説明

エンジンの排気浄化装置

【課題】再生による電力消費を抑制する。
【解決手段】外部電源から電力を供給されて加熱する電熱ヒータによってDPFを再生する車両において、外部電源との接続時に(S20)、DPFの温度Tfが再生可能最低温度より低く設定された第1の所定温度T1以上である場合にのみ(S40)、電熱ヒータへの電力の供給が許可される(S130)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気浄化装置に係り、詳しくは、排気を浄化するフィルタの再生技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンには、排気中に含まれるカーボンを主成分とするPM(パティキュレートマター)を捕集、除去するため、排気浄化装置として排気通路にDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)が広く備えられている。このようなDPFでは、PMが堆積すると捕集機能が低下するとともに圧損が増加してしまう。そこで、DPFの捕集能力を回復させるように、DPFに捕集されたPMを加熱して燃焼除去する再生装置が開発されている。
【0003】
DPFの再生装置としては、例えばDPFに備えられた電熱ヒータが知られている。電熱ヒータは、DPFに許容を超えてPMが堆積しないように、適宜タイミングで電力が供給されてDPFを加熱する。
このように電熱ヒータを用いた再生装置では、通常、車両に搭載されたバッテリから電力が供給されるが、バッテリの電力消費を抑えるために、車両駐車時に外部電源より電力を供給してDPFの再生を行う方法も開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−49717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車両駐車開始時におけるDPFの温度は、周囲環境あるいはそれまでの運転状況において大きく異なる。したがって、上記特許文献1に記載の再生装置において、DPFの温度が低下している状態で再生を開始すると、DPFを再生可能な温度まで上昇させるために電力を大幅に消費してしまい、経済的な観点から好ましくない。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、外部電源より電力を供給されて加熱しフィルタ手段を再生する再生手段を備えたエンジンの排気浄化装置において、再生による電力消費を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1のエンジンの排気浄化装置は、車両のエンジンの排気通路に設けられ、排気中の粒子状物質を捕捉するフィルタ手段と、外部電源から電力を供給されてフィルタ手段を加熱し、捕捉された粒子状物質を燃焼してフィルタ手段を再生する加熱手段と、フィルタ手段の温度を検出する温度検出手段と、温度検出手段により検出されたフィルタ手段の温度が第1の所定温度以上である場合にのみ、外部電源から加熱手段への電力の供給を許可する再生制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2のエンジンの排気浄化装置は、請求項1において、車両は、外部電源より電力を供給されて充電されるバッテリを備えたプラグインハイブリッド車であって、加熱手段は、バッテリの充電時にフィルタ手段を加熱して再生を行うことを特徴とする。
また、本発明の請求項3のエンジンの排気浄化装置は、請求項2において、バッテリの充電量を推定する充電量推定手段を更に備え、再生制御手段は、充電量推定手段により推定したバッテリの充電量が第1の所定量以下である場合には、フィルタ手段の温度に拘わらず加熱手段への電力の供給を規制することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項4のエンジンの排気浄化装置は、請求項2において、フィルタ手段における粒子状物質の堆積量を推定する堆積量推定手段を更に備え、再生制御手段は、堆積量推定手段により推定した粒子状物質の堆積量が第2の所定量以上である場合には、フィルタ手段の温度に拘わらず外部電源から加熱手段への電力の供給を許可することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項5のエンジンの排気浄化装置は、請求項1〜4のいずれかにおいて、再生制御手段は、再生手段によるフィルタ手段の再生時に、温度検出手段により検出されたフィルタ手段の温度が所定時間以上継続して第2の所定温度より低い場合には、再生手段への電力の供給を規制することを特徴とする。
また、本発明の請求項6のエンジンの排気浄化装置は、請求項1〜5のいずれかにおいて、再生手段による再生時にフィルタ手段に空気を供給する過給機を更に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1のエンジンの排気浄化装置によれば、フィルタ手段の温度が第1の所定温度以上である場合にのみ加熱手段への電力の供給が許可されるので、フィルタ手段の温度が低下している状態では再生が規制される。したがって、再生時に加熱手段によってフィルタ手段の温度を第1の所定温度以上に上昇させることがなく、再生時における電力消費を抑制することができる。
【0011】
本発明の請求項2のエンジンの排気浄化装置によれば、外部電源によるバッテリ充電時にフィルタ手段の再生を行うプラグインハイブリッド車において、フィルタ手段の温度が低下している状態では再生が規制されるので、バッテリ充電時において再生による電力消費が抑えられ、バッテリの充電に供される電力を確保することができ、再生に伴うバッテリ充電時間の増加を抑制することができる。
【0012】
本発明の請求項3のエンジンの排気浄化装置によれば、プラグインハイブリッド車において、バッテリの充電量が第1の所定量以下に低下している場合には、フィルタ手段の温度に拘わらず加熱手段への電力の供給が規制されるので、フィルタ手段の再生よりもバッテリの充電が優先される。したがって、バッテリの充電量低下を迅速に解消し、車両走行機能を確保することができる。
【0013】
本発明の請求項4のエンジンの排気浄化装置によれば、プラグインハイブリッド車において、フィルタ手段における粒子状物質の堆積量が第2の所定量以上である場合には、フィルタ手段の温度に拘わらず加熱手段への電力の供給が許可されるので、バッテリの充電より再生が優先して行われ、排気浄化性能を確保することができる。
本発明の請求項5のエンジンの排気浄化装置によれば、再生手段により所定時間加熱してもフィルタ手段が第2の所定温度に到達しないことで、再生手段に粒子状物質が堆積していないことを判別することができる。そして、再生手段への電力の供給を規制することで、再生の終了を確実に判定して加熱手段による加熱を終了させて、再生時における無駄な電力消費を防止することができる。
【0014】
本発明の請求項6のエンジンの排気浄化装置によれば、再生時に過給機を作動することで、フィルタ手段に空気を供給することができるので、再生時における燃焼用空気として活用することができる。したがって、エンジン停止時においても再生が可能となり、特にプラグインハイブリッド車においては、バッテリ充電時における再生を確実に可能にすることができる。また、過給機の送風量を制御することで、再生時におけるフィルタ手段の温度制御を容易にすることができる。
【0015】
更には、過給機による空気の供給によって、エンジンが停止していても、フィルタ手段の圧損を検出して粒子状物質の堆積量を推定することが可能となる。したがって、再生終了時期の判断を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る排気浄化装置を搭載したプラグインハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】DPFの再生装置の構成を示すブロック図である。
【図3】再生制御装置における電熱ヒータの制御要領を示すフローチャートである。
【図4】供給電力量設定用のマップである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る排気浄化装置を搭載したプラグインハイブリッド車の概略構成図である。
図1に示すように、プラグインハイブリッド車(以下、単に車両1という)には、バッテリ2、電動モータ3、エンジン4、発電機5及び電源装置6が搭載されている。
【0018】
車両1の駆動輪7は、電動モータ3により駆動される。電動モータ3は、バッテリ2から制御装置8を介して電力を供給されて駆動可能となっている。バッテリ2は、外部電源(商用電源)から電源装置6(充電器)を介して充電可能であるとともに、車両1に搭載したエンジン4により駆動される発電機5から電力を供給されて充電可能な構成となっている。
【0019】
エンジン4は、発電用にのみ使用されることから、低速かつ略一定の回転速度での使用に適したディーゼルエンジンが採用されている。
エンジン4の排気通路10には、排気浄化装置としてDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)(フィルタ手段)11が介装されている。
DPF11は、例えば、ハニカム担体の通路の上流側及び下流側を交互にプラグで閉鎖して、排気中のPM(粒子状物質)を捕集する機能を有しており、更に、通路を形成する多孔質の壁にプラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒貴金属を担持して形成されている。
【0020】
DPF11には、電熱ヒータ12(加熱手段)が設けられている。電熱ヒータ12は電力を供給されることで発熱して、DPF11に捕集されているPMを燃焼除去し、DPF11を再生する機能を有している。また、DPF11には、DPF11の温度を検出するDPF温度センサ13(温度検出手段)が備えられている。
図2は、DPF11の再生装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、DPF11の再生装置は、上記バッテリ2、電源装置6、制御装置8(再生制御手段)、電熱ヒータ12、DPF温度センサ13の他に、外部電源接続装置20、外部電源接続検出装置21、充電制御装置22を備えている。
外部電源接続装置20は、具体的には先端に電源プラグを有する電源コードである。この電源プラグは、建物の壁等に設置されたレセプタクルに挿入することで外部電源と接続可能となっている。
【0022】
外部電源接続検出装置21は、電源プラグをレセプタクルに接続したか否かを、即ち外部電源からの充電が可能な状態であるか否かを判別する機能を有する。外部電源接続検出装置21は、例えば電源プラグを接続することによる電源装置6への電力供給を検出することで、電源プラグの接続の有無を検出する。
電源装置6は主として交流電力を直流電力に変換する機能を有したインバータで構成されている。
【0023】
充電制御装置22は、例えばバッテリ2への充放電量を積算して、バッテリ2の現在の充電量Bを検出する機能を有している。
制御装置8は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)及びタイマ8aを含んで構成されており、外部電源接続検出装置に21より検出した電源プラグの接続情報、DPF温度センサ13により検出したDPF11の温度を入力し、電熱ヒータ12への電力の供給を制御する機能を有する。
【0024】
図3は、制御装置8における電熱ヒータ12の制御要領を示すフローチャートである。
本フローチャートは、キースイッチONにてもしくは制御装置8に電源投入中に作動する。
図3に示すように、始めにステップS10では、外部電源接続検出装置21から外部電源との接続情報を入力する。即ち、電源プラグがレセプタクルに挿入されて電気的に接続されているか否かの情報を入力する。そして、ステップS20に進む。
【0025】
ステップS20では、ステップS10において入力した外部電源との接続情報を入力し、外部電源と接続しているか否かを判別する。外部電源と接続している場合にはステップS30に進む。
ステップS30では、DPF温度センサ13からDPF温度Tfを入力する。そして、ステップS40に進む。
【0026】
ステップS40では、ステップS30にて入力したDPF温度Tfが第1の所定温度T1以上であるか否かを判別する。第1の所定温度T1は、DPF11において再生可能である最低温度(再生可能最低温度)より低く設定すればよく、例えば250℃に設定される。DPF温度Tfが第1の所定温度T1以上である場合には、ステップS50に進む。
ステップS50では、ステップS30にて入力したDPF温度Tfが再生目標温度Tt以下であるか否かを判別する。再生目標温度Ttは、再生が効率的に行われる温度に設定すればよく、例えば650℃に設定したり、この値を排気流量等の再生状況に応じて補正して設定したりしてもよい。DPF温度Tfが再生目標温度Tt以下である場合はステップS60に進む。
【0027】
ステップS60では、再生目標温度TtとステップS30にて入力したDPF温度Tfとの差Tt−Tfを演算する。そして、ステップS70に進む。
ステップS70では、ステップS60において算出した再生目標温度とDPF温度との差Tt−Tfに基づき、電熱ヒータ12への供給電力量Wを演算する。供給電力量Wの演算は、例えば図4に示すようなマップを用いて演算する。図4に示すように、供給電力量Wは、再生目標温度とDPF温度との差Tt−Tfが増加するに従って増加する比例関係となるように設定されている。電熱ヒータ12の最大供給電力量(定格電力)は、再生を必要とする前述の所定量のPMが堆積している状態のDPF11が、第1の所定温度T1から再生可能最低温度(例えば400℃)まで上昇可能となるように設定されている。そして、供給電力量Wを電熱ヒータ12に供給してDPF11を加熱し、ステップS80に進む。
【0028】
ステップS80では、ステップS30にて入力したDPF温度Tfが第2の所定温度T2以下であるか否かを判別する。第2の所定温度T2は、前述のDPF11における再生可能最低温度に設定すればよく、例えば400℃に設定すればよい。DPF温度Tfが第2の所定温度T2以下である場合には、ステップS90に進む。
ステップS90では、タイマ8aによりカウントされた値が所定値T3以上であるか否かを判別する。所定値T3は、電熱ヒータ7による加熱開始と実際のDPF11の温度上昇とのタイムラグより若干長くなる時間(所定時間)経過したか否かが判定できるように設定すればよい。タイマ8aのカウント値が所定値T3以上でない場合は、ステップS100に進む。
【0029】
ステップS100では、タイマ8aをカウントアップする。そして、本ルーチンをリターンする。
ステップS80において、DPF温度Tfが第2の所定温度T2より大きいと判定された場合には、ステップS110に進む。
ステップS110では、タイマ8aをリセットして0にする。そして、本ルーチンをリターンする。
【0030】
ステップS40において、DPF温度Tfが第1の所定温度T1以上でないと判定された場合には、ステップS120に進む。
ステップS120では、タイマ8aのカウント値が0より大きいか否かを判別する。タイマ8aのカウント値が0より大きい場合は、ステップS50に進む。タイマ8aのカウント値が0以下である場合は、ステップS130に進む。
【0031】
また、ステップS50においてDPF温度Tfが再生目標温度Ttより大きいと判定した場合、或いはステップS90においてタイマ8aのカウント値が所定値T3以上であると判定した場合にも、ステップS130に進む。
ステップS130では、電熱ヒータ12への電力の供給を停止する。そして、ステップS140に進む。
【0032】
ステップS140では、タイマ8aをリセットして0にする。そして、本ルーチンをリターンする。
以上のように制御することで、本実施形態では、外部電源を接続したときに、DPF11の温度を検出し、DPF11の再生可能最低温度より低く設定された第1の所定温度T1より低い場合には電熱ヒータ12への電力供給が規制される一方、第1の所定温度T1以上である場合には電熱ヒータ12への電力供給が許容され再生が可能となる。即ち、外部電源の接続時にDPF11の温度が低下している状態では再生が規制され、DPF11が暖まっている状態では再生が行われる。したがって、再生するためにDPF温度を大幅に上昇させる必要がなく、よって再生における電力消費を抑えることができる。特に、本実施形態は、プラグインハイブリッド車に採用されており、バッテリ2の充電時に再生が行われるので、再生時における電力消費を抑えることで、バッテリ2の充電に供される電力を確保することができ、再生によるバッテリ充電時間の延長を抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態では、DPF11の温度Tfが第1の所定温度Tt以上でなくてもタイマがカウントされている場合にはすぐに電熱ヒータ12への電力供給を停止せずに、ステップS50に進むので、昇温制御中に温度変化が収まっている状態でのみ電力供給の停止が行われる。よって、電熱ヒータ13の制御が安定して行われる。
そして、再生時には、DPF11の温度Tfと再生目標温度Ttとの差に基づいて電熱ヒータ12への供給電力量Wが制御され、具体的にはTt−Tfの値に比例して供給電力量Wが設定されるので、DPF11の温度が再生目標温度Ttになるような適切な値に設定され、消費電力を抑えた効率的な再生を行うことができる。
【0034】
また、本実施形態では、電熱ヒータ12の定格電力を、PMが堆積していない状態のDPF11が電熱ヒータ12により加熱しても第2の所定温度T2に到達しないような値に設定している。そして、再生時にDPF11の温度が第2の所定温度T2以下となった時点で電熱ヒータ12による加熱が停止するように制御しているので、PMの堆積量が0となった時点で電熱ヒータ12による加熱を確実に停止することができ、無駄な電力消費を防止することができる。
【0035】
また、上記実施形態において、更に、エンジン運転中においてもバッテリ2からの電力供給により再生を可能とする構成にしてもよい。このような構成では、エンジン運転中において再生している最中に、エンジン4が停止してしまった場合でも、DPF11が昇温している状態を利用して外部電源により再生を継続させることができ、効率的な再生が可能となる。
【0036】
更に、制御装置8は、充電制御装置22にて検出したバッテリ2の充電量Bが第1の所定量B1以下である場合には、DPF11の温度に拘わらず、電熱ヒータ12への電力供給を規制するとよい。第1の所定量B1は、車両走行に支障を来さないバッテリ2の充電量の範囲内でその下限値付近に設定すればよい。このようにすれば、外部電源から供給された電力が、DPF11の再生よりもバッテリ2の充電に優先して使用されるので、バッテリ2の充電量低下を迅速に解消し、車両走行性能を確保することができる。
【0037】
また、制御装置8にDPF11におけるPMの堆積量Qpを推定する堆積量推定部8b(堆積量推定手段)を設け、PMの堆積量Qpが第2の所定量Qp2以上である場合には、DPF11の温度に拘わらず再生を行うようにしてもよい。第2の所定量Qp2は、走行するのに不適切となるような排気性能が低下する値に設定すればよい。PMの堆積量Qpは、例えばDPF11の前後の気圧差から演算したり、アクセル開度等や運転時間等のエンジン4の運転状況を積算したりして求めればよい。このように制御すれば、バッテリ2の充電よりも再生が優先され、排気浄化性能を確保することができる。
【0038】
更に、PMの堆積量Qpが多い場合には電熱ヒータ12への供給電力量Wを小さく、PMの堆積量Qpが少ない場合には電熱ヒータ12への供給電力量Wを大きく補正するとよい。PMの堆積量が多い場合には、再生時にPMの燃焼によりDPF11の温度が大きく上昇するので、この分電熱ヒータ12への供給電力量Wを低下させることができ、よって消費電力を節約することができる。
【0039】
更に、図1に示すように、本実施形態では、エンジン4に過給機40を備えている。過給機40は、電動機によりコンプレッサを駆動する電動過給機が用いられる。過給機40の電動機は制御装置8により作動制御される。過給機40は、通常、エンジン4の負荷や回転速度に応じて作動制御され、エンジン4の吸気量を増加させてエンジントルクを上昇させる機能を有する。本実施形態では、更に、制御装置8はDPF11の再生時に過給機40が作動するよう制御する。過給機40を作動させることで、エンジン4の燃焼室を通過して空気が排気通路10に流入しDPF11に供給されるので、再生時における燃焼用空気として活用される。これにより、PMが燃焼し易くなり、再生効率を向上させることができる。また、過給機40の作動を制御し、送風量を制御することで、再生時におけるDPF11の温度制御が容易に可能となる。特に電動過給機を用いることで、エンジン停止時においても再生が効率的に可能となる。また、過給機40の作動によりDPF11に空気を供給することで、エンジン1が停止していてもDPF11の圧損を検出してPMの堆積量の推定を行うことが可能となり、正確に再生の終了判定を行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
2 バッテリ
4 エンジン
8 制御装置
8b 堆積量推定部
11 DPF
12 電熱ヒータ
13 DPF温度センサ
40 過給機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンの排気通路に設けられ、排気中の粒子状物質を捕捉するフィルタ手段と、
外部電源から電力を供給されて前記フィルタ手段を加熱し、前記捕捉された粒子状物質を燃焼して前記フィルタ手段を再生する加熱手段と、
前記フィルタ手段の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段により検出された前記フィルタ手段の温度が第1の所定温度以上である場合にのみ、前記外部電源から前記加熱手段への電力の供給を許可する再生制御手段と、
を備えたことを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
【請求項2】
前記車両は、前記外部電源より電力を供給されて充電されるバッテリを備えたプラグインハイブリッド車であって、
前記加熱手段は、前記バッテリの充電時に前記フィルタ手段を加熱して再生を行うことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気浄化装置。
【請求項3】
前記バッテリの充電量を推定する充電量推定手段を更に備え、
前記再生制御手段は、前記充電量推定手段により推定した前記バッテリの充電量が第1の所定量以下である場合には、前記フィルタ手段の温度に拘わらず前記加熱手段への電力の供給を規制することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置。
【請求項4】
前記フィルタ手段における粒子状物質の堆積量を推定する堆積量推定手段を更に備え、
前記再生制御手段は、前記堆積量推定手段により推定した前記粒子状物質の堆積量が第2の所定量以上である場合には、前記フィルタ手段の温度に拘わらず前記外部電源から前記加熱手段への電力の供給を許可することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置。
【請求項5】
前記再生制御手段は、前記再生手段による前記フィルタ手段の再生時に、前記温度検出手段により検出された前記フィルタ手段の温度が所定時間以上継続して第2の所定温度より低い場合には、前記再生手段への電力の供給を規制することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエンジンの排気浄化装置。
【請求項6】
前記再生手段による再生時に前記フィルタ手段に空気を供給する過給機を更に備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエンジンの排気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−32969(P2011−32969A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181572(P2009−181572)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】