説明

オブジェクト表示装置及びオブジェクト表示方法

【課題】AR技術において、現在の所在位置周辺に配置された仮想オブジェクトが存在しない場合であっても、何らかの仮想オブジェクトを表示させることを可能とする。
【解決手段】オブジェクト表示装置1では、表示に関する所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が仮想オブジェクト記憶部15に記憶されていないと判定された場合に、仮想オブジェクト配信サーバにおける仮想オブジェクトの抽出に用いられる擬似位置情報が生成される。これにより、仮想オブジェクト配信サーバにおいて当該擬似位置に基づき仮想オブジェクトが抽出され、抽出された仮想オブジェクトがオブジェクト表示装置1に取得されるので、オブジェクト表示装置1の現在の所在位置周辺に配置された仮想オブジェクトが存在しない場合であっても、何らかの仮想オブジェクトをオブジェクト表示装置1に表示させることが可能となる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクト表示装置及びオブジェクト表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、AR(Augmented Reality:拡張現実)技術を用いたサービスが開発・提供されている。例えば、移動端末の所在位置の周辺に配置された仮想オブジェクトを、仮想オブジェクトを管理しているサーバ装置から取得し、移動端末に備えられたカメラにより取得した画像に種々の情報や画像を含む仮想オブジェクトを重畳表示する技術が知られている。また、携帯端末の次の移動位置を予測し、次の移動位置に関連するコンテンツを配信する技術が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−350735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、仮想オブジェクトを蓄積・管理しているサーバ装置において、移動端末の現在の所在位置周辺に配置されている仮想オブジェクトが抽出され、抽出された仮想オブジェクト情報が移動端末に送信されていた。このため、移動端末の所在位置周辺に配置された仮想オブジェクトが存在しない場合や少数である場合には、移動端末において、何ら仮想オブジェクトが表示されなかったり、僅かな数の仮想オブジェクトが表示されることとなる。移動端末のユーザは、通信障害等の理由により仮想オブジェクト情報を受信できなかったのか、あるいは、実際に仮想オブジェクトが存在しないのかを判別することはできないので、かかる状態は、現実空間に種々の情報を重畳表示させるサービスとして好ましくない。従って、移動端末の周辺に配置された仮想オブジェクトがない場合であっても、移動端末が現在の位置から移動しなくとも、何らかの仮想オブジェクトが移動端末において適切な数の何らかの仮想オブジェクトが表示されることが好ましい。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、AR技術において、現在の所在位置周辺に配置された仮想オブジェクトが存在しない場合であっても、何らかの仮想オブジェクトを表示することが可能なオブジェクト表示装置及びオブジェクト表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のオブジェクト表示装置は、自装置の所在位置を示す位置情報に基づきサーバ装置において抽出された仮想オブジェクト情報を取得し、仮想オブジェクトを現実空間の画像に重畳して表示するオブジェクト表示装置であって、仮想オブジェクトの所在位置に関する情報を含む仮想オブジェクト情報を記憶するための仮想オブジェクト情報記憶手段と、仮想オブジェクト情報記憶手段を参照し、所定条件に該当する仮想オブジェクトが記憶されているか否かを判定する判定手段と、所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が記憶されていないと判定手段により判定された場合に、オブジェクト表示装置の所在位置とは異なる位置を示す擬似位置情報を生成する擬似位置情報生成手段と、擬似位置情報生成手段により生成された擬似位置情報を、仮想オブジェクトを抽出するための位置情報としてサーバ装置に送信する擬似位置情報送信手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明のオブジェクト表示方法は、自装置の所在位置を示す位置情報に基づきサーバ装置において抽出された仮想オブジェクト情報を取得し、仮想オブジェクトを現実空間の画像に重畳して表示するオブジェクト表示装置におけるオブジェクト表示方法であって、仮想オブジェクトの所在位置に関する情報を含む仮想オブジェクト情報を記憶するための仮想オブジェクト情報記憶手段を参照し、所定条件に該当する仮想オブジェクトが記憶されているか否かを判定する擬似位置生成要否判定ステップと、所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が記憶されていないと擬似位置生成要否判定ステップにおいて判定された場合に、オブジェクト表示装置の所在位置とは異なる位置を示す擬似位置情報を生成する擬似位置情報生成ステップと、擬似位置情報生成ステップにおいて生成された擬似位置情報を、仮想オブジェクトを抽出するための位置情報としてサーバ装置に送信する擬似位置情報送信ステップとを有することを特徴とする。
【0008】
本発明のオブジェクト表示装置及びオブジェクト表示方法によれば、表示に関する所定条件に該当する仮想オブジェクト情報がオブジェクト表示装置の仮想オブジェクト記憶手段に記憶されていないと判定された場合に、サーバ装置における仮想オブジェクトの抽出に用いられる擬似位置情報が生成される。これにより、サーバ装置において当該擬似位置に基づき仮想オブジェクトが抽出され、抽出された仮想オブジェクトがオブジェクト表示装置に取得されるので、オブジェクト表示装置の現在の所在位置周辺に配置された仮想オブジェクトが存在しない場合であっても、何らかの仮想オブジェクトをオブジェクト表示装置に表示させることが可能となる。また、本発明は、サーバ装置側の機能変更を要することなく実現される。従って、本発明を適用したシステムによりAR技術を用いたサービスを提供するに際して、システムのコストの抑制が可能である。
【0009】
また、本発明のオブジェクト表示装置では、擬似位置情報生成手段は、仮想オブジェクト情報記憶手段に記憶されている仮想オブジェクトのうち、オブジェクト表示装置の所在位置に最も近い位置に所在する仮想オブジェクトの所在位置に基づき擬似位置情報を生成することを特徴とする。
【0010】
この場合には、オブジェクト表示装置に表示させるべき仮想オブジェクトがオブジェクト表示装置の現在の所在位置周辺に配置されていない場合であっても、仮想オブジェクト情報記憶手段に記憶されている仮想オブジェクトの配置位置に擬似位置が設定され、当該擬似位置周辺に配置された仮想オブジェクト情報がオブジェクト表示装置により取得される。従って、オブジェクト表示装置に仮想オブジェクトを表示させることが可能となる。
【0011】
また、本発明のオブジェクト表示装置では、擬似位置情報生成手段は、仮想オブジェクト情報記憶手段に記憶されている仮想オブジェクトのうち、オブジェクト表示装置における現実空間の画像を取得するための撮影手段の視野範囲内においてオブジェクト表示装置の所在位置に最も近い位置に所在する仮想オブジェクトの所在位置に基づき擬似位置情報を生成することを特徴とする。
【0012】
この場合には、仮想オブジェクト情報記憶手段に記憶されている仮想オブジェクトのうち、オブジェクト表示装置の視野範囲に配置された仮想オブジェクトの配置位置周辺に配置された仮想オブジェクト情報がオブジェクト表示装置により取得できる。従って、オブジェクト表示装置に表示させるのに好適な仮想オブジェクトが、オブジェクト表示装置により取得されることとなる。
【0013】
また、本発明のオブジェクト表示装置は、サーバ装置において管理されている仮想オブジェクトの、現実空間における単位領域ごとの密集度情報である仮想オブジェクト密集度情報を記憶している仮想オブジェクト密集度情報記憶手段を更に備え、擬似位置情報生成手段は、仮想オブジェクト密集度情報記憶手段に記憶されており密集度が予め設定された所定値以上である仮想オブジェクト密集度情報のうち、オブジェクト表示装置の所在位置に最も近い領域に関するオブジェクト密集度情報を抽出し、抽出された当該オブジェクト密集度情報が示す領域の代表点に基づき擬似位置情報を生成することを特徴とする。
【0014】
この場合には、仮想オブジェクトの密集度が高い位置に擬似位置が設定され、当該擬似位置周辺に配置された仮想オブジェクト情報がオブジェクト表示装置により取得されるので、オブジェクト表示装置に何らかの仮想オブジェクト情報が取得される可能性が高められる。従って、オブジェクト表示装置の現在の所在位置周辺に配置された仮想オブジェクトが存在しない場合であっても、何らかの仮想オブジェクトをオブジェクト表示装置に表示させることが可能となる。
【0015】
また、本発明のオブジェクト表示装置では、現実空間において仮想オブジェクトが密集している蓋然性が高い位置を仮想オブジェクト密集位置情報として予め記憶している仮想オブジェクト密集度情報記憶手段を更に備え、擬似位置情報生成手段は、仮想オブジェクト密集度情報記憶手段に記憶されている仮想オブジェクト密集位置情報のうち、オブジェクト表示装置の所在位置に最も近い位置に位置する仮想オブジェクト密集位置情報に基づき擬似位置情報を生成することを特徴とする。
【0016】
この場合には、仮想オブジェクトが密集している蓋然性が高い位置に擬似位置が設定され、当該擬似位置周辺に配置された仮想オブジェクト情報がオブジェクト表示装置により取得されるので、オブジェクト表示装置に何らかの仮想オブジェクト情報が取得される可能性が高められる。従って、オブジェクト表示装置の現在の所在位置周辺に配置された仮想オブジェクトが存在しない場合であっても、何らかの仮想オブジェクトをオブジェクト表示装置に表示させることが可能となる。
【0017】
また、本発明のオブジェクト表示装置では、判定手段は、オブジェクト表示装置の所在位置から予め設定された所定距離以内に位置する仮想オブジェクトの数が予め設定された所定数未満である場合に、所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が記憶されていないと判定することを特徴とする。
【0018】
この構成では、オブジェクト表示装置の所在位置から所定距離以内に位置する仮想オブジェクトの数が予め設定された所定数未満である場合には、オブジェクト表示装置において表示対象とされる仮想オブジェクトの数が十分でない可能性が高く、かかる場合において、擬似位置情報の生成が必要と判定される。従って、擬似位置情報の生成の要否が適切に判定される。
【0019】
また、本発明のオブジェクト表示装置では、判定手段は、オブジェクト表示装置における現実空間の画像を取得するための撮影手段の視野範囲内においてオブジェクト表示装置の所在位置から予め設定された所定距離以内に位置する仮想オブジェクトの数が予め設定された所定数未満である場合に、所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が記憶されていないと判定することを特徴とする。
【0020】
この構成では、オブジェクト表示装置の視野範囲内においてオブジェクト表示装置の所在位置から所定距離以内に位置する仮想オブジェクトの数が予め設定された所定数未満である場合には、オブジェクト表示装置において表示対象とされる仮想オブジェクトの数が十分でない可能性が高く、かかる場合において、擬似位置情報の生成が必要と判定される。従って、擬似位置情報の生成の要否が適切に判定される。
【0021】
また、本発明のオブジェクト表示装置では、判定手段は、オブジェクト表示装置における現実空間の画像を取得するための撮影手段の視野範囲内においてオブジェクト表示装置の所在位置から最も近い位置に位置する仮想オブジェクトまでの距離が、予め設定された所定の距離以上である場合に、所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が記憶されていないと判定することを特徴とする。
【0022】
この構成では、オブジェクト表示装置の視野範囲内において、オブジェクト表示装置の所在位置から最も近い位置に位置する仮想オブジェクトまでの距離が遠い場合には、オブジェクト表示装置において表示対象とされる仮想オブジェクトの数が十分でないか、存在しない可能性が高く、かかる場合において、擬似位置情報の生成が必要と判定される。従って、擬似位置情報の生成の要否が適切に判定される。
【発明の効果】
【0023】
AR技術を利用したサービスにおいて、現在の所在位置周辺に配置された仮想オブジェクトが存在しない場合であっても、何らかの仮想オブジェクトを表示させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】オブジェクト表示装置を含むシステムの装置構成を示す図である。
【図2】オブジェクト表示装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】仮想オブジェクト配信サーバの機能的構成を示すブロック図である。
【図4】仮想オブジェクト情報記憶部の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。
【図5】仮想オブジェクト密集度情報記憶部の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。
【図6】擬似位置情報の生成の例を示す図である。
【図7】擬似位置情報の生成の例を示す図である。
【図8】擬似位置情報の生成の例を示す図である。
【図9】オブジェクト表示装置の表示部におけるオブジェクトの表示制御の例を示す図である。
【図10】オブジェクト表示装置のハードブロック図である。
【図11】オブジェクト表示方法の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係るオブジェクト表示装置及びオブジェクト表示方法の実施形態について図面を参照して説明する。なお、可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0026】
図1は、実施形態に係るオブジェクト表示システム100の装置構成を示すブロック図である。図1に示すようにオブジェクト表示システム100は、オブジェクト表示装置1と、当該オブジェクト表示装置1と通信可能な仮想オブジェクト配信サーバ3(サーバ装置)を含む。オブジェクト表示装置1は、例えば、移動体通信網を介した通信が可能な移動端末である。従って、オブジェクト表示装置1は、移動体通信網の基地局5を介して仮想オブジェクト配信サーバ3との通信を行う。
【0027】
図2は、第1実施形態に係るオブジェクト表示装置1の機能的構成を示すブロック図である。本実施形態のオブジェクト表示装置1は、現実空間に配置された仮想オブジェクトを仮想オブジェクト配信サーバ3から取得し、取得した仮想オブジェクトを現実空間の画像に重畳して表示する装置である。
【0028】
仮想オブジェクトは、現実空間の画像に重畳表示させることにより、オブジェクト表示装置1のユーザに対して種々の情報を提供するための仮想的なオブジェクトである。また、仮想オブジェクトは、オブジェクト表示装置1の所在位置を示す位置情報に基づき、仮想オブジェクトを管理している仮想オブジェクト配信サーバ3により抽出される。仮想オブジェクト情報は、仮想オブジェクトに関する情報であり、例えば、画像やテキストといったデータを含む。また、仮想オブジェクト情報は、当該仮想オブジェクトの現実空間における配置位置に関する情報を含む。
【0029】
図2に示すように、オブジェクト表示装置1は、機能的には、位置測位部10、端末方向取得部11、位置情報取得部12、位置情報送信部13(擬似位置情報送信手段)、仮想オブジェクト情報取得部14、仮想オブジェクト情報記憶部15(仮想オブジェクト情報記憶手段)、判定部16(判定手段)、擬似位置情報生成部17(擬似位置情報生成手段)、仮想オブジェクト密集度情報記憶部18(仮想オブジェクト密集度情報記憶手段)、撮影部19(撮影手段)、表示制御部20及び表示部21を備える。
【0030】
図3は、オブジェクト表示装置1のハードウエア構成図である。オブジェクト表示装置1は、物理的には、図3に示すように、CPU101、主記憶装置であるRAM102及びROM103、データ送受信デバイスである通信モジュール104、ハードディスク、フラッシュメモリ等の補助記憶装置105、入力デバイスであるキーボード等の入力装置106、ディスプレイ等の出力装置107などを含むコンピュータシステムとして構成されている。図2に示した各機能は、図3に示すCPU101、RAM102等のハードウエア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール104、入力装置106、出力装置107を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置105におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。再び、図2を参照し、オブジェクト表示装置1の各機能部について詳細に説明する。
【0031】
位置測位部10は、オブジェクト表示装置1の所在位置を測位する部分であって、例えばGPS装置により構成される。位置測位部10は、測位された所在位置に関する情報を位置情報取得部12に送出する。
【0032】
端末方向取得部11は、撮影部19の撮影方向を取得する部分であって、例えば、加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロといった装置により構成される。端末方向取得部11により取得された撮影方向に関する情報は、判定部16、擬似位置情報生成部17及び表示制御部20において利用される。
【0033】
位置情報取得部12は、位置測位部10により測位されたオブジェクト表示装置1の所在位置に関する情報を位置情報として取得する部分である。位置情報取得部12は、取得した位置情報を位置情報送信部13に送出する。
【0034】
位置情報送信部13は、位置情報取得部12から送出されたオブジェクト表示装置1の位置情報を仮想オブジェクト配信サーバ3に送信する部分である。また、位置情報送信部13は、擬似位置情報生成部17により生成された擬似位置情報を、仮想オブジェクト配信サーバ3に送信する。位置情報取得部12からの位置情報及び擬似位置情報は、仮想オブジェクト配信サーバ3において仮想オブジェクトを抽出するための位置情報として用いられる。
【0035】
仮想オブジェクト情報取得部14は、仮想オブジェクト情報を仮想オブジェクト配信サーバ3から取得する部分である。この仮想オブジェクト情報は、仮想オブジェクト配信サーバ3において、オブジェクト表示装置1の位置情報に基づき抽出されたものである。
【0036】
仮想オブジェクト情報記憶部15は、仮想オブジェクト情報を記憶するための部分である。図4は、仮想オブジェクト情報記憶部15の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。図4に示すように、仮想オブジェクト情報記憶部15は、仮想オブジェクトを識別する情報である仮想オブジェクトIDごとに、オブジェクト名、オブジェクト位置座標、オブジェクトデータ等の情報を対応付けて記憶している。オブジェクト名は、当該仮想オブジェクトの名称を示す。オブジェクト位置座標は、当該仮想オブジェクトの現実空間における配置位置を示す情報であって、例えば、緯度及び経度により表される。オブジェクトデータは、現実空間の画像に重畳表示してユーザに情報を提供するためのデータであって、例えば、テキストデータ、画像データ等により構成される。
【0037】
判定部16は、仮想オブジェクト情報記憶部15を参照し、表示に関する所定条件に該当する仮想オブジェクトが記憶されているか否かにより、擬似位置情報の生成の要否を判定する部分である。この判定処理について、具体的に説明する。
【0038】
判定部16は、例えば、オブジェクト表示装置1の所在位置から予め設定された所定距離以内に位置する仮想オブジェクトの数が予め設定された所定数未満である場合に、所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が記憶されていないと判定することができる。
【0039】
即ち、オブジェクト表示装置1の所在位置から所定距離以内に位置する仮想オブジェクトの数が予め設定された所定数未満である場合には、オブジェクト表示装置1の表示部21において表示対象とされる仮想オブジェクトの数が十分でない可能性が高い。本実施形態のオブジェクト表示装置1により現実空間に種々の情報を重畳表示させるサービスでは、ユーザは常に一定数以上のオブジェクトが表示されることを期待するので、表示される仮想オブジェクト数が十分でないことは好ましくない。従って、かかる場合において、判定部16は、擬似位置情報の生成が必要であると判定する。
【0040】
また、判定部16は、例えば、オブジェクト表示装置1における現実空間の画像を取得するための撮影部19の視野範囲内においてオブジェクト表示装置の所在位置から予め設定された所定距離以内に位置する仮想オブジェクトの数が予め設定された所定数未満である場合に、所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が記憶されていないと判定することができる。
【0041】
即ち、オブジェクト表示装置1の視野範囲内においてオブジェクト表示装置1の所在位置から所定距離以内に位置する仮想オブジェクトの数が予め設定された所定数未満である場合には、オブジェクト表示装置1の表示部21において表示対象とされる仮想オブジェクトの数が十分でない可能性が高い。本実施形態のオブジェクト表示装置1により提供されるサービスでは、常に一定数以上のオブジェクトが表示されることがユーザから期待されるので、表示される仮想オブジェクト数が十分でないことは好ましくない。従って、かかる場合において、判定部16は、擬似位置情報の生成が必要であると判定する。
【0042】
また、判定部16は、例えば、オブジェクト表示装置1における現実空間の画像を取得するための撮影部19の視野範囲内においてオブジェクト表示装置1の所在位置から最も近い位置に位置する仮想オブジェクトまでの距離が、予め設定された所定の距離以上である場合に、所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が記憶されていないと判定することができる。
【0043】
即ち、オブジェクト表示装置の視野範囲内において、オブジェクト表示装置の所在位置から最も近い位置に位置する仮想オブジェクトまでの距離が遠い場合には、オブジェクト表示装置1の表示部21において表示対象とされる仮想オブジェクトの数が十分でないか、存在しない可能性が高い。本実施形態のオブジェクト表示装置1により提供されるサービスでは、常に一定数以上のオブジェクトが表示されることがユーザから期待されるので、表示される仮想オブジェクト数が十分でないことは好ましくない。従って、かかる場合において、判定部16は、擬似位置情報の生成が必要であると判定する。
【0044】
擬似位置情報生成部17は、所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が記憶されていないと判定部16により判定された場合に、オブジェクト表示装置1の所在位置とは異なる位置を示す擬似位置情報を生成する部分である。擬似位置情報を生成については、後に詳述する。
【0045】
仮想オブジェクト密集度情報記憶部18は、仮想オブジェクト配信サーバ3において管理されている仮想オブジェクトの、現実空間における単位領域ごとの密集度情報である仮想オブジェクト密集度情報を記憶している記憶手段である。図5は、仮想オブジェクト密集度情報記憶部18の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。図5に示すように、仮想オブジェクト密集度情報記憶部18は、現実空間における単位領域を識別する識別子Nごとに、緯度、経度及び密集度を対応付けて記憶している。ここで、緯度及び経度は、現実空間における単位領域の代表点の位置を示す。この代表点は、例えば、当該単位領域の中心点に設定される。密集度は、当該単位領域に配置されている仮想オブジェクトの密集度を示す値である。例えば、識別子N「1」の領域には、25個の仮想オブジェクトが配置されている。
【0046】
なお、本実施形態では、仮想オブジェクト密集度情報は、図5に示すようなテーブル形式のデータベースにより管理・記憶されることとしているが、2次元の地図データ形式で管理されることとしてもよい。即ち、2次元の地図を所定面積を有するメッシュで区切り、メッシュ毎に密集度のデータが対応付けられて記憶されることとしてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、仮想オブジェクト密集度情報記憶部18はオブジェクト表示装置1に設けられることとしているが、オブジェクト表示装置1と通信可能な他のサーバ装置に設けられることとしてもよい。次に、図6〜図8を参照して擬似位置情報の生成処理の例を説明する。
【0048】
図6(a)は、オブジェクト表示装置1の所在位置、及び撮影部19の視野範囲V及び仮想オブジェクト情報記憶部15に記憶されている仮想オブジェクトOの位置関係を模式的に示す図である。オブジェクト表示装置1は、現在以前に所在した位置に基づき仮想オブジェクトOを取得し、取得した仮想オブジェクトOの情報を仮想オブジェクト情報記憶部15に保持している場合がある。このような仮想オブジェクトOを仮想オブジェクト情報記憶部15に記憶している場合において、擬似位置情報生成部17は、仮想オブジェクトOの配置位置に基づき擬似位置情報を生成することができる。即ち、図6(b)に示すように、擬似位置情報生成部17は、撮影部19の視野範囲Vにおいてオブジェクト表示装置1の所在位置に最も近い位置に所在する仮想オブジェクトOANの所在位置に基づき擬似位置情報Pを生成する。擬似位置情報Pは、例えば、オブジェクト表示装置1の所在位置から仮想オブジェクトOANの配置位置までの距離だけ、撮影部19の撮影方向にオブジェクト表示装置1から離れた位置に設定される。また、擬似位置情報Pは、仮想オブジェクトOANの配置位置に設定されることとしてもよい。
【0049】
さらに、擬似位置情報生成部17は、オブジェクト表示装置1の位置から擬似位置情報Pに至る線上において、予め設定された所定間隔ごとに擬似位置情報P,P,・・・を生成することができる。位置情報送信部13は、生成された擬似位置情報P,P,Pを仮想オブジェクト配信サーバ3に送信する。そして、オブジェクト表示装置1は、図6(c)に示すように、仮想オブジェクト配信サーバ3において擬似位置情報P,P,Pに基づき抽出された仮想オブジェクトOを取得できる。仮想オブジェクトOには、図6(c)に示すように、オブジェクト表示装置1周辺に配置された仮想オブジェクトが多く含まれることとなる。従って、仮想オブジェクト情報記憶部15に表示対象となるような仮想オブジェクト情報が記憶されていなかった場合であっても、オブジェクト表示装置1に何らかの仮想オブジェクトを表示させることが可能となる。
【0050】
なお、図6を参照して説明した例では、擬似位置情報Pは、撮影部19の視野範囲Vに位置する仮想オブジェクトOANの所在位置に基づき生成されることとしたが、撮影部19の視野範囲Vを考慮せずに、オブジェクト表示装置1の所在位置に最も近い位置に所在する仮想オブジェクトの所在位置に基づき生成されることとしてもよい。
【0051】
次に図7を参照して、擬似位置情報の生成処理の他の例を説明する。図7(a)は、オブジェクト表示装置1の所在位置、及び撮影部19の視野範囲V、仮想オブジェクト情報記憶部15に記憶されている仮想オブジェクトO、及び仮想オブジェクト密集度情報C,Cの位置関係を模式的に示す図である。仮想オブジェクト密集度情報C,Cは、各々図示される位置に予め設定された所定値以上の仮想オブジェクトの密集度が存在することを示す。
【0052】
このような仮想オブジェクト密集度情報を有する場合において、図7(b)に示すように、擬似位置情報生成部17は、撮影部19の視野範囲Vにおいてオブジェクト表示装置1の所在位置に最も近い位置に所在する仮想オブジェクト密集度情報Cの位置に基づき擬似位置情報Pを生成する。擬似位置情報Pは、例えば、オブジェクト表示装置1の所在位置から仮想オブジェクト密集度情報Cの所在位置までの距離だけ、撮影部19の撮影方向にオブジェクト表示装置1から離れた位置に設定される。また、擬似位置情報Pは、仮想オブジェクト密集度情報Cの所在位置に設定されることとしてもよい。
【0053】
さらに、擬似位置情報生成部17は、オブジェクト表示装置1の位置から擬似位置情報Pに至る線上において、予め設定された所定間隔ごとに擬似位置情報P,P,・・・を生成することができる。位置情報送信部13は、生成された擬似位置情報P,P,Pを仮想オブジェクト配信サーバ3に送信する。そして、オブジェクト表示装置1は、図7(c)に示すように、仮想オブジェクト配信サーバ3において擬似位置情報P,Pに基づき抽出された仮想オブジェクトOを取得できる。仮想オブジェクトOには、図7(c)に示すように、オブジェクト表示装置1周辺に配置された仮想オブジェクトが多く含まれることとなる。従って、仮想オブジェクト情報記憶部15に表示対象となるような仮想オブジェクト情報が記憶されていなかった場合であっても、オブジェクト表示装置1に何らかの仮想オブジェクトを表示させることが可能となる。
【0054】
次に図8を参照して、擬似位置情報の生成処理の他の例を説明する。図8に示す擬似位置情報の生成処理においては、仮想オブジェクト密集度情報記憶部18は、現実空間において仮想オブジェクトが密集している蓋然性が高い位置を仮想オブジェクト密集位置情報として予め記憶している。仮想オブジェクトが密集している蓋然性が高い位置としては、例えば、観光地、人口密度が所定値以上の場所、商業施設の密度が所定値以上の場所といった位置が例示される。本実施形態では、仮想オブジェクト密集度情報記憶部18は、観光地情報を現実空間において仮想オブジェクトが密集している蓋然性が高い位置として記憶していることとする。
【0055】
図8(a)は、オブジェクト表示装置1の所在位置、及び撮影部19の視野範囲V、観光地情報D,Dの位置関係を模式的に示す図である。観光地情報D,Dは、各々図示される位置に観光地が存在することを示す。
【0056】
この場合には、図8(b)に示すように、擬似位置情報生成部17は、撮影部19の視野範囲Vにおいてオブジェクト表示装置1の所在位置に最も近い位置に所在する観光地情報Dの位置に基づき擬似位置情報Pを生成する。擬似位置情報Pは、例えば、オブジェクト表示装置1の所在位置から観光地情報Dの所在位置までの距離だけ、撮影部19の撮影方向にオブジェクト表示装置1から離れた位置に設定される。また、擬似位置情報Pは、観光地情報Dの所在位置に設定されることとしてもよい。
【0057】
位置情報送信部13は、生成された擬似位置情報Pを仮想オブジェクト配信サーバ3に送信する。そして、オブジェクト表示装置1は、図8(c)に示すように、仮想オブジェクト配信サーバ3において擬似位置情報Pに基づき抽出された仮想オブジェクトOを取得できる。仮想オブジェクトOには、図8(c)に示すように、オブジェクト表示装置1周辺に配置された仮想オブジェクトが多く含まれることとなる。従って、仮想オブジェクト情報記憶部15に表示対象となるような仮想オブジェクト情報が記憶されていなかった場合であっても、オブジェクト表示装置1に何らかの仮想オブジェクトを表示させることが可能となる。
【0058】
再び図2を参照して、撮影部19は、現実空間の画像を撮影するための部分であり、例えばカメラにより構成される。撮影部19は、現実空間の画像を表示制御部20に送出する。また、撮影部19は、視野範囲を特定するための情報として、撮影部19の画角及びズーム倍率に関する情報を、判定部16、擬似位置情報生成部17及び表示制御部20に送出する。
【0059】
表示制御部20は、撮影部19により取得された現実空間の画像に対する仮想オブジェクトの重畳表示を表示部21に実施させるように制御する部分である。仮想オブジェクトは、当該仮想オブジェクト配置位置に関する情報に基づき、現実空間の画像における当該配置位置に対応する部分に重畳される。
【0060】
また、擬似位置情報に基づき仮想オブジェクト配信サーバ3から仮想オブジェクト情報を受信した結果、視野範囲内に大量の表示対象の仮想オブジェクトが存在することとなった場合に、表示画面が煩雑になることを防止すべく、表示制御部20は、仮想オブジェクトの表示数の抑制制御を実施する。図9は、仮想オブジェクトの表示数の抑制制御が実施された場合の表示画面例を示す図である。図9に示すように、表示制御部20は、例えば、オブジェクト表示装置1の現在位置から10km未満の距離以内に配置されたオブジェクトOを優先させて表示画面における表示領域Rに表示させる。そして、表示制御部20は、オブジェクト表示装置1の現在位置からの距離が10km以上30km未満の範囲に配置されたオブジェクトを表示させずに、当該範囲に配置されたオブジェクトの個数を示すオブジェクトNを表示画面における表示領域Rに表示させる。さらに、表示制御部20は、オブジェクト表示装置1の現在位置からの距離が30km以上の範囲に配置されたオブジェクトを表示させずに、当該範囲に配置されたオブジェクトの個数を示すオブジェクトNを表示画面における表示領域Rに表示させる。仮想オブジェクトの表示数の抑制制御により、表示部21における表示画面が煩雑になることが防止される。
【0061】
表示部21は、表示制御部20による表示制御に基づき、現実空間の画像に仮想オブジェクトを重畳して表示する部分であり、例えば、ディスプレイ装置により構成される。
【0062】
次に、図10を参照して、仮想オブジェクト配信サーバ3の機能を説明する。図10は、仮想オブジェクト配信サーバ3の機能的構成を示すブロック図である。仮想オブジェクト配信サーバ3は、端末位置情報受信部30、仮想オブジェクト情報保存部31、仮想オブジェクト情報抽出部32及び仮想オブジェクト情報送信部33を備える。また、仮想オブジェクト配信サーバ3も、図3に示したオブジェクト表示装置1のハードウエア構成と同様のハードウエア構成を有するコンピュータである。以下、仮想オブジェクト配信サーバ3の各機能部について説明する。
【0063】
端末位置情報受信部30は、オブジェクト表示装置1から位置情報を受信する部分である。オブジェクト表示装置1から受信する位置情報には、オブジェクト表示装置1の現在位置を示す位置情報及びオブジェクト表示装置1において生成された擬似位置情報が含まれるが、端末位置情報受信部30は、かかる位置情報の種別の相違を認識しない。端末位置情報受信部30は、受信した位置情報を仮想オブジェクト情報抽出部32に送出する。
【0064】
仮想オブジェクト情報保存部31は、仮想オブジェクト情報を記憶している記憶手段である。仮想オブジェクト情報保存部31に蓄積されている仮想オブジェクト情報は、図4を参照して説明したような情報を含む。
【0065】
仮想オブジェクト情報抽出部32は、仮想オブジェクト情報を仮想オブジェクト情報保存部31から抽出する部分である。仮想オブジェクト情報抽出部32は、例えば、端末位置情報受信部30により受信された位置情報に示される位置から予め設定された所定距離以内に位置する仮想オブジェクトの仮想オブジェクト情報を抽出する。
【0066】
仮想オブジェクト情報送信部33は、仮想オブジェクト情報抽出部32により抽出された仮想オブジェクト情報をオブジェクト表示装置1に送信する部分である。
【0067】
続いて、図11を参照して、本実施形態のオブジェクト表示方法におけるオブジェクト表示装置1の動作の例について説明する。図11は、オブジェクト表示装置1において実施される処理内容を示すフローチャートである。
【0068】
まず、位置測位部10は、オブジェクト表示装置1の所在位置を測位する。続いて、位置情報取得部12は、位置測位部10により測位されたオブジェクト表示装置1の所在位置に関する情報を位置情報として取得する(S1)。そして、位置情報送信部13は、位置情報取得部12により取得された位置情報を仮想オブジェクト配信サーバ3に送信する(S2)。
【0069】
仮想オブジェクト情報取得部14は、仮想オブジェクト配信サーバ3においてオブジェクト表示装置1の位置情報に基づき抽出された仮想オブジェクト情報を、仮想オブジェクト配信サーバ3から取得する(S3)。そして、仮想オブジェクト情報取得部14は、取得した仮想オブジェクト情報を仮想オブジェクト情報記憶部15に記憶させる。
【0070】
次に、端末方向取得部11は、撮影部19の撮影方向を取得する(S4)。続いて、判定部16は、撮影部19の撮影方向における視野範囲内においてオブジェクト表示装置1の所在位置から予め設定された所定距離以内に位置する仮想オブジェクトの数を取得する(S5、擬似位置生成要否判定ステップ)。なお、ステップS5において、判定部16は、撮影部19の視野範囲を考慮せずに、オブジェクト表示装置1の所在位置から予め設定された所定距離以内に位置する仮想オブジェクトの数を取得することとしてもよい。
【0071】
続いて、判定部16は、ステップS5において取得した仮想オブジェクトの数が予め設定された所定数以上であるか否かを判定する(S6、擬似位置生成要否判定ステップ)。仮想オブジェクトの数が予め設定された所定数以上であると判定された場合には、処理手順はステップS7に進められる。一方、仮想オブジェクトの数が予め設定された所定数以上であると判定されなかった場合には、処理手順はステップS8に進められる。
【0072】
次に、判定部16は、ステップS5において取得した仮想オブジェクトのうち直近の仮想オブジェクトまでの距離が予め設定された所定の距離以下であるか否かを判定する(S7、擬似位置生成要否判定ステップ)。直近の仮想オブジェクトまでの距離が予め設定された所定の距離以下であると判定された場合には、表示対象とすべき仮想オブジェクト情報が仮想オブジェクト情報記憶部15に記憶されていることを意味するので、処理手順はステップS11に進められる。一方、直近の仮想オブジェクトまでの距離が予め設定された所定の距離以下であると判定されなかった場合には、表示対象とすべき仮想オブジェクト情報が仮想オブジェクト情報記憶部15に記憶されていないことを意味するので、処理手順はステップS8に進められる。
【0073】
なお、本実施形態では、擬似位置情報生成の要否を判定するために、ステップS6及びステップS7の判定処理を実施しているが、いずれか一方のみが実施されることとしてもよい。
【0074】
ステップS8において、擬似位置情報生成部17は、オブジェクト表示装置1の所在位置とは異なる位置を示す擬似位置情報を生成する(S8、擬似位置情報生成ステップ)。擬似位置情報生成部17は、例えば、撮影部19の視野範囲においてオブジェクト表示装置1の所在位置に最も近い位置に所在する仮想オブジェクトの所在位置に基づき擬似位置情報を生成することができる(図6参照)。また、擬似位置情報生成部17は、撮影部19の視野範囲においてオブジェクト表示装置1の所在位置に最も近い位置に所在する仮想オブジェクト密集度情報の位置に基づき擬似位置情報を生成することができる(図7参照)。さらに、擬似位置情報生成部17は、撮影部19の視野範囲Vにおいてオブジェクト表示装置1の所在位置に最も近い位置に所在する、例えば観光地情報といった仮想オブジェクト密集位置情報の位置に基づき擬似位置情報を生成することができる(図8参照)。
【0075】
続いて、位置情報送信部13は、擬似位置情報生成部17により生成された擬似位置情報を仮想オブジェクト配信サーバ3に送信する(S9、擬似位置情報送信ステップ)。そして、仮想オブジェクト情報取得部14は、仮想オブジェクト配信サーバ3において擬似位置情報に基づき抽出された仮想オブジェクト情報を、仮想オブジェクト配信サーバ3から取得する(S10)。ステップS10の処理の後に、処理手順はステップS4に戻される。
【0076】
一方、ステップS11において、仮想オブジェクト情報記憶部15に表示対象となる仮想オブジェクト大量に存在することとなった場合には、表示制御部20は、表示画面が煩雑になることを防止すべく、仮想オブジェクトの表示数の抑制制御を実施する(S11、図9参照)。そして、表示制御部20は、撮影部19により取得された現実空間の画像に仮想オブジェクトを重畳して表示部21に表示させる(S12)。こうして、本実施形態の処理を終了する。
【0077】
以上説明した本実施形態のオブジェクト表示装置1及びオブジェクト表示方法では、表示に関する所定条件に該当する仮想オブジェクト情報がオブジェクト表示装置1の仮想オブジェクト情報記憶部15に記憶されていないと判定された場合に、仮想オブジェクト配信サーバ3における仮想オブジェクトの抽出に用いられる擬似位置情報が生成される。これにより、仮想オブジェクト配信サーバ3において当該擬似位置に基づき仮想オブジェクトが抽出され、抽出された仮想オブジェクトがオブジェクト表示装置1に取得されるので、オブジェクト表示装置1の現在の所在位置周辺に配置された仮想オブジェクトが存在しない場合であっても、何らかの仮想オブジェクトをオブジェクト表示装置1に表示させることが可能となる。また、本実施形態は、通常のAR技術を用いたオブジェクト表示サービスに用いられる仮想オブジェクト配信サーバ3の機能変更を要することなく実現される。従って、本発明を適用したシステムによりAR技術を用いたサービスを提供するに際して、システムのコストの抑制が可能である。
【0078】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…オブジェクト表示装置、3…仮想オブジェクト配信サーバ、5…基地局、10…位置測位部、11…端末方向取得部、12…位置情報取得部、13…位置情報送信部、14…仮想オブジェクト情報取得部、15…仮想オブジェクト情報記憶部、16…判定部、17…擬似位置情報生成部、18…仮想オブジェクト密集度情報記憶部、19…撮影部、20…表示制御部、21…表示部、30…端末位置情報受信部、31…仮想オブジェクト情報保存部、32…仮想オブジェクト情報抽出部、33…仮想オブジェクト情報送信部、100…オブジェクト表示システム、C,C…仮想オブジェクト密集度情報、P,P,P…擬似位置情報、V…視野範囲。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の所在位置を示す位置情報に基づきサーバ装置において抽出された仮想オブジェクト情報を取得し、仮想オブジェクトを現実空間の画像に重畳して表示するオブジェクト表示装置であって、
仮想オブジェクトの所在位置に関する情報を含む仮想オブジェクト情報を記憶する仮想オブジェクト情報記憶手段と、
前記仮想オブジェクト情報記憶手段を参照し、所定条件に該当する仮想オブジェクトが記憶されているか否かを判定する判定手段と、
前記所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が記憶されていないと前記判定手段により判定された場合に、前記オブジェクト表示装置の所在位置とは異なる位置を示す擬似位置情報を生成する擬似位置情報生成手段と、
前記擬似位置情報生成手段により生成された前記擬似位置情報を、仮想オブジェクトを抽出するための位置情報として前記サーバ装置に送信する擬似位置情報送信手段と
を備えることを特徴とするオブジェクト表示装置。
【請求項2】
前記擬似位置情報生成手段は、
前記仮想オブジェクト情報記憶手段に記憶されている仮想オブジェクトのうち、前記オブジェクト表示装置の所在位置に最も近い位置に所在する仮想オブジェクトの所在位置に基づき前記擬似位置情報を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト表示装置。
【請求項3】
前記擬似位置情報生成手段は、
前記仮想オブジェクト情報記憶手段に記憶されている仮想オブジェクトのうち、前記オブジェクト表示装置における現実空間の画像を取得するための撮影手段の視野範囲内において前記オブジェクト表示装置の所在位置に最も近い位置に所在する仮想オブジェクトの所在位置に基づき前記擬似位置情報を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト表示装置。
【請求項4】
前記サーバ装置において管理されている仮想オブジェクトの、現実空間における単位領域ごとの密集度情報である仮想オブジェクト密集度情報を記憶している仮想オブジェクト密集度情報記憶手段を更に備え、
前記擬似位置情報生成手段は、
前記仮想オブジェクト密集度情報記憶手段に記憶されており前記密集度が予め設定された所定値以上である前記仮想オブジェクト密集度情報のうち、前記オブジェクト表示装置の所在位置に最も近い領域に関する前記オブジェクト密集度情報を抽出し、抽出された当該オブジェクト密集度情報が示す領域の代表点に基づき前記擬似位置情報を生成する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオブジェクト表示装置。
【請求項5】
現実空間において仮想オブジェクトが密集している蓋然性が高い位置を仮想オブジェクト密集位置情報として予め記憶している仮想オブジェクト密集度情報記憶手段を更に備え、
前記擬似位置情報生成手段は、
前記仮想オブジェクト密集度情報記憶手段に記憶されている前記仮想オブジェクト密集位置情報のうち、前記オブジェクト表示装置の所在位置に最も近い位置に位置する前記仮想オブジェクト密集位置情報に基づき前記擬似位置情報を生成する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオブジェクト表示装置。
【請求項6】
前記判定手段は、
前記オブジェクト表示装置の所在位置から予め設定された所定距離以内に位置する仮想オブジェクトの数が予め設定された所定数未満である場合に、前記所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が記憶されていないと判定する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオブジェクト表示装置。
【請求項7】
前記判定手段は、
前記オブジェクト表示装置における現実空間の画像を取得するための撮影手段の視野範囲内において前記オブジェクト表示装置の所在位置から予め設定された所定距離以内に位置する仮想オブジェクトの数が予め設定された所定数未満である場合に、前記所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が記憶されていないと判定する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオブジェクト表示装置。
【請求項8】
前記判定手段は、
前記オブジェクト表示装置における現実空間の画像を取得するための撮影手段の視野範囲内において前記オブジェクト表示装置の所在位置から最も近い位置に位置する仮想オブジェクトまでの距離が、予め設定された所定の距離以上である場合に、前記所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が記憶されていないと判定する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のオブジェクト表示装置。
【請求項9】
自装置の所在位置を示す位置情報に基づきサーバ装置において抽出された仮想オブジェクト情報を取得し、仮想オブジェクトを現実空間の画像に重畳して表示するオブジェクト表示装置におけるオブジェクト表示方法であって、
仮想オブジェクトの所在位置に関する情報を含む仮想オブジェクト情報を記憶するための仮想オブジェクト情報記憶手段を参照し、所定条件に該当する仮想オブジェクトが記憶されているか否かを判定する擬似位置生成要否判定ステップと、
前記所定条件に該当する仮想オブジェクト情報が記憶されていないと前記擬似位置生成要否判定ステップにおいて判定された場合に、前記オブジェクト表示装置の所在位置とは異なる位置を示す擬似位置情報を生成する擬似位置情報生成ステップと、
前記擬似位置情報生成ステップにおいて生成された前記擬似位置情報を、仮想オブジェクトを抽出するための位置情報として前記サーバ装置に送信する擬似位置情報送信ステップと
を有することを特徴とするオブジェクト表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−38248(P2012−38248A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180340(P2010−180340)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】