説明

オレフィンの重合用触媒システム

以下の、工程:(a) 芳香族溶剤(溶剤a)中のメチルアルモキサンの溶液と、溶剤(溶剤b)中の1以上の有機アルミニウムの溶液、または溶剤(溶剤b)中のメチルアルモキサンと異なる1以上のアルモキサン類の溶液とを接触させ:(b) 溶剤b)が芳香族溶剤である場合か、または溶剤b)が工程a)で形成された溶液に添加する溶剤a)より低い沸点を有する場合、脂肪族溶剤(溶剤c)は、溶剤a)および溶剤b)より高い沸点を有し;あるいは(c) 工程a)または工程b)で得られる溶液中にメタロセン化合物を溶解させ:そして(d)その溶液から 溶剤a)、または溶剤a)および溶剤b)を実質的に除去することからなる方法により得ることができる触媒溶液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン類の懸濁および溶液重合において、有用で、可溶なメタロセンに基づく触媒システムに関する。
【背景技術】
【0002】
メタロセン化合物類はオレフィン類、特にα-オレフィン類の重合のための周知の触媒成分である。担持されていないメタロセンに基づく触媒システムは、溶媒中、メタロセン化合物類とアルモキサン類とを反応させることにより調製される。最も一般に用いられる活性剤はトルエン溶液中のメチルアルモキサン(MAO)である。MAOの主な欠点は、その相対的に高いコスト、および多量に必要とされることである(典型的に、Al/Zr=102〜104モルが使用される)。その上、ポリマーの応用(例えば、最終ポリマーの食品適用の可能性を考慮して)および廃棄方法およびリサイクル管理の観点から、トルエンは、その毒性に関する問題の理由で、その存在は避けられなければならないか、または可能な限り減らされなければならない。
【0003】
カナダ特許第2200243号は、メチルアルモキサン(MAO)のトルエン溶液をパラフィンに加え、次いで、トルエンを留去することにより、トルエンの使用の問題を解決している。例えトルエンが除去されても、実施例に示されているように、得られる混合物においてMAOは可溶化されていないが、しかし懸濁液として存在する。米国特許第6,444,607号において、α-オレフィン重合用触媒溶液が、メタロセン化合物を活性剤と反応させ、1以上のα-オレフィン類を加え、少なくとも脂肪族炭化水素の10容量部と混合することにより得られている。カチオン性に活性化されたメタロセン化合物の溶解度は、1以上のα-オレフィン類との反応によりこのようにして増大されている。
【0004】
本出願人は、削減されたトルエン含有量を有し、MAO/トルエン活性化メタロセン類により達成できるものと比較して高分子量ポリマー類(例えば、その極限粘度値、I.V.により示されているように)を得ることを可能にする可溶な触媒システムの新しい製造方法を見出した。その上、この方法で得られる本触媒システムは、用いたメチルアルモキサンの量に関して、改善された重合生産性を示し、長期にわたる活性の顕著な損失を被らない。
【0005】
本発明の一つの目的は、以下の工程:
a) 芳香族溶剤(溶剤a)中のメチルアルモキサン(MAO)の溶液と、
溶剤(溶剤b)中のメチルアルモキサンと異なる1以上のアルモキサン類、またはHjAlU3-jもしくはHjAl26-j(式中、置換基Uは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、あるいはケイ素またはゲルマニウム原子を任意に含んでもよい炭素原子2〜20を含む炭化水素基であり、但し、少なくとも1つのUはハロゲンと異なり、かつ少なくとも1つのUは水素と異なり、jは0〜1を範囲とし、また非整数でもある)の1以上の有機アルミニウム化合物の溶液とを接触させ:
【0006】
b) 溶剤b)が芳香族溶剤である場合か、または溶剤b)が工程a)で形成された溶液に添加される溶剤a)より低い沸点を有する場合、脂肪族溶剤(溶剤c)は、溶剤a)および溶剤b)より高い沸点を有し:
c) 工程a)または工程b)で得られる溶液中にメタロセン化合物を溶解させ:そして、
【0007】
d) 芳香族溶剤(溶剤a)、あるいはもし工程b)が行なわれれば溶剤a)および溶剤b)をこの溶液から実質的に除去する:
[ここで、工程d)で得られる溶液中の芳香族溶剤の含有量は、2重量%より低く、好ましくは1重量%以下であり;工程d)で得られる最終溶液中のメタロセン化合物のモル濃度は、1×10-5〜1×10-1mol/lを範囲とし、メチルアルモキサンと有機アルミニウム化合物との間のモル比、またはメチルアルモキサンと工程b)で用いられるアルモキサンとの間のモル比は、10:1〜1:10を範囲とし、好ましくは5:1〜1:5、さらに好ましくは3:1〜1:3を範囲とする]
ことからなる方法により得ることができる触媒溶液である。
【0008】
工程a)において用いられるメチルアルモキサン(MAO)は、水とトリメチルアルミニウムとを反応させて得ることができる。この反応において、Al/水のモル比は、好ましくは1:1〜100:1の間に含まれる。
【0009】
本発明による触媒に用いられるメチルアルモキサンは、式:
【化1】

[式中、n1は0または1〜40の整数である]
の化合物か、または、式:
【0010】
【化2】

[環式化合物の場合には、式中、nは2〜40の整数である]
の化合物の少なくとも一つの化合物を含む直鎖状、分枝鎖状または環式化合物が考えられる。
【0011】
式HjAlU3-jまたはHjAl26-jの有機アルミニウム化合物において、好ましい置換基Uは、互いに等しいか異なり、直鎖状または分枝鎖状C2〜C20-アルキルまたはC3〜C20-シクロアルキル基である。好ましくはUは、直鎖状または分枝鎖状C2〜C20-アルキル基であり;さらに好ましくはUはエチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ヘキシルまたはオクチル基である。
【0012】
好ましい有機アルミニウム化合物は、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリイソヘキシルアルミニウムおよびトリイソオクチルアルミニウムである。
【0013】
溶剤b)の溶液中で用いられ得るアルモキサン類は、タイプ:
【化3】

[式中、置換基Uは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、任意にケイ素もしくはゲルマニウム原子を含んでもよいC2〜C20-アルキル、C3〜C20-シクロアルキル、C6〜C20-アリール、C7〜C20-アルキルアリールまたはC7〜C20-アリールアルキル基であるが、但し、少なくとも1つのUはハロゲンおよび水素原子と異なっている]
の少なくとも1つの基を含む化合物である。
【0014】
特に、式:
【化4】

[式中、n1は0または1〜40の整数であり、置換基Uは上記で定義したとおりである]
のアルモキサン類が直鎖状化合物の場合において用いられ得る:
あるいは、式:
【0015】
【化5】

[式中、n2は2〜40の整数であり、置換基Uは上記で定義したとおりである]
のアルモキサン類は、環状化合物の場合において用いられ得る。
【0016】
それらは、水とアルキルまたはアリールアルミニウム化合物を反応させることにより得ることができる。特に、興味あるアルモキサン類は、アルキルおよびアリール基が特定の分枝鎖状パターンを有する国際公開99/21899号および01/21674号に記載されたものである。
【0017】
国際公開第99/21899号および01/21674号に記載されている好適なアルモキサン類を生じるために、水と反応させ得るアルミニウム化合物の非限定的な例は:
トリス(2,3,3-トリメチル-ブチル)アルミニウム、トリス(2,3-ジメチル-ヘキシル)アルミニウム、トリス(2,3-ジメチル-ブチル)アルミニウム、トリス(2,3-ジメチル-ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3-ジメチル-ヘプチル)アルミニウム、トリス(2-メチル-3-エチル-ペンチル)アルミニウム、トリス(2-メチル-3-エチル-ヘキシル)アルミニウム、トリス(2-メチル-3-エチル-ヘプチル)アルミニウム、トリス(2-メチル-3-プロピル-ヘキシル)アルミニウム、
【0018】
トリス(2-エチル-3-メチル-ブチル)アルミニウム、トリス(2-エチル-3-メチル-ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3-ジエチル-ペンチル)アルミニウム、トリス(2-プロピル-3-メチル-ブチル)アルミニウム、トリス(2-イソプロピル-3-メチル-ブチル)アルミニウム、トリス(2-イソブチル-3-メチル-ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3,3-トリメチル-ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3,3-トリメチル-ヘキシル)アルミニウム、トリス(2-エチル-3,3-ジメチル-ブチル)アルミニウム、トリス(2-エチル-3,3-ジメチル-ペンチル)アルミニウム、トリス(2-イソプロピル-3,3-ジメチル-ブチル)アルミニウム、トリス(2-トリメチルシリル-プロピル)アルミニウム、
【0019】
トリス(2-メチル-3-フェニル-ブチル)アルミニウム、トリス(2-エチル-3-フェニル-ブチル)アルミニウム、トリス(2,3-ジメチル-3-フェニル-ブチル)アルミニウム、トリス(2-フェニル-プロピル)アルミニウム、トリス[2-(4-フルオロオ-フェニル)-プロピル]アルミニウム、トリス[2-(4-クロロ-フェニル)-プロピル]アルミニウム、トリス[2-(3-イソプロピル-フェニル)-プロピル]アルミニウム、トリス(2-フェニル-ブチル)アルミニウム、トリス(3-メチル-2-フェニル-ブチル)アルミニウム、トリス(2-フェニル-ペンチル)アルミニウム、トリス[2-(ペンタフルオロオフェニル)-プロピル]アルミニウム、トリス[2,2-ジフェニル-エチル]アルミニウムおよびトリス[2-フェニル-2-メチル-プロピル]アルミニウム、ならびに1つのヒドロカルビル基が水素原子で置換されている対応する化合物であり、1または2のヒドロカルビル基がイソブチル基で置換されているものである。
【0020】
本発明による使用のために好適な好ましいアルモキサン類は、テトラ-(イソブチル)アルモキサン(TIBAO)、テトラ-(2,4,4-トリメチル-ペンチル)アルモキサン(TIOAO)、テトラ-(2,3-ジメチルブチル)アルモキサン(TDMBAO)およびテトラ-(2,3,3-トリメチルブチル)アルモキサン(TTMBAO)である。
【0021】
メチルアルモキサンの溶液を得るために用いられ得る溶剤a)は、炭素原子6〜12を有する芳香族溶剤である。好ましくは、ベンゼン、トルエンまたはキシレンが用いられる。
【0022】
工程a)に従って、メチルアルモキサンとは異なる有機アルミニウム化合物またはアルモキサンを溶剤b)に溶解する。好適な溶剤は、芳香族または脂肪族炭化水素溶剤もしくはそれらの混液であり、好適な芳香族溶剤はベンゼン、トルエンもしくはキシレンのような炭素原子6〜12を有する;好適な脂肪族溶剤は、ペンタン、ヘプタン、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソエイコサンまたは100〜200を範囲とする、好ましくは160〜180を範囲(ISOPAR (商標) L)とする平均分子量を有するISOPAR (商標)溶剤のような炭素原子5〜30を有する脂肪族溶剤の混液が用いられ得る。好ましい溶剤b)は、炭素原子8〜30を有する脂肪族炭化水素である(そして、この場合、溶剤c)は用いられない);イソドデカン、デカヒドロナフタレンおよびイソヘキサデカンが、さらに好ましい。好ましい溶剤b)は110℃より高い沸点を有している。
【0023】
溶剤b)が芳香族化合物もしくは芳香族化合物を含む溶剤の混合物であるか、または溶剤b)が溶剤a)より低い沸点を有する場合には、溶剤c)が、本発明の方法に従って用いられる。溶剤c)は、溶剤a)および溶剤b)よりも高い沸点を有する脂肪族化合物または脂肪族化合物の混合物である。好適な溶剤c)は炭素原子8〜30を有し:溶剤c)の例は、オクタン、デカン、イソドデカン、デカヒドロナフタレン、イソヘキサデカン、イソエイコサン、 ISOPAR(商標)である。好ましい溶剤c)は110℃より高い沸点を有す。
【0024】
好ましい本発明の方法は、 以下の工程:
a1) 芳香族溶剤(溶剤a)中のメチルアルモキサンの溶液と、
溶剤a)より高い沸点を有する脂肪族溶剤(溶剤b)中の式HjAlU3-jまたはHjAl26-j(式中、置換基Uは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、あるいはケイ素またはゲルマニウム原子を任意に含んでもよい炭素原子2〜20を含む炭化水素基であり、但し、少なくとも1つのUはハロゲンと異なり、かつ少なくとも1つのUは水素と異なり、jは0〜1を範囲とし、また非整数でもある)の1以上の有機アルミニウム化合物の溶液とを接触させ:
【0025】
b1) 工程a1)で得られる溶液中にメタロセン化合物を溶解させ:そして、
c1) この溶液から溶剤a)を実質的に除去する:
[ここで、工程c1)で得られる溶液中の溶剤a)の含有量は、2重量%より低く、好ましくは1重量%以下であり;工程c1)で得られる最終溶液中のメタロセン化合物のモル濃度は、1×10-5〜1×10-1mol/lを範囲とし、メチルアルモキサンと有機アルミニウム化合物との間のモル比は、10:1〜1:10を範囲とし、好ましくは5:1〜1:5を範囲とし、さらに好ましくは3:1〜1:3を範囲とする]
を含む。
【0026】
本発明の目的のためのメタロセン化合物は、元素周期表の4、5族に属する中心金属原子にπ-結合を介して結合している少なくとも1つのシクロペンタジエニル部分を有する化合物である;好ましくは、中心金属はジルコニウム、チタニウムまたはハフニウムである。
【0027】
触媒システムにおけるメタロセン化合物のモル濃度は、好ましくは10-5〜10-2mol/l、さらに好ましくは10-4〜10-2mol/lを範囲とする。
【0028】
好ましいメタロセン化合物のクラスは、以下の式(I)、(II)または(III)を有する。
【化6】

【0029】
[式中、
Mは、元素周期表の4、5族またはランタニドもしくはアクチニド族に属する遷移金属であり;好ましくはMはジルコニウム、チタニウムまたはハフニウムであり;
置換基Xは、互いに等しくまたは異なって、水素、ハロゲン、R6、OR6、OCOR6、SR6、NR62およびPR62(ここで、R6は直鎖状または分枝鎖状、飽和または不飽和で、1以上のSiまたはGe元素を任意に含んでもよいC1〜C20アルキル、C3〜C20シクロアルキル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールまたはC7〜C20アリールアルキル基である)からなる群から選択されるモノアニオン性シグマリガンドであり;置換基Xは、好ましくは同一であり、水素、ハロゲン、R6またはOR6(ここで、R6は1以上のSiまたはGe原子を任意に含んでもよいC1〜C7アルキル、C6〜C14アリールまたはC7〜C14アリールアルキル基が好ましい);さらに好ましくは、置換基XはClまたはMeである。
【0030】
pは、金属Mの酸化状態マイナス2に等しい整数であり;好ましくはpは2であり;
Lは、元素周期表の13〜17族に属するヘテロ原子を任意に含んでもよいC1〜C20アルキリデン、C3〜C20シクロアルキリデン、C6〜C20アリーリデン、C7〜C20アルキルアリーリデンまたはC7〜C20アリールアルキリデン基、およびSiMe2、SiPh2のようなケイ素原子を最大5まで含むシリリデン基から選択される2価の架橋基であり;好ましくはLは2価の基 (ZR7m)nであり(ここで、ZはC、Si、Ge、NまたはPであり、R7基は、互いに等しくまたは異なって、水素あるいは直鎖状または分枝鎖状、飽和または不飽和C1〜C20アルキル、C3〜C20シクロアルキル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールもしくはC7〜C20アリールアルキル基であり、2つのR7は脂肪族または芳香族C4〜C7環を形成でき、;
【0031】
さらに好ましくはLは、Si(CH3)2、SiPh2、SiPhMe、SiMe(SiMe3)、CH2、(CH2)2、(CH2)3またはC(CH3)2から選択され;
【0032】
1、R2、R3、R4およびR5は、互いに等しくまたは異なって、水素原子、あるいは元素周期表の13〜17族に属する1以上のへテロ原子を任意に含んでもよい直鎖状または分枝鎖状、飽和または不飽和C1〜C20-アルキル、C3〜C20-シクロアルキル、C6〜C20-アリール、C7〜C20-アルキルアリールもしくはC7〜C20-アリールアルキル基、;あるいは隣接する2つのR1、R2、R3、R4およびR5は、周期表の13〜17族に属するヘテロ原子を任意に含んでもよい1以上の3〜7員環を形成し;例えばシクロペンタジエニル部分と共に以下の基を形成する:インデニル;モノ-、ジ-、トリ-およびテトラ-メチルインデニル;2-メチルインデニル、3-tブチル-インデニル、2-イソプロピル-4-フェニルインデニル、
【0033】
2-メチル-4-フェニルインデニル、2-メチル-4,5ベンゾインデニル;3-トリメチルシリル-インデニル;4,5,6,7-テトラヒドロインデニル;フルオレニル;5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール-10-イル;N-メチル-またはN-フェニル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール-10-イル;5,6-ジヒドロインデノ[2,1-b]インドール-6-イル;N-メチル-またはN-フェニル-5,6-ジヒドロインデノ[2,1-b]インドール-6-イル;アザペンタレン-4-イル;チアペンタレン-4-イル;アザペンタレン-6-イル;チアペンタレン-6-イル;モノ-、ジ-およびトリ-メチル-アザペンタレン-4-イル、2,5-ジメチル-シクロペンタ[1,2-b:4,3-b']-ジチオフェン;
【0034】
AはNR8基(ここで、基R8は、元素周期表の13もしくは15〜17族に属するヘテロ原子を任意に含む直鎖状または分枝鎖状、環式または非環式C1〜C20-アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C6〜C20-アリール、C7〜C20-アルキルアリールまたはC7〜C20-アリールアルキル基である)であるか、または酸素もしくはイオウ原子であり;好ましくはAはNR8基(ここで、R8はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、フェニル、p-n-ブチル-フェニル、ベンジル、シクロヘキシルおよびシクロドデシルからなる群から選択される)であり;さらに好ましくはR8はt-ブチルである]。
【0035】
式(I)、(II)または(III)に属する化合物の非限定的な例は、以下の化合物である(可能であれば、それらのメソまたはラセミ異性体あるいはそれらの混合物のいずれかにある):
ジメチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス(2-メチル-4-ナフチルインデニル)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス(2-メチルインデニル)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス(2-メチル-4-イソプロピルインデニル)ジルコニウム ジクロリド;
【0036】
ジメチルシランジイルビス(2,4-ジメチルインデニル)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス(2,4,7-トリメチルインデニル)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス(2,4,6-トリメチルインデニル)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス(2,5,6-トリメチルインデニル)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス (2-イソプロピル-4-(4'-tert-ブチル)-フェニル-インデニル)(2,7-メチル-4-(4'-tert-ブチル)-フェニル-インデニル)-ジルコニウム ジクロリド;
【0037】
ジメチルシランジイルビス (2-イソプロピル-4-(4'-tert-ブチル)-フェニル-インデニル)(2-メチル-4-(4'-tert-ブチル)-フェニル-インデニル)-ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス (2-イソプロピル-4-フェニル-インデニル)(2-メチル-4-フェニル-インデニル)-ジルコニウム ジクロリド;
メチル(フェニル)シランジイルビス(2-メチル-4,6-ジイソプロピルインデニル)-ジルコニウム ジクロリド;
メチル(フェニル)シランジイルビス(2-メチル-4-イソプロピルインデニル)-ジルコニウム ジクロリド;
【0038】
1,2-エチレンビス(インデニル)ジルコニウム ジクロリド;
1,2-エチレンビス(4,7-ジメチルインデニル)ジルコニウム ジクロリド;
1,2-エチレンビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウム ジクロリド;
1,2-エチレンビス(2-メチル-4,6-ジイソプロピルインデニル)ジルコニウム ジクロリド;
1,2-エチレンビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイル(3-tert-ブチル-シクロペンタジエニル)(9-フルオレニル)ジルコニウム ジクロリド;
【0039】
ジメチルシランジイルビス-6-(3-メチルシクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン)ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス-6-(4-メチルシクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス-6-(4-イソプロピルシクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス-6-(4-ター(ter)-ブチルシクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス-6-(3-イソプロピルシクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン)ジルコニウム ジクロリド;
【0040】
ジメチルシランジイルビス-6-(3-フェニルシクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス-6-(2,5-ジクロライド-3-フェニルシクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン)ジルコニウム ジメチル;
ジメチルシランジイルビス-6-[2,5-ジクロライド-3-(2-メチルフェニル)シクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン]ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス-6-[2,5-ジクロライド-3-(2,4,6-トリメチルフェニル)シクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン]ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス-6-[2,5-ジクロライド-3-メシチレンシクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン]ジルコニウム ジクロリド;
【0041】
ジメチルシランジイルビス-6-(2,4,5-トリメチル-3-フェニルシクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス-6-(2,5-ジエチル-3-フェニルシクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス-6-(2,5-ジイソプロピル-3-フェニルシクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス-6-(2,5-ジター(diter)-ブチル-3-フェニルシクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン)ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス-6-(2,5-ジトリメチルシリル-3-フェニルシクロペンタジエニル-[1,2-b]-チオフェン)ジルコニウム ジクロリド;
【0042】
ジメチルシリル(tert-ブチルアミド)(N-メチル-2-メチル-5,6-ジヒドロインデノ[2,1-b]インドール-6-イル)ジメチル チタニウム;
ジメチルシリル(tert-ブチルアミド)(N-メチル-2-メトキシ-5,6-ジヒドロインデノ[2,1-b]インドール-6-イル)ジメチル チタニウム;
ジメチルシリル(tert-ブチルアミド)(N-メチル-2-メチル-1,8-ジヒドロインデノ[2,1-b]ピロール-6-イル)ジメチル チタニウム;
ジメチルシリル(tert-ブチルアミド)(N-メチル-2-メチル-1,8-ジヒドロインデノ[2,1-b]ピロール-6-イル) ジメチル チタニウム;
ジメチルシリル(tert-ブチルアミド)(N-エチル-5,6-ジヒドロインデノ[2,1-b]インドール-6-イル)ジメチル チタニウム;
【0043】
ジメチルシリル(tert-ブチルアミド)(2,5-ジメチル-7H-チエノ[3',2':3,4]シクロペンタ[1,2-b]チオフェン-7-イル) ジメチル チタニウム;
ジメチルシリル(tert-ブチルアミド)(インデニル)ジメチル チタニウム;
ジメチルシリル(tert-ブチルアミド)(2-メチル-インデニル)ジメチル チタニウム;
ジメチルシリル((2-メチル-1-インデニル)-7-(2,5-ジメチル-シクロペンタ[1,2-b:4,3-b']-ジチオフェン))ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシリル((2,4,7-トリメチル-1-インデニル)-7-(2,5-ジメチルシクロペンタ[1,2-b:4,3-b']-ジチオフェン))ジルコニウム ジクロリド;
ジメチルシリル((2,4,6-トリメチル-1-インデニル)-7-(2,5-ジメチルシクロペンタ[1,2-b:4,3-b']-ジチオフェン))ジルコニウム ジクロリド;
ならびに対応するジメチル、クロロメチル、ジヒドロおよびη4-ブタジエン化合物。
【0044】
式(I)または(II)に属する好適なメタロセン錯体は、WO 98/22486、WO 99/58539、WO 99/24446、USP 5,556,928、WO 96/22995、EP-485822、EP-485820、USP 5,324,800、EP-A-0 129 368、USP 5,145,819、EP-A-0 485 823、WO 01/47939、WO 01/44318およびPCT/EP02/13552に記載されている。
【0045】
工程d)およびc1)は当業者に公知の方法に従って行なわれる。好ましい工程d)またはc1)は、工程b)またはb1)で得られる触媒システムを含む溶液を蒸留することにより行なわれ、その蒸留はより低い蒸留温度を使用するために、常圧または減圧で行なわれ得る。
【0046】
本発明により得られ得る触媒システムの全アルミニウム/金属モル比は10:1〜100000:1、好ましくは10:1〜50000:1;さらに好ましくは10:1〜10000:1;よりさらに好ましくは50:1〜1000:1を範囲とする。
【0047】
本発明の方法により得られ得る触媒システムは、使用したメチルアルモキサンの量に関連して高い活性を示し、該活性は、この触媒が長期間後に用いられても保持され、従来のトルエン含有触媒システムよりも大きい分子量を有するポリマーを得ることを可能にする。その上、前記触媒を用いることにより、芳香族溶剤の存在は徹底的に減少される。
【0048】
本発明の更なる目的は、メチルアルモキサン、式HjAlU3-jまたはHjAl26-jの有機アルミニウム化合物(ここで、Uは上記のとおりである)、およびメタロセン化合物の反応生成物を含むオレフィン類の重合用触媒システムとして用いられる炭素原子5〜30を有する脂肪族溶剤中の溶液である。
【0049】
本発明の更なる目的は、上記の触媒システムの存在中、1以上の前記オレフィン類を接触させる工程からなり、炭素原子2〜20を含む1以上のオレフィン類の重合方法である。
【0050】
炭素原子2〜20を含むオレフィン類の例は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4,6-ジメチル-1-ヘプテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンまたは1-エイコセンのような式CH2=CHT(ここで、Tは水素原子またはC1〜C18アルキル基である)のα-オレフィン類である;環式オレフィン類、および1,5-ヘキサジエン、1-6-ヘプタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、ブタジエン、イソプレン、トランス 1,4-ヘキサジエン、シス 1,4-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、11-メチル-1,10-ドデカジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネンのようなポリエン類である。
【0051】
本発明の触媒は、とりわけ溶液重合方法用にデザインされており、したがって、本発明の更なる目的は、上記触媒システムの存在中、1以上の前記オレフィン類の接触工程からなり、炭素原子2〜20を含む1以上のオレフィン類を重合させるための溶液重合方法である。
【0052】
本発明の方法により用いられる好ましいオレフィンはエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンならびにそれらの混合物である。
【0053】
本発明の触媒システムを用いることにより上記のように、高分子量を有するポリマーが得られ得る。
【0054】
したがって、本発明の更なる目的は、以下の特性:
(i) テトラヒドロナフタレン(THN)中、135℃で測定した極限粘度が、2.5より高く;好ましくは3より高い;
(ii) 分子量分布Mw/Mnが2〜4の間を含み、好ましくは2〜3の間を含む;および、
(iii) 100℃〜115℃との間、好ましくは100℃〜110℃との間に含まれる融解点;
を有する1-ブテンホモポリマーである。
【0055】
以下の実施例は説明のために記載されており、限定する目的ではない。
【実施例】
【0056】
一般的方法および特徴づけ
化学物質
全化学物質は、標準シュレンク手法を用いて取り扱われなければならない。
【0057】
メチルアルモキサン(MAO)は、アルベマーレ(Albemarle)から、30重量/容量%トルエン 溶液(d = 0.83 g/cc)として受け取り、そのまま用いた。
【0058】
触媒実施例C−5において、使用した助触媒は10重量/容量%MAOであり、クロンプトンAG(Crompton AG)から受け取ったままで(Alの1.7 Mトルエン溶液)を用いた。
【0059】
純粋なトリイソブチルアルミニウム(TIBA)はそのまま用いた。
【0060】
イソドデカンは、含水量が10 ppmより下になるまでアルミナで精製した。
【0061】
TIBA/イソドデカン101 g/L溶液を上記の成分を混合して得た。
【0062】
ポリマーの融解点(Tm)は、パーキン エルマーDSC-7測定器に付けた示差走査熱量計(D.S.C.)で標準方法に従って測定した。
【0063】
重合で得られ、秤量した試料(5〜7 mg)をアルミニウム皿中に封入し、10℃/分で180℃に加熱した。その試料を180℃で5分間保持し、全ての結晶を完全に融解させ、次いで、10℃/分で20℃に冷却した。
【0064】
20℃で2分間放置後、この試料を10℃/分で180℃に2度目加熱した。この2度目の加熱運転において、ピーク温度は融解温度(Tm)として採用され、ピーク面積は融解エンタルピー(ΔHf)として採用された。
【0065】
分子量パラメーター類は、4つの混合ゲル カラム、PLgel 20μm Mixed-A LS (Polymer Laboratories、チャーチ ストレットン、英国)を備えたWaters 150C ALC/GPC測定器(ウォーターズ、ミルフォード、マサチューセッツ、米国)を用いて測定した。カラムのサイズは300×7.8 mmであった。用いた溶媒は、TCBで、流量は1.0 mL/分で維持した。溶液濃度は、1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中0.1 g/dLであった。
【0066】
2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT) 0.1 g/Lを分解防止のために加え、インジェクション量は300μLであった。全ての測定は135℃で行った。1-ヘキセンポリマー類または1-ブテンポリマー類に対して、十分特徴付けられた狭い分子量分布標準基準物質が、可能でないから、GPCキャリブレーションは複雑である。したがって、580〜13,200,000を範囲とする分子量を有する12種のポリスチレン標準試料を用いて、ユニバーサルキャリブレーションカーブを得た。マーク-ホーウィンク関係(Mark-Houwink relationship)のK値は、ポリスチレンおよびポリ-1-ブテンに対して、Kps=1.21×10-4 dL/gおよびKpb=1.78×10-4 dL/gをそれぞれ採用した。マーク-ホーウィンクべき指数(exponent)αは、ポリスチレンに対しては0.706、ポリ-1-ブテンに対しては0.725を採用した。
【0067】
たとえこのアプローチにおいて得られる分子パラメーター類が各連鎖の流体力学的容量の推定だけであるけれども、それらは相対的比較が作成されることを可能にした。
【0068】
Rac ジメチルシリル((2,4,7-トリメチル-1-インデニル)-7-(2,5-ジメチル-シクロペンタ[1,2-b:4,3-b']-ジチオフェン))ジルコニウム ジメチル (A-1)は、以下の方法に従って調製される:
リガンド、[3-(2,4,7-トリメチルインデニル)][7-(2,5-ジメチル-シクロペンタ[1,2-b:4,3-b']-ジチオフェン)]ジメチルシランは、WO 01/47939に記載のとおりに調製した。このリガンド30.40 g (72.26 mmol)および無水THF 170 mlを窒素下に、磁気撹拌子を備えた円筒形ガラス反応器中に充填した。そのようにして得た褐色溶液を冷却し、0℃で維持し、その間にヘキサン中の2.5M n-BuLi 58.4 ml (146 mmol)を滴下ロートによって滴下した。
【0069】
滴下が終了して、暗褐色溶液を室温で1時間撹拌し、次いで-50℃に冷却し、次いで、ジエトキシメタン中の3.05 M MeLi 48.6 ml (148.2 mmol)をそれに添加し、シュレンク中、トルエン170 ml中にZrCl4 16.84 g (72.26 mmol)を懸濁した。両方の混合物を-50℃で保持し、ZrCl4 懸濁液を、リガンドジアニオン溶液に素早く添加した。滴下が終了して、その反応混合物を室温に戻させ、さらに1時間撹拌した。黄緑色懸濁液が得られた。1H NMR分析は、目的とする錯体への完全な変換を示す。全ての揮発性物質を減圧下に除去し、得られた自由に流れる褐色粉末をEt2O 100 mlに懸濁した。
【0070】
数分間撹拌後、その懸濁液をG4フリット(frit)でろ過した。フリット上の固体を次いでEt2Oで2回(洗浄溶媒が褐色から黄色に変化するまで)洗浄し、次いで真空下に乾燥し、最後にフリット上を、ろ液が黄色から無色に変化するまで熱トルエン(60℃)で抽出した(トルエン約650 ml);抽出物を減圧下に乾燥し、黄色粉末28.6 gを得、その1H-NMRは、目的錯体であり、不純物がないことを示した。リガンドに基づく収率は73.3%であった。
【0071】
1H-NMR:(CD2Cl2、r.t.)、ppm: -2.09 (s、3H)、-0.79 (s、3H)、1.01(s、3H)、1.04 (s、3H)、2.38 (s、3H)、2.39 (s、3H)、2.43 (d、3H、J = 1.37 Hz)、2.52 (s、3H)、2.57 (d、3 H、J = 1.37 Hz)、6.61(dq、1 H、J = 7.04 Hz、J = 0.78 Hz)、6.81 (q、1H、J = 1.37 Hz)、6.85 (dq、1H、J = 7.04 Hz、J = 0.78 Hz)、6.87 (q、1H、J = 1.37 Hz)、6.91 (s、1H)
【0072】
Rac ジメチルシリル((2,4,7-トリメチル-1-インデニル)-7-(2,5-ジメチル-シクロペンタ[1,2-b:4,3-b']-ジチオフェン))ジルコニウム ジクロリド (A-2)は、WO 01/47939に従って調製した。
【0073】
触媒システムの調製
実施例1 触媒システムC−1の調製
TIBA/イソドデカン3.6 ccを10% MAO/トルエン溶液(MAO/TIBA、モル比 2:1) 2.15 ccと混合した。次いで、A-1 15mgをこの溶液に溶解した。得られた溶液の色は赤紫色であった。その溶液から2.12 ccの容量が除去されるまで、減圧および50℃における蒸留を行った。最終溶液は、透明で暗紫色であり、固体の痕跡はなかった。Altot/Zr =200;MAO/TIBA 2:1 mol/mol。この溶液は1-ヘキセン重合を行なうために用いた。表1を参照。
【0074】
比較実施例2 触媒システムC−2の調製
この実施例は、A-1 13 mgおよび10% MAO/トルエン2.8 ccを用いることによって、実施例1のように行った。混合を室温で行い、蒸留工程は実施しなかった。得られる透明な赤紫色溶液を、その調製から10分後に1-ヘキセン重合のためにそのまま用いた。Al/Zr=200。この溶液は1-ヘキセン重合を行なうために用いた。表1を参照。
【0075】
実施例3 触媒システムC−3の調製
TIBA/イソドデカン溶液9.7 ccを30% MAO/トルエン溶液(MAO/TIBA、モル比 2:1) 1.9ccと混合した。次いで、A-1 20mgをこの溶液で溶かした。そのメタロセンは完全に溶解し、その暗紫色の溶液は固体の残差の痕跡を何ら示さなかった。蒸留による2.0 ccの回収に基づき、最終溶液が得られた。MAO/TIBA 2:1 mol/mol;Altot/Zr=400。この溶液は1-ヘキセン重合を行なうために用いた。表1を参照。
【0076】
実施例4 触媒システムC−4の調製
凝縮器を備え撹拌されているジャケット付きタンク反応器10 Lを用いて触媒溶液を調製した。窒素気流下、TIBA 110 g/L のイソドデカン溶液 2300 gとMAOの30重量%トルエン溶液(Albemarle、d=0.83 g/mL) 790 mLを容器に導入し、室温で撹拌下に1時間反応させた。この時間後に、A-1 13.5 gを加え触媒溶液を形成した。得られた深紅色溶液を、所望の最終濃度に達するように、次いでイソドデカン1460 g でさらに希釈した。反応器温度は55℃まで上げ、真空ポンプを用いて14 mbarに圧力を下げ、蒸留でトルエンを除去した。3時間で、75/25 mol/mol トルエン/イソドデカン混液660 ccが凝縮された。触媒溶液の残りのトルエン<1重量%であった。以下の分析を有する触媒溶液3900 gが得られた:
Al 3.4 重量%、Al/Zr モル比 203を有するZr 580 ppm、および触媒システム(触媒+助触媒)濃度107 g/L。この溶液は1-ブテン重合試験を行なうために用いた。
【0077】
比較実施例5 触媒システムC−5の調製
200および500のAl / Zr比に達するのに必要とされるMAO/トルエンの適当な量を用いてA-2を溶解して触媒混合物を調製した。1-ブテン重合テストを行なうために用いる前に、室温でその溶液を10分間撹拌した。その重合条件および得られたポリマー類の特徴づけデータを表2に記載する。
【0078】
重合試験
1-ヘキセン重合、一般的方法
メタロセン0.5 mgを含む上記のとおり得られた触媒溶液の量を、50℃で液体1-ヘキセン20gに加えた。30分後、重合をエタノールを用いて停止した。次いで、アセトンを加えてポリマーを分離した。最後にそのポリマーを真空下、50℃で数時間乾燥した。実施例3〜6において、活性における変化を試験するために、同一の触媒溶液を用いて、数日後に重合試験を繰り返した。1-ヘキセン重合試験の結果を表1に記載する。
【0079】
オートクレーブにおける1-ブテン重合、一般的方法
磁気的に動かすスターラーと流量記録および制御システムを備えたジャケット付き4-Lステンレス鋼オートクレーブを用いる。オートクレーブ内への全ての融剤(flux)、圧力および温度はDCS PCを介して制御する。それぞれの試験の前に、オートクレーブを熱窒素で浄化する(1.5 バールg N2、70℃、1時間)。次いで、1-ブテン1350 gおよびAl (i-Bu)3 (1Mヘキサン溶液として) 6 mmolを室温で装填する。次いで、オートクレーブを重合温度にサーモスタットで調温し、触媒/助触媒混合物を含む溶液を、窒素圧を用い、ステンレス鋼バイアルを通してオートクレーブ中に注入する。実施例13において、触媒溶液の注入前に、オートクレーブ中に水素300 mlを注入した。重合を一定温度で1時間行った。
【0080】
次いで、撹拌を中断し、オートクレーブ内への圧力を窒素で20バールgに上げる。その底から1-ブテン/ポリ-1-ブテン混合物を、70℃の水を含む加熱されたスチールタンク内へ排出する。タンク加熱のスイッチを切り、0.5バール-gの窒素気流を注ぎ込む。室温で冷却後、スチールタンクを開け、湿ったポリマーを捕集した。その湿ったポリマーを乾燥機中、70℃で減圧下に乾燥する。ポリブテンの極限粘度(I.V.)はTHN中、135℃で測定した。
【0081】
実施例9で得られたポリマーは、それが3.05のI.V.;2.8の分子量分布(Mw/Mn)および融解点 (Tm2) 103℃を有することで特徴付けられる。
【0082】
【表1】

【0083】
実施例1および比較実施例2の触媒システムの性能の比較により、高分子量のポリマーは、本発明により調製された触媒システム用いることにより得ることができることに帰着する。その上、実施例3は、本触媒活性が時間効果に対して実質的に不変で残存することを示す。
【0084】
【表2】

【0085】
触媒システムがトルエンに溶解している比較実施例の重合結果と、本発明によるものとの比較により、1-ヘキセン重合において見出されたようにポリマー分子量の増加は、本触媒配合の利点を表すことが明白である。その上、本発明の触媒システムの活性は、先行技術(比較実施例7〜9)のものより高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の、工程:
a) 芳香族溶剤(溶剤a)中のメチルアルモキサン(MAO)の溶液と、
溶剤(溶剤b)中のメチルアルモキサンと異なる1以上のアルモキサン類、またはHjAlU3-jもしくはHjAl26-j(式中、置換基Uは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、あるいはケイ素またはゲルマニウム原子を任意に含んでもよい炭素原子2〜20を含む炭化水素基であり、但し、少なくとも1つのUはハロゲンと異なり、かつ少なくとも1つのUは水素と異なり、jは0〜1を範囲とし、また非整数でもある)の1以上の有機アルミニウム化合物の溶液とを接触させ:
b) 溶剤b)が芳香族溶剤である場合か、または溶剤b)が工程a)で形成された溶液に添加される溶剤a)より低い沸点を有する場合、脂肪族溶剤(溶剤c)は、溶剤a)および溶剤b)より高い沸点を有し:
c) 工程a)または工程b)で得られる溶液中にメタロセン化合物を溶解させ:そして、
d) 芳香族溶剤(溶剤a)、あるいはもし工程b)が行なわれれば溶剤a)および溶剤b)をこの溶液から実質的に除去する:
[ここで、工程d)で得られる溶液中の芳香族溶剤の含有量は、2重量%より低く;工程d)で得られる最終溶液中のメタロセン化合物のモル濃度は、1×10-5〜1×10-1mol/lを範囲とし、メチルアルモキサンと有機アルミニウム化合物との間のモル比、またはメチルアルモキサンと工程b)で用いられるアルモキサンとの間のモル比は、10:1〜1:10を範囲とする]
ことからなる方法により得ることができる触媒溶液。
【請求項2】
以下の工程:
a1) 芳香族溶剤(溶剤a)中のメチルアルモキサンの溶液と、
溶剤a)より高い沸点を有する脂肪族溶剤(溶剤b)中の式HjAlU3-jまたはHjAl26-j(式中、置換基Uは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、あるいはケイ素またはゲルマニウム原子を任意に含んでもよい炭素原子2〜20を含む炭化水素基であり、但し、少なくとも1つのUはハロゲンおよび水素と異なり、jは0〜1を範囲とし、また非整数でもある)の1以上の有機アルミニウム化合物の溶液とを接触させ:
b1) 工程a1)で得られる溶液中にメタロセン化合物を溶解させ:そして、
c1) この溶液から溶剤a)を実質的に除去する:
[ここで、工程c1)で得られる溶液中の溶剤a)の含有量は、2重量%より低く;工程c1)で得られる最終溶液中のメタロセン化合物のモル濃度は、1×10-5〜1×10-1mol/lを範囲とし、メチルアルモキサンと有機アルミニウム化合物との間のモル比は、10:1〜1:10を範囲とする]
ことからなる方法で得ることができる請求項1に記載の触媒システム溶液。
【請求項3】
式HjAlU3-jまたはHjAl26-jの有機アルミニウム化合物において、Uが直鎖状または分枝鎖状C1〜C20-アルキル基である、請求項1または2に記載の触媒システム溶液。
【請求項4】
メチルアルモキサンの溶液を得るための工程a)またはa1)で用いられる溶剤a)が、炭素原子6〜12を有する芳香族溶剤である請求項1〜3のいずれか一つに記載の触媒システム溶液。
【請求項5】
溶剤b)が炭素原子5〜30を有する脂肪族溶剤である請求項1〜4のいずれか一つに記載の触媒システム溶液。
【請求項6】
溶剤b)がイソドデカン、イソヘキサデカンまたはイソエイコサンである請求項5に記載の触媒システム溶液。
【請求項7】
溶剤b)が110℃より高い沸点を有する請求項1〜6のいずれか一つに記載の触媒システム溶液。
【請求項8】
工程d)またはc1)が、工程b)またはb1)で得られる触媒システムを含む溶液を蒸留することにより行なわれる請求項1〜7のいずれか一つに記載の触媒システム溶液。
【請求項9】
メチルアルモキサン、式HjAlU3-jまたはHjAl26-j(ここで、Uは上記のとおりである)の有機アルミニウム化合物および炭素原子5〜30を有する脂肪族溶剤中に溶解したメタロセン化合物の反応生成物を含むオレフィン類の重合用触媒システムとして用いられる溶液。
【請求項10】
請求項1〜9の触媒システムの存在中、前記オレフィン類の1以上を接触させる工程を含む、炭素原子2〜20を含む1以上のオレフィン類重合方法。
【請求項11】
請求項1〜9の触媒システムの存在中、前記オレフィン類の1以上を接触させる工程を含む、炭素原子2〜20を含む1以上のオレフィン類の重合のための請求項10に記載の溶液重合方法。
【請求項12】
前記オレフィン類が、式CH2=CHT(ここで、Tは水素原子またはC1〜C18アルキル基である)のα-オレフィン類である請求項10または11に記載の重合方法。
【請求項13】
以下の特性:
(i) テトラヒドロナフタレン(THN)中、135℃で測定した極限粘度が、2.5より高く;好ましくは3より高い;
(ii) 分子量分布Mw/Mnが2〜4の間を含む;および、
(iii) 100℃〜115℃との間の融解点;
を有する1-ブテンホモポリマー。

【公表番号】特表2007−528924(P2007−528924A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502284(P2007−502284)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002479
【国際公開番号】WO2005/095468
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(502303902)バセル ポリオレフィン ジーエムビーエイチ (19)
【氏名又は名称原語表記】BASELL POLYOLEFINE GMBH
【住所又は居所原語表記】Bruhler Strasse 60,50389 Wesseling,Germany
【Fターム(参考)】