説明

エラーグループ生成装置、エラーグループ生成方法及びエラー診断システム

【課題】従来のエラー診断システムでは、エラーデータ1件1件を別々のエラーのように扱っているため、適切な意思決定を行うことは難しい。
【解決手段】本発明では、エラー発生に対応して画像形成装置から送信されるエラーデータを順次記憶するエラーグループ履歴記憶部と、あらかじめエラーデータごとに当該エラーデータが発生する原因となったエラー原因を特定するためのグループ化ルールを蓄積するグループ化ルール記憶部と、前記エラー原因に対応するコードデータを蓄積するコードデータ記憶部と、前記グループ化ルール記憶部のグループ化ルールおよび前記コードデータ記憶部のコードデータを用いて、前記エラーグループ履歴記憶部のエラーデータについて、エラー原因に対応するコードデータを割り当てられたエラーグループを生成するエラーグループ生成部を備えることにより、エラーの原因を精度良く診断できることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置のエラーの原因を診断する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報技術の発達により、機器の稼働状況を記録又は蓄積できるようになってきている。特にエラー発生時の状況の記録は、エラーの発生原因の推定、処置の決定、予防などを行う際に重要なデータとなるため、多くの機器でエラー発生日時、その時の使用状況等を記録する仕組みが備わっている。機器の使用状況としては、例えば、両面コピーをしようとしていた場合やネットワーク経由で印刷をしようとしていた場合の状況、機器内部のセンサによって得られた機器の稼働状況、エラーの内容を示すエラーコード等が該当する。しかし、エラー時の状況がデータに記録されていても、それらはエラーの原因を直接的に表すものではない。
【0003】
一方、機器の多機能化、高機能化が進み、エラーの内容も複雑さが増している。画像形成装置においても、派遣されたサービスマンがその場でエラー原因を特定することは困難になってきている。
【0004】
そこで、記録されているエラーデータを分析してエラーの原因を推定する技術が開発されている。例えば、部品の異常状態と画像形成装置の故障事象との因果関係を表すテーブルを作成し、そのテーブルに基づいて故障を診断する技術が開示されている(特許文献1参照)。また、機器内部のブロックごとに用紙通過時間等を測定し、統計的な特徴量を用いて故障を診断する技術も開示されている(特許文献2参照)。さらに、これらの他にもエラー履歴のデータを統計や機械学習などの手法を駆使して分析してエラーの原因を特定したり、処置に関する意思決定に利用したりする技術が開示されている。
【0005】
しかしながら、現実にはある1つのエラー原因が1件のエラーデータを引き起こすわけではなく、1つの原因から複数のエラーデータが記録されることが多い。例えば、ユーザがコピーをしようとした時になんらかの原因によって機器内部で紙詰まりが発生したとする。紙詰まりの原因は、ユーザの紙の挿入方法による場合、機器の用紙送りに関する部品の劣化による場合、用紙送り装置の設定ミスによる場合等多数存在する。
【0006】
また、用紙通過に関するセンサが、用紙が所定の時間内に所定の位置に送られてこないことを検知してエラーを発する場合に、ユーザは機器外部に表示された指示に従って自分で紙詰まりを取り除こうとし、機器のカバーを開け、詰まった紙を取り出し、再びコピーを実行しようとする。ところがまだ紙は完全に除去できておらず、残った紙が少し進んだ別の場所でまた紙詰まりを発生させることがよく起こり得る。
【0007】
このような場合には、最初の紙詰まりに関するエラーの他に、ユーザがカバーを開け閉めしたエラー、次の紙詰まりに関するエラーなどがエラーデータには記録されることとなる。なぜなら、それらはそれぞれに独立したエラーコードを持ち、別々の時刻に発生しているからである。この場合、1つの原因によって複数のエラーデータが記録されるが、紙詰まりの原因は直接的には分からないことになる。すなわち、エラーデータ1件1件を別々のエラーのように扱っていては、それらから頻度等の特徴量を算出してもエラーの原因ではないので適切な意思決定を行うことは難しい。
【0008】
例えば、特許文献1に関する技術では、異常状態と故障事象を表す因果関係テーブルが生成されているが、異常状態が故障事象と1対1に対応するわけではなく、さまざまな異常状態の組み合わせを全て書き下すことは困難である。また、特許文献2に関する技術では、内部のセンサ値に統計的な処理を施して故障の判定を行っているが、これも同様に1つ1つのセンサ値の統計量は原因を表すものではないため、故障原因を推定することは難しい。
【特許文献1】特開2007−686924号
【特許文献2】特開2005−33559号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、これら上記の問題に鑑みなされたもので、エラーデータをエラーの原因に対応させてエラーグループを生成することにより、エラーの原因を精度良く診断できるエラーグループ生成装置、エラーグループ生成方法及びエラー診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のエラーグループ生成装置は、「エラー発生に対応して、画像形成装置から送信されるエラーデータを順次記憶するエラーグループ履歴記憶部と、あらかじめエラーデータごとに、当該エラーデータが発生する原因となったエラー原因を特定するためのグループ化ルールを蓄積するグループ化ルール記憶部と、前記エラー原因に対応するコードデータを蓄積するコードデータ記憶部と、前記グループ化ルール記憶部のグループ化ルールおよび前記コードデータ記憶部のコードデータを用いて、前記エラーグループ履歴記憶部のエラーデータについて、エラー原因に対応するコードデータを割り当てられたエラーグループを生成するエラーグループ生成部と、を具備した」ことを特徴としている。
【0011】
また、本発明のエラー診断システムは、「プリンタ、コピー、FAX、スキャナのいずれかの機能を備えた画像形成装置と、前記画像形成装置から送信されたエラーデータからエラーグループを生成するエラーグループ生成装置と、前記エラーグループ生成装置から送信されたエラーグループに基づきエラー原因を診断するエラー診断装置と、から構成されるエラー診断システムであって、前記エラーグループ生成装置は、エラー発生に対応して、画像形成装置から送信されるエラーデータを順次記憶するエラーグループ履歴記憶部と、あらかじめエラーデータごとに、当該エラーデータが発生する原因となったエラー原因を特定するためのグループ化ルールを蓄積するグループ化ルール記憶部と、前記エラー原因に対応するコードデータを蓄積するコードデータ記憶部と、前記グループ化ルール記憶部のグループ化ルールおよび前記コードデータ記憶部のコードデータを用いて、前記エラーグループ履歴記憶部のエラーデータについて、エラー原因に対応するコードデータを割り当てられたエラーグループを生成するエラーグループ生成部と、から構成された」ことを特徴としている。
【0012】
さらに、本発明のエラーグループ生成方法は、「、エラー発生に対応して、画像形成装置から送信されるエラーデータを順次記憶する工程と、あらかじめエラーデータごとに、当該エラーデータが発生する原因となったエラー原因を特定するためのグループ化ルールを蓄積する工程と、前記エラー原因に対応するコードデータを蓄積する工程と、前記グループ化ルールおよび前記コードデータを用いて、前記エラーデータについて、エラー原因に対応するコードデータを割り当てられたエラーグループを生成する工程と、を備えた」ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エラーデータをエラーの原因に対応させてエラーグループを生成することにより、エラーの原因を精度良く診断できるエラーグループ生成装置、エラーグループ生成方法及びエラー診断方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施例1)
本発明の実施例1に係るエラー診断システムの概要について、以下の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
本発明の実施例1に係るエラー診断システムの一実施態様は図1に示すとおりのものである。図1は、本発明の実施形態に係るエラー診断システムの概要図である。図1に示すように、画像形成装置1は、プリンタ2、コピー3、FAX4、スキャナ5などの機能を備えた多機能複合機から構成される。この画像形成装置1は、エラーが発生した場合に、エラーデータ作成部6にてエラーデータを作成して、エラーデータをエラーグループ生成装置10に送信する。エラーグループ生成装置10では、エラーデータのグルーピングを行い、グルーピング結果をエラー診断装置20に送信する。
【0016】
エラー診断装置20では、グルーピング結果であるエラーグループを対象として、診断処理部21にてエラーグループの発生頻度、発生の傾向等の分析及び診断を行い、表示部22にてユーザへエラー原因の表示を行う。ユーザは表示部22にて表示された診断結果に基づき、サービスマンの派遣、画像形成装置1の設計の改良、新規サービス設計などに診断結果を利用する。
【0017】
次に、エラーグループ生成装置10の内部構成について説明する。図2は、本発明のエラーグループ生成装置の内部構成を示すブロック図である。図2に示すように、エラーグループ生成装置10は、入力部11、エラーグループ生成部12、直前データ保存部13、出力部14、エラーデータ履歴記憶部15、コードデータ記憶部16、グループ化ルール記憶部17を備えている。
【0018】
入力部11は、画像形成装置1で発生したエラーデータを本装置に入力するインタフェース部分である。ここで、エラーデータの具体例について図3を参照して説明する。図3に示すように、エラーデータとして、発生日時、コード、カウンタ、給紙元、使用する用紙、機能の各項目が記載されている。
【0019】
発生日時とは、エラーが発生した時刻を示す項目であり、秒単位にて記録されている。また、コードとは、エラーコードを示す項目であり、エラーが発生した場所を示すIDを示すものである。さらに、カウンタとは、画像形成装置1のプリンタ及びコピー3の印刷合計枚数を示す項目である。給紙元とは、画像形成装置1のプリンタ及びコピー3が印刷物を出力する際の用紙の供給場所を示す項目である。使用する用紙とは、画像形成装置1のプリンタ及びコピー3が印刷物を出力する際の用紙を示す項目である。機能とは、画像形成装置1のプリンタ2、コピー3、FAX4、スキャナ5のいずれかの機能のものであるかを示す項目である。
【0020】
なお、エラーデータには、図3に示した項目以外に、両面/片面コピー、拡大/縮小、カラー/白黒など画像形成装置の機能に応じた多くの設定状況が記録されていてもよい。また、画像形成装置1によっては、ソータや読取装置などが設置されている場合もあり、それらの使用状況(読取装置を使ったか否かなど)が記録されていてもよい。
【0021】
ここで、エラーデータ履歴記憶部15に蓄積されたデータの具体例について、図4を参照して説明する。図4に示すように、エラーデータ履歴記憶部15には、図4に示すエラーデータの項目に、グループIDの項目が付加された項目からなるデータ群が記憶されており、エラーグループ生成部12により、これらデータ群が順次、追加更新されていく。エラーデータ履歴記憶部15の内容を参照することにより、過去に画像形成装置1からどのようなエラーデータが送信され、これらエラーがどのように分類されているかが把握できるようになっている。なお、グループIDとは、エラー原因ごとにエラー原因が同一と思われるグループに分類した場合のID番号をいう。
【0022】
また、コードデータ記憶部16に記憶されたデータの具体例について、図5を参照して、説明する。図5に示すように、コードデータ記憶部16には、エラーコードごとに、エラーの意味や発生した場所の情報が保管されている。例えば、1行目には、コードがA01の場合には、エラーの場所が本体、エラーの種類がサイズ間違え、エラーの内容が手差し用紙サイズ設定間違えジャム、カテゴリが手差しサイズ間違いであることが示されている。コードデータ記憶部16に蓄積されたデータ群は、画像生成装置1の設定に依存するものであり、初期段階から予め蓄積されている。
【0023】
さらに、グループ化ルール記憶部17に記憶されたデータの具体例について、図7を参照して説明する。グループ化ルール記憶部17には、エラーグループ生成部12にてグループIDを付加する場合に、どのような基準にてグループ分けを実施するかを示したルールが保存されている。
【0024】
例えば、1行目のルールは、前エラーと現エラーの機能がプリンタ2とFAX4或いはスキャナ5であれば、別グループとするというルールが蓄積されている。すなわち、前エラーがプリンタ2であって現エラーがFAX4或いはスキャナ5の場合、またはその逆に前エラーがFAX4或いはスキャナ5であって現エラーがプリンタ2の場合には、前エラーと現エラーは異なるグループとするというルールである。これは、画像形成装置1の構造上、プリンタ2とFAX4或いはスキャナ5は装置内で使われる部分が異なっており、それらのエラーデータは同じ原因によって発生したわけではないためである。
【0025】
また、2行目のルールは、前エラーと現エラーのカウンタの値を比較し、その差が20枚未満であり、かつ、エラーコードの場所が同じ場合には現エラーは前エラーと同じグループであるとするというルールを示している。これは、同じ原因によるエラーが続いて起こる場合には、その間では実際に画像形成装置1が適切に稼動しないため、カウンタもあまり進まないという症状が多いという経験に基づいている。なお、ここでは「20枚」としているが、10枚あるいは100枚といった設定でも良い。
【0026】
エラーグループ生成部12は、図3に示すようなエラーデータを入力部11から受け取り、グループIDの項目をエラーデータに付加する。エラーデータにグループIDを付加したデータの具体例について、図7を参照して説明する。
【0027】
図7に示すように、エラーデータにグループIDを付したデータとは、図3に示したエラーデータにグループIDという項目が追加されたデータである。具体的には、エラーグループ生成部12は、エラーデータ履歴記憶部15に保存されている現時点までのエラーグループを含んだデータと、コードデータ記憶部16に保存されているエラーコードの意味を示すデータとを用いて、直前データ保存部13に保存されている直前のエラーデータの内容と比較する。
【0028】
ここで、直前データ保存部13の具体例について、図8にて説明する。図8に示すように、直前データ保存部13には、直前のエラーデータの内容のみが保存されている。具体的には、エラーデータは古い順に記録されているので、図4に示す最後のデータが直前のデータであり、12行目のエラーデータが直前データとして保存されている。
【0029】
これらエラーデータを比較した後、エラーグループ生成部12は、グループ化ルール記憶部17に保存されたルールに従って、現在入力されたエラーデータのグループIDを生成する。そして、エラーグループ生成部12は、エラーグループIDの項目をエラーデータに付加したデータをエラーデータ履歴記憶部15に送信して最新のエラーデータに関する情報を更新するとともに、出力部14に当該エラーデータを付加したデータを送信する。
【0030】
出力部14は、生成されたグループIDを付加したデータをエラー診断装置20へ出力する。
【0031】
ここで、エラーグループ生成部12の処理手順について、図9を参照して説明する。図9は、エラーグループ生成部12の処理手順を示したフローチャート図である。
【0032】
まず、エラーグループ生成部12は、入力部11を介して入力された現在のエラーデータを読み込む(S1)。例えば、図4に示した2行目のエラーデータが入力されたとする。ここで、3行目以降のエラーデータはまだ発生していないとする。
【0033】
次に、エラーグループ生成部12は、直前データ保存部13に保持しておいた直前に発生したエラーデータを読み込む(S2)。ここでは、図4に示した1行目のエラーデータ1を読み込むことになる。さらに、エラーグループ生成部12は、コードデータ記憶部16から、コードデータを読み込む(S3)。具体的には、図5に示したデータから、エラーコードB01を読み込み、エラー場所が本体で、エラー種類が搬送ジャムで、エラー内容がLCF搬送ジャムで、カテゴリが搬送系(本体)であることを確認する。また、エラーグループ生成部12は、グループ化ルール記憶部17からグループ化ルールを読み込む(S4)。具体的には、ここでは、図6に示したルール1及びルール2を読み込む。
【0034】
ここで、エラーグループ生成部12は、図6に示したルール1に基づき、前エラーと現エラーの機能がプリンタ2、FAX4或いはスキャナ5であるかどうかを判断する(S5)。ここでは、1行目と2行目の機能がプリンタであると判断する。
【0035】
もし、前エラーと現エラーの機能がプリンタ2、FAX4或いはスキャナ5であれば(S5のYes)、直前のグループと異なるグループとし、新たなグループIDを付与する(S6)。そして、エラーグループ生成部12のグループ分け処理は終了する(S7)。
【0036】
もし、前エラーと現エラーの機能がプリンタ2、FAX4或いはスキャナ5でなければ(S5のNo)、図6に示したルール2に基づき、前エラーのカウンタと現エラーのカウンタとの差が20枚以下であるかどうかを判断する(S8)。
【0037】
もし、前エラーのカウンタと現エラーのカウンタとの差が20枚以下でなければ(S8のNo)、直前のグループと異なるグループとし、新たなグループIDを付与する(S6)。そして、エラーグループ生成部12のグループ分け処理は終了する(S7)。
【0038】
もし、前エラーのカウンタと現エラーのカウンタとの差が20枚以下であれば(S8のYes)、図6に示したルール2に基づき、前エラーのコード場所と現エラーのコード場所が同じかどうかを判断する(S9)。ここでは、2行目のエラーのカウンタと1行目のエラーのカウンタとの差が19枚であるため、S9に進む。
【0039】
もし、前エラーのコード場所と現エラーのコード場所が同じでなければ(S9のNo)、直前のグループと異なるグループとし、新たなグループ番号を付与する(S6)。そして、エラーグループ生成部12のグループ分け処理は終了する(S7)。
【0040】
もし、前エラーのコード場所と現エラーのコード場所が同じであれば(S9のYes)、エラーグループ生成部12は、直前のグループと同一のグループと判断する(S10)。ここでは、2行目のエラーデータと1行目のエラーデータとはエラーコードの場所が異なることから、図8に示すように、1行目のエラーデータと2行目のエラーデータとは、異なるグループと判定され、異なるグループIDが付される。また、例えば、図7の3行目のエラーデータから10行目のエラーデータまでが同じグループと判定されている。
【0041】
また、同じ結果を1行が1つのグループとなるようにデータを書き直した例を図10に示す。図10には、各グループに含まれるデータ番号、データ数、グループの最初と最後のエラーの発生時間の差、カウンタの差を現している。ここでは、1つのエラーデータだけでエラーグループを構成している場合には時間差やカウンタ差は「-」となっている。これにより、2番のグループに対応するエラーが1時間32分43秒の間解決されなかったことが明らかである。
【0042】
ここで、従来の技術では、個々のエラーデータのまま分析を行い、例えば頻発しているエラーを見つけ対応しようとしても、原因が不明なままでは対応できない。例えばカバーオープンエラーをとっても、いろいろな箇所の紙詰まりを取り除く際に発生し、カバーオープンエラーを減らすためにはそれぞれの紙詰まりの原因を特定する必要がある。手差し用紙の入れ方に原因がある場合と内部の送り装置の劣化に原因がある場合とでは当然処置が異なり、エラーの原因ごとに対処しなければエラーを減らすことはできない。
【0043】
以上、本発明の実施例1に係る実施形態によれば、エラーデータをエラーの原因に対応させてエラーグループを生成した後にエラー原因を診断することで、エラーの原因を精度良く診断できる。
【0044】
(実施例2)
本発明の実施例2に係るエラーグループ生成装置について以下、説明する。図11を参照して、本発明の実施例2に係るエラーグループ生成装置の概要について説明する。
【0045】
本発明の実施例2に係る実施形態では、図11に示すように、本発明の実施例1に係るエラーグループ生成装置10に加えて、カテゴリ追加部18を備え、エラーグループにそれぞれカテゴリ名を付加することを特徴としている。
【0046】
カテゴリ追加部18が付加するカテゴリは、エラーの原因に基づく大分類であり、例えば、「手差しサイズ設定間違い」、「RADF搬送系エラー」などである。エラーの内容を意味するものとしては各エラーデータに付随しているエラーコードが存在するが、これはエラーの原因を示すものではない。
【0047】
それに対し、本発明によって得られたエラーグループはエラーの原因と対応するものであり、カテゴリはエラーグループに対して内容を付加している。このようなカテゴリを付加することによって、エラーの原因に対する集計や分析、活用につなげることができる。
【0048】
図12はエラーデータにカテゴリを付加した例である。カテゴリをどのようにして決めるかについては限定しないが、例えばエラーコードごとに用意しておくことが考えられる。本実施例では、図5に示すコードデータ記憶部16において、カテゴリをエラーコードと対応させている。
【0049】
エラーの原因をカテゴリ毎に分類することは、その後の分析に大きく貢献する。例えば、「手差しサイズ設定間違い」はユーザの使用方法に関わるものであり、機器の故障ではない。そのため、対処方法としては機器の修理ではなくユーザへのインストラクションや説明書の整備やユーザインタフェースの改良などに繋がる。
【0050】
以上、本発明の実施例2に係る実施形態によれば、カテゴリ追加部を備えたことによって、エラーの原因を表すカテゴリを付加することでき、ユーザの対処方法がより明らかになる。
【0051】
(実施例3)
本発明の実施例3に係るエラーグループ生成装置について以下、説明する。
【0052】
本発明の実施例3に係るエラーグループ生成装置では、グループの設定と生成において、エラーコードと発生時刻とカウンタを用いることを特徴とする。図6に示した例のようなグループの設定条件がこれに相当し、エラーの発生時刻が短い場合や、エラーのカウンタがあまり進んでいない場合や、エラーコードからわかる発生場所などの情報からグループを生成するというものである。
【0053】
以上、本発明の実施例3に係る実施形態によれば、エラーの発生時刻とカウンタを利用することにより、エラー原因ごとのグループ分けをより高精度に実施することができる。さらに、本発明の実施例3に係る実施例によれば、通常同じ原因によるエラーは続けて発生し、実際にコピーや印刷をできないためカウンタが進まないなど、発生時刻間隔やカウンタの進み具合はエラーの原因と深く関わっていると思われるエラーを削減することができる。
【0054】
(実施例4)
本発明の実施例4に係るエラーグループ生成装置について以下、説明する。
【0055】
本発明の実施例4に係るエラーグループ生成装置では、カテゴリをエラーコードごとに予め用意しておき、グループ内のエラーコードからカテゴリを選択するものとする。その際、1つのグループ内に複数のカテゴリが含まれている場合には、グループ内で最初に発生したエラーコードのカテゴリを選択することを特徴としている。これは、最初のエラーコードが原因を表していると考えられるからである。
【0056】
以上、本発明の実施例4に係る実施形態によれば、エラー原因の種類(「手差しサイズ間違い」など)を正しく推定することができる。
【0057】
なお、本発明は、上記した各実施の形態には限定されず、種々変形して実施できることは言うまでもない。
【0058】
要するに、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例1に係るエラー診断システムの概略図。
【図2】本発明の実施例1に係るエラーグループ生成装置のブロック図。
【図3】本発明の実施例1に係るエラーデータの内容を示す図。
【図4】本発明の実施例1に係るエラーデータ履歴記憶部の内容を示す図。
【図5】本発明の実施例1に係るコードデータ記憶部の内容を示す図。
【図6】本発明の実施例1に係るグループ化ルール記憶部の内容を示す図。
【図7】本発明の実施例1に係るエラーデータにグループIDを付加したデータを示す図。
【図8】本発明の実施例1に係る直前データ保存部の内容を示す図。
【図9】本発明の実施例1に係るエラーグループ生成部の処理を示すフローチャート図。
【図10】本発明の実施例1に係るエラーデータをエラーグループ毎に示した図。
【図11】本発明の実施例2に係るエラーグループ生成装置のブロック図。
【図12】本発明の実施例2に係るエラーデータにカテゴリを付したデータを示した図。
【符号の説明】
【0060】
1…画像形成装置
2…プリンタ
3…コピー
4…FAX
5…スキャナ
6…エラーデータ作成部
10…エラーグループ生成装置
11…入力部
12…エラーグループ生成部
13…直前データ保存部
14…出力部
15…エラーデータ履歴記憶部
16…コードデータ記憶部
17…グループ化ルール記憶部
18…カテゴリ追加部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラー発生に対応して、画像形成装置から送信されるエラーデータを順次記憶するエラーグループ履歴記憶部と、
あらかじめエラーデータごとに、当該エラーデータが発生する原因となったエラー原因を特定するためのグループ化ルールを蓄積するグループ化ルール記憶部と、
前記エラー原因に対応するコードデータを蓄積するコードデータ記憶部と、
前記グループ化ルール記憶部のグループ化ルールおよび前記コードデータ記憶部のコードデータを用いて、前記エラーグループ履歴記憶部のエラーデータについて、エラー原因に対応するコードデータを割り当てられたエラーグループを生成するエラーグループ生成部と、
を備えたことを特徴とするエラーグループ生成装置。
【請求項2】
前記エラーグループ生成部は、生成されたエラーグループに、エラーの原因を示す分類であるカテゴリを追加するカテゴリ追加部と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のエラーグループ生成装置。
【請求項3】
前記カテゴリ追加部は、対象となるグループの中で最初に発生したエラーコードのカテゴリを選択することを特徴とする請求項2に記載のエラーグループ生成装置。
【請求項4】
前記エラーグループ生成部は、少なくとも、エラーデータに記載されているエラーコード、エラー発生時刻、エラー発生時のカウンタを用いてエラーグループを生成することを特徴とする請求項1に記載のエラーグループ生成装置。
【請求項5】
プリンタ、コピー、FAX、スキャナのいずれかの機能を備えた画像形成装置と、前記画像形成装置から送信されたエラーデータからエラーグループを生成するエラーグループ生成装置と、前記エラーグループ生成装置から送信されたエラーグループに基づきエラー原因を診断するエラー診断装置と、から構成されるエラー診断システムであって、
前記エラーグループ生成装置は、
エラー発生に対応して、画像形成装置から送信されるエラーデータを順次記憶するエラーグループ履歴記憶部と、
あらかじめエラーデータごとに、当該エラーデータが発生する原因となったエラー原因を特定するためのグループ化ルールを蓄積するグループ化ルール記憶部と、
前記エラー原因に対応するコードデータを蓄積するコードデータ記憶部と、
前記グループ化ルール記憶部のグループ化ルールおよび前記コードデータ記憶部のコードデータを用いて、前記エラーグループ履歴記憶部のエラーデータについて、エラー原因に対応するコードデータを割り当てられたエラーグループを生成するエラーグループ生成部と、
から構成されたことを特徴とするエラー診断システム。
【請求項6】
エラー発生に対応して、画像形成装置から送信されるエラーデータを順次記憶する工程と、
あらかじめエラーデータごとに、当該エラーデータが発生する原因となったエラー原因を特定するためのグループ化ルールを蓄積する工程と、
前記エラー原因に対応するコードデータを蓄積する工程と、
前記グループ化ルールおよび前記コードデータを用いて、前記エラーデータについて、エラー原因に対応するコードデータを割り当てられたエラーグループを生成する工程と、
を備えたことを特徴とするエラーグループ生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−67088(P2010−67088A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233938(P2008−233938)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】