説明

エポキシ組成物、エポキシ接着剤組成物及びエポキシ床仕上げ組成物

【課題】TETAと類似の分子量、アミン水素官能基、そして化学構造を有するアミン硬化剤を用いて最終使用製品、例えば塗料、複合材、および床仕上げおよび接着剤の処方設計における困難を最小とし得るエポキシ組成物を提供する。
【解決手段】フィラー、エポキシ樹脂と下記式


(式中、RはCHCHCHNH、R、RおよびRは独立にH又はCHCHCHNH、そしてXはCHCH又はCHCHCHである。)で示されるモノ−、ジ−、トリ−およびテトラ−置換アミンの混合物を含むアミン成分との接触生成物を含むエポキシ組成物。組成物は塗料、接着剤、床仕上げ材、複合材料および他の製品を製造するために役立つ。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリエチレンアミン硬化剤は、塗料、接着剤、複合材、および床仕上げの用途を含むエポキシ硬化剤用の多くの市場で広範囲に用いられている。ポリエチレンアミン、例えばジエチレントリアミン(DETA)およびトリエチレンテトラアミン(TETA)はエポキシ樹脂と急速に反応する。しかし、硬化した樹脂は物理的特性、例えば柔軟性と靭性の悪さを示す。特に室温で速い硬化速度、そして改良した物理的特性示す硬化剤に基づいた硬化エポキシ生成物を提供することが必要である。
【0002】
現在、ポリエチレンポリアミンは、アンモニアと二塩化エチレン又はエタノールアミンのいずれかとの反応で製造される。ポリエチレンポリアミンを製造するために新しい製造資産が建設されるにつれて、製造設備にとって腐食性が低くそしてそれ故より経済的であるので、エタノールアミンプロセスが好まれる傾向がある。不幸にして、エタノールアミンプロセスは通常二塩化エチレンプロセスよりもTETA生産性が低く、そしてそれ故にTETAの価格は他のポリエチレンポリアミンの価格と比べて高くなっている。そのために、ポリアミン硬化剤の製造でTETAに対するより経済的な代替物の必要性がある。
【0003】
しかしながら、もしそのようなアミンがTETAと類似の分子量、アミン水素官能基、そして化学構造を有すれば、最終使用製品、例えば塗料、複合材、および床仕上げおよび接着剤の再処方設計における困難を最小とするために、有利であろう。
【0004】
米国特許第4178426号はポリエーテルジウレイドをビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン又は3−アミノプロピルエチレンジアミンと組み合わせて加えることによるアミン硬化エポキシ樹脂の接着強度の増強について説明する。
イギリス特許第2031431号は高分子量ポリオキシアルキレンポリアミンとN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンとの混合物により硬化したエポキシ樹脂について説明する。
BASFのN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと特定されるN4−AMINEの製品カタログはエポキシ樹脂用の硬化剤としてN4−AMINEの使用を含むこの物質の用途を提案している。
【0005】
【特許文献1】米国特許第4178426号
【特許文献2】イギリス特許第2031431号
【非特許文献1】BASFのN4−AMINEの製品カタログ
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)下記式1:
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、RはCHCHCHNH、R、RおよびRは独立にH又はCHCHCHNH、そしてXはCHCH又はCHCHCHである。)
の多官能アミン混合物を含むエポキシ硬化剤組成物、(b)エポキシ樹脂および(c)フィラーを含む接触生成物であるエポキシ組成物を提供する。前記硬化剤、又は硬膜剤、組成物は、前記化学構造1のモノ−、ジ−、トリ−およびテトラ−置換アミンの混合物であって、0〜50質量部のモノ−置換アミン、50〜95質量部のジ−置換アミン、0〜50質量部のトリ−置換アミン、および0〜25質量部のテトラ−置換アミンの混合物を含む。
【0009】
他の態様において、前記硬化剤組成物は、0〜20質量部のモノ−置換アミン、60〜95質量部のジ−置換アミン、0〜20質量部のトリ−置換アミン、および0〜10質量部のテトラ−置換アミンを含む。
さらに、他の態様において、前記硬化剤組成物は、0〜10質量部のモノ−置換アミン、60〜90質量部のジ−置換アミン、0〜20質量部のトリ−置換アミン、および0〜10質量部のテトラ−置換アミンを含む。
【0010】
本発明の1つの態様において、RとRとは同時にはHではない。
本発明の1つの態様において、上記のポリアミン硬化剤、又は硬化剤、組成物、エポキシ樹脂およびフィラーを含む硬化接触生成物である硬化エポキシ系、又は組成物が提供される。
“接触生成物”という言葉は、この発明では成分が任意の順番で、任意の方法で、そして任意の時間の間に一緒に接触される組成物を説明するために用いられる。例えば、成分は混和又は混合によって接触され得る。さらに、任意の成分の接触はこの発明に記載される組成物又は処方以外の任意の他の成分の存在下あるいは不存在下に起こり得る。更に、接触生成物の組成物中のいくつかの成分は、種々の程度で反応して他の物質を生じ得る。
【発明の効果】
【0011】
この発明の効果としては、調合したエポキシ樹脂組成物が、大抵は最新技術のポリアミン硬化剤、例えばトリエチレンテトラアミン(TETA)を含む組成物よりも速い硬化速度を示し、そして硬化エポキシ生成物が改良された物理的特性を示す。
本発明の硬化剤組成物は、塗料、接着剤、床仕上げ、複合材および他の製品を製造するためにエポキシ樹脂の架橋に有用である。それ故、本発明の他の態様は、そのような硬化剤混合物を用いてフィラー含有エポキシ樹脂組成物の硬化によって製造された塗り込んだ被覆組成物、接着剤組成物、床仕上げ組成物、複合材組成物、それらの硬化製品および他の硬化エポキシ製品を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の前記式1の多官能性アミンとしては、N−3−アミノプロピルエチレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’−トリス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンおよびN,N,N’,N’−テトラキス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、ジプロピレントリアミン、N−3−アミノプロピル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’−トリス(3−アミノプロピル)−1,3−ジアミノプロパン、テトラキス(3−アミノプロピル)−1,3−ジアミノプロパン、およびこれらジアミンの混合物が挙げられる。これらの多官能性アミンはエチレンジアミン又は1,3−ジアミノプロパンのアクリロニトリルとのマイケル(Michael)反応、それに続く当業者に周知である金属触媒上の水素化によって得ることができる。
【0013】
有用なアミン硬化剤成分は、3〜25質量部のN−3−アミノプロピルエチレンジアミン、50〜94質量部のN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、3〜25質量部のN,N,N’−トリス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンおよび0〜10質量部のN,N,N’,N’−テトラキス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンを含む混合物である。
他の態様において、混合物としては、1〜6質量部のN−3−アミノプロピルエチレンジアミン、80〜90質量部のN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、2〜9質量部のN,N,N’−トリス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンおよび1〜5質量部のN,N,N’,N’−テトラキス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。
そのような混合物は、多官能性アミンを製造するための上記の反応順序によって、N−3−アミノプロピルエチレンジアミンよりも揮発性である反応の低分子量副生物の任意的な除去を除いては蒸留あるいは他の分離方法を実施する必要なく製造され得る。水素化の少量の他の生成物が混合物中に存在し得るということが当業者に認識されよう。
【0014】
必要ならば、硬化剤組成物は他の多官能性アミンの混入によって変性されてよい。例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、高次ポリエチレンアミン、アミノエチルピペラジン、メタ−キシレンジアミン、種々の異性体ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、米国特許第5280091号に記載されているメチレン架橋ポリ(シクロヘキシル−芳香族)アミン混合物(MBPCAA)、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、3,3,5−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,5,5−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、ビス−(3−アミノプロピル)アミン、N,N’−ビス−(3−アミノプロピル)−1,2−エタンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−1,2−エタンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ポリ(アルキレンオキサイド)ジアミンおよびトリアミン[例えば、ジェファミン(Jeffamine)D−230、ジェファミンD−400、ジェファミンD−2000、ジェファミンD−4000、ジェファミンT−403、ジェファミンEDR−148、ジェファミンD−192、ジェファミンC−346、ジェファミンED−600、ジェファミンED−900、ジェファミンD−2001]、そして同様にアミノプロピル化したエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリブタンジオールが挙げられる。
【0015】
ポリアミン硬化剤組成物又は硬膜剤は、1分子当たり約2個以上の1,2−エポキシ基を含有するポリエポキシ化合物であるエポキシ樹脂と組合わされる。そのようなエポキシドはY.田中の“エポキシドの合成と特性”、C.A.メイ編集の「エポキシ樹脂の化学と技術」(マルセルデッカー、1988年)に記載され、そして言及することにより取り込まれる。フィラーとともにポリアミン硬化剤組成物とエポキシ樹脂との組合せは本発明による硬化性エポキシ系を構成する。
好適なポリエポキシ化合物は、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアドバンストジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、およびエポキシノボラック樹脂である。ポリアミン硬化剤組成物は通常の液体又は溶媒中で供給されてよい固体のエポキシ樹脂とともに用いられる。
【0016】
ジ−又は多−官能性エポキシ樹脂ともにこの発明の所与の処方のポリアミン硬化剤組成物の粘度を低減するために、エポキシ樹脂の一部を単官能性エポキシドで変更してよい。この方法では粘度はさらに低減され、ある場合、例えば容易な利用を可能としながらフィラーの処方のレベルを増やすか、又は高分子量エポキシ樹脂の使用を可能とするために有利であり得る。有用なモノエポキシドの例としては、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、およびフェノール、クレゾールのグリシジルエーテル、t−ブチルフェノールおよび他のアルキルフェノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、およびC8−C14アルコール等が挙げられる。
この発明のポリアミン組成物は、通常はエポキシ基のアミン水素に対する化学量論比が約1.5:1〜約1:1.5でエポキシ樹脂と処方される。さらに好適には1.2:1〜1:1.2の範囲、特に1.1:1〜1:1.1である。
【0017】
同様に、アミン水素の少量、例えば2〜30%、好適には4〜15%を二官能性および単官能性エポキシ樹脂、例えば上述のそれらこの本発明のポリアミン硬化剤組成物を変性することが可能である。これは、当業者に周知の常套手段であり、そして一般的に“付加”と呼ばれ、その結果の生成物が“アダクツ”と名付けられる。二官能性および単官能性エポキシ樹脂を用いた付加によってポリアミン硬化剤組成物のエポキシ樹脂との相溶性を増大させそしてそれによって問題、例えば白化、炭酸塩化およびしみ出しを減らし、そしてポットライフを増やすことが可能である。
【0018】
他方、そのような変性は、特に二官能性エポキシ樹脂の場合、粘度を増大させる傾向があり、ある場合には硬化の速度をも減じるかも知れない。付加のために特に有用なエポキシ樹脂としては、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアドバンストジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、フェノール、クレゾール、t−ブチルフェノールおよび他のアルキルフェノールのグリシジルエーテル、ブタノール、2−エチルヘキサノール、およびC8〜C14アルコール等が挙げられる。同様に、アミンとエポキシ成分とを混合しそしてそれらを当業者に誘導時間として周知の間、通常は使用の前の15〜60分間それらを静置させることによって、少程度のレベルの付加を達成することが可能である。
【0019】
状況次第では、この発明のポリアミン硬化剤組成物に基づいた処方にエポキシ−アミン硬化反応のためにいわゆる硬化促進剤を利用することが有利であり得る。そのような硬化促進剤は、H.リー(Lee)とK.ネビル(Neville)の「エポキシ樹脂のハンドブック」(マックグローヒル、ニューヨーク、1967年)に記載されている。適した硬化促進剤には種々の有機酸、アルコール、フェノール、第3級アミン、ヒドロキシルアミン等が挙げられる。特に有用な硬化促進剤としては、ベンジルアルコール、フェノール、アルキル置換フェノール、例えばノニルフェノール、オクチルフェノール、t−ブチルフェノール、クレゾール等、ビスフェノール−A、サリチル酸、ジメチルアミノメチルフェノール、ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、およびトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが挙げられる。通常は、そのような硬化促進剤は、バインダーの全重量に基づいて10%以下のレベル、そしてさらに普通には5%未満のレベルで用いられる。
【0020】
状況次第では、この発明のポリアミン硬化剤組成物に基づいた処方にエポキシ−アミン網目構造のために可塑剤を利用することが有利であり得る。そのような可塑剤がなくて、ある必要条件、例えば溶媒と耐薬品性と引張り強度に合致するために必要な反応の程度が達成される前に、組成物のガラス転移温度、Tgが著しく室温を上回る場合に、これは特に有利である。そのような可塑剤は当業者に周知であり、そしてさらに十分にはD.F.カドガン(Cadogan)とC.J.ホーウィック(Howick)の“可塑剤”[(J.I.クロシュウィッツ(Kroschwitz)編]、「カークオスマー エンサイクロ(登録商標)ペディア オブ ケミカルテクノロジー」(第4版、ウィリー、ニューヨーク、1996年、Vol.19,pp258−290)に記載されている。特に有用な可塑剤としては、ベンジルアルコール、ノニルフェノール、および種々のフタル酸エステルが挙げられる。エステル可塑剤はアミン硬化剤との反応を最小化にするためにエポキシ樹脂と同じ容器で利用される。特に有用な他の種類の可塑剤は、トルエン−ホルムアルデヒド縮合物、例えば登録商標EpodilL、キシレン−ホルムアルデヒド縮合物、例えば登録商標NikanolY50、クマロン−インデン樹脂、および当業者に周知の多くの他の炭化水素樹脂変性剤を含む炭化水素樹脂である。
【0021】
本発明の硬化性エポキシ組成物における第3の成分はフィラーを含む。硬化性エポキシ組成物での使用に適したフィラーは無機材料、例えばケイ砂、大理石切りくず、ガラス繊維、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、アルミニウム粉、シリカ、カオリン、ガラス球、ガラスバルーン、バライト、含水アルミナ、木粉、堅果殻粉、およびカーボンブラックである。エポキシ接着剤組成物に最も適したフィラーは、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、アルミニウム粉およびシリカである。エポキシ床仕上げ組成物に最も適したフィラーはケイ砂、大理石切りくずおよびシリカである。
【0022】
接着剤および床仕上げのエポキシ組成物の両方とも本発明による硬化剤組成物、エポキシ樹脂およびフィラーの接触生成物を含むものの、組成物はそれらの目的とする用途に適した異なる特性、例えば耐荷重性、硬化組成物に課す力、および組成物が利用される基材を有する。これらの異なる特性はエポキシ接着剤および床仕上げの処方で当業者にとって周知の他の成分の含有を生じる結果となる。
【0023】
接着剤処方は2種類の類似の又は非類似の基材を接着させるために設計される。それ故、例えば、せん断強度および剥離強度のような特性が重要である。高性能接着剤(構造接着剤)は高いせん断強度と剥離強度とが必要である。床仕上げ処方は1種類の基材のみ、好適にはコンクリートに適用され、かつ歩行者交通および軽量産業交通を取り扱うために設計される。それ故、圧縮強度が非常に重要である。いくらか延性を有する高圧縮強度が望ましい。
【0024】
種々の用途に応じて調合されたエポキシ組成物は、溶媒、顔料、顔料分散剤、レオロジー調整剤、チクソトロープ、流れおよび平準化補助剤、消泡剤、軟化剤、および他の典型的な添加剤を含むエポキシ系処方で当業者にとって周知の幅広い種々の添加成分で処方され得る。
この発明のポリアミン硬化性組成物、フィラーおよびエポキシ樹脂から製造された接着剤組成物は、ポリアミド、溶媒、顔料、レオロジー調整剤、チクソトロープ、消泡剤、強化剤、可撓化剤、および他の典型的な添加剤を含む接着剤処方分野で当業者にとって周知の幅広い種々の添加成分で処方され得る。
【0025】
エポキシ接着剤処方に関して、硬化剤成分は、高接着を与えるためにしばしば典型的には10〜70wt%、好適には20〜40wt%のポリアミドを含む。硬化剤成分かエポキシ樹脂成分のいずれかは、靭性を与えるために強化剤、例えば5〜50wt%、好適には20〜40wt%の液状ゴム改質剤を含んでよい。
この発明の接着性エポキシ組成物はメートル混合分散を含む多くの周知の技術で利用され得る。この技術で良く理解されているように、適切な表面処理によって多くの基材がこの発明の接着剤の用途に適している。そのような基材には、限定されないが多くの種類の金属、特に鋼鉄およびアルミニウム、そして木材およびコンクリートも含まれる。
この発明の接着性エポキシ組成物は、約0〜50℃、好適には10〜40℃の範囲の温度の室温で利用されかつ硬化され得る。必要であれば、同様に、これらの塗料は150℃以下又はそれより高い温度で強制硬化され得る。
【0026】
この発明のポリアミン硬化性組成物、フィラーおよびエポキシ樹脂から製造された床仕上げ系は、ポリエーテルアミン、溶媒、顔料、レオロジー調整剤、消泡剤、および他の典型的な添加剤を含む床仕上げ処方分野で当業者にとって周知の幅広い種々の添加成分で処方され得る。
しばしば、硬化剤としてポリエチレンアミンのみを含むエポキシ床仕上げ処方は必要な延性(弾性)をもたらさない。この特定の特性を改善するために、熟練労働者は低分子量(Mw200〜2000、好適には200〜500)のポリエーテルアミン、例えばハンツマンケミカル社(Huntsman Chemical)からのJeffamineD−230又はD−400ポリエーテルアミンを利用し得る。ポリエチレンアミン(例えば本発明のアミン組成物)の低分子量ポリエーテルアミンに対する典型的な割合は0.06〜0.8、好適には0.3〜0.8であろう。ポリエチレンアミンの量が増えると、処方はより反応性で脆くなりそしてポリエーテルアミンの量が増えると処方は低反応性でかつ柔軟性で弾性になる。
【0027】
同様に、本発明における使用に適したポリエーテルアミンとしてはアミノプロピル化したポリエチレングリコール(Mw1000以下、好適には400以下)、アミノプロピル化したポリプロピレングリコール(Mw1000以下、好適には400以下)、およびアミノプロピル化したポリブタンジオール(Mw1000以下、好適には400以下)が挙げられる。
【0028】
この発明の床仕上げ処方は、切り欠きスキージ、ローラー、スクリード床張り、こて塗りおよびテラゾ技術を含むいくつでも利用され得る。この発明の床仕上げ処方の用途のために適した第1位の基材はコンクリートであり、その他の適した基材には木材が含まれるであろう。
この発明の床仕上げ処方は、約0℃〜50℃の範囲、好適には10〜40℃の範囲の温度の室温で利用されかつ硬化され得る。必要であれば、同様に、これらの塗料は150℃以下又はそれより高い温度で強制硬化され得る。
【実施例】
【0029】
実施例1
N−3−アミノプロピルエチレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、およびN,N,N’−トリス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン混合物の合成
1リットルの回分反応器にエチレンジアミン236g、続いて水5を加え、そして内容物を60℃に加熱した。この混合物に、アクリロニトリル417gを5時間かけて加えた。アクリロニトリルの添加が終わった時点で反応温度をさらに1.5時間維持した。
【0030】
1リットルの回分反応器にイソプロパノール100g、水6.6gおよびラネーコバルト触媒7.5gを入れた。どんな痕跡の同伴空気をも除くために、反応器を先ず窒素、次いで水素で圧力循環させた。圧力循環の後、反応器を5.5MPaの水素で充填しそして120℃に加熱した。前の工程の生成物500gを反応器に4時間かけて加えた。この時間の間、1リットルのバラストタンクから反応器に水素を供給することによって、反応圧力を5.5MPaに維持した。添加が終わった時点で、水素化の完結を確実にするために120℃でさらに1時間維持した。
反応器を室温まで冷却し、そして生成物をろ過した。生成物を面積パーセントGCで分析し、N−3−アミノプロピルエチレンジアミン3%、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン80%、N,N,N’−トリス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン11%、N,N,N’,N’−テトラキス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン2%および他の成分1%を含んでいた。この面積パーセントはwt%又は質量部に言い換える。このアミン組成物を実施例2と実施例3の両方に用いた。
【0031】
実施例2
接着剤処方および特性
コールズ羽根を備えた高速混合器内で、登録商標DER331エポキシ樹脂(ダウケミカル社、エポキシ当量=190)180g、ミクロタフ(Microtuff)AG445フィラー(ミネラルテクノロジーズ社)70.0g、登録商標Cab−O−SilM−5ヒュームドシリカ(キャボット社)5gを混合することによって、処方されたエポキシ接着剤組成物を製造した。樹脂基礎材料を以下の表に示される硬化剤と混合した。アミン価が1435mgKOH/gでAHEV27を有し、エアプロダクツアンドケミカル社から入手可能なポリアミン硬化剤である登録商標AncamineTETA(トリエチレンテトラアミン)が実験Aで用いた。2分間混合後、接着剤は標準重ねせん断用試料およびT形剥離試料を調製するために、5ミルの膜厚みで冷たい回転スティール基材(2.54cmx10.2cmのクーポン)に塗布した。試料は25℃で7日間硬化した。
実験Bは、硬化剤が実施例1のアミン組成物からなること以外は実験Aと同じ処方から成った。
実験Aと実験Bの評価を次の表に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
この発明の硬化剤(実験B)は、比較実験Aよりも約20%高いせん断強度と約30%高い剥離強度を与える接着剤系をもたらした。
この発明の硬化剤に基づいた処方で得られた高い剥離強度に加えての高いせん断強度は、処方がTETA硬化剤よりも延性があるということを意味する。
【0034】
実施例3
床仕上げ処方および特性
中速混合器内で、登録商標DER331エポキシ樹脂1005g、登録商標SurfynolDF695消泡剤14.5g、US標準篩番号30〜100の範囲の粒径を有するケイ砂の混合物3668gを混合することによって、処方されたエポキシ床仕上げ系が製造された。樹脂基礎材料が以下の表に示される硬化剤と混合された。実験CではTETA142.5gを用い、実験Dでは実施例1のアミン混合物154.7gを用いた。5分間混合後、各々ASTM C−307、C−109、C−580の試験手順により引張り特性、圧縮特性および曲げ特性用の試料を調製するために処方剤が金型に投入された。この発明の硬化剤は引張強度が50%増加、引張伸びが約20%増加そして曲げ強度が35%増加を示す系をもたらした。引張強度と圧縮強度への不利な影響が全くなくて引張伸びおよび曲げ強度が増加したことは思いも寄らなかった。
【0035】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラーと、エポキシ樹脂と、下記式1:
【化1】

(式中、RはCHCHCHNH、R、RおよびRは独立にH又はCHCHCHNH、そしてXはCHCH又はCHCHCHである。)
で示されるモノ−、ジ−、トリ−およびテトラ−置換アミンの混合物であって、0〜50質量部のモノ−置換アミン、50〜95質量部のジ−置換アミン、0〜50質量部のトリ−置換アミン、および0〜25質量部のテトラ−置換アミンを含む混合物を含むアミン成分との接触生成物を含むエポキシ組成物。
【請求項2】
アミン混合物が、N−3−アミノプロピルエチレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’−トリス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンおよびN,N,N’,N’−テトラキス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
XがCHCHである請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
XがCHCHCHである請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
アミン混合物が、0〜20質量部のモノ−置換アミン、60〜95質量部のジ−置換アミン、0〜20質量部のトリ−置換アミンおよび0〜10質量部のテトラ−置換アミンを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
アミン混合物が、0〜20質量部のモノ−置換アミン、60〜95質量部のジ−置換アミン、0〜20質量部のトリ−置換アミンおよび0〜10質量部のテトラ−置換アミンを含む請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
アミン混合物が、3〜25質量部のN−3−アミノプロピルエチレンジアミン、50〜94質量部のN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、3〜25質量部のN,N,N’−トリス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンおよび0〜10質量部のN,N,N’,N’−テトラキス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンを含む請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
アミン混合物が、1〜6質量部のN−3−アミノプロピルエチレンジアミン、80〜90質量部のN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、2〜9質量部のN,N,N’−トリス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンおよび1〜5質量部のN,N,N’,N’−テトラキス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンを含む請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項9】
アミン成分とエポキシ樹脂とを、エポキシ基のアミン水素に対する化学量論比が1.5:1〜1:1.5で含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
エポキシ樹脂が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアドバンストジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、又はそれらの混合物である請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
アミン成分のアミン水素の2〜30%に二官能性又は単官能性のエポキシ樹脂が付加されている請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
アミン混合物が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアドバンストジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、又はフェノール、クレゾール、t−ブチルフェノール又はアルキルフェノールのグリシジルエーテル、ブタノール、2−エチルヘキサノール、又はC8〜C14アルコールで付加されている請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
フィラーが、ケイ砂、大理石切りくず、ガラス繊維、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、アルミニウム粉、シリカ、カオリン、ガラス球、ガラスバルーン、バライト、含水アルミナ、木粉、堅果殻粉、およびカーボンブラックの1種以上である請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
アミン硬化剤組成物、エポキシ樹脂およびフィラーを含むエポキシ接着剤組成物において、アミン硬化剤が下記式1:
【化2】

(式中、RはCHCHCHNH、R、RおよびRは独立にH又はCHCHCHNH、そしてXはCHCH又はCHCHCHである。)
で示されるモノ−、ジ−、トリ−およびテトラ−置換アミンの混合物であって、0〜50質量部質量部のモノ−置換アミン、50〜95質量部のジ−置換アミン、0〜50質量部のトリ−置換アミン、および0〜25質量部のテトラ−置換アミンを含む混合物を含むことを特徴とするエポキシ接着剤組成物。
【請求項15】
アミン混合物が、3〜25質量部のN−3−アミノプロピルエチレンジアミン、50〜94質量部のN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、3〜25質量部のN,N,N’−トリス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンおよび0〜10質量部のN,N,N’,N’−テトラキス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンを含む請求項14に記載のエポキシ接着剤組成物。
【請求項16】
さらに、ポリアミド、溶媒、顔料、レオロジー調整剤、チクソトロープ、消泡剤、強化剤および可撓化剤の1種以上を含む請求項15に記載のエポキシ接着剤組成物。
【請求項17】
アミン硬化剤組成物、エポキシ樹脂およびフィラーを含有するエポキシ床仕上げ組成物において、アミン硬化剤が下記式1:
【化3】

(式中、RはCHCHCHNH、R、RおよびRは独立にH又はCHCHCHNH、そしてXはCHCH又はCHCHCHである。)
で示されるモノ−、ジ−、トリ−およびテトラ−置換アミンの混合物であって、0〜50質量部質量部のモノ−置換アミン、50〜95質量部のジ−置換アミン、0〜50質量部のトリ−置換アミン、および0〜25質量部のテトラ−置換アミンを含む混合物を含むことを特徴とするエポキシ床仕上げ組成物。
【請求項18】
アミン混合物が、3〜25質量部のN−3−アミノプロピルエチレンジアミン、50〜94質量部のN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、3〜25質量部のN,N,N’−トリス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンおよび0〜10質量部のN,N,N’,N’−テトラキス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンを含む請求項17に記載のエポキシ床仕上げ組成物。
【請求項19】
さらに、ポリエーテルアミン、溶媒、顔料、レオロジー調整剤および消泡剤の1種以上を含む請求項18に記載のエポキシ床仕上げ組成物。
【請求項20】
Mw200〜2000のポリエーテルアミンを含む請求項18又は19に記載のエポキシ床仕上げ組成物。

【公開番号】特開2008−169376(P2008−169376A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292939(P2007−292939)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】