説明

エチレンコポリマーをベースにした押出し被覆および押出ラミネーションで有用な各種支持体用接着剤組成物

【課題】広い温度範囲で支持体上に塗布する押出し被覆法または複数の同一または異なる種類の支持体を互いに接合する押出し貼合せ法で用いる、少なくとも一種の不飽和カルボン酸エステル型のコモノマーと少なくとも一種の官能性コモノマーとを含む少なくとも一種のエチレンのポリマーまたはコポリマーから成る接着剤組成。
【解決手段】不飽和カルボン酸エステル型のコモノマーの含有率は5重量%以上であり、官能性コモノマーは酸、無水物またはエポキシド基の形の少なくとも一種の反応性官能基から成り、反応性官能基の含有率は上記組成物の1重量%以下である。支持体はアルミニウム、紙、ボード、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、PVC、PVDCまたはポリアクリロニトリル樹脂をベースとするフィルムおよび無機バリヤー薄層で被覆されたフィルムにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一種または複数のエチレンポリマーまたはコポリマーをベースにした接着剤組成物またはバインダーに関するものである。
本発明の接着剤組成物またはバインダーは、支持体上への押出しコーティングまたは複数の支持体を接合するための押出し貼合せで用いることができる。支持体は同一種類または異なる種類にすることができ、支持体の一つはアルミニウムにすることができる。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムの支持体上に押出しコーティングするためのバインダーとしてエチレン/(メタ)アクリル酸コポリマーを用いることは公知である。しかし、このコポリマーは限られた支持体にしか接着せず、特に、ポリエステル(OPET)、ポリプロピレン(OPP)またはポリアミド(OPA)のような配向したプラスチックフィルムには接着しない。
【0003】
下記文献にはコロナ処理したポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステルフィルムをポリエチレン(PE)のような別の基材に接合するためのエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/グリシジルメタクリレート(GMA)ターポリマー型バインダーが記載されている。
【特許文献1】フランス特許第98,13248号公報
【0004】
しかし、他の各種基材への接合は限定される。下記文献にはシール/剥離が可能なプラスチック包装用アルミニウム蓋のバインダーが記載されている。
【特許文献2】欧州特許第444,865号公報
【0005】
この組成物はエチレン/酢酸ビニル(EVA)またはエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーをエチレン/不飽和酸またはその無水物/不飽和エステルターポリマーとのブレンド物である。しかし、このシール/剥離が可能なバインダーはアルミニウム支持体と熱可塑性支持体との間の押出被覆や押出し貼合せ用のバインダーとしては用いることができない。
下記文献にも共押出し用バインダーが記載されている:
【特許文献3】欧州特許第1,136,536号公報
【0006】
このバインダーは5〜35部のポリマー(A)と95〜65部のポリエチレン(B)とから成り、上記ポリマー(A)は80〜20部のメタロセンポリエチレン(A1)と、20〜80部の非メタロセンLLDPEポリエチレン(A2)とのブレンド物から成り、このポリマー(A1)+(A2)とのブレンド物には不飽和カルボン酸が共グラフトされており、ポリエチレン(B)はポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーおよびエラストマーの中から選択される。ポリマー(A)と(B)のブレンド物での不飽和グラフトカルボン酸の含有量は30〜100000ppmである。この組成物は共押出で極めて有用であるが、延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)のような支持体での押出被覆および押出し貼合では高性能ではない。
【0007】
下記文献にはエチレンベースのポリマーまたはコポリマーとエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/無水マレイン酸ターポリマーとのブレンド物から成る熱可塑性組成物が記載されている。
【特許文献4】欧州特許第222,789号公報
【0008】
この組成物のアルミニウム支持体被覆の使用を説明する実施例において、上記ターポリマーは15〜50wt%のラジカルポリエチレンとのブレンド物として用いられ、無水マレイン酸含有率は1.4〜2.5wt%である。この型の組成物は無水マレイン酸含有率が高いので、湿気に対して極めて敏感であり、OPET、OPAおよびOPPから成るフィルムに対する接着特性は普通である。
下記文献には低密度ポリエチレン(LDPE)(少なくとも55wt%)と、0〜20wt%の別の不飽和エチレンコモノマーを含むことができるエチレン/(メタ)アクリル酸コポリマーの酸の含有量が低いコポリマーとを含むアルミホイル等の極性基材の高速被覆で用いられるポリマーブレンド物が記載されている。
【特許文献5】米国特許第2002/0198323A1号明細書
【0009】
酸の含有量が低い上記コポリマーはエチレン/(メタ)アクリル酸/イソブチルアクリレートターポリマーで、後者のコモノマー含有率はターポリマーの1〜8wt%、すなわちブレンド中で最大3.6%であるのが好ましい。この型の配合物はアルミニウム、紙、ポリエチレン等のごく限られた支持体にしか接着しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者は、驚くべきことに、オレフィンマトリクス中の反応性官能基(酸、無水物またはエポキシド型)の含有率を低くし、不飽和カルボン酸エステルコモノマーの含有率を十分にしても、押出し被覆法による支持体上への塗布または押出し貼り合わせ法による種々の種類の支持体の接合で使用する少なくとも一種のエチレンポリマーまたはコポリマーから成る接着剤組成物またはバインダーの接着特性を著しく向上させることができるということを見出した。
【0011】
本発明組成物の利点は多数の支持体に接着できる汎用性の外に、220〜330℃の広範囲の温度で高速度で使用でき、吸湿性がなく、使用中、完成品の両方で臭気発生量が少ないという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の対象は、広範囲の温度で支持体上に塗布する押出しコーティングプロセスまたは同一または異なる種類の複数の支持体を互いに接合する押出し貼合せプロセスで用いる少なくとも一種の不飽和カルボン酸エステル型のコモノマーと少なくとも一種の官能性コモノマーとを含む少なくとも一種のエチレンのポリマーまたはコポリマーから成る接着剤組成物において、上記不飽和カルボン酸エステル型のコモノマーの含有率が5重量%以上で、上記官能性コモノマーが酸、無水物またはエポキシド基の形の少なくとも一種の反応性官能基から成り、この反応性官能基の含有率が組成物の1重量%以下であることを特徴とする接着剤組成物にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
上記反応性官能基の含有率は組成物の0.05〜0.9重量%であるのが好ましい。
【0014】
「エチレンのコポリマー」という用語はエチレンと一種または複数のコモノマー、例えば不飽和モノマー、特に下記モノマーとのポリマーを意味する:
(1)3〜30個の炭素原子を有するα−オレフィン
(2)アセチレン化合物
(3)共役または非共役ジエン、例えば1,4−ヘキサジエン
(4)ポリエン
(5)一酸化炭素
(6)不飽和カルボン酸のエステル、例えばアルキル基が24個以下の炭素原子を含むアルキル(メタ)アクリレート
(7)飽和カルボン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニルまたはプロピオン酸ビニル等
(8)不飽和エポキシド、
(9)不飽和カルボン酸、その塩およびその無水物。
【0015】
不飽和ジカルボン酸無水物の例としては特に無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸および無水テトラヒドロフタル酸が挙げられる。
【0016】
本発明の一種または複数のエチレンのコポリマーはエチレンのホモポリマーまたはコポリマー、特に低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンまたはメタロセンポリエチレンに希釈することができる。この稀釈によって、得られた組成物の接着特性は低下するが、それでも接着特性は想定される特定の支持体上へのコーティングまたは貼り合わせには十分である。
【0017】
本発明接着剤組成物のカルボン酸エステル型のコモノマーはアルキル基が1〜24個の炭素原子を含むアルキル(メタ)アクリレートの中から選択するのが好ましい。
アルキルアクリレートまたはメタクリレートの例としては、特にメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。特にメチルアクリレートおよびn−ブチルアクリレートが用いられる。
【0018】
本発明接着剤組成物の官能性コモノマーは酸、無水物またはエポキシド基の中から選択するのが好ましい。この基はカルボン酸の化合物またはその不飽和カルボン酸無水物の誘導体の中から選択されるのが好ましい。
無水不飽和ジカルボン酸の例としては特に無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸および無水テトラヒドロフタル酸が挙げられる。無水マレイン酸を用いるのが好ましい。
【0019】
官能性コモノマーは不飽和エポキシド型官能基にすることもできる。不飽和エポキシドの例としては特に下記が挙げられる:
(1)脂肪族グリシジルエステルおよびエーテル、例えばアリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、グリシジルマレエートおよびイタコネート、グリシジルメタクリレート(GMA)およびアクリレート、
(2)脂環式グリシジルエステルおよびエーテル、例えばグリシジル1−シクロヘキシ−2−エンエーテル、ジグリシジル4,5−シクロヘキセンジカルボキシレート、グリシジル4−シクロヘキセンカルボキシレート、グリシジル5−ノルボネン−2−メチル−2−カルボキシレートおよびジグリシジルエンドシスビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシレート。
【0020】
不飽和モノカルボンまたはジカルボン酸型の官能基、例えば(メタ)アクリル酸を用いることもできる。これらの官能性コモノマーは共重合、特に高圧ラジカル型の共重合によってエチレンポリマーまたはコポリマーに結合するのが好ましいが、グラフト化で結合することもできる。これらの官能性コモノマーは特に高圧ラジカル重合によってエチレン、その他のエチレンコモノマーと直接共重合するか、エチレンポリマーにグラフトすることもできる。
【0021】
官能性コモノマーは無水不飽和カルボン酸、好ましくは無水マレイン酸の中から選択するのが好ましい。本発明接着剤組成物は特に無水マレイン酸の含有率が組成物の0.15〜0.6重量%であるのが好ましい。
【0022】
本発明接着剤組成物はアルキル(メタ)アクリレート型コモノマーの含有率が組成物の6〜40重量%、好ましくは10〜25重量%であるのが好ましい。
本発明の別の実施例から、本発明の対象は上記接着剤組成物を支持体上に塗布する押出コーティングプロセスで用いて得られる多層構造物にある。その特徴は上記支持体がアルミニウム、紙、ボード、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)またはポリアクリロニトリル(PAN)樹脂をベースとするフィルム(これらのフィルムは延伸されていても、延伸されていなくてもよく、金属化されていても、金属化されていなくてもよく、物理的または化学的手段で処理されていても、処理されていなくてもよい)および無機バリヤー薄層で被覆されたフィルム、例えばポリエステル(PET、SiOxまたはAlOx)の中から選択される点にある。
【0023】
本発明の別の実施例から、本発明の他の対象は本発明接着剤組成物を同一または異なる種類の複数の支持体を互いに接合するための押出貼合せプロセスで用いて得られる多層構造物にある。その特徴とは上記支持体がアルミニウム、紙またはボード、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)またはポリアクリロニトリル(PAN)樹脂をベースとするフィルム(これらのフィルムは延伸されていても、延伸されていなくてもよく、金属化されていても、金属化されていなくてもよく、物理的または化学的手段で処理されていても、処理されていなくてもよい)および無機バリヤー薄層で被覆されたフィルム、例えばポリエステル(PET、SiOxまたはAlOx)の中から選択される点にある。
【0024】
本発明のさらに別の対象は、全てのコモノマーを一段階で高圧ラジカル重合することから成る本発明の接着剤組成物の製造方法にある。
本発明のさらに別の対象は、高圧ラジカル重合によって別々に得られる少なくとも2種のエチレンのコポリマー(そのうちの少なくとも一種は官能性コモノマーを含む)を溶融混合する本発明接着剤組成物の製造方法にある。
【0025】
この場合、押出しコーティングまたは押出し貼り合わせ段階の前に上記ブレンド物を製造しても、各種コモノマーを含む種々の化合物の顆粒をドライ混合し、上記段階中に製造しても問題はない。
本発明接着剤組成物にはその押出コーティングまたは押出貼り合わせの実施を容易にするために、他の添加剤、例えば粘着防止剤、滑剤、酸化防止剤、充填材、顔料、染料および加工助剤をさらに含むことができる。これらの添加剤のいくつかはマスターバッチの形で組成物に導入することができる。
【実施例】
【0026】
一般条件
COLLIN押出コーティングラインを用いて、各種組成の接着剤([表1]に特性を示す)をラジカル低密度ポリエチレン(rLDPE)の層と共押出し、種々の支持体上に積層した。操作条件は延伸比(ダイから出る溶融ポリマーの速度に対する延伸速度の比)が5.8になるように選択した。
下記実施例で得られた複合構造物から分かるように、押出成形するか、ポリエチレンフィルム上へ貼合せることによって完全なポリエチレン層が形成できるということは理解できよう。
幅の中心から幅15mmのストリップを押出方向に沿って切り取った。ポリマーコーティングを数センチメートルの距離にわたって支持体から手で剥がした後、剥離した2つの部分(それぞれアルミニウムおよびポリマーコーティング)を、MTS SYNERGIE 200引張試験機の2つのジョーに取付け、剥離強度を200mm/分の剥離速度で評価した。1つの接着剤につき5つの試験片を試験した。試験は接着後15分以内(t0での剥離)と、23℃および相対湿度50%で1ヶ月コンディショニングした後に行った。
【0027】
【表1】

【0028】
低密度ポリエチレン(LDPE)はトタルペトロケミカルズ社のLACQTENE(登録商標)LD 304である。
樹脂1はアルケマ社から商品名LOTADER(登録商標)3210で市販のエチレン/ブチルアクリレート/無水マレイン酸(MAH)ターポリマーである。
樹脂4はアルケマ社から商品名LOTADER(登録商標)3410で市販のエチレン/ブチルアクリレート/無水マレイン酸(MAH)ターポリマーである。
樹脂2、3、5〜8は本発明の組成物である。
樹脂2は18.6wt%のアクリレートを含むエチレン/ブチルアクリレートコポリマーをエチレン/メチルアクリレート(17.7wt%)/無水マレイン酸(1wt%)ターポリマーと約70/30の重量比で、回転速度50rpmmのFAIREX 45/26 D型単軸押出機を用いて150℃の温度で混合して得た。
【0029】
樹脂3、5、6は高圧ラジカル重合で得られるエチレン/メチルアクリレート/無水マレイン酸ターポリマーである。
樹脂7は樹脂2で用いた押出機で、20wt%のアクリレートを含むエチレン/メチルアクリレートコポリマーをエチレン/ブチルアクリレート(6wt%)/メタクリル酸(1.5wt%)ターポリマーと約70/30の重量比で混合して得た。
樹脂8は樹脂7で用いた押出機で、24wt%のアクリレートを含むエチレン/メチルアクリレートコポリマーをエチレン/メチルアクリレート(25wt%)/グリシジルメタクリレート(8wt%)ターポリマー(アルケマから商品名LOTADER(登録商標)AX 8900で市販)と約90/10の重量比で混合して得た。
略語MeA、BuA、MAH、MAAおよびGMAはそれぞれメチルアクリレート、ブチルアクリレート、無水マレイン酸、メタクリル酸およびグリシジルメタクリレートを表す。
MFIはASTM D1238規格に従って190℃の温度、2.16kgの荷重下で測定されるメルトフローインデックスである。
【0030】
実施例1
用いた支持体は厚さ37μmのアルミニウムフィルムである。アルミニウム(37μm)/接着剤(10μm)/rLDPE(100μm)の構造物を製造した。2つの押出温度(それぞれ290〜300℃および310〜320℃)を試験する接着剤(比較例の接着剤として用いるものを含む)ごとに評価した。
得られた結果は[表2]に示してある(測定値と標準偏差が示してある):
【0031】
【表2】

【0032】
本発明接着組成物は、押出で通常用いられる接着剤(樹脂1、4、比較例)に比べて特に老化後に性能が向上するのが観察される。
さらに、樹脂1とLDPEとのブレンド物(これは従来技術の特許文献4(欧州特許第222,789号公報)の実施例9〜13の記載のもの)は、樹脂1を単独で用いた場合よりも接着値が低い。
【0033】
実施例2
この実施例では支持体としてデュポン帝人の製品番号MYLAR 813(厚さ14μm)とMYLAR 800(12μm)の2つの延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)を用いた。
MYLAR 813の場合は、物理的または化学的手段(「プライマー」)で処理していないフィルムの側に接着剤を塗布した。いずれの場合も接着剤を塗布する直前にPETフィルムにコロナ処理をインラインで施した。
PETフィルム/接着剤(10μm)/rLDPE(30μm)の構造物を製造した。得られた結果は[表3]に示してある:
【0034】
【表3】

【0035】
本発明組成物(樹脂5、6、7、8)の接着特性は比較例の樹脂1、4に比べて大幅に向上することが観察される。
【0036】
実施例3
この実施例では厚さ25μmの延伸ナイロン−6フィルム上に接着剤を塗布した。サンプル構造はOPAフィルム/接着剤(10μm)/rLDPE(85μm)にした。得られた結果は[表4]に示してある。
【0037】
【表4】

【0038】
本発明樹脂6は延伸ポリアミドから成る基材に対する接着特性が向上している。
全ての試験で本発明樹脂の加工中および最終製品で発生する臭気の量は従来の樹脂に比べて大幅に減少することも観察された。
さらに、顆粒の形をした本発明樹脂は吸湿性が全くない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広い温度範囲で支持体上に塗布する押出し被覆法または複数の同一または異なる種類の支持体を互いに接合する押出し貼合せ法で用いる、少なくとも一種の不飽和カルボン酸エステル型のコモノマーと少なくとも一種の官能性コモノマーとを含む少なくとも一種のエチレンのポリマーまたはコポリマーから成る接着剤組成物において、
上記組成物の不飽和カルボン酸エステル型のコモノマーの含有率は5重量%以上であり、上記官能性コモノマーは酸、無水物またはエポキシド基の形の少なくとも一種の反応性官能基から成り、この反応性官能基の含有率は上記組成物の1重量%以下であることを特徴とする接着剤組成物。
【請求項2】
上記反応性官能基の含有率が上記組成物の0.05〜0.9重量%である請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
上記カルボン酸エステル型のコモノマーが、アルキル基が1〜24個の炭素原子を含むアルキル(メタ)アクリレートの中から選択される請求項1または2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
上記官能性コモノマーが、無水不飽和カルボン酸、特に無水マレイン酸の中から選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
無水マレイン酸の含有率が組成物の0.15〜0.6重量%である請求項4に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
アルキル(メタ)アクリレート型のコモノマーの含有率が組成物の6〜40重量%である請求項3〜5のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
アルキル(メタ)アクリレート型のコモノマーの含有率が組成物の10〜25重量%である請求項6に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
支持体上に塗布する押出被覆法で請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着剤組成物を用いて得られる多層構造物であって、上記支持体がアルミニウム、紙、ボード、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)またはポリアクリロニトリル(PAN)樹脂をベースとするフィルム(これらフィルムは延伸されていもよく、金属化されていてもよく、物理的または化学的に処理されていてもよい)および無機バリヤー薄層で被覆されたフィルム、例えば、ポリエステルフィルム(PET、SiOxまたはAlOx)の中から選択されることを特徴とする多層構造物。
【請求項9】
同一または異なる種類の複数の支持体を互いに接合する押出し貼合せ法で請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着剤組成物を用いて得られる多層構造物であって、上記支持体がアルミニウム、紙、ボード、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)またはポリアクリロニトリル(PAN)樹脂をベースとするフィルム(これらフィルムは延伸されていもよく、金属化されていてもよく、物理的または化学的に処理されていてもよい)および無機バリヤー薄層で被覆されたフィルム、例えば、ポリエステルフィルム(PET、SiOxまたはAlOx)の中から選択されることを特徴とする多層構造物。
【請求項10】
全てのコモノマーを一段階の高圧ラジカル重合する請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着剤組成物の製造方法。
【請求項11】
高圧ラジカル重合で得られる少なくとも2種のエチレンコポリマーの少なくとも一種が官能性コモノマーを含み、これら少なくとも2種のエチレンコポリマーを溶融混合する請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着剤組成物の製造方法。

【公表番号】特表2008−524365(P2008−524365A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546107(P2007−546107)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/FR2005/003110
【国際公開番号】WO2006/064117
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(591004685)アルケマ フランス (112)
【Fターム(参考)】