エンジン用シリンダの製造方法、エンジン用シリンダの金型、及びエンジン用シリンダ
【課題】掃気通路の形状の自由度を高めることができるエンジン用シリンダを提供すること。
【解決手段】本発明のエンジン用シリンダ1では、シリンダ本体6と掃気カセット10a,10bとを各々備えてこれらの間に掃気通路を形成するため、掃気通路を成型するための金型を用意しこれを引き抜き離型して掃気通路を成型するという必要がなく、従って、掃気カセット10a,10bにおいて、シリンダ本体6との間で掃気通路を形成する部分の形状の制約を少なくでき、掃気通路の形状の自由度を高めることができる。
【解決手段】本発明のエンジン用シリンダ1では、シリンダ本体6と掃気カセット10a,10bとを各々備えてこれらの間に掃気通路を形成するため、掃気通路を成型するための金型を用意しこれを引き抜き離型して掃気通路を成型するという必要がなく、従って、掃気カセット10a,10bにおいて、シリンダ本体6との間で掃気通路を形成する部分の形状の制約を少なくでき、掃気通路の形状の自由度を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン用シリンダの製造方法、エンジン用シリンダの金型、及びエンジン用シリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空冷2サイクルエンジンは、ピストンが挿入されるシリンダボアとその上部に位置する燃焼室とを有しており、このシリンダボアには、吸気口及び排気口が向かい合うように形成されている。また、吸気口及び排気口と約90°ずれた位置に、対向する掃気口が設けられ、この掃気口に接続されて燃料を含む混合気を流入させるための掃気通路が形成されている。
【0003】
以下の特許文献1に記載されている製造方法では、シリンダボアにおける相対的な位置ずれを生じることなく吸気口、排気口、及び掃気口を形成するため、予めシリンダライナに吸気口、排気口、及び掃気口を形成しておき、このシリンダライナをボア中子金型にセットし、その外周側にシリンダ本体部を鋳込みその後ボア中子金型を引き抜き離型することにより、掃気口につながる掃気通路を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−16399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような2サイクルエンジンでは、混合気を掃気口を通じて燃焼室に流入させると同時に燃焼室に残留する排ガスを排気口より排気するため、排気ガス中への混合気の混入は構造上避けられない。そのため、掃気通路及び掃気口を複雑な形状とし排気ガス中への混合気の混入を抑制する必要がある。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された製造方法では、ボア中子金型の引き抜き離型を可能とするため、形成し得る掃気通路の形状には制約があった。よって、掃気通路の形状の自由度を高めることは難しかった。
【0007】
そこで本発明は、掃気通路の形状の自由度を高めることができるエンジン用シリンダの製造方法、エンジン用シリンダの金型、及びエンジン用シリンダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエンジン用シリンダの製造方法は、ピストン(2)が挿入される円筒形状のボア部(3)と、ボア部(3)内に連通しピストン(2)により開閉される掃気口(19a,19b)と、掃気口(19a,19b)につながる掃気通路(26a,26b)とを有するエンジン用シリンダ(1)の製造方法であって、ボア部(3)を有するシリンダ本体部(6)を成型するシリンダ本体部成型工程(S1)と、シリンダ本体部(6)に連結されてシリンダ本体部(6)との間に掃気通路(26a,26b)を形成する掃気形成部(10a,10b)を成型する掃気形成部成型工程(S2)と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るエンジン用シリンダの製造方法によれば、シリンダ本体部(6)を成型するシリンダ本体部成型工程(S1)と、掃気形成部(10a,10b)を成型する掃気形成部成型工程(S2)とは別の工程とされているため、掃気形成部(10a,10b)は、シリンダ本体部(6)とは別に成型される。よって、掃気通路を成型するための金型を用意しこれを引き抜き離型して掃気通路を成型するという必要がなく、従って、掃気形成部(10a,10b)において、シリンダ本体部(6)との間で掃気通路(26a,26b)を形成する部分の形状の制約を少なくすることができ、掃気通路(26a,26b)の形状の自由度を高めることができる。
【0010】
また、シリンダ本体部(6)には、掃気形成部(10a,10b)に対するシリンダ本体部(6)の接合面(12a,12b)を除く位置に冷却フィン(4)が設けられており、シリンダ本体部成型工程(S1)において、接合面(12a,12b)は、冷却フィン(4)を成型するための多層の冷却フィン成型用金型(43a,43b)とは別体とされた掃気接合面成型用金型(44a,44b)により成型されることが好ましい。
【0011】
上記の製造方法によれば、掃気形成部(10a,10b)に対するシリンダ本体部(6)の接合面(12a,12b)は、多層の冷却フィン成型用金型(43a,43b)とは別体の掃気接合面成型用金型(44a,44b)により成型されるため、冷却フィン(4)を成型するための多層の金型により接合面(12a,12b)をも成型した場合にできる型同士間の線状の痕跡が接合面(12a,12b)に残ることを防止でき、痕跡を削るような加工を必要とせずに平面状の接合面(12a,12b)を形成できる。
【0012】
本発明に係るエンジン用シリンダの金型は、ピストン(2)が挿入される円筒形状のボア部(3)と、ボア部(3)内に連通しピストン(2)により開閉される掃気口(19a,19b)と、掃気口(19a,19b)につながる掃気通路(26a,26b)とを有するエンジン用シリンダ(1)の金型であって、ボア部(3)を有するシリンダ本体部(6)を成型するためのシリンダ本体部成型用金型(40)と、シリンダ本体部(6)に連結されてシリンダ本体部(6)との間に掃気通路(26a,26b)を形成する掃気形成部(10a,10b)を成型するための掃気形成部成型用金型と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るエンジン用シリンダの金型によれば、シリンダ本体部(6)を成型するためのシリンダ本体部成型用金型(40)と、掃気形成部(10a,10b)を成型するための掃気形成部成型用金型(50)とを備えるため、掃気形成部(10a,10b)は、シリンダ本体部(6)とは別に成型される。よって、掃気通路を成型するための金型を用意しこれを引き抜き離型して掃気通路を成型するという必要がなく、従って、掃気形成部(10a,10b)において、シリンダ本体部(6)との間で掃気通路(26a,26b)を形成する部分の形状の制約を少なくすることができ、掃気通路(26a,26b)の形状の自由度を高めることができる。
【0014】
また、シリンダ本体部成型用金型(40)は、掃気形成部(10a,10b)に対するシリンダ本体部(6)の接合面(12a,12b)を除く位置に設けられる冷却フィン(4)を成型するための多層の冷却フィン成型用金型(43a,43b)と、接合面(12a,12b)を成型するための掃気接合面成型用金型(44a,44b)と、を有することが好ましい。
【0015】
上記の金型によれば、掃気形成部(10a,10b)に対するシリンダ本体部(6)の接合面(12a,12b)は、多層の冷却フィン成型用金型(43a,43b)とは別体の掃気接合面成型用金型(44a,44b)により成型されるため、冷却フィン(4)を成型するための多層の金型により接合面(12a,12b)をも成型した場合にできる型同士間の線状の痕跡が接合面(12a,12b)に残ることを防止でき、痕跡を削るような加工を必要とせずに平面状の接合面(12a,12b)を形成できる。
【0016】
また、冷却フィン成型用金型(43a,43b)は、離型の際に掃気接合面成型用金型(44a,44b)とは干渉しない形状とされていると、冷却フィン(4)及び接合面(12a,12b)の成型及び離型が確実且つ容易となる。
【0017】
また、上記作用を効果的に奏する構成としては、冷却フィン成型用金型(43a,43b)は、掃気接合面成型用金型(44a,44b)を外側から覆うように配置される構成が挙げられる。
【0018】
本発明に係るエンジン用シリンダは、ピストン(2)が挿入される円筒形状のボア部(3)と、ボア部(3)内に連通しピストン(2)により開閉される掃気口(19a,19b)と、掃気口(19a,19b)につながる掃気通路(26a,26b)とを有するエンジン用シリンダ(1)であって、ボア部(3)を有するシリンダ本体部(6)と、シリンダ本体部(6)に連結されてシリンダ本体部(6)との間に掃気通路(26a,26b)を形成する掃気形成部(10a,10b)と、を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るエンジン用シリンダによれば、シリンダ本体部(6)と掃気形成部(10a,10b)とを各々備え、これらの間に掃気通路(26a,26b)が形成される。よって、掃気通路を成型するための金型を用意しこれを引き抜き離型して掃気通路を成型するという必要がなく、従って、掃気形成部(10a,10b)において、シリンダ本体部(6)との間で掃気通路(26a,26b)を形成する部分の形状の制約を少なくすることができ、掃気通路(26a,26b)の形状の自由度を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、掃気通路の形状の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る空冷2サイクルエンジン用シリンダを示す斜視図である。
【図2】図1の空冷2サイクルエンジン用シリンダを排気口側から見た分解斜視図である。
【図3】図1の空冷2サイクルエンジン用シリンダを吸気口側から見た分解斜視図である。
【図4】図1中のシリンダ本体部を示す正面図である。
【図5】図1の空冷2サイクルエンジン用シリンダの吸気口及び排気口を含む位置の縦断面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】掃気カセットを示す正面図、左側面図、及び背面図である。
【図10】図1の空冷2サイクルエンジン用シリンダの製造に用いられる金型の断面図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿った断面図である。
【図12】図1の空冷2サイクルエンジン用シリンダの製造方法を示すフローチャートである。
【図13】図10中の掃気接合面成型用金型を用いずに多層の冷却フィン成型用金型により接合面をも成型した場合の問題点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
(空冷2サイクルエンジン用シリンダ)
図1は、本実施形態に係る空冷2サイクルエンジン用シリンダ(以下、単に「エンジン用シリンダ」という)を示す斜視図、図2は、図1のエンジン用シリンダを排気口側から見た分解斜視図、図3は、図1のエンジン用シリンダを吸気口側から見た分解斜視図、図4は、図1中のシリンダ本体部を示す正面図である。
【0024】
図1〜図3に示すエンジン用シリンダ1は、例えば排ガスエミッション低減型の空冷2サイクルエンジンに適用されるシリンダであって、図1に仮想線で示す円柱形状のピストン2が摺動可能に挿入される円筒形状のシリンダボア(ボア部)3と、シリンダボア3を形成する略円筒形状の胴部の外側面からシリンダボア3の半径方向外方に向けて延出し上下方向に互いに離間して並設される複数の冷却フィン4と、を有するシリンダ本体(シリンダ本体部)6を備えている。なお、本実施形態の説明において、エンジン用シリンダ1についての「上下」は、ピストン2が挿入される開口部を下側にしてシリンダボア3の軸線が鉛直方向に沿うようにシリンダ本体6を立てた場合を基準とする。
【0025】
ピストン2は、シリンダ本体6の下部に設けられるクランクケース内のクランク軸(いずれも図示せず)に連結されてシリンダボア3内を往復動可能に配置されている。また、シリンダ本体6には、ピストン2の上昇に伴い外部から混合気を導入し、シリンダボア3内を通してクランクケース内へ流れ方向Aに沿って流入させるための吸気口7と、シリンダボア3の上方に形成された燃焼室16(図5参照)で燃焼した排気ガスを、ピストン2の下降に伴い流れ方向Cに沿って排出するための排気口8とが、シリンダボア3を挟んで180°ずれた位置に形成されている。吸気口7が形成される位置は、排気口8が形成される位置よりも低くされている(図4参照)。
【0026】
更に、エンジン用シリンダ1は、シリンダ本体6の吸気口7及び排気口8とは90°ずれた位置に対向するように連結された、第1掃気カセット(掃気形成部)10a及び第2掃気カセット(掃気形成部)10bを備えている。これらの第1掃気カセット10a及び第2掃気カセット10b(以下、単に「掃気カセット10a,10b」ともいう)は、それらの裏面側(内側)に形成された内側突出部13a,13bが、当該内側突出部13a,13bの外形形状に対応した凹状を成すようにシリンダ本体6側に形成されたカセット嵌入部11a,11bに各々嵌入され、ボルト(図示せず)等の締結によりシリンダ本体6に取り付けられている。
【0027】
図2〜図4に示すように、シリンダ本体6における掃気カセット10a,10bの取り付け位置には、掃気カセット10a,10bの裏面側で内側突出部13a,13bの周囲に形成された接合面15a,15bに対するシール面となる長方形環状の接合面12a,12bが各々形成されており、冷却フィン4は、各接合面12a,12bを除く位置に設けられている。また、各接合面12a,12bは、金型を用いた後述の成型方法により、機械加工を要することなく形成されている。
【0028】
なお、第1掃気カセット10aの正面側には、当該第1掃気カセット10aがシリンダ本体6に取り付けられた状態で冷却フィン4に連続する形状の冷却フィン14が設けられている。
【0029】
図5は、エンジン用シリンダの吸気口及び排気口を含む位置の縦断面図、図6は、図5のVI−VI線に沿った断面図、図7は、図6のVII−VII線に沿った断面図、図8は、図6のVIII−VIII線に沿った断面図である。更に、図9(a)は、掃気カセットの正面図、図9(b)は、掃気カセットの左側面図、図9(c)は、掃気カセットの背面図である。
【0030】
図5〜図8に示すように、本実施形態のエンジン用シリンダ1にあっては、掃気カセット10a,10bの各々は、シリンダ本体6との間において、シリンダボア3内に連通しピストン2により開閉される第1掃気口19a及び第2掃気口19b(以下、単に「掃気口19a,19b」ともいう)と、各掃気口19a,19bにつながる第1掃気通路26a及び第2掃気通路26b(以下、単に「掃気通路26a,26b」ともいう)とを形成している。
【0031】
これらの掃気通路26a,26bは、流れ方向Aに沿ってクランクケース内へ流入した混合気を、ピストン2の下降に伴い掃気口19a,19bからシリンダボア3内に流入させ、流れ方向B(B1〜B4)に沿って燃焼室16へ導入するための流路である。より具体的には、掃気口19a,19bは、シリンダボア3の上下方向略中央の位置に形成された開口部であり、各掃気通路26a,26bは、シリンダボア3内の空間と、シリンダ本体6の下面でピストン2(図1参照)の半径方向外方に設けられた開口90(図3参照)とを連通するようにして、吸気口7及び排気口8の軸線を含む平面に対して対象に形成された流路である。
【0032】
ここで、第1掃気口19aは、シリンダボア3の軸線よりも吸気口7寄りに形成された掃気口17aと、掃気口17aよりも排気口8側に形成された掃気口18aとにより構成され、第1掃気通路26aは、掃気口17aにつながる掃気通路23aと、掃気口18aにつながる掃気通路24aとにより構成されている。これらの掃気口17a,18aは各々四角形状を成し、また、掃気通路23a,24aは、各々断面四角形状を成し、下方から上方に向けていずれも吸気口7側に傾斜するように湾曲しながら延びている。よって、シリンダボア3内に流入する混合気は、シリンダボア3内の排気口8から遠ざかる方向に向けて流入する構成とされている(流れ方向B1,B2参照)。
【0033】
これと同様、第2掃気口19bは、シリンダボア3の軸線よりも吸気口7寄りに形成された掃気口17bと、掃気口17bよりも排気口8側に形成された掃気口18bとにより構成され、第2掃気通路26bは、掃気口17bにつながる掃気通路23bと、掃気口18bにつながる掃気通路24bとにより構成されている。これらの掃気口17b,18bは各々四角形状を成し、また、掃気通路23b,24bは、各々断面四角形状を成し、下方から上方に向けていずれも吸気口7側に傾斜するように湾曲しながら延びている。よって、シリンダボア3内に流入する混合気は、シリンダボア3内の排気口8から遠ざかる方向に向けて流入する構成とされている(流れ方向B3,B4参照)。
【0034】
掃気通路に関しては、第1掃気カセット10aにより形成される掃気通路23a,24aを例として、図7〜図9を参照しながらより詳しく説明すると、第1掃気カセット10aの内側突出部13aの背面側には、掃気通路23a,24aの外側部分を構成する断面略U字状の掃気通路形成凹部21a,22aが形成されている。また、掃気通路形成凹部21a,22aに対応するシリンダ本体6側の位置には、掃気通路23a,24aの内側部分を構成する掃気通路形成部27a,28aが形成されている。
【0035】
そして、シリンダ本体6に対して掃気カセット10aを連結することにより、掃気口17a,18aが形成されると共に、掃気通路形成凹部21aと掃気通路形成部27aとにより掃気通路23aが、掃気通路形成凹部22aと掃気通路形成部28aとにより掃気通路24aがそれぞれ形成される。同様にして、シリンダ本体6に対して掃気カセット10bを連結することにより、掃気口17b,18bが形成されると共に、掃気通路形成凹部21b(図3参照)と掃気通路形成部(図示せず)とにより掃気通路23bが、掃気通路形成凹部22b(図3参照)と掃気通路形成部(図示せず)とにより掃気通路24bがそれぞれ形成される。
【0036】
なお、掃気通路23a,23bは、掃気通路24a,24bよりも流路が長く、且つ、流路の中心線の曲率が大きくなっている(図7、図8の流れ方向B1,B2参照)。
【0037】
(エンジン用シリンダの金型)
図10は、エンジン用シリンダの製造に用いられる金型の断面図、図11は、図10のXI−XI線に沿った断面図である。エンジン用シリンダ1の金型は、シリンダ本体6を成型するための図10及び図11に示す金型(シリンダ本体部成型用金型)40と、掃気カセット10a,10bを成型するための掃気カセット金型(掃気形成部成型用金型)(図示せず)とを備えている。なお、以下の説明において、金型についての「上下」は、エンジン用シリンダ1の説明における「上下」とは逆方向に相当するものとする。
【0038】
金型40は、シリンダボア3を成型するためのボア用金型41と、冷却フィン4を成型するための上下多層のフィン用積層型(冷却フィン成型用金型)43a,43bと、フィン用積層型43a,43bとは別体とされ、接合面12a,12bを成型するための掃気接合面成型用金型44a,44bと、ボア用金型41、フィン用積層型43a,43b、及び掃気接合面成型用金型44a,44bを外側及び上側から覆う上側金型46a,46bと、多層のフィン用積層型43a,43bを載置すると共にシリンダヘッドの端部を成型する下側金型47と、吸気口7を成型するための吸気口用金型48と、排気口8を成型するための排気口用金型49とを有している。
【0039】
そして、フィン用積層型43a,43b、掃気接合面成型用金型44a,44b、及び上側金型46a,46bは、成型されるシリンダボア3、吸気口7、及び排気口8の軸線を含む平面に対して離間する方向に型割可能な構造とされている。
【0040】
ボア用金型41は、シリンダボア3及び燃焼室16に対応する略円柱形状の部分と、掃気通路形成部27a,28a(図7、図8参照)に対応する部分とを有している。
【0041】
多層のフィン用積層型43a,43bは、型同士の積層面が冷却フィン4の先端部の位置に対応するように配置され、且つ、掃気接合面成型用金型44a,44bの下部を外側から覆うように配置されており、離型の際に掃気接合面成型用金型44a,44bとは干渉しない形状とされている。すなわち、フィン用積層型43a,43bの内側には、掃気接合面成型用金型44a,44bの外形に等しい略直方体形状の凹部が形成され、その凹部内に掃気接合面成型用金型44a,44bが収容されている。
【0042】
掃気接合面成型用金型44a,44bは、カセット嵌入部11a,11bに対応する部分と、接合面12a,12bに対応する部分と、掃気通路形成部27a,28a(図7、図8参照)に対応する部分とを有している。
【0043】
そして、金型40は、上記の各金型が隙間なく重ね合わされて、その内面によりシリンダ本体6の外形を形成し、また、掃気カセット金型は、その内面により掃気カセット10a,10bの外形を形成している。
【0044】
(エンジン用シリンダの製造方法)
図12は、エンジン用シリンダの製造方法を示すフローチャートである。前述したエンジン用シリンダ1は、上記の金型40及び掃気カセット金型によって、図12に示す製造手順に従って製造される。
【0045】
まず、図10及び図11に示した状態において、ゲート(図示せず)を通して、例えばアルミ等の金属を金型40の内面側に射出充填し、固化後、吸気口用金型48及び排気口用金型49を離型し、上側金型46a,46b、フィン用積層型43a,43b、及び掃気接合面成型用金型44a,44bを水平方向に離型し、更にボア用金型41を上方に引き抜き離型し、成型されたシリンダ本体6を下側金型47から離型することにより、シリンダ本体6を得る(S1)。
【0046】
次に、掃気カセット金型の内面側にも、ゲートを通してアルミ等の金属を射出充填し、固化後、掃気カセット金型を型割により離型することにより、掃気カセット10a,10bを得る(S2)。
【0047】
そして、図1〜図3に示したようにシリンダ本体6に対して掃気カセット10a,10bを取り付けることにより、エンジン用シリンダ1が製造される(S3)。
【0048】
以上説明した本実施形態のエンジン用シリンダ1によれば、シリンダ本体6と掃気カセット10a,10bとを各々備え、これらの間に掃気通路26a,26bが形成されるため、掃気通路を成型するための金型を用意しこれを引き抜き離型して掃気通路を成型するという必要がなく、掃気カセット10a,10bにおいて、シリンダ本体6との間で掃気通路26a,26bを形成する部分の形状の制約を少なくすることができ、掃気通路26a,26bの形状の自由度を高めることができる。
【0049】
また、本実施形態のエンジン用シリンダ1の金型によれば、シリンダ本体6を成型するための金型40と、掃気カセット10a,10bを成型するための掃気カセット金型とを備えるため、掃気カセット10a,10bは、シリンダ本体6とは別に成型され、よって、掃気通路を成型するための金型を用意しこれを引き抜き離型して掃気通路を成型するという必要がなく、掃気カセット10a,10bにおいて、シリンダ本体6との間で掃気通路26a,26bを形成する部分の形状の制約を少なくすることができ、掃気通路26a,26bの形状の自由度を高めることができる。
【0050】
また、掃気カセット10a,10bに対するシリンダ本体6の接合面12a,12bは、多層のフィン用積層型43a,43bとは別体の掃気接合面成型用金型44a,44bにより成型されるため、冷却フィン4を成型するための多層の金型により接合面12a,12bをも同時に成型した場合にできる積層型同士間の線状の痕跡T(図13に示すシリンダ本体36参照)が接合面12a,12bに残ることを防止でき、痕跡Tを削るような加工を必要とせずに平面状の接合面12a,12bを形成できる。
【0051】
また、フィン用積層型43a,43bは、離型の際に掃気接合面成型用金型44a,44bとは干渉しない形状とされているため、冷却フィン4及び接合面12a,12bの成型及び離型が確実且つ容易となる。
【0052】
また、本実施形態のエンジン用シリンダ1の製造方法によれば、シリンダ本体6を成型するシリンダ本体部成型工程S1と、掃気カセット10a,10bを成型する掃気形成部成型工程S2とは別の工程とされているため、掃気カセット10a,10bは、シリンダ本体6とは別に成型され、よって、掃気通路を成型するための金型を用意しこれを引き抜き離型して掃気通路を成型するという必要がなく、掃気カセット10a,10bにおいて、シリンダ本体6との間で掃気通路26a,26bを形成する部分の形状の制約を少なくすることができ、掃気通路26a,26bの形状の自由度を高めることができる。
【0053】
また、エンジン用シリンダ1は、多層のフィン用積層型43a,43bを用いて成型されるため、一層の金型を用いた場合にエンジン用シリンダ1が金型にかじったり冷却フィン4の先端が折れたりして離型が困難となるようなリスクを低減でき、空冷2サイクルエンジン用シリンダ1のような大きな冷却フィン4を有する鋳造品の成型が好適に実現できる。
【0054】
更にまた、上記したようにシリンダ本体6と掃気カセット10a,10bとの接合面12a,12bを鋳造にて成型することができるため、機械加工が不要となり、加工コストを省くことができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、掃気口19a,19bは、掃気カセット10a,10bとシリンダ本体6とにより形成される場合について説明したが、シリンダ本体6のシリンダボア3に掃気口19a,19bに相当する開口部が設けられていてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、各掃気通路26a,26bは断面四角形状の流路である場合について説明したが、例えば断面円形状、楕円形状であってもよく、四角以外の多角形状であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…空冷2サイクルエンジン用シリンダ、2…ピストン、3…シリンダボア(ボア部)、4…冷却フィン、6…シリンダ本体(シリンダ本体部)、10a…第1掃気カセット(掃気形成部)、10b…第2掃気カセット(掃気形成部)、12a,12b…接合面、19a…第1掃気口、19b…第2掃気口、26a…第1掃気通路、26b…第2掃気通路、40…金型(シリンダ本体部成型用金型)、43a,43b…フィン用積層型(冷却フィン成型用金型)、44a,44b…掃気接合面成型用金型。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン用シリンダの製造方法、エンジン用シリンダの金型、及びエンジン用シリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空冷2サイクルエンジンは、ピストンが挿入されるシリンダボアとその上部に位置する燃焼室とを有しており、このシリンダボアには、吸気口及び排気口が向かい合うように形成されている。また、吸気口及び排気口と約90°ずれた位置に、対向する掃気口が設けられ、この掃気口に接続されて燃料を含む混合気を流入させるための掃気通路が形成されている。
【0003】
以下の特許文献1に記載されている製造方法では、シリンダボアにおける相対的な位置ずれを生じることなく吸気口、排気口、及び掃気口を形成するため、予めシリンダライナに吸気口、排気口、及び掃気口を形成しておき、このシリンダライナをボア中子金型にセットし、その外周側にシリンダ本体部を鋳込みその後ボア中子金型を引き抜き離型することにより、掃気口につながる掃気通路を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−16399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような2サイクルエンジンでは、混合気を掃気口を通じて燃焼室に流入させると同時に燃焼室に残留する排ガスを排気口より排気するため、排気ガス中への混合気の混入は構造上避けられない。そのため、掃気通路及び掃気口を複雑な形状とし排気ガス中への混合気の混入を抑制する必要がある。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された製造方法では、ボア中子金型の引き抜き離型を可能とするため、形成し得る掃気通路の形状には制約があった。よって、掃気通路の形状の自由度を高めることは難しかった。
【0007】
そこで本発明は、掃気通路の形状の自由度を高めることができるエンジン用シリンダの製造方法、エンジン用シリンダの金型、及びエンジン用シリンダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエンジン用シリンダの製造方法は、ピストン(2)が挿入される円筒形状のボア部(3)と、ボア部(3)内に連通しピストン(2)により開閉される掃気口(19a,19b)と、掃気口(19a,19b)につながる掃気通路(26a,26b)とを有するエンジン用シリンダ(1)の製造方法であって、ボア部(3)を有するシリンダ本体部(6)を成型するシリンダ本体部成型工程(S1)と、シリンダ本体部(6)に連結されてシリンダ本体部(6)との間に掃気通路(26a,26b)を形成する掃気形成部(10a,10b)を成型する掃気形成部成型工程(S2)と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るエンジン用シリンダの製造方法によれば、シリンダ本体部(6)を成型するシリンダ本体部成型工程(S1)と、掃気形成部(10a,10b)を成型する掃気形成部成型工程(S2)とは別の工程とされているため、掃気形成部(10a,10b)は、シリンダ本体部(6)とは別に成型される。よって、掃気通路を成型するための金型を用意しこれを引き抜き離型して掃気通路を成型するという必要がなく、従って、掃気形成部(10a,10b)において、シリンダ本体部(6)との間で掃気通路(26a,26b)を形成する部分の形状の制約を少なくすることができ、掃気通路(26a,26b)の形状の自由度を高めることができる。
【0010】
また、シリンダ本体部(6)には、掃気形成部(10a,10b)に対するシリンダ本体部(6)の接合面(12a,12b)を除く位置に冷却フィン(4)が設けられており、シリンダ本体部成型工程(S1)において、接合面(12a,12b)は、冷却フィン(4)を成型するための多層の冷却フィン成型用金型(43a,43b)とは別体とされた掃気接合面成型用金型(44a,44b)により成型されることが好ましい。
【0011】
上記の製造方法によれば、掃気形成部(10a,10b)に対するシリンダ本体部(6)の接合面(12a,12b)は、多層の冷却フィン成型用金型(43a,43b)とは別体の掃気接合面成型用金型(44a,44b)により成型されるため、冷却フィン(4)を成型するための多層の金型により接合面(12a,12b)をも成型した場合にできる型同士間の線状の痕跡が接合面(12a,12b)に残ることを防止でき、痕跡を削るような加工を必要とせずに平面状の接合面(12a,12b)を形成できる。
【0012】
本発明に係るエンジン用シリンダの金型は、ピストン(2)が挿入される円筒形状のボア部(3)と、ボア部(3)内に連通しピストン(2)により開閉される掃気口(19a,19b)と、掃気口(19a,19b)につながる掃気通路(26a,26b)とを有するエンジン用シリンダ(1)の金型であって、ボア部(3)を有するシリンダ本体部(6)を成型するためのシリンダ本体部成型用金型(40)と、シリンダ本体部(6)に連結されてシリンダ本体部(6)との間に掃気通路(26a,26b)を形成する掃気形成部(10a,10b)を成型するための掃気形成部成型用金型と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るエンジン用シリンダの金型によれば、シリンダ本体部(6)を成型するためのシリンダ本体部成型用金型(40)と、掃気形成部(10a,10b)を成型するための掃気形成部成型用金型(50)とを備えるため、掃気形成部(10a,10b)は、シリンダ本体部(6)とは別に成型される。よって、掃気通路を成型するための金型を用意しこれを引き抜き離型して掃気通路を成型するという必要がなく、従って、掃気形成部(10a,10b)において、シリンダ本体部(6)との間で掃気通路(26a,26b)を形成する部分の形状の制約を少なくすることができ、掃気通路(26a,26b)の形状の自由度を高めることができる。
【0014】
また、シリンダ本体部成型用金型(40)は、掃気形成部(10a,10b)に対するシリンダ本体部(6)の接合面(12a,12b)を除く位置に設けられる冷却フィン(4)を成型するための多層の冷却フィン成型用金型(43a,43b)と、接合面(12a,12b)を成型するための掃気接合面成型用金型(44a,44b)と、を有することが好ましい。
【0015】
上記の金型によれば、掃気形成部(10a,10b)に対するシリンダ本体部(6)の接合面(12a,12b)は、多層の冷却フィン成型用金型(43a,43b)とは別体の掃気接合面成型用金型(44a,44b)により成型されるため、冷却フィン(4)を成型するための多層の金型により接合面(12a,12b)をも成型した場合にできる型同士間の線状の痕跡が接合面(12a,12b)に残ることを防止でき、痕跡を削るような加工を必要とせずに平面状の接合面(12a,12b)を形成できる。
【0016】
また、冷却フィン成型用金型(43a,43b)は、離型の際に掃気接合面成型用金型(44a,44b)とは干渉しない形状とされていると、冷却フィン(4)及び接合面(12a,12b)の成型及び離型が確実且つ容易となる。
【0017】
また、上記作用を効果的に奏する構成としては、冷却フィン成型用金型(43a,43b)は、掃気接合面成型用金型(44a,44b)を外側から覆うように配置される構成が挙げられる。
【0018】
本発明に係るエンジン用シリンダは、ピストン(2)が挿入される円筒形状のボア部(3)と、ボア部(3)内に連通しピストン(2)により開閉される掃気口(19a,19b)と、掃気口(19a,19b)につながる掃気通路(26a,26b)とを有するエンジン用シリンダ(1)であって、ボア部(3)を有するシリンダ本体部(6)と、シリンダ本体部(6)に連結されてシリンダ本体部(6)との間に掃気通路(26a,26b)を形成する掃気形成部(10a,10b)と、を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るエンジン用シリンダによれば、シリンダ本体部(6)と掃気形成部(10a,10b)とを各々備え、これらの間に掃気通路(26a,26b)が形成される。よって、掃気通路を成型するための金型を用意しこれを引き抜き離型して掃気通路を成型するという必要がなく、従って、掃気形成部(10a,10b)において、シリンダ本体部(6)との間で掃気通路(26a,26b)を形成する部分の形状の制約を少なくすることができ、掃気通路(26a,26b)の形状の自由度を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、掃気通路の形状の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る空冷2サイクルエンジン用シリンダを示す斜視図である。
【図2】図1の空冷2サイクルエンジン用シリンダを排気口側から見た分解斜視図である。
【図3】図1の空冷2サイクルエンジン用シリンダを吸気口側から見た分解斜視図である。
【図4】図1中のシリンダ本体部を示す正面図である。
【図5】図1の空冷2サイクルエンジン用シリンダの吸気口及び排気口を含む位置の縦断面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】掃気カセットを示す正面図、左側面図、及び背面図である。
【図10】図1の空冷2サイクルエンジン用シリンダの製造に用いられる金型の断面図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿った断面図である。
【図12】図1の空冷2サイクルエンジン用シリンダの製造方法を示すフローチャートである。
【図13】図10中の掃気接合面成型用金型を用いずに多層の冷却フィン成型用金型により接合面をも成型した場合の問題点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
(空冷2サイクルエンジン用シリンダ)
図1は、本実施形態に係る空冷2サイクルエンジン用シリンダ(以下、単に「エンジン用シリンダ」という)を示す斜視図、図2は、図1のエンジン用シリンダを排気口側から見た分解斜視図、図3は、図1のエンジン用シリンダを吸気口側から見た分解斜視図、図4は、図1中のシリンダ本体部を示す正面図である。
【0024】
図1〜図3に示すエンジン用シリンダ1は、例えば排ガスエミッション低減型の空冷2サイクルエンジンに適用されるシリンダであって、図1に仮想線で示す円柱形状のピストン2が摺動可能に挿入される円筒形状のシリンダボア(ボア部)3と、シリンダボア3を形成する略円筒形状の胴部の外側面からシリンダボア3の半径方向外方に向けて延出し上下方向に互いに離間して並設される複数の冷却フィン4と、を有するシリンダ本体(シリンダ本体部)6を備えている。なお、本実施形態の説明において、エンジン用シリンダ1についての「上下」は、ピストン2が挿入される開口部を下側にしてシリンダボア3の軸線が鉛直方向に沿うようにシリンダ本体6を立てた場合を基準とする。
【0025】
ピストン2は、シリンダ本体6の下部に設けられるクランクケース内のクランク軸(いずれも図示せず)に連結されてシリンダボア3内を往復動可能に配置されている。また、シリンダ本体6には、ピストン2の上昇に伴い外部から混合気を導入し、シリンダボア3内を通してクランクケース内へ流れ方向Aに沿って流入させるための吸気口7と、シリンダボア3の上方に形成された燃焼室16(図5参照)で燃焼した排気ガスを、ピストン2の下降に伴い流れ方向Cに沿って排出するための排気口8とが、シリンダボア3を挟んで180°ずれた位置に形成されている。吸気口7が形成される位置は、排気口8が形成される位置よりも低くされている(図4参照)。
【0026】
更に、エンジン用シリンダ1は、シリンダ本体6の吸気口7及び排気口8とは90°ずれた位置に対向するように連結された、第1掃気カセット(掃気形成部)10a及び第2掃気カセット(掃気形成部)10bを備えている。これらの第1掃気カセット10a及び第2掃気カセット10b(以下、単に「掃気カセット10a,10b」ともいう)は、それらの裏面側(内側)に形成された内側突出部13a,13bが、当該内側突出部13a,13bの外形形状に対応した凹状を成すようにシリンダ本体6側に形成されたカセット嵌入部11a,11bに各々嵌入され、ボルト(図示せず)等の締結によりシリンダ本体6に取り付けられている。
【0027】
図2〜図4に示すように、シリンダ本体6における掃気カセット10a,10bの取り付け位置には、掃気カセット10a,10bの裏面側で内側突出部13a,13bの周囲に形成された接合面15a,15bに対するシール面となる長方形環状の接合面12a,12bが各々形成されており、冷却フィン4は、各接合面12a,12bを除く位置に設けられている。また、各接合面12a,12bは、金型を用いた後述の成型方法により、機械加工を要することなく形成されている。
【0028】
なお、第1掃気カセット10aの正面側には、当該第1掃気カセット10aがシリンダ本体6に取り付けられた状態で冷却フィン4に連続する形状の冷却フィン14が設けられている。
【0029】
図5は、エンジン用シリンダの吸気口及び排気口を含む位置の縦断面図、図6は、図5のVI−VI線に沿った断面図、図7は、図6のVII−VII線に沿った断面図、図8は、図6のVIII−VIII線に沿った断面図である。更に、図9(a)は、掃気カセットの正面図、図9(b)は、掃気カセットの左側面図、図9(c)は、掃気カセットの背面図である。
【0030】
図5〜図8に示すように、本実施形態のエンジン用シリンダ1にあっては、掃気カセット10a,10bの各々は、シリンダ本体6との間において、シリンダボア3内に連通しピストン2により開閉される第1掃気口19a及び第2掃気口19b(以下、単に「掃気口19a,19b」ともいう)と、各掃気口19a,19bにつながる第1掃気通路26a及び第2掃気通路26b(以下、単に「掃気通路26a,26b」ともいう)とを形成している。
【0031】
これらの掃気通路26a,26bは、流れ方向Aに沿ってクランクケース内へ流入した混合気を、ピストン2の下降に伴い掃気口19a,19bからシリンダボア3内に流入させ、流れ方向B(B1〜B4)に沿って燃焼室16へ導入するための流路である。より具体的には、掃気口19a,19bは、シリンダボア3の上下方向略中央の位置に形成された開口部であり、各掃気通路26a,26bは、シリンダボア3内の空間と、シリンダ本体6の下面でピストン2(図1参照)の半径方向外方に設けられた開口90(図3参照)とを連通するようにして、吸気口7及び排気口8の軸線を含む平面に対して対象に形成された流路である。
【0032】
ここで、第1掃気口19aは、シリンダボア3の軸線よりも吸気口7寄りに形成された掃気口17aと、掃気口17aよりも排気口8側に形成された掃気口18aとにより構成され、第1掃気通路26aは、掃気口17aにつながる掃気通路23aと、掃気口18aにつながる掃気通路24aとにより構成されている。これらの掃気口17a,18aは各々四角形状を成し、また、掃気通路23a,24aは、各々断面四角形状を成し、下方から上方に向けていずれも吸気口7側に傾斜するように湾曲しながら延びている。よって、シリンダボア3内に流入する混合気は、シリンダボア3内の排気口8から遠ざかる方向に向けて流入する構成とされている(流れ方向B1,B2参照)。
【0033】
これと同様、第2掃気口19bは、シリンダボア3の軸線よりも吸気口7寄りに形成された掃気口17bと、掃気口17bよりも排気口8側に形成された掃気口18bとにより構成され、第2掃気通路26bは、掃気口17bにつながる掃気通路23bと、掃気口18bにつながる掃気通路24bとにより構成されている。これらの掃気口17b,18bは各々四角形状を成し、また、掃気通路23b,24bは、各々断面四角形状を成し、下方から上方に向けていずれも吸気口7側に傾斜するように湾曲しながら延びている。よって、シリンダボア3内に流入する混合気は、シリンダボア3内の排気口8から遠ざかる方向に向けて流入する構成とされている(流れ方向B3,B4参照)。
【0034】
掃気通路に関しては、第1掃気カセット10aにより形成される掃気通路23a,24aを例として、図7〜図9を参照しながらより詳しく説明すると、第1掃気カセット10aの内側突出部13aの背面側には、掃気通路23a,24aの外側部分を構成する断面略U字状の掃気通路形成凹部21a,22aが形成されている。また、掃気通路形成凹部21a,22aに対応するシリンダ本体6側の位置には、掃気通路23a,24aの内側部分を構成する掃気通路形成部27a,28aが形成されている。
【0035】
そして、シリンダ本体6に対して掃気カセット10aを連結することにより、掃気口17a,18aが形成されると共に、掃気通路形成凹部21aと掃気通路形成部27aとにより掃気通路23aが、掃気通路形成凹部22aと掃気通路形成部28aとにより掃気通路24aがそれぞれ形成される。同様にして、シリンダ本体6に対して掃気カセット10bを連結することにより、掃気口17b,18bが形成されると共に、掃気通路形成凹部21b(図3参照)と掃気通路形成部(図示せず)とにより掃気通路23bが、掃気通路形成凹部22b(図3参照)と掃気通路形成部(図示せず)とにより掃気通路24bがそれぞれ形成される。
【0036】
なお、掃気通路23a,23bは、掃気通路24a,24bよりも流路が長く、且つ、流路の中心線の曲率が大きくなっている(図7、図8の流れ方向B1,B2参照)。
【0037】
(エンジン用シリンダの金型)
図10は、エンジン用シリンダの製造に用いられる金型の断面図、図11は、図10のXI−XI線に沿った断面図である。エンジン用シリンダ1の金型は、シリンダ本体6を成型するための図10及び図11に示す金型(シリンダ本体部成型用金型)40と、掃気カセット10a,10bを成型するための掃気カセット金型(掃気形成部成型用金型)(図示せず)とを備えている。なお、以下の説明において、金型についての「上下」は、エンジン用シリンダ1の説明における「上下」とは逆方向に相当するものとする。
【0038】
金型40は、シリンダボア3を成型するためのボア用金型41と、冷却フィン4を成型するための上下多層のフィン用積層型(冷却フィン成型用金型)43a,43bと、フィン用積層型43a,43bとは別体とされ、接合面12a,12bを成型するための掃気接合面成型用金型44a,44bと、ボア用金型41、フィン用積層型43a,43b、及び掃気接合面成型用金型44a,44bを外側及び上側から覆う上側金型46a,46bと、多層のフィン用積層型43a,43bを載置すると共にシリンダヘッドの端部を成型する下側金型47と、吸気口7を成型するための吸気口用金型48と、排気口8を成型するための排気口用金型49とを有している。
【0039】
そして、フィン用積層型43a,43b、掃気接合面成型用金型44a,44b、及び上側金型46a,46bは、成型されるシリンダボア3、吸気口7、及び排気口8の軸線を含む平面に対して離間する方向に型割可能な構造とされている。
【0040】
ボア用金型41は、シリンダボア3及び燃焼室16に対応する略円柱形状の部分と、掃気通路形成部27a,28a(図7、図8参照)に対応する部分とを有している。
【0041】
多層のフィン用積層型43a,43bは、型同士の積層面が冷却フィン4の先端部の位置に対応するように配置され、且つ、掃気接合面成型用金型44a,44bの下部を外側から覆うように配置されており、離型の際に掃気接合面成型用金型44a,44bとは干渉しない形状とされている。すなわち、フィン用積層型43a,43bの内側には、掃気接合面成型用金型44a,44bの外形に等しい略直方体形状の凹部が形成され、その凹部内に掃気接合面成型用金型44a,44bが収容されている。
【0042】
掃気接合面成型用金型44a,44bは、カセット嵌入部11a,11bに対応する部分と、接合面12a,12bに対応する部分と、掃気通路形成部27a,28a(図7、図8参照)に対応する部分とを有している。
【0043】
そして、金型40は、上記の各金型が隙間なく重ね合わされて、その内面によりシリンダ本体6の外形を形成し、また、掃気カセット金型は、その内面により掃気カセット10a,10bの外形を形成している。
【0044】
(エンジン用シリンダの製造方法)
図12は、エンジン用シリンダの製造方法を示すフローチャートである。前述したエンジン用シリンダ1は、上記の金型40及び掃気カセット金型によって、図12に示す製造手順に従って製造される。
【0045】
まず、図10及び図11に示した状態において、ゲート(図示せず)を通して、例えばアルミ等の金属を金型40の内面側に射出充填し、固化後、吸気口用金型48及び排気口用金型49を離型し、上側金型46a,46b、フィン用積層型43a,43b、及び掃気接合面成型用金型44a,44bを水平方向に離型し、更にボア用金型41を上方に引き抜き離型し、成型されたシリンダ本体6を下側金型47から離型することにより、シリンダ本体6を得る(S1)。
【0046】
次に、掃気カセット金型の内面側にも、ゲートを通してアルミ等の金属を射出充填し、固化後、掃気カセット金型を型割により離型することにより、掃気カセット10a,10bを得る(S2)。
【0047】
そして、図1〜図3に示したようにシリンダ本体6に対して掃気カセット10a,10bを取り付けることにより、エンジン用シリンダ1が製造される(S3)。
【0048】
以上説明した本実施形態のエンジン用シリンダ1によれば、シリンダ本体6と掃気カセット10a,10bとを各々備え、これらの間に掃気通路26a,26bが形成されるため、掃気通路を成型するための金型を用意しこれを引き抜き離型して掃気通路を成型するという必要がなく、掃気カセット10a,10bにおいて、シリンダ本体6との間で掃気通路26a,26bを形成する部分の形状の制約を少なくすることができ、掃気通路26a,26bの形状の自由度を高めることができる。
【0049】
また、本実施形態のエンジン用シリンダ1の金型によれば、シリンダ本体6を成型するための金型40と、掃気カセット10a,10bを成型するための掃気カセット金型とを備えるため、掃気カセット10a,10bは、シリンダ本体6とは別に成型され、よって、掃気通路を成型するための金型を用意しこれを引き抜き離型して掃気通路を成型するという必要がなく、掃気カセット10a,10bにおいて、シリンダ本体6との間で掃気通路26a,26bを形成する部分の形状の制約を少なくすることができ、掃気通路26a,26bの形状の自由度を高めることができる。
【0050】
また、掃気カセット10a,10bに対するシリンダ本体6の接合面12a,12bは、多層のフィン用積層型43a,43bとは別体の掃気接合面成型用金型44a,44bにより成型されるため、冷却フィン4を成型するための多層の金型により接合面12a,12bをも同時に成型した場合にできる積層型同士間の線状の痕跡T(図13に示すシリンダ本体36参照)が接合面12a,12bに残ることを防止でき、痕跡Tを削るような加工を必要とせずに平面状の接合面12a,12bを形成できる。
【0051】
また、フィン用積層型43a,43bは、離型の際に掃気接合面成型用金型44a,44bとは干渉しない形状とされているため、冷却フィン4及び接合面12a,12bの成型及び離型が確実且つ容易となる。
【0052】
また、本実施形態のエンジン用シリンダ1の製造方法によれば、シリンダ本体6を成型するシリンダ本体部成型工程S1と、掃気カセット10a,10bを成型する掃気形成部成型工程S2とは別の工程とされているため、掃気カセット10a,10bは、シリンダ本体6とは別に成型され、よって、掃気通路を成型するための金型を用意しこれを引き抜き離型して掃気通路を成型するという必要がなく、掃気カセット10a,10bにおいて、シリンダ本体6との間で掃気通路26a,26bを形成する部分の形状の制約を少なくすることができ、掃気通路26a,26bの形状の自由度を高めることができる。
【0053】
また、エンジン用シリンダ1は、多層のフィン用積層型43a,43bを用いて成型されるため、一層の金型を用いた場合にエンジン用シリンダ1が金型にかじったり冷却フィン4の先端が折れたりして離型が困難となるようなリスクを低減でき、空冷2サイクルエンジン用シリンダ1のような大きな冷却フィン4を有する鋳造品の成型が好適に実現できる。
【0054】
更にまた、上記したようにシリンダ本体6と掃気カセット10a,10bとの接合面12a,12bを鋳造にて成型することができるため、機械加工が不要となり、加工コストを省くことができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、掃気口19a,19bは、掃気カセット10a,10bとシリンダ本体6とにより形成される場合について説明したが、シリンダ本体6のシリンダボア3に掃気口19a,19bに相当する開口部が設けられていてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、各掃気通路26a,26bは断面四角形状の流路である場合について説明したが、例えば断面円形状、楕円形状であってもよく、四角以外の多角形状であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…空冷2サイクルエンジン用シリンダ、2…ピストン、3…シリンダボア(ボア部)、4…冷却フィン、6…シリンダ本体(シリンダ本体部)、10a…第1掃気カセット(掃気形成部)、10b…第2掃気カセット(掃気形成部)、12a,12b…接合面、19a…第1掃気口、19b…第2掃気口、26a…第1掃気通路、26b…第2掃気通路、40…金型(シリンダ本体部成型用金型)、43a,43b…フィン用積層型(冷却フィン成型用金型)、44a,44b…掃気接合面成型用金型。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン(2)が挿入される円筒形状のボア部(3)と、前記ボア部(3)内に連通し前記ピストン(2)により開閉される掃気口(19a,19b)と、前記掃気口(19a,19b)につながる掃気通路(26a,26b)とを有するエンジン用シリンダ(1)の製造方法であって、
前記ボア部(3)を有するシリンダ本体部(6)を成型するシリンダ本体部成型工程(S1)と、
前記シリンダ本体部(6)に連結されて前記シリンダ本体部(6)との間に前記掃気通路(26a,26b)を形成する掃気形成部(10a,10b)を成型する掃気形成部成型工程(S2)と、
を有することを特徴とする、エンジン用シリンダの製造方法。
【請求項2】
前記シリンダ本体部(6)には、前記掃気形成部(10a,10b)に対する前記シリンダ本体部(6)の接合面(12a,12b)を除く位置に冷却フィン(4)が設けられており、
前記シリンダ本体部成型工程(S1)において、前記接合面(12a,12b)は、前記冷却フィン(4)を成型するための多層の冷却フィン成型用金型(43a,43b)とは別体とされた掃気接合面成型用金型(44a,44b)により成型されることを特徴とする、請求項1記載のエンジン用シリンダの製造方法。
【請求項3】
ピストン(2)が挿入される円筒形状のボア部(3)と、前記ボア部(3)内に連通し前記ピストン(2)により開閉される掃気口(19a,19b)と、前記掃気口(19a,19b)につながる掃気通路(26a,26b)とを有するエンジン用シリンダ(1)の金型であって、
前記ボア部(3)を有するシリンダ本体部(6)を成型するためのシリンダ本体部成型用金型(40)と、
前記シリンダ本体部(6)に連結されて前記シリンダ本体部(6)との間に前記掃気通路(26a,26b)を形成する掃気形成部(10a,10b)を成型するための掃気形成部成型用金型と、
を備えることを特徴とする、エンジン用シリンダの金型。
【請求項4】
前記シリンダ本体部成型用金型(40)は、
前記掃気形成部(10a,10b)に対する前記シリンダ本体部(6)の接合面(12a,12b)を除く位置に設けられる冷却フィン(4)を成型するための多層の冷却フィン成型用金型(43a,43b)と、
前記接合面(12a,12b)を成型するための掃気接合面成型用金型(44a,44b)と、
を有することを特徴とする、請求項3記載のエンジン用シリンダの金型。
【請求項5】
前記冷却フィン成型用金型(43a,43b)は、離型の際に前記掃気接合面成型用金型(44a,44b)とは干渉しない形状とされていることを特徴とする、請求項4記載のエンジン用シリンダの金型。
【請求項6】
前記冷却フィン成型用金型(43a,43b)は、前記掃気接合面成型用金型(44a,44b)を外側から覆うように配置されることを特徴とする、請求項4又は5記載のエンジン用シリンダの金型。
【請求項7】
ピストン(2)が挿入される円筒形状のボア部(3)と、前記ボア部(3)内に連通し前記ピストン(2)により開閉される掃気口(19a,19b)と、前記掃気口(19a,19b)につながる掃気通路(26a,26b)とを有するエンジン用シリンダ(1)であって、
前記ボア部(3)を有するシリンダ本体部(6)と、
前記シリンダ本体部(6)に連結されて前記シリンダ本体部(6)との間に前記掃気通路(26a,26b)を形成する掃気形成部(10a,10b)と、
を備えることを特徴とする、エンジン用シリンダ。
【請求項1】
ピストン(2)が挿入される円筒形状のボア部(3)と、前記ボア部(3)内に連通し前記ピストン(2)により開閉される掃気口(19a,19b)と、前記掃気口(19a,19b)につながる掃気通路(26a,26b)とを有するエンジン用シリンダ(1)の製造方法であって、
前記ボア部(3)を有するシリンダ本体部(6)を成型するシリンダ本体部成型工程(S1)と、
前記シリンダ本体部(6)に連結されて前記シリンダ本体部(6)との間に前記掃気通路(26a,26b)を形成する掃気形成部(10a,10b)を成型する掃気形成部成型工程(S2)と、
を有することを特徴とする、エンジン用シリンダの製造方法。
【請求項2】
前記シリンダ本体部(6)には、前記掃気形成部(10a,10b)に対する前記シリンダ本体部(6)の接合面(12a,12b)を除く位置に冷却フィン(4)が設けられており、
前記シリンダ本体部成型工程(S1)において、前記接合面(12a,12b)は、前記冷却フィン(4)を成型するための多層の冷却フィン成型用金型(43a,43b)とは別体とされた掃気接合面成型用金型(44a,44b)により成型されることを特徴とする、請求項1記載のエンジン用シリンダの製造方法。
【請求項3】
ピストン(2)が挿入される円筒形状のボア部(3)と、前記ボア部(3)内に連通し前記ピストン(2)により開閉される掃気口(19a,19b)と、前記掃気口(19a,19b)につながる掃気通路(26a,26b)とを有するエンジン用シリンダ(1)の金型であって、
前記ボア部(3)を有するシリンダ本体部(6)を成型するためのシリンダ本体部成型用金型(40)と、
前記シリンダ本体部(6)に連結されて前記シリンダ本体部(6)との間に前記掃気通路(26a,26b)を形成する掃気形成部(10a,10b)を成型するための掃気形成部成型用金型と、
を備えることを特徴とする、エンジン用シリンダの金型。
【請求項4】
前記シリンダ本体部成型用金型(40)は、
前記掃気形成部(10a,10b)に対する前記シリンダ本体部(6)の接合面(12a,12b)を除く位置に設けられる冷却フィン(4)を成型するための多層の冷却フィン成型用金型(43a,43b)と、
前記接合面(12a,12b)を成型するための掃気接合面成型用金型(44a,44b)と、
を有することを特徴とする、請求項3記載のエンジン用シリンダの金型。
【請求項5】
前記冷却フィン成型用金型(43a,43b)は、離型の際に前記掃気接合面成型用金型(44a,44b)とは干渉しない形状とされていることを特徴とする、請求項4記載のエンジン用シリンダの金型。
【請求項6】
前記冷却フィン成型用金型(43a,43b)は、前記掃気接合面成型用金型(44a,44b)を外側から覆うように配置されることを特徴とする、請求項4又は5記載のエンジン用シリンダの金型。
【請求項7】
ピストン(2)が挿入される円筒形状のボア部(3)と、前記ボア部(3)内に連通し前記ピストン(2)により開閉される掃気口(19a,19b)と、前記掃気口(19a,19b)につながる掃気通路(26a,26b)とを有するエンジン用シリンダ(1)であって、
前記ボア部(3)を有するシリンダ本体部(6)と、
前記シリンダ本体部(6)に連結されて前記シリンダ本体部(6)との間に前記掃気通路(26a,26b)を形成する掃気形成部(10a,10b)と、
を備えることを特徴とする、エンジン用シリンダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−127448(P2011−127448A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284168(P2009−284168)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】
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