説明

エレベータ救助運転訓練システムおよび方法

【課題】被訓練者に対して火災発生時の救助運転における操作を訓練する動作を実行するエレベータ救助運転訓練システムまたは方法を提供する。
【解決手段】エレベータの運転制御を行うエレベータ運転制御装置と、乗り場に設置され乗りかご呼び登録を検出する乗り場呼び検出装置と、乗りかご内に設置され呼び登録を検出する乗りかご呼び検出装置と、エレベータ運転制御装置に接続され擬似的な火災検出信号を発生する模擬火災検出信号発生装置とを備える。エレベータ運転制御装置は、模擬火災検出信号発生装置から模擬火災検出信号を受信すると、火災管制運転を実行した後、被訓練者に対して救助運転における操作を訓練する救助運転訓練モードの動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、実際のエレベータを用いて一般者に火災発生時の救助運転操作を習得させる、エレベータ救助運転訓練システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
事務所ビルあるいはショッピングセンタ等で火災が起きたときに、在館者はエレベータやエスカレータではなく階段で避難するように指導されている。実際、日本に限らず海外でも、エレベータ乗りかご内や乗り場には、火災の時にはエレベータを使わずに階段を使うようにとの注意書きを目にすることが多い。しかし、過去の火災において、特に火災初期にはエレベータを用いて避難を行ったケースが少なからずある。一方、先進各国、特に、日本では高齢者の割合が急速に増加しつつある。このことは、ビル等における火災等の緊急避難時に階段利用が困難となる人々の数が、年々増えてゆくことを予想させる。避難にエレベータを利用する潜在的な要求は従来からあったが、高齢化やバリアフリー化の進展に伴って、近年、徐々に顕在的な要求として語られ始めている。とりわけ、2001年9月11日に発生した世界貿易センタービルの飛行機衝突による崩壊以降、米国ではたとえ超高層ビルであっても、従来の火災階近辺の部分避難にとどまらず、スムーズな全館避難の要求が高まってきている。
【0003】
我が国でも、2003年3月の「規制改革推進3カ年計画」において、「車椅子利用者等の身体障害者や高齢者等の被災時における安全かつ迅速な避難を確保するため、エレベータ周辺の待機場所等を含むエレベータの安全性に十分配慮した上で、身体障害者、高齢者等の避難手段としてのエレベータについて利用面も含めて検討する。」こととされている。
【0004】
このような背景から、近年、火災等の災害が発生した場合に、積極的にエレベータを利用して、迅速に在館者を避難階へ避難させることができるエレベータシステムを提供することが検討されている。さらには、消防士等の専門家ではない一般者が救助のためにエレベータを利用することも検討されている。
【0005】
通常、火災が発生すると、火災管制運転が実行され、エレベータ乗りかごを避難階へ移動させ、避難階で搭乗者を降ろしたら運転休止とする。その後、消防士が消防運転と呼ばれる救助運転によって逃げ遅れた人を救助する。しかし、救助運転におけるエレベータの操作方法は平常時と異なるため、一般者は災害発生の際にエレベータの操作方法が分からず戸惑うことになる問題点があった。
【0006】
特許文献1には、エレベータ乗りかごと、エレベータ乗りかごの運行を制御する制御装置と、制御装置に対して故障が発生した状態の作出を指示する模擬故障作出手段とを備え、日常使用されるエレベータを利用しつつ専門的な知識を持たない利用者に安全にエレベータ乗りかご内への閉じこめを体験させることができるエレベータシステムが開示されている。不測の事態が発生したときに対する課題の点においては本願と共通するものの、災害発生の際におけるエレベータの操作方法を一般者に体験させたり、訓練する発明は、特許文献1には開示されておらず、上記の問題点は解決できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−215019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、被訓練者に対して火災発生時の救助運転における操作を訓練する救助運転訓練モードの動作を実行するエレベータ救助運転訓練システムまたは方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によるエレベータ救助運転訓練システムは、エレベータの運転制御を行うエレベータ運転制御手段と、エレベータ乗り場に設置され利用者の乗りかご呼び登録を検出する乗り場呼び検出手段と、乗りかご内に設置され利用者の呼び登録を検出する乗りかご呼び検出手段と、エレベータ運転制御手段に接続され擬似的な火災検出信号を発生する模擬火災検出信号発生手段とを備える。エレベータ運転制御手段は、模擬火災検出信号発生手段から模擬火災検出信号を受信すると、火災管制運転を実行した後、被訓練者に対して救助運転における操作を訓練する救助運転訓練モードの動作を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態の機能構成を説明するためのシステム全体の機能構成の概要を表す図である。
【図2】一実施形態におけるエレベータ利用者に情報を報知する系統の機能構成を表す図である。
【図3】一実施形態による救助運転訓練の習得モードにおけるエレベータ運転制御装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図4】救助運転訓練の習得モードで動作中における乗りかご内表示装置での表示例である。
【図5】他の実施形態の機能構成を説明するためのシステム全体の機能構成の概要を表す図である。
【図6】他の実施形態による救助運転訓練の習得確認モードにおけるエレベータ運転制御装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図7】さらに別な実施形態の機能構成を説明するための図5におけるエレベータ運転制御装置に、さらに、接続される装置を表す図である。
【図8】さらに別な実施形態による救助運転訓練の習得確認モードにおけるエレベータ運転制御装置の他の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図9】救助運転訓練モードで動作中における乗り場表示装置での表示例である。
【図10】救助運転訓練モードで動作中に火災が発生したときの乗りかご内表示装置での表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜、図面を参照しながら本発明の一例としての実施形態の説明を行う。尚、それぞれの図において、同一の部分または相当する部分には同一の参照符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。本発明は、火災のみならず、火災に起因する発煙、火災によらない発煙、有害ガスの漏洩、および地震等の災害による非常事態に適用可能である。一実施形態の構成を図1ないし図4を適宜参照しながら説明する。尚、図1においては、例としてエレベータの着床階の数が4の場合を示しているが、本実施形態は、2以上の任意の正数の着床階が存在する場合にも実施可能である。図1に、一実施形態の機能構成を説明するためのエレベータ救助運転訓練エレベータシステム全体の機能構成の概要を表す図を示す。尚、この図は、本実施形態に関連する機能要素と、それらの関連を示すものであって、構成要素の物理的配置あるいは物理的構成を表すものではない。また、通常のエレベータシステムの構成要素であるが、本実施形態に直接的には関連しない機能要素は、図に示していない。エレベータシステムの運行を制御するエレベータ運転制御装置102は、エレベータ機械室あるいは昇降路内に設置され、乗りかご104を昇降させる巻上機106を制御する。また、エレベータ運転制御装置102は、乗りかご104に設置され、乗りかご104内の機器を制御する乗りかご制御装置108に、指示データ、監視データ、その他必要なデータを伝達するとともに、乗りかご制御装置108から必要なデータを受信する。乗りかご104には、後ほど詳細に説明を行う乗りかご内操作盤110および乗りかご内音声アナウンス装置が設けられている。後ほど述べるように、乗りかご内操作盤110には乗りかご内表示装置およびエレベータのドアを開閉させるための戸開ボタン、戸閉ボタン等が設けられている。乗りかご内操作盤110および乗りかご内音声アナウンス装置は、乗りかご制御装置108に接続されている。乗りかご104に搭乗している利用者は、乗りかご内操作盤110に設けられている乗りかご内呼び検出装置を介して、乗りかご104の行き先階を指定する。すなわち、乗りかご内呼び検出装置は、乗りかご104に搭乗している利用者の呼び登録を検出する。乗りかご内呼び検出装置によって検出され、指定された行き先階を表す呼び登録データは、乗りかご制御装置108を介して、エレベータ運転制御装置102に伝達され、乗りかご呼び登録が行われる。
【0012】
エレベータの各着床階の乗り場には、エレベータ運転制御装置102に接続された乗り場制御装置112が設けられている。後ほど詳細に説明を行うが、それぞれの乗り場制御装置112には、利用者にエレベータの運行状況を示す乗り場表示装置と、利用者の呼び登録を検出する乗り場呼び検出装置が接続されている。乗り場呼び検出装置によって検出された乗り場呼び登録データは、乗り場制御装置112を介して、エレベータ運転制御装置102に伝達され、乗り場呼び登録が行われる。また、エレベータ運転制御装置102から乗り場制御装置112にエレベータの運転状況が伝達され、伝達されたエレベータの運転状況は乗り場表示装置に表示される。乗り場には、さらに、乗り場制御装置112に接続された音声アナウンス装置(図示せず)を設けることもできる。
【0013】
エレベータ運転制御装置102、乗りかご制御装置108および乗り場制御装置112は、いずれも、CPU、ROM、RAMまたは磁気記憶装置等のハードウェア資源と、エレベータ制御に必要なソフトウェアを含む、いわゆる組み込みシステムによって実装することができるし、ハードウェアによって実装することもできる。
【0014】
エレベータが設置されている建物には、防災のために、各階床および昇降路に、例えば、それぞれ最低1つの火災検出装置114が設置されている。尚、図においては火災検出装置114が各階床に一つずつ設置されているが、これは例示であって、実際には適切な箇所に適切な数の火災検出装置が設置される。それぞれの火災検出装置114は、エレベータ運転制御装置102に接続され、火災を検出したときには火災検出信号をエレベータ運転制御装置102に伝達する。火災検出信号を受信すると、エレベータ運転制御装置102は、火災時管制運転を開始する。すなわち、乗り場呼び検出装置および乗りかご内呼び検出装置からの利用者の呼び登録を以後無効とし、既に登録された呼びもキャンセルすることによってすべての呼び登録をキャンセルし、予め定められた避難階に乗りかご104を移動させ、乗りかご104が避難階に到着し停止するとドアを開き乗りかご104に搭乗している利用者を乗りかご104から降ろした後、平常時の運転を休止する。火災時管制運転が終了すると、平常時の操作方法とは異なる操作を要する消防運転あるいは救助運転に習熟し能力を有する消防士等が、逃げ遅れた在館者を救助するための救助運転を開始する。避難階は、エレベータが設置された建物から外部に出るための出口がある階床であり、1階であることが多い。ここで、火災検出装置114の代わりに、あるいは火災検出装置114に加えて、他の災害を検出する装置、例えば、有毒ガス検出装置あるいは地震検出装置を設置することによって、火災以外の災害にも対応することができる。
【0015】
また、エレベータ運転制御装置102には、擬似的な火災検出信号を発生する模擬火災検出信号発生装置116が接続されている。模擬火災検出信号発生装置116は、火災が発生していないときに、救助運転における操作を訓練するために管理者の操作によって擬似的な火災検出信号を発生する装置であり、例えば、監視盤あるいは乗り場に設置される。エレベータ運転制御装置102は、模擬火災検出信号発生装置116から模擬火災検出信号を受信すると、火災管制運転を実行した後、救助運転モードに移行し、救助運転訓練を開始する。
【0016】
図2に、一実施形態においてエレベータ利用者に情報を報知する系統の機能構成を表す図を示す。前述したように、エレベータ運転制御装置102は、乗りかご104に設置された乗りかご制御装置108と接続され、乗りかご制御装置108に、指示データ、監視データ、その他必要なデータを伝達するとともに、乗りかご制御装置108から必要なデータを受信する。乗りかご制御装置108は、乗りかご内操作盤110および乗りかご内音声アナウンス装置202に接続されている。乗りかご内操作盤110には、乗りかご内呼び検出装置204、乗りかご内表示装置206およびエレベータのドアを開閉させるための戸開ボタン、戸閉ボタン等が設けられている。前述したように、乗りかご104に搭乗している利用者は、乗りかご内操作盤110に設けられている乗りかご内呼び検出装置204を介して、乗りかご104の行き先階を指定する。乗りかご内呼び検出装置204は、指定された行き先階の情報を、乗りかご制御装置108を介して、エレベータ運転制御装置102に伝達する。乗りかご内表示装置206には、乗りかご制御装置108を介して、エレベータ運転制御装置102からエレベータの運行状況が伝達され、搭乗している利用者にエレベータの運行状況が通知される。
【0017】
エレベータの各着床階の乗り場には、エレベータ運転制御装置102に接続された乗り場制御装置112が設けられ、それぞれの乗り場制御装置112には乗り場操作盤208が接続されている。乗り場操作盤208には、利用者の乗り場からの呼び登録を検出する乗り場呼び検出装置210および乗り場に居る利用者にエレベータの運行状況を示す乗り場表示装置212が設けられており、乗り場呼び検出装置210および乗り場表示装置212は、乗り場制御装置112に接続されている。乗り場に居るエレベータ利用者は、乗り場操作盤208に設けられている乗り場呼び検出装置210を介して、乗りかご104を呼ぶ。乗り場呼び検出装置210は、乗り場呼びが検出されたことを、乗り場制御装置112を介して、エレベータ運転制御装置102に伝達する。乗り場表示装置212には、乗り場制御装置112を介して、エレベータ運転制御装置102からエレベータの運行状況が伝達され、乗り場に居るエレベータ利用者にエレベータの運行状況が通知される。
【0018】
次に、一実施形態によるエレベータ救助運転訓練システムの動作説明を行う。本願のエレベータ救助運転訓練システムにおいては、被訓練者に対して火災発生時の救助運転における操作を訓練する救助運転訓練モードの動作を実行することができる。救助運転訓練モードは、救助運転操作を被訓練者に習得させる習得モードと、被訓練者の救助運転操作の習熟度を確認する習得確認モードを含む。
【0019】
(救助運転の習得モードの実施形態)
図3に、救助運転訓練モードの一形態であって、救助運転操作を被訓練者に習得させる習得モードにおけるエレベータ運転制御装置の動作例を説明するためのフローチャートを示す。先ずS302で、エレベータ運転制御装置102は、模擬火災検出信号発生装置116から模擬火災検出信号が受信されているか否かを判断する。模擬火災検出信号が受信されていないと判断された場合には、エレベータ運転制御装置102は、被訓練者に救助運転の操作方法を習得させる習得モードに移行させることなく、平常モードの制御を行う。模擬火災検出信号が受信されていると判断されると、エレベータ運転制御装置102は、擬似的な火災検出信号を受信したとみなし、S304で、火災管制運転を実行し乗りかご104を避難階に移動させた後、制御を被訓練者に救助運転の操作方法を習得させる習得モードに移行させる。習得モードに切り替わると、平常時の操作は無効となり救助運転の操作のみが有効となる。
【0020】
エレベータ運転制御装置102は、救助運転動作を行いつつ、被訓練者に救助運転の操作方法を習得させるために、S306で、乗りかご内音声アナウンス装置202および乗りかご内表示装置206の少なくとも一方を介して、操作方法を通知する。例えば、平常時においては、ドアを閉めるためには図4に示した戸閉ボタン402を押下し、ドアを開けるためには戸開ボタン404を押下するが、救助運転においては戸閉ボタン402および戸開ボタン404は無効とされるため、ドアの開閉のために戸閉ボタン402および戸開ボタン404を用いることはできない。救助運転においては、平常時とは異なり、乗りかご内呼び検出装置204を押し続けることによってドアを閉じる。したがって、例えば、避難階でドアが開いた状態において、ドアを閉じるために乗りかご内呼び検出装置204を押し続ける操作を被訓練者に伝えるために、当該操作方法を、乗りかご内表示装置206および乗りかご内音声アナウンス装置202の少なくとも一方を介して、通知する。
【0021】
このような操作方法を、乗りかご内操作盤110に設けられた乗りかご内表示装置206を介して、視覚的に通知している状態の一例を図4に示す。ここで、図4に示した乗りかご内呼び検出装置204内に記された数字はエレベータ利用者が指定する行き先階を表し、乗りかご内呼び検出装置204のうち網掛けが施されている乗りかご内呼び検出装置204は点灯していない状態を表す。救助運転における操作方法は、乗りかご内表示装置206に加えて、あるいは乗りかご内表示装置206に代えて、乗りかご内音声アナウンス装置202を介して、聴覚的に通知することもできる。さらに、救助運転の操作方法を習得させる習得モードにおいて、行き先階を予め定めている場合には、予め定められた行き先階に対応する乗りかご内呼び検出装置204を点灯または点滅させてもよい。図4は、予め定められた行き先階が3階である場合の例を示しており、3階に対応する乗りかご内呼び検出装置204を点灯させ、被訓練者が操作すべきボタンを明示している。
【0022】
次にS308で、正しい操作が被訓練者によって行われたか否かが判定され、正しい操作が行われていないと判定されると、処理はS306に戻り前述した動作を再び実行する。S308で、正しい操作が被訓練者によって行われたと判定されると、処理はS310に進み、エレベータ運転制御装置102は、被訓練者によって行われた操作内容に応じて、実際の救助運転の場合と同一の動作制御を実行する。この動作制御を終えると、S312で、エレベータ運転制御装置102は、S310で実行した制御内容に基づいて次に行う操作内容を判断する。
【0023】
次いでS314で、エレベータ運転制御装置102は、救助運転訓練において必要な、すべての操作が行われたか否かを判断する。未だすべての操作が行われていないときには、処理はS306に戻り、乗りかご内音声アナウンス装置202および乗りかご内表示装置206の少なくとも一方を介して、操作方法を通知し、以降前述した動作を実行する。
【0024】
このような繰り返し動作によって、被訓練者による実際のエレベータの操作を通じて、救助運転の操作方法を被訓練者に習得させる。S314で、救助運転訓練において必要な、すべての操作が行われたと判断された場合には、処理はS316に進み、エレベータ運転制御装置102は習得モードの制御を終了し、平常モードの制御に移行する。
【0025】
以上説明を行った実施形態によれば、被訓練者に対して火災発生時の救助運転における操作を習得させることができる。
【0026】
(救助運転の習得確認モードの実施形態)
次に、救助運転訓練モードの一形態であって、例えば、前述した習得モードによって救助運転におけるエレベータの操作を体験した被訓練者が、正しく適確に救助運転における操作を習得したかを確認する習得確認モードの一実施形態を説明する。
【0027】
図5に、他の実施形態の機能構成を説明するためのエレベータ救助運転訓練エレベータシステム全体の機能構成の概要を表す図を示す。習得確認モード動作を実行するためのシステムの実施形態には、第2の模擬火災検出信号発生装置116'がエレベータ運転制御装置102に、さらに、接続されている点が図1に示した構成と異なる。第2の模擬火災検出信号発生装置116'は、エレベータ運転制御装置102を習得確認モードに移行させるための擬似的な火災検出信号を発生する装置である。尚、第2の模擬火災検出信号発生装置116'の機能は、前述した模擬火災検出信号発生装置116の機能とは異なる点があるが、1つの模擬火災検出信号発生装置に実装することも可能である。例えば、模擬火災検出信号発生装置116から出力される擬似的な火災検出信号に電圧Vを割り当て、模擬火災検出信号発生装置116'から出力される擬似的な火災検出信号に電圧Vを割り当てるようにすれば、模擬火災検出信号発生装置116および模擬火災検出信号発生装置116'を1つの模擬火災検出信号発生装置に実装することができる。また、模擬火災検出信号発生装置116から出力される擬似的な火災検出信号にデータ系列Aを割り当て、模擬火災検出信号発生装置116'から出力される擬似的な火災検出信号にデータ系列Aとは異なるデータ系列Bを割り当てるようにすれば、模擬火災検出信号発生装置116および模擬火災検出信号発生装置116'を1つの模擬火災検出信号発生装置に実装することができる。模擬火災検出信号発生装置116'も、模擬火災検出信号発生装置116と同様に、火災が発生していないときに、救助運転における操作を訓練するために管理者の操作によって擬似的な火災検出信号を発生する装置であり、例えば、監視盤あるいは乗り場に設置される。
【0028】
図6に、救助運転訓練モードの一形態であって、習得確認モードにおけるエレベータ運転制御装置の動作例を説明するためのフローチャートを示す。図3に示した習得モードにおけるシステムの動作例と大きく異なる点は、習得確認モードにおいては、原則として、図3に示した習得モードのS306における、乗りかご内音声アナウンス装置202および乗りかご内表示装置206等の報知装置を介して、操作方法を通知する動作を行わない点である。
【0029】
先ずS302で、エレベータ運転制御装置102は、模擬火災検出信号発生装置116'から模擬火災検出信号が受信されているか否かを判断する。模擬火災検出信号が受信されていないと判断された場合には、エレベータ運転制御装置102は、被訓練者が救助運転の操作を習得しているかを確認する習得確認モードに移行させることなく、平常モードの制御を行う。模擬火災検出信号が受信されていると判断されると、エレベータ運転制御装置102は、擬似的な火災検出信号を受信したとみなし、S604で、火災管制運転を実行し乗りかご104を避難階に移動させた後、制御を被訓練者が救助運転の操作を習得しているかを確認する習得確認モードに移行させる。習得確認モードに切り替わると、平常時の操作は無効となり救助運転の操作のみが有効となる。習得確認モードに移行すると、被訓練者は救助運転に必要な操作を開始する。
【0030】
次にS308で、正しい操作が被訓練者によって行われたか否かが判定され、正しい操作が行われていないと判定されると、処理はS306に戻り前述した動作を再び実行する。S308で、正しい操作が被訓練者によって行われたと判定されると、処理はS310に進み、エレベータ運転制御装置102は、被訓練者によって行われた操作内容に応じて、実際の救助運転の場合と同一の動作制御を実行する。この動作制御を終えると、S312で、エレベータ運転制御装置102は、S310で実行した制御内容に基づいて次に行う操作内容を判断する。
【0031】
次いでS314で、エレベータ運転制御装置102は、救助運転訓練において必要な、すべての操作が行われたか否かを判断する。未だすべての操作が行われていないときには、処理はS308に戻り、正しい操作が被訓練者によって行われたか否かが判定され、以降前述した動作を実行する。
【0032】
このような繰り返し動作によって、被訓練者による実際のエレベータの操作を通じて、被訓練者が救助運転の操作を習得しているかを確認する。S314で、救助運転訓練において必要な、すべての操作が行われたと判断された場合には、処理はS616に進み、エレベータ運転制御装置102は習得確認モードの制御を終了し、平常モードの制御に移行する。
【0033】
本実施形態によれば、前述した習得モードによる効果に加えて、さらに、被訓練者が正しく適確に救助運転における操作を習得したかを確認することができる。
【0034】
尚、以上の動作説明においては報知装置を用いていないが、S308において、正しい操作が被訓練者によって行われたと、なかなか判定されない場合には、被訓練者にとって操作のヒントとなるような情報を、乗りかご内音声アナウンス装置202および乗りかご内表示装置206の少なくとも一方を介して、提供してもよい。
【0035】
次に、図5、図7および図8を参照しながら習得確認モードの他の実施形態を説明する。本実施形態においては、図7に示すように、図5に示した機能構成におけるエレベータ運転制御装置102に、エレベータ監視装置702、保守装置704、エレベータ管理センタ706、および記憶装置708が、さらに、接続されている。エレベータ監視装置702は管理人がエレベータの監視に利用する装置であり、保守装置704は保守員がエレベータの保守に用いる装置であり、エレベータ管理センタ706はエレベータを遠隔で管理するセンタであり、記憶装置708はエレベータの操作に関するデータ等を保存する。記憶装置708には、エレベータ監視装置702、保守装置704およびエレベータ管理センタ706のいずれからもアクセス可能である。
【0036】
図8に、救助運転訓練モードの一形態であって、習得確認モードにおけるエレベータ運転制御装置の他の動作例を説明するためのフローチャートを示す。図6を参照しながら説明した習得確認モードにおけるシステムの動作例と大きく異なる点は、本実施形態による習得確認モードにおいては、被訓練者が救助運転の操作を誤った場合に、誤った操作内容を記録する点である。
【0037】
S302で、エレベータ運転制御装置102が、模擬火災検出信号発生装置116'から模擬火災検出信号が受信されているか否かを判断してから、S308で、正しい操作が被訓練者によって行われたか否かを判定するまでの動作は、図6を参照しながら説明した動作と同一である。
【0038】
S308で、正しい操作が被訓練者によって行われていないと判定されると、処理はS809に進み、エレベータ運転制御装置102は、誤った操作内容を記憶装置708に保存する。
【0039】
例えば、前述したように、管制運転が終了し、避難階でドアが開いた状態から救助運転を開始する際に、ドアを閉じるための正しい操作は乗りかご内呼び検出装置204を押し続ける操作である。避難階でドアが開いた状態から救助運転を開始する際に、戸閉ボタン402からの入力を検出した場合には、エレベータ運転制御装置102は、被訓練者が誤った操作を行ったと判定し、操作を誤った操作項目と、そのときの操作内容を記憶装置708に保存する。一実施形態において、記憶装置708には、予め、例えば、運転操作1つ1つに割り当てられ操作項目に対応する運転操作番号、および各操作を受け取るべき正しい入力装置を表すデータを関連付けて保存しておく。これらのデータに関連付けて誤った操作内容を保存する。操作内容は、被訓練者が押下等の操作を行ったボタン等の入力装置を表すデータによって表すことが可能であり、運転操作番号等に関連付けて保存する。例えば、以下に示す情報に対応するデータを関連付けて保存する。
【0040】
運転操作番号001: ドアが開いた状態で、乗りかご内呼び検出装置を
押し続けてドアを閉める
正しい入力装置: 乗りかご内呼び検出装置
実際に操作された入力装置: 戸閉ボタン
一実施形態においては、S809で記憶装置708に保存する情報は被訓練者が行った誤った操作内容だけではなく、被訓練者が操作を戸惑った操作項目を、さらに、保存する。例えば、上記の例において、乗りかご内呼び検出装置204を押下する正しい操作によってドアを閉じたが、管制運転が実行されドアが開いてから乗りかご内呼び検出装置204を押下する操作を行うまでに、例えば、1分以上経過していた場合には、被訓練者が操作を戸惑ったと判断し、戸惑った運転操作番号001を記憶装置708に保存する。
【0041】
S809で、操作を誤った操作項目と、そのときの操作内容を記憶装置708に保存すると、処理はS306に戻り前述した動作を再び実行する。
【0042】
S308で、正しい操作が被訓練者によって行われたと判定されると、処理はS310に進んだ後、S314まで、図6を参照しながら説明した動作と同一の動作が実行される。S314で、未だすべての操作が行われていないと判断されたときには、処理はS308に戻り、正しい操作が被訓練者によって行われたか否かが判定され、以降前述した動作を実行する。すなわち、S308で正しい操作が被訓練者によって行われていないと判定されると、その都度、エレベータ運転制御装置102は、S809で、誤った操作内容を記憶装置708に保存する。
【0043】
S314で、救助運転訓練において必要な、すべての操作が行われたと判断された場合には、処理はS616に進み、前述したように、エレベータ運転制御装置102は習得確認モードの制御を終了し、平常モードの制御に移行する。
【0044】
S616でエレベータ運転制御装置102が習得確認モードの制御を終了し、平常モードの制御に移行した後、処理はS818に進む。S818では、エレベータ運転制御装置102は、記憶装置708に保存したデータを乗りかご内表示装置206、および乗り場表示装置212、およびエレベータ監視装置702の少なくとも1つの装置に出力する。
【0045】
本実施形態によれば、被訓練者に自分が行った救助運転操作の誤りを認識させることができ、被訓練者の救助運転操作の習熟度を高めることができる。また、前述したように、記憶装置708には、保守装置704あるいはエレベータ管理センタ706からアクセス可能であるため、エレベータ有識者が保守装置704に保存された内容を確認して、正しい操作内容をより詳しく被訓練者に解説することもできる。
【0046】
(その他の実施形態)
前述した機能構成および動作によって、被訓練者に日常利用しているエレベータそのものを操作させながら救助運転操作を習得させることができる。ここで、エレベータ運転制御装置102が習得モードまたは習得確認モードの救助運転訓練モードに移行する際には、前述したように、乗り場呼び検出装置210からの利用者の呼び登録を以後無効とし、既に登録された呼びもキャンセルすることによってすべての呼び登録をキャンセルする。したがって、エレベータを利用しようとする一般者は平常時のように呼び登録等を行うことができなくなり、何故呼び登録できないのか分からず混乱したり、故障と間違えたりする虞がある。
【0047】
このような不都合を解消するために、エレベータを利用しようとする一般者にエレベータの運転状況を通知する。すなわち、エレベータ運転制御装置102は、習得モードまたは習得確認モードの救助運転訓練モードで動作しているときには、乗り場制御装置112を介して、例えば、図9に示すように、乗り場表示装置212に「訓練中のため、エレベータを使用できません」という趣旨の表示を出力するように指示する。また、乗り場に乗り場音声アナウンス装置を設けている場合には、「訓練中のため、エレベータを使用できません」という趣旨のアナウンスを乗り場に流してもよい。
【0048】
エレベータ運転制御装置102が習得モードで動作しているときには、図3に示したフローチャートにおいて、例えば、S302で模擬火災検出信号を受信した後に図9に示したような通知を開始し、S316で習得モードを終了した後に上記のような通知を終了する。エレベータ運転制御装置102が習得確認モードで動作しているときには、図6および図8に示したフローチャートにおいて、例えば、S302で模擬火災検出信号を受信した後に図9に示したような通知を開始し、S616で習得確認モードを終了した後に図9に示したような通知を終了する。
【0049】
本実施形態によれば、エレベータ運転制御装置が救助運転訓練モードで動作しているときに、エレベータを利用しようとする一般者にエレベータの運転状況を通知することができ、無用な混乱、誤解を回避することができる。
【0050】
次に、適宜、図10を参照しながら他の実施形態について説明する。エレベータ運転制御装置102が習得モードまたは習得確認モードの救助運転訓練モードで動作中に、エレベータが設置されている建物内で火災が発生することもあり得る。このような場合、エレベータ運転制御装置102は、火災検出装置114からの火災検出信号を受信すると、直ちに、救助運転訓練モードの動作を終了し、火災管制運転を開始する。一方、習得モードまたは習得確認モードの救助運転の訓練を受けている被訓練者は、多くの場合、エレベータが設置されている建物内での火災の発生、および火災発生に伴う救助運転訓練モードの動作の終了を、直ちには、知ることができない。
【0051】
このような不都合を解消するために、習得モードまたは習得確認モードのエレベータの救助運転の訓練を受けている被訓練者に火災の発生、および救助運転訓練モード動作の終了等を通知する。すなわち、エレベータ運転制御装置102は、習得モードまたは習得確認モードの救助運転訓練モードで動作中に、エレベータが設置されている建物に設けられた火災検出装置114から火災検出信号を受信したときには、乗りかご制御装置108を介して、例えば、図10に示すように、乗りかご内表示装置206に「火災が発生しました。訓練運転を終了し、管制運転を開始します」という趣旨の表示を出力するように指示する。また、エレベータ運転制御装置102は、乗りかご内音声アナウンス装置202に「火災が発生しました。訓練運転を終了し、管制運転を開始します」という趣旨の音声アナウンスを出力するように指示してもよい。
【0052】
エレベータ運転制御装置102は、習得モードまたは習得確認モードの救助運転訓練モードで動作中においても、常に火災検出装置114からの火災検出信号が受信されているか否かを監視している。したがって、エレベータ運転制御装置102が、例えば、図3のフローチャートに示した習得モードで動作しているときに、習得モードの任意の段階で火災検出信号を受信すると、直ちに図10に示したような通知を行い、習得モードの動作を終了し管制運転を開始する。同様に、エレベータ運転制御装置102が、例えば、図6または図8のフローチャートに示した習得確認モードで動作しているときに、習得確認モードの任意の段階で火災検出信号を受信すると、直ちに図10に示したような通知を行い、習得確認モードの動作を終了し管制運転を開始する。
【0053】
本実施形態によれば、エレベータ運転制御装置が救助運転訓練モードで動作中に火災が発生した場合に、エレベータの救助運転の訓練を受けている被訓練者に火災の発生、および救助運転訓練モード動作の終了等を通知することができ、被訓練者の当惑、混乱を回避することができる。
【0054】
以上説明を行った実施形態によれば、被訓練者に対して火災発生時の救助運転における操作を訓練する救助運転訓練モードの動作を実行するエレベータ救助運転訓練システムまたは方法を提供することができる。前述したエレベータ救助運転訓練システムおよび方法においては、被訓練者に、日常使用しているエレベータを実際に操作する体験をさせるため、被訓練者の救助運転における操作の習熟度が向上することが期待される。また、日常使用しているエレベータシステムを使用するため、特殊なツールや機器を用意する必要もない。
【0055】
尚、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で開示した構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示した全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0056】
102・・・エレベータ運転制御装置、 104・・・乗りかご、
106・・・巻上機、 108・・・乗りかご制御装置、
110・・・乗りかご内操作盤、 112・・・乗り場制御装置、
114・・・火災検出装置、
116、116'・・・模擬火災検出信号発生装置、
202・・・乗りかご内音声アナウンス装置、
204・・・乗りかご内呼び検出装置、 206・・・乗りかご内表示装置、
208・・・乗り場操作盤、 210・・・乗り場呼び検出装置、
212・・・乗り場表示装置、 402・・・戸閉ボタン、
404・・・戸開ボタン、 702・・・エレベータ監視装置、
704・・・保守装置、 706・・・エレベータ管理センタ、
708・・・記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの運転制御を行うエレベータ運転制御手段と、
エレベータ乗り場に設置され利用者の乗りかご呼び登録を検出する乗り場呼び検出手段と、
乗りかご内に設置され利用者の呼び登録を検出する乗りかご呼び検出手段と、
前記エレベータ運転制御手段に接続され擬似的な火災検出信号を発生する模擬火災検出信号発生手段とを備え、
前記エレベータ運転制御手段は、前記模擬火災検出信号発生手段から模擬火災検出信号を受信すると、火災管制運転を実行した後、被訓練者に対して救助運転における操作を訓練する救助運転訓練モードの動作を実行することを特徴とするエレベータ救助運転訓練システム。
【請求項2】
前記エレベータ救助運転訓練システムは、被訓練者への報知手段を、さらに、備え、
前記エレベータ運転制御手段は、前記救助運転モードであって救助運転操作を被訓練者に習得させる習得モードの動作を実行中に、前記エレベータの運転状態から判断し、救助運転において必要な次の操作を、前記報知手段を介して通知することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ救助運転訓練システム。
【請求項3】
前記報知手段は、前記乗りかごに設けられた音声アナウンス手段および表示手段の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項2に記載のエレベータ救助運転訓練システム。
【請求項4】
前記エレベータ救助運転訓練システムは、前記エレベータ運転制御手段に接続され擬似的な火災検出信号を発生する第2の模擬火災検出信号発生手段を、さらに、備え、
前記エレベータ運転制御手段は、前記第2の模擬火災検出信号発生手段から模擬火災検出信号を受信すると、火災管制運転を実行した後、前記救助運転モードであって被訓練者の救助運転操作の習熟度を確認する習得確認モードの動作を実行し、習得確認モードの動作を実行中に、前記エレベータの運転状態から救助運転において必要な次の操作を判断し、判断した前記次の操作が入力されるべき装置と、被訓練者が操作した装置とを比較することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ救助運転訓練システム。
【請求項5】
前記エレベータ救助運転訓練システムは、前記エレベータ運転制御手段に接続された記憶手段を、さらに、備え、
前記エレベータ運転制御手段は、判断した前記次の操作が入力されるべき装置と被訓練者が操作した装置が一致しないときには誤操作と判定し、前記誤操作の内容を前記判断した前記次の操作に関連付けて前記記憶手段に保存することを特徴とする請求項4に記載のエレベータ救助運転訓練システム。
【請求項6】
前記エレベータ運転制御手段は、前記判断した前記次の操作が入力されるべき装置への被訓練者が操作するまでの時間が、予め定められた時間に比較して、長いときには、その旨を前記次の操作に関連付けて、さらに、前記記憶手段に保存することを特徴とする請求項5に記載のエレベータ救助運転訓練システム。
【請求項7】
前記エレベータ救助運転訓練システムは、被訓練者への報知手段を、さらに、備え、
前記エレベータ運転制御手段は、前記記憶手段に保存された内容を、前記報知手段に出力することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のエレベータ救助運転訓練システム。
【請求項8】
前記エレベータ救助運転訓練システムは、乗り場に設けられた乗り場報知手段を、さらに、備え、
前記エレベータ運転制御手段は、前記救助運転訓練モードの動作を実行中に、前記乗り場報知手段に前記エレベータが救助運転訓練中で使用できない旨を出力するように指示することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ救助運転訓練システム。
【請求項9】
前記エレベータ救助運転訓練システムは、乗りかご内に設けられた乗りかご内報知手段を、さらに、備え、
前記エレベータ運転制御手段は、前記エレベータが設置されている建物に設けられた火災検出装置から火災検出信号を受信したときは、前記乗りかご内報知手段に、火災が発生したため救助運転訓練モードの動作を終了し管制運転を開始する旨を出力するように指示することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ救助運転訓練システム。
【請求項10】
模擬火災検出信号発生装置から模擬火災検出信号を受信するステップと、
エレベータの火災管制運転を実行するステップと、
火災管制運転実行後、被訓練者に対して救助運転における操作を訓練する救助運転訓練モードの動作を実行するステップと
を含むことを特徴とするエレベータ救助運転訓練方法。
【請求項11】
前記救助運転訓練モードの動作を実行するステップは、
前記救助運転モードであって救助運転操作を被訓練者に習得させる習得モードの動作を実行中に、前記エレベータの運転状態から判断し、救助運転において必要な次の操作を、被訓練者への報知装置を介して通知するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載のエレベータ救助運転訓練方法。
【請求項12】
前記方法は、
第2の模擬火災検出信号発生装置から第2種の模擬火災検出信号を受信するステップを、さらに、含み、
前記救助運転訓練モードの動作を実行するステップは、前記第2種の模擬火災検出信号を受信したときに、
前記救助運転モードであって被訓練者の救助運転操作の習熟度を確認する習得確認モードの動作を実行し、前記エレベータの運転状態から救助運転において必要な次の操作を判断し、前記判断した前記次の操作が入力されるべき装置と被訓練者が操作した装置とを比較する判定ステップを含むことを特徴とする請求項10に記載のエレベータ救助運転訓練方法。
【請求項13】
前記方法は、
前記判定ステップにおいて前記判断した前記次の操作が入力されるべき装置と被訓練者が操作した装置が一致しないときには誤操作と判定し、前記誤操作の内容を前記判断した前記次の操作に関連付けて記憶装置に保存するステップを、さらに、含むことを特徴とする請求項12に記載のエレベータ救助運転訓練方法。
【請求項14】
前記方法は、
前記判定ステップにおいて前記判断した前記次の操作が入力されるべき装置への被訓練者が操作するまでの時間が、予め定められた時間に比較して、長いときには、その旨を前記次の操作に関連付けて、さらに、前記記憶装置に保存するステップを、さらに、含むことを特徴とする請求項13に記載のエレベータ救助運転訓練方法。
【請求項15】
前記方法は、
前記記憶装置に保存された内容を報知装置に出力するステップを、さらに、含むことを特徴とする請求項13または請求項14に記載のエレベータ救助運転訓練方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−162359(P2012−162359A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24008(P2011−24008)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】