説明

エマルションおよびその製造方法、ならびに該エマルションを用いた水性塗料組成物

【課題】外殻内に疎水性塗料用添加剤を高濃度で含有するエマルションを提供すること。
【解決手段】本発明のエマルションは、水性媒体中に樹脂粒子が分散されている。樹脂粒子は、樹脂で構成された外殻と外殻に内包された塗料用添加剤とを含み、その平均粒子径が100nm〜500nmである。塗料用添加剤の水に対する溶解度は1g/100g未満である。好ましくは、塗料用添加剤は、硬化触媒、消泡剤、表面調整剤、レベリング剤、紫外線吸収剤および酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エマルションおよびその製造方法ならびに該エマルションを用いた水性塗料組成物に関する。より詳細には、本発明は、外殻内に疎水性塗料用添加剤を高濃度で含有するエマルションおよび該エマルションを用いた水性塗料組成物に関し、さらに、そのようなエマルションの簡便な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、溶剤型塗料から水性塗料へ転換することが社会的に求められている。
【0003】
一般的に、水性塗料組成物には、その機能を保持したり、商品性を高めたりするために、各種の塗料用添加剤が配合される。塗料用添加剤としては、例えば、酸化防止剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤が挙げられる。これらの添加剤の中には、疎水性が強く、そのままの形態では分離したり、凝集したりして水性塗料に配合できないものがある。
【0004】
特許文献1は、紫外線吸収剤や光安定剤を含有する共重合体エマルションを開示している。しかし、特許文献1に記載の共重合体エマルションは、主成分としてのバインダー成分に付随して上記添加剤を含有しているにすぎない。したがって、このエマルション自体を添加剤として実用に供することは、実質的には不可能である。
【特許文献1】特開2002−285045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、外殻内に疎水性塗料用添加剤を高濃度で含有するエマルションおよび水性塗料組成物、ならびにそのようなエマルションの簡便な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエマルションは、水性媒体中に樹脂粒子が分散されたエマルションである。樹脂粒子は、樹脂で構成された外殻と該外殻に内包された塗料用添加剤とを含む。塗料用添加剤の水に対する溶解度は1g/100g未満である。エマルションの平均粒子径は100nm〜500nmである。
【0007】
好ましい実施形態においては、上記塗料用添加剤の固形分質量は、エマルションの全固形分質量に対して5〜80質量%である。
【0008】
好ましい実施形態においては、上記塗料用添加剤は、硬化触媒、消泡剤、表面調整剤、レベリング剤、紫外線吸収剤および酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0009】
好ましい実施形態においては、上記外殻を構成する樹脂の数平均分子量は3,000〜50,000である。好ましい実施形態においては、上記外殻を構成する樹脂の溶解性パラメーターは13以下である。
【0010】
本発明の別の実施形態によるエマルションは、ミニエマルション重合方法によって得られる、水性媒体中に樹脂粒子が分散されたエマルションである。樹脂粒子は、樹脂で構成された外殻と該外殻に内包された塗料用添加剤とを含み、その平均粒子径は100nm〜500nmである。塗料用添加剤の水に対する溶解度は1g/100g未満である。外殻は、塗料用添加剤を内包したモノマー混合物粒子が水性媒体中に分散されたプレエマルションを重合することにより形成される。
【0011】
本発明の別の局面によれば、エマルションの製造方法が提供される。この製造方法は、水に対する溶解度が1g/100g未満である塗料用添加剤とモノマー混合物とを水性媒体中に分散させて、該塗料用添加剤を内包したモノマー混合物粒子が水性媒体中に分散されたプレエマルションを調製する工程と;該プレエマルション中の該モノマー混合物を重合して、該塗料用添加剤を内包する樹脂粒子が水性媒体中に分散されたエマルションを得る工程と、を含む。上記樹脂粒子の平均粒子径は100nm〜500nmである。
【0012】
本発明のさらに別の局面によれば、水性塗料組成物が提供される。この水性塗料組成物は、上記のエマルションとバインダー成分とを含有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、疎水性の塗料用添加剤をエマルションの樹脂粒子の外殻に内包させることにより、疎水性の塗料用添加剤を水性塗料に適用することができる。しかも、このようないわゆるカプセル化されたような形態をとることにより、塗料用添加剤を単に分散させた場合に比べて、より安定に存在させることができるので、添加剤の機能をより効果的に発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
A.エマルションの全体的な構成
本発明のエマルションは、水性媒体中に樹脂粒子が分散されたエマルションである。樹脂粒子は、樹脂で構成された外殻と、外殻に内包された塗料用添加剤とを含む。外殻は、内包する塗料用添加剤を完全に覆う必要はなく、樹脂粒子として水性媒体中に安定に存在できればよい。樹脂粒子の平均粒子径は100nm〜500nmであり、好ましくは100nm〜300nmである。エマルションにおける樹脂粒子の平均粒子径がこのような範囲であれば、凝集物や沈降物を生じない、分散安定性に優れたエマルションを得ることができる。エマルションの固形分(すなわち、外殻樹脂および塗料用添加剤の固形分の合計)は、好ましくは20〜50質量%である。なお、樹脂粒子の平均粒子径は、試料を脱イオン水にて希釈し、レーザー散乱式粒度分布測定装置(大塚電子製、商品名ELS−800)を用いて25℃で測定したときの値である。
【0015】
B.塗料用添加剤
上記塗料用添加剤は、水100gに対する溶解度が1g/100g未満、好ましくは0.5g/100g未満、さらに好ましくは0.1g/100g未満である。水に対する溶解度は、以下の手法で測定することができる:100mL容量のプラスチックサンプル管に、イオン交換水50g、および試料(ここでは、塗料用添加剤)0.5gを入れ、タッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、MT−51)により1分間攪拌する(駆動条件;回転ダイヤル数10)。攪拌終了後、目視によりプラスチックサンプル管の内容物を観察し、試料が完全に溶解しているか否かを評価する。試料が完全に溶解しなかった場合、水溶解度が1g/100g未満であると判定し、試料が完全に溶解した場合、水溶解度が1g/100g以上であると判定する。同様に、プラスチックサンプル管に投入する試料の分量を0.25g、0.05gとすることにより、それぞれ水溶解度が0.5g/100g未満、0.1g/100g未満であるか否かを判定する。
【0016】
上記塗料用添加剤の具体例としては、硬化触媒、pH調整剤(例えば、トリエチルアミン)、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、相溶化剤、架橋剤、増粘剤、静電助剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、表面調整剤等が挙げられる。好ましい塗料用添加剤としては、硬化触媒、消泡剤、表面調整剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤およびこれらの組み合わせが挙げられる。塗料用添加剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0017】
上記硬化触媒の具体例としては、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7等の炭素数6以上の有機アミン系化合物;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル酸錫、ナフテン酸コバルト等の有機金属系化合物が挙げられる。
【0018】
上記消泡剤の具体例としては、破泡性ポリシロキサン、メタクリル酸アルキル・スチレン共重合体、ブタジエン共重合体/ポリアルキルシロキサン混合物、ポリメタクリル酸アルキル等が挙げられる。
【0019】
上記表面調整剤およびレベリング剤は、目的に応じて任意の適切な表面調整機能を有する材料を含む。表面調整機能を有する材料の具体例としては、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエステル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
【0020】
上記紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、エタンジアミド−N−(2−エトキシフェニル)−N’−(4−イソドデシルフェニル)等が挙げられる。
【0021】
上記酸化防止剤の具体例としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系の酸化防止剤等が挙げられる。
【0022】
上記塗料用添加剤の固形分質量は、エマルションの全固形分質量に対して好ましくは5〜80質量%であり、さらに好ましくは5〜50質量%である。このような高濃度で塗料用添加剤を含有することにより、水性塗料において添加剤の機能を良好に発揮させることができる。添加剤のみをこのような高濃度で外殻に内包したエマルションを実際に調製したことが、本発明の成果の1つである。
【0023】
C.塗料用添加剤を内包する外殻
上記外殻は、上記塗料用添加剤を内包する。当該外殻は、任意の適切な樹脂で構成される。樹脂の外殻で塗料用添加剤を内包することにより、疎水性の塗料用添加剤であっても、水性塗料に適用することができる。
【0024】
上記樹脂の溶解性パラメーターは、好ましくは13以下、さらに好ましくは12〜8である。溶解性パラメーターが13より大きい場合には、極性が強くなりすぎてエマルションを形成することができなくなるおそれがある。なお、水の溶解性パラメーターは23.5であるので、水系で乳化重合することができる閾値として、樹脂の溶解性パラメーターは例えば13.5であり得る。一方、溶解性パラメーターが小さすぎる場合には、塗料用添加剤がモノマー混合物に溶解しない場合がある。本明細書において「溶解性パラメーター」とは、Hildebrandによって提唱されたパラメーターをいい、凝集エネルギー密度の平方根で定義される。代表的な溶媒や樹脂の溶解性パラメーターは、例えばポリマーハンドブックに記載されている。本明細書においては、樹脂の溶解性パラメーターは、例えば以下の手順で決定される:樹脂0.5gを秤量してビーカーにとり、良溶媒(例えば、アセトン、ジオキサン、ブチルセルソルブ、THF)10mlをホールピペットで加えて樹脂を溶解し、樹脂溶液を調製する。この樹脂溶液を20℃に保持し、水またはヘキサンを滴下し、白濁した点を滴定値とする。この滴定値から、以下の式を用いて樹脂の溶解性パラメーターδresinを算出する。
【数1】

ここで、Vmlはヘキサンによる滴定終了時の混合溶媒の分子容であり、Vmhは水による滴定終了時の混合溶媒の分子容である。δmlおよびδmhは、それぞれヘキサンまたは水による滴定終了時の混合溶媒の溶解性パラメーターであり、以下の式で表される。
【数2】

ここで、δwaterおよびδhexaneは、それぞれ水およびヘキサンの溶解性パラメーターであり、δは良溶媒の溶解性パラメーターである。φmlは混合溶媒中のヘキサンの体積分率であり、φmhは混合溶媒中の水の体積分率である。
【0025】
上記外殻を構成する樹脂は、代表的には、エチレン性不飽和モノマー由来の繰り返し単位を有するホモポリマーまたはコポリマーである。エチレン性不飽和モノマーの具体例としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸ジシクロペンタジエニル、アクリル酸ジシクロペンタジエニル、メタクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニル、アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニルなどの(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、パラクロロスチレン、ビニルナフタレンなどのスチレン系モノマー;メタクリルアミド、アクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジブチルメタクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、N,N−ジオクチルメタクリルアミド、N,N−ジオクチルアクリルアミド、N−モノブチルメタクリルアミド、N−モノブチルアクリルアミド、N−モノオクチルメタクリルアミド、N−モノオクチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミドなどのアミドモノマー;ビニルケトン;(メタ)アクリル酸とC2−C8ジオールとのハーフエステル〔例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート〕およびそれらのε−カプラクトン変性体等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。用いられるエチレン性不飽和モノマーの数、種類、組み合わせおよび量は、エマルション化が可能であり、かつ所望の平均粒子径を有するモノマー混合物粒子および樹脂粒子が得られる限りにおいて、さらに所望の溶解性パラメーターを有する外殻樹脂が得られる限りにおいて、目的に応じて適切に設定され得る。また、上記エチレン性不飽和モノマーと、当該エチレン性不飽和モノマーと共重合可能な任意の適切な他のモノマーとを共重合してもよい。
【0026】
上記外殻を構成する樹脂の数平均分子量は、好ましくは3,000〜50,000である。分子量が3,000未満である場合には、水性塗料に適用した場合に得られる塗膜の耐水性が不十分である場合がある。分子量が50,000を超えると、塗膜外観を損なうおそれがある。
【0027】
D.エマルションの製造方法
本発明のエマルションは、ミニエマルション重合方法により調製され得る。当該ミニエマルション重合方法は、上記塗料用添加剤と、エチレン性不飽和モノマーを含むモノマー混合物とを水性媒体中に分散させて、該塗料用添加剤を内包したモノマー混合物粒子が水性媒体中に分散されたプレエマルションを調製する工程と;プレエマルション中のモノマー混合物を重合して、該塗料用添加剤を内包する樹脂粒子が水性媒体中に分散されたエマルションを得る工程とを含む。ミニエマルション重合方法を用いることにより、プレエマルション油滴からモノマーが水中へ拡散移動し乳化重合することなく、当該樹脂粒子に塗料用添加剤を内包することが可能となる。その結果、塗料用添加剤を水性組成物に適用することができるとともに、均一性に優れた塗膜が得られる。以下、本発明に用いられるミニエマルション重合方法の一例における具体的な手順を説明する。
【0028】
まず、モノマー混合物を調製する。モノマー混合物は、例えば、上記エチレン性不飽和モノマーと必要に応じて上記共重合可能な他のモノマーとを目的に応じて所定の割合で混合することにより調製される。モノマー混合物は、任意の適切な分散機(例えば、ホモミキサー、ディスパーミキサー)を用いて予備乳化されてもよい。
【0029】
次に、得られたモノマー混合物、上記塗料用添加剤、乳化剤および必要に応じて任意の適切なその他の添加剤を、高速剪断乳化機を用いて乳化することにより、プレエマルションを得る。本発明の製造方法によれば、モノマー混合物粒子が塗料用添加剤を内包した状態で水性分散媒中に分散しているプレエマルションが実現され得る。プレエマルションにおけるモノマー混合物粒子の平均粒子径は、得られるエマルションにおける樹脂粒子の平均粒子径に対して好ましくは0.5〜1.5倍、さらに好ましくは0.8〜1.2倍に設定され得る。より具体的には、モノマー混合物粒子の平均粒子径は、好ましくは100nm〜400nm、さらに好ましくは100nm〜300nmである。モノマー混合物粒子がこのような範囲の平均粒子径を有することにより、エマルション生成時および水性塗料の調製時における塗料用添加剤の凝集が防止され得る。その結果、得られるエマルションを水性塗料に適用した場合に、塗料用添加剤が非常に適切に機能することができる。モノマー混合物粒子の平均粒子径は、乳化剤の量および剪断条件(例えば、回転数、剪断応力、剪断時間、剪断時の圧力)を調整することにより制御され得る。
【0030】
上記高速剪断乳化機としては、所望のプレエマルションが得られる限りにおいて任意の適切な装置が採用され得る。具体例としては、高速回転剪断型撹拌機、コロイドミル、高圧コロイドミル、高圧噴射式乳化分散機、超音波乳化分散機、高圧ホモジナイザー等が挙げられる。例えば、高速回転剪断型撹拌機は、回転翼と固定環との微細な間隙で起こる強力な剪断効果および/または衝撃力を利用して、液体を微粒化する。攪拌機としてT.Kロボミックス(登録商標;プライミクス株式会社製)を用いる場合の回転数は、例えば10,000〜20,000rpmであり、攪拌時間は、例えば5分〜60分であるが、これらの条件は機器の大きさにより変化するため、周速10〜30m/秒となるように攪拌機を制御することが好ましい。
【0031】
上記乳化剤としては、代表的には、アニオン系乳化剤またはノニオン系乳化剤が用いられる。アニオン系乳化剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。ノニオン系乳化剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。乳化剤の添加量は、好ましくは、モノマー混合物100質量部に対して1〜15質量部である。乳化剤の量が1質量部未満である場合には、エマルションの製造時に凝集物を生じるおそれがある。乳化剤の量が15質量部を超えると、得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。
【0032】
乳化剤は、反応性乳化剤であってもよい。反応性乳化剤はエチレン性不飽和結合を有する界面活性剤である。反応性乳化剤は、アニオン型、カチオン型、ノニオン型の3種のタイプに分類される。反応性乳化剤は、上記通常の乳化剤と併用してもよく、単独で用いてもよい。反応性乳化剤は、上記モノマー混合物に含まれてもよい。反応性乳化剤を用いる場合の使用量(上記通常の乳化剤と併用する場合は反応性乳化剤と通常の乳化剤との合計)は、モノマー混合物100質量部に対して1〜15質量部である。なお、上記モノマー混合物に反応性乳化剤が含まれる場合であって当該反応性乳化剤がイオン性基を有する場合(すなわち、アニオン型またはカチオン型である場合)には、その使用量は、好ましくは5質量部以下である。
【0033】
市販のアニオン型反応性乳化剤の具体例としては、エレミノールJSシリーズ(三洋化成工業社製)、ラテムルSシリーズ、ラテムルPDシリーズ、SASKシリーズ(花王社製)、アクアロンHSシリーズ(第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE、SRシリーズ(旭電化社製)、アントックスMS−60(日本乳化剤社製)等が挙げられる。市販のカチオン型反応性乳化剤の具体例としては、ラテムルKシリーズ(花王社製)等が挙げられる。市販のノニオン型反応性乳化剤の具体例としては、アクアロンRNシリーズ(第一工業製薬社製)、アデカリアソープNE、ERシリーズ(旭電化社製)等が挙げられる。
【0034】
上記添加剤の具体例としては、重合開始剤、連鎖移動剤等が挙げられる。
【0035】
重合開始剤としては、油溶性または水溶性のいずれのタイプのものであってもよい。油溶性の重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、オクタノイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド等の有機系過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。水溶性の重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、アゾビス{2−メチル−N−〔2−(1−ヒドロキシブチル)〕−プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。必要に応じて、上記重合開始剤に糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体等の還元剤を併用し、レドックス重合系としてもよい。重合開始剤は、上記モノマー混合物100質量部に対して好ましくは0.1〜3質量部の割合で用いられ得る。
【0036】
連鎖移動剤としては、外殻を構成する樹脂の分子量を所望の範囲に調節し得る任意の適切な連鎖移動剤が採用され得る。具体例としては、ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2−メチル−5−t−ブチルチオフェノール、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。連鎖移動剤は、上記モノマー混合物100質量部に対して好ましくは0.5〜5質量部の割合で用いられ得る。
【0037】
次に、上記プレエマルションをミニエマルション重合し、エマルションを得る。上記モノマー混合物粒子が上記塗料用添加剤を内包した状態で水性分散媒中に分散しているプレエマルションをミニエマルション重合することにより、当該モノマー混合物が塗料用添加剤を内包したまま重合し、外殻を形成する。その結果、塗料用添加剤を内包した樹脂粒子(すなわち、カプセル状の樹脂粒子)が分散したエマルションが得られる。重合条件は、モノマー混合物に用いられるモノマーの種類、塗料用添加剤の含有量等に応じて適切に選択され得る。1つの実施形態においては、ミニエマルション重合における重合温度は40〜100℃、重合時間は4〜8時間である。以上のようにして、本発明のエマルションが得られる。
【0038】
E.水性塗料組成物
本発明の水性塗料組成物は、上記のエマルションとバインダー成分とを含有する。バインダー成分としては、水性塗料のバインダーに適用可能な任意の適切な樹脂が採用され得る。水性塗料組成物におけるバインダー成分の固形分濃度は、好ましくは30〜90質量%、さらに好ましくは40〜60質量%である。本発明の塗料組成物は、目的に応じて色材(例えば、顔料)や他の樹脂成分をさらに含有し得る。
【0039】
水性塗料組成物におけるエマルションの固形分は、水性塗料組成物の全固形分に対して好ましくは1〜90質量%であり、さらに好ましくは10〜80質量%である。エマルションの固形分比率が1質量%より小さい場合には、塗料用添加剤の機能が十分に発揮できない場合がある。エマルションの固形分比率が90質量%より大きい場合には、結果としてバインダー成分の含有量が少なくなるので、塗膜が十分に形成されない場合がある。
【0040】
本発明の水性塗料組成物は、クリヤー塗料、エナメル塗料、建築用、自動車外板用、自動車部品用などの塗料用途、印刷インキ等の被覆材、不織布用の接合剤、接着剤、充填材、形成材料、レジスト等に好適に使用することができる。
【0041】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は質量基準である。
【0042】
(実施例1)塗料用添加剤(消泡剤)内包エマルションの調製
攪拌機(プライミクス株式会社製、商品名T.K.ロボミックス(登録商標))を備えた5Lステンレスビーカーに、脱イオン水600部、ラテムルPD−104(商品名、花王株式会社製、反応性界面活性剤20%水溶液)200部を入れた。これを2000rpmで攪拌しているところにモノマー類800部(スチレン40部、メチルメタクリレート154部、メチルアクリレート196部、エチルアクリレート275部、4−ヒドロキシブチルアクリレート123部、メタクリル酸12部)、ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)8部および消泡剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名BYK−094、不揮発分98%)267部を均一に混合したものを徐々に加え、一次乳化物を得た。これを氷水で冷却しながら、12000rpmで20分乳化してプレエマルションを得た。得られたプレエマルションの粒子径を大塚電子株式会社製、商品名ELS−800で測定した。プレエマルションにおけるモノマー混合物粒子の平均粒子径は260nmであった。
【0043】
次に、撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入管およびウォターバスを備えた5L縦長フラスコに、脱イオン水831部を仕込み、150rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。脱イオン水40部および過硫酸アンモニウム4部を混合した開始剤水溶液とプレエマルション1867部とを3時間かけて並行滴下した。プレエマルションと開始剤水溶液の滴下終了後、2時間80℃を保持した。そこへDMAE(ジメチルアミノエタノール)の25%水溶液25部を30分かけて滴下した。DMAE水溶液の滴下終了後、1時間80℃を保持し、その後室温に冷却し、200メッシュで濾過し取り出し、塗料用添加剤(消泡剤)内包エマルションを得た。得られたエマルションの固形分は39.8%、pHは5.4、樹脂粒子の平均粒子径は240nmであった。さらに、GPC分析により、内包物(消泡剤)のピークを除くアクリル樹脂のピークから数平均分子量を求めたところ、10,500であった。
【0044】
(実施例2)塗料用添加剤(表面調整剤)内包エマルションの調製
消泡剤267部の代わりに表面調整剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名BYK−UV3500、不揮発分98%)267部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてプレエマルションを得た。プレエマルションにおけるモノマー混合物粒子の平均粒子径は300nmであった。さらに、実施例1と同様にして、このプレエマルションから塗料用添加剤(表面調整剤)内包エマルションを得た。得られたエマルションの固形分は39.5%、pHは5.5、樹脂粒子の平均粒子径は260nmであった。さらに、GPC分析により、内包物(表面調整剤)のピークを除くアクリル樹脂のピークから数平均分子量を求めたところ、10,500であった。
【0045】
(実施例3)塗料用添加剤(レベリング剤)内包エマルションの調製
消泡剤267部の代わりにレベリング剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名BYK−352、不揮発分80%)267部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてプレエマルションを得た。プレエマルションにおけるモノマー混合物粒子の平均粒子径は185nmであった。さらに、実施例1と同様にして、このプレエマルションから塗料用添加剤(レベリング剤)内包エマルションを得た。得られたエマルションの固形分は37.9%、pHは5.3、樹脂粒子の平均粒子径は160nmであった。さらに、GPC分析により、内包物(レベリング剤)のピークを除くアクリル樹脂のピークから数平均分子量を求めたところ、10,500であった。
【0046】
(実施例4)塗料用添加剤(紫外線吸収剤)内包エマルションの調製
消泡剤267部の代わりに紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名チヌビン900、不揮発分100%)267部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてプレエマルションを得た。プレエマルションにおけるモノマー混合物粒子の平均粒子径は120nmであった。さらに、実施例1と同様にして、このプレエマルションから塗料用添加剤(紫外線吸収剤)内包エマルションを得た。得られたエマルションの固形分は40.2%、pHは5.7、樹脂粒子の平均粒子径は130nmであった。さらに、GPC分析により、内包物(紫外線吸収剤)のピークを除くアクリル樹脂のピークから数平均分子量を求めたところ、10,500であった。
【0047】
(実施例5)塗料用添加剤(酸化防止剤)内包エマルションの調製
消泡剤267部の代わりに酸化防止剤(住友化学株式会社製、商品名スミライザーWX−R、不揮発分100%)267部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてプレエマルションを得た。プレエマルションにおけるモノマー混合物粒子の平均粒子径は145nmであった。さらに、実施例1と同様にして、このプレエマルションから塗料用添加剤(酸化防止剤)内包エマルションを得た。得られたエマルションの固形分は40.1%、pHは5.1、樹脂粒子の平均粒子径は150nmであった。さらに、GPC分析により、内包物(酸化防止剤)のピークを除くアクリル樹脂のピークから数平均分子量を求めたところ、10,500であった。
【0048】
(比較例1)
消泡剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様にしてプレエマルションを得た。プレエマルションにおけるモノマー混合物粒子の平均粒子径は160nmであった。さらに、実施例1と同様にして、このプレエマルションからエマルションを得た。得られたエマルションの固形分は34.8%、pHは5.6、樹脂粒子の平均粒子径は140nmであった。さらに、GPC分析により、アクリル樹脂のピークから数平均分子量を求めたところ、10,500であった。
【0049】
(実施例6)
市販のノニオン・アニオン系分散剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名Disperbyk 190)9.4部、イオン交換水36.8部、ルチル型二酸化チタン34.5部、硫酸バリウム34.4部及びタルク6部を予備混合した後、ペイントコンディショナー中でガラスビーズ媒体を加え、室温で粒度5μm以下となるまで混合分散し、着色顔料分散ペーストを得た。ステンレス容器においてラボミキサーを使用して、実施例1で得られたエマルション167質量部に、着色顔料分散ペースト100質量部およびイオン交換水36質量部を混合することによって、水性塗料組成物を調製した。
【0050】
得られた水性塗料組成物200質量部を200メッシュ金網で濾過し、イオン交換水で洗浄した後、金網上に濾過物があるか否かを目視により評価した。その結果、濾過物は認められなかった。
【0051】
(実施例7)
実施例1で得られたエマルション167質量部の代わりに実施例2で得られたエマルション167質量部を用いたこと以外は実施例6と同様にして、水性塗料組成物を調製した。得られた水性塗料組成物を実施例6と同様の評価に供した。その結果、濾過物は認められなかった。
【0052】
(実施例8)
実施例1で得られたエマルション167質量部の代わりに実施例3で得られたエマルション167質量部を用いたこと以外は実施例6と同様にして、水性塗料組成物を調製した。得られた水性塗料組成物を実施例6と同様の評価に供した。その結果、濾過物は認められなかった。
【0053】
(実施例9)
実施例1で得られたエマルション167質量部の代わりに実施例4で得られたエマルション167質量部を用いたこと以外は実施例6と同様にして、水性塗料組成物を調製した。得られた水性塗料組成物を実施例6と同様の評価に供した。その結果、濾過物は認められなかった。
【0054】
(実施例10)
実施例1で得られたエマルション167質量部の代わりに実施例5で得られたエマルション167質量部を用いたこと以外は実施例6と同様にして、水性塗料組成物を調製した。得られた水性塗料組成物を実施例6と同様の評価に供した。その結果、濾過物は認められなかった。
【0055】
(比較例2)
実施例6と同様にして着色顔料分散ペーストを得た。ステンレス容器においてラボミキサーを使用して、比較例1で得られたエマルション125質量部に、着色顔料分散ペースト100質量部、ノニオン・アニオン系分散剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名Disperbyk 190)0.2部および消泡剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名BYK−094、不揮発分98%)18.7部を混合し、さらにイオン交換水76質量部を加えて混合することによって、水性塗料組成物を調製した。すなわち、塗料用添加剤(消泡剤)を樹脂粒子に内包させていない水性塗料組成物を調製した。得られた水性塗料組成物を実施例6と同様の評価に供した。その結果、濾過物が認められた。
【0056】
(比較例3)
消泡剤18.7部の代わりに表面調整剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名BYK−UV3500、不揮発分98%)18.7部を用いたこと以外は比較例2と同様にして、水性塗料組成物を調製した。得られた水性塗料組成物を実施例6と同様の評価に供した。その結果、濾過物が認められた。
【0057】
(比較例4)
消泡剤18.7部の代わりにレベリング剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名BYK−352、不揮発分80%)18.7部を用いたこと以外は比較例2と同様にして、水性塗料組成物を調製した。得られた水性塗料組成物を実施例6と同様の評価に供した。その結果、濾過物が認められた。
【0058】
(比較例5)
消泡剤18.7部の代わりに紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名チヌビン900、不揮発分100%)18.7部を用いたこと以外は比較例2と同様にして、水性塗料組成物を調製した。得られた水性塗料組成物を実施例6と同様の評価に供した。その結果、濾過物が認められた。
【0059】
(比較例6)
消泡剤18.7部の代わりに酸化防止剤(住友化学株式会社製、商品名スミライザーWX−R、不揮発分100%)18.7部を用いたこと以外は比較例2と同様にして、水性塗料組成物を調製した。得られた水性塗料組成物を実施例6と同様の評価に供した。その結果、濾過物が認められた。
【0060】
上述の実施例および比較例から明らかなように、本発明の実施例の塗料用添加剤内包エマルションから得られた水性塗料組成物は、凝集物を生成せず、非常に良好な分散性を示した(すなわち、疎水性の塗料用添加剤が、水系で凝集せず、非常に良好な分散性を示した)。さらに、本発明の実施例6〜10の水性塗料組成物およびこれらから得られる塗膜はそれぞれ、比較例2〜6の水性塗料組成物およびこれらから得られる塗膜に比べて消泡性、平滑性、耐光性に優れていることを確認した。すなわち、塗料用添加剤を樹脂粒子に内包したエマルションを調製することにより、塗料用添加剤を単に分散させる場合に比べて、添加剤の機能を十分に発揮できることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のエマルションおよび水性塗料組成物は、環境問題に配慮した塗料として好適に利用され得る。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中に樹脂粒子が分散されたエマルションであって、
該樹脂粒子が、樹脂で構成された外殻と、該外殻に内包された塗料用添加剤とを含み、
該塗料用添加剤の水に対する溶解度が1g/100g未満であり、
該樹脂粒子の平均粒子径が100nm〜500nmである
エマルション。
【請求項2】
前記塗料用添加剤の固形分質量が、エマルションの全固形分質量に対して5〜80質量%である、請求項1に記載のエマルション。
【請求項3】
前記塗料用添加剤が、硬化触媒、消泡剤、表面調整剤、レベリング剤、紫外線吸収剤および酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1または2に記載のエマルション。
【請求項4】
前記外殻を構成する樹脂の数平均分子量が3,000〜50,000である、請求項1から3のいずれかに記載のエマルション。
【請求項5】
前記外殻を構成する樹脂の溶解性パラメーターが13以下である、請求項1から4のいずれかに記載のエマルション。
【請求項6】
ミニエマルション重合方法によって得られる、水性媒体中に樹脂粒子が分散されたエマルションであって、
該樹脂粒子が、樹脂で構成された外殻と、該外殻に内包された塗料用添加剤とを含み、
該塗料用添加剤の水に対する溶解度が1g/100g未満であり、
該樹脂粒子の平均粒子径が100nm〜500nmであり、
該外殻が、該塗料用添加剤を内包したモノマー混合物粒子が水性媒体中に分散されたプレエマルションを重合することにより形成されている
エマルション。
【請求項7】
水に対する溶解度が1g/100g未満である塗料用添加剤と、モノマー混合物とを水性媒体中に分散させて、該塗料用添加剤を内包したモノマー混合物粒子が水性媒体中に分散されたプレエマルションを調製する工程と、
該プレエマルション中の該モノマー混合物を重合して、該塗料用添加剤を内包する樹脂粒子が水性媒体中に分散されたエマルションを得る工程と、を含み、
該樹脂粒子の平均粒子径が100nm〜500nmである
エマルションの製造方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載のエマルションとバインダー成分とを含有する、水性塗料組成物。

【公開番号】特開2007−270017(P2007−270017A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98804(P2006−98804)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「有害化学物質リスク削減基盤技術研究開発 革新的水性塗料の開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】