説明

エレベータ制御指令装置、エレベータ装置、及びエレベータシステム

【課題】地震による建物への影響を地震計の地震情報に略リアルタイムに対応させて予測する構成の地震影響予測装置を用いることのできるエレベータ制御指令装置を得る。
【解決手段】各仮想建物に対応する高さクラスと、各仮想建物が設置されるエリアの位置情報とを互いに関連付けして外部から配信された地震影響予測情報を受信する予測情報受信部31と、建物毎に、建物が設置されているエリアと建物に対応する高さクラスとを関連付けて記憶する建物情報記憶部32と、各建物に関連付けられたエリアの位置情報及び高さクラスと、仮想建物に関連付けられたエリアの位置情報及び高さクラスとを比較することにより、地震影響予測情報の中から、各建物に対応する仮想建物の揺れ幅の情報を選択し、選択した仮想建物の揺れ幅の情報に応じて、選択した仮想建物に対応するエレベータ装置50Aを制御するための制御指令を生成する制御指令生成部33とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、長周期地震動が建物に及ぼす影響を予測した結果に基づいてエレベータ装置本体の運転を制御するための制御指令を生成するエレベータ制御指令装置、エレベータ装置、及びエレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の地震監視制御装置は、遠距離地点で発生した地震波から、建物に設置されるエレベータを保護するのを目的として設けられ、広範囲の地域に跨って点在する複数の地震観測点で観測された地震波情報を収集する地震波情報収集手段と、この地震波情報収集手段で収集された地震観測点毎の地震波情報を分析する個別分析処理手段とを備えている。さらに、従来の地震監視制御装置は、地震観測点で観測された地震波情報の分析結果から長周期地震動を予測する長周期地震動予測手段と、この予測された長周期地震動の移動方向から管理対象となる建物毎に、建物の設置されている地区での地震波レベルを予測し、予測した地震波レベルに基づいて、長周期地震動による建物に設けられたエレベータへの影響を予測する手段と、影響有りと判断されたエレベータのエレベータ制御装置に運行制御指令を生成して通知する制御指令通知手段とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−297178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、長周期地震動が発生する場合、同様の地表の揺れ(地震波レベル)を観測する同一地区において、当該地区に建てられた複数の建物の高さに大きな差がなければ、長周期地震動に伴う複数の建物への影響は、おおよそ同じものである。つまり、共通の地区に建てられた全ての建物のうち、高さが所定の範囲にある複数の建物は、長周期地震動による建物の影響を予測するのにまとめて扱っても問題ない。
【0005】
しかしながら、従来の地震監視制御装置では、エレベータへの影響を予測する装置は、建物毎に求めた建物の揺れの結果に基づいてエレベータへの影響を判断する構成とされている。つまり、似通った高さを有する複数の建物が、共通の地区に建てられている場合でも、建物毎に長周期地震動によるエレベータへの影響有無を予測している。このため、特に、都市部など、建物が集中する地区では、無数の建物毎に、建物の揺れを求める演算を行う必要があるので、全ての建物の揺れを求めるのに長時間を要する。これにより、リアルタイムに、建物の揺れ幅を予測できない場合があり、エレベータへの長周期地震動による影響有無の判断も遅れてしまうことがある。
【0006】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、地震による建物への影響を地震計の地震情報に略リアルタイムに対応させて予測する構成の地震影響予測装置を用いることを可能にするエレベータ制御指令装置、エレベータ装置、及びエレベータシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のエレベータ制御指令装置は、高さ方向に連続するように区分された複数の高さクラスのそれぞれに対応する所定の高さを有する複数の仮想建物が、複数のエリアのそれぞれに設置されているとし、複数のエリア内に設けられた複数の地震計の地震情報に基づいて求めた各仮想建物の揺れ幅の情報と、各仮想建物に対応する高さクラスと、各仮想建物が設置されるエリアの位置情報とを互いに関連付けして外部から配信された地震影響予測情報を受信する予測情報受信部と、複数のエリア内に設けられている建物毎に、建物が設置されているエリアと建物に対応する高さクラスとを関連付けて記憶する建物情報記憶部と、建物情報記憶部に記憶され、各建物に関連付けられたエリアの位置情報及び高さクラスと、建物情報記憶部において仮想建物に関連付けられたエリアの位置情報及び高さクラスとを比較することにより、地震影響予測情報の中から、各建物に対応する仮想建物の揺れ幅の情報を選択し、選択した仮想建物の揺れ幅の情報に応じて、建物に設けられたエレベータ装置を制御するための制御指令を生成する制御指令生成部と、制御指令を制御対象となるエレベータ装置に送信する制御指令送信部とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るエレベータ制御指令装置によれば、建物情報記憶部に記憶された各建物のエリア及び高さクラスと、地震影響予測情報における複数の仮想建物のエリア及び高さクラスとを比較して、地震影響予測情報の中から、各建物に対応する仮想建物の揺れ幅の情報を選択し、選択した揺れ幅の情報に基づいて、各建物に設置されたエレベータ装置の運転を制御するための制御指令を生成し、制御指令を制御対象のエレベータ装置に送信する構成とされている。これは、共通のエリアに設置されている複数の建物のうち、共通の高さクラス内の高さを有する全ての建物は、長周期地震動の影響を予測するのに、まとめて取り扱うことができることを鑑みてなされたものである。そして、以上のようにエレベータ制御指令装置を構成することで、地震影響予測情報を配信する装置として、各エリアに設けられ、高さクラス内の高さを有する複数の仮想建物のそれぞれの揺れ幅を求め、仮想建物の揺れ幅を、実際に各エリアに建てられ、各仮想建物の高さクラス内の高さを有するすべての建物の揺れ幅とみなす構成の地震影響予測装置を用いることができる。
このような地震影響予測装置は、全ての建物について建物毎に長周期地震動による建物の揺れ幅を予測することを避け、必要以上に演算を行うことなく、長周期地震動による建物の揺れ幅を予測するものを用いることができる。これにより、エレベータ制御装置は、現在の予測される建物の揺れに適した制御指令をリアルタイムにエレベータ装置に送信できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータシステムの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエレベータシステムにおいて、地震影響予測装置の建物振動予測部が、将来予測される建物の揺れ幅を求める方法を説明する図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るエレベータシステムにおいて、地震影響予測装置の建物振動予測部が、将来予測される建物の揺れ幅を求める方法を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るエレベータシステムにおいて、地震影響予測装置の地震影響情報配信部から配信される地震影響予測情報について説明する図である。
【図5】緯度、経度で規定される分割エリアを列挙して表されるエリアの情報について説明する図である。
【図6】この発明の第1の実施態様1に係るエレベータシステムにおいて、地震影響予測装置の地震影響情報配信部から配信される地震影響予測情報について説明する図である。
【図7】この発明の実施の形態2の係るエレベータシステムの構成図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係るエレベータシステムにおいて、地震影響予測装置の地震影響情報配信部から配信される地震影響予測情報について説明する図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係るエレベータシステムの構成図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係るエレベータシステムにおいて、地震影響予測装置の地震影響情報配信部から配信される地震影響予測情報について説明する図である。
【図11】この発明の実施の形態4に係るエレベータシステムの構成図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係るエレベータシステムの構成図である。
【図13】この発明の実施の形態6に係るエレベータシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータシステムの構成図である。
【0012】
図1において、エレベータシステム1Aは、地震影響予測装置10Aと、エレベータ制御指令装置30と、エレベータ装置50Aとを備えている。
【0013】
まず、地震影響予測装置10Aについて説明する。
地震影響予測装置10Aは、複数のエリアに配置されたN個の地震計により測定される長周期地震動による地表の平常時からの揺れ幅などの地震情報を受信する地震計情報受信部12と、緊急地震速報の情報に含まれる震源地、震源の深さ、及び地震の規模(マグニチュード)等の震源情報を受信する震源情報受信部13とを備えている。
【0014】
また、地震影響予測装置10Aは、それぞれ、所定の範囲を有する単位領域として規定されるエリアの位置情報を記憶する予測対象エリア記憶部15と、高さ方向に連続するように区分された複数の高さクラスで定義される建物クラスの情報を記憶する建物クラス記憶部16と、地震計情報受信部12で受信された地震情報に基づいて、各エリアの長周期地震動による地表の揺れ幅を地表揺れ幅として予測する地表揺れ予測部18とを備えている。
なお、各エリアは、長周期地震動による地表の揺れ幅の予測を行うための単位領域として設定される。
【0015】
また、地震影響予測装置10Aは、高さ方向に連続するように区分された複数の高さクラスのそれぞれに対応する所定の高さを有する複数の所定の建物(複数の仮想建物)が、複数のエリアのそれぞれに設置されていると想定し、各エリアに建てられた複数の仮想建物それぞれの揺れ幅を、地表揺れ幅に基づいて求める建物振動予測部20と、仮想建物の揺れ幅の情報と、仮想建物に対応する高さクラスと、仮想建物が設置されるエリアの位置情報とを関連付けした地震影響予測情報を配信する地震影響情報配信部22とを備えている。
【0016】
地震計は、複数のエリアを含む広範囲の領域内に散在させて設置されている。例えば、地震計は、各エリアに一つずつ設置されていてもよいし、複数のエリアに適当に散在させて設置されていてもよい。また、地震計は、地表の揺れ幅を予測する対象となる複数のエリアと異なるエリアに設置されているものを利用してもよい。この場合、地震計は、地表の揺れ幅を予測する対象となる複数のエリアの内外問わず、当該複数のエリアの地表の揺れを予測するための地震動波形情報を提供可能な地域に適宜設置される。また、地震計は、地震動波形に関する情報、即ち、例えば、SI値、GAL値、及び震度などの大きさの時間変化を観測してリアルタイムに当該情報を出力するように構成されている。
以下では、1〜N箇所目の設置箇所に設けられた地震計を地震計(1)〜地震計(N)とする。
【0017】
地震影響予測装置10Aは、演算手段としてのCPU(図示せず)、一時的にデータを記憶可能であり、CPUの演算時にワーキング領域に利用される一時記憶手段としてのRAM(図示せず)、各種プログラムが格納されるROM、データを記憶可能な記憶手段としてのハードディスク(図示せず)、及び外部とのデータの授受を可能にするインターフェイス(図示せず)等を有している。これらにより、地震影響予測装置10Aを構成する各部の機能が実現される。
【0018】
次いで、地震影響予測装置10Aのシステム構成について説明する。
地震計情報受信部12と各地震計(1)〜地震計(N)とが通信可能に接続されている。
なお、地震計情報受信部12と地震計(1)〜地震計(N)との間の通信手段は、電話回線やインターネット回線などの通信回線を利用するものであっても、携帯電話回線及びPHSなどの移動体通信を利用するものであってもよい。
【0019】
また、地震計情報受信部12と震源情報受信部13とが、通信可能に接続されている。また、地表揺れ予測部18は、予測対象エリア記憶部15の情報を参照可能に予測対象エリア記憶部15に接続されている。また、地表揺れ予測部18と建物振動予測部20とが、通信可能に接続されている。また、建物振動予測部20が、建物クラス記憶部16の情報を参照可能に建物クラス記憶部16に接続されている。また、建物振動予測部20と地震影響情報配信部22とが、通信可能に接続されている。
【0020】
次いで、地震影響予測装置10Aの各部の機能について説明する。
震源情報受信部13は、例えば、緊急地震速報などにより発せられる地震の震源地、震源の深さ、及び地震の規模(マグニチュード)などの情報を受信する。
【0021】
地震計情報受信部12は、上述したように、地震計(1)〜地震計(N)のそれぞれが観測する地震情報を受信する他、震源情報受信部13から、地震の震源地、震源の深さ、及び地震の規模の情報を受信する。
【0022】
また、地震計情報受信部12は、震源情報受信部13から受信した情報をもとに、震源地と地震計が設置されたエリアとの間の距離、震源の深さ、及び地震の規模を、予め設定された閾値と比較する。
例えば、震源地とエリアとの間の距離、震源の深さ、及び地震の規模が予め設定された閾値より小さい場合には、長周期地震動は発生しないものとみなせるように閾値が設定されている。
【0023】
地震計情報受信部12は、例えば、震源地とエリアとの間の距離、震源の深さ、及び地震の規模が、いずれも閾値より小さい場合には、長周期地震動が発生しないものとして、受信される地震情報を無効にする、言い換えれば、地震情報が受信されていないものとみなす。地震計情報受信部12が、地震情報を無効にした場合、地震影響予測装置10Aは、以下に説明する長周期地震動による建物の揺れ幅の予測を行わないように構成されている。
【0024】
次いで、予測対象エリア記憶部15に記憶されるエリアの位置情報について表1を参照しつつ説明する。
【0025】
【表1】

【0026】
各エリアは、地震が発生した際の地表の揺れが略等しくなるとみなせる土地の範囲(単位領域)として定義される。各エリアの面積は等しい必要はなく、また、連続した地域である必要もない。
【0027】
例えば、各地区の地盤の種類などから、地震が発生した際の地表の揺れをおおよそ同一とみなすことができる地区が、各エリアに振り分けられている。
このとき、表1に示されるように、複数のエリアにA、B、C・・・などの名を付け、エリアA、エリアB、エリアC・・・毎に、地区の地名(番地)を列挙したものが、エリアの位置情報として予測対象エリア記憶部15に記憶される。例えば、エリアAには、○○区○○町、○○区△△町、・・・などの地名の地区が包含され、これらの地区が、エリアAの位置情報として、予測対象エリア記憶部15に記憶される。
他のエリアも同様の形式で定義され、各エリアの位置情報が、予測対象エリア記憶部15に記憶される。
【0028】
エリアを区別する方法として、上記の他に、同一河川の周辺の地区を一まとめにしてエリアとしたり、各自治体が公表している地震の影響度などからエリアを決定したりしてもよい。また、過去に発生した地震に対し、地震計(1)〜(N)が観測した地表の揺れ幅のデータの他に、地震計(1)〜地震計(N)以外の装置(以下、揺れ観測装置とする)で計測された各エリア内の地表の揺れ幅のデータが残されている場合には、過去に発生した複数の地震毎の揺れ観測装置による観測データにおいて、略等しい地表の揺れ幅を観測した複数の揺れ観測装置が設置されている地区をまとめたものをエリアとしてもよい。
【0029】
地表揺れ予測部18は、予測対象エリア記憶部15に記憶された各エリアの長周期地震動による地表の平常時からの揺れ幅を、地震計(1)〜地震計(N)が観測した地表の揺れ幅の測定値に基づいて予測する。
予測方法としては、各エリアに設置されている地震計、もしくは各エリアに最も近い地震計により観測された地表の揺れ幅を、各エリアにおける地表の揺れ幅としてもよい。
【0030】
また、過去に発生した地震に対し、地震計(1)〜地震計(N)が観測した地表の揺れ幅のデータの他に、地震計(1)〜地震計(N)以外の装置(揺れ観測装置)で計測された各エリアの地表の揺れ幅の観測データが残されている場合には、以下のように、各エリアの地表の揺れ幅を予測してもよい。即ち、過去に発生した地震において観測されたデータについて、エリア毎に、揺れ観測装置によりエリア内で観測された地表の揺れ幅と、地震計(1)〜地震計(N)それぞれが観測した地表の揺れ幅との差を演算する。
【0031】
演算結果が、予め定められた閾値以下にあり、かつ最も小さな値となる地表の揺れ幅のデータを観測したエリアと地震計の組をエリアzと地震計eとしたとき、地震計eが観測する地表の揺れ幅を、エリアzの地表の揺れ幅の予測値としてもよい。
【0032】
以下、時刻tにおける任意のエリアzの地表の平常時からの揺れ幅を地表揺れ幅SW(エリアz,t)とする。
【0033】
次いで、建物クラス記憶部16に記憶される複数の建物クラスの情報について、以下の表2を参照しつつ説明する。
【0034】
【表2】

【0035】
表2において、建物クラスA〜Fは、高さ方向に連続するように区分された複数の高さクラスにより定義される。
【0036】
建物クラスAは、100m未満の高さ方向の区間として設定される高さクラスにより定義される。建物クラスBは、100m以上150m未満の高さ方向の区間として設定される高さクラスにより定義される。また、建物クラスCは、150m以上200m未満の高さ方向の区間として設定される高さクラスにより定義される。また、建物クラスDは、200m以上250m未満の高さ方向の区間として設定される高さクラスにより定義される。建物クラスEは、250m以上300m未満の高さ方向の区間として設定される高さクラスにより定義される。また、建物クラスFは、300m以上の高さ方向の区間として設定される高さクラスにより定義される。
【0037】
以上のように、ここでは、建物クラスA〜Fのそれぞれが、高さクラスのみで定義されている。
【0038】
建物振動予測部20は、複数の高さクラスのそれぞれに対応する所定の高さを有する複数の建物が、複数のエリアのそれぞれに設置されているとして、各仮想建物の揺れ幅(各仮想建物揺れ幅BW)を、地表揺れ幅SWに基づいて求める。
【0039】
任意のエリアzに設けられた任意の建物クラスbに対応する任意の高さクラスh内の高さを有する仮想建物について予測される建物の平常時からの揺れ幅BW(エリアz,建物クラスb,t)は、以下の式(1)により求められる。
【0040】
BW(エリアz,建物クラスb,t)=F_建物クラスb(SW(エリアz,t),BW(エリアz,建物クラスb,t−1))・・・(1)
【0041】
ここで、F_建物クラスbは、建物クラス毎(高さクラス毎)に定義され、予測される仮想建物の揺れ幅を、エリアzの地表の平常時からの揺れ幅SWから求める式である。
【0042】
式(1)は、仮想建物の高さをパラメータに有し、パラメータとして用いられる値は、建物振動予測部20に予め記憶されている。また、仮想建物の揺れ幅BWを求める式については、以下に説明する減衰率をパラメータに有するのが一般的であるが、ここでは、減衰率の値として、複数のエリアに設定されている複数の建物の平均的な減衰率の値を用いている。
【0043】
建物が振動し、建物を振動させるエネルギーが消滅した場合、建物を構成する部材間の摩擦、材料内部の摩擦,地盤へのエネルギーの散逸によって、建物の振動エネルギーが消滅して建物の振動は停止することになる。この振動を減衰させる程度を表す数値が減衰率となる。
【0044】
長周期地震動による建物の振幅を決定する要因として支配的なものは、建物高さである。このため、建物の高さのみクラス分けした複数の所定の建物の予想されるBWは、想定した仮想建物と同じ規模の実際の建物の長周期地震動による振幅とみなせる。
【0045】
そして、例えば、式(1)のF_建物クラスbは、仮想建物全体をその重心の高さに質点がある1質点系モデルと仮定した振動方程式から得られる質点部分の振動の解を用いてもよい。
また、式(1)のF_建物クラスbは、仮想建物全体を、多質点系モデルと仮定した振動方程式から得られる質点部分の振動の解を用いてもよい。
【0046】
建物振動予測部20は、時系列的に建物の予測されるBWを求めている。BW(エリアz,建物クラスb,t−1)とは、今回求めるBW(エリアz,建物クラスb,t)の直前に演算されたBWの値である。
なお、1質点系モデルの場合、BW(エリアz,建物クラスb,t)はスカラーとなり、多質点系モデルの場合には、質点毎の振動として建物の振動が表されるので、BW(エリアz,建物クラスb,t)はベクトルとなる。
【0047】
さらに、建物振動予測部20は、エリア毎に、エリア内の現在の時刻から将来の任意の時刻までの擬似的な地表の揺れ波形を想定し、各エリアに設置された仮想建物のそれぞれについて、現在の時刻から将来の任意の時刻t+Tまでの間のある時間t+nΔtにおいて予測される仮想建物の揺れ幅BW(エリアz,建物クラスb,t+nΔt)を推定仮想建物揺れ幅として求める。
【0048】
Δtは、BW(エリアz,建物クラスb,t+nΔt)の演算間隔であり、建物振動予測部20は、nΔtがTになるまで、nを順次1ずつ増やしてBW(エリアz,建物クラスb,t+nΔt)を、推定仮想建物揺れ幅として演算する。
【0049】
以下、推定仮想建物揺れ幅BW(エリアz,建物クラスb,t+nΔt)の演算方法について説明する。
図2及び図3はこの発明の実施の形態1に係るエレベータシステムにおいて、地震影響予測装置の建物振動予測部が、将来予測される建物の揺れ幅を求める方法を説明する図である。
【0050】
建物振動予測部20は、図2の破線に示されるように、時間t以降のSW(エリアz,t+nΔt)の振幅を0とする擬似的な地表の揺れ波形を想定して、任意の時間t+Tまでの予測されるBW(エリアz,建物クラスb,t+nΔt)を、推定仮想建物揺れ幅として演算してもよい。また、建物振動予測部20は、図3の破線に示されるように、現在の時間tの直前に演算したSWの1周期分と同じ波形の地表の揺れが、時間t+Tまで継続して周期的に継続される擬似的な地表の揺れ波形を想定して、任意の時間t+Tまでの予測されるBW(エリアz,建物クラスb,t+nΔt)を推定仮想建物揺れ幅として演算してもよい。
【0051】
いずれにしろ、建物振動予測部20は、現在の時間tから将来の任意の時間t+Tまで、各エリアについて、エリア内の地震動波形を擬似的に設定して、推定仮想建物揺れ幅を演算する。
【0052】
ここで、長周期地震動による建物への影響を予測するのには、共通のエリアに設置されている建物のうち、共通の高さクラスを有する全ての建物をまとめて取り扱っても問題ない。つまり、長周期地震動による建物への影響を予測するのに、全ての建物の揺れ幅を予測する必要はない。
そして、仮想建物について求められた揺れ幅(仮想建物揺れ幅及び推定仮想建物揺れ幅)の結果は、仮想建物が設置されると想定したエリアに設けられ、仮想建物に対応する高さクラスに入る高さを有する全ての建物の揺れ幅として見なせる。
【0053】
次いで、地震影響情報配信部22が配信する地震影響予測情報について説明する。
図4はこの発明の実施の形態1に係るエレベータシステムにおいて、地震影響予測装置の地震影響情報配信部から配信される地震影響予測情報について説明する図である。
【0054】
地震影響情報配信部22には、建物振動予測部20が演算した各仮想建物の揺れ幅(仮想建物揺れ幅、及び推定仮想建物揺れ幅)が、各仮想建物に対応するエリアの位置情報及び高さクラスととともに入力される。
【0055】
そして、地震影響情報配信部22は、図4に示されるように、地震の発生直後から現在までに求められた仮想建物揺れ幅及び推定仮想建物揺れ幅の最大値からなる仮想建物の揺れ幅の情報と、これらの揺れ幅を求めるのに想定した各仮想建物に対応する高さクラスと、各仮想建物が設置されるエリアの位置情報とを互いに関連付けして、地震影響予測情報として配信する。
なお、仮想建物に対応する高さクラスとは、仮想建物の高さを含む高さクラスをいう。
【0056】
説明の便宜上、図4では、(仮想建物揺れ幅の最大値、推定仮想建物揺れ幅の最大値)を(現在まで、将来)と記載している。
また、図示しないが、地震影響情報配信部22は、現時点での予測される仮想建物の揺れ幅も併せて地震影響予測情報として配信している。
【0057】
次いで、エレベータ装置50Aについて説明する。
図1において、エレベータ装置50Aは、制御指令受信部59と、エレベータ装置本体51と、エレベータ装置本体51の運転を制御するエレベータ制御部58とを備えている。
エレベータ装置50Aは、複数のエリア内に設けられた所定の複数の建物のそれぞれに設けられているが、図1では、一つのエレベータ装置50Aのみを図示している。
【0058】
エレベータ装置本体51は、昇降路60と、昇降路60の上部に設けられた機械室61と、機械室61に回転自在に設けられる駆動綱車52aを有する巻上機52と、駆動綱車52aに巻きかけられて、一端側及び他端側が昇降路60内に垂下されたエレベータロープ53と、エレベータロープ53の一端に連結されて昇降路60を昇降自在に設けられたかご55と、エレベータロープ53の他端に連結されたつり合いおもり56と、かご55及び各階の乗場(図示せず)に設置された報知手段(図示せず)とを備えていている。
【0059】
ここで、同一建物に、複数の昇降路60が設けられる場合がある。この場合、異なる昇降路60を昇降するかご55を有するものは別個のエレベータ装置50Aとし、共通の昇降路60を昇降する少なくとも一つのかご55を有するエレベータ装置50Aをバンクとする。
【0060】
報知手段は、例えば、スピーカや、ディスプレイである。
また、エレベータ制御部58及び制御指令受信部59は、CPU、RAM、ROM、及びインタフェイス等により構成される。
【0061】
次いで、エレベータ装置50Aのシステム構成について説明する。
制御指令受信部59とエレベータ制御部58とが通信可能に接続されている。また、エレベータ制御部58は巻上機52に接続され、駆動綱車52aの回転を制御することによりかご55の昇降移動を制御するほか、かご戸(図示せず)や乗場戸(図示せず)の開閉制御を行うことが可能となっている。また、エレベータ制御部58は、報知手段に通信可能に接続されて、所望の報知を報知手段に行わせることが可能になっている。
【0062】
エレベータ制御部58は、以下に説明するエレベータ制御指令装置30からの制御指令を制御指令受信部59が受信した場合には、制御指令に基づいたエレベータ装置本体51の運転を優先する。なお、エレベータ装置本体51の運転とは、かご55の昇降や報知手段による報知、かご戸及び乗場戸の開閉等である。
【0063】
次いで、エレベータ制御指令装置30の概要について説明する。
また、エレベータ制御指令装置30は、地震影響予測装置10Aが配信する地震影響予測情報を受信する予測情報受信部31と、複数のエリア内に設置されている建物毎の後述する建物情報を記憶する建物情報記憶部32と、地震影響予測情報と建物情報とに基づいて、各建物に設けられたエレベータ装置50Aの運転を制御する制御指令を生成する制御指令生成部33と、制御指令を生成するための判断に用いる各閾値を記憶する閾値記憶部34と、制御指令を、制御対象となるエレベータ装置50Aに送信する制御指令送信部35とを備えている。
【0064】
なお、エレベータ制御指令装置30は、CPU、RAM、及びROM、通信インタフェイス等により構成され、これらによりエレベータ制御指令装置30を構成する各部の機能が実現される。
また、エレベータ装置50Aの運転を制御するとは、かご55の昇降制御、かご戸及び乗場戸の開閉制御などをいう。
【0065】
次いで、エレベータ制御指令装置30のシステム構成について説明する。
図1において、予測情報受信部31は、地震影響情報配信部22に通信可能に接続され、制御指令生成部33は、建物情報記憶部32及び閾値記憶部34の情報を参照可能に、建物情報記憶部32及び閾値記憶部34に接続されている。
また、制御指令生成部33と制御指令送信部35とが通信可能に接続されている。
【0066】
次いで、建物情報について、表3を参照しつつ説明する。
【0067】
【表3】

【0068】
表3に示されるように、建物情報は、建物毎に、建物名(建物の情報)、建物が設置されているエリアの位置情報としてのエリア名、及び建物の建物クラス(高さクラス)を互いに関連付けた情報である。
【0069】
そして、制御指令生成部33は、建物情報記憶部32に記憶された各建物に対応するエリア及び高さクラスと、地震影響予測情報における各仮想建物に対応するエリア及び高さクラスとを比較することにより、地震影響予測情報の中から、各建物に対応する仮想建物の揺れ幅の情報を選択する。さらに、制御指令生成部33は、選択した揺れ幅の情報と閾値記憶部34内の閾値とを比較して、各建物に設置されたエレベータ装置50Aの運転を制御するための制御指令を生成する。
【0070】
より詳しくは、制御指令生成部33は、まず、建物毎の建物情報を建物情報記憶部32から読み出し、地震影響予測情報の中から、読み出した建物情報におけるエリア及び高さクラスと同じエリア及び高さクラスに関連付けされている仮想建物の揺れ幅の情報を選択する。さらに、制御指令生成部33は、選択した仮想建物の情報を、読み出した建物情報における建物の揺れ幅の情報とする。
【0071】
さらに、制御指令生成部33は、建物毎に、対応する仮想建物の揺れ幅の情報を常時読み取り、仮想建物揺れ幅の現在までの最大値が、予め設定される第1閾値を超えたと判断すると、建物に設けられたエレベータ装置50Aを管制運転とする管制運転指令を生成する。また、制御指令生成部33は、管制運転指令を生成した後、直近の1周期分の仮想建物揺れ幅から、仮想建物の振幅を繰り返し求め、当該振幅が、予め設定される第2閾値以下になったと判断すると、管制運転を解除して、エレベータ装置50Aの通常の運転を再開する管制運転解除指令を制御指令として生成する。
なお、直近の1周期分の仮想建物揺れ幅から求められる仮想建物の振幅とは、参照した1周期分の仮想建物の揺れ幅について求められる振幅でもよいし、参照した1周期分の仮想建物の揺れ幅に基づいて予測される現時点から将来の1周期分の仮想建物の揺れにおける振幅でもよい。
【0072】
第1及び第2閾値は、昇降路60の高さ方向に垂直な断面サイズと、エレベータロープ53の昇降路壁や昇降路60内に設置された機器からの距離とから求めてもよい。例えば、第1及び第2閾値は、エレベータロープ53が、昇降路60の壁部や、昇降路60内に設置された機器に引っかかる可能性があると見込まれるおおよその建物の揺れ幅より若干小さく設定されるものである。
【0073】
また、過去に地震が発生した際に予測した仮想建物の揺れ幅の情報と、当該地震によるエレベータ装置50Aの被害状況の記録において、仮想建物の揺れ幅が、第1閾値を超えていなかったにも関わらず、所定の高さクラスに属する建物に設けたエレベータ装置50Aが損傷したり、そのエレベータロープ53に不具合が発生したりしていた場合には、以下のように第1閾値を設定してもよい。即ち、所定の高さクラスに対応する高さの仮想建物について管制運転指令を生成するか否かを判断する場合、他の高さクラスのものについて判断する場合に比べて第1閾値を小さく設定してもよい。
【0074】
また、仮想建物の揺れ幅が、第2の閾値より小さくなって、エレベータ装置50Aの運転を再開したにも関わらず、所定の高さクラスに対応する建物のエレベータ装置50Aについて、再開後の運転により損傷等が発生したことが判明している場合には、所定の高さクラスに対応する高さの仮想建物について管制運転指令を生成するか否かを判断する場合、他の高さクラスのものについて判断する場合に比べて第2閾値を小さく設定してもよい。
【0075】
また、制御指令生成部33は、管制運転指令を生成した後、直近の1周期分の仮想建物揺れ幅から仮想建物の振幅を繰り返し求め、当該振幅が、予め設定される第3閾値以下になったと判断すると、エレベータ装置50Aの管制運転を解除して、エレベータ装置50Aに診断運転を実行させる診断運転指令を制御指令として生成してもよい。もしくは、制御指令生成部33は、仮想建物の揺れ幅が第1閾値を超えて管制運転指令を生成した後に求める仮想建物の振幅が、予め設定された第1復旧停止閾値を超えないまま予め設定された第3閾値以下になった場合に、エレベータ装置50Aの管制運転を解除して、エレベータ装置50Aに診断運転を実行させる診断運転指令を生成してもよい。
同様に、制御指令生成部33は、仮想建物の揺れ幅が第1閾値を超えて管制運転指令を生成した後に求める仮想建物の振幅が、予め設定された第1復旧停止閾値を超えないまま予め設定された第2閾値以下になった場合に、エレベータ装置50Aの管制運転を解除して、エレベータ装置50Aに通常運転を再開する管制運転解除指令を生成してもよい。
【0076】
第3閾値及び第1復旧停止閾値も、第1及び第2閾値と同様に、昇降路60の高さ方向に垂直な断面サイズと、エレベータロープ53の位置とから求めればよい。
診断運転は一般的であるので詳細には説明しないが、エレベータロープ53の昇降路60の壁部等への引っかかりや、かご55の昇降時に、異常音が無いか否か等をチェックする運転である。
【0077】
そして、制御指令送信部35が、生成して制御指令を、制御対象となるエレベータ装置50Aに送信し、エレベータ装置50Aでは、制御指令に基づいた運転の制御が行われる。
【0078】
以上のように構成されたエレベータシステム1Aでは、地震が発生すると、地震影響予測情報が、地震影響予測装置10Aから配信され、エレベータ制御指令装置30は、地震影響予測情報に基づいて、必要に応じて制御指令を生成し、エレベータ装置50Aに送信する。上述したように、エレベータ装置50Aでは、エレベータ制御部58が、制御指令が制御指令受信部59に受信されたと判断すると、制御指令に基づいたエレベータ装置本体51の運転を優先して制御する。
【0079】
例えば、エレベータ制御部58は、管制運転指令を受信したと判断したときには、エレベータ装置本体51の運転を、かご55を最寄り階に停止させてかご戸及び乗場戸を開く管制運転に切り替える。
また、エレベータ制御部58は、受信した制御指令に応じた報知を報知手段に行わせるように構成されている。エレベータ制御部58は、管制運転指令を受信したと判断した場合には、「長周期地震動による被害が発生する恐れがあるため、エレベータ装置の運転を中断しています」等の内容を、スピーカから音声により報知したり、ディスプレイに視覚的に表示したりして報知する。
【0080】
この発明の実施の形態1に係るエレベータ制御指令装置30は、建物情報記憶部32に記憶された各建物のエリア及び高さクラスと、地震影響予測情報における複数の仮想建物のエリア及び高さクラスとを比較して、地震影響予測情報の中から、各建物に対応する仮想建物の揺れ幅の情報を選択し、選択した揺れ幅の情報に基づいて、各建物に設置されたエレベータ装置50Aの運転を制御するための制御指令を生成し、制御指令を制御対象のエレベータ装置50Aに送信する構成とされている。
【0081】
これは、共通のエリアに設置されている複数の建物のうち、共通の高さクラスを有する全ての建物は、長周期地震動の影響を予測するのに、まとめて取り扱うことができることを鑑みてなされたものであり、このようにエレベータ制御指令装置30を構成することで、地震影響予測情報の配信元である地震影響予測装置10Aは、以下のように構成して地震影響予測情報を配信するように構成できる。
【0082】
地震影響予測装置10Aは、複数のエリアのそれぞれの位置情報を記憶する予測対象エリア記憶部15と、高さ方向に連続するように区分された複数の高さクラスを記憶する建物クラス記憶部16とを備える構成とする。さらに、地震影響予測装置10Aは、地震計の地震情報に基づいて、各エリアの長周期地震動による地表の揺れ幅を予測する地表揺れ予測部18と、高さクラス内の高さを有する複数の仮想建物を高さクラス毎に想定し、各エリアに設置された複数の仮想建物のそれぞれの揺れ幅の情報を、地表の揺れ幅に基づいて求める建物振動予測部20と、仮想建物の揺れ幅の情報と、仮想建物に対応する高さクラスとをエリア毎の位置情報に関連付けした地震影響予測情報として配信する地震影響情報配信部22とを備える構成とすればよい。
【0083】
地震影響予測装置10Aは、各エリアに設けられ、各高さクラス内の高さを有する複数の仮想建物のそれぞれの揺れ幅を求める構成となっている。ここで、地表の揺れがおおよそ同じとみなせる共通のエリアに建てられた複数の建物のうち、共通の高さクラス内に入る建物であれば、長周期地震動波による振動を建物間で比較したときに、それほど大きく異なることがない。従って、各エリアに設置される各仮想建物について求められた揺れ幅は、実際に各エリアに建てられ、各仮想建物と高さクラス内の高さを有するすべての建物の揺れ幅の近似値としてみなせる。
【0084】
このように、地震影響予測装置10Aには、全ての建物について建物毎に長周期地震動による建物の揺れ幅を予測することを避け、必要以上に演算を行うことなく、長周期地震動による建物の揺れ幅を予測するものを用いることができる。地震影響予測装置10Aでは、建物の揺れ幅を予想するのに要する演算量が著しく削減されるので、建物の揺れ幅を短時間に予測して略リアルタイムに地震影響予測情報に含めて配信できる。
【0085】
以上のことから、エレベータシステム1Aにおいては、エレベータ制御指令装置30が、予測される建物の現在の揺れ幅に応じてエレベータ装置50Aの制御指令を生成することが可能であり、現在の建物の揺れ幅に適したエレベータ装置50Aの制御を行うことができる。
【0086】
また、制御指令生成部33は、地震影響予測情報に含まれる仮想建物の揺れ幅が、第1閾値より大きくなったと判断すると、管制運転指令を生成し、第1閾値を超えた揺れ幅の仮想建物に対応する建物に設けられたエレベータ装置50Aに管制運転指令を配信する。
各仮想建物の揺れ幅は、各仮想建物に対応する建物の現在の揺れ幅としてみなせるので、エレベータ装置50Aでは、建物が管制運転に切り替えるべき揺れ幅で振動すると同時に、自動的に管制運転に切り替えることができる。
【0087】
また、制御指令生成部33は、管制運転指令生成後、地震影響予測情報を常時参照し、直近の1周期分の仮想建物の揺れ幅から仮想建物の振幅を繰り返し求め、求めた仮想建物の振幅が、予め設定される第2閾値以下になったと判断すると、管制運転を解除して、第2閾値以下の振幅となった仮想建物に対応する建物に設けられたエレベータ装置50Aの通常の運転を再開する管制運転解除指令を生成する。
これにより、制御対象のエレベータ装置50Aが設けられた建物の揺れがおさまると同時に、自動的にエレベータ装置50Aの管制運転を解除して、通常運転を再開させることができる。
【0088】
もしくは、制御指令生成部33は、管制運転指令生成後、地震影響予測情報を参照し、直近の1周期分の仮想建物の揺れ幅から仮想建物の振幅を繰り返し求め、求めた振幅が、予め設定される第3閾値以下になったと判断すると、エレベータ装置50Aの管制運転を解除して、診断運転を行わせる診断運転指令を生成してもよい。
これにより、通常運転の再開前に、エレベータ装置50Aに異常が無いか否かのチェックを適切な時期に自動的に行うことができる。
【0089】
なお、制御指令生成部33は、仮想建物の揺れ幅が第1閾値を超えて管制運転指令を生成した後に求めた仮想建物の振幅が、第1復旧停止閾値を超えないまま第3閾値以下になった場合のみに診断運転指令を生成してもよい。つまり、建物を、第1復旧停止閾値を超える振幅で振動させるような大きな地震が発生していない場合のみ、エレベータ装置50Aの診断運転を行わせることができる。
また、制御指令生成部33は、仮想建物の揺れ幅が第1閾値を超えて管制運転指令を生成した後に求めた仮想建物の振幅が、予め設定された第1復旧停止閾値を超えないまま予め設定された第2閾値以下になった場合のみに、エレベータ装置50Aの管制運転を解除して、エレベータ装置50Aに通常運転を再開する管制運転解除指令を生成してもよい。つまり、建物を、第1復旧停止閾値を超える振幅で振動させるような大きな地震が発生していない場合のみ、エレベータ装置50Aの通常運転を再開させることができる。
【0090】
また、エレベータ装置50Aでは、上記のようにエレベータ制御指令装置30が第1〜第3の閾値及び第1復旧停止閾値と仮想建物の揺れ幅との比較結果から生成した制御指令に応じて、スピーカやディスプレイ等の報知手段から、長周期地震動の発生予測に起因してエレベータ装置50Aの運転形態が通常のものから管制運転などの運転に切り替えられることを報知する。従って、エレベータ装置50Aが、通常の運転形態から制御指令に応じた異なる運転モードに切り替わる際に、乗客に焦燥感を抱かせることを回避できる。
【0091】
また、各エリアは、地震が発生した際の地表の揺れが略等しくなるとみなせる地区を列挙して表すものとしてとして説明したが、地震が発生した際の地表の揺れが略等しくなるとみなせる分割エリアを、緯度及び経度で規定して列挙したもので表し、各エリアの位置情報を予測対象エリア記憶部15に記憶してもよい。
【0092】
以下、エリアの位置情報の詳細について以下の表4及び図面を用いて説明する。
表4は、緯度、経度で規定される分割エリアを列挙して表されるエリアについて説明する表である。
【0093】
【表4】

【0094】
また、図5は緯度、経度で規定される分割エリアを列挙して表されるエリアの情報について説明する図である。
【0095】
表4及び図5において、例えば、各分割エリアの形状を長方形もしくは正方形に設定し、各分割エリアの一方の対角線上に位置する2つの頂点での経度、緯度により、各分割エリアを定義する。
【0096】
ここでは、エリアAには、(北緯35.68度、東経139.76度)及び(北緯35.67度、東経139.77度)に対角線上の頂点を有する正方形のエリアで定義される分割エリアA1と、(北緯35.70度、東経139.73度)及び(北緯35.68度、東経139.77度)に対角線上の頂点を有する長方形のエリアで定義される分割エリアA2とが包含されている。このとき、分割エリアA1と分割エリアA2では、地震が発生した際の地表の揺れが略等しくなる。
【0097】
また、エリアBには、(北緯35.68度、東経139.73度)及び(北緯35.67度、東経139.76度)に対角線上の頂点を有する正方形のエリアで定義される分割エリアB1が包含されている。
以上のように定義される各エリアA,Bの位置情報を、予測対象エリア記憶部15に記憶してもよい。
【0098】
なお、エリアB、エリアC、・・・も同様に緯度経度で規定される分割エリアを列挙したもので定義して、各エリアの位置情報を予測対象エリア記憶部15に記憶する。
【0099】
また、この実施の形態1では、建物クラスが、高さクラスのみで定義されるものとして説明したが、建物クラスを、以下に説明するように高さクラス及び減衰率で定義して建物クラス記憶部16に記憶した第1の実施態様の地震影響予測装置を構成してもよい。
【0100】
以下、第1の実施態様の地震影響予測装置について説明する。
第1の実施態様.
第1の実施態様に係る地震影響予測装置のシステム構成は、地震影響予測装置10Aのシステム構成と同一である。
【0101】
次いで、建物クラス記憶部16に記憶される建物クラスの情報について表5を参照しつつ説明する。
【0102】
【表5】

【0103】
表5に示されるように、建物クラスは、高さクラス、及び高さクラス毎に少なくとも一つ規定される減衰率クラスにより定義される。
【0104】
建物クラスA−1〜A−4、建物クラスB−1〜B−4、建物クラスC−1〜C−4、建物クラスD1〜D4、建物クラスE1〜E4、及び建物クラスF−1〜F4のそれぞれを定義する高さクラスは、上述の建物クラスA〜Fのそれぞれを定義する高さクラスと同じ高さ方向の区間を有している。
【0105】
そして、建物クラスA−1〜A−4のそれぞれは、高さクラス毎に、減衰率の範囲で、0.25未満、0.25以上0.35未満、0.35以上0.45未満、及び0.45以上となる減衰率クラスのそれぞれを関連付けさせて定義されている。
例えば、建物クラスA−1は、高さ方向の区間が100m未満であり、かつ減衰率が0.25未満の建物を分類するものとして定義される。また、建物クラスA−2〜A−4のそれぞれは、高さ方向の区間が100m未満であり、かつ減衰率が0.25〜0.35、0.35〜0.45、0.45以上の範囲にある建物のそれぞれを分類するものとして定義される。
【0106】
また、建物クラスB−1〜F−4についても、同様に、高さクラス及び減衰率クラスにより定義される。
【0107】
建物振動予測部20は、高さクラス内の高さを有し、減衰率クラス内の値の減衰率を有する複数の所定の建物(仮想建物)を建物クラスA−1〜F−4毎に想定し、各エリアに設置された複数の仮想建物それぞれの揺れ幅(仮想建物揺れ幅BW)を、地表揺れ幅SWに基づいて求める。
【0108】
任意のエリアzに設けられ、任意の建物クラスbに対応する任意の高さクラスh及び減衰率クラスcを有する仮想建物の予測される建物の平常時からの揺れ幅は、上述の式(1)と同様に求められる。
この場合、式(1)は、想定した仮想建物の高さ、及び減衰率をパラメータに有するが、減衰率は、建物クラス毎に設定される。
【0109】
さらに、建物振動予測部20は、エリア毎に、エリア内の現在の時刻から将来の任意の時刻までの擬似的な地表の揺れ波形を想定し、各エリアに設置された仮想建物それぞれの現在の時刻から将来の任意の時刻t+Tまでの間のある時間t+nΔtの揺れ幅BW(エリアz,建物クラスb,t+nΔt)を推定仮想建物揺れ幅として求める。
【0110】
BW(エリアz,建物クラスb,t+nΔt)の演算方法については、地震影響予測装置10Aの場合と同様である。
【0111】
次いで、地震影響情報配信部22から配信される地震影響予測情報について説明する。
図6はこの発明の第1の実施態様1に係るエレベータシステムにおいて、地震影響予測装置の地震影響情報配信部から配信される地震影響予測情報について説明する図である。
【0112】
図6に示されるように、地震影響情報配信部22は、エリア毎に、仮想建物揺れ幅の最大値、及び推定仮想建物揺れ幅の最大値、及び仮想建物に対応する建物クラスを互いに関連付けした地震影響予測情報を配信する。
仮想建物に対応する建物クラスとは、仮想建物の高さ及び減衰率を含む建物クラス及び減衰率クラスにより定義される建物クラスをいう。
図6では、説明の便宜上、(仮想建物揺れ幅の最大値、推定仮想建物揺れ幅の最大値)を(現在まで、将来)と記載している。
【0113】
この第1の実施態様に係る地震影響予測装置の他の動作は、地震影響予測装置10Aと同様である。
【0114】
この第1の実施態様に係る地震影響予測装置によれば、建物クラスが、高さクラス及び減衰率クラスにより定義される。
建物の揺れ幅BWを求める式(1)において、同じ高さクラス内の高さでも、異なる減衰率クラス内の減衰率を有する複数の仮想建物を考慮して、BWを演算するので、仮想建物と同規模の実際の建物の揺れ幅とBWとを比較したときの誤差が小さくなる。従って、建物の管理者は、建物がどの程度揺れるのかを、一層正確に把握することができる。
【0115】
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2の係るエレベータシステムの構成図である。
なお、上記実施の形態1と同一または相当部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0116】
図7において、エレベータシステム1Bは、地震影響予測装置10Aに代え地震影響予測装置10Bを有する他は、エレベータシステム1Aと同様に構成されている。
【0117】
地震影響予測装置10Bは、ロープ振動予測部25を有している。
ロープ振動予測部25は、建物振動予測部20と地震影響情報配信部22との間に組み込まれている。他の地震影響予測装置10Bの構成は、地震影響予測装置10Aと同様である。
【0118】
ロープ振動予測部25には、建物振動予測部20が求めた各仮想建物の揺れ幅の情報が入力される。
【0119】
ここで、昇降路60の上部から垂れ下げられているエレベータロープ53の部位の長さによっては、エレベータロープ53が建物の振動に共振して、建物の振幅以上の振幅で振動する場合がある。
例えば、エレベータ装置50Aの昇降行程が、建物の高さと同じ規模である場合、かごが最下部(1階)の乗り場に停止するなどして、エレベータロープ53が、エレベータ装置50Aの昇降行程と略同一の長さになっているときに、エレベータロープ53が建物の振動に共振しやすくなる。
【0120】
そこで、ロープ振動予測部25は、各エリアに設置された複数の仮想建物のそれぞれに設けられる仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅を、建物揺れ幅BWに基づいて求める。このとき、仮想エレベータ装置の昇降行程は、該当するエレベータの設置先として想定した仮想建物の高さと同じ規模であると仮定する。
【0121】
ロープ振動予測部25は、任意のエリアzに設置された複数の仮想建物のうち、任意の建物クラスbに対応する任意の高さクラスh内の高さを有する仮想建物に設けられ、高さクラスh内の高さと同じ規模の昇降行程を有する仮想エレベータ装置のエレベータロープの平常時からの予想される揺れ幅を仮想ロープ揺れ幅RW(エリアz,建物クラスb,t)として、以下の式(2)から求める。なお、仮想ロープ揺れ幅RWは、昇降行程と略同一の長さに垂下されていると想定した仮想エレベータ装置のエレベータロープについて求めている。
【0122】
RW(エリアz,建物クラスb,t)=G_建物クラスb(BW(エリアz,建物クラスb,t)、RW(エリアz,建物クラスb,t−1))・・・(2)
【0123】
G_建物クラスbは、仮想ロープ揺れ幅RWをBWに基づいて求める式であり、仮想建物に、仮想建物の高さと同じ規模の昇降行程の昇降路を有する仮想エレベータ装置が設けられているものとして、建物クラス毎(高さクラス毎)に定義される。
なお、仮想エレベータ装置のエレベータロープの減衰率は、各エレベータ装置50Aのエレベータロープの平均的な値に設定されている。また、エレベータロープは、かごを吊り下げる主ロープであるものとしているが、エレベータロープとしてのコンペンロープ、及び制御ケーブルのそれぞれについての揺れ幅の予測を行う場合には、それぞれの長さ、減衰率を設定した式を複数用意して、それぞれの揺れ幅の予測を行ってもよい。
【0124】
式(1)のF_建物クラスbの関数が、仮想建物を1質点系と仮定した振動方程式から得られる質点部分の振動の解である場合には、仮想エレベータ装置のエレベータロープを昇降行程の範囲に亘って垂れ下げられたエレベータロープの重心の高さに質点がある1質点系モデルと仮定して、その振動方程式から得られる質点部分の振動の解を、関数G_昇降路クラスsとしてもよい。
【0125】
また、式(1)のF_建物クラスbの関数が、建物を多質点系と仮定した振動方程式から得られる質点部分の振動の解である場合には、仮想エレベータ装置のエレベータロープも、多質点系モデルと仮定して、その振動方程式から得られる質点部分の振動の解を、関数G_昇降路クラスsとしてもよい。
【0126】
1質点系モデルの場合、RWはスカラー、多質点系モデルの場合には、各質点での振動の解でRWが表されるのでRWはベクトルになる。
【0127】
また、ロープ振動予測部25は、各仮想エレベータ装置のエレベータロープの現在の時刻から将来の任意の時刻までの揺れ幅を推定ロープ揺れ幅RW(エリアz,建物クラスb,t+nΔt)として、建物振動予測部20が求めた推定仮想建物揺れ幅BW(エリアz,建物クラスb,t+nΔt)に基づいて求める。
【0128】
ここで、上述したように、共通のエリアに設置されている建物のうち、共通の高さクラスを有する全ての建物を、長周期地震動の影響を予測するのにまとめて取り扱っても問題ない。また、建物には、建物の高さに対応する高さクラス内の昇降行程の規模を有するエレベータが設置されることが多い。共通のエリアに設置された全ての建物に設けられているエレベータ装置50Aにおいて、共通の高さクラス内の昇降行程を有する全てのエレベータ装置50Aは、長周期地震動によるエレベータロープ53の振動を予測するのに、まとめて扱える。つまり、長周期地震動によるエレベータロープ53への影響を予測するのに、全てのエレベータ装置50Aのエレベータロープ53毎に揺れ幅を予測する必要はない。
【0129】
以上のように求められた仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅は、仮想エレベータ装置と同じ条件にある全てのエレベータ装置50Aのエレベータロープ53の揺れ幅として見なせる。
仮想エレベータ装置とエレベータ装置50Aとが同じ条件とは、それぞれの設置エリア、及び仮想エレベータ装置とエレベータ装置50Aのそれぞれが設置される仮想建物と建物の高さに入る高さクラスが互いに共通であり、かつ、エレベータ装置50Aの昇降行程が、仮想建物及び建物の高さが入る高さクラス内の高さであるものをいう。
【0130】
地震影響情報配信部22は、求められた仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を以下に説明する地震影響予測情報として配信する。
図8はこの発明の実施の形態2に係るエレベータシステムにおいて、地震影響予測装置の地震影響情報配信部から配信される地震影響予測情報について説明する図である。
【0131】
地震影響情報配信部22は、図8に示されるように、各仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報と、各仮想エレベータ装置が設けられた仮想建物に対応する高さクラスと、各仮想建物が設置されるエリアの位置情報とを互いに関連付けした情報を、地震影響予測情報として配信する。
なお、図8では、説明の便宜上、(現時点までの仮想ロープ揺れ幅の最大値、将来の任意の時間t+Tまでの推定仮想ロープ揺れ幅の最大値)を(現在まで、将来)と記載している。
【0132】
次いで、エレベータ制御指令装置30の動作について説明する。
建物情報記憶部32には、それぞれ、エレベータ装置50Aを有し、複数のエリア内に設置され建物毎の建物情報が記憶されている。建物情報記憶部32に記憶される建物情報は、上記実施の形態1の建物情報記憶部32に記憶される建物情報と同様である。
【0133】
制御指令生成部33は、建物情報記憶部32に記憶された各建物のエリア及び高さクラスと、地震影響予測情報における各仮想建物のエリア及び高さクラスとを比較することにより、地震影響予測情報の中から、各仮想ロープ揺れ幅の情報を選択する。さらに、制御指令生成部33は、選択した仮想ロープ揺れ幅の情報に応じて、各建物に設置されたエレベータ装置50Aを制御するための制御指令を生成する。
【0134】
より詳しくは、制御指令生成部33は、まず、建物毎の建物情報を建物情報記憶部32から読み出し、地震影響予測情報の中から、読み出した建物情報におけるエリア及び高さクラスと同じエリア及び高さクラスに関連付けされている仮想建物に設けられた仮想エレベータ装置のエレベータロープの情報を選択する。さらに、制御指令生成部33は、選択したエレベータロープの情報を、読み出した建物情報における建物に設けられたエレベータ装置50Aのエレベータロープ53の揺れ幅の情報とする。
【0135】
さらに、制御指令生成部33は、地震影響予測情報の中から選択したエレベータロープの揺れ幅の情報において、仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅(仮想ロープ揺れ幅)の現在までの最大値が、予め設定される第4閾値を超えたと判断すると、管制運転指令を制御指令として生成する。また、制御指令生成部は、管制運転指令を生成した後、地震影響予測情報を参照し、直近の1周期分の仮想ロープ揺れ幅から仮想エレベータ装置のエレベータロープの振幅を繰り返し求め、求めたエレベータロープの振幅が、予め設定される第5閾値以下になったと判断すると、管制運転を解除して、エレベータ装置50Aの通常の運転を再開する管制運転解除指令を制御指令として生成する。
もしくは、制御指令生成部33は、仮想ロープ揺れ幅が第4閾値を超えて管制運転指令を生成した後に求めた仮想エレベータ装置のエレベータロープの振幅が、予め設定された第2復旧停止閾値を超えないまま、予め設定された第5閾値以下になった場合のみに、管制運転を解除して、エレベータ装置50Aの通常の運転を再開する管制運転解除指令を制御指令として生成してもよい。
【0136】
第4及び第5閾値は、昇降路60の高さ方向に垂直な断面サイズと、エレベータロープ53の位置とから求めてもよい。例えば、第4及び第5閾値は、エレベータロープ53が、昇降路60の壁部に引っ掛かったりする可能性があるおおよそのエレベータロープ53の振幅より若干小さく設定されるものである。
【0137】
また、制御指令生成部33は、管制運転指令を生成した後、直近の1周期分の仮想エレロープ揺れ幅から仮想エレベータ装置のエレベータロープの振幅を繰り返し求め、求めたエレベータロープの振幅が、予め設定された第6閾値以下になったと判断すると、管制運転を解除して、エレベータ装置50Aの診断運転を行う、診断運転指令を制御指令として生成してもよい。もしくは、制御指令生成部33は、仮想ロープ揺れ幅が第4閾値を超えて管制運転指令を生成した後に求めた仮想エレベータ装置のエレベータロープの振幅が、予め設定された第2復旧停止閾値を超えないまま予め設定された第6閾値以下になった場合に、エレベータ装置50Aの管制運転を解除して、エレベータ装置50Aに診断運転を実行させる診断運転指令を生成してもよい。
【0138】
第6閾値及び第2復旧停止閾値も、第4及び第5閾値と同様に、昇降路60の高さ方向に垂直な断面サイズと、エレベータロープ53の位置とから求めればよい。
なお、診断運転は一般的であるので詳細には説明しないが、エレベータロープ53の昇降路機器や昇降路への引っかかりや、異常音が無いか否かをチェックする運転である。
【0139】
そして、制御指令送信部35が、制御対象となるエレベータ装置50Aに制御指令を送信し、エレベータ装置50Aでは、制御指令に基づいた運転の制御が行われる。
また、エレベータ制御部58は、受信した制御指令に応じた報知を報知手段に行わせるように構成されている。エレベータ制御部58は、管制運転指令を受信したと判断した場合には、「長周期地震動による被害が発生する恐れがあるため、エレベータ装置の運転を中断しています」等の内容を、スピーカから音声により報知したり、ディスプレイに視覚的に表示したりして報知する。
【0140】
この実施の形態2によれば、エレベータ制御指令装置30は、建物情報記憶部32に記憶され、昇降行程が、建物の高さクラスと同規模のエレベータ装置50Aを有する各建物に関連付けられたエリア及び高さクラスと、地震影響予測情報において仮想建物に関連付けられているエリア及び高さクラスとを比較することにより、地震影響予測情報の中から、各建物に設けられたエレベータ装置50Aに対応する仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を選択し、選択したエレベータロープの揺れ幅の情報に応じて、該当する建物に設置されたエレベータ装置50Aを制御するための制御指令を生成する構成とされている。
【0141】
これは、共通のエリア毎に設置されている複数の建物のうち、共通の高さクラスを有する全ての建物に設けられたエレベータは、長周期地震動の影響を予測するのに、まとめて扱えることを鑑みてなされたものである。エレベータ制御指令装置30を上記のように構成することで、地震影響予測情報の配信元である地震影響予測装置10Bを以下にように構成できる。
【0142】
即ち、地震影響予測装置10Bは、以下のように地震影響予測情報を配信する構成とすればよい。
地震影響予測装置10Bは、複数のエリアのそれぞれの位置情報を記憶する予測対象エリア記憶部15と、高さ方向に連続するように区分された複数の高さクラスを記憶する建物クラス記憶部16とを備える構成とする。さらに、地震影響予測装置10Bは、地震計の地震情報に基づいて、各エリアの長周期地震動による地表の揺れ幅を地表揺れ幅として予測する地表揺れ予測部18と、高さクラス内の高さを有する複数の仮想建物を高さクラス毎に想定し、各エリアに設置された複数の仮想建物のそれぞれの揺れ幅の情報を、地表揺れ幅に基づいて求める建物振動予測部20とを備える構成とする。さらに、地震影響予測装置10Bは、各エリアに設置された複数の仮想建物のそれぞれに設けられ、複数の仮想建物のそれぞれの高さと同じ規模の昇降行程を有する複数の仮想エレベータ装置のそれぞれを想定し、各仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を、仮想建物の揺れ幅の情報に基づいて求めるロープ振動予測部と、仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報と、仮想建物に対応する高さクラスとをエリア毎の情報に関連付けして地震影響予測情報を配信する地震影響情報配信部22とを備える構成とすればよい。
【0143】
即ち、地震影響予測装置10Bは、共通のエリアに設置され、共通の高さクラス内の高さを有する全ての建物を仮想建物とし、さらに仮想建物に設けられる仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅を求める構成となっている。
求められた各仮想エレベータ装置の揺れ幅は、仮想建物に対応するエリア及び高さクラスと同じエリア及び高さクラスに関連付けされた建物に設けられ、当該建物と同じ高さクラスに入る昇降行程を有する全てのエレベータ装置50Aのエレベータロープ53の揺れ幅として見なせる。
【0144】
このため、地震影響予測装置10Bには、全てのエレベータ装置50Aについて、長周期地震動によるエレベータロープ53の揺れ幅をエレベータ装置50A毎に予測することを避け、必要以上に演算を行うことなく、長周期地震動によるエレベータロープ53の揺れ幅を予測するものを用いることができる。つまり、地震影響予測装置10Bでは、エレベータロープ53の揺れ幅を予想するのに要する演算量が著しく削減し、エレベータロープ53の揺れ幅を短時間に予測して略リアルタイムに地震影響予測情報に含めて配信できる。
【0145】
以上のことから、エレベータシステム1Bにおいては、エレベータ制御指令装置30が、リアルタイムに予測されるエレベータロープ53の揺れ幅に適したエレベータ装置50Aの制御指令を生成することが可能であり、現在のエレベータロープ53の揺れ幅に適したエレベータ装置50Aの制御を行うことができる。
【0146】
また、上述したように、エレベータロープ53の振幅は、建物の揺れ幅が小さい場合でも、建物の振動に共振して建物の揺れ幅に対して大きくなったりする場合もある。
つまり、仮想建物の揺れ幅の情報だけでは、エレベータロープ53の長周期地震動による影響を予測しきれないことがある。例えば、共振によってエレベータロープ53が大きく振動した場合には、エレベータロープ53が昇降路壁等に引っかかることを予想出来ない。
この地震影響予測装置10Bでは、仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れを実際のエレベータロープ53にみたてて予測しているので、エレベータ制御指令装置30は、エレベータロープ53への長周期地震動による影響をより的確に予測して、現状に適したエレベータ装置50Aの制御指令を生成できる。
【0147】
また、例えば、エレベータの管理者は、地震影響情報配信部22から配信される情報に基づいて、略リアルタイムにエレベータロープの振幅の予測値を知ることができるので、実際のエレベータロープの揺れ幅に応じて、エレベータのかごを管制運転に切り替えられるようにエレベータを構成したりできる。
【0148】
また、実際のエレベータロープ53の将来の揺れ幅を予測することで、例えば、エレベータ装置50Aの運転を管制運転に切り替えるのに、管制運転に切り替わることを前もってかご55内の乗客に報知手段から報知することができ、エレベータ装置50Aの停止に伴う乗客の焦燥感を減らすことがきる。
【0149】
また、制御指令生成部33は、地震影響予測情報に含まれる仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅が、第4閾値より大きくなったと判断すると、管制運転指令を生成し、第4閾値を超えた振幅の仮想エレベータ装置のエレベータロープと同じ条件のエレベータロープ53を有するエレベータ装置50Aに管制運転指令を配信する。各仮想エレベータ装置のエレベータロープの振幅は、各仮想エレベータ装置と同じ条件のエレベータ装置50Aのエレベータロープ53の振幅としてみなせるので、エレベータ装置50Aでは、エレベータロープ53が、管制運転に切り替えるべき振幅で振動すると同時に、自動的に管制運転に切り替えることができる。
【0150】
また、制御指令生成部33は、管制運転指令生成後、地震影響予測情報を常時参照し、直近の1周期分の仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅から仮想エレベータ装置のエレベータロープの振幅を繰り返し求め、求めたエレベータロープの振幅が、予め設定される第5閾値以下になったと判断すると、第5閾値以下の振幅となった仮想エレベータ装置のエレベータロープと同じ条件のエレベータロープ53を有するエレベータ装置50Aに対し、管制運転を解除して、通常の運転を再開する管制運転解除指令を生成する。
これにより、制御対象のエレベータ装置50Aのエレベータロープ53の揺れがおさまると同時に、自動的にエレベータ装置50Aの管制運転を解除して、通常運転を再開させることができる。
【0151】
また、制御指令生成部33は、仮想ロープ揺れ幅が第4閾値を超えて管制運転指令を生成した後に求めた仮想エレベータ装置のエレベータロープの振幅が、第2復旧停止閾値を超えないまま第6閾値以下になった場合のみに診断運転指令を生成してもよい。つまり、エレベータ装置50Aのエレベータロープ53を、第2復旧停止閾値を超える振幅で振動させるような地震が発生していない場合のみ、エレベータ装置50Aのエレベータ装置50Aの診断運転を行わせることができる。
また、制御指令生成部33は、仮想ロープ揺れ幅が第4閾値を超えて管制運転指令を生成した後に求めたエレベータロープの振幅が、第2復旧停止閾値を超えないまま第5閾値以下になった場合のみに、エレベータ装置50Aの管制運転を解除して通常運転を再開する管制運転解除指令を生成してもよい。この場合、エレベータ装置50Aのエレベータロープ53を、第2復旧停止閾値を超える振幅で振動させるような地震が発生していない場合のみ、エレベータ装置50Aの通常運転を再開させることができる。
【0152】
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3に係るエレベータシステムの構成図である。
なお、図9において、上記実施の形態1,2と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0153】
図9において、エレベータシステム1Cは、地震影響予測装置10Aに代え地震影響予測装置10Cを有する他は、エレベータシステム1Aと同様に構成されている。
地震影響予測装置10Cは、昇降路クラス記憶部27を有している。
そして、ロープ振動予測部25が、昇降路クラス記憶部27のデータを参照可能に昇降路クラス記憶部27に接続されている。他の地震影響予測装置10Cの構成は、地震影響予測装置10Bと同様である。
【0154】
昇降路クラス記憶部27には、高さ方向に連続するように区分された複数の昇降路クラスA〜昇降路クラスFの情報が記憶されている。
昇降路クラスA〜昇降路クラスFの区間は、以下の表6に示されるように設定されている。
【0155】
【表6】

【0156】
ロープ振動予測部25は、各エリアに設置された複数の仮想建物のそれぞれに設けられた複数の仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅RWを、エレベータ装置毎に建物の揺れ幅BWに基づいて求める。このとき、複数の仮想エレベータのそれぞれの昇降行程は、各昇降路クラス内の所定の規模を有するものとして想定している。
【0157】
ロープ振動予測部25は、任意のエリアzに設置された任意の建物クラスbに対応する任意の高さクラスh内の高さを有する仮想建物に設けられ、任意の昇降路クラスsに入る規模の昇降行程を有する仮想エレベータ装置のエレベータロープの平常時からの予想される揺れ幅をロープ揺れ幅RW(エリアz,建物クラスb,昇降路クラスs、t)として、以下の式(3)から求める。
【0158】
RW(エリアz,建物クラスb,昇降路クラスs,t)=G_昇降路クラスs(BW(エリアz,建物クラスb,t),RW(エリアz,建物クラスb,昇降路クラスs,t−1))・・・(3)
式(3)のG_昇降路クラスsは、式(2)G_建物クラスbと同様、BWに基づいてロープ揺れ幅RWを求める式であるが、式(2)G_建物クラスbと比較して、複数の昇降路クラスs毎に設定される点で異なる。
なお、仮想エレベータ装置のエレベータロープの減衰率は、各エレベータ装置50Aのエレベータロープの平均的な値に設定されている。また、エレベータロープは、かごを吊り下げる主ロープであるものとしているが、エレベータロープとしてのコンペンロープ、及び制御ケーブルのそれぞれについての揺れ幅の予測を行う場合には、それぞれの長さ、減衰率を設定した式を複数用意して、それぞれの揺れ幅の予測を行ってもよい。
【0159】
また、ロープ振動予測部25は、各仮想エレベータ装置のエレベータロープの現在の時刻から将来の任意の時刻までの任意の時間t+nΔtでの揺れ幅を仮想推定ロープ揺れ幅RW(エリアz,建物クラスb,昇降路クラスs、t+nΔt)として、建物振動予測部20が求めた推定仮想建物揺れ幅BW(エリアz,建物クラスb,t+nΔt)に基づいて求める。
【0160】
ここで、上述したように、長周期地震動の影響を予測するのに、共通のエリアに設置され、かつ共通の高さクラスに入る高さを有するすべての建物は、まとめて扱える。さらに、まとめて扱える建物に設けられているエレベータ装置50Aのうち、共通の昇降路クラスに入る昇降行程を有するエレベータ装置50Aのエレベータロープ53は、長周期地震動によるエレベータロープ53への影響を予測するのにまとめて扱える。つまり、長周期地震動によるエレベータロープ53への影響を予測するのに、全てのエレベータ装置50Aについて、エレベータ装置50A毎に、エレベータロープ53の揺れ幅を予測する必要はない。
【0161】
そして、仮想エレベータ装置のエレベータロープについて求められた揺れ幅は、仮想エレベータ装置と同じ条件にある全てのエレベータ装置50Aのエレベータロープ53の揺れ幅として見なせる。
仮想エレベータ装置とエレベータ装置50Aとが同じ条件とは、設置エリア、及び設置対象である仮想建物と建物の高さが入る高さクラスが互いに共通であり、かつ、昇降行程が、共通の昇降路クラス内の規模であるものをいう。
【0162】
地震影響情報配信部22は、求められた仮想エレベータのエレベータロープの揺れ幅の情報を以下に説明する地震影響予測情報として配信する。
図10はこの発明の実施の形態3に係るエレベータシステムにおいて、地震影響予測装置の地震影響情報配信部から配信される地震影響予測情報について説明する図である。
【0163】
地震影響情報配信部22は、図10に示されるように、各仮想エレベータ装置が設定されると想定した仮想建物が建てられるエリアの位置情報と、各仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報と、各仮想エレベータ装置が設置されると想定した仮想建物の高さを含む高さクラス(建物クラス)と、各仮想エレベータ装置の昇降路の規模を含む昇降路クラスとを互いに関連付けした情報を地震影響予測情報として配信するように構成されている。
なお、図10では、説明の便宜上、(現在までのRW(ロープ揺れ幅)の最大値、現在の時刻から将来の任意の時刻までのRW(推定ロープ揺れ幅)の最大値)を、(現在まで、将来)と記載している。
【0164】
次いで、エレベータ制御指令装置30の動作について説明する。
また、建物情報記憶部32には、以下の表7に説明する建物情報が記憶される。
【0165】
【表7】

【0166】
表7に示されるように、建物情報は、複数のエリア内に設置された全ての建物について、建物名、設置されているバンク、建物が設置されているエリア名(位置情報)、建物の高さを含む高さクラス、及びバンクの昇降行程を含む昇降路クラスが互いに関連付けられた情報である。
【0167】
例えば、○○ビルには、2つのバンクが設けられ、互いのバンクの昇降行程の規模が、昇降路クラスAと昇降路クラスB内に属している。
【0168】
次いで、エレベータ制御指令装置30の動作について説明する。
そして、制御指令生成部33は、建物情報記憶部32に記憶された各建物に設けられたエレベータ装置50Aに対応するエリア、高さクラス、及び昇降路クラスと、地震影響予測情報における仮想建物及び仮想エレベータ装置に対応するエリア、高さクラス、及び昇降路クラスとを比較することにより、地震影響予測情報の中から、エレベータ装置50Aの各エレベータロープ53に対応する仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を選択し、選択したエレベータロープの揺れ幅の情報に応じて、各建物に設置されたエレベータ装置50Aを制御するための制御指令を生成する。
【0169】
より詳しくは、制御指令生成部33は、まず、各建物のバンク毎に建物情報を建物情報記憶部32から読み出し、地震影響予測情報の中から、読み出した建物情報におけるエリア、高さクラス、及び昇降路クラスと同じエリア、高さクラス、及び昇降路クラスに関連付けされている仮想建物に設けられた仮想エレベータ装置のエレベータロープの情報を選択する。さらに、制御指令生成部33は、選択したエレベータロープの情報を、読み出した建物情報におけるバンクからなるエレベータ装置50Aのエレベータロープ53の揺れ幅の情報とする。
【0170】
さらに、制御指令生成部33は、エレベータシステム1Bにおける制御指令生成部33と同様に、管制運転指令、管制運転解除指令、及び診断運転指令などの制御指令を生成する。
【0171】
また、制御指令生成部33は、以下に説明する共振防止指令を生成してもよい。
制御指令生成部33は、地震影響予測情報の中から、今回選択した仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報が、第4閾値より大きいと判断した場合、今回選択した仮想エレベータ装置に対応するエリア、高さクラス、及び昇降路クラスに対し、エリア、及び高さクラスは共通のものに関連付けされているが、昇降路クラスは異なるものに関連付けられた他の仮想エレベータ装置の仮想エレベータ装置ロープの揺れ幅を参照する。参照した他の仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅が、第4閾値以下のものがあると判断した場合には、第4閾値以下の揺れ幅のエレベータロープを有する仮想エレベータ装置に対応する昇降路クラスの昇降行程xを読み取り、以下のようにエレベータ装置50Aの動作を制御させる共振防止指令を制御指令として生成する。
【0172】
即ち、共振防止指令は、エレベータロープ53の駆動綱車52aへの巻き掛け部位とかご55への連結部との間の距離が、昇降行程xと同じ長さになるようにかご55を移動させて停止させる制御指令である。
【0173】
また、制御指令生成部33は、かご55内に人がいないことを、例えば、かご55内の重量を検知する重量センサ(図示せず)の出力から確認し、かご55を走行させ続ける共振防止指令を制御指令として生成してもよい。
かご55とともにエレベータロープ53を走行させ続けることで、エレベータロープ53の共振が防止される。
【0174】
そして、制御指令送信部35が、制御対象となるエレベータ装置50Aに制御指令を送信し、エレベータ装置50Aでは、制御指令に基づいた運転の制御が行われる。
また、エレベータ制御部58は、受信した制御指令に応じた報知を報知手段に行わせるように構成されている。エレベータ制御部58は、管制運転指令を受信したと判断した場合には、「長周期地震動による被害が発生する恐れがあるため、エレベータ装置の運転を中断しています」等の内容を、スピーカから音声により報知したり、ディスプレイに視覚的に表示したりして報知する。
【0175】
この実施の形態3によれば、エレベータ制御指令装置30は、建物情報記憶部32に記憶されたエレベータ装置50Aが設けられる建物に対応するエリア、高さクラス、及び昇降路クラスと、地震影響予測情報における仮想エレベータ装置が設けられるとした仮想建物に対応するエリア、高さクラス、及び昇降路クラスとを比較することにより、地震影響予測情報の中から、各建物に設けられたエレベータ装置50Aに対応する仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を選択し、選択したエレベータロープの揺れ幅の情報に応じて、各建物に設置されたエレベータ装置を制御するための制御指令を生成する構成とされている。
【0176】
即ち、地震影響予測装置10Cは、以下のように地震影響予測情報を配信する構成とすればよい。
地震影響予測装置10Cは、地震影響予測装置10Bの構成に加え、昇降路クラスの情報を記憶する昇降路クラス記憶部27を備える構成とする。ロープ振動予測部25が、昇降路クラスのそれぞれに入る昇降行程を有する複数の仮想エレベータ装置を昇降路クラス毎に想定し、さらに想定した複数の仮想エレベータ装置が、各エリアに設けられると想定し、各仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を、仮想建物の揺れ幅の情報に基づいて求めるように構成する。
【0177】
さらに、地震影響情報配信部22が、各仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報と、各仮想建物に対応する高さクラスと、各仮想エレベータ装置に対応する昇降路クラスと、各仮想エレベータが設けられる仮想建物のエリアの位置情報とを互いに関連付けして地震影響予測情報を配信する構成とされている。
【0178】
即ち、地震影響予測装置10Cは、共通の高さクラス内の高さを有する全ての建物を仮想建物とし、さらに仮想建物に設けられる仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅を、昇降路クラス毎に求める構成となっている。求められた各仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅は、各仮想エレベータ装置を有する仮想建物に関連づけられたエリア、高さクラス、及び昇降路クラスと同じエリア、高さクラス、及び昇降路クラスに関連づけられた建物に設けられる全てのエレベータ装置50Aのエレベータロープの揺れ幅として見なせる。
【0179】
このため、地震影響予測装置10Cは、全てのエレベータ装置50Aについて、エレベータ装置50A毎に長周期地震動によるエレベータロープ53の揺れ幅を予測することを避け、必要以上に演算を行うことなく、長周期地震動によるエレベータロープ53の揺れ幅を予測するものを用いることができる。つまり、地震影響予測装置10Cでは、エレベータロープ53の揺れ幅を予想するのに要する演算量が著しく削減されるので、エレベータロープ53の揺れ幅を短時間に予測して略リアルタイムに地震影響予測情報に含めて配信できる。
また、建物の高さに対して大きく異なる昇降行程を有するエレベータ装置50Aにおいて、予測される長周期地震動に伴うエレベータロープ53の振幅を、実際のものと比較して大きな誤差を生じさせることなく正確に予測できる。
【0180】
なお、上記実施の形態2,3では、建物クラスは、高さクラスで定義されているものとして説明したが、建物クラスが、高さクラス及び減衰率クラスで定義されるものであってもよい。
【0181】
この場合、第1の実施の態様と同様に、建物振動予測部20は、高さクラス内の高さを有し、減衰率クラス内の減衰率を有する複数の所定の建物(仮想建物)を建物クラスA−1〜F−4毎に想定し、各エリアに設置された複数の仮想建物のそれぞれの揺れ幅を建物揺れ幅BWとして、地表揺れ幅SWに基づいて求めるように構成すればよい。さらに、ロープ振動予測部25は、各エリアに設置された複数の仮想建物に設けられ、昇降路クラス内の規模の昇降行程を有する複数の所定のエレベータを昇降路クラス毎に想定し、各所定のエレベータのロープ揺れ幅及び推定ロープ揺れ幅を、仮想建物揺れ幅及び推定仮想建物揺れ幅に基づいて求めるように構成すればよい。
地震影響情報配信部22は、各仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報と、各仮想エレベータ装置が設けられた仮想建物に対応する高さクラスと、各仮想エレベータ装置の昇降路クラスと、各仮想建物が設置されるエリアの位置情報とを、互いに関連付けして配信する構成とすればよい。
【0182】
実施の形態4.
図11はこの発明の実施の形態4に係るエレベータシステムの構成図である。
なお、図11において、上記実施の形態と同一または相当部分には同一符号を付しその説明は省略する。
【0183】
図11において、エレベータシステム1Dは、地震影響予測装置10A、及び複数のエリア内の複数の建物のそれぞれに設けられた複数のエレベータ装置50Bを備えている。
【0184】
地震影響予測装置10Aから配信される地震影響予測情報は、上述したように、仮想建物の揺れ幅の情報と、仮想建物に対応する高さクラスと、仮想建物が設置されるエリアの位置情報とを関連付けした情報である。
【0185】
エレベータ装置50Bは、制御装置70A及びエレベータ装置本体51とで構成されている。
制御装置70Aは、予測情報受信部65と、制御指令生成部66と、建物情報記憶部67と、閾値記憶部68と、エレベータ制御部58とを備えている。
【0186】
次いで、制御装置70Aの動作について説明する。
予測情報受信部65は、地震影響情報配信部22と通信可能に接続され、地震影響予測装置10Aが配信する地震影響予測情報を受信する。
【0187】
建物情報記憶部67には、エレベータ装置50Bが設置されている建物に対応するエリアの位置情報、及び当該建物の高さが入る高さクラスが関連付けして記憶されている。
【0188】
閾値記憶部68には、制御指令を生成するための判断に用いる各閾値が、記憶されている。
制御指令生成部66は、地震影響予測情報と、建物情報と、閾値記憶部68に予め記憶された閾値に基づいて、エレベータ装置50Bを制御する制御指令を生成する。
【0189】
エレベータ制御部58は、制御指令を生成した場合には、通常のエレベータ装置本体51の制御に優先させて、制御指令に基づくエレベータ装置本体51の制御を行う。
【0190】
制御指令生成部66は、地震影響予測情報の中から、建物情報記憶部67に記憶されているエリア及び高さクラスと同じエリア及び高さクラスに対応して関連づけられている仮想建物の揺れ幅の情報を、読み出したエリア及び高さクラスに対応する建物の揺れ幅の情報として選択する。
【0191】
制御指令生成部66は、エレベータシステム1Cを構成するエレベータ制御指令装置30の制御指令生成部33と同様に、管制運転指令、管制運転解除指令、診断運転指令などの制御指令を生成する。
エレベータ制御部58は、生成された制御指令に基づいてエレベータ装置本体51の制御を行う。
【0192】
また、エレベータ制御部58は、受信した制御指令に応じた報知を報知手段に行わせるように構成されている。エレベータ制御部58は、管制運転指令を受信したと判断した場合には、「長周期地震動による被害が発生する恐れがあるため、エレベータ装置の運転を中断しています」等の内容を、スピーカから音声により報知したり、ディスプレイに視覚的に表示したりして報知する。
【0193】
この実施の形態4に係るエレベータ装置50Bは、建物情報記憶部32に記憶された各建物に対応するエリア及び高さクラスと、地震影響予測情報における仮想建物のエリア及び高さクラスとを比較して、地震影響予測情報の中から、各建物に対応する揺れ幅の仮想建物の揺れ幅の情報を選択し、選択した揺れ幅の情報に基づいて、各建物に設置されたエレベータ装置本体51を制御するための制御指令を生成し、制御指令に基づいて、エレベータ装置本体51を制御する構成とされている。
【0194】
これは、共通のエリア毎に設置されている複数の建物のうち、共通の高さクラスを有する全ての建物は、長周期地震動の影響を予測するのに、まとめて取り扱うことができることを鑑みて構成されたものである。そして、このようにエレベータ装置50Bを構成することで、地震影響予測装置10Aは、実施の形態1と同様に、全ての建物について建物毎に長周期地震動による建物の揺れ幅を予測することを避け、必要以上に演算を行うことなく、長周期地震動による建物の揺れ幅を予測するものを用いることができる。
つまり、地震影響予測装置10Aでは、建物の揺れ幅を予想するのに要する演算量が著しく削減されるので、建物の揺れ幅を短時間に予測して略リアルタイムに地震影響予測情報に含めて配信できる。
【0195】
以上のことから、エレベータシステム1Dにおいては、エレベータ装置50Bは、リアルタイムに予測される建物の揺れ幅に適したエレベータ装置本体51の制御指令を生成することが可能であり、現在の建物の揺れ幅に適したかご55の昇降制御などのエレベータ装置本体51の制御を行うことができる。
【0196】
実施の形態5.
図12はこの発明の実施の形態5に係るエレベータシステムの構成図である。
なお、図12において、上記実施の形態と同一または相当部分には同一符号を付しその説明は省略する。
【0197】
図12において、エレベータシステム1Eは、地震影響予測装置10B、及びエレベータ装置50Bを備えている。
【0198】
地震影響予測装置10Bから配信される地震影響予測情報は、上述したように、各仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報と、各仮想エレベータ装置が設けられた仮想建物に対応する高さクラスと、仮想建物が設置されるエリアの位置情報とを互いに関連付けした情報である。
【0199】
次いで、エレベータ装置50Bの動作について説明する。
そして、予測情報受信部65は、地震影響予測装置10Bが配信する地震影響予測情報を受信するようになっている。
【0200】
また、建物情報記憶部67には、エレベータ装置50Bが設けられた建物が設置されているエリアと当該建物の高さが入る高さクラスとが関連付した情報が記憶されている。
【0201】
制御指令生成部66では、建物情報記憶部67に記憶された建物のエリア及び高さクラスと、予測情報受信部65で受信された地震影響予測情報における仮想建物のエリア及び高さクラスとを比較することにより、地震影響予測情報の中から、エレベータ装置50Bに対応する仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を選択し、選択したエレベータロープの揺れ幅の情報に基づいて、エレベータ装置本体51を制御するための制御指令を生成する。
【0202】
より詳しくは、制御指令生成部66は、地震影響予測情報の中から、建物情報記憶部に記憶されているエリア及び高さクラスと同じエリア及び高さクラスに対応して関連づけられている仮想建物に設けられた仮想エレベータ装置のれベータロープの揺れ幅の情報を、読み出したエリア及び高さクラスに対応する建物に設けられているエレベータ装置50Bのエレベータロープ53の揺れ幅の情報として選択する。
【0203】
制御指令生成部66は、選択したエレベータロープ53の揺れ幅の情報に基づいて、エレベータシステム1Bの場合と同様、管制運転指令、管制運転解除指令、診断運転指令などの制御指令を生成する。
エレベータ制御部58は、生成した制御指令に基づいて、エレベータ装置本体51の制御を行う。
【0204】
また、エレベータ制御部58は、受信した制御指令に応じた報知を報知手段に行わせるように構成されている。エレベータ制御部58は、管制運転指令を受信したと判断した場合には、「長周期地震動による被害が発生する恐れがあるため、エレベータ装置の運転を中断しています」等の内容を、スピーカから音声により報知したり、ディスプレイに視覚的に表示したりして報知する。
【0205】
この実施の形態5に係るエレベータ装置50Bは、建物情報記憶部32に記憶された各建物のエリア及び高さクラスと、地震影響予測情報における仮想建物のエリア及び高さクラスとを比較して、地震影響予測情報の中から、各建物に対応する仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を選択し、選択した揺れ幅の情報に基づいて、建物に設置されたエレベータ装置50Bを制御するための制御指令を生成し、制御指令に基づいて、エレベータ装置50Bの運転を制御する構成とされている。
【0206】
これは、共通のエリア毎に設置されている複数の建物のうち、共通の高さクラスを有する全ての建物に設けられたエレベータは、長周期地震動の影響を予測するのに、まとめて扱えることを鑑みてなされたものである。そして、このようにエレベータ装置50Bを構成することで、地震影響予測情報の配信元である地震影響予測装置10Bは、共通の高さクラス内の高さを有する全ての建物を仮想建物とし、さらに仮想建物に設けられる仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅を求める構成とすることができる。つまり、地震影響予測装置10Bは、全てのエレベータ装置50Bについて、長周期地震動によるエレベータロープ53の揺れ幅をエレベータ装置50B毎に予測することを避け、必要以上に演算を行うことなく、長周期地震動によるエレベータロープ53の揺れ幅を予測して配信するものにできる。
【0207】
以上のことから、エレベータシステム1Eにおいては、エレベータ装置50Bは、リアルタイムに予測されるエレベータロープ53の揺れ幅に適したエレベータ装置50Aの制御指令を生成することが可能であり、現在のエレベータロープ53の揺れ幅に適したエレベータ装置本体51の制御を行うことができる。
【0208】
実施の形態6.
図13はこの発明の実施の形態6に係るエレベータシステムの構成図である。
なお、図13において、上記実施の形態1と同一または相当部分には同一符号を付しその説明は省略する。
【0209】
図13において、エレベータシステム1Fは、地震影響予測装置10C、及びエレベータ装置50Bを備えている。
【0210】
上述したように、地震影響予測装置10Cが配信する地震影響予測情報は、上述したように、各仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報と、各仮想エレベータ装置が設けられた仮想建物に対応する上記高さクラスと、各仮想エレベータ装置の昇降路クラスと、各仮想建物が設置される上記エリアの位置情報とを、互いに関連付けした情報である。
【0211】
次いで、エレベータ装置50Bの動作について説明する。
予測情報受信部65が、地震影響予測装置10Cが配信する地震影響予測情報を受信する。
【0212】
建物情報記憶部67には、エレベータ装置50Bが設けられた建物に対応するエリア及び高さクラスとエレベータ装置50Bの昇降行程に対応する昇降路クラスを関連付した情報が記憶されている。
【0213】
制御指令生成部66は、建物情報記憶部67に記憶されたエリア、高さクラス、及び昇降路クラスと、地震影響予測情報における仮想建物に対応するエリア、高さクラス、及び昇降路クラスとを比較することにより、地震影響予測情報の中から、エレベータ装置50Bに対応する仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を選択し、選択したエレベータロープの揺れ幅の情報に基づいて、エレベータ装置本体51を制御するための制御指令を生成する。
【0214】
より詳しくは、制御指令生成部66は、地震影響予測情報の中から、建物情報記憶部に記憶されているエリア、高さクラス、及び昇降路クラスと同じエリア、高さクラス、及び昇降路クラスに対応して関連づけられている仮想建物に設けられた仮想エレベータ装置のロープ揺れ幅の情報を、読み出したエリア及び高さクラスに対応する建物に設けられたエレベータ装置50Bのエレベータロープ53の揺れ幅の情報として選択する。
【0215】
制御指令生成部66は、選択したエレベータロープ53の揺れ幅の情報に基づいて、エレベータシステム1Bを構成するエレベータ制御指令装置30の制御指令生成部33と同様に、管制運転指令、管制運転解除指令、診断運転指令などの制御指令を生成する。
そして、エレベータ制御部は58、生成された制御指令に基づいてエレベータ装置本体51の制御を行う。
【0216】
また、エレベータ制御部58は、受信した制御指令に応じた報知を報知手段に行わせるように構成されている。エレベータ制御部58は、例えば、管制運転指令を受信したと判断した場合には、「長周期地震動による被害が発生する恐れがあるため、エレベータ装置の運転を中断しています」等の内容を、スピーカから音声により報知したり、ディスプレイに視覚的に表示したりして報知する。
【0217】
この実施の形態6に係るエレベータ装置50Bは、建物情報記憶部32に互いに関連付けて記憶されたエリア、高さクラス、及び昇降路クラスと、地震影響予測情報において、仮想建物毎に互いに関連付けられて記憶されているエリア、高さクラス、及び昇降路クラスとを比較してエレベータ装置本体51の制御指令を生成する構成とされている。即ち、エレベータ装置50Bは、地震影響予測情報の中から、各建物に対応する仮想建物に設けられていると想定した仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を選択し、選択したエレベータロープの揺れ幅の情報に基づいて、エレベータ装置本体51を制御するための制御指令を生成し、制御指令に基づいて、エレベータ装置本体51を制御する構成とされている。
【0218】
これは、共通のエリア毎に設置されている複数の建物のエレベータ装置50Bのうち、共通の高さクラスに入る建物に設けられ、かつ共通の昇降路クラスに入る昇降行程を有する全てのエレベータ装置50Bは、長周期地震動によるエレベータロープ53の影響を予測するのに、まとめて扱えることができることを鑑みてなされたものである。そして、このようにエレベータ装置50Bを構成することで、地震影響予測情報の配信元である地震影響予測装置10Cは、実施の形態3と同様に、全てのエレベータ装置50Bについて、エレベータ装置50B毎に長周期地震動によるエレベータロープ53の揺れ幅を予測することを避け、必要以上に演算を行うことなく、長周期地震動によるエレベータロープ53の揺れ幅を予測するものを用いることができる。
【0219】
以上のことから、エレベータシステム1Fにおいては、エレベータ装置50Bが、リアルタイムに予測されるエレベータロープ53の揺れ幅に適した制御指令を生成することが可能であり、現在のエレベータロープ53の揺れ幅に適したエレベータ装置本体51の制御を行うことができる。
【0220】
なお、上記実施の形態1〜6において、地震影響予測装置10A〜10Cは、長周期地震動による地表の平常時からの揺れ幅を地震情報として受信するものとして説明したが、長周期地震動によらず、地震による地表の揺れ全般に対して建物の揺れまたはエレベータロープの揺れを予測するものでもよい。
【符号の説明】
【0221】
1A〜1F エレベータシステム、12 地震計情報受信部、15 予測対象エリア記憶部、16 建物クラス記憶部、18 地表揺れ予測部、20 建物振動予測部、22 地震影響情報配信部、25 ロープ振動予測部、30 エレベータ制御指令装置、31 予測情報受信部、32 建物情報記憶部、33 制御指令生成部、35 制御指令送信部、50A,50B エレベータ装置、53 エレベータロープ、58 エレベータ制御部、 65 予測情報受信部、66 制御指令生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に連続するように区分された複数の高さクラスのそれぞれに対応する所定の高さを有する複数の仮想建物が、複数のエリアのそれぞれに設置されているとし、複数の上記エリア内に設けられた複数の地震計の地震情報に基づいて求めた各上記仮想建物の揺れ幅の情報と、各上記仮想建物に対応する高さクラスと、各上記仮想建物が設置される上記エリアの位置情報とを互いに関連付けして外部から配信された地震影響予測情報を受信する予測情報受信部と、
上記複数のエリア内に設けられている建物毎に、上記建物の情報と、上記建物が設置されている上記エリアの位置情報と、上記建物に対応する上記高さクラスとを互いに関連付けて記憶する建物情報記憶部と、
上記建物情報記憶部に記憶され、各上記建物に関連付けられた上記エリア及び上記高さクラスと、上記建物情報記憶部において上記仮想建物に関連付けられた上記エリア及び高さクラスとを比較することにより、上記地震影響予測情報の中から、各上記建物に対応する上記仮想建物の揺れ幅の情報を選択し、選択した上記仮想建物の揺れ幅の情報に応じて、選択した上記仮想建物に対応する上記建物に設けられたエレベータ装置を制御するための制御指令を生成する制御指令生成部と、
上記制御指令を制御対象となる上記エレベータ装置に送信する制御指令送信部と
を備えることを特徴とするエレベータ制御指令装置。
【請求項2】
高さ方向に連続するように区分された複数の高さクラスのそれぞれに対応する所定の高さを有する複数の仮想建物が、複数のエリアのそれぞれに設置されているとし、各上記仮想建物には、昇降行程が各上記仮想建物に対応する上記高さクラスと同じ規模である仮想エレベータ装置が設けられているとし、複数の上記エリア内に設けられた複数の地震計の地震情報に基づいて求めた各上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報と、各上記仮想エレベータ装置が設けられた上記仮想建物に対応する上記高さクラスと、各上記仮想建物が設置される上記エリアの位置情報とを互いに関連付けして外部から配信された地震影響予測情報を受信する予測情報受信部と、
それぞれエレベータ装置を有し、上記複数のエリア内に設けられている建物毎に、上記建物の情報と、上記建物が設置されている上記エリアの位置情報と、上記建物に対応する上記高さクラスとを互いに関連付けて記憶する建物情報記憶部と、
上記建物情報記憶部に記憶され、各上記建物に関連付けられた上記エリア及び上記高さクラスと、上記地震影響予測情報において上記仮想建物に関連付けられている上記エリア及び上記高さクラスとを比較することにより、上記地震影響予測情報の中から、各上記エレベータ装置に対応する上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を選択し、選択した上記エレベータロープの揺れ幅の情報に応じて、各上記建物に設置された上記エレベータ装置を制御するための制御指令を生成する制御指令生成部と、
上記制御指令を制御対象となる上記エレベータ装置に送信する制御指令送信部と
を備えることを特徴とするエレベータ制御指令装置。
【請求項3】
高さ方向に連続するように区分された複数の高さクラスのそれぞれに対応する所定の高さを有する複数の仮想建物が、複数のエリアのそれぞれに設置されているとし、高さ方向に連続する複数の区間のそれぞれを昇降路クラスとし、各上記昇降路クラス内の所定の規模を有する複数の仮想エレベータ装置が、各上記仮想建物に設置されているとし、複数の上記エリアに設けられた複数の地震計の地震情報に基づいて求めた各上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報と、各上記仮想エレベータ装置が設けられた上記仮想建物に対応する上記高さクラスと、各上記仮想エレベータ装置に対応する上記昇降路クラスと、各上記仮想建物が設置される上記エリアの位置情報とを、互いに関連付けして外部から配信された地震影響予測情報を受信する予測情報受信部と、
それぞれエレベータ装置を有し、上記複数のエリア内に設けられた建物毎に、上記建物の情報と、上記建物に対応する高さクラスと、設けられた上記エレベータ装置の昇降行程に対応する上記昇降路クラスと、上記建物が設置されている上記エリアの位置情報とを互いに関連付けて記憶する建物情報記憶部と、
上記建物情報記憶部に記憶され、各上記建物に関連付けされた上記エリア、上記高さクラス、及び上記昇降路クラスと、上記地震影響予測情報において上記仮想建物に関連付けられている上記エリア、上記高さクラス、及び上記昇降路クラスとを比較することにより、上記地震影響予測情報の中から、各上記エレベータ装置に対応する上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を選択し、選択した上記エレベータロープの揺れ幅の情報に応じて、各上記建物に設置された上記エレベータ装置を制御するための制御指令を生成する制御指令生成部と、
上記制御指令を、制御対象となる上記エレベータ装置に送信する制御指令配信部と
を備えることを特徴とするエレベータ制御指令装置。
【請求項4】
上記制御指令生成部は、上記仮想建物の揺れ幅が、予め設定された所定の第1閾値より大きくなった場合に上記制御指令として管制運転指令を生成することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御指令装置。
【請求項5】
上記制御指令生成部は、上記管制運転指令を生成した後、直近の上記仮想建物の1周期分の揺れ幅から上記仮想建物の振幅を求め、上記振幅が予め設定された第2閾値以下になった場合に、上記制御指令として管制運転解除指令を生成することを特徴とする請求項4に記載のエレベータ制御指令装置。
【請求項6】
上記制御指令生成部は、上記管制運転指令を生成した後、直近の上記仮想建物の1周期分の揺れ幅から上記仮想建物の振幅を求め、上記振幅が、予め設定された第3閾値以下になった場合に、上記制御指令として診断運転指令を生成することを特徴とする請求項4に記載のエレベータ制御指令装置。
【請求項7】
上記制御指令生成部は、上記管制運転指令を生成した後、直近の上記仮想建物の1周期分の揺れ幅から上記仮想建物の振幅を求め、上記振幅が、予め設定された第1復旧停止閾値を超えないまま予め設定された第3閾値以下になった場合に、上記制御指令として診断運転指令を生成することを特徴とする請求項4に記載のエレベータ制御指令装置。
【請求項8】
上記制御指令生成部は、上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅が、予め設定された所定の第4閾値より大きくなった場合に、上記制御指令として管制運転指令を生成することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のエレベータ制御指令装置。
【請求項9】
上記制御指令生成部は、上記管制運転指令を生成した後、直近の上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅から、上記仮想エレベータのエレベータロープの振幅を求め、求められた上記仮想エレベータのエレベータロープの振幅が、予め設定された第5閾値以下になった場合に、上記制御指令として管制運転解除指令を生成することを特徴とする請求項8に記載のエレベータ制御指令装置。
【請求項10】
上記制御指令生成部は、上記管制運転指令を生成した後、直近の上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅から、上記エレベータロープの振幅を求め、上記振幅が予め設定された第6閾値以下になった場合に、上記制御指令として診断運転指令を生成することを特徴とする請求項8に記載のエレベータ制御指令装置。
【請求項11】
上記制御指令生成部は、上記管制運転指令を生成した後、直近の上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅から、上記仮想エレベータのエレベータロープの振幅を求め、求められた上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの振幅が、予め設定された第2復旧停止閾値を超えないまま予め設定された第6閾値以下になった場合に、上記制御指令として診断運転指令を生成することを特徴とする請求項8に記載のエレベータ制御指令装置。
【請求項12】
請求項1、及び請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載のエレベータ制御指令装置と、上記地震影響予測情報を配信する地震影響予測装置とを有するエレベータシステムであって、
上記地震影響予測装置は、
複数の上記エリアの位置情報を記憶する予測対象エリア記憶部と、
上記地震計により測定される上記地震情報を受信する地震計情報受信部と、
複数の上記高さクラスを記憶する建物クラス記憶部と、
上記地震情報に基づいて、各上記エリアの地震による地表の揺れ幅を予測する地表揺れ予測部と、
複数の上記高さクラスのそれぞれに入る所定の高さを有する複数の上記仮想建物が、複数の上記エリアのそれぞれに設置されているとし、各上記仮想建物の揺れ幅の情報を、上記地表の揺れ幅に基づいて求める建物振動予測部と、
各上記仮想建物の揺れ幅の情報と、各上記仮想建物に対応する上記高さクラスと、各上記仮想建物が設置される上記エリアの位置情報とを互いに関連付けして上記地震影響予測情報として配信する地震影響情報配信部と
を備えることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項13】
請求項2に記載のエレベータ制御指令装置と、上記地震影響予測情報を配信する地震影響予測装置を有するエレベータシステムであって、
上記地震影響予測装置は、
複数の上記エリアの位置情報を記憶する予測対象エリア記憶部と、
上記地震計により測定される上記地震情報を受信する地震計情報受信部と、
複数の上記高さクラスを記憶する建物クラス記憶部と、
上記地震情報に基づいて、各上記エリアの地震による地表の揺れ幅を予測する地表揺れ予測部と、
複数の上記高さクラスのそれぞれに入る所定の高さを有する複数の上記仮想建物が、複数の上記エリアのそれぞれに設置されているとし、各上記仮想建物の揺れ幅の情報を、上記地震情報に基づいて求める建物振動予測部と、
各上記仮想建物には、昇降行程が各上記仮想建物に対応する上記高さクラスと同じ規模である上記仮想エレベータ装置が設けられていると想定し、各上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅を、各上記仮想建物の揺れ幅に基づいて求めるロープ振動予測部と、
各上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報と、各上記仮想エレベータ装置が設けられた上記仮想建物に対応する上記高さクラスと、各上記仮想建物が設置される上記エリアの情報とを互いに関連付けして上記地震影響予測情報を配信する地震影響情報配信部と
を備えることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項14】
上記請求項3に記載のエレベータ制御指令装置と、上記地震影響予測情報を配信する地震影響予測装置を有するエレベータシステムであって、
上記地震影響予測装置は、
複数の上記エリアの位置情報を記憶する予測対象エリア記憶部と、
上記地震計により測定される上記地震情報を受信する地震計情報受信部と、
複数の上記高さクラスを記憶する建物クラス記憶部と、
上記地震情報に基づいて、各上記エリアの地震による地表の揺れ幅を予測する地表揺れ予測部と、
複数の上記高さクラスのそれぞれに入る所定の高さを有する複数の上記仮想建物が、複数の上記エリアのそれぞれに設置されているとし、各上記仮想建物の揺れ幅の情報を、上記地の表揺れ幅に基づいて求める建物振動予測部と、
上記昇降路クラスの情報を記憶する昇降路クラス記憶部と、
複数の上記仮想建物のそれぞれに設けられ、上記昇降路クラス内の昇降行程を有する複数の仮想エレベータ装置を、上記昇降路クラス毎に想定し、各上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅を、上記仮想建物の揺れ幅に基づいて求めるロープ振動予測部と、
各上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報と、各上記仮想エレベータ装置が設けられた上記仮想建物に対応する上記高さクラスと、各上記仮想エレベータ装置に対応する上記昇降路クラスと、各上記仮想建物が設置される上記エリアの位置情報とを互いに関連付けして配信する地震影響情報配信部と
を備えることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項15】
複数のエリア内に設置された建物に設けられるエレベータ装置であって、
高さ方向に連続するように区分された複数の高さクラスのそれぞれに対応する所定の高さを有する複数の仮想建物が、複数のエリアのそれぞれに設置されているとし、複数の上記エリア内に設けられた複数の地震計の地震情報に基づいて求めた各上記仮想建物の揺れ幅の情報と、各上記仮想建物に対応する高さクラスと、各上記仮想建物が設置される上記エリアの位置情報とを互いに関連付けして外部から配信された地震影響予測情報を受信する予測情報受信部と、
上記建物の情報と、上記建物に対応する上記エリア及び上記高さクラスとを関連付けて記憶する建物情報記憶部と、
上記建物情報記憶部に上記建物に関連付けして記憶された上記エリア及び上記高さクラスと、上記地震影響予測情報における上記仮想建物の上記エリア及び上記高さクラスとを比較することにより、上記地震影響予測情報の中から、上記建物に対応する上記仮想建物の揺れ幅の情報を選択し、選択した上記仮想建物の揺れ幅の情報に応じて、上記エレベータ装置のエレベータ装置本体を制御するための制御指令を生成する制御指令生成部と、
上記制御指令に基づいてエレベータ装置本体の運転を制御するエレベータ制御部と
を備えることを特徴とするエレベータ装置。
【請求項16】
複数のエリア内に設置された建物に設けられるエレベータ装置であって、
高さ方向に連続するように区分された複数の高さクラスのそれぞれに対応する所定の高さを有する複数の仮想建物が、複数のエリアのそれぞれに設置されているとし、各上記仮想建物には、昇降行程が各上記仮想建物に対応する上記高さクラスと同じ規模である仮想エレベータ装置が設けられているとし、複数の上記エリア内に設けられた複数の地震計の地震情報に基づいて求めた各上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報と、各上記仮想エレベータ装置が設けられた上記仮想建物に対応する上記高さクラスと、各上記仮想建物が設置される上記エリアの位置情報とを互いに関連付けして外部から配信された地震影響予測情報を受信する予測情報受信部と、
上記建物の情報と、上記建物に対応する上記エリア及び上記高さクラスとを関連付けて記憶する建物情報記憶部と、
上記建物情報記憶部に上記建物に関連付けて記憶された上記エリア及び上記高さクラスと、上記地震影響予測情報において上記仮想建物に関連付けられた上記エリア及び上記高さクラスとを比較することにより、上記地震影響予測情報の中から、上記建物に設けられた上記エレベータ装置に対応する上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を選択し、選択した上記エレベータロープの揺れ幅の情報に基づいて、上記エレベータ装置のエレベータ装置本体を制御するための制御指令を生成する制御指令生成部と、
上記制御指令に基づいて上記エレベータ装置本体を制御するエレベータ制御部と
を備えることを特徴とするエレベータ装置。
【請求項17】
複数のエリア内に設置された建物に設けられるエレベータ装置であって、
高さ方向に連続するように区分された複数の高さクラスのそれぞれに対応する所定の高さを有する複数の仮想建物が、複数のエリアのそれぞれに設置されているとし、高さ方向に連続する複数の区間のそれぞれを昇降路クラスとし、各上記昇降路クラス内の所定の規模を有する複数の仮想エレベータ装置が、各上記仮想建物に設置されているとし、複数の上記エリアに設けられた複数の地震計の地震情報に基づいて求めた各上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報と、各上記仮想エレベータ装置が設けられた上記仮想建物に対応する上記高さクラスと、各上記仮想エレベータ装置の上記昇降路クラスと、各上記仮想建物が設置される上記エリアの位置情報とを、互いに関連付けして外部から配信された地震影響予測情報を受信する予測情報受信部と、
上記建物の情報と、上記建物に対応する上記エリア及び上記高さクラスとを関連付けて記憶する建物情報記憶部と、
上記建物情報記憶部に上記建物に関連付けて記憶された上記エリア、上記高さクラス、及び上記昇降路クラスと、上記地震影響予測情報において上記仮想建物に関連付けられている上記エリア、上記高さクラス、及び上記昇降路クラスとを比較することにより、上記地震影響予測情報の中から、上記建物に対応する上記仮想建物に設けられた上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を選択し、選択した上記エレベータロープの揺れ幅の情報に基づいて制御指令を生成する制御指令生成部と、
上記制御指令に基づいて上記エレベータ装置本体を制御するエレベータ制御部と
を備えることを特徴とするエレベータ装置。
【請求項18】
上記制御指令生成部は、上記仮想建物の揺れ幅が、予め設定された所定の第1閾値より大きくなった場合に上記制御指令として管制運転指令を生成することを特徴とする請求項15に記載のエレベータ装置。
【請求項19】
上記制御指令生成部は、上記管制運転指令を生成した後、直近の上記仮想建物の1周期分の揺れ幅から上記仮想建物の振幅を求め、上記振幅が予め設定された第2閾値以下になった場合に、上記制御指令として管制運転解除指令を生成することを特徴とする請求項18に記載のエレベータ装置。
【請求項20】
上記制御指令生成部は、上記管制運転指令を生成した後、直近の上記仮想建物の1周期分の揺れ幅から上記仮想建物の振幅を求め、上記振幅が、予め設定された第3閾値以下になった場合に、上記制御指令として診断運転指令を生成することを特徴とする請求項18に記載のエレベータ装置。
【請求項21】
上記制御指令生成部は、上記管制運転指令を生成した後、直近の上記仮想建物の1周期分の揺れ幅から上記仮想建物の振幅を求め、上記振幅が、予め設定された第1復旧停止閾値を超えないまま予め設定された第3閾値以下になった場合に、上記制御指令として診断運転指令を生成することを特徴とする請求項18に記載のエレベータ装置。
【請求項22】
上記制御指令生成部は、上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅が、予め設定された所定の第4閾値より大きくなった場合に、上記制御指令として管制運転指令を生成することを特徴とする請求項16または請求項17に記載のエレベータ装置。
【請求項23】
上記制御指令生成部は、上記管制運転指令を生成した後、直近の上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅から、上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの振幅を求め、求められた上記仮想エレベータのエレベータロープの上記振幅が、予め設定された第5閾値以下になった場合に、上記制御指令として管制運転解除指令を生成することを特徴とする請求項22に記載のエレベータ装置。
【請求項24】
上記制御指令生成部は、上記管制運転指令を生成した後、直近の上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅から、上記仮想エレベータ装置の上記エレベータロープの振幅を求め、求められた上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの振幅が予め設定された第6閾値以下になった場合に、上記制御指令として診断運転指令を生成することを特徴とする請求項22に記載のエレベータ装置。
【請求項25】
上記制御指令生成部は、上記管制運転指令を生成した後、直近の上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅から、上記仮想エレベータのエレベータロープの振幅を求め、求められた上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの振幅が、予め設定された第2復旧停止閾値を超えないまま予め設定された第6閾値以下になった場合に、上記制御指令として診断運転指令を生成することを特徴とする請求項22に記載のエレベータ装置。
【請求項26】
請求項15、及び請求項18乃至請求項21のいずれか1項に記載のエレベータ装置と、上記地震影響予測情報を配信する地震影響予測装置を有するエレベータシステムであって、
上記地震影響予測装置は、
複数の上記エリアの位置情報を記憶する予測対象エリア記憶部と、
上記地震計により測定される上記地震情報を受信する地震計情報受信部と、
複数の上記高さクラスを記憶する建物クラス記憶部と、
上記地震情報に基づいて、各上記エリアの地震による地表の揺れ幅を予測する地表揺れ予測部と、
複数の上記高さクラスのそれぞれに入る所定の高さを有する複数の上記仮想建物が、複数の上記エリアのそれぞれに設置されているとし、各上記仮想建物の揺れ幅の情報を、上記地震情報に基づいて求める建物振動予測部と、
上記仮想建物の揺れ幅の情報と、上記仮想建物に対応する高さクラスと、上記仮想建物が設置される上記エリアの位置情報とを互いに関連付けした地震影響予測情報を配信する地震影響情報配信部と
を備えることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項27】
上記請求項16に記載のエレベータ装置、及び上記地震影響予測情報を配信する地震影響予測装置を有するエレベータシステムであって、
上記地震影響予測装置は、
複数の上記エリアの位置情報を記憶する予測対象エリア記憶部と、
複数の上記エリアに設置された地震計により測定される地震情報を受信する地震計情報受信部と、
上記高さクラスを記憶する建物クラス記憶部と、
上記地震計情報受信部で受信された上記地震情報に基づいて、各上記エリアの地震による地表の揺れ幅を予測する地表揺れ予測部と、
上記高さクラス内の高さを有する複数の仮想建物を上記高さクラス毎に想定し、各上記エリアに設置された複数の上記仮想建物のそれぞれの揺れ幅を上記仮想建物の揺れ幅に基づいて求める建物振動予測部と、
各上記エリアに設置された複数の上記仮想建物のそれぞれに設けられ、複数の上記仮想建物のそれぞれの高さと同じ規模の昇降行程を有する複数の仮想エレベータ装置のそれぞれを想定し、各上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅を、上記仮想建物の揺れ幅に基づいて求めるロープ振動予測部と、
各上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報と、各上記仮想エレベータ装置が設けられた上記仮想建物に対応する上記高さクラスと、上記仮想建物が設置される上記エリアの位置情報とを互いに関連付けした上記地震影響予測情報を配信する地震影響情報配信部と
を備えることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項28】
上記請求項17に記載のエレベータ装置、及び上記地震影響予測情報を配信する地震影響予測装置を有するエレベータシステムであって、
上記地震影響予測情報は、
複数の上記エリアの位置情報を記憶する予測対象エリア記憶部と、
複数の上記エリアに設置された地震計により測定される地震情報を受信する地震計情報受信部と、
上記高さクラスを記憶する建物クラス記憶部と、
上記地震情報に基づいて、各上記エリアの地震による地表の揺れ幅を予測する地表揺れ予測部と、
上記高さクラス内の高さを有する複数の仮想建物を上記高さクラス毎に想定し、各上記エリアに設置された複数の上記仮想建物のそれぞれの揺れ幅を上記仮想建物の揺れ幅に基づいて求める建物振動予測部と、
上記昇降路クラスの情報を記憶する昇降路クラス記憶部と、
各上記エリアに設置された複数の上記所定の建物のそれぞれに設けられ、上記高さクラス内の昇降行程を有する複数の仮想エレベータ装置を、上記昇降路クラス毎に想定し、各上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの揺れ幅の情報を、上記建物揺れに基づいて求めるロープ振動予測部と、
各上記仮想エレベータ装置のエレベータロープの予測される揺れ幅の情報と、各上記仮想建物に対応する上記高さクラスと、各上記仮想エレベータ装置に対応する上記昇降路クラスを上記エリアの位置情報とを関連付けして上記地震影響予測情報を配信する地震影響情報配信部と
を備えることを特徴とするエレベータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−76841(P2012−76841A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221022(P2010−221022)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】