エチレン系ポリマー組成物
エチレン系ポリマー組成物が発見され、約45よりも大きいコモノマー分布定数によって特徴付けられる。この新規エチレン系ポリマー組成物は、特にフィルムを含め、多くの物品を製造するのに有用である。このポリマーは、多価アリールオキシエーテルの金属錯体を使用して製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年3月2日付で出願された米国非仮特許出願番号第12/716,004号の優先権を主張し、その開示は、米国特許実務のために参照することによって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
高圧フリーラジカル化学を使用して製造されるポリエチレンポリマー(LDPE)、典型的にはチーグラー・ナッタ触媒またはメタロセンを使用して製造されるより伝統的な線状低密度ポリエチレン(LLDPE)あるいは拘束幾何触媒化ポリエチレンを含め、長年にわたって多数の様々な重合させたポリエチレンポリマーが存在している。幾つかの線状ポリエチレンだけではなく、幾つかの実質的に線状のポリエチレンも、微量の長鎖分岐を含有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらのポリマーは、様々な長所と欠点を有しているが―用途または最終用途に応じて―ポリマー構造全体に関してよりいっそうの調節がさらに望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、今般、ポストメタロセン触媒が、エチレンを、調節されたコモノマー分布プロフィールを有するポリマーおよびポリマー組成物に効率的に重合させることができ、同時にポリマーの不飽和度も調節できることを見出した。
【0005】
本発明は、エチレン系ポリマー組成物、およびその製造方法、それから製造されるフィルムを提供する。1つの実施形態において、本発明は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、例えば350の高さ、または別の態様では300の高さ、または別の態様では250の高さ、あるいは別の態様では200の高さのコモノマー分布定数(CDC)によって特徴付けられるエチレン系ポリマー組成物であって、前記組成物が120個未満の全不飽和単位/1,000,000C、例えば110個未満の全不飽和単位/1,000,000、または別の態様では100個未満の全不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では80個未満の全不飽和単位/1,000,000C、あるいは別の態様では70個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有するエチレン系ポリマー組成物である。好ましくは、前記組成物は、15個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、例えば12個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では10個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では8個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、あるいは別の態様では5個未満の三置換不飽和単位/1,000,000Cを有する。好ましくは、前記エチレン系ポリマー組成物は、最大約3個までの長鎖分岐/炭素1000個、さらに好ましくは約0.01〜約3個の長鎖分岐/炭素1000個を含む。前記エチレン系ポリマー組成物は、少なくとも2および/または50未満のゼロ剪断粘度比(Zero Shear Viscosity ratio)(ZSVR)を有することができる。前記エチレン系ポリマー組成物は、20個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、例えば18個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では15個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では12個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、あるいは別の態様では10個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000Cを含むことによってさらに特徴付けることができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、双峰性分子量分布(MWD)または多峰性MWDを有することができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物はまた、単峰性MWDも有することができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、パージを除いて、35℃から120℃まで単峰性または双峰性分布を含むコモノマー分布プロフィールを有することができる。コモノマー分布プロフィールは、結晶化溶出分別法(CEF)によって得られる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、単一のDSC溶融ピークを含むことができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物はまた、双峰性溶融ピークまたは多重溶融ピークを含むこともできる。前記エチレン系ポリマー組成物は、17,000〜220,000g/モル、例えば60,000〜220,000g/モル、70,000〜140,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を含むことができる。
【0006】
好ましくは、本発明のエチレン系ポリマー組成物を含むフィルムは、3以下、さらに好ましくは2以下、特に1以下の10日間黄色度b*変化を有すると特徴付けられる。
本発明は、さらに、前記の本発明のエチレン系ポリマー組成物と、場合により1つまたはそれ以上のポリマーとを含む熱可塑性組成物を提供する。
【0007】
本発明は、さらに、(1)(a)本発明のエチレン系ポリマー組成物および(b)場合により1つまたはそれ以上のポリマーを含む熱可塑性組成物を含む少なくとも1つの層と;(2)場合により1つまたはそれ以上の層とを含むフィルムを提供する。
【0008】
本発明は、さらに、(1)(a)本発明のエチレン系ポリマー組成物および(b)場合により1つまたはそれ以上のポリマーを含む熱可塑性組成物を含む少なくとも1つの層と;(2)場合により1つまたはそれ以上の層とを含む多層構造体を提供する。
【0009】
(1)(a)本発明のエチレン系ポリマー組成物および(b)場合により1つまたはそれ以上のポリマーを含む熱可塑性組成物を含む少なくとも1つの層と;(2)場合により1つまたはそれ以上の層とを含むフィルムを含む記憶装置。
【0010】
前記の新規ポリマー組成物を含む二次加工品も、特に少なくとも1つのフィルム層の形態で意図される。他の実施形態は、前記の新規ポリマー組成物と、少なくとも1つの天然または合成ポリマーとを含む熱可塑性配合物を包含する。
【0011】
前記エチレン系ポリマー組成物は、少なくとも部分的に架橋されることができる(少なくとも5%(重量)のゲル)。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、方法であって、
(A)エチレンと、場合により1つまたはそれ以上のα−オレフィンとを、第一の触媒の存在下で重合させて半結晶質エチレン系ポリマーを第一の反応器でまたは多段反応器の第一の部分で形成し;および
(B)新たに供給したエチレンと、場合により1つまたはそれ以上のα−オレフィンとを、有機金属触媒を含む第二の触媒の存在下で反応させ、それによってエチレン系ポリマー組成物を少なくとも1つの別の反応器でまたは多段反応器の後の部分で形成することを含み、(A)および(B)の触媒が、同じであるかまたは異なることができ、それぞれが、式:
【化1】
(式中、M3は、Ti、HfまたはZr、好ましくはZrであり;
Ar4は、それぞれの出現において独立して、置換C9−20アリール基であり(この場合、置換基は、それぞれの出現において独立して、アルキル基;シクロアルキル基;およびアリール基;ならびにこれらのハロ置換誘導体、トリヒドロカルビルシリル置換誘導体およびハロヒドロカルビル置換誘導体からなる群から選択され、少なくとも1つの置換基が、それを結合しているアリール基との共平面性がないことを条件とする);
T4は、それぞれの出現において独立して、C2−20アルキレン、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレン基、あるいはこれらの不活性置換誘導体であり;
R21は、それぞれの出現において独立して、水素、ハロ、水素を数に入れないで最大50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたはジ(ヒドロカルビル)アミノ基であり;
R3は、それぞれの出現において独立して、水素、ハロ、水素を数に入れないで最大50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたはアミノであるか、あるいは同じアリーレン環上の2つのR3基は、一緒になって、あるいは同じまたは異なるアリーレン環上のR3基とR21基は、一緒になって、2つの位置でアリーレン基に結合した二価リガンド基を形成するかまたは、一緒になって2つの異なるアリーレン環を結合し;および
RDは、それぞれの出現において独立して、ハロであるか、あるいは水素を数に入れないで最大20個までの原子を有するヒドロカルビルまたはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは2つのRD基は、一緒になって、ヒドロカルビレン基、ヒドロカルバジイル基、ジエン基、またはポリ(ヒドロカルビル)シリレン基である)
に対応する多価アリールオキシエーテルの金属錯体であり、特に工程(B)の反応がグラフト重合によって生じる方法である。
【0013】
さらに別の実施形態において、本発明は、コモノマー組成物分布(CDC)のためのエチレン系ポリマーを特徴付ける方法であり、CDCが、コモノマー分布プロフィールからCEFで算出され、およびCDCが、式1(図1)に示すように100を乗算してコモノマー分布形状係数で除算したコモノマー分布指数として定義され、ならびにコモノマー分布指数が、35.0℃から119.0℃まで0.5のメジアン(median)コモノマー含有量(Cメジアン)〜1.5のCメジアンの範囲内のコモノマー含有量を有するポリマー鎖の全重量分率を表し、およびコモノマー分布形状係数が、ピーク温度(Tp)からコモノマー分布プロフィールの標準偏差で除算したコモノマー分布プロフィールの半値幅の比として定義され、ならびに前記方法が以下の手順を含む、エチレン系ポリマーを特徴付ける方法である。
【0014】
さらに別の実施形態において、本発明は、コモノマー組成物分布(CDC)についてエチレン系ポリマーを特徴付ける方法であり、CDCが、CEFによってコモノマー分布プロフィールから算出され、およびCDCが、式1(図1)に示すように100を乗算してコモノマー分布形状係数で除算したコモノマー分布指数として定義され、ならびにコモノマー分布指数が、35.0℃から119.0℃まで0.5のメジアンコモノマー含有量(Cメジアン)〜1.5のCメジアンの範囲内のコモノマー含有量を有するポリマー鎖の全重量分率を表し、およびコモノマー分布形状係数が、ピーク温度(Tp)からコモノマー分布プロフィールの標準偏差で除算したコモノマー分布プロフィールの半値幅の比として定義され、ならびに前記方法が、以下の手順:
(A)図2に示すように、式2に従ってCEFから0.200℃の温度段階的上昇で35.0℃から119.0℃までの各温度(T)での重量分率(wT(T))を得;
(B)図3に示すように、式3に従って0.500の累積重量分率でのメジアン温度(Tメジアン)を算出し;
(C)図4に示すように、式4に従ってコモノマー含有量較正曲線を使用することによってメジアン温度(Tメジアン)での対応するモル%でのメジアンコモノマー含有量(Cメジアン)を算出し;
(D)既知量のコモノマー含有量を有する一連の基準物質(reference material)を使用することによってコモノマー含有量較正曲線を作成し、すなわち、0.0モル%〜7.0モル%の範囲内のコモノマー含有量で35,000〜115,000の重量平均Mw(従来のGPCで測定される)を有する狭いコモノマー分布(35.0℃から119.0℃までのCEFでの単峰性コモノマー分布)を有する11個の基準物質を、CEFで、CEF実験の部に明記した実験条件と同じ実験条件で分析し;
(E)各基準物質のピーク温度(Tp)およびそのコモノマー含有量を使用することによりコモノマー含有量較正を算出し;前記較正は、式4(図4)(式中:R2は、相関定数である)に示すように各基準物質から算出し;
(F)コモノマー分布指数を、0.5*Cメジアン〜1.5*Cメジアンの範囲内のコモノマー含有量を用いて全重量分率から算出し、Tメジアンが98.0℃よりも高い場合には、コモノマー分布指数を0.95と定義し;
(G)35.0℃から119.0℃まで最大ピークについて各データポイントを調べる(2つのピークが同じである場合には、低い方の温度ピークを選択する)ことによってCEFコモノマー分布プロフィールから最大ピーク高さを得;半値幅を、最大ピーク高さの半値での前方(front)温度と後方(rear)温度の間の温度差として定義し、最大ピークの半値での前方温度は、35.0℃よりも前方で調べ、これに対して最大ピークの半値での後方温度は、119.0℃よりも後方で調べ、ピーク温度の差が、各ピークの半値幅の合計の1.1倍以上である十分に定義された双峰性分布の場合には、本発明のエチレン系ポリマー組成物の半値幅は、各ピークの半値幅の算術平均として算出し;
(H)図5に示すように、式5に従って温度の標準偏差(Stdev)を算出する;
手順を含む、コモノマー組成物分布(CDC)についてエチレン系ポリマーを特徴付ける方法である。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、エチレン系ポリマー組成物が0.900〜0.965g/cm3;例えば、0.905〜0.930g/cm3の範囲内の密度を有することを除いて、前記の実施形態のいずれかによるエチレン系ポリマー組成物、その製造方法、それから製造される物品/フィルム/多層構造体/記憶装置(storage device)、およびこれらを製造する方法を提供する。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、エチレン系ポリマー組成物が0.1〜1000g/10分;例えば0.1〜5のメルトインデックス(I2)を有することを除いて、前記の実施形態のいずれかによるエチレン系ポリマー組成物、その製造方法、それから製造される物品/フィルム/多層構造体/記憶装置、およびこれらを製造する方法を提供する。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、エチレン系ポリマー組成物が20未満、例えば6〜20のI10/I2を有することを除いて、前記の実施形態のいずれかによるエチレン系ポリマー組成物、その製造方法、それから製造される物品/フィルム/多層構造体/記憶装置、およびこれらを製造する方法を提供する。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、フィルムが0.5〜10ミル(mil)の範囲内の厚みを有することを除いて、前記の実施形態のいずれかによる、それから製造される物品/フィルム/多層構造体/記憶装置、およびこれらを製造する方法を提供する。
【0019】
本発明を説明することを目的として、図に例となる形態を示す。しかし、本発明は、示される正確な配置および説明図に限定されないと解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、式1を説明する。
【図2】図2は、式2を説明する。
【図3】図3は、式3を説明する。
【図4】図4は、式4を説明する。
【図5】図5は、式5を説明する。
【図6】図6は、式6を説明する。
【図7】図7は、式7を説明する。
【図8】図8は、式8を説明する。
【図9】図9は、式9を説明する。
【図10】図10は、式10を説明する。
【図11】図11は、式11を説明する。
【図12】図12は、式12を説明する。
【図13】図13は、式13を説明する。
【図14】図14は、式14を説明する。
【図15】図15は、式15を説明する。
【図16】図16は、式16を説明する。
【図17】図17は、式17を説明する。
【図18】図18は、式18を説明する。
【図19】図19は、実施例3のコモノマー分布プロフィールを表す、CEFからピーク温度、半値幅およびメジアン温度を得るCDC算出のグラフ説明図である。
【図20】図20は、実施例3について不飽和の積分限界を説明するグラフであり、点線は、試料/触媒に依存して位置がわずかに異なることができことを意味する。
【図21】図21は、Bruker AVANCEの400MHz分光計を用いた不飽和についての修正(modified)パルスシーケンスを説明する。
【図22】図22は、不飽和の化学構造表示を説明する。
【図23】図23は、CEFの重なりを説明するグラフである。
【図24】図24は、本発明実施例および比較実施例の温度に対する質量のCEFプロフィールを説明するグラフである。
【図25】図25は、5ppmのNOxおよび60℃でのガス褪色を説明するグラフである。
【図26】図26は、式26を説明する。
【図27】図27は、式27を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、エチレン系ポリマー組成物、およびその製造方法を提供する。本発明の発明エチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、例えば350の高さ、または別の態様では300の高さ、または別の態様では250の高さ、あるいは別の態様では200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、前記本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000C、例えば110個未満の全不飽和単位/1,000,000、または別の態様では100個未満の全不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では80個未満の全不飽和単位/1,000,000C、あるいは別の態様では70個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有する。本発明の組成物は、15個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、例えば12個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では10個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では8個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、あるいは別の態様では5個未満の三置換不飽和単位/1,000,000Cを有する。前記エチレン系ポリマー組成物は、20個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、例えば18個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では15個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では12個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、あるいは別の態様では10個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000Cを含むことによってさらに特徴付けることができる。好ましくは、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、最大約3個までの長鎖分岐/炭素1000個、さらに好ましくは約0.01〜約3個の長鎖分岐/炭素1000個を含む。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、少なくとも2および/または50のZSVRを有することができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、20個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、例えば18個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では15個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では12個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、あるいは別の態様では10個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000Cを含むことによってさらに特徴付けることができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、双峰性分子量分布(MWD)または多峰性MWDを有することができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、パージを除いて、35℃から120℃までの温度範囲内で単峰性または双峰性分布を含むコモノマー分布プロフィールを有することができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、単一のDSC溶融ピークを含むことができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約17,000〜約220,000、例えば60,000〜220,000g/モル、70,000〜140,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を含むことができる。
本発明のエチレン系ポリマー組成物は、多価アリールオキシエーテルの金属錯体を使用して製造される。
【0022】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、前記組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有する。
【0023】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有し、および本発明のエチレン系ポリマー組成物は、最大約3個までの長鎖分岐/炭素1000個、好ましくは約0.01〜約3個の長鎖分岐/炭素1000個を含む。
【0024】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有し、および本発明のエチレン系ポリマー組成物は、少なくとも2のZSVRを有し、場合により本発明のエチレン系ポリマー組成物は、20個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000Cを含むことによって特徴付けられる。
【0025】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有し、および本発明のエチレン系ポリマー組成物は、双峰性分子量分布(MWD)を有する。
【0026】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有し、および本発明のエチレン系ポリマー組成物は、多峰性MWDを有する。
【0027】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有し、および本発明のエチレン系ポリマー組成物は、単一のDSC溶融ピークを有する。
【0028】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有し、および本発明のエチレン系ポリマー組成物は、少なくとも部分的に架橋されている(少なくとも5%ゲル)。
【0029】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有し、および本発明のエチレン系ポリマー組成物は、パージを除いて、35℃から120℃までの温度範囲内で単峰性または双峰性分布を含むコモノマー分布プロフィールを有する。
【0030】
本発明は、さらに、本明細書に記載のような本発明のエチレン系ポリマー組成物と、少なくとも1つの天然または合成ポリマーとを含む熱可塑性配合物を提供する。
【0031】
本発明は、さらに、本発明のエチレン系ポリマー組成物を含むフィルムであって、3以下、さらに好ましくは2以下、特に1以下の10日間黄色度b*変化を有すると特徴付けられるフィルムを提供する。
【0032】
本発明は、さらに、(1)(a)本発明のエチレン系ポリマー組成物および(b)場合により1つまたはそれ以上のポリマーを含む熱可塑性組成物を含む少なくとも1つの層と;(2)場合により1つまたはそれ以上の層とを含むフィルムを提供する。
【0033】
本発明は、さらに、(1)(a)本発明のエチレン系ポリマー組成物および(b)場合により1つまたはそれ以上のポリマーを含む熱可塑性組成物を含む少なくとも1つの層と;(2)場合により1つまたはそれ以上の層とを含むフィルムを含む多層構造体を提供する。
【0034】
本発明は、さらに、(1)(a)本発明のエチレン系ポリマー組成物および(b)場合により1つまたはそれ以上のポリマーを含む熱可塑性組成物を含む少なくとも1つの層と;(2)場合により1つまたはそれ以上の層とを含むフィルムを含む記憶装置を提供する。
【0035】
本発明は、さらに、本明細書に記載の本発明のエチレン系ポリマー組成物を含む二次加工品を提供する。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、方法であって、
(A)エチレンと、場合により1つまたはそれ以上のα−オレフィンとを、第一の触媒の存在下で重合させて半結晶質エチレン系ポリマーを第一の反応器でまたは多段反応器の第一の部分で形成し;および
(B)新たに供給したエチレンと、場合により1つまたはそれ以上のα−オレフィンとを、有機金属触媒を含む第二の触媒の存在下で反応させ、それによってエチレン系ポリマー組成物を少なくとも1つの別の反応器でまたは多段反応器の後の部分で形成することを含み、(A)および(B)の触媒が、同じであるかまたは異なることができ、それぞれが、式:
【化2】
(式中、M3は、Ti、HfまたはZr、好ましくはZrであり;
Ar4は、それぞれの出現において独立して、置換C9−20アリール基であり(この場合、置換基は、それぞれの出現において独立して、アルキル基;シクロアルキル基;およびアリール基;ならびにこれらのハロ置換誘導体、トリヒドロカルビルシリル置換誘導体およびハロヒドロカルビル置換誘導体からなる群から選択され、少なくとも1つの置換基が、それを結合しているアリール基との共平面性がないことを条件とする);
T4は、それぞれの出現において独立して、C2−20アルキレン、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレン基、あるいはこれらの不活性置換誘導体であり;
R21は、それぞれの出現において独立して、水素、ハロ、水素を数に入れないで最大50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたはジ(ヒドロカルビル)アミノ基であり;
R3は、それぞれの出現において独立して、水素、ハロ、水素を数に入れないで最大50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたはアミノであるか、あるいは同じアリーレン環上の2つのR3基は、一緒になって、あるいは同じまたは異なるアリーレン環上のR3基とR21基は、一緒になって、2つの位置でアリーレン基に結合した二価リガンド基を形成するかまたは、一緒になって2つの異なるアリーレン環を結合し;および
RDは、それぞれの出現において独立して、ハロであるか、あるいは水素を数に入れないで最大20個までの原子を有するヒドロカルビルまたはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは2つのRD基は、一緒になって、ヒドロカルビレン基、ヒドロカルバジイル基、ジエン基、またはポリ(ヒドロカルビル)シリレン基である)
に対応する多価アリールオキシエーテルの金属錯体である方法である。
【0037】
さらに別の実施形態において、本発明は、コモノマー組成物分布(CDC)についてエチレン系ポリマーを特徴付ける方法であり、CDCが、CEFによってコモノマー分布プロフィールから算出され、およびCDCが、式1(図1)に示すように100を乗算してコモノマー分布形状係数で除算したコモノマー分布指数として定義され、ならびにコモノマー分布指数が、35.0℃から119.0℃まで0.5のメジアンコモノマー含有量(Cメジアン)〜1.5のCメジアンの範囲内のコモノマー含有量を有するポリマー鎖の全重量分率を表し、およびコモノマー分布形状係数が、ピーク温度(Tp)からコモノマー分布プロフィールの標準偏差で除算したコモノマー分布プロフィールの半値幅の比として定義され、ならびに前記方法が、以下の手順:
(A)図2に示すように、式2に従ってCEFから0.200℃の温度段階的上昇で35.0℃から119.0℃までの各温度(T)での重量分率(wT(T))を得;
(B)図3に示すように、式3に従って0.500の累積重量分率でのメジアン温度(Tメジアン)を算出し;
(C)図4に示すように、式4に従ってコモノマー含有量較正曲線を使用することによってメジアン温度(Tメジアン)での対応するモル%でのメジアンコモノマー含有量(Cメジアン)を算出し;
(D)既知量のコモノマー含有量を有する一連の基準物質を使用することによってコモノマー含有量較正曲線を作成し、すなわち0.0モル%〜7.0モル%の範囲内のコモノマー含有量で35,000〜115,000の重量平均Mw(従来のGPCで測定される)を有する狭いコモノマー分布(35.0℃から119.0℃までのCEFでの単峰性コモノマー分布)を有する11個の基準物質を、CEFで、CEF実験の部に明記した実験条件と同じ実験条件で分析し;
(E)各基準物質のピーク温度(Tp)およびそのコモノマー含有量を使用することによりコモノマー含有量較正を算出し;前記較正は、式4(図4)(式中:R2は、相関定数である)に示すように各基準物質から算出し;
(F)コモノマー分布指数を、0.5*Cメジアン〜1.5*Cメジアンの範囲内のコモノマー含有量を用いて全重量分率から算出し、Tメジアンが98.0℃よりも高い場合には、コモノマー分布指数を0.95と定義し;
(G)35.0℃から119.0℃まで最大ピークについて各データポイントを調べる(2つのピークが同じである場合には、低い方の温度ピークを選択する)ことによってCEFコモノマー分布プロフィールから最大ピーク高さを得;半値幅を、最大ピーク高さの半値での前方温度と後方温度の間の温度差として定義し、最大ピークの半値での前方温度は、35.0℃よりも前方で調べ、これに対して最大ピークの半値での後方温度は、119.0℃よりも後方で調べ、ピーク温度の差が、各ピークの半値幅の合計の1.1倍以上である十分に定義された双峰性分布の場合には、本発明のエチレン系ポリマー組成物の半値幅は、各ピークの半値幅の算術平均として算出し;
(H)図5に示すように、式5に従って温度の標準偏差(Stdev)を算出する;
手順を含む、コモノマー組成物分布(CDC)についてエチレン系ポリマーを特徴付ける方法である。
【0038】
幾つかの方法において、加工助剤、例えば可塑剤を、発明のエチレン系ポリマー製品に含有させることもできる。これらの助剤としては、以下に限定されないが、フタル酸エステル、例えばフタル酸ジオクチルおよびフタル酸ジイソブチル、天然油、例えばラノリン、およびパラフィン、石油精製から得られるナフテン系油および芳香油、ならびにロジンまたは石油原料由来の液状樹脂が挙げられる。加工助剤として有用な典型的な油の種類としては、白色鉱油、例えばKAYDOL油(Chemtura Corp.;ミドルベリー、コネチカット州)およびSHELLFLEX 371ナフテン系油(Shell Lubricants;ヒューストン、テキサス州)が挙げられる。別の適当な油は、TUFFLO油(Lyondell Lubricants;ヒューストン、テキサス州)である。
【0039】
幾つかの方法において、発明のエチレン系ポリマー組成物は、1つまたはそれ以上の安定剤、例えば酸化防止剤、例えばIRGANOX 1010およびIRGAFOS 168(Ciba Specialty Chemicals;グラットブルグ、スイス国)で処理される。一般に、ポリマーは、押出しまたはその他の溶融プロセスの前に1つまたはそれ以上の安定剤で処理される。別の実施形態の方法においては、他の高分子添加剤として、以下に限定されないが、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、成核剤、充填剤、スリップ剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、潤滑剤、安定剤、煙抑制剤、粘度調節剤および粘着防止剤が挙げられる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、例えば、本発明のエチレン系ポリマー組成物の重量に基づいて総合重量で10%未満の1つまたはそれ以上の添加剤を含んでいてもよい。特許請求ポリマーの特定の利点は、水以外に触媒失活剤(catalyst kill agent)が存在しないことであり、従ってステアリン酸カルシウムの必要性を除去する。
【0040】
製造された本発明のエチレン系ポリマー組成物は、さらに配合されてもよい。幾つかの実施形態において、1つまたはそれ以上の酸化防止剤を、さらに本発明のエチレン系ポリマー組成物およびペレット化された配合ポリマーに配合してもよい。配合されたエチレン系ポリマー組成物は、任意の量の1つまたはそれ以上の酸化防止剤を含有していてもよい。例えば、配合された本発明のエチレン系ポリマー組成物は、本発明のエチレン系ポリマー組成物100万部当たり約200〜約600部の1つまたはそれ以上のフェノール系酸化防止剤を含んでいてもよい。さらに、配合されたエチレン系ポリマー組成物は、本発明のエチレン系ポリマー組成物100万部当たり約800〜約1200部の亜リン酸系酸化防止剤を含んでいてもよい。配合された本発明エチレン系ポリマー組成物は、本発明のエチレン系ポリマー組成物100万部当たり約300〜約1250部のステアリン酸カルシウムを含んでいてもよい。
【0041】
使用
本発明のエチレン系ポリマー組成物は、様々な従来の熱可塑性樹脂製造法において、少なくとも1つのフィルム層を含む物品、例えば単層フィルム、またはキャスト、吹き込み、カレンダーまたは押出しコーティング法によって調製される多層フィルムの少なくとも1つの層;成形品、例えば吹込成形品、射出成形品、または回転成形品;押出品;繊維;織布および不織布を含め有用な物品を製造するのに用いてもよい。本発明のエチレン系ポリマー組成物を含む熱可塑性樹脂組成物としては、他の天然または合成材料、ポリマー、添加剤、強化剤、耐発火性添加剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤、増量剤、架橋剤、発泡剤、および可塑剤とのブレンドが挙げられる。
【0042】
本発明のエチレン系ポリマー組成物は、その他の用途の繊維を製造するのに使用してもよい。本発明のエチレン系ポリマー組成物またはそのブレンドから調製し得る繊維としては、ステープルファイバー、トウ、多成分フィラメント、シース/コアフィラメント、加撚フィラメント、およびモノフィラメントが挙げられる。適当な繊維形成法は、米国特許第4,340,563号明細書(Appelら)、同第4,663,220号明細書(Wisneskiら)、同第4,668,566号明細書(Nohrら)、および同第4,322,027号明細書(Reba)に記載されているようなスパンボンデッド法および溶融吹込法、米国特許第4,413,110号明細書(Kaveshら)に開示されているようなゲルスパン繊維、米国特許第3,485,706号明細書(May)に開示されているような織布および不織布、あるいは他の繊維、例えばポリエステル、ナイロンまたは綿とのブレンドを含めこのような繊維から製造される構造物、熱成形物品、押出形材(異形押出物および同時押出物を含む)、カレンダー加工品、および延伸、加撚またはけん縮糸または繊維を含む。
【0043】
添加剤および助剤を、本発明のエチレン系ポリマー組成物に形成後に加えてもよい。適当な添加剤としては、充填剤、例えば有機または無機粒子(クレー、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、粉末金属を含む)、有機または無機繊維(炭素繊維、窒化ケイ素繊維を含む)、スチールワイヤまたはメッシュ、およびナイロンまたはポリエステルコード、ナノ粒子、クレー、その他;粘着付与剤、エキステンダー油、例えばパラフィン系またはナフテン系油;ならびにその他の天然および合成ポリマー(実施形態の方法に従って製造するかまたは製造することができるその他のポリマーを含む)が挙げられる。
【0044】
本発明のエチレン系ポリマー組成物と、他のポリオレフィン類とのブレンドおよび混合物も機能し得る。本発明のエチレン系ポリマー組成物とブレンドするのに適したポリマーとしては、熱可塑性および非熱可塑性ポリマー(天然および合成ポリマーを含む)が挙げられる。ブレンド用の典型的なポリマーとしては、ポリプロピレン(耐衝撃性改善ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、およびランダムエチレン/プロピレンコポリマーの両方)、高圧フリーラジカル低密度ポリエチレン(LDPE)、チーグラー・ナッタ線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセンPE、例えば多重反応器PE(チーグラー・ナッタPEとメタロセンPEとの「反応器内」ブレンド、例えば米国特許第6,545,088号明細書(Kolthammerら);同第6,538,070号明細書(Cardwellら);同第6,566,446号明細書(Parikhら);同第5,844,045号明細書(Kolthammerら);同第5,869,575号明細書(Kolthammerら);および同第6,448,341号明細書(Kolthammerら)に開示されている製品)を含む種々の種類のポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリスチレン、耐衝撃性改善ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、スチレン/ブタジエンブロックコポリマーおよびその水素化誘導体(スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)およびスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS))、ならびに熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。均質ポリマー、例えばオレフィンプラストマーおよびエラストマー、エチレンおよびプロピレン系コポリマー(例えば、VERSIFY(商標)プラストマー & エラストマー(Dow Chemical Company)、SURPASS(商標)(Nova Chemicals)、およびVISTAMAXX(商標)(ExxonMobil Chemical Co.)の商品名で入手できるポリマー)もまた、本発明のエチレン系ポリマーを含むブレンドの成分として有用であり得る。
【0045】
本発明のエチレン系ポリマー組成物は、シーラント樹脂として用いてもよい。意外にも、CDCによって示されるような、特定の短鎖分岐分布(SCBD)が、特定のMWD、および特定の水準の長鎖分岐(LCB)と一緒になって、増大した熱間粘着および熱融着(heat-seal)強さ、低い熱融着および熱間粘着開始温度、ならびに熱間粘着性ウィンドウの拡大を含め熱間粘着および熱融着性を改善することを示した。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、改善されたESCR(耐環境応力亀裂性)および高いPENT(ペンシルバニアエッジ・ノッチ引張り試験(Pennsylvania Edge-Notch Tensile Test))について低い不飽和度で、SCBDおよびMWDを最適化することによってパイプおよび管材料樹脂として用いてもよい。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、紫外線(UV)安定性、すなわち耐候性が望まれる用途において、低い不飽和度、および低濃度(low level)の低分子量の高コモノマー組み込みオリゴマーと組み合わせて、SCBDおよびMWDを最適化することによって用いてもよい。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、低水準のプレートアウト、ブルーミング、ダイ蓄積、煙の発生、抽出物、風味(taste)、および臭気が望まれる用途において、低濃度の低分子量の高コモノマー組み込みオリゴマーを用いてSCBDおよびMWDを最適化することよって用いてもよい。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、延伸フィルム用途で用いてもよい。意外にも、特定のSCBDが、特定のMWD、および特定のレベルの長鎖分岐(LCB)と一緒に、改善された伸縮性および耐動的破壊性を示す。
【0046】
定義
使用する用語「組成物」は、組成物を構成する材料、ならびに該組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物の混合物を包含する。
【0047】
本明細書で使用する用語「ブレンド」または「ポリマーブレンド」は、2つまたはそれ以上ポリマーの均質物理的混合物(すなわち、反応していない)を指す。ブレンドは、混和性であってもよいし混和性でなくてもよい(分子レベルで層分離していない)。ブレンドは、層分離していてもよいし層分離していなくてもよい。ブレンドは、当分野で公知の透過電子顕微鏡法、光散乱法、X線散乱法、およびその他の方法によって決定されるように、1つまたはそれ以上のドメイン配置を含んでいてもよいし含んでいなくてもよい。ブレンドは、マクロレベル(例えば、溶融ブレンド樹脂または配合(compounding))でまたはミクロレベルで(例えば、同じ反応器内で同時に形成する)2つまたはそれ以上のポリマーを物理的に混合することによって影響を受けてもよい。
【0048】
本明細書で使用する用語「線状」は、ポリマーのポリマー主鎖に測定可能なまたは実証可能な長鎖分岐がないポリマーを指し、例えばポリマーは、炭素1000個当たり平均して0.01個未満の長鎖分岐で置換されている。
【0049】
本明細書で使用する用語「ポリマー」は、同じ種類であるかまたは異なる種類であるかに関係なく、モノマーを重合させることによって調製される高分子化合物を指す。従って、ポリマーという一般用語は、通常は1種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指すのに用いられる用語「ホモポリマー」と、以下で定義するような用語「インターポリマー」とを包含する。用語「エチレン/α−オレフィンポリマー」は、記載するようにインターポリマーを示す。
【0050】
本明細書で使用する用語「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。インターポリマーという一般用語は、通常2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられるコポリマーと、3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーとを包含する。
【0051】
用語「エチレン系ポリマー」は、50モル%を越える重合したエチレンモノマー(重合性ポリマーの全重量に基づく)を含有し、場合により少なくとも1つの追加コモノマーを含有していてもよいポリマーを指す。
【0052】
用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」は、50モル%を越える重合したエチレンモノマー(重合性モノマーの全重量に基づく)と少なくとも1つのα−オレフィンとを含有するインターポリマーを指す。
【0053】
樹脂の製造
全ての原料(エチレン、1−オクテン)およびプロセス溶媒(Exxon Mobil Corporationから商品名Isopar Eで市販されている狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒)は、反応環境に導入する前にモレキュラーシーブで精製する。水素は、高純度グレードとして加圧シリンダーに供給し、それ以上は精製しない。反応器モノマー供給材料(エチレン)流は、機械的圧縮機で約400〜750psigの反応圧力を超えるまで加圧する。溶媒およびコモノマー(1−オクテン)供給材料は、機械的容量形ポンプで約400〜750psigの反応圧力を超えるまで加圧する。個々の触媒成分は、精製溶媒(Isopar E)を用いて規定成分濃度に手動でバッチ希釈し、反応圧力、すなわち約400〜750psigを超える圧力まで加圧する。全ての反応供給材料流は、質量流量計で測定し、個々にコンピュータ自動バルブ制御システムで制御する。
【0054】
本発明の連続溶液重合反応器系は、直列配置で運転する2つの液体を満たした、非断熱、等温、循環、および独立制御ループからなる。各反応器は、全ての新たな溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒成分供給の独立した制御を有する。一緒にした溶媒、モノマー、コモノマーおよび水素の各反応器への供給は、供給流を一連の熱交換器に通すことによって5℃〜50℃、典型的には15〜40℃の間のいずれかの温度に独立して温度制御される。複数の重合反応器への新しいコモノマーの供給は、手動で調節して3つの選択肢:すなわち第一の反応器、第二の反応器、または共通溶媒に、コモノマーを加え、次いで溶媒供給の分割(split)に比例させて両方の反応器の間で分割することができる。各重合反応器への全ての新たな供給は、反応器に、反応器当たり2つの位置で、概略それぞれの注入位置の間で同じ反応器容量で注入される。新たな供給は、典型的には、新たな全供流の半分を受け入れる各インジェクタを用いて制御される。触媒成分は、重合反応器に特別に設計された注入スティンガーによって注入され、反応器の前に非接触時間で反応器の同じ相対位置にそれぞれ別個に注入される。一次触媒成分の供給は、反応器のモノマー濃度を規定目標で維持するためにコンピュータ制御される。2つの助触媒成分は、一次触媒成分に対して算出された規定モル比に基づいて供給される。それぞれの新たな注入位置(供給材料または触媒のいずれか)の直後で、供給材料流は、Kenicsスターティックミキサー要素を用いて循環重合反応器内容物と混合される。各反応器の内容物は、反応の熱の大部分を除去するのに関与しおよび等温反応環境を規定温度で維持するのに関与する冷却液側の温度を有する熱交換器に連続的に循環される。各反応器ループ周りの循環は、スクリューポンプによって提供される。第一の重合反応器からの流出液(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含む)は、第一の反応器ループを出て、制御バルブ(第一の反応器の圧力を規定目標で維持するのに関与する)を通り、同様のデザインの第二の重合反応器に注入される。前記流れは、反応器を出るのにつれて、反応を停止させるために水と接触させる。さらに、種々の添加剤、例えば酸化防止剤を、この時点で添加することができる。次いで、前記流れは、Kenicsスターティックミキシング要素の別のセットを通して触媒失活剤と添加剤を均一に分散させる。
【0055】
添加剤の添加後に、流出液(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含む)は、熱交換器に通してポリマーを他の低沸点反応成分から分離するのに備えて前記流れの温度を上昇させる。次いでこの流れは、2段階分離および脱蔵装置に入り、そこでポリマーが溶媒、水素、ならびに未反応モノマーおよびコモノマーから除去される。リサイクル流は、再び反応器に入る前に精製される。分離され、脱蔵されたポリマー溶融物は、水中ペレット化のために特別に設計されたダイにポンプで注入され、均一な固体ペレットに切断され、乾燥され、ホッパーに移される。次いで、ポリマー特性を確認する。
【0056】
脱蔵工程で除去された非ポリマー部分は、前記重合反応器系からベント分解単位装置に取り出されるエチレンの大部分を分離する装置の種々の要素に通す(しかし、非ポリマー部分は、製造単位装置にリサイクルされる)。溶媒の大部分は、精製ベッドに通した後に反応器にリサイクルさせる。この溶媒は、未だ未反応コモノマーを有することができ、その中に反応器に再び入る前に新たなコモノマーが添加される。このコモノマーの添加(fortification)は、製品密度制御方法の不可欠な部分である。このリサイクル溶媒は、未だ若干の水素を有することができ、この水素は次いでポリマー分子量目標を達成するために新たな水素が添加される。極めて少量の溶媒が、触媒流中の溶媒担体、および商業グレードのコモノマーの一部である少量の溶媒に起因する副生成物として前記重合反応器系に残る。
【実施例】
【0057】
本発明のエチレン系ポリマー組成物(発明実施例1〜4):
本発明のエチレン系ポリマー組成物、すなわち発明実施例1〜4を、前記の手順に従って調製する。そのプロセス条件を、表1および表1A、表2および2Aに報告する。発明実施例1〜4を、種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表3〜8に報告する。表2および2Aに関連して、MMAOは、修飾メチルアルモキサンであり;RIBS−2は、ビス(水素化タローアルキル)メチル,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1−)アミンであり;およびジルコニウム系触媒は、次式:
【化3】
で表される[2,2’’’−[1,3−プロパンジイルビス(オキシ−κO)]ビス[3”,5,5”−トリス(1,1−ジメチルエチル)−5’−メチル[1,1’:3’,1”−ターフェニル]−2’−オラト−κO]]ジメチル−,(OC−6−33)−ジルコニウムである。発明実施例4は、1000ppmのポリマー加工助剤(PPA)を含有する。
【0058】
比較エチレン系組成物(比較実施例1〜4):
比較実施例1は、1g/10分のI2および0.918g/cm3の密度を有するエチレン/1−ヘキセン・コポリマー(これは、商品名EXCEED(商標)1018でExxonMobil Chemical Companyから入手できる)と、3.5g/10分のI2および0.912g/cm3の密度を有するエチレン/1−ヘキセン・コポリマー(これは、商品名EXCEED(商標)3512でExxonMobil Chemical Companyから入手できる)との50/50のブレンドである。
【0059】
比較実施例2は、1g/10分のI2および0.916g/cm3の密度を有するエチレン/1−オクテン・コポリマーであり、これは、商品名ELITE(商標)5400GでDow Chemical Companyによって提供された。
【0060】
比較実施例3は、1.5g/10分のI2および0.914g/cm3の密度を有するエチレン/1−オクテン・コポリマーであり、これは、商品名ELITE(商標)5500でDow Chemical Companyによって提供された。
【0061】
比較実施例4は、1.0g/10分のI2および0.920g/cm3の密度を有するエチレン/1−オクテン・コポリマーであり、これは、商品名DOWLEX(商標)2045GでDow Chemical Companyによって提供された。
【0062】
比較実施例1〜3を、種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表3〜8に報告する。
【0063】
比較実施例4を、種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表17および18に報告する。
【0064】
発明フィルム1および3
本発明のエチレン系ポリマー組成物、すなわち発明実施例1および3を、3層インフレーションフィルムラインで発明単層フィルム1および3に吹き込み成形する。前記インフレーションフィルムラインは、一条ねじスクリュー(25:30:25mm)を有する3台の溝付き供給押出機からなる。全てのスクリューの長さ/直径(L/D)の比は、25:1である。前記インフレーションフィルムラインは、二重リップエアリング冷却系を有し、20:40:60:80:20メッシュのスクリーンパック構成を有する60mmのダイを有する。発明フィルム1および3は、1ミル(mil)の厚みで製造する。フィルム二次加工条件を、表9に報告する。発明フィルム1および3を、種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表10に報告する。
【0065】
比較フィルム2および3
比較エチレン系ポリマー組成物、すなわち比較実施例2および3を、3層インフレーションフィルムラインで比較単層フィルム2および3に吹き込み成形する。前記インフレーションフィルムラインは、一条ねじスクリュー(25:30:25mm)を有する3台の溝付き供給押出機からなる。全てのスクリューの長さ/直径(L/D)の比は、25:1である。前記インフレーションフィルムラインは、二重リップエアリング冷却系を有し、20:40:60:80:20メッシュのスクリーンパック構成を有する60mmのダイを有する。比較フィルム2および3は、1ミルの厚みで製造する。フィルム二次加工条件を、表9に報告する。比較フィルム2および3を、種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表10に報告する。
【0066】
発明フィルム4および比較フィルム2A
本発明のエチレン系ポリマー組成物、すなわち発明実施例4を、単層インフレーションフィルムラインで発明単層フィルム4に吹き込み成形する。比較エチレン系ポリマー組成物、すなわち比較実施例2は、比較フィルム2Aに吹き込み成形する。発明フィルム4および比較フィルム2Aは、2ミルの厚みで製造する。前記インフレーションフィルムラインは、2.5インチDavis StandardバリアIIスクリューDSBIIからなる。スクリューの長さ/直径(L/D)の比は、30:1である。前記インフレーションフィルムラインは、二重リップエアリング冷却系と20:40:60:80:20メッシュのスクリーンパック構成とを有する6インチのダイ直径を有する。
【0067】
発明実施例4は、樹脂中に1000ppmのPPAを含有する。比較フィルム2Aに関しては、1000ppmのポリマー加工助剤(PPA)を、樹脂に、高分子材料を比較フィルム2Aに押出す前に加える。PPAは、Ingenia Polymers製のCKAC−19と呼ばれる1.25%のPPAマスターバッチ(これは、8%のDynamar FX−5920AをPE担体中に含有する)として加えて、樹脂中1000ppmのPPAを得る。
【0068】
フィルム二次加工条件を、表9Aに報告する。発明フィルム4、比較フィルム2Aを、これらの種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表10Aおよび15に報告する。
【0069】
発明ブレンド1および比較ブレンド1
発明ブレンド1は、90%の発明実施例4と、10%の高圧低密度ポリエチレンDow LDPE 133A(0.2のメルトインデックス、0.921g/ccの密度のLDPE)とのブレンドである。
【0070】
比較ブレンド1は、90%の比較実施例2と、10%のLDPE 133Aとのブレンドである。この場合には、PPAも、比較ブレンド1に、PPAの量が発明ブレンド1と同じであるように900ppmで加える。PPAは、Ingenia Polymers製のCKAC−19と呼ばれる1.125%のPPAマスターバッチ(これは、8%のDynamar FX−5920AをPE担体中に含有する)として加えて、樹脂中900ppmのPPAを得る。
【0071】
発明ブレンド1および比較ブレンド1は、単層インフレーションフィルムラインでフィルムに2ミルの厚みで吹き込み成形した。前記インフレーションフィルムラインは、2.5インチDavis StandardバリアIIスクリューDSBIIからなる。スクリューの長さ/直径(L/D)の比は、30:1である。前記インフレーションフィルムラインは、二重リップエアリング冷却系と20:40:60:80:20メッシュのスクリーンパック構成とを有する6インチのダイ直径を有する。
【0072】
フィルム二次加工条件を、表9Aに報告する。発明ブレンド1および比較ブレンド1を、種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表10Aおよび15に報告する。
【0073】
発明3層フィルムAおよびB
表11AおよびBに関連して、発明3層フィルムAおよびBを、以下の手順で二次加工する。二次加工条件を、表12および13に報告する。
【0074】
発明3層フィルムAは、(1)シーラント層であって、96.75重量%の発明実施例3の本発明のエチレン系ポリマー組成物と、重量で1000パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で2500ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるシーラント層と;(2)コア層であって、72.1重量%のDOWLEX(商標)2045.11G(約0.922g/cm3の密度および約1.0g/10分のメルトインデックス(190℃および2.16kgで測定される)を有するエチレンコポリマー(エチレン−オクテン・コポリマー))と、25重量%のINSPIRE(商標)114(約0.900g/cm3の密度および約0.50g/10分のメルトフローレート(190℃および2.16kgで測定される)を有するプロピレン系ポリマー)と、重量で1200パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で3000ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるコア層と;(3)スキン層であって、96.1重量%のDOWLEX(商標)2045.11G(約0.922g/cm3の密度および約1.0g/10分のメルトインデックス(190℃および2.16kgで測定される)を有するエチレンコポリマー(エチレン−オクテン・コポリマー))と、重量で1200パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で3000ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるスキン層;とを含む。発明3層フィルムBは、(1)シーラント層であって、96.75重量%の発明実施例1の本発明のエチレン系ポリマー組成物と、重量で1000パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で2500ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるシーラント層と;(2)コア層であって、72.1重量%のDOWLEX(商標)2045.11G(約0.922g/cm3の密度および約1.0g/10分のメルトインデックス(190℃および2.16kgで測定される)を有するエチレンコポリマー(エチレン−オクテン・コポリマー))と、25重量%のINSPIRE(商標)114(約0.900g/cm3の密度および約0.50g/10分のメルトフローレート(190℃および2.16kgで測定される)を有するプロピレン系ポリマー)と、重量で1200パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で3000ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるコア層と;(3)スキン層であって、96.1重量%のDOWLEX(商標)2045.11G(約0.922g/cm3の密度および約1.0g/10分のメルトインデックス(190℃および2.16kgで測定される)を有するエチレンコポリマー(エチレン−オクテン・コポリマー))と、重量で1200パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で3000ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるスキン層;とを含む。
【0075】
本発明の3層同時押出フィルムは、2台の2.5インチの24:1のL/DのEgan押出機(押出機AおよびB)と、1台の2インチの24:1のL/DのJohnson押出機(押出機C)とからなる3層同時押出インフレーションフィルムラインで二次加工する。前記の押出機は、全て、バレル加熱および冷却(閉ループ液体冷却系)を有する平滑ボア押出機である。前記押出機には、60HP、75HP、および20HPのDC駆動装置それぞれで動力を供給する。前記押出機は、Extrol 6032マイクロプロセッサーで制御する。押出しプロセスは、複数の圧力変換器(2 1/2"のバレル上に3台、各ブレカープレートならびに各バレル上の4つのヒーター帯域の前に1台および後に1台、ダイアダプターおよびダイブロックならびにダイ上の2つの帯域でそれぞれ1台)で監視する。マイクロプロセッサーもまた、各押出機で押出機のRPM、%FLC、HP、速度、レイフラット(Layflat)および溶融温度を追跡する。ダイは、15:75:15%の層比および70ミルのダイギャップを有する6インチのBattenfeld−Gloucesterダイである。使用する標準スクリューは、押出機Aについては2.88の圧縮比を有するNew Castle一条高剪断スクリューであり;押出機Bについては3.64の圧縮比を有するFeed ScrewのModified Double mixであり;および押出機Cについては2.5の圧縮比を有するJohnson一条スクリューである。2.5ミルフィルム(1.0ミルのシーラント層/1.0ミルのコア層/0.5ミルのスキン層)、21.5”までのスリット、コアと同一平面で切断(cut flush with core)の同時押出しフィルム構造を、2.5:1のBURで製造した。スクリーンパックの構成は、20:40:60:80:20メッシュであった。
【0076】
本発明の3層フィルムAおよびBを、Weigh Pack SystemsのXPDIUS ELITEシリースVFS袋詰め機で評価し、その結果を表14に示す。Weigh Pack VFFSパケージング装置は、多数のシーリングジョー:偽ジョー(false jaws)+シールジョー(この場合、シールジョーの背面は凹面であり、前面は凸面である)を使用した。キャッチプレート(catch plate)は、シールジョー真上でV形である。ジョーの強さは、サーボモーターに基づいて180単位(unit)で設定する。フィンシールジョー(fin seal jaw)は、50psiの保持圧力で設定する。
【0077】
バッグを、充填製品として2ポンドの測定した乾燥小豆を使用して試験する。予め測定した2ポンド量の乾燥小豆を、手で成形カラー(forming collar)を介してVFFSバッグに注ぐ。製品は、最小シール温度と最小滞留時間、すなわちVFFS生産速度の最大化の2つの臨界パラメーターについて評価する。最小シール温度は、VFFSバッグを、2ポンド分の乾燥小豆で一定の滞留時間(1.35秒)で満たし、VFFSバッグがもはや乾燥小豆を入れることができなくなるまでシール温度を下げることによって決定する。最小滞留時間を決定するために、複数のピローパウチ(pillow pouch)(製品を有していないVFFSバッグ)を調製する。試験は、2ポンドの乾燥小豆を入れるのに必要な最小シール温度よりも5℃上で開始する。次いで、シールバー滞留時間を、VFFSバッグがもはやシールを保持しなくなるまで短縮させる。
【0078】
最小シール温度の決定のために、複数のパッケージを調製した後に、これらのパッケージを約30秒間「硬化(setup)」させ、次いで激しく振動させて2ポンドの小豆のパッケージについて内容物を確認する。最小滞留時間の決定のために、空気を満たしただけのピローパウチを、約30秒間硬化させてシールを硬化させ、次いでこのパッケージに手で圧力を加えて、パッケージがシールで押し開かないかまたは大きな「チャンネル」リーカー(leaker)を有していないことを確認する。チャンネルリーカーは、パーケージの両端のシールのいずれかがパッケージの長辺上の長いシールと重なっている位置で形成された大きな穴である。密封(気密)シールは、冷凍食品を含めほとんどの固形食品用途に必要とされない。結果を表14に報告する。
【0079】
比較3層フィルムA
表11Cに関連して、比較3層フィルムAを、以下の手順に従って二次加工する。二次加工条件を、表12および13に報告する。
【0080】
比較3層フィルムAは、(1)シーラント層であって、96.75重量%のELITE(商標)5500G(約1.5g/10分のメルトインデックス(I2)(190℃および2.16kgで測定される)および約0.914g/cm3の密度を有するエチレン/オクテン・コポリマー)と、重量で1000パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で2500ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるシーラント層と;(2)コア層であって、72.1重量%のDOWLEX(商標)2045.11G(約0.922g/cm3の密度および約1.0g/10分のメルトインデックス(190℃および2.16kgで測定される)を有するエチレンコポリマー(エチレン−オクテン・コポリマー))と、25重量%のINSPIRE(商標)114(約0.900g/cm3の密度および約0.50g/10分のメルトフローレート(190℃および2.16kgで測定される)を有するプロピレン系ポリマー)と、重量で1200パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で3000ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるコア層と;(3)スキン層であって、96.1重量%のDOWLEX(商標)2045.11G(約0.922g/cm3の密度および約1.0g/10分のメルトインデックス(190℃および2.16kgで測定される)を有するエチレンコポリマー(エチレン−オクテン・コポリマー))と、重量で1200パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で3000ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるスキン層;とを含む。
【0081】
比較3層フィルムAは、2台の2.5インチの24:1のL/DのEgan押出機(押出機AおよびB)と1台の2インチの24:1のL/DのJohnson押出機(押出機C)とからなる3層同時押出インフレーションフィルムラインで二次加工する。前記の押出機は、全て、バレル加熱および冷却(閉ループ液体冷却系)を有する平滑ボア押出機である。前記押出機には、60HP、75HP、および20HPのDC駆動装置それぞれで動力を供給する。前記押出機は、Extrol 6032マイクロプロセッサーで制御する。押出しプロセスは、複数の圧力変換器(2 1/2”のバレル上に3台、各ブレカープレートならびに各バレル上の4つのヒーター帯域の前に1台および後に1台、ダイアダプターおよびダイブロックならびにダイ上の2つの帯域でそれぞれ1台)で監視する。マイクロプロセッサーもまた、各押出機で押出機のRPM、%FLC、HP、速度、レイフラットおよび溶融温度を追跡する。ダイは、15:75:15%の層比および70ミルのダイギャップを有する6インチのBattenfeld−Gloucesterダイである。使用する標準スクリューは、押出機Aについては2.88の圧縮比を有するNew Castle一条高剪断スクリューであり;押出機Bについては3.64の圧縮比を有するFeed ScrewのModified Double mixであり;および押出機Cについては2.5の圧縮比を有するJohnson一条スクリューである。2.5ミルフィルム(1.0ミルのシーラント層/1.0ミルのコア層/0.5ミルのスキン層)、21.5”までのスリット、コアと同一平面で切断(cut flush with core)の同時押出しフィルム構造を、2.5:1のBURで製造した。スクリーンパックの構成は、20:40:60:80:20メッシュであった。
【0082】
比較3層フィルムAを、Weigh Pack SystemsのXPDIUS ELITEシリースVFS袋詰め機で評価する。Weigh Pack VFFSパケージング装置は、多数のシーリングジョー:偽ジョー+シールジョー(この場合、シールジョーの背面は凹面であり、前面は凸面である)を使用した。キャッチプレートは、シールジョー真上でV形である。ジョーの強さは、サーボモーターに基づいて180単位で設定する。フィンシールジョーは、50psiの保持圧力で設定する。
【0083】
バッグを、充填製品として2ポンドの測定した乾燥小豆を使用して試験する。予め測定した2ポンド量の乾燥小豆を、手で成形カラーを介してVFFSバッグに注ぐ。製品は、最小シール温度と最小滞留時間、すなわちVFFS生産速度の最大化の2つの臨界パラメーターについて評価する。最小シール温度は、VFFSバッグを、2ポンド分の乾燥小豆で一定の滞留時間(1.35秒)で満たし、VFFSバッグがもはや乾燥小豆を入れることができなくなるまでシール温度を下げることによって決定される。最小滞留時間を決定するために、複数のピローパウチ(製品を有していないVFFSバッグ)を調製する。試験は、2ポンドの乾燥小豆を入れるのに必要な最小シール温度よりも5℃上で開始する。次いで、シールバー滞留時間を、VFFSバッグがもはやシールを保持しなくなるまで短縮させる。
【0084】
最小シール温度の決定のために、複数のパッケージを調製した後に、これらのパッケージを約30秒間「硬化(setup)」させ、次いで激しく振動させて2ポンドの小豆のパッケージについて内容物を確認する。最小滞留時間の決定のために、空気を満たしただけのピローパウチを、約30秒間硬化させてシールを硬化させ、次いでこのパッケージに手で圧力を加えて、パッケージがシールで押し開かないかまたは大きな「チャンネル」リーカーを有していないことを確認する。チャンネルリーカーは、パーケージの両端のシールのいずれかがパッケージの長辺上の長いシールと重なっている位置で形成された大きな穴である。密封(気密)シールは、冷凍食品を含めほとんどの固形食品用途に必要とされない。結果を表14に報告する。
【0085】
発明ブレンド2および3
発明ブレンド2は、80%の発明実施例4と、20%の高圧低密度ポリエチレン(Dow LDPE 5011、1.9g/10分のI2および0.922g/ccの密度を有する)とのブレンドである。
【0086】
発明ブレンド3は、70%の発明実施例4と、30%の高圧低密度ポリエチレン(Dow LDPE 5011、1.9g/10分のI2および0.922g/ccの密度を有する)とのブレンドである。
【0087】
発明ブレンド2および3は、単層インフレーションフィルムラインで2ミルの厚みで製造する。前記インフレーションフィルムラインは、単一の2.5インチDavis StandardバリアIIスクリューDSBIIからなる。スクリューの長さ/直径(L/D)の比は、30:1である。前記インフレーションフィルムラインは、二重リップエアリング冷却系および20:40:60:80:20メッシュのスクリーンパック構成を有する6インチのダイ直径を有する。フィルム二次加工条件を、表16に報告する。発明ブレンド1および比較ブレンド1を、これらの種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表17および18に報告する。
【0088】
比較ブレンド2および3
比較ブレンド2は、80%の比較実施例4と、20%の高圧低密度ポリエチレン(Dow LDPE 5011、1.9g/10分のI2および0.922g/ccの密度を有する)とのブレンドである。
【0089】
比較ブレンド3は、70%の発明実施例4と、30%の高圧低密度ポリエチレン(Dow LDPE 5011、1.9g/10分のI2および0.922g/ccの密度を有する)とのブレンドである。
【0090】
比較ブレンド2および3は、単層インフレーションフィルムラインで2ミルの厚みで製造する。前記インフレーションフィルムラインは、単一の2.5インチDavis StandardバリアIIスクリューDSBIIからなる。スクリューの長さ/直径(L/D)の比は、30:1である。前記インフレーションフィルムラインは、二重リップエアリング冷却系および20:40:60:80:20メッシュのスクリーンパック構成を有する6インチのダイ直径を有する。フィルム二次加工条件を、表16に報告する。比較ブレンド2および比較ブレンド3を、これらの種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表17および18に報告する。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【0091】
試験方法
密度
密度について測定する試料は、ASTM D1928に従って調製する。測定は、ASTM D792、方法Bを使用して、試料のプレスの1時間以内に行う。
【0092】
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわちI2は、ASTM D1238、条件190℃/2.16kgに従って測定し、10分当たりに溶出したグラム数で報告する。I10は、ASTM D1238、条件190℃/10kgに従って測定し、10分当たりに溶出したグラム数で報告する。
【0093】
DSC結晶化度
示差走査熱量測定(DSC)は、広い温度範囲にわたるポリマーの溶融および結晶化の挙動を測定するのに使用できる。例えば、RCS(冷蔵冷却装置)および自動サンプラーを備えたTA InstrumentsのQ1000 DSCを、この分析を行うのに使用する。試験中、50ml/分の窒素パージガス流を使用する。各試料を、約175℃で薄膜に溶融プレスし;次いでこの溶融試料を室温(〜25℃)に空冷する。3〜10mgの直径6mmの検体を、冷却したポリマーから抜き出し、秤量し、軽量アルミニウム鍋(約50mg)に入れ、圧着させる(crimped shut)。次いで、分析を行い、その熱的性質を決定する。
【0094】
試料の熱挙動は、試料温度を上昇および下降させることによって温度プロフィールに対する熱流を作成することによって決定される。最初に、試料を、180℃に急速加熱し、その熱履歴を除去するために3分間等温に保持する。次いで、試料を、10℃/分の冷却速度で−40℃まで冷却し、−40℃で3分間等温に保持する。次いで、試料を、10℃/分の加熱速度で150℃に加熱する(これは、「第二の加熱」勾配である)。冷却曲線および第二の加熱曲線を記録する。冷却曲線は、ベースラインのエンドポイントを、結晶化の開始から−20℃まで設定することによって分析する。加熱曲線は、ベースラインのエンドポイントを、−20℃から溶融の終わりまで設定することによって分析する。決定した値は、ピーク溶融温度(Tm)、ピーク結晶化温度(Tc)、融解熱(Hf)(J/g)、および図6に示す式6を使用してポリエチレン試料について算出した%結晶化度である。
【0095】
融解熱(Hf)およびピーク溶融温度は、第二の加熱曲線から報告する。ピーク結晶化温度は、冷却曲線から決定する。
【0096】
動的機械的分光分析(DMS)周波数掃引
溶融レオロジー、一定温度周波数掃引を、25mmパラレルプレートを備えたTA InstrumentsのAdvanced Rheometric Expansion System(ARES)レオメーターを使用して窒素パージ下で行った。周波数掃引を、全ての試料について2.0mmのギャップおよび10%の一定歪みで、190℃で行った。周波数間隔は、0.1〜100ラジアン/秒であった。応力応答を、振幅および相について分析し、これらから貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、および動的溶融粘度(η*)を算出した。
【0097】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)
GPC装置は、搭載示差屈折計(RI)を備えたWaters(Milford、MA)製150℃高温クロマトグラフ(他の適当な高温GPC装置としては、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)製のModel 210およびModel 220が挙げられる)からなる。さらなる検出器としては、Polymer ChAR(Valencia、スペイン)製のIR4赤外線検出器、Precision Detectors(Amherst、MA)製の2角度レーザー光分散検出器モデル2040、およびViscotek(Houston、TX)製の150R 4−キャピラリー溶液粘度計が挙げられる。最後の2つの独立した検出器と、最初の検出器の少なくとも1つとを有するGPCは、時には「3D−GPC」と呼ばれ、これに対して用語「GPC」単独は、一般に従来のGPCを指す。試料に応じて、光散乱検出器の15°の角度または90°の角度のいずれかを計算のために使用する。データ収集は、Viscotek TriSECソフトウエア、バージョン3および4−チャンネルViscotek Data Manager DM400を使用して行う。この装置はまた、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)製のオンライン溶媒脱ガス装置も備えている。適当な高温GPCカラム、例えば4本の長さ30cmのShodex HT803 13ミクロンカラムまたは20ミクロン混合細孔径充填の4本の30cmのPolymer Labsカラム(MixA LS、Polymer Labs)を使用できる。試料カルーセルコンパートメントは、140℃で操作し、カラムコンパートメントは、150℃で操作する。試料は、溶媒50ml中にポリマー0.1gの濃度で調製する。クロマトグラフ溶媒および試料調製溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。両方の溶媒には、窒素を散布する。ポリエチレン試料は、160℃で4時間穏やかに攪拌する。注入量は、200μlである。GPCを通る流量は、1ml/分に設定する。
【0098】
GPCカラムセットは、種々の実施例の試料を流す前に21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を流すことによって較正する。前記標準物質の分子量(MW)は、モル当たり580〜8,400,000グラムの範囲にあり、前記標準物質は、6個の「カクテル」混合物に含有させる。各標準物質混合物は、それぞれの分子量の間に少なくとも10の隔たりを有する。前記標準物質混合物は、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)から購入する。ポリスチレン標準物質は、モル当たり1,000,000グラム以上の分子量については溶媒50mL中に0.025gで調製し、モル当たり1,000,000グラム未満の分子量については溶媒50ml中に0.05gで調製する。ポリスチレン標準物質は、80℃で30分間穏やかに攪拌しながら溶解させる。分子量分布の狭い標準物質の混合物を最初に流し、分解を最小限にするために最大分子量成分を減少させる順序で流す。ポリスチレン標準物質ピーク分子量は、ポリスチレンおよびポリエチレンについて後で述べるMark−Houwink K値およびa値(時にはαと呼ばれる)を使用してポリエチレンMWに変換する。この手順の実証については、実施例のセクション参照。
【0099】
3D−GPCを用いて、絶対重量平均分子量(「Mw,Abs」)および固有粘度も、前述の条件と同じ条件を使用して適当な分子量分布の狭いポリエチレン標準物質から個々に得られる。これらの分子量分布の狭い線状ポリエチレン標準物質は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK;Part No.PL2650−0101およびPL2650−0102)から得てもよい。
【0100】
多重検出器オフセットの決定の系統的なアプローチは、Balke、Moureyら(Mourey and Balke, Chromatography Polym., Chapter 12, (1992))(Balke, Thitiratsakul, Lew, Cheung, Mourey, Chromatography Polym., Chapter 13, (1992))によって公表された方法と一致する方法で行い、Dow 1683ブロードポリスチレン(American Polymer Standards Corp.;Mentor、OH)またはその同等物からの3つの検出器記録(Mwおよび固有粘度)結果を、分子量分布の狭いポリスチレン標準物質の較正曲線からの分子量分布の狭い標準物質のカラム較正結果に最適化する。検出器容量オフセットの決定を説明する分子量データは、Zimm(Zimm, B.H., J. Chem. Phys., 16, 1099(1948))およびKratochvil(Kratochvil, P., Classical Light Scattering from Polymer Solutions, Elsevier, Oxford, NY(1987))によって公表された方法と一致する方法で得られる。分子量の決定で使用した全注入濃度は、適当な線状ポリエチレンホモポリマー、または前記ポリエチレン標準物質の1つから誘導される質量検出器面積および質量検出器定数から得られる。計算分子量は、前述のポリエチレン標準物質の1つまたはそれ以上から誘導される光散乱定数と、0.104の屈折率濃度係数(dn/dc)とを使用して得られる。一般に、質量検出器応答および光散乱定数は、約50,000ダルトンを超える分子量を有する線状標準物質から決定されるべきである。粘度計の較正は、製造業者によって報告された方法を使用するか、あるいは適当な線状標準物質、例えば標準対照物質(Standard Reference Materials(SRM))1475a、1482a、1483、または1484aの公表値を使用することによって達成できる。クロマトグラフ濃度は、第2ビリアル係数効果(分子量に対する濃度効果)を処理することを排除するのに十分に低いと推定される。
【0101】
3D−GPCによるg’
試料ポリマーの指数(g’)は、上記のゲル透過クロマトグラフィー法に記載の光散乱検出器、粘度検出器、および濃度検出器を、SRM 1475aホモポリマーポリエチレン(またはその同等基準)を用いて最初に較正することによって決定される。光散乱および粘度計検出器のオフセットは、前記較正に記載のように濃度検出器に関連して決定される。ベースラインは、光散乱、粘度計、および濃度のクロマトグラムから引かれ、次いで積分ウィンドウが、屈折率クロマトグラムから検出可能なポリマーの存在を示す光散乱および粘度計クロマトグラムの低分子量保持容量範囲の全てを積分することを確実にするように設定される。線状ホモポリマーポリエチレンが、幅広い分子量のポリエチレン基準、例えばSRM1475a標準物質を注入し、データファイルを計算し、各クロマトグラフスライスについて固有粘度(IV)および分子量(Mw)(それぞれは、光散乱検出器および粘度検出器それぞれから誘導される)、ならびに濃度(RI検出器質量定数から決定される)を記録することによってMark−Houwink(MH)直線状基準線を確立するのに使用される。試料の分析のために、各クロマトグラフスライスのための手順が、試料Mark−Houwink線を得るために反復される。幾つかの試料については、より低い分子量、固有粘度および分子量データは、測定された分子量および固有粘度が線状ホモポリマーGPC較正曲線に漸近的に近づくように外挿される必要があり得ることに留意されたい。この目的に、多数の高分岐エチレン系ポリマー試料は、直線状基準線が長鎖分岐指数(g’)の算出を進める前に短鎖分岐の寄与を説明するためにわずかにシフトすることを必要とする。
【0102】
g−プライム(gi’)は、図7に示すように、式7に従って各分岐試料クロマトグラフスライス(i)および測定する分子量(Mi)について算出され、算出は、線状基準試料において均等分子量(Mj)でIVlinear reference,jを利用する。言い換えれば、試料IVスライス(i)および基準IVスライス(j)は、同じ分子量を有する(Mi=Mj)。簡単にするために、IVlinear reference,jスライスは、基準Mark−Houwinkプロットの5次多項式フィットから算出される。IV比、すなわちgi’は、光散乱データのシグナル対ノイズ限界のために3,500よりも大きい分子量で得られるだけである。各データスライス(i)での試料ポリマーの分岐の数(Bn)は、0.75の粘度遮蔽イプシロン係数を仮定して、図8に示すように、式8を使用することによって決定できる。
【0103】
最後に、前記スライス(i)の全てにわたるポリマーの炭素1000個当たりの平均LCBf量が、図9に示すように、式9を使用して決定できる。
【0104】
3D−GPCによるgpcBR分岐指数
3D−GPC構成において、ポリエチレンおよびポリスチレンの標準物質が、2つのポリマーのタイプ、ポリスチレンおよびポリエチレンのそれぞれについてMark−Houwink定数、Kおよびαそれぞれを測定するのに使用できる。これらは、以下の方法の適用においてWilliamsとWardのポリエチレン等価分子量の精度を上げるのに使用できる。
【0105】
gpcBR分岐指数は、最初に前記のように光散乱検出器、粘度検出器、および濃度検出器を較正することによって決定される。次いで、ベースラインが、光散乱、粘度計、および濃度のクロマトグラムから引かれる。次いで、積分ウィンドウが、屈折率クロマトグラムから検出可能なポリマーの存在を示す光散乱および粘度計クロマトグラムの低分子量保持容量範囲の全ての積分を確実にするように設定される。次いで、線状ポリエチレン標準物質が、前記のようにポリエチレンおよびポリスチレンのMark−Houwink定数を確立するのに使用される。これらの定数を得ると、この2つの値は、式10および11、図10および11それぞれに示すように、溶出量の関数としてポリエチレンの分子量およびポリエチレンの固有粘度について2つの線状基準従来較正(「cc」)を構成するのに使用される。
【0106】
gpcBR分岐指数は、長鎖分岐の特性決定のためのロバスト法である。Yau, Wallace W., 「Examples of Using 3D-GPC-TREF for Polyolefin Characterization」、Macromol. Symp., 2007, 257, 29-45参照。この指数は、全ポリマー検出器面積および面積ドット積を支持するg’値の決定および分岐頻度の計算に伝統的に使用されているスライス毎の3D−GPC計算を避ける。3D−GPCデータから、ピーク面積法を使用する光散乱(LS)検出器によって試料体積Mwを得ることができる。この方法は、g’の決定において必要な濃度検出器シグナル全体に対する光散乱検出器シグナルのスライス毎の比を回避する。
【0107】
図12に示す式12の面積計算は、全試料面積として、それは検出器ノイズならびにベースラインおよび積分限界のGPC設定によって生じる変動に対しあまり敏感でないという理由から、よりよい精度を提供する。さらに重要なことに、ピーク面積計算は、検出器容量オフセットの影響を受けない。同様に、高精度の試料固有粘度(IV)は、図13に示すように、式13に示される面積法によって得られる。式中のDPiはオンライン粘度計から直接監視される示差圧力シグナルを表す。
【0108】
gpcBR分岐指数を決定するために、試料ポリマーの光散乱溶出面積が、試料の分子量を決定するのに使用される。試料ポリマーの粘度検出器溶出面積が、試料の固有粘度(IVまたは[η])を決定するのに使用される。
【0109】
最初に、線状ポリエチレン標準試料、例えばSRM1475aまたは均等物の分子量および固有粘度が、図14および15それぞれに示すように、式14および15によって、溶出量の関数として分子量と固有粘度の両方について従来の較正を使用して決定される。
【0110】
図16に示すように、式16が、gpcBR分岐指数を決定するために使用される。式中の[η]は、測定された固有粘度であり、[η]ccは、従来の較正による固有粘度であり、Mwは、測定された重量平均分子量であり、およびMw,ccは、従来の較正の重量平均分子量である。図12に示すように、式12を使用する光散乱(LS)によるMwは、一般に絶対Mwと呼ばれ;これに対して従来のGPC分子量較正曲線を使用する、図14に示すように、式14からのMw,ccは、多くの場合ポリマー鎖Mwと呼ばれる。下付き文字「cc」を有する全ての統計値は、そのそれぞれの溶出量、前記のような対応する従来の較正、および質量検出器の応答から誘導される濃度(Ci)を使用して決定される。下付き文字のない値は、質量検出器、LALLS、および粘度計面積に基づいて測定された値である。KPEの値は、線状基準試料が0のgpcBR測定値を有するまで繰り返し調節される。例えば、この特定の場合のgpcBRの決定のためのαおよびLogKの最終値は、ポリエチレンについてはそれぞれ0.725および−3.355であり、ポリスチレンについてはそれぞれ0.722および−3.993である。
【0111】
K値およびα値が一旦決定されると、前記手順が、分岐試料を使用して繰り返される。分岐試料は、最良の「cc」較正値として最終Mark−Houwink定数を使用し、図12〜16に示すように、式12〜16それぞれを適用して分析される。
【0112】
gpcBRの解釈は、簡単である。線状ポリマーについて、図16に示すように、式16から計算されたgpcBRは、LSおよび粘度測定法によって測定された値が従来の較正標準に近いのでゼロに近いであろう。分岐ポリマーについては、gpcBRは、測定されたポリマーMwが、計算されたMw,ccよりも高く、計算されたIVccが、測定されたポリマー固有粘度(IV)よりも高いので、特に高レベルのLCBで、0よりも高いであろう。実際に、gpcBR値は、ポリマー分岐の結果として分子サイズ収縮効果に起因して分数(franctional)IV変化を表す。0.5または2.0のgpcBR値は、当量の線状ポリマー分子に対して50%および200%それぞれのレベルでのIVの分子サイズ収縮効果を意味するであろう。
【0113】
これらの特定の実施例において、g’指数および分岐頻度の計算と比べてgpcBRを使用する利点は、より高い精度のgpcBRのによるものである。gpcBR指数の決定で使用したパラメーターは全て、良好な精度で得られ、濃度検出器からの高分子量での低い3D−GPC検出器応答の悪影響を受けない。検出器容量アライメントの誤差もまた、gpcBR指数決定の精度に影響を及ぼさない。他の特定の場合には、Mwモーメントを決定する別の方法が、前述の技法よりも好ましいものであり得る。
【0114】
CEF法
コモノマー分布分析は、結晶化溶出分別法(CEF)を用いて行われる(PolymerChar in Spain)(B. Monrabal et al., Macromol. Symp., 257, 71-79(2007))。600ppmの酸化防止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を有するオルトジクロロベンゼン(ODCB)を、溶媒として使用する。試料調製は、自動サンプラーを用いて4mg/ml(特に明記しない限りは)で、振盪下に160℃で2時間行う。注入量は、300μlである。CEFの温度プロフィールは、110℃から30℃まで3℃/分での結晶化、30℃で5分間の熱平衡、30℃から140℃まで3℃/分での溶出である。結晶化中の流量は、0.052ml/分である。溶出中の流量は、0.50ml/分である。データは、1データポイント/秒で収集する。
【0115】
CEFカラムは、Dow Chemical Companyによって1/8インチのステンレス管を用いガラスビーズを125um+6%(MO−SCI Specialty Products)で用いて充填される。ガラスビーズは、Dow Chemical Companyからの要求に従ってMO−SCI Specialtyで酸洗浄される。カラム容量は、2.06mlである。カラム温度の較正は、ODCB中のNIST標準基準物質線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)とエイコサン(2mg/ml)との混合物を使用することによって行う。温度は、NIST線状ポリエチレン1475aが101.0℃でピーク温度を有し、およびエイコサンが30.0℃のピーク温度を有するように、溶出加熱速度を調節することによって較正する。CEFカラム分離度(resolution)は、NIST線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)とヘキサコンタン(Fluka、purum、≧97.0%、1mg/ml)との混合物を用いて算出する。ヘキサコンタンとNISTポリエチレン1475aのベースライン分離が、達成される。ヘキサコンタンの面積(35.0℃から67.0℃まで)対67.0℃から110.0℃までのNIST 1475aの面積は、50:50であり、35.0℃未満の可溶性画分の量は、<1.8重量%である。CEFカラム分離度は、図17に示すように、式17に定義され、カラム分離度は6.0である。
【0116】
CDC法
コモノマー分布定数(CDC)は、CEFによるコモノマー分布プロフィールから算出される。CDCは、式1(図1)に示すように100を乗じてコモノマー分布形状係数で割ったコモノマー分布指数として定義される。
【0117】
コモノマー分布指数は、35.0℃から119.0℃まで0.5のメジアンコモノマー含有量(Cメジアン)から1.5のCメジアンまでの範囲のコモノマー含有量を有するポリマー鎖の全重量分率を表す。コモノマー分布形状係数は、ピーク温度(Tp)からコモノマー分布プロフィールの標準偏差で除算したコモノマー分布プロフィールの半値幅の比として定義される。
【0118】
CDCは、コモノマー分布プロフィールからCEFによって算出され、CDCは、式1(図1)に示すように100を乗算するコモノマー分布形状係数で除算したコモノマー分布指数として定義され、式中のコモノマー分布指数は、35.0℃から119.0℃まで0.5の平均コモノマー含有量(Cメジアン)から1.5のCメジアンまでの範囲のコモノマー含有量を有するポリマー鎖の全重量分率を表し、式中のコモノマー分布形状係数は、ピーク温度(Tp)からコモノマー分布プロフィールの標準偏差で除算したコモノマー分布プロフィールの半値幅の比として定義される。
【0119】
CDCは、以下の手順:すなわち、
(A)図2に示すように、式2に従ってCEFにより0.200℃の温度の段階的な上昇で35.0℃から119.0℃までの各温度(T)での重量分率(WT(T))を得;
(B)図3に示すように、式3に従って0.500の累積重量分率でのメジアン温度(Tメジアン)を算出し;
(C)図4に示すように、式4に従ってコモノマー含有量較正曲線を使用することによってメジアン温度(Tメジアン)での対応するモル%でのメジアンコモノマー含有量(Cメジアン)を算出し;
(D)既知量のコモノマー含有量を有する一連の基準物質を使用することによってコモノマー含有量較正曲線を作成し、すなわち0.0モル%から7.0モル%までの範囲のコモノマー含有量での35,000〜115,000(従来のGPCで測定される)の重量平均Mwを有する狭いコモノマー分布(35.0℃から119.0℃までのCEFでの単峰性コモノマー分布)を有する11個の基準物質を、CEFにより、CEF実験の部に明記した実験条件と同じ実験条件で分析し;
(E)各基準物質のピーク温度(Tp)およびそのコモノマー含有量を使用することによってコモノマー含有量較正を算出し;前記較正は、式4(図4)(式中:R2は相関定数である)に示すように各基準物質から算出し;
(F)コモノマー分布指数を、0.5*Cメジアンから1.5*Cメジアンまでの範囲のコモノマー含有量を用いて全重量分率から算出し、Tメジアンが98.0℃よりも高い場合には、コモノマー分布指数を0.95と定義し;
(G)35.0℃から119.0℃までの最大ピークについて各データポイントを検索する(2つのピークが同じである場合には、低い温度ピークを選択する)ことによってCEFコモノマー分布プロフィールから最大ピーク高さを得;半値幅を、最大ピーク高さの半値での前部温度と後部温度の間の温度差として定義し、最大ピークの半値での前部温度は、35.0℃よりも前方で調べ、これに対して最大ピークの半値での後部温度は、119.0℃よりも後方で調べ、ピーク温度の差が、各ピークの半値幅の合計の1.1倍以上である十分に定義された双峰性分布の場合には、本発明のエチレン系ポリマー組成物の半値幅は、各ピークの半値幅の算術平均として算出し;
(H)図5に示すように、式5に従って温度の標準偏差(Stdev)を算出する;
手順に従って算出される。
【0120】
従来のGPC Mw−gpc決定
Mw−GPC値を得るために、クロマトグラフィー装置は、屈折率(RI)濃度検出器を備えたPolymer LaboratoriesモデルPL−210またはPolymer LaboratoriesモデルPL−220のいずれかからなる。カラムおよびカルーセルコンパートメントは、140℃で操作する。3本のPolymer Laboratories 10μm混成Bカラムを、1,2,4−トリクロロベンゼンの溶媒と共に使用する。試料は、溶媒50mL中にポリマー0.1gの濃度で調製する。試料を調製するのに使用した溶媒は、200ppmの酸化防止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。試料は、160℃で4時間穏やかに攪拌することによって調製する。使用した注入量は、100マイクロリットルであり、流量は1.0mL/分である。GPCカラムセットの較正は、Polymer Laboratoriesから購入した21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて行う。ポリスチレン標準物質ピーク分子量は、図26に示すように、式26に示すポリエチレン分子量に変換する。式中のMは、分子量であり、Aは、0.4316の値を有しおよびBは1.0に相当する。
【0121】
三次多項式が、対数分子量較正を溶出量の関数として構築するために決定される。上記の従来の較正による重量平均分子量は、図27に示すように、式27に示す式のMwccとして定義される。この場合、合計は、GPC溶出曲線全体にわたり、RIおよびMccは、RI検出器シグナルおよび各GPC溶出スライスで従来の較正分子量を表す。ポリエチレン等価分子量の計算は、Viscotek TriSECソフトウエアバージョン3.0を使用して行う。重量平均分子量ΔMwの精度は、<2.6%で優れている。
【0122】
クリープゼロ剪断粘度測定法:
ゼロ剪断粘度は、AR−G2応力制御型レオメーター(TA Instruments;New Castle、Del)で直径25mmのパラレルプレートを190℃で使用して実施されるクリープ試験によって得られる。レオメーターオーブンは、固定具(fixture)をゼロに合わせる前に少なくとも30分間、試験温度に設定する。試験温度で、圧縮成形試料ディスクを、パラレルプレートの間に挿入し、5分間平衡に至らせる。次いで、上部プレートを、所望の試験ギャップ(1.5mm)の上方50μmまで下げる。余分な材料を切り落とし、上部プレートを所望のギャップまで下げる。測定は、5L/分の流量での窒素パージ下で行う。デフォルトクリープ時間は、2時間に設定する。
【0123】
20Paの一定低剪断応力を、試料の全てについて、常状態剪断速度がニュートン領域内にあるように十分に低いことを保証するために加える。得られる定常状態剪断速度は、この試験での試料について10−3〜10−4s−1の範囲内にある。定常状態は、log(J(t))対log(t)のプロットの最後の10%時間窓内の全てのデータについて線形回帰を考慮することによって決定され、J(t)はクリープコンプライアンスであり、tはクリープ時間である。線形回帰の勾配が0.97よりも大きい場合は、定常状態に達していると見なし、クリープ試験を停止する。この試験の全ての場合において、勾配は、2時間以内に基準を満たす。定常状態剪断速度は、ε対tのプロットの最後の10%時間窓内のデータポイントの全ての線形回帰の勾配から決定され、εは歪みである。ゼロ剪断粘度は、負荷応力と定常状態剪断速度との比から決定される。
【0124】
試料がクリープ試験中に分解するか否かを決定するために、小振幅振動剪断試験を、クリープ試験の前後に0.1〜100ラジアン/秒で同じ試験片について行う。2回の試験の複素粘度値を比較する。0.1ラジアン/秒での粘度の値の差が5%より大きい場合は、試料がクリープ試験中に分解していると見なし、結果を破棄する。
【0125】
ゼロ剪断粘度比(ZSVR)は、図18に示すように、式18に示すように同等重量平均分子量(Mw-gpc)での分岐ポリエチレン材料のゼロ剪断粘度(ZSV)と、線状ポリエチレン材料のZSVとの比として定義される。
【0126】
ZSV値は、前記の方法による190℃でのクリープ試験から得られる。Mw-gpc値は、前記のような従来のGPC法によって決定される。線状ポリエチレンのZSVとそのMw-gpcとの相関関係は、一連の線状ポリエチレン基準物質に基づいて確立された。ZSV−Mwの関係の説明は、ANTEC会報: Karjala, Teresa P.;Sammler, Robert L.;Mangnus, Marc A.;Hazlitt, Lonnie G.;Johnson, Mark S.;Hagen, Charles M., Jr.;Huang, Joe W.L.;Reichek, Kenneth N. Detection of low levels of long-chain branching in Polyolefins. Annual Technical Conference − Society of Plastics Engineers (2008), 66th 887-891に見出すことができる。
【0127】
1H NMR法
3.26gの原液を、10mmNMR管の0.133gのポリオレフィン試料に加える。原液は、0.001M Cr3+を有する、テトラクロロエタン−d2(TCE)とパークロロエチレンの混合物(50:50、w:w)である。管の溶液に、N2を5分間パージして酸素の量を減少させる。栓をした試料管を、室温で一夜放置してポリマー試料を膨潤させる。試料を、振盪しながら110℃で溶解させる。試料は、不飽和度に寄与するかもしれない添加剤、例えばエルカ酸アミドなどのスリップ剤を含んでいない。
【0128】
1H NMRは、10mmクライオプローブを用いて、Bruker AVANCE 400MHz分光計で、120℃で操作する。
【0129】
2つの実験:すなわち対照実験と二重予備飽和実験を行い、不飽和度を得る。
【0130】
対照実験について、データは、LB=1Hzを用いて指数ウィンドウ関数を用いて処理し、ベースラインを7ppmから−2ppmに補正した。TCEの残存1Hからのシグナルを100に設定し、−0.5〜3ppmの積分Itotalを、対照実験の全ポリマーからのシグナルとして使用する。ポリマー中のCH2基(NCH2)の個数を、以下のように算出する:
NCH2=Itotal/2
二重予備飽和実験について、データは、LB=1Hzを用いて指数ウィンドウ関数を用いて処理し、ベースラインを6.6ppmから4.5ppmに補正した。TCEの残存1Hからのシグナルを100に設定し、不飽和度(Iビニレン、I三置換、IビニルおよびIビニリデン)についての対応する積分は、図20に示す領域に基づいて積分した。ビニレン、三置換、ビニルおよびビニリデンの不飽和単位の個数が、算出される:
Nビニレン=Iビニレン/2
N三置換=I三置換
Nビニル=Iビニル/2
Nビニリデン=Iビニリデン/2
【0131】
不飽和単位/炭素1,000,000個は、以下のように算出する:
Nビニレン/1,000,000C=(Nビニレン/NCH2)*1,000,000
N三置換/1,000,000C=(N三置換/NCH2)*1,000,000
Nビニル/1,000,000C=(Nビニル/NCH2)*1,000,000
Nビニリデン/1,000,000C=(Nビニリデン/NCH2)*1,000,000
【0132】
不飽和NMR分析の要件としては:定量のレベルが、3.9重量%の試料(Vd2構造について、Macromolecules, vol.38, 6988, 2005参照)、10mm高温クライオプローブを用いて200回のスキャン(対照実験を行う時間を含めて1時間未満のデータ収集)を用いて、Vd2について0.47+0.02/1,000,000炭素であることが挙げられる。定量のレベルは、10のシグナル対ノイズ比として定義される。
【0133】
化学シフトの基準は、TCT−d2からの残存プロトンからの1Hシグナルについて6.0ppmで設定する。対照は、ZG パルス、TD 32768、NS 4、DS 12、SWH 10,000Hz、AQ 1.64s、D1 14sで操作する。二重予備飽和実験は、モディファイド(modified)パルスシーケンス、O1P 1.354ppm、O2P 0.960ppm、PL9 57db、PL21 70db、TD 32768、NS 200、DS 4、SWH 10,000Hz、AQ 1.64s、D1 1s、D13 13sで操作する。Bruker AVANCE 400MHz分光計を用いた不飽和についてのモディファイドパルスシーケンスを、図21に示す。
【0134】
ゲル含有量
ゲル含有量は、キシレン中でASTM D2765−01、方法Aに従って決定する。試料は、安全かみそりの刃を使用して必要な大きさに切断する。
【0135】
フィルム試験条件
以下の物理的性質を、製造したフィルムについて測定する:
・全体的(総合的)表面および内部曇り:内部曇りおよび全体の曇りについて測定する試料は、ASTM D1003に従ってサンプリングし、調製する。内部曇りは、フィルムの両面について鉱油を使用して屈折率整合によって得る。Hazeguard Plus(BYK−Gardner USA;Columbia、MD)を試験に使用する。表面曇りは、全体的曇りと内部曇りの間の差として決定する。
・45°光沢:ASTM D−2457。
・MDおよびCDエルメンドルフ引裂強さ:ASTM D−1922。
・MDおよびCD引張り強さ:ASTM D−882。
・落槍衝撃強さ:ASTM D−1709。
【0136】
破壊および破壊変性
・破壊:破壊は、Instronモデル4201でSintech Testworksソフトウエアバージョン3.10を用いて測定する。試験片サイズは、6インチ×6インチであり、4回の測定を行って平均破壊値を決定する。フィルムは、ASTM制御実験室でフィルム製造後に40時間、少なくとも24時間状態調節する。100ポンド荷重セルを、12.56平方インチの丸型試験片ホルダーと共に使用する。破壊プローブは、7.5インチの最大移動長を有する直径1/2インチの研磨ステンレス鋼製ボール(0.25インチロッド上)である。ゲージ長はない;このプローブは、試験片にできるだけ近づけるが、接触させない。使用したクロスヘッド速度は、10インチ/分である。厚みは、試験片の中心で測定する。フィルムの厚み、移動させたクロスヘッドの距離、およびピーク荷重を使用して、ソフトウエアで破壊を決定する。破壊プローブは、各試験片の後に「Kim−wipe」を使用して掃除する。
・破壊変性:破壊プローブが、0.5インチのロッド上に置いた直径0.5インチの研磨ステンレス鋼シリンダーである以外は、破壊強さと同じである。
【0137】
促進酸化窒素(NOx)ガス退色試験法
ガス退色試験は、米国繊維化学染色協会(America Association Textile Chemist and Colorists)(AATCC)試験法23−1994であり、これは、加熱ガスの燃焼により誘導されるような空中窒素酸化物に暴露された場合の試験片の色の変化を評価する。試料室は、ガスバーナー上を通過し、ガスバーナー(この場合には、天然ガス)からの燃焼の副生物を含有する空気の雰囲気への試料の暴露を可能にする。オーブン内部の雰囲気は、ドレーゲル管を使用して測定される〜5ppmの窒素酸化物を含有する。試験は、窒素酸化物を生成するフォークリフトまたはガス燃焼装置からの排気への暴露による倉庫内の高められた温度で保管を促進するのに使用される。
【0138】
フィルム試料を、ガス退色オーブン中に60℃で入れる。24時間毎に、ポリマーの色の変化の程度を、Minolta CM−2600d分光光度計を使用して、ASTM法E313に従ってCIE L*a*b*値を記録することによって測定する。国際照明委員会(通常、そのフランス語名、Commission Internationale de l'eclairageについてCIEと略記される)は、光、照明、色、および色空間に関する国際機関であり、現在オーストリアのウイーンに置かれている。特に、b*値の変化は、非暴露試料と比べて黄色(陽性b*変化)または青色(陰性b*変化)へのシフトを提供する。試験は、10日間の暴露後に終える。
【0139】
特に明記しない限りは、文脈からの暗示または当該分野での慣行、全ての部およびパーセントは、重量に基づく。
【0140】
優先権書類を含め、引用した全ての出願、刊行物、特許、試験手順、およびその他の文献は、このような開示が、開示された組成物および方法と矛盾しない程度に、およびこのような組み込みが容認される全ての司法権の及ぶ範囲について矛盾しない程度に、参照することによって完全に組み込まれる。
【0141】
試料のフィルム特性を、以下の表に示す。実施例6は、改善されたMD破壊応力、ピーク荷重、ならびに破断歪およびCD破壊応力についてCE2と比べて引張特性において利点を示す。実施例6について以下の表に示す他の特性は、頑丈な輸送用袋(heavy duty shipping sack)(HDSS)およびその他のフィルム用途で使用するのに許容できる/良好である。10%LDPE 133Aとのブレンドについて、破壊は、実施例6+10%LDPE 133Aと、CE2+10%LDPE 133Aとの間で極めて類似し、改善されたMD破壊応力、MDピーク荷重、MD破壊歪み、MD降伏応力、CD破壊応力、およびCD降伏歪のCE2+10%LDPE 133Aと比べて実施例6+10%LDPE 133Aについて利点が認められる。
【0142】
本発明の主要な利点を、図25に示す。図25において、フィルムは、促進酸化窒素(NOx)ガス退色試験法で試験する。比較フィルム2Aは、b*軸増大に認められるように1日後に著しく黄色になる傾向があった。また、この結果は、LDPE、すなわち90%比較ブレンド1とのブレンドについても認められた。1.5単位以下のCIEのb*変化は、10日後にこれらの試験条件下で許容できると考えられる。発明フィルム4は、3.18の比較フィルム2Aと比べて0.68の変化で示されるようにこの要件を満たす。さらに、LDPEとのブレンドについて、発明ブレンド1は、10日間にわたって0.51のb*変化を有し、所定の要件を満たし、比較ブレンド1は、3.75の値でこの要件を満たさなかった。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年3月2日付で出願された米国非仮特許出願番号第12/716,004号の優先権を主張し、その開示は、米国特許実務のために参照することによって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
高圧フリーラジカル化学を使用して製造されるポリエチレンポリマー(LDPE)、典型的にはチーグラー・ナッタ触媒またはメタロセンを使用して製造されるより伝統的な線状低密度ポリエチレン(LLDPE)あるいは拘束幾何触媒化ポリエチレンを含め、長年にわたって多数の様々な重合させたポリエチレンポリマーが存在している。幾つかの線状ポリエチレンだけではなく、幾つかの実質的に線状のポリエチレンも、微量の長鎖分岐を含有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらのポリマーは、様々な長所と欠点を有しているが―用途または最終用途に応じて―ポリマー構造全体に関してよりいっそうの調節がさらに望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、今般、ポストメタロセン触媒が、エチレンを、調節されたコモノマー分布プロフィールを有するポリマーおよびポリマー組成物に効率的に重合させることができ、同時にポリマーの不飽和度も調節できることを見出した。
【0005】
本発明は、エチレン系ポリマー組成物、およびその製造方法、それから製造されるフィルムを提供する。1つの実施形態において、本発明は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、例えば350の高さ、または別の態様では300の高さ、または別の態様では250の高さ、あるいは別の態様では200の高さのコモノマー分布定数(CDC)によって特徴付けられるエチレン系ポリマー組成物であって、前記組成物が120個未満の全不飽和単位/1,000,000C、例えば110個未満の全不飽和単位/1,000,000、または別の態様では100個未満の全不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では80個未満の全不飽和単位/1,000,000C、あるいは別の態様では70個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有するエチレン系ポリマー組成物である。好ましくは、前記組成物は、15個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、例えば12個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では10個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では8個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、あるいは別の態様では5個未満の三置換不飽和単位/1,000,000Cを有する。好ましくは、前記エチレン系ポリマー組成物は、最大約3個までの長鎖分岐/炭素1000個、さらに好ましくは約0.01〜約3個の長鎖分岐/炭素1000個を含む。前記エチレン系ポリマー組成物は、少なくとも2および/または50未満のゼロ剪断粘度比(Zero Shear Viscosity ratio)(ZSVR)を有することができる。前記エチレン系ポリマー組成物は、20個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、例えば18個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では15個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では12個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、あるいは別の態様では10個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000Cを含むことによってさらに特徴付けることができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、双峰性分子量分布(MWD)または多峰性MWDを有することができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物はまた、単峰性MWDも有することができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、パージを除いて、35℃から120℃まで単峰性または双峰性分布を含むコモノマー分布プロフィールを有することができる。コモノマー分布プロフィールは、結晶化溶出分別法(CEF)によって得られる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、単一のDSC溶融ピークを含むことができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物はまた、双峰性溶融ピークまたは多重溶融ピークを含むこともできる。前記エチレン系ポリマー組成物は、17,000〜220,000g/モル、例えば60,000〜220,000g/モル、70,000〜140,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を含むことができる。
【0006】
好ましくは、本発明のエチレン系ポリマー組成物を含むフィルムは、3以下、さらに好ましくは2以下、特に1以下の10日間黄色度b*変化を有すると特徴付けられる。
本発明は、さらに、前記の本発明のエチレン系ポリマー組成物と、場合により1つまたはそれ以上のポリマーとを含む熱可塑性組成物を提供する。
【0007】
本発明は、さらに、(1)(a)本発明のエチレン系ポリマー組成物および(b)場合により1つまたはそれ以上のポリマーを含む熱可塑性組成物を含む少なくとも1つの層と;(2)場合により1つまたはそれ以上の層とを含むフィルムを提供する。
【0008】
本発明は、さらに、(1)(a)本発明のエチレン系ポリマー組成物および(b)場合により1つまたはそれ以上のポリマーを含む熱可塑性組成物を含む少なくとも1つの層と;(2)場合により1つまたはそれ以上の層とを含む多層構造体を提供する。
【0009】
(1)(a)本発明のエチレン系ポリマー組成物および(b)場合により1つまたはそれ以上のポリマーを含む熱可塑性組成物を含む少なくとも1つの層と;(2)場合により1つまたはそれ以上の層とを含むフィルムを含む記憶装置。
【0010】
前記の新規ポリマー組成物を含む二次加工品も、特に少なくとも1つのフィルム層の形態で意図される。他の実施形態は、前記の新規ポリマー組成物と、少なくとも1つの天然または合成ポリマーとを含む熱可塑性配合物を包含する。
【0011】
前記エチレン系ポリマー組成物は、少なくとも部分的に架橋されることができる(少なくとも5%(重量)のゲル)。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、方法であって、
(A)エチレンと、場合により1つまたはそれ以上のα−オレフィンとを、第一の触媒の存在下で重合させて半結晶質エチレン系ポリマーを第一の反応器でまたは多段反応器の第一の部分で形成し;および
(B)新たに供給したエチレンと、場合により1つまたはそれ以上のα−オレフィンとを、有機金属触媒を含む第二の触媒の存在下で反応させ、それによってエチレン系ポリマー組成物を少なくとも1つの別の反応器でまたは多段反応器の後の部分で形成することを含み、(A)および(B)の触媒が、同じであるかまたは異なることができ、それぞれが、式:
【化1】
(式中、M3は、Ti、HfまたはZr、好ましくはZrであり;
Ar4は、それぞれの出現において独立して、置換C9−20アリール基であり(この場合、置換基は、それぞれの出現において独立して、アルキル基;シクロアルキル基;およびアリール基;ならびにこれらのハロ置換誘導体、トリヒドロカルビルシリル置換誘導体およびハロヒドロカルビル置換誘導体からなる群から選択され、少なくとも1つの置換基が、それを結合しているアリール基との共平面性がないことを条件とする);
T4は、それぞれの出現において独立して、C2−20アルキレン、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレン基、あるいはこれらの不活性置換誘導体であり;
R21は、それぞれの出現において独立して、水素、ハロ、水素を数に入れないで最大50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたはジ(ヒドロカルビル)アミノ基であり;
R3は、それぞれの出現において独立して、水素、ハロ、水素を数に入れないで最大50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたはアミノであるか、あるいは同じアリーレン環上の2つのR3基は、一緒になって、あるいは同じまたは異なるアリーレン環上のR3基とR21基は、一緒になって、2つの位置でアリーレン基に結合した二価リガンド基を形成するかまたは、一緒になって2つの異なるアリーレン環を結合し;および
RDは、それぞれの出現において独立して、ハロであるか、あるいは水素を数に入れないで最大20個までの原子を有するヒドロカルビルまたはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは2つのRD基は、一緒になって、ヒドロカルビレン基、ヒドロカルバジイル基、ジエン基、またはポリ(ヒドロカルビル)シリレン基である)
に対応する多価アリールオキシエーテルの金属錯体であり、特に工程(B)の反応がグラフト重合によって生じる方法である。
【0013】
さらに別の実施形態において、本発明は、コモノマー組成物分布(CDC)のためのエチレン系ポリマーを特徴付ける方法であり、CDCが、コモノマー分布プロフィールからCEFで算出され、およびCDCが、式1(図1)に示すように100を乗算してコモノマー分布形状係数で除算したコモノマー分布指数として定義され、ならびにコモノマー分布指数が、35.0℃から119.0℃まで0.5のメジアン(median)コモノマー含有量(Cメジアン)〜1.5のCメジアンの範囲内のコモノマー含有量を有するポリマー鎖の全重量分率を表し、およびコモノマー分布形状係数が、ピーク温度(Tp)からコモノマー分布プロフィールの標準偏差で除算したコモノマー分布プロフィールの半値幅の比として定義され、ならびに前記方法が以下の手順を含む、エチレン系ポリマーを特徴付ける方法である。
【0014】
さらに別の実施形態において、本発明は、コモノマー組成物分布(CDC)についてエチレン系ポリマーを特徴付ける方法であり、CDCが、CEFによってコモノマー分布プロフィールから算出され、およびCDCが、式1(図1)に示すように100を乗算してコモノマー分布形状係数で除算したコモノマー分布指数として定義され、ならびにコモノマー分布指数が、35.0℃から119.0℃まで0.5のメジアンコモノマー含有量(Cメジアン)〜1.5のCメジアンの範囲内のコモノマー含有量を有するポリマー鎖の全重量分率を表し、およびコモノマー分布形状係数が、ピーク温度(Tp)からコモノマー分布プロフィールの標準偏差で除算したコモノマー分布プロフィールの半値幅の比として定義され、ならびに前記方法が、以下の手順:
(A)図2に示すように、式2に従ってCEFから0.200℃の温度段階的上昇で35.0℃から119.0℃までの各温度(T)での重量分率(wT(T))を得;
(B)図3に示すように、式3に従って0.500の累積重量分率でのメジアン温度(Tメジアン)を算出し;
(C)図4に示すように、式4に従ってコモノマー含有量較正曲線を使用することによってメジアン温度(Tメジアン)での対応するモル%でのメジアンコモノマー含有量(Cメジアン)を算出し;
(D)既知量のコモノマー含有量を有する一連の基準物質(reference material)を使用することによってコモノマー含有量較正曲線を作成し、すなわち、0.0モル%〜7.0モル%の範囲内のコモノマー含有量で35,000〜115,000の重量平均Mw(従来のGPCで測定される)を有する狭いコモノマー分布(35.0℃から119.0℃までのCEFでの単峰性コモノマー分布)を有する11個の基準物質を、CEFで、CEF実験の部に明記した実験条件と同じ実験条件で分析し;
(E)各基準物質のピーク温度(Tp)およびそのコモノマー含有量を使用することによりコモノマー含有量較正を算出し;前記較正は、式4(図4)(式中:R2は、相関定数である)に示すように各基準物質から算出し;
(F)コモノマー分布指数を、0.5*Cメジアン〜1.5*Cメジアンの範囲内のコモノマー含有量を用いて全重量分率から算出し、Tメジアンが98.0℃よりも高い場合には、コモノマー分布指数を0.95と定義し;
(G)35.0℃から119.0℃まで最大ピークについて各データポイントを調べる(2つのピークが同じである場合には、低い方の温度ピークを選択する)ことによってCEFコモノマー分布プロフィールから最大ピーク高さを得;半値幅を、最大ピーク高さの半値での前方(front)温度と後方(rear)温度の間の温度差として定義し、最大ピークの半値での前方温度は、35.0℃よりも前方で調べ、これに対して最大ピークの半値での後方温度は、119.0℃よりも後方で調べ、ピーク温度の差が、各ピークの半値幅の合計の1.1倍以上である十分に定義された双峰性分布の場合には、本発明のエチレン系ポリマー組成物の半値幅は、各ピークの半値幅の算術平均として算出し;
(H)図5に示すように、式5に従って温度の標準偏差(Stdev)を算出する;
手順を含む、コモノマー組成物分布(CDC)についてエチレン系ポリマーを特徴付ける方法である。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、エチレン系ポリマー組成物が0.900〜0.965g/cm3;例えば、0.905〜0.930g/cm3の範囲内の密度を有することを除いて、前記の実施形態のいずれかによるエチレン系ポリマー組成物、その製造方法、それから製造される物品/フィルム/多層構造体/記憶装置(storage device)、およびこれらを製造する方法を提供する。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、エチレン系ポリマー組成物が0.1〜1000g/10分;例えば0.1〜5のメルトインデックス(I2)を有することを除いて、前記の実施形態のいずれかによるエチレン系ポリマー組成物、その製造方法、それから製造される物品/フィルム/多層構造体/記憶装置、およびこれらを製造する方法を提供する。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、エチレン系ポリマー組成物が20未満、例えば6〜20のI10/I2を有することを除いて、前記の実施形態のいずれかによるエチレン系ポリマー組成物、その製造方法、それから製造される物品/フィルム/多層構造体/記憶装置、およびこれらを製造する方法を提供する。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、フィルムが0.5〜10ミル(mil)の範囲内の厚みを有することを除いて、前記の実施形態のいずれかによる、それから製造される物品/フィルム/多層構造体/記憶装置、およびこれらを製造する方法を提供する。
【0019】
本発明を説明することを目的として、図に例となる形態を示す。しかし、本発明は、示される正確な配置および説明図に限定されないと解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、式1を説明する。
【図2】図2は、式2を説明する。
【図3】図3は、式3を説明する。
【図4】図4は、式4を説明する。
【図5】図5は、式5を説明する。
【図6】図6は、式6を説明する。
【図7】図7は、式7を説明する。
【図8】図8は、式8を説明する。
【図9】図9は、式9を説明する。
【図10】図10は、式10を説明する。
【図11】図11は、式11を説明する。
【図12】図12は、式12を説明する。
【図13】図13は、式13を説明する。
【図14】図14は、式14を説明する。
【図15】図15は、式15を説明する。
【図16】図16は、式16を説明する。
【図17】図17は、式17を説明する。
【図18】図18は、式18を説明する。
【図19】図19は、実施例3のコモノマー分布プロフィールを表す、CEFからピーク温度、半値幅およびメジアン温度を得るCDC算出のグラフ説明図である。
【図20】図20は、実施例3について不飽和の積分限界を説明するグラフであり、点線は、試料/触媒に依存して位置がわずかに異なることができことを意味する。
【図21】図21は、Bruker AVANCEの400MHz分光計を用いた不飽和についての修正(modified)パルスシーケンスを説明する。
【図22】図22は、不飽和の化学構造表示を説明する。
【図23】図23は、CEFの重なりを説明するグラフである。
【図24】図24は、本発明実施例および比較実施例の温度に対する質量のCEFプロフィールを説明するグラフである。
【図25】図25は、5ppmのNOxおよび60℃でのガス褪色を説明するグラフである。
【図26】図26は、式26を説明する。
【図27】図27は、式27を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、エチレン系ポリマー組成物、およびその製造方法を提供する。本発明の発明エチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、例えば350の高さ、または別の態様では300の高さ、または別の態様では250の高さ、あるいは別の態様では200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、前記本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000C、例えば110個未満の全不飽和単位/1,000,000、または別の態様では100個未満の全不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では80個未満の全不飽和単位/1,000,000C、あるいは別の態様では70個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有する。本発明の組成物は、15個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、例えば12個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では10個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では8個未満の三置換不飽和単位/1,000,000C、あるいは別の態様では5個未満の三置換不飽和単位/1,000,000Cを有する。前記エチレン系ポリマー組成物は、20個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、例えば18個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では15個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では12個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、あるいは別の態様では10個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000Cを含むことによってさらに特徴付けることができる。好ましくは、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、最大約3個までの長鎖分岐/炭素1000個、さらに好ましくは約0.01〜約3個の長鎖分岐/炭素1000個を含む。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、少なくとも2および/または50のZSVRを有することができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、20個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、例えば18個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では15個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、または別の態様では12個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000C、あるいは別の態様では10個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000Cを含むことによってさらに特徴付けることができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、双峰性分子量分布(MWD)または多峰性MWDを有することができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、パージを除いて、35℃から120℃までの温度範囲内で単峰性または双峰性分布を含むコモノマー分布プロフィールを有することができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、単一のDSC溶融ピークを含むことができる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約17,000〜約220,000、例えば60,000〜220,000g/モル、70,000〜140,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を含むことができる。
本発明のエチレン系ポリマー組成物は、多価アリールオキシエーテルの金属錯体を使用して製造される。
【0022】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、前記組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有する。
【0023】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有し、および本発明のエチレン系ポリマー組成物は、最大約3個までの長鎖分岐/炭素1000個、好ましくは約0.01〜約3個の長鎖分岐/炭素1000個を含む。
【0024】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有し、および本発明のエチレン系ポリマー組成物は、少なくとも2のZSVRを有し、場合により本発明のエチレン系ポリマー組成物は、20個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000Cを含むことによって特徴付けられる。
【0025】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有し、および本発明のエチレン系ポリマー組成物は、双峰性分子量分布(MWD)を有する。
【0026】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有し、および本発明のエチレン系ポリマー組成物は、多峰性MWDを有する。
【0027】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有し、および本発明のエチレン系ポリマー組成物は、単一のDSC溶融ピークを有する。
【0028】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有し、および本発明のエチレン系ポリマー組成物は、少なくとも部分的に架橋されている(少なくとも5%ゲル)。
【0029】
1つの実施形態において、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、約45よりも大きく、さらに好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは95よりも大きくおよび400の高さ、好ましくは200の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられ、本発明のエチレン系ポリマー組成物は、120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有し、および本発明のエチレン系ポリマー組成物は、パージを除いて、35℃から120℃までの温度範囲内で単峰性または双峰性分布を含むコモノマー分布プロフィールを有する。
【0030】
本発明は、さらに、本明細書に記載のような本発明のエチレン系ポリマー組成物と、少なくとも1つの天然または合成ポリマーとを含む熱可塑性配合物を提供する。
【0031】
本発明は、さらに、本発明のエチレン系ポリマー組成物を含むフィルムであって、3以下、さらに好ましくは2以下、特に1以下の10日間黄色度b*変化を有すると特徴付けられるフィルムを提供する。
【0032】
本発明は、さらに、(1)(a)本発明のエチレン系ポリマー組成物および(b)場合により1つまたはそれ以上のポリマーを含む熱可塑性組成物を含む少なくとも1つの層と;(2)場合により1つまたはそれ以上の層とを含むフィルムを提供する。
【0033】
本発明は、さらに、(1)(a)本発明のエチレン系ポリマー組成物および(b)場合により1つまたはそれ以上のポリマーを含む熱可塑性組成物を含む少なくとも1つの層と;(2)場合により1つまたはそれ以上の層とを含むフィルムを含む多層構造体を提供する。
【0034】
本発明は、さらに、(1)(a)本発明のエチレン系ポリマー組成物および(b)場合により1つまたはそれ以上のポリマーを含む熱可塑性組成物を含む少なくとも1つの層と;(2)場合により1つまたはそれ以上の層とを含むフィルムを含む記憶装置を提供する。
【0035】
本発明は、さらに、本明細書に記載の本発明のエチレン系ポリマー組成物を含む二次加工品を提供する。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、方法であって、
(A)エチレンと、場合により1つまたはそれ以上のα−オレフィンとを、第一の触媒の存在下で重合させて半結晶質エチレン系ポリマーを第一の反応器でまたは多段反応器の第一の部分で形成し;および
(B)新たに供給したエチレンと、場合により1つまたはそれ以上のα−オレフィンとを、有機金属触媒を含む第二の触媒の存在下で反応させ、それによってエチレン系ポリマー組成物を少なくとも1つの別の反応器でまたは多段反応器の後の部分で形成することを含み、(A)および(B)の触媒が、同じであるかまたは異なることができ、それぞれが、式:
【化2】
(式中、M3は、Ti、HfまたはZr、好ましくはZrであり;
Ar4は、それぞれの出現において独立して、置換C9−20アリール基であり(この場合、置換基は、それぞれの出現において独立して、アルキル基;シクロアルキル基;およびアリール基;ならびにこれらのハロ置換誘導体、トリヒドロカルビルシリル置換誘導体およびハロヒドロカルビル置換誘導体からなる群から選択され、少なくとも1つの置換基が、それを結合しているアリール基との共平面性がないことを条件とする);
T4は、それぞれの出現において独立して、C2−20アルキレン、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレン基、あるいはこれらの不活性置換誘導体であり;
R21は、それぞれの出現において独立して、水素、ハロ、水素を数に入れないで最大50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたはジ(ヒドロカルビル)アミノ基であり;
R3は、それぞれの出現において独立して、水素、ハロ、水素を数に入れないで最大50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたはアミノであるか、あるいは同じアリーレン環上の2つのR3基は、一緒になって、あるいは同じまたは異なるアリーレン環上のR3基とR21基は、一緒になって、2つの位置でアリーレン基に結合した二価リガンド基を形成するかまたは、一緒になって2つの異なるアリーレン環を結合し;および
RDは、それぞれの出現において独立して、ハロであるか、あるいは水素を数に入れないで最大20個までの原子を有するヒドロカルビルまたはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは2つのRD基は、一緒になって、ヒドロカルビレン基、ヒドロカルバジイル基、ジエン基、またはポリ(ヒドロカルビル)シリレン基である)
に対応する多価アリールオキシエーテルの金属錯体である方法である。
【0037】
さらに別の実施形態において、本発明は、コモノマー組成物分布(CDC)についてエチレン系ポリマーを特徴付ける方法であり、CDCが、CEFによってコモノマー分布プロフィールから算出され、およびCDCが、式1(図1)に示すように100を乗算してコモノマー分布形状係数で除算したコモノマー分布指数として定義され、ならびにコモノマー分布指数が、35.0℃から119.0℃まで0.5のメジアンコモノマー含有量(Cメジアン)〜1.5のCメジアンの範囲内のコモノマー含有量を有するポリマー鎖の全重量分率を表し、およびコモノマー分布形状係数が、ピーク温度(Tp)からコモノマー分布プロフィールの標準偏差で除算したコモノマー分布プロフィールの半値幅の比として定義され、ならびに前記方法が、以下の手順:
(A)図2に示すように、式2に従ってCEFから0.200℃の温度段階的上昇で35.0℃から119.0℃までの各温度(T)での重量分率(wT(T))を得;
(B)図3に示すように、式3に従って0.500の累積重量分率でのメジアン温度(Tメジアン)を算出し;
(C)図4に示すように、式4に従ってコモノマー含有量較正曲線を使用することによってメジアン温度(Tメジアン)での対応するモル%でのメジアンコモノマー含有量(Cメジアン)を算出し;
(D)既知量のコモノマー含有量を有する一連の基準物質を使用することによってコモノマー含有量較正曲線を作成し、すなわち0.0モル%〜7.0モル%の範囲内のコモノマー含有量で35,000〜115,000の重量平均Mw(従来のGPCで測定される)を有する狭いコモノマー分布(35.0℃から119.0℃までのCEFでの単峰性コモノマー分布)を有する11個の基準物質を、CEFで、CEF実験の部に明記した実験条件と同じ実験条件で分析し;
(E)各基準物質のピーク温度(Tp)およびそのコモノマー含有量を使用することによりコモノマー含有量較正を算出し;前記較正は、式4(図4)(式中:R2は、相関定数である)に示すように各基準物質から算出し;
(F)コモノマー分布指数を、0.5*Cメジアン〜1.5*Cメジアンの範囲内のコモノマー含有量を用いて全重量分率から算出し、Tメジアンが98.0℃よりも高い場合には、コモノマー分布指数を0.95と定義し;
(G)35.0℃から119.0℃まで最大ピークについて各データポイントを調べる(2つのピークが同じである場合には、低い方の温度ピークを選択する)ことによってCEFコモノマー分布プロフィールから最大ピーク高さを得;半値幅を、最大ピーク高さの半値での前方温度と後方温度の間の温度差として定義し、最大ピークの半値での前方温度は、35.0℃よりも前方で調べ、これに対して最大ピークの半値での後方温度は、119.0℃よりも後方で調べ、ピーク温度の差が、各ピークの半値幅の合計の1.1倍以上である十分に定義された双峰性分布の場合には、本発明のエチレン系ポリマー組成物の半値幅は、各ピークの半値幅の算術平均として算出し;
(H)図5に示すように、式5に従って温度の標準偏差(Stdev)を算出する;
手順を含む、コモノマー組成物分布(CDC)についてエチレン系ポリマーを特徴付ける方法である。
【0038】
幾つかの方法において、加工助剤、例えば可塑剤を、発明のエチレン系ポリマー製品に含有させることもできる。これらの助剤としては、以下に限定されないが、フタル酸エステル、例えばフタル酸ジオクチルおよびフタル酸ジイソブチル、天然油、例えばラノリン、およびパラフィン、石油精製から得られるナフテン系油および芳香油、ならびにロジンまたは石油原料由来の液状樹脂が挙げられる。加工助剤として有用な典型的な油の種類としては、白色鉱油、例えばKAYDOL油(Chemtura Corp.;ミドルベリー、コネチカット州)およびSHELLFLEX 371ナフテン系油(Shell Lubricants;ヒューストン、テキサス州)が挙げられる。別の適当な油は、TUFFLO油(Lyondell Lubricants;ヒューストン、テキサス州)である。
【0039】
幾つかの方法において、発明のエチレン系ポリマー組成物は、1つまたはそれ以上の安定剤、例えば酸化防止剤、例えばIRGANOX 1010およびIRGAFOS 168(Ciba Specialty Chemicals;グラットブルグ、スイス国)で処理される。一般に、ポリマーは、押出しまたはその他の溶融プロセスの前に1つまたはそれ以上の安定剤で処理される。別の実施形態の方法においては、他の高分子添加剤として、以下に限定されないが、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、成核剤、充填剤、スリップ剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、潤滑剤、安定剤、煙抑制剤、粘度調節剤および粘着防止剤が挙げられる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、例えば、本発明のエチレン系ポリマー組成物の重量に基づいて総合重量で10%未満の1つまたはそれ以上の添加剤を含んでいてもよい。特許請求ポリマーの特定の利点は、水以外に触媒失活剤(catalyst kill agent)が存在しないことであり、従ってステアリン酸カルシウムの必要性を除去する。
【0040】
製造された本発明のエチレン系ポリマー組成物は、さらに配合されてもよい。幾つかの実施形態において、1つまたはそれ以上の酸化防止剤を、さらに本発明のエチレン系ポリマー組成物およびペレット化された配合ポリマーに配合してもよい。配合されたエチレン系ポリマー組成物は、任意の量の1つまたはそれ以上の酸化防止剤を含有していてもよい。例えば、配合された本発明のエチレン系ポリマー組成物は、本発明のエチレン系ポリマー組成物100万部当たり約200〜約600部の1つまたはそれ以上のフェノール系酸化防止剤を含んでいてもよい。さらに、配合されたエチレン系ポリマー組成物は、本発明のエチレン系ポリマー組成物100万部当たり約800〜約1200部の亜リン酸系酸化防止剤を含んでいてもよい。配合された本発明エチレン系ポリマー組成物は、本発明のエチレン系ポリマー組成物100万部当たり約300〜約1250部のステアリン酸カルシウムを含んでいてもよい。
【0041】
使用
本発明のエチレン系ポリマー組成物は、様々な従来の熱可塑性樹脂製造法において、少なくとも1つのフィルム層を含む物品、例えば単層フィルム、またはキャスト、吹き込み、カレンダーまたは押出しコーティング法によって調製される多層フィルムの少なくとも1つの層;成形品、例えば吹込成形品、射出成形品、または回転成形品;押出品;繊維;織布および不織布を含め有用な物品を製造するのに用いてもよい。本発明のエチレン系ポリマー組成物を含む熱可塑性樹脂組成物としては、他の天然または合成材料、ポリマー、添加剤、強化剤、耐発火性添加剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤、増量剤、架橋剤、発泡剤、および可塑剤とのブレンドが挙げられる。
【0042】
本発明のエチレン系ポリマー組成物は、その他の用途の繊維を製造するのに使用してもよい。本発明のエチレン系ポリマー組成物またはそのブレンドから調製し得る繊維としては、ステープルファイバー、トウ、多成分フィラメント、シース/コアフィラメント、加撚フィラメント、およびモノフィラメントが挙げられる。適当な繊維形成法は、米国特許第4,340,563号明細書(Appelら)、同第4,663,220号明細書(Wisneskiら)、同第4,668,566号明細書(Nohrら)、および同第4,322,027号明細書(Reba)に記載されているようなスパンボンデッド法および溶融吹込法、米国特許第4,413,110号明細書(Kaveshら)に開示されているようなゲルスパン繊維、米国特許第3,485,706号明細書(May)に開示されているような織布および不織布、あるいは他の繊維、例えばポリエステル、ナイロンまたは綿とのブレンドを含めこのような繊維から製造される構造物、熱成形物品、押出形材(異形押出物および同時押出物を含む)、カレンダー加工品、および延伸、加撚またはけん縮糸または繊維を含む。
【0043】
添加剤および助剤を、本発明のエチレン系ポリマー組成物に形成後に加えてもよい。適当な添加剤としては、充填剤、例えば有機または無機粒子(クレー、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、粉末金属を含む)、有機または無機繊維(炭素繊維、窒化ケイ素繊維を含む)、スチールワイヤまたはメッシュ、およびナイロンまたはポリエステルコード、ナノ粒子、クレー、その他;粘着付与剤、エキステンダー油、例えばパラフィン系またはナフテン系油;ならびにその他の天然および合成ポリマー(実施形態の方法に従って製造するかまたは製造することができるその他のポリマーを含む)が挙げられる。
【0044】
本発明のエチレン系ポリマー組成物と、他のポリオレフィン類とのブレンドおよび混合物も機能し得る。本発明のエチレン系ポリマー組成物とブレンドするのに適したポリマーとしては、熱可塑性および非熱可塑性ポリマー(天然および合成ポリマーを含む)が挙げられる。ブレンド用の典型的なポリマーとしては、ポリプロピレン(耐衝撃性改善ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、およびランダムエチレン/プロピレンコポリマーの両方)、高圧フリーラジカル低密度ポリエチレン(LDPE)、チーグラー・ナッタ線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセンPE、例えば多重反応器PE(チーグラー・ナッタPEとメタロセンPEとの「反応器内」ブレンド、例えば米国特許第6,545,088号明細書(Kolthammerら);同第6,538,070号明細書(Cardwellら);同第6,566,446号明細書(Parikhら);同第5,844,045号明細書(Kolthammerら);同第5,869,575号明細書(Kolthammerら);および同第6,448,341号明細書(Kolthammerら)に開示されている製品)を含む種々の種類のポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリスチレン、耐衝撃性改善ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、スチレン/ブタジエンブロックコポリマーおよびその水素化誘導体(スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)およびスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS))、ならびに熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。均質ポリマー、例えばオレフィンプラストマーおよびエラストマー、エチレンおよびプロピレン系コポリマー(例えば、VERSIFY(商標)プラストマー & エラストマー(Dow Chemical Company)、SURPASS(商標)(Nova Chemicals)、およびVISTAMAXX(商標)(ExxonMobil Chemical Co.)の商品名で入手できるポリマー)もまた、本発明のエチレン系ポリマーを含むブレンドの成分として有用であり得る。
【0045】
本発明のエチレン系ポリマー組成物は、シーラント樹脂として用いてもよい。意外にも、CDCによって示されるような、特定の短鎖分岐分布(SCBD)が、特定のMWD、および特定の水準の長鎖分岐(LCB)と一緒になって、増大した熱間粘着および熱融着(heat-seal)強さ、低い熱融着および熱間粘着開始温度、ならびに熱間粘着性ウィンドウの拡大を含め熱間粘着および熱融着性を改善することを示した。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、改善されたESCR(耐環境応力亀裂性)および高いPENT(ペンシルバニアエッジ・ノッチ引張り試験(Pennsylvania Edge-Notch Tensile Test))について低い不飽和度で、SCBDおよびMWDを最適化することによってパイプおよび管材料樹脂として用いてもよい。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、紫外線(UV)安定性、すなわち耐候性が望まれる用途において、低い不飽和度、および低濃度(low level)の低分子量の高コモノマー組み込みオリゴマーと組み合わせて、SCBDおよびMWDを最適化することによって用いてもよい。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、低水準のプレートアウト、ブルーミング、ダイ蓄積、煙の発生、抽出物、風味(taste)、および臭気が望まれる用途において、低濃度の低分子量の高コモノマー組み込みオリゴマーを用いてSCBDおよびMWDを最適化することよって用いてもよい。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、延伸フィルム用途で用いてもよい。意外にも、特定のSCBDが、特定のMWD、および特定のレベルの長鎖分岐(LCB)と一緒に、改善された伸縮性および耐動的破壊性を示す。
【0046】
定義
使用する用語「組成物」は、組成物を構成する材料、ならびに該組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物の混合物を包含する。
【0047】
本明細書で使用する用語「ブレンド」または「ポリマーブレンド」は、2つまたはそれ以上ポリマーの均質物理的混合物(すなわち、反応していない)を指す。ブレンドは、混和性であってもよいし混和性でなくてもよい(分子レベルで層分離していない)。ブレンドは、層分離していてもよいし層分離していなくてもよい。ブレンドは、当分野で公知の透過電子顕微鏡法、光散乱法、X線散乱法、およびその他の方法によって決定されるように、1つまたはそれ以上のドメイン配置を含んでいてもよいし含んでいなくてもよい。ブレンドは、マクロレベル(例えば、溶融ブレンド樹脂または配合(compounding))でまたはミクロレベルで(例えば、同じ反応器内で同時に形成する)2つまたはそれ以上のポリマーを物理的に混合することによって影響を受けてもよい。
【0048】
本明細書で使用する用語「線状」は、ポリマーのポリマー主鎖に測定可能なまたは実証可能な長鎖分岐がないポリマーを指し、例えばポリマーは、炭素1000個当たり平均して0.01個未満の長鎖分岐で置換されている。
【0049】
本明細書で使用する用語「ポリマー」は、同じ種類であるかまたは異なる種類であるかに関係なく、モノマーを重合させることによって調製される高分子化合物を指す。従って、ポリマーという一般用語は、通常は1種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指すのに用いられる用語「ホモポリマー」と、以下で定義するような用語「インターポリマー」とを包含する。用語「エチレン/α−オレフィンポリマー」は、記載するようにインターポリマーを示す。
【0050】
本明細書で使用する用語「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。インターポリマーという一般用語は、通常2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられるコポリマーと、3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーとを包含する。
【0051】
用語「エチレン系ポリマー」は、50モル%を越える重合したエチレンモノマー(重合性ポリマーの全重量に基づく)を含有し、場合により少なくとも1つの追加コモノマーを含有していてもよいポリマーを指す。
【0052】
用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」は、50モル%を越える重合したエチレンモノマー(重合性モノマーの全重量に基づく)と少なくとも1つのα−オレフィンとを含有するインターポリマーを指す。
【0053】
樹脂の製造
全ての原料(エチレン、1−オクテン)およびプロセス溶媒(Exxon Mobil Corporationから商品名Isopar Eで市販されている狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒)は、反応環境に導入する前にモレキュラーシーブで精製する。水素は、高純度グレードとして加圧シリンダーに供給し、それ以上は精製しない。反応器モノマー供給材料(エチレン)流は、機械的圧縮機で約400〜750psigの反応圧力を超えるまで加圧する。溶媒およびコモノマー(1−オクテン)供給材料は、機械的容量形ポンプで約400〜750psigの反応圧力を超えるまで加圧する。個々の触媒成分は、精製溶媒(Isopar E)を用いて規定成分濃度に手動でバッチ希釈し、反応圧力、すなわち約400〜750psigを超える圧力まで加圧する。全ての反応供給材料流は、質量流量計で測定し、個々にコンピュータ自動バルブ制御システムで制御する。
【0054】
本発明の連続溶液重合反応器系は、直列配置で運転する2つの液体を満たした、非断熱、等温、循環、および独立制御ループからなる。各反応器は、全ての新たな溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒成分供給の独立した制御を有する。一緒にした溶媒、モノマー、コモノマーおよび水素の各反応器への供給は、供給流を一連の熱交換器に通すことによって5℃〜50℃、典型的には15〜40℃の間のいずれかの温度に独立して温度制御される。複数の重合反応器への新しいコモノマーの供給は、手動で調節して3つの選択肢:すなわち第一の反応器、第二の反応器、または共通溶媒に、コモノマーを加え、次いで溶媒供給の分割(split)に比例させて両方の反応器の間で分割することができる。各重合反応器への全ての新たな供給は、反応器に、反応器当たり2つの位置で、概略それぞれの注入位置の間で同じ反応器容量で注入される。新たな供給は、典型的には、新たな全供流の半分を受け入れる各インジェクタを用いて制御される。触媒成分は、重合反応器に特別に設計された注入スティンガーによって注入され、反応器の前に非接触時間で反応器の同じ相対位置にそれぞれ別個に注入される。一次触媒成分の供給は、反応器のモノマー濃度を規定目標で維持するためにコンピュータ制御される。2つの助触媒成分は、一次触媒成分に対して算出された規定モル比に基づいて供給される。それぞれの新たな注入位置(供給材料または触媒のいずれか)の直後で、供給材料流は、Kenicsスターティックミキサー要素を用いて循環重合反応器内容物と混合される。各反応器の内容物は、反応の熱の大部分を除去するのに関与しおよび等温反応環境を規定温度で維持するのに関与する冷却液側の温度を有する熱交換器に連続的に循環される。各反応器ループ周りの循環は、スクリューポンプによって提供される。第一の重合反応器からの流出液(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含む)は、第一の反応器ループを出て、制御バルブ(第一の反応器の圧力を規定目標で維持するのに関与する)を通り、同様のデザインの第二の重合反応器に注入される。前記流れは、反応器を出るのにつれて、反応を停止させるために水と接触させる。さらに、種々の添加剤、例えば酸化防止剤を、この時点で添加することができる。次いで、前記流れは、Kenicsスターティックミキシング要素の別のセットを通して触媒失活剤と添加剤を均一に分散させる。
【0055】
添加剤の添加後に、流出液(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含む)は、熱交換器に通してポリマーを他の低沸点反応成分から分離するのに備えて前記流れの温度を上昇させる。次いでこの流れは、2段階分離および脱蔵装置に入り、そこでポリマーが溶媒、水素、ならびに未反応モノマーおよびコモノマーから除去される。リサイクル流は、再び反応器に入る前に精製される。分離され、脱蔵されたポリマー溶融物は、水中ペレット化のために特別に設計されたダイにポンプで注入され、均一な固体ペレットに切断され、乾燥され、ホッパーに移される。次いで、ポリマー特性を確認する。
【0056】
脱蔵工程で除去された非ポリマー部分は、前記重合反応器系からベント分解単位装置に取り出されるエチレンの大部分を分離する装置の種々の要素に通す(しかし、非ポリマー部分は、製造単位装置にリサイクルされる)。溶媒の大部分は、精製ベッドに通した後に反応器にリサイクルさせる。この溶媒は、未だ未反応コモノマーを有することができ、その中に反応器に再び入る前に新たなコモノマーが添加される。このコモノマーの添加(fortification)は、製品密度制御方法の不可欠な部分である。このリサイクル溶媒は、未だ若干の水素を有することができ、この水素は次いでポリマー分子量目標を達成するために新たな水素が添加される。極めて少量の溶媒が、触媒流中の溶媒担体、および商業グレードのコモノマーの一部である少量の溶媒に起因する副生成物として前記重合反応器系に残る。
【実施例】
【0057】
本発明のエチレン系ポリマー組成物(発明実施例1〜4):
本発明のエチレン系ポリマー組成物、すなわち発明実施例1〜4を、前記の手順に従って調製する。そのプロセス条件を、表1および表1A、表2および2Aに報告する。発明実施例1〜4を、種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表3〜8に報告する。表2および2Aに関連して、MMAOは、修飾メチルアルモキサンであり;RIBS−2は、ビス(水素化タローアルキル)メチル,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1−)アミンであり;およびジルコニウム系触媒は、次式:
【化3】
で表される[2,2’’’−[1,3−プロパンジイルビス(オキシ−κO)]ビス[3”,5,5”−トリス(1,1−ジメチルエチル)−5’−メチル[1,1’:3’,1”−ターフェニル]−2’−オラト−κO]]ジメチル−,(OC−6−33)−ジルコニウムである。発明実施例4は、1000ppmのポリマー加工助剤(PPA)を含有する。
【0058】
比較エチレン系組成物(比較実施例1〜4):
比較実施例1は、1g/10分のI2および0.918g/cm3の密度を有するエチレン/1−ヘキセン・コポリマー(これは、商品名EXCEED(商標)1018でExxonMobil Chemical Companyから入手できる)と、3.5g/10分のI2および0.912g/cm3の密度を有するエチレン/1−ヘキセン・コポリマー(これは、商品名EXCEED(商標)3512でExxonMobil Chemical Companyから入手できる)との50/50のブレンドである。
【0059】
比較実施例2は、1g/10分のI2および0.916g/cm3の密度を有するエチレン/1−オクテン・コポリマーであり、これは、商品名ELITE(商標)5400GでDow Chemical Companyによって提供された。
【0060】
比較実施例3は、1.5g/10分のI2および0.914g/cm3の密度を有するエチレン/1−オクテン・コポリマーであり、これは、商品名ELITE(商標)5500でDow Chemical Companyによって提供された。
【0061】
比較実施例4は、1.0g/10分のI2および0.920g/cm3の密度を有するエチレン/1−オクテン・コポリマーであり、これは、商品名DOWLEX(商標)2045GでDow Chemical Companyによって提供された。
【0062】
比較実施例1〜3を、種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表3〜8に報告する。
【0063】
比較実施例4を、種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表17および18に報告する。
【0064】
発明フィルム1および3
本発明のエチレン系ポリマー組成物、すなわち発明実施例1および3を、3層インフレーションフィルムラインで発明単層フィルム1および3に吹き込み成形する。前記インフレーションフィルムラインは、一条ねじスクリュー(25:30:25mm)を有する3台の溝付き供給押出機からなる。全てのスクリューの長さ/直径(L/D)の比は、25:1である。前記インフレーションフィルムラインは、二重リップエアリング冷却系を有し、20:40:60:80:20メッシュのスクリーンパック構成を有する60mmのダイを有する。発明フィルム1および3は、1ミル(mil)の厚みで製造する。フィルム二次加工条件を、表9に報告する。発明フィルム1および3を、種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表10に報告する。
【0065】
比較フィルム2および3
比較エチレン系ポリマー組成物、すなわち比較実施例2および3を、3層インフレーションフィルムラインで比較単層フィルム2および3に吹き込み成形する。前記インフレーションフィルムラインは、一条ねじスクリュー(25:30:25mm)を有する3台の溝付き供給押出機からなる。全てのスクリューの長さ/直径(L/D)の比は、25:1である。前記インフレーションフィルムラインは、二重リップエアリング冷却系を有し、20:40:60:80:20メッシュのスクリーンパック構成を有する60mmのダイを有する。比較フィルム2および3は、1ミルの厚みで製造する。フィルム二次加工条件を、表9に報告する。比較フィルム2および3を、種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表10に報告する。
【0066】
発明フィルム4および比較フィルム2A
本発明のエチレン系ポリマー組成物、すなわち発明実施例4を、単層インフレーションフィルムラインで発明単層フィルム4に吹き込み成形する。比較エチレン系ポリマー組成物、すなわち比較実施例2は、比較フィルム2Aに吹き込み成形する。発明フィルム4および比較フィルム2Aは、2ミルの厚みで製造する。前記インフレーションフィルムラインは、2.5インチDavis StandardバリアIIスクリューDSBIIからなる。スクリューの長さ/直径(L/D)の比は、30:1である。前記インフレーションフィルムラインは、二重リップエアリング冷却系と20:40:60:80:20メッシュのスクリーンパック構成とを有する6インチのダイ直径を有する。
【0067】
発明実施例4は、樹脂中に1000ppmのPPAを含有する。比較フィルム2Aに関しては、1000ppmのポリマー加工助剤(PPA)を、樹脂に、高分子材料を比較フィルム2Aに押出す前に加える。PPAは、Ingenia Polymers製のCKAC−19と呼ばれる1.25%のPPAマスターバッチ(これは、8%のDynamar FX−5920AをPE担体中に含有する)として加えて、樹脂中1000ppmのPPAを得る。
【0068】
フィルム二次加工条件を、表9Aに報告する。発明フィルム4、比較フィルム2Aを、これらの種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表10Aおよび15に報告する。
【0069】
発明ブレンド1および比較ブレンド1
発明ブレンド1は、90%の発明実施例4と、10%の高圧低密度ポリエチレンDow LDPE 133A(0.2のメルトインデックス、0.921g/ccの密度のLDPE)とのブレンドである。
【0070】
比較ブレンド1は、90%の比較実施例2と、10%のLDPE 133Aとのブレンドである。この場合には、PPAも、比較ブレンド1に、PPAの量が発明ブレンド1と同じであるように900ppmで加える。PPAは、Ingenia Polymers製のCKAC−19と呼ばれる1.125%のPPAマスターバッチ(これは、8%のDynamar FX−5920AをPE担体中に含有する)として加えて、樹脂中900ppmのPPAを得る。
【0071】
発明ブレンド1および比較ブレンド1は、単層インフレーションフィルムラインでフィルムに2ミルの厚みで吹き込み成形した。前記インフレーションフィルムラインは、2.5インチDavis StandardバリアIIスクリューDSBIIからなる。スクリューの長さ/直径(L/D)の比は、30:1である。前記インフレーションフィルムラインは、二重リップエアリング冷却系と20:40:60:80:20メッシュのスクリーンパック構成とを有する6インチのダイ直径を有する。
【0072】
フィルム二次加工条件を、表9Aに報告する。発明ブレンド1および比較ブレンド1を、種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表10Aおよび15に報告する。
【0073】
発明3層フィルムAおよびB
表11AおよびBに関連して、発明3層フィルムAおよびBを、以下の手順で二次加工する。二次加工条件を、表12および13に報告する。
【0074】
発明3層フィルムAは、(1)シーラント層であって、96.75重量%の発明実施例3の本発明のエチレン系ポリマー組成物と、重量で1000パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で2500ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるシーラント層と;(2)コア層であって、72.1重量%のDOWLEX(商標)2045.11G(約0.922g/cm3の密度および約1.0g/10分のメルトインデックス(190℃および2.16kgで測定される)を有するエチレンコポリマー(エチレン−オクテン・コポリマー))と、25重量%のINSPIRE(商標)114(約0.900g/cm3の密度および約0.50g/10分のメルトフローレート(190℃および2.16kgで測定される)を有するプロピレン系ポリマー)と、重量で1200パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で3000ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるコア層と;(3)スキン層であって、96.1重量%のDOWLEX(商標)2045.11G(約0.922g/cm3の密度および約1.0g/10分のメルトインデックス(190℃および2.16kgで測定される)を有するエチレンコポリマー(エチレン−オクテン・コポリマー))と、重量で1200パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で3000ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるスキン層;とを含む。発明3層フィルムBは、(1)シーラント層であって、96.75重量%の発明実施例1の本発明のエチレン系ポリマー組成物と、重量で1000パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で2500ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるシーラント層と;(2)コア層であって、72.1重量%のDOWLEX(商標)2045.11G(約0.922g/cm3の密度および約1.0g/10分のメルトインデックス(190℃および2.16kgで測定される)を有するエチレンコポリマー(エチレン−オクテン・コポリマー))と、25重量%のINSPIRE(商標)114(約0.900g/cm3の密度および約0.50g/10分のメルトフローレート(190℃および2.16kgで測定される)を有するプロピレン系ポリマー)と、重量で1200パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で3000ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるコア層と;(3)スキン層であって、96.1重量%のDOWLEX(商標)2045.11G(約0.922g/cm3の密度および約1.0g/10分のメルトインデックス(190℃および2.16kgで測定される)を有するエチレンコポリマー(エチレン−オクテン・コポリマー))と、重量で1200パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で3000ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるスキン層;とを含む。
【0075】
本発明の3層同時押出フィルムは、2台の2.5インチの24:1のL/DのEgan押出機(押出機AおよびB)と、1台の2インチの24:1のL/DのJohnson押出機(押出機C)とからなる3層同時押出インフレーションフィルムラインで二次加工する。前記の押出機は、全て、バレル加熱および冷却(閉ループ液体冷却系)を有する平滑ボア押出機である。前記押出機には、60HP、75HP、および20HPのDC駆動装置それぞれで動力を供給する。前記押出機は、Extrol 6032マイクロプロセッサーで制御する。押出しプロセスは、複数の圧力変換器(2 1/2"のバレル上に3台、各ブレカープレートならびに各バレル上の4つのヒーター帯域の前に1台および後に1台、ダイアダプターおよびダイブロックならびにダイ上の2つの帯域でそれぞれ1台)で監視する。マイクロプロセッサーもまた、各押出機で押出機のRPM、%FLC、HP、速度、レイフラット(Layflat)および溶融温度を追跡する。ダイは、15:75:15%の層比および70ミルのダイギャップを有する6インチのBattenfeld−Gloucesterダイである。使用する標準スクリューは、押出機Aについては2.88の圧縮比を有するNew Castle一条高剪断スクリューであり;押出機Bについては3.64の圧縮比を有するFeed ScrewのModified Double mixであり;および押出機Cについては2.5の圧縮比を有するJohnson一条スクリューである。2.5ミルフィルム(1.0ミルのシーラント層/1.0ミルのコア層/0.5ミルのスキン層)、21.5”までのスリット、コアと同一平面で切断(cut flush with core)の同時押出しフィルム構造を、2.5:1のBURで製造した。スクリーンパックの構成は、20:40:60:80:20メッシュであった。
【0076】
本発明の3層フィルムAおよびBを、Weigh Pack SystemsのXPDIUS ELITEシリースVFS袋詰め機で評価し、その結果を表14に示す。Weigh Pack VFFSパケージング装置は、多数のシーリングジョー:偽ジョー(false jaws)+シールジョー(この場合、シールジョーの背面は凹面であり、前面は凸面である)を使用した。キャッチプレート(catch plate)は、シールジョー真上でV形である。ジョーの強さは、サーボモーターに基づいて180単位(unit)で設定する。フィンシールジョー(fin seal jaw)は、50psiの保持圧力で設定する。
【0077】
バッグを、充填製品として2ポンドの測定した乾燥小豆を使用して試験する。予め測定した2ポンド量の乾燥小豆を、手で成形カラー(forming collar)を介してVFFSバッグに注ぐ。製品は、最小シール温度と最小滞留時間、すなわちVFFS生産速度の最大化の2つの臨界パラメーターについて評価する。最小シール温度は、VFFSバッグを、2ポンド分の乾燥小豆で一定の滞留時間(1.35秒)で満たし、VFFSバッグがもはや乾燥小豆を入れることができなくなるまでシール温度を下げることによって決定する。最小滞留時間を決定するために、複数のピローパウチ(pillow pouch)(製品を有していないVFFSバッグ)を調製する。試験は、2ポンドの乾燥小豆を入れるのに必要な最小シール温度よりも5℃上で開始する。次いで、シールバー滞留時間を、VFFSバッグがもはやシールを保持しなくなるまで短縮させる。
【0078】
最小シール温度の決定のために、複数のパッケージを調製した後に、これらのパッケージを約30秒間「硬化(setup)」させ、次いで激しく振動させて2ポンドの小豆のパッケージについて内容物を確認する。最小滞留時間の決定のために、空気を満たしただけのピローパウチを、約30秒間硬化させてシールを硬化させ、次いでこのパッケージに手で圧力を加えて、パッケージがシールで押し開かないかまたは大きな「チャンネル」リーカー(leaker)を有していないことを確認する。チャンネルリーカーは、パーケージの両端のシールのいずれかがパッケージの長辺上の長いシールと重なっている位置で形成された大きな穴である。密封(気密)シールは、冷凍食品を含めほとんどの固形食品用途に必要とされない。結果を表14に報告する。
【0079】
比較3層フィルムA
表11Cに関連して、比較3層フィルムAを、以下の手順に従って二次加工する。二次加工条件を、表12および13に報告する。
【0080】
比較3層フィルムAは、(1)シーラント層であって、96.75重量%のELITE(商標)5500G(約1.5g/10分のメルトインデックス(I2)(190℃および2.16kgで測定される)および約0.914g/cm3の密度を有するエチレン/オクテン・コポリマー)と、重量で1000パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で2500ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるシーラント層と;(2)コア層であって、72.1重量%のDOWLEX(商標)2045.11G(約0.922g/cm3の密度および約1.0g/10分のメルトインデックス(190℃および2.16kgで測定される)を有するエチレンコポリマー(エチレン−オクテン・コポリマー))と、25重量%のINSPIRE(商標)114(約0.900g/cm3の密度および約0.50g/10分のメルトフローレート(190℃および2.16kgで測定される)を有するプロピレン系ポリマー)と、重量で1200パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で3000ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるコア層と;(3)スキン層であって、96.1重量%のDOWLEX(商標)2045.11G(約0.922g/cm3の密度および約1.0g/10分のメルトインデックス(190℃および2.16kgで測定される)を有するエチレンコポリマー(エチレン−オクテン・コポリマー))と、重量で1200パーツ・パー・ミリオン(ppm)のスリップ剤(エルカ酸アミド)と、重量で3000ppmの粘着防止剤(珪藻土−粘着防止剤)とを含み、残りの重量がスリップ剤および粘着防止剤の担体としてのLDPEであるスキン層;とを含む。
【0081】
比較3層フィルムAは、2台の2.5インチの24:1のL/DのEgan押出機(押出機AおよびB)と1台の2インチの24:1のL/DのJohnson押出機(押出機C)とからなる3層同時押出インフレーションフィルムラインで二次加工する。前記の押出機は、全て、バレル加熱および冷却(閉ループ液体冷却系)を有する平滑ボア押出機である。前記押出機には、60HP、75HP、および20HPのDC駆動装置それぞれで動力を供給する。前記押出機は、Extrol 6032マイクロプロセッサーで制御する。押出しプロセスは、複数の圧力変換器(2 1/2”のバレル上に3台、各ブレカープレートならびに各バレル上の4つのヒーター帯域の前に1台および後に1台、ダイアダプターおよびダイブロックならびにダイ上の2つの帯域でそれぞれ1台)で監視する。マイクロプロセッサーもまた、各押出機で押出機のRPM、%FLC、HP、速度、レイフラットおよび溶融温度を追跡する。ダイは、15:75:15%の層比および70ミルのダイギャップを有する6インチのBattenfeld−Gloucesterダイである。使用する標準スクリューは、押出機Aについては2.88の圧縮比を有するNew Castle一条高剪断スクリューであり;押出機Bについては3.64の圧縮比を有するFeed ScrewのModified Double mixであり;および押出機Cについては2.5の圧縮比を有するJohnson一条スクリューである。2.5ミルフィルム(1.0ミルのシーラント層/1.0ミルのコア層/0.5ミルのスキン層)、21.5”までのスリット、コアと同一平面で切断(cut flush with core)の同時押出しフィルム構造を、2.5:1のBURで製造した。スクリーンパックの構成は、20:40:60:80:20メッシュであった。
【0082】
比較3層フィルムAを、Weigh Pack SystemsのXPDIUS ELITEシリースVFS袋詰め機で評価する。Weigh Pack VFFSパケージング装置は、多数のシーリングジョー:偽ジョー+シールジョー(この場合、シールジョーの背面は凹面であり、前面は凸面である)を使用した。キャッチプレートは、シールジョー真上でV形である。ジョーの強さは、サーボモーターに基づいて180単位で設定する。フィンシールジョーは、50psiの保持圧力で設定する。
【0083】
バッグを、充填製品として2ポンドの測定した乾燥小豆を使用して試験する。予め測定した2ポンド量の乾燥小豆を、手で成形カラーを介してVFFSバッグに注ぐ。製品は、最小シール温度と最小滞留時間、すなわちVFFS生産速度の最大化の2つの臨界パラメーターについて評価する。最小シール温度は、VFFSバッグを、2ポンド分の乾燥小豆で一定の滞留時間(1.35秒)で満たし、VFFSバッグがもはや乾燥小豆を入れることができなくなるまでシール温度を下げることによって決定される。最小滞留時間を決定するために、複数のピローパウチ(製品を有していないVFFSバッグ)を調製する。試験は、2ポンドの乾燥小豆を入れるのに必要な最小シール温度よりも5℃上で開始する。次いで、シールバー滞留時間を、VFFSバッグがもはやシールを保持しなくなるまで短縮させる。
【0084】
最小シール温度の決定のために、複数のパッケージを調製した後に、これらのパッケージを約30秒間「硬化(setup)」させ、次いで激しく振動させて2ポンドの小豆のパッケージについて内容物を確認する。最小滞留時間の決定のために、空気を満たしただけのピローパウチを、約30秒間硬化させてシールを硬化させ、次いでこのパッケージに手で圧力を加えて、パッケージがシールで押し開かないかまたは大きな「チャンネル」リーカーを有していないことを確認する。チャンネルリーカーは、パーケージの両端のシールのいずれかがパッケージの長辺上の長いシールと重なっている位置で形成された大きな穴である。密封(気密)シールは、冷凍食品を含めほとんどの固形食品用途に必要とされない。結果を表14に報告する。
【0085】
発明ブレンド2および3
発明ブレンド2は、80%の発明実施例4と、20%の高圧低密度ポリエチレン(Dow LDPE 5011、1.9g/10分のI2および0.922g/ccの密度を有する)とのブレンドである。
【0086】
発明ブレンド3は、70%の発明実施例4と、30%の高圧低密度ポリエチレン(Dow LDPE 5011、1.9g/10分のI2および0.922g/ccの密度を有する)とのブレンドである。
【0087】
発明ブレンド2および3は、単層インフレーションフィルムラインで2ミルの厚みで製造する。前記インフレーションフィルムラインは、単一の2.5インチDavis StandardバリアIIスクリューDSBIIからなる。スクリューの長さ/直径(L/D)の比は、30:1である。前記インフレーションフィルムラインは、二重リップエアリング冷却系および20:40:60:80:20メッシュのスクリーンパック構成を有する6インチのダイ直径を有する。フィルム二次加工条件を、表16に報告する。発明ブレンド1および比較ブレンド1を、これらの種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表17および18に報告する。
【0088】
比較ブレンド2および3
比較ブレンド2は、80%の比較実施例4と、20%の高圧低密度ポリエチレン(Dow LDPE 5011、1.9g/10分のI2および0.922g/ccの密度を有する)とのブレンドである。
【0089】
比較ブレンド3は、70%の発明実施例4と、30%の高圧低密度ポリエチレン(Dow LDPE 5011、1.9g/10分のI2および0.922g/ccの密度を有する)とのブレンドである。
【0090】
比較ブレンド2および3は、単層インフレーションフィルムラインで2ミルの厚みで製造する。前記インフレーションフィルムラインは、単一の2.5インチDavis StandardバリアIIスクリューDSBIIからなる。スクリューの長さ/直径(L/D)の比は、30:1である。前記インフレーションフィルムラインは、二重リップエアリング冷却系および20:40:60:80:20メッシュのスクリーンパック構成を有する6インチのダイ直径を有する。フィルム二次加工条件を、表16に報告する。比較ブレンド2および比較ブレンド3を、これらの種々の特性について以下に記載の試験方法に従って試験し、これらの特性を表17および18に報告する。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【0091】
試験方法
密度
密度について測定する試料は、ASTM D1928に従って調製する。測定は、ASTM D792、方法Bを使用して、試料のプレスの1時間以内に行う。
【0092】
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわちI2は、ASTM D1238、条件190℃/2.16kgに従って測定し、10分当たりに溶出したグラム数で報告する。I10は、ASTM D1238、条件190℃/10kgに従って測定し、10分当たりに溶出したグラム数で報告する。
【0093】
DSC結晶化度
示差走査熱量測定(DSC)は、広い温度範囲にわたるポリマーの溶融および結晶化の挙動を測定するのに使用できる。例えば、RCS(冷蔵冷却装置)および自動サンプラーを備えたTA InstrumentsのQ1000 DSCを、この分析を行うのに使用する。試験中、50ml/分の窒素パージガス流を使用する。各試料を、約175℃で薄膜に溶融プレスし;次いでこの溶融試料を室温(〜25℃)に空冷する。3〜10mgの直径6mmの検体を、冷却したポリマーから抜き出し、秤量し、軽量アルミニウム鍋(約50mg)に入れ、圧着させる(crimped shut)。次いで、分析を行い、その熱的性質を決定する。
【0094】
試料の熱挙動は、試料温度を上昇および下降させることによって温度プロフィールに対する熱流を作成することによって決定される。最初に、試料を、180℃に急速加熱し、その熱履歴を除去するために3分間等温に保持する。次いで、試料を、10℃/分の冷却速度で−40℃まで冷却し、−40℃で3分間等温に保持する。次いで、試料を、10℃/分の加熱速度で150℃に加熱する(これは、「第二の加熱」勾配である)。冷却曲線および第二の加熱曲線を記録する。冷却曲線は、ベースラインのエンドポイントを、結晶化の開始から−20℃まで設定することによって分析する。加熱曲線は、ベースラインのエンドポイントを、−20℃から溶融の終わりまで設定することによって分析する。決定した値は、ピーク溶融温度(Tm)、ピーク結晶化温度(Tc)、融解熱(Hf)(J/g)、および図6に示す式6を使用してポリエチレン試料について算出した%結晶化度である。
【0095】
融解熱(Hf)およびピーク溶融温度は、第二の加熱曲線から報告する。ピーク結晶化温度は、冷却曲線から決定する。
【0096】
動的機械的分光分析(DMS)周波数掃引
溶融レオロジー、一定温度周波数掃引を、25mmパラレルプレートを備えたTA InstrumentsのAdvanced Rheometric Expansion System(ARES)レオメーターを使用して窒素パージ下で行った。周波数掃引を、全ての試料について2.0mmのギャップおよび10%の一定歪みで、190℃で行った。周波数間隔は、0.1〜100ラジアン/秒であった。応力応答を、振幅および相について分析し、これらから貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、および動的溶融粘度(η*)を算出した。
【0097】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)
GPC装置は、搭載示差屈折計(RI)を備えたWaters(Milford、MA)製150℃高温クロマトグラフ(他の適当な高温GPC装置としては、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)製のModel 210およびModel 220が挙げられる)からなる。さらなる検出器としては、Polymer ChAR(Valencia、スペイン)製のIR4赤外線検出器、Precision Detectors(Amherst、MA)製の2角度レーザー光分散検出器モデル2040、およびViscotek(Houston、TX)製の150R 4−キャピラリー溶液粘度計が挙げられる。最後の2つの独立した検出器と、最初の検出器の少なくとも1つとを有するGPCは、時には「3D−GPC」と呼ばれ、これに対して用語「GPC」単独は、一般に従来のGPCを指す。試料に応じて、光散乱検出器の15°の角度または90°の角度のいずれかを計算のために使用する。データ収集は、Viscotek TriSECソフトウエア、バージョン3および4−チャンネルViscotek Data Manager DM400を使用して行う。この装置はまた、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)製のオンライン溶媒脱ガス装置も備えている。適当な高温GPCカラム、例えば4本の長さ30cmのShodex HT803 13ミクロンカラムまたは20ミクロン混合細孔径充填の4本の30cmのPolymer Labsカラム(MixA LS、Polymer Labs)を使用できる。試料カルーセルコンパートメントは、140℃で操作し、カラムコンパートメントは、150℃で操作する。試料は、溶媒50ml中にポリマー0.1gの濃度で調製する。クロマトグラフ溶媒および試料調製溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。両方の溶媒には、窒素を散布する。ポリエチレン試料は、160℃で4時間穏やかに攪拌する。注入量は、200μlである。GPCを通る流量は、1ml/分に設定する。
【0098】
GPCカラムセットは、種々の実施例の試料を流す前に21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を流すことによって較正する。前記標準物質の分子量(MW)は、モル当たり580〜8,400,000グラムの範囲にあり、前記標準物質は、6個の「カクテル」混合物に含有させる。各標準物質混合物は、それぞれの分子量の間に少なくとも10の隔たりを有する。前記標準物質混合物は、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)から購入する。ポリスチレン標準物質は、モル当たり1,000,000グラム以上の分子量については溶媒50mL中に0.025gで調製し、モル当たり1,000,000グラム未満の分子量については溶媒50ml中に0.05gで調製する。ポリスチレン標準物質は、80℃で30分間穏やかに攪拌しながら溶解させる。分子量分布の狭い標準物質の混合物を最初に流し、分解を最小限にするために最大分子量成分を減少させる順序で流す。ポリスチレン標準物質ピーク分子量は、ポリスチレンおよびポリエチレンについて後で述べるMark−Houwink K値およびa値(時にはαと呼ばれる)を使用してポリエチレンMWに変換する。この手順の実証については、実施例のセクション参照。
【0099】
3D−GPCを用いて、絶対重量平均分子量(「Mw,Abs」)および固有粘度も、前述の条件と同じ条件を使用して適当な分子量分布の狭いポリエチレン標準物質から個々に得られる。これらの分子量分布の狭い線状ポリエチレン標準物質は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK;Part No.PL2650−0101およびPL2650−0102)から得てもよい。
【0100】
多重検出器オフセットの決定の系統的なアプローチは、Balke、Moureyら(Mourey and Balke, Chromatography Polym., Chapter 12, (1992))(Balke, Thitiratsakul, Lew, Cheung, Mourey, Chromatography Polym., Chapter 13, (1992))によって公表された方法と一致する方法で行い、Dow 1683ブロードポリスチレン(American Polymer Standards Corp.;Mentor、OH)またはその同等物からの3つの検出器記録(Mwおよび固有粘度)結果を、分子量分布の狭いポリスチレン標準物質の較正曲線からの分子量分布の狭い標準物質のカラム較正結果に最適化する。検出器容量オフセットの決定を説明する分子量データは、Zimm(Zimm, B.H., J. Chem. Phys., 16, 1099(1948))およびKratochvil(Kratochvil, P., Classical Light Scattering from Polymer Solutions, Elsevier, Oxford, NY(1987))によって公表された方法と一致する方法で得られる。分子量の決定で使用した全注入濃度は、適当な線状ポリエチレンホモポリマー、または前記ポリエチレン標準物質の1つから誘導される質量検出器面積および質量検出器定数から得られる。計算分子量は、前述のポリエチレン標準物質の1つまたはそれ以上から誘導される光散乱定数と、0.104の屈折率濃度係数(dn/dc)とを使用して得られる。一般に、質量検出器応答および光散乱定数は、約50,000ダルトンを超える分子量を有する線状標準物質から決定されるべきである。粘度計の較正は、製造業者によって報告された方法を使用するか、あるいは適当な線状標準物質、例えば標準対照物質(Standard Reference Materials(SRM))1475a、1482a、1483、または1484aの公表値を使用することによって達成できる。クロマトグラフ濃度は、第2ビリアル係数効果(分子量に対する濃度効果)を処理することを排除するのに十分に低いと推定される。
【0101】
3D−GPCによるg’
試料ポリマーの指数(g’)は、上記のゲル透過クロマトグラフィー法に記載の光散乱検出器、粘度検出器、および濃度検出器を、SRM 1475aホモポリマーポリエチレン(またはその同等基準)を用いて最初に較正することによって決定される。光散乱および粘度計検出器のオフセットは、前記較正に記載のように濃度検出器に関連して決定される。ベースラインは、光散乱、粘度計、および濃度のクロマトグラムから引かれ、次いで積分ウィンドウが、屈折率クロマトグラムから検出可能なポリマーの存在を示す光散乱および粘度計クロマトグラムの低分子量保持容量範囲の全てを積分することを確実にするように設定される。線状ホモポリマーポリエチレンが、幅広い分子量のポリエチレン基準、例えばSRM1475a標準物質を注入し、データファイルを計算し、各クロマトグラフスライスについて固有粘度(IV)および分子量(Mw)(それぞれは、光散乱検出器および粘度検出器それぞれから誘導される)、ならびに濃度(RI検出器質量定数から決定される)を記録することによってMark−Houwink(MH)直線状基準線を確立するのに使用される。試料の分析のために、各クロマトグラフスライスのための手順が、試料Mark−Houwink線を得るために反復される。幾つかの試料については、より低い分子量、固有粘度および分子量データは、測定された分子量および固有粘度が線状ホモポリマーGPC較正曲線に漸近的に近づくように外挿される必要があり得ることに留意されたい。この目的に、多数の高分岐エチレン系ポリマー試料は、直線状基準線が長鎖分岐指数(g’)の算出を進める前に短鎖分岐の寄与を説明するためにわずかにシフトすることを必要とする。
【0102】
g−プライム(gi’)は、図7に示すように、式7に従って各分岐試料クロマトグラフスライス(i)および測定する分子量(Mi)について算出され、算出は、線状基準試料において均等分子量(Mj)でIVlinear reference,jを利用する。言い換えれば、試料IVスライス(i)および基準IVスライス(j)は、同じ分子量を有する(Mi=Mj)。簡単にするために、IVlinear reference,jスライスは、基準Mark−Houwinkプロットの5次多項式フィットから算出される。IV比、すなわちgi’は、光散乱データのシグナル対ノイズ限界のために3,500よりも大きい分子量で得られるだけである。各データスライス(i)での試料ポリマーの分岐の数(Bn)は、0.75の粘度遮蔽イプシロン係数を仮定して、図8に示すように、式8を使用することによって決定できる。
【0103】
最後に、前記スライス(i)の全てにわたるポリマーの炭素1000個当たりの平均LCBf量が、図9に示すように、式9を使用して決定できる。
【0104】
3D−GPCによるgpcBR分岐指数
3D−GPC構成において、ポリエチレンおよびポリスチレンの標準物質が、2つのポリマーのタイプ、ポリスチレンおよびポリエチレンのそれぞれについてMark−Houwink定数、Kおよびαそれぞれを測定するのに使用できる。これらは、以下の方法の適用においてWilliamsとWardのポリエチレン等価分子量の精度を上げるのに使用できる。
【0105】
gpcBR分岐指数は、最初に前記のように光散乱検出器、粘度検出器、および濃度検出器を較正することによって決定される。次いで、ベースラインが、光散乱、粘度計、および濃度のクロマトグラムから引かれる。次いで、積分ウィンドウが、屈折率クロマトグラムから検出可能なポリマーの存在を示す光散乱および粘度計クロマトグラムの低分子量保持容量範囲の全ての積分を確実にするように設定される。次いで、線状ポリエチレン標準物質が、前記のようにポリエチレンおよびポリスチレンのMark−Houwink定数を確立するのに使用される。これらの定数を得ると、この2つの値は、式10および11、図10および11それぞれに示すように、溶出量の関数としてポリエチレンの分子量およびポリエチレンの固有粘度について2つの線状基準従来較正(「cc」)を構成するのに使用される。
【0106】
gpcBR分岐指数は、長鎖分岐の特性決定のためのロバスト法である。Yau, Wallace W., 「Examples of Using 3D-GPC-TREF for Polyolefin Characterization」、Macromol. Symp., 2007, 257, 29-45参照。この指数は、全ポリマー検出器面積および面積ドット積を支持するg’値の決定および分岐頻度の計算に伝統的に使用されているスライス毎の3D−GPC計算を避ける。3D−GPCデータから、ピーク面積法を使用する光散乱(LS)検出器によって試料体積Mwを得ることができる。この方法は、g’の決定において必要な濃度検出器シグナル全体に対する光散乱検出器シグナルのスライス毎の比を回避する。
【0107】
図12に示す式12の面積計算は、全試料面積として、それは検出器ノイズならびにベースラインおよび積分限界のGPC設定によって生じる変動に対しあまり敏感でないという理由から、よりよい精度を提供する。さらに重要なことに、ピーク面積計算は、検出器容量オフセットの影響を受けない。同様に、高精度の試料固有粘度(IV)は、図13に示すように、式13に示される面積法によって得られる。式中のDPiはオンライン粘度計から直接監視される示差圧力シグナルを表す。
【0108】
gpcBR分岐指数を決定するために、試料ポリマーの光散乱溶出面積が、試料の分子量を決定するのに使用される。試料ポリマーの粘度検出器溶出面積が、試料の固有粘度(IVまたは[η])を決定するのに使用される。
【0109】
最初に、線状ポリエチレン標準試料、例えばSRM1475aまたは均等物の分子量および固有粘度が、図14および15それぞれに示すように、式14および15によって、溶出量の関数として分子量と固有粘度の両方について従来の較正を使用して決定される。
【0110】
図16に示すように、式16が、gpcBR分岐指数を決定するために使用される。式中の[η]は、測定された固有粘度であり、[η]ccは、従来の較正による固有粘度であり、Mwは、測定された重量平均分子量であり、およびMw,ccは、従来の較正の重量平均分子量である。図12に示すように、式12を使用する光散乱(LS)によるMwは、一般に絶対Mwと呼ばれ;これに対して従来のGPC分子量較正曲線を使用する、図14に示すように、式14からのMw,ccは、多くの場合ポリマー鎖Mwと呼ばれる。下付き文字「cc」を有する全ての統計値は、そのそれぞれの溶出量、前記のような対応する従来の較正、および質量検出器の応答から誘導される濃度(Ci)を使用して決定される。下付き文字のない値は、質量検出器、LALLS、および粘度計面積に基づいて測定された値である。KPEの値は、線状基準試料が0のgpcBR測定値を有するまで繰り返し調節される。例えば、この特定の場合のgpcBRの決定のためのαおよびLogKの最終値は、ポリエチレンについてはそれぞれ0.725および−3.355であり、ポリスチレンについてはそれぞれ0.722および−3.993である。
【0111】
K値およびα値が一旦決定されると、前記手順が、分岐試料を使用して繰り返される。分岐試料は、最良の「cc」較正値として最終Mark−Houwink定数を使用し、図12〜16に示すように、式12〜16それぞれを適用して分析される。
【0112】
gpcBRの解釈は、簡単である。線状ポリマーについて、図16に示すように、式16から計算されたgpcBRは、LSおよび粘度測定法によって測定された値が従来の較正標準に近いのでゼロに近いであろう。分岐ポリマーについては、gpcBRは、測定されたポリマーMwが、計算されたMw,ccよりも高く、計算されたIVccが、測定されたポリマー固有粘度(IV)よりも高いので、特に高レベルのLCBで、0よりも高いであろう。実際に、gpcBR値は、ポリマー分岐の結果として分子サイズ収縮効果に起因して分数(franctional)IV変化を表す。0.5または2.0のgpcBR値は、当量の線状ポリマー分子に対して50%および200%それぞれのレベルでのIVの分子サイズ収縮効果を意味するであろう。
【0113】
これらの特定の実施例において、g’指数および分岐頻度の計算と比べてgpcBRを使用する利点は、より高い精度のgpcBRのによるものである。gpcBR指数の決定で使用したパラメーターは全て、良好な精度で得られ、濃度検出器からの高分子量での低い3D−GPC検出器応答の悪影響を受けない。検出器容量アライメントの誤差もまた、gpcBR指数決定の精度に影響を及ぼさない。他の特定の場合には、Mwモーメントを決定する別の方法が、前述の技法よりも好ましいものであり得る。
【0114】
CEF法
コモノマー分布分析は、結晶化溶出分別法(CEF)を用いて行われる(PolymerChar in Spain)(B. Monrabal et al., Macromol. Symp., 257, 71-79(2007))。600ppmの酸化防止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を有するオルトジクロロベンゼン(ODCB)を、溶媒として使用する。試料調製は、自動サンプラーを用いて4mg/ml(特に明記しない限りは)で、振盪下に160℃で2時間行う。注入量は、300μlである。CEFの温度プロフィールは、110℃から30℃まで3℃/分での結晶化、30℃で5分間の熱平衡、30℃から140℃まで3℃/分での溶出である。結晶化中の流量は、0.052ml/分である。溶出中の流量は、0.50ml/分である。データは、1データポイント/秒で収集する。
【0115】
CEFカラムは、Dow Chemical Companyによって1/8インチのステンレス管を用いガラスビーズを125um+6%(MO−SCI Specialty Products)で用いて充填される。ガラスビーズは、Dow Chemical Companyからの要求に従ってMO−SCI Specialtyで酸洗浄される。カラム容量は、2.06mlである。カラム温度の較正は、ODCB中のNIST標準基準物質線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)とエイコサン(2mg/ml)との混合物を使用することによって行う。温度は、NIST線状ポリエチレン1475aが101.0℃でピーク温度を有し、およびエイコサンが30.0℃のピーク温度を有するように、溶出加熱速度を調節することによって較正する。CEFカラム分離度(resolution)は、NIST線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)とヘキサコンタン(Fluka、purum、≧97.0%、1mg/ml)との混合物を用いて算出する。ヘキサコンタンとNISTポリエチレン1475aのベースライン分離が、達成される。ヘキサコンタンの面積(35.0℃から67.0℃まで)対67.0℃から110.0℃までのNIST 1475aの面積は、50:50であり、35.0℃未満の可溶性画分の量は、<1.8重量%である。CEFカラム分離度は、図17に示すように、式17に定義され、カラム分離度は6.0である。
【0116】
CDC法
コモノマー分布定数(CDC)は、CEFによるコモノマー分布プロフィールから算出される。CDCは、式1(図1)に示すように100を乗じてコモノマー分布形状係数で割ったコモノマー分布指数として定義される。
【0117】
コモノマー分布指数は、35.0℃から119.0℃まで0.5のメジアンコモノマー含有量(Cメジアン)から1.5のCメジアンまでの範囲のコモノマー含有量を有するポリマー鎖の全重量分率を表す。コモノマー分布形状係数は、ピーク温度(Tp)からコモノマー分布プロフィールの標準偏差で除算したコモノマー分布プロフィールの半値幅の比として定義される。
【0118】
CDCは、コモノマー分布プロフィールからCEFによって算出され、CDCは、式1(図1)に示すように100を乗算するコモノマー分布形状係数で除算したコモノマー分布指数として定義され、式中のコモノマー分布指数は、35.0℃から119.0℃まで0.5の平均コモノマー含有量(Cメジアン)から1.5のCメジアンまでの範囲のコモノマー含有量を有するポリマー鎖の全重量分率を表し、式中のコモノマー分布形状係数は、ピーク温度(Tp)からコモノマー分布プロフィールの標準偏差で除算したコモノマー分布プロフィールの半値幅の比として定義される。
【0119】
CDCは、以下の手順:すなわち、
(A)図2に示すように、式2に従ってCEFにより0.200℃の温度の段階的な上昇で35.0℃から119.0℃までの各温度(T)での重量分率(WT(T))を得;
(B)図3に示すように、式3に従って0.500の累積重量分率でのメジアン温度(Tメジアン)を算出し;
(C)図4に示すように、式4に従ってコモノマー含有量較正曲線を使用することによってメジアン温度(Tメジアン)での対応するモル%でのメジアンコモノマー含有量(Cメジアン)を算出し;
(D)既知量のコモノマー含有量を有する一連の基準物質を使用することによってコモノマー含有量較正曲線を作成し、すなわち0.0モル%から7.0モル%までの範囲のコモノマー含有量での35,000〜115,000(従来のGPCで測定される)の重量平均Mwを有する狭いコモノマー分布(35.0℃から119.0℃までのCEFでの単峰性コモノマー分布)を有する11個の基準物質を、CEFにより、CEF実験の部に明記した実験条件と同じ実験条件で分析し;
(E)各基準物質のピーク温度(Tp)およびそのコモノマー含有量を使用することによってコモノマー含有量較正を算出し;前記較正は、式4(図4)(式中:R2は相関定数である)に示すように各基準物質から算出し;
(F)コモノマー分布指数を、0.5*Cメジアンから1.5*Cメジアンまでの範囲のコモノマー含有量を用いて全重量分率から算出し、Tメジアンが98.0℃よりも高い場合には、コモノマー分布指数を0.95と定義し;
(G)35.0℃から119.0℃までの最大ピークについて各データポイントを検索する(2つのピークが同じである場合には、低い温度ピークを選択する)ことによってCEFコモノマー分布プロフィールから最大ピーク高さを得;半値幅を、最大ピーク高さの半値での前部温度と後部温度の間の温度差として定義し、最大ピークの半値での前部温度は、35.0℃よりも前方で調べ、これに対して最大ピークの半値での後部温度は、119.0℃よりも後方で調べ、ピーク温度の差が、各ピークの半値幅の合計の1.1倍以上である十分に定義された双峰性分布の場合には、本発明のエチレン系ポリマー組成物の半値幅は、各ピークの半値幅の算術平均として算出し;
(H)図5に示すように、式5に従って温度の標準偏差(Stdev)を算出する;
手順に従って算出される。
【0120】
従来のGPC Mw−gpc決定
Mw−GPC値を得るために、クロマトグラフィー装置は、屈折率(RI)濃度検出器を備えたPolymer LaboratoriesモデルPL−210またはPolymer LaboratoriesモデルPL−220のいずれかからなる。カラムおよびカルーセルコンパートメントは、140℃で操作する。3本のPolymer Laboratories 10μm混成Bカラムを、1,2,4−トリクロロベンゼンの溶媒と共に使用する。試料は、溶媒50mL中にポリマー0.1gの濃度で調製する。試料を調製するのに使用した溶媒は、200ppmの酸化防止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。試料は、160℃で4時間穏やかに攪拌することによって調製する。使用した注入量は、100マイクロリットルであり、流量は1.0mL/分である。GPCカラムセットの較正は、Polymer Laboratoriesから購入した21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて行う。ポリスチレン標準物質ピーク分子量は、図26に示すように、式26に示すポリエチレン分子量に変換する。式中のMは、分子量であり、Aは、0.4316の値を有しおよびBは1.0に相当する。
【0121】
三次多項式が、対数分子量較正を溶出量の関数として構築するために決定される。上記の従来の較正による重量平均分子量は、図27に示すように、式27に示す式のMwccとして定義される。この場合、合計は、GPC溶出曲線全体にわたり、RIおよびMccは、RI検出器シグナルおよび各GPC溶出スライスで従来の較正分子量を表す。ポリエチレン等価分子量の計算は、Viscotek TriSECソフトウエアバージョン3.0を使用して行う。重量平均分子量ΔMwの精度は、<2.6%で優れている。
【0122】
クリープゼロ剪断粘度測定法:
ゼロ剪断粘度は、AR−G2応力制御型レオメーター(TA Instruments;New Castle、Del)で直径25mmのパラレルプレートを190℃で使用して実施されるクリープ試験によって得られる。レオメーターオーブンは、固定具(fixture)をゼロに合わせる前に少なくとも30分間、試験温度に設定する。試験温度で、圧縮成形試料ディスクを、パラレルプレートの間に挿入し、5分間平衡に至らせる。次いで、上部プレートを、所望の試験ギャップ(1.5mm)の上方50μmまで下げる。余分な材料を切り落とし、上部プレートを所望のギャップまで下げる。測定は、5L/分の流量での窒素パージ下で行う。デフォルトクリープ時間は、2時間に設定する。
【0123】
20Paの一定低剪断応力を、試料の全てについて、常状態剪断速度がニュートン領域内にあるように十分に低いことを保証するために加える。得られる定常状態剪断速度は、この試験での試料について10−3〜10−4s−1の範囲内にある。定常状態は、log(J(t))対log(t)のプロットの最後の10%時間窓内の全てのデータについて線形回帰を考慮することによって決定され、J(t)はクリープコンプライアンスであり、tはクリープ時間である。線形回帰の勾配が0.97よりも大きい場合は、定常状態に達していると見なし、クリープ試験を停止する。この試験の全ての場合において、勾配は、2時間以内に基準を満たす。定常状態剪断速度は、ε対tのプロットの最後の10%時間窓内のデータポイントの全ての線形回帰の勾配から決定され、εは歪みである。ゼロ剪断粘度は、負荷応力と定常状態剪断速度との比から決定される。
【0124】
試料がクリープ試験中に分解するか否かを決定するために、小振幅振動剪断試験を、クリープ試験の前後に0.1〜100ラジアン/秒で同じ試験片について行う。2回の試験の複素粘度値を比較する。0.1ラジアン/秒での粘度の値の差が5%より大きい場合は、試料がクリープ試験中に分解していると見なし、結果を破棄する。
【0125】
ゼロ剪断粘度比(ZSVR)は、図18に示すように、式18に示すように同等重量平均分子量(Mw-gpc)での分岐ポリエチレン材料のゼロ剪断粘度(ZSV)と、線状ポリエチレン材料のZSVとの比として定義される。
【0126】
ZSV値は、前記の方法による190℃でのクリープ試験から得られる。Mw-gpc値は、前記のような従来のGPC法によって決定される。線状ポリエチレンのZSVとそのMw-gpcとの相関関係は、一連の線状ポリエチレン基準物質に基づいて確立された。ZSV−Mwの関係の説明は、ANTEC会報: Karjala, Teresa P.;Sammler, Robert L.;Mangnus, Marc A.;Hazlitt, Lonnie G.;Johnson, Mark S.;Hagen, Charles M., Jr.;Huang, Joe W.L.;Reichek, Kenneth N. Detection of low levels of long-chain branching in Polyolefins. Annual Technical Conference − Society of Plastics Engineers (2008), 66th 887-891に見出すことができる。
【0127】
1H NMR法
3.26gの原液を、10mmNMR管の0.133gのポリオレフィン試料に加える。原液は、0.001M Cr3+を有する、テトラクロロエタン−d2(TCE)とパークロロエチレンの混合物(50:50、w:w)である。管の溶液に、N2を5分間パージして酸素の量を減少させる。栓をした試料管を、室温で一夜放置してポリマー試料を膨潤させる。試料を、振盪しながら110℃で溶解させる。試料は、不飽和度に寄与するかもしれない添加剤、例えばエルカ酸アミドなどのスリップ剤を含んでいない。
【0128】
1H NMRは、10mmクライオプローブを用いて、Bruker AVANCE 400MHz分光計で、120℃で操作する。
【0129】
2つの実験:すなわち対照実験と二重予備飽和実験を行い、不飽和度を得る。
【0130】
対照実験について、データは、LB=1Hzを用いて指数ウィンドウ関数を用いて処理し、ベースラインを7ppmから−2ppmに補正した。TCEの残存1Hからのシグナルを100に設定し、−0.5〜3ppmの積分Itotalを、対照実験の全ポリマーからのシグナルとして使用する。ポリマー中のCH2基(NCH2)の個数を、以下のように算出する:
NCH2=Itotal/2
二重予備飽和実験について、データは、LB=1Hzを用いて指数ウィンドウ関数を用いて処理し、ベースラインを6.6ppmから4.5ppmに補正した。TCEの残存1Hからのシグナルを100に設定し、不飽和度(Iビニレン、I三置換、IビニルおよびIビニリデン)についての対応する積分は、図20に示す領域に基づいて積分した。ビニレン、三置換、ビニルおよびビニリデンの不飽和単位の個数が、算出される:
Nビニレン=Iビニレン/2
N三置換=I三置換
Nビニル=Iビニル/2
Nビニリデン=Iビニリデン/2
【0131】
不飽和単位/炭素1,000,000個は、以下のように算出する:
Nビニレン/1,000,000C=(Nビニレン/NCH2)*1,000,000
N三置換/1,000,000C=(N三置換/NCH2)*1,000,000
Nビニル/1,000,000C=(Nビニル/NCH2)*1,000,000
Nビニリデン/1,000,000C=(Nビニリデン/NCH2)*1,000,000
【0132】
不飽和NMR分析の要件としては:定量のレベルが、3.9重量%の試料(Vd2構造について、Macromolecules, vol.38, 6988, 2005参照)、10mm高温クライオプローブを用いて200回のスキャン(対照実験を行う時間を含めて1時間未満のデータ収集)を用いて、Vd2について0.47+0.02/1,000,000炭素であることが挙げられる。定量のレベルは、10のシグナル対ノイズ比として定義される。
【0133】
化学シフトの基準は、TCT−d2からの残存プロトンからの1Hシグナルについて6.0ppmで設定する。対照は、ZG パルス、TD 32768、NS 4、DS 12、SWH 10,000Hz、AQ 1.64s、D1 14sで操作する。二重予備飽和実験は、モディファイド(modified)パルスシーケンス、O1P 1.354ppm、O2P 0.960ppm、PL9 57db、PL21 70db、TD 32768、NS 200、DS 4、SWH 10,000Hz、AQ 1.64s、D1 1s、D13 13sで操作する。Bruker AVANCE 400MHz分光計を用いた不飽和についてのモディファイドパルスシーケンスを、図21に示す。
【0134】
ゲル含有量
ゲル含有量は、キシレン中でASTM D2765−01、方法Aに従って決定する。試料は、安全かみそりの刃を使用して必要な大きさに切断する。
【0135】
フィルム試験条件
以下の物理的性質を、製造したフィルムについて測定する:
・全体的(総合的)表面および内部曇り:内部曇りおよび全体の曇りについて測定する試料は、ASTM D1003に従ってサンプリングし、調製する。内部曇りは、フィルムの両面について鉱油を使用して屈折率整合によって得る。Hazeguard Plus(BYK−Gardner USA;Columbia、MD)を試験に使用する。表面曇りは、全体的曇りと内部曇りの間の差として決定する。
・45°光沢:ASTM D−2457。
・MDおよびCDエルメンドルフ引裂強さ:ASTM D−1922。
・MDおよびCD引張り強さ:ASTM D−882。
・落槍衝撃強さ:ASTM D−1709。
【0136】
破壊および破壊変性
・破壊:破壊は、Instronモデル4201でSintech Testworksソフトウエアバージョン3.10を用いて測定する。試験片サイズは、6インチ×6インチであり、4回の測定を行って平均破壊値を決定する。フィルムは、ASTM制御実験室でフィルム製造後に40時間、少なくとも24時間状態調節する。100ポンド荷重セルを、12.56平方インチの丸型試験片ホルダーと共に使用する。破壊プローブは、7.5インチの最大移動長を有する直径1/2インチの研磨ステンレス鋼製ボール(0.25インチロッド上)である。ゲージ長はない;このプローブは、試験片にできるだけ近づけるが、接触させない。使用したクロスヘッド速度は、10インチ/分である。厚みは、試験片の中心で測定する。フィルムの厚み、移動させたクロスヘッドの距離、およびピーク荷重を使用して、ソフトウエアで破壊を決定する。破壊プローブは、各試験片の後に「Kim−wipe」を使用して掃除する。
・破壊変性:破壊プローブが、0.5インチのロッド上に置いた直径0.5インチの研磨ステンレス鋼シリンダーである以外は、破壊強さと同じである。
【0137】
促進酸化窒素(NOx)ガス退色試験法
ガス退色試験は、米国繊維化学染色協会(America Association Textile Chemist and Colorists)(AATCC)試験法23−1994であり、これは、加熱ガスの燃焼により誘導されるような空中窒素酸化物に暴露された場合の試験片の色の変化を評価する。試料室は、ガスバーナー上を通過し、ガスバーナー(この場合には、天然ガス)からの燃焼の副生物を含有する空気の雰囲気への試料の暴露を可能にする。オーブン内部の雰囲気は、ドレーゲル管を使用して測定される〜5ppmの窒素酸化物を含有する。試験は、窒素酸化物を生成するフォークリフトまたはガス燃焼装置からの排気への暴露による倉庫内の高められた温度で保管を促進するのに使用される。
【0138】
フィルム試料を、ガス退色オーブン中に60℃で入れる。24時間毎に、ポリマーの色の変化の程度を、Minolta CM−2600d分光光度計を使用して、ASTM法E313に従ってCIE L*a*b*値を記録することによって測定する。国際照明委員会(通常、そのフランス語名、Commission Internationale de l'eclairageについてCIEと略記される)は、光、照明、色、および色空間に関する国際機関であり、現在オーストリアのウイーンに置かれている。特に、b*値の変化は、非暴露試料と比べて黄色(陽性b*変化)または青色(陰性b*変化)へのシフトを提供する。試験は、10日間の暴露後に終える。
【0139】
特に明記しない限りは、文脈からの暗示または当該分野での慣行、全ての部およびパーセントは、重量に基づく。
【0140】
優先権書類を含め、引用した全ての出願、刊行物、特許、試験手順、およびその他の文献は、このような開示が、開示された組成物および方法と矛盾しない程度に、およびこのような組み込みが容認される全ての司法権の及ぶ範囲について矛盾しない程度に、参照することによって完全に組み込まれる。
【0141】
試料のフィルム特性を、以下の表に示す。実施例6は、改善されたMD破壊応力、ピーク荷重、ならびに破断歪およびCD破壊応力についてCE2と比べて引張特性において利点を示す。実施例6について以下の表に示す他の特性は、頑丈な輸送用袋(heavy duty shipping sack)(HDSS)およびその他のフィルム用途で使用するのに許容できる/良好である。10%LDPE 133Aとのブレンドについて、破壊は、実施例6+10%LDPE 133Aと、CE2+10%LDPE 133Aとの間で極めて類似し、改善されたMD破壊応力、MDピーク荷重、MD破壊歪み、MD降伏応力、CD破壊応力、およびCD降伏歪のCE2+10%LDPE 133Aと比べて実施例6+10%LDPE 133Aについて利点が認められる。
【0142】
本発明の主要な利点を、図25に示す。図25において、フィルムは、促進酸化窒素(NOx)ガス退色試験法で試験する。比較フィルム2Aは、b*軸増大に認められるように1日後に著しく黄色になる傾向があった。また、この結果は、LDPE、すなわち90%比較ブレンド1とのブレンドについても認められた。1.5単位以下のCIEのb*変化は、10日後にこれらの試験条件下で許容できると考えられる。発明フィルム4は、3.18の比較フィルム2Aと比べて0.68の変化で示されるようにこの要件を満たす。さらに、LDPEとのブレンドについて、発明ブレンド1は、10日間にわたって0.51のb*変化を有し、所定の要件を満たし、比較ブレンド1は、3.75の値でこの要件を満たさなかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約45よりも大きくおよび400の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられるエチレン系ポリマー組成物であって、前記組成物が120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有するものであるエチレン系ポリマー組成物。
【請求項2】
前記組成物が最大約3個までの長鎖分岐/炭素1000個を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
少なくとも2のZSVRを有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
さらに20個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000Cを含むことによって特徴付けられる、請求項3に記載のポリマー。
【請求項5】
前記組成物が双峰性分子量分布を有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記組成物が多峰性MWDを有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物を含む二次加工品。
【請求項8】
さらに単一のDSC溶融ピークを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物と、少なくとも1つの天然または合成ポリマーとを含む熱可塑性配合物。
【請求項10】
前記配合物を含むフィルムが3以下の10日間黄色度b*変化を有すると特徴付けられる、請求項9に記載の配合物。
【請求項11】
前記エチレン系組成物が前記配合物を約60〜約95重量%含む、請求項10に記載の配合物。
【請求項12】
前記組成物が少なくとも部分的に架橋されている(少なくとも5重量%のゲル)、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、パージを除いて、35℃から120℃まで単峰性または双峰性分布を含むコモノマー分布プロフィールを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
約17,000〜約220,000g/モルのMwを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
を含む重合方法。
【請求項16】
重合方法であって、
(A)エチレンと、場合により1つまたはそれ以上のα−オレフィンとを、第一の触媒の存在下で重合させて半結晶質エチレン系ポリマーを第一の反応器でまたは多段反応器の第一の部分で形成し;および
(B)新たに供給したエチレンと、場合により1つまたはそれ以上のα−オレフィンとを、有機金属触媒を含む第二の触媒の存在下で反応させ、それによってエチレン系ポリマー組成物を少なくとも1つの別の反応器でまたは前記多段反応器の後の部分で形成することを含み、(A)および(B)の触媒が、同じであるかまたは異なることができ、それぞれが、式:
【化1】
(式中、M3は、Ti、HfまたはZr、好ましくはZrであり;
Ar4は、それぞれの出現において独立して、置換C9−20アリール基であり(この場合、置換基は、それぞれの出現において独立して、アルキル基;シクロアルキル基;およびアリール基;ならびにこれらのハロ置換誘導体、トリヒドロカルビルシリル置換誘導体およびハロヒドロカルビル置換誘導体からなる群から選択され、少なくとも1つの置換基が、それを結合しているアリール基との共平面性がないことを条件とする);
T4は、それぞれの出現において独立して、C2−20アルキレン、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレン基、あるいはこれらの不活性置換誘導体であり;
R21は、それぞれの出現において独立して、水素、ハロ、水素を数に入れないで最大50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたはジ(ヒドロカルビル)アミノ基であり;
R3は、それぞれの出現において独立して、水素、ハロ、水素を数に入れないで最大50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたはアミノであるか、あるいは同じアリーレン環上の2つのR3基は、一緒になって、あるいは同じまたは異なるアリーレン環上のR3基とR21基は、一緒になって、2つの位置でアリーレン基に結合した二価リガンド基を形成するかまたは、一緒になって2つの異なるアリーレン環を結合し;および
RDは、それぞれの出現において独立して、ハロであるか、あるいは水素を数に入れないで最大20個までの原子を有するヒドロカルビルまたはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは2つのRD基は、一緒になって、ヒドロカルビレン基、ヒドロカルバジイル基、ジエン基、またはポリ(ヒドロカルビル)シリレン基である)
に対応する多価アリールオキシエーテルの金属錯体である、重合方法。
【請求項17】
少なくとも1つのフィルム層の形態の請求項8に記載の二次加工品。
【請求項18】
前記組成物を含むフィルムが、3以下の10日間黄色度b*変化を有すると特徴付けられる、請求項1に記載のエチレン系ポリマー組成物。
【請求項19】
前記組成物を含むフィルムが、2以下の10日間黄色度b*変化を有すると特徴付けられる、請求項1に記載のエチレン系ポリマー組成物。
【請求項20】
前記組成物を含むフィルムが、1以下の10日間黄色度b*変化を有すると特徴付けられる、請求項1に記載のエチレン系ポリマー組成物。
【請求項1】
約45よりも大きくおよび400の高さのコモノマー分布定数によって特徴付けられるエチレン系ポリマー組成物であって、前記組成物が120個未満の全不飽和単位/1,000,000Cを有するものであるエチレン系ポリマー組成物。
【請求項2】
前記組成物が最大約3個までの長鎖分岐/炭素1000個を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
少なくとも2のZSVRを有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
さらに20個未満のビニリデン不飽和単位/1,000,000Cを含むことによって特徴付けられる、請求項3に記載のポリマー。
【請求項5】
前記組成物が双峰性分子量分布を有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記組成物が多峰性MWDを有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物を含む二次加工品。
【請求項8】
さらに単一のDSC溶融ピークを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物と、少なくとも1つの天然または合成ポリマーとを含む熱可塑性配合物。
【請求項10】
前記配合物を含むフィルムが3以下の10日間黄色度b*変化を有すると特徴付けられる、請求項9に記載の配合物。
【請求項11】
前記エチレン系組成物が前記配合物を約60〜約95重量%含む、請求項10に記載の配合物。
【請求項12】
前記組成物が少なくとも部分的に架橋されている(少なくとも5重量%のゲル)、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、パージを除いて、35℃から120℃まで単峰性または双峰性分布を含むコモノマー分布プロフィールを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
約17,000〜約220,000g/モルのMwを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
を含む重合方法。
【請求項16】
重合方法であって、
(A)エチレンと、場合により1つまたはそれ以上のα−オレフィンとを、第一の触媒の存在下で重合させて半結晶質エチレン系ポリマーを第一の反応器でまたは多段反応器の第一の部分で形成し;および
(B)新たに供給したエチレンと、場合により1つまたはそれ以上のα−オレフィンとを、有機金属触媒を含む第二の触媒の存在下で反応させ、それによってエチレン系ポリマー組成物を少なくとも1つの別の反応器でまたは前記多段反応器の後の部分で形成することを含み、(A)および(B)の触媒が、同じであるかまたは異なることができ、それぞれが、式:
【化1】
(式中、M3は、Ti、HfまたはZr、好ましくはZrであり;
Ar4は、それぞれの出現において独立して、置換C9−20アリール基であり(この場合、置換基は、それぞれの出現において独立して、アルキル基;シクロアルキル基;およびアリール基;ならびにこれらのハロ置換誘導体、トリヒドロカルビルシリル置換誘導体およびハロヒドロカルビル置換誘導体からなる群から選択され、少なくとも1つの置換基が、それを結合しているアリール基との共平面性がないことを条件とする);
T4は、それぞれの出現において独立して、C2−20アルキレン、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレン基、あるいはこれらの不活性置換誘導体であり;
R21は、それぞれの出現において独立して、水素、ハロ、水素を数に入れないで最大50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたはジ(ヒドロカルビル)アミノ基であり;
R3は、それぞれの出現において独立して、水素、ハロ、水素を数に入れないで最大50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたはアミノであるか、あるいは同じアリーレン環上の2つのR3基は、一緒になって、あるいは同じまたは異なるアリーレン環上のR3基とR21基は、一緒になって、2つの位置でアリーレン基に結合した二価リガンド基を形成するかまたは、一緒になって2つの異なるアリーレン環を結合し;および
RDは、それぞれの出現において独立して、ハロであるか、あるいは水素を数に入れないで最大20個までの原子を有するヒドロカルビルまたはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは2つのRD基は、一緒になって、ヒドロカルビレン基、ヒドロカルバジイル基、ジエン基、またはポリ(ヒドロカルビル)シリレン基である)
に対応する多価アリールオキシエーテルの金属錯体である、重合方法。
【請求項17】
少なくとも1つのフィルム層の形態の請求項8に記載の二次加工品。
【請求項18】
前記組成物を含むフィルムが、3以下の10日間黄色度b*変化を有すると特徴付けられる、請求項1に記載のエチレン系ポリマー組成物。
【請求項19】
前記組成物を含むフィルムが、2以下の10日間黄色度b*変化を有すると特徴付けられる、請求項1に記載のエチレン系ポリマー組成物。
【請求項20】
前記組成物を含むフィルムが、1以下の10日間黄色度b*変化を有すると特徴付けられる、請求項1に記載のエチレン系ポリマー組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2013−521382(P2013−521382A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556227(P2012−556227)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2011/026929
【国際公開番号】WO2011/109563
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2011/026929
【国際公開番号】WO2011/109563
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】
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