説明

エンボス装置、バックアップロール、および、加工品の製造方法

【課題】原反に凹凸柄を形成するエンボス装置であって、とりわけ、高い稼働率で効率的に原反に凹凸柄を形成することができるエンボス装置を提供する。
【解決手段】エンボス装置10は、原反に形成すべき凹凸柄55に対応した凹凸形状を有するエンボス型面25を、有するエンボスロール20と、エンボスロールに対向して配置され、エンボスロールとの間で原反を圧するようになるバックアップロール30と、を備える。バックアップロールは、心部材32と、心部材上に設けられ、エンボスロールのエンボス型面と対面する表層部34と、を有する。表層部は、複数の金属粒子35と、金属粒子間に設けられた樹脂バインダー36と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原反に凹凸柄を形成するエンボス装置に係り、とりわけ、高い稼働率で効率的に原反に凹凸柄を形成することができるエンボス装置に関する。
【0002】
また、本発明は、原反に凹凸柄を形成するエンボス装置に用いられるバックアップロールに係り、とりわけ、高い稼働率で効率的に原反に凹凸柄を形成することを可能にするバックアップロールに関する。
【0003】
さらに、本発明は、原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法に係り、とりわけ、高い稼働率で効率的に加工品を製造することができる加工品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0004】
今般、例えば特許文献1に示すように、エンボス加工は広く普及した加工方法となっている。特許文献1には、原反にエンボス加工を施すことにより、離型紙(加工品)を製造する方法が開示されている。この離型紙は、合皮製品、化粧シート、内装材等のシート状材料を作製するための型紙として用いられる。
【0005】
一般的に、とりわけ原反のような比較的に薄い被加工体にエンボス加工を施す場合、エンボス加工に用いられるエンボス装置は、エンボス型面を有したエンボスロールと、エンボスロールに対向して配置されたバックアップロールと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−205311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
エンボス型面によって押圧されるようになるバックアップロールの表層部は、エンボス型面上に形成された凹凸形状に対応して変形可能であり、かつ、少なくとも一時的に変形状態を維持することができるように構成されていることが好ましい。このようなバックアップロールによれば、原反に対してエンボス加工を施す前に、エンボスロールおよびバックアップロールを空運転(空転)しておくことによって、エンボス型面の凹凸形状に対応した凹凸形状をバックアップロールの表層部に形成することができる。このようにバックアップロールにメス型を作製しておけば、加工圧を大幅に上昇させることなく、原反に凹凸形状を精度良く転写することができるようになる。
【0008】
ところで、バックアップロールの表層部の材料として弾性変形しにくい材料、例えば金属を用いた場合、空運転によってバックアップロールにメス型を形成することができない。金属製のバックアップロールの表層部に凹凸形状を形成するには、エッチングによるパターニング等の複雑な処理を表層部に施さなければならなくなる。一方、バックアップロールの表層部の材料として弾性変形しやすい材料、例えば樹脂を用いた場合、バックアップロールの表層部に微細な凹凸形状を残留させることができない。
【0009】
このような点を考慮して、紙や羊毛等の繊維を押し固めてなる表層部を有したペーパーロールがバックアップロールとして用いられている。しかしながら、このようなペーパーロールを用いた場合、バックアップロールに予め形成された凹凸形状は、加工時間の経過にともなって次第に平坦化されていく。バックアップロールの凹凸形状が平坦化されると、原反に転写される凹凸柄も平坦化してしまう。
【0010】
この不都合を回避するためには、エンボス加工を中断して、エンボスロールおよびバックアップロールを空運転し、バックアップロールの表層部に凹凸形状を再形成(型入れ)しなければならない。
【0011】
また、バックアップロールの表層部への型入れの必要性を判断するためには、エンボス加工を施された加工品の品質を都度確認することも必要となる。しかしながら、加工品の検査は、凹凸柄が複雑であれば、極めて煩雑となり、長時間(例えば1時間)を要する。このため、エンボス加工を施された加工品の品質を現場で確認することなく、安全を見て、早目に、例えば3〜4時間おきに定期的に型入れ作業を行うようにすることもある。
【0012】
すなわち、現状では、汎用のバックアップロールを用いたエンボス装置を優れた稼働率で稼働させ、原反に凹凸柄を形成して十分な生産効率で加工品を製造することができていない。本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、原反に凹凸柄を形成するエンボス装置であって、とりわけ、高い稼働率で効率的に原反に凹凸柄を形成することができるエンボス装置を提供することを目的とする。また、本発明は、原反に凹凸柄を形成するエンボス装置に用いられるバックアップロールであって、とりわけ、高い稼働率で効率的に原反に凹凸柄を形成することを可能にするバックアップロールを提供することを目的とする。さらに、本発明は、原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、とりわけ、効率的に加工品を製造することができる加工品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によるエンボス装置は、原反に凹凸柄を形成するエンボス装置であって、前記原反に形成すべき凹凸柄に対応した凹凸形状を有するエンボス型面を、有するエンボスロールと、前記エンボスロールに対向して配置され、前記エンボスロールとの間で前記原反を圧するようになるバックアップロールと、を備え、前記バックアップロールは、心部材と、前記心部材上に設けられ、前記エンボスロールの前記エンボス型面と対面する表層部と、を有し、前記表層部は、複数の金属粒子と、金属粒子間に設けられた樹脂バインダーと、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明によるエンボス装置において、前記金属粒子が、20μm以上400μm以下の平均粒径を有するようにしてもよい。
【0015】
また、本発明によるエンボス装置において、前記表層部内で前記金属粒子が占める体積割合が、60%以上90%以下となるようにしてもよい。
【0016】
さらに、本発明によるエンボス装置において、前記金属粒子が、アルミニウム、銅、鉄、または、これらの合金からなるようにしてもよい。
【0017】
さらに、本発明によるエンボス装置において、前記バックアップロールの前記表層部には、前記エンボス型面の前記凹凸形状に対応した凹凸形状が形成されているようにしてもよい。
【0018】
さらに、本発明によるエンボス装置において、前記樹脂バインダーは反応硬化性の樹脂からなっていてもよい。
【0019】
本発明によるバックアップロールは、原反に凹凸柄を形成するエンボス装置のエンボスロールに対向して配置されるバックアップロールであって、心部材と、心部材上に設けられた表層部であって、前記エンボスロールに形成されたエンボス型面と対面する表層部と、を備え、前記表層部は、複数の金属粒子と、金属粒子間に設けられた樹脂バインダーと、を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明によるバックアップロールにおいて、前記金属粒子が、20μm以上400μm以下の平均粒径を有するようにしてもよい。
【0021】
また、本発明によるバックアップロールにおいて、前記表層部内で前記金属粒子が占める体積割合が、60%以上90%以下となるようにしてもよい。
【0022】
さらに、本発明によるバックアップロールにおいて、前記金属粒子が、アルミニウム、銅、鉄、または、これらの合金からなるようにしてもよい。
【0023】
さらに、本発明によるバックアップロールにおいて、前記バックアップロールの前記表層部には、前記エンボス型面の凹凸形状に対応した凹凸形状が形成されているようにしてもよい。
【0024】
さらに、本発明によるバックアップロールにおいて、前記樹脂バインダーは反応硬化性の樹脂からなっていてもよい。
【0025】
本発明による製造方法は、上述したいずれかのエンボス装置を用いて原反に凹凸柄を形成し、加工品を製造する製造方法であって、前記エンボスロールおよび前記バックアップロールを空運転させ、前記エンボスロールのエンボス型面の凹凸形状に対応した凹凸形状を、前記バックアップロールの前記表層部に形成する空運転工程と、前記空運転工程後に実施される工程であって、前記原反を間に挟んだ状態で前記エンボスロールおよび前記バックアップロールを回転させ、前記原反に凹凸柄を形成していくエンボス加工工程と、を備えることを特徴とする。
【0026】
本発明による製造方法において、前記樹脂バインダーは反応硬化性の樹脂からなり、本発明による製造方法が、前記空運転工程後かつ前記エンボス加工工程前に実施される工程であって、凹凸形状を形成された前記表層部の前記樹脂バインダーを硬化させる工程を、さらに備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、優れた効率で原反にエンボス加工を行うことができる。これにより、加工費用を低下させることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であり、エンボス装置、エンボス装置に組み込まれたバックアップロール、および、エンボス装置による加工品の製造方法を示す斜視図である。
【図2】図2は、バックアップロールを示す断面図である。
【図3】図3は、加工品の製造方法における空運転工程を説明するための図である。
【図4】図4は、加工品の製造方法におけるエンボス加工工程を説明するための図である。
【図5】図5は、空運転工程におけるバックアップロールの表層部の推定され得る変形プロセスを説明するための断面図である。
【図6】図6は、空運転工程におけるバックアップロールの表層部の推定され得る変形プロセスを説明するための断面図である。
【図7】図7は、空運転工程におけるバックアップロールの表層部の推定され得る変形プロセスを説明するための断面図である。
【図8】図8は、バックアップロールの表層部を圧縮した場合における応力−ひずみ線図の一例を示すグラフである。
【図9】図9は、加工品の製造方法における硬化工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0030】
図1乃至図8は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうちまず、図1および図2を参照して、原反に凹凸柄を形成して加工品を製造するエンボス装置について説明する。ここで、図1は、エンボス装置およびエンボス装置による加工品の製造方法を説明するための斜視図である。また、図2は、エンボス装置のバックアップロールを示す断面図である。
【0031】
図1に示すように、エンボス装置10は、エンボスロール20と、エンボスロール20に対向して配置され、エンボスロール20との間で原反50を圧するようになるバックアップロール30と、を備えている。また、エンボス装置10は、エンボスロール20およびバックアップロール30の間に向けて原反50を供給する原反供給装置(図示せず)をさらに備えている。
【0032】
図1に示すように、エンボスロール20およびバックアップロール30は、それぞれ、円柱状または円筒状に形成されている。エンボスロール20およびバックアップロール30は、それぞれの外周面が対向するように配置されている。また、エンボスロール20およびバックアップロール30は、それぞれの中心軸線L1,L2が平行となるように配置されている。エンボスロール20およびバックアップロール30は、それぞれの中心軸線L1,L2を中心として回転可能となっている。
【0033】
エンボスロール20は、その外周面上に形成された凹凸形状を含むエンボス型面25を有している。エンボス型面25は、図1に示すように、原反供給装置から供給される原反50に当接するようになる。図1に示すように、エンボス型面25は、原反50に形成すべき凹凸柄55に対応した凹凸形状を有している。エンボス型面25の凹凸形状は、製造される加工品の用途等に応じ、種々の粗さや深さを含んだ凹凸形状として構成される。一例として、製造されるべき加工品60が合成皮革用の離型紙(型紙)である場合には、エンボス型面25の凹凸形状は、原反50に皮模様を付与し得るように構成される。エンボスロール20は、エンボス型面25を含むその全体を、銅や鉄等の金属によって構成され得る。
【0034】
次に、エンボスロール20に対向して配置されたバックアップロール30について説明する。バックアップロール30は、エンボスロール20と略同一の外径、例えば200mm〜400mmの外径を有している。バックアップロール30は、エンボスロール20と同期して、エンボスロール20の周速度と略同一の周速度で回転することができるように構成されている。
【0035】
図1に示すように、バックアップロール30は、心部材32と、心部材32上に形成された表層部34と、を有している。表層部34は、エンボスロール20のエンボス型面25と対面している。後述するように、表層部34は、エンボス型面25に押圧されて、エンボス型面25上に形成された凹凸形状に対応して変形可能であり、かつ、変形状態を少なくとも一期間維持し得るように構成されている。すなわち、バックアップロール30は、エンボス型面25として種々の凹凸形状を有したエンボスロール20に対し、汎用性を有したメス型として機能するようになる。
【0036】
具体的には、図2に示すように、バックアップロール20の表層部34は、多数の金属粒子35と、多数の金属粒子35の間を埋める樹脂バインダー36と、を含んでいる。樹脂バインダー36は、多数の金属粒子35を互いに対して固定している。
【0037】
表層部34の厚みは、適宜設定することができる。一例として、合成皮革用の離型紙を加工品60として作製する場合には、表層部34の厚みを5mm以上10mm以下とすることができる。
【0038】
多数の金属粒子35の平均粒径は、種々の値に設定され得る。一例として、合成皮革用の離型紙を加工品60として作製する場合には、多数の金属粒子35の平均粒径を、20μm以上400μm以下とすることができる。この場合、後に詳述する作用効果が極めて有効に発揮されることを期待することができる。なお、金属粒子35の形状は、球形状である必要はなく、例えば線状等の種々の形状に設定され得る。
【0039】
また、金属粒子35をなす材料としては、種々の金属を選択することができ、一例として、アルミニウム、銅、鉄、または、これらの合金を用いることができる。また、樹脂バインダー36をなす材料として、種々の金属を選択することができる。ただし、樹脂バインダー36をなす材料の強度が、金属粒子35をなす材料の強度と大きく異なっていることが好ましい。この場合、後に詳述する作用効果が極めて有効に発揮されることを期待することができる。一例として、樹脂バインダー36用の材料として、金属粒子35をなす材料よりも大幅に低い強度を有し、安価に入手可能なPET等を用いることができる。
【0040】
さらに、金属粒子35と樹脂バインダー36とは、種々の配合比で配合され得る。例えば、アルミニウム、銅、鉄、または、これらの合金からなる金属粒子35と、PETまたはこれと同程度の強度を有する樹脂からなる樹脂バインダー36と、を用い、エンボス加工装置10によって合成皮革用の離型紙を加工品60として作製する場合には、金属粒子35と樹脂バインダー36とを、6:4〜9:1の体積比率で配合することができる。言い換えると、表層部34内で金属粒子35が占める体積割合を、例えば60%以上90%以下とすることができる。この場合、後に詳述する作用効果が極めて有効に発揮されることを期待することができる。
【0041】
一方、心部材32は、表層部34を安定して支持することができるように構成されている。具体的には、心部材32は、例えば鉄や銅等の高剛性の金属により、円柱状または円筒状に形成されている。
【0042】
ところで、エンボス装置10は、図示しない制御装置をさらに備えている。制御装置は、エンボスロール20の回転駆動機構、バックアップロール30の回転駆動機構および原反供給装置に接続されている。そして、制御装置は、エンボスロール20の回転、バックアップロール30の回転、原反50の供給等を制御するように構成されている。
【0043】
次に、上述した構成のエンボス装置10を用いて原反50に凹凸柄55を形成し、加工品60を製造する方法の一例について説明する。以下に説明する加工品の製造方法は、エンボスロール20およびバックアップロール30を空運転させる空運転工程(図3参照)と、空運転工程後に実施される工程であって、原反50に凹凸柄55を形成するエンボス加工工程(図4参照)と、を含んでいる。
【0044】
まず、空運転工程では、図3に示すようにして、エンボスロール20およびバックアップロール30が空運転させられる。ここで、「空運転(空転)」とは、エンボスロール20およびバックアップロール30との間に原反50が供給されることなく、エンボスロール20およびバックアップロール30が回転させられることである。この空運転中、エンボスロール20のエンボス型面25がバックアップロール30の外周面に当接し、エンボス型面25の凹凸形状の凸部25aがバックアップロール30の外周面を押圧するようになる。このとき、エンボスロール20およびバックアップロール30の位置関係は、原反50に対して実際にエンボス加工を行う場合と概ね同様の条件に設定されていることが好ましい。
【0045】
上述したように、バックアップロール30の表層部34は変形可能に構成されている。このため、この空運転工程では、エンボス型面25に形成された凹凸形状が、バックアップロール30の表層部(外周面)34へしだいに転写されていく。本件発明者らが実験を行ったところ、金属粒子35と樹脂バインダー36とを有する表層部34が用いられている本実施の形態の態様によれば、エンボス型面25の凹凸形状を表層部34へ優れた転写効率で転写可能であることが確認された。本実施の形態によるバックアップロール30の表層部34に凹凸形状を精度良く転写することが可能となるメカニズムは明らかではないが、以下に、主に図5乃至図7を参照して、現時点で考えられ得る転写メカニズムについて説明する。ただし、本件発明は以下のメカニズムに限定されるものではない。
【0046】
エンボスロール20およびバックアップロール30を空運転させるとともに、エンボスロール20およびバックアップロール30を互いに向けて押圧した場合、図5に示すように、まず、エンボスロール20のエンボス型面25が、その凹凸形状の凸部25aにおいて、バックアップロール30の表層部34に接触し当該表層部34を押圧するようになる。すなわち、バックアップロール30の表層部34には、大きな圧力が局所的に加えられるようになる。エンボス型面25の凸部25aによって表層部34が押圧されると、当該凸部25aの近傍において、まず弾性変形しやすい樹脂バインダー36が流動して表層部34がわずかに変形することが予想される。
【0047】
そして、エンボスロール20およびバックアップロール30が互いに向けてさらに強く押圧されると、最終的には、樹脂バインダー36が変形するだけでなく、局所的な大きな圧力により、エンボス型面25の凸部25aの周囲で金属粒子35が塑性変形するようになる。ここで、金属粒子35は微細な粒子として構成されていることから、すなわち、形状的な要因から、金属粒子全体としての剛性はエンボス型面25からの局所的な圧力によって塑性変形する程度となり得る。したがって、図6に示すように、エンボス型面25の凸部25aが表層部34内に入り込んでくるとともに、金属粒子35がエンボス型面25の凸部25aの形状に精確に追従して変形し得るものと推測される。
【0048】
また、金属粒子35が塑性変形すると、金属粒子35よりも変形しやすい樹脂バインダー36は、樹脂バインダー36の変形が弾性変形であるか塑性変形であるかに依らず、変形された状態に保たれるようになる。この結果、図7に示すように、エンボス型面25がバックアップロール30の表層部34から離間した後においても、エンボス型面25の凹凸形状の凸部25aに対応した凹部34bがバックアップロール30の表層部34に残留するようになる。
【0049】
このようにして、エンボスロール20とバックアップロール30とを空運転させることにより、エンボス型面25の凹凸形状がバックアップロール30の表層部34に精度良く転写され、エンボス型面25の凹凸形状(オス型)に対応した凹凸形状(メス型)が表層部34に精度良く形成されるようになるものと考えられる。
【0050】
以上のような空運転工程は、バックアップロール30の表層部34の変形が概ね飽和し、バックアップロール30の表層部34が略一定の形状を保つようになるまで実施される。
【0051】
次に、エンボス加工工程について説明する。この工程では、図4に示すように、エンボスロール20およびバックアップロール30を回転させたままの状態で、原反50が、エンボスロール20およびバックアップロール30との間に原反供給装置(図示せず)から供給される。この結果、エンボスロール20のエンボス型面25に形成された凹凸形状およびバックアップロール30の表層部34に形成された凹凸形状に対応した凹凸柄55が原反50に形成され、帯状に延びる加工品80が連続的に作製されていく。
【0052】
なお、原反50は、例えば、紙、より具体的には、80g/m2〜200g/m2程度の坪量を有したクラフト紙から構成され得る。原反50の厚みは、数百μm、より具体的には25μm〜500μm程度とすることができる。
【0053】
ところで、エンボス加工工程では、エンボスロール20およびバックアップロール30の間に、ある程度の厚みを有した原反50が位置している。したがって、バックアップロール30の外周面(表層部34)にエンボスロール20のエンボス型面25からエンボス工程中に付加される圧力は、空運転工程時に付加される圧力よりも、平均化されている。すなわち、バックアップロール30の外周面(表層部34)が受ける圧力分布は、エンボス加工工程時と空運転工程時とでは異なっている。このため、従来のエンボス装置を用いた場合、エンボス加工工程が進行していくにつれて、空運転工程中にエンボス型面の凹凸形状に対応してバックアップロールの外周面に形成された凹凸形状は、しだいに平坦化されてなだらかになってしまっていた。そして、メス型として機能するバックアップロールの外周面の凹凸形状の平坦化にともなって、原反に予定した凹凸柄を精度良く転写することができない、といった不都合が生じていた。この不都合を回避するためには、エンボス加工工程を頻繁に中断し、空運転工程を頻繁に行って、バックアップロールの外周面へ凹凸形状を再形成(型入れ)しなければならない。
【0054】
一方、本件発明者らが実験を行ったところ、金属粒子35と樹脂バインダー36とを有する表層部34が用いられている本実施の形態の態様によれば、表層部34に形成された凹凸形状(メス型)がエンボス加工中に極めて平坦化されにくくなることが確認された。本実施の形態によるバックアップロール30の表層部34に形成された凹凸形状(メス型)が平坦化されることなくほぼそのままの状態で残留するメカニズムは明らかではないが、以下に、主に図8を参照して、現時点で考えられ得るメカニズムについて説明する。ただし、本件発明は以下のメカニズムに限定されるものではない。
【0055】
本件発明者らが、調査したところ、金属粒子35と樹脂バインダー36とからなる表層部34を圧縮した場合、応力−ひずみ線図は図8に示された実線のようになった。この応力−ひずみ線図中の領域aにおいては、比較的に小さな応力(圧力)下で、表層部34中の樹脂バインダーが弾性変形する。しかしながら、領域aにおける応力は表層部34中の金属粒子35を変形させ得る程まで大きくはない。このため、表層部34中の金属粒子35によって、樹脂バインダー36の大きな流動が規制され、表層部34は大きく変形し得ないものと推測される。例えば、上述した図5の状態では、この領域aの応力が表層部34に加えられているものと考えられる。
【0056】
また、図8に示された応力−ひずみ線図中の領域bのように、応力が大きくなると、ひずみが急激に増える。このとき、表層部34中の金属粒子35が塑性変形するとともに、この金属粒子35の変形にともなって樹脂バインダー36も大きく変形する。具体的には、圧縮応力を受けて、金属粒子35が潰れるとともに、表層部全体としても薄く潰された状態に維持されるようになる。すなわち、表層部34を全体として考えた場合、図8に示された応力−ひずみ線図中の領域bにおける表層部34の変形は塑性変形である。上述した図6の状態は、この領域bの応力が表層部34に加えられているものと考えられる。
【0057】
さらに、図8に示された応力−ひずみ線図中の領域cのように、応力がさらに大きくなると、ひずみが大きく変化しないようになる。上述したように、図8に示された応力−ひずみ線図中の領域bにおいて、金属粒子35が圧縮塑性変形して潰れてしまっている。このため、表層部34は、もはや金属粒子35と樹脂バインダー36とからなる層ではなく、単なる金属層と同様の変形挙動を示すようになる。つまり、非常に大きな圧力が加えられない限り、表層部34は変形しないようになる。
【0058】
ところで、バックアップロール30の表層部34のうち、エンボス型面25の凸部25aに対面する領域(すなわち、表層部34に形成された凹凸形状の凹部34b)は、空運転工程中に、図8に示された応力−ひずみ線図中の領域cの状態まで変形しているものと想定される。したがって、実際のエンボス加工工程中、バックアップロール30の表層部34に形成された凹凸形状の凹部34bは、単一な金属層と同様に、非常に大きな圧力が加えられない限り変形しない。なお、表層部34のうちのエンボス型面25の凸部25aに対面する領域には、エンボス加工工程中、表層部34の他の領域と比較して大きな加えられる。しかしながら、上述したように、バックアップロール30の表層部34に加えられる圧力は、原反50が介在することにより、空運転工程と比較して全体的に平均化されている。つまり、表層部34のうちのエンボス型面25の凸部25aに対面する領域には、エンボス加工工程中、空運転工程中に加えられる圧力よりも小さな圧力しか加えられない。したがって、空運転工程によって表層部34に形成された凹凸形状の凹部34bが、エンボス加工工程中に大きく変形してしまうことはない。
【0059】
一方、バックアップロール30の表層部34のうちの、エンボス型面25の凹部25bに対面する領域(すなわち、表層部34に形成された凹凸形状の凸部34a)は、空運転工程中およびエンボス加工工程中のいずれにおいても、大きな圧力を加えられない。このため、空運転工程後の実際のエンボス加工工程において、表層部34に形成された凹凸形状の凸部34a)は、図8に示された応力−ひずみ線図中の領域aにおける変形挙動を示すものと推測される。したがって、表層部34の凹凸形状の凸部34aも、エンボス加工工程中にエンボスロールから受ける圧力によって大きく変形することはない。
【0060】
なお、図8に示された応力−ひずみ線図中の点線は、紙や羊毛等の繊維を押し固めてなるペーパーロールの表面層を圧縮した場合における応力−ひずみ線図である。図8の応力−ひずみ線図にしたがったペーパーロール表面層の変形は、実質的に塑性変形ではない。したがって、空運転工程で形成されたペーパーロール表面層の凹凸形状は、エンボス加工工程の進行にともなって平坦化されるようになる。
【0061】
以上のようにして、バックアップロール30の表層部34に形成された凹凸形状(メス型)は、エンボス加工工程中に平坦化することなく、ほとんどそのままの状態に維持され得るものと考えられる。この結果、エンボス加工工程の経過時間に依らず、原反50に凹凸柄55を精度良く形成して、加工品60を連続的に製造していくことができる。
【0062】
以上のような本実施の形態によれば、バックアップロール30の表層部34は、複数の金属粒子35と、金属粒子35間に設けられた樹脂バインダー36と、を含んでいる。このため、エンボスロール20とバックアップロール30とを空運転させることによって、エンボスロール20のエンボス型面25に形成された凹凸形状を、バックアップロール30の表層部34へ精度良く転写することができる。また、表層部34に形成された凹凸形状がエンボス加工工程中に平坦化してしまうことを効果的に抑制することも可能となる。したがって、バックアップロール30への型入れを頻繁に行うことなく、凹凸柄55を原反50に形成していくことができる。すなわち、バックアップロール30の型入れにともなった不必要なエンボス装置10の稼働停止を回避し、エンボス装置10を高い稼働率で稼働させて、優れた加工効率で原反50にエンボス加工を施していくことができる。また、形成されていく凹凸柄55を検査することによってバックアップロール30への型入れが必要な状況を検出する、といった煩雑な作業を省くことも可能となる。さらに、作製された加工品60は、高精度で一定の凹凸柄55を有するようになる。
【0063】
なお、上述した実施の形態に関し、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0064】
例えば、上述した実施の形態において、合成皮革用の離型紙を加工品60として製造する例を挙げたが、これに限られず、その他の用途に用いられる加工品60を製造することも当然に可能である。
【0065】
また、上述した実施の形態において、樹脂バインダー36を反応硬化性の樹脂としてもよい。このような変形例においては、空運転工程においてバックアップロール30の表層部34に凹凸形状を形成した後に、反応硬化性の樹脂バインダー36を硬化させることが好ましい。このように、表層部34に凹凸形状を形成した状態で樹脂バインダー36を硬化させることによって、表層部34への凹凸形状の形成に起因して表層部34中に残留応力が溜まっていたとしても、当該表層部34の凹凸形状を安定して維持することができるようになる。また、このような変形例においては、エンボス加工工程の前に、樹脂バインダー36を硬化させることが好ましい。この場合、表層部34の凹凸形状がエンボス加工工程中に平坦化してしまうことをさらに効果的に防止することができる。
【0066】
なお、反応硬化性樹脂とは、反応させることにより硬化する樹脂のことであり、典型的な例としては、熱に反応して硬化する熱硬化性樹脂、光に反応して硬化する光反応性樹脂等が挙げられる。また、光反応性樹脂としては、電子線を照射されると反応を開始して硬化する電子線硬化型樹脂や、紫外線を照射されると反応を開始して硬化する紫外線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。本変形例において、反応硬化性樹脂の硬化形態は、特に限定されず、適宜選択され得る。
【0067】
ただし、樹脂バインダー36が電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等からなる場合、樹脂バインダー36の硬化に必要となる電離放射線照射装置や加熱装置等の硬化装置42は、簡易に構成され得る。このため、型入れされたバックアップロール30をエンボス装置10に軸支された状態から取り外すことなく、図9に示すように、バックアップロール30を回転させながら、バックアップロール30の表層部34の全領域の樹脂バインダー36を硬化させることができる。この場合、凹凸形状を有するエンボス型面25を含むエンボスロール20と、エンボス型面25の凹凸形状に対応する凹凸形状を付与されたバックアップロール30と、を、加熱工程後に再度位置合わせする必要がなく、非常に都合がよい。
【0068】
なお、図9は、製造方法の一変形例における硬化工程を示す図である。図9において、上述の実施の形態と同一に構成され得る部分には、同一の符号を付し、重複する詳細な説明を省略する。
【実施例】
【0069】
実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。
【0070】
実施例に係るバックアップロールと、比較例に係るバックアップロールと、を準備し、これらの二つのバックアップロールをエンボス装置に組み込んだ。各エンボス装置には、互いに同一のエンボス型面を有したエンボスロールをそれぞれ組み込んだ。エンボスロールと、実施例に係るバックアップロールと、比較例に係るバックアップロールと、について以下に説明する。
【0071】
二つのエンボス装置を用い、上述した空運転工程を実施してバックアップロールに型入れを行った後、原反に凹凸柄を形成して加工品を作製した。二つのエンボス装置について、空運転工程におけるエンボスロールのエンボス型面からバックアップロールの表層部への凹凸形状の転写効率と、30,000mの長さの加工品を作製した場合におけるエンボス装置の稼働率と、を比較した。
【0072】
〔エンボスロール〕
合成皮革用の離型紙を加工品として製造するためのエンボスロールを用いた。エンボスロールのエンボス型面上の複数箇所において、JISB0601:2001に準拠し、表面粗さを測定したところ、以下のようになった。
Ra:10μm以上20μm以下
Rz:20μm以上100μm以下
Rmax:500μm以下
【0073】
エンボスロールの外径は300mm程度であった。
【0074】
〔実施例に係るバックアップロール〕
上述した実施の形態と同様に、心部材と、心部材上に設けられた表層部と、を有するバックアップロールを用いた。表層部は、アルミニウム製の金属粒子と、金属粒子を結合するための樹脂バインダーと、から構成されていた。
【0075】
金属粒子の平均粒径は、300μm程度であった。金属粒子と樹脂バインダーとの体積比率は、7:3であった。表層部の厚みは、7mm程度であった。バックアップロールの外径は300mm程度であった。
【0076】
〔比較例に係るバックアップロール〕
心部材と、心部材上に設けられた表層部と、を有するバックアップロールを用いた。ただし、表層部は、紙や羊毛等の繊維を押し固めて構成されていた。
【0077】
比較例に係るバックアップロールは、表層部の構成を除けば、実施例に係るバックアップロールと同様の構成とした。
【0078】
〔転写効率の比較〕
線圧100kg/cm程度で、エンボスロールとバックアップロールとを互いに向けて押圧しながら、エンボスロールおよびバックアップロールを空運転させた。目視で判断したところ、ニップ幅は1cm〜5cmであった。空運転工程は、バックアップロールの表層部が略一定の形状を有するようになるまで行った。結果として、実施例に係るバックアップロールおよび比較例に係るバックアップロールのいずれに対しても、一時間半程度の空運転を実施した。
【0079】
各バックアップロールについて、空運転によって表層部に形成された凹凸形状の算術平均粗さRaを、JISB0601:2001に準拠して測定した。各バックアップロールに対し、種々の粗さを有した複数箇所で表層部の粗さを測定した。
【0080】
比較例に係るバックアップロールについては、表層部で測定された算術平均粗さは、エンボスロールのエンボス型面の対応する位置において測定された算術平均粗さから35%程度低下していた。
【0081】
一方、実施例に係るバックアップロールについては、表層部で測定された算術平均粗さは、エンボスロールのエンボス型面の対応する位置において測定された算術平均粗さから10%程度だけ低下していた。すなわち、実施例に係るバックアップロールの表層部には、エンボスロールのエンボス型面に形成された凹凸形状が極めて精度良く転写されていた。
【0082】
〔稼働率の比較〕
バックアップロールの表層部に凹凸形状を形成した後、これらのエンボス装置により、原反に凹凸柄を転写して加工品(合成皮革用の離型紙)を作製した。エンボス装置によるエンボス加工工程中、原反に形成された凹凸柄の品質を適宜検査し、凹凸柄が一般的な水準の品質規格外となるまで平坦化していないかを確認した。凹凸柄の平坦化が確認された場合には、エンボス加工工程を中止して上述した空運転を行い、バックアップロールの表層部への型入れ(凹凸形状の再形成)を実施した。このようにして、30,000mの長さの原反に対して凹凸柄を形成し、30,000m分の加工品を製造した。エンボスロールの回転速度、および、エンボスロールと同一の周速度で回転するバックアップロールの回転速度は、実施例に係るバックアップロールを用いる場合と、比較例に係るバックアップロールを用いる場合と、で同一とした。
【0083】
比較例に係るバックアップロールを用いた場合、3〜4時間程度に一回の割合で、一回あたり一時間半を要する空運転(型入れ)を行う必要が生じた。一方、実施例に係るバックアップロールを用いた場合、30,000mの長さの原反を加工する間、空運転(型入れ)を行う必要は生じなかった。すなわち、30,000mの長さの原反を加工した後に確認したところ、バックアップロールの表層部に形成された凹凸形状はほとんど平坦化されていなかった。
【0084】
具体的な計測結果例として、1,500mの長さの原反を加工した場合、実施例に係るバックアップロールについて、表層部で測定された算術平均粗さは、加工前に計測された粗さと同一であった。一方、比較例に係るバックアップロールについては、1,500mの長さの原反を加工した後に計測された表層部の算術平均粗さは、加工前に計測された粗さから7%程度も低下していた。
【0085】
結果として、30,000mの長さの原反を加工する場合、言い換えると、30,000mの長さの加工品を製造する場合、実施例に係るバックアップロールを用いたエンボス装置の稼働率は、空運転工程が一回だけで十分であったため、98%程度と非常に高くなった。一方、30,000mの長さの原反を加工する場合、比較例に係るバックアップロールを用いたエンボス装置の稼働率は、空運転工程が頻繁に行われたため、70%程度となった。
【符号の説明】
【0086】
10 エンボス装置
20 エンボスロール
25 エンボス型面
30 バックアップロール
32 心部材
34 表層部
35 金属粒子
36 樹脂バインダー
50 原反
55 凹凸柄
60 加工品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反に凹凸柄を形成するエンボス装置であって、
前記原反に形成すべき凹凸柄に対応した凹凸形状を有するエンボス型面を、有するエンボスロールと、
前記エンボスロールに対向して配置され、前記エンボスロールとの間で前記原反を圧するようになるバックアップロールと、を備え、
前記バックアップロールは、心部材と、前記心部材上に設けられ、前記エンボスロールの前記エンボス型面と対面する表層部と、を有し、
前記表層部は、複数の金属粒子と、金属粒子間に設けられた樹脂バインダーと、を含む
ことを特徴とするエンボス装置。
【請求項2】
前記金属粒子は、20μm以上400μm以下の平均粒径を有している
ことを特徴とする請求項1に記載のエンボス装置。
【請求項3】
前記表層部内で前記金属粒子が占める体積割合は、60%以上90%以下である
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエンボス装置。
【請求項4】
前記金属粒子は、アルミニウム、銅、鉄、または、これらの合金である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンボス装置。
【請求項5】
前記バックアップロールの前記表層部には、前記エンボス型面の前記凹凸形状に対応した凹凸形状が形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンボス装置。
【請求項6】
前記樹脂バインダーは、反応硬化性の樹脂からなる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエンボス装置。
【請求項7】
原反に凹凸柄を形成するエンボス装置のエンボスロールに対向して配置されるバックアップロールであって、
心部材と、
心部材上に設けられた表層部であって、前記エンボスロールに形成されたエンボス型面と対面する表層部と、を備え、
前記表層部は、複数の金属粒子と、金属粒子間に設けられた樹脂バインダーと、を含む
ことを特徴とするバックアップロール。
【請求項8】
前記金属粒子は、20μm以上400μm以下の平均粒径を有している
ことを特徴とする請求項7に記載のバックアップロール。
【請求項9】
前記表層部内で前記金属粒子が占める体積割合は、60%以上90%以下である
ことを特徴とする請求項7または8に記載のバックアップロール。
【請求項10】
前記金属粒子は、アルミニウム、銅、鉄、または、これらの合金である
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載のバックアップロール。
【請求項11】
前記バックアップロールの前記表層部には、前記エンボス型面の凹凸形状に対応した凹凸形状が形成されている
ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載のバックアップロール。
【請求項12】
前記樹脂バインダーは、反応硬化性の樹脂からなる
ことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載のバックアップロール。
【請求項13】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載されたエンボス装置を用いて原反に凹凸柄を形成し、加工品を製造する製造方法であって、
前記エンボスロールおよび前記バックアップロールを空運転させ、前記エンボスロールのエンボス型面の凹凸形状に対応した凹凸形状を、前記バックアップロールの前記表層部に形成する空運転工程と、
前記空運転工程後に実施される工程であって、前記原反を間に挟んだ状態で前記エンボスロールおよび前記バックアップロールを回転させ、前記原反に凹凸柄を形成していくエンボス加工工程と、を備える
ことを特徴とする製造方法。
【請求項14】
前記樹脂バインダーは、反応硬化性の樹脂からなり、
製造方法は、前記空運転工程後かつ前記エンボス加工工程前に実施される工程であって、凹凸形状を形成された前記表層部の前記樹脂バインダーを硬化させる工程を、さらに備える
ことを特徴とする請求項13に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−298143(P2009−298143A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112070(P2009−112070)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】