説明

オルガノポリシロキサンならびにこれを含む硬化性組成物およびその製造方法

【課題】加熱時の密着性に優れ、また、クラックが発生しにくく、透明性が高く、硬度が高い硬化物を形成することのできる硬化性組成物を製造する方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)〜(3)で表される構成単位を含むオルガノポリシロキサンであって、シラノール当量が0g/eq.を超え500g/eq.以下であり、該オルガノポリシロキサンを構成する全シロキサン単位を100モル%とした場合に、三官能性シロキサン単位を10〜70モル%含有することを特徴とするオルガノポリシロキサン。


〔式中、R1およびR3は、それぞれ独立に非置換もしくは置換の炭素数1〜3の1価の炭化水素基を示す。REは、エポキシ基を有する炭素数3〜20の有機基を示す。R9は、それぞれ独立に水素原子または非置換もしくは置換の炭素数1〜3の炭化水素基を示す。aは0または1である。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、オルガノポリシロキサンならびにこれを含む硬化性組成物およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、加熱時の密着性に優れ、クラックが発生せず、さらに硬度の高い硬化物を形成できるオルガノポリシロキサンならびにこれを含む硬化性組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光半導体封止用樹脂としては、ビスフェノールAグリシジルエーテルを主剤とするエポキシ化合物が一般に用いられていたが、このようなエポキシ化合物は芳香環を有するため、青色または紫外光を発光する光半導体の封止を行うには、紫外線に対する耐久性(UV耐久性)が不十分であった。
【0003】
そこで、光半導体封止用樹脂のUV耐久性を改良するため、脂環式エポキシ化合物を用いることが提案されているが、依然としてUV耐久性は十分なものとはいえなかった。
一方、シロキサン骨格を有する樹脂は耐候性に優れていることが知られており、近年ではポリジメチルシロキサンを主骨格とする樹脂を光半導体封止材に用いる検討が行われている。
【0004】
特許文献1には、エポキシ基を有する線状シロキサンを含有する組成物が開示されている。しかし、この組成物を光半導体封止用に使用した場合、線状シロキサンは線膨張係数が大きいため、その硬化物は加熱時の密着性に劣ったり、硬化物にクラックが発生したりするなどの問題があった。
【0005】
この点、四官能のシラン化合物(Q:Si(OR)4)と一官能のシラン化合物(M:SiR3(OR))との加水分解物(MQ)をベースとするポリシロキサンは線膨張係数が小さいため、その硬化物は加熱時の密着性に優れ、硬化物にクラックが発生しにくいことが知られている。
【0006】
特許文献2には、ビニル基を有するMQおよびSiHを有するMQを用いたLED封止材用の組成物が開示されている。しかし、この組成物は、硬化触媒として白金属金属触媒を用いるため、硬化物の透明性が低いという問題があった。
【0007】
特許文献3には、エポキシ基を有するMQをベースとするポリシロキサンが記載されている。しかし、このポリシロキサンを光半導体封止用に用いた場合、このポリシロキサンの合成においては、Si−Hを有するMQを合成したのちにこれとエポキシ基を有する化合物とを反応させるため、系中から触媒を完全に除去することが困難であり、このため封止材の透明性が低いという問題があった。また、このポリシロキサンから得られる硬化物は、硬度が低いという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−339816号公報
【特許文献2】特開2004−186168号公報
【特許文献3】特開平5−105758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は、加熱時の密着性に優れ、また、クラックが発生しにくく、透明性が高く、硬度が高い硬化物を形成することのできるポリシロキサンおよびこれを含む硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成する本発明は、
下記一般式(1)〜(3)で表される構成単位を含むオルガノポリシロキサンであって、シラノール当量が0g/eq.を超え500g/eq.以下であり、該オルガノポリシロキサンを構成する全シロキサン単位を100モル%とした場合に、三官能性シロキサン単位を10〜70モル%含有することを特徴とするオルガノポリシロキサンである。
【0011】
【化1】

〔式中、R1およびR3は、それぞれ独立に非置換もしくは置換の炭素数1〜3の1価の炭化水素基を示す。
【0012】
Eは、エポキシ基を有する炭素数3〜20の有機基を示す。
9は、それぞれ独立に水素原子または非置換もしくは置換の炭素数1〜3の炭化水素基を示す。
【0013】
aは0または1である。〕
前記オルガノポリシロキサにおいては、前記オルガノポリシロキサンを構成する全シロキサン単位を100モル%とした場合に、一官能性シロキサン単位を20〜80モル%、四官能性シロキサン単位を10〜60モル%含有することが好ましく、
前記式(1)のREが下記一般式(7)〜(10)のいずれかで表されることが好ましい。
【0014】
【化2】

〔一般式(7)中R5はメチレン基または2価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基または炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。〕
【0015】
【化3】

〔一般式(8)中R6はメチレン基または2価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基または炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。〕
【0016】
【化4】

〔一般式(9)中R7はメチレン基または2価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基または炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。〕
【0017】
【化5】

〔一般式(10)中R8はメチレン基または2価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基または炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。〕
他の発明は、前記オルガノポリシロキサンとエポキシ用硬化剤とを含有することを特徴とする硬化性組成物である。
【0018】
前記硬化性組成物においては、前記エポキシ用硬化剤が酸無水物であることが好ましい。
他の発明は、前記硬化性組成物からなる光半導体封止用組成物であり、
該光半導体封止用組成物を用いた発光素子である。
【0019】
また、他の発明は、
下記式(2)で表される構成単位、下記式(3)で表される構成単位、およびシラノール基を含むシロキサン化合物(A)と
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物(B)とを
塩基性化合物の存在下反応させる工程を含む事を特徴とする前記オルガノポリシロキサンの製造方法である。
【0020】
【化6】

【0021】
【化7】

〔式(2)中、R1は式(1)におけるR1と同様である。〕
【0022】
前記オルガノポリシロキサンの製造方法において、前記シロキサン化合物(A)が、
下記式(4)で表されるシラン化合物(A−1)と
下記式(5)で表されるシラン化合物、該シラン化合物の縮合物、および該シラン化合物の加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも1種(A−2)とを
反応させて得られることが好ましく、
【0023】
【化8】

〔式(4)中、R1は式(1)におけるR1と同様である。〕
【0024】
【化9】

〔式(5)中R2は非置換もしくは置換の1価の炭化水素基を示す。〕
前記アルコキシシラン化合物(B)が下記式(6)で表される化合物であることが好ましい。
【0025】
【化10】

〔式(6)中RE、R3およびaは、それぞれ式(1)におけるRE、R3およびaと同様である。R4はそれぞれ独立に非置換または置換の炭素数1〜3の炭化水素基を示す。〕
【発明の効果】
【0026】
本願発明に係るポリシロキサンを用いれば、加熱時の密着性に優れ、また、クラックが発生しにくく、透明性が高く、硬度が高い硬化物を形成することのできる硬化性組成物を製造することができる。また、本願発明に係るポリシロキサンの製造方法によれば、前記ポリシロキサンを効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、LEDの模式図である。
【図2】図2は、蛍光部を有するLEDの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<硬化性組成物>
本発明に係る硬化性組成物は、オルガノポリシロキサンおよびエポキシ用硬化剤を含み、必要に応じてシリカ粒子等を含有することができる。本発明に係る硬化性組成物は、光半導体封止用組成物として好適に使用することができる。
【0029】
オルガノポリシロキサン
前記硬化性組成物に含有されるオルガノポリシロキサンは、下記一般式(1)〜(3)で表される構成単位を含み、シラノール当量が0g/eq.を超え500g/eq.以下であり、該オルガノポリシロキサンを構成する全シロキサン単位を100モル%とした場合に、三官能性シロキサン単位を10〜70モル%含有するエポキシ基含有有機基を有するオルガノポリシロキサンである。
【0030】
【化1】

〔式中、R1およびR3は、それぞれ独立に非置換もしくは置換の炭素数1〜3の1価の炭化水素基を示す。
Eは、エポキシ基を有する炭素数3〜20の有機基を示す。
9は、それぞれ独立に水素原子または非置換もしくは置換の炭素数1〜3の炭化水素基を示す。
aは0または1である。〕
【0031】
前記オルガノポリシロキサンは、エポキシ基の開環重合により硬化することができる。前記オルガノポリシロキサンのエポキシ当量は、250〜1000g/eq.、好ましくは250〜800g/eq.、より好ましくは300〜800g/eq.である。前記エポキシ当量が250g/eq.未満であると、硬化物の光、熱に対する耐久性が劣り、1000g/eq.を超えると硬化物の硬度が不足し、脆弱になってしまう傾向がある。
【0032】
Eは、エポキシ基を有する炭素数3〜20の有機基である。オルガノポリシロキサンは、REとして下記一般式(7)〜(10)で表される基の少なくとも1つを有することが好ましい。オルガノポリシロキサンがこのような基を有すると、耐熱、耐光性および寸法安定性に優れた硬化物を得る事が出来る。
【0033】
一般式(7)で表される基としては、具体的には、2−(3’、4’―エポキシシクロヘキシル)エチル基等が挙げられる。
一般式(8)で表される基としては、具体的には、3−グリシジル基等が挙げられる。
【0034】
一般式(9)で表される基としては、具体的には3−グリシドキシプロピル基等が挙げられる。
一般式(10)で表される基としては、具体的には2−(4’−メチルー3’、4’−エポキシシクロヘキシル)エチル基等が挙げられる。
【0035】
【化2】

〔一般式(7)中R5はメチレン基または2価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基または炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。〕
【0036】
【化3】

〔一般式(8)中R6はメチレン基または2価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基または炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。〕
【0037】
【化4】

〔一般式(9)中R7はメチレン基または2価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基または炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。〕
【0038】
【化5】

〔一般式(10)中R8はメチレン基または2価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基または炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。〕
【0039】
前記オルガノポリシロキサンは、エポキシ基とともにシラノール基を含有する。式(1)におけるR9は、それぞれ独立に水素原子または非置換もしくは置換の炭素数1〜3の炭化水素基である。式(1)において、R9が水素原子であるとき、OR9とこのOR9が結合したSiとはシラノール基を形成する。aは0または1であるから、式(1)において(OR9)は必ず存在する。オルガノポリシロキサンがシラノール基を含有することにより、本組成物を硬化させるとき、シラノール基同士による架橋が形成され、硬度の高い硬化物が得られると考えられる。全R9に占める水素原子の割合としては5〜100モル%であることが好ましく、10〜80モル%であることがより好ましい。
【0040】
前記オルガノポリシロキサンのシラノール当量は、0g/eq.を超え500g/eq.以下である事が硬度の高い硬化物が得られるという点で好ましい。前記シラノール当量が500g/eq.より大きいと上記の架橋による硬度向上の効果がほとんど見られなくなってしまうことがある。
【0041】
9が表す炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、これらの中でもメチル基が特に好ましい。
1およびR3は、それぞれ独立に非置換もしくは置換の炭素数1〜3の1価の炭化水素基である。R1およびR3としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、これらの中でもメチル基が特に好ましい。
【0042】
前記オルガノポリシロキサンにおいては、該オルガノポリシロキサンを構成する全シロキサン単位を100モル%とした場合に、三官能性シロキサン単位が10〜70モル%含有されることが好ましく、10〜60%含有することがさらに好ましい。前記オルガノポリシロキサンが三官能性シロキサン単位を前記範囲内で含有すると、耐熱、耐光性に優れ、且つ高硬度の硬化物を得る事が出来る。
【0043】
また、前記オルガノポリシロキサンにおいては、前記オルガノポリシロキサンを構成する全シロキサン単位を100モル%とした場合に、一官能性シロキサン単位が20〜80モル%含有されることが好ましく、20〜70モル%含有されることがさらに好ましい。
【0044】
前記オルガノポリシロキサンにおいては、前記オルガノポリシロキサンを構成する全シロキサン単位を100モル%とした場合に、四官能性シロキサン単位が10〜60モル%含有されることが好ましく、20〜60モル%含有されることがさらに好ましい。前記オルガノポリシロキサンが一官能性シロキサン単位および四官能性シロキサン単位を前記範囲内で含有すると、無溶剤で液状のポリマー形状を保つことができ、かつ線膨張率が低いため剥離、クラックが生じにくいLED封止材を得ることができる。
【0045】
ここで、一官能性シロキサン単位とは、1つの珪素原子に対し1つの酸素原子と3つの炭素原子が結合した単位をいう。三官能性シロキサン単位とは、1つの珪素原子に対し3つの酸素原子と1つの炭素原子が結合した単位をいう。四官能性シロキサン単位とは、1つの珪素原子に対し4つの酸素原子が結合した単位をいう。
【0046】
前記オルガノポリシロキサンは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が500〜1000000の範囲にあることが好ましく、1000〜30000の範囲にあることがより好ましい。オルガノポリシロキサンの重量平均分子量が前記範囲内にあると、本組成物を用いて光半導体封止用材料を製造する際に取扱いやすく、また本組成物から得られる硬化物は光半導体封止材として十分な材料強度及び特性を有する。
前記オルガノポリシロキサンは、組成物全体の質量に対し10〜95質量%含有されていることが好ましく、20〜90質量%含有されていることがより好ましい。
【0047】
〔オルガノポリシロキサンの製造方法〕
前記オルガノポリシロキサンの製造方法については特に制限はないが、以下に示す製造方法によると前記オルガノポリシロキサンを効率良く製造することができる。
【0048】
その製造方法は、下記式(2)で表される構成単位、下記式(3)で表される構成単位およびシラノール基を含むシロキサン化合物(A)(以下、「シロキサン化合物(A)」という)と
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物(B)(以下、「アルコキシシラン化合物(B)」という)とを
塩基性化合物の存在下反応させる工程(以下、工程(i)という)を含む製造方法である。この製造方法は、通常、工程(i)で得られた生成物を塩基性化合物の存在下、水と反応させる工程(以下、工程(ii)という。)を含む。
【0049】
【化6】

【0050】
【化7】

〔式(2)中、R1は式(1)におけるR1と同様である。〕
【0051】
(シロキサン化合物(A))
前記シロキサン化合物(A)は、たとえば、
下記式(4)で表されるシラン化合物(A−1)と
下記式(5)で表されるシラン化合物、該シラン化合物の縮合物、および該シラン化合物の加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも1種(A−2)とを
反応させて得ることができる。
【0052】
【化8】

〔式(4)中、R1は式(1)におけるR1と同様である。〕
【0053】
【化9】

〔式(5)中R2は非置換もしくは置換の1価の炭化水素基を示す。〕
上記式(4)において、R1は、式(1)で挙げたR1と同様の基である。
【0054】
上記式(5)においてR2は、非置換もしくは置換の1価の炭化水素基である。R2としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、これらの中でもメチル基が特に好ましい。
【0055】
上記反応において、化合物(A−1)と化合物(A−2)との混合比は一官能の珪素原子と四官能の珪素原子のモル比で、通常(一官能の珪素原子):(四官能の珪素原子)=1:0.1〜1:2.5の範囲であり、好ましくは1:0.5〜1:2.0、より好ましくは1:0.7〜1:2.0の範囲である。一官能珪素モル比が上記範囲よりも大きいと線膨張係数、弾性率において望む物性を得る事が出来ず、上記範囲よりも小さいと無溶剤時の液状を保つ事が出来ない場合が多い。
【0056】
化合物(A−1)と化合物(A−2)との反応は、たとえば、塩酸水溶液と化合物(A−1)との混合系に、撹拌しながら化合物(A−2)を滴下することによって行われる。
前記塩酸水溶液は、塩化水素を通常5質量%以上含み、好ましくは10質量%以上含む。
【0057】
前記塩酸水溶液と化合物(A−1)との混合系には、反応に直接関与しない有機溶媒を、反応系を希釈するため、または水層および有機層の混合を良くするために共存させることもできる。このような有機溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等が挙げられる。
【0058】
前記混合系における化合物(A−1)の濃度は、1〜90質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。化合物(A−2)を滴下するときの混合系の温度は、通常0〜90℃であり、好ましくは0〜40℃である。
【0059】
この反応により、上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位を含むMQ骨格を有するシロキサン化合物(A)が合成される。このシロキサン化合物(A)は、そのMQ骨格を形成するSi原子に結合したOH基、すなわちシラノール基を有する。
【0060】
(アルコキシシラン化合物(B))
アルコキシシラン化合物(B)はエポキシ基を有し、たとえば下記式(6)で表される。
【0061】
【化10】

〔式(6)中RE、R3およびaは、それぞれ式(1)におけるRE、R3およびaと同様である。R4はそれぞれ独立に非置換または置換の炭素数1〜3の炭化水素基を示す。〕
上記式(6)において、REおよびR3は、それぞれ式(1)で挙げたREおよびR3と同様の基である。
【0062】
4は、それぞれ独立に非置換または置換の炭素数1〜3の1価の炭化水素基である。R4としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、これらの中でもメチル基が特に好ましい。
aは、0または1である。
【0063】
アルコキシシラン化合物(B)としては2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシジルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(4’−メチルー3’、4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好ましく、後述する工程(ii)における安定性の点で、2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0064】
また、この反応においては、硬化物の硬度調整のため、アルコキシシラン化合物(B)以外のアルコキシシランを適宜加えることができる。このようなアルコキシシランとしては、たとえば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を挙げることができる。
【0065】
(工程(i))
本工程は、シロキサン化合物(A)とアルコキシシラン化合物(B)とを、触媒である塩基性化合物の存在下反応させ、主として脱アルコールカップリング反応によりシロキサン結合を形成するものである。本工程は、極力水が存在しない状態で実施することが望ましい。水の存在下では反応工程に加水分解・脱水縮合過程が含まれ、この過程は平衡反応のため系全体の反応率を高めることが困難となる。
【0066】
上記反応において、シロキサン化合物(A)とアルコキシシラン化合物(B)との混合モル比は、通常1:0.01〜1:100の範囲であり、好ましくは1:0.02〜1:50、より好ましくは1:0.05〜1:20の範囲である。混合モル比が上記範囲にあると反応が効率よく進行し、上述したエポキシ当量範囲内の光半導体封止用重合体が得られ、耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。なお、シロキサン化合物(A)のモル数は、混合したシロキサン化合物(A)の質量を重量平均分子量(Mw)で除算した値をとする。
【0067】
上記反応の温度は、好ましくは10〜100℃、より好ましくは10〜80℃、特に好ましくは15〜70℃である。反応時間は、好ましくは1〜48時間、より好ましくは1〜24時間、特に好ましくは2〜12時間である。反応は、各成分を反応容器に一括で仕込んで実施してもよいし、一方の成分に他方の成分を間欠的にもしくは連続的に添加しながら行ってもよい。
【0068】
上記反応により生成したポリシロキサンに含まれるアルコキシシラン残基には、アルコキシ基が残存する(以下、このポリシロキサンを「アルコキシ基含有ポリシロキサン」という)。
【0069】
(塩基性化合物)
上記塩基性化合物としては、アンモニア(アンモニア水溶液を含む)、有機アミン、有機アミン以外の含窒素化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属のアルコキシドが挙げられる。これらのうち、アンモニアならびに有機アミンおよび有機アミン以外の含窒素化合物が好ましい。
【0070】
有機アミンとしては、アルキルアミン、アルコキシアミン、アルカノールアミン、アリールアミンなどが挙げられる。
アルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどの炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルアミンなどが挙げられる。
【0071】
アルコキシアミンとしては、メトキシメチルアミン、メトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシメチルアミン、エトキシエチルアミン、エトキシプロピルアミン、エトキシブチルアミン、プロポキシメチルアミン、プロポキシエチルアミン、プロポキシプロピルアミン、プロポキシブチルアミン、ブトキシメチルアミン、ブトキシエチルアミン、ブトキシプロピルアミン、ブトキシブチルアミンなどの炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシアミンなどが挙げられる。
【0072】
アルカノールアミンとしては、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルメタノールアミン、N−エチルメタノールアミン、N−プロピルメタノールアミン、N−ブチルメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N−プロピルプロパノールアミン、N−ブチルプロパノールアミン、N−メチルブタノールアミン、N−エチルブタノールアミンなどの炭素数1〜4のアルキル基を有するアルカノールアミンおよびその誘導体であるアルカノールアミンが挙げられる。
【0073】
アリールアミンとしてはアニリン、N−メチルアニリンなどが挙げられる。
さらに、上記以外の有機アミンおよび有機アミン以外の含窒素化合物として、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロキサイドなどのテトラアルキルアンモニウムハイドロキサイド;テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラプロピルエチレンジアミン、テトラブチルエチレンジアミンなどのテトラアルキルエチレンジアミン;メチルアミノメチルアミン、メチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルアミノブチルアミン、エチルアミノメチルアミンなどのアルキルアミノアルキルアミン;ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モルホリン、メチルモルホリン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセンなども挙げられる。
【0074】
このような塩基性化合物は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、トリエチルアミン、ピロリジン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ピリジン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセンが特に好ましい。
【0075】
上記工程(i)において、塩基性化合物は、シロキサン化合物(A)とアルコキシシラン化合物(B)との合計100重量部に対して、通常1〜50重量部、好ましくは2〜30重量部、より好ましくは2〜20重量部添加される。
【0076】
(有機溶剤)
上記工程(i)においては、有機溶剤を用いることもできる。
有機溶剤としては、たとえば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、i−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコールなどを挙げることができる。また、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどが挙げられ、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ノルマルプロピル、乳酸イソプロピル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらの有機溶剤のうち、反応を促進する観点から、アルコール以外の有機溶剤、たとえば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどを使用することが好ましい。
【0077】
上記有機溶剤は、上記反応のコントロールなどを目的として適宜使用することができる。有機溶剤を使用する場合、その使用量は所望の条件に応じて適宜設定することができる。
【0078】
(工程(ii))
本工程においては、上記工程(i)で得られた生成物を塩基性化合物の存在下、水と反応させる。この反応により、アルコキシ基含有ポリシロキサン中に含まれるアルコキシ基が水酸基に変換され、シラノール基が生成されると考えられ、その結果前記オルガノポリシロキサンが生成されると考えられる(以下、この反応により得られたオルガノポリシロキサンを「シラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン」ともいう)。この反応においては、上記アルコキシ基の全てがシラノール基に変換されるのではなく、その一部はアルコキシ基のまま残存している。また、上記シラノール基エポキシ基含有ポリシロキサンのシラノール基の一部は縮合していてもよい。
【0079】
この反応は、有機溶媒中で触媒である塩基性化合物の存在下で行うことが好ましい。このとき使用する触媒は、上記工程(i)に使用した塩基性化合物を継続して使用しても良いし、同種または異種の塩基性化合物を新たに追加してもよい。
【0080】
工程(ii)の際に添加される水の量は、工程(i)におけるシロキサン化合物(A)とアルコキシシラン化合物(B)との重量の合計を100重量部とした場合、通常10〜500重量部、好ましくは20〜200重量部、より好ましくは30〜100重量部である。水の添加量が上記範囲にあると、工程(ii)が十分に進行するとともに、反応後に除去する水の量が少ないため好ましい。
【0081】
上記工程(ii)の温度は、好ましくは10〜100℃、より好ましくは10〜80℃、特に好ましくは15〜70℃である。反応時間は、好ましくは0.3〜48時間、より好ましくは0.5〜24時間、特に好ましくは1〜12時間である。
【0082】
上記工程(ii)で用いられる塩基性化合物の量は、シロキサン化合物(A)とアルコキシシラン化合物(B)との合計100重量部に対して、通常0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは0.5〜20重量部である。
【0083】
また、上記工程(i)後に引続いて上記工程(ii)を行う場合、上記工程(i)に使用した特定化合物をそのまま使用しても良いし、同種のまたは異種の特定化合物を新たに追加しても良い。
【0084】
工程(ii)に使用する有機溶媒としては、前記工程(i)で挙げた有機溶剤等を挙げることができる。
上記で得られたシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサンの貯蔵安定性の点から、 工程(ii)後に脱特定化合物工程として水洗を行うことが好ましい。特に特定化合物として塩基性化合物を使用した場合、反応後に酸性化合物による中和を行った上で、水洗を行うことがより好ましい。
【0085】
中和に使用する酸性化合物としては、有機酸および無機酸が挙げられる。有機酸としては、たとえば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリト酸、アラキドン酸、シキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。上記無機酸としては、たとえば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸などが挙げられる。
【0086】
酸性化合物の使用量は脱アルコール反応および加水分解反応に使用した塩基性化合物1規定に対し、通常0.5〜2規定、好ましくは0.8〜1.5規定、さらに好ましくは0.9〜1.3規定である。酸性化合物は水洗時に水層へ抽出され易い点からが水溶性の酸性化合物を使用することが好ましい。水に溶解して使用する場合、酸性化合物を、水100重量部に対して、通常0.5〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜10重量部添加する。
【0087】
中和後、十分に攪拌混合して静置し、水相と有機溶媒相との相分離を確認後、下層の水分を除去する。
中和後の水洗に使用する水は、シロキサン化合物(A)とアルコキシシラン化合物(B)との合計100重量部に対して、通常10〜500重量部、好ましくは20〜300部、より好ましくは30〜200部である。
【0088】
水洗は、水を添加して十分に攪拌した後、静置し、水相と有機溶媒相との相分離を確認後、下層の水分を除去することにより行う。水洗回数は好ましくは1回以上、さらに好ましくは2回以上である。
また、水洗後に不純物の除去を目的に有機溶媒で抽出しても良い。抽出に必要な有機溶媒は上記の有機溶媒が使用できる。有機溶媒の種類、及びその配合量は適宜選択できる。
【0089】
エポキシ用硬化剤
エポキシ用硬化剤は、オルガノポリシロキサンを硬化させる物質である。
エポキシ用硬化剤(B)としては、酸無水物、アミン化合物、メルカプト化合物等を挙げることができる。これら中で、特に酸無水物が好ましい。
【0090】
〔酸無水物〕
酸無水物としては、特に限定されないが、脂環式カルボン酸無水物が好ましい。
前記脂環式カルボン酸無水物としては、たとえば、下記式(11)〜(21)で表される化合物
【0091】
【化11】

や、4−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物のほか、α−テルピネン、アロオシメン等の共役二重結合を有する脂環式化合物と無水マレイン酸とのディールス・アルダー反応生成物やこれらの水素添加物等を挙げることができる。なお、前記ディールス・アルダー反応生成物やこれらの水素添加物としては、任意の構造異性体および任意の幾何異性体を使用することができる。
【0092】
また、前記脂環式カルボン酸無水物は、硬化反応を実質的に妨げない限り、適宜に化学的に変性して使用することもできる。
これらの脂環式カルボン酸無水物のうち、組成物の流動性や透明性の点から、式(11)、式(13)、式(15)、式(16)、式(17)または式(21)で表される化合物等が好ましい。特に好ましくは式(11)、式(13)、式(16)または式(21)で表される化合物である。
【0093】
本発明において、脂環式カルボン酸無水物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、酸無水物として、脂肪族酸無水物や芳香族酸無水物を1種以上使用することもできる。これらは脂環式酸無水物と併用するのが好ましい。
【0094】
前記脂肪族酸無水物および芳香族酸無水物も、硬化反応を実質的に妨げない限り、適宜に化学的に変性して使用することができる。
脂肪族酸無水物および芳香族酸無水物の合計使用割合は、脂環式酸無水物との合計量に対して、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0095】
エポキシ用硬化剤として酸無水物を使用する場合、その使用量は、前記オルガノポリシロキサン中のエポキシ基1モルに対する酸無水物基の当量比として0.2〜1.7、好ましくは0.3〜1.5、さらに好ましくは0.5〜1.3、もっとも好ましくは0.6〜0.8である。この場合、該当量比が0.2未満でも、1.7を超えても、得られる硬化物のガラス転移点(Tg)の低下や着色等の不都合を生じるおそれがある。
【0096】
硬化促進剤
本発明に係る硬化性組成物は、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤は、オルガノポリシロキサンとエポキシ用硬化剤との硬化反応を促進する成分である。
【0097】
このような硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば、
ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、シクロヘキシルジメチルアミン、トリエタノールアミンの如き3級アミン;UCAT410(サンアプロ株式会社)の如き特殊アミン;
2−メチルイミダゾール、2−n−ヘプチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ〔(2'−シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−〔2'−メチルイミダゾリル−(1')〕エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物の如きイミダゾール類;
ジフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、亜リン酸トリフェニルの如き有機リン化合物;
ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムブロマイド、メチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムヨーダイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムアセテート、テトラフェニルフォスフォニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルベンジルホスフォニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスフォニウムテトラフルオロボレートの如き4級フォスフォニウム塩;
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7やその有機酸塩の如きジアザビシクロアルケン;
オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体の如き有機金属化合物;
テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、UCAT18X(サンアプロ株式会社)あるいは下記式(22)
【0098】
【化12】

の如き4級アンモニウム塩;
三フッ化ホウ素、ホウ酸トリフェニルの如きホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫の如き金属ハロゲン化合物、
ジシアンジアミドやアミンとエポキシ樹脂との付加物等のアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性硬化促進剤;前記イミダゾール類、有機リン化合物や4級フォスフォニウム塩等の硬化促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤;アミン塩型潜在性硬化剤促進剤;ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等の潜在性硬化促進剤
等を挙げることができる。
【0099】
これらの硬化促進剤のうち、イミダゾール類、4級フォスフォニウム塩、ジアザビシクロアルケン、有機金属化合物および4級アンモニウム塩が、無色透明で、長時間加熱しても変色し難い硬化物が得られる点で好ましい。
【0100】
前記硬化促進剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明に係る硬化性組成物において、硬化促進剤の含有量は、前記オルガノポリシロキサン100質量部に対して0.005〜6質量部、好ましくは0.01〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜4質量部である。硬化促進剤の含有量が0.005質量部未満であると、硬化反応の促進効果が低下する傾向があり、一方6質量部を超えると、得られる硬化物に着色などの不都合を生じるおそれがある。
【0101】
その他の成分
本発明の硬化性組成物は、さらにシリカ粒子などの無機粒子や、密着助剤として前記オルガノポリシロキサン以外のエポキシ基含有ポリシロキサン、あるいはオキセタン化合物、チオール化合物、イソシアヌル環構造を有する化合物、アルコキシシランやその加水分解物または縮合物などを含んでいてもよい。また、本発明の硬化性組成物は、さらに蛍光体を含有することができ、蛍光体を含有した硬化性組成物の硬化体は、LED封止材として使用することができる。
【0102】
[無機粒子]
本発明の硬化性組成物が無機粒子としてシリカ粒子を含有すると、硬化体の強度が向上するという点で好ましい。
【0103】
無機粒子としてシリカ粒子を配合する場合は、粉体、またはイソプロピルアルコールなどの極性溶媒やトルエンなどの非極性溶媒に分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドなどの形態で使用することもできる。溶媒系のゾルもしくはコロイドの場合、配合後に溶媒溜去すればよい。シリカ粒子の分散性を向上させるために、表面処理を施したシリカ粒子を用いてもよい。
【0104】
これらのシリカ粒子の1次粒子径は、通常0.0001〜1μm、さらに好ましくは0.001〜0.5μm、特に好ましくは0.002〜0.2μmである。
シリカ粒子溶媒系のゾルもしくはコロイドである場合、その固形分濃度は通常0質量%を超えて50量%以下、好ましくは0.01質量%以上40質量%以下である。
【0105】
本発明では、表面処理未処理の粉末状シリカとしては、日本アエロジル社製のOX50、#50、#150、#200、#300、疎水化処理の粉末状シリカとして、日本アエロジル社製のR972、R974、R976、RX50、RX200、RX300、RY50、RY200S、RY300、R106、東ソー社製のSS50A、SS30V、富士シリシア化学社製のサイロホービック100、サイロホービック200等が挙げられる。
【0106】
また、溶剤分散のコロイダルシリカとしては、日産化学工業社製のイソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤分散コロイダルシリカ、メチルイソブチル等のケトン系溶剤分散コロイダルシリカ、トルエン等の非極性溶剤分散コロイダルシリカ等が挙げられる。シリカ粒子は、上記硬化性組成物の調製時に添加してもよく、硬化性組成物の調製後に添加してもよい。
【0107】
無機粒子の使用量は、前記オルガノポリシロキサンに対して、固形分換算で通常0質量%を超えて80質量%以下、好ましくは5質量%以上50質量%以下である。
【0108】
[密着助剤]
本発明の硬化性組成物は、次に挙げるような物質を密着助剤として含有することもできる。
前記オルガノポリシロキサン以外のエポキシ基含有ポリシロキサンとしては、上記式(1)で表されるエポキシ基含有アルコキシシランと、下記式(III)
【0109】
【化13】

(式(III)中、R5およびR6はそれぞれ独立に非置換または置換の1価の炭化水素基を示し、pは0〜2の整数である)
で表されるアルコキシシランとの加水分解縮合物や、シラノール基を含有しないエポキシ基含有ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0110】
このような上記式(III)で表されるアルコキシシランとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類(式(III)においてp=0);
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類(式(III)においてp=1);ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類(式(III)においてp=2);
が挙げられる。
【0111】
オキセタン化合物としては、下記式(O−1)〜(O−10)で表される化合物が挙げられる。
【0112】
【化14】

【0113】
【化15】

チオール化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−i−プロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−n−ブトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−sec−ブトキシシランなどが挙げられる。
【0114】
イソシアヌル環構造を有する化合物としては、イソシアヌル酸トリス(3−トリメトキシシリル−n−プロピル)、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)、イソシアヌル酸トリグリシジル、イソシアヌル酸トリス(2−カルボキシエチル)などが挙げられる。
【0115】
また、アルコキシシランやその加水分解物または縮合物としては上述した式(III)で表されるアルコキシシランやその加水分解物、またはその縮合物が挙げられる。式(III)の縮合物としては、上述に例示したアルコキシシランの単独縮合物や2種以上のアルコキシシランの縮合物として、テトラメトキシシランオリゴマー、テトラエトキシシランオリゴマー、メチルトリメトキシシランオリゴマー、メチルトリメトキシシランとジメチルジメトキシシランの縮合物が挙げられる。アルコキシシランの縮合物を使用する場合は、ポリシロキサン(A)に対する相溶性の点からMwが3000以下であることが好ましい。
【0116】
これらのシリカ粒子や、前記オルガノポリシロキサン以外のエポキシ基含有ポリシロキサン、あるいはオキセタン化合物、チオール化合物、イソシアヌル環構造を有する化合物、アルコキシシランやその加水分解物または縮合物は、前記オルガノポリシロキサンの合成時に添加しても良いし、硬化体を形成する際に添加しても良い。オルガノポリシロキサンとの相溶性を良くするために合成時に添加することがより好ましい。
【0117】
〔本発明に係る硬化性組成物の作用〕
このシラノール基、エポキシ基を有するMQポリマーであるオルガノポリシロキサンを用いると四官能成分に由来する緻密なポリマー骨格形成に加えてエポキシ基と酸無水物による架橋反応、シラノール基同士の縮合反応が起こる。その結果ポリマーの線膨張率低下による変温時の熱応力減少、ポリマー自身の強度向上によって冷熱衝撃耐性が向上する。また合成の際に遷移金属触媒等を用いていないため耐光性に優れたポリマーが得られる。
【0118】
<発光素子>
本発明に係る発光素子は、前記光半導体封止用組成物を用いて光半導体を封止することにより得られる。前記組成物を用いて光半導体を封止する際、前記組成物は公知の方法により硬化させることができる。たとえば、本組成物を塗布した後、100〜180℃で3〜13時間加熱することによって硬化させ、硬化体を形成させることができる。硬化は段階的に昇温を行う過程(ステップキュア)で行ってもよい。発光素子としては、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)およびLD(Laser Diode)等が挙げられる。
【0119】
図1および図2はLEDの模式図である。図1および図2において、光半導体である発光素子部50は封止材51で封止されている。図1においては、発光素子部50は蛍光体54を分散させた封止材51で封止されている。発光素子部50は、図2のようにバインダー53と蛍光体54とを含有する蛍光部52を有する場合もある。図1および図2に示したLEDにおける封止材51を、本発明に係る光半導体封止用組成物で形成することができる。
【0120】
また、上記光半導体封止用組成物でLED素子等の発光素子を封止し、硬化させることにより発光装置を得ることができる。LED素子としては、青色LED素子、紫外LED素子等を用いることができる。さらに、硬化体中に蛍光体を含有させ、LED素子から発せられた光を変換することもできる。
【実施例】
【0121】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特記しない限り、「重量部」および「重量%」を示す。
実施例および比較例における各種測定は、下記の方法により行った。
【0122】
(1)GPC測定
シラノール基エポキシ基含有ポリシロキサンの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより下記条件で測定し、ポリスチレン換算値として示した。
装置:HLC−8120C(東ソー社製)
カラム:TSK−gel MultiporeHXL−M(東ソー社製)
溶離液:THF、流量0.5mL/min、負荷量5.0%、100μL
(2)エポキシ当量
JIS C2105に準拠し、シラノール基エポキシ基含有ポリシロキサンのエポキシ当量を測定した。
【0123】
(3)シラノール当量
得られたシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン中のシラノール当量は以下の方法で求めた。
測定するシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサンを100g秤量した。49.2gの2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、10重量%のジアザビシクロウンデセンを加え50℃で撹拌を行った。2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの消費量をガスクロマトグラフィーによって追跡し、消費が止まった時点で反応終了とした。反応終了時に2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが完全に消費された場合シラノール当量は500g/eq.以下、2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの完全消費が見られなかった場合シラノール当量は500g/eq.より大きいとした。
【0124】
(4)シラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン中の一官能性シロキサン単位/二官能性シロキサン単位/三官能性シロキサン単位/四官能性シロキサン単位の同定方法
得られたシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン中の一官能性シロキサン単位/二官能性シロキサン単位/三官能性シロキサン単位/四官能性シロキサン単位比、すなわち一官能珪素/二官能性珪素/三官能珪素/四官能珪素比は以下の方法で求めた。
組成物100重量部に対し重クロロホルムを100重量部加えた溶液を作成し、29Si−NMRを測定した。得られたチャートの10から0ppm付近のピーク、―10から―30ppm付近のピーク、―40から−70ppmのピーク、―80から−120ppmのピークの積分値を求めた。これらの積分値から(一官能珪素)/(二官能珪素)/(三官能珪素)/(四官能珪素)=(10から0ppm付近のピーク積分値)/(―10から―30ppmのピーク積分値)/(―40から−70ppmのピーク積分値)/(―80から−120ppmのピーク積分値)として算出した。
【0125】
(5)線膨張係数
得られた組成物を膜厚が1mmになるようにシャーレに入れ、100℃で1時間乾燥硬化させ、次いで150℃で5時間乾燥硬化させて硬化体を作製した。この硬化体を熱・応力・歪測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製:TMA/SS6100)を用い、−50℃〜300℃での線膨張係数を測定した。
【0126】
(6)硬度
得られた組成物を膜厚が1mmになるようにシャーレに入れ、100℃で1時間乾燥硬化させ、次いで150℃で5時間乾燥硬化させて硬化体を作製した。この硬化体をJIS K6253により、タイプAデュロメータおよびタイプDデュロメータによって硬度を測定した。
【0127】
(7)耐熱性
得られた組成物を乾燥膜厚が1mmになるように石英ガラス上に塗布した後、100℃で1時間乾燥硬化させ、次いで150℃で5時間乾燥硬化させて硬化体を作製した。この硬化体を150℃で500時間保管し、保管後の硬化体の外観を目視で観察し、下記基準で評価した。
(色変化)
A:変化なし
B:わずかに変色
C:黄色化した
【0128】
(8)耐光性
得られた組成物を乾燥膜厚が1mmになるように石英ガラス上に塗布した後、100℃で1時間乾燥硬化させ、次いで150℃で5時間乾燥硬化させて硬化体を作製した。この硬化体に波長350nm以下の光をカットしたスポットUV照射装置(ウシオ電機社製:SP−VII)を使用して照度5000mW/cm2の紫外線を500時間照射した。紫外線照射後の硬化体の外観を目視で観察し、下記基準で評価した。
A:変化なし
B:黄変した
C:黒く焼け焦げた
【0129】
(9)吸湿・リフロー時の剥離耐性
得られた組成物をLEDパッケージ(表面実装型、トップビュータイプ)中に注入し、100℃で1時間乾燥硬化させ、次いで150℃で5時間乾燥硬化させて硬化体サンプルを作製した。得られたサンプルを恒温恒湿槽(エスペック製PL−3KP)中で85℃85%RH下で5時間保管した後、卓上はんだリフロー装置(千住金属工業株式会社製STR−2010)を用いてMAX260℃10秒のリフロー工程を2回行った。光学顕微鏡でリフロー処理後のパッケージ内の硬化体とパッケージ樹脂との間の剥離を観察した。各サンプルに対し、10個ずつ実施した。
剥離耐性およびクラック耐性を下記基準で評価した。
(剥離耐性)
AA:8時間保管後でも剥離発生なし
A:5時間保管後では剥離発生なし、8時間保管後では剥離発生あり
B:5時間保管後で剥離発生1〜2個
C:5時間保管後で剥離発生3個以上
【0130】
(10)冷熱衝撃耐性評価方法
得られた組成物を表面実装型(トップビュー)パッケージ中に塗布を行い、100℃で1時間、続いて150℃で3時間加熱することで評価用サンプルの作成を行った。
上記評価用サンプルを冷熱衝撃試験装置(ESPEC社製 TOM17)中、1℃/minの速度で−40℃から100℃の昇温、100℃から−40℃までの冷却を1サイクルとする、冷熱衝撃試験を1000サイクル実施した。試験終了後、光学顕微鏡を用いパッケージと樹脂間での剥離および樹脂内部におけるクラックを目視により観察を行った。1つのサンプルにつき10回同様の試験を行い、下記の基準に従い評価した。
(剥離)
A:剥離なし
B:10回中1回から4回、パッケージと樹脂との間に剥離が生じた
C:10回中1回から5回以上、パッケージと樹脂との間に剥離が生じた
(クラック)
A:クラック発生なし
B:10回中1回から4回、樹脂内部にクラックが発生した
C:10回中1回から5回以上、樹脂内部にクラックが発生した
【0131】
〔シラノール基エポキシ基含有ポリシロキサンの合成例〕
(一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A1)の合成)
撹拌機を備える反応器に、水22.6部、37%塩酸水溶液15.1部、エタノール11.3部、ヘキサメチルジシロキサン(信越化学工業(株)製、商品名:KF−96L−0.65cs)21.5部を加え、室温で撹拌した。この溶液にテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBE―04)78.5部を1時間かけて滴下した。滴下終了後反応溶液を75℃まで昇温し、その後75℃で1時間撹拌した。撹拌終了後冷却した溶液から上層である水層を除去し、トルエン150部を加えた後に分液漏斗に移し、水層が中性になるまで水洗を行った。得られた有機層を濃縮する事により、一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A1)を70wt%トルエン溶液として得た。
【0132】
(一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A2)の合成)
撹拌機を備える反応器に、水22.6部、37%塩酸水溶液15.1部、エタノール11.3部、ヘキサメチルジシロキサン(信越化学工業(株)製、商品名:KF−96L−0.65cs)21.5部を加え、室温で撹拌した。この溶液にテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBE―04)11.0部を1時間かけて滴下した。滴下終了後反応溶液を75℃まで昇温し、その後75℃で1時間撹拌した。撹拌終了後冷却した溶液から上層である水層を除去し、トルエン150部を加えた後に分液漏斗に移し、水層が中性になるまで水洗を行った。得られた有機層を濃縮する事により、一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A2)を70wt%トルエン溶液として得た。
【0133】
(一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A3)の合成)
撹拌機を備える反応器に、水22.6部、37%塩酸水溶液15.1部、エタノール11.3部、ヘキサメチルジシロキサン(信越化学工業(株)製、商品名:KF−96L−0.65cs)21.5部を加え、室温で撹拌した。この溶液にテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBE―04)276部を1時間かけて滴下した。滴下終了後反応溶液を75℃まで昇温し、その後75℃で1時間撹拌した。撹拌終了後冷却した溶液から上層である水層を除去し、トルエン150部を加えた後に分液漏斗に移し、水層が中性になるまで水洗を行った。得られた有機層を濃縮する事により、一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A3)を70wt%トルエン溶液として得た。
【0134】
(一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A4)の合成)
撹拌機を備える反応器に、水22.6部、37%塩酸水溶液15.1部、エタノール11.3部、ヘキサメチルジシロキサン(信越化学工業(株)製、商品名:KF−96L−0.65cs)21.5部を加え、室温で撹拌した。この溶液にテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBE―04)5.5部を1時間かけて滴下した。滴下終了後反応溶液を75℃まで昇温し、その後75℃で1時間撹拌した。撹拌終了後冷却した溶液から上層である水層を除去し、トルエン150部を加えた後に分液漏斗に移し、水層が中性になるまで水洗を行った。得られた有機層を濃縮する事により、一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A4)を70wt%トルエン溶液として得た。
【0135】
(合成例1:シラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B1)の合成)
撹拌機を備える反応器に上記一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A1)70wt%トルエン溶液100部と2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン84.4部、触媒としてジアザビシクロウンデセン15.7部を加え50℃で24時間撹拌した。この反応生成物にメチルイソブチルケトン300部、メタノール100部、水100部を添加し、25℃で1時間加水分解反応を行った後、6%シュウ酸水溶液189部を加えて室温で1時間中和反応を行った。その後、水層を分離し、有機相を水100部で洗浄した。この水洗操作を3回行った後、溶媒を留去してMw=2500のシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B1)を得た。このシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B1)のエポキシ当量を上記方法により評価したところ、440であった。シラノール当量を評価したところ500g/eq.以下であった。また珪素原子の比は一官能珪素/二官能珪素/三官能珪素/四官能珪素=32/0/26/42であった。
【0136】
(合成例2:シラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B2)の合成)
撹拌機を備える反応器に上記一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A1)70wt%トルエン溶液100部と2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン30部、触媒としてジアザビシクロウンデセン15.7部を加え50℃で24時間撹拌した。この反応生成物にメチルイソブチルケトン300部、メタノール100部、水100部を添加し、25℃で1時間加水分解反応を行った後、6%シュウ酸水溶液189部を加えて室温で1時間中和反応を行った。その後、水層を分離し、有機相を水100部で洗浄した。この水洗操作を3回行った後、溶媒を留去してMw=3000のシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B2)を得た。このシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B2)のエポキシ当量を上記方法により評価したところ、860であった。シラノール当量を評価したところ500g/eq.以下であった。また珪素原子の比は一官能珪素/二官能珪素/三官能珪素/四官能珪素=36/0/10/54であった。
【0137】
(合成例3:エポキシ基含有シロキサン化合物(B3)の合成)
撹拌機を備える反応器に上記一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A1)70wt%トルエン溶液100部と2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン500部、触媒としてジアザビシクロウンデセン15.7部を加え50℃で24時間撹拌した。この反応生成物にメチルイソブチルケトン300部、メタノール100部、水100部を添加し、25℃で1時間加水分解反応を行った後、6%シュウ酸水溶液189部を加えて室温で1時間中和反応を行った。その後、水層を分離し、有機相を水100部で洗浄した。この水洗操作を3回行った後、溶媒を留去してMw=2000のシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B3)を得た。このシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B3)のエポキシ当量を上記方法により評価したところ、280であった。シラノール当量を評価したところ500g/eq.以下であった。また珪素原子の比は一官能珪素/二官能珪素/三官能珪素/四官能珪素=15/0/65/20であった。
【0138】
(合成例4:エポキシ基含有シロキサン化合物(B4)の合成)
撹拌機を備える反応器に上記一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A2)70wt%トルエン溶液100部と2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン102部、触媒としてジアザビシクロウンデセン15.7部を加え50℃で24時間撹拌した。この反応生成物にメチルイソブチルケトン300部、メタノール100部、水100部を添加し、25℃で1時間加水分解反応を行った後、6%シュウ酸水溶液189部を加えて室温で1時間中和反応を行った。その後、水層を分離し、有機相を水100部で洗浄した。この水洗操作を3回行った後、溶媒を留去してMw=3000のシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B4)を得た。このシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B4)のエポキシ当量を上記方法により評価したところ、420であった。シラノール当量を評価したところ500g/eq.以下であった。また珪素原子の比は一官能珪素/二官能珪素/三官能珪素/四官能珪素=58/0/30/12であった。
【0139】
(合成例5:エポキシ基含有シロキサン化合物(B5)の合成)
撹拌機を備える反応器に上記一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A3)70wt%トルエン溶液100部と2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン124部、触媒としてジアザビシクロウンデセン15.7部を加え50℃で24時間撹拌した。この反応生成物にメチルイソブチルケトン300部、メタノール100部、水100部を添加し、25℃で1時間加水分解反応を行った後、6%シュウ酸水溶液189部を加えて室温で1時間中和反応を行った。その後、水層を分離し、有機相を水100部で洗浄した。この水洗操作を3回行った後、溶媒を留去してMw=3500のシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B5)を得た。このシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B5)のエポキシ当量を上記方法により評価したところ、390であった。シラノール当量を評価したところ500g/eq.以下であった。また珪素原子の比は一官能珪素/二官能珪素/三官能珪素/四官能珪素=12/0/30/58であった。
【0140】
(合成例6:エポキシ基含有シロキサン化合物(B6)の合成)
撹拌機を備える反応器に上記一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A4)70wt%トルエン溶液100部と2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン100部、触媒としてジアザビシクロウンデセン15.7部を加え50℃で24時間撹拌した。この反応生成物にメチルイソブチルケトン300部、メタノール100部、水100部を添加し、25℃で1時間加水分解反応を行った後、6%シュウ酸水溶液189部を加えて室温で1時間中和反応を行った。その後、水層を分離し、有機相を水100部で洗浄した。この水洗操作を3回行った後、溶媒を留去してMw=3500のシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B6)を得た。このシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B6)のエポキシ当量を上記方法により評価したところ、430であった。シラノール当量を評価したところ500g/eq.以下であった。また珪素原子の比は一官能珪素/二官能珪素/三官能珪素/四官能珪素=64/0/30/6であった。
【0141】
(合成例7:シラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B7)の合成)
撹拌機を備える反応器に上記一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A1)70wt%トルエン溶液100部と2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン84.0部、触媒としてジアザビシクロウンデセン15.7部を加え50℃で24時間撹拌した。この反応生成物にメチルイソブチルケトン300部、メタノール100部、水100部を添加し、25℃で1時間加水分解反応を行った後、6%シュウ酸水溶液189部を加えて室温で1時間中和反応を行った。その後、水層を分離し、有機相を水100部で洗浄した。この水洗操作を3回行った後、溶媒を留去してMw=2400のシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B7)を得た。このシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B7)のエポキシ当量を上記方法により評価したところ、440であった。シラノール当量を評価したところ500g/eq.以下であった。また珪素原子の比は一官能珪素/二官能珪素/三官能珪素/四官能珪素=32/26/0/42であった。
【0142】
(合成例8:エポキシ基含有シロキサン化合物(B8)の合成)
撹拌機を備える反応器に上記一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A1)70wt%トルエン溶液100部と2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン8.3部、触媒としてジアザビシクロウンデセン15.7部を加え50℃で24時間撹拌した。この反応生成物にメチルイソブチルケトン300部、メタノール100部、水100部を添加し、25℃で1時間加水分解反応を行った後、6%シュウ酸水溶液189部を加えて室温で1時間中和反応を行った。その後、水層を分離し、有機相を水100部で洗浄した。この水洗操作を3回行った後、溶媒を留去してMw=3000のシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B8)を得た。このシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B8)のエポキシ当量を上記方法により評価したところ、2500であった。シラノール当量を評価したところ500g/eq.より大きかった。また珪素原子の比は一官能珪素/二官能珪素/三官能珪素/四官能珪素=42/0/3/55であった。
【0143】
(合成例9:エポキシ基含有シロキサン化合物(B9)の合成)
撹拌機を備える反応器に上記一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物(A1)70wt%トルエン溶液100部と2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン2430部、触媒としてジアザビシクロウンデセン15.7部を加え50℃で24時間撹拌した。この反応生成物にメチルイソブチルケトン300部、メタノール100部、水100部を添加し、25℃で1時間加水分解反応を行った後、6%シュウ酸水溶液189部を加えて室温で1時間中和反応を行った。その後、水層を分離し、有機相を水100部で洗浄した。この水洗操作を3回行った後、溶媒を留去してMw=3000のシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B9)を得た。このシラノール基エポキシ基含有ポリシロキサン(B9)のエポキシ当量を上記方法により評価したところ、240であった。シラノール当量を評価したところ500g/eq.以下であった。また珪素原子の比は一官能珪素/二官能珪素/三官能珪素/四官能珪素=4/0/90/6であった。
【0144】
(合成例10:白金触媒によるヒドロシリル化を用いて合成されるエポキシ基含有シロキサン化合物(C1)の合成)
(一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られる珪素原子に結合した水素原子を有するシロキサン化合物の合成)
撹拌機を備える反応器に、水24.0部、37%塩酸水溶液16.0部、エタノール12.0部、1,1,3,3、−テトラメチルジシロキサン(信越化学工業(株)製、試薬名:LS−7040)23.9部を加え、室温で撹拌した。この溶液にテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBE―04)76.1部を1時間かけて滴下した。滴下終了後反応溶液を室温で3時間撹拌した。撹拌終了後上層である水層を除去し、トルエン150部を加えた後に分液漏斗に移し、水層が中性になるまで水洗を行った。得られた有機層を濃縮する事により、珪素原子に結合した水素原子を含む一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られるシロキサン化合物を70wt%トルエン溶液として得た。
【0145】
(白金触媒を用いたヒドロシリル化によるエポキシ基含有シロキサン化合物の合成)
撹拌機を備える反応器に上記一官能珪素化合物と四官能珪素化合物の加水分解縮合によって得られる珪素原子に結合した水素原子を有するシロキサン化合物の70wt%トルエン溶液100部と1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン55.9部、触媒として塩化白金酸を白金濃度が10ppmとなるように加え120℃で1時間撹拌し冷却した。得られた溶液から溶剤を留去することによりエポキシ基含有シロキサン化合物(C1)を得たが、この化合物には黄色の着色が見られた。
このエポキシ基含有シロキサン化合物(C1)のエポキシ当量は360であった。シラノール当量を評価したところ500g/eq.より大きかった。
【0146】
(合成例11:2官能珪素化合物を主骨格とするエポキシ基含有シロキサン化合物(D1)の合成)
撹拌機を備える反応器に、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(信越化学工業(株)製)30部、ビニル基を1g中に1.64mmol含有するα−ビニルジメチルシリルオキシ−ω−ビニルジメチルシリルーポリジメチルシロキサン[ジメチルシロキサン単位の平均重合度が14である。]152.4部、4−ビニルシクロへキセンオキサイド35.65部(ダイセル化学工業(株)製: セロキサイド2000)、1,4−ジオキサン(和光純薬社製試薬)855部を窒素下にて仕込んだ後攪拌しながら60℃に昇温した。これに白金元素換算で1,0 00ppmの白金を含有する白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,4−ジオキサン溶液1.7部を窒素下にて添加し、引き続き4時間反応した。反応終了後、反応液温度を30℃に下げ、該反応液に、乾燥窒素気流下にて120℃で3時間加熱乾燥した300gの活性炭( 和光純薬製:顆粒状特級)を添加して、30℃から40℃の温度で24時間攪拌処理を継続した後、活性炭をろ過した。得られた処理液をエバポレーターを用いて加熱温度45℃、圧力10kPa の条件で1.5時間、順次圧力を低減して、最終30Paに圧力を下げて3時間かけて溶媒及び炭素−炭素二重結合を有する化合物を留去し、エポキシ基含有シロキサン化合物(D1)を得た。エポキシ基含有シロキサン化合物(D1)のエポキシ当量は900、含有される遷移金属成分は白金のみであり、該成分の含有量は白金元素換算で3ppmであった。シラノール当量を評価したところ500g/eq.より大きかった。
【0147】
(実施例1)
上記合成例1で得られたエポキシ基含有シロキサン化合物(B1)100部に対し酸無水物(新日本理化(株)製:MH700G)を26部、硬化促進剤としてサンアプロ(株)製U−CAT18Xを0.13部加え十分に攪拌した(以下、「組成物(1)」という。組成物(1)について、上記方法により線膨張係数、硬度、耐熱性、耐光性、吸湿・リフロー耐性、冷熱衝撃時の剥離・クラック耐性を評価した。評価結果を表1に示した。表1中、MおよびQは、それぞれ一官能のシラン化合物および四官能のシラン化合物を表し、Si(1)、Si(2)、Si(3)および Si(4)は、それぞれ一官能珪素、二官能珪素、三官能珪素および四官能珪素を意味する。
【0148】
(実施例2)
上記合成例2で得られたエポキシ基含有シロキサン化合物(B2)100部に対し酸無水物(新日本理化(株)製:MH700G)を13部、硬化促進剤としてサンアプロ(株)製U−CAT18Xを0.07部加え十分に攪拌した(以下、「組成物(2)」という。組成物(2)について、上記方法により線膨張係数、硬度、耐熱性、耐光性、吸湿・リフロー耐性、冷熱衝撃時の剥離・クラック耐性を評価した。評価結果を表1に示した。
【0149】
(実施例3)
上記合成例3で得られたエポキシ基含有シロキサン化合物(B3)100部に対し酸無水物(新日本理化(株)製:MH700G)を41部、硬化促進剤としてサンアプロ(株)製U−CAT18Xを0.21部加え十分に攪拌した(以下、「組成物(3)」という。組成物(3)について、上記方法により線膨張係数、硬度、耐熱性、耐光性、吸湿・リフロー耐性、冷熱衝撃時の剥離・クラック耐性を評価した。評価結果を表1に示した。
【0150】
(実施例4)
上記合成例4で得られたエポキシ基含有シロキサン化合物(B4)100部に対し酸無水物(新日本理化(株)製:MH700G)を27部、硬化促進剤としてサンアプロ(株)製U−CAT18Xを0.14部加え十分に攪拌した(以下、「組成物(4)」という。組成物(4)について、上記方法により線膨張係数、硬度、耐熱性、耐光性、吸湿・リフロー耐性、冷熱衝撃時の剥離・クラック耐性を評価した。評価結果を表1に示した。
【0151】
(実施例5)
上記合成例5で得られたエポキシ基含有シロキサン化合物(B5)100部に対し酸無水物(新日本理化(株)製:MH700G)を29部、硬化促進剤としてサンアプロ(株)製U−CAT18Xを0.15部加え十分に攪拌した(以下、「組成物(5)」という。組成物(5)について、上記方法により線膨張係数、硬度、耐熱性、耐光性、吸湿・リフロー耐性、冷熱衝撃時の剥離・クラック耐性を評価した。評価結果を表1に示した。
【0152】
(実施例6)
上記合成例6で得られたエポキシ基含有シロキサン化合物(B6)100部に対し酸無水物(新日本理化(株)製:MH700G)を27部、硬化促進剤としてサンアプロ(株)製U−CAT18Xを0.13部加え十分に攪拌した(以下、「組成物(6)」という。組成物(6)について、上記方法により線膨張係数、硬度、耐熱性、耐光性、吸湿・リフロー耐性、冷熱衝撃時の剥離・クラック耐性を評価した。評価結果を表1に示した。
【0153】
(比較例1)
上記合成例8で得られたエポキシ基含有シロキサン化合物(B8)100部に対し酸無水物(新日本理化(株)製:MH700G)を5部、硬化促進剤としてサンアプロ(株)製U−CAT18Xを0.02部加え十分に攪拌した(以下、「組成物(8)」という。組成物(8)については、上記条件では硬化せず、測定用のサンプルを得ることができなかったので、線膨張係数、硬度、耐熱性、耐光性、吸湿・リフロー耐性、冷熱衝撃時の剥離・クラック耐性を評価することはできなかった。
【0154】
(比較例2)
上記合成例9で得られたエポキシ基含有シロキサン化合物(B9)100部に対し酸無水物(新日本理化(株)製:MH700G)を48部、硬化促進剤としてサンアプロ(株)製U−CAT18Xを0.24部加え十分に攪拌した(以下、「組成物(9)」という。組成物(9)について、上記方法により線膨張係数、硬度、耐熱性、耐光性、吸湿・リフロー耐性、冷熱衝撃時の剥離・クラック耐性を評価した。評価結果を表1に示した。
【0155】
(比較例3)
上記合成例10で得られたエポキシ基含有シロキサン化合物(C1)100部に対し酸無水物(新日本理化(株)製:MH700G)を32部、硬化促進剤としてサンアプロ(株)製U−CAT18Xを0.16部加え十分に攪拌した(以下、「組成物(10)」という。組成物(10)について、上記方法により線膨張係数、硬度、耐熱性、耐光性、吸湿・リフロー耐性、冷熱衝撃時の剥離・クラック耐性を評価した。評価結果を表1に示した。
【0156】
(比較例4)
上記合成例11で得られたエポキシ基含有シロキサン化合物(D1)100部に対し酸無水物(新日本理化(株)製:MH700G)を13部、硬化促進剤としてサンアプロ(株)製U−CAT18Xを0.06部加え十分に攪拌した(以下、「組成物(11)」という。組成物(11)について、上記方法により線膨張係数、硬度、耐熱性、耐光性、吸湿・リフロー耐性、冷熱衝撃時の剥離・クラック耐性を評価した。評価結果を表1に示した。
【0157】
(比較例5)
上記合成例7で得られたエポキシ基含有シロキサン化合物(B7)100部に対し酸無水物(新日本理化(株)製:MH700G)を26部、硬化促進剤としてサンアプロ(株)製U−CAT18Xを0.13部加え十分に攪拌した(以下、「組成物(7)」という。組成物(7)について、上記方法により線膨張係数、硬度、耐熱性、耐光性、吸湿・リフロー耐性、冷熱衝撃時の剥離・クラック耐性を評価した。評価結果を表1に示した。
【0158】
【表1】

【符号の説明】
【0159】
50発光素子部
51封止材
52蛍光部
53バインダー
54蛍光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)〜(3)で表される構成単位を含むオルガノポリシロキサンであって、
シラノール当量が0g/eq.を超え500g/eq.以下であり、
該オルガノポリシロキサンを構成する全シロキサン単位を100モル%とした場合に、三官能性シロキサン単位を10〜70モル%含有することを特徴とするオルガノポリシロキサン。
【化1】

〔式中、R1およびR3は、それぞれ独立に非置換もしくは置換の炭素数1〜3の1価の炭化水素基を示す。
Eは、エポキシ基を有する炭素数3〜20の有機基を示す。
9は、それぞれ独立に水素原子または非置換もしくは置換の炭素数1〜3の炭化水素基を示す。
aは0またはである。〕
【請求項2】
前記オルガノポリシロキサンを構成する全シロキサン単位を100モル%とした場合に、一官能性シロキサン単位を20〜80モル%、四官能性シロキサン単位を10〜60モル%含有することを特徴とする請求項1に記載のオルガノポリシロキサン。
【請求項3】
前記式(1)のREが下記一般式(7)〜(10)のいずれかで表されることを特徴とする請求項1または2に記載のオルガノポリシロキサン。
【化2】

〔一般式(7)中R5はメチレン基または2価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基または炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。〕
【化3】

〔一般式(8)中R6はメチレン基または2価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基または炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。〕
【化4】

〔一般式(9)中R7はメチレン基または2価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基または炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。〕
【化5】

〔一般式(10)中R8はメチレン基または2価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基または炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。〕
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンとエポキシ用硬化剤とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
【請求項5】
前記エポキシ用硬化剤が酸無水物であることを特徴とする請求項4に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
請求項4または5に記載の硬化性組成物からなる光半導体封止用組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の光半導体封止用組成物を用いた発光素子。
【請求項8】
下記式(2)で表される構成単位、下記式(3)で表される構成単位、およびシラノール基を含むシロキサン化合物(A)と
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物(B)とを
塩基性化合物の存在下反応させる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のオルガノポリシロキサンの製造方法。
【化6】

【化7】

〔式(2)中、R1は式(1)におけるR1と同様である。〕
【請求項9】
前記シロキサン化合物(A)が、
下記式(4)で表されるシラン化合物(A−1)と
下記式(5)で表されるシラン化合物、該シラン化合物の縮合物、および該シラン化合物の加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも1種(A−2)とを
反応させて得られることを特徴とする請求項8に記載のオルガノポリシロキサンの製造方法。
【化8】

〔式(4)中、R1は式(1)におけるR1と同様である。〕
【化9】

〔式(5)中R2は非置換もしくは置換の1価の炭化水素基を示す。〕
【請求項10】
前記アルコキシシラン化合物(B)が下記式(6)で表される化合物であることを特徴とする請求項8または9に記載のオルガノポリシロキサンの製造方法。
【化10】

〔式(6)中RE、R3およびaは、それぞれ式(1)におけるRE、R3およびaと同様である。R4はそれぞれ独立に非置換または置換の炭素数1〜3の炭化水素基を示す。〕

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−21078(P2011−21078A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165796(P2009−165796)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】