説明

オピオイド受容体モジュレーターとしてのオクタヒドロイソキノリン化合物

オピオイド受容体に結合する化合物を提供する。本発明の好ましい実施態様では、前記化合物はオピオイド受容体アンタゴニストである。本発明は、オピオイド受容体によって媒介される疾患を治療するための方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オピオイド受容体に結合する化合物に関する。本発明の好ましい実施態様では、前記化合物はオピオイド受容体アンタゴニストである。本発明は、オピオイド受容体によって媒介される疾患を治療する方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
オピオイド受容体システムは広範に研究されており、数千の化合物が合成されて、放射リガンド結合アッセイ、組織アッセイ、及び動物モデルにおいて評価されている(1)。オピオイドアゴニストの多数の構造型が発見されており、幾つか、例えば、メタドン、メペリジン、フェンタニル、及びペンタゾシンなどが、痛みの治療のための重要な薬剤となっている(1)。対照的に、強力且つ純粋なオピオイドアンタゴニスト活性を示す構造型は数少ない(1)。他の薬物の乱用の治療のためのオピオイドアンタゴニストの実証されている効果、並びに肥満、うつ病、及び他の中枢神経疾患の治療における潜在的な使用が、オピオイド受容体の新規アンタゴニストの開発に対する新しい関心をもたらす(1,2)。
【0003】
増大する証拠が、内在性のκオピオイドシステムが、ストレス、うつ病、及び他の中枢神経系に関与することを示している。ストレス及びうつ病の双方は、薬物乱用(コカイン、ヘロイン、メタンフェタミン、ニコチン、及びアルコール)の再発に関わるため、κアンタゴニストは、薬物乱用の再発の治療に有用であろう。加えて、内在性のκオピオイドシステムがμアゴニストの作用に対抗するという事実が、κ受容体システムについて選択的なアゴニストが、過度に活性が高いκ受容体システムによって生じる禁断症状を抑えるか又は除去し、かくして自制を促進し、再発を防止する。そのため、薬物動態プロフィールの改善を有する新規κアンタゴニストの開発は大きな価値を有するであろう。
【0004】
そのアンタゴニスト活性がN置換基に依存するオキシモルホン関連化合物、例えば、ナロキソン(1a)及びナルトレキソン(1b)(図1)は、過去数十年間に亘って非常に大きな注目を受けている。ナロキソン(1a)は、ヘロインの過剰摂取を治療し、モルヒネによって生じる呼吸抑制障害に対する認可された薬剤として使用されている。Naltrexone(1b)は、へレイン及びアルコール中毒の治療に使用されている。Portogheseらによる草分け的な研究によって、典型的なκ及びδオピオイド受容体アンタゴニスト、ナルトリンドール(2、NTI)、ノルビナルトルフィミン(3,nor−BNI)、及びGNTI(4)の開発が為されている(5−6)。より最近では、本発明者によって、純粋なアンタゴニストのN置換トランス−3,4−ジメチル−(3−ヒドロキシフェニル)ピペリジンの部類から誘導される選択的κオピオイド受容体アンタゴニストJDTic(5)を発見した。
【非特許文献1】(1) Aldrich, J. V. Narcotic Analgesics. In Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 6th ed.; Abraham, DJ. Ed.; John Wiley & Sons: New York, 2003; Vol. 6, Chapter 7.
【非特許文献2】(2) Kreek, M.J.; LaForge, K.S.; Butelman, E. Pharmacotherapy of addictions. Nat. Rev. DrugDiscov, 2002, 1, 710-726.
【非特許文献3】(3) Jones, R.M.; Hjorth, S.A.; Schwartz, T. W.; Portoghese, P. S. Mutational evidence for a common kappa antagonist binding pocket in the wild-type kappa and mutant mu[K303E] opioid receptors. J. Med. Chem. 1998, 41, 4911-4914.
【非特許文献4】(4) Jones, R.M.; Portoghese, P. S. 5'-Guanidinonaltrindole, a highly selective and potent kappa-opioid receptor antagonist. Eur. J. Pharmacol. 2000, 396, 49-52.
【非特許文献5】(5) Portoghese, P. S.; Lipkowski, A. W.; Takemori, A.E. Binaltorphimine and nor- binaltorphimine, potent and selective κ-opioid receptor antagonists. Life Sci. 1987, 40, 1287-1292.
【非特許文献6】(6) Stevens, W.C., Jr.; Jones, R.M.; Subramanian, G.; Metzger, T.G.; Ferguson, D.M.; Portoghese, P. S. Potent and selective indolomorphinan antagonists of the kappa- opioid receptor. J. Med. Chem. 2000, 43, 2759-2769.
【非特許文献7】(7) Thomas, J.B.; Mascarella, S.W.; Rothman, R.B.; Partilla, J.S.; Xu, H.; McCullough, K.B.; Dersch, CM.; Cantrell, B.E.; Zimmerman, D.M.; Carroll, F.I. Investigation of the N-substituent conformation governing potency and μ receptor subtype-selectivity in (+)-(3R,4R)-dimethyl-4-(3-hydroxyphenyl)piperidine opioid antagonists. J. Med. Chem. 1998, 41, 1980-1990.
【非特許文献8】(8) Thomas, J.B.; Fall, M.J.; Cooper, J.B.; Rothman, R.B.; Mascarella, S.W.; Xu, H.; Partilla, J.S.; Dersch, CM.; McCullough, K.B.; Cantrell, B.E.; Zimmerman, D.M.; Carroll, F.I. Identification of an opioid K receptor subtype-selective N-substituent for (+)-(3R,4R)-dimethyl-4-(3-hydroxyphenyl)piperidine. J. Med. Chem. 1998, 41, 5188-5197.
【非特許文献9】(9) Thomas, J.B.; Atkinson, R.N.; Vinson, N.A.; Catanzaro, J.L.; Perretta, CL.; Fix, S.E.; Mascarella, S.W.; Rothman, R.B.; Xu, H.; Dersch, CM.; Cantrell, B.E.; Zimmerman, D.M.; Carroll, F.I. Identification of (3R)-7-hydroxy-N-(( IS)-I - [[(3R,4R)-4-(3-hydroxyphenyl)-3,4-dimethyl-l-piperidinyl]methyl]-2- methylpropy I)-1, 2,3, 4-tetrahydro-3-isoquinolinecarboxamide as a novel potent and selective opioid kappa receptor antagonist. J. Med. Chem. 2003, 46, 3127-3137.
【非特許文献10】(10) Thomas, J.B.; Atkinson, R.N.; Rothman, R.B.; Fix, S.E.; Mascarella, S.W.; Vinson, N.A.; Xu5 H.; Dersch, CM.; Lu, Y.; Cantrell, B.E.; Zimmerman, D.M.; Carroll, F.I. Identification of the first trans-(3R,4R)-dimethyl-4-(3- hydroxyphenyl)piperidine derivative to possess highly potent and selective opioid kappa receptor antagonist activity. J. Med. Chem. 2001, 44, 2687-2690.
【非特許文献11】(11) Carroll, F.I.; Thomas, J.B.; Dykstra, L.A.; Granger, A.L.; Allen, R.M.; Howard, J.L.; Pollard, G.T.; Aceto, M.D.; Harris, L. S. Pharmacological properties of JDTic: A novel κ-opioid receptor antagonist. Eur. J. Pharmacol. 2004, 501, 111-119.
【非特許文献12】(12) Thomas, J.B.; Zheng, X.; Mascarella, S.W.; Rothman, Richard B.; Dersch, Christina M.; Partilla, John S.; Flippen-Anderson, Judith L.; George, Clifford F.; Cantrell, B.E.; Zimmerman, Dennis M.; Carroll, F.I. N-Substituted 9β-methyl-5- (3-hydroxyphenyl)morphans are opioid receptor pure antagonists. J. Med. Chem. 1998, 41, 4143-4149.
【非特許文献13】(13) Zimmerman, D.M.; Nickander, R.; Horng, J.S.; Wong, D.T. New structural concepts for narcotic antagonists defined in a 4-phenylpiperidine series. Nature 1978, 275, 332-334.
【非特許文献14】(14) Zimmerman, D.M.; Leander, J.D.; Cantrell, B.E.; Reel, J.K.; Snoddy, J.; Mendelsohn, L.G.; Johnson, B. G.; Mitch, CH. Structure-activity relationships of the trans-3,4-dimethyl-4-(3-hydroxyphenyl)piperidine antagonists for μ and K opioid receptors. J. Med. Chem. 1993, 36, 2833-2841.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Zimmermanらは、トランス−4a−アリールデカヒドロイソキノリンアナログがμ及びκオピオイド受容体に高い親和性を有し、動物アッセイにおいて強力な鎮痛剤であったことを報告した。トランス−4a−アリールデカヒドロイソキノリン中のN置換を変化することによる効果は、他のモルヒネの部分的構造を用いた過去の知見に匹敵した。フェネチル基を用いたNメチルの置換は、鎮痛効果を有意に増大した。N−シクロプロピルメチルアナログは、混合アゴニスト−アンタゴニスト性質を有することがげっ歯類において認められたが、N−(シクロプロピルメチル)モルフィナン及びベンゾモルファン誘導体について報告されていたものよりも非常に弱いものであった。本願では、N置換4a−(3−ヒドロキシフェニル)−8a−メチルオクタヒドロイソキノリンを合成する方法を提供し、これらの化合物が強力且つ純粋なオピオイドアンタゴニストであるという試験データを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主題は、オピオイド受容体の活性を調節する化合物を提供することである。
【0007】
本発明の主題は、オピオイド受容体アンタゴニストを提供することである。
【0008】
本発明の他の主題は、オピオイド受容体によって媒介される疾患を治療する方法を提供することである。
【0009】
本発明の前記主題及び他の主題は、下式の化合物又はその製薬学的に許容される塩によって達成されて良い。
【0010】
【化1】

【0011】
式中、Mは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、CN、OC1−8アルキル、OC3−8アルケニル、OC3−8アルキニル、又はOC1−8アルキルアリールである;
は、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルアリール、又は下式のものである。
【0012】
【化2】

【0013】
(S)は、水素、CHCOH、CHCOCH、又はCHCOである;
(S)は、水素、CH、C、CH、又はCHCHである;
は、=O、水素、NR、又は下式のものである。
【0014】
【化3A】

【化3B】

【化3C】

【化3D】

【化3E】

【化3F】

【化3G】

【0015】
Xは、NR、O、又はSである;
Yは、OH、OR、C1−8アルキル、F、Cl、Br、CF、又はCNである;
Rは、水素、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルアリール、又はCOである;
Wは、水素、OH、OCOR、N(R、NRSO、NRCOR、NRCO、CONH、又はNHCHOである;
Zは、NR、O、又はSである;
nは、1、2、又は3である;
mは、1、2、3、又は4である;
jは、2、3、又は4である;
kは1又は2である;
の各々は、独立に、C1−3アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルアリール、CHY、又はCORである;
の各々は、独立に、水素、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、又はC1−8アルキルアリールである;
及びRの各々は、独立に、水素、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルシクロアルキル、又はC1−8アルキルアリールである;
及びRの各々は、独立に、水素、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルシクロアルキル、又はC1−8アルキルアリールである;
は,C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、又はC1−8アルキルアリールである。
【0016】
本発明の前記主題は、上述の化合物及び製薬学的に許容される賦形剤又は希釈剤を含む医薬組成物によって達成されても良い。
【0017】
本発明の前記主題は、オピオイド受容体によって媒介される疾患の治療を必要とする対象に上記の化合物の有効量を投与する工程を含む、オピオイド受容体によって媒介される疾患を治療する方法によって達成されても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、オピオイド受容体の活性に作用する化合物を提供する。これらの化合物は、下記の一般式又はその製薬学的に許容される塩によって表わされる。
【0019】
【化4】

【0020】
式中、Mは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、CN、OC1−8アルキル、OC3−8アルケニル、OC3−8アルキニル、又はOC1−8アルキルアリールである;
は、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルアリール、又は下式のものである。
【0021】
【化5】

【0022】
(S)は、水素、CHCOH、CHCOCH、又はCHCOである;
(S)は、水素、CH、C、CH、又はCHCHである;
は、=O、水素、NR、又は下式のものである。
【0023】
【化6A】

【化6B】

【化6C】

【化6D】

【化6E】

【化6F】

【化6G】

【0024】
Xは、NR、O、又はSである;
Yは、OH、OR、C1−8アルキル、F、Cl、Br、CF、又はCNである;
Rは、水素、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルアリール、又はCOである;
Wは、水素、OH、OCOR、N(R、NRCOR、NRSO、NRCO、CONH、又はNHCHOである;
Zは、NR、O、又はSである;
nは、1、2、又は3である;
mは、1、2、3、又は4である;
jは、2、3、又は4である;
kは1又は2である;
の各々は、独立に、C1−3アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルアリール、CHY、又はCORである;
の各々は、独立に、水素、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、又はC1−8アルキルアリールである;
及びRの各々は、独立に、水素、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルシクロアルキル、又はC1−8アルキルアリールである;
及びRの各々は、独立に、水素、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルシクロアルキル、又はC1−8アルキルアリールである;
は,C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、又はC1−8アルキルアリールである。
【0025】
本明細書全体に亘って使用する用語「アルキル基」は、その全ての構造異性体、例えば、直鎖、分枝、又は環式のアルキル基及び部分、並びにそれらの混合された構造(例えば、シクロプロピル−CH−)を含む。他に示さない限り、本明細書で記載する全てのアルキル基は、1から8の炭素原子を有し、その間の全ての具体的な値及び部分的な範囲、例えば、2、3、4、5、6、又は7炭素原子を含む。
【0026】
本明細書で使用する用語「アルキルアリール基」は、アルキル基に結合したアリール部分を示す。アリール部分は、6から20の炭素原子を有して良い。アリール部分は、炭素原子及び水素原子のみを含有して良い。代替的に、前記アリール部分は、ヘテロ原子、例えば、1、2、又は3つのヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、及び硫黄)を含有して良い。特に好ましいアリール部分は、フェニルである。アルキルアリール基のアルキル基は、上述のものであって良い。前記アルキル基若しくは部分及び/又はアリール部分は置換されて良い。適切な置換基は、ハロゲン(F、Cl、Br、及びI)、アルキル基(例えば、C−C)、アルケニル基(例えば、C−C)、アルコキシ基(例えば、C−Cアルコキシ基)、ヒドロキシ、−CF、−CN、−NH、−NHR、又は−N(Rを含む。R基は、独立に、アルキル基(例えば、上述のもの)、アリール基(例えば、フェニル)、又はアルキルアリール基(例えば、ベンジル)である。代替的に、R基は共に、環式アルキル基を形成して良い。そのような環式アルキル基は、好ましくは2から8つ、特に好ましくは4又は5つの炭素原子を含有して良い。
【0027】
アルケニル基又はアルキニル基は、各々、1つ以上の二重結合又は三重結合を有して良い。容易に理解されるであろうが、アルケニル又はアルキニル基がヘテロ原子に結合する際は、ヘテロ原子に直接結合した炭素原子とは二重結合又は三重結合を形成しない。
【0028】
アリール基は、炭化水素アリール基、例えば、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル基であって、1つ以上のC1−4アルキル基の置換基を有して良い。アリール−C1−8アルキル基のアリール部分は、好ましくはフェニル基である。フェニル基は、1つ以上の上述の置換基で置換されるか又はされなくて良い。アリール−C1−8アルキル基のC1−8アルキル部分は、1つ以上の上述の置換基又はケト(すなわち、炭素原子上の2水素が=Oによって置換される)で置換されるか又はされなくて良い。置換基は、存在する場合には、好ましくはアリール部分に対してα及び/又はβ若しくはγ炭素原子に存在する。
【0029】
図2は、本発明の範囲内の化合物の代表例の構造を示す。1つの実施態様では、
Mは、水素、C1−4アルキル、又はOC1−8アルキルである;
は、C1−8アルキル又はC1−8アルキルアリールである;
は、=O、水素、又はNRである;
Wは、水素又はOHである;並びに
はC1−3アルキルである。
【0030】
他の実施態様では、前記化合物は下式によって表わされる。
【0031】
【化7】

【0032】
他の実施態様では、前記化合物は下式によって表わされる。
【0033】
【化8】

【0034】
式中、Rは、CH、C(CH、又はC(CHである。
【0035】
他の実施態様では、前記化合物は下式によって表わされる。
【0036】
【化9】

【0037】
他の実施態様では、前記化合物は下式によって表わされる。
【0038】
【化10】

【0039】
1つの実施態様では、環上の置換基はシス位である。
【0040】
他の実施態様では、Wは、NH、NHC1−8アルキル、又はWはN(Rであり、式中の各Rは、独立に、C1−8アルキル基である。
【0041】
本発明の化合物はアヘン剤であって、好ましくはκ受容体に選択的なアゴニストである。κ/μ選択性は、少なくとも2:1であって良いが、好ましくはより高く、例えば、少なくとも5:1、10:1、25:1、50:1、100:1、又は200:1である。κ/δ選択性は、少なくとも2:1であって良いが、好ましくはより高く、例えば、少なくとも5:1、10:1、25:1、50:1、100:1、200:1、250:1、又は500:1である。
【0042】
本発明の化合物は、例えば、図3−5に示される反応順序に従って合成されて良い。
【0043】
本発明に係る化合物の製薬学的な塩が重要な態様である。化合物の製薬学的な塩は、化合物に存在する任意の酸性基又は塩基性基と塩を形成することによって得られて良い。化合物の製薬学的に許容される塩の例は、塩酸、p−トルエンスルホン酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸、サリチル酸、シュウ酸、臭化水素酸、リン酸、メタンスルホン酸、酒石酸、マレイン酸、ジ−p−トルオイル酒石酸、酢酸、硫酸、ヨウ化水素酸、マンデル酸、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びリチウムの塩である。メシル酸塩及び/又はクエン酸塩が特に好ましい。
【0044】
上記のように、前記化合物は光学中心を有して良く、そのため異なる光学異性体及び他の立体異性体構造を生じて良い。本発明は、上述の化合物の全ての光学異性体、ジアステレオマー、及び立体異性体、並びにラセミ体及び他の混合物を含む。
【0045】
本発明は、天然に通常認められる原子質量又は原子番号とは異なる原子質量又は原子番号を有する原子によって、1つ以上の原子が置換されていることを除いて、上記のものと同一の同位体標識化合物も含む。本発明の化合物に組み込まれて良い同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、ヨウ素、及び塩素の同位体、例えば、H、11C、14C、18F、76Br、123I、及び125Iを含む。上述の同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含有する本発明の化合物及び化合物の製薬学的に許容される塩は、本発明の範囲内である。本発明の同位体標識化合物は、例えば、H及び14Cのような放射性同位体が組み込まれているものが、薬剤及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化したもの、すなわちH、及び炭素14、すなわち14Cのような同位体は、調製及び検出が容易であるため特に好ましい。11C、18F、及び76Br同位体は、PET(陽電子放出断層撮影法)に特に有用であり、125I同位体は、SPECT(単光子放射型コンピュータ断層撮影法)において特に有用であり、脳撮像についてはすべて有用である。さらに、重水素のような、より重い同位体、すなわちHは、より良好な代謝安定性による一定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の増大又は必要な用量の低減をもたらし得るため、ある場合においては好ましい可能性がある。同位体標識化合物は、容易に入手可能な同位体標識試薬によって非同位体標識試薬を置換することにより、上述の手法を実施することによって一般的に調製されて良い。
【0046】
したがって、本発明は、1つ以上の原子が、天然に通常認められる原子質量又は原子番号とは異なる原子質量又は原子番号を有する化合物、あるいはその様な化合物の製薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、ヒトを含む哺乳動物の対象に同位体標識化合物又はその製薬学的に許容される塩を投与する工程を含み、前記対象中のオピオイド受容体の撮像において有効な、前記対象のオピオイド受容体の画像を得るための方法も提供する。
【0047】
本発明の化合物は、単回用量又は複数回用量において、製薬学的に許容される担体と組み合わせるか又は単独で投与されて良い。適切な製薬学的な担体は、不活性な固体希釈剤又はフィラー、滅菌水溶液、及び各種の有機溶媒を含む。化合物又は製薬学的に許容される塩と組み合わせて形成される医薬組成物は、錠剤、粉末剤、ロゼンジ剤、シロップ剤、及び注射可能な溶液などのような各種の剤形において容易に投与され得る。これらの医薬組成物は、所望される場合には、香味剤、バインダー、及び賦形剤のような追加の成分を含有して良い。かくして、経口投与のために、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、及びリン酸カルシウムのような各種の賦形剤を含有する錠剤は、デンプン、メチルセルロース、アルギン酸、及び所定の複合シリケートのような各種の崩壊剤と共に、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン、及びアカシアのような結合剤と共に、使用されて良い。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びタルクのような潤滑剤が、多くの場合において錠剤化のために有用である。同様なタイプの固体組成物が軟充填ゼラチンカプセル及び硬充填ゼラチンカプセルとして利用されても良い。このために好ましい物質は、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁物又はエリキシル剤が経口投与のために好ましく、その本質的な活性成分は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、及びそれらの組み合わせのような希釈剤と共に、各種の甘味剤若しくは香味剤、有色物質若しくは染料、並びに所望される場合には乳化剤若しくは懸濁剤と組み合わせて良い。
【0048】
非経口投与については、ゴマ油若しくはピーナッツ油、水性プロピレングリコール、又は滅菌水溶液中に本発明の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する溶液が使用されて良い。その様な水溶液は、必要であれば適切に緩衝化されるべきであり、液体希釈剤を初めに十分な生理食塩水又はグルコースで等張化する。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内投与に特に適切である。使用する滅菌水媒体は、当業者に既知の標準的な技術によって容易に利用可能である。
【0049】
化合物又はその製薬学的に許容される塩は、経口、経皮(例えば、パッチを使用して)、非経口(例えば、静脈内)、直腸、局所、又は吸入によって投与されて良い。一般的には、化合物を使用する本明細書に記載の疾患又は状態の治療のための毎日の投与は、治療する動物の体重の約0.01から約100mg/kg、好ましくは約0.1から約10mg/kgであろう。例えば、化合物又はその製薬学的に許容される塩は、一回又は複数回において、約0.5mgから約10g/日、好ましくは約1mgから約1g/日の範囲の用量で平均体重(70kg)の成人の治療のために投与されて良い。上述の用量の変形例が、体重、年齢、治療する動物の状態、重度、及び選択される特定の投与経路を考慮に入れて、通常の技術を持った医師によって為されて良い。
【0050】
本発明の化合物はオピオイド受容体に結合するために使用される。その様な結合は、前記受容体と有効量の本発明の化合物とを接触させることによって達成されて良い。言うまでも無く、その様な接触は、好ましくは生理的に適切なイオン強度及びpHなどで水性媒体において好適に実施される。
【0051】
本発明は、過敏性腸症候群;便秘;悪心;嘔吐;そう痒性皮膚症、例えばアレルギー性皮膚症又は接触皮膚症;乾癬;湿疹;虫刺され;摂食障害、例えば食欲不振、多食症、又は肥満;うつ病、不安、精神分裂病;麻薬中毒、例えば、アルコール中毒、アンフェタミン中毒、コカイン中毒、及びオピオイド中毒;例えばモルヒネ、オピウム、又はヘロイン;オピオイド過量摂取;性機能障害、例えば、勃起機能不全又は性交不能;脳卒中;頭部外傷;外傷性脳損傷;脊椎損傷;パーキンソン病;アルツハイマー病;加齢に関連する認識衰退;並びに注意欠陥及び多動性障害から選択される状態、疾患、又は病気の状態を有する治療を必要とする対照を治療する方法であって、前記対象の状態、疾患、又は病気の状態の治療に有効な上述の化合物又はその製薬学的に許容される塩の量を対象に投与する工程を含む方法も提供する。
【0052】
治療しようとする対象は、ヒト又はヒトではない動物、好ましくは哺乳動物であって良い。適切なヒトではない動物の例は、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシ、及びウマを含む。
【0053】
本発明に係る化合物のオピオイド受容体に対する結合を測定するために使用されて良いアッセイは、当該技術分野において良く知られている。これらのアッセイは、in vitro又はin vivoアッセイにおいて化合物のアゴニスト又はアンタゴニスト活性を測定することによって、オピオイド受容体を調節(すなわち、阻害、部分的に阻害、活性化、又は部分的に活性化)する化合物の機能を評価するために使用されて良い。これらのアッセイは、例えば、Martin, et al., J.Pharm.Exp.Ther.,301,661−671(2003)及びZaki,et al.,J.Pharm.Exp.Ther.,298,1015−1020(2002)に記載のGTPγS結合アッセイ、並びに他の結合アッセイ、例えばTakayama,et al.,J.Med.Chem.,45,1949−1956(2002)に記載のような単離したモルモット回腸及び受容体結合アッセイ、及びWentland,et al.,J.Med.Chem.,46,838−849(2003)に記載のモルモット脳結合アッセイを含む。関心のある化合物の機能活性を測定するためのマウス脳組織の使用は、Martin,et al.,同上に開示されているようなオピオイド受容体における本発明の化合物の調節を特徴付けるために使用し得る他の結合アッセイである。他の結合アッセイは、とりわけHosohata,et al.,J.Pharm.Exp.Ther.,304,683−688(2003)に記載のマウスにおけるテイルフリックアッセイ又はマウスにおける放射熱paw−withdrawal痛覚過敏試験を含む。これらのアッセイ又はこれらのアッセイの変形例は、当業者によく知られている。上述の参照文献の各々は、参照によって本明細書に組み込む。
【0054】
化学
N置換シス−8a−メチル−4a−(3−ヒドロキシルフェニル)オクタヒドロイソキノリン(6a−c)を、図3−4に略述したようにテトラヒドロピリジン(7)12から合成した。−78℃でテトラヒドロフランにおいてsec−ブチルリチウムで7の脱プロトン化によってメタル化エナミンを提供し、1−ブロモー4−クロロブタンのエーテル溶液に添加して環内エナミン8が得られた。この物質を単離せずに、還流しながらアセトニトリル中においてヨウ化ナトリウムで処理して、エタノール中においてホウ化水素ナトリウムで還元して、オクタヒドロイソキノリンメチルエーテル9が得られた。還流48%臭化水素中で9のO−脱メチル化することによって、所望の6aが得られた。6aの塩酸塩の単結晶X線分析によって、4a−(3−ヒドロキシフェニル)基及び8a−メチル基が互いにシスであり、4a−(3−ヒドロキシフェニル)基がエカトリアル位にあることが示された。
【0055】
N−フェネチル及びN−フェンプロピル4a−(3−ヒドロキシフェニル)−8a−メチルオクタヒドロイソキノリン(6b及び6c)を、図4に記載の方法によって9から調製した。1−クロロエチルクロロホルメート(ACE−Cl)を使用する9の処理に続いて、メタノール中において結果として得られる生成物を還流し、N−脱メチル化生成物10が得られた。還元剤としてトリアセトキシホウ化水素ナトリウムを使用して、フェニルアセトアルデヒド又はヒドロシンナムアルデヒドで10の還元アミノ化することによって、N−フェネチル及びN−フェンプロピルメチルエーテル中間体11及び12の各々を得た。酢酸中における還流48%臭化水素酸による11及び12の処理によって、所望の生成物6b及び6cを得た。
【0056】
アシルアミノN−フェネチル−4a−(3−ヒドロキシフェニル)−8a−メチルオクタヒドロイソキノリンアナログ6d−gを、図5に略述したように合成した。−10から0℃でテトラヒドロフラン中においてsec−ブチルリチウムを用いた7の脱プロトン化により、メタル化イミンを得て、テトラヒドロ−(2−オキシルアニルエトキシ)−2H−ピラン(13)のエタノール溶液に添加して、中間体14を得た。14及びトリフェニルホスフィンのテトラヒドロフラン溶液に臭素を添加して、ブロモ化合物15を得た。無水酢酸及び無水トリフルオロ酢酸の混合物を用いた15の処理によって、ブロモアセトキシ中間体16を得た。炭酸カリウムを含有する16のアセトニトリル溶液を3時間還流して、アセテートの環化及び加水分解の双方に作用した。ホウ化水素ナトリウムを用いた還元によって、6−ヒドロキシオクタヒドロイソキノリン17を得た。塩化メチレン中のジメチルスルホキシド及び塩化オキサリルを用いた17のSwern(Moffatt−Swern)酸化によってケト化合物18が得られた。エタノール中のヒドロキシアミン塩酸を用いた18の縮合によって19が得られ、還流トルエン中におけるナトリウム及び2−プロパノールを用いた還元により20が得られた。無水フタル酸と共に20のトルエン溶液を還流して、フタルイミド21を得た。21から22へのN−脱メチル化は、1,2−ジクロロエタン中で1−クロロエチルクロロホルメートを使用し、続いて還流メタノール中で結果として得られたカルバメートを加水分解することによって達成した。トリアセトキシホウ化水素ナトリウムを使用して、ヒドロシンナムアルデヒドと共に22の還元アルキル化をすることによって、N−フェニルプロピルアナログ23が得られた。23の単結晶X線分析によって、6a塩酸と同様に、4a−(3−ヒドロキシフェニル)基と8aメチルは互いにシスであり、4a−(3−ヒドロキシフェニル)基はエカトリアル位であルことが示された。加えて、6−フタルイミド基はエカトリアル位であり、エカトリアル及びアキシアル位の4a−(3−ヒドロキシフェニル)及び8a−メチル基の各々に対してトランスである。エタノール中においてヒドロラジンと共に23を還流することによって、N−フェニルプロピル−6−アミノ化合物24を得た。テトラヒドロフラン/トリエチルアミン中において、ベンゾトリアゾールー1−イルオキシ−トリス−(ジメチルアミノ)ホスフェート(BOP、Castro’s reagent)を使用して、適当に置換したカルボン酸と共に24のカップリングすることによって、所望のメトキシ−保護6−アシルアミノ化合物25a−dが得られた。‐78℃で塩化メチレン中における三臭化ホウ素を用いた25a−dのO−脱メチル化によって、最終生成物である6d−gが得られた。
【実施例】
【0057】
N−メチル−4a−(3−メトキシフェニル)−8a−メチルオクタヒドロイソキノリン(9)
乾燥した三口丸底フラスコに、2.27g24(0.01mol)の7及び50mLの乾燥THFを入れた。これを−78℃に冷却して、これに11.2mL(14.6mmol)のs−BuLi(シクロヘキサン中、1.3M)をシリンジで20分に亘って添加した。フラスコを−20℃まで加温して、30分間放置した。フラスコを−78℃まで冷却して、50mLの乾燥ジエチルエーテル及び5.90g(0.034mol)の1−ブロモ−4−クロロブタンの混合物にカニューレを−50℃で20分に亘って挿入した。この混合物を1時間放置し、次いで氷冷1N HClを用いてクエンチした。氷冷エーテル及び氷冷1N HClと共に、フラスコの内容物を分液漏斗に移した。水性相を除去して氷浴に入れ、有機相を氷冷1N HClを用いて二回抽出した。混合した水性相を新しい分液漏斗に移し、氷冷エチルエーテルで二回抽出した。水性相を50% NaOHを使用してpH10まで塩基性にした。その水性相を氷冷エチルエーテルで三回抽出した。エーテル抽出物を(KCO)で乾燥させ、濾過し、0℃で溶媒を除去した。結果として得られた残留物を40mLの乾燥CHCNに溶解し、これを3.91g(0.027mol)のNaI及び2.89g(0.021mol)のKCOに添加した。フラスコを還流冷却器に取り付け、20時間攪拌しながら還流した。その反応混合物を室温まで冷却して濾過した。回転エバポレーターで溶媒を除去して、残留物を100mLのエタノールに溶解した。この混合物に、3.35g(0.089mol)のNaBHを一度に添加し、その混合物を一晩攪拌した。翌日に、水素の更なる発生が観察されなくなるまで、1N HClを混合物に添加した。その混合物を10分間攪拌し、次いで50%NaOH及び水を混合物が透明且つ塩基性になるまで添加した。揮発性物質を回転エバポレーターで除去して、残留物を塩化メチレンで抽出した。有機相を無水NaSOで乾燥した。回転エバポレーターで溶媒を除去して、粗生成物を得て、15%エチルアセテート/へキサンを溶出液とするアルミナクロマトグラフィーによって精製し、2.1g(76%)の所望の生成物9をほぼ無色の粘性油として得た:1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.09 [s, 3H], 1.54 [br, 8H], 1.88 [m, 3H], 2.11 [s, 3H], 2.50 [m, 3H], 3.81 [s, 3H], 6.74 [br, IH], 7.08 [s, IH], 7.20 [m, 2H]; 13CNMR (300 MHz, CDCl3) δ 158.1, 127.8, 121.6, 115.9, 109.7, 64.6, 54.7, 46.2, 41.6, 36.5, 35.3, 21.5, 21.2。
【0058】
この物質は、次の工程において6aを調製するために使用した。
【0059】
N−メチル−4a−(3−ヒドロキシフェニル)−8aメチルオクタヒドロイソキノリン(6a)塩酸
25mLの一口フラスコに、180mg(0.65mmol)の9及び5mLの氷酢酸及び5mLの48%HBrを添加した。この混合物を18時間に亘って還流しながら加熱し、次いで室温まで冷却した。次いで、50%NaOHでpHを10に調節して、冷却した。この混合物を3×塩化メチレンで抽出した。その有機相を乾燥(Na2SO4)で抽出して、減圧条件下で濃縮し、0.17g(99%)の粗生成物を白色固体として得た。15%酢酸エチル/へキサンを使用するアルミナクロマトグラフィーによって精製して、0.140g(83%)の所望の生成物を白色結晶固体として得た。
【0060】
この遊離塩基をMeOHに溶解して、これに乾燥エチルエーテル中の3当量の1N HClを添加して、塩酸塩を得た;mp 291-293 °C; 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 0.91 [s, 3H], 1.02 [d, 2H], 1.61-1.29 [m, 6H], 2.28 [s, IH]5 2.57-2.49 [m, 4H], 3.38 [s, 3H], 3.90 [t, IH], 6.51 [m, IH], 7.09-6.73 [m, 3H], 9.18 [s, IH], 9.71 [br s, IH]; 13CNMR (300 MHz, DMSOd6) δ 156.9, 147.5, 128.7, 119.4, 116.3, 113.0, 59.8, 49.9, 43.3, 36.8, 36.6, 34.4, 32.5, 31.3, 24.7, 21.3, 20.5. Anal. (C17H26ClNO・0.75H2O) C, H, N。
【0061】
4a−(3−メトキシフェニル)−8a−メチルオクタヒドロイソキノリン(10)
無水1,2−ジクロロエタン(15mL)中の430mg(1.59mmol)の9の溶液に、250mg(1.75mmol)の1−クロエチルクロロホルメートを滴下して加えた。結果として得られた溶液を20時間に亘って還流条件下で加熱し、次いで室温まで冷却した。その混合物を飽和ナトリウムビカーボネート溶液及び水で洗浄し、有機相を蒸発させ、結果として得られた油をメタノールに急速に溶解し、一晩還流した。室温まで冷却した後、メタノールを減圧条件下で除去して、その残留物を飽和ナトリウムビカーボネート溶液で処理した。その混合物を3:1の塩化メチレン/THFで抽出して、混合した有機抽出物を水で一度洗浄した。溶媒を除去することによって、0.36g(89%)の粗10を黄色油として得た:1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.04 [s, 3H], 2.45-1.43 [m, 13H], 3.06 [m, 2H], 3.80 [s, 3H], 6.76 [m, IH], 6.98 [m, 3H]; 13CNMR (300 MHz, CDCl3) δ 159.0, 128.3, 122.2, 116.9, 110.0, 55.6, 55.5, 43.8, 43.5, 36.4, 35.3, 30.7, 24.4, 22.4, 21.9。
【0062】
この物質は、さらに精製することなく、6b及び6cを調製するために使用した。
【0063】
N−フェネチル−4a−(3−メトキシフェニル)−8a−メチルオクタヒドロイソキノリン(11)
フェンアセトアルデヒド87mg(0.72mmol)及び190mg(0.72mmol)の10を、1,2−ジクロロエタン(15mL)中において混合し、次いでトリアセトキシホウ化水素ナトリウム230mg(1.08mmol)で処理した。反応混合物は反応全体を通じて混濁した状態のままであった。その混合物を、2時間に亘ってN雰囲気下で室温において攪拌した。飽和NaHCOを添加することによって、その反応混合物をクエンチし、生成物をEtOAcで抽出した。EtOAc抽出物を(MgSO)で乾燥し、溶媒を蒸発させて0.25g(95%)の淡黄色油を得た。10%エチルアセテート/へキサンを使用するアルミナクロマトグラフィーによる精製によって、0.23g(89%)の所望の生成物11を無色の透明粘性油として得た:13C NMR (300 MHz5 CDCl3) δ 158.9, 129.1, 128.6, 128.1, 126.2, 122.5, 117.1, 109.9, 63.2, 61.1, 55.5, 43.1, 37.4, 36.3, 34.0, 30.7, 22.4, 22.1。
【0064】
その物質は、さらに精製すること無く次の工程において使用した。
【0065】
N−(3−フェニルプロピル)−4a−(3−メトキシフェニル)−8a−メチル−2−オクタヒドロイソキノリン(12)
ヒドロシンナムアルデヒド110mg(0.75mmol)及び190mg(0.75mmol)の10を1,2−ジクロロエタン(15mL)中において混合し、次いでトリアセトキシホウ化水素ナトリウム240mg(1.12mmol)で処理した。その反応混合物は、反応全体を通じて混濁した状態のままであった。その混合物を、2.5時間に亘ってN雰囲気下において室温で攪拌した。飽和NaHCOを添加して、その反応混合物をクエンチし、EtOAcを使用して生成物を抽出した。EtOAc抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒を蒸発させて0.28g(99%)の12を淡黄色油として得た。5%酢酸エチル/へキサンを使用するアルミナクロマトグラフィーによる精製によって、無色の透明な粘性油として0.22g(79%)の所望の生成物12を得て、これを6cを合成するために更に精製すること無く使用した。
【0066】
N−フェネチル−4a−(3’−ヒドロキシフェニル)−8a−メチルオクタヒドロイソキノリン(6b)塩酸
25mLの一口フラスコに、230mg(0.64mmol)の11並びに5mLの氷酢酸及び5mLの48%HBrを添加した。この混合物を18時間に亘って還流条件下で加熱し、次いで室温まで冷却した。冷却しながら50%NaOHを使用してpHを10に調節した。この混合物を3×塩化メチレンで抽出した。結果として得られる有機抽出物をNaSOで乾燥させ、減圧条件下で濃縮して、0.22g(98%)の粗生成物を白色固体として得た。20%酢酸エチル/へキサンを使用するアルミナクロマトグラフィーによる精製によって、0.18g(81%)の所望の生成物6bを白色結晶固体として得た。
【0067】
その遊離塩基をMeOHに溶解し、乾燥エチルエーテル中の3当量の1N HClを添加して、塩酸塩を白色結晶固体として得た:mp 226- 228 °C; 13CNMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 156.9, 147.5, 147.6, 129.0, 128.9, 128.7, 127.1, 119.4, 116.3, 113.0, 57.3, 48.7, 41.2, 36.6, 34.5, 32.4, 29.7, 24.8, 21.3, 20.6. Anal. (C24H32ClNO-OJH2O) C, H, N。
【0068】
N−(3−フェンプロピル)−4a−(3−ヒドロキシフェニル)−8a−メチルオクタヒドロイソキノリン(6c)塩酸
25mLの一口フラスコに、220mg(0.59mmol)の12並びに5mLの氷酢酸及び5mLの48%HBrを添加した。この混合物を18時間に亘って還流条件下で加熱し、次いで室温まで冷却した。冷却しながら50%NaOHでpHを10に調節した。この混合物を3×塩化メチレンで抽出した。結果として得られる有機抽出物をNaSOで乾燥させ、減圧条件下で濃縮して、0.21g(98%)の粗生成物を白色固体として得た。15%酢酸エチル/へキサンを使用するアルミナクロマトグラフィーによる精製によって、0.16g(76%)の所望の生成物6cを白色結晶固体として得た。
【0069】
その遊離塩基をMeOHに溶解し、乾燥エチルエーテル中の3当量の1N HClを添加して、塩酸塩を白色結晶固体として得た:mp 262-264 °C; 1HNMR (CDCl3) δ 1.13 [s, 3H], 1.28 [d, J = 6 Hz, IH], 1.56 [m, 4H], 2.39-1.82 [m, 4H]3 2.5 [m, 4H], 2.92 [m, 4H], 3.35 [m, 3H], 6.62 [d, IH], 7.21-6.95 [m, 3H], 7.34- 7.22 [m, 5H], 9.32 [s, IH], 9.66 [br s, IH]. Anal. (C25H34ClNO・5H2O) C, H5 N。
【0070】
テトラヒドロ−2−(オキシルアニルエトキシ)−2H−ピラン(13)
無水エーテル(600mL)の3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(117g、1.4mol)の冷却した溶液(0℃)に、p−トルエンスルホン酸(0.5g)及び3−ブテン−1−オール(25.0g,0.35mol)を添加した。結果として得られた混合物を5時間に亘って室温で攪拌し、濃縮した水酸化アンモニウム(5mL)及びメタノール(50mL)の添加によってクエンチした。溶媒を真空条件下で蒸発させ、エーテルを残留物に添加した。沈殿したアンモニウムp−トルエンスルフェートを濾過して、濾過物を濃縮し、粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0−5%酢酸エチル)によって精製し、2−(3−ブテニルオキシ)テトラヒドロピラン(49g,90%)を無色の粘性液体として得た:1H-NMR (CDCl3, 300 MHz5) δ 5.80-5.89 [m, IH, =CH-C], 5.02-5.06 [m overlapping, 2H, =CH2], 4.59- 4.60 [m, IH, 2-H of THP]5 3.77-3.83 [m, 2H, -CH2O]5 3.44-3.50 [m, 2H, CH2O of THP], 2.33-2.38 [m, 2H, CH2-CH=CH2], 1.51-1.71 [m, 6H5 Hs of THP]。
【0071】
CHCl(500mL)中の2−(3−ブテニルオキシ)テトラヒドロピラン(49.0g,0.314mol)を含有する500mLのフラスコに、窒素雰囲気下で0℃に冷却して、新しく結晶化したm−クロロペルオキシ安息香酸(95g,0.55mol)を添加した。その混合物を24時間に亘って0℃に維持した。沈殿した安息香酸を吸引濾過によって除去した。かくして、濾過物を10%水酸化ナトリウム水溶液(500mL)及び亜硫酸ナトリウム水溶液(500mL)の各々で連続的に洗浄し、有機層を無水MgSOで乾燥させ、真空条件下で濃縮して、テトラヒドロ−2−(オキシルアニルエトキシ)−2H−ピランを純粋な無色透明の液体として得て(52g,95%)、さらに精製すること無く使用した:1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 4.62 (s, IH], 3.86-3.92 [m, 2H], 3.52-3.55 [m, 2H], 3.08 [br, 1H], 2.78-2.81 [t, J = 3 Hz, 1H], 2.53-2.55 [t, J = 3Hz,1H], 1.53-1.88 [m, 8H]。
【0072】
5−(3−メトキシフェニル)−8,9−ジメチル−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル−2−オキサ−8−アザビシクロ[3.3.1]ノナン(14)
塩を加えた氷浴中で冷却した、乾燥THF中の1,5−ジメチル−4−(3−メトキシフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン7(24g、0.11mol)の溶液を含有する乾燥させた1Lフラスコに、0.5時間に亘ってN雰囲気下においてシクロヘキサン中の1.4M s−BuLi(85mL,119mmol)を滴下して加えた。暗赤色の溶液を、さらに15分間に亘って低温で攪拌し、−10℃に冷却した無水EtO(150mL)中のテトラヒドロー2−(オキシルアニルエトキシ)−2H−ピラン(13)(20g,0.11mol)を含有する第2の乾燥2Lフラスコに混合物を移した。メタル化エタミンをエポキシドに完全に添加した後に、結果として得られた混合物を−5℃でさらに30分間攪拌した。350mLのHO中の13gのNaOH及び42gのNaClの溶液で、溶液の温度が0℃以下に維持されるようにその反応をクエンチして、その混合物を500mL HO中に注ぎいれた。層を分離して、水性層をEtO/EtOAc(1:1、3×200mL)で抽出した。混合した有機層を無水KCOで乾燥し、濃縮して、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(50%EtOAc/へキサンから100%EtOAcのグラジエント)によって精製し、5−(3−メトキシフェニル)−8,9−ジメチル−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル−2−オキサ−8−アザビシクロ[3.3.1]ノナン(14)をジアステレオマーの混合物として得た(30g、70%):LCMS (ESI): m/z 390.5 (M+H)+; 1HNMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.22-7.28 [m, 1H], 6.71-6.97 [m, 3H], 4.59 [br m, 1H], 4.48 [br m, 1H], 4.19 [br m, 1H], 3.81-3.87 [m, 2H], 3.80 [s, 3H], 3.52 [br m, 2H], 2.62-2.64 [m, 3H], 2.37 [s, 3H], 2.45 [m, 1H], 1.51- 1.82 [m, 2H], 0.69 [d, J = 6 Hz, 3H]。
【0073】
3−(2−ブロモエチル)−5−(メトキシフェニル)−8,9−ジメチルー2−オキサ−8−アザビシクロ[3.3.1]ノナン(15)
雰囲気下で無水THF(600mL)に溶解させ、0℃に冷却した5−(3−メトキシフェニル)−8,9−ジメチル−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]−2−オキサ−8−アザビシクロ[3.3.1]ノナン14(30g、0.076mol)及びトリフェニルホスフィン(31g、0.12mol)を含有する乾燥させた1Lフラスコに、30分間に亘ってBr(6.0mL,117mmol)を添加した。添加の間に、最初に黄色がかった透明だった溶液が、沈殿したスラリーになった。完全に添加して、その混合物を低温で30分間攪拌し、室温で一晩攪拌した(反応混合物は均質な茶色がかった黒色になった)。この後に、MeOH(50mL)を滴下して加えて、混合物を濃縮した。その残留物を冷EtO(500mL)及び冷1N NaOH(500mL)の間で分配した。有機層をさらに水(400mL)で洗浄し、無水KCOで乾燥させ、濃縮し、半固体物質を得た。得られた残留物を最小量のCHClに再溶解し、トリフェニルホスフィンオキシドの沈殿が得られるまでヘキサンで更に希釈した。沈殿物を除去して、濾過物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(30%EtOAc/へキサン)によって精製して、20g(70%)の3−(2−ブロモエチル)−5−(メトキシフェニル)−8,9−ジメチル−2−オキサ−8−アザビシクロ[3.3.1]ノナン15をジアステレオマーの混合物として得た:LCMS (APCI): m/z 370.3 (M+H)+; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.24-7.29 [m, IH], 6.73-6.90 [m, 3H], 4.51-4.52 [m, 2H], 3.80 [s, 3H], 3.52-3.56 [m, 2H], 2.61-2.66 [m, 3H], 2.36 [s, 3H], 1.71-2.04 [m, 5H], 0.69 [d, J = 6 Hz, 3H]。
【0074】
この物質は、更に精製すること無く次の工程で使用した。
【0075】
N,8a−ジメチルメチル−4a−(3−メトキシフェニル)オクタヒドロ−6−イソキノリノール(17)
3−(2−ブロモエチル)−5−(メトキシフェニル)−8,9−ジメチルー2−オキサ−8−アザビシクロ[3.3.1]ノナン(15)(9.6g、0.026mol)、無水酢酸(35mL)、及びトリフルオロ酢酸(35mL)の溶液を、1時間に亘って環境温度でN雰囲気下において攪拌し、氷(300g)及び強塩基の溶液を作製するために十分な50%NaOH(50mL)水溶液の混合物に注ぎ入れ、生成物を冷EtO(400mL)で抽出した。エーテル層を冷HOで一度洗浄し、無水KCOで乾燥させ、0℃で濃縮して、黄色粘性油(10.8g)を得た。その油を直接分子ふるい乾燥CHCN(200mL)にかけ、N雰囲気下で3時間に亘ってKCO(12g)で還流した。冷却して、溶液を濾過し、乾燥MeOH(200mL)中で残留物を回収した。その溶液を0℃まで冷却して、NaBH(11.9g、0.031mol)を30分間に亘って添加した。その混合物をゆっくりと室温まで加温して、36時間に亘って攪拌した。その反応を4NHCl水溶液(pH1)を添加してクエンチし、更に15分間攪拌して、その溶液を冷50%NaOH水溶液によって塩基性(pH14)にした。結果として得られた溶液を濃縮し、EtO/EtOAc(200mL)及びHO(200mL)の1:1の混合物の間で分配させた。さらにEtO/EtOAcの1:1の混合物(2×100mL)で水性相を抽出し、混合した有機層を無水K2CO3/NaSO4で乾燥させ、濃縮し、粗生成物(6.72g)を得た。中性アルミナ(activity II−III)を使用するフラッシュクロマトグラフィー(35% EtOAc/へキサングラジエント)による精製によって、アルコールN,8a−ジメチルメチル−4a−(3−メトキシフェニル)オクタヒドロー6−イソキノリノール(11)のジアステレオマーの混合物をほぼ無色の粘性油として得た(4.39g、58%):LCMS (APCI) 15: m/z 412.4 (M+H)+; LCMS (APCI) 15: m/z 290.4 (M+H)+; 1H-NMR (CDCl3, 300 MHz) 11 δ 7.12-7.26 [m, 3H], 6.72-6.91 [m, IH], 4.01 [m, IH], 3.80 [s, 3H], 2.63-2.79 [m, 2H], 2.31 [s, 3H], 2.26-2.28 [m, 3H], 2.17-2.21 [m, 2H], 2.03-2.10 [m, 2H], 1.86 [m, IH], 1.63-1.73 [m, 2H], 1.40 [m, 2H], 1.19 [s, 3H]; 13C NMR (CDCl3, 300 MHz) 11 δ 158.8, 149.3, 128.2, 121.3, 116.0, 109.8, 67.5, 64.9, 55.1, 52.6, 46.7, 43.9, 41.4, 36.2, 35.7, 35.1, 30.9, 25.3。
【0076】
この物質は、更に精製すること無く、次の工程において使用した。
【0077】
N−メチル−4a−(3−メトキシフェニル)オクタヒドロ−6−オキサデカヒドロイソキノリン(18)
−70℃に冷却したCHCl(15mL)中の塩化オキサリル(3.45mL、6.9mmol、CHCl中の2.0M溶液)を含有する乾燥フラスコに、CHCl(10mL)中のCHCl中のDMSO(0.83mL、11.7mmol)を添加た。その溶液を更に10分間−70℃で攪拌し、CHCl中の1.54g、5.32mmolの化合物17を30分間に亘って添加した。さらに−70℃で30分後に、EtN(1.11mL、7.98mmol)を添加して、溶液を室温まで加温し、飽和NaHCO水溶液(100mL)で洗浄して、NaSOで乾燥させ、濃縮し、フラッシュクロマトフラフィー(4%MeOH−CHCl)で精製して、1.40g(92%)の18を得た:LCMS (ESI): m/z 288.6 (M+H)+; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.18 [t, J = 3 Hz, 1H], 6.75-6.83 [m, 3H], 3.76 [s, 3H], 3.05 [d, J = 15 Hz, 1H], 2.73-2.94 [m, 2H], 2.35-2.63 [m, 6H], 2.33 [s, 3H], 1.77 [m, 1H], 1.27-1.32 [m, 2H], 0.97 [s, 3H]; 13C NMR [CDCl3, 300 MHz) 6213.3, 159.3, 147.1, 128.8, 121.1, 115.1, 111.7, 63.1, 55.4, 52.6, 47.3, 47.1, 45.7, 37.8, 36.4, 33.8, 32.9, 25.8。この生成物は、更に精製すること無く、次の工程において使用した。
【0078】
2,8a−ジメチル−4a−(3−メトキシフェニル)オクタヒドロイソキノリン−6−オンオキシム(19)
EtOH(無水、100mL)中のN−メチル−4aβ−(3−メトキシフェニル)オクタヒドロ−6−オキサデカヒドロイソキノリン17(1.41g、4.9mmol)及びヒドロキシルアミン塩酸(1.70g、24.5mmol)を5時間に亘って還流しながら加熱した。その反応混合物を室温まで冷却させた。エタノールを減圧条件下で除去した。粗生成物を水性2N NaOH溶液(100mL)中で得て、3:1のCHCl/THF(4×50mL)で抽出した。混合した有機層をNaSOで乾燥し、濾過して、減圧条件下で濃縮して、粗生成物を得た。9:1酢酸エチル/へキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィー(中性アルミナ、Brockmann activity II−III)によって粗生成物を精製して、白色固体として1.43g(96%)の19を得た(E/Zの混合物):LCMS(ESI): m/z 303.5(M+H)+
【0079】
N−メチル−6−アミノ−4a−(3−メトキシフェニル)−8a−メチルオクタヒドロイソキノリン(20)
無水イソプロパノール(100mL)及び無水トルエン(200mL)中のオキシム19(2.35g、0.077mol)のスラリーを、溶液が透明になるまで加熱して還流した。加熱を止めて、Na(20g、0.87mol)を、安定な還流が1.5時間に亘って維持されるような速度で注意深く添加した(30−40片及びヘキサン下で保存)。第一の添加は少量であった(水素が発生する)。最後には反応が遅くなり、加熱マントルは速度を落とした。反応混合物を、全てのNaが使い果たされるまで加熱して還流し、続いて50℃まで冷却して、水(250mL)を注意深く添加してクエンチした。トルエン層を分離して、EtOAc(3×100mL)を使用して水性層を抽出した。混合した有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中の50%CMA80)によって精製して、2.11g(94%)の20を無色の油として得た:LCMS (APCI): m/z 289.4 (M+H)+; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.14-7.44 [m, 3H], 6.71-6.74 [m, 1H], 3.80 [s, 3H], 3.05 [m, 1H], 2.77 [m, 1H], 2.64 [d, J = 12 Hz, 1H], 2.27-2.30 [m, 2H], 2.26 [s, 3H], 2.02-2.12 [m, 3H], 1.68-1.71 [m, 2H], 1.46-1.49 [m, 2H], 1.24 [m, 3H], 1.20 [s, 3H]; 13C NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 159.2, 150.2, 128.5, 121.8, 116.5, 110.0, 65.4, 55.5, 53.0, 47.1, 46.7, 43.8, 43.3, 36.6, 36.2, 32.2, 25.8。
【0080】
その生成物は、更に精製すること無く、次の工程において使用した。
【0081】
N−メチル−6−アミノ−4a−(3−メトキシフェニル)−8a−メチルオクタヒドロイソキノリンフタルイミド(21)
20(1.70g、0.0058mol)を無水トルエン(100mL)に溶解し、続いて無水フタル酸(2.61g、0.018mol)を添加して、その混合物をDean−Stark trapを用いて一晩還流した。次いで溶液を冷却し、1N NaOH(3×50mL)及び水で洗浄した。有機層を回収し、乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧条件下で除去して、粗生成物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(中性AlBrockman activity II−IIIに対して30%EtOAc/へキサン)によって精製し、2.22g(90%)の21を白色固体として得た:LCMS (ESI): m/z 419.9 (M+H)+; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.80-7.83 [m, 2H], 7.68-7.71 [m, 2H], 7.23-7.27 [m, 3H], 6.77-6.79 [m, 1H], 4.81 [m, 1H], 3.85 [s, 3H], 3.28 [t, J = 12 Hz, 1H], 3.01 [d, J = 12 Hz, 1H], 2.83-2.85 [m, 1H], 2.65-2.81 [m, 1H], 2.40-2.47 [m, 2H], 2.37 [s, 3H], 2.16-2.20 [m, 1H], 1.89 [ddd, J1 = J2 = 15 Hz, J3 = 6 Hz, 1H], 1.48-1.58 [m, 3H], 1.33-1.39 [m, 1H], 1.26 [s, 3H]; 13C NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 168.8, 159.2, 148.4, 134.1, 132.4, 128.7, 123.3, 121.8, 116.0, 111.0, 64.8, 55.5, 52.9, 47.8, 47.2, 43.8, 36.7, 35.6, 34.1, 26.7, 24.3。
【0082】
アミノ−4a−(3−メトキシフェニル)−8a−メチルオクタヒドロイソキノリンフタルイミド(22)
還流した無水1,2−ジクロロエタン(100mL)の21(2.09g、0.05mol)の溶液に、1−クロロエチルクロロホルメート(0.82mL、7.47mmol)を滴下して加えた。結果として得られた溶液を還流条件下で5時間に亘って加熱し、次いで室温まで冷却した。次いで、これを飽和重炭酸塩溶液で一回洗浄し、水で一回洗浄し、次いで有機層を蒸発させて、結果として得られたカルバメート(泡沫状白色固体、ほぼ定量的な収率)をメタノール(100mL)に急速に溶解し、次いで一晩還流した。室温まで冷却した後、メタノールを減圧条件下で除去し、残留物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で処理した。次いで、これを3:1のCHCl/THFで抽出し、混合した有機抽出物を水で一度洗浄した。溶媒を減圧条件下で除去し、2.01g(99%)の22を白色の泡沫状固体として得た:LCMS (APCI): m/z 405.2 (M+H)+; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.80-7.83 [m, 2H], 7.68-7.71 [m, 2H], 7.23-7.28 [m, 3H], 6.78-6.81 [m, 1H], 4.84 [m, 1H], 3.86 [s, 1H], 3.75-3.80 [m, 2H], 3.32 [t, J = 12 Hz, 1H], 3.03-3.15 [m, 2H], 2.90 [br s, 1H], 2.61-2.67 [m, 1H], 2.45 [d, J = 12 Hz, 1H], 2.27-2.31 [m, 1H], 1.83-1.93 [m, 2H], 1.64 [dd, J1 = 15 Hz, J2 = 6 Hz, 2H], 1.31-1.48 [m, 3H], 1.24 [s, 3H]; 13C NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 167.5, 158.1, 147.0, 132.9, 131.1, 127.5, 122.1, 120.5, 114.7, 109.8, 67.0, 54.3, 53.2, 46.5, 43.5, 41.8, 35.2, 34.8, 33.9, 32.9, 29.4, 24.7, 24.1, 22.9。
【0083】
その生成物は、更に精製すること無く、次の工程において使用した。
【0084】
N−(3−フェニルプロピル)−6−アミノ−4a−(3−メトキシフェニル)−8a−メチルオクタヒドロイソキノリンフタルイミド(23)
ヒドロシンナムアルデヒド(0.65mL、0.0049mol)及び化合物22(2.00g、0.0049mol)を、無水1,2−ジクロロエタン(50mL)中で混合し、次いでトリアセトキシホウ化水素ナトリウム(1.57g、0.0074mol)を用いて処理した。その反応混合物は反応全体に亘って混濁したままの状態であった。その混合物を3時間に亘ってN雰囲気下において室温で攪拌した。反応をTLC(20% EtOAc/へキサン;中性Al Brockman activity II−III)によってモニターした。反応収量後、反応混合物に飽和NaHCO水溶液を添加することによってクエンチし、EtOAc(3×50mL)を用いてその生成物を抽出した。混合したEtOAc抽出物を乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧条件下で除去して、粗生成物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(中性Al Brockman activity II−IIIに対して10%EtOAc/へキサン)によって精製し、2.25g(87%)の23を白色光沢固体として得た。X線分析に使用するサンプルをヘキサン及び塩化メチレン混合物から再結晶した:mp 136-138 ℃; LCMS (ESI): m/z 523.7 (M+H)+; 1HNMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.79- 7.82 [m, 2H], 7.68-7.71 [m, 2H], 7.18-7.32 [m, 8H], 6.76-6.81 [m, 1H], 4.81 [m, 1H], 3.85 [s, 3H], 3.31 [t, J = 12 Hz, 1H], 2.94 [d, J = 12 Hz, 1H], 2.80 [d, J = 9 Hz, 1H], 2.67-2.73 [m, 3H], 2.34-2.53 [m, 4H], 2.25 [d, J = 12 Hz, 1H], 1.78-1.94 [m, 3H], 1.51-1.62 [m, 2H], 1.49 [d, J = 12 Hz, IH], 1.31-1.37 [m, 1H], 1.26 [s, 3H]; 13C NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 170.4, 160.9, 150.3, 144.5, 135.7, 134.0, 130.4, 130.3, 130.2, 127.6, 124.9, 123.5, 117.6, 112.6, 90.0, 63.6, 59.9, 57.2, 52.9, 49.5, 46.2, 38.6, 38.5, 37.3, 35.7, 35.6, 31.0, 28.3, 25.9. Anal. (C34H38N2O3) C, H, N。
【0085】
N−(3−フェニルプロピル)−6−アミノ−4a−(3−メトキシフェニル)−8a−メチルオクタヒドロイソキノリン(24)
化合物23(2.00g、0.0038mol)及びヒドラジン水和物(1.02mL、21.0mmol)をエタノール(100mL)に溶解し、一晩還流した。次いで、その溶液を冷却し、白色沈殿を濾過して、冷エタノールで洗浄した。その溶液を減圧条件下で濃縮し、粗物質を3:1のCHCl/THF(100mL)中で回収した。結果として得られた白色沈殿物をろ過紙、冷CH2Cl2(50mL)で洗浄した。混合した有機層を乾燥し(NaSO)、減圧条件下で濃縮して粗生成物を得た。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中の40%CMA80)によって精製し、1.45g(97%)の24を無色の油として得た:LCMS (APCI): m/z 393.8 (M+H)+; 1HNMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.14- 7.30 [m, 8H], 6.70-6.74 [m, 1H], 3.86 [s, 3H]3 3.05 [m, 1H], 2.77-2.79 [br m, 1H], 2.65 [ddd, J1 = J2 = 9 Hz, J3 = 3 Hz, 2H], 2.58 [d, J = 12 Hz, 1H], 2.26-2.36 [m, 4H]5 2.04-2.12 [m, 3H], 1.68-1.81 [m, 4H], 1.44-1.50 [m, 4H], 1.32 [m, 1H], 1.21 [s, 3H]; 13C NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 159.2, 150.3, 142.9, 128.9, 128.6, 128.5, 126.0, 121.8, 116.5, 110.0, 62.6, 58.2, 55.5, 51.3, 46.9, 44.5, 43.2, 36.7, 36.3, 34.0, 32.1, 29.2, 25.8。
【0086】
その生成物は、さらに精製すること無く、アシルアミノアナログ6d−gを合成するために使用した。
【0087】
N−(4a−(3−メトキシフェニル)−8a−メチル−2−(3−フェニルプロピル)オクタヒドロイソキノリン−6−イル)−3−ピペリジン−1−イル−プロピオンアミド(25a)
無水THF(15mL)に溶解した化合物24(105mg、0.267mmol)に、1−ピペリジンプロピオン酸(63mg、0.40mmol)、トリエチルアミン(0.17mL、1.33mmol)、及びBOP試薬(140mg、0.32mmol)を添加し、その反応混合物を1.5時間に亘って室温で攪拌した。反応の進行をTLC(CHCl中の50%CMA80)によってモニターした。その反応混合物をEtOAc(25mL)で希釈して、NaHCO水溶液(25mL)、続いて水(25mL)で洗浄した。水性層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。混合した有機層を1N NaOH(25mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、減圧条件下で濃縮して粗生成物を得た。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中の30% CMA 80)で精製し、121mg(85%)の25aを白色光沢固体として得た:LCMS (ESI): m/z 532.8 (M+H)+; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 8.77 [d, J = 6 Hz, 1H], 7.15-7.30 [m, 8H], 6.72-6.75 [m, 1H], 4.24 [m, 1H], 3.82 [s, 3H], 2.76 [br, 1H], 2.65-2.68 [m, 2H], 2.42-2.56 [m, 3H], 2.32-2.37 [m, 6H], 2.07-2.30 [m, 7H], 1.62-1.83 [m, 5H], 1.59-1.61 [m, 4H], 1.48-1.59 [m, 4H], 1.25-1.27 [br, 1H], 1.21 [s, 3H]; 13C NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 172.2, 159.2, 148.8, 142.8, 128.8, 128.7, 128.6, 126.0, 122.2, 116.2, 110.9, 62.4, 58.4, 55.6, 54.9, 54.0, 51.4, 45.5, 44.1, 38.1, 37.0, 36.8, 35.5, 34.0, 32.5, 29.2, 28.4, 26.9, 26.7, 24.6。
【0088】
N−(4a−(3−ヒドロキシフェニル)−8a−メチル−2−(3−フェニルプロピル)オクタヒドロイソキノリン−6−イル)−3−ピペリジン−1−イル−プロピオンアミド(6d)二塩酸
無水CHCl(15mL)に溶解し、−78℃に冷却した化合物25a(90mg、0.169mmol)に、CHCl中のBBr(0.85mL、0.85mmol)の1.0M溶液をゆっくりと添加した。反応混合物を−78℃で30分に亘って攪拌し、2時間に亘って室温で攪拌した。その反応物を0℃に冷却し、飽和NaHCO水溶液を使用してクエンチして、CHCl(2×25mL)を使用して抽出した。混合した有機層を、1N NaOH(25mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過して、減圧条件下で濃縮し、粗生成物を得た。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中の40% CMA 80)を使用して精製して、75mg(86%)の6dを白色固体として得た:LCMS (ESI): m/z 518.9 (M+H)+; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 8.73 [d, J = 6 Hz5 1H], 7.09-7.31 [m, 8H], 6.68-6.72 [m, 1H], 4.30 [m, 1H], 2.78-2.85 [br, 1H], 2.59-2.69 [m, 4H], 2.50-2.55 [br, 4H], 2.36-2.42 [m, 4H], 2.20-2.27 [m, 3H], 2.05 [m, 2H], 1.78- 1.85 [m, 5H], 1.62-1.65 [m, 4H], 1.43-1.50 [m, 4H], 1.21-1.25 [m, 2H], 1.19 [s, 3H]; 13C NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 171.8, 155.7, 148.2, 142.4, 128.5, 128.2, 125.7, 121.1, 116.5, 112.8, 61.8, 58.0, 54.3, 53.5, 50.9, 45.4, 43.6, 37.4, 36.6, 36.3, 35.0, 33.6, 31.9, 28.6, 27.9, 26.6, 25.9, 24.0。
【0089】
MeOH中に遊離塩基を溶解し、ジエチルエーテル中の6当量の1.0M HClを添加することによって、分析サンプルである二塩酸塩を調製した。減圧条件下で溶媒を除去して、二塩酸塩を白色固体として得て、次いでMeOH−EtOの混合物から結晶化した:mp 240-242 °C (fus.). Anal. (C33H49Cl2N3O2・2.75H2O) C, H, N。
【0090】
3−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリンー2−イル)−N−(4a−(3−メトキシフェニル)−8a−メチル−2−(3−フェニルプロピル)オクタヒドロイソキノリン−6−イル)プロピオンアミド(25b)
無水THF(15mL)に溶解した化合物24(80mg、0.203mmol)に、3−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−プロピオン酸塩酸(73mg、0.305mmol)及びトリエチルアミン(0.142mL、1.01mmol)を添加して、その反応混合物を15分間に亘って室温で攪拌した。この後に、BOP試薬(99mg、0.22mmol)を添加し、その反応混合物を1.5時間に亘って室温で攪拌した。反応の進行をTLC(CHCl中の50% CMA 80)によってモニターした。その反応混合物をEtOAc(25mL)で希釈して、飽和NaHCO水溶液(25mL)、続いて水(25mL)で洗浄した。水性層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。混合した有機層を1N NaOH(30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、減圧条件下で濃縮して粗アミドを得た。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中の30%CMA80)によって精製して、94mg(80%)の25bを白色光沢固体として得た:LCMS (ESI): m/z 580.9 (M+H)+; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 8.29 [d, J = 6Hz, 1H], 7.03-7.31 [m, 12H], 6.70-6.73 m, 1H], 4.23 [m, IH], 3.80 [s, 1H], 3.68 [s, 2H]5 2.94 [t, J = 6 Hz, 2H], 2.77-2.82 [m, 4H], 2.62-2.67 [m, 3H], 2.42 [t, J = 6Hz, 2H], 2.25-2.35 [m, 2H], 1.74-1.87 [m, 7H], 1.19-1.34 [m, 3H], 1.14 [s, 3H]; 13C NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 171.9, 159.2, 148.8, 142.8, 134.4, 134.1, 129.1, 128.9, 128.7, 128.6, 127.4, 126.9, 126.8, 126.3, 126.1, 122.1, 116.2, 110.8, 62.1, 58.2, 55.6, 54.1, 51.1, 50.5, 45.6, 44.0, 37.9, 36.8, 36.7, 35.3, 34.0, 33.0, 29.7, 29.2, 28.3, 26.8。
【0091】
3−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−N−(4a−(3−ヒドロキシフェニル)−8a−メチル−2−(3−フェニルプロピル)オクタヒドロイソキノリン−6−イル)プロピオンアミド(6e)二塩酸
化合物25b(70mg、0.120mmol)を無水CHCl(15mL)に溶解し、−78℃に冷却して、CHCl中のBBrの1.0M溶液(0.60mL、0.60mmol)にゆっくりと添加した。その反応混合物を30分間に亘って−78℃で攪拌し、1.5時間に亘って室温で攪拌した。その反応物を0℃まで冷却し、飽和NaHCO水溶液でクエンチして、CHCl(2×25mL)で抽出した。混合した有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空条件下で濃縮して粗生成物を得た。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中の30% CMA 80)によって精製して、60mg(88%)の63を白色固体を得た:LCMS (ESI): m/z 566.5 (M+H)+; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 8.55 [d, J = 6Hz, 1H], 7.05-7.31 [m, 12H], 6.66-6.69 [m, IH], 4.28 [m, IH], 3.68 [s, 2H], 2.94 [t, J = 6 Hz, 2H], 2.78-2.83 [m, 4H], 2.61-2.66 [3H], 2.45 [t, J = 6 Hz, 2H], 2.23-2.34 [m, 3H], 2.02-2.13 [m, 2H], 1.69-1.80 [m, 8H], 1.251.32 [m, 3H], 1.11 [s, 3H]; 13C NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 172.2, 156.0, 148.6, 142.8, 134.3, 134.1, 129.1, 128.9, 126.6, 126.9, 126.3, 126.1, 121.1, 116.8, 113.2, 62.1, 58.2, 55.6, 54.0, 51.0, 50.4, 45.7, 43.9, 37.7, 36.8, 36.6, 35.2, 34.0, 32.8, 29.6, 29.1, 28.2, 27.0。
【0092】
遊離塩基をMeOHに溶解し、ジエチルエーテル中の6当量の1.0M HClを添加することによって分析サンプルである二塩酸塩を調製した。減圧条件下で溶媒を除去することによって、二塩酸塩を白色固体として得て、次いでMeOH−EtOAcの混合物から結晶化した:mp 178-180 ℃ (fus.). Anal. (C37H49Cl2N3O2・2H2O) C, H, N。
【0093】
1−フェニルシクロペンタンカルボン酸[4a−(3−メトキシフェニル)−8a−メチル−2−(3−フェニルプロピル)オクタヒドロイソキノリン−6−イル]アミド(25c)
無水THF(15mL)に溶解した化合物24(71mg、0.180mmol)に、1−フェニル−1−シクロペンタンカルボン酸(51mg、0.27mmol)、トリエチルアミン(0.126mL、0.904mmol)、及びBOP試薬(88mg、0.20mmol)を添加し、その反応混合物を2時間に亘って室温で攪拌した。反応の進行をTLC(CHCl中の30% CMA 80)でモニターした。その反応混合物をEtOAc(25mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(25mL)、続いて水(25mL)を用いて洗浄した。水性層をEtOAc(2×20mL)を使用して抽出した。混合した有機層を1N NaOH(30mL)を使用して洗浄し、乾燥させ(MgSO)、減圧条件下で濃縮して、粗生成物を得た。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中の25% CMA 80)によって精製し、94mg(92%)を得た:LCMS (ESI): m/z 565.6 (M+H)+; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.17-7.36 [m, 13H], 6.71-6.73 [m, 1H], 4.92 [d, J = 6 Hz, 1H], 4.19 [m, 1H], 3.79 [s, 3H], 2.74 [br, 1H], 2.62-2.64 [m, 2H], 2.33-2.45 [m, 5H], 2.10-2.31 [m, 2H], 1.98- 2.09 [m, 3H], 1.61-1.84 [m, 10H], 1.46 [d, J = 12 Hz, 1H], 1.20-1.33 [m, 2H], 1.15 [s, 3H]; 13C NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 176.1, 159.2, 148.9, 144.8, 142.8, 129.0, 128.9, 128.7, 128.6, 127.2, 127.1, 126.0, 121.9, 116.3, 110.7, 62.2, 59.6, 58.2, 55.5, 51.2, 46.2, 44.2, 37.8, 37.4, 37.2, 36.9, 36.6, 35.6, 33.9, 29.2, 28.1, 26.6, 24.4。
【0094】
1−フェニルシクロペンタンカルボン酸[4a−(3−ヒドロキシフェニル)−8a−メチル−2−(3−フェニルプロピル)オクタヒドロイソキノリン−6−イル]アミド(6f)塩酸
化合物25c(94mg、0.166mmol)を無水CHCl(15mL)中に溶解して、−78℃まで冷却し、CHCl中のBBrの1.0M溶液(0.832mL、0.832mmol)にゆっくりと添加した。その反応混合物を30分間に亘って−78℃で攪拌し、1.5時間に亘って室温で攪拌した。その反応物を0℃まで冷却し、飽和NaHCO水溶液でクエンチし、CHCl(2×25mL)を使用して抽出した。混合した有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空条件下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中の30% CMA 80)によって精製し、78mg(86%)の6fを白色固体として得た:LCMS (APCI): m/z 551.2 (M+H)+; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.09-7.34 [m, 14 H], 6.68-6.70 [br, IH], 5.06 [d, J = 9 Hz, IH], 4.26 [m, IH], 2.71 [br, IH], 2.61-2.64 [m, 2H], 2.35-2.45 [m, 5H], 2.00-2.10 [m, 5H], 1.63-1.98 [m, 10H], 1.41 [d, J = 12 Hz, IH], 1.18-1.23 [m, 2H], 1.13 [s, 3H]; 13C NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 176.7, 156.2, 148.5, 144.5, 142.7, 129.1, 128.9, 128.7, 128.6, 127.3, 127.2, 126.0, 121.3, 116.8, 113.3, 62.1, 59.6, 58.2, 51.1, 46.4, 44.0, 37.5, 37.4, 37.3, 36.9, 36.6, 35.4, 33.9, 29.0, 28.0, 26.8, 24.4。
【0095】
遊離塩基をMeOHに溶解し、ジエチルエーテル中の3当量の1.0M HClを添加することによって、分析サンプルである塩酸塩を調製した。減圧条件下で溶媒を除去することによって、塩酸塩を白色固体として得て、MeOH−EtOAc混合物から結晶化した:mp 194-195 ℃ (fus.). Anal. (C37H47ClN3O2OJSH2O) C, H, N。
【0096】
ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸[4a−(3−メトキシフェニル)−8a−メチル−2−(3−フェニルプロピル)オクタヒドロイソキノリン−6−イル]アミド(25b)
無水THFに溶解した化合物24(52mg、0.132mmol)に、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(35mg、0.198mmol)、トリエチルアミン(0.092mL、0.662mmol)、及びBOP試薬(64mg、0.145mmol)を添加し、その反応混合物を1.5時間に亘って室温で攪拌した。反応物をTLC(CHCl中の30% CMA 80)によってモニターした。その反応混合物をEtOAc(20mL)で希釈して、飽和NaHCO水溶液(20mL)、続いて水(20mL)で洗浄した。水性層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。混合した有機層を、1N NaOH(25mL)を使用して洗浄し、乾燥させ(MgSO)、減圧条件下で濃縮して粗生成物を得た。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中の20% CMA 80)によって精製し、70mg(96%)得た:LCMS (ESI): m/z 553.9 (M+H)+; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.74-7.81 [m, 3H], 7.36- 7.40 [m, 2H]5 7.18-7.31 [m, 7H], 6.74-6.75 [m, 1H], 6.12 [d, J = 9 Hz, 1H], 4.47 [m, 1H], 3.81 [s, 3H], 2.76-2.79 [br, 1H], 2.59-2.67 [m, 3H], 2.36-2.39 [m, 2H], 2.15-2.29 [m, 4H], 1.89-1.94 [m, 3H], 1.60-1.81 [m, 4H], 1.53 [d, J = 12 Hz, 1H], 1.26-1.32 [m 1H], 1.24 [s, 3H]; 13C NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 161.9, 159.3, 148.7, 142.8, 141.2, 139.5, 139.2, 128.9, 128.8, 128.7, 126.6, 126.1, 125.3, 125.2, 123.1, 122.0, 116.4, 110.8, 62.3, 58.3, 55.6, 51.2, 47.1, 44.4, 38.1, 37.0, 36.8, 35.6, 34.0, 29.2, 28.3, 26.7。
【0097】
ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸−4a−(3−ヒドロキシフェニル)−8a−メチル−2−(3−フェニルプロピル)オクタヒドロイソキノリン−6−イル−アミド(6g)塩酸
化合物25d(70mg、0.260mmol)を無水CHCl(15mL)に溶解し、−78℃に冷却して、CHCl中のBBr(0.633mL、0.633mmol)の1.0M溶液をゆっくりと添加した。その反応混合物を30分間に亘って−78℃で攪拌し、1.5時間に亘って室温で攪拌した。その反応物を0℃まで冷却して、飽和NaHCO水溶液を使用してクエンチし、CHCl(2×25mL)を使用して抽出した。混合した有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空条件下で濃縮して粗生成物を得た。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中の25% CMA 80)によって精製して、60mg(88%)の6gを白色固体として得た:LCMS (APCI): m/z 539.3 (M+H); 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.77-7.81 [m, 3H], 7.37-7.41 [m, 2H], 7.25-7.27 [m, 3H], 7.12-7.19 [m, 5H], 6.73-6.76 [m, IH], 6.27 [d, J = 12 Hz, IH], 4.48 [m, IH], 2.74 [m, IH], 2.58-2.65 [m, 3H], 2.36-2.38 [m, 2H], 2.15-2.26 [m, 4H], 1.78- 1.86 [m, 5H], 1.56-1.70 [m, IH], 1.47 [d, J = 12 Hz, IH], 1.21-1.23 [m, 2H], 1.19 [s, 3H];
1JC NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 162.0, 155.8, 148.2, 142.4, 140.9, 139.2, 138.6, 128.6, 128.4, 126.4, 125.8, 125.3, 125.1, 125.0, 122.8, 121.3, 116.5, 113.2, 61.9, 58.0, 50.8, 47.0, 43.9, 37.5, 36.7, 36.4, 35.2, 33.6, 28.7, 27.9, 26.4

【0098】
遊離塩基をMeOHに溶解し、ジエチルエーテル中の3当量の1.0M HClを添加することによって、分析サンプルである塩酸塩を調製した。減圧条件下で溶媒を除去することによって、塩酸塩を白色固体として得て、次いでMeOH/EtOAcの混合物から結晶化した:mp 206-208 0C (fus.). Anal. (C34H39Cl2N2O2S・0.75H2O) C, H, N。
【0099】
生物学的活性
見かけの親和力(K)を測定する。アゴニスト用量反応曲線を右にシフトする試験化合物の単一濃度の働きを用いて、そのKを測定した。アゴニスト活性は、ヒトμ、κ、又はδオピオイド受容体のいずれかを発現するCHO細胞膜均質化物における[35S]GTP−γ−S結合を使用して測定した。サブタイプ選択的アゴニスト(D−Ala、MePhe、Gly−ol)エンケファリン(DAMGO、μ受容体)D−[Pen2,D−Pen5]−エンケファリン(DPDPE,δ受容体)、又はU69,593(κ受容体)を適当に使用した。96穴型において1.4mLポリプロピレンチューブ(Matrix Technologies,Hudson,NH)中で、アッセイを3回重複して実施した。各アッセイチューブは、50mM HEPES緩衝液(pH7.4)中の膜均質化物、7つの濃度のうちの1つのアゴニスト又はアゴニスト+試験化合物、0.1nM[35S]GTP−γ−S、及び10μM GDPを含有した。アゴニスト又は試験化合物を含まないサンプルにおいて、基礎的な[35S]GTP−γ−S結合を測定した。全てのサンプルは1時間に亘って室温でインキュベートした後に、Brandel Scientific(Gaithersburg,MD)96穴回収器を使用して、急速な吸引濾過によってGF−Bフィルターに結合した放射性リガンドを分離した。標準的なシンチレーションカウント技術を使用してTopCount 12−検出器(Packard Instruments)を使用して、結合した放射活性を測定した。各アッセイプレートからの結合データを、分析前の基礎的な結合に対して標準化した。Prism(version3.0、GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)を使用してデータに3つのパラメータのロジスティック曲線を適合させて、EC50を計算した。アゴニスト(A)及びアゴニスト+試験化合物(A’)についてのEC50値を使用して、式:K=[L]/(DR−1){[L]はアッセイにおける試験化合物濃度に対応し、DRは用量比又はA’/Aに対応する}から試験化合物のKを計算した。A’は、Aよりも少なくとも2倍より大きい際にのみ使用した。
【0100】
【表1】

【0101】
[参考文献]
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(8) Thomas, J.B.; Fall, M.J.; Cooper, J.B.; Rothman, R.B.; Mascarella, S.W.; Xu, H.; Partilla, J.S.; Dersch, CM.; McCullough, K.B.; Cantrell, B.E.; Zimmerman, D.M.; Carroll, F.I. Identification of an opioid K receptor subtype-selective N-substituent for (+)-(3R,4R)-dimethyl-4-(3-hydroxyphenyl)piperidine. J. Med. Chem. 1998, 41, 5188-5197.
(9) Thomas, J.B.; Atkinson, R.N.; Vinson, N.A.; Catanzaro, J.L.; Perretta, CL.; Fix, S.E.; Mascarella, S.W.; Rothman, R.B.; Xu, H.; Dersch, CM.; Cantrell, B.E.; Zimmerman, D.M.; Carroll, F.I. Identification of (3R)-7-hydroxy-N-(( IS)-I - [[(3R,4R)-4-(3-hydroxyphenyl)-3,4-dimethyl-l-piperidinyl]methyl]-2- methylpropy I)-1, 2,3, 4-tetrahydro-3-isoquinolinecarboxamide as a novel potent and selective opioid kappa receptor antagonist. J. Med. Chem. 2003, 46, 3127-3137.
(10) Thomas, J.B.; Atkinson, R.N.; Rothman, R.B.; Fix, S.E.; Mascarella, S.W.; Vinson, N.A.; Xu5 H.; Dersch, CM.; Lu, Y.; Cantrell, B.E.; Zimmerman, D.M.; Carroll, F.I. Identification of the first trans-(3R,4R)-dimethyl-4-(3- hydroxyphenyl)piperidine derivative to possess highly potent and selective opioid kappa receptor antagonist activity. J. Med. Chem. 2001, 44, 2687-2690.
(11) Carroll, F.I.; Thomas, J.B.; Dykstra, L.A.; Granger, A.L.; Allen, R.M.; Howard, J.L.; Pollard, G.T.; Aceto, M.D.; Harris, L. S. Pharmacological properties of JDTic: A novel κ-opioid receptor antagonist. Eur. J. Pharmacol. 2004, 501, 111-119.
(12) Thomas, J.B.; Zheng, X.; Mascarella, S.W.; Rothman, Richard B.; Dersch, Christina M.; Partilla, John S.; Flippen-Anderson, Judith L.; George, Clifford F.; Cantrell, B.E.; Zimmerman, Dennis M.; Carroll, F.I. N-Substituted 9β-methyl-5- (3-hydroxyphenyl)morphans are opioid receptor pure antagonists. J. Med. Chem. 1998, 41, 4143-4149.
(13) Zimmerman, D.M.; Nickander, R.; Horng, J.S.; Wong, D.T. New structural concepts for narcotic antagonists defined in a 4-phenylpiperidine series. Nature 1978, 275, 332-334.
(14) Zimmerman, D.M.; Leander, J.D.; Cantrell, B.E.; Reel, J.K.; Snoddy, J.; Mendelsohn, L.G.; Johnson, B. G.; Mitch, CH. Structure-activity relationships of the trans-3,4-dimethyl-4-(3-hydroxyphenyl)piperidine antagonists for μ and K opioid receptors. J. Med. Chem. 1993, 36, 2833-2841.
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、参照オピオイドアンタゴニストの構造を示す。
【図2】図2は、本発明の例示的なオピオイドアンタゴニストの構造を示す。
【図3】図3は、本発明の例示的なオピオイドアンタゴニスト6aを示す。
【図4】図4は、本発明の例示的なオピオイドアンタゴニスト6b及び6cの合成経路を示す。
【図5】図5は、本発明の例示的なオピオイドアンタゴニスト6d−6gの合成経路を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式:
【化1】

[式中、
Mは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、CN、OC1−8アルキル、OC3−8アルケニル、OC3−8アルキニル、又はOC1−8アルキルアリールである;
は、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルアリール、又は下式:
【化2】

のものである;
(S)は、水素、CHCOH、CHCOCH、又はCHCOである;
(S)は、水素、CH、C、CH、又はCHCHである;
は、=O、水素、NR、又は下式:
【化3A】

【化3B】

【化3C】

【化3D】

【化3E】

【化3F】

【化3G】

のものである:
Xは、NR、O、又はSである;
Yは、OH、OR、C1−8アルキル、F、Cl、Br、CF、又はCNである;
Rは、水素、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルアリール、又はCOである;
Wは、水素、OH、OCOR、N(R、NRCOR、NRSO、NRCO、CONH、又はNHCHOである;
Zは、NR、O、又はSである;
nは、1、2、又は3である;
mは、1、2、3、又は4である;
jは、2、3、又は4である;
kは1又は2である;
の各々は、独立に、C1−3アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルアリール、CHY、又はCORである;
の各々は、独立に、水素、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、又はC1−8アルキルアリールである;
及びRの各々は、独立に、水素、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルシクロアルキル、又はC1−8アルキルアリールである;
及びRの各々は、独立に、水素、C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、C1−8アルキルシクロアルキル、又はC1−8アルキルアリールである;
は,C1−8アルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニル、又はC1−8アルキルアリールである]
によって表わされる化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項2】
下式:
【化4】

によって表わされる、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下式:
【化5】

[式中、Rは、CH、C(CH、又はC(CHである]
によって表わされる、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
下式:
【化6】

によって表わされる、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
下式:
【化7】

[式中、Rは
【化8】

である]
によって表わされる、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
置換基がシスである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Mが、水素、C1−4アルキル、又はOC1−8アルキルであり;
が、C1−8アルキル又はC1−8アルキルアリールであり;
が、=O、水素、又はNRであり;
Wが、水素又はOHであり;並びに
がC1−3アルキルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
WがNHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
WがNHC1−8アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
WがN(Rであり、式中、各Rが独立にC1−8アルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
製薬学的に許容される塩の形態である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
酸の塩の形態である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
同位体標識されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
前記酸が、塩酸、p−トルエンスルホン酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸、サリチル酸、シュウ酸、臭化水素酸、リン酸、メタンスルホン酸、酒石酸、マレイン酸、ジ−p−トルオイル酒石酸、酢酸、硫酸、ヨウ化水素酸、又はマンデル酸である、請求項9に記載の化合物。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物及び製薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項16】
治療の必要がある対象に、請求項1に記載の化合物の有効量を投与する工程を含む、オピオイド受容体によって媒介される疾患の治療方法。
【請求項17】
治療の必要がある対象に、請求項1に記載の化合物の有効量を投与する工程を含む、過敏性腸症候群;便秘;悪心;嘔吐;そう痒性皮膚症;乾癬;湿疹;虫刺され;摂食障害;うつ病、不安、精神分裂病;麻薬中毒;オピオイド過量摂取;性機能障害;脳卒中;頭部外傷;外傷性脳損傷;脊椎損傷;パーキンソン病;アルツハイマー病;加齢に関連する認識衰退;並びに注意欠陥及び多動性障害からなる群から選択される、少なくとも1つの疾患の治療方法。
【請求項18】
治療の必要がある対象に請求項1に記載の化合物の有効量を投与する工程を含む、過敏性腸症候群、麻薬中毒、うつ病、不安、精神分裂病、及び摂食障害からなる群から選択される、少なくとも1つの疾患を治療する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−502940(P2009−502940A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524101(P2008−524101)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/029012
【国際公開番号】WO2007/014263
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(500240896)リサーチ・トライアングル・インスティチュート (36)
【Fターム(参考)】