エンジン出力制御装置
【課題】 車両重量を考慮して変速制御を行う車両用のエンジン出力制御装置において、誤差の少ない道路の勾配値を求め、車両重量に応じた的確なエンジン出力制御が実現できるエンジン出力制御装置を提供すること。
【解決手段】車両重量検出手段で車両重量を検出する。そして、車両重量から勾配補正値を求め、勾配値を勾配補正値で補正して、車両重量を再度検出する。これにより、道路の勾配値が、自車の車両重量によって補正されるので、道路の勾配値を正確に検出できる。また、正確に検出した車両重量により、的確なエンジンの出力制御が実現でき、よって、積荷の有無、軽重にかかわらず、変速時に最適な量の燃料を供給して車両のエンジン出力を制御することができる。
【解決手段】車両重量検出手段で車両重量を検出する。そして、車両重量から勾配補正値を求め、勾配値を勾配補正値で補正して、車両重量を再度検出する。これにより、道路の勾配値が、自車の車両重量によって補正されるので、道路の勾配値を正確に検出できる。また、正確に検出した車両重量により、的確なエンジンの出力制御が実現でき、よって、積荷の有無、軽重にかかわらず、変速時に最適な量の燃料を供給して車両のエンジン出力を制御することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、自動変速機を備えた車両用の、エンジン出力制御装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
自動変速機は、車両の走行速度やアクセル開度等の値に基づき、最適なギア段を自動的に設定する。また乾式クラッチ板を用いた機械式クラッチは伝達効率が高く、燃料消費率を向上させることが知られている。そこで、自動変速機に機械式自動クラッチを組み合わせた自動変速機が、貨物用車両に多く用いられてきている。
【０００３】
このようなエンジンを搭載した車両では、機械式自動クラッチの接続状態とエンジンへの燃料供給量とを対応させ、ギア段を変更させる際に、不要にエンジン回転数が上昇するエンジンの空ぶかしや減速ショック等が発生しないようにしている。例えば、エンジンの回転数とクラッチの出力軸の回転差に基づき、エンジンへの燃料噴射量を決定し、機械式自動クラッチを接続させる発明が従来知られている。
【特許文献１】特開２００４−２７０６２４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、従来の、エンジンとクラッチの回転差を求めエンジンへの燃料噴射量を設定するエンジンの出力制御では、車両重量に応じた制御が行なわれない。そのため、荷物を積んだ状態と荷物を積んでいない状態で、車両重量に大きな差が生じる貨物用車両では、ギア変速時に不具合の生じることが考えられる。
【０００５】
すなわち、ギア変更時の出力制御を、空荷走行において好ましい設定にすると、荷物を積んだ状態では燃料噴射量が不足気味になり、運転手が加速度の不足を感じるようになり、一方積荷走行において好ましい設定にすると、空荷走行時には燃料過多となり、エンジンの空ふかしなどが発生しがちになる。そこで、車両重量を検出する車両重量検出手段を具え、車両重量検出手段が検出した車両重量の値に基いて車両用駆動装置を制御することが考えられた。
【０００６】
ところが車両重量検出手段は、車両の傾斜から求めた道路勾配と、その勾配を有する道路で加速したときの加速度と、燃料消費量から車両重量を算出している。すると、車両の傾斜が車両重量によって変化するため、車両の傾斜から求めた道路勾配を用いた場合、正確な車両重量が算出できず、車両重量に応じた的確な制御がなされないことが考えられる。
【０００７】
本発明は上記課題を解決し、車両重量を考慮して制御を行う車両用のエンジン出力制御装置において、道路勾配値を正確に求め、車両重量に応じた的確なエンジンの出力制御が実現できる車両用のエンジン出力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、上記課題を解決するため車両用のエンジン出力制御装置を次のように構成した。
すなわち、車両重量を検出したら、車両重量に応じて変化する車両の傾斜分により道路の勾配値を補正し、補正した勾配値を用いて車両重量検出手段で再度車両重量を検出し、正確な車両重量値でエンジンの出力を制御するように構成した。
【０００９】
以下、このことを詳しく説明する。
【００１０】
エンジン出力制御装置は、エンジンと自動変速機との間に機械式自動クラッチを組み付けた車両のエンジン出力制御装置である。エンジン出力制御装置は、エンジンに燃料を供給する燃料供給手段と、道路勾配を検出する道路勾配検出手段と、車両の重量を検出する車両重量検出手段等を具え、通常、車両重量検出手段から検出された車両重量に基いて、ギア変速時の燃料供給量を決定しエンジン出力を制御する。
【００１１】
エンジン出力制御装置で制御される車両は、基本的に貨物用車両であるが、乗用車両でもよい。またエンジンは、ディーゼルエンジンが好ましいが、ガソリンエンジンでもよい。
【００１２】
エンジンは、燃料噴射（供給）手段を具え、燃料噴射手段から噴射された燃料で出力が調整される。燃料噴射手段は、エンジン出力制御装置からの指示に従って、所定量の燃料をエンジンに供給する。エンジンと自動変速機は、機械式自動クラッチを介して組み付いている。尚、機械式自動クラッチでなく、流体式のトルクコンバータ等を介して組み付けてもよい。
【００１３】
自動変速機は、ギア切替ユニットを具え、変速制御装置からの指示によりギア切替ユニットが作動しギア段が自動的に切り替えられる。変速制御装置は、車両の車速センサ、アクセル開度センサ、設定されているギア段を検出するギア段検出手段などと接続しており、これらからの値に基づき最適なギア段を選択し、ギア切替ユニットにギア段切り替えの指示を行う。
【００１４】
機械式自動クラッチは、乾式のクラッチ板と、油圧、あるいは空圧を利用したアクチュエータと、押圧ばね等から構成されている。クラッチ板は、押圧ばねのばね力によりエンジンの出力軸側、例えばフライホイールに圧着され、これによりエンジンの回転が自動変速機に伝達される。いわゆる、クラッチが接続した状態である。そしてアクチュエータが操作されてクラッチ板がフライホイールから引き離されると、エンジンと自動変速機の間の接続が遮断される。いわゆる、クラッチが切れた状態である。
【００１５】
エンジン出力制御装置は、車両重量検出手段を含む各種検出手段（センサ）に接続しており、変速制御装置と連係してエンジン及び自動変速機を作動させ、車両重量に応じたエンジンの出力制御を行う。車両重量検出手段が検出する車両重量は、車両が積んでいる荷物の重さを含む車両全体の値である。
【００１６】
車両重量検出手段は、道路の勾配の値と、その勾配における道路において加速を行ったときの、加速度検出手段が検出した車両加速度の値と、燃料消費量に基づき、車両重量を算出する。
【００１７】
具体的には、車両に設けられた傾斜検出手段により車両の傾斜を求め、かかる傾斜を道路の勾配値とみなす。そして、かかる勾配値を有する道路において、車両を加速させたとき、加速度検出手段が検出した車両の加速度と、そのときの燃料消費量、すなわち燃料供給量から車両重量を算出する。尚、加速度検出手段が検出する加速度に代えて、時間あたりの速度変化量を用いてもよい。
【００１８】
更に本発明にかかるエンジン出力制御装置は、勾配値補正手段を具え、車両傾斜検出手段により求められた道路の勾配値について、自車の車両重量による車両傾斜分を補正して用いる。すなわち貨物用車両に荷物を積むと、荷物の重量により車両後方が下がり、車両に前後方向の傾斜が生じる。道路の勾配値は、車両の傾斜値から求めているので、車両重量の算出の基礎となる勾配値に車両重量による車両の傾斜分の誤差が含まれる。
【００１９】
勾配値補正手段は、水平な道路上における自車の車両重量と車両傾斜値との関係を予め有しており、上記関係に基いて道路の勾配値を補正する。エンジン出力制御装置は、補正した勾配値と、加速度と、燃料消費量から再度車両重量を求める。
【００２０】
車両重量の算出は、車両走行中継続して行い、算出値を収束させていく。その際、前回の算出結果を利用する。つまり、車両重量は継続して複数回算出するので、傾斜検出手段により求めた車両の傾斜値、つまり道路の勾配値を、前回の勾配値の算出で得られた勾配補正値に基いて補正を行い、補正した勾配値と、加速度と、燃料消費量から車両重量を算出し、算出された車両重量から、勾配値を補正し、補正した勾配値を用いて再度車両重量の算出を行う。これにより、算出の回を重ねるごとにより正確な車両重量を得ることができる。
【００２１】
また、車両重量検出手段で車両の重量が検出されない場合には、車両は空荷の状態であると仮定し、かかる制御でエンジンの出力制御を行う。車両重量検出手段で車両の重量が検出されない場合とは、例えば走行開始直後とか、十分な回数の加速発進が行われていないとき、あるいは機器に不具合が生じている場合などが考えられる。かかる制御は、車両重量検出手段で車両の重量が検出されるまでであり、検出された後は車両重量を考慮した制御が行われる。
【発明の効果】
【００２２】
本発明にかかる車両用のエンジン出力制御装置は、次の効果を有している。
車両傾斜検出手段により求められた車両の傾斜値、つまり道路の勾配値を、勾配値補正手段で補正するので、正確な勾配値が得られる。これにより車両重量が正確に検出でき、正確な車両重量により、的確なエンジンの出力制御が実現できる。よって、積荷の有無、軽重にかかわらず、最適な量の燃料を供給して変速時に的確にエンジン出力を制御できる。
【００２３】
道路の勾配値は、車両重量値を検出するごと順次補正され、時間の経過とともにより正確な数値が得られる。更に、車両重量検出手段で車両の重量が検出されない場合においても、従来と同様の制御、つまり車両重量を考慮しない制御がなされるので、車両の走行に支障は生じさせない。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２４】
本発明にかかる発進制御装置の一実施形態について、図を用いて説明する。
図１に、エンジン出力制御装置３を具えた車両駆動装置１０４を示す。車両駆動装置１０４は、エンジン６と、変速機８と、機械式自動クラッチ１０と、エンジン出力制御装置３と、変速制御装置５などから構成されている。図５に車両駆動装置１０４を搭載した車両１００を示す。車両１００は貨物用車両で、車両後方に荷台１０２を備えている。
【００２５】
エンジン６は、ディーゼルエンジンで、図１に示すように燃料供給手段としての燃料噴射装置１２が設けられている。エンジン６の後方には、機械式自動クラッチ１０を介して変速機８が組み付けてある。
【００２６】
機械式自動クラッチ１０は、乾式のクラッチ板１６と、クラッチ板１６を押圧する押圧ばね１８と、クラッチ板１６の中央に設けられたアクチュエータ２０などから構成されている。クラッチ板１６は、通常押圧ばね１８によりエンジン６の出力軸であるフライホイール（図示せず。）に圧着されており、これによりエンジン６の回転が機械式自動クラッチ１０を介して変速機８に伝達される。
【００２７】
アクチュエータ２０には油圧装置２２が連結しており、駆動ユニット２４により油圧装置２２が駆動されると、油圧によりアクチュエータ２０が作動し、クラッチ板１６が押圧ばね１８に抗してフライホイールから引き離される。クラッチ板１６がフライホイールから引き離されると、エンジン６の出力軸と変速機８の入力軸の接続が遮断される。また機械式自動クラッチ１０は、クラッチが接続した状態と切れた状態の中間にあたる、半クラッチの状態がある。
【００２８】
変速機８は、内部に複数の変速ギア（図示せず。）を具え、上部に、変速ギアの噛み合わせを変更するギア切替ユニット１４を有している。ギア切替ユニット１４は、駆動ユニット２４に接続しており、駆動ユニット２４の駆動で変速ギアの噛み合わせの切り替え（セレクト、シフト操作）を行い、変速機８のギア段を切り替える。
【００２９】
エンジン出力制御装置３及び変速制御装置５は、車両１００や車両駆動装置１０４に取り付けられた各種検出手段（センサ）と接続してあり、それら検出手段からの信号に基づき、それぞれが連係して車両１００を走行させる制御全般を行う。
【００３０】
具体的には、エンジン出力制御装置３と変速制御装置５は、図１及び図２に示すように車両重量検出手段７と、車速検出手段２６と、エンジン回転数検出手段２７と、クラッチ板１６の回転数としてのクラッチ回転数を検出するクラッチ回転数検出手段２８と、アクセル開度を検出するアクセルペダル検出手段５２と、車速、アクセル開度及び車両１００に生じる加速度に基づきギア段を設定するギア段設定手段２９と、シフトレバー検出手段５４と、ブレーキの状態を検出する検出手段（図示せず。）等に接続しており、車両重量検出手段７が検出した車両重量と、各信号に基いて最適な燃料噴射量とギア段とスロットル（図示せず。）開度を決定し、車両１００を走行させる。
【００３１】
車両重量検出手段７は、図２に示すように傾斜検出装置３０と、加速度検出装置３２と、勾配値補正手段４を具え、積荷を含めた車両全体の重量を検出する。
【００３２】
傾斜検出装置３０は、車両１００の前後方向の傾きを検出する検出装置である。傾斜検出装置３０が検出した車両１００の傾きは、図５に示すように車両１００が走行している道路の勾配値に等しいとみなされる。加速度検出装置３２は、車両１００が発進するときや走行中アクセルを踏み込んで加速したとき、車両１００に生じる加速度を検出する。
【００３３】
車両重量検出手段７は、傾斜検出装置３０で検出された勾配と、かかる勾配を有する道路で車両１００を加速させたときの加速度検出装置３２で検出された加速度と、そのときの燃料消費量を用いて、車両１００の重量を算出する。
【００３４】
勾配値補正手段４は、図３に示すように、演算部９と記憶部１１を具えている。記憶部１１には、車両重量と、車両重量による自車の傾斜値との関係を記憶している。すなわち、勾配補正値を記憶している。尚、勾配補正値を、車両重量から計算で求めるようにしてもよい。
【００３５】
演算部９は、車両重量検出手段７で車両重量が算出されると、記憶部１１から勾配補正値を得て、勾配補正値で道路の勾配値を補正する。つまり車両重量検出手段７が、傾斜検出装置３０が検出した車両の傾斜を道路勾配とみなして、その道路の勾配値と、加速度と、燃料消費量から車両重量を検出すると、勾配値補正手段４は、それにより得られた車両重量の値から該当する勾配補正値を導き出し、道路の勾配値を勾配補正値に基いて補正する。車両は、積荷により車両重量が増減すると、それに応じて車両の傾斜値が変動する。車両重量検出手段７で算出された車両重量は、車両重量による傾斜を含んだ車両傾斜値で算出されているので、勾配値補正手段４は、算出された車両重量に基いて車両重量により生じる自車の車両傾斜分、すなわち勾配補正値を求め、勾配補正値により道路の勾配値を、車両重量による傾斜分を含まない正確な値に補正する。
【００３６】
補正された勾配値は、車両重量検出手段７に送られる。そして、再度車両重量検出手段７が、補正した勾配値と、加速度と、燃料消費量とから車両重量を算出する。
【００３７】
エンジン出力制御装置３は、かかる車両重量の値を用いて、燃料供給量を決定し、クラッチ接続時のエンジン出力を制御する。また、エンジン出力制御装置３は、車両重量検出手段７が、車両重量を検出できないときには、車両は空荷であると仮定して制御を行う。
【００３８】
次に、エンジン出力制御装置３が有する、車両重量に応じたエンジンの出力制御について図４のフローチャートを用いて説明する。
【００３９】
まず、勾配補正値としてのαに０を入れる（Ｆ−１）。そして、傾斜検出装置３０から車両１００の傾斜値、つまり道路の勾配値と、かかる勾配を有する道路で車両１００を加速させたときの燃料消費量と、そのとき加速度検出装置３２で検出された加速度を入手する。そして、得られた勾配値からαを減算する（Ｆ−３）。最初の算出動作では、αは０であるので、傾斜検出装置３０から得られた勾配値はそのまま使用される。これら値に基づき、車両重量検出手段７が、車両１００の重量を算出する（Ｆ−４）。
【００４０】
次に、自車の車両重量が、車両重量検出手段７が算出した車両重量と等しい場合に生じる、車両の傾斜値、つまり勾配補正値を記憶部１１のテーブルから求める（Ｆ−５）。そして、αをその勾配補正値とする（Ｆ−６）。
【００４１】
勾配補正値に基づき、勾配値を補正する（Ｆ−７）。補正した勾配値と、上記加速度と、燃料消費量とから車両１００の重量を再度算出する（Ｆ−８）。算出された車両重量の値が利用可能かどうか判断する（Ｆ−９）。判断は、例えば、スタート直後であるかどうかや、大きくずれた数値が得られた場合とか、全く数値が算出されない場合などである。利用が可能でないと判断されたら、車両は空荷であると設定され（Ｆ−１２）、Ｆ−１１に入り、空荷状態としての変速制御が行われる。
【００４２】
一方、算出された車両重量の値が利用可能と判断された場合は、その値でエンジン出力が制御される。つまり自動変速機の変速段が新たに選択されたら（Ｆ−１０）、変速段の値と、算出された車両重量の値に応じた変速時の燃料供給量が決定される。（Ｆ−１１）
更に車両１００が走行を続け、道路の勾配値、加速度、燃料消費量が新たに得られた場合には、前回得られた上記αを用いて、Ｆ−３で道路の勾配値を補正し、補正した勾配値を用いて、車両重量を算出し（Ｆ−４）、上述したと同様の作業を行う。すると、勾配値に、前回の算出動作で得られた結果α（勾配補正値）が含まれているので、誤差がより小さくなり、車両１００の重量の値が所定値に早く収束される。
【００４３】
これによれば、車両１００の重量による誤差を含まない道路の勾配値が正確に得られるので、かかる勾配値を用いた的確なエンジン出力制御が行え、エンジンの空ふかしを生じさせることなく、車両重量に応じた適切な変速操作が実現される。これにより、車両１００は、運転者の疲労が少ない、安全な運転を実現できる。そして仮に車両重量の検出がなされない場合であっても、空荷用に燃料供給量が設定されるので、車両重量が考慮されない従来と同様の走行性能は十分に確保され、走行に支障は生じることはない。
【００４４】
尚、上記例では正確荷求めた勾配値を、ギア変速時の燃料供給量を制御するのに用いたが、本発明は、それに限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【００４５】
【図１】本発明にかかるな制御装置を用いた車両駆動装置の一実施形態を示す図。
【図２】エンジン出力制御装置の構成を示すブロック図。
【図３】エンジン出力制御装置を示すブロック図。
【図４】エンジン出力制御を示すフローチャート。
【図５】車両を示す図。
【符号の説明】
【００４６】
３…エンジン出力制御装置
４…勾配値補正手段
５…変速制御装置
６…エンジン
７…車両重量検出手段
８…変速機
９…演算部
１０…機械式自動クラッチ
１１…記憶部
１２…燃料噴射装置
１４…ギア切替ユニット
１６…クラッチ板
１８…押圧ばね
２０…アクチュエータ
２２…油圧装置
２４…駆動ユニット
２６…車速検出手段
２７…エンジン回転数検出手段
２８…クラッチ回転数検出手段
２９…ギア段設定手段
３０…傾斜検出装置
３２…加速度検出装置
５２…アクセルペダル検出手段
５４…シフトレバー検出手段
１００…車両
１０２…荷台
１０４…車両駆動装置
【技術分野】
【０００１】
この発明は、自動変速機を備えた車両用の、エンジン出力制御装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
自動変速機は、車両の走行速度やアクセル開度等の値に基づき、最適なギア段を自動的に設定する。また乾式クラッチ板を用いた機械式クラッチは伝達効率が高く、燃料消費率を向上させることが知られている。そこで、自動変速機に機械式自動クラッチを組み合わせた自動変速機が、貨物用車両に多く用いられてきている。
【０００３】
このようなエンジンを搭載した車両では、機械式自動クラッチの接続状態とエンジンへの燃料供給量とを対応させ、ギア段を変更させる際に、不要にエンジン回転数が上昇するエンジンの空ぶかしや減速ショック等が発生しないようにしている。例えば、エンジンの回転数とクラッチの出力軸の回転差に基づき、エンジンへの燃料噴射量を決定し、機械式自動クラッチを接続させる発明が従来知られている。
【特許文献１】特開２００４−２７０６２４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、従来の、エンジンとクラッチの回転差を求めエンジンへの燃料噴射量を設定するエンジンの出力制御では、車両重量に応じた制御が行なわれない。そのため、荷物を積んだ状態と荷物を積んでいない状態で、車両重量に大きな差が生じる貨物用車両では、ギア変速時に不具合の生じることが考えられる。
【０００５】
すなわち、ギア変更時の出力制御を、空荷走行において好ましい設定にすると、荷物を積んだ状態では燃料噴射量が不足気味になり、運転手が加速度の不足を感じるようになり、一方積荷走行において好ましい設定にすると、空荷走行時には燃料過多となり、エンジンの空ふかしなどが発生しがちになる。そこで、車両重量を検出する車両重量検出手段を具え、車両重量検出手段が検出した車両重量の値に基いて車両用駆動装置を制御することが考えられた。
【０００６】
ところが車両重量検出手段は、車両の傾斜から求めた道路勾配と、その勾配を有する道路で加速したときの加速度と、燃料消費量から車両重量を算出している。すると、車両の傾斜が車両重量によって変化するため、車両の傾斜から求めた道路勾配を用いた場合、正確な車両重量が算出できず、車両重量に応じた的確な制御がなされないことが考えられる。
【０００７】
本発明は上記課題を解決し、車両重量を考慮して制御を行う車両用のエンジン出力制御装置において、道路勾配値を正確に求め、車両重量に応じた的確なエンジンの出力制御が実現できる車両用のエンジン出力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、上記課題を解決するため車両用のエンジン出力制御装置を次のように構成した。
すなわち、車両重量を検出したら、車両重量に応じて変化する車両の傾斜分により道路の勾配値を補正し、補正した勾配値を用いて車両重量検出手段で再度車両重量を検出し、正確な車両重量値でエンジンの出力を制御するように構成した。
【０００９】
以下、このことを詳しく説明する。
【００１０】
エンジン出力制御装置は、エンジンと自動変速機との間に機械式自動クラッチを組み付けた車両のエンジン出力制御装置である。エンジン出力制御装置は、エンジンに燃料を供給する燃料供給手段と、道路勾配を検出する道路勾配検出手段と、車両の重量を検出する車両重量検出手段等を具え、通常、車両重量検出手段から検出された車両重量に基いて、ギア変速時の燃料供給量を決定しエンジン出力を制御する。
【００１１】
エンジン出力制御装置で制御される車両は、基本的に貨物用車両であるが、乗用車両でもよい。またエンジンは、ディーゼルエンジンが好ましいが、ガソリンエンジンでもよい。
【００１２】
エンジンは、燃料噴射（供給）手段を具え、燃料噴射手段から噴射された燃料で出力が調整される。燃料噴射手段は、エンジン出力制御装置からの指示に従って、所定量の燃料をエンジンに供給する。エンジンと自動変速機は、機械式自動クラッチを介して組み付いている。尚、機械式自動クラッチでなく、流体式のトルクコンバータ等を介して組み付けてもよい。
【００１３】
自動変速機は、ギア切替ユニットを具え、変速制御装置からの指示によりギア切替ユニットが作動しギア段が自動的に切り替えられる。変速制御装置は、車両の車速センサ、アクセル開度センサ、設定されているギア段を検出するギア段検出手段などと接続しており、これらからの値に基づき最適なギア段を選択し、ギア切替ユニットにギア段切り替えの指示を行う。
【００１４】
機械式自動クラッチは、乾式のクラッチ板と、油圧、あるいは空圧を利用したアクチュエータと、押圧ばね等から構成されている。クラッチ板は、押圧ばねのばね力によりエンジンの出力軸側、例えばフライホイールに圧着され、これによりエンジンの回転が自動変速機に伝達される。いわゆる、クラッチが接続した状態である。そしてアクチュエータが操作されてクラッチ板がフライホイールから引き離されると、エンジンと自動変速機の間の接続が遮断される。いわゆる、クラッチが切れた状態である。
【００１５】
エンジン出力制御装置は、車両重量検出手段を含む各種検出手段（センサ）に接続しており、変速制御装置と連係してエンジン及び自動変速機を作動させ、車両重量に応じたエンジンの出力制御を行う。車両重量検出手段が検出する車両重量は、車両が積んでいる荷物の重さを含む車両全体の値である。
【００１６】
車両重量検出手段は、道路の勾配の値と、その勾配における道路において加速を行ったときの、加速度検出手段が検出した車両加速度の値と、燃料消費量に基づき、車両重量を算出する。
【００１７】
具体的には、車両に設けられた傾斜検出手段により車両の傾斜を求め、かかる傾斜を道路の勾配値とみなす。そして、かかる勾配値を有する道路において、車両を加速させたとき、加速度検出手段が検出した車両の加速度と、そのときの燃料消費量、すなわち燃料供給量から車両重量を算出する。尚、加速度検出手段が検出する加速度に代えて、時間あたりの速度変化量を用いてもよい。
【００１８】
更に本発明にかかるエンジン出力制御装置は、勾配値補正手段を具え、車両傾斜検出手段により求められた道路の勾配値について、自車の車両重量による車両傾斜分を補正して用いる。すなわち貨物用車両に荷物を積むと、荷物の重量により車両後方が下がり、車両に前後方向の傾斜が生じる。道路の勾配値は、車両の傾斜値から求めているので、車両重量の算出の基礎となる勾配値に車両重量による車両の傾斜分の誤差が含まれる。
【００１９】
勾配値補正手段は、水平な道路上における自車の車両重量と車両傾斜値との関係を予め有しており、上記関係に基いて道路の勾配値を補正する。エンジン出力制御装置は、補正した勾配値と、加速度と、燃料消費量から再度車両重量を求める。
【００２０】
車両重量の算出は、車両走行中継続して行い、算出値を収束させていく。その際、前回の算出結果を利用する。つまり、車両重量は継続して複数回算出するので、傾斜検出手段により求めた車両の傾斜値、つまり道路の勾配値を、前回の勾配値の算出で得られた勾配補正値に基いて補正を行い、補正した勾配値と、加速度と、燃料消費量から車両重量を算出し、算出された車両重量から、勾配値を補正し、補正した勾配値を用いて再度車両重量の算出を行う。これにより、算出の回を重ねるごとにより正確な車両重量を得ることができる。
【００２１】
また、車両重量検出手段で車両の重量が検出されない場合には、車両は空荷の状態であると仮定し、かかる制御でエンジンの出力制御を行う。車両重量検出手段で車両の重量が検出されない場合とは、例えば走行開始直後とか、十分な回数の加速発進が行われていないとき、あるいは機器に不具合が生じている場合などが考えられる。かかる制御は、車両重量検出手段で車両の重量が検出されるまでであり、検出された後は車両重量を考慮した制御が行われる。
【発明の効果】
【００２２】
本発明にかかる車両用のエンジン出力制御装置は、次の効果を有している。
車両傾斜検出手段により求められた車両の傾斜値、つまり道路の勾配値を、勾配値補正手段で補正するので、正確な勾配値が得られる。これにより車両重量が正確に検出でき、正確な車両重量により、的確なエンジンの出力制御が実現できる。よって、積荷の有無、軽重にかかわらず、最適な量の燃料を供給して変速時に的確にエンジン出力を制御できる。
【００２３】
道路の勾配値は、車両重量値を検出するごと順次補正され、時間の経過とともにより正確な数値が得られる。更に、車両重量検出手段で車両の重量が検出されない場合においても、従来と同様の制御、つまり車両重量を考慮しない制御がなされるので、車両の走行に支障は生じさせない。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２４】
本発明にかかる発進制御装置の一実施形態について、図を用いて説明する。
図１に、エンジン出力制御装置３を具えた車両駆動装置１０４を示す。車両駆動装置１０４は、エンジン６と、変速機８と、機械式自動クラッチ１０と、エンジン出力制御装置３と、変速制御装置５などから構成されている。図５に車両駆動装置１０４を搭載した車両１００を示す。車両１００は貨物用車両で、車両後方に荷台１０２を備えている。
【００２５】
エンジン６は、ディーゼルエンジンで、図１に示すように燃料供給手段としての燃料噴射装置１２が設けられている。エンジン６の後方には、機械式自動クラッチ１０を介して変速機８が組み付けてある。
【００２６】
機械式自動クラッチ１０は、乾式のクラッチ板１６と、クラッチ板１６を押圧する押圧ばね１８と、クラッチ板１６の中央に設けられたアクチュエータ２０などから構成されている。クラッチ板１６は、通常押圧ばね１８によりエンジン６の出力軸であるフライホイール（図示せず。）に圧着されており、これによりエンジン６の回転が機械式自動クラッチ１０を介して変速機８に伝達される。
【００２７】
アクチュエータ２０には油圧装置２２が連結しており、駆動ユニット２４により油圧装置２２が駆動されると、油圧によりアクチュエータ２０が作動し、クラッチ板１６が押圧ばね１８に抗してフライホイールから引き離される。クラッチ板１６がフライホイールから引き離されると、エンジン６の出力軸と変速機８の入力軸の接続が遮断される。また機械式自動クラッチ１０は、クラッチが接続した状態と切れた状態の中間にあたる、半クラッチの状態がある。
【００２８】
変速機８は、内部に複数の変速ギア（図示せず。）を具え、上部に、変速ギアの噛み合わせを変更するギア切替ユニット１４を有している。ギア切替ユニット１４は、駆動ユニット２４に接続しており、駆動ユニット２４の駆動で変速ギアの噛み合わせの切り替え（セレクト、シフト操作）を行い、変速機８のギア段を切り替える。
【００２９】
エンジン出力制御装置３及び変速制御装置５は、車両１００や車両駆動装置１０４に取り付けられた各種検出手段（センサ）と接続してあり、それら検出手段からの信号に基づき、それぞれが連係して車両１００を走行させる制御全般を行う。
【００３０】
具体的には、エンジン出力制御装置３と変速制御装置５は、図１及び図２に示すように車両重量検出手段７と、車速検出手段２６と、エンジン回転数検出手段２７と、クラッチ板１６の回転数としてのクラッチ回転数を検出するクラッチ回転数検出手段２８と、アクセル開度を検出するアクセルペダル検出手段５２と、車速、アクセル開度及び車両１００に生じる加速度に基づきギア段を設定するギア段設定手段２９と、シフトレバー検出手段５４と、ブレーキの状態を検出する検出手段（図示せず。）等に接続しており、車両重量検出手段７が検出した車両重量と、各信号に基いて最適な燃料噴射量とギア段とスロットル（図示せず。）開度を決定し、車両１００を走行させる。
【００３１】
車両重量検出手段７は、図２に示すように傾斜検出装置３０と、加速度検出装置３２と、勾配値補正手段４を具え、積荷を含めた車両全体の重量を検出する。
【００３２】
傾斜検出装置３０は、車両１００の前後方向の傾きを検出する検出装置である。傾斜検出装置３０が検出した車両１００の傾きは、図５に示すように車両１００が走行している道路の勾配値に等しいとみなされる。加速度検出装置３２は、車両１００が発進するときや走行中アクセルを踏み込んで加速したとき、車両１００に生じる加速度を検出する。
【００３３】
車両重量検出手段７は、傾斜検出装置３０で検出された勾配と、かかる勾配を有する道路で車両１００を加速させたときの加速度検出装置３２で検出された加速度と、そのときの燃料消費量を用いて、車両１００の重量を算出する。
【００３４】
勾配値補正手段４は、図３に示すように、演算部９と記憶部１１を具えている。記憶部１１には、車両重量と、車両重量による自車の傾斜値との関係を記憶している。すなわち、勾配補正値を記憶している。尚、勾配補正値を、車両重量から計算で求めるようにしてもよい。
【００３５】
演算部９は、車両重量検出手段７で車両重量が算出されると、記憶部１１から勾配補正値を得て、勾配補正値で道路の勾配値を補正する。つまり車両重量検出手段７が、傾斜検出装置３０が検出した車両の傾斜を道路勾配とみなして、その道路の勾配値と、加速度と、燃料消費量から車両重量を検出すると、勾配値補正手段４は、それにより得られた車両重量の値から該当する勾配補正値を導き出し、道路の勾配値を勾配補正値に基いて補正する。車両は、積荷により車両重量が増減すると、それに応じて車両の傾斜値が変動する。車両重量検出手段７で算出された車両重量は、車両重量による傾斜を含んだ車両傾斜値で算出されているので、勾配値補正手段４は、算出された車両重量に基いて車両重量により生じる自車の車両傾斜分、すなわち勾配補正値を求め、勾配補正値により道路の勾配値を、車両重量による傾斜分を含まない正確な値に補正する。
【００３６】
補正された勾配値は、車両重量検出手段７に送られる。そして、再度車両重量検出手段７が、補正した勾配値と、加速度と、燃料消費量とから車両重量を算出する。
【００３７】
エンジン出力制御装置３は、かかる車両重量の値を用いて、燃料供給量を決定し、クラッチ接続時のエンジン出力を制御する。また、エンジン出力制御装置３は、車両重量検出手段７が、車両重量を検出できないときには、車両は空荷であると仮定して制御を行う。
【００３８】
次に、エンジン出力制御装置３が有する、車両重量に応じたエンジンの出力制御について図４のフローチャートを用いて説明する。
【００３９】
まず、勾配補正値としてのαに０を入れる（Ｆ−１）。そして、傾斜検出装置３０から車両１００の傾斜値、つまり道路の勾配値と、かかる勾配を有する道路で車両１００を加速させたときの燃料消費量と、そのとき加速度検出装置３２で検出された加速度を入手する。そして、得られた勾配値からαを減算する（Ｆ−３）。最初の算出動作では、αは０であるので、傾斜検出装置３０から得られた勾配値はそのまま使用される。これら値に基づき、車両重量検出手段７が、車両１００の重量を算出する（Ｆ−４）。
【００４０】
次に、自車の車両重量が、車両重量検出手段７が算出した車両重量と等しい場合に生じる、車両の傾斜値、つまり勾配補正値を記憶部１１のテーブルから求める（Ｆ−５）。そして、αをその勾配補正値とする（Ｆ−６）。
【００４１】
勾配補正値に基づき、勾配値を補正する（Ｆ−７）。補正した勾配値と、上記加速度と、燃料消費量とから車両１００の重量を再度算出する（Ｆ−８）。算出された車両重量の値が利用可能かどうか判断する（Ｆ−９）。判断は、例えば、スタート直後であるかどうかや、大きくずれた数値が得られた場合とか、全く数値が算出されない場合などである。利用が可能でないと判断されたら、車両は空荷であると設定され（Ｆ−１２）、Ｆ−１１に入り、空荷状態としての変速制御が行われる。
【００４２】
一方、算出された車両重量の値が利用可能と判断された場合は、その値でエンジン出力が制御される。つまり自動変速機の変速段が新たに選択されたら（Ｆ−１０）、変速段の値と、算出された車両重量の値に応じた変速時の燃料供給量が決定される。（Ｆ−１１）
更に車両１００が走行を続け、道路の勾配値、加速度、燃料消費量が新たに得られた場合には、前回得られた上記αを用いて、Ｆ−３で道路の勾配値を補正し、補正した勾配値を用いて、車両重量を算出し（Ｆ−４）、上述したと同様の作業を行う。すると、勾配値に、前回の算出動作で得られた結果α（勾配補正値）が含まれているので、誤差がより小さくなり、車両１００の重量の値が所定値に早く収束される。
【００４３】
これによれば、車両１００の重量による誤差を含まない道路の勾配値が正確に得られるので、かかる勾配値を用いた的確なエンジン出力制御が行え、エンジンの空ふかしを生じさせることなく、車両重量に応じた適切な変速操作が実現される。これにより、車両１００は、運転者の疲労が少ない、安全な運転を実現できる。そして仮に車両重量の検出がなされない場合であっても、空荷用に燃料供給量が設定されるので、車両重量が考慮されない従来と同様の走行性能は十分に確保され、走行に支障は生じることはない。
【００４４】
尚、上記例では正確荷求めた勾配値を、ギア変速時の燃料供給量を制御するのに用いたが、本発明は、それに限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【００４５】
【図１】本発明にかかるな制御装置を用いた車両駆動装置の一実施形態を示す図。
【図２】エンジン出力制御装置の構成を示すブロック図。
【図３】エンジン出力制御装置を示すブロック図。
【図４】エンジン出力制御を示すフローチャート。
【図５】車両を示す図。
【符号の説明】
【００４６】
３…エンジン出力制御装置
４…勾配値補正手段
５…変速制御装置
６…エンジン
７…車両重量検出手段
８…変速機
９…演算部
１０…機械式自動クラッチ
１１…記憶部
１２…燃料噴射装置
１４…ギア切替ユニット
１６…クラッチ板
１８…押圧ばね
２０…アクチュエータ
２２…油圧装置
２４…駆動ユニット
２６…車速検出手段
２７…エンジン回転数検出手段
２８…クラッチ回転数検出手段
２９…ギア段設定手段
３０…傾斜検出装置
３２…加速度検出装置
５２…アクセルペダル検出手段
５４…シフトレバー検出手段
１００…車両
１０２…荷台
１０４…車両駆動装置
【特許請求の範囲】
【請求項１】
エンジンと変速機との間に機械式自動クラッチを具えた車両用のエンジン出力制御装置であり、
車両の傾斜を検出する傾斜検出手段と、
車両の加速度を検出する加速度検出手段と、
前記エンジンに燃料を供給する燃料供給手段と、
車両重量を検出する車両重量検出手段と、
前記変速機のギア段を設定するギア段設定手段と、
勾配値を補正する勾配値補正手段を具え、
前記車両重量検出手段は、前記傾斜検出手段が検出した車両の傾斜値を、該車両が走行している道路の勾配値とし、該勾配値と、該勾配値を有する道路において車両が加速した時の車両の加速度と、燃料消費量とから該車両の重量を算出し、
前記勾配値補正手段は、前記車両重量検出手段が検出した車両重量から前記道路に対する前記車両の傾斜状態を表す補正値を求め、前記傾斜検出手段から得られた道路の勾配値を、前記補正値に基づいて補正し、
該勾配値補正手段により補正された勾配値を用いて前記車両重量検出手段で再度車両重量を検出し、
前記再度検出した車両重量と、前記ギア段設定手段が設定した前記変速機のギア段に基づき燃料供給量を決定し、前記機械式自動クラッチを接続する際、該燃料を前記燃料供給手段から前記エンジンに供給してエンジン出力を制御することを特徴としたエンジン出力制御装置。
【請求項２】
前記車両重量検出手段で、車両重量が正常に検出されない場合は、前記車両を空車とみなしてエンジン出力を制御することとした請求項１に記載のエンジン出力制御装置。
【請求項１】
エンジンと変速機との間に機械式自動クラッチを具えた車両用のエンジン出力制御装置であり、
車両の傾斜を検出する傾斜検出手段と、
車両の加速度を検出する加速度検出手段と、
前記エンジンに燃料を供給する燃料供給手段と、
車両重量を検出する車両重量検出手段と、
前記変速機のギア段を設定するギア段設定手段と、
勾配値を補正する勾配値補正手段を具え、
前記車両重量検出手段は、前記傾斜検出手段が検出した車両の傾斜値を、該車両が走行している道路の勾配値とし、該勾配値と、該勾配値を有する道路において車両が加速した時の車両の加速度と、燃料消費量とから該車両の重量を算出し、
前記勾配値補正手段は、前記車両重量検出手段が検出した車両重量から前記道路に対する前記車両の傾斜状態を表す補正値を求め、前記傾斜検出手段から得られた道路の勾配値を、前記補正値に基づいて補正し、
該勾配値補正手段により補正された勾配値を用いて前記車両重量検出手段で再度車両重量を検出し、
前記再度検出した車両重量と、前記ギア段設定手段が設定した前記変速機のギア段に基づき燃料供給量を決定し、前記機械式自動クラッチを接続する際、該燃料を前記燃料供給手段から前記エンジンに供給してエンジン出力を制御することを特徴としたエンジン出力制御装置。
【請求項２】
前記車両重量検出手段で、車両重量が正常に検出されない場合は、前記車両を空車とみなしてエンジン出力を制御することとした請求項１に記載のエンジン出力制御装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００８−１２８００７（Ｐ２００８−１２８００７Ａ）
【公開日】平成２０年６月５日（２００８．６．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−３１０５５７（Ｐ２００６−３１０５５７）
【出願日】平成１８年１１月１６日（２００６．１１．１６）
【出願人】（３０３００２１５８）三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年６月５日（２００８．６．５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１１月１６日（２００６．１１．１６）
【出願人】（３０３００２１５８）三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Ｆターム（参考）】
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