説明

エラストマ組成物

本発明は(i)少なくとも1つの低分子量ポリオレフィン、(ii)ビニル芳香族モノマーの末端高分子ブロック及びオレフィンを用いて製造し、水素化された中間ブロックを有するブロックコポリマーを選択的に水素化することにより得られたブロックコポリマー、及び(iii)ポリプロピレンを含み、
(iv)(i)が約400乃至1000g/molの間の分子量を有するPAOである場合、
(a)(iii)が2g/分より大きいMFRを特徴とするホモポリマーであるか、
(b)(iii)がコポリマーであるか、
(c)(iii)メタロセン触媒によるポリマー又はコポリマーのいずれかであるか、あるいは、
(d)組成物が炭酸カルシウムを含まないであることを特徴とする組成物に関係する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炭化水素ブロックコポリマー、特に比較的長い熱老化及び/又は冷却の後にも表面のブルーミングが少なく、弾性性質が改良されたエラストマー様組成物を製造するためのスチレンブロックコポリマーを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
飽和エチレン−ブテン−1ミッドブロック(即ち、SEBS)等の水素化スチレンブロックコポリマーは良好な熱安定性を有する。しかしながら、そのようなコポリマーは、加工性が低いことから、熱成形を含む特定の工程に使用することは限度があった。このことは、スチレンエンド−ブロックとEBミッドブロックの間の不適合性が高いことに起因すると考えられている。
【0003】
加工性を改善するために、ポリプロピレン(PP)及び多量のプロセス油をSEBSに添加している。射出成形又は押出成形に有用な部品において、PP/SEBS/オイル混合物は2つの共連続相を成形する。第一の連続相はPPであり、第二の連続相はSEBSである。融点の高いPPを含む連続相は組成物の溶媒耐性及び熱耐性を高める。この相の組合せは、ワイヤー及びケーブルの絶縁体、及び計器パネル、シート等の自動車の内外部品等の柔軟性、撓み性を有する部品の製造に都合が良い。
【0004】
しかしながら、プロセスオイルは表面に結晶化し(表面ブルーミング)及び/又は使用されたポリマーから揮発するので、多くのプロセスオイルをこのようなブレンドに用いることは、堅牢性を弱くすることにもなる。オイルは黄色がかっているので、最終製品において製品の外観の質を悪くもすることもある。更に、オイルは、自動車のインテリア等の閉鎖的で内部に含まれるようなものに使用されると独特の臭いを放つこともある。
【0005】
通常、ミネラルオイル又は合成オイルは加工性を改善するために加工オイルとして添加される。ミネラルオイルは、精製の粗い原油を、蒸留、溶媒工程、水素化(hydroprosess)及び/又は脱ロウ等により精製して、最終的なオイルにしたものである。これは、高度に精製されたオイル及び/又は厳しい加工処理条件により修飾された石油ベースオイルも含む。市販のミネラルオイルの例としてはPenreco (USA)より販売されているDrakeol,Chevron (USA)より販売されているParalux、S unoco (USA)より販売されているSunpar、エクソンモービル(USA)より販売されているPlastol及びFlexon、Royal Dutch Shell (UK/Netherlands)より販売されているShellflex、及び出光 (日本)より販売されているDianaがある。
【0006】
熱安定性を維持しつつ加工性を改善した、他のブロックコポリマーも提案されている。例えば、米国特許No.4,904,731はC2乃至C10オレフィンポリマー、水素化ブロックコポリマー、及び/又はLLDPEの組成物を開示している。この組成物は良好な透明性及び/又は良好な衝撃耐性を有する成形構造に有用である。米国特許No.5,925,707はスチレンブロックコポリマー、オイル、及び/又は任意でポリオレフィンワックス及び/又は液体増量剤を含むオイルゲル組成物を開示する。WO02/31044はSEBS、ポリプロピレン、及び約400乃至1000g/molの分子量を有するポリデセンの組成物を開示する。前記組成物は柔軟性を必要とする製品に用いられる。他の文献は、米国特許No.4,132,698、米国特許No.4,960,820、WO01/18109、WO2004/014998、及びEP0300689を含む。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
比較的長い熱老化及び/又は冷却の後の表面ブルーミングが少なく、柔軟性が改善されている水素化ブロックコポリマーを含む組成物及びこれらの製造方法を提供する。1つ以上の態様において、本発明は、
(i)少なくとも1つの低分子量ポリオレフィン、
(ii)オレフィンから調製され、その後に水素化して製造された、ビニル芳香族の末端ポリマーブロックとミッドブロックを有するブロックコポリマーの選択的水素化により製造されたブロックコポリマー、及び
(iii)ポリプロピレン、を含み
(iv)(i)が分子量約400乃至1000g/molのPAOである場合、
(a)(iii)は2g/10分より高いMFRを有するホモポリマー、
(b)(iii)はコポリマー、又は
(c)メタロセン触媒により製造されたポリマー又はコポリマー、のいずれかであるか、あるいは、
(d)前記組成物が炭酸カルシウムを含まない、
ことを特徴とする組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
発明の詳細な説明
発明の詳細な説明を提供する。添付の特許請求の範囲は発明を個別に定義するものである。侵害の判断においては、これらの請求項の各構成要素又は限定に対する等価物も特許請求の範囲に含まれるものとする。文脈により、以下で参照される「発明」の語は、幾つかの場合において、特定の態様を意味する。他の場合、「発明」の語は1つ以上の請求項において定義されているが、必ずしも全ての請求項において定義されていない、技術的特徴を意味する。本発明の各々は、以下で特定の態様、変更、及び実施例を用いて詳細に説明されているが、本発明はこれらの態様、変更、及び実施例に限定されるものではない。本発明は本発明における情報を利用可能な情報及び技術と組み合わせたときに、当業者が成し得る及び使用することができる発明を含む。
【0009】
比較的長期の熱老化及び/又は冷却の後の表面ブルーミングが少なく、驚く程柔軟性が改善されている組成物、及び/又はこれを製造する方法を提供する。1つ以上に態様において、前記組成物は1つ以上の低分子量ポリオレフィン、選択的に水素化されたブロックコポリマー、及びポリプロピレンを含む。驚くべきことに、1つ以上の低分子量ポリオレフィンを選択的に水素化されたブロックコポリマー及びポリプロピレンのブレンドに添加すると、比較的長い熱老化及び/又は冷却の後でも改善された柔軟性を有する組成物を製造することができる。驚くべきことにこの組成物は表面ブルーミングも低い。
【0010】
低分子量ポリオレフィン
本発明の1つ以上の低分子量ポリオレフィンは21,000g/mol未満の数平均分子量を有する任意のポリオレフィンでよい。そのようなポリオレフィンはC5乃至C14アルファオレフィン、これらのコポリマー、オレフィンエチレン/ブテン−1、オレフィンイソブチレン/ブテン−1のオリゴマー等のオリゴマーを含む。
【0011】
非官能化可塑剤(NFP)
1つ以上の態様において、前記低分子量ポリオレフィンは少なくとも1つの非官能性可塑剤(NFP)を含む。前記NFPは、炭素と水素を含む液体化合物であり、水酸化物、アリール、置換アリール、ハロゲン、アルコキシ、カルボン酸、エステル、炭素不飽和、アクリル酸、酸素、窒素、及びカルボキシルから選択される官能基を感受される程度には含んでいない。「感受される程度」とは、これらの基及びこれらの基を含む化合物を意図的にNFPに添加していないことを意味し、存在していたとしてもある実施態様では、NFPの重量に基づいて、NFPの5重量%未満、より好ましくは4重量%未満、より好ましくは3重量%未満、より好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.3重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは、0.01重量%未満、より好ましくは0.001重量%未満である。
【0012】
1つの態様において、芳香族部分(ベンゼン、ナフテリン、フェナントレン、アントラセン等の環構造を有する任意の分子化合物を含む)は実質的にNFPに含まれない。「実質的に含まれない」の語はこれらの化合物が組成物に添加されていないことを意味し、もし存在していたとしても0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満であることを意味する。
【0013】
他の態様において、ナフテン部分(ベンゼン、ナフテリン、フェナントレン、アントラセン等の水素化により製造された環構造を有する分子の任意の化合物を含む)実質的にはNFPに含まれない。「実質的に含まれない」の語はこれらの化合物が組成物に添加されていないことを意味し、もし存在していたとしても0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満であることを意味する。
【0014】
他の態様において、前記NFPは感知できるほどのオレフィン不飽和物を含んでいない。「感知できるほどの」という意味は、オレフィン結合中に含まれる炭素が炭素の総数に対して、10%未満(好ましくは8%未満、より好ましくは6%未満、より好ましくは4%未満、より好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、より好ましくは0.7%未満、より好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.3%未満、より好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%未満、より好ましくは0.01%未満、より好ましくは0.001%未満)であることを意味する。幾つかの態様において、オレフィン結合中に含まれるNFPの炭素数のパーセンテージはNFP中の炭素原子の総量の0.001乃至10%の間、好ましくは0.01乃至5%、好ましくは0.1乃至2%の間、より好ましくは1%未満である。
【0015】
特に好適なNFPはイソパラフィン、PAO、グループIIIベースストック又はミネラルオイル、気体液体法(Gas−To−Liquid process)由来の高度に精製された炭化水素流体、及び100より高い粘度指数、−20℃未満の流動点、0.86未満の比重、及び200℃以上の引火点を有するミネラルオイルを含む。
【0016】
他の態様において、前記NFPはC6乃至C200パラフィンを含み、及び他の態様において、C8乃至C100パラフィンを含む。他の態様において、前記NFPは必ずC6乃至C200パラフィンからなり、他の態様においては必ずC8乃至C100パラフィンから成る。更なる態様において、前記NFPはC2乃至C1500パラフィンを含み、好ましくはC2乃至C500パラフィン、好ましくはC25乃至C500パラフィン、好ましくはC30乃至C500パラフィン、好ましくはC40乃至C500パラフィン、好ましくはC40乃至C250パラフィン、好ましくはC30乃至C150パラフィン、好ましくはC20乃至C100パラフィンを含む。好適な態様において、前記NFPはC5乃至C24オレフィンのオリゴマーを含む。
【0017】
イソパラフィン
本発明の1つの態様において、前記NFPは−50℃以下(好ましくは−60℃以下)の流動点、及び0.84以下(好ましくは0.83以下)の比重を有するイソパラフィン高含有液体炭化水素である。イソパラフィン高含有とは、前記NFPが少なくとも50重量%の(好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%)のC6乃至C150(好ましくはC6乃至C100、好ましくはC6乃至C25、好ましくはC8乃至C20)のイソパラフィンを含むことを意味する。好ましくは前記パラフィン鎖は、各パラフィン鎖の少なくとも1部分に沿ってC1乃至C10アルキル分岐を有する。前記イソパラフィンは少なくとも3つの他の炭素原子又は少なくとも1つの側鎖に結合している少なくとも1つの炭素原子を有する分子である(即ち、1つの分子が1つ以上の第三又は第四の炭素原子を有する)、飽和脂環式炭化水素であることが好ましい。前記飽和脂環式炭化水素の数平均分子量は100乃至1000(好ましくは120乃至500、好ましくは150乃至300)g/molの間である。
【0018】
他の態様において、前記イソパラフィン高含有NFPは25℃のおいて30cSt以下(好ましくは25cSt以下、好ましくは20cSt以下、好ましくは15cSt以下)の動粘度、並びに好ましくは0℃未満、より好ましくは−10℃未満、より好ましくは−20℃未満、より好ましくは−30℃未満のASTME1356により決定されるガラス転移温度を有する。好ましくは、前記イソパラフィン高含有NFPの数平均分子量は100乃至300g/molの間である。
【0019】
他の態様において、前記イソパラフィン高含有NFPは分子中に6乃至50の炭素原子を有する分岐及び直鎖パラフィンの混合物である。他の態様においては10乃至24炭素原子である。前記イソパラフィン組成物は分岐パラフィン対直鎖パラフィンの比が0.5:1乃至9:1であり、他の態様においては1:1乃至4:1である。この態様において混合物のイソパラフィンは1より大きい炭素数(例えば、エチル、プロピル、ブチル等の)の置換基を有する分岐の最小単位を有する50重量%より多い(イソパラフィン組成物の総重量に対して)モノメチル種(例えば、2−メチル、3−メチル、4−メチル、5−メチル等)を含む。1つの態様において、前記混合物中のイソパラフィンは混合物中のイソパラフィンの総重量に対して70重量%より多いモノメチル種を含む。前記イソパラフィン混合物は1つの態様において100℃乃至350℃の範囲の温度で沸騰し、他の態様において110℃乃至320℃の範囲の温度で沸騰する。別のグレードの調製において、前記パラフィン混合物は通常、他の沸点、例えば、35℃の沸騰温度の範囲で分画される。これらの分岐パラフィン/n−パラフィンブレンドは例えば、米国特許5,906,727に記載されている。
【0020】
好適なイソパラフィン高含有炭水素液体は、例えば、米国特許No.6,197,285、米国特許No.3,818,105、及び米国特許No.3,439,088に記載されており、ISOPAR(商標)(エクソンモービルケミカル)として販売されている。これらのいくつかを表B(表A)に記載した。他の好適なイソパラフィン高含有炭化水素液体はSHELLSOL(商標)(ロイヤルダッチシェル)、SOLTROL(商標)(Chevron Philips)及びSASOL(商標)(Sasol Limited)として販売されている。このような液体中の鎖タイプのパラフィン構造(CP)における炭素のパーセンテージは100%に近い(95%以上である)。
【表A】

他の態様において、前記イソパラフィン高含有NFPは1つ以上の以下の性質を有する;(ASTM D 86で測定される)蒸留温度の上限及び下限の温度差が40℃以下、好ましくは30℃以下、好ましくは20℃以下、好ましくは10℃以下、好ましくは6℃と40℃の間;及び/又はASTM E 1356で測定されるガラス転移温度(Tg)が0℃未満、好ましくは−10℃未満、より好ましくは−20℃未満、より好ましくは−30℃未満、より好ましくは−50℃未満、又はASTM E 1356によるTgが検出不可能であることが最も好ましい;及び/又は−40℃未満、好ましくは−50℃未満、より好ましくは−60℃未満の(ASTM D 97で測定される)流動点、及び/又は0.85未満、好ましくは0.84未満、好ましくは0.83未満、好ましくは0.65乃至0.85の間、好ましくは0.70乃至0.84の間、好ましくは0.75乃至0.83の間、好ましくは0.800乃至0.840の間の(ASTM D 4052、15.6/15.6℃で測定される)比重、及び/又は115℃乃至500℃の間、好ましくは200℃乃至450℃の間、好ましくは250℃乃至400℃の間の(ASTM D 1160で測定される)終点;2,000乃至100g/mol、好ましくは1500乃至150、より好ましくは1000乃至200の間の数平均分子量(Mn);0乃至150℃のASTM D 56で測定される引火点;及び/又は0.70乃至0.83g/cmの(ASTM D 4052、15.6℃で測定される)密度、及び/又は25℃において0.5乃至20の(ASTM D 445で測定される)動粘度。
【0021】
ポリアルファオレフィン
本発明の他の態様において、前記NFPは10℃未満の(ASTM D 97で測定される)流動点、及び100℃において3cSt以上の(ASTM D 445で測定される)動粘度を有するポリアルファオレフィン(PAO)を含む。PAO液体は例えば、米国特許No.3,149,178、米国特許No.4,827,064、米国特許No.4,827,073、米国特許No.5,171,908、及び米国特許No.5,783,531、並びにSynthetic Lubricants and High−Performance Functional Fluids (Leslie R. Rudnick & Ronald L. Shubkin, ed. Marcel Dekker, Inc. 1999), p.3−52に記載されている。
【0022】
PAO液体は、(例えば、AlCl3、BF3、及び/又はBF3及び水、アルコール、カルボン酸、又はエステルの複合体を含む)フリーデルクラフツ触媒、(例えば、エチルアルミニウムセスキ塩酸+TiCl4システムを含む)非配位複合触媒、又は(例えば、チグラナッタ触媒、メタロセン又は他の一部位触媒、並びにクロミウム触媒を含む)ポリエチレン及び/又はポリプロピレンの製造に通常用いられる、同種又は異種の(担持)触媒等の重合触媒の存在下でアルファオレフィンをオリゴマー化することにより調製される。
【0023】
他の態様において、前記PAOはC20乃至C1500(好ましくはC30乃至C80、より好ましくはC5乃至C400、より好ましくはC40乃至C250)のαオレフィンのオリゴマーを含む。これらのオリゴマーは、C3乃至C24(好ましくはC5乃至C18、より好ましくはC6乃至C14、更に好ましくはC8乃至C24、最も好ましくはC10)の分岐又は直鎖αオレフィンの二量体、三量体、四量体、五量体等である。これらのオリゴマーにおいてC3乃至C4αオレフィンは10重量%以下の割合で存在する。他の態様において、前記PAOはC3乃至C24(好ましくはC5乃至C18、より好ましくはC6乃至C14、最も好ましくはC8乃至C12)直鎖αオレフィン(LAO)を含む。この態様において、C3乃至C4LAOは10重量%以下の割合で存在する。好適なオレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、及びこれらのブレンドを含む。6乃至18(を含む)の間の炭素数を有するLAOのオリゴマーが特に好ましい。
【0024】
他の態様において、単一のLAOを前記オリゴマー調製に用いる。この場合、好適な態様は1−デセンのオリゴマー化を含み、及び前記PAOは1−デセンの(例えば、二量体、三量体、四量体、五量体、及びより多量体を含む)オリゴマーである。他の態様において、前記PAOは2つ以上のC3乃至C18LAOのオリゴマーを含み、「ビポリマー」又は「ターポリマー」、あるいはより高次のコモノマーの組合せを形成する。この態様において、C3及びC4LAOは10重量%以下の割合で存在する。この場合において、好適な態様は1−オクテン、1−デゼン、及び1−ドデセンの混合物のオリゴマー化を含み、前記PAOは1−オクテン/1−デセン/1−ドデセン「ターポリマー」の(例えば、二量体、三量体、四量体、五量体、及びより多量体を含む)オリゴマーの混合物である。
【0025】
他の態様において、前記PAOは炭素数5乃至24(好ましくは6乃至18、より好ましくは8乃至12、最も好ましくは10)の炭素数を有する単一αオレフィン種のオリゴマーを含む。他の態様において、前記NFPは混合されたαオレフィン(即ち、2つ以上のαオレフィン種を含む)のオリゴマーを含む。各オレフィン種は3乃至24(好ましくは5乃至24、より好ましくは6乃至18、最も好ましくは8乃至12の)の炭素数を有する。この態様において、3又は4の炭素数のαオレフィンは10重量%以下の割合で存在する。特に好適な態様において、前記PAOは混合されたαオレフィン(即ち、2つ以上のαオレフィン種を含む)のオリゴマーを含み、前記αオレフィン混合物の数平均分子量は6乃至14(好ましくは8乃至12、好ましくは9乃至11)である。
【0026】
他の態様において、前記PAOは以下の繰り返し単位を有する1つ以上のαオレフィンのオリゴマーを含む。
【0027】
−[CHR−CH]−
式中、RはC3乃至C18飽和炭化水素の分岐である。好適な態様において、Rは全てのオリゴマーに対して不変(constant)である。他の態様において、R置換基は炭素数3乃至18を含む範囲である。好ましくはRは以下の直鎖である。
【0028】
Rは(CH)nCH
nは3乃至17であり、好ましくは4乃至11であり、好ましくは5乃至9である。任意で、Rは以下のような1つのメチル又はエチル分岐でもよい。
【0029】
Rは(CH2)m[CH(CH3)](CH2)zCH3、又はRは(CH2)x[CH(CH2CH3)](CH2)yCH3。
【0030】
式中、(m+n)は1乃至15、好ましくは1乃至9、好ましくは3乃至7であり、(x+y)は1乃至14、好ましくは1乃至8、好ましくは2乃至6である。好ましくはm>zであり、より好ましくはmは0乃至10であり、より好ましくは2乃至15、より好ましくは3乃至12、より好ましくは4乃至9である。nは0乃至10、好ましくは1乃至8、好ましくは1乃至6、好ましくは1乃至4である。好ましくはx>yであり、より好ましくはxは0乃至14、より好ましくは1乃至14、より好ましくは2乃至11、より好ましくは3乃至8である。yは0乃至10であり、好ましくは1乃至8、好ましくは1乃至6、好ましくは1乃至4である。好ましくは前記繰り返し単位は最小頭−頭結合を有する頭−尾分画の中に配置されている。
【0031】
前記PAOはアタクチック、アイソタクチック、又はシンジオタクチックでもよい。1つの態様において前記PAOは、平均してアタクチックとなる、メソ及びラセミダイアドの集団を必ず幾つか含んでいる。他の態様において、前記PAOは50%より多くの(好ましくは60%より多くの、好ましくは70%より多くの、好ましくは80%より多くの、好ましくは90%より多くの)13C−NMRで測定されるメソダイアド(即ち、[m])を有する。他の態様において、前記PAOは50%より多くの(好ましくは60%より多くの、好ましくは70%より多くの、好ましくは80%より多くの、好ましくは90%より多くの)13C−NMRで測定されるラセミダイアド(即ち、[r])を有する。1つの態様において、[m]/[r]は1より大きく、他の態様において[m]/[r]は1未満である。
【0032】
前記PAO液体は1つ以上の別個のPAO成分を含んでいてもよい。1つの態様において、前記NFPは別個の成分(例えば、別のαオレフィンから製造されたオリゴマー)及び/又は別の物理性質(例えば、動粘度、流動点、粘度指数、及び/又はガラス転移温度)を有する1つ以上のPAOとのブレンドである。
【0033】
本発明の1つの態様において、前記PAO又は複数のPAOのブレンドは、100乃至20,000g/mol(好ましくは300乃至15,000g/mol、好ましくは400乃至10,000g/mol、好ましくは500乃至5,000g/mol、好ましくは600乃至3,000g/mol、好ましくは600乃至1,500g/mol)の数平均分子量を有する。
【0034】
好適な態様において、前記PAO又は複数のPAOのブレンドは100℃において3cStより高い(好ましくは5cStより高い、好ましくは6cStより高い、好ましくは8cStより高い、好ましくは10cStより高い、好ましくは20cStより高い、好ましくは30cStより高い、好ましくは40cStより高い、好ましくは100cStより高い、好ましくは150cStより高い)動粘度を有する。他の態様において、前記PAO又は複数のPAOのブレンドは100℃において、300cSt以下(好ましくは10cSt以下)の動粘度を有する。他の態様において、前記PAOは100℃において3乃至3,000cSt(好ましくは4乃至1,000cSt、好ましくは6乃至300cSt、好ましくは8乃至150cSt、好ましくは8乃至100cSt、好ましくは8乃至40cSt)の動粘度を有する。他の態様において、前記PAO又は複数のPAOのブレンドは100℃において、10乃至1000cSt(好ましくは10乃至300cSt、好ましくは10乃至100cSt)の動粘度を有する。更なる態様において、前記PAO又は複数のPAOのブレンドは100℃において4乃至8cStの動粘度を有する。
【0035】
他の好適な態様において、前記PAO又は複数のPAOのブレンドは120以上(好ましくは130以上、好ましくは140以上、好ましくは150以上、好ましくは170以上、好ましくは190以上、好ましくは200以上、好ましくは250以上、好ましくは300以上)の粘度指数を有する。他の態様において、前記PAO又は複数のPAOのブレンドは120乃至350(好ましくは130乃至250)の粘度指数を有する。
【0036】
更なる態様において、前記PAO又は複数のPAOのブレンドは−10℃以下(好ましくは−20℃以下、好ましくは−25℃以下、好ましくは−30℃以下、好ましくは−35℃以下、好ましくは−40℃以下、好ましくは−50℃以下)の流動点を有する。他の態様において、前記PAO又は複数のPAOのブレンドは−15℃乃至−70℃(好ましくは−25℃乃至−60℃)の流動点を有する。
【0037】
更なる好適な態様において、前記PAO又は複数のPAOのブレンドは−40℃以下(好ましくは−50℃以下、好ましくは−60℃以下、好ましくは−70℃以下、好ましくは−80℃以下)のガラス転移温度を有する。他の態様において、前記PAO又は複数のPAOのブレンドは−50℃乃至−120℃(好ましくは−60℃乃至−100℃、好ましくは−70℃乃至−90℃)のTgを有する。
【0038】
更なる好適な態様において、前記PAO又は複数のPAOのブレンドは200℃以上(好ましくは210℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは230℃以上)の引火点を有する。
【0039】
更なる好適な態様において、前記PAO又は複数のPAOのブレンドは0.86以下(好ましくは0.855以下、好ましくは0.85以下、好ましくは0.84以下)の比重(15.6/15.6℃)を有する。
【0040】
特に好ましいPAO及び複数のPAOのブレンドは、
A)200℃以上(好ましくは210℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは230℃以上)の引火点、及び
B)−20℃未満(好ましくは−25℃未満、好ましくは−30℃未満、好ましくは−35℃未満、好ましくは−40℃未満)の流動点、及び/又は
100℃において10cSt以上(好ましくは35cSt以上、好ましくは40cSt以上、好ましくは50cSt以上)の動粘度を有する。
【0041】
更に好ましいPAO及び複数のPAOのブレンドは、100℃において少なくとも3cSt(好ましくは少なくとも6cSt、より好ましくは少なくとも8cSt、より好ましくは少なくとも10cStの)ASTM D445で測定される動粘度、少なくとも120(好ましくは少なくとも130、より好ましくは少なくとも140、より好ましくは少なくとも150の)ASTM D2270で測定される粘度指数、−10℃以下(好ましくは−20℃以下、より好ましくは−30℃以下、より好ましくは−40℃以下の)ASTMD97で測定される流動点、及び0.86以下(好ましくは0.855以下、より好ましくは0.85以下、より好ましくは0.84以下)のASTM D4052で測定される比重(15.6/15.6℃)を有する。
【0042】
好適なPAOはSpectraSyn(商標)及びSpectraSyn(商標)として、エクソンモービルケミカル、ヒューストン、テキサスより販売されているものである(以前はSHF及びSupreSyn(商標)として販売されていた)。これらの幾つかを以下の表Bにまとめた。他の有用なPAOは、ChevronPhillips Chemical Company (Pasadena, Texas)より販売されているSynfluid(商標)、Innovene (Chicago, Illinois)より販売されているDurasyn(商標)、Neste Oil(Keilaniemi, Finland)より販売されているNexbase(商標)、及びChemtura Corporation(Middlebury, Connecticut)より販売されているSynton(商標)を含む。PAOにとって、鎖タイプのパラフィン構造(CP)中の炭素のパー全テージは100%に近い(通常98%又は99%である)。
【表B】

本発明の幾つかの態様において、前記PAOは(n−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、及びブタジエンを含む)C4オレフィンのオリゴマーと、100℃における動粘度が5乃至4000cStで10℃乃至−60℃の流動点を有する10重量%までの他のオレフィンとを含む。このような物質は前記オリゴマーがイソブチレン及び/又は1−ブテン及び/又は2−ブテンを含む場合、「ポリブテン」液体とも言われる。これはポリオレフィンの添加剤として用いられているものであり、例えば、粘着性を付与したり、加工助剤として用いられている。C4オレフィンの割合は製法及びグレードにより変化し、前記物質は合成の後に水素化されてもされなくてもよい。幾つかの場合、前記ポリブテン液体はC4ラフィネートストリームのポリマーから成る。他の場合、前記ポリブテン液体はポリイソブチレン又はポリ(n−ブテン)オリゴマーを必ず含む。通常、前記ポリブタジエン液体は15,000g/mol未満の数平均分子量、及び一般的には5,000g/mol未満、さらには1,000g/mol未満の数平均分子量を有する。これらは、例えば、Synthetic Lubricants and High−Performance Functional Fluids (Leslie R. Rudnick & Ronald L. Shubkin, ed., Marcel Dekker 1999), p. 357−392に記載されている。
【0043】
好適なポリブテン液体は、Innovene(Indopol grades)及び Infineum(C−Series grades)を含む各種製造業者から入手可能である。C4オレフィンがイソブチレンを含む場合、前記物質は「ポリイソブチレン」又はPIBと言われる。このようなPIBはTexas Petrochemical(TPC Enhanced PIB grades)より入手可能である。C4オレフィンが1−ブテンを含む場合、この物質は「ポリ−n−ブテン」又はPNBと言われる。C4オレフィンから製造された幾つかの液体の性質を表Cに記載する。通常、引火点が200℃以上のグレードの製品は、−10℃未満及び/又は120未満のVIも有する。
【表C】

本発明は1つ以上のポリオレフィン、好ましくはポリプロピレンと、1つ以上の非官能化可塑剤を含む可塑化ポリオレフィン組成物に関する。前記非官能化可塑剤は、C5乃至C18オレフィン(好ましくはC6乃至C14、より好ましくはC8乃至C12、より好ましくはC10オレフィン)のオリゴマーを含み、100℃において5cSt以上(好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上)の動粘度、120以上(好ましくは130以上)の粘度指数、及び−10℃以下(好ましくは−20℃以下、好ましくは−30℃以下)の流動点を有する。
【0044】
本発明はポリプロピレン及び1つ以上の非官能化可塑剤を含む可塑化ポリプロピレン組成物にも関する。前記非官能化可塑剤は、5乃至18の炭素原子(好ましくは6乃至14炭素原子、より好ましくは8乃至12炭素原子、より好ましくは10炭素原子)を有する直鎖オレフィンのオリゴマーを含み、100℃において5乃至300cSt(好ましくは8乃至150cSt、好ましくは10乃至100cSt)、120以上(より好ましくは130以上、より好ましくは140以上)の粘度指数、及び−20℃以下(より好ましくは−30℃以下、より好ましくは−40℃以下)の流動点を有する。
【0045】
高度に精製された炭化水素液体
他の態様において、非官能化可塑剤(NFP)は、50重量%以上がイソパラフィン系炭化水素であり、50%未満がナフテン及び/又は芳香族構造を含む炭化水素である、C20乃至C120パラフィンの混合物を含む潤動粘性を有する高度に精製された炭化水素流体である。好ましくは、パラフィンの混合物は以下を含むワックス異性化潤滑油ベースストック又はオイルを含む。
【0046】
スラックワックス、脱油ワックス、ノルマルアルファオレフィンワックス、ミクロ結晶性ワックス、及びガスオイル、燃料の水素化分解残液、炭化水素ラフィネート、水素化分解炭化水素、潤滑油、ミネラルオイル、ポリアルファオレフィン、又は炭素数が約20以上である他の直鎖又は分岐炭化水素化合物由来のワックス性ストック等の水素異性化された天然及び精製ワックス、及び
フィッシャートロプスワックス(即ち、ワックス性炭化水素を含むフィッシャトロプス合成の高沸点残液体);
又は、これらの混合物。最も好適なものは、気体液体法(GTL)全体の一部分であるフィッシャトロプス法において合成された炭化水素由来の潤滑油ベースストック又はオイルである。
【0047】
1つの態様において、パラフィンの混合物は(炭化水素混合物の総重量に対して)、40重量%未満、好ましくは30重量%未満、好ましくは20重量%未満、好ましくは15重量%未満、好ましくは10重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満のナフテン含量、及び/又は(炭化水素混合物の総重量に対して)5重量%未満、好ましくは4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは1重量%未満のノルマルパラフィン含量、及び/又は1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満の芳香族含量、及び/又は90重量%以上、好ましくは95重量%以上、好ましくは98重量%以上の飽和レベル、及び/又は80%以上、好ましくは90%以上、好ましくは95%以上、好ましくは98%以上の直鎖対応パラフィン構造(CP)中の炭素のパーセンテージ、及び/又は10:1より大きい、好ましくは20:1より大きい、好ましくは50:1より大きい、好ましくは100:1より大きい、好ましくは500:1より大きい、好ましくは1000:1より大きい分岐パラフィン:直鎖パラフィンの比、及び/又は全直鎖の10%未満まで、好ましくは5%未満、好ましくは1%未満までの炭素数4以上の側鎖の割合、及び/又は少なくとも50%、好ましくは少なくとも605、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%の全側鎖に対する炭素数1又は2の側鎖の割合、及び/又は300ppm以下、好ましくは100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは10ppm以下の(ppmは重量ベース)硫黄含量、及び/又は300ppm以下、好ましくは100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは10ppm以下の窒素含量(ppmは重量ベース)、及び/又は300乃至1800g/mol、好ましくは400乃至1500g/mol、好ましくは500乃至1200g/mol、好ましくは600乃至900g/molの数平均分子量、及び/又は10cSt以上、好ましくは25cSt以上、好ましくは約50乃至400cStの間の40℃における動粘度、及び/又は2乃至50cStの間、好ましくは3乃至30cStの間、好ましくは5乃至25cStの間、好ましくは6乃至20cStの間、より好ましくは8乃至16cStの間の100℃における動粘度、及び/又は80以上、好ましくは100以上、好ましくは120以上、好ましくは130以上、好ましくは140位、好ましくは150以上、好ましくは160以上、好ましくは180以上の粘度指数、及び/又は−5℃以下、好ましくは−10℃以下、好ましくは−15℃以下、好ましくは−20℃以下、好ましくは−25℃以下、好ましくは−30℃以下の流動点、及び/又は200℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上、好ましくは260℃以上の引火点、及び/又は0.86以下、好ましくは0.85以下、好ましくは0.84以下の比重(15.6/15.6℃)、及び/又は120℃以上のアニリン点、及び/又は1以下の臭素価を有する。
【0048】
好適な態様において、前記パラフィンの混合物はGTLベースストック又はオイルを含む。GTLベースストック及びオイルはワックス性の合成された炭化水素由来の潤動粘性を有する流体であり、それ自身が、水素、炭素、二酸化炭素、一酸化炭素、水、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロピレン、プロピン、ブタン、ブチレン、及びブチン等の原料とする気体炭化水素含有化合物、及び水素含有化合物から、合成、組合せ、転化、及び/又は更にアレンジされた方法により提供される。好ましくは前記原料は天然ガス及び/又は石炭等の好適な源由来の「合成ガス」(CO及びH2を必ず含む合成ガス)である。GTLベースストック及びオイルは例えば、水素異性化合成ワックス、水素異性化フィッシャトロプス(F−T)ワックス(ワックス性炭化水素及び酸化類似体を含む)を含むワックス異性体、又はこれらの混合物である。GTLベースストック及びオイルは更に他の水素異性化ベースストック及びベースオイルを含んでいてもよい。特に好適なGTLベースストック又はオイルは大部分が水素異性化F−Tワックスであるもの、及び/又はF−T合成法により得られた他の液体炭化水素を含むものである。
【0049】
F−T法によりワックス性炭化水素を含む炭化水素の合成は当分野で知られている任意の好適な手段を用いて行うことができる。このような方法は、液体炭化水素中に、スラリー、固定床又は流動床の形態で触媒粒子を含む方法を含む。この触媒は好適な無機担体物質上に担持されたFe、Ni、Co,Ru、及びRe等のVIII族金属に基づく非結晶性触媒、又は例えば、ゼオライト触媒のような結晶性触媒でもよい。ワックス性ストックから潤滑油ベースストック又はオイルを製造する方法は、水素化脱ワックス法といわれている。通常F−Tワックスを必要としない、水素処理工程が、必要に応じて水素化脱ワックス工程の前に行われる。幾つかのF−Tワックスは酸素の除去をすることが好ましく、他のワックスは水素化脱ワックス工程の前に酸素処理工程を行うことが好ましい。この水素化脱ワックス工程は通常、水素の存在下の高温高圧条件で、触媒又は触媒の組合せ全体に対して行う。前記触媒は好適な酸化担持物質に担持されたCo、Mo、W等に基づく非結晶性触媒であるか、又は例えば、ZSM−23及びZSM−48等の、及び米国特許No.4,906,350に記載のものを、任意でPd又はPt等のVIII族金属と組み合わせたゼオライト触媒等の結晶性触媒である。この工程の後に、溶媒及び/又は触媒脱ワックス工程を行い、水素異性化物の流動点を下げる。溶媒脱ワックス工程は水素異性化物由来のワックス性成分の物理的分画を含む。触媒脱ワックス工程は水素異性化物の一部分を低い沸点を有する炭化水素に転化する工程である。この方法は、炭化水素の存在下の高温高圧条件下で、しばしば、ゼオライト又はケイ素アルミナリン酸物質を、Pt等の触媒成分と組み合わせた選択条件の厳しいモレキュラーシーブを含む固定又は流動床、あるいはスラリー法を含む。
【0050】
GTLベースストック及びオイル、ベースストック及びオイル由来のフィッシャートロプ炭化水素、及びワックス異性体の水素異性化ベースストック及びオイルに好適な触媒、方法、組成物は、例えば、米国特許No.2,817,693、米国特許No.4,542,122、米国特許No.5,545,674、米国特許No.4,568,663、米国特許No.4,621,072、米国特許No.4,663,305、米国特許No.4,897,178、米国特許No.4,900,407、米国特許No.4,921,594、米国特許No.4,923,588、米国特許No.4,937,399、米国特許No.4,975,177、米国特許No.5,059,299、米国特許No.5,158,671、米国特許No.5,182,248、米国特許No.5,200,382、米国特許No.5,290,426、米国特許No.5,516,740、米国特許No.5,580,442、米国特許No.5,885,438、米国特許No.5,935,416、米国特許No.5,935,417、米国特許No.5,965,475、米国特許No.5,976,351、米国特許No.5,977,425、米国特許No.6,025,305、米国特許No.6,080,301、米国特許No.6,090,989、米国特許No.6,096,940、米国特許No.6,103,099、米国特許No.6,165,949、米国特許No.6,190,532、米国特許No.6,332,974、米国特許No.6,375,830、米国特許No.6,383,366、米国特許No.6,475,960、米国特許No.6,620,312、及び米国特許No.6,676,827、EP 324528、EP 532116、EP 532118、EP 537815、EP 583836、EP 666894、EP 668342、EP 776959、WO 97/31693、WO 99/20720、WO 99/45085、WO 02/64710、WO 02/64711、WO 02/70627、WO 02/70629、WO 03/33320;並びに英国特許No.1,350,257、英国特許No.1,390,359、英国特許No.1,429,494、及び英国特許No.1,440,230に記載されている。特に好適な方法はEP 464546及びEP 464547に記載されている。フィッシャートロプスワックス原料を用いた方法は、米国特許No.4,594,172、米国特許No.4,943,672、米国特許No.6,046,940、米国特許No.6,103,099、米国特許No.6,332,974、米国特許No.6,375,830、及び米国特許No.6,475,960に記載されている。
【0051】
好適なGTL由来流体は、シェブロン(Chevron)、コンコフィリップス(ConocoPhillips)、エクソンモービル(ExxonMobil)、サソル(Sasol)、サソルシェブロン(SasolChevron)、シェル(Shell)、スタトル(Statoil)、及びシントロレウム(Syntroleum)を含む幾つかの製造業者より広く市販されている。
【0052】
本発明は、1つ以上のポリオレフィン及び1つ以上の非官能化可塑剤を含む可塑化ポリオレフィン組成物に関する。前記1つ以上のNFPは、GTL法由来の高度に精製された炭化水素流体であり、C20乃至C100の炭素数のパラフィン、イソパラフィン:n−パラフィンのモル比が約50:1であり、パラフィン構造(CP)における炭素のパーセンテージが98%以上、流動点の範囲が−20℃乃至−60℃であり、100℃における動粘度が約6乃至20cStの範囲である。
【0053】
本明細書において、「ナフテン酸」の語は、環状(単環及び/又は多環式)飽和炭化水素(例えば、シクロパラフィン)及び分岐環状飽和炭化水素を意味する。「芳香族」の語は、環状(単環及び/又は多環式)不飽和炭化水素及び分岐環状不飽和炭化水素を意味する。「水素異性化」の語は、ノルマルパラフィン及び/又はわずかに分岐したイソパラフィンをより分岐したイソパラフィンへと転化する工程(イソ脱ワックス工程としても知られている)を意味する。「ワックス」の語は、室温又はこれに近い温度において固形であり、0℃以上の融点を有し、主にパラフィン分子より構成されていて、その体部分がノルマルパラフィンである炭化水素物質を意味する。「スラックワックス」は溶媒脱ワックス等により石油から回収され、更に水素化してヘテロ原子を除去したものをも含む。
【0054】
グループIIIベースストック又はミネラルオイル
他の態様において、前記NFPはグループIII炭化水素オイル(グループIII潤滑ベースストックオイル又はグループIIIミネラルオイルとも言われている)を含む。好ましくは、NFPは90%以上(好ましくは92%以上、好ましくは94%以上、好ましくは95%以上、好ましくは98%以上)の飽和レベル、及び0.03%未満、(好ましくは0.001乃至0.01%の間)の硫黄含量、及び120以上(好ましくは130以上)のVIを有する。好ましくは、グループIII炭化水素オイルは100℃において3乃至50cSt、好ましくは4乃至40cSt、好ましくは6乃至30cSt、好ましくは8乃至20の動粘度、及び/又は300乃至5,000g/mol、好ましくは400乃至2,000g/mol、より好ましくは500乃至1,000g/molの数平均分子量を有する。好ましくは前記グループIII炭化水素オイルは−10℃以下の流動点、200℃以上の引火点、及び0.86以下の比重(15.6/15.6℃)を有する。
【0055】
好適なグループIIIベースストックは表Dに記載のものを含む数多くの製造業者より入手可能である。このような液体の鎖タイプパラフィン構造(CP)中の炭素のパーセンテージは80%より多い。
【表D】

好適な態様において、前記NFPは100℃における動粘度(KV100)が4cSt以上、好ましくは5cSt以上、より好ましくは6乃至5000cSt、好ましくは8乃至3000cSt、好ましくは10乃至1000cSt、好ましくは12乃至500cSt、好ましくは15乃至350cSt、好ましくは35乃至300cSt、好ましくは40乃至200cSt、好ましくは8乃至300cSt、好ましくは6乃至150cSt、好ましくは10乃至100cSt、好ましくは50cSt未満である。本明細書に記載の任意のKV100の上限値及び下限値を組み合わせた範囲も好ましい。1つの態様において、前記NFPは100℃において2cSt未満の動粘度を有する。
【0056】
好適な態様において、前記NFPは−10℃以下、好ましくは−20℃以下、好ましくは−30℃以下、好ましくは−40℃以下、好ましくは−45℃以下、好ましくは−50℃以下、好ましくは−10乃至−100℃、好ましくは−15乃至−80℃、好ましくは−15乃至−75℃、好ましくは−20乃至−70℃、好ましくは−25乃至−65℃、好ましくは−120℃未満の流動点を有する。本明細書に記載の任意の流動点の上限値及び下限値を組み合わせた範囲も好ましい。他の態様において、40℃における動粘度が0.5乃至200cStの場合、前記NFPは−30℃未満の流動点を有する。同じ動粘度を有する、芳香族部分及び他の官能基を含む、大部分のミネラルオイルは10乃至−20℃の流動点を有する。
【0057】
好適な態様において、前記NFPは−40℃以下(好ましくは−50℃以下、好ましくは−60℃以下、好ましくは−70℃以下、好ましくは−80℃以下、好ましくは−45乃至−120℃、好ましくは−65乃至−90℃)のガラス転移温度を有する。本明細書に記載の任意のガラス転移温度の上限値及び下限値を組み合わせた範囲も好ましい。
【0058】
好適な態様において、前記NFPは90以上、好ましくは100以上、好ましくは110位、好ましくは120以上、好ましくは130以上、好ましくは115乃至350、好ましくは135乃至300、好ましくは140乃至250、好ましくは150乃至200、好ましくは125乃至180の粘度指数(VI)を有する。本明細書に記載の任意のVIの上限値及び下限値を組み合わせた範囲も好ましい。
【0059】
好適な態様において、前記NFPは200℃以上、好ましくは210℃以上。好ましくは230℃以上、好ましくは200乃至350℃、好ましくは210乃至300℃、好ましくは215乃至290℃、好ましくは220乃至280℃、好ましくは240乃至280℃の引火点を有する。本明細書に記載の任意の引火点の上限値及び下限値を組み合わせた範囲も好ましい。
【0060】
好適な態様において、前記NFPは0.86以下、好ましくは0.855以下、好ましくは0.84以下、好ましくは0.78乃至0.86、好ましくは0.79乃至0.855、好ましくは0.80乃至0.85、好ましくは0.81乃至0.845、好ましくは0.82乃至0.84の比重を有する。本明細書に記載の任意の比重の上限値及び下限値を組み合わせた範囲も好ましい。
【0061】
好適な態様において、前記NFPは250g/mol以上、好ましくは300g/mol以上、好ましくは500g/mol以上、好ましくは300乃至21,000g/mol、好ましくは300乃至10,000g/mol、好ましくは400乃至5,000g/mol、好ましくは500乃至3,000g/mol、好ましくは10kg/mol以下、好ましくは5kg/mol以下、好ましくは3g/mol以下、好ましくは2kg/mol以下、好ましくは1kg/mol以下の数平均分子量を有する。本明細書に記載の任意のMnの上限値及び下限値を組み合わせた範囲も好ましい。
【0062】
好適な態様において、前記NFPは通常、「無色透明」、「高品位白」、「標準白」、又は「光輝かつ透明」と定義される低い色度、好ましくは100以下の、好ましくは80以下の、好ましくは60以下の、好ましくは40以下の、好ましくは20以下のASTM D 1209で測定されるAPHAカラーを有する。
【0063】
他の態様において、任意のFNPは300乃至600℃の初留点を有する。他の態様においては350乃至500℃の初留点を有する。更なる態様において、400℃より高い初留点を有する。
【0064】
本発明に用いる任意のNFPは、本明細書で述べる任意の態様、又は任意の態様の組合せにより説明することができる。例えば、1つの態様において、前記NFPは−25℃未満の流動点を有するC6乃至C20パラフィンである。代替的に、前記NFPは100℃において0.1乃至1000cStの動粘度を有する脂環式炭化水素である。代替的に、前記NFPは8乃至25の炭素原子を有するイソパラフィン、及びPAO、及びこれらのブレンドから選択される。
【0065】
他の態様において、本発明のNFPはC25乃至C1500パラフィンを含む。他の態様において、C30乃至C500パラフィンを含み、200℃以上の引火点、及び−10℃以下の流動点、及び120以上の粘度指数を有する。代替的に、前記NFPはC25乃至C1500パラフィン、好ましくはC30乃至C500パラフィンを含み、200℃以上の引火点、−20℃以下の流動点を有する。代替的に、前記NFPはC25乃至C1500パラフィン、好ましくはC25乃至C500パラフィン、好ましくはC30乃至C500パラフィンを含み、200℃以上の引火点、100℃において35cSt以上の動粘度を有する。他の態様において、前記NFPはC35乃至C300パラフィンから成り、好ましくは前記NFPはC40乃至C250パラフィンから成り、200℃以上の引火点、−10℃以下の流動点、及び120以上の粘度指数を有する。代替的に、前記NFPはC35乃至C300パラフィン、好ましくはC40乃至C350パラフィンから成り、200℃以上の引火点、−20℃以下の流動点を有する。代替的に、NFPはC35乃至C300パラフィン、好ましくはC40乃至C250パラフィンから成り、200℃以上の引火点、100℃において35cSt以上の動粘度を有する。代替的に、前記NFPは200℃以上の引火点、100℃において35cSt以上の動粘度を有する。
【0066】
好適な態様において、本明細書で説明する任意のNFPは200℃以上(好ましくは210℃以上)の引火点、及び−20℃以下(好ましくは−25℃以下、より好ましくは−30℃以下、より好ましくは−35℃以下、より好ましくは−40℃以下、より好ましくは−50℃以下)の流動点を有する。
【0067】
好適な態様において、前記NFPは220℃以上(好適な態様において、230℃以上)の引火点、及び−10℃以下(好ましくは−25℃以下、より好ましくは−30℃以下、より好ましくは−35℃以下、より好ましくは−40℃以下、より好ましくは−50℃以下)の流動点を有する。
【0068】
他の好適な態様において、前記NFPは100℃において35cSt以上(好適な態様において、40cSt以上、好ましくは50cSt以上、好ましくは60cSt以上)の動粘度、及び0.87以下(好ましくは0.865以下、好ましくは0.86以下、好ましくは0.855以下)の比重(15.6/15.6℃)、及び200℃以上(好ましくは230℃以上)の引火点を有する。
【0069】
他の好適な態様において、前記NFPはa)200℃以上の引火点、b)0.86以下の比重、c1)−10℃以下の流動点及び120以上の粘度指数、又はc2)−20℃以下の流動点、又はc3)100℃において35cSt以上の動粘度を有する。
【0070】
他の好適な態様において、前記FNPは0.85以下(好ましくは0.80乃至0.85の間)の比重(15.6/15.6℃)、及び100℃において3cSt以上(好ましくは4cSt以上、好ましくは5cSt以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上、好ましくは15cSt以上、好ましくは20cSt以上)の動粘度、及び/又は少なくとも280g/molの数平均分子量を有する。
【0071】
他の好適な態様において、前記FNPは0.86以下(好ましくは0.81及び0.855の間、好ましくは0.82及び0.85の間、)の比重(15.6/15.6℃)、及び100℃において5cSt以上(好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上、好ましくは12cSt以上、好ましくは15cSt以上、好ましくは20cSt以上)の動粘度、及び/又は少なくとも420g/molの数平均分子量を有する。
【0072】
他の好適な態様において、前記FNPは0.87以下(好ましくは0.82及び0.87の間、)の比重(15.6/15.6℃)、及び100℃において10cSt以上(好ましくは12cSt以上、好ましくは14cSt以上、好ましくは16cSt以上、好ましくは20cSt以上、好ましくは30cSt以上、好ましくは40cSt以上)の動粘度、及び/又は少なくとも700g/molの数平均分子量を有する。
【0073】
他の好適な態様において、前記FNPは0.88以下(好ましくは0.87以下、好ましくは0.82及び0.87の間、)の比重(15.6/15.6℃)、及び100℃において15cSt以上(好ましくは20cSt以上、好ましくは25cSt以上、好ましくは30cSt以上、好ましくは40cSt以上)の動粘度、及び/又は少なくとも840g/molの数平均分子量を有する。
【0074】
他の好適な態様において、前記NFPは100℃において3乃至3000cSt、好ましくは6乃至300cSt、より好ましくは8乃至100cStの動粘度、及び300乃至21,000g/mol、好ましくは500乃至5,000g/mol、より好ましくは600乃至3,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する。
【0075】
他の好適な態様において、前記NFPは100℃において3乃至500cSt、好ましくは6乃至200cSt、より好ましくは8乃至100cSt、より好ましくは3乃至25cStの動粘度、及び300乃至10,000g/mol、好ましくは400乃至5,000g/mol、より好ましくは500乃至2,500g/mol、より好ましくは300乃至1,200g/molの数平均分子量(Mn)を有する。
【0076】
他の好適な態様において、前記NFPは100℃において3乃至100cSt、好ましくは4乃至50cSt、より好ましくは6乃至25cSt、より好ましくは3乃至15cStの動粘度、及び300乃至3,000g/mol、好ましくは350乃至2,000g/mol、より好ましくは400乃至1,000g/mol、より好ましくは300乃至800g/molの数平均分子量(Mn)を有する。
【0077】
他の好適な態様において、前記NFPは−25℃以下、好ましくは−30℃乃至−90℃の間の流動点、40℃において20乃至5000cStの動粘度を有する。他の態様において、前記NFPは−25℃以下の流動点、及び400g/mol以上のMnを有する。同じ粘度及び分子量を有する、通常官能基を含んでいる大部分のミネラルオイルは、10℃乃至―25℃の流動点を有する。
【0078】
他の好適な態様において、前記NFPは100℃において3cSt以上、好ましくは6cSt以上、より好ましくは8cSt以上の動粘度を有し、及び以下のパラメータの1つ以上を有する。
【0079】
−10℃以下、好ましくは−20℃以下、好ましくは−30℃以上、好ましくは−40℃以上の流動点、及び/又は120以上の粘度指数、及び/又は「無色透明」、「高品位白」、「標準白」、又は「光輝かつ透明」と定義される低い色度、好ましくは100以下の、好ましくは80以下の、好ましくは60以下の、好ましくは40以下の、好ましくは20以下の、好ましくは15以下のASTM D 1209で測定されるAPHAカラー、及び/又は200℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上、の引火点、及び/又は0.86未満の比重(15.6℃)。
【0080】
同じ粘度範囲の大部分のミネラルオイルは、20℃より高い流動点、又は−20より高いAPHAカラー、又は0.86以上の比重(15.6℃)を有する。
【0081】
他の好適な態様において、前記NFPは120以上の粘度指数、及び以下の1つ以上の性質を有する;−10℃以下、好ましくは−20℃以下、好ましくは−30℃以下、好ましくはー40℃以下の流動点、及び/又は100℃において3cSt以上、好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上の動粘度、及び/又は「無色透明」、「高品位白」、「標準白」、又は「光輝かつ透明」と定義される低い色度、好ましくは100以下の、好ましくは80以下の、好ましくは60以下の、好ましくは40以下の、好ましくは20以下の、好ましくは15以下のASTM D 1209で測定されるAPHAカラー、及び/又は200℃以上、好ましくは220℃以上k好ましくは240℃以上の引火点、及び/又は0.86未満の比重(15.6℃)。
【0082】
大部分のミネラルオイルは120未満の粘度指数を有する。
【0083】
他の好適な態様において、前記NFPは−20℃以下、好ましくは−30℃以下の流動点、及び以下の1つ以上の性質を有する;100℃において3cSt以上、好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上の動粘度、及び/又は120以上、好ましくは130以上の粘度指数、及び/又は「無色透明」、「高品位白」、「標準白」、又は「光輝かつ透明」と定義される低い色度、好ましくは100以下の、好ましくは80以下の、好ましくは60以下の、好ましくは40以下の、好ましくは20以下の、好ましくは15以下のASTM D 1209で測定されるAPHAカラー、200℃以上、好ましくは220℃以上の引火点、及び/又は0.86未満の比重(15.6℃)。
【0084】
大部分のミネラルオイルは、流動点が−20℃未満である場合、100℃において6cSt未満の動粘度、20以上のAPHAカラー、又は200℃未満の引火点を有する。
【0085】
他の好適な態様において、前記NFPはASTM E1356によるガラス転移温度が検出できない、もし検出可能であるとしても、0℃未満、好ましくは−10℃未満、より好ましくは−20℃未満、より好ましくは−30℃未満、より好ましくは−40℃未満であり、好ましくは、以下の1つ以上の性質を有する;300℃より高い、好ましくは350℃より高い、好ましくは400℃より高いASTM D1160で測定される初留点、及び/又は−10℃以下、好ましくは−15℃以下、好ましくは−25℃以下、好ましくは−35℃以下、好ましくは−40℃以下の流動点、及び/又は0.88未満、好ましくは0.86未満、好ましくは0.84未満、好ましくは0.80乃至0.88、好ましくは0.82乃至0.86の比重(15.6/15.6℃)、及び/又は300℃乃至800℃、好ましくは400℃乃至700℃、好ましくは500℃より高いASTM D1160で測定される終点、及び/又は30,000及び400g/molの間、好ましくは15,000及び500g/molの間、より好ましくは10,000及び400g/molの間、好ましくは5,000及び500g/molの間、より好ましくは2,000及び600g/molの間の重量平均分子量(Mw)、及び/又は200℃以上のASTM D92で測定される引火点、及び/又は0.86未満の比重(15.6℃)。
【0086】
特定の好適な態様において、前記NFPは0.86以下(好ましくは0.855以下、好ましくは0.85以下)の比重、及び以下の1つ以上の性質を有する;120以上(好ましくは135以上、好ましくは140以上)のVI、及び/又は200℃以上(好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上)の引火点。
【0087】
特定の好適な態様において、前記NFPは−10℃以下(好ましくは−15℃以下、好ましくは−20℃以下、好ましくは−25℃以下)の流動点、120以上(好ましくは135以上、好ましくは140以上)のVI、及び任意で200℃以上(好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上)の引火点を有する。
【0088】
特定の好適な態様において、前記NFPは−20℃以下(好ましくは−25℃以下、好ましくは−30℃以下、好ましくは−40℃以下)の流動点を有し、及び以下の1つ以上の性質を有する;200℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上)の引火点、及び/又は4cSt以上(好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上)のKV100、及び/又は0.86以下(好ましくは0.855以下、好ましくは0.85以下)の比重。
【0089】
特定の好適な態様において、前記NFPは4cSt以上(好ましくは5cSt以上、好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは010cSt以上)のKV100、0.86以下(好ましくは0.855以下、好ましくは0.85以下)の比重、及び200℃以上(好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上)の引火点を有する。
【0090】
特定の好適な態様において、前記NFPは200℃以上(好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上)の引火点、−10℃以下(好ましくは−15℃以下、好ましくは−20℃以下、好ましくは−25℃以下)の流動点、0.86以下(好ましくは0.855以下、好ましくは0.85以下)の比重、4cSt以上(好ましくは5cSt以上、好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは010cSt以上)のKV100、及び任意で、100以上(好ましくは120以上、好ましくは135以上)のViを有する。
【0091】
特定の好適な態様において、前記NFPは35cSt以上(好ましくは40cSt以上)のKV100、及び0.86以下(好ましくは0.855以下、好ましくは0.85以下)の比重、及び任意で以下の1つ以上の性質を有する;200℃以上(好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上)の引火点、及び/又は−10℃以下(好ましくは−15℃以下、好ましくは−20℃以下、好ましくは−25℃以下)の流動点。
【0092】
特定の好適な態様において、前記NFPは200℃以上(好ましくは210℃以上、好ましくは220℃以上)の引火点、−10℃以下(好ましくは−20℃以下、好ましくは−30℃以下)の流動点、及び6cSt以上(好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上、好ましくは15cSt以上)のKV100を有する。
【0093】
好適な態様において、前記NFPは−40℃以下(好ましくは−50℃以下)の流動点、及び0.84以下(好ましくは0.83以下)の比重を有する。
【0094】
好適な態様において、任意のNFPの鎖タイプのパラフィンの炭素のパーセンテージは少なくとも80%(好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは95%、更に好ましくは89%、最も好ましくは少なくとも99%)である。
【0095】
本発明の好適な組成物は、組成物中のNFPの割合が1重量%に対して、少なくとも1℃(好ましくは少なくとも2℃、好ましくは少なくとも3℃、好ましくは少なくとも4℃、好ましくは少なくとも5℃、好ましくは少なくとも6℃、好ましくは少なくとも7℃、好ましくは少なくとも8℃、好ましくは少なくとも9℃、好ましくは少なくとも10℃)組成物のガラス転移温度が低くなるが、ポリオレフィンの融点ピーク以上結晶化温度は、可塑化されていないポリオレフィンと比較して、5℃以内(好ましくは4℃以内、好ましくは3℃以内、好ましくは2℃以内)しか違わないことを特徴とする。
【0096】
本発明の好適な組成物は、可塑化されていないポリオレフィンと比較して、可塑化された組成物のガラス転移温度は少なくとも2℃(好ましくは少なくとも4℃、好ましくは少なくとも6℃、好ましくは少なくとも8℃、好ましくは少なくとも10℃、好ましくは少なくとも12℃、好ましくは少なくとも15℃、好ましくは少なくとも20℃、好ましくは少なくとも25℃、好ましくは少なくとも25℃、好ましくは少なくとも30℃)可塑化されていないポリオレフィンよりも低いが、ポリオレフィンの融点ピーク以上結晶化温度は、可塑化されていないポリオレフィンと比較して、5℃以内(好ましくは4℃以内、好ましくは3℃以内、好ましくは2℃以内)しか違わないことを特徴とする。
【0097】
本発明の好適な組成物は、組成物中のNFPの割合が1重量%に対して、少なくとも1℃(好ましくは少なくとも2℃、好ましくは少なくとも3℃、好ましくは少なくとも4℃、好ましくは少なくとも5℃、好ましくは少なくとも6℃、好ましくは少なくとも7℃、好ましくは少なくとも8℃、好ましくは少なくとも9℃、好ましくは少なくとも10℃)組成物の少なくとも1つのプロピレンポリマーのガラス転移温度が低くなるが、ポリオレフィンの融点ピーク以上結晶化温度は、可塑化されていないポリオレフィンと比較して、5℃以内(好ましくは4℃以内、好ましくは3℃以内、好ましくは2℃以内)しか違わないことを特徴とする。
【0098】
本発明の好適な組成物は、可塑化されていないポリオレフィンと比較して、可塑化された組成物の少なくとも1つのプロピレンポリマーのガラス転移温度は少なくとも2℃(好ましくは少なくとも4℃、好ましくは少なくとも6℃、好ましくは少なくとも8℃、好ましくは少なくとも10℃、好ましくは少なくとも12℃、好ましくは少なくとも15℃、好ましくは少なくとも20℃、好ましくは少なくとも25℃、好ましくは少なくとも25℃、好ましくは少なくとも30℃)可塑化されていないポリオレフィンよりも低いが、ポリオレフィンの融点ピーク以上結晶化温度は、可塑化されていないポリオレフィンと比較して、5℃以内(好ましくは4℃以内、好ましくは3℃以内、好ましくは2℃以内)しか違わないことを特徴とする。
【0099】
本発明の好適な組成物は、ASTM D1203によりNFPの不変性を測定した場合(0.25mm厚のシートを70℃の乾燥オーブンで300時間乾燥させた場合)、可塑化組成物の重量が3%未満(好ましくは2%未満、好ましくは1%未満)しか減少しないことを特徴とする。本明細書における重量損失は、同じ条件下で測定された可塑化していない組成物の測定値を超える値を意味する。
【0100】
本発明の好適なNFPは、ポリオレフィンに転化して可塑化した場合に、ポリオレフィンに混和性を示すことを特徴とする。このことは、前記NFPで可塑化したポリオレフィンが、可塑化していないポリオレフィンのDMTAトレースと比較した場合、動的機械熱解析(DMTA)におけるtanデルタピークが変化しないことで示される(「トレース」は温度に対してプロットされたtanデルタの値を意味する)。混和性のないものは、可塑化されていないポリオレフィンに対して、高いtanデルタの値を示す。
【0101】
本発明及び特許請求の範囲において、別に定義しない限り、表E乃至Gで示す試験方法を、組成物の性質を測定するために用いた。
【表E】

【表F】

【表G】

選択的に水素化されたブロックコポリマー
本発明の選択的に水素化されたブロックコポリマーは
(i)ビニル芳香族モノマーの末端ポリマー部分、及び
(ii)オレフィン、好ましくは共役ジエンを用いたブロックコポリマーの調製により得られたミッドポリマーブロックを後に選択的に水素化して得られたミッドポリマーブロックを含むことを特徴とする。
【0102】
好適な態様において、これらのコポリマーの末端ブロックはスチレンのブロックコポリマーである。アルファメチルスチレン、各種アルキル化置換スチレン、アルコキシ置換スチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン等の他のビニル芳香族炭化水素もスチレンで置換される。
【0103】
ミッドブロックは少なくとも1つのオレフィン、好ましくは共役ジオレフィンであり、後に水素化される。「後に水素化される」とは、前記共役ジオレフィンミッドブロックがポリマーに取り込まれた後に選択的に水素化されることを意味する。好適な水素化されたコポリマーは上記米国特許No.4、904、731に記載のような、本分野において既知の方法により、調製することができる。前記文献を参照により本明細書に援用する。特に好適なミッドブロックはエチレン/ブテン−1コポリマー、又はエチレン/プロピレンコポリマーを含むか、必ず含むか、又はこれらのみから構成されている。
【0104】
選択的に水素化されたSEBSに加えて、選択的に水素化して有用な組成物を提供することができる他のブロックコポリマーは、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)、及び星状分岐SIS、及び星状分岐SBS化合物を含む。これらの物質は本分野において知られているものである。
【0105】
1つの態様において、水素化して本発明のポリマー組成物におけるミッドブロックとして有用な水素化ブロックコポリマーとなり得るブロックコポリマーは以下の一般式を有する。
【0106】
Bx−(A−B)y−Az
式中、Aはポリ(モノアルケニル)ブロックであり、Bはポリ(共役ジエン)ブロックであり、x及びzは独立して、0又は1の整数であり、yは1乃至25の整数であり、z+yは2以上である。
【0107】
一般的に、しかし本発明の特徴としては重要ではないが、各ポリマーブロックAは約4,000乃至約5,000の範囲内の同じ、又は異なる重量平均分子量を有している。各ポリマーブロックBは約10,000乃至約200,000の範囲内の同じか又は異なる重量平均分子量を有している。好適な態様において、各ポリマーブロックAは約5,000乃至約10,000の範囲内でほぼ同じ重量平均分子量を有しており、各ポリマーブロックBは約25,000乃至約100,000の範囲内でほぼ同じ重量平均分子量を有している。
【0108】
一般的に、本発明に有用な前記ブロックコポリマーはそのような水素化に好適な従来技術を用いて水素化することができる。1つの態様において、本発明に有用な前記ブロックコポリマーを水素化する条件は飽和された調製物における共役ジオレフィンポリマーブロック中に残っているエチレン不飽和の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも95%が水素化した後に確実に飽和されているように選択される。水素化条件は20%未満、好ましくは10%未満、及び最も好ましくは5%未満のモノアルキル芳香族炭化水素ポリマーブロックが確実に水素化されるように選択される。好適な水素化方法は前述の米国特許No.4,904,731(法定発明登録USH1956H等の多くの文献も参照)に記載されているような従来技術である。このような方法を参考にして当業者は本発明に好適な条件を選択することが可能である。
【0109】
本発明に有用な選択的に水素化されたブロックコポリマーの特定の例としては、Shellより入手可能なKRATON(商標)Gポリマーを含む。
【0110】
ポリプロピレン
前記ブレンドのポリプロピレン組成物は、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー、及びこれらのブレンドより選択される。前記ホモポリマーはアタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、及びこれらのブレンドでよい。前記コポリマーはランダムコポリマー、統計コポリマー、ブロックコポリマー、及びこれらのブレンドでよい。好適な態様において、前記ポリプロピレンはプロピレンの少なくとも1つのアタクチックホモポリマー又はコポリマーである。
【0111】
本明細書において、「ポリプロピレン」の語は、少なくとも50%のプロピレン単位、好ましくは少なくとも70%のプロピレン単位、より好ましくは少なくとも80%のプロピレン単位、更に好ましくは少なくとも90%のプロピレン単位、更に好ましくは少なくとも95%のプロピレン単位、又は100%のプロピレン単位から成るポリマーを意味する。
【0112】
前記ポリプロピレンの製造方法は重要ではないが、スラリー法、溶液法、気相法又は他の好適な方法により製造することができ、チグラ−ナッタタイプ触媒、メタロセンタイプ触媒、他の好適な触媒、又はこれらの組合せ等のポリオレフィンの重合に好適な触媒システムを用いて製造することができる。
【0113】
好適な態様において、前記プロピレン(ポリマー)はチグラ−ナッタ触媒を用いて製造されたホモポリマー又はコポリマーである。他の態様において、前記プロピレンポリマーはメタロセン触媒を用いて製造される。このような触媒は本分野において良く知られており、例えば、ZIEGLER CATALYSTS(Gerhard Fink, Rolf Mulhaupt and Hans H. Brintzinger, eds., Springer−Verlag 1995); Resconi et al., Selectivity in Propene Polymerization with Metallocene Catalysts, 100 CHEM. REV. 1253−1345 (2000); and I, II METALLOCENE−BASED POLYOLEFINS (Wiley & Sons 2000)に記載されている。
【0114】
他の好適な態様は、本明細書で述べた態様の組合せを含むことは当業者が理解することろである。例えば、ポリプロピレンの好適な態様は、チグラ−ナッタ触媒を用いて製造されたアタクチックプロピレンホモポリマーを含むことは当業者が理解するところである。
【0115】
本発明に有用なプロピレンホモポリマー及びコポリマーは以下の1つ以上の性質を有することを特徴とする:
(a)3,000乃至2,000,000g/mol、好ましくは50,000乃至1,000,000g/mol、より好ましくは90,000乃至500,000g/molの以下で説明する試験方法においてGPCを用いて測定さされたMw;
(b)1乃至40、好ましくは1.6乃至20、より好ましくは1.8乃至10、より好ましくは1.8乃至3の以下の試験方法において説明するようにGPCで測定されるMw/Mn;
(c)300乃至200℃、好ましくは30乃至185℃、好ましくは50乃至175℃、より好ましくは60乃至170の以下の試験方法において説明するDSCにより測定されるTm(第二融点)、;
(d)5乃至80%、好ましくは10乃至70%、より好ましくは20乃至60%の以下の試験方法において説明される結晶化度;
(e)―40乃至20℃、好ましくは−20乃至10℃、より好ましくは−10乃至5℃の以下の試験方法で説明するDMTAで測定されるガラス転移温度;
(f)180J/g以下、好ましくは20乃至150J/g以下、より好ましくは40乃至120J/gの以下の試験方法において説明するDSCにより測定される融解熱(Hf);
(g)15乃至120℃、好ましくは10乃至115℃、より好ましくは25乃至110℃、好ましくは60乃至145℃の以下の試験方法において説明する方法で測定される結晶化温度(Tc);
(h)45乃至145℃、好ましくは60乃至135℃、より好ましくは75乃至125℃の以下の試験方法に説明する方法で測定される熱撓み温度;
(i)25以上、好ましくは40以上、好ましくは60以上、好ましくは80以上、好ましくは100以上、好ましくは25乃至125のロックウェル硬度(Rスケール);
(j)少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、あるいは少なくとも50%の以下の試験方法において説明する方法で測定される結晶化度のパーセンテージ;
(k)少なくとも50%、あるいは少なくとも60%、あるいは少なくとも70%、さらには50%乃至95%の間、又は70%以下、好ましくは60%以下、好ましくは50%以下の100から結晶化度のパーセンテージを引くことにより算出されるアモルファスが含量;及び
(l)0.2乃至2.0、好ましくは0.5乃至1.5、好ましくは0.7乃至1.1の以下で説明する方法により測定される分岐指数。
【0116】
1つの態様において、前記ポリプロピレンはプロピレンホモポリマーである。1つの好適な態様において、前記プロピレンホモポリマーは40までの、好ましくは1.5乃至10の分子量分布(Mw/Mn)を有し、他の態様では、1.8乃至7、更なる態様では1.9乃至5、更なる態様では2.0乃至4の分子量分布を有する。他の態様において、前記プロピレンホモポリマーの0.125インチのディスクを用いて23℃で測定されるグランダー衝撃強度は、1つの態様において20in−lb乃至1000in−lb、他の態様において、30in−lb乃至500in−lb、更なる態様において40in−lb乃至400in−lbの範囲である。更なる態様において、前記1%割線弾性率は、100MPa乃至2300MPa、及び他の態様において、200MPa及び2100MPa、更なる態様において300MPa乃至2000MPaの範囲である。好適なポリプロピレンは上記上限値と下限値を任意で組み合わせた1%割線弾性率を有する。好適なプロピレンポリマーのメルトフローレート(MFR)(ASTM D 1238、 230℃)は、1つの態様において0.1dg/分乃至2500dg/分、及び他の態様において0.3乃至500dg/分の範囲内である。
【0117】
1つの態様において、本発明に有用な前記ポリプロピレンホモポリマー又はプロピレンコポリマーは幾つかのレベルのアイソタクチシティーを有する。従って、1つの態様において、アイソタクチックポリプロピレンを含むポリプロピレンは本発明のポリマーとして有用であり、同様に高いアイソタクチックポリプロピレンは他の態様において有用である。本明細書で用いる「アイソタクチック」の語は、以下の試験方法においてで説明する13C−NMRで測定して、少なくとも10%アイソタクチックペンタッズを有することであると定義される。本明細書において「高いアイソタクチック」は、13C−NMRで測定されるアイソタクチックペンタッズが少なくとも60%であることを意味する。好適な態様において、前記ポリプロピレンは少なくとも85%アイソタクチシティーを有するプロピレンホモポリマーであり、他の態様において少なくとも90%のアイソタクチシティーを有するプロピレンホモポリマーである。
【0118】
他の態様において、前記ポリプロピレンは少なくとも85%のシンジオタクチシティーを有するプロピレンホモポリマーを含む。他の態様において、前記ポリプロピレンは少なくとも90%のシンジオタクチシティーを有するプロピレンホモポリマーを含む。本明細書で用いる「シンジオタクチック」の語は、以下の試験方法において説明する13C−NMRにより解析されるシンジオタクチックペンタッズが少なくとも10%であることを意味する。本明細書で用いる「高いシンジオタクチック」の語は13C−NMRで測定される少なくとも60%のシンジオタクチックペンタッズを有していることと定義される。
【0119】
他の態様において、前記ポリプロピレンはアイソタクチック、高いアイソタクチック、シンジオタクチック、高いシンジオタクチック、アタクチック、又はこれらの混合である、プロピレンホモポリマーを含む。アタクチックポリプロピレンは少なくとも10%のアイソタクチック又はシンジオタクチックペンタッズを有するものであると定義する。好適なアタクチックポリプロピレンは通常20,000乃至1,000,000までのMwを有する。
【0120】
本発明に有用な好適なプロピレンポリマーは、エクソンモービルケミカルカンパニー、ヒューストン、テキサスより販売されているACHIEVE(商標)及びESCORENE(商標)である。
【0121】
本発明の好適な態様において、前記ポリプロピレンはランダム、又はブロックのいずれかのプロピレン単位とエチレン、及びC4乃至C20αオレフィン誘導単位から選択される、他の態様においては、エチレンとC4乃至C10αオレフィン誘導単位から選択される単位とのプロピレンコポリマーである。前記エチレン又はC4乃至C20αオレフィン誘導単位は、1つの態様において、前記コポリマーの0.1重量%乃至50重量%、他の態様において0.5乃至30重量%、更なる態様において1乃至15重量%、及び更なる態様において0.1乃至5重量%存在する。好適なコポリマーはエチレン及びC4乃至C20αオレフィン誘導単位を、前記上限値及び下限度値の任意の値で含む。前記プロピレンコポリマーは1つの態様において8,000g/molより多い、他の態様において10,000g/molより多い、及び更なる態様において12,000g/molより多い、及び更なる態様において、20,000g/molより多い、及び更なる態様において1,000,000より少ない、更なる態様において、800,000g/molよりすくない数平均分子量を有する。好適なコポリマーはこれらのうちの任意の下限値及び任意の序上限値を含んでいても良い。
【0122】
特に好適なプロピレンコポリマーは1.5乃至10、及び他の態様においては、1.6乃至7、及び更なる態様においては1.7乃至5、及び更なる態様においては、1.8乃至4の範囲の分子量分布(Mw/Mn)を有する。前記プロピレンコポリマーの0.125インチのディスクを用いて23℃で測定されるグランダー衝撃強度は、1つの態様において20in−lb乃至1000in−lb、他の態様において30in−lb乃至500in−lb、更なる態様において40in−lb乃至400in−lbである。更なる態様において、前記プロピレンコポリマーの前記1%割線弾性率は100MPa乃至2300MPa、及び2他の態様において00MPa乃至2100MPa、及び更なる態様において300MPa乃至2000MPaの範囲である。好適なポリプロピレンはこれらのうちの任意の上限値及び任意の下限値の組合せを有する。好適なプロピレンコポリマーのメルトフローレート(MFR)(ASTM D 1238、 230℃)は、1つの態様において0.1dg/分乃至2500dg/分、及び他の態様において0.3乃至500dg/分の範囲内である。
【0123】
他の態様において、前記ポリプロピレンはプロピレンと、エチレン及びC4乃至C20直鎖又は分岐又は環状モノマーから成る群より選択される1つ以上のモノマーとを含むプロピレンコポリマーであり、他の態様において、プロピレンとC4乃至C12直鎖又は分岐αオレフィンとのプロピレンコポリマーである。前記C4乃至C12直鎖又は分岐αオレフィンはブテン、ペンテン、ヘキセン、へプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、4−メチル−ペンテン−1,3−メチルペンテン−1,3,5,5,−トリメチルへキセン−1などが好ましい。前記モノマーは50重量%まで、好ましくは0乃至40重量%、より好ましくは0.5乃至30重量%、より好ましくは2乃至30重量%、より好ましくは5乃至20重量%存在する。
【0124】
本発明のプロピレンコポリマーに含まれるコモノマーとして好適な直鎖αオレフィンはC3乃至C8αオレフィンであり、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンが好ましく、1−ブテンがより好ましい。本発明に有用なブテンコポリマーのコモノマー成分として有用な直鎖αオレフィンはC3乃至C8αオレフィンであり、プロピレン、1−ヘキセン、及び1−オクテンがより好ましく、プロピレンが更に好ましい。好適な分岐αオレフィンは4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、及び3,5,5−トリメチル−1−へキセン、5−エチル−1−ノネンを含む。好適な芳香族基含有モノマーは30までの炭素原子を含むものである。好適な芳香族基含有モノマーは少なくとも1つの芳香族構造を有し、好ましくは1つ乃至3つの芳香族構造を有し、より好ましくはフェニル、インデニル、フルオレニル、又はナフチル部分を有する。前記芳香族基含有モノマーは重合の後に前記芳香族構造がポリマー骨格からのペンダントとなるような、少なくとも1つの重合可能な二重結合を含む。前記芳香族含有モノマーは、C1乃至C10アルキル基を含むがこれらに限定されない1つ以上の炭化水素で更に置換することができる。更に、隣接する置換基が結合して環構造を形成することもできる。好適な芳香族含有モノマーは重合可能なオレフィン部分に付加している少なくとも1つの芳香族構造を有する。好適な芳香族モノマーはスチレン、αメチルスチレン、パラアルキルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、アリルベンゼン、及びインデンを含み、特に、スチレン、パラメチルスチレン、4−フェニル−1−ブテン、及びアリルベンゼンを含む。
【0125】
モノマーを含む非芳香環基も好ましい。これらのモノマーは30までの炭素原子を含む、好適なモノマーを含む非芳香環基は、少なくとも1つの重合可能なオレフィン基を有することが好ましい。前記オレフィン基は環構造上のペンダントであるか、又は環構造の一部のいずれでもよい。前記環構造は、C1乃至C10アルキル基を含むがこれらに限定されない1つ以上のヒドロカルビル基により更に置換されていてもよい。好適なモノマーを含む非芳香環基は、ビニルシクロへキサン、ビニルシクロへキセン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロブテン、ビニルアダマンタン等を含む。
【0126】
他の態様において、前記プロピレン成分はプロピレンと20mol%までのエチレン又はC4乃至C20オレフィン、好ましくは20%のエチレンを含む、「RCP」として知られているランダムコポリマーを含む。
【0127】
他の態様において、前記ポリプロピレン成分はインパクトコポリマー(ICP)又はブロックコポリマーを含む。プロピレンインパクトコポリマーは、自動車部品、建築部品、旅行かばん、家具等の成形又は押出し成形製品に好適な強度及び衝撃耐性を付与するために、各種製品に用いられている。プロピレンホモポリマー単独は脆く、低温における衝撃耐性が低いことから、このような製品には適していない。その一方でプロピレンインパクトコポリマーは特にこのような製品に加工されている。
【0128】
通常プロピレンインパクトコポリマーは、例えば、1つのホモポリマー成分と1つのコポリマー成分のような、少なくとも2つ相又は成分を含む。このインパクトコポリマーはPP/EP/PEの組合せ等の1つの相も含むことができる。前記PP/EP/PEは、PPの連続相中に、EPが外側でPEが内側にある粒子が分散した状態で存在する分散相を有する。これらの成分は通常、第一反応器の中で製造されたホモポリマーを、第二反応器に移動させて、コポリマーを製造し、ホモポリマー成分の基質内に前記コポリマーを取り込むことを特徴とする、連続重合プロセスで製造される。前記コポリマー成分はゴム性質を有し、好適な衝撃耐性を付与する。その一方でホモポリマー成分は全体的な剛性を提供する。
【0129】
ICPの他の好適な性質はそれらが含むアモルファスポリプロピレンの量である。特定の態様において、本発明に有用なICPは低いアモルファスポリプロピレンを有することを特徴とし、その含量は好ましくは3重量%未満、より好ましくは2重量%未満、更に好ましくは1重量%未満であり、最も好ましくは検出可能なポリプロピレンを含まない。
【0130】
好適なインパクトコポリマーは反応器ブレンド(in situブレンド)又は反応後ブレンド(ex−situ)ブレンドである。1つの態様において、好適なインパクトコポリマーはインパクトコポリマーの総重量に基づいて40乃至95%の成分A及び5乃至60%までの成分Bを含む。前記成分Aはプロピレンホモポリマー又はコポリマーを含み、前記コポリマーは10%以下のエチレン、ブテン、ヘキセン、又はオクテンコモノマーを含み、前記成分Bはプロピレンコポリマーを含み、前記コポリマーは5乃至70重量%のエチレン、ブテン、ヘキセン及び/又はオクテンコモノマーと95%乃至30重量%のプロピレンを含む。前記インパクトコポリマーの1つの態様において、成分Bはプロピレンと約30%乃至約65重量%のエチレンとから成る。他の態様において、前記成分Bはエチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、エチレン−アクリレートコポリマー、エチレン−ビニルアセテート、スチレンブタジエンコポリマー、エチレンアクリレートエステルコポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、イソブチレン、炭化水素レジン(該炭化水素レジンは5000未満の分子量、50乃至100℃のガラス転移温度、及び約140℃未満のASTM E−28で測定されるRing及びBellの軟化点を特徴とする)、ロジンエステル、及びこれらの混合物を含む。他の態様において、前記成分Bは3.5未満の分子量分布を有する。更なる態様において、前記成分Bは少なくとも20,000の重量平均分子量を有する。インパクトコポリマーは例えば、米国特許No.6,342,566、及び6,384,142に記載されている。
【0131】
前記成分Bはプロピレン及びエチレンのみから構成されているコポリマーであることが最も好ましい。しかしながら、他のプロピレンコポリマー、エチレンコポリマー、又はターポリマーも特定の製品の性質に応じて用いることができる。例えば、プロピレン/ブテン、ヘキセン、又はオクテンコポリマー、並びにエチレン/ブテン、ヘキセン、又はオクテンコポリマーも用いることができ、プロピレン/エチレン/へキセン−1ターポリマーも用いることができる。好適な態様において、成分Bは少なくとも40重量%のプロピレン、より好ましくは約80重量%乃至30重量%のプロピレン、更にコポリマー約70%乃至約35重量%のプロピレンを含むコポリマーである。前記成分Bのコモノマー含量は約20乃至70重量%、より好ましくは約30乃至約65重量%、更にコポリマー約35乃至約60重量%であることが好ましい。成分Bは実質的にプロピレンと、約20乃至約70重量%のエチレン、より好ましくは約30乃至約65重量%のエチレン、及び最も好ましくは約35乃至約60重量%のエチレンから成ることが最も好ましい。
【0132】
他の成分B好ましくはについて、前記コモノマー含量は所望の性質により必要に応じて調整される。例えば、エチレン/へキセンコポリマーが成分Bである場合、少なくとも17%重量%のヘキセン及び少なくとも83%のエチレンが含まれている。
【0133】
成分Bは狭い分子量分布、Mw/Mnを有していることが好ましく、例としては、5.0未満、好ましくは4.0未満、より好ましくは3.5未満、更に好ましくは3.0未満、最も好ましくは2.5未満である。これらの分子量分布は、分子量を調節するためのビスブレーキング又は過酸化物又は他の反応後処理を行うことなく得ることができる。成分Bは少なくとも100,000、好ましくは少なくとも15,000、最も好ましくは少なくとも200,000の重量平均分子量を有することが好ましい。
【0134】
成分Bは好ましくは1.00dl/gより多く、より好ましくは1.50dl/g多く、及び最も好ましくは2.00dl/g多くの固有粘度を有することが好ましい。「固有粘度」又は「IV」の語は、成分B等のポリマー成分を無限希釈した場合の、所与の温度で所与の溶媒中のポリマー溶液の粘度を意味する。ASTM 標準試験方法D 1061−78、IV測定法では、所与の温度における溶媒中の連続する濃度のポリマー溶液の粘度を測定する、標準的なキャピラリー粘度測定機器を含む。成分Bにおいて、デカリンが好適な溶媒であり、通常、測定温度は135℃である。各種濃度の溶液の粘度の測定値から、固有の希釈率における「値」が外挿法により決定することができる。
【0135】
成分Bは60%より多くの、より好ましくは65%より多くの、更に好ましくは70%より多くの、更に好ましくは75%より多くの、更に好ましくは80%より多くの、最も好ましくは85%より多くの組成分布分岐指数(CDBI)を有する。CDBIは成分のバリエーションをポリマー鎖の間のコポリマー全体のエチレン(または他のコモノマー)含量と定義する。組成分布の測定値が米国特許No.5,382,630で定義される「組成分布分岐指数(CDBI)」である。前記文献を参照により本明細書に援用する。CDBIは総コモノマーモル含量の50%以内のコモノマー含量を有するコポリマー分子の重量パーセントであると定義される。コポリマーのCDBIはコポリマーサンプルを分画する既知の技術を用いて容易に決定することができる。そのような技術の1つは、Wild, et al., J. Poly. ScL PoIv. Phvs. Ed.. vol. 20, p.441(1982) 及び米国特許No.5,008,204に記載されている温度上昇溶出分画(TRFE)である。これらの文献を参照により本明細書に援用する。
【0136】
ICPの成分Bは結晶化度が低くいことが好ましく、結晶部分が重量により10%未満、より好ましくは5%未満である。成分Bの結晶部分が存在している部分では、その組成はコモノマー重量パーセント全体の点において成分Bの残りと同じか、少なくとも似ている(15重量%以内)ことが好ましい。
【0137】
好適なメルトフローレート又はこれらのICPのMFRは最終製品に依存しているが、通常、約0.2dg/分乃至約200dg/分、より好ましくは約5dg/分乃至役100dg/分の範囲である。注目に値すべきなのは、高いMFR、即ち50dg/分より高いMFRを実現することができることである。ICPは少なくとも145℃、好ましくは、少なくとも150℃、より好ましくは少なくとも152℃、及び最も好ましくは155℃の融点(Tm)を有することが好ましい。
【0138】
前記ICPは約40乃至約95重量%の成分A及び約5乃至約60%の成分Bを含み、好ましくは約50乃至約95重量%の成分A及び約5乃至約50重量%の成分Bを含み、より好ましくは約60乃至約90重量%の成分A、及び約10乃至約40重量%の成分Bを含む。最も好適な態様において、前記ICPは成分A及び成分Bをのみから成る。全ICPの全体のコモノマー(好ましくはエチレン)含量は、好ましくは約2乃至約30重量%、好ましくは約5乃至約25重量%、更に好ましくは約5乃至20重量%、更に好ましくは約5乃至約15重量%の範囲である。
【0139】
他の態様において、好適なインパクトコポリマー成分は、成分A及び成分Bの屈折率が、お互いに20%以内、好ましくは15%以内、より好ましくは10%以内、更に好ましくは5%以内であるように、これらの成分を選択して、調製される。このように成分を選択することにより優れた透明性を有するインパクトコポリマーを製造することができる。他の態様において、好適なインパクトコポリマー組成物は成分AとNFPとのブレンド、並びに成分BとNFBとのブレンドを、お互いのブレンドの屈折率(ASTM D 542)が20%以内、好ましくは15%以内、より好ましくは10%以内、更に好ましくは5%以内であるように選択して調製する。
【0140】
更なる態様において、―29℃において0.125インチのディスクを用いて行われるプロピレンインパクトコポリマーの前記グランダー衝撃耐性は20in−lb乃至1000in−lb、及び他の態様において30in−lb乃至500in−lb、及び更なる態様において40in−lb又は400in−lbの範囲である。更に、前記プロピレンインパクトコポリマーの1%割線弾性率は1つの態様において100MPa乃至2300MPa、他の態様において、200MPa乃至2100MPa、及び更なる態様において、300MPa乃至2000MPaの範囲である。好適なポリマーは任意の上限値及び下限値の組合せを有する。好適なホモポリマーのメルトフローレート(MFR)(ASTM D 1238、230℃、2.16kg)は、1つの態様において0.1dg/分乃至2500dg/分、他の態様において0.3乃至500dg/分の範囲である。
【0141】
他の態様において、本発明に有用なポリマーは、50J/g未満の示差走査熱量計(DSC)により決定される融解熱、20dg/分未満のメルトインデックス(MI)又は20dg/分以下のNFRを有するプロピレンのホモポリマー及びランダムコポリマーを含み、立体規則性プロピレン結晶、好ましくは立体規則性結晶を含む。他の態様において、前記ポリマーはプロピレンとのエチレン、C4乃至C12αオレフィン、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つのコモノマーとのランダムコポリマーである。好ましくは、プロピレンの前記ランダムコポリマーはポリマーの総重量に対して2重量%乃至25重量%の重合されたエチレン単位を含み、低い組成分布を有し、25℃乃至120℃、又は35℃乃至80℃の融点(Tm)を有し、50J/g又は25J/gの上限値及び1J/g又は3J/gの下限値の範囲の融解熱を有し、1.8乃至4.5の分子量分布、Mw/Mnを有し、及び20dg/分未満、又は15dg/分未満のメルトインデックス(MI)を有する。前記コポリマーの分子内組成分布は溶媒中の熱分画により決定することができる。溶媒のタイプはヘキサン又はヘプタン等の飽和炭化水素である。前記熱分画法は以下で説明する。通常、コポリマーの重量により約75%、好ましくは重量により85%が直前又は直後の分画中に前記割合のコポリマーが隣接する1つ又は2つの溶融分画として単離される。これらの各分画はコポリマーのコモノマー平均重量%が20%未満(相対的に)、コポリマー10%未満しか違わない組成物(エチレン又は他のαオレフィン等の重量%コモノマー)を有する。前記コポリマーは上記分画試験を行うと狭い分子量分布を示す。
【0142】
本発明に有用な典型的な好適なポリマーは立体規則性プロピレン配列に依存する結晶化度をの好適なレベルを有するエラストマー性ポリマーである。前記ポリマーは(A)部位が反転することによるなどの幾つかの機作により立体規則性が乱れているプロピレンホモポリマー、(B)コモノマーによりプロピレンの立体規則性が少なくとも部分的に乱れているランダムプロピレンコポリマー、又は(C)(A)及び(B)の組合せである。
【0143】
1つの態様において、前記ポリマーはブレンド組成物の加硫及び他の化学修飾を補助する非共役ジエンモノマーを更に含む。ポリマー中に存在するジエンの量は好ましくは重量により10%未満、より好ましくは重量により5%未満である。前記ジエンはエチレンプロピレンゴムの加硫に通常用いられているものであり、エチルジエンノルボルネン、ビニルノルボルネン、及び時シクロペンタジエンを含むがこれらに限定されない。
【0144】
1つの態様において、前記ポリマーはプロピレンとエチレン、C4乃至C12αオレフィン、及びこれらの組合せから選択される少なくとも1つのコモノマーとのランダムコポリマーである。この態様の特定の側面において、前記コポリマーは重量により2%、5%、6%、8%、又は10%の下限値から重量により20%、25%、又は28%の上限値の範囲の量のエチレン誘導単位を含む。この態様はプロピレン誘導単位も含み、コポリマー中に存在する量は、重量により72%、75%、又は80%の下限値から重量により98%、95%、94%、92%、又は90%の上限値の範囲である。重量によるこれらのパーセンテージはプロピレン及びエチレン誘導単位の総重量に基づいている。即ち、前記プロピレン誘導単位の重量と前記エチレン誘導単位の重量を合計すると100%になる。コポリマーのエチレン組成物は以下のように測定することができる。薄い均一なフィルムを約150℃又はこれ以上の温度で圧縮し、パーキンエルマーPE1760赤外線分光光度計上に設置する。600cm−1乃至4000cm−1のサンプルの全スペクトルを記録し、以下の式に従ってエチレンのモノマー重量%を計算する:
エチレン重量%=82.585−111.98X+30.045X
式中Xは1155cm−1におけるピーク、又は722cm−1におけるピークのうちの高い方のピーク高さである。ポリマー中の他のモノマーの濃度のこの方法で測定することができる。
【0145】
別個の分子量範囲のコモノマー含量はGPcにより集めたサンプルをフーリエ変換赤外分光計(FTIR)にかけることにより測定できる。このような方法の1つはWheeler and Willis, Applied Spectroscopy, 1993, vol.47, pp.1128−1130に説明されている。等しい機能を有する他の方法も用いることができ、そのような方法は当業者に知られている。
【0146】
ポリマーのコモノマー含量及び配列分布は13C核磁気共鳴法(13CNMR)で測定することができる。この方法は当業者によく知られている。
【0147】
1つの態様において、前記ポリマーは狭い分子量分布を有するランダムプロピレンコポリマーである。他の態様において、前記ポリマーは狭い分子量分布、及び25℃な110℃の間の融点を有するプロピレンコポリマーである。前記コポリマーは、プロピレン、コモノマー、及び任意でジエンを含むポリマーであり、コモノマー残基の数及び分布がモノマーの統計的にランダムな重合と一致するとからランダムである。ステレオブロック構造において、互いに隣接している任意の1種類のブロックモノマー残基の数は、同様な成分を有するンダムコポリマーの中の統計的分布から予測される数よりも大きい。従来のステレオブロック構造を有するエチレン−プロピレンコポリマーはポリマー中のもの又は0残基の統計的にランダムな分布よりもおおきなブロック構造と一致するエチレン残基の分布を有する。隣接するプロピレン残基に関係するコモノマー残基に位置するコポリマーの分子内組成分布(即ち、ランダム性)は13CNMRにより測定することができる。コポリマーの分子内組成分布は溶媒中の熱分画により測定することができる。典型的な溶媒はヘキサン又はヘプタン等の飽和炭化水素である。通常、コポリマーの重量により約75%、好ましくは重量により85%が直前又は直後の分画中に前記割合のコポリマーが隣接する1つ又は2つの溶融分画として単離される。これらの各分画はコポリマーのコモノマー平均重量%が20%未満(相対的に)、コポリマー10%未満しか違わない組成物(エチレン又は他のαオレフィン等の重量%コモノマー)を有する。前記コポリマーは上記分画試験を行うと狭い分子量分布を示す。これらの分画のそれぞれは、好適なランダム性及び狭い組成分布を有するコポリマーを製造するには、(1)第一及び第二モノマー配列の付加を単一な統計的モードで行う一部位メタロセン触媒を用い、及び(2)コポリマーのポリマー鎖の実質的に全てに対して単一の重合環境を提供する連続流れ撹拌重合反応器中でよく混合することが好ましい。
【0148】
前記ポリマーの結晶化度は融解熱から評価することができる。本発明の態様は、1.0J/g、又は3.0J/gの下限値乃至50J/g乃至10J/gの範囲のDSCにより測定される融解熱を有するポリマーを含む。理論に拘束されることを意図しないけれども、本発明の態様にポリマーは一般的にアイソタクチックな、結晶可能なプロピレン配列を含み、前記融解熱はこれらの結晶セグメントの融解によるものと考えられる。
【0149】
前記ポリマーの結晶化度は結晶化度のパーセントの点でも示すことができる。最も高いポリプロピレン含量に対する熱エネルギーは207J/gと測定される。即ち、100%の結晶化度が207J/gとなる。好ましくは、前記ポリマーは65%、40%、30%、25%、又は20%の上限値、及び1%、3%、5%、7%、又は8%の下限値の範囲内のポリプロピレンの結晶化度を有する。
【0150】
この結晶化度のレベルは融点にも反映される。「融点」の語は、上で説明したように、DSCにより測定される、第一及び第二融解ピークの間の最も高いピークを意味するのではなく、最も多量のポリマーが融解することを反映している最も高いピークである。本発明の1つの態様において、前記ポリマーは単一の融点を有する。通常、プロピレンコポリマーのサンプルは主要なピークに隣接する第二のピークを有し、前記第二ピークをあわせて単一のピークとされている。これらのピークの最も高いものが融点とされている。前記ポリマーはDSCにより測定される融点が110℃、105℃、90℃、80℃、又は70℃の上限値及び0℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、又は45℃の下限値を有する。
【0151】
1つの態様において、本発明に用いる前記ポリプロピレンは、5,000,000g/mol、1,000,000g/mol、又は500,000g/molの上限値、及び10,000g/mol、20,000g/mol、又は80,000g/molの下限値の範囲内の重量平均分子量(Mw)、及び1.5、1.8、又は2.0の下限値乃至40、20、10、5、又は4.5の上限値の範囲の「多分散指数(PDI)」ともいわれる分子量分布(Mw/Mn)(MWD)を有する。1つの態様において、前記ポリマーは100以上か、75以下、60以下、又は30以下のムーニー粘度(ML(1+4)@125℃を有する。本明細書で用いるムーニー粘度は、他に定義しな限り、ASTM D 1646に従って、ML(1+4)@125℃で測定することができる。
【0152】
本発明の態様において用いるポリマーは4又は6の下限値、並びに8、10、又は12の上限値の範囲のタクチシティーインデックス(m/r)を有する。本明細書において「m/r」で示す前記タクチシティーインデックスは、13C核磁気共鳴法(NMR)により測定する。前記タクチシティーインデックス、m/rはH. N. Cheng, Macromolecules, 17, 1950 (1984)において定義されている。「m」又は「r」の文字は、隣接するプロピレン基の対を立体化学的に説明するものであり、「m」はメソ、「r」はラセミを意味する。0乃至1.0未満のm/rが、通常シンジオタクチックポリマーであるとされ、1.0のm/rはアタクチック物質であるとされている。1.0より高いm/rはアイソタクチック物質であるとされている。アイソタクチック物質は、理論的には無限大に近い比を有し、多くの副生成物のアタクチックポリマーは50より多い十分に高いアイソタクチック含量を有する。
【0153】
1つの態様において、前記ポリマーはアイソタクチックな立体規則性のプロピレン結晶を有する。本明細書で用いる「立体規則性」の語は、大部分の、即ちエチレン等の他のモノマーを含むポリプロピレン又は連続相中のポリプロピレンのプロピレン残基の80%より多くが、同じ1、2挿入を有し、ペンダントメチル基の立体規則的な配置がメソ、又はラセミのいずれかで同じであることを意味する。
【0154】
本発明の態様のプロピレン単位のタクチシティーの説明するための補助的な方法はトライアドタクチシティーの使用である。ポリマーのトライアドタクチシティーは、頭−尾結合を含む鎖である3つの隣接するポリマー単位の配列の、m又はrの結合の組合せを表す、相対的なタクチシティーである。本発明のポリマーについては、コポリマー中の全てのプロピレン三連対に対する特定のタクチシティー単位数の比で示す。前記プロピレンコポリマーの三連対(mm分画)はWO2004/014997に記載されているようにプロピレンコポリマーの13CNMRスペクトルから決定することができる。
【0155】
充填剤/添加剤
特定の態様において、前記エラストマー組成物は充填剤、添加剤等を含んでいてもよい。好適な充填剤は二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、珪素、二酸化珪素、カーボンブラック、砂、ガラスビーズ、またはグラスファイバー、鉱物の集合体、タルク、粘土、珪灰石等を含む。好適な態様において、前述の充填剤は(組成物の重量に基づいて)20重量%以下、好ましくは10重量%以下、好ましくは5重量%以下、好ましくは0.5乃至5重量%の間の量で存在する。他の態様において、前記組成物は炭酸カルシウムを含まない。前記「含まない」とは、炭酸カルシウムが0.5重量%未満、好ましくは0.01重量%未満であることを特徴とする。
【0156】
本発明のポリマー組成物は、抗酸化剤、アジュバント、及び/又は粘着促進剤等のそれ自体が当分野で知られている典型的な添加剤も含む。好適な抗酸化剤はチバガイギーより販売されているIrganox1010、Irganox 1076等のフェノール系抗酸化剤を含む。他の好適な添加剤はブロック剤、抗ブロック剤、顔料、加工助剤、UV安定剤、中和剤、潤滑剤、界面活性剤、及び/又は核剤を含み。これらの1つ以上をフィルムの1つの1層の中に含んでいてもよい。他の好適な添加剤はポリジメチルシロキサン、ダイ、ワックス、ステアリン酸カルシウム、カーボンブラック、低分子量レジン、及びガラスビーズを含む。好適な粘着促進剤は極性酸(poalr acid)、ポリアミノアミド(ヘンケルより入手可能なVersamid115、125、140等)、ウレタン(例えば、結合剤TN/Mondur Cb−75(Miles,Inc.)のようなイソシエネート/ヒドロキシ末端を有するポリエステルシステム等)、カップリング剤(シランエステル(ダウコーニングより入手可能なZ−6020)等)、チタン酸エステル(Kenrichより入手可能なKr−44等)、反応性アクリレートモノマー(Satomerより入手可能なSB−600等)、金属酸塩(Satomerより入手可能なSaret633等)、酸化ポリフェニレン、酸化ポリオレフィン、酸修飾ポリオレフィン、及び無水修飾ポリオレフィンを含む。
【0157】
他の態様において、ポリマー組成物は3重量%未満の抗酸化剤、3重量%未満の流動改質剤、10重量%未満のワックス、又は3重量%未満の結晶化剤と組み合わせてもよい。
【0158】
本明細書で述べるポリマー組成物と組み合わせることができる他の好適な成分は界面活性剤、充填剤、色彩マスターバッチ等を含む。
【0159】
「充填剤」又は「添加剤」の主要な成分はナノクレイを含む。この態様において、前記エラストマー組成物はナノクレイを含んでもよい(ポリマーとナノクレイの組合せをナノ組成物と言う)。
【0160】
有機クレイは1つ以上のアンモニウム、1級アルキルアンモニウム、2級アンモニウム、3級アンモニウム。4級アンモニウム、脂環式、芳香族、又はアリール脂環式アミンのリン酸誘導体、又は脂環式、芳香族、又はアリール脂環式アミンのスルホニウム誘導体、あるいはフォスフィン、又は硫化物を含む。
【0161】
前記有機クレイは、モントモリロナイト、モントモリロナイトナトリウム、モントモリロナイトカルシウム、モントモリロナイトマグネシウム、ノントロナイト、ベイデライト、フォルコンスコイト(volkonskoite)、ラポナイト(laponite)、ヘクトライト(hectorite)、サポナイト(saponite)、ソーコナイト(sauconite)、マガダイト(magadite)、ケニアイト(kenyaite)、ソボカイト(sobockite)、スフィンドーダイト(svindordite)、ステベンサイト(stevensite)、バーミキュライト(vermiculite)、ハロイサイト(halloysite)、酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト(hydrotalcite)、イライト(illite)、レクトライト(rectorite)、タルソバイト(tarosovite)、レディカイト(ledikite)及び/又はフロリンマイカ(florine mica)の1つ以上から選択してもよい。
【0162】
前記有機クレイは前記ナノ組成物中に0.1乃至50重量%の量で存在することが好ましい。
【0163】
具体的な充填剤/添加剤の量、及び具体的な充填剤/添加剤の種類を示したが、(ここで特に定義されていない)より具体的な本発明の組成物は、任意で1つ以上の充填剤/添加剤を有していてもよく、その量は各成分充填剤/添加剤の総重量に基づいて、好ましくは30重量%未満、又は25重量%未満、又は20重量%未満、又は15重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満である。他の態様においては、その量は2重量%未満、又は1重量%未満である。「充填剤/添加剤を含む組成物」は本発明の重要な特徴ではないが、1つ以上の充填剤及び/又は添加剤が本発明の組成物に添加されていることを意味し、その下限値は100ppm、500ppm、1000ppm、0.1重量%、0.1重量%、又はこれらと同量である。幾つかのケースでは充填剤/添加剤がないことが好ましく、他の好適な態様においては特定の充填剤/添加剤が添加されていることが好ましい。例えば、幾つかの好適な態様では、炭酸塩、無機充填剤等を含まないことが好ましい。充填剤/添加剤を意図的に添加しない態様においても、回避不能な添加剤としての充填剤/添加剤が存在するが、幾つかの態様においては、このような充填剤/添加剤を可能な限り排除するために精製を更に行うことが有用である。本発明が属する分野における当業者は日常的な経験から、これらの成分の好適な性質及び量を決定することができる。
【0164】
成分のブレンド
成分は従来技術及び方法を用いてブレンドすることができる。このような技術及び方法は、重合工程の下流で直接又は間接的に複合押出成形器及びサイドアーム押出し成形器を含む、バンバリーミキサー、Haakミキサー、ブラベンダーミキサー、並びに1軸又は2軸押出成形器各等を用いて、成分をブレンドし、その後に混合機内で溶融混合することにより、又は全成分を直接混合機内で混合する方法を含む。前記成分はペレットに押出成形することができる。ブレンド自体は当業者によく知られている技術である。このペレットを最終加工工程に提供して、例えば、熱成形、又は他の成形又は押出成形して、フィルム、シート、又は他の製品等を製造する。
【0165】
1つ以上の態様において、前記ブレンドは組成物の総重量に基づいて約1.0重量%乃至約90重量%の量の少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンを含む。1つ以上の態様において、前記ブレンドは少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンを組成物の総重量に基づいて約5.0重量%乃至約50重量%の量で含む。好ましくは、前記ブレンドは少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンを組成物の総重量に基づいて約10重量%乃至約30重量%の量で含む。1つ以上の態様において、前記ブレンドは少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンを50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、又は10重量%未満万の量で含む。
【0166】
1つ以上の態様において、前記ブレンドは少なくとも1つの選択的に水素化されたブロックコポリマーを組成物の総重量に基づいて約0.1重量%乃至約90重量%、好ましくは約10重量%乃至約30重量%、好ましくは約50重量%乃至70重量%の量で含む。好ましくは前記少なくとも1つの選択的に水素化されたブロックコポリマーはビニル芳香族もの末端ブロック及び非共役ジオレフィンを用いて調製し、その後に選択的に水素化したミッドポリマーブロックを有する。
【0167】
1つ以上の態様において、前記ブレンドは少なくとも1つのポリプロピレンを約組成物の総重量に基づいて1.0重量%乃至90重量%、好ましくは約5.0重量%乃至約50重量%、好ましくは約10重量%乃至30重量%の量で含む。1つ以上の態様において、前記ブレンドは少なくとも1つのポリプロピレンを50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、又は10重量%未満の量で含む。
【0168】
1つ以上の態様において、前記ブレンドは約5重量%乃至約50重量%の少なくとも1つの低分子量ポリオレフィン、約10重量%乃至約30重量%のビニル芳香族もの末端ブロック及び非共役ジオレフィンを用いて調製し、その後に選択的に水素化したミッドポリマーブロックを有する少なくとも1つの選択的に水素化されたブロックコポリマー、及び約5.0重量%乃至約50重量%の少なくとも1つのポリプロピレンを含む。
【0169】
1つ以上の態様において、前記ブレンドは約10重量%乃至約30重量%の少なくとも1つの低分子量ポリオレフィン、約50重量%乃至約70重量%のビニル芳香族もの末端ブロック及び非共役ジオレフィンを用いて調製し、その後に選択的に水素化したミッドポリマーブロックを有する少なくとも1つの選択的に水素化されたブロックコポリマー、及び約10重量%乃至約30重量%の少なくとも1つのポリプロピレンを含む。
【0170】
試験方法
ガラス転移恩後(Tg)は動的機械熱解析(DMTA)を用いて測定することができる。この試験は、融解前のガラス転移温度及び粘度−弾性領域を含む温度範囲全体にわたる温度に対して変化するサンプルの小さい応力機械反応(弛緩性質)の情報を提供する。
【0171】
通常、サンプルは撓み形状の3点を用いて試験を行う(TA Instruments DMA 2980)。固形のひし形の圧縮成形されたバーを2つの固定支持体に設置する;可動クランプを1Hzの周波数と20μmの振幅で適用して周期的にサンプル中間点を変形させる。このサンプルは初めに−130℃で冷却し、その後3℃/分の割合で60℃まで加熱する。幾つかのケースにおいて、圧縮成形されたバーは他の変形形態を用いて測定する。つまり、2つのカンチレバーで曲げたもの、及び引き伸ばしたものを用いて試験を行う(Rheometrics RSAII)。このように形状に周期的な変形を1Hzの周波数で0.05%の歪み振幅で適用した。サンプルを−30℃で冷却し、その後2℃/分の速度で60℃まで加熱した。加熱速度のわずかな違いはガラス転移温度の測定には有意に影響することはない。
【0172】
DMTAデータのアウトプットは貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E’’)である。貯蔵弾性率は弾性性質又は物質がエネルギーを貯蔵する能力を測定する。損失弾性率は粘性性質又は物質がエネルギーを消失する能力を測定する。TanデルタはE’’/E’の比であり、物質の減衰性質の測定値を提供するものである。幅広いガラス転移(β弛緩)の初期はtanデルタピークに対する推定されたタンジェントであると定義される。更に、ピーク温度及びこのピークの下の面積はガラスから粘性−弾性領域の転移を詳細に特徴付けるために測定される。従って、このガラス転移温度はβ弛緩ピークに関係したピーク温度である。
【0173】
示差走査熱量計(DSC)
結晶温度(Tc)及び融点(Tm)はTA Insturuments 2920 DC等の市販の装置を用いた示差走査熱量計(DSC)により測定する。通常、6乃至10mgの成形ポリマー又は可塑化ポリマーをアルミニウムパンの中に封入し、室温において前記装置に設置する。融点(第一加熱)は10℃/分の加熱速度で少なくとも30℃以上の融点、ポリプロピレンでは通常220℃に加熱することにより得られる。このサンプルを少なくとも5分間この温度に維持し、その熱履歴を崩壊させる。結晶化データは同じサンプルを20℃/分の冷却速度で、少なくとも50℃以下の結晶化温度、ポリプロピレンでは通常−50℃に冷却することにより得られる。このサンプルをこの温度に少なくとも5フォン間維持し、最後に10℃/分の加熱速度で、追加的な融解データをとる(第二融点)。この吸熱性の融解転移(第一及び第二加熱)及び発熱性の結晶化転移を転移の開始及び/又はピーク温度について解析する。本明細書で融点としているのは他で定義しない限り第二過熱による融点ピークである。多くのピークを示すポリマーについては、融点(又は融解温度)はDSC融解トレースからの(即ち、この温度範囲において最も大きい吸熱反応に関係する)ピーク融解温度であると定義する。同様に、結晶化温度はDSC結晶化トレースからの(即ち、この温度範囲における最も大きい発熱反応に関する)ピーク結晶温度であると定義される。
【0174】
DSC曲線の下の面積は結晶化度の計算に用いる(パーセント結晶化度とも言う)融解熱を決定するのに用いる(融解熱、Hf、融点又は結晶化温度における、Hc、結晶化における)。結晶化度のパーセント(X%)は以下の式を用いて計算する;
[曲線の下の面積(J/g)/H(J/g)]*100
式中Hは主要なモノマー成分のホモポリマーの融解熱である。Hについての値は290J/gが結晶化度100%のポリエチレンの平衡融解熱(H)であり、140J/gが結晶化度100%のポリブテンの平衡融解熱(H)であり、207J/gが結晶化度100%のポリプロピレンの平衡融解熱(H)であることを除いて、Polymer Handbook, Fourth Edition, published by John Wiley and Sons, New York 1999から得ることができる。
【0175】
125℃における結晶化ハーフタイムはPerkin Elmer Pyris I DSCを用いて測定することができる。このサンプルを200℃で10分間融解し、150℃/分で160℃まで冷却し、その後40℃/分で140℃にする。140℃を45分間維持し、再び150℃/分で200℃まで加熱し、10分間維持する。その後150℃/分で145℃に冷却し、その後40℃/分で125℃に冷却し、125℃で45分間維持して、結晶化データを得る。この結晶化ハーフタイムは最終的な結晶の半分を形成するのに要する時間であり、△Hcにより測定される。即ち、45分後の最終△HcはX J/gであり、この結晶化ハーフタイムは△HcがX/2 J/gになるのに要する時間である。140℃における結晶化ハーフタイムは最終温度を140℃とした以外は同様に測定した。
【0176】
ポリマーのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC−3D)
分子量(重量平均分子量、Mw、数平均分子量、Mn、及び分子量分布、Mw/Mn、又はMWD)は示差屈折率検出器 (DRI)、オンライン光散乱検出器及び 粘度計を備えた高温サイズ排除クロマトグラフ(High Temperature Size Exclusion Chromatograph)(Waters Corporation製、又はPolymer Laboratories製の何れか)を用い決定された。以下で説明していない試験手順についての詳細、及び検出器のキャリブレーションについては、T. Sun, P. Brant, R. R. Chance, and W. W. Graessley, Macromolecules, Volume 34, Number 19, 6812−6820, (2001)に記載されている。
【0177】
Polymer Laboratories の3つのPLgel 10mm Mixed-Bカラムを使用した。名目上のフローレートは0.5cm/分、名目上の射出容量は300μLであった。種々のトランスファーライン、カラム及び示差屈折計(DRI検出器)を135℃に保たれた炉に納めた。SECの実験のための溶媒は、4リットルのAldrich試薬、グレード1,2,4トリクロロベンゼン中に抗酸化剤として、6グラムのブチル化ヒドロオキシ トルエンを溶解させ作った。TCB混合物をその後0.7μmガラス前置フィルタ、及び続いて0.1μmテフロンフィルターを通してろ過した。その後、SECに入る前に、オンライン脱気剤によりTCBを脱気した。乾燥ポリマーをガラスコンテナーに入れ、所望の量のTCBを加え、その後混合物を約2時間絶えずかき混ぜながら160℃まで加熱してポリマー溶液を準備した。数量はすべて重量により計測した。質量/容量単位のポリマー濃度を表すために用いたTCB密度は室温で1.463g/mlで、135℃で1.324g/mlである。射出濃度は1.0から2.0mg/mlの範囲であり、低濃度のものを高分子サンプルの生産に用いた。各サンプルを投与する前に、DRI検出器及び射出器を洗浄した。機器の流量をその後0.5ml/分の割合で増やし、そして最初のサンプルを射出する前にDRIを8乃至9時間かけて安定化させた。LSレーザーはサンプル投与1乃至1.5時間前に電源が入れられた。
【0178】
クロマトグラムの各点の濃度、c、は基準値を差し引いたDRI信号、IDR、から次の式を用いて算出する:
【式1】
【0179】

ここでKDRIはDRIを測定することにより決定される定数であり、(dn/dc)は、以下のLS分析に記載されているものと同じものである。このSEC法の記述おいてはパラメータの単位は全て、濃度はg/cm, 分量はg/モル、固有粘度はdL/gで表される。
【0180】
使用された光散乱検出器はWyatt Technology High Temperature mini-DAWNである。クロマトグラムの各点でのポリマーの分子量、Mは静的光散乱Zimmモデルを用いるLS出力を分析して決定される(M. B. Huglin, LIGHT SCATTERING FROM POLYMER SOLUTIONS, Academic Press, 1971):
【式2】
【0181】

ここでΔR(θ)は散乱角度θに於ける測定された過剰レーリー散乱強度であり、cはDRI分析により決定されるポリマー濃度であり、Aは第二ビリアル係数(second virial coefficient)であり、P(θ)は単分散ランダムコイル(monodisperse random coil)の形状因子(form factor)(上記の参照文献に記載されている)であり、そしてKoはシステムの光学定数である:
【式3】
【0182】

ここでNはアボガドロ数、及び(dn/dc)はシステムの屈折率の増加である。TCBの屈折率nは、135℃のTCBでn=1.500及びλ=690nmである。本発明においては、ポリプロピレンの(dn/dc)=0.104であり、他のものについては0.1である。
【0183】
Viscotek Corporationの高温粘度計が使用され、この粘度計は2つの圧力トランスジューサを備えたWheatstoneブリッジ構成に4つの毛細管を配置したものである。トランスジューサの一つは検出計全体の全圧力減を測定し、他のトランスヂューサは、ブリッジの両サイドの間に位置して圧力差を測定する。粘度計を通過する溶液の比粘度ηsは、その通過量から計算する。クロマトグラムの各点での固有粘度[η]は以下の式により算出される:
【式4】
【0184】

ここでcはDRI解析から決定されたポイントiの濃度である。
【0185】
枝分かれ指数 (g')は、SEC-DRI-LS-VIS法の測定値を用いて以下の様に計算される。サンプルの平均固有粘度、[η]avgは以下の式により算出する:
【式5】
【0186】

ここで、合計値は積分限界の間のクロマトグラフ部分、iの全体に対するものである。枝分かれ指数g’は次の通りに定義される:
【式6】
【0187】

ここでエチレン、プロピレン、及び/又はブテンポリマーについてはα=0.695、エチレンポリマーについてはk=0.00579、プロピレンポリマーについてはk=0.000262、ブテンポリマーについてはk=0.000181である。MvはLS解析により決定された分子量を基にした粘度―平均分子量である。
【0188】
13C−NMRスペクトロスコピー
アイソタクチック、及びシンジオタクチックダイアド([m]及び「r」)、トリアド([mm]及び「rr」)、並びにペンタッズ([mmm]及び「rrr」)を含むポリマー構造は13C−NMRスペクトロスコピーにより決定することができる。ポリマーサンプルをd2−1,1,2,2−テトラクロロエタン中で溶解し、当該サンプルは75または100MHzのNMR分光計を用いて125℃で記録した。ポリマー共振ピークはmmmm=21.8ppmを参照する。NMRによるポリマーキャラクタリゼーションに関する計算は“Polymer Conformation and Configuration”Academic Press,ニューヨーク 1969のF.A.Bovey及び“Polymer Sequence Determination,Carbon−13 NMR Method”、Academic Press、ニューヨーク、1977のJ.Randallの研究に従う。2つのメチレン配列長さの割合、すなわち%(CHを以下の通り計算した:14〜18ppmメチル炭素の積分(濃度は2つの配列中のメチレン長さの数に等しい)を45〜49ppmの1のメチレン配列長さの積分及び14〜18ppmのメチル炭素の積分の合計で割り、100倍する。3以上のメチレン配列は除外されるので、これは2以上の配列に含まれるメチレン基の量の最小限の計算である。値の付与はH.N.Cheng and J.A.Ewen、Makromol.Chem.1989、190、1931に基づいた。
【0189】
流動性質
流動点は好ましくはASTM D 97により測定する。
【0190】
動粘度(KV)は好ましくはASTM D445により測定する。
【0191】
比重は好ましくは特定の温度で、ASTM D 4052により測定する。
【0192】
粘度指数(VI)はASTM D 2270により測定する。
【0193】
色はASTM D 1209によるAPHPスケールに基づいて決定することができる。100のAPHAカラーは、約+10のSaybot color(ASTM D 156)に相当する。20のAPHAカラーは、約+25のSaybot color(ASTM D 156)に相当する。0のAPHAカラーは、約+30のSaybot color(ASTM D 156)に相当する。
【0194】
カーボンタイプ組成はASTM D 2140で決定することができ、流体中の芳香族炭素(C)、ナフテン炭素(C)、及びパラフィン炭素(C)のパーセンテージを得ることができる。具体的には、Cは芳香環構造を有する流体の総炭素原子の重量%である。Cは飽和環構造を有する流体の総炭素原子の重量%である。Cはパラフィン鎖タイプの構造を有する流体の総炭素原子の重量%である。ASTM D 2140は、流体の「粘度比重含量(VGC)」及び「屈折能阻害(RI)」の計算、及びこれら2つの値に基づく関数から炭素タイプ組成を決定することを含む。しかしながら、この方法は高いパラフィンオイルについては、VGCとRIが相関関係にならないので適用できないことが知られている。それ故、本発明の目的のために、以下のプロトコルを用いた:流体について計算されたVGC(ASTM D 2140)が0.800以上である場合、前記炭素タイプ組成はASTM D 2140で測定されたCpを含む。流体について計算されたVGC(ASTM D 2140)が0.800未満である場合、前記流体は少なくとも80%のCpを含む。流体について計算されたVGC(ASTM D 2140)が0.800未満で0.765より大きい場合、Cpを含む炭素タイプ組成を決定するために、ASTM D 3238を用いる。適用したASTM D 3238が非物理的な量(例えば、負のC値)になったならば、Cpが100%であると定義する。ASTM D 2140)が0.765以下である場合、Cpが100%であると定義する。
【0195】
数平均分子量(Mn)
数平均分子量(Mn)は1つ又は2つの方法に決定することができる。100℃において10cSt以下の動粘度を有するサンプルについて、マススペクトル検出器を備えたガスクロマトグラフィー(GC)が好ましい。そのようなGC方法は一般的に、“Modern Practice of Gas Chromatography”, R.L. Grob and E.F. Barry, Wiley−uiterscience, 3rd Edition (July 1995)に記載されている。100℃において10cSt以下の動粘度を有するサンプルについては、ポリスチレン標準物質を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)が好ましい。そのようなGPC法は“Modern Size Exclusion Liquid Chromatographs”, W.W. Yan, JJ. Kirkland, and D.D. BIy, J. Wiley & Sons (1979)に記載されている。
【0196】
性能
NFPの性能は0.25mm厚のシートを70℃のオーブンで300時間加熱したあとの重量損失を測定するASTM D 1203を用いて測定することができる。耐久性は100%から補整された%重量ロスを引くことで得られる。補整された%重量ロス=(可塑化組成物の重量ロス%)−(同じ試験条件下のおける未可塑化組成物の重量ロス%)である。%重量ロス=100×(W−Wo)/Wo、W=乾燥後の重量であり、Woは乾燥前の重量である。未可塑化組成物は、NFPを含まない点を除いては可塑化組成物生物と同じ成分を含む。
【0197】
ブレンド中のNFPの検出法
ブレンド中の改質剤含量(重量%ベース)を決定するのに好ましい方法は抽出法である。CRYSTAF法も用いるが、改質されたポリエチレンのCRYSTAF可溶化分画が30%より多い場合には以下で説明するNMR方法を用いる。抽出法とCRYSTAF法の結果が矛盾する場合には、抽出法を採用する。両方法は溶液方法である。両方法は、改質剤濃度の関数である所定のパラメータの検量線(又は検量線のセット)に基づくモデルを構築する工程を含む。検量線用のブレンドは所定量の改質剤を含む、測定を意図するポリマー及び改質剤のブレンドを用いて調製する。基準物質のセットは少なくとも5点をとり、ポリマー単独及び、測定を意図するブレンド中の改質剤の最大濃度以上及び50重量パーセント未満の濃度の少なくとも1つの改質剤濃度を含む。測定される前記ブレンドは標準物質を同じ条件下で測定され、前記モデルに当てはめることにより改質剤濃度を計算する。
【0198】
抽出法
この方法はソックスレー抽出法を含む。該方法は大部分のNFPを還流しているn−ヘプタンで抽出する方法である。ブレンド中の可塑剤のレベルは、抽出物を収集して、重量測定することにより決定される。抽出物のレベルはベースポリマーのレベルにより決定される。
【0199】
ソックスレー抽出装置は400mlソックスレー抽出器、幅の広いオーバーフローチューブ(サイフォニングを避け、流れが一定の抽出を提供するため)、メインソックスレーチャンバーの内側にはめてある金属スクリーンケージ、前記スクリーンケージの内側に設置してあるソックスレー抽出シンブル(Whatman, 単一厚のセルロース)、冷却水及び排出口を含む濃縮器、好適なサイズの撹拌バー及び加熱マントルを有する1000mlの1首丸底フラスコ。
【0200】
手順は以下のようである。ソックスレーシンブルを95℃のオーブンで60分乾燥する。オーブンから取り除いた直後に乾燥シンブルの重量を測定し、重量を記録する(A;前シンブル重量、g)。15乃至20gの重量を測定し、記録したサンプルをシンブルの中に入れ、重量を記録する(B;ポリマー重量、g)。ポリマーを含むシンブルをソックスレー装置内に設置する。約300mlのHPLCグレードのn−ヘプタンを丸底フラスコ内に注ぎ、加熱マントルの上に設置する。前記丸底フラスコ、ソックスレー、及び濃縮器をつなぐ。n−ヘプタンを濃縮器の中央から、溶媒のレベルがオーバーフローチューブの上部の少し下になるまで、ソックスレーメインチャンバーに注ぐ。濃縮器に冷却水を循環させる。加熱を開始し、丸底フラスコの中の溶媒が沸騰し、循環するのに好適な温度に維持する。還流を16時間続ける。加熱を停止するが冷却は維持しておく。システム全体を室温になるまで冷却を続ける。装置を分解する。シンブルを取り出し、少量の新鮮なn−ヘプタンですすぐ。実験フードの中で風乾し、95℃のオーブンで90分乾燥する。ポリマーを含む前記シンブルの重量をオーブンから取り出した直後に測定し、記録する(C;後ポリマー/シンブル重量、g)。
【0201】
抽出の量はサンプルの重量損失を計算して得る。即ち、W=(A+B+C)g。抽出物のレベル、E(重量パーセント)はE=100(W/B)で計算される。ブレンド中の可塑剤の含量、Pは、P=E(ブレンド)−E(ベースポリマー)により計算する。
【0202】
結晶分析分別(CRYSTAF)
このテクニックは高い温度で溶剤のサンプルを溶かして、次に溶解度に基づくサンプルの分別を引き起こすためにゆっくり溶液を冷やすのを伴う。配合物類を含む半結晶サンプルでは、溶解度は主として結晶度に依存する:サンプルの、より結晶である部分はサンプルの、より結晶でない部分より高い温度で溶液から沈殿する。温度に関する関数としての溶液における相対的な量のサンプルは、累積溶解度分布を得る探知器である赤外線(IR)検出器を使用することで測定される。可溶分画(SF)は、すべてのサンプルが高温で溶解し、結晶化していないサンプルの重量分画に対応するIRシグナルで割った最低温度におけるIRシグナルであると定義される。
【0203】
熱可塑性ポリオレフィン中のNFPの場合、前記NFPは、大部分又は完全にアモルファスであり、それゆえ、SFの過半数又はSF全体はNFPである。したがって、ブレンドがより多くのNFPを含むと、SFは、より高くなる。この関係は、組成が明らかである(ポリマー及び改質剤タイプ)が、濃度が知られていない場合の測定に利用される。改質剤含量の関数であるSFの傾向を説明する検量線は同じポリマー及び改質剤を用いた既知の濃度のブレンドのシリーズを直接CRYSTAF反応管の中で作成し、これらのブレンドを未知の濃度のブレンドと同じ条件下で測定することにより得られる。5つの標準物質のうちの最小の濃度のものは、未修飾ポリマーと、未知サンプルの濃度の以上の少なくとも1つのNFP濃度及び1つのこれ以下のNFP濃度を含むことで、濃度の知られていないサンプルに検量線を適用する。通常、NFP含量の関数となるSFがきちんと測定されていれば、検量ポイントの直線性が高くなる(即ち、R2>0.9)。必要に応じて、二次適合を用いて、前記傾向を改善する(即ち、R2>0.9)。二次適合が不十分である場合、所望の範囲内において測定ポイントを増やして更なる標準物質を測定し、所望の範囲内で、確実な検量線が得られるように、適合範囲を限定する(即ち、R2>0.9)。この標準曲線を測定されるブレンドのSF測定値にあてはめ、それらの典型的な液体含量を計算する。
【0204】
典型的なCRYSTAF方法を以下で説明する。60mlのボリュームの5つの撹拌用ステンレス反応管を有する市販のCRYSTAF 200装置(Polymer Char S.A.、バレンシア、スペイン)をこのテストを実行するのに使用した。約30mgのサンプルを60分間、160℃で、2g/4Lのブチレートヒドロキシトルエンで安定化された1,2−ジクロロベンゼン30mlで溶解した。そして、溶液は45分100℃で平衡化した。結晶化工程は0.2℃/分の速度で100乃至30℃まで反応管の温度を下げることにより行った。セルを通る加熱された流れが150℃で維持されている二元波長赤外線検出器は結晶サイクルの間一定の間隔で溶液におけるポリマー濃度を測定するのに使用した。計測波長は3.5μmであった、そして、参照波長は3.6μmであった。
【0205】
未修飾ポリエチレンの可溶化分画が上で説明したように、1,2−ジクロロベンゼンにおいて解析された場合のように、30%より大きい場合、フェニルエーテルは溶媒として用いられる。この場合、温度はCRYSTAFプロトコルに従って調節する。溶解温度は、160℃であり、平衡化温度は180℃であり、スキャン温度は160℃乃至80℃であり、検出器は180℃に維持されている。これ以外は前記方法と同一である。未修飾ポリエチレンの融解分画が、30%より多くない場合は、NMR方法を用いる。
【0206】
核磁気共鳴法(NMR)
ブレンド中の改質剤の量を測定する第二の方法は高温溶液相13C−核磁気共鳴法(HTS−NMR)である。前記組成物はキャリブレーションブレンド(即ち、既知の量(重量%)の改質剤を含むように調製されたポリマー及び改質剤のブレンド)のほかに、ポリマー単独及び改質剤単独の参考スペクトルを用いて測定した。前記スペクトラを解析して、改質剤の含量が高くなるにつれて、同じように強度が上昇又は減少している1つ以上の診断用の共鳴及び共鳴のクラスターを決定する。対応するピークを統合し、前記ピークの合計に対する分画の寄与率を改質剤含量(重量%)に応じて算出し、検量線のセットを作成する。改質剤含量を計算する手段を提供するために、これらの検量線を用いてケモメトリクスモデルを作成する。診断用共鳴の数を選択し、前記モデルを用いて改質剤含量を予測する。キャリブレーション範囲の精度は1重量%以下である。ケモメトリクスの説明及びケモメトリクスモデルの作成方法については、Chemometric Techniques for Quantitative Analysis by Richard Kramer (Marcel Dekker, 1998)を参照のこと。未知の濃度のブレンドはその後以下のようにキャリブレーションされたHTS−CNMRにより、NFPの重量%を解析する。
【0207】
典型的なHTS−CNMR法を以下に説明する。サンプルを、データ収集を促進するための緩和剤として、クロミウムアセチルアセトン[Cr(acac)3]を用いて、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2中で調製する。ストック溶媒中のCr(acac)3濃度は約15mg/mlである。サンプル濃度は10乃至15重量%の間である。15,000トランシエントの自由誘導減衰は10mmブロードバンドプローブを用いたVarian UnityPlus 500上に、120℃の温度で蓄積された。スペクトラは90°の炭素励起パルス、及び逆ゲートWALTZ−16プロトン分離を用いて収集された。約1秒の収集時間、及び3.5秒のリサイクル遅れを用いて量的統合を得た。
【0208】
溶媒の選択及びサンプルの濃度を調節して、異なる可溶性を調節して、ブレンドの特定の組成物に基づくスペクトルの阻害を最小限にすることができる。CNMR技術の一般的な説明は、High-Resolution Methods and Applications in Organic Chemistry and Biochemistry, 3rd edition, Eberhard Breitmaier and Wolfgang Voelter (VCH、1990)を参照のこと。
【0209】
最終製品
本発明の組成物は特にワイヤー及びケーブル装置に有用である。この点において、本発明の組成物は特に加工が容易であり、かなりの量の抗酸化剤を用いなくても熱安定性を有する物質であるので絶縁体に抵抗をもたらすような製品に有用である。
【0210】
本発明の組成物は、特に食品及び医療器具に用いる成形製品に特に有用である。この点において、本発明の組成物は、容易に射出成形し、及びフィルムに押出し成形することが可能であるので、特にこのような製品に有用である。これらはニトロソアミン(又は加硫剤)又はナフタレン可塑剤を必要としないので(即ち好適な態様においてはこの組成物はこれらの成分を含んでいない)、この組成物から製された部品は比較的、燃焼させたときに「大気汚染の少ない」製品となる。前記組成物は電磁波放射線、特にガンマ線に対して安定である(従って、電磁波放射線に対する安定剤を必要としない)。
【0211】
本発明の組成物は計パネル、シート材料、バンパー部品等の柔軟に成形することができる装飾製品及び構造的な自動車部品に特に適している。この点において、本発明の組成物は射出成形が容易であり、容易にフィルムに押出し成形することができ、電磁波放射線及びUV照射に対して安定性を有している(安定剤を必要としない)ので、このような製品に有用である。
【0212】
好適な態様
本発明の好適な態様は;
(A)以下を含む組成物、
(i)少なくとも1つの低分子量ポリオレフィン;
(ii)ビニル芳香族モノマーの末端ポリマーブロック及びオレフィンから調製されその後水素化されたミッドブロック;及び
(iii)ポリプロピレン又は更に好ましくは、(i)が約400乃至1000g/molの分子量を有するPAOである場合、
(a)(iii)はMFR>2g/10分、好ましくは5g/10分、更に好ましくは10g/10分、更に好ましくは20g/10分、更に好ましくは30g/10分を特徴とするホモポリマー(前記MFRはASTM D 1238(230℃/2.16kg)で定義される)、
(b)(iii)はコポリマー、又は
(c)(iii)はメタロセン触媒により生成されたポリマー又はコポリマー、又は
(d)前記組成物は炭酸カルシウムを含まない、並びに
より好適な態様において、以下から選択される
(ii)が更に約10,000より多い、好ましくは約12,000より多い、更に好ましくは15,000より多いMnを有するエンドブロック、及び約75,000より多い、好ましくは約80,000より多いMnを有するミッドブロックを有することを特徴とし(任意で>10/>75/>10、>12/>75/>12、>15/>75/>15、>10/>80/>10、>12/>80/>12、>15/>80/>15のMn/1000とも記載することができる)(注:Mnは本明細書で説明するGPC法により測定され、前記GPC法は10%の誤差を有する)、及び/又は
(ii)が更に15重量%より多い、好ましくは20重量%以上(従って、本発明の属する分野の当業者に自明である可能な限りの態様の組合せを提供すると、(ii)が少なくとも1つのSEBSを含み、前記SEBSは少なくとも以下の1つを特徴とする(a)約100,000より大きいMnを有するエンドブロック及び約75,000より大きいMnを有するミッドブロック、及び(b)前記ブロックコポリマーの重量に基づい)て約15重量%のスチレン含量);前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンはC3乃至C10αオレフィン、C3乃至C14αオレフィン、C3乃至C12αオレフィン、C6乃至C14阿附ライブラリーオレフィン、C6乃至C12αオレフィン、C8乃至C12αオレフィンのオリゴマーより選択されるか、又は前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンはC10αオレフィンのオリゴマーから選択される;前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンは約100g/molより大きい、及び2,000g/mol未満の数平均分子量を有し、又は1000g/molより大きい数平均分子量を有し、又は2000g/mol以上の数平均分子量を有する(Mnの上限値は21,000であり、他の限定は本明細書に記載してある、例としては、本発明の成分(i)に用いるPAOは10,000、3,000である);前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンは25℃で液体である。(ii)は選択的に水素化されたSIS、SBS、星状分岐SIS、及び星状分岐SBSから選択される;前記ポリプロピレン成分はアタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つのポリプロピレンである。前記ポリプロピレン成分はチグラ−ナッタ触媒を用いて製造されたポリプロピレン、メタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレン、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つのポリプロピレンである。前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンは、0℃以上の融点を有さず、30,000cSt以下の25℃における動粘度を有し、更に
(a)400cSt未満の100℃における動粘度(KV100);
(b)200℃より高いの引火点
(c)−25℃未満の流動点、
(d)0.85以下の比重、
40℃以下の蒸留温度の上限と下限の温度差、及び
(e)115℃乃至500℃の引火点
の中の少なくとも1つを有することを特徴とする非官能化可塑剤(NFP)である(又は前記NFPは、前記性質の少なくとも2つを有することを特徴とする、又は前記NFPは、前記性質の少なくとも3つを有することを特徴とする、又は前記NFPは、前記性質の少なくとも4つを有することを特徴とする、前記性質の全てを有することを特徴とする、前述の性質は更に、前記NFPがメタロセン触媒を用いて製造された場合、前記NFPが還元金属酸化物を用いて製造された場合、前記NFPがゼオライト触媒を用いて製造された場合に場合わけすることができる)。前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンはグループIII炭化水素オイルベースストック、GLT由来ベースストック、ポリイソブチレン、ワックス異性体、潤滑油ベースストック、エチレン/ブテンコポリマー、及びこれらの混合物から選択される。特に好適なものは前述の限定及びその組合せであって、更に前記組成物が加硫剤、ナフタレン可塑剤、UV安定剤、及びガンマ線安定剤、及び/又は前記組成物が炭酸カルシウムを含まない、又は前記組成物が任意の充填剤を含まない、又は前記組成物が(i)、(ii)、及び(iii)から必ず成る、又は前記組成物が(i)、(ii)、及び(iii)から成る(「必ず成る」、「成る」の語は特許文献において通常用いられているような意味で用いる)。前記組成物は、125℃で5日間老化した後に以下のようなパラメーターを有することを特徴とし、前記パラメータは老化前の同じサンプルにおける測定値に相対するものである:
(a)100%弾性率の減少が15%未満、好ましくは10%未満、
(b)引張強度の減少が55%未満、好ましくは45%未満、
(c)破断点伸びの減少が25%未満、好ましくは20%、更に好ましくは15%未満、及び、
(d)堅牢性の減少が60%未満、好ましくは50%未満、更に好ましくは45%未満、、並びに更に好ましくはそのような組成物は少なくとも2つの前記パラメーターを有することを特徴とし、又は少なくとも3つの前記パラメーターを有することを特徴とし、又は少なくとも4つ全ての前記パラメーターを有することを特徴とし、(a)乃至(d)の「好ましい」とされるパラメーターのそれぞれによっても特徴付けられる。
【0213】
本発明の他の好適な態様としては、(B)前述の限定又は限定の組合せにより定義された組成物を含む製品であって、特に前述の製品は(熱成形法又はこれ以外の方法で製造されていてもよい)、前述の組成物含み、前記製品は絶縁物質、及び前記物質により絶縁体とされた物質を含み、前記絶縁物質は本明細書で定義された任意の1つの限定、又は限定の組合せにより定義される組成物を含む。特に前記絶縁物質により絶縁体とされた物質はワイヤー、ケーブル、繊維、及びこれらの組合せを含む。
【0214】
本発明の他の好適な態様としては、(C)エラストマー性物質を含む組成物から製品を熱成形する工程を含む熱成形方法であって、本段落の(A)で定義された絶縁体の任意の1つ、又はこれらの限定の組合せにより定義される組成物を提供する工程を含むことを改良点とするものである。この改良点は特に熱成形が射出成形及び/又は押出し成形である場合に有用である。
【0215】
他の態様において、本発明は、
1.(i)少なくとも1つの低分子量ポリオレフィン
(ii)ビニル芳香族モノマーの末端高分子ブロック及びオレフィンを用いて製造し、その後水素化して得られたミッドブロック(mid−block)を有するブロックコポリマーを選択的に水素化することにより得られたブロックコポリマー、及び
(iii)ポリプロピレンを含む組成物であって、
(iv)(i)が約400乃至1000g/molの間の分子量を有するPAOである場合、
(a)(iii)が2g/分より大きいMFRを特徴とするホモポリマーであるか、
(b)(iii)がコポリマーであるか、
(c)(iii)がメタロセン触媒により製造されたポリマー又はコポリマーのいずれかであるか、あるいは、
(d)組成物が炭酸カルシウムを含まない
ことを特徴とする組成物;
2.(ii)が更に少なくとも1つの(a)約10,000より高いMnを有するエンドブロック、及び(b)約75,000より高いMnを有するミッドブロックの少なくとも一つにより更に特徴付けられる1.に記載の組成物;
3.(ii)が前記ブロックコポリマーの重量により15wt%より多くのビニル芳香族モノマー含量を有することを特徴とする1.又は2.に記載の組成物。
【0216】
4.(ii)が少なくとも1つのSEBSを含み、前記SEBSが
(a)約10,000より大きいMnを有するエンドブロック及び約75,000未満のMnを有するミッドブロック、及び
(b)前記ブロックコポリマーの重量に基づいて、15wt%未満のスチレン含量、
から選択される少なくとも1つの特徴を有する、1..、及び3.に記載の組成物。
【0217】
5.少なくとも1つの低分子量ポリプロピレンがC3乃至C14アルファオレフィンのオリゴマーから選択されることを特徴とする、1.乃至4.に記載の組成物。
【0218】
6.前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが約100g/molより多く約2,000g/モル未満の数平均分子量を有することを特徴とする、1.乃至5.に記載の組成物。
【0219】
7.前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが25℃において液体であることを特徴とする1.乃至6.のいずれかに記載の組成物。
【0220】
8.(ii)が選択的に水素化されたSIS、SBS、星状分岐SIS、及び星状分岐SBSから選択されることを特徴とする1.乃至7.のいずれか1項に記載の組成物。
【0221】
9.前記ポリプロピレンがアタクチックポリプロピレン、イアソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、1.乃至8.のいずれかに記載の組成物。
【0222】
10.前記ポリプロピレンがチグラ−ナッタ触媒を用いて製造されたポリプロピレン、メタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレン、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、1.乃至9.のいずれかに記載の組成物。
【0223】
11.前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが非官能化可塑剤であり、前記可塑剤が0℃以上の融点を有しておらず、25℃における動粘度が30,000cStであり、及び
(a)400cSt未満の100℃における動粘度(KV100)、(b)200℃より高い引火点、(c)−25℃未満の流動点、(d)0.85以下の比重、40℃未満蒸留範囲の上限温度及び下限温度の差、及び(e)115℃乃至500℃の終点、の少なくとも1つのパラメータにより特徴付けられる、1.乃至10.に記載の組成物。
【0224】
12.前記NFPが11.に記載の少なくとも2つの前記パラメータにより特徴付けられることを特徴とする、11.に記載の組成物。
【0225】
13.前記NFPが11.に記載の少なくとも3つの前記パラメータにより特徴付けられることを特徴とする、11.に記載の組成物。
【0226】
14.前記NFPが11.に記載の少なくとも4つの前記パラメータにより特徴付けられることを特徴とする、11.に記載の組成物。
【0227】
15.前記NFPが11.に記載の全てのパラメータにより特徴づけられる11.乃至14.に記載の組成物。
【0228】
16.前記NFPがメタロセン触媒を用いて製造されることを特徴とする11.乃至15.に記載の組成物。
【0229】
17.前記NFPが還元されたメタロセン触媒を用いて製造されることを特徴とする11.乃至16.に記載の組成物。
【0230】
18.前記NFPが還元された金属酸化触媒を用いて製造されることを特徴とする、11.乃至17.のいずれかに記載の組成物。
【0231】
19.前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンがグループIII炭化水素オイル、GLT由来ベースストック、ポリイソブチレン、異性化ワックス潤滑油ベースストック、エチレン/ブテンコポリマー、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、1.乃至18.に記載の組成物。
【0232】
20.前記組成物が炭酸カルシウムを含んでいないことを特徴とする、1.乃至19.のいずれかに記載の組成物。
【0233】
21.前記組成物が加硫剤、フタル酸エステル系可塑剤、UV安定剤、及びガンマ線安定剤を含まないことを特徴とする、1.乃至20.に記載の組成物。
【0234】
22.125℃の空気中に5日間置いて老化させた場合に、老化前のサンプルに対して、
(a)15%未満の100%弾性率の低下、
(b)55%未満の引張強度の低下、
(c)25%未満の破断点伸びの低下、及び
(d)60%未満の堅牢性の低下
のなかの、1つ以上のパラメータを更に含むことを特徴とする、1.乃至21.に記載の組成物。
【0235】
23.125℃の空気中に5日間置いて老化させた場合に、老化前のサンプルに対して、
(a)10%未満の100%弾性率の低下、
(b)45%未満の引張強度の低下、
(c)15%未満の破断点伸びの低下、及び
(d)45%未満の堅牢性の低下
のなかの、1つ以上のパラメータを更に含むことを特徴とする、1.に記載の組成物。
【0236】
24.少なくとも2つの前記パラメータを有する22.又は23.のいずれかに記載の組成物。
【0237】
25.少なくとも3つの前記パラメータを有する22.又は23.のいずれかに記載の組成物。
【0238】
26.少なくとも全ての前記パラメータを有する22.又は23.のいずれかに記載の組成物。
【0239】
27.前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが約1,000g/molより多きい数平均分子量を有することを特徴とする、1.乃至26.に記載の組成物。
【0240】
28.1.乃至27.の組成物を含む製品。
【0241】
29.1.乃至27.の組成物を含む熱成形製品。
【0242】
30.絶縁物質、及び前記絶縁物質により絶縁された物質を含む製品であって、前記絶縁物質が1.乃至27.の組成物を含むことを特徴とする、製品。
【0243】
31.前記絶縁物質により絶縁された物質が、ワイヤー、ケーブル、繊維、及びこれらの混合物であることを特徴とする、28.に記載の製品。
【0244】
32.熱可塑性物質を含む組成物から製品を熱成形する工程を含む熱成形方法であって、1.乃至27.の組成物を提供する工程を含む改良点を含むことを特徴とする方法。
【0245】
33.前記熱成形工程が射出成形及び押出し成形から選択されることを特徴とする32.の熱成形方法。
【0246】
34.前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが、約400乃至1000g/molの間の分子量を有するPAOであり、前記ポリプロピレンが2g/10分より大きいMERにより特徴付けられることを特徴とする、1.乃至27.のいずれかに記載の組成物。
【0247】
35.前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが、約400乃至1000g/molの間の分子量を有するPAOであり、前記ポリプロピレンが5g/10分より大きいMERにより特徴付けられることを特徴とする、1.乃至27.のいずれかに記載の組成物。
【0248】
36.前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが、約400乃至1000g/molの間の分子量を有するPAOであり、前記ポリプロピレンが10g/10分より大きいMERにより特徴付けられることを特徴とする、1.乃至27.のいずれかに記載の組成物。
【0249】
37.前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが、約400乃至1000g/molの間の分子量を有するPAOであり、前記ポリプロピレンが20g/10分より大きいMERにより特徴付けられることを特徴とする、1.乃至27.のいずれかに記載の組成物。
【0250】
38.前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが、約400乃至1000g/molの間の分子量を有するPAOであり、前記ポリプロピレンが30g/10分より大きいMERにより特徴付けられることを特徴とする、1.乃至27.のいずれかに記載の組成物、に関する。
【0251】
実施例
以下の実施例において、本発明を特に詳述するものである。多くの変更が可能であるが、そのようなものは添付の特許請求の範囲内であることは理解されている。本発明は実施例で説明する以外のやり方でも実施することは可能である。以下の表の成分は本発明の成分(i)、(ii)、及び(iii)(及び表7における炭酸カルシウム)の総重量対する重量%で示している。Irganox抗酸化剤の重量%は本発明の成分(i)、(ii)、及び(iii)(及び存在する場合は炭酸カルシウム)の成分全体に対するものである。
【0252】
2つのKraton(商標)(SEBS)及び本発明に用いる他の成分を以下の表Aに示す。
【表1A】

EBコポリマーのC4含量は約47重量%である。ホモポリプロピレン、PP3155(核剤無添加;安定剤のみ添加;メルトフローレート(MFR)=35(230℃/2.16kg;ASTM D 1238;エクソンモービルケミカルカンパニーより入手)も用いた。このポリプロピレンのGPC分子量はMn=64,000、Mw=304,000、Mz=1,145,000である。
【0253】
前記SEBSポリマーの性質に関する特徴を上の表にまとめた。数値プレファクター(pre−factor)は1000mg mol−1における数平均分子量(Mn)を示す。THFをキャリア又は拡散溶媒として用い、UV及びDRI検出器を備えたGPCを用いてMnを決定した。ブロックコポリマーの組成(エンドブロックの重量%で示す)は重水素含有クロロホルムを用いたVarianXL 400を用いて1HNMRで測定した。このブロックコポリマーの熱特性は10℃/分の速度で加熱する準環境キャピラリーを有するPerkin Elmer Pyris I DSCを用いて測定した。これらのSEBSポリマーはShell ケミカルカンパニーより入手した。前記ポリプロピレン及びEBコポリマーの分子量は1,2,4−トリクロロベンゼンを拡散溶媒とするWaters 150CGPC(カラムセット:3 Polymer Labs PLgel Mixed−B LS又はこれに等しいもの)を用いて測定した(ポリマー濃度は、〜3−4mg/ml)。
【0254】
このブレンドをブラベンダーミキサーの中で、完全に均一になるように混合した。第一に、この混合物を190℃で加熱した。PP3155を添加し、次にIrganox221を添加した。SEBSをその後添加して、温度を240℃に上げた。この温度をその後210℃に低め、SpectraSyn 10、Sunpar 150、又はエチレンブテンコポリマーポリマー(EBC)を、この流体又はEBCが全てブレンドに取り込まれるまでゆっくり添加した。
【0255】
ブラベンダーミキサーのブレンドを回収し、180℃の温度で加熱した水圧を用いてテフロンコートしたアルミニウムの間に約2mmの厚さのシートへと圧縮成形した。成形時間は25分であり、圧縮力は10,000lbであった。ミクロダンベル形状のサンプル(〜1cm×1cmで中心部は狭く0.6cm×0.2cm)をこれらのシートから切り取り、応力を掛けて応力歪みをInstron試験機において測定した。3つのサンプルについて室温、2”/分=850μm/sの速度で測定を行った(試験の前に24時間サンプルを室温において馴化させた)。この応力は試験品の変形していない切片を基に計算した。引張強度は応力歪み曲線の下側の面積として測定した。
【0256】
DMTA(動的機械熱解析)は固形状態のサンプルの小さい応力の機械的反応を、粘性弾性状態から溶融状態を含む温度範囲において、温度との関数として解析するものである。このアウトプットは貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E”である。前記貯蔵弾性率は物質の弾性性質又はエネルギーを貯蔵する能力を測定し、損失弾性率は物質の粘性反応又はエネルギーを消失する能力を測定するものである。E“/E’(ロスタンジェント)は物質の減衰性質を示すものである。エネルギー消失のメカニズム(即ち、弛緩モード)はロスタンジェントのピークとして示され、温度の関数としてのE’に関係している。報告されたE’の値に関する誤差は実験の変動性に依存して、±10%の範囲である。DMTAは割り当てられたロスタンジェントに基づいて、TPE組成物のガラス転移温度Tg’1及びTg’2を測定するために用いた。用いた装置は、Rheometrics Solid Analyzer RSA IIであり、伸張モード(0.5%歪み、1Hz周波数、2℃/分の加熱速度、及び約−100℃乃至150℃の温度範囲)で測定した。成形サンプルは約23mm×6.42mm×0.7mmの大きさを有しており、DMTAで測定する前に室温で24時間、馴化した。
【0257】
携帯用硬度タイプAデュロメーター(Shore(商標)Instrument & Mfg. Co., Inc., Freeport, NY)を用いて硬度を測定した。この装置の値を記録した。高温における軟化性質をCEAST HDT 300 VICATを用いて測定した。1mmの面積のニードルを熱伝導流体、Dow 200中に沈めた200gの応力でサンプルに適用し、熱を120℃/時間の速度で上げた。ニードルがサンプルを突き抜けたときの温度を記録し、この温度がVicat軟化点とされる。
【0258】
Kraton Gポリマー及びEBC以外の全てのサンプルの結晶化温度Tc、及び融点TmはTA Instruments MDSC 2920を用いて測定した。通常、6乃至10mgのポリマー物質をアルミニウムパンの中に封入し、室温においてこの装置の中に設置する。以降の操作は窒素雰囲気下で行った。融点データ(第一加熱)はサンプルを少なくとも30℃以上のその物質の融点になるまで10℃/分で加熱することにより得られる。この操作は、熱ヒストリーに影響されるブレンド条件における融解挙動の情報を提供する。このサンプルをその後10分間この温度に維持し、その熱ヒストリーを消去する。結晶化データはこのサンプルを融点から少なくとも50℃低い温度にまで、10℃/分の速度で冷却して得られる。このサンプルを25℃で20分間維持し、最後に、10℃/分の速度で加熱して第二融解のデータを得た(第二加熱)。このことは、制御された熱ヒストリーの後の融解挙動に関する情報を提供する。吸熱性の熱転移(第一及び第二加熱)及び発熱性の結晶化転移が発生した温度のピークを解析した。報告されたTmは第二過熱からの融点である。
【0259】
ブロックコポリマーの熱特性は10℃/分の速度で加熱する準環境キャピラリーを有するPerkin Elmer Pyris I DSCを用いて測定した。温度は−100℃乃至200℃の間で変化する。EBCの熱スキャンを変更したDSC(DSC 2910、TA Instruments)を用いて行った。カプセルで覆われたサンプルを10℃/分の速度で200℃に加熱し、この温度を2分間維持した。これを10℃/分で−100℃にまで冷却し、この温度を5分間維持した。10℃/分(変更法では0.5℃/分)の加熱速度で200℃までの熱グラフを記録した。
【0260】
ポリマー中の流体の性能はTGA.10により調べた。Perkin−Elmer TGA7を20ml/分の流速の窒素によってパージされたサンプルの重量ロスを測定するのに用いた。サンプルはテフロンコートされたアルミニウム箔の間で圧縮成形により10−mil厚及び5mgの重量に調製した。この圧縮成形は180℃で加熱された水圧プレスを用いた。加熱時間は25分であり、圧縮応力は10,000lbであった。TGAにおいて、温度は室温から150℃まで、150℃/分で加熱し、その後150℃を2時間維持した。この時間の重量損失を記録した。
【0261】
説明した1つの態様又はこれらの組合せた各種サンプルを調製した。これらのサンプルは以下の表に示すように調製した。
【0262】
表1を参照すると、SpectraSyn 10乃至Kraton G 1650を添加することで、水素化されたブロックコポリマー(サンプル−1)を軟化組成物に転化し、サンプル−2に低い硬度、100%弾性率、引張強度、堅牢性、及びVicatを付与した。サンプル−2において破断点伸びのみが上がった。しかしながら、サンプル−2においていくつかのSEBSをポリプロピレンPP3155に置き換えるとサンプル−3の組成物となり、該組成物はサンプル−1とサンプル−2との中間の性質を示す組成物となった。表2はSunparオイルをKraton(商標)G1650と共に用いた例(サンプル−4及び5)を示す。表3はSEBSがKraton(商標)G1657であり、NFPがSpectraSyn10である例を示す。
【表1】

【表2】

【0263】
表1乃至3における組成物の各成形パットより、3つのダンベルを切り取り、125℃で5日間、空気中で老化した。サンプル−6、サンプル−2、サンプル−7、サンプル−8、及びサンプル−4をオーブンの中で融解又は厳しい条件下で保存した。サンプル−1及びサンプル−3は処理をしなかった。応力歪み測定をこれらの老化サンプルを用いて行った。結果を表4に示す。老化後の応力歪み性質を以下の式により計算した。
【0264】
△(応力歪み性質)=(老化後サンプルの応力歪み性質)−(老化していないサンプルの応力歪み性質)
(1)(老化していない応力歪み性質)×100%
100%モジュラスにおいてわずかな損失が予測された、サンプル−3(SpectrSyn 10を含む)はサンプル−5(Sunpar 150を含む)よりも応力歪み性質を保持していた。サンプル−3(Tg=−53℃)はサンプル−5よりも低温における機械性質が優れていた。Tgはポリマー組成物のガラス転移温度である。具体的にはこのポリマー組成物の転移温度はDMTA(動的機械熱解析)で測定た。これは最大タンジェント損失の位置から決定した。用いた装置は伸張モード(0.1%歪み、1Hzの周波数、及び2℃/分の加熱速度)のRheometrics Solid Analyzer RSA IIであった。このサンプルは装置に設置した後で、約23mm×6.42mm×0.7mmの寸法を有していた。設置後、このサンプルをDMTAで測定する前に室温で24時間、馴化した。サンプル−1(Kraton(商標)G1650のみ)のTgは−45℃であった。サンプル−2(Tg=−52℃)はサンプル−4(Tg=−48℃)よりも低温における機械性質が優れていた。
【表3】

【表4】

【0265】
表5はエチレン/ブテン(EB)コポリマーをKraton(商標)G 1650と共に用いた場合のデータを示す。表6はSEBSがKraton(商標)G 1650で流体がEBコポリマーである場合のデータを示す。
【表5】

【表6】

【0266】
表7はOmyacarb2(Omya California Inc., Lucerne Valley, CA)を用いた組成物の幾つかを示す。SEBSポリマー(Kraton(商標)G1651)は33重量%のスチレンエンドブロックを有する。PP4152F2はMFR=2g/10分(230℃/2.16kg;ISO1133)のエクソンモービルケミカルカンパニーより入手可能なポリプロピレンホモポリマーである。表7の各組成物からの成形パッドを3つのダンベル形状に切り取り、オーブン内で125℃で5日間老化した。これらの老化したダンベルの応力歪み試験を行った。結果を表8に示す。老化後の応力歪み性質の損失は前述の△(応力歪み性質)の式で計算した。老化後、大部分又は全ての応力歪み性質は表8に報告されているように損失されていた。
【表7】

【表8】

【0267】
機械性質を試験したサンプルを射出成形し、ASTM D618に可能な限り従い、室温で試験を行った(23℃±2℃)。
【0268】
ヤング率、降伏点、降伏歪、破断応力(引張強度とも言う)、及び破断歪、及び所与の歪に対する応力(例えば、それぞれ10%、50%、及び100%応力に対する10%、50%、又は100%モジュラスとも言うを含む引張性質はASTM D638に従って測定した。射出成形された引張バーは、ASTM D638タイプIVの形状を有しており、2インチ/分のスピードで試験を行った。破壊性質は約2000%の歪を適用する前に破損した場合のみ報告した。2000%の歪はこの試験器に用いた負荷フレームの最大応力である。1%割線弾性率(曲げ弾性率とも言う)は2インチの指示スパン上に射出成形された柔軟バーを用いてASTM D 790Aに従って測定した。
【0269】
熱撓み温度は66psiにおいて射出成形されたサンプルを用いてASTM D 648に従って測定した。VICAT軟化点は200gの負荷でASTM D 1525に従って測定した。
【0270】
ノッチ付きアイゾット衝撃強度は特定の温度において、ASTM D256に従って測定した。TMIアイゾット衝撃試験を用いた。射出成形されたASTM D790柔軟バーを一組の試験片に切り取る。この平衡四辺形のバーは約1.3cm及び約0.3cmの厚みを有している。このノッチは大部分のケースにおいて、サンプルのノッチ側に衝撃が発生するように配置されている(ASTM D256の手順Aに従う)。特にノッチ配置が反対になっている場合(ASTM D256の手順Eに従う)は「リバースノッチアイゾット」又は「非ノッチアイゾット(UNI)」インパクト言われる。全てのサンプルは衝撃強度の測定のために0.122インチ厚みを有している。特に規定しない限り、サンプルは完全に破壊される。
【0271】
全ての特許、特許出願、試験手順(ASTM法、ISO法等)及び本明細書で引用する他の文献は本出願に係る発明がこれらの文献の開示に矛盾せず、且つ法律においてそのような援用が認められている場合には、参照により完全に本明細書に援用される。本明細書に列挙されている数値範囲の下限値及び上限値について、任意の組合せも本発明の範囲内である。請求項に記載のパラメーターは本明細書に記載された方法に従って測定されたものであり、測定方法が具体的に記載されていない場合にはそのような方法は当業者によく理解されている方法である。
【0272】
特定の態様は数値範囲を組み合わせて説明している。特に規定しない限りこれらの数値範囲の任意の上限値から任意の下限値までを範囲とする。特定の下限値、上限値、及び範囲が請求項に記載されている。これらの全ての値は「約」又は「およそ」という語が付されているがこの語は、当業者が認識しうる試験方法における誤差を含むことを意味するものである。
【0273】
各種用語を上で定義している。請求項において用いられている語が本明細書において定義されていない場合には、そのような語は出願時の技術常識である。
【0274】
これまで本発明の態様を説明してきたが、本発明の別の又は更なる態様も本発明の基本的な態様を逸脱しない範囲で実施することができる。そのよう範囲は添付の特許請求の範囲に基づいて決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1つの低分子量ポリオレフィン
(ii)ビニル芳香族モノマーの末端高分子ブロック及びオレフィンを用いて製造し、その後水素化して得られたミッドブロック(mid−block)を有するブロックコポリマーを選択的に水素化することにより得られたブロックコポリマー、及び
(iii)ポリプロピレンを含む組成物であって、
(iv)(i)が約400乃至1000g/molの間の分子量を有するPAOである場合、
(a)(iii)が2g/分より大きいMFRを特徴とするホモポリマーであるか、
(b)(iii)がコポリマーであるか、
(c)(iii)がメタロセン触媒により製造されたポリマー又はコポリマーのいずれかであるか、あるいは、
(d)組成物が炭酸カルシウムを含まない
ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
(ii)が更に少なくとも1つの(a)約10,000より高いMnを有するエンドブロック、及び(b)約75,000より高いMnを有するミッドブロックの少なくとも一つにより更に特徴付けられる請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(ii)が前記ブロックコポリマーの重量により15wt%より多くのビニル芳香族モノマー含量を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(ii)が少なくとも1つのSEBSを含み、前記SEBSが
(a)約10,000より大きいMnを有するエンドブロック及び約75,000未満のMnを有するミッドブロック、及び
(b)前記ブロックコポリマーの重量に基づいて、15wt%未満のスチレン含量、
から選択される少なくとも1つの特徴を有する、請求項1、2、及び3に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1つの低分子量ポリプロピレンがC3乃至C14アルファオレフィンのオリゴマーから選択されることを特徴とする、請求項1乃至4に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが約100g/molより多く約2,000g/モル未満の数平均分子量を有することを特徴とする、請求項1乃至5に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが25℃において液体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
(ii)が選択的に水素化されたSIS、SBS、星状分岐SIS、及び星状分岐SBSから選択されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリプロピレンがアタクチックポリプロピレン、イアソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリプロピレンがチグラ−ナッタ触媒を用いて製造されたポリプロピレン、メタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレン、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが非官能化可塑剤であり、前記可塑剤が0℃以上の融点を有しておらず、25℃における動粘度が30,000cStであり、及び
(a)400cSt未満の100℃における動粘度(KV100)、(b)200℃より高い引火点、(c)−25℃未満の流動点、(d)0.85以下の比重、40℃未満蒸留範囲の上限温度及び下限温度の差、及び(e)115℃乃至500℃の終点、の少なくとも1つのパラメータにより特徴付けられる、請求項1乃至10に記載の組成物。
【請求項12】
前記NFPが請求項11に記載の少なくとも2つの前記パラメータにより特徴付けられることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記NFPが請求項11に記載の少なくとも3つの前記パラメータにより特徴付けられることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記NFPが請求項11に記載の少なくとも4つの前記パラメータにより特徴付けられることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記NFPが請求項11に記載の全てのパラメータにより特徴づけられる請求項11乃至14に記載の組成物。
【請求項16】
前記NFPがメタロセン触媒を用いて製造されることを特徴とする請求項11乃至15に記載の組成物。
【請求項17】
前記NFPが還元されたメタロセン触媒を用いて製造されることを特徴とする請求項11乃至16に記載の組成物。
【請求項18】
前記NFPが還元された金属酸化触媒を用いて製造されることを特徴とする、請求項11乃至17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンがグループIII炭化水素オイル、GLT由来ベースストック、ポリイソブチレン、異性化ワックス潤滑油ベースストック、エチレン/ブテンコポリマー、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1乃至18に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が炭酸カルシウムを含んでいないことを特徴とする、請求項1乃至19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が加硫剤、フタル酸エステル系可塑剤、UV安定剤、及びガンマ線安定剤を含まないことを特徴とする、請求項1乃至20に記載の組成物。
【請求項22】
125℃の空気中に5日間置いて老化させた場合に、老化前のサンプルに対して、
(a)15%未満の100%弾性率の低下、
(b)55%未満の引張強度の低下、
(c)25%未満の破断点伸びの低下、及び
(d)60%未満の堅牢性の低下
のなかの、1つ以上のパラメータを更に含むことを特徴とする、請求項1乃至21に記載の組成物。
【請求項23】
125℃の空気中に5日間置いて老化させた場合に、老化前のサンプルに対して、
(a)10%未満の100%弾性率の低下、
(b)45%未満の引張強度の低下、
(c)15%未満の破断点伸びの低下、及び
(d)45%未満の堅牢性の低下
のなかの、1つ以上のパラメータを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
少なくとも2つの前記パラメータを有する請求項22又は23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
少なくとも3つの前記パラメータを有する請求項22又は23のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
少なくとも全ての前記パラメータを有する請求項22又は23のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが約1,000g/molより多きい数平均分子量を有することを特徴とする、請求項1乃至26に記載の組成物。
【請求項28】
請求項1乃至27の組成物を含む製品。
【請求項29】
請求項1乃至27の組成物を含む熱成形製品。
【請求項30】
絶縁物質、及び前記絶縁物質により絶縁された物質を含む製品であって、前記絶縁物質が請求項1乃至27の組成物を含むことを特徴とする、製品。
【請求項31】
前記絶縁物質により絶縁された物質が、ワイヤー、ケーブル、繊維、及びこれらの混合物であることを特徴とする、請求項28に記載の製品。
【請求項32】
熱可塑性物質を含む組成物から製品を熱成形する工程を含む熱成形方法であって、請求項1乃至27の組成物を提供する工程を含む改良点を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
前記熱成形工程が射出成形及び押出し成形から選択されることを特徴とする請求項32の熱成形方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが、約400乃至1000g/molの間の分子量を有するPAOであり、前記ポリプロピレンが2g/10分より大きいMERにより特徴付けられることを特徴とする、請求項1乃至27のいずれかに記載の組成物。
【請求項35】
前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが、約400乃至1000g/molの間の分子量を有するPAOであり、前記ポリプロピレンが5g/10分より大きいMERにより特徴付けられることを特徴とする、請求項1乃至27のいずれかに記載の組成物。
【請求項36】
前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが、約400乃至1000g/molの間の分子量を有するPAOであり、前記ポリプロピレンが10g/10分より大きいMERにより特徴付けられることを特徴とする、請求項1乃至27のいずれかに記載の組成物。
【請求項37】
前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが、約400乃至1000g/molの間の分子量を有するPAOであり、前記ポリプロピレンが20g/10分より大きいMERにより特徴付けられることを特徴とする、請求項1乃至27のいずれかに記載の組成物。
【請求項38】
前記少なくとも1つの低分子量ポリオレフィンが、約400乃至1000g/molの間の分子量を有するPAOであり、前記ポリプロピレンが30g/10分より大きいMERにより特徴付けられることを特徴とする、請求項1乃至27のいずれかに記載の組成物。

【公表番号】特表2009−501267(P2009−501267A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521445(P2008−521445)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/026408
【国際公開番号】WO2007/011541
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】