
【0067】
一方、ステップS105における判定結果がNOである場合にはステップS107に進み、所定の定数から算出距離(ステップS104で算出したもの)を差し引いた差分に応じたバーグラフ表示を実行する。ステップS105による表示によると、例えば図13(A)に示すようなものとなる。これは、所定の距離b乖離し、領域(L)に存在する使用ポイントP1などに対応する表示となる。なお、所定定数からこの距離bを差し引いた差分に応じてバーグラフ(図12の(c))の右側から点灯させることによって図13(A)に示すような表示となる。
【0068】
以上に説明したように、本実施形態に係るエコドライブ支援装置によれば、燃費向上の観点に加えて、前方走行車両と後方走行車両の情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となるし、さらに、車両運転者は自分がどの程度最適な運転操作から乖離しているかを簡便に目視確認することができる。
【0069】
ステップS107では、(ステップS104で算出した距離)>(所定値)の関係が真であるか否かが判定され、判定結果がYESであればステップS111で、ステアリング振動制御部560、アクセル反力制御部540のいずれか一方、又は双方の動作を実行する。ステップS107の判定がYESであることは、エンジンの使用ポイントが最適使用領域から著しく外れていることを示している。そこで、ステップS111では、ステアリング振動制御部560、アクセル反力制御部540を動作させ、これによって、運転者が最適な運転操作から度を超して乖離した運転操作を行っている場合における適切に報知を行うことが可能となる。
【0070】
ステップS108では、エンジンがオフされた否かが判定され、このステップでYESと判定されると、ステップS112に進み、エコドライブ支援処理動作が終了される。
【0071】
本実施形態の変形例としては、図7のステップS202、S203、S207において自車両の前方または後方に存在する他の車両の存在の有無を評価し、ステップS208およびステップS209において自車と他の車両との速度差を評価して燃費効率の基準である周囲状況に応じた判定基準を変更するようにしているが、単純に他の車両の存在の有無で燃費効率の基準を変更しても良く、ステップS204およびステップS205のように自車両と他の車両との相対距離を評価して燃費効率の基準を変更しても良い。また、自車と他の車両との速度差および相対距離の両方を組み合わせたり、少なくとも一方を評価して燃費効率の基準を変更しても良い。これはステップS204およびステップ205の評価も同様に自車両と他の車両との相対距離を評価して燃費効率の基準を変更してもよい。さらに、本実施形態の変形例としては、XPは所定の基準となる距離、Xoは所定の基準となる距離およびVoは所定の基準となる速度を、例えば、ナビゲーション装置からの道路
情報、渋滞情報、天気情報や事故情報に基づいて変更しても良い。
【0072】
以上、本発明のエコドライブ支援装置によれば、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。
【0073】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。先の実施形態では、車両10の前方車両及び後方車両との関係を考慮した現時点の情報に基づいてエコドライブ支援を行うものであったが、本実施形態に係るエコドライブ支援装置では、ある程度の将来の状況を考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。図14は本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置が搭載される車両の概略を示す図であり、図15は本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置のブロック構成の概略を示す図である。図14及び図15において、先の実施形態と同じ参照符号が付されている構成については同様の構成を示しているので説明を省略する。
【0074】
本実施形態に係る走行情報取得部200には傾斜角センサ240が設けられており、この傾斜角センサ240によって車両10が登坂したり下ったりする坂道の傾斜角度を検知し、この傾斜角度検知情報に基づいてECU100がエコドライブ支援を行うようになっている。本実施形態では傾斜各センサ240を用いて坂道の傾斜角度を検知するとしているが、ナビゲーション情報に基づいてこれらの傾斜角度を演算してもよく、本実施形態の方法に限定されるものではない。
【0075】
また、周辺交通状況情報取得部700は、通信部710を有しており、この通信部710を介して、交通状況情報提供サーバーと通信することで、車両10の周辺の交通状況を取得することができるようになっている。周辺交通状況情報取得部700で取得される情報によって、車両10が通過する信号が変わるタイミング情報や、車両10の周辺の渋滞具合(車両10の周辺の混雑度の高低)情報などを得ることができ、ECU100はエコドライブ支援のための情報としてこれらの情報を活用する。交通状況情報提供サーバーとしては、例えば、本田技研工業などが提供するプローブサービスなどのサーバーを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0076】
ナビゲーションシステム部800は、ナビゲーションシステム810やこのナビゲーションシステム810が参照する地図情報などのナビゲーションシステム用の地図データベース820と、さらに本実施形態特有の休息情報データベース830とからなっている。ナビゲーションシステム810は、GPS衛星からのGPS信号を受信して自らの位置を計算するGPS測位部を用いることによって、車両の現在位置情報を取得することができる。本発明のエコドライブ支援装置においては、位置情報を取得することができれば、このようなGPS測位法によらずとも、その他の測位法を用いることができるものである。
【0077】
本発明のエコドライブ支援装置の地図データベース820には、道路情報、施設情報などが記憶されており、例えば、ナビゲーションシステム810が、運転者に対して、目的地となる施設の案内を行ったり、運転者が指定入力した目的地までの距離、ルートなどを求めたり、目的地に到着する時刻を求めたりするのに利用される。このようなナビゲーションシステム810、地図データベース820の処理動作についてはいずれも従来周知の技術を用いることができる。
【0078】
また、特に、本発明のエコドライブ支援装置の地図データベース820には、道路情報として信号情報(位置、信号が変わるタイミングなど)が記憶されており、このような信号情報がECU100においてエコドライブ支援を行うために用いられる。
【0079】
次に、他の実施形態におけるエコドライブ支援装置が提示する運転操作アシスト情報のイメージについて説明する。図16は信号が変わるタイミング情報を得ることなくエコドライブ支援を行う場合を説明する図であり、図17は信号が変わるタイミング情報に基づいてエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【0080】
図16(A)は車両がP地点における青信号で発進して、Q地点における赤信号で停止する状況を示しており、図16(B)はQ地点における青信号で再発進する状況を示している。仮に先の実施形態におけるエコドライブ支援装置が設けられている車両であるとすると、車両の運転プロフィールとしては、例えば図16(C)に示すようなものとなる。
【0081】
ところで、信号が変わるタイミング情報を取得することができ、このような情報に基づいてエコドライブ支援を行うことが可能であれば、P地点からQ地点での加速を抑制しておき、Q地点で再加速するような運転の仕方(図17(A)に示すような運転の仕方。そのときの車両の運転プロフィールとしては、例えば図17(B)に示すもの)を行うことが可能である。図17に示す運転方法においては、P地点からQ地点までの区間の加速では、その瞬間におけるエコドライブとしてベストではないものの、Q地点で停止することがないので、トータルの燃費がよくなるものと期待することができる。
【0082】
次に、以上のような考え方に基づくエコドライブ支援のためのアルゴリズムについて説明する。本実施形態においても、エコドライブ支援装置のメイン処理については図6に示すフローチャートが用いられる。ただ、本実施形態は先の実施形態と、ステップS102で実行される判定条件選択処理のサブルーチンが異なる。そこで、以下に判定条件選択処理のサブルーチンについて詳しく説明するが、先の判定条件選択処理との相違を現すために、本実施形態の判定条件選択処理は、「判定条件選択処理(信号依拠)」と称することとする。図18は本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(信号依拠)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0083】
図18において、ステップS300で、判定条件選択処理(信号依拠)が開始されると続いて、ステップS301に進み、周辺交通状況情報取得部700から信号情報(信号の位置情報、現在の信号が示している状態、信号が変わるタイミングなど。)を取得する。図19は周辺交通状況情報取得部700で取得される信号情報の概念図である。
【0084】
続くステップS302では、周辺交通状況情報取得部700から得られた信号情報に基づいて、車両10の所定距離内前方に信号があるか否かが判定される。ステップS302における判定結果がYESであるときにはステップS302に進み、NOであるときにはステップS310に進み、判定条件選択処理(図7)のサブルーチンで処理を行うようにする。
【0085】
ステップS303では、車両10と通過予定の信号との間の距離Lsを取得する。このような情報は、周辺交通状況情報取得部700又はナビゲーション部800のいずれかから取得する。ステップS304においては、周辺交通状況情報取得部700によって得られた信号情報と距離Lsから信号で停止する確率を算出する。
【0086】
ステップS305では、算出された確率が所定値以下であるか否かが判定され、また、ステップS306では、算出された確率が所定値以上であるか否かが判定される。
【0087】
ステップS305における判定の結果がYESであるときには、通過予定の信号で停止することがないものと予想されるので、通常走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS309に進み、最適使用領域として(B)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0088】
ステップS306における判定結果がYESであるときには、通過予定の信号で停止することが予想されるので、このときは低速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS308に進み、最適使用領域として(C)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0089】
また、ステップS306における判定結果がNOであるときには、可能であれば信号を確実に通過することが望ましいので、このときは高速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS307に進み、最適使用領域として(A)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0090】
以上のように本実施形態は、将来の信号状態の変化までの状況を考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。すなわち、本実施形態によれば、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報、さらに周辺交通状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。
【0091】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るエコドライブ支援装置では、、車両10の周辺の渋滞具合(車両10の周辺の混雑度の高低)を考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。本実施形態においては、図14及び15に示すエコドライブ支援装置が用いられる。本実施形態におけるエコドライブ支援装置が提示する運転操作アシスト情報のイメージについて説明する。図20は車両周辺の渋滞状況情報を得ることなくエコドライブ支援を行う場合を説明する図であり、図21は車両周辺の渋滞状況情報に基づいてエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。図20、図21の(A)→(E)は時間経過を示しており、白い車両を自車両として、この車両のエコドライブについてみている。また、点線で囲まれた車両が渋滞の原因となっている車両である。
【0092】
例えば渋滞の原因車両が存在すると、その車両に後続する車両は、その原因車両に依存したスピードで走行せざるをえない。にもかかわらず、渋滞状況情報を考慮せず、前方車両と後方車両の状況のみに応じた図7に示す判定条件選択処理に基づく走行を行うと、図20に示すような後方車両に追い立てられるような走行となり、結局は原因車両によって走行を止められてしまうこととなる。この場合、停止や再発進などを繰り返すこととなり、燃費が悪い走行を行ってしまうことになりかねない。これに対して、仮に渋滞状況情報を得ることができ、原因車両の状況などがわかっていれば、図21に示すように、この原因車両のスピードに合わせつつ走行することで、停止や再発進などを繰り返すことなく燃費が良い走行を行い得る。
【0093】
以上のような考え方に基づくエコドライブ支援のためのアルゴリズムについて説明する。本実施形態においても、エコドライブ支援装置のメイン処理については図6に示すフローチャートが用いられる。ただ、本実施形態は先の実施形態と、ステップS102で実行される判定条件選択処理のサブルーチンが異なる。そこで、以下に判定条件選択処理のサブルーチンについて詳しく説明するが、先の判定条件選択処理との相違を現すために、本実施形態の判定条件選択処理は、「判定条件選択処理(混雑度依拠)」と称することとする。図22は本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(混雑度依拠)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0094】
図22において、ステップS400で、判定条件選択処理(混雑度依拠)が開始されると続いて、ステップS401に進み、周辺交通状況情報取得部700から、車両10の周
辺を走行する他車両の走行情報を取得する。
【0095】
ステップS402では、車両10周辺する他車両の密度である混雑度を求め、この混雑度が所定の混雑度以上であるか否かを判定する。ステップS402における判定結果がYESであるときにはステップS403に進み、NOであるときにはステップS409に進み、判定条件選択処理(図7)のサブルーチンで処理を行うようにする。
【0096】
ステップS403では、周辺交通状況情報取得部700で取得された情報に基づいて、車両10の前方を走向する所定の車両群の平均速度を算出する。ステップS404では、ステップS403で求められた車両群平均速度が所定値以上であるか否かが判定され、ステップS405では、ステップS403で求められた車両群平均速度が所定値以下であるか否かが判定される。
【0097】
ステップS404における判定結果がYESであるときには、混雑度は高いが車両群の移動は比較的速い場合であるので、このときは高速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS408に進み、最適使用領域として(A)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0098】
ステップS405における判定結果がYESであるときには、混雑度は高く、車両群の移動が比較的遅い場合であるので、このときは低速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS407に進み、最適使用領域として(C)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0099】
ステップS405における判定結果がNOであるときには、混雑度は高いが、平均的な走行が可能なものと予想される場合であるので、このときは通常走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS407に進み、最適使用領域として(B)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0100】
以上のように本実施形態は、前方車両、後方車両以外の周辺車両の走行状況を考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。すなわち、本実施形態によれば、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。
【0101】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るエコドライブ支援装置では、車両10の登坂を行っているか坂を下っているかを考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。本実施形態においては、図14及び15に示すエコドライブ支援装置が用いられる。本実施形態におけるエコドライブ支援装置が提示する運転操作アシスト情報のイメージについて説明する。
【0102】
図23は車両が走行する道路の傾斜を考慮せずにエコドライブ支援を行う場合を説明する図であり、図24及び図25は車両が走行する道路の傾斜に基づいてエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。図24は車両が登坂する場合の例であり、図25は車両が坂を下る場合の例である。図23乃至図25の(A)→(C)は時間経過を示している。
【0103】
図23に示すように、図7に示す判定条件選択処理に基づく走行を行うと、結局登坂に時間がかかってしまい、トータルとしての燃費がよくないということがある。これに対して、図24に示すように高出力・短時間で登坂してしまった方が、トータルとしての燃費
がよいということがある。また、同様に、坂道を下るような場合には、エンジンからの出力は抑え、重力のエネルギーで下るようにした方が、トータルとしての燃費がよいということがある。本実施形態では、このような上り坂や下り坂における車両10の走行として、どのような走行がエコドライブサインを行う上で好ましいものであるかを反映したエコドライブ支援装置となっている。
【0104】
以上のような考え方に基づくエコドライブ支援のためのアルゴリズムについて説明する。本実施形態においても、エコドライブ支援装置のメイン処理については図6に示すフローチャートが用いられる。ただ、本実施形態は先の実施形態と、ステップS102で実行される判定条件選択処理のサブルーチンが異なる。そこで、以下に判定条件選択処理のサブルーチンについて詳しく説明するが、先の判定条件選択処理との相違を現すために、本実施形態の判定条件選択処理は、「判定条件選択処理(傾斜角依拠)」と称することとする。図26は本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(傾斜角依拠)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。なお、図27は車両10の傾斜角θの定義を説明する図である。
【0105】
図26において、ステップS500で、判定条件選択処理(傾斜角依拠)が開始されると続いて、ステップS501に進み、走行情報取得部200の傾斜角センサ240から車両10の傾斜角θに係る情報を取得する。
【0106】
ステップS502では、車両10の傾斜角θが、正負の領域で所定の傾斜角以上であるか否かが判定される。ステップS502における判定結果がYESであるときにはステップS503に進み、NOであるときにはステップS508に進み、判定条件選択処理(図7)のサブルーチンで処理を行うようにする。
【0107】
ステップS503では、傾斜角が正であるか否かが判定される。ステップS503における判定結果がYESであるときには、登坂のために高出力走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS505に進み、最適使用領域として(A)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0108】
一方、ステップS503における判定結果がNOであるときには、下り坂であるので低出力走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS504に進み、最適使用領域として(C)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0109】
以上のように本実施形態は、走行路の傾斜状況を考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。すなわち、本実施形態によれば、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報、さらに車両が走行する地形情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。
【0110】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るエコドライブ支援装置では、これまで説明した実施形態の全てを総合的に考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。本実施形態においては、図14及び15に示すエコドライブ支援装置が用いられる。
【0111】
本実施形態においても、エコドライブ支援装置のメイン処理については図6に示すフローチャートが用いられる。ただ、本実施形態は先の実施形態と、ステップS102で実行される判定条件選択処理のサブルーチンが異なる。そこで、以下に判定条件選択処理のサ
ブルーチンについて詳しく説明するが、先の判定条件選択処理との相違を現すために、本実施形態の判定条件選択処理は、「判定条件選択処理(総合)」と称することとする。図28乃至図30は本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(総合)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0112】
図28において、ステップS600で、判定条件選択処理(総合)が開始されると続いて、ステップS601に進み、周辺交通状況情報取得部700から、車両10の周辺を走行する他車両の走行情報を取得する。
【0113】
ステップS602では、車両10周辺する他車両の密度である混雑度を求め、この混雑度が所定の混雑度以上であるか否かを判定する。ステップS602における判定結果がYESであるときにはステップS603に進み、NOであるときにはステップS613に進む。
【0114】
ステップS603では、周辺交通状況情報取得部700で取得された情報に基づいて、車両10の前方を走向する所定の車両群の平均速度Vgを算出する。
【0115】
ステップS604では、周辺交通状況情報取得部700から信号情報(信号の位置情報、現在の信号が示している状態、信号が変わるタイミングなど。)を取得する。図19は周辺交通状況情報取得部700で取得される信号情報の概念図である。
【0116】
続くステップS605では、周辺交通状況情報取得部700から得られた信号情報に基づいて、車両10の所定距離内前方に信号があるか否かが判定される。ステップS605における判定結果がYESであるときにはステップS606に進み、NOであるときには図29に示されるフローチャートに進む。
【0117】
ステップS606では、車両10と通過予定の信号との間の距離Lsを取得する。このような情報は、周辺交通状況情報取得部700又はナビゲーション部800のいずれかから取得する。
【0118】
ステップS607においては、信号到達時間Tsなる値を、距離Ls/平均速度Vgを計算することによって算出する。
【0119】
ステップS608では、(信号到達時間Ts)−(赤色点灯時間Tc)>0であるか否かが判定される。ここで、「赤色点灯時間Tc」とは、信号が赤に変わるまでの時間であり、周辺交通状況情報取得部700から得られる信号情報に含まれる情報である。
【0120】
また、ステップS609では、(信号到達時間Ts)−(赤色点灯時間Tc)>Toであるか否かが判定される。「To」は、境界値として用いられる所定時間である。
【0121】
ステップS608における判定結果がNOであるときには、前方の信号は通過できないものと予想されるので低速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS612に進み、最適使用領域として(C)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0122】
また、テップS609における判定結果がNOであるときには、通過予定の信号を確実に通過するために高速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS611に進み、最適使用領域として(A)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0123】
一方、テップS609における判定結果がYESであるときには、前方の信号は余裕をもって通過可能と予想されるので、通常走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS610に進み、最適使用領域として(B)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0124】
さて、ステップS602で、車両10周辺する他車両の密度である混雑度を求め、この混雑度が所定の混雑度以上であるか否かが判定され、このときの判定結果がNOであるときにはステップS613に進むが、次のステップS613では、周辺交通状況情報取得部700から信号情報(信号の位置情報、現在の信号が示している状態、信号が変わるタイミングなど。)を取得する。
【0125】
続くステップS614では、周辺交通状況情報取得部700から得られた信号情報に基づいて、車両10の所定距離内前方に信号があるか否かが判定される。ステップS614における判定結果がYESであるときには図29に示されるフローチャートに進み、NOであるときには図30に示されるフローチャートに進む。
【0126】
次に、図29のフローチャートについて説明する。ステップS701では、車両10と通過予定の信号との間の距離Lsを取得する。このような情報は、周辺交通状況情報取得部700又はナビゲーション部800のいずれかから取得する。ステップS702においては、周辺交通状況情報取得部700によって得られた信号情報と距離Lsから信号で停止する確率を算出する。
【0127】
ステップS703では、算出された確率が所定値以下であるか否かが判定され、また、ステップS704では、算出された確率が所定値以上であるか否かが判定される。
【0128】
ステップS703における判定の結果がYESであるときには、通過予定の信号で停止することがないものと予想されるので、通常走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS610に進み、最適使用領域として(B)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0129】
ステップS704における判定結果がYESであるときには、通過予定の信号で停止することが予想されるので、このときは低速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS612に進み、最適使用領域として(C)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0130】
また、ステップS704における判定結果がNOであるときには、可能であれば信号を確実に通過することが望ましいので、このときは高速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップSS611に進み、最適使用領域として(A)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0131】
次に、図30のフローチャートについて説明する。ステップS801では、走行情報取得部200の傾斜角センサ240から車両10の傾斜角θに係る情報を取得する。
【0132】
ステップS802では、車両10の傾斜角θが、正負の領域で所定の傾斜角以上であるか否かが判定される。ステップS802における判定結果がYESであるときにはステップS803に進み、NOであるときにはステップS804に進み、判定条件選択処理(図7)のサブルーチンで処理を行うようにする。
【0133】
ステップS803では、傾斜角が正であるか否かが判定される。ステップS803における判定結果がYESであるときには、登坂のために高出力走行を推奨するエコドライブ
サイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS611に進み、最適使用領域として(A)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0134】
一方、ステップS803における判定結果がNOであるときには、下り坂であるので低出力走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS612に進み、最適使用領域として(C)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0135】
以上のように本実施形態は、将来の信号状態の変化、前後車両以外の周辺車両の走行状況、走行路の傾斜状況を考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。すなわち、本実施形態によれば、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報、さらに周辺交通状況情報、車両の周辺状況情報、車両が走行する地形情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0136】
10・・・車両、32・・・ステアリング、54・・・アクセルペダル、100・・・ECU、200・・・走行情報取得部、210・・・車速センサ、220・・・エンジン回転数センサ、230・・・エンジントルクセンサ、240・・・傾斜角センサ、400・・・車両周辺情報取得部、410・・・ミリ波レーダー、420・・・カメラ、500・・・運転操作部、510・・・アクセルセンサ、540・・・アクセル反力制御部、560・・・ステアリング振動制御部、600・・・インターフェイス部、610・・・ディスプレイ、630・・・スピーカ、700・・・周辺交通状況情報取得部、710・・・通信部、800・・・ナビゲーション部、810・・・ナビゲーションシステム、820・・・地図データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、車両のエンジンなどの動力源の燃費向上に関し、運転者に対して運転操作に係るアシストを行うエコドライブ支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでの行き過ぎた化石燃料などのエネルギーの消費や、これに伴う環境の悪化に対する配慮から、近年においては世界規模で、車両が消費するエネルギーを最小化させ、なるべく環境に対する負荷をへらす、という趨勢にある。このような趨勢を受け、車両における燃費向上に対する取り組みが種々行われている。
【0003】
ところで、車両におけるエンジンなど動力源の燃費(或いは、車両が電気自動車やハイブリッド車の場合にはエネルギー消費効率。ただし、本明細書では、いかなる動力源の場合でも「燃費」の語に統一する)は、運転者による運転操作によって左右されるものであるので、前記のような取り組みの一つしては、燃費を向上させる運転操作を行なうように運転者にアドバイスする装置についての研究がある。
【0004】
このようなものの一例として、例えば、特許文献1(特開2003−220851号公報)には、エコノミー変速モードが選択された際に、運転者による運転操作が燃費向上に適したものであるか否かを判定し、これに応じてエコランプの点灯/消灯を切替える運転状態表示装置が開示されている。また、特許文献2(特開2008−105559号公報)には、燃費効率に適した操作領域を外れないように、運転者を誘導する情報の表示が可能なアクセル開度表示装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−220851号公報
【特許文献2】特開2008−105559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2記載のいずれの表示装置も、自車両が単独で道路上を走行している場合には燃費的観点からは最適な運転操作を促すことができるものであるものの、自車両周辺において他車両が多数走行している場合においては、周囲における他車両の走行状況などを加味した上で、最適な運転操作をアシストする表示を行うことができない、という問題があった。
【0006】
すなわち、従来技術では、運転者が表示装置による運転操作アシスト情報のみにとらわれ、それに沿うような走行を行っていると、自車両周辺の周辺環境に配慮した安全走行ができない可能性がある。例えば、燃費的側面からは最適な運転操作では、渋滞の原因となってしまうような場合においても、従来の表示装置は燃費的側面から最適な運転操作アシスト情報を表示するだけであるので、運転者が表示装置による運転操作アシスト情報のみに従って車両を運転すると、結果として、周囲状況にそぐわないような運転操作を行うこととなってしまう。このように従来の表示装置では、車両周辺状況に応じて、それを加味した運転操作アシスト情報の提示を行うことができない、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、車両に搭載され前記車両の動力源の燃費向上に関して運転者に対し運転操作のアシストを行うエコドライブ支援装置であって、前記車両の動力源の使用状況を示すパラメータと、前記車両の傾斜角を取得する走行情報取得部と、前記走行情報取得部で取得されたパラメータに基づいて前記動力源の使
用ポイントを算出する使用ポイント算出手段と、前記動力源の燃費効率が良好な最適使用領域と、前記最適使用領域を含み前記最適使用領域より広い許容使用領域とを記憶する使用領域記憶手段と、前記車両の周辺状況情報を取得する車両周辺情報取得部と、前記車両の周辺の交通状況を取得する周辺交通状況取得部と、前記車両周辺情報取得部で取得された前記車両の周辺状況情報と、前記周辺交通状況取得部で取得された前記車両の周辺の交通状況と、前記走行情報取得部で取得された前記車両の傾斜角と、に応じて前記使用領域記憶手段に記憶される最適使用領域又は許容使用領域のいずれかを選択する使用領域選択手段と、前記使用ポイント算出手段で算出された使用ポイントが、前記使用領域選択手段で選択された使用領域に含まれているかを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段による判定に応じた表示を変更する表示部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のエコドライブ支援装置において、前記周辺交通状況取得部は、前記車両が通過する予定の信号に係る情報を取得することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載のエコドライブ支援装置において、前記周辺交通状況取得部は、前記車両周辺を走行する他車両に係る情報を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1乃至3に係るエコドライブ支援装置は、将来の信号状態の変化、前後車両以外の周辺車両の走行状況、走行路の傾斜状況を考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。すなわち、本実施形態によれば、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報、さらに周辺交通状況情報、車両の周辺状況情報、車両が走行する地形情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置が搭載される車両の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置のブロック構成の概略を示す図である。
【図3】車両が停止状態から所定速度に燃費よく到達することが可能な運転方法を説明する図である。
【図4】車両が停止状態から所定速度に到達するまでにおける種々の周辺状況を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置が燃費がよいと判定する運転方法を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置のエコドライブ支援処理・動作のフローチャートを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図8】自車両と他車両に関連する周囲状況の判定のために用いられるパラメータを説明する図である。
【図9】自車両と他車両に関連する周囲状況の判定のために用いられるパラメータを説明する図である。
【図10】車両に搭載されるエンジンのエンジン回転数とエンジントルクとの関係を示すグラフである。
【図11】車両に搭載されるエンジンのエンジン回転数とエンジントルクとの関係を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置におけるディスプレイ610におけるエコドライブサイン表示例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置におけるディスプレイ610におけるエコドライブサイン表示例を示す図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置が搭載される車両の概略を示す図である。
【図15】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置のブロック構成の概略を示す図である。
【図16】信号が変わるタイミング情報を得ることなくエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【図17】信号が変わるタイミング情報に基づいてエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【図18】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(信号依拠)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図19】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における辺交通状況情報取得部700で取得される信号情報の概念図である。
【図20】車両周辺の渋滞状況情報を得ることなくエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【図21】車両周辺の渋滞状況情報に基づいてエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【図22】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(混雑度依拠)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図23】車両が走行する道路の傾斜を考慮せずにエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【図24】車両が走行する道路の傾斜に基づいてエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【図25】車両が走行する道路の傾斜に基づいてエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【図26】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(傾斜角依拠)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図27】車両の傾斜角の定義を説明する図である。
【図28】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(総合)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図29】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(総合)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図30】本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(総合)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置が搭載される車両の概略を示す図であり、図2は本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置のブロック構成の概略を示す図である。なお、本実施形態のエコドライブ支援装置は、自動車、ハイブリッド車、電気自動車などの車両に搭載されることを想定しているが、その他の移動手段に搭載することも可能である。そのとき、モーターなどの動力源、モーターとエンジンを組み合わせた動力源などのエネルギー消費効率などを、本明細書では総称して、「燃費」という言葉を用いることとする。
【0013】
図1及び図2において、10は車両、32はステアリング、54はアクセルペダル、100はECU、200は走行情報取得部、210は車速センサ、220はエンジン回転数センサ、230はエンジントルクセンサ、400は車両周辺情報取得部、410はミリ波
レーダー、420はカメラ、500は運転操作部、510はアクセルセンサ、540はアクセル反力制御部、560はステアリング振動制御部、600はインターフェイス部、610はディスプレイ、630はスピーカ、をそれぞれ示している。
【0014】
車両10は、本発明のエコドライブ支援装置が搭載されたものであり、通常のガソリンを燃料としエンジンを動力源として走行する車両を例にとり説明するが、上述したように本発明のエコドライブ支援装置が搭載される車両の種類はこれに限定されるものではない。
【0015】
ECU100はエレクトロニックコントロールユニットの略であり、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である。ECU100は、図示されているECU100と接続される各構成と協働・動作する。また、ECU100は、本発明のエコドライブ支援装置における種々の制御処理は、ECU100内のROMなどの記憶手段に記憶保持されるプログラムやデータに基づいて実行されるものである。なお、特許請求の範囲に記載された「使用ポイント算出手段」、「使用領域選択手段」、「第1判定手段」、「乖離算出手段」、「第2判定手段」は、このECU100の動作を上位概念的に表現したものである。なお、本実施形態においては、上記の各手段はECU100とECU100上で実行されるプログラムによって実現されるものとしているが、これらの各手段はこれに限定されるものではなく、論理回路などのハードウエアのみで実現されるようなものであってもよい。また、特許請求の範囲に記載された「使用領域記憶手段」などは、前記のROMなどの電子データを記憶する記憶媒体の構成を表現したものである。そして、その概念は車両の動力源の燃費効率を表す燃費曲線(後述する図10)が記憶するだけのものであるが、動力源の燃費効率を設計から決まる所定の演算式で求める燃費曲線も含めた場合には「使用領域取得手段」と定義しておく。本実施の形態では使用領域記憶手段を用いて説明していくが、使用領域を取得手段に置き換えることは可能である。この場合、所定の演算式で燃費を演算すると置き換えることになる。
【0016】
走行情報取得部200は、車両10の実走行に関連する情報などを取得する構成であり、少なくとも車速センサ210が設けられており、車両10の速度(自車両速度)のセンシングを行うようになっている。なお、走行情報取得部200として、ジャイロなどのその他のセンサ類を設けるようにしてもよい。また、エンジン回転数センサ220は、不図示の車両10に搭載されるエンジンからエンジンの回転数を検出するセンサであり、エンジントルクセンサ230は、前記エンジンが出力しているトルクを検出するセンサである。本実施形態においては、上記エンジン回転数センサ220と上記エンジントルクセンサ230によって得られるエンジン回転数とエンジントルクの関係から、エンジンを効率よく運転できる使用領域(図10参照)に基づいて、運転操作が燃費消費の上で適当か不適当かを判定するようにしている。なお、このような判定に、さらに、アクセル開度の急変を検知したときにはアクセル開度の絶対値に拘らず運転操作が燃費消費の上で不適当であるなどと判定してもよい。
【0017】
車両周辺情報取得部400は、車両10周辺の車外の情報などを取得する構成であり、本実施形態では、車両10の前方側及び後方側にミリ波レーダー410とカメラ420とを有している。ミリ波レーダー410は、車両10の前方を走行する車両や障害物との間の距離を計測するものである。ここで計測された前方車両、後方車両との車間距離は、ECU100に入力される。また、計測された車間距離と、車速センサ210で取得される自車両の速度情報とから、ECU100は、自車両の前方、後方を走行する車両の速度から自車両の速度を差し引いた相対速度の算出を行ったりする。また、特許請求の範囲に記載された「車両周辺情報取得手段」は、ミリ波レーダー410などの構成を上位概念で表現したものである。
【0018】
また、カメラ420は前方を走行する車両や障害物や路面に係る画像を取得する。取得された画像データはECU100に送信され、ECU100で画像解析されることによって、例えば前方車両と間の距離情報を得たり、或いは路面の状態を判断することによって路面の摩擦係数を得たりする。求められた摩擦係数は、制動距離を算出したり、空走距離を算出したりする上で利用される。
【0019】
運転操作部500は、車両10の運転に関連する構成であり、本発明のエコドライブ支援装置においては、例えばアクセルセンサ510、アクセル反力制御部540、ブレーキアシスト制御部550の各構成からなっている。
【0020】
アクセルセンサ510はアクセルペダル54の踏み込み量(角度)を検出するものであり、ブレーキセンサ520はブレーキペダル55の踏み込み量(角度)を検出するものである。特にアクセルセンサ510は車両の加減速を操作することになるため、運転操作を検出する「運転操作検出手段」と定義する。なお、本実施例ではアクセルセンサ510で説明を行っていくが、アクセルセンサ510に代わるものとして、内燃機関の燃焼室に供給される吸入空気量を調節するスロットルバルブ(不図示)や、ハイブリッド自動車の電動機を制御するための信号である制御信号も利用しても良く、これらを権利範囲から除外するものではない。
【0021】
アクセル反力制御部540は、運転者によるアクセルペダル54の踏み込みに抗する力(図1の矢印A)をアクチュエータ(不図示)などにより発生させて、アクセルペダル54にこの力をアクセル反力として伝える制御部である。このようなアクセル反力制御部540は、過度な燃料消費を防止するためにECU100によって動作指示がなされる。このようなアクセル反力制御部540によって、運転者は反力をアクセルペダル54から感じて、自らの運転が燃費向上運転操作から著しく外れていることを誘導される。特許請求の範囲に記載された「運転操作誘導手段」は、このアクセル反力制御部540などの構成を上位概念で表現したものである。
【0022】
また、このようなアクセル反力制御部540によって発生される反力は、運転者によるアクセルペダル54の踏み込みを押し戻し、車両10のさらなる急な加速を回避させる。
【0023】
ステアリング振動制御部560は、車両10の運転者が操作するステアリング32に搭載されて、運転者の手のひらに振動を与える制御を行うものであって、このようなステアリング振動制御部560が動作することによって、運転者に所定の運転操作の誘導を行うことが可能となる。特許請求の範囲に記載された「運転操作誘導手段」は、このステアリング振動制御部560などの構成を上位概念で表現したものである。
【0024】
インターフェイス部600は、車両10の運転席部に設けられ、運転者に対し車両10に係る情報などを提供する構成である。インターフェイス部600におけるディスプレイ610は液晶などの表示装置であり、このディスプレイ610に文字・図形情報等を表示することによって、運転者に対して視覚的に所定の情報を報知することを可能とする。このようなディスプレイ610によって、車両10の運転者はエコドライブ支援装置から、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を受けることができる。例えば、ディスプレイ610によって、エコドライブを行っている旨のサインなどの表示を確認することができる。このようなエコドライブサインの表示方法については種々の形態が考えられるが、ディスプレイ610において、運転者にエコドライブサインなどの運転操作アシスト情報を具体的に表示する方法については後に詳しく説明する。特許請求の範囲に記載された「表示変更手段」は、このようなディスプレイ610などの構成を上位概念で表現したものである。
【0025】
また、インターフェイス部600は、スピーカ630も含んでおり、必要に応じて運転者に対して、音声による案内や警告を行い得るようになっている。インターフェイス部600のディスプレイ610及びスピーカ630は、運転操作が燃費向上運転操作から著しく乖離しているような場合の運転者に対する提示手段として機能するものである。特許請求の範囲に記載された「提示手段」は、このようなディスプレイ610、スピーカ630などの構成を上位概念で表現したものである。なお、「運転操作誘導手段」および「提示手段」を包括する概念として、運転者に報知するという概念を「報知手段」と定義する。
【0026】
次に、本発明のエコドライブ支援装置が提示する周辺状況に応じた運転操作アシスト情報のイメージについて説明する。本実施形態に係るエコドライブ支援装置が搭載された車両が、例えば停止状態から60km/hに加速するときの状況を想定する。図3は車両が停止状態から所定速度(60km/h)に燃費よく到達することが可能な運転方法を説明する図である。図3において、斜線で示される領域が、車両を燃費よく運転することができる加速(運転操作)を示しており、例えば、従来の装置においても、このような運転操作がなされたときに、エコドライブを行っている旨のエコドライブサインなどを表示して、運転者への報知を行っていた。
【0027】
しかしながら、車両の周辺状況によっては、燃費の観点のみから運転操作をすることができないことがある。図4は車両が停止状態から所定速度(60km/h)に到達するまでにおける種々の周辺状況を説明する図である。図4(A)は、自車両と前方車両との間の車間距離に余裕があり、自車両と後方車両との間の車間距離に余裕がない場合の周辺状況を示している。また、図4(B)は、自車両と前方車両との間の車間距離、自車両と後方車両との間の車間距離の両方に所定の余裕がある場合の周辺状況を示している。また、図4(C)は、自車両と前方車両との間の車間距離に余裕がなく、自車両と後方車両との間の車間距離に余裕がある場合の周辺状況を示している。このように車両が停止状態から所定速度(60km/h)に加速するまでの間には、上記のような種々の周辺状況があり得る。
【0028】
図5は本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置が燃費がよいと判定する運転方法を説明する図である。図5(A)(B)および(C)は、縦軸を速度、横軸を時間にして動力源の設計によって決まる燃費曲線に基づいて燃費が良い領域を時間に対する速度で表したグラフを示している。図5(A)(B)および(C)に記載される第一の運転領域である燃費が良い運転方法は、後述する図10(B)の車両エンジン本来の特性に基づく判定用グラフのエンジンを効率よく運転できる最適使用領域に記載される動力源の設計によって決まる燃費曲線に基づいて速度と時間を使って表現したものである。図5(A)に記載される第二の運転領域である周囲状況によって許容する運転方法は、第一の運転領域である燃費が良い運転方法に比べて燃費が悪いが、第一の運転領域である燃費が良い運転方法に比べて時間に対して車速を高くすることができる。これは後述する図10(A)の車両エンジンの高出力側での使用を許容する際の判定グラフ中の周囲状況によって供する許容使用領域によって決まる燃費曲線に基づいて速度と時間を使って表現したものである。図5(C)に記載される第三の運転領域である周囲状況によって許容される運転方法は、第三の運転領域である燃費が良い運転方法に比べて燃費が悪いが、第二の運転領域である周囲状況によって許容する運転方法と同等の燃費となるようにされており、第一の運転領域である燃費が良い運転方法に比べて時間に対して車速を低くすることができる。これは後述する図10(C)の車両エンジンの低出力側での使用を許容する際の判定グラフ中の周囲状況によって供する許容使用領域によって決まる燃費曲線に基づいて速度と時間を使って表現したものである。図5(B)および図(C)の周囲状況によって許容する運転方法は、本実施例では同等の燃費となるように設計されているとしたが、これは図10(A)および(B)の燃費曲線に基づいているからであり、駆動原であるエンジンの設計に
よっては同等の燃費となるように設計せずに一方が他方に比べて優れるように設計してもあっても良い。図4の関係に基づいて図5の詳細を説明する。
【0029】
図5(A)は、図4(A)に示す周辺状況下で、エコドライブサインを表示させるための運転方法の基準を示している。図4(A)に示す場合では、前方車両との車間距離に余裕があり、後方車両との車間距離に余裕がない状況であるので、本実施形態に係るエコドライブ支援装置では、先の斜線の運転方法に加えて、斜線の運転方法(図5(A)の燃費がよい運転方法)より後方車両との安全な車間または速度差を確保できるように加速が大きい縦線(図5(A)の周囲状況によって許容する運転方法)によって示される運転方法で運転(加速)して図4(B)および図5(B)における車両前後の状況、すなわち、前方車両および前方車両に共に余裕がある場合であって、自車両の燃費がよい使用領域での車速に対して車速を高くしたとしても、エコドライブサインを表示するようにする。
【0030】
図5(B)は、図4(B)に示す周辺状況下で、エコドライブサインを表示させるための運転方法の基準を示している。図4(B)に示す場合では、前方車両、後方車両との車間距離に共に余裕がある状況であるので、前方車両および後方車両に関わらず自車両のエンジン本来の燃費がよい使用領域で運転を行って本来の燃費が良い加速を行って、それに応じた車速で走行することが可能となるはずである。このような場合には、本実施形態に係るエコドライブ支援装置では、先の斜線の運転方法(図5の燃費がよい運転方法)に示される運転方法で運転(加速)したときのみ、エコドライブサインを表示するようにする。
【0031】
図5(C)は、図4(C)に示す周辺状況下で、エコドライブサインを表示させるための運転方法の基準を示している。図4(C)に示す場合では、前方車両との車間距離に余裕がなく、後方車両との車間距離に余裕がある状況なので、本実施形態に係るエコドライブ支援装置では、先の斜線の運転方法に加えて、斜線の運転方法(図5(C)の燃費が良い運転方法)より加速が小さい縦線(図5(C)の周囲状況によって許容する運転方法)によって示される運転方法で運転(加速)して図4(C)および図5(C)における車両前後の状況、すなわち、前方車両との車間距離に余裕がなく後方車両との車間距離に余裕がある場合であって、自車両の燃費がよい使用領域での車速に対して車速を低くしたとしても、エコドライブサインを表示するようにする。
【0032】
以上においては、前方車両、後方車両などとの車間距離という、周辺環境情報に基づいて、燃費が良い運転方法に対する車速と周囲状況によって許容する運転方法に対する車速の上下限を設定してエコドライブサインを表示する基準を変更する例について説明したが、本発明のエコドライブ支援装置は、このような周辺環境情報に限定されることなく、他の周辺環境情報に応じて、エコドライブサインの表示基準を変更するようにすることもできる。
【0033】
次に、以上のように構成される本実施形態に係るエコドライブ支援装置の処理・動作について説明する。図6は本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置のエコドライブ支援処理・動作のフローチャートを示す図である。
【0034】
図6において、ステップS100で、エコドライブ支援装置のエコドライブ支援処理動作が開始されると、続いて、ステップS101に進み、エンジン回転数センサ220よりエンジン回転数値(R)を、また、エンジントルクセンサ230よりエンジントルク値(T)を取得する。続いて、ステップS102では、判定条件選択処理に係るサブルーチンが実行される。
【0035】
ここで、この判定条件選択処理サブルーチンについて説明する。本実施形態に係るエコ
ドライブ支援装置では、この判定条件選択処理サブルーチンによって、エコドライブサイン表示を行うか否かなどの判定するための判定条件を選択するものである。図7は本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0036】
図7において、ステップS200で、判定条件選択処理のサブルーチンが開始されると、続いてステップS201に進み、車両周辺情報取得部400におけるミリ波レーダー410やカメラ420などから前方車両及び後方車両に関する情報を取得する。
【0037】
ステップS202では、自車両の前方を走行する他車両である前方車両が存在するか否かが判定される。ステップS202における判定結果がYESであるときにはステップS203に進み、NOであるときにはステップS207に進む。
【0038】
ステップS202の判定がNOであるときに進むステップS207では、自車両後方を走行する他車両である後方車両が存在するか否かが判定される。ステップS207における判定結果がYESであるときにはステップS208に進み、NOであるときにはステップS206に進む。
【0039】
ステップS207の判定がNOであるときには、前方車両及び後方車両のいずれも存在しないこととなる。そこで、ステップS206で、最適使用領域として図10の(B)を選択し、これに基づいて判定を行い、エコドライブサインなどの表示を実行するようにする。
【0040】
ここで、車両10に搭載されるエンジンの最適使用領域と、最適使用領域を含み、最適使用領域より広い許容使用領域の概念について説明する。なお、このような最適使用領域と許容使用領域については、前記ROMなどの記憶手段に記憶され、ECU100が判定に用いるように構成されている。
【0041】
図10は車両に搭載されるエンジンのエンジン回転数とエンジントルクとの関係を示すグラフであり、図10(A)乃至図10(C)において、いずれのグラフにおいても点線で囲まれた範囲内が、車両10のエンジン本来の最適使用領域である。この最適使用領域内に、エンジンの使用ポイント(エンジン回転数,エンジントルク)が存在すれば、燃費がよい運転操作を行っていることとなり、最適使用領域内に、当該使用ポイントが存在しなければ、燃費がよい運転操作を行っていない、という判定を行うことができる。このような考え方は、従来技術においても存在していたものであるが、本発明のエコドライブ支援装置では、さらに車両10の周囲状況に応じては、最適使用領域を外れていても、燃費がよい運転操作を行っていると判定する使用領域(許容使用領域)を設定するものである。また、図10(A)乃至図10(C)におけるエンジンを効率よく運転できる最適使用領域および周囲状況によって許容する許容使用領域は、本発明のエコドライブ支援装置は燃費効率の基準、すなわち、周囲状況に応じた判定基準であり、最適使用領域および許容使用領域はそれぞれ使用領域記憶手段またはこの上位概念の使用領域取得手段によって変更される。なお、使用領域取得手段で変更する場合には所定の演算式で燃費を演算する場合も含むのでこの場合には、所定の演算式を変更することで演算することができるようになる。
【0042】
図10(A)の斜線部は、周囲状況によって高出力側の領域の使用を許可する場合の判定用の許容使用領域を示している。このような判定用許容使用領域は、例えば、自車両後方を走行する他車両である後方車両との車間距離が接近しているような場合で、高出力側のエンジン出力が必要であるとき、すなわち、動力源であるエンジン本来の特性よりも動力源から高出力な出力が必要である場合の判定に適用される。
【0043】
また、図10(B)の斜線部は、車両10エンジン本来の特性に基づく最適使用領域が判定用の使用領域となる例である。この判定用の使用領域は、車両10が周囲状況によって左右されない、いわばマイペースの運転操作を行うことができる状況下にある場合に適用される。
【0044】
また、図10(C)の斜線部は、周囲状況によって低出力側の領域の使用を許可する場合の判定用の許容使用領域を示している。このような判定用許容使用領域は、例えば、自車両前方を走行する他車両である前方車両との車間距離が接近しているような場合で、低出力側のエンジン出力が必要であるとき、すなわち、動力源であるエンジン本来の特性よりも動力源から低出力な出力が必要である場合の判定に適用される。
【0045】
このように本実施形態に係るエコドライブ支援装置によれば、周囲状況に応じて判定基準を変更する設定であるので、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。
【0046】
再び、図7のフローチャートに戻り説明を続ける。ステップS207における判定結果がYESであるときに進むステップS208では、後方車両のみが存在する状況であるので、自車両10の速度と後方車両との速度の関係を判定する。すなわち、本ステップでは、Vb>VかつVb−V>Voであるか否かが判定される。ここで、速度Vに関連する定義
について説明する。Vは自車両10の速度であり、Vbは後方車両の速度であり、また、
Voは所定の基準となる速度である。なお、本ステップにおける判定を図示したものが図
9(B)である。図9は自車両と他車両に関連する周囲状況の判定のために用いられるパラメータを説明する図である。ステップS208での判定が真であるとき、すなわち、Vb>VかつVb−V>Voであるときには、後方車両の速度が自車両10の速度より速く、
なおかつ、所定以上の速度差をもって後方車両が接近してくる状況であるので、高出力側でエンジンを使用しても、エコドライブを行っているものと判定を行うようにする。
【0047】
すなわち、ステップS208の判定がYESであるときには、ステップS211に進み、最適使用領域として図10の(A)を選択し、これに基づいてエコドライブの判定などを行うようにする。また、ステップS208での判定がNOであるときは、ステップ206に進み、最適使用領域として図10の(B)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0048】
ステップS203では、自車両の後方を走行する後方車両が存在するか否かが判定される。ステップS203における判定結果がYESであるときにはステップS204に進み、NOであるときにはステップS209に進む。
【0049】
ステップS209では、前方車両のみが存在する状況であるので、自車両10の速度と前方車両との速度の関係を判定するものである。本ステップでは、V>VfかつV−Vf>Voであるか否かが判定される。Vは自車両10の速度であり、Vfは前方車両の速度であり、また、Voは所定の基準となる速度である。
【0050】
なお、本ステップにおける判定を図示したものが図9(A)である。ステップS209での判定が真であるとき、すなわち、V>VfかつV−Vf>Voであるときには、自車両
10の速度が前方車両の速度より速く、なおかつ、所定以上の速度差をもって前方車両に接近していく状況であるので、低出力側でエンジンを使用しても、エコドライブを行っているものと判定を行うようにする。
【0051】
すなわち、ステップS209の判定がYESであるときには、ステップS206に進み
、最適使用領域として図10の(C)を選択し、これに基づいてエコドライブの判定などを行うようにする。また、ステップS209での判定がNOであるときは、ステップ206に進み、最適使用領域として図10の(B)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0052】
ステップS204においては、自車両10の前方を走行する車両、及び、後方を走行する車両の双方が存在する場合での判定である。このようなステップS204では、Xf>
XbかつXf−Xb>Xoであるか否かが判定される。ここで、距離Xに関連する定義について説明する。Xfは自車両10と前方車両の車間距離であり、Xbは自車両10と後方車両の車間距離であり、Xoは所定の基準となる距離である。
【0053】
なお、図8は自車両と他車両に関連する周囲状況の判定のために用いられるパラメータを説明する図であり、図8(A)は自車両10と後方車両との間の車間距離に余裕がなく、エンジンを高出力領域でも使用すべき状況を示しており、図8(B)は自車両10と前方車両、後方車両との間の車間距離に余裕があり、エンジン本来の高効率領域でも使用すべき状況を示しており、図8(C)は自車両10と前方車両との間の車間距離に余裕がなく、エンジンを低出力領域でも使用すべき状況を示している。
【0054】
ステップS204での判定が真であるとき、すなわち、Xf>XbかつXf−Xb>Xoで
あるときには、後方車両との車間距離が乏しく、なおかつ、前方車両との車間距離をも加味したとき、所定以上の距離差が存在する状況であるので、高出力側でエンジンを使用しても、エコドライブを行っているものと判定を行うようにする。
【0055】
すなわち、ステップS204の判定がYESであるときには、ステップS211に進み、最適使用領域として図10の(A)を選択し、これに基づいてエコドライブの判定などを行うようにする。また、ステップS204での判定がNOであるときは、ステップ205に進み、さらに判定を行う。
【0056】
ステップS205においては、Xf<XbかつXf−Xb<XPであるか否かが判定される
。ここで、距離Xに関連する定義について説明する。Xfは自車両10と前方車両の車間
距離であり、Xbは自車両10と後方車両の車間距離であり、XPは所定の基準となる距離である。
【0057】
ステップS205での判定が真であるとき、すなわち、Xf<XbかつXf−Xb<XPで
あるときには、
前方車両との車間距離が乏しく、なおかつ、後方車両との車間距離をも加味したとき、所定以下の距離差がしか存在しない状況であるので、低出力側でエンジンを使用しても、エコドライブを行っているものと判定を行うようにする。
【0058】
すなわち、ステップS204の判定がYESであるときには、ステップS210に進み、最適使用領域として図10の(C)を選択し、これに基づいてエコドライブの判定などを行うようにする。また、ステップS204での判定がNOであるときは、ステップ206に進み、最適使用領域として図10の(B)を選択し、これに基づいてエコドライブの判定などを行うようにする。ステップS212でメインルーチンの方にリターンする。
【0059】
以上のように、本実施形態に係るエコドライブ支援装置によれば、周囲状況に応じて判定基準を変更する設定であるので、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。なお、本実施形態においては、車間距離や自車両速度や相対速度などに基づいて各種の判定を行う例について示したが、これは車両の周辺状況情報を把握するための一つの例にすぎず、他の方法を用いるこ
とも可能である。
【0060】
再び、図6に示すメインルーチンに戻って説明する。上記のようなエコドライブ支援装置における判定条件選択処理のサブルーチンからリターンすると、次に、ステップS103において、エンジンの使用ポイントである(R,T)が、選択された最適使用領域に存在するか否かが判定される。
【0061】
ステップS103の判定がYESであるときにはステップS109で、本実施形態によるエコドライブサイン表示を実行する。より具体的には、ディスプレイ610において、図13(B)に示すような表示のエコドライブ表示部で、バーグラフで中間位置の表示を実行する。本実施形態では、バーグラフが「ECO」のところに、ちょうど到達しているときに、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した最適運転がなされているものと報知する。
【0062】
ここで、本実施形態に係るエコドライブ支援装置において、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うための、表示部について説明する。図12は本発明の実施の形態に係るエコドライブ支援装置におけるディスプレイ610におけるエコドライブサイン表示例を示す図である。図12に示すように、エコドライブサイン表示部においては、車速計が組み合わされた構成となっている。当該表示部において、上段(a)はバーグラフ式の速度表示部であり、中段(b)が数値式の速度表示部となっている。これらの速度表示部は、車速センサ210で取得された車速が表示される。
【0063】
また、図12において下段部(c)がエコドライブサインのための表示部である。本実施形態におけるエコドライブサイン表示部では、現在の運転操作が燃費的側面から理想的であるか否かのみならず、現在の運転操作が理想的な運転操作からどの程度乖離しているか(乖離の度合い)を示す(エコドライブのレベルを表示する)バーグラフ式のものとなっている。ここで、運転操作が燃費上理想的である場合にはバーグラフの表示が、「ECO」のところ(中立位置、図12の(d))に到達する。理想的な運転操作より低出力でエンジンを使用しているときには、その乖離に応じて中立位置から左側(図12の(d)の範囲)に外れた表示(図13(A)参照)となり、高出力でエンジンを使用しているときには、その乖離に応じて中立位置から右側(図12の(f)の範囲)に外れた表示(図13(C)参照)となる。本実施形態では、このような表示によって、車両運転者は自分がどの程度最適な運転操作から乖離しているかを簡便に目視確認することができる。なお、理想的な運転操作とは、図4(A)の周辺車両状況に対しては図5(A)で設定される第一の運転領域である燃費が良い運転方法および第二の運転方法である周囲状況によって許容する運転方法に基づく運転方法であり、図4(B)の周辺車両状況に対しては図5(B)で設定される第一の運転領域である燃費が良い運転方法に基づく運転方法であり、図4(C)の周辺車両状況に対しては図5(C)で設定される第一の運転領域である良い運転方法および第三の運転方法である周囲状況によって許容される運転方法に基づく運転方法である。
【0064】
再び、図6のフローチャートに戻って説明する。ステップS103の判定がNOであるときにはステップS104では、使用ポイント(R,T)と最適使用領域との間の距離を算出する。ここで、使用ポイント(R,T)と最適使用領域との間の距離の算出について、図11を用いて説明する。図11に示すように、ステップS104では、最適使用領域外に存在するP1やP2に示される使用ポイントと、最適使用領域との間の最短の距離a、bが求められるようになっている。このような求められた距離は、エンジンの最適使用からの乖離を示すものであり、この距離を参考情報として乖離の表示を行うようにする。
【0065】
続くステップS105では、エンジンの使用ポイントである(R,T)が領域Hに存在するか否かが判定される。ここで、図11を参照して、領域(H)と領域(L)について説明する。本実施形態では、図11に示すように、エンジン回転数対エンジントルクのグラフにおいて、高出力領域(領域(H))と低出力領域(領域(L))との2つの領域を便宜的に決めて、どちらに使用ポイントが存在するかによって、エンジンがどのような使われ方をしているかを決定する。なお、本実施形態においては、図11のような2つの領域に分けただけの場合を例にとり説明するが、本発明がこのような態様に限定されるものではない。
【0066】
ステップS105における判定結果がYESである場合にはステップS110に進み、ステップS104で算出した距離に応じたバーグラフ表示を実行する。ステップS104による表示によると、例えば図13(C)に示すようなものとなる。これは、所定の距離a乖離し、領域(H)に存在する使用ポイントP1などに対応する表示となる。
【0067】
一方、ステップS105における判定結果がNOである場合にはステップS107に進み、所定の定数から算出距離(ステップS104で算出したもの)を差し引いた差分に応じたバーグラフ表示を実行する。ステップS105による表示によると、例えば図13(A)に示すようなものとなる。これは、所定の距離b乖離し、領域(L)に存在する使用ポイントP1などに対応する表示となる。なお、所定定数からこの距離bを差し引いた差分に応じてバーグラフ(図12の(c))の右側から点灯させることによって図13(A)に示すような表示となる。
【0068】
以上に説明したように、本実施形態に係るエコドライブ支援装置によれば、燃費向上の観点に加えて、前方走行車両と後方走行車両の情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となるし、さらに、車両運転者は自分がどの程度最適な運転操作から乖離しているかを簡便に目視確認することができる。
【0069】
ステップS107では、(ステップS104で算出した距離)>(所定値)の関係が真であるか否かが判定され、判定結果がYESであればステップS111で、ステアリング振動制御部560、アクセル反力制御部540のいずれか一方、又は双方の動作を実行する。ステップS107の判定がYESであることは、エンジンの使用ポイントが最適使用領域から著しく外れていることを示している。そこで、ステップS111では、ステアリング振動制御部560、アクセル反力制御部540を動作させ、これによって、運転者が最適な運転操作から度を超して乖離した運転操作を行っている場合における適切に報知を行うことが可能となる。
【0070】
ステップS108では、エンジンがオフされた否かが判定され、このステップでYESと判定されると、ステップS112に進み、エコドライブ支援処理動作が終了される。
【0071】
本実施形態の変形例としては、図7のステップS202、S203、S207において自車両の前方または後方に存在する他の車両の存在の有無を評価し、ステップS208およびステップS209において自車と他の車両との速度差を評価して燃費効率の基準である周囲状況に応じた判定基準を変更するようにしているが、単純に他の車両の存在の有無で燃費効率の基準を変更しても良く、ステップS204およびステップS205のように自車両と他の車両との相対距離を評価して燃費効率の基準を変更しても良い。また、自車と他の車両との速度差および相対距離の両方を組み合わせたり、少なくとも一方を評価して燃費効率の基準を変更しても良い。これはステップS204およびステップ205の評価も同様に自車両と他の車両との相対距離を評価して燃費効率の基準を変更してもよい。さらに、本実施形態の変形例としては、XPは所定の基準となる距離、Xoは所定の基準となる距離およびVoは所定の基準となる速度を、例えば、ナビゲーション装置からの道路
情報、渋滞情報、天気情報や事故情報に基づいて変更しても良い。
【0072】
以上、本発明のエコドライブ支援装置によれば、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。
【0073】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。先の実施形態では、車両10の前方車両及び後方車両との関係を考慮した現時点の情報に基づいてエコドライブ支援を行うものであったが、本実施形態に係るエコドライブ支援装置では、ある程度の将来の状況を考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。図14は本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置が搭載される車両の概略を示す図であり、図15は本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置のブロック構成の概略を示す図である。図14及び図15において、先の実施形態と同じ参照符号が付されている構成については同様の構成を示しているので説明を省略する。
【0074】
本実施形態に係る走行情報取得部200には傾斜角センサ240が設けられており、この傾斜角センサ240によって車両10が登坂したり下ったりする坂道の傾斜角度を検知し、この傾斜角度検知情報に基づいてECU100がエコドライブ支援を行うようになっている。本実施形態では傾斜各センサ240を用いて坂道の傾斜角度を検知するとしているが、ナビゲーション情報に基づいてこれらの傾斜角度を演算してもよく、本実施形態の方法に限定されるものではない。
【0075】
また、周辺交通状況情報取得部700は、通信部710を有しており、この通信部710を介して、交通状況情報提供サーバーと通信することで、車両10の周辺の交通状況を取得することができるようになっている。周辺交通状況情報取得部700で取得される情報によって、車両10が通過する信号が変わるタイミング情報や、車両10の周辺の渋滞具合(車両10の周辺の混雑度の高低)情報などを得ることができ、ECU100はエコドライブ支援のための情報としてこれらの情報を活用する。交通状況情報提供サーバーとしては、例えば、本田技研工業などが提供するプローブサービスなどのサーバーを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0076】
ナビゲーションシステム部800は、ナビゲーションシステム810やこのナビゲーションシステム810が参照する地図情報などのナビゲーションシステム用の地図データベース820と、さらに本実施形態特有の休息情報データベース830とからなっている。ナビゲーションシステム810は、GPS衛星からのGPS信号を受信して自らの位置を計算するGPS測位部を用いることによって、車両の現在位置情報を取得することができる。本発明のエコドライブ支援装置においては、位置情報を取得することができれば、このようなGPS測位法によらずとも、その他の測位法を用いることができるものである。
【0077】
本発明のエコドライブ支援装置の地図データベース820には、道路情報、施設情報などが記憶されており、例えば、ナビゲーションシステム810が、運転者に対して、目的地となる施設の案内を行ったり、運転者が指定入力した目的地までの距離、ルートなどを求めたり、目的地に到着する時刻を求めたりするのに利用される。このようなナビゲーションシステム810、地図データベース820の処理動作についてはいずれも従来周知の技術を用いることができる。
【0078】
また、特に、本発明のエコドライブ支援装置の地図データベース820には、道路情報として信号情報(位置、信号が変わるタイミングなど)が記憶されており、このような信号情報がECU100においてエコドライブ支援を行うために用いられる。
【0079】
次に、他の実施形態におけるエコドライブ支援装置が提示する運転操作アシスト情報のイメージについて説明する。図16は信号が変わるタイミング情報を得ることなくエコドライブ支援を行う場合を説明する図であり、図17は信号が変わるタイミング情報に基づいてエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。
【0080】
図16(A)は車両がP地点における青信号で発進して、Q地点における赤信号で停止する状況を示しており、図16(B)はQ地点における青信号で再発進する状況を示している。仮に先の実施形態におけるエコドライブ支援装置が設けられている車両であるとすると、車両の運転プロフィールとしては、例えば図16(C)に示すようなものとなる。
【0081】
ところで、信号が変わるタイミング情報を取得することができ、このような情報に基づいてエコドライブ支援を行うことが可能であれば、P地点からQ地点での加速を抑制しておき、Q地点で再加速するような運転の仕方(図17(A)に示すような運転の仕方。そのときの車両の運転プロフィールとしては、例えば図17(B)に示すもの)を行うことが可能である。図17に示す運転方法においては、P地点からQ地点までの区間の加速では、その瞬間におけるエコドライブとしてベストではないものの、Q地点で停止することがないので、トータルの燃費がよくなるものと期待することができる。
【0082】
次に、以上のような考え方に基づくエコドライブ支援のためのアルゴリズムについて説明する。本実施形態においても、エコドライブ支援装置のメイン処理については図6に示すフローチャートが用いられる。ただ、本実施形態は先の実施形態と、ステップS102で実行される判定条件選択処理のサブルーチンが異なる。そこで、以下に判定条件選択処理のサブルーチンについて詳しく説明するが、先の判定条件選択処理との相違を現すために、本実施形態の判定条件選択処理は、「判定条件選択処理(信号依拠)」と称することとする。図18は本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(信号依拠)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0083】
図18において、ステップS300で、判定条件選択処理(信号依拠)が開始されると続いて、ステップS301に進み、周辺交通状況情報取得部700から信号情報(信号の位置情報、現在の信号が示している状態、信号が変わるタイミングなど。)を取得する。図19は周辺交通状況情報取得部700で取得される信号情報の概念図である。
【0084】
続くステップS302では、周辺交通状況情報取得部700から得られた信号情報に基づいて、車両10の所定距離内前方に信号があるか否かが判定される。ステップS302における判定結果がYESであるときにはステップS302に進み、NOであるときにはステップS310に進み、判定条件選択処理(図7)のサブルーチンで処理を行うようにする。
【0085】
ステップS303では、車両10と通過予定の信号との間の距離Lsを取得する。このような情報は、周辺交通状況情報取得部700又はナビゲーション部800のいずれかから取得する。ステップS304においては、周辺交通状況情報取得部700によって得られた信号情報と距離Lsから信号で停止する確率を算出する。
【0086】
ステップS305では、算出された確率が所定値以下であるか否かが判定され、また、ステップS306では、算出された確率が所定値以上であるか否かが判定される。
【0087】
ステップS305における判定の結果がYESであるときには、通過予定の信号で停止することがないものと予想されるので、通常走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS309に進み、最適使用領域として(B)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0088】
ステップS306における判定結果がYESであるときには、通過予定の信号で停止することが予想されるので、このときは低速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS308に進み、最適使用領域として(C)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0089】
また、ステップS306における判定結果がNOであるときには、可能であれば信号を確実に通過することが望ましいので、このときは高速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS307に進み、最適使用領域として(A)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0090】
以上のように本実施形態は、将来の信号状態の変化までの状況を考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。すなわち、本実施形態によれば、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報、さらに周辺交通状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。
【0091】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るエコドライブ支援装置では、、車両10の周辺の渋滞具合(車両10の周辺の混雑度の高低)を考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。本実施形態においては、図14及び15に示すエコドライブ支援装置が用いられる。本実施形態におけるエコドライブ支援装置が提示する運転操作アシスト情報のイメージについて説明する。図20は車両周辺の渋滞状況情報を得ることなくエコドライブ支援を行う場合を説明する図であり、図21は車両周辺の渋滞状況情報に基づいてエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。図20、図21の(A)→(E)は時間経過を示しており、白い車両を自車両として、この車両のエコドライブについてみている。また、点線で囲まれた車両が渋滞の原因となっている車両である。
【0092】
例えば渋滞の原因車両が存在すると、その車両に後続する車両は、その原因車両に依存したスピードで走行せざるをえない。にもかかわらず、渋滞状況情報を考慮せず、前方車両と後方車両の状況のみに応じた図7に示す判定条件選択処理に基づく走行を行うと、図20に示すような後方車両に追い立てられるような走行となり、結局は原因車両によって走行を止められてしまうこととなる。この場合、停止や再発進などを繰り返すこととなり、燃費が悪い走行を行ってしまうことになりかねない。これに対して、仮に渋滞状況情報を得ることができ、原因車両の状況などがわかっていれば、図21に示すように、この原因車両のスピードに合わせつつ走行することで、停止や再発進などを繰り返すことなく燃費が良い走行を行い得る。
【0093】
以上のような考え方に基づくエコドライブ支援のためのアルゴリズムについて説明する。本実施形態においても、エコドライブ支援装置のメイン処理については図6に示すフローチャートが用いられる。ただ、本実施形態は先の実施形態と、ステップS102で実行される判定条件選択処理のサブルーチンが異なる。そこで、以下に判定条件選択処理のサブルーチンについて詳しく説明するが、先の判定条件選択処理との相違を現すために、本実施形態の判定条件選択処理は、「判定条件選択処理(混雑度依拠)」と称することとする。図22は本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(混雑度依拠)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0094】
図22において、ステップS400で、判定条件選択処理(混雑度依拠)が開始されると続いて、ステップS401に進み、周辺交通状況情報取得部700から、車両10の周
辺を走行する他車両の走行情報を取得する。
【0095】
ステップS402では、車両10周辺する他車両の密度である混雑度を求め、この混雑度が所定の混雑度以上であるか否かを判定する。ステップS402における判定結果がYESであるときにはステップS403に進み、NOであるときにはステップS409に進み、判定条件選択処理(図7)のサブルーチンで処理を行うようにする。
【0096】
ステップS403では、周辺交通状況情報取得部700で取得された情報に基づいて、車両10の前方を走向する所定の車両群の平均速度を算出する。ステップS404では、ステップS403で求められた車両群平均速度が所定値以上であるか否かが判定され、ステップS405では、ステップS403で求められた車両群平均速度が所定値以下であるか否かが判定される。
【0097】
ステップS404における判定結果がYESであるときには、混雑度は高いが車両群の移動は比較的速い場合であるので、このときは高速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS408に進み、最適使用領域として(A)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0098】
ステップS405における判定結果がYESであるときには、混雑度は高く、車両群の移動が比較的遅い場合であるので、このときは低速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS407に進み、最適使用領域として(C)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0099】
ステップS405における判定結果がNOであるときには、混雑度は高いが、平均的な走行が可能なものと予想される場合であるので、このときは通常走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS407に進み、最適使用領域として(B)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0100】
以上のように本実施形態は、前方車両、後方車両以外の周辺車両の走行状況を考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。すなわち、本実施形態によれば、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。
【0101】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るエコドライブ支援装置では、車両10の登坂を行っているか坂を下っているかを考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。本実施形態においては、図14及び15に示すエコドライブ支援装置が用いられる。本実施形態におけるエコドライブ支援装置が提示する運転操作アシスト情報のイメージについて説明する。
【0102】
図23は車両が走行する道路の傾斜を考慮せずにエコドライブ支援を行う場合を説明する図であり、図24及び図25は車両が走行する道路の傾斜に基づいてエコドライブ支援を行う場合を説明する図である。図24は車両が登坂する場合の例であり、図25は車両が坂を下る場合の例である。図23乃至図25の(A)→(C)は時間経過を示している。
【0103】
図23に示すように、図7に示す判定条件選択処理に基づく走行を行うと、結局登坂に時間がかかってしまい、トータルとしての燃費がよくないということがある。これに対して、図24に示すように高出力・短時間で登坂してしまった方が、トータルとしての燃費
がよいということがある。また、同様に、坂道を下るような場合には、エンジンからの出力は抑え、重力のエネルギーで下るようにした方が、トータルとしての燃費がよいということがある。本実施形態では、このような上り坂や下り坂における車両10の走行として、どのような走行がエコドライブサインを行う上で好ましいものであるかを反映したエコドライブ支援装置となっている。
【0104】
以上のような考え方に基づくエコドライブ支援のためのアルゴリズムについて説明する。本実施形態においても、エコドライブ支援装置のメイン処理については図6に示すフローチャートが用いられる。ただ、本実施形態は先の実施形態と、ステップS102で実行される判定条件選択処理のサブルーチンが異なる。そこで、以下に判定条件選択処理のサブルーチンについて詳しく説明するが、先の判定条件選択処理との相違を現すために、本実施形態の判定条件選択処理は、「判定条件選択処理(傾斜角依拠)」と称することとする。図26は本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(傾斜角依拠)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。なお、図27は車両10の傾斜角θの定義を説明する図である。
【0105】
図26において、ステップS500で、判定条件選択処理(傾斜角依拠)が開始されると続いて、ステップS501に進み、走行情報取得部200の傾斜角センサ240から車両10の傾斜角θに係る情報を取得する。
【0106】
ステップS502では、車両10の傾斜角θが、正負の領域で所定の傾斜角以上であるか否かが判定される。ステップS502における判定結果がYESであるときにはステップS503に進み、NOであるときにはステップS508に進み、判定条件選択処理(図7)のサブルーチンで処理を行うようにする。
【0107】
ステップS503では、傾斜角が正であるか否かが判定される。ステップS503における判定結果がYESであるときには、登坂のために高出力走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS505に進み、最適使用領域として(A)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0108】
一方、ステップS503における判定結果がNOであるときには、下り坂であるので低出力走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS504に進み、最適使用領域として(C)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0109】
以上のように本実施形態は、走行路の傾斜状況を考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。すなわち、本実施形態によれば、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報、さらに車両が走行する地形情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。
【0110】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係るエコドライブ支援装置では、これまで説明した実施形態の全てを総合的に考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。本実施形態においては、図14及び15に示すエコドライブ支援装置が用いられる。
【0111】
本実施形態においても、エコドライブ支援装置のメイン処理については図6に示すフローチャートが用いられる。ただ、本実施形態は先の実施形態と、ステップS102で実行される判定条件選択処理のサブルーチンが異なる。そこで、以下に判定条件選択処理のサ
ブルーチンについて詳しく説明するが、先の判定条件選択処理との相違を現すために、本実施形態の判定条件選択処理は、「判定条件選択処理(総合)」と称することとする。図28乃至図30は本発明の他の実施形態に係るエコドライブ支援装置における判定条件選択処理(総合)のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0112】
図28において、ステップS600で、判定条件選択処理(総合)が開始されると続いて、ステップS601に進み、周辺交通状況情報取得部700から、車両10の周辺を走行する他車両の走行情報を取得する。
【0113】
ステップS602では、車両10周辺する他車両の密度である混雑度を求め、この混雑度が所定の混雑度以上であるか否かを判定する。ステップS602における判定結果がYESであるときにはステップS603に進み、NOであるときにはステップS613に進む。
【0114】
ステップS603では、周辺交通状況情報取得部700で取得された情報に基づいて、車両10の前方を走向する所定の車両群の平均速度Vgを算出する。
【0115】
ステップS604では、周辺交通状況情報取得部700から信号情報(信号の位置情報、現在の信号が示している状態、信号が変わるタイミングなど。)を取得する。図19は周辺交通状況情報取得部700で取得される信号情報の概念図である。
【0116】
続くステップS605では、周辺交通状況情報取得部700から得られた信号情報に基づいて、車両10の所定距離内前方に信号があるか否かが判定される。ステップS605における判定結果がYESであるときにはステップS606に進み、NOであるときには図29に示されるフローチャートに進む。
【0117】
ステップS606では、車両10と通過予定の信号との間の距離Lsを取得する。このような情報は、周辺交通状況情報取得部700又はナビゲーション部800のいずれかから取得する。
【0118】
ステップS607においては、信号到達時間Tsなる値を、距離Ls/平均速度Vgを計算することによって算出する。
【0119】
ステップS608では、(信号到達時間Ts)−(赤色点灯時間Tc)>0であるか否かが判定される。ここで、「赤色点灯時間Tc」とは、信号が赤に変わるまでの時間であり、周辺交通状況情報取得部700から得られる信号情報に含まれる情報である。
【0120】
また、ステップS609では、(信号到達時間Ts)−(赤色点灯時間Tc)>Toであるか否かが判定される。「To」は、境界値として用いられる所定時間である。
【0121】
ステップS608における判定結果がNOであるときには、前方の信号は通過できないものと予想されるので低速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS612に進み、最適使用領域として(C)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0122】
また、テップS609における判定結果がNOであるときには、通過予定の信号を確実に通過するために高速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS611に進み、最適使用領域として(A)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0123】
一方、テップS609における判定結果がYESであるときには、前方の信号は余裕をもって通過可能と予想されるので、通常走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS610に進み、最適使用領域として(B)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0124】
さて、ステップS602で、車両10周辺する他車両の密度である混雑度を求め、この混雑度が所定の混雑度以上であるか否かが判定され、このときの判定結果がNOであるときにはステップS613に進むが、次のステップS613では、周辺交通状況情報取得部700から信号情報(信号の位置情報、現在の信号が示している状態、信号が変わるタイミングなど。)を取得する。
【0125】
続くステップS614では、周辺交通状況情報取得部700から得られた信号情報に基づいて、車両10の所定距離内前方に信号があるか否かが判定される。ステップS614における判定結果がYESであるときには図29に示されるフローチャートに進み、NOであるときには図30に示されるフローチャートに進む。
【0126】
次に、図29のフローチャートについて説明する。ステップS701では、車両10と通過予定の信号との間の距離Lsを取得する。このような情報は、周辺交通状況情報取得部700又はナビゲーション部800のいずれかから取得する。ステップS702においては、周辺交通状況情報取得部700によって得られた信号情報と距離Lsから信号で停止する確率を算出する。
【0127】
ステップS703では、算出された確率が所定値以下であるか否かが判定され、また、ステップS704では、算出された確率が所定値以上であるか否かが判定される。
【0128】
ステップS703における判定の結果がYESであるときには、通過予定の信号で停止することがないものと予想されるので、通常走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS610に進み、最適使用領域として(B)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0129】
ステップS704における判定結果がYESであるときには、通過予定の信号で停止することが予想されるので、このときは低速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS612に進み、最適使用領域として(C)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0130】
また、ステップS704における判定結果がNOであるときには、可能であれば信号を確実に通過することが望ましいので、このときは高速走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップSS611に進み、最適使用領域として(A)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0131】
次に、図30のフローチャートについて説明する。ステップS801では、走行情報取得部200の傾斜角センサ240から車両10の傾斜角θに係る情報を取得する。
【0132】
ステップS802では、車両10の傾斜角θが、正負の領域で所定の傾斜角以上であるか否かが判定される。ステップS802における判定結果がYESであるときにはステップS803に進み、NOであるときにはステップS804に進み、判定条件選択処理(図7)のサブルーチンで処理を行うようにする。
【0133】
ステップS803では、傾斜角が正であるか否かが判定される。ステップS803における判定結果がYESであるときには、登坂のために高出力走行を推奨するエコドライブ
サイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS611に進み、最適使用領域として(A)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0134】
一方、ステップS803における判定結果がNOであるときには、下り坂であるので低出力走行を推奨するエコドライブサイン表示を行うようにする。すなわち、このときは、ステップS612に進み、最適使用領域として(C)を選択し、これに基づいて判定を行うようにする。
【0135】
以上のように本実施形態は、将来の信号状態の変化、前後車両以外の周辺車両の走行状況、走行路の傾斜状況を考慮して、トータルの燃費がよくなるように、エコドライブ支援を行い、これに応じてエコドライブサインの表示を行うようにするものである。すなわち、本実施形態によれば、燃費向上の観点に加えて、車両の周辺状況情報、さらに周辺交通状況情報、車両の周辺状況情報、車両が走行する地形情報をも考慮した運転操作アシスト情報の提示を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0136】
10・・・車両、32・・・ステアリング、54・・・アクセルペダル、100・・・ECU、200・・・走行情報取得部、210・・・車速センサ、220・・・エンジン回転数センサ、230・・・エンジントルクセンサ、240・・・傾斜角センサ、400・・・車両周辺情報取得部、410・・・ミリ波レーダー、420・・・カメラ、500・・・運転操作部、510・・・アクセルセンサ、540・・・アクセル反力制御部、560・・・ステアリング振動制御部、600・・・インターフェイス部、610・・・ディスプレイ、630・・・スピーカ、700・・・周辺交通状況情報取得部、710・・・通信部、800・・・ナビゲーション部、810・・・ナビゲーションシステム、820・・・地図データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動力源の燃費向上に関して運転者に対し運転操作のアシストを行うエコドライブ支援装置であって、
前記車両の動力源の使用状況を示すパラメータと、前記車両の傾斜角を取得する走行情報取得部と、
前記パラメータに基づいて前記動力源の燃費効率における該動力源の使用ポイントを算出する使用ポイント算出手段と、
前記動力源の燃費効率が良好な最適使用領域と、前記最適使用領域を含み前記最適使用領域より広い許容使用領域とを記憶する使用領域記憶手段と、
前記車両の周辺状況情報を取得する車両周辺情報取得部と、
前記車両の周辺の交通状況を取得する周辺交通状況取得部と、
前記車両の周辺状況情報と、前記車両の周辺の交通状況と、前記車両の傾斜角と、に応じて前記使用領域記憶手段に記憶される最適使用領域又は許容使用領域のいずれかを選択する使用領域選択手段と、
前記使用ポイント算出手段で算出された使用ポイントが、前記使用領域選択手段で選択された使用領域に含まれているかを判定する第1判定手段と、該第1判定手段による判定に応じた表示を変更する表示部と、を有することを特徴とするエコドライブ支援装置。
【請求項2】
前記周辺交通状況取得部は、前記車両が通過する予定の信号に係る情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のエコドライブ支援装置。
【請求項3】
前記周辺交通状況取得部は、前記車両周辺を走行する他車両に係る情報を取得することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエコドライブ支援装置。
【請求項1】
車両の動力源の燃費向上に関して運転者に対し運転操作のアシストを行うエコドライブ支援装置であって、
前記車両の動力源の使用状況を示すパラメータと、前記車両の傾斜角を取得する走行情報取得部と、
前記パラメータに基づいて前記動力源の燃費効率における該動力源の使用ポイントを算出する使用ポイント算出手段と、
前記動力源の燃費効率が良好な最適使用領域と、前記最適使用領域を含み前記最適使用領域より広い許容使用領域とを記憶する使用領域記憶手段と、
前記車両の周辺状況情報を取得する車両周辺情報取得部と、
前記車両の周辺の交通状況を取得する周辺交通状況取得部と、
前記車両の周辺状況情報と、前記車両の周辺の交通状況と、前記車両の傾斜角と、に応じて前記使用領域記憶手段に記憶される最適使用領域又は許容使用領域のいずれかを選択する使用領域選択手段と、
前記使用ポイント算出手段で算出された使用ポイントが、前記使用領域選択手段で選択された使用領域に含まれているかを判定する第1判定手段と、該第1判定手段による判定に応じた表示を変更する表示部と、を有することを特徴とするエコドライブ支援装置。
【請求項2】
前記周辺交通状況取得部は、前記車両が通過する予定の信号に係る情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のエコドライブ支援装置。
【請求項3】
前記周辺交通状況取得部は、前記車両周辺を走行する他車両に係る情報を取得することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエコドライブ支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2010−149833(P2010−149833A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71141(P2009−71141)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【分割の表示】特願2009−71102(P2009−71102)の分割
【原出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【分割の表示】特願2009−71102(P2009−71102)の分割
【原出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
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