説明

オルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法、及びオルガノシロキサンが結合したアミド酸トリオルガノシリルエステルとその製造方法

【課題】オルガノシロキサンが結合したイミドを高純度、高収率で製造する方法の提供。
【解決手段】トリオルガノシリルアミノ基含有オルガノシロキサンと、ジカルボン酸無水物とを反応させることにより、アミド酸トリオルガノシリルエステルを得た後、脱トリオルガノシラノール反応により、閉環イミド化させる、式(5)のオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法。


(A1はC1〜20の二価有機基、A2はC2〜40の二価有機基。Sxはケイ素数2〜2,000のオルガノシロキサニル基を表す。αは該オルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜100の整数。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子材料用の熱可塑性組成物や有機−無機ハイブリッド材料、シロキサン変性樹脂などに用いることができ、工業的に有用な化合物であるオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法、並びに前駆体であるオルガノシロキサンが結合したアミド酸トリオルガノシリルエステルとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イミドは熱的に、また化学的に安定な化合物であり、材料科学の分野において種々の応用が図られている。芳香族イミドは電子欠乏性であるため、電子豊富な化合物と結合させた分子においては分子内電荷移動が観察され、この性質が有機EL用色素として利用されている(非特許文献1:Chemistry of Materials、2003年15巻1913−1917ページ)。また、比較的大きな共役系を有する芳香族イミドを他の色素と連結させた分子を光励起すると、分子内や会合体内で効率的な電子移動やエネルギー移動が起こるため、光合成反応中心モデルとしての研究も行われている(例えば、非特許文献2:Journal of the American Chemical Society、2004年126巻10810−10811ページ)。
【0003】
また、近年、有機材料と無機材料を組み合わせて両者の長所を生かしたハイブリッド材料の開発が盛んに行われているが、無機骨格であるシロキサンに各種有機基や有機ポリマーを結合させてハイブリッド化させる例も多い。例えば、特開平5−3218号公報(特許文献1)には、両末端をマレイミドで封止した直鎖シロキサンを用いて得られる熱硬化性組成物が開示されており、半導体封止材料として用いられている。また、かご状オリゴシロキサンとイミドのナノコンポジットを作成すると高い耐熱性を示すことが報告されている(非特許文献3:Chemistry of Materials、2003年15巻793−797ページ)。このような観点から、様々な構造のオルガノシロキサンにイミドを自在に結合させる技術が求められている。
【0004】
イミドの合成法として最も単純で古典的な方法は、アンモニアや一級アミンとジカルボン酸無水物を混合して反応させる方法であり、まず酸無水物が開環してアミド酸が生成した後、加熱により脱水環化が起こって収率よくイミドが得られる(下記スキーム[A])。この方法は1モルのイミドが生成する際の副生成物が1モルの水だけであり、加熱によってイミド化と同時に生じた水が除去される。前記特許文献1や非特許文献3においてもこの方法によってオルガノシロキサンが結合したイミドを得ると記載されている。
【0005】
【化1】

【0006】
しかしながら、この方法において、例えば、反応基質として環状ジメチルシロキサンが結合した脂肪族アミンを用いてオルガノシロキサンが結合したイミドを合成しようとすると、下記スキーム[B]のように、イミド化反応の過程で熱的にシロキサン鎖の切断による不均化が起こり、生成したイミドにはシロキサン部分が不均化した副生成物が混在することがわかった。つまり、このイミド化方法では、高純度な化合物としてオルガノシロキサンが結合したイミドを得ることは難しい。
【0007】
【化2】

【0008】
更に、脂肪族アミノ基を有するオルガノシロキサンの中には、室温でも徐々にシロキサンが不均化反応を起こすものがあり、工業的な原料として用いるのには不適当な場合がある。従って、上記合成法はオルガノシロキサンが結合したイミドを得る方法として最適とは言い難い。
【0009】
シロキサンと同様にケイ素化合物であるアルコキシシランが結合したイミドは、シランカップリング剤として利用することができ、その合成方法がいくつか報告されている。上記スキーム[A]の方法が米国特許第3755354号明細書(特許文献2)に記載されているほか、特開平1−29385号公報(特許文献3)には、(1)脂肪族不飽和結合を持つイミドをヒドロアルコキシシランによってヒドロシリル化する方法、米国特許第4271074号明細書(特許文献4)には、(2)イミドのアルカリ金属塩とハロアルキルアルコキシシランを反応させ縮合させる方法が開示されている。また、米国特許第6191286号明細書(特許文献5)には、(3)ジカルボン酸無水物とイソシアナート基を持つアルコキシシランを反応させる方法、(4)ビスアミドシランを加熱してイミドシランとアミノシランに不均化させる方法、(5)アミノ基含有シランとジカルボン酸無水物を反応させて得られたアミド酸をエステル化し、これを加熱してイミド化する方法が記述されている。しかし、これらをオルガノシロキサンが結合したイミドの合成に適用する場合、(1)では触媒として使用する白金化合物を目的化合物から除去することが難しく、(2)では強塩基性の反応基質を用いるためシロキサンの不均化反応が起こる。(3)では予めイソシアナート基を持つオルガノシロキサンを用意せねばならず、工程が増える上に全収率が低下する。また、(4)では二分子のアミノ基含有オルガノシロキサンから一分子のイミドしか得ることができず、経済性に劣る。(5)ではアミド酸をエステル化しない場合よりもイミド化のために高温が必要であり、シロキサンの不均化等の副反応が助長される。従って、いずれも好ましい方法とはならない。
【0010】
上記の公知方法で得られたアルコキシシランが結合したイミドを加水分解及び縮合させることによる、オルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法も考えられる。しかし、この方法では各種シロキサンの混合物が得られ、構造や鎖長が規定された所望のシロキサンを得ることは難しい。
【0011】
前記特許文献5には、更に(6)アミノ基含有シランとジカルボン酸無水物を反応させて得られたアミド酸をシリル化し、アミド酸シリルエステルを加熱してイミド化する方法が記載されている。ポリイミド合成においては、ポリアミド酸トリメチルシリルエステルのイミド化反応はポリアミド酸と同様の温度で行えることが示されており(非特許文献4:Macromolecules、1991年24巻3475−3480ページ)、オルガノシロキサンが結合したイミドの合成にも有効な方法である可能性があった。
【0012】
そこで、下記スキーム[C]に示されるようにトリメチルシリル化した脂肪族アミノ基を有する環状ジメチルシロキサンを原料としてイミド合成反応を行った。中間体であるアミド酸トリメチルシリルエステルは定量的な収率で得られたが、続くイミド化反応では環状シロキサンの不均化に加えて開環による直鎖シロキサンの生成が観察され、トリメチルシリル化されていない原料を用いた場合よりも得られるイミド純度は低下するという失望すべき結果が得られた。
【0013】
【化3】

【0014】
このように、イミド合成法は種々検討されてきたが、不均化反応を起こし易いオルガノシロキサンが結合したイミドの合成には必ずしも有効ではなく、新たなイミド化方法の開発が求められていた。
【0015】
【特許文献1】特開平5−3218号公報
【特許文献2】米国特許第3755354号明細書
【特許文献3】特開平1−29385号公報
【特許文献4】米国特許第4271074号明細書
【特許文献5】米国特許第6191286号明細書
【非特許文献1】Chemistry of Materials、2003年15巻1913−1917ページ
【非特許文献2】Journal of the American Chemical Society、2004年126巻10810−10811ページ
【非特許文献3】Chemistry of Materials、2003年15巻793−797ページ
【非特許文献4】Macromolecules、1991年24巻3475−3480ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記要望に応えるためになされたもので、工業的に有用な化合物であるオルガノシロキサンが結合したイミドを、オルガノシロキサン部分の不均化反応を抑制し高純度かつ高収率で製造する方法及びその前駆体と製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、オルガノシロキサンが結合したイミドの新規な製造方法、並びに前駆体であるオルガノシロキサンが結合したアミド酸トリオルガノシリルエステルとその製造方法を知見するに至った。
【0018】
即ち、本発明は、窒素原子に下記一般式(1)で表されるトリオルガノシリル基が結合した、下記一般式(2)で表されるトリオルガノシリルアミノ基含有オルガノシロキサンと、下記一般式(3)で表されるジカルボン酸無水物とを反応させることにより、下記一般式(4)で表されるアミド酸トリオルガノシリルエステルを得た後、脱トリオルガノシラノール反応により、該アミド酸トリオルガノシリルエステルを閉環イミド化させることを特徴とする下記一般式(5)で表されるオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法を提供する。
【0019】
【化4】

【0020】
上記式(1)〜(5)において、R1は炭素数2〜20の一価炭化水素基、R2は同一でも異なってもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基、A1は炭素数1〜20の置換又は非置換の二価の有機基、A2は炭素数2〜40の置換又は非置換の二価の有機基を表す。Sxはケイ素数が2〜2,000の一価又は多価のオルガノシロキサニル基を表す。αは該オルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜100の整数である。
【0021】
また、本発明は上記一般式(2)、(4)、(5)において、Sxが鎖状、環状、かご状又は部分開裂したかご状の一価又は多価のオルガノシロキサニル基より選択される、前記のオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法を提供する。
【0022】
また、本発明は上記一般式(2)、(4)、(5)において、Sxが下記一般式(6)で表される一価又は多価の環状オルガノシロキサニル基、下記一般式(7)及び(9)で表される一価又は多価の鎖状オルガノシロキサニル基、下記一般式(11)で表される一価又は多価のかご状オルガノシロキサニル基、及び下記一般式(12)で表される部分開裂した一価又は多価のかご状オルガノシロキサニル基の中より選択される、前記のオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法を提供する。
【0023】
【化5】


(式(6)において、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表し、aはオルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜10の整数、bは0〜10の整数を表す。)
【0024】
【化6】


(式(7)において、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表し、Rxは炭素数1〜20の置換又は非置換の一価炭化水素基あるいは下記一般式(8)で表されるトリオルガノシリルアミノ基で置換された有機基を表す。cは0〜100の整数を表す。)
【0025】
【化7】


(式(8)において、R1、R2及びA1は上記一般式(1)及び(2)で説明したものと同義の置換基を表す。)
【0026】
【化8】


(式(9)において、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表し、Rxは同一でも異なってもよく、炭素数1〜20の置換又は非置換の一価炭化水素基あるいは上記一般式(8)で表されるトリオルガノシリルアミノ基で置換された有機基を表す。RSは炭素数1〜20の一価炭化水素基あるいは下記一般式(10)で表されるトリオルガノシロキシ基を表す。dはオルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜100の整数を、eは0〜100の整数を表す。)
【0027】
【化9】


(式(11)において、Rは上記一般式(9)で定義したものと同義の置換基を表す。)
【0028】
【化10】


(式(11)において、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表し、RSは炭素数1〜20の一価炭化水素基あるいは上記一般式(10)で表されるトリオルガノシロキシ基を表す。f及びhは0〜10の整数、gはオルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜20の整数、iは0〜19の整数を表す。但し、gとiの和は6以上20以下である。)
【0029】
【化11】


(式(12)において、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表す。RS及びRtはそれぞれ独立に炭素数1〜20の一価炭化水素基あるいは上記一般式(10)で表されるトリオルガノシロキシ基を表す。j、l及びnは0〜10の整数、kはオルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜3の整数、mは0〜2の整数、oは2〜16の整数を表す。但し、kとmの和は3であり、mが2のとき、Rtは互いに結合して下記式(13)
【化12】


(式中、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表す。)
で表される基を形成してもよい。)
【0030】
また、本発明は、上記一般式(1)で表されるトリオルガノシリル基が、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソブチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、テキシルジメチルシリル基の中から選択される、前記のオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法を提供する。
【0031】
また、本発明は上記一般式(2)におけるA1が窒素原子とsp3炭素で結合している、前記のオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法を提供する。
【0032】
更に、本発明は、上記一般式(4)で表されるオルガノシロキサンが結合したアミド酸トリオルガノシリルエステルを提供する。
【0033】
また、本発明は、窒素原子に上記一般式(1)で表されるトリオルガノシリル基が結合した、上記一般式(2)で表されるトリオルガノシリルアミノ基含有オルガノシロキサンと、上記一般式(3)で表されるジカルボン酸無水物とを反応させることを特徴とする上記一般式(4)で表されるオルガノシロキサンが結合したアミド酸トリオルガノシリルエステルの製造方法を提供する。
【0034】
更に、本発明は、上記一般式(4)で表されるアミド酸トリオルガノシリルエステルを脱トリオルガノシラノール反応により閉環イミド化させることを特徴とする上記一般式(5)で表されるオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0035】
本発明により、オルガノシロキサンが結合したイミドを高純度、かつ高収率で製造することができる。本発明の製造方法においては、化学的に安定な化合物を原料とするため工業的に好ましい。また、比較的かさ高いアミド酸トリオルガノシリルエステルを中間体とすることにより、オルガノシロキサン部分の不均化反応を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明のオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法において、出発物質となるのは、窒素原子に下記一般式(1)で表されるトリオルガノシリル基が一つ結合している下記一般式(2)で表されるトリオルガノシリルアミノ基含有オルガノシロキサンである。下記一般式(2)で表されるトリオルガノシリルアミノ基含有オルガノシロキサンは安定な化合物であり、シロキサンの不均化による純度低下がなく、長期間保存することができる。
【0037】
【化13】

【0038】
上記一般式(1)において、R1は炭素数2〜20のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等の一価炭化水素基、R2は同一でも異なってもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等の一価炭化水素基を表す。R1の具体例として、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、メチルシクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、テキシル基、メチルシクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖状、分岐鎖状あるいは環状の一価飽和炭化水素基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、5−ノルボルネニル基、オクテニル基、デセニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等の一価不飽和脂肪族炭化水素基、フェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、フェナンスリル基、アントラセニル基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、ナフチルエチル基等のアラルキル基等の一価芳香族炭化水素基等が挙げられる。また、R2の具体例としてはR1の具体例として挙げたものに加えてメチル基が挙げられる。
【0039】
上記一般式(1)で表されるトリオルガノシリル基はトリメチルシリル基よりもかさ高く、その具体例としては、エチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、エチニルジメチルシリル基、ジエチルメチルシリル基、n−プロピルジメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、シクロプロピルジメチルシリル基、アリルジメチルシリル基、n−ブチルジメチルシリル基、イソブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、シクロブチルジメチルシリル基、2−ブチルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリビニルシリル基、n−ペンチルジメチルシリル基、シクロペンチルジメチルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、イソプロピルジエチルシリル基、n−ヘキシルジメチルシリル基、シクロヘキシルジメチルシリル基、シクロヘキセニルジメチルシリル基、テキシルジメチルシリル基、1−メチルシクロペンチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、n−ブチルジエチルシリル基、n−ヘプチルジメチルシリル基、シクロヘプチルジメチルシリル基、2−ノルボルニルジメチルシリル基、5−ノルボルネン−2−イルジメチルシリル基、2−トリルジメチルシリル基、3−トリルジメチルシリル基、4−トリルジメチルシリル基、ベンジルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、n−オクチルジメチルシリル基、n−ヘキシルジエチルシリル基、デシルジメチルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリイソブチルシリル基、ドデシルジメチルシリル基、テトラデシルジメチルシリル基、ヘキサデシルジメチルシリル基、オクタデシルジメチルシリル基、イコシルジメチルシリル基等が挙げられる。イミド化反応で生じるトリオルガノシラノールの除去し易さの観点から、ケイ素原子上の置換基の炭素数の総和が20以下、より好ましくは12以下であることが好ましく、なかでも特にトリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソブチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、テキシルジメチルシリル基が好ましい。
【0040】
上記一般式(2)において、A1は炭素数1〜20の置換又は非置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、これらが結合した基等の二価の有機基を表しており、具体的にはメチレン基、エタン−1,2−ジイル基、エテン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロペン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロへキシレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,7−ヘプタンジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、1,8−オクタンジイル基、1,10−デカンジイル基、1,12−ドデカンジイル基、1,14−テトラデカンジイル基、1,16−ヘキサデカンジイル基、1,18−オクタデカンジイル基、1,20−イコサンジイル基等が挙げられる。
【0041】
上記一般式(2)において、Sxはケイ素数2〜2,000、好ましくは2〜200、更に好ましくは2〜20の一価又は多価のオルガノシロキサニル基を表す。Sxは鎖状、環状、かご状、もしくは部分開裂したかご状の一価又は多価のオルガノシロキサニル基であることが好ましい。αは該オルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜100の整数であり、特に1〜20が好ましい。
【0042】
更に好ましくは、Sxは下記一般式(6)で表される一価又は多価の環状オルガノシロキサニル基、下記一般式(7)及び(9)で表される一価又は多価の鎖状オルガノシロキサニル基、下記一般式(11)で表される一価又は多価のかご状オルガノシロキサニル基、及び下記一般式(12)で表される部分開裂した一価又は多価のかご状オルガノシロキサニル基の中より選択される。
【0043】
【化14】

【0044】
上記一般式(6)において、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表し、aはオルガノシロキサニル基の価数を表し、この場合、式(6)の結合手はa個であるから、α=aであって、1〜10の整数である。また、bは0〜10の整数を表す。Rで表される置換基の例としては、R2の具体例として挙げた基のほかに、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロヘキシル基、トリデカフルオロオクチル基、ヘプタデカフルオロデシル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等が例示される。
【0045】
上記一般式(6)で表される一価又は多価の環状オルガノシロキサニル基の具体例としては、1,3,3,5,5−ペンタメチルシクロトリシロキサン−1−イル基、1,3,5−トリメチルシクロペンタシロキサン−1,3,5−トリイル基、1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル基、1,3,5,5,7,7−ヘキサメチルシクロテトラシロキサン−1,3−ジイル基、1,3,3,5,7,7−ヘキサメチルシクロテトラシロキサン−1,5−ジイル基、1,3,5,7,7−ペンタメチルシクロテトラシロキサン−1,3,5−トリイル基、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン−1,3,5,7−テトライル基、1−メチル−3,3,5,5,7,7−ヘキサエチルテトラシロキサン−1−イル基、1−エチル−3,3,5,5,7,7−ヘキサメチルシクロテトラシロキサン−1−イル基、1,3,5,7−テトラメチル−3,5,7−トリエチルシクロテトラシロキサン−1−イル基、1,3,5,7−テトラメチル−3,5,7−トリビニルシクロテトラシロキサン−1−イル基、1,3,5,7−テトラメチル−3,5,7−トリフェニルシクロテトラシロキサン−1−イル基、1,3,5,7−テトラメチル−3,5,7−トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)シクロテトラシロキサン−1−イル基、1,3,3,5,5,7,7,9,9−ノナメチルシクロペンタシロキサン−1−イル基等が挙げられる。
【0046】
【化15】

【0047】
上記一般式(7)において、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表し、一般式(6)で定義したものと同義である。この場合、式(7)の結合手は1個であるので、α=1である。Rxは炭素数1〜20の置換又は非置換の一価炭化水素基あるいは下記一般式(8)で表されるトリオルガノシリルアミノ基で置換された有機基を表す。Rxで表される置換又は非置換の一価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、トリフルオロプロピル基、3−グリシジルオキシプロピル基、3−メタクリロイルオキシプロピル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、3−クロロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、メチルシクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、テキシル基、ノナフルオロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、5−ノルボルネン−2−イルエチル基、トリデカフルオロオクチル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、デシル基、ヘプタデカフルオロデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、5−ノルボルネニル基、シクロヘキセニルエチル基、オクテニル基、デセニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等の置換又は非置換の脂肪族一価炭化水素基、フェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、フェナンスリル基、アントラセニル基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、ナフチルエチル基等のアリール基、アラルキル基等の芳香族一価炭化水素基及び下記一般式(8)で表される置換基が挙げられる。cは0〜100の整数、より好ましくは0〜10の整数を表す。
【0048】
【化16】

【0049】
上記一般式(8)において、R1、R2及びA1は上記一般式(1)及び(2)で説明したものと同義の置換基を表す。一般式(8)で表される置換基の具体例としては、N−(エチルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(ビニルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(ジエチルメチルシリル)アミノメチル基、N−(n−プロピルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(イソプロピルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(アリルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(tert−ブチルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(2−ブチルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(トリエチルシリル)アミノメチル基、N−(シクロペンチルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(n−ヘキシルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(シクロヘキシルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(テキシルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(フェニルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(2−ノルボルニルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(トリルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(ベンジルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(トリイソプロピルシリル)アミノメチル基、N−(n−オクチルジメチルシリル)アミノメチル基、N−[(5−ノルボルネン−2−イルエチル)ジメチルシリル]アミノメチル基、N−(デシルジメチルシリル)アミノメチル基、N−(トリ−n−ブチルシリル)アミノメチル基、N−(トリイソブチルシリル)アミノメチル基、N−(オクタデシルジメチルシリル)アミノメチル基、
N−(エチルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(ビニルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(ジエチルメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(n−プロピルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(イソプロピルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(アリルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(tert−ブチルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(2−ブチルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(トリエチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(シクロペンチルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(n−ヘキシルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(シクロヘキシルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(テキシルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(フェニルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(2−ノルボルニルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(トリルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(ベンジルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(トリイソプロピルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(n−オクチルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(フェネチルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−[(5−ノルボルネン−2−イルエチル)ジメチルシリル]−3−アミノプロピル基、N−(デシルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(トリ−n−ブチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(トリイソブチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(ナフチルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(tert−ブチルジフェニルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(トリフェニルシリル)−3−アミノプロピル基、N−(オクタデシルジメチルシリル)−3−アミノプロピル基、
N−(エチルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(ビニルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(ジエチルメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(n−プロピルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(イソプロピルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(アリルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(tert−ブチルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(2−ブチルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(トリエチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(シクロペンチルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(n−ヘキシルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(シクロヘキシルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(テキシルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(フェニルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(2−ノルボルニルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(トリルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(ベンジルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(トリイソプロピルシリル)−4−アミノブチル基、N−(n−オクチルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−[(5−ノルボルネン−2−イルエチル)ジメチルシリル]−4−アミノブチル基、N−(デシルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(トリ−n−ブチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(トリイソブチルシリル)−4−アミノブチル基、N−(オクタデシルジメチルシリル)−4−アミノブチル基、
N−(エチルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(ビニルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(ジエチルメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(n−プロピルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(イソプロピルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(アリルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(tert−ブチルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(2−ブチルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(トリエチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(シクロペンチルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(n−ヘキシルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(シクロヘキシルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(テキシルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(フェニルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(2−ノルボルニルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(トリルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(ベンジルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(トリイソプロピルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(n−オクチルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(フェネチルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−[(5−ノルボルネン−2−イルエチル)ジメチルシリル]−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(デシルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(トリ−n−ブチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(トリイソブチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(ナフチルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、N−(オクタデシルジメチルシリル)−3−アミノ−2−メチルプロピル基、
N−(エチルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(ビニルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(ジエチルメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(n−プロピルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(イソプロピルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(アリルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(tert−ブチルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(2−ブチルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(トリエチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(シクロペンチルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(n−ヘキシルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(シクロヘキシルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(テキシルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(フェニルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(2−ノルボルニルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(トリルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(ベンジルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(トリイソプロピルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(n−オクチルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−[(5−ノルボルネン−2−イルエチル)ジメチルシリル]−4−アミノフェニル基、N−(デシルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(トリ−n−ブチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(トリイソブチルシリル)−4−アミノフェニル基、N−(オクタデシルジメチルシリル)−4−アミノフェニル基、
N−(エチルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(ビニルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(ジエチルメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(n−プロピルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(イソプロピルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(アリルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(tert−ブチルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(2−ブチルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(トリエチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(シクロペンチルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(n−ヘキシルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(シクロヘキシルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(テキシルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(フェニルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(2−ノルボルニルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(トリルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(ベンジルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(トリイソプロピルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(n−オクチルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−[(5−ノルボルネン−2−イルエチル)ジメチルシリル]−3−アミノフェニル基、N−(デシルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(トリ−n−ブチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(トリイソブチルシリル)−3−アミノフェニル基、N−(オクタデシルジメチルシリル)−3−アミノフェニル基等が挙げられる。
【0050】
上記一般式(7)で表される直鎖状オルガノシロキサニル基の具体例としては、ペンタメチルジシロキサニル基、3−ビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−メタクリロイルオキシプロピル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−アクリロイルオキシプロピル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−グリシジルオキシプロピル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−クロロプロピル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−(5−ノルボルネニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−(5−ノルボルネニルエチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−[N−(トリエチルシリル)−3−アミノプロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−[N−(tert−ブチルジメチルシリル)−3−アミノプロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−[N−(テキシルジメチルシリル)−3−アミノプロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−[N−(トリイソプロピルシリル)−3−アミノプロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−[N−(トリイソブチルシリル)−3−アミノプロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−[N−(フェニルジメチルシリル)−3−アミノプロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−[N−(オクチルジメチルシリル)−3−アミノプロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−[N−(デシルジメチルシリル)−3−アミノプロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−[N−(オクタデシルジメチルシリル)−3−アミノプロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−[N−(ベンジルジメチルシリル)−3−アミノプロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−[N−(フェネチルジメチルシリル)−3−アミノプロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−[N−(ナフチルジメチルシリル)−3−アミノプロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、1,1,3,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン−1−イル基、1,1,3,3,5,5,7,7,7−ノナメチルテトラシロキサン−1−イル基、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,9−ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル基等が挙げられる。
【0051】
【化17】

【0052】
上記一般式(9)において、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表し、一般式(6)で定義したものと同義である。Rxは同一でも異なってもよく、炭素数1〜20の置換又は非置換の一価炭化水素基あるいは上記一般式(8)で表されるトリオルガノシリルアミノ基で置換された有機基を表し、一般式(7)で定義したものと同義である。RSは炭素数1〜20の一価炭化水素基あるいは下記一般式(10)で表されるトリオルガノシロキシ基を表す。RSで表される一価炭化水素基の具体例は、R2の例として挙げた置換基と同じである。dはオルガノシロキサニル基の価数を表し、この場合、式(9)の結合手はd個であるから、α=dであって、1〜100の整数、より好ましくは1〜10の整数を表す。eは0〜100の整数、より好ましくは0〜10の整数を表す。
【0053】
【化18】

【0054】
上記一般式(9)で表される直鎖状あるいは分岐鎖状オルガノシロキサニル基の具体例としては、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン−3−イル基、1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−3−トリメチルシロキシトリシロキサン−3−イル基、1,5−ジヘキシル−1,1,5,5−テトラメチル−3−ヘキシルジメチルシロキシトリシロキサン−3−イル基、1,1,3,5,5−ペンタメチル−1,5−ジビニルトリシロキサン−3−イル基、1,1,3,5,5−ペンタメチル−1,5−ジフェニルトリシロキサン−3−イル基、1,1,3,5,5−ペンタメチル−1,5−ビス(3−クロロプロピル)トリシロキサン−3−イル基、1,1,3,5,5−ペンタメチル−1,5−ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリシロキサン−3−イル基、1,1,3,5,5−ペンタメチル−1,5−ビス(5−ノルボルニルエチル)トリシロキサン−3−イル基、1,1,3,5,5−ペンタメチル−1,5−ビス(5−ノルボルネニル)トリシロキサン−3−イル基、1,1,1,3,5,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン−3−ジイル基、1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン−3,5−ジイル基、α,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサニル基等が挙げられる。
【0055】
上記一般式(10)において、Rは一般式(9)で定義したものと同義の置換基を表す。一般式(10)で表されるトリオルガノシロキシ基の具体例としては、トリメチルシロキシ基、エチルジメチルシロキシ基、ビニルジメチルシロキシ基、エチニルジメチルシロキシ基、ジエチルメチルシロキシ基、n−プロピルジメチルシロキシ基、3,3,3−トリフルオロプロピルジメチルシロキシ基、イソプロピルジメチルシロキシ基、シクロプロピルジメチルシロキシ基、アリルジメチルシロキシ基、n−ブチルジメチルシロキシ基、イソブチルジメチルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基、シクロブチルジメチルシロキシ基、2−ブチルジメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、トリビニルシロキシ基、n−ペンチルジメチルシロキシ基、シクロペンチルジメチルシロキシ基、メチルジイソプロピルシロキシ基、イソプロピルジエチルシロキシ基、n−ヘキシルジメチルシロキシ基、ノナフルオロヘキシルジメチルシロキシ基、シクロヘキシルジメチルシロキシ基、シクロヘキセニルジメチルシロキシ基、テキシルジメチルシロキシ基、1−メチルシクロペンチルジメチルシロキシ基、フェニルジメチルシロキシ基、(ペンタフルオロフェニル)ジメチルシロキシ基、n−ブチルジエチルシロキシ基、n−ヘプチルジメチルシロキシ基、シクロヘプチルジメチルシロキシ基、2−ノルボルニルジメチルシロキシ基、5−ノルボルネン−2−イルジメチルシロキシ基、2−トリルジメチルシロキシ基、3−トリルジメチルシロキシ基、4−トリルジメチルシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基、n−オクチルジメチルシロキシ基、トリデカフルオロオクチルジメチルシロキシ基、5−ノルボルネン−2−イルエチルジメチルシロキシ基、n−ヘキシルジエチルシロキシ基、デシルジメチルシロキシ基、ヘプタデカフルオロデシルジメチルシロキシ基、トリ−n−ブチルシロキシ基、トリイソブチルシロキシ基、ドデシルジメチルシロキシ基、テトラデシルジメチルシロキシ基、ヘキサデシルジメチルシロキシ基、オクタデシルジメチルシロキシ基、イコシルジメチルシロキシ基等が挙げられる。
【0056】
【化19】

【0057】
上記一般式(11)において、Rは上記一般式(6)で定義したものと同義である。RSは上記一般式(9)で定義したものと同義である。f及びhは0〜10の整数であり、好ましくは0〜3の整数である。gはオルガノシロキサニル基の価数を表し、この場合、式(11)の結合手はg個であるから、α=gであって、1〜20の整数であり、iは0〜19の整数を表す。但し、gとiの和は6〜20であり、好ましくは6〜14、より好ましくは6,8,10,12,14のいずれかである。一般式(11)で表されるかご状オルガノシロキサニル基のシロキサン骨格としては、例えば、下記構造[D]のものが挙げられる(ケイ素原子と酸素原子のみを示す)。
【0058】
【化20】

【0059】
【化21】

【0060】
上記一般式(12)において、Rは上記一般式(6)で定義したものと同義である。RSは上記一般式(9)で定義したものと同義であり、Rtは炭素数1〜20の一価炭化水素基あるいは上記一般式(10)で表されるトリオルガノシロキシ基を表す。Rtで表される置換基の具体例としては、RSとして例示した基が挙げられる。j、l及びnは0〜10の整数であり、好ましくは0〜3の整数である、kはシロキサニル基の価数を示し、この場合、式(12)の結合手はk個であるので、α=kであって、1〜3の整数である。また、mは0〜2の整数を表し、kとmの和は3である。この場合、mが2のとき、Rtは互いに結合して下記式(13)
【化22】


(但し、Rは上記の通り)
で表される基を形成してもよい。oは2〜10の整数を表し、好ましくは2,4,6,8,10のいずれかである。一般式(12)で表される部分開裂したかご状オルガノシロキサンのシロキサン骨格として、例えば、下記構造[E]のものが挙げられる(ケイ素原子と酸素原子のみを示す)。
【0061】
【化23】

【0062】
本発明においては、上記一般式(5)で表されるオルガノシロキサンが結合したイミドの前駆体である下記一般式(4)で表されるオルガノシロキサンが結合したシリルアミド酸トリオルガノシリルエステルを提供する。更に、上記一般式(2)で表されるトリオルガノシリルアミノ基含有オルガノシロキサンと下記一般式(3)で表されるジカルボン酸無水物とを反応させることによる、下記一般式(4)で表されるオルガノシロキサンが結合したアミド酸トリオルガノシリルエステルの製造方法を提供する。
【0063】
【化24】

【0064】
上記一般式(3)及び(4)において、A1は炭素数1〜20の置換又は非置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、これらが結合した基等の二価の有機基、Sxはケイ素数が2〜2,000の一価又は多価のオルガノシロキサニル基を表す。αは該オルガノシロキサニル基の価数を表し、上述した通りの意味を表す。R1、R2及びSxは上記一般式(1)及び(2)で説明したものと同義の置換基を表す。
【0065】
上記一般式(3)及び(4)において、A2は炭素数2〜40、好ましくは2〜20、更に好ましくは2〜10の置換又は非置換の二価のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、これらが結合した基等の有機基を表す。A2の具体例としては1,2−エタンジイル基、1,2−エテンジイル基、1,3−プロパンジイル基、2,3−ブタンジイル基、2−ブテン−2,3−ジイル基、7−オクテン−1,2−ジイル基、シクロへキシレン基、1,2−フェニレン基、3,4,5,6−テトラヒドロベンゼン−1,2−ジイル基、4−クロロベンゼン−1,2−ジイル基、5−ノルボルネン−2,3−ジイル基、4,5,6,7−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジイル基、ナフタレン−1,8−ジイル基、ナフタレン−1,2−ジイル基、ナフタレン−2,3−ジイル基等が挙げられる。
【0066】
上記一般式(3)で表される化合物の例としては、無水こはく酸、2−メチリデンこはく酸無水物、アリルこはく酸無水物、2−ブテニルこはく酸無水物、(2−メチル−2−プロペニル)こはく酸無水物、オクチルこはく酸無水物、オクテニルこはく酸無水物、(2,7−オクタジエニル)こはく酸無水物、ドデシルこはく酸無水物、 ドデセニルこはく酸無水物、デシルこはく酸無水物、デセニルこはく酸無水物、テトラデシルこはく酸無水物、テトラデセニルこはく酸無水物、ヘキサデシルこはく酸無水物、ヘキサデセニルこはく酸無水物、オクタデシルこはく酸無水物、オクタデセニルこはく酸無水物、無水マレイン酸、2−メチルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、グルタル酸無水物、2,2−ジメチルグルタル酸無水物、3,3−ジメチルグルタル酸無水物、3−メチルグルタル酸無水物、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタン二酸無水物、無水フタル酸、3−フルオロフタル酸無水物、4−フルオロフタル酸無水物、4−クロロフタル酸無水物、4,5−ジクロロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、4−ブロモフタル酸無水物、テトラブロモフタル酸無水物、3−ニトロフタル酸無水物、4−ニトロフタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、4−tert−ブチルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、2,3−ピリジンジカルボン酸無水物、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸クロライド、無水トリメリット酸メチルエステル、無水トリメリット酸トリメチルシリルエステル、無水トリメリット酸トリエチルシリルエステル、無水トリメリット酸tert−ブチルジメチルシリルエステル、無水トリメリット酸フェニルジメチルシリルエステル、無水トリメリット酸テキシルジメチルシリルエステル、無水トリメリット酸トリイソプロピルエステル、無水トリメリット酸トリイソブチルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、1,4,5,6,7,7−ヘキサクロロ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、1,1−シクロペンタン二酢酸無水物、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸無水物、ナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−ブロモナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、2,2’−ビフェニルジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0067】
上記一般式(2)で表されるトリオルガノシリルアミノ基含有オルガノシロキサンと下記一般式(3)で表されるジカルボン酸無水物との反応は、通常溶媒の存在下に行う。使用できる溶媒としては非プロトン性溶媒が好ましく、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルアセタミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、ヘキサン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等を用いることができる。二種類以上の溶媒を混合して使用することもできる。反応基質であるジカルボン酸無水物は水分と反応して低反応性のジカルボン酸となるので、本反応には水分を低減した溶媒を用いることが好ましい。溶媒の使用量は任意であるが、反応基質及び生成物を溶解させるのに十分な量を用いることが好ましい。
【0068】
この場合、式(2)のトリオルガノシリルアミノ基含有オルガノシロキサンと式(3)のジカルボン酸無水物の使用割合は適宜選定されるが、前者1モルに対して後者0.5〜2モル、特に0.8〜1.2モルとすることが好ましい。
【0069】
上記一般式(2)で表されるトリオルガノシリルアミノ基含有オルガノシロキサンが二個以上のトリオルガノシリルアミノ基を有する場合には、反応させる上記一般式(3)で表されるジカルボン酸無水物の当量を調節することによって全てあるいは一部のトリオルガノシリルアミノ基を反応させることが可能である。
【0070】
上記一般式(2)で表されるトリオルガノシリルアミノ基含有オルガノシロキサンと上記一般式(3)で表されるジカルボン酸無水物との反応温度は60℃以下、より好ましくは0〜40℃で行うのがよい。反応温度が高いと生成したアミド酸トリオルガノシリルエステルが一部イミド化して純度が低下する。また過度に冷却すると反応進行が遅くなる。
【0071】
このようにして製造される上記一般式(4)で表されるオルガノシロキサンが結合したアミド酸トリオルガノシリルエステルとしては、例えば、表1〜表78に例示するものなどが挙げられる。
【0072】
ここで、上記一般式(4)のアミド酸トリオルガノシリルエステルとしては、下記一般式(4)−1〜(4)−7で表されるものが挙げられる。
【0073】
【化25】

【0074】
【化26】


(上記式中、R1、R2、A1、A2、R、a、b、Rx、c、RS、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、n、o、Rtは上記定義の通りである。Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rfはそれぞれ上記Rと同様に定義される基である。)
【0075】
本発明においては、上記一般式(4)のアミド酸トリオルガノシリルエステルを脱トリオルガノシラノール反応により閉環イミド化させることによる下記一般式(5)のオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法、好ましくは、上記一般式(1)で表されるトリオルガノシリル基が結合した、上記一般式(2)で表されるトリオルガノシリルアミノ基含有オルガノシロキサンと、上記一般式(3)で表されるジカルボン酸無水物とを反応させることにより、上記一般式(4)で表されるアミド酸トリオルガノシリルエステルを得た後、脱トリオルガノシラノール反応により、該アミド酸トリオルガノシリルエステルを閉環イミド化させることによる、下記一般式(5)で表されるオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法を提供する。
【0076】
【化27】

【0077】
上記式(5)において、R1は炭素数2〜20の一価炭化水素基、R2は同一でも異なってもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基、A1は炭素数1〜20の置換又は非置換の二価の有機基、A2は炭素数2〜40の置換又は非置換の二価の有機基を表す。Sxはケイ素数が2〜2,000の一価又は多価のオルガノシロキサニル基を表し、これらの基は上記一般式(1)〜(4)において説明したものと同義である。αは該オルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜100の整数である。
【0078】
本発明のオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法においては、前記の本発明の製造方法により上記一般式(4)で表されるアミド酸トリオルガノシリルエステルを得た後、脱トリオルガノシラノール反応により、該アミド酸トリオルガノシリルエステルを閉環イミド化させる。脱トリオルガノシラノール反応によるイミド化は、上記一般式(4)で表されるアミド酸トリオルガノシリルエステルを加熱することにより行うことが好ましい。イミド化反応の温度は40℃以上、好ましくは100〜300℃である。
【0079】
アミド酸トリオルガノシリルエステルは単離したものを用いてもよいし、単離せずに反応混合物を用いてイミド化反応を行ってもよい。イミド化反応には溶媒を用いてもよく、前記アミド酸トリオルガノシリルエステルの製造に用いられる溶媒が使用できる。
【0080】
イミド化反応は生成したトリオルガノシラノールを留去しながら減圧下で行うか、あるいは窒素やアルゴンなどの不活性ガス気流中で生成したトリオルガノシラノールを留去しながら常圧下に行うのが好ましい。
【0081】
以下、表1〜表78を示す。ここで、下記表において、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはtert−ブチル基、i−Buはイソブチル基、c−Penはシクロペンチル基、Txはテキシル基、c−Hexはシクロヘキシル基、Phはフェニル基、Viはビニル基、TFPは3,3,3−トリフルオロプロピル基、TMSOはトリメチルシロキシ基、NFHは3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基、TDFOは3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル基、HDFDは3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル基を表す。
【0082】
表1〜5の化合物:
【化28】

【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

【0087】
【表5】

【0088】
表6〜11の化合物:
【化29】

【0089】
【表6】

【0090】
【表7】

【0091】
【表8】

【0092】
【表9】

【0093】
【表10】

【0094】
【表11】

【0095】
表12〜22の化合物:
【化30】

【0096】
【表12】

【0097】
【表13】

【0098】
【表14】

【0099】
【表15】

【0100】
【表16】

【0101】
【表17】

【0102】
【表18】

【0103】
【表19】

【0104】
【表20】

【0105】
【表21】

【0106】
【表22】

【0107】
表23〜30の化合物:
【化31】

【0108】
【表23】

【0109】
【表24】

【0110】
【表25】

【0111】
【表26】

【0112】
【表27】

【0113】
【表28】

【0114】
【表29】

【0115】
【表30】

【0116】
表31〜51の化合物:
【化32】

【0117】
【表31】

【0118】
【表32】

【0119】
【表33】

【0120】
【表34】

【0121】
【表35】

【0122】
【表36】

【0123】
【表37】

【0124】
【表38】

【0125】
【表39】

【0126】
【表40】

【0127】
【表41】

【0128】
【表42】

【0129】
【表43】

【0130】
【表44】

【0131】
【表45】

【0132】
【表46】

【0133】
【表47】

【0134】
【表48】

【0135】
【表49】

【0136】
【表50】

【0137】
【表51】

【0138】
表52〜62の化合物:
【化33】

【0139】
【表52】

【0140】
【表53】

【0141】
【表54】

【0142】
【表55】

【0143】
【表56】

【0144】
【表57】

【0145】
【表58】

【0146】
【表59】

【0147】
【表60】

【0148】
【表61】

【0149】
【表62】

【0150】
表63〜78の化合物:
【化34】

【0151】
【表63】

【0152】
【表64】

【0153】
【表65】

【0154】
【表66】

【0155】
【表67】

【0156】
【表68】

【0157】
【表69】

【0158】
【表70】

【0159】
【表71】

【0160】
【表72】

【0161】
【表73】

【0162】
【表74】

【0163】
【表75】

【0164】
【表76】

【0165】
【表77】

【0166】
【表78】

【実施例】
【0167】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、反応はすべて窒素雰囲気下で行った。目的物のGC測定は10%THF溶液として行い、溶媒ピークを差し引いて純度を算出した。GPC測定はTHF溶離液、カラムはTSKgelSuperHZ2000(東ソー(株)製)×3を用い、UV検出器(波長254nm)を使用した。溶媒に起因するピークを差し引いて純度を算出した。
【0168】
[実施例1] 1−[3−(tert−ブチルジメチルシリルアミノ)プロピル]−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサンを原料とした、N−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドの合成(下記式中、Meはメチル基を、t−Buは第三ブチル基を表す。)
【0169】
【化35】

【0170】
(アミド酸シリルエステル合成反応)ジムロート式還流冷却器、撹拌機、温度計、滴下ロートを備えた100mLの四つ口フラスコを窒素置換した。無水フタル酸1.48g(10mmol)をフラスコ内に仕込み、脱水テトラヒドロフラン(以下、THFと略)24gを加えて溶解させた。溶液を室温で撹拌しながら滴下ロートより1−[3−(tert−ブチルジメチルシリルアミノ)プロピル]−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン4.54g(10mmol)を2.5時間で滴下した。滴下後室温で1時間撹拌したところ、原料が消失したことがGC分析により確認された。反応混合物を少量採取して濃縮し、EI−MSにより分析すると、N−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルアミド酸tert−ブチルジメチルシリルエステルが主生成物として生成していることが判明した。
【0171】
N−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルアミド酸tert−ブチルジメチルシリルエステルのEI−MSによる分析結果を以下に示す。m/z 601(M+),586,544,454,281,130,73
【0172】
(常圧でのイミド化反応)上記反応混合物を減圧濃縮するとオレンジ色の油状物が6.06g得られた。この油状物180mgをガラスバイアルに秤量し、キャップをはずした状態でバイアルをオーブン中に入れ、窒素通気しながら80℃で1時間、更に徐々に昇温して200℃で1時間加熱した。冷却すると黄色の固体137mgが得られ、EI−MS及びFT−IRの分析結果より、目的のN−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドであることがわかった。GC純度は99.5%、GPC純度は95.1%であり、収率は無水フタル酸に対して98.1%であった。N−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドのEI−MS分析結果を以下に示す。m/z 469(M+),454,281,130
【0173】
(減圧でのイミド化反応)上記油状物113mgをガラスバイアルに秤量し、キャップをはずした状態でバイアルをオーブン中に入れ、3.0kPaに減圧しながら80℃で1時間、更に徐々に昇温して130℃で2時間加熱した。冷却すると黄色の固体82mgが得られ、EI−MSの分析結果より、目的のN−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドであることがわかった。GC純度は99.1%、GPC純度は96.5%であり、収率は無水フタル酸に対して96.0%であった。
【0174】
[実施例2] 1−[3−(トリエチルシリルアミノ)プロピル]−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサンを原料とした、N−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドの合成(下記式中、Etはエチル基を表す。)
【0175】
【化36】

【0176】
(アミド酸シリルエステル合成反応)ジムロート式還流冷却器、撹拌機、温度計、滴下ロートを備えた100mLの四つ口フラスコを窒素置換した。無水フタル酸1.48g(10mmol)をフラスコ内に仕込み、脱水THF24gを加えて溶解させた。溶液を室温で撹拌しながら滴下ロートより1−[3−(トリエチルシリルアミノ)プロピル]−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン4.54g(10mmol)を2.5時間で滴下した。滴下後室温で1時間撹拌したところ、原料が消失したことがGC分析(検出器TCD、以下同様)により確認された。反応混合物を少量採取して濃縮し、EI−MSにより分析すると、N−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルアミド酸トリエチルシリルエステルが定量的収率で生成していることが判明した。
【0177】
N−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルアミド酸トリエチルシリルエステルのEI−MS分析結果を以下に示す。m/z 601(M+),572,454,281,130
【0178】
(減圧でのイミド化反応)上記反応混合物を減圧濃縮すると淡黄色の油状物が6.20g得られた。この油状物127mgをガラスバイアルに秤量し、キャップをはずした状態でバイアルをオーブン中に入れ、3.0kPaに減圧しながら80℃で1時間、更に徐々に昇温して130℃で1時間加熱した。冷却すると淡黄色の固体96mgが得られ、EI−MSの分析結果より、目的のN−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドであることがわかった。GC純度は96.9%、GPC純度は95.9%であり、収率は無水フタル酸に対して99.8%であった。
【0179】
[比較例1] 1−(3−アミノプロピル)−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサンを原料とした、N−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドの合成
【0180】
【化37】

【0181】
(アミド酸合成反応)ジムロート式還流冷却器、撹拌機、温度計、滴下ロートを備えた100mLの四つ口フラスコを窒素置換した。無水フタル酸1.48g(10mmol)をフラスコ内に仕込み、脱水THF20gを加えて溶解させた。溶液を室温で撹拌しながら滴下ロートより1−(3−アミノプロピル)−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン3.40g(10mmol)を1.5時間で滴下した。反応混合物を減圧濃縮すると白色の固体が4.83g得られた。この固体をMALDI−TOFMS(コバルトマトリックス)により分析すると、N−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルアミド酸であることがわかった。以下にMALDI−TOFMS分析の結果を示す。m/z 526([M+K]+),510([M+Na]+),281
【0182】
(常圧でのイミド化反応)得られた固体117mgをガラスバイアルに秤量し、キャップをはずした状態でバイアルをオーブン中に入れ、窒素通気しながら80℃で1時間、更に徐々に昇温して200℃で1時間加熱した。冷却すると白色の固体110mgが得られ、EI−MSの分析結果より、目的のN−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドが主生成物であることがわかった。しかしGC純度は95.3%であり、GC−MS分析によってシロキサンが不均化したN−[3−(1,3,3,5,5−ペンタメチルシクロトリシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミド及びN−[3−(1,3,3,5,5,7,7、9,9−ノナメチルシクロペンタシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドが生成していることがわかり、生成量はそれぞれ1.0%及び2.8%であった。GPC純度は87.8%であり、目的物の高分子量側にブロードなピークが検出された。収率は無水フタル酸に対して96.6%であった。
【0183】
(減圧でのイミド化反応)上記固体101mgをガラスバイアルに秤量し、キャップをはずした状態でバイアルをオーブン中に入れ、3.0kPaに減圧しながら80℃で1時間、更に徐々に昇温して130℃で1時間加熱した。冷却すると白色の固体94mgが得られたが、目的のN−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドのGC純度は95.2%であった。不均化生成物であるN−[3−(1,3,3,5,5−ペンタメチルシクロトリシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミド及びN−[3−(1,3,3,5,5,7,7、9,9−ノナメチルシクロペンタシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドの生成量はそれぞれ0.7%及び1.9%であった。GPC純度は93.4%であり、収率は無水フタル酸に対して94.5%であった。
【0184】
[比較例2] 1−[3−(トリメチルシリルアミノ)プロピル]−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサンを原料とした、N−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドの合成
【0185】
【化38】

【0186】
(アミド酸シリルエステル合成反応)ジムロート式還流冷却器、撹拌機、温度計、滴下ロートを備えた100mLの四つ口フラスコを窒素置換した。無水フタル酸1.48g(10mmol)をフラスコ内に仕込み、脱水THF22gを加えて溶解させた。溶液を室温で撹拌しながら滴下ロートより1−[3−(トリメチルシリルアミノ)プロピル]−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン4.12g(10mmol)を2.5時間で滴下した。反応混合物を減圧濃縮すると白色の固体が5.43g得られた。この固体をMALDI−TOFMS(コバルトマトリックス)により分析すると、N−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルアミド酸トリメチルシリルエステルであることがわかった。以下に結果を示す。m/z 598([M+K]+),281
【0187】
(常圧でのイミド化反応)得られた固体124mgをガラスバイアルに秤量し、キャップをはずした状態でバイアルをオーブン中に入れ、窒素通気しながら80℃で1時間、更に徐々に昇温して200℃で1時間加熱した。冷却すると白色の固体108mgが得られ、EI−MSの分析結果より、目的のN−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドが主生成物であることがわかった。しかしGC純度は90.9%であり、不均化生成物であるN−[3−(1,3,3,5,5−ペンタメチルシクロトリシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミド及びN−[3−(1,3,3,5,5,7,7、9,9−ノナメチルシクロペンタシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドの生成量はそれぞれ0.9%及び1.5%であった。更にGC−MSにより両末端がトリメチルシリル基でキャップされた直鎖シロキサンが生成していることがわかり、生成量は6.0%であった。またGPC純度は87.3%であり、目的物の高分子量側にブロードなピークが検出された。
【0188】
(減圧でのイミド化反応)上記固体119mgをガラスバイアルに秤量し、キャップをはずした状態でバイアルをオーブン中に入れ、3.0kPaに減圧しながら80℃で1時間、更に徐々に昇温して130℃で1時間加熱した。冷却すると白色の固体100mgが得られたが、目的のN−[3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドのGC純度は92.4%であった。不均化生成物であるN−[3−(1,3,3,5,5−ペンタメチルシクロトリシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミド及びN−[3−(1,3,3,5,5,7,7、9,9−ノナメチルシクロペンタシロキサン−1−イル)プロピル]フタルイミドの生成量はそれぞれ0.7%及び1。5%であった。また直鎖シロキサンが4.0%生成していた。GPC純度は89.6%であり、目的物の高分子量側にブロードなピークが検出された。
【0189】
[実施例3] 1,5−ビス[3−(トリイソプロピルシリルアミノ)プロピル]−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンを原料とした、1,5−ビス(3−フタルイミドプロピル)−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンの合成(下記式中、i−Prはイソプロピル基を表す。)
【0190】
【化39】

【0191】
(アミド酸シリルエステル合成反応)ジムロート式還流冷却器、撹拌機、温度計を備えた100mLの四つ口フラスコを窒素置換した。無水フタル酸296mg(2.0mmol)をフラスコ内に仕込み、脱水ジエチレングリコールジメチルエーテル8.38gを加えて溶解させた。溶液を室温で撹拌しながら1,5−ビス[3−(トリイソプロピルシリルアミノ)プロピル]−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン635mg(1.0mmol)を添加した。室温で3時間撹拌したところ、原料が消失したことがGC分析により確認された。反応混合物を少量採取して濃縮しMALDI−TOFMSにより分析すると、N,N’−ビス[2−(トリイソプロピルシロキシカルボニル)ベンゾイル]−1,5−ビス(アミノプロピル)−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンが定量的収率で生成していることが判明した。分析結果を以下に示す。
【0192】
MALDI−TOFMS:m/z 970.5(M+K+),954.4(M+Na+),568.6;
【0193】
(常圧でのイミド化反応)上記反応混合物1.50gをステンレスシャーレ上で減圧濃縮した後オーブン中に入れ、窒素通気しながら240℃で0.5時間加熱した。冷却すると黄色の固体88.8mgが得られ、EI−MS及びFT−IRの分析結果より、目的の1,5−ビス(3−フタルイミドプロピル)−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンであることがわかった。GC純度は94.6%、GPC純度は87.1%であり、収率は無水フタル酸に対して94.6%であった。分析結果を以下に示す。
【0194】
EI−MS:m/z 567([M−Me]+),394,246,130
【0195】
[比較例3] 1,5−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンを原料とした、1,5−ビス(3−フタルイミドプロピル)−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンの合成
【0196】
【化40】

【0197】
(アミド酸合成反応)ジムロート式還流冷却器、撹拌機、温度計を備えた100mLの四つ口フラスコを窒素置換した。無水フタル酸296mg(2.0mmol)をフラスコ内に仕込み、脱水ジエチレングリコールジメチルエーテル5.57gを加えて溶解させた。溶液を室温で撹拌しながら1,5−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン323mg(1.0mmol)を添加した。白色沈澱が生成したが室温で3時間撹拌したところ無色溶液となり、原料が消失したことがGC分析により確認された。反応混合物を少量採取して濃縮しMALDI−TOFMSにより分析すると、N,N’−ビス(2−カルボキシベンゾイル)−1,5−ビス(アミノプロピル)−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンが定量的収率で生成していることが判明した。分析結果を以下に示す。
【0198】
MALDI−TOFMS:m/z 658.2(M+K+),641.7(M+Na+
【0199】
(常圧でのイミド化反応)上記反応混合物1.20gをステンレスシャーレ上で減圧濃縮した後オーブン中に入れ、窒素通気しながら240℃で0.5時間加熱した。冷却すると淡黄色の油状物106mgが得られ、GC−MSによる分析結果より、目的の1,5−ビス(3−フタルイミドプロピル)−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンであることがわかったが、GC純度は75.9%、GPC純度は64.6%であり、副生成物として1,3−ビス(3−フタルイミドプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び1,7−ビス(3−フタルイミドプロピル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサンが多量生成しているため低純度であった。収率は無水フタル酸に対して93.8%であった。
【0200】
[比較例4] 1,5−ビス[3−(トリメチルシリルアミノ)プロピル]−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンを原料とした、1,5−ビス(3−フタルイミドプロピル)−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンの合成(下記式中、Meはメチル基を表す。)
【0201】
【化41】

【0202】
(アミド酸合成反応)ジムロート式還流冷却器、撹拌機、温度計を備えた100mLの四つ口フラスコを窒素置換した。無水フタル酸296mg(2.0mmol)をフラスコ内に仕込み、脱水ジエチレングリコールジメチルエーテル6.87gを加えて溶解させた。溶液を室温で撹拌しながら1,5−ビス[3−(トリメチルシリルアミノ)プロピル]−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン467mg(1.0mmol)を添加した。室温で3時間撹拌したところ無色溶液となり、原料が消失しN,N’−ビス[(2−トリメチルシロキシカルボニル)ベンゾイル]−1,5−ビス(アミノプロピル)−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンが定量的収率で生成していた。
【0203】
(常圧でのイミド化反応)上記反応混合物1.40gをステンレスシャーレ上で減圧濃縮した後オーブン中に入れ、窒素通気しながら240℃で0.5時間加熱した。冷却すると淡黄色の油状物94.2mgが得られ、GC−MSによる分析結果より、目的の1,5−ビス(3−フタルイミドプロピル)−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンが生成していることがわかったが、GC純度は78.0%、GPC純度は67.0%であり、副生成物として1,3−ビス(3−フタルイミドプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び1,7−ビス(3−フタルイミドプロピル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサンが多量生成しているため低純度であった。収率は無水フタル酸に対して88.1%であった。
【0204】
[実施例4] 1−[3−(トリイソプロピルシリルアミノ)プロピル]ジメチルシロキシ−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタキス(トリメチルシロキシ)ペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサンを原料とした、1−(3−フタルイミドプロピル)ジメチルシロキシ−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタキス(トリメチルシロキシ)ペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサンの合成(下記式中、i−Prはイソプロピル基、Meはメチル基を表す。)
【0205】
【化42】

【0206】
(アミド酸シリルエステル合成反応)ジムロート式還流冷却器、撹拌機、温度計を備えた50mLの四つ口フラスコを窒素置換した。1−[3−(トリイソプロピルシリルアミノ)プロピル]ジメチルシロキシ−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタキス(トリメチルシロキシ)ペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン266mg(0.20mmol)をフラスコ内に仕込み、脱水THF2.66gを加えて溶解させた。無水フタル酸29.6mg(0.20mmol)を添加し、室温で24時間撹拌したところ、原料が消失したことがGC分析により確認された。反応混合物を少量採取して濃縮しMALDI−TOFMSにより分析すると、N−[2−(トリイソプロピルシロキシカルボニル)ベンゾイル]−1−(3−アミノプロピル)ジメチルシロキシ−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタキス(トリメチルシロキシ)ペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサンが定量的収率で生成していることが判明した。分析結果を以下に示す。
【0207】
MALDI−TOFMS:m/z 1500.1(M+Na+)、1461.7
【0208】
(常圧でのイミド化反応)上記反応混合物0.50gをステンレスシャーレ上で減圧濃縮した後オーブン中に入れ、窒素通気しながら240℃で0.5時間加熱した。冷却すると白色固体40.0mgが得られ、MALDI−TOFMS及びFT−IRの分析結果より、目的の1−(3−フタルイミドプロピル)ジメチルシロキシ−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタキス(トリメチルシロキシ)ペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサンであることがわかった。GC純度は96.2%、GPC純度は92.8%であり、収率は無水フタル酸に対して80.1%であった。分析結果を以下に示す。
【0209】
MALDI−TOFMS:m/z 1326.1(M+Na+),1287.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素原子に下記一般式(1)で表されるトリオルガノシリル基が結合した、下記一般式(2)で表されるトリオルガノシリルアミノ基含有オルガノシロキサンと、下記一般式(3)で表されるジカルボン酸無水物とを反応させることにより、下記一般式(4)で表されるアミド酸トリオルガノシリルエステルを得た後、脱トリオルガノシラノール反応により、該アミド酸トリオルガノシリルエステルを閉環イミド化させることを特徴とする下記一般式(5)で表されるオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法。
【化1】


(式中、R1は炭素数2〜20の一価炭化水素基、R2は同一でも異なってもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基、A1は炭素数1〜20の置換又は非置換の二価の有機基、A2は炭素数2〜40の置換又は非置換の二価の有機基を表す。Sxはケイ素数が2〜2,000の一価又は多価のオルガノシロキサニル基を表す。αは該オルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜100の整数である。)
【請求項2】
上記一般式(2)、(4)、(5)において、Sxが鎖状、環状、かご状及び部分開裂したかご状の一価又は多価のオルガノシロキサニル基より選択される請求項1に記載のオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法。
【請求項3】
上記一般式(2)、(4)、(5)において、Sxが下記一般式(6)で表される一価又は多価の環状オルガノシロキサニル基、下記一般式(7)及び(9)で表される一価又は多価の鎖状オルガノシロキサニル基、下記一般式(11)で表される一価又は多価のかご状オルガノシロキサニル基、及び下記一般式(12)で表される部分開裂した一価又は多価のかご状オルガノシロキサニル基の中より選択される請求項2に記載のオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法。
【化2】


(式中、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表し、aはオルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜10の整数、bは0〜10の整数を表す。)
【化3】


(式中、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表し、Rxは炭素数1〜20の置換又は非置換の一価炭化水素基あるいは下記一般式(8)で表されるトリオルガノシリルアミノ基で置換された有機基を表す。cは0〜100の整数を表す。)
【化4】


(式中、R1、R2及びA1は上記一般式(1)及び(2)で説明したものと同義の置換基を表す。)
【化5】


(式中、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表し、Rxは同一でも異なってもよく、炭素数1〜20の置換又は非置換の一価炭化水素基あるいは上記一般式(8)で表されるトリオルガノシリルアミノ基で置換された有機基を表す。RSは炭素数1〜20の一価炭化水素基あるいは下記一般式(10)で表されるトリオルガノシロキシ基を表す。dはオルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜100の整数を、eは0〜100の整数を表す。)
【化6】


(式中、Rは上記一般式(9)で定義したものと同義の置換基を表す。)
【化7】

(式中、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表し、RSは炭素数1〜20の一価炭化水素基あるいは上記一般式(10)で表されるトリオルガノシロキシ基を表す。f及びhは0〜10の整数、gはオルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜20の整数、iは0〜19の整数を表す。但し、gとiの和は6以上20以下である。)
【化8】


(式中、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表す。RS及びRtはそれぞれ独立に炭素数1〜20の一価炭化水素基あるいは上記一般式(10)で表されるトリオルガノシロキシ基を表す。j、l及びnは0〜10の整数、kはオルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜3の整数、mは0〜2の整数、oは2〜16の整数を表す。但し、kとmの和は3であり、mが2のとき、Rtは互いに結合して下記式(13)
【化9】


(式中、Rは互いに同一でも異なってもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基を表す。)
で表される基を形成してもよい。)
【請求項4】
上記一般式(1)で表されるトリオルガノシリル基が、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソブチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、テキシルジメチルシリル基の中から選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載のオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法。
【請求項5】
上記一般式(2)におけるA1が窒素原子とsp3炭素で結合している、請求項1〜4のいずれか1項に記載のオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法。
【請求項6】
下記一般式(4)で表されるオルガノシロキサンが結合したアミド酸トリオルガノシリルエステル。
【化9】


(式中、R1は炭素数2〜20の一価炭化水素基、R2は同一でも異なってもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基、A1は炭素数1〜20の置換又は非置換の二価の有機基、A2は炭素数2〜40の置換又は非置換の二価の有機基を表す。Sxはケイ素数が2〜2,000の一価又は多価のオルガノシロキサニル基を表す。αは該オルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜100の整数である。)
【請求項7】
窒素原子に下記一般式(1)で表されるトリオルガノシリル基が結合した、下記一般式(2)で表されるトリオルガノシリルアミノ基含有オルガノシロキサンと、下記一般式(3)で表されるジカルボン酸無水物とを反応させることを特徴とする下記一般式(4)で表されるオルガノシロキサンが結合したアミド酸トリオルガノシリルエステルの製造方法。
【化10】


(式中、R1は炭素数2〜20の一価炭化水素基、R2は同一でも異なってもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基、A1は炭素数1〜20の置換又は非置換の二価の有機基、A2は炭素数2〜40の置換又は非置換の二価の有機基を表す。Sxはケイ素数が2〜2,000の一価又は多価のオルガノシロキサニル基を表す。αは該オルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜100の整数である。)
【請求項8】
下記一般式(4)で表されるアミド酸トリオルガノシリルエステルを脱トリオルガノシラノール反応により閉環イミド化させることを特徴とする下記一般式(5)で表されるオルガノシロキサンが結合したイミドの製造方法。
【化11】


(式中、R1は炭素数2〜20の一価炭化水素基、R2は同一でも異なってもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基、A1は炭素数1〜20の置換又は非置換の二価の有機基、A2は炭素数2〜40の置換又は非置換の二価の有機基を表す。Sxはケイ素数が2〜2,000の一価又は多価のオルガノシロキサニル基を表す。αは該オルガノシロキサニル基の価数を表し、1〜100の整数である。)

【公開番号】特開2007−31321(P2007−31321A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214510(P2005−214510)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】