説明

エンジン発電機

【課題】操作盤や出力端子盤の配線作業を容易かつ確実に行うことができるエンジン発電機を提供する。
【解決手段】発電機15及びエンジン16を収容するケーシング13の一側に開口部13eを設け、開口部の上部側に上部側面パネル23を介して操作盤21を取り付けるとともに、上部側面パネルの両側縁部をケーシングの前面板及び背面板の端部に止着し、開口部の下部側に出力端子盤22及び下部側面パネル25を配置し、出力端子盤の両側縁部を前面板及び背面板の端部に止着し、下部側面パネルに出力端子盤を露出させる開口を設けるとともに、下部側面パネルの両側縁部を前面板及び背面板の端部に止着し、操作盤を含む上部側面パネル及び出力端子盤を含む下部側面パネルにて開口部を閉塞する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン発電機に係り、詳しくは、エンジン及び発電機を制御するための操作盤と発電機からの電力を出力する出力端子盤とをケーシングの一側面に備えたエンジン発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なエンジン発電機は、床台の上部に設けられたケーシングの内部に、発電機及び該発電機を駆動するエンジン、燃料タンク等の機器を収容するとともに、ケーシングの一側面に、エンジン及び発電機を制御するための操作盤と、発電機で発電した電力を外部に出力する複数の接続端子を備えた出力端子盤とを配置している。操作盤及び出力端子盤の取付構造として、図7に示すように、ケーシング51の内部に収容した発電機52の上方を跨ぐようにして架台53を設置し、この架台53の上面に操作盤54を固着するとともに、架台53の下面端部に出力端子盤55を固着し、操作盤54の前面に上部カバー56を着脱可能に設け、該上部カバー56の下方に、出力端子盤55を外部に露出させる開口を備えた下部カバー57を着脱可能に設けたものが知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−267546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1のものでは、下部カバー57を取り外すことで前記架台53の下方に位置する発電機52のメンテナンスを容易に行うことはできるが、操作盤54や出力端子盤55をケーシング51に着脱する際の配線作業は、発電機52を跨いでケーシング51内を上下に区画するように設けられた架台53が邪魔になり、特に、出力端子盤55への配線58は、架台53の下方からしか作業ができず、作業者に大きな負担を与えていた。また、架台53のために死角となる箇所も多いことから、点検などの作業性にも悪影響を与えていた。
【0005】
そこで本発明は、操作盤や出力端子盤の配線作業を容易かつ確実に行うことができるエンジン発電機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のエンジン発電機は、箱形に形成したケーシングの内部に発電機と該発電機を駆動するエンジンとを収容するとともに、前記ケーシングの発電機側の側面に操作盤及び出力端子盤を設けたエンジン発電機において、前記ケーシングを、床台上に設けた前面板、背面板、前記エンジン側の側面板及び天井板にて形成し、前記発電機側の側面に前記操作盤及び前記出力端子盤を装着するための開口部を設け、該開口部の上部側に前記操作盤を取り付けるための上部側面パネルを配置し、該上部側面パネルに前記操作盤を取り付けるとともに、上部側面パネルの両側縁部を前記前面板及び前記背面板の端部にそれぞれ止着し、前記開口部の下部側に前記出力端子盤及び下部側面パネルを配置し、前記出力端子盤の両側縁部を前記前面板及び前記背面板の端部に止着し、前記下部側面パネルに前記出力端子盤を露出させる開口を設けるとともに、該下部側面パネルの両側縁部を前記前面板及び前記背面板の端部に止着し、前記操作盤を含む前記上部側面パネル及び前記出力端子盤を含む前記下部側面パネルによって前記開口部を閉塞したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエンジン発電機によれば、ケーシングの発電機側側面に設けた開口部の上部側に、ケーシングの前面板端部及び背面板端部に止着される上部側面パネルを介して操作盤を設けるとともに、開口部の下部側に前面板端部及び背面板端部にそれぞれ止着される出力端子盤及び下部側面パネルを配置したので、従来、発電機を跨いで設けられていた架台を省略することができ、出力端子盤の背面と操作盤の背面とに空間部をそれぞれ確保することができる。これにより、空間部を利用して配線作業を容易に行うことができるとともに、死角となる箇所もなくなることから、配線作業や点検作業を容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一形態例を示すエンジン発電機の正面図である。
【図2】エンジン発電機の発電機側から見た側面図である。
【図3】操作盤及び側面パネルを外した状態のエンジン発電機の説明図である。
【図4】図3のIV−IV矢視図である。
【図5】エンジン発電機の斜視図である。
【図6】操作盤及び側面パネルを外した状態のエンジン発電機の斜視図である。
【図7】従来のエンジン発電機の一例を示す要部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本形態例に示すエンジン発電機11は、床台12の上部に配設された防音構造を有する箱形のケーシング13の内部を仕切壁14で仕切ってエンジン室14aと排風室14bとに区画している。エンジン室14a内の下部には、発電機15と、該発電機15を駆動するエンジン16とが配置され、発電機15の上部には、燃料タンク17と制御盤18とが配置されている。また、仕切壁14にはラジエータ19が設けられ、排風室14b内にはマフラ20が配置されている。
【0010】
ケーシング13は、前記床台12に立設した前面板13a、背面板13b、エンジン16側(排風室14b側)の側面板13cと、上方をケーシング上部を覆う天井板13dとにより箱形に形成されており、発電機15側の側面には開口部13eが設けられ、開口部13eの上部側に操作盤21が、開口部13eの下部側に出力端子盤22がそれぞれ配置されている。
【0011】
各種スイッチなどを備えた前記操作盤21は、中央に開口23aを備えた額縁状の上部側面パネル23内に取り付けられており、上部側面パネル23の両側縁部が前記前面板13a及び前記背面板13bの端部にそれぞれボルトなどで着脱可能に取り付けられ、上部側面パネル23の両側縁部及び上縁部が前面板13a、背面板13b及び天井板13dの端部にそれぞれ密着する状態となる。
【0012】
また、上部側面パネル23の一方の側縁部には、開口23aを覆う扉部材24がヒンジ24a,24aを介して開閉可能に取り付けられている。この扉部材24には、操作盤21に設けられているメータ類を外部から確認するための透明板を嵌め込んだ窓部24bが設けられている。
【0013】
操作盤21の背面には、図示は省略するが、前記制御盤18に接続される複数のケーブルが着脱可能なコネクタを介して設けられており、操作盤21の前面には、出力中の周波数,電流,電圧や冷却水温度などを表示する計器類21a、遮断器や出力周波数(エンジン回転数)など設定するスイッチ類21b、警告灯類21c、スタータースイッチ21dなど、発電機15及びエンジン16を制御したり、状態を監視したりするための各種機器が設けられ、計器類21aや警告灯類21cの一部は、前記窓部24bを介して外部から視認可能に形成されている。
【0014】
前記開口部13eの下部側上部には、発電機15で発電した電力を外部に出力する複数の接続端子22aやコンセント22bを備えた出力端子盤22が設けられている。出力端子盤22は、前記上部側面パネル23と同じ厚さの箱状に形成されており、出力端子盤22の背面板22cの両側縁部が前記前面板13a及び前記背面板13bの端部に止着されている。また、出力端子盤22の前面には、接続端子22aやコンセント22bを覆う開閉可能な蓋部材22dが設けられており、該蓋部材22dの下方には、接続端子22aやコンセント22bに接続した電源ケーブルの引出口22eが設けられている。
【0015】
さらに、前記開口部13eの下部側には、出力端子盤22の周囲を覆う下部側面パネル25が設けられている。この下部側面パネル25は、該下部側面パネル25の両側縁部が前記前面板13a及び前記背面板13bの端部に止着され、下部側面パネル25の下縁部が床台12に密着し、下部側面パネル25の上縁部が前記上部側面パネル23の下縁部に密着するように配置されるもので、上部中央には、出力端子盤22を外部に露出させるための開口25aが設けられている。
【0016】
このように、ケーシング13の発電機15側の側面に開口部13eを形成し、該開口部13eの両側に位置する前面板13a及び背面板13bの端部に前記上部側面パネル23、前記出力端子盤22及び前記下部側面パネル25の両側縁部をそれぞれ止着するとともに、上部側面パネル23に前記操作盤21を取り付け、これらで開口部13eを覆うように形成したことにより、ケーシング13の水密性や防音性能を損なわずに、操作盤21及び出力端子盤22を取り付けるための架台が不要となり、操作盤21及び出力端子盤22の裏側に発電機15の部分から操作盤21に至る大きな空間部を形成することができる。
【0017】
したがって、ケーシング13内を上下に区画する従来の架台が存在しないため、発電機15、エンジン16、制御盤18、操作盤21、出力端子盤22にそれぞれ接続される各種ケーブルの配線作業を、前記空間部を利用して行うことができる。特に、前記操作盤21を含む上部側面パネル23を取り外すことにより、出力端子盤22の配線作業を開口部13eの上部側から行うことができるので、架台の下側からの作業に比べて作業性を大幅に向上できる。また、架台が存在しないので死角となる部分もなくなり、点検などの作業性も向上し、配線作業だけでなく、各部の点検や修理も容易かつ確実に行うことができる。さらに、下部側面パネル25を取り外すことにより、発電機15の保守作業なども従来と同様に行うことができる。
【0018】
なお、本形態例では、操作盤21とは別体に形成された制御盤18を、操作盤21の裏側で前面板13a及び背面板13bの裏面間にあらかじめ取り付けた状態としているが、制御盤18が操作盤21と一体的に形成されている場合は、制御盤18と操作盤21とを一緒に前面板13a及び背面板13bの端部に取り付ければよい。
【0019】
また、操作盤21、出力端子盤22、上部側面パネル23、下部側面パネル25を前面板13aや背面板13bの端部に止着する位置や手段は任意であり、操作盤21や出力端子盤22の大きさ、重量などの条件に応じて適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0020】
11…エンジン発電機、12…床台、13…ケーシング、13a…前面板、13b…背面板、13c…側面板、13d…天井板、13e…開口部、14…仕切壁、14a…エンジン室、14b…排風室、15…発電機、16…エンジン、17…燃料タンク、18…制御盤、19…ラジエータ、20…マフラ、21…操作盤、21a…計器類、21b…スイッチ類、21c…警告灯類、21d…スタータースイッチ、22…出力端子盤、22a…出力端子、22b…コンセント、22c…背面板、22d…蓋部材、22e…引出口、23…上部側面パネル、23a…開口、24…扉部材、24a…ヒンジ、24b…窓部、25…下部側面パネル、25a…開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱形に形成したケーシングの内部に発電機と該発電機を駆動するエンジンとを収容するとともに、前記ケーシングの発電機側の側面に操作盤及び出力端子盤を設けたエンジン発電機において、前記ケーシングを、床台上に設けた前面板、背面板、前記エンジン側の側面板及び天井板にて形成し、前記発電機側の側面に前記操作盤及び前記出力端子盤を装着するための開口部を設け、該開口部の上部側に前記操作盤を取り付けるための上部側面パネルを配置し、該上部側面パネルに前記操作盤を取り付けるとともに、上部側面パネルの両側縁部を前記前面板及び前記背面板の端部にそれぞれ止着し、前記開口部の下部側に前記出力端子盤及び下部側面パネルを配置し、前記出力端子盤の両側縁部を前記前面板及び前記背面板の端部に止着し、前記下部側面パネルに前記出力端子盤を露出させる開口を設けるとともに、該下部側面パネルの両側縁部を前記前面板及び前記背面板の端部に止着し、前記操作盤を含む前記上部側面パネル及び前記出力端子盤を含む前記下部側面パネルによって前記開口部を閉塞したことを特徴とするエンジン発電機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−105472(P2012−105472A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252692(P2010−252692)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】