説明

エネルギー分散型放射線検出システム及び対象元素の含有量測定方法

【課題】パイルアップの影響を抑えて最適な検出下限となるように、入射線の強度を決定して測定を行うことが可能なエネルギー分散型放射線検出システム及び対象元素の含有量測定方法を提供する。
【解決手段】エネルギー分散型放射線検出システム1は、試料Mに所定の強度で入射線Pを照射する入射系2と、入射線Pが照射されることで試料Mから放出される放射線Qを検出する検出系3とを備え、検出された放射線Qのスペクトルに基づいて試料Mの対象元素の含有量を特定するもので、検出された放射線Qのスペクトルに基づいて、対象元素の検出下限が最小となる入射線Pの最適強度を決定して、入射線Pを最適強度で照射させることが可能な制御部10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料にX線や電子ビームなどの入射線を照射して、試料から発生する特性X線などの放射線を検出し、その放射線のスペクトルから試料の元素分析、組成分析を行うエネルギー分散型放射線検出システム及び対象元素の含有量測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、試料の元素分析、組成分析を行う手法として、対象となる試料に入射系からX線や電子ビームなどの入射線を照射して、入射線によって試料に含有する元素が励起されて発生する特性X線などの放射線を検出系で検出し、分析する方法がある。より具体的には、例えば、入射線として電子ビームを使用した場合には、電子銃から電子ビームを試料に照射し、試料から放射される放射線として特性X線を検出する。そして、この特性X線のスペクトルから、所望の対象元素に関する特性X線の強度を検出することで、対象元素の含有量を特定することができる。上記のような入射系と検出系を備えた放射線検出システムを用いて、試料から放射される放射線のスペクトル分析から対象元素の含有量を特定する方法では、一般に、入射系からの入射線の強度を増大させることで放射線の強度も増大し、感度を向上させることができる。このため、検出下限を抑えて精度の良い測定を行うことができる。なお、X線を入射線とした場合、入射線によって試料に含有する元素が励起されて発生する特性X線を蛍光X線と呼んでいる。
【0003】
一方、所定の強度以上入射線の強度を増大させた場合、検出可能な計数以上に放射線検出システムの検出系に放射線が入射してしまうことになるため、入射した放射線を検出することができない不感時間が増大してしまう。このため、入射線の強度は、一般的に、不感時間が30%〜50%となる範囲で、可能な限り高強度となるように設定されていて、不感時間が上記範囲となるように、入射線の強度を自動的に設定する装置なども提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、近年、放射線を検出する放射線検出システムにおいて、検出系などの性能は飛躍的に向上し、取得可能なトータルの計数率は、従来が10kps程度だったのに対して、その10倍から50倍まで向上し、より高強度の入射線を試料に照射して、試料から放射される放射線を検出することが可能となった。
【特許文献1】特開平5−258693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように検出系のトータルの計数率の向上に伴い、不感時間が30%〜50%となる範囲で高強度の入射線を照射したとしても、検出系においてパイルアップの影響を顕著に受けてしまう問題があった。図4に示すように、パイルアップとは、検出系に入射してカウントされた放射線をパルス信号21として検出して処理する際に、重なって他のパルス信号22が検出されることで、パルス信号23のように、実際に検出されるパルス信号の高さや幅が変形してしまう現象である。このパイルアップが発生することによって、検出される放射線のスペクトルに非線形のゆがみが生じ、バッググランド強度の増大が顕著となってしまう。このため、不感時間が30%〜50%となる範囲で入射線を高強度としても、結果として検出下限が大きくなってしまい、精度の良い測定ができなくなってしまう問題があった。
【0006】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、パイルアップの影響を抑えて最適な検出下限となるように、入射線の強度を決定して測定を行うことが可能なエネルギー分散型放射線検出システム及び対象元素の含有量測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、試料に所定の強度で入射線を照射する入射系と、該入射線が照射されることで前記試料から放出される放射線を検出する検出系とを備え、検出された該放射線のスペクトルに基づいて前記試料の対象元素の含有量を特定するエネルギー分散型放射線検出システムであって、検出された前記放射線のスペクトルに基づいて、前記対象元素の検出下限が最小となる前記入射線の最適強度を決定して、前記入射線を該最適強度で照射させることが可能な制御部を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明は、試料に所定の強度で入射線を照射して、前記試料から放出される放射線を検出することで、検出された該放射線のスペクトルに基づいて前記試料の対象元素の含有量を特定する対象元素の含有量測定方法であって、前記試料に所定の初期強度で前記入射線を照射して、前記試料から放出される初期放射線を検出する初期検出工程と、検出された前記初期放射線のスペクトルに基づいて、前記対象元素の検出下限が最小となる前記入射線の最適強度を決定する入射線強度決定工程と、該最適強度で前記入射線を照射して、前記試料から放出される前記放射線を検出し、該放射線のスペクトルから前記対象元素の含有量を特定する本検出工程とを備えることを特徴としている。
【0009】
この発明に係るエネルギー分散型放射線検出システム及び対象元素の含有量測定方法によれば、まず、初期検出工程として、所定の初期強度で入射系から入射線を試料に照射させる。そして、試料が励起されて放出される初期放射線を検出系で検出する。次に、入射線強度決定工程として、制御部において、検出された初期放射線のスペクトルに基づいて、対象元素の検出下限が最小となる入射線の最適強度を決定することができる。このため、本検出工程として、最適強度で入射線を試料に照射すれば、パイルアップに起因するバックグランド強度の増大を抑えつつ、高強度の入射線を試料に照射して、最適な検出下限のもと精度良く対象元素の含有量を測定することができる。
【0010】
また、上記のエネルギー分散型検出システムにおいて、前記制御部は、検出された前記放射線のスペクトルから、前記対象元素の感度、並びに、前記対象元素と対応する前記放射線のエネルギーにおける、パイルアップに起因する第1のバックグランド強度、及び、パイルアップ以外に起因する第2のバックグランド強度、並びに、前記放射線を検出した際の前記検出系の不感時間の割合を算出する解析手段と、前記感度、前記第1のバックグランド強度、前記第2のバックグランド強度、及び、前記不感時間の割合に基づいて、前記対象元素の検出下限が最小となる前記入射線の前記最適強度を算出する入射線強度決定手段とを備えることがより好ましいとされている。
【0011】
また、上記の対象元素の含有量測定方法において、前記入射線強度決定工程は、検出された前記初期放射線のスペクトルから、前記対象元素の感度、並びに、前記対象元素と対応する前記初期放射線のエネルギーにおける、パイルアップに起因する第1のバックグランド強度、及び、パイルアップ以外に起因する第2のバックグランド強度、並びに、前記初期検出工程の際の不感時間の割合を算出する第1のステップと、算出された前記感度、前記第1のバックグランド強度度、前記第2のバックグランド強度、及び、前記不感時間の割合に基づいて、前記対象元素の検出下限が最小となる前記入射線の前記最適強度を算出する第2のステップとを備えることがより好ましいとされている。
【0012】
この発明に係るエネルギー分散型放射線検出システム及び対象元素の含有量測定方法によれば、入射線強度決定工程において、まず、第1のステップとして、制御部は、解析手段によって、検出された初期放射線のスペクトルから対象元素の感度を算出する。また、初期放射線のスペクトルで対象元素と対応するエネルギーにおけるバックグランド強度を、パイルアップに起因する第1のバックグランド強度と、パイルアップ以外に起因する第2のバックグランド強度とに分けて算出する。さらに、初期検出工程の際の不感時間の割合を算出する。そして、第2のステップとして、算出されたこれらの結果に基づいて前記対象元素の検出下限が最小となる入射線の最適強度を算出することで、パイルアップによる影響を抑えてその対象元素における検出下限を最適なものとして、精度良く対象元素の含有量を測定することができる。
【0013】
さらに、上記のエネルギー分散型検出システムにおいて、前記制御部の前記入射線強度決定手段は、前記放射線のスペクトルを検出した際に照射した前記入射線の強度に対して前記最適強度がα倍であると設定し、<数3>に示す検出下限DLの計算式で、感度Sとして、算出した前記感度をα倍した値を代入し、また不感時間τとして、算出した前記不感時間の割合をα倍した値を代入し、さらにバックグランド強度Ibとして、前記第1のバックグランド強度をα倍した値と、前記第2のバックグランド強度をα倍した値との和を代入して、検出下限DLが極小値を示す係数αを算出し、前記最適強度を決定することがより好ましいとされている。
【0014】
さらに、上記の対象元素の含有量測定方法において、前記入射線強度決定工程の前記第2のステップは、前記初期放射線のスペクトルを検出した際に照射した前記入射線の前記初期強度に対して前記最適強度がα倍であると設定し、<数3>に示す検出下限DLの計算式で、感度Sとして、算出した前記感度をα倍した値を代入し、また不感時間τとして、算出した前記不感時間の割合をα倍した値を代入し、さらにバックグランド強度Ibとして、前記第1のバックグランド強度をα倍した値と、前記第2のバックグランド強度をα倍した値との和を代入して、検出下限DLが極小値を示す係数αを算出して、前記最適強度を決定することがより好ましいとされている。
【0015】
【数1】

【0016】
この発明に係るエネルギー分散型放射線検出システム及び対象元素の含有量測定方法によれば、<数3>に示す計算式において、検出下限DLが極小値を示す係数αを決定し、初期強度をα倍したものを最適強度とすることができる。ここで、試料から放出される放射線の内、対象元素の感度は、入射線の強度に比例する。また、不感時間の割合も同様に入射線の強度に比例する。また、パイルアップ以外のものに起因する第2のバックグランド強度も同様に入射線の強度に比例する。一方、パイルアップに起因する第1のバックグランド強度は、入射線の強度の二乗に比例する。すなわち、<数3>に示す計算式において、感度Sとして、初期検出工程で検出された感度のα倍の値を代入し、また不感時間の割合τとして、初期検出工程の際の不感時間の割合のα倍の値を代入し、さらに、バックグランド強度Ibとして、第1のバックグランド強度をα倍した値と、第2のバックグランド強度をα倍した値との和を代入し、検出下限DLが極小値となる係数αを決定することで、パイルアップによる影響を抑えてその対象元素における検出下限を最適なものとして、精度良く対象元素の含有量を測定することができる。
【0017】
また、上記のエネルギー分散型検出システムにおいて、含有量を特定しようとする前記対象元素を複数設定可能であり、前制御部の前記解析手段は、検出された前記放射線のスペクトルから前記対象元素それぞれのネット強度を算出して、該ネット強度が最小となる前記対象元素を検索可能であるとともに、前記入射線強度決定手段は、前記ネット強度が最小である前記対象元素の前記感度、前記第1のバックグランド強度、及び、前記第2のバックグランド強度に基づいて前記入射線の前記最適強度を算出することがより好ましいとされている。
【0018】
また、上記の対象元素の含有量測定方法において、含有量を特定しようとする前記対象元素が複数であり、前記入射線強度決定工程の前記第1のステップでは、検出された前記初期放射線のスペクトルから、前記対象元素それぞれのネット強度を算出して、該ネット強度が最小となる前記対象元素について前期感度、前記第1のバックグランド強度、及び、前記第2のバックグランド強度を算出するとともに、前記第2のステップでは、前記ネット強度が最小となる前記対象元素の前記感度、前記第1のバックグランド強度、及び、前記第2のバックグランド強度に基づいて前記入射線の前記最適強度を算出することがより好ましいとされている。
【0019】
この発明に係るエネルギー分散型放射線検出システム及び対象元素の含有量測定方法によれば、入射線強度決定工程の第1のステップにおいて、制御部の解析手段によって各対象元素のネット強度を算出して、ネット強度が最小、すなわち含有量が最も少ない対象元素を選択することができる。このため、第2のステップにおいては、入射強度決定手段によって、その対象元素の感度、第1のバックグランド強度、及び、第2のバックグランド強度に基づいて入射線の最適強度を算出するので、いずれの対象元素においても精度良く測定することができる。
【0020】
また、上記のエネルギー分散型検出システムにおいて、前記入射系はX線管球で、前記入射線として一次X線を照射可能であるとともに、前記制御部は、該X線管球に供給される電流を制御可能であり、該電流を調整して前記X線管球から照射される前記一次X線を前記最適強度に設定することがより好ましいとされている。
【0021】
この発明に係るエネルギー分散型放射線検出システムによれば、前記入射線強度決定手段によって決定された最適強度に基づいて、入射系であるX線管球に供給される電流を制御して、入射線として一次X線を最適強度で照射させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のエネルギー分散型放射線検出システムによれば、制御部によって検出された放射線のスペクトルに基づいて入射線の最適強度を決定することができるので、入射線を最適強度で照射して、パイルアップの影響を抑えて、最適な検出下限で対象元素の含有量を特定することができる。
また、本発明の対象元素の含有量測定方法によれば、初期検出工程における初期放射線のスペクトルに基づいて、入射線強度決定工程で最適強度を決定することができることで、入射線を最適強度で照射して、パイルアップの影響を抑えて、最適な検出下限で対象元素の含有量を特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1から図3は、この発明に係る実施形態を示している。図1に示すように、本実施形態のエネルギー分散型放射線検出システム1は、入射系として、試料Mに入射線である一次X線Pを照射するX線管球2と、検出系として、試料Mから発生して放出される放射線である蛍光X線Q(特性X線)を検出するX線検出器3とを備えたエネルギー分散型の蛍光X線分析装置である。X線管球2は、真空管4と、真空管4の内部において一端側に設けられたフィラメント5と、フィラメント5と対向して他端側に設けられたターゲット6とを備える。フィラメント5は、電源7と接続されていて、所定の管電流Aを供給することが可能である。また、ターゲット6は、タングステン、ロジウム、モリブデン、クロムなどが選択可能である。また、真空管4の内部には、図示しないが、フィラメント5が設けられた一端側に陽極が、ターゲット6が設けられた他端側に陰極が設けられていて、電圧を印加することが可能である。
【0024】
すなわち、電源7からフィラメント5に管電流Aを供給するとともに、両極に電圧を印加することで、フィラメント5から放出された電子線Eがターゲット6に照射される。これによりターゲット6が励起されて、一次X線Pをターゲット6と対向して位置する試料Mに照射することが可能である。なお、X線管球2と、試料Mとの間には、図示しないが、コリメータやフィルタなどが設けられていて、一次X線Pを所定の照射範囲で、所定のエネルギーで照射することが可能である。ここで、一次X線Pの入射強度Ip(強度)は、電子線Eの強度に比例する。また、電子線Eの強度は、フィラメント5に供給される管電流Aで制御される。すなわち、電源7によって供給される管電流Aを制御することで、試料Mに照射される一次X線Pの入射強度Ipを制御することが可能である。
【0025】
X線検出器3は、半導体検出器であり、例えば、Si素子で形成されていて、検出された蛍光X線Qを、そのエネルギーに比例した大きさの電流パルスとして出力することができる。そして、X線管球2の電源7及びX線検出器3には、制御部10が接続されていて、制御部10による制御のもとX線管球2は所定の入射強度Ipで一次X線Pを照射可能であり、また制御部10によって、X線検出器3で検出された蛍光X線Qを解析し、その解析結果をもとに、試料Mに含有された対象元素の含有量を特定することが可能である。以下に、制御部10の詳細について説明する。
【0026】
制御部10は、X線検出器3から順次接続される前置増幅回路11、波形整形回路12、及びマルチチャンネル13を備え、これらによって処理された信号がCPU14に入力される。X線検出器3で検出された蛍光X線Qに基づいて出力された電流パルスは、前置増幅回路11で増幅されて、電圧パルスに変換される。変換された電圧パルスは、波形整形回路12に入力され、波形整形回路12でさらに増幅されるとともに、パルスの形を三角もしくは台形波形に整形する処理が行われて、マルチチャンネル13に入力される。マルチチャンネル13においては、蛍光X線Qの検出に伴って順次入力されていく電圧パルスを、蛍光X線Qのエネルギーと対応するパルスの大きさごとに分類して、蛍光X線Qの強度と対応するパルス数を記録することができる。すなわち、この処理を一定時間連続して行うことで、マルチチャンネル13に接続されたCPU14は、試料Mにおける蛍光X線Qのスペクトル(エネルギーと強度との関係)を取得することができる。また、CPU14と、X線管球2の電源7との間には、管電流制御回路15が接続されていて、CPU14による制御のもと、電源7からフィラメント5に供給される管電流Aを制御し、すなわち一次X線Pの入射強度Ipを制御することが可能である。また、制御部10には、図示しないが、タイマーが設けられていて、これにより計測時間を記録することが可能である。さらに、CPU14にはユーザーインターフェース16が接続されていて、図示しないモニタや操作部が接続されている。このため、モニタでは、検出された蛍光X線Qのスペクトルやその解析結果をモニタリングすることが可能であり、また、操作部ではCPU14を介して各種操作、例えば、特定しようとする対象元素の入力等を行うことが可能である。
【0027】
CPU14は、取得された蛍光X線Qのスペクトルに基づいて、対象元素のネット強度In及び感度S、並びに、対象元素の蛍光X線のエネルギーにおけるバックグランド強度Ibを算出し、また、蛍光X線Qを検出した際のX線検出器3における不感時間の割合τを算出することが可能な解析手段を備えている。また、解析手段によって算出された感度S、バックグランド強度Ib及び不感時間の割合τと、実際に測定に必要とされた計測時間Tとに基づき、<数4>の計算式によって、その対象元素の検出下限DLを算出することができるとともに、パイルアップの影響を抑えて、その対象元素で検出下限DLが最小となるような一次X線Pの入射強度、すなわち最適入射強度If(最適強度)を決定することが可能な入射線強度決定手段を備えている。以下に、エネルギー分散型放射線検出システム1において、CPU14の解析手段及び入射線強度決定手段によって最適入射強度Ifを決定して、試料Mの対象元素の含有量を測定する方法の詳細について説明する。
【0028】
【数2】

【0029】
図2は、本実施形態において、対象元素に対応する最適入射強度Ifを決定して、対象元素の含有量を測定する測定フローを表わしている。図2に示すように、まず、操作者は、対象元素決定工程S1として、図示しない操作部からユーザーインターフェース16を介してCPU14に所望の対象元素を指定する。対象元素は、単数でも複数でも良いが、本実施形態においては、例えば、銅(Cu)と鉛(Pb)とストロンチウム(Sr)とを指定した場合について説明する。まず、初期検出工程S2として、CPU14は、電源7からフィラメント5に供給される管電流Aを、予め任意に設定された初期管電流A0として、X線管球2から一次X線Pを初期強度I0として試料Mに照射させる(ステップS21)。この際に、試料Mから放出された初期蛍光X線Q0(初期放射線)をX線検出器3で検出する。そして、CPU14は、前置増幅器11、波形整形回路12、及び、マルチチャンネル13で各処理を行った初期蛍光X線Q0のスペクトルを取得する(ステップS22)。図3に、その初期蛍光X線Q0のスペクトルを示す。
【0030】
図3に示すように、取得される蛍光X線Qのスペクトルは、特定の元素に起因する蛍光X線Q1(Q1a、Q1b、Q1cなど)と、全エネルギーの範囲で連続して検出される散乱X線Q2とに分類される。蛍光X線のエネルギーは、元素固有のものであり、蛍光X線が検出されたエネルギー範囲から試料Mに含有された元素の種類を特定することができる。図3においては、符号Q1aが鉛(Pb)のLα線を表わし、符号Q1bがストロンチウム(Sr)のKα線を表わし、符号Q1cが銅(Cu)のKα線を表わしている。また、蛍光X線Q1の強度であるネット強度Inは、その含有された元素の含有量に依存し、すなわちネット強度Inによってその元素の含有量を特定することができる。一方、散乱X線の強度であるバックグランド強度Ibは、試料Mに含有された元素以外に起因して検出された散乱X線や検出器のノイズによる強度であり、パイルアップに起因して生じた第1のバックグランド強度Ib1と、散乱X線などパイルアップ以外に起因して生じた第2のバックグランド強度Ib2とで構成される。
【0031】
ここで、ネット強度In、第1のバックグランド強度Ib1、及び、第2のバックグランド強度Ib2は、ともに、試料Mに照射される一次X線Pの入射強度Ipが増大する程大きくなるが、ネット強度In及び第2のバックグランド強度Ib2が一次X線の入射強度Ipに比例して増大する一方、パイルアップに起因する第1のバックグランド強度Ib1は一次X線の入射強度Ipの二乗に比例する。すなわち、バックグランド強度Ibは、一次X線の入射強度Ipの増大に伴って、パイルアップに起因して急激に増大することになる。また、ある対象元素における感度Sは、ネット強度Inによって、<数5>に示す計算式で算出される。ここで、符号Cは、対象元素の試料M中の濃度(含有量)を表わしている。このため、感度Sは、対象元素の含有量に反比例するとともに、一次X線Pの入射強度Ipに比例して大きな値を示すことになる。一方、上述の<数4>に示すように、検出下限DLは、感度Sに反比例するとともに、バックグランド強度Ibの平方根に比例する。すなわち、検出下限DLは、一次X線Pの入射強度Ipを一定の大きさに増大させるまでは、感度Sの値が大きくなることで小さい値を示す一方、一次X線Pの入射強度Ipを一定以上増大させると、パイルアップに起因する第1のバックグランドIb1の影響でバックグランド強度Ibの増大が顕著となり検出下限DLは増大してしまう。
【0032】
【数3】

【0033】
すなわち、初期検出工程S2で検出された蛍光X線Qのスペクトルから対象元素のネット強度Inを算出して含有量を特定することは可能であるが、現段階において算出されたネット強度Inは、パイルアップの影響を考慮して検出下限DLを最適な値とした場合のものでは無い。このため、以下に示す入射線強度決定工程S3に基づいて、パイルアップの影響を考慮して検出下限DLを最小とする一次X線Pの最適入射強度Ifを決定し、対象元素の含有量の特定を行っていく。
【0034】
まず、第1のステップS31として、CPU14の解析手段は、初期蛍光X線Q0のスペクトルから各対象元素のネット強度Inを読み取る(S31a)。次に、各対象元素のネット強度Inを比較して、ネット強度Inが最小となる対象元素を検索する(ステップS31b)。ここでは、例えば、対象元素の内、鉛(Pb)のネット強度Inが最小であったとする。そして、ネット強度Inが最小となる鉛(Pb)を注目元素として、これを基準として、最適入射強度Ifを決定していく。次に、CPU14の解析手段は、注目元素の蛍光X線Q1のエネルギーにおける第1のバックグランド強度Ib1及び第2のバックグランド強度Ib2、及び不感時間の割合τ、並びに、注目元素の感度Sを算出する。まず、取得された初期蛍光X線Q0のスペクトルからバックグランド強度Ibの値を読み取る(ステップS31c)。バックグランド強度Ibは、上述のように、第1のバックグランド強度Ib1と第2のバックグランド強度Ib2の和であり、<数6>の計算式で示される。
【0035】
【数4】

【0036】
次に、CPU14は、一次X線Pの入射強度Ipを初期強度I0から任意に決定される比率βだけ変化させて、同様に、蛍光X線Qのスペクトルを取得し、注目元素と対応するバックグランド強度Ib´を読み取る。ここで、上述のように、第1のバックグランド強度Ib1は一次X線Pの入射強度Ipに比例し、第2のバックグランド強度Ib2は入射強度Ipの二乗に比例するので、一次X線Pの入射強度Ipを比率βだけ変化させた時のバックグランド強度Ib´と、変化させる前の第1のバックグランド強度Ib1及び第2のバックグランド強度Ib2との関係は、比率βによって<数7>の計算式で示される。
【0037】
【数5】

【0038】
このため、<数6>と<数7>のそれぞれの計算式に、算出された各バックグランド強度Ib、Ib´と比率βとを代入すれば、一次X線Pを初期強度I0で照射して検出された注目元素のエネルギーにおける第1のバックグランド強度Ib1及び第2のバックグランド強度Ib2を算出することができる。
【0039】
次に、CPU14の解析手段によって、注目元素の感度Sを算出する(ステップS31d)。感度Sは、取得された初期蛍光X線Q0のスペクトルからファンダメンタル・パラメータ法によって算出される。ファンダメンタル・パラメータ法は、組成が未知である試料における、ある元素の感度Sを推定する公知の演算方法であり、初期蛍光X線Q0のスペクトルから読み取られた注目元素のネット強度Inと、推定濃度Cに基づいて算出される計算上のネット強度との比較を繰り返し行うことで、対象元素の濃度C及び感度Sを推定する方法である。
【0040】
次に、第2のステップS32として、CPU14の入射線強度解析手段は、注目元素において検出下限DLが最小となる一次X線Pの最適入射強度Ifを決定する。ここで、最適入射強度Ifは、<数8>に示すように、初期強度I0に対して係数α倍である設定する。
【0041】
【数6】

【0042】
上述のように、ネット強度Inは一次X線Pの入射強度Ipに比例し、また、感度Sは、<数5>に示すようにネット強度Inと比例関係にあることから、一次X線を最適入射強度Ifとしたときの感度Sfは、係数αによって<数9>のように示される。同様に、一次X線Pを最適入射強度Ifとしたときの第1のバックグランド強度Ib1fは一次X線Pの入射強度Ipの二乗と比例し、また、第2のバックグランド強度Ib2fは一次X線Pの入射強度Ipと比例することから、それぞれ<数10>、<数11>のように示される。
【0043】
【数7】

【数8】

【数9】

【0044】
また、不感時間の割合τは、その発生原理により一次X線Pの入射強度Ipに比例するため、一次X線Pを最適入射強度Ifにした時の不感時間の割合τfは、係数αによって<数12>のように示される。
【0045】
【数10】

【0046】
そして、<数9>から<数11>を<数4>に代入すれば、<数12>に示すように、最適入射強度Ifにおける検出下限DLは係数αによって表わされ、検出下限DLが最小となる係数αを決定することで、係数α及び初期入射強度Ip0から最適入射強度Ifを決定することができる。
【0047】
【数11】

【0048】
すなわち、CPU14の入射線強度決定手段は、<数12>に、第1のステップS31で算出された感度S、不感時間の割合τ、第1のバックグランド強度Ib1、及び、第2のバックグランド強度Ib2を代入する。そして、<数12>において、微分方程式d(DL)/dα=0を満たす係数αを求めることで、検出下限DLが極小値となる係数αを求めことができ、<数8>に示すように初期強度I0を係数α倍することで最適入射強度Ifを決定することができる。このようにして決定された最適入射強度Ifにおいては、これより一次X線Pの入射強度Ipを小さくすると、上述のように感度Sが低下して検出下限DLが大きくなってしまう。一方、これより一次X線Pの入射強度Ipを大きくすると、パイルアップによる影響が顕著となり、これに起因する第1のバックグランド強度Ib1が急激に増大して、検出下限DLが大きくなってしまう。このため、このように決定された強度をもって最適入射強度Ifとすることで、パイルアップの影響を抑えて、検出下限DLを最小として注目元素を含む複数の対象元素の測定を行うことができる。
【0049】
具体的には、図3に示すように、CPU14は、本検出工程S4として、初期管電流A0に係数αを乗じて、一次X線Pが最適入射強度Ifとなるように、電源7によってフィラメント5に管電流A1を供給させる。これにより、X線管球2からは最適入射強度Ifとして一次X線Pが試料Mに照射され、試料Mから放出してX線検出器3で検出される蛍光X線Qのスペクトルに基づいて、対象元素のネット強度Inを算出し、含有量を特定することができる。
【0050】
以上のように、本実施形態のエネルギー分散型放射線検出システム1及びこれを用いた対象元素の含有量特定方法においては、制御部10によって、初期検出工程において検出された初期蛍光X線Q0のスペクトルに基づいて、入射線強度決定工程において一次X線Pの最適入射強度Ifを決定することができる。このため、一次X線Pを最適入射強度Ifで試料Mに照射して、パイルアップの影響を抑えて、最適な検出下限で対象元素の含有量を特定することができる。また、複数の対象元素の含有量を特定する場合でも、各対象元素のネット強度Inを比較してネット強度Inが最小となる対象元素(注目元素)に関して検出下限DLが最小となる最適入射強度Ifを算出することで、いずれの対象元素においても精度良く含有量を特定することができる。
【0051】
なお、図3に示す第1のステップ31において、第1のバックグランド強度Ib1及び第2のバックグランド強度Ib2を算出する方法として、初期検出工程とさらにもう1回蛍光X線を検出して算出するものとしたが、これに限るものでは無い。他の演算方法によって、初期検出工程による1回の検出結果から算出するものとしても良い。例えば、同様の試料における経験式から第2のバックグランド強度Ib2を推定するとともに、蛍光X線のスペクトルから読み取られたバックグランド強度Ibから第2のバックグランド強度Ib2を減ずることで第1のバックグランド強度Ib1を求めるものとしても良い。同様に、感度Sを算出する方法として、ファンダメンタル・パラメータ法を使用するものとしたがこれに限るものでは無く、公知の他の方法を用いるものとしても良い。
【0052】
また、本実施形態においては、エネルギー分散型放射線検出システム1は、入射系にX線を照射可能なX線管球2を備え、また、検出系に試料Mから放出される蛍光X線を検出可能なX線検出器3を備えた蛍光X線分析装置としたがこれに限るものでは無い。例えば、入射系を電子銃とし、検出系に試料Mから放出される特性X線を検出可能なX線検出器3を備えた走査型電子顕微鏡(SEM−EDS)としても良い。この場合にも、制御部10のCPU14は、上記測定フローに基づいて最適入射強度Ifと対応する係数αを算出する。なお、上記同様に感度Sを推定演算する必要があるが、この場合は、例えば公知のZAF法(Atomic number,absorption and fluorescence correction)によって算出することができる。ZAF法は、試料を構成している元素や濃度による電子ビームの進入度に対する影響(原子番号効果)と、同様に元素や濃度による特性X線の脱出しやすさに対する影響(吸収効果)と、他の元素の特定X線や散乱X線による影響(蛍光励起効果)とを考慮して、感度を推定する方法である。そして、これによって電子銃の加速電圧や照射電流、またはコンデンサレンズを制御することで、試料に電子ビームを最適入射強度Ifで照射することが可能である。また、検出系においても半導体検出器などのX線検出器に限るものでは無く、上記入射線が試料に照射されることによって試料が励起されて発生する他のエネルギー帯の放射線を検出可能とするものとしても同様の効果を期待することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明の実施形態のエネルギー分散型放射線検出システムの概略を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施形態のエネルギー分散型放射線検出システムにおける測定方法を示すフロー図である。
【図3】この発明の実施形態のエネルギー分散型放射線検出システムにおいて検出された蛍光X線のスペクトルの一例を示したグラフである。
【図4】パイルアップ発生原理を示した説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 エネルギー分散型放射線検出システム
2 X線管球(入射系)
3 X線検出器(検出系)
10 制御部
M 試料
P 一次X線(入射線)
Q 蛍光X線(放射線)
Q0 初期蛍光X線(初期放射線)
Q1 特性X線
In ネット強度
Ib バックグランド強度
Ib1 第1のバックグランド強度
Ib2 第2のバックグランド強度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に所定の強度で入射線を照射する入射系と、該入射線が照射されることで前記試料から放出される放射線を検出する検出系とを備え、検出された該放射線のスペクトルに基づいて前記試料の対象元素の含有量を特定するエネルギー分散型放射線検出システムであって、
検出された前記放射線のスペクトルに基づいて、前記対象元素の検出下限が最小となる前記入射線の最適強度を決定して、前記入射線を該最適強度で照射させることが可能な制御部を備えることを特徴とするエネルギー分散型放射線検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギー分散型放射線検出システムにおいて、
前記制御部は、検出された前記放射線のスペクトルから、前記対象元素の感度、並びに、前記対象元素と対応する前記放射線のエネルギーにおける、パイルアップに起因する第1のバックグランド強度、及び、パイルアップ以外に起因する第2のバックグランド強度、並びに、前記放射線を検出した際の前記検出系の不感時間の割合を算出する解析手段と、
前記感度、前記第1のバックグランド強度、前記第2のバックグランド強度、及び、前記不感時間の割合に基づいて、前記対象元素の検出下限が最小となる前記入射線の前記最適強度を算出する入射線強度決定手段とを備えることを特徴とするエネルギー分散型放射線検出システム。
【請求項3】
請求項2に記載のエネルギー分散型放射線検出システムにおいて、
前記制御部の前記入射線強度決定手段は、前記放射線のスペクトルを検出した際に照射した前記入射線の強度に対して前記最適強度がα倍であると設定し、<数1>に示す検出下限DLの計算式で、感度Sとして、算出した前記感度をα倍した値を代入し、また不感時間τとして、算出した前記不感時間の割合をα倍した値を代入し、さらにバックグランド強度Ibとして、前記第1のバックグランド強度をα倍した値と、前記第2のバックグランド強度をα倍した値との和を代入して、検出下限DLが極小値を示す係数αを算出し、前記最適強度を決定することを特徴とするエネルギー分散型放射線検出システム。
【数1】

【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のエネルギー分散型放射線検出システムにおいて、
含有量を特定しようとする前記対象元素を複数設定可能であり、
前制御部の前記解析手段は、検出された前記放射線のスペクトルから前記対象元素それぞれのネット強度を算出して、該ネット強度が最小となる前記対象元素を検索可能であるとともに、
前記入射線強度決定手段は、前記ネット強度が最小である前記対象元素の前記感度、前記第1のバックグランド強度、及び、前記第2のバックグランド強度に基づいて前記入射線の前記最適強度を算出することを特徴とするエネルギー分散型放射線検出システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のエネルギー分散型放射線検出システムにおいて、
前記入射系はX線管球で、前記入射線として一次X線を照射可能であるとともに、
前記制御部は、該X線管球に供給される電流を制御可能であり、該電流を調整して前記X線管球から照射される前記一次X線を前記最適強度に設定することを特徴とするエネルギー分散型放射線検出システム。
【請求項6】
試料に所定の強度で入射線を照射して、前記試料から放出される放射線を検出することで、検出された該放射線のスペクトルに基づいて前記試料の対象元素の含有量を特定する対象元素の含有量測定方法であって、
前記試料に所定の初期強度で前記入射線を照射して、前記試料から放出される初期放射線を検出する初期検出工程と、
検出された前記初期放射線のスペクトルに基づいて、前記対象元素の検出下限が最小となる前記入射線の最適強度を決定する入射線強度決定工程と、
該最適強度で前記入射線を照射して、前記試料から放出される前記放射線を検出し、該放射線のスペクトルから前記対象元素の含有量を特定する本検出工程とを備えることを特徴とする対象元素の含有量測定方法。
【請求項7】
請求項6に記載の対象元素の含有量測定方法において、
前記入射線強度決定工程は、検出された前記初期放射線のスペクトルから、前記対象元素の感度、並びに、前記対象元素と対応する前記初期放射線のエネルギーにおける、パイルアップに起因する第1のバックグランド強度、及び、パイルアップ以外に起因する第2のバックグランド強度、並びに、前記初期検出工程の際の不感時間の割合を算出する第1のステップと、
算出された前記感度、前記第1のバックグランド強度度、前記第2のバックグランド強度、及び、前記不感時間の割合に基づいて、前記対象元素の検出下限が最小となる前記入射線の前記最適強度を算出する第2のステップとを備えることを特徴とする対象元素の含有量測定方法。
【請求項8】
請求項7に記載の対象元素の含有量測定方法において、
前記入射線強度決定工程の前記第2のステップは、前記初期放射線のスペクトルを検出した際に照射した前記入射線の前記初期強度に対して前記最適強度がα倍であると設定し、<数2>に示す検出下限DLの計算式で、感度Sとして、算出した前記感度をα倍した値を代入し、また不感時間τとして、算出した前記不感時間の割合をα倍した値を代入し、さらにバックグランド強度Ibとして、前記第1のバックグランド強度をα倍した値と、前記第2のバックグランド強度をα倍した値との和を代入して、検出下限DLが極小値を示す係数αを算出して、前記最適強度を決定することを特徴とする対象元素の含有量測定方法。
【数2】

【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の対象元素の含有量測定方法において、
含有量を特定しようとする前記対象元素が複数であり、
前記入射線強度決定工程の前記第1のステップでは、検出された前記初期放射線のスペクトルから、前記対象元素それぞれのネット強度を算出して、該ネット強度が最小となる前記対象元素について前期感度、前記第1のバックグランド強度、及び、前記第2のバックグランド強度を算出するとともに、
前記第2のステップでは、前記ネット強度が最小となる前記対象元素の前記感度、前記第1のバックグランド強度、及び、前記第2のバックグランド強度に基づいて前記入射線の前記最適強度を算出することを特徴とする対象元素の含有量測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−2951(P2008−2951A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172576(P2006−172576)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】