説明

オレフィン系重合体およびそれを含む繊維

本発明は、オレフィン系重合体およびそれを含む繊維を提供し、本発明によるオレフィン系重合体は、高延伸、高強度などの特性を示す繊維を製造することができる。
本発明によるオレフィン系重合体は、1)密度は、0.94〜0.96g/cmであり、2)溶融指数(MI;190℃、2.16kg)は、0.1〜1.5g/10minであり、3)分子量分布(PDI;Mw/Mn)は、2〜7である特徴を有し、前記オレフィン系重合体は、担持メタロセン触媒を利用して、製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高延伸および高強度の特性を有する繊維を製造することができるオレフィン系重合体およびそれを含む繊維に関する。本出願は、2009年5月7日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2009−0039586号の出願日の利益を主張し、その内容全部は本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
一般に、高密度ポリエチレン(HDPE)は既存の低密度ポリエチレンとは違って低い温度と圧力でも生産することができるポリエチレンとして、0.94g/cm以上の密度を有するポリエチレンを言う。
【0003】
前記高密度ポリエチレンは、大きい分子量を有する側面から、パラフィンワックス(paraffin wax)とは区別されるが、前記パラフィンワックスの分子量は数百から数千であり、高密度ポリエチレンの分子量は、数千から数百万まで分布することができる。前記高密度ポリエチレンは、分子量、分子量分布および密度などによって、衝撃強度、引裂強度、耐環境応力亀裂性、伸び率などのような物理的性質のみならず、溶融粘度のような加工性などの特性が互いに異なるように変化する。したがって、高密度ポリエチレンの適用および活用範囲によって前記特性を適切に調節することが必要である。
【0004】
現在まで高密度ポリエチレンの主要用途は包装容器分野であり、これは瓶およびタンクのような硬質包装容器とポケットおよびパウチのような可撓性包装容器との2つの一般的な類型に分けられる。このような高密度ポリエチレンは、シグラナッタ触媒、クロム(Cr)のような一般の汎用触媒などを利用して製造することができた。
【0005】
一方、ロープ、漁網などのような高強力糸の繊維を製造するための高密度ポリエチレンは、高延伸、高強度などの特性が要求される。
【0006】
前記繊維製品では、高密度ポリエチレンの分子量分布が狭いほど機械的物性に優れていると知られている。つまり、高密度ポリエチレンの分子量分布が狭ければ延伸比が大きい特性を有するようになり、高延伸により高い強度を有するようになる。しかし、高密度ポリエチレンの分子量分布が過度に狭ければ、加工性が非常に劣るという問題点がある。
【0007】
例えば、一般的なジグラナッタ触媒、クロム触媒などを利用して製造した高密度ポリエチレンは、分子量分布が7以上であって加工性は優れているが、強度が劣るという問題点があり、一般的なメタロセン触媒を利用して製造した高密度ポリエチレンは、分子量分布が3以下であって強度は優れているか、加工性が劣るという問題点がある。
【0008】
したがって、高強力糸の繊維製品においては機械的物性と加工性を同時に満足させることができる高密度ポリエチレン、これを製造することができる触媒などが必要な実情であるが、このような技術は現在ほとんどない実情である。
【0009】
このような背景で諸般物性間の均衡が成されたより優れた樹脂の製造が要求されており、これに対する研究が必要な状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国特許出願第10−2009−0039586号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、担持メタロセン触媒を利用して製造することができ、高延伸および高強度の特性を有する繊維を製造することができるオレフィン系重合体およびそれを含む繊維を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明は、
1)密度は、0.94〜0.96g/cmであり、
2)溶融指数(MI;190℃、2.16kg)は、0.1〜1.5g/10minであり、
3)分子量分布(PDI;Mw/Mn)は、2〜7である、
オレフィン系重合体を提供する。
【0013】
また、本発明は、担持メタロセン触媒の存在下で、オレフィン系単量体を重合させる段階を含むオレフィン系重合体の製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記オレフィン系重合体を含む繊維を提供する。本発明による繊維は、強度(tenacity)が9〜12gf/denierであり、延伸比が7〜14倍の範囲内であってもよい。
【0015】
また、本発明は、前記オレフィン系重合体を含む樹脂組成物を利用し、成形段階を含む繊維の製造方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、前記繊維を含む物品を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるオレフィン系重合体は、担持メタロセン触媒を利用して製造することができ、分子量分布が狭く、高延伸および高強度の特性を有する繊維を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による実施例5と比較例4のポリエチレンの分子量分布曲線を示した図面である。
【図2】本発明の一実施形態による実施例2と実施例5のポリエチレンの分子量分布曲線を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0020】
本発明によるオレフィン系重合体は、1)密度は、0.94〜0.96g/cmであり、2)溶融指数(MI;190℃、2.16kg)は、0.1〜1.5g/10minであり、3)分子量分布(PDI;Mw/Mn)は、2〜7であることを特徴とする。
【0021】
本発明によるオレフィン系重合体において、前記密度は、0.948〜0.958g/cmであることがより好ましく、前記溶融指数(MI;190℃、2.16kg)は、0.4〜1g/10minであることがより好ましく、前記分子量分布(PDI;Mw/Mn)は、3〜5であることがより好ましく、3.5〜4であることが最も好ましいが、これに限定されるのではない。
【0022】
本発明によるオレフィン系重合体において、前記密度、溶融指数および分子量分布の特性は、前記オレフィン系重合体を利用して高強力糸の繊維製品の製造時に発現する延伸比、強度および加工性の特性と関連する。
【0023】
より具体的に、前記延伸比は、オレフィン系重合体の分子量分布が狭いほど優秀である。また、前記強度は、延伸比が大きいほど優秀であり、同一の延伸比では密度が高く、分子量が大きいほど優秀である。
【0024】
つまり、高延伸比を実現するためには分子量分布が狭くなければならないことが分かる。しかし、分子量分布が過度に狭ければ、加工性が劣り得るため、前述のように分子量分布が3〜5である時に最適化した特性で高延伸および適切な加工性を実現することができる。また、分子量が大きいほど、つまり、溶融指数が小さいほど強度が優秀であるが、分子量が過度に大きい場合には、加工機器の負荷が大きくなって圧出加工性および生産性が非常に劣るという問題点がある。したがって、前述のように溶融指数が0.4〜1g/10minである場合に優れた加工性の特性を有することができる。
【0025】
一方、同一の延伸比では密度が大きいほど強度が優秀であるため、本発明によるオレフィン系重合体は、共単量体を使用しないホモ重合体であることがより好ましい。また、ホモ重合体で分子量分布が狭く、溶融指数が小さいほど密度は低くなる特性を有するため、前記のように密度は、0.948〜0.958g/cmであり、溶融指数(MI;190℃、2.16kg)は、0.4〜1g/10minであり、分子量分布(PDI;Mw/Mn)は、3〜5である場合、最適化の高延伸および高強度の特性を有することができる。
【0026】
また、本発明のオレフィン系重合体の溶融流動率比(MFRR)値は、20〜40であることが製品の外観、加工性および諸般物性の面で好ましい。
【0027】
本発明によるオレフィン系重合体は、担持メタロセン触媒を利用して製造されてもよい。前記担持メタロセン触媒は、担体に1種または2種以上のメタロセン触媒が担持された担持メタロセン触媒であることが好ましいか、これに限定されるのではない。
【0028】
前記メタロセン触媒としては、下記の化学式1、化学式2、化学式3または化学式4で表されるメタロセン触媒が挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0029】
[化学式1]
(CpR1)n(Cp’R2)MQ3−n
【0030】
前記化学式1中、
Mは、4族遷移金属であり;
CpおよびCp’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立してシクロペンタジエニル、インデニル、4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル、およびフルオレニルラジカルからなる群より選択されたいずれか一つであり、これらは炭素数1〜20の炭化水素で置換されてもよく;
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素;炭素数1〜20のアルキル;炭素数1〜10のアルコキシ;炭素数6〜20のアリール;炭素数6〜10のアリールオキシ;炭素数2〜20のアルケニル;炭素数7〜40のアルキルアリール;炭素数7〜40のアリールアルキル;炭素数8〜40のアリールアルケニル;または炭素数2〜10のアルキニルであり;
Qは、ハロゲン原子;炭素数1〜20のアルキル;炭素数2〜10のアルケニル;炭素数7〜40のアルキルアリール;炭素数7〜40のアリールアルキル;炭素数6〜20のアリール;置換または非置換の炭素数1〜20のアルキリデン;置換または非置換のアミノ基;炭素数2〜20のアルキルアルコキシ;または炭素数7〜40のアリールアルコキシであり;
nは、1または0であり、
[化学式2]
【化1】

前記化学式2中、
Mは、4族遷移金属であり;
R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数6〜20のアリール、炭素数7〜40のアルキルアリール、炭素数7〜40のアリールアルキル、炭素数1〜20のアルキルシリル、炭素数6〜20のアリールシリル、メトキシメチル(methoxymethyl)、t−ブトキシメチル(t−butoxymethyl)、テトラヒドロピラニル(tetrahydropyranyl)、テトラヒドロフラニル(tetrahydrofuranyl)、1−エトキシエチル(1−ethoxyethyl)、1−メチル−1−メトキシエチル(1−methyl−1−methoxyethyl)、またはt−ブチル(t−butyl)であり;
Aは、炭素数2〜4のアルキレン;炭素数1〜4のアルキルシリコンまたはゲルマニウム;および炭素数1〜4のアルキルホスフィンまたはアミンからなる群より選択されるいずれか一つであり;
Qは、互いに同一または異なり、それぞれ独立してハロゲン原子;炭素数1〜20のアルキル;炭素数2〜10のアルケニル;炭素数7〜40のアルキルアリール;または炭素数7〜40のアリールアルキル;炭素数6〜20のアリール;置換または非置換の炭素数1〜20のアルキリデン;置換または非置換のアミノ基;炭素数2〜20のアルキルアルコキシ;または炭素数7〜40のアリールアルコキシであり、
mは、0〜10の整数であり、
[化学式3]
【化2】

[化学式4]
【化3】

前記化学式3および化学式4中、
Mは、周期律表4族遷移金属であり;
、RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキルラジカル、炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数3〜30のシクロアルキルラジカル、炭素数6〜30のアリールラジカル、炭素数7〜30のアルキルアリールラジカル、炭素数7〜30のアリールアルキルラジカル、または炭素数8〜30のアリールアルケニルラジカルであり;
QおよびQ’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立してハロゲンラジカル、炭素数1〜20のアルキルラジカル、炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数6〜30のアリールラジカル、炭素数7〜30のアルキルアリールラジカル、または炭素数7〜30のアリールアルキルラジカルであり、QおよびQ’は、共に炭素数1〜20の炭化水素環を形成してもよく;
Bは、炭素数1〜4のアルキレンラジカル、ジアルキルシリコン、ゲルマニウム、アルキルホスフィン、またはアミンであり、2個のシクロペンタジエニル系リガンド、またはシクロペンタジエニル系リガンドとJRz−yを共有結合により結びつく橋であり;
は、水素ラジカル、炭素数1〜20のアルキルラジカル、炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数6〜30のアリールラジカル、炭素数7〜30のアルキルアリールラジカル、または炭素数7〜30のアリールアルキルラジカルであり;
Jは、周期律表15族元素または16族元素であり;
zは、J元素の酸化数であり;
yは、J元素の結合数であり;
a、a’、n、およびn’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して0以上の正の整数を示し;
mは、0〜3の整数であり;
oは、0〜2の整数であり;
rは、0〜2の整数であり;
Yは、O、S、NまたはPのヘテロ原子を示し;
Aは、水素または炭素数1〜10のアルキルラジカルを示す。
【0031】
前記化学式1および前記化学式2で表されるメタロセン触媒は、好ましくは、それぞれ下記の化学式5および化学式6で表示されるメタロセン触媒であってもよい。
[化学式5]
【化4】

[化学式6]
【化5】

【0032】
前記担持メタロセン触媒は、担体に互いに異なる2種以上のメタロセン触媒が担持された混成担持メタロセン触媒であることがより好ましい。
【0033】
前記担持メタロセン触媒の製造に使用可能な担体としては、高温で乾燥されたシリカ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシアなどを使用することができ、これらは通常NaO、KCO、BaSO、Mg(NOなどの酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩成分を含有することができる。
【0034】
このような担体表面の水酸化基(−OH)の量は、できれば少ないほど良いが、すべての水酸化基(−OH)を除去することは現実的に難しい。そのため、水酸化基(−OH)の量は、0.1〜10mmol/gが好ましく、より好ましくは0.1〜1mmol/gであり、最も好ましくは0.1〜0.5mmol/gである。表面水酸化基(−OH)の量は、担体の製造条件や方法、または乾燥条件や方法などによって調節することができる(温度、時間、圧力など)。また、乾燥後に残存する若干の水酸化基による副反応を減らすために、担持に参加する反応性が高いシロキサン基は保存しながら水酸化基(−OH)は化学的に除去した担体を利用することもできる。
【0035】
前記担持メタロセン触媒は、メタロセン触媒を活性化するために、下記の化学式7、化学式8または化学式9で表される助触媒化合物中の1種以上をさらに含んでもよい。
[化学式7]
−[Al(R8)−0]
前記化学式7中、
R8は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立してハロゲン;炭素数1〜20の炭化水素;またはハロゲンで置換された炭素数1〜20の炭化水素であり;
nは、2以上の整数であり;
[化学式8]
D(R8)
前記化学式8中、
R8は、前記化学式7の定義と同意義であり;
Dは、アルミニウムまたはボロンであり;
[化学式9]
[L−H][ZAまたは[L][ZA
前記化学式9中、
Lは、中性または陽イオン性ルイス酸であり;
Hは、水素原子であり;
Zは、13族元素であり;
Aは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して1以上の水素原子がハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素、アルコキシまたはフェノキシで置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基または炭素数1〜20のアルキル基である。
【0036】
前記化学式7で表される化合物の例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサンなどがあり、より好ましい化合物はメチルアルミノキサンである。
【0037】
前記化学式8で表される化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−s−ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、トリブチルボロンなどが含まれ、より好ましい化合物は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムの中で選択される。
【0038】
前記化学式9で表される化合物の例としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラペンタフルオロフェニルボロンなどがある。
【0039】
前記担持メタロセン触媒内の周期律表4族遷移金属の含量は、0.1〜20重量%であることがオレフィン重合に好ましく、0.1〜10重量%であることがより好ましく、1〜3重量%であることが最も好ましい。前記周期律表4族遷移金属の含量が20重量%を超える場合には、オレフィン重合時に触媒が担体から離脱してファウリング(fouling)のような問題点を起こすことがあり、製造コストが上昇するため商業的な面で好ましくない。
【0040】
また、前記助触媒は、周期律表13族金属を含み、前記メタロセン担持触媒内の周期律表13族金属/4族金属のモル比は、1〜10、000であることが好ましく、1〜1、000であることがより好ましく、10〜100であることが最も好ましい。
【0041】
本発明によるオレフィン系重合体は、エチレンホモ重合体であってもよく、エチレンおよびアルファオレフィン系共単量体を含む共重合体であってもよい。前記アルファオレフィン系としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、または1−エイコセンなどがあるが、これに限定されるのではない。この中で炭素数4〜10のアルファオレフィンが好ましく、1種または複数種類のアルファオレフィンが共に共単量体で使用されてもよい。前記共重合体内のアルファオレフィン系共単量体の含量は、0.1〜45重量%が好ましく、0.1〜20重量%がより好ましく、0.1〜4重量%が最も好ましい。
【0042】
本発明によるオレフィン系重合体の重量平均分子量は、100,000〜200,000であることが好ましいが、これに限定されるのではない。
【0043】
本発明によるオレフィン系重合体は、加工性に優れており、加工に適切な範囲の溶融流動率比(Meltflowrateratio、MFRR)値を有し、高延伸および高強度特性などに優れて高強力糸である繊維を製造するのに使用することができる。
【0044】
高密度オレフィン系重合体において、狭い分子量分布を有するほど延伸比が高く、これによって高強度特性を示す。しかし、前記分子量分布が過度に狭い場合には加工性が良くないため、高密度オレフィン系重合体は適切な分子量分布数値を有することが重要である。
【0045】
既存の汎用メタロセン触媒は、単一担持メタロセン触媒であり、これを利用して製造したオレフィン系重合体の分子量分布は大部分3以下であり、高延伸比による高強度および適切な加工性を確保することができないため、高強力糸のような繊維製品に適用することができない実情であった。
【0046】
そこで、本出願人は担持メタロセン触媒を利用して製造することができ、適切な分子量分布を有して高延伸および高強度の特性のみならず、加工性も優れた高密度オレフィン系重合体を開発した。
【0047】
本発明によるオレフィン系重合体において、分子量分布(PDI;Mw/Mn)は、2〜7であることが好ましく、3〜5であることがより好ましく、3.5〜4であることが最も好ましい。前記のような分子量分布値を有するオレフィン系重合体は、担持メタロセン触媒を利用して製造することができ、前記担持メタロセン触媒は、2種以上の前駆体を使用する混成担持メタロセン触媒であることがより好ましい。
【0048】
また、本発明によるオレフィン系重合体の製造方法は、担持メタロセン触媒の存在下で、オレフィン系単量体を重合させる段階を含むことを特徴とする。
【0049】
本発明によるオレフィン系重合体の製造方法において、前記担持メタロセン触媒は、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカンおよびこれらの異性体のような炭素数5〜12の脂肪族炭化水素溶媒、トルエンおよびベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、およびクロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒などにスラリー形態に希釈して注入が可能である。前記溶媒は少量のアルミニウム処理をして触媒毒で作用する少量の水、空気などを除去して使用することが好ましい。
【0050】
前記オレフィン系単量体の重合は、連続式スラリー重合反応器、ループスラリー反応器、気相反応器および溶液反応器からなる群より選択される反応器を単独で利用したりそれぞれ2個以上の同一または異なる反応器を利用してオレフィン系単量体を一定の比率に連続供給しながら定法により行うことができる。
【0051】
前記オレフィン系単量体の重合時の重合温度は、25〜500℃であることが好ましく、25〜200℃であることがより好ましく、50〜150℃であることがさらにより好ましい。また、重合圧力は、1〜100Kgf/cmで行うことが好ましく、1〜70Kgf/cmであることがより好ましく、5〜50Kgf/cmであることが最も好ましい。
【0052】
また、本発明は、前記オレフィン系重合体を含み、強度(tenacity)が9〜12gf/denierであり、延伸比が7〜14倍である繊維を提供する。
【0053】
本発明による繊維において、前記強度(tenacity)は、9〜11gf/denierであることがより好ましく、延伸比は、9〜13倍であることがより好ましいが、これに限定されるのではない。
【0054】
既存使用されていた汎用の繊維は、強度(tenacity)が4〜6gf/denlerであり、延伸比は、7〜9倍に過ぎないが、本発明による繊維は、前述のように強度(tenacity)が9〜12gf/denierであり、延伸比が7〜14倍であるため、非常に優れた高強度および高延伸の特性を有することが分かる。
【0055】
一般にモノフィラメント製品のような繊維で高強度を示すためには、狭い分子量分布が要求され、狭い分子量分布の実現のために一種の触媒前駆体を使用してモノフィラメント用オレフィン系重合体を製造する。本発明はここでさらに強化された高強度を実現するために、オレフィン系重合体の製造時に高分子量を生成する追加的な触媒前駆体を少量添加することによって、つまり、混成メタロセン担持触媒を利用することによって、オレフィン系重合体の分子量分布において高分子量の部分をより拡張させることができ、これによって機械的物性が向上しながら強度を強化することができる。
【0056】
前記のように高強度の繊維を製造するために、前記混成メタロセン担持触媒は、担体に助触媒、前記化学式1で表されるメタロセン触媒および前記化学式2で表されるメタロセン触媒が担持されたものがより好ましい。
【0057】
本発明による繊維は、高強度軽量製品であって、同じ強度を示す繊維の製造時に使用される樹脂の使用量を減らすことができるため、生産コストを節減することができるばかりか、製品の重量も減らすことができる特徴がある。
【0058】
また、本発明は、前記オレフィン系重合体を含む樹脂組成物を利用し、押出機による加工工程段階を含む繊維の製造方法を提供する。
【0059】
本発明による繊維の製造方法において、前記オレフィン系重合体を含む樹脂組成物は、その他の添加剤を含んでもよい。具体的にこのような添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定化剤、金属不活性剤、充填剤、強化剤、可塑剤、潤滑剤、乳化剤、顔料、光学漂白剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤などがある。前記添加剤の種類は特に制限されるわけではなく、当該技術分野で知られた一般的な添加剤を使用することができる。
【0060】
また、本発明は、前記繊維を含む物品を提供する。
【0061】
前記繊維を含む物品の具体的な例としては、高強力糸を利用して製造され得る物品であって、ロープ、漁網、安全網、スポーツ網などのようなモノフィラメント製品、カバー、麻袋、ホース、テントなどのようなターポリン製品などが挙げられる。
【実施例】
【0062】
以下の実施例および比較例を通じて本発明をより詳細に説明する。但し、実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明がこれに限定されるものではない。
<実施例>
<触媒前駆体の製造>
<製造例1>メタロセン触媒の製造−[tBu−O−(CH−CZrClの合成
【0063】
6−クロロヘキサノール(6−chlorohexanol)を使用して文献(Tetrahedron Lett. 2951(1988))に提示された方法でt−Butyl−O−(CH−Clを製造し、ここにNaCpを反応させてt−Butyl−O−(CH−Cを得た(収率60%、b.p.80℃/0.1mmHg)。また、−78℃でt−Butyl−O−(CH−CをTHFに溶かし、ノルマルブチルリチウム(n−BuLi)を徐々に加えた後、室温で昇温させた後、8時間反応させた。その溶液を再び−78℃でZrCl(THF)(1.70g、4。50mmol)/THF(30ml)のサスペンション(suspension)溶液に既に合成されたリチウム塩(lithium salt)溶液を徐々に加えて室温で6時間さらに反応させた。すべての揮発性物質を真空乾燥し、得られたオイル性液体物質にヘキサン(hexane)溶媒を加えて濾過した。濾過した溶液を真空乾燥した後、ヘキサンを加えて低温(−20℃)で沈殿物を誘導した。得られた沈殿物を低温で濾過して白色の固体形態の[tBu−O−(CH−CZrCl化合物を得た(収率92%)。
H NMR(300MHz、CDCl):6.28(t、J=2.6Hz、2H)、6.19(t、J=2.6Hz、2H)、3.31(t、6.6Hz、2H)、2.62(t、J=8Hz)、1.7−1.3(m、8H)、1.17(s、9H)。
13C NMR(CDCl):135.09、116.66、112.28、72.42、61、52、30.66、30.61、30.14、29.18、27.28、26.00。
【0064】
<製造例2>メタロセン触媒の製造−[CH(CH−CZrClの合成
n−ブチルクロライド(n−butylchloride)とNaCpをn−BuCpを製造し、ここにZrCl(THF)を反応させて[CH(CH−CZrClを製造した(収率50%)。
【0065】
<製造例3>メタロセン触媒の製造−[methyl(6−t−buthoxyhexyl)silyl(η−tetramethylCp)(t−Butylamido)]TiClの合成
常温で50gのMg(s)を10L反応器に加えた後、THF300mLを加えた。Iを0.5g程度加えた後、反応器温度を50℃に維持した。反応器温度が安定化した後、250gの6−t−ブトキシヘキシルクロライド(6−t−buthoxyhexyl chloride)を注入ポンプ(feeding pump)を利用して5mL/minの速度で反応器に加えた。6−t−ブトキシヘキシルクロライドを加えることによって反応器温度が4〜5℃程度上昇することを観察することができた。継続して6−t−ブトキシヘキシルクロライドを加えながら12時間攪拌した。反応12時間後、黒色の反応溶液を得ることができた。生成された黒色の溶液2mLを取った後、水を加えて有機層を得てH−NMRを通じて6−t−ブトキシヘキサン(6−t−buthoxyhexane)を確認でき、6−t−ブトキシヘキサンからグリニャール反応が良好に進行されたことが分かった。そこで、6−t−ブトキシヘキシルマグネシウムクロライド(6−t−buthoxyhexyl magnesium chloride)を合成した。
【0066】
MeSiCl500gと1LのTHFを反応器に加えた後、反応器温度を−20℃まで冷却した。合成した6−t−ブトキシヘキシルマグネシウムクロライド中の560gを注入ポンプを利用して5mL/minの速度で反応器に加えた。グリニャール試薬の注入が終わった後、反応器温度を徐々に常温に上げながら12時間攪拌した。反応12時間後、白色のMgCl塩が生成されることを確認した。ヘキサン4Lを加えて実験用加圧脱水濾過装置(labdori、(株)漢江エンジニアリング)を通じて塩を除去してフィルター溶液を得ることができた。得たフィルター溶液を反応器に加えた後、70℃でヘキサンを除去して薄い黄色の液体を得ることができた。得た液体をH−NMRを通じて所望のメチル(6−t−ブトキシヘキシル)ジクロロシラン化合物であることを確認することができた。
H−NMR(CDCl):3.3(t、2H)、1.5(m、3H)、1.3(m、5H)、1.2(s、9H)、1.1(m、2H)、0.7(s、3H)。
【0067】
テトラメチルシクロペンタジエン1.2モル(150g)と2.4LのTHFを反応器に加えた後、反応器温度を−20℃に冷却した。n−BuLi480mLを注入ポンプを利用して5mL/minの速度で反応器に加えた。n−BuLiを加えた後、反応器温度を徐々に常温に上げながら12時間攪拌した。反応12時間後、当量のメチル(6−t−ブトキシヘキシル)ジクロロシラン(methyl(6−t−buthoxyhexyl)dichlorosilane、326g、350mL)を急速に反応器に加えた。反応器温度を徐々に常温に上げながら12時間攪拌した後、再び反応器温度を0℃に冷却させた後、2当量のt−BuNHを加えた。反応器温度を徐々に常温に上げながら12時間攪拌した。反応12時間後、THFを除去し4Lのヘキサンを加えてlabdoriを通じて塩を除去したフィルター溶液を得ることができた。フィルター溶液を再び反応器に加えた後、ヘキサンを70℃で除去して黄色の溶液を得ることができた。得た黄色の溶液をH−NMRを通じてメチル(6−t−ブトキシヘキシル)(テトラメチルCpH)t−ブチルアミノシラン(methyl(6−t−buthoxyhexyl)(tetramethylCpH)t−butylaminosilane)化合物であることを確認することができた。
【0068】
n−BuLiとリガンドジメチル(テトラメチルCpH)t−ブチルアミノシラン(dimethyl(tetramethylCpH)t−Butylaminosilane)からTHF溶液で合成した−78℃のリガンドのジリチウム塩にTiCl(THF)(10mmol)を急速に加えた。反応溶液を徐々に−78℃で常温に上げながら12時間攪拌した。12時間攪拌後、常温で当量のPbCl(10mmol)を反応溶液に加えた後、12時間攪拌した。12時間攪拌後、緑色を帯びる濃い黒色の溶液を得ることができた。生成された反応溶液でTHFを除去した後、ヘキサンを加えて生成物をフィルターした。得たフィルター溶液でヘキサンを除去した後、H−NMRから所望の[methyl(6−t−buthoxyhexyl)silyl(η−tetramethylCp)(t−Butylamido)]TiCl化合物であることを確認した。
H−NMR(CDCl):3.3(s、4H)、2.2(s、6H)、2.1(s、6HO、1.8〜0.8(m)、1.4(s、9H)、1.2(s、9H)、0.7(s、3H)
【0069】
<担持触媒の製造>
<製造例4>担持メタロセン触媒(1)の製造
シリカ(Grace Davision社製造、XPO 2412)を800℃で15時間真空を加えた状態で脱水した。シリカ1.0gをガラス反応器に入れ、ここにトルエン10mLを入れた。10重量%メチルアルミノキサン(MAO)/トルエン溶液を5mLを加えて40℃で攪拌しながら徐々に反応させた。その後、十分な量のトルエンで洗浄して反応していないアルミニウム化合物を除去し、50℃で減圧して残っているトルエンを除去した。再びトルエン10mLを投入した後、前記製造例1で合成されたメタロセン化合物50mgをトルエンに溶かして共に投入して1時間反応させた。反応が終わった後、攪拌を止めてトルエンを層分離して除去した後、20mLのトルエン溶液で1回洗浄した。その後、フィルタリングを通じて溶液を除去し、トルエンで2回洗浄後、減圧乾燥して固体粉末を得た。
【0070】
<製造例5>担持メタロセン触媒(2)の製造
シリカ(Grace Davision社製造、XPO 2412)を800℃で15時間真空を加えた状態で脱水した。シリカ1.0gをガラス反応器に入れ、ここにトルエン10mLを入れた。10重量%メチルアルミノキサン(MAO)/トルエン溶液を5mLを加えて40℃で攪拌しながら徐々に反応させた。その後、十分な量のトルエンで洗浄して反応していないアルミニウム化合物を除去し、50℃で減圧して残っているトルエンを除去した。再びトルエン10mLを投入した後、前記製造例2で合成されたメタロセン化合物50mgをトルエンに溶かして共に投入して1時間反応させた。反応が終わった後、攪拌を止めてトルエンを層分離して除去した後、20mLのトルエン溶液で1回洗浄した。その後、フィルタリングを通じて溶液を除去し、トルエンで2回洗浄後、減圧乾燥して固体粉末を得た。
【0071】
<製造例6>担持メタロセン触媒(3)の製造
シリカ(Grace Davision社製造、XPO 2412)を800℃で15時間真空を加えた状態で脱水した。このシリカ1.0gをガラス反応器に入れ、ここにトルエン10mLを入れ、前記製造例1で選択されるメタロセン化合物50mgが溶けているトルエン溶液を10mLずつ入れた後、90℃で4時間攪拌しながら反応させた。反応が終わった後、攪拌を止めてトルエンを層分離して除去した後、10mLのトルエン溶液で3回洗浄した後、減圧してトルエンを除去して固体粉末を得た。ここにトルエン溶液中に5mLメチルアルミノキサン(MAO)/トルエン溶液を加え、40℃で攪拌して徐々に反応させた。その後、十分な量のトルエンで洗浄して反応していないアルミニウム化合物を除去した後、50℃で減圧して残っているトルエンを除去した。このように製造した固体をそれ以上処理せずにオレフィン重合用触媒として使用することもできる。混成触媒を向上させるために、前記で得られた担持触媒に製造例3で製造したメタロセン化合物50mgが溶けているトルエン溶液をガラス反応器に加えて40℃で攪拌しながら反応させた。その後、十分な量のトルエンで洗浄した後、真空乾燥して固体粉末を得た。このように製造された最終触媒は、重合に直接使用されたり、30psigのエチレンを2分間加えて1時間常温で行われる予備重合に使用されることもできる。
【0072】
<製造例7>担持メタロセン触媒(4)の製造
シリカ(Grace Davison社製造、XPO 2410)を800℃で15時間真空を加えた状態で脱水した。シリカ1.0gを反応器に入れ、ここにトルエン10mLを入れた。10wt%メチルアルミノキサン(MAO)/トルエン溶液を5mLを加えて40℃で攪拌しながら徐々に反応させた。その後、十分な量のトルエンで洗浄して反応していないアルミニウム化合物を除去し、50℃で減圧して残っているトルエンを除去した。再びトルエン10mLを投入した後、前記製造例3で合成されたメタロセン化合物50mgをトルエンに溶かして共に投入して1時間反応させた。反応が終わった後、攪拌を止めてトルエンを層分離して除去した後、20mLのトルエン溶液で1回洗浄した。その後、製造例2で合成されたメタロセン化合物50mgをトルエンに溶かした後、再び投入して1時間反応させた。その後、フィルタリングを通じて溶液を除去し、 ヘキサンで2回洗浄後、減圧乾燥して固体粉末を得た。
【0073】
<ポリエチレン共重合体の製造および特性評価>
前記製造された担持メタロセン触媒を利用し、次の実施例1〜5および比較例1〜12でそれぞれの条件によって重合反応器で定法によりポリオレフィン共重合体を製造した。ここで得られたポリオレフィン共重合体の評価項目および評価方法は次の通りである。
【0074】
<原料物性>
1)密度:ASTM D 1505
2)溶融指数(MI、2.16kg/10min):測定温度190℃、ASTM D 1238
3)MFRR(MFR20/MFR):MFR20溶融指数(MI、21.6kg荷重)をMFR(MI、2.16kg荷重)で割った比率である。
4)分子量、分子量分布:測定温度160℃、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を利用して数平均分子量、重量平均分子量、Z平均分子量を測定した。分子量分布は重量平均分子量と数平均分子量の比で示した。
5)共単量体含量(重量%):H−NMRを利用して測定した。
6)SCB含量(EA/1000TC):SEC−FTIR(Size Exclusion Fourier Transform Infrared Spectroscope)を利用してSCB含量(単位:個/1、000C)を測定した。
【0075】
<製品物性>
1)降伏点引張強度(kg/cm)、破断点引張強度(kg/cm)、破断点伸び率(%):ASTM D 638基準に測定した。この時、試験速度は50mm/minとし、1試片当り6回測定してその平均値を取った。
2)延伸比(倍):糸(フィラメントまたはヤーン)を加工する時、強度を増大するために延伸する工程があるが、この時、糸を延伸する比率を延伸比と言う。延伸比は引取ロール回転速度(RPM)と送りロール回転速度(PRM)比率(RPM/RPM)で測定した。
3)Tenacity(g/denier):Tenacityは糸の破断点強度を意味し、ASTM D 638基準に測定した。この時、試験速度は200mm/minとし、1試片当り6回測定してその平均値を取った。参考に、デニール(denier)は糸の太さの表示に使用される国際単位であって標準長さ9、000mに単位重量1gであることを1デニール(denier)とする。
【0076】
<製品加工性>
1)樹脂溶融圧力(bar):Haake Single Screw Extruder(19パイ、L/D=25)を使用し、240〜280℃(Temp. profile(℃):240/260/270/280、Screw RPM:40)の条件で圧出テストを行った。前記加工条件でペレット製品を圧出する時、圧出部位で発生される樹脂溶融圧力を測定した。
2)圧出量(kg/hr):Haake Single Screw Extruder(19パイ、L/D=25)を使用し、240〜280℃(Temp. Profile(℃):240/260/270/280、Screw RPM:40)の条件で圧出テストを行った。前記加工条件でペレット製品を圧出する時、時間当り圧出されて出る樹脂の重量を測定した。
【0077】
<実施例1>
前記製造例4から得られた担持メタロセン触媒(1)を単一ループスラリー重合工程に投入して定法によりポリエチレンを製造した。共単量体を使用せずにHomo重合を行った。得られたポリエチレン共重合体に1次酸化防止剤(Irganox 1010、CIBA社)750ppm、2次酸化防止剤(Irgafos 168、CIBA社)1、500ppmと加工助剤(SC110、Ca−St、斗本油化(株))3、000ppmを添加し二軸押出機(W and P Twin Screw Extruder、75パイ、L/D=36)を使用して170〜220℃の圧出温度で製粒した。樹脂の加工性圧出テストは、Haake Single Screw Extruder(19パイ、L/D=25)を使用し、240〜280℃(Temp. profile(℃):240/260/270/280)の条件で圧出テストを行った。また、フィラメント成形は、単軸押出機(韓国イーエムMonofilament M/C、90パイ、L/D=30)を利用して240〜280℃(Temp. profile(℃):240/260/270/280)の圧出温度で800デニール(denier)の規格になるように圧出成形した。ポリエチレン重合体の原料物性および製品諸般物性は実施例の特性評価方法により実施し、結果は表2および表3に示した。
【0078】
<実施例2>
前記製造例5から得られた担持メタロセン触媒(2)を単一ループスラリー重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体を使用せず、ホモ(homo)重合を行った。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は、実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0079】
<実施例3>
前記製造例7から得られた担持メタロセン触媒(4)を単一気相重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体を使用せず、ホモ(homo)重合を行った。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0080】
<実施例4>
前記製造例7から得られた担持メタロセン触媒(4)を単一ループスラリー重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体を使用せず、ホモ(homo)重合を行った。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0081】
<実施例5>
前記製造例7から得られた担持メタロセン触媒(4)を単一ループスラリー重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体を使用せず、ホモ(homo)重合を行った。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0082】
<比較例1>
ジグラナッタ触媒(TiCl/MgCl)を連続式2段スラリー重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体としては1−ブテンを使用した。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0083】
<比較例2>
ジグラナッタ触媒(TiCl/MgCl2)を単一気相重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体としては1−ブテンを使用した。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0084】
<比較例3>
クロム触媒(Cr/TiO/SiO)を単一ループスラリー重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体としては1−ヘキセンを使用した。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0085】
<比較例4>
クロム触媒(Cr/TiO/SiO)を単一ループスラリー重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体を使用せず、ホモ(homo)重合を行った。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0086】
<比較例5>
ジグラナッタ触媒(TiCl/MgCl)を連続式2段スラリー重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体としては1−ブテンを使用した。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0087】
<比較例6>
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド(bis(n−butyl cyclopentadienyl)zirconium dichloride、(n−BuCp)ZrCl)触媒とメチルアルミノキサン(MAO)助触媒がシリカに担持された従来の担持メタロセン触媒をループスラリー重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体を使用せず、ホモ(homo)重合を行った。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0088】
<比較例7>
前記製造例7から得られた担持メタロセン触媒(4)を単一ループスラリー重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体を使用せず、ホモ(homo)重合を行った。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0089】
<比較例8>
前記製造例7から得られた担持メタロセン触媒(4)を単一ループスラリー重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体を使用せず、ホモ(homo)重合を行った。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0090】
<比較例9>
前記製造例7から得られた担持メタロセン触媒(4)を単一溶液重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体としては少量の1−オクテンを使用した。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0091】
<比較例10>
前記製造例6から得られた担持メタロセン触媒(3)を単一ループスラリー重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体を使用せず、ホモ(homo)重合を行った。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0092】
<比較例11>
前記製造例6から得られた担持メタロセン触媒(3)を単一スラリー重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体を使用せず、ホモ(homo)重合を行った。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0093】
<比較例12>
前記製造例4から得られた担持メタロセン触媒(1)を連続式2段スラリー重合工程に投入して定法により高密度ポリエチレンを製造した。共単量体を使用せず、ホモ(homo)重合を行った。ここで得られたポリエチレン重合体の原料物性、製品物性および製品加工性の評価は実施例1と同様にし、特性評価結果は表2および表3に示した。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【0096】
【表3】

【0097】
前記表1〜3から分かるように、実施例1から得たポリエチレン重合体は、単一担持メタロセン触媒を使用して分子量分布が非常に狭いため、繊維(fiber)製品の延伸比が非常に大きく、これによって強度に非常に優れている。しかし、狭い分子量分布により低分子部分(portion)が少ないため、ホモ(homo)重合製品にもかかわらず密度が低い特性を有している。非常に狭い分子量分布による高延伸特性を有するにもかかわらず、密度が低いため、実施例2、4の高密度製品に対比して相対的に多少低い強度を示す。一方、分子量分布が狭く、溶融指数が低く、溶融流動率が低いため、加工性および生産性が多少劣ることがある。
【0098】
実施例2から得たポリエチレン重合体は、単一担持メタロセン触媒を使用して分子量分布が狭く、重量平均分子量が高いため、延伸比および強度に非常に優れている。しかし、分子量分布が狭く、重量平均分子量が高いため、加工性が多少劣ることがあり、生産性が多少劣り得る。
【0099】
実施例3から得たポリエチレン重合体は、製造例7の混成担持メタロセン触媒(4)を試用して分子量分布が多少狭く、重量平均分子量が高く、高密度特性を示して、延伸比および強度に非常に優れている。しかし、分子量分布が狭く、重量平均分子量が高いため、加工性が多少劣り、生産性が多少低くなり得る。
【0100】
実施例4から得たポリエチレン重合体は、製造例7の混成担持メタロセン触媒(4)を使用して分子量分布が狭く、高密度特性を示して、延伸比および強度に非常に優れている。また、分子量分布および重量平均分子量が適切な範囲にあるため、高強度を維持しながらも良好な加工性を示す長所を有する。前記実施例1〜2に対比して分子量分布が相対的に広いため、低分子部分(portion)の増加によりホモ(homo)重合による高密度生産が可能であり、高密度による強度の強化が可能である。しかし、下記比較例10〜12から分かるように、分子量分布がより広くなれば、ホモ(homo)重合時により高密度方向に製品生産が可能であるが、分子量分布が過度に広いため、延伸比の下落による強度の低下が不可避である。実施例4の製品は、最適化した分子量分布、分子量、密度領域に位置して、優れた機械的物性、加工性および生産性を同時に発現することができる。
【0101】
比較例1のポリエチレン共重合体は、ジグラナッタ触媒を使用して連続式2段スラリー重合工程で製造したものであって、広い分子量分布を有し、共単量体として1−ブテンを使用して密度が相対的に低い。このような製品構造のため、繊維(fiber)の延伸比および強度が実施例に対比して劣るという短所を有している。
【0102】
比較例2のポリエチレン共重合体は、ジグラナッタ触媒を使用して単一気相重合工程で製造したものであって、広い分子量分布により繊維(fiber)の延伸比および強度が劣るという短所を示す。
【0103】
比較例3のポリエチレン共重合体は、クロム触媒を使用してループスラリー重合工程で製造されたものであって、広い分子量分布を示す。一般にクロム触媒によるポリエチレンは、単一反応器でも非常に広い分子量分布を実現することができ、優れた加工性を示すと広く知られている。しかし、このような広い分子量分布は、繊維(fiber)の延伸比および強度の下落の原因として作用する。
【0104】
比較例4のポリエチレン重合体は、クロム触媒を使用して単一ループスラリー重合工程で製造したものであって、共単量体を使用していないホモ(homo)製品である。非常に広い分子量分布による高密度実現が容易であるが、分子量分布が適切な範囲を大きく外れ、繊維(fiber)延伸比および強度を非常に劣らせる短所を内包している。
【0105】
比較例5のポリエチレン共重合体は、ジグラナッタ触媒を使用して連続式2段スラリー重合工程で製造したものであって、極度に広い分子量分布を有する。このような広い分子量分布が繊維(fiber)製品には非常に不適切な製品構造を有している。
【0106】
比較例6のポリエチレン共重合体は、担持メタロセン触媒を使用してループスラリー重合工程で製造したものであって、極度に狭い分子量分布を有する。前記極度に狭い分子量分布のため、加工性および圧出生産量が非常に劣り、圧出過程でメルト破砕(melt fracture)が激しく発生し、延伸過程で断糸の危険性が非常に高い。このような非常に劣る加工性のため、高延伸比の実現が難しく、延伸比の下落により繊維(fiber)強度も低下する。また、ホモ(homo)製品にもかかわらず、狭い分子量分布により高密度の実現に限界がある。したがって、劣る加工性およびこれによる機械的物性の限界のため、繊維(fiber)製品には非常に不適切な製品構造を有している。
【0107】
比較例8から得たポリエチレン重合体は、実施例4に対比して分子量分布が多少広く、重量平均分子量が小さいため、加工性は優秀になり得るが、小さい重量平均分子量および広い分子量分布により機械的物性が減少した。
【0108】
比較例9から得たポリエチレン共重合体は、共単量体として1−ヘキセンを使用し、ホモ(homo)重合により製造された同一水準の分子量分布を有する実施例3製品に対比して密度が低いため、繊維(fiber)強度が相対的に低下した。
【0109】
比較例10〜11から得たポリエチレン重合体は、製造例6の混成担持メタロセン触媒(3)を使用し、実施例1〜4に対比して分子量分布が広く、溶融流動率が大きいため、加工性および生産性が相対的に優秀になり得る。しかし、ホモ(homo)重合により製造時、分子量分布が広いほど高密度領域の製品生産が可能であるが、延伸比の下落により繊維(fiber)強度が低下する傾向がある。
【0110】
比較例12から得たポリエチレン重合体は、単一担持メタロセン触媒を連続式2段スラリー重合工程に投入して製造されたものであって、分子量分布が広く、ホモ(homo)重合製品の密度が分子量分布が狭い製品に対比して高く形成される。分子量分布が広いため、加工性が優秀になり得るが、高密度にもかかわらず、非常に劣る延伸比および繊維(fiber)強度を示す。
【0111】
図1の分子量分布曲線から分かるように、実施例5は比較例4に対比して非常に狭い分子量分布を示す。分子量分布が広くなれば低分子量部分(Portion)が増加して高い延伸比および高強度を得難いため、実施例5のように狭い分子量分布を有することが高延伸および高強度の実現に好ましい。Z−N触媒とクロム触媒を使用して製造されるポリエチレンは、一般に広い分子量分布を示して、高強度特性を示すフィラメント製造に使用するには不適である。
【0112】
図2の分子量分布曲線から分かるように、実施例5は実施例2に対比して低分子量部分(Portion)は同一であるが、高分子量部分(Portion)が増加し、高強度の実現に非常に効果的である。一般に分子量分布が広くなれば、正規分布を有し、低分子量および高分子量のすべてが同時に増加することが一般的である。しかし、実施例5では機械的物性に欠陥(Defect)として作用される低分子量は増加せず、機械的物性を増加させる高分子量部分のみが選択的に増加し、高強度物性を示す。狭い分子量分布(Narrow MWD)内で高分子量部分(High Molecular Weight Part)のみを選択的に増加させることによって、高強度の実現に好ましい高分子構造を達成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)密度が、0.94〜0.96g/cmであり、
2)溶融指数(MI;190℃、2.16kg)が、0.1〜1.5g/10minであり、
3)分子量分布(PDI;Mw/Mn)が、2〜7である、
オレフィン系重合体。
【請求項2】
前記密度は、0.948〜0.958g/cmであり、前記溶融指数(MI;190℃、2.16kg)は、0.4〜1g/10minであり、前記分子量分布(PDI;Mw/Mn)は3〜5であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン系重合体。
【請求項3】
前記オレフィン系重合体の溶融流動率比(MFRR)値は、20〜40であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン系重合体。
【請求項4】
前記オレフィン系重合体の重量平均分子量は、100,000〜200,000であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン系重合体。
【請求項5】
前記オレフィン系重合体は、強度(tenacity)は、9〜12gf/denierであり、延伸比は、7〜14倍である繊維製造用であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン系重合体。
【請求項6】
担持メタロセン触媒の存在下で、オレフィン系単量体を重合させる段階を含むオレフィン系重合体の製造方法であって、
前記担持メタロセン触媒は、担体に下記の化学式1、化学式2、化学式3および化学式4で表されるメタロセン触媒からなる群より選択される1種以上が担持された担持メタロセン触媒であり、前記オレフィン系重合体の密度は、0.94〜0.96g/cmであり、溶融指数(MI;190℃、2.16kg)は、0.1〜1.5g/10minであり、分子量分布(PDI;Mw/Mn)は、2〜7であることを特徴とするオレフィン系重合体の製造方法:
[化学式1]
(CpR1)(Cp’R2)MQ3−n
前記化学式1中、
Mは、4族遷移金属であり;
CpおよびCp’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立してシクロペンタジエニル、インデニル、4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル、およびフルオレニルラジカルからなる群より選択されたいずれか一つであり、これらは炭素数1〜20の炭化水素で置換されてもよく;
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素;炭素数1〜20のアルキル;炭素数1〜10のアルコキシ;炭素数6〜20のアリール;炭素数6〜10のアリールオキシ;炭素数2〜20のアルケニル;炭素数7〜40のアルキルアリール;炭素数7〜40のアリールアルキル;炭素数8〜40のアリールアルケニル;または炭素数2〜10のアルキニルであり;
Qは、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル;炭素数2〜10のアルケニル;炭素数7〜40のアルキルアリール;炭素数7〜40のアリールアルキル;炭素数6〜20のアリール;置換または非置換の炭素数1〜20のアルキリデン;置換または非置換のアミノ基;炭素数2〜20のアルキルアルコキシ;または炭素数7〜40のアリールアルコキシであり;
nは、1または0であり、
[化学式2]
【化1】

前記化学式2中、
Mは、4族遷移金属であり;
R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数6〜20のアリール、炭素数7〜40のアルキルアリール、炭素数7〜40のアリールアルキル、炭素数1〜20のアルキルシリル、炭素数6〜20のアリールシリル、メトキシメチル、t−ブトキシメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、またはt−ブチルであり;
Aは、炭素数2〜4のアルキレン;炭素数1〜4のアルキルシリコンまたはゲルマニウム;および炭素数1〜4のアルキルホスフィンまたはアミンからなる群より選択されるいずれか一つであり;
Qは、互いに同一または異なり、それぞれ独立してハロゲン原子;炭素数1〜20のアルキル;炭素数2〜10のアルケニル;炭素数7〜40のアルキルアリール;または炭素数7〜40のアリールアルキル;炭素数6〜20のアリール;置換または非置換の炭素数1〜20のアルキリデン;置換または非置換のアミノ基;炭素数2〜20のアルキルアルコキシ;または炭素数7〜40のアリールアルコキシであり、
mは、0〜10の整数であり、
[化学式3]
【化2】

[化学式4]
【化3】

前記化学式3および化学式4中、
Mは、周期律表4族遷移金属であり;
、RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキルラジカル、炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数3〜30のシクロアルキルラジカル、炭素数6〜30のアリールラジカル、炭素数7〜30のアルキルアリールラジカル、炭素数7〜30のアリールアルキルラジカル、または炭素数8〜30のアリールアルケニルラジカルであり;
QおよびQ’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立してハロゲンラジカル、炭素数1〜20のアルキルラジカル、炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数6〜30のアリールラジカル、炭素数7〜30のアルキルアリールラジカル、または炭素数7〜30のアリールアルキルラジカルであり、QおよびQ’は、共に炭素数1〜20の炭化水素環を形成してもよく;
Bは、炭素数1〜4のアルキレンラジカル、ジアルキルシリコン、ゲルマニウム、アルキルホスフィン、またはアミンであり、2個のシクロペンタジエニル系リガンド、またはシクロペンタジエニル系リガンドとJRz−yを共有結合により結びつく橋であり;
は、水素ラジカル、炭素数1〜20のアルキルラジカル、炭素数2〜20のアルケニルラジカル、炭素数6〜30のアリールラジカル、炭素数7〜30のアルキルアリールラジカル、または炭素数7〜30のアリールアルキルラジカルであり;
Jは、周期律表15族元素または16族元素であり;
zは、J元素の酸化数であり;
yは、J元素の結合数であり;
a、a’、n、およびn’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して0以上の正の整数を示し;
mは、0〜3の整数であり;
oは、0〜2の整数であり;
rは、0〜2の整数であり;
Yは、O、S、NまたはPのヘテロ原子を示し;
Aは、水素または炭素数1〜10のアルキルラジカルを示す。
【請求項7】
前記担持メタロセン触媒は、担体に互いに異なる2種以上のメタロセン触媒が担持された混成担持メタロセン触媒であることを特徴とする、請求項6に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項8】
前記担持メタロセン触媒は、下記の化学式7、化学式8および化学式9で表される助触媒化合物からなる群より選択される1種をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
[化学式7]
−[Al(R8)−0]
前記化学式7中、
R8は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立してハロゲン;炭素数1〜20の炭化水素;またはハロゲンで置換された炭素数1〜20の炭化水素であり;
nは、2以上の整数であり;
[化学式8]
D(R8)
前記化学式8中、
R8は、前記化学式7の定義と同意義であり;
Dは、アルミニウムまたはボロンであり;
[化学式9]
[L−H][ZAまたは[L][ZA
前記化学式9中、
Lは、中性または陽イオン性ルイス酸であり;
Hは、水素原子であり;
Zは、13族元素であり;
Aは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して1以上の水素原子がハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素、アルコキシまたはフェノキシで置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基または炭素数1〜20のアルキル基である。
【請求項9】
前記オレフィン系単量体は、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンからなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項6に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項10】
前記オレフィン系単量体の重合は、連続式スラリー重合反応器、ループスラリー反応器、気相反応器および溶液反応器からなる群より選択される反応器を単独で利用したりそれぞれ2個以上の同一または異なる反応器を利用して行われることを特徴とする、請求項6に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のオレフィン系重合体を含む、繊維。
【請求項12】
前記繊維の強度は、9〜12gf/denierであり、延伸比は、7〜14倍であることを特徴とする、請求項11に記載の繊維。
【請求項13】
前記繊維の強度は、9〜11gf/denierであり、延伸比は、9〜13倍であることを特徴とする、請求項11に記載の繊維。
【請求項14】
請求項1〜項5のいずれか一項に記載のオレフィン系重合体を含む樹脂組成物を利用し、押出機による加工工程段階を含む、繊維の製造方法。
【請求項15】
請求項11に記載の繊維を含む、物品。
【請求項16】
前記物品は、モノフィラメント製品またはターポリン製品であることを特徴とする、請求項15に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−526175(P2012−526175A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509738(P2012−509738)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/KR2010/002924
【国際公開番号】WO2010/128826
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】