説明

オレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒

本発明はチーグラー・ナッタ触媒に関し、より詳しくは、内部電子共有体として化学式(3)の化合物を用いることにより、高活性、広い分子量分布、低微分含量を有する重合体を得ることができるオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チーグラー・ナッタ触媒に関し、より詳しくは、内部電子供与体として化学式(3)の化合物を用いることにより、高活性、広い分子量分布、低微分含量を有する重合体を得ることができるオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、チーグラー・ナッタ触媒と呼ばれるオレフィン重合用触媒は、遷移金属化合物が主成分である主触媒、有機金属化合物である助触媒、そして電子供与体の組み合わせからなる触媒系を言い、従来から重合活性度と立体規則性を向上させ、重合物の分子量分布を広げたり重合物の微分含量を減少させたりする方向に広く研究されており、関連技術が多く提示されている。
【0003】
チーグラー・ナッタ触媒は、その構成成分と構造および製造方法などに応じ、生成されるポリオレフィンの性質と特性などに直接的に影響を及ぼす。したがって、生成ポリオレフィンの特性を変化させるためには、触媒の製造時、触媒の構成成分の変化、担体構造の変化、および触媒の製造方法の変化などが伴わなければならず、各触媒の製造方法あるいは構成成分の差によって変化した触媒の活性と重合された重合体の分子量、立体規則性などに対する研究も併行しなければならない。
【0004】
従来のチーグラー・ナッタ触媒は、チタニウム、マグネシウム、およびハロゲンを中心にした固体触媒成分と、助触媒である有機アルミニウム化合物システムとからなる。このシステムにおいて基本要素である触媒活性と立体規則性を向上させるために多くの改善がなされたが、ポリオレフィンの用途多様化に伴い、触媒活性、立体規則性、および広い分子量分布または低微分分布が現在もさらに求められている。
【0005】
立体規則性の問題点を解決するために、米国特許第4,544,717号には電子供与体を添加する方法が記載されており、米国特許第4,226,741号には立体規則性が94〜95以上の値を有する高立体規則性触媒に関して記載されている。さらに、ヨーロッパ特許第045,977号には、高活性、高立体規則性の特徴を有する固体チーグラー・ナッタ触媒の技術が記載されており、特定カルボキシ酸エステル化合物の誘導体、好ましくはフタレート誘導体が内部電子供与体として固体触媒化合物に配位され、チタニウム化合物と共にチーグラー・ナッタ触媒が製造される。また、これらの主触媒は、アルミニウムアルキル化合物と少なくとも1つ以上のシリコン−エーテル結合を有するシリコン化合物を外部電子供与体とするアルファ−オレフィン重合により、重合活性度と立体規則性を高めることができる方法なども提示されてきた。しかし、これらの製法の場合、担体粒子の大きさを調節する方法において難点を示しており、重合体の分子量分布もまた良好でない場合が多い。
【特許文献1】米国特許第4,544,717号公報
【特許文献2】米国特許第4,226,741号公報
【特許文献3】ヨーロッパ特許第045,977号公報
【0006】
また、分子量分布を広げるために、国際特許WO00/63261には、固体触媒成分のうち、内部電子供与体としてフタレートの代りにスクシネート誘導体を用いて立体規則性の向上と分子量分布を広げる方法を提示した。しかし、重合過程中に触媒活性が急激に低下し、現在の要求水準を満たすことができないという問題点を抱いている。
【特許文献4】国際特許WO00/63261公報
【0007】
なお、粒子の大きさを均一にして重合物の微分含量を減らすために、米国公開特許第4,946,816号、第4,866,022号、第4,988,656号、および第5,124,297号などには、(i)マグネシウム化合物をアルコール存在下でマグネシウムを含む溶液を製造するステップ、(ii)前記マグネシウム溶液を遷移金属ハライドまたは有機シラン添加剤の存在下で沈澱させるステップ、(iii)前記沈殿物に遷移金属成分と電子供与体化合物を反応させて粒子が一定した触媒を製造するステップを含む方法が記載されている。しかし、このような方法は、触媒製造段階が多く、製造工程が複雑であり、重合過程中に触媒活性が急激に低下し、立体規則性や重合物の粒子の大きさにおいて問題があり、多くの微分を含むという短所を示している。
【特許文献5】米国公開特許第4,946,816号公報
【特許文献6】米国公開特許第4,866,022号公報
【特許文献7】米国公開特許第4,988,656号公報
【特許文献8】米国公開特許第5,124,297号公報
【0008】
したがって、触媒製造方法が比較的に簡単ながらも高い重合活性と立体規則性を有し、さらに広い分子量分布および低微分含量の重合体を得ることができる新しいオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、高活性、高立体規則性、広い分子量分布、および低微分含量を有するオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒に関しての研究中、チーグラー・ナッタ触媒の製造過程に用いられる内部電子供与体として化学式(3)の化合物、特に、アミド、ジカルボキシ酸無水物、またはアシルスルフィドを用いれば、製造された固体触媒が高活性を示し、この固体触媒をオレフィン重合反応に用いて製造されたポリオレフィンの場合、重合体の立体的規則性が高く、分子量分布が広く示され、低微分含量を有することを確認して本発明を完成した。
【0010】
本発明は、高活性、高立体規則性、広い分子量分布、および低微分含量を有する重合体を得ることができるオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒は、内部電子供与体として化学式(3)の構造を有する化合物が用いられたことを特徴とする。
【0012】
【化3】

・・・(3)
【0013】
ここで、YはN−R、O、またはSのうちのいずれか1つであり、
、RとRは同じであるか、または異なることがあり、水素またはC〜C20線形または枝型アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリール置換体、アルキルアリール、アルキルアリール置換体、またはヘテロアトムを含むアルキルアリールである。
【0014】
また、本発明は、(a)無水マグネシウムハライドを無水アルコールと炭化水素溶媒に溶解した後、ここに沈澱促進剤を加えてマグネシウム担体混合溶液を製造するステップ、(b)前記マグネシウム担体混合物を遷移金属化合物に添加して反応させて沈殿物を得るステップ、および(c)前記沈殿物を炭化水素溶媒で洗浄した後、遷移金属化合物を添加した後に、炭化水素溶媒としてチタニウム成分が検出されないまで洗浄するステップを含む過程によって得られたオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造過程において、内部電子供与体としてアミド、カルボキシ酸無水物、ジアシルスルフィドを用いることに特徴がある。
【0015】
本発明の他の好ましい特徴によれば、前記内部電子供与体は、(a)ステップまたは(c)ステップのうちのいずれか1つ以上のステップに添加される。
本発明によって製造されたチーグラー・ナッタ触媒は、触媒総重量に対し、チタニウム0.1〜6.0重量%、マグネシウム10〜30重量%、ハロゲン40〜70重量%、および内部電子供与体5〜30重量%を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒は、高活性と高立体規則性を示すため、原料のうちの高価なチタニウムの使用量を大幅に減少させることができ、触媒製造費用を節減する効果がある。また、本発明のチーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたポリオレフィンは、広い分子量分布と低微分含量を示すことから、板、フィルム、容器、および繊維などの成形材料に有効に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
オレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒は、下記の過程によって得られる。
(a)無水マグネシウムハライドを無水アルコールと炭化水素溶媒に溶解した後、ここに沈澱促進剤を加えてマグネシウム担体混合溶液を製造するステップ、
(b)前記マグネシウム担体混合物を遷移金属化合物に添加して反応させて沈殿物を得るステップ、
(c)前記沈殿物を炭化水素溶媒で洗浄した後、遷移金属化合物を添加した後に、炭化水素溶媒としてチタニウム成分が検出されないまで洗浄して固体触媒を得るステップである。
【0018】
本発明は、上述したオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の固体触媒成分の製造過程に用いられる内部電子供与体として、化学式(3)の構造を有する化合物、特に、ジアシルスルフィド(Diacyl Sufide)、カルボキシ酸無水物、またはアミドを用い、ここで、化学式(3)で表示される内部電子供与体は、上述した(a)ステップ、(c)ステップ、または(a)と(c)ステップに添加することに特徴がある。
【0019】
【化3】

・・・(3)
【0020】
ここで、YはN−R、O、またはSのうちのいずれか1つであり、
、RとRは同じであるか、または異なることがあり、水素またはC〜C20線形または枝型アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリール置換体、アルキルアリール、アルキルアリール置換体、またはヘテロアトムを含むアルキルアリールである。
【0021】
具体的に、YがN−Rである場合には、前記化学式(3)の化合物はアミドであり、前記アミドの例としては、N−ベンゾイル−N−メチルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−エチルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−プロピルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−イソプロピルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−ブチルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−ヘキシルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−シクロペンチルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−シクロヘキシルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−フェニルベンズアミド、N−プロピオニル−N−メチルベンズアミド、N−プロピオニル−N−エチルベンズアミド、N−プロピオニル−N−プロピルベンズアミド、N−プロピオニル−N−イソプロピルベンズアミド、N−プロピオニル−N−ブチルベンズアミド、N−プロピオニル−N−ヘキシルベンズアミド、N−プロピオニル−N−シクロペンチルベンズアミド、N−プロピオニル−N−シクロヘキシルベンズアミド、N−プロピオニル−N−メチルベンズアミド、N−ブチリル−N−エチルベンズアミド、N−ブチリル−N−プロピルベンズアミド、N−ブチリル−N−イソプロピルベンズアミド、N−ブチリル−N−ブチルベンズアミド、N−ブチリル−N−ヘキシルベンズアミド、N−ブチリル−N−シクロペンチルベンズアミド、またはN−ブチリル−N−シクロヘキシルベンズアミドを含む。
【0022】
また、YがOである場合には、化学式(3)の化合物はカルボキシ酸無水物であり、前記カルボキシ酸無水物の例としては、アセチックアンハイドライド、プロピオニックアンハイドライド、n−ブチリックアンハイドライド、アイソブチリックアンハイドライド、パルミチックアンハイドライド、ヘプタノイックアンハイドライド、ヘキサノイックアンハイドライド、ステアリックアンハイドライド、ノナノイックアンハイドライド、2−エチルヘキサノイックアンハイドライド、2−スルホベンゾイックアンハイドライド、1,8−ナプタリックアンハイドライド、フタリックアンハイドライド、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボキシリックアンハイドライド、ベンゾイックアンハイドライド、グリシンアンハイドライド、サクシニックアンハイドライド、マレイックアンハイドライド、グルタリックアンハイドライド、テトラクロロフタリックアンハイドライド、3−メチルフタリックアンハイドライド、3−クロロフタリックアンハイドライド、イサトイックアンハイドライド、カルビックアンハイドライド、3−フルオロフタリックアンハイドライド、4−フルオロフタリックアンハイドライド、4−メチルフタリックアンハイドライド、トリフルオロフタリックアンハイドライド、テトラフルオロフタリックアンハイドライド、クロロアセチックアンハイドライド、シトラコニックアンハイドライド、テトラブロモフタリックアンハイドライド、2,3−ピリジネジックカルボキシリックアンハイドライド、ホモフタリックアンハイドライド、シス−1,2,3,6−テトラヒドロフタリックアンハイドライド、4,5−ジクロロフタリックアンハイドライド、トリメチルアセチックアンハイドライド、イタコニックアンハイドライド、3,4,5,6−テトラヒドロフタリックアンハイドライド、2,2−ジメチルグルタリックアンハイドライド、3,3−ジメチルグルタリックアンハイドライド、2−フェニルグルタリックアンハイドライド、ジクロロアセチックアンハイドライド、3−メチルグルタリックアンハイドライド、ジグルコリックアンハイドライド、2,3−ピラジネジカルボキシリックアンハイドライド、3,3−テトラメチレングルタリックアンハイドライド、ジフェニックアンハイドライド、3−エチル−3―メチルグルタリックアンハイドライド、イソニックコチニックアンハイドライド、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボキシリックアンハイドライド、2,2−ジメチルサクシニックアンハイドライド、ヘクサヒドロ−4−メチルフタリックアンハイドライド、3−ヒドロキシフタリックアンハイドライド、アイオドアセチックアンハイドライドなどのカルボキシ酸無水物化合物などを含むことができる。
【0023】
また、YがSである場合には、化学式(3)の化合物はジアシルスルフィドであり、ジアシルスルフィドの例としては、ジベンゾイルスルフィド(Dibenzoyl Sulfide)、ビス(2−メチルベンゾイル)スルフィド(Bis(2−methylbenzoyl)Sulfide)、ビス(3−メチルベンゾイル)スルフィド(Bis(3−methylbenzoyl)Sulfide)、ビス(4−メチルベンゾイル)スルフィド(Bis(4−methylbenzoyl)Sulfide)、ビス(4−メトキシベンゾイル)スルフィド(Bis(4−methoxybenzoyl)Sulfide)、ビス(4−クロロベンゾイル)スルフィド(Bis(4−chlorobenzoyl)Sulfide、ビス(4−ニトロベンゾイル)スルフィド(Bis(4−nitrobenzoyl)Sulfide)、ジプロピオニルスルフィド(Dipropionyl Sulfide)、ジブチルスルフィド(Dibutyryl Sulfide)、ビス(2−メチルプロピオニル)スルフィド(Bis(2−methylpropionyl)Sulfide)、ビス(3−メチルプロピオニル)スルフィド(Bis(3−methylpropionyl)Sulfide)、ビス(4−メチルプロピオニル)スルフィド(Bis(4−methylpropionyl)Sulfide)、ジヘキサノイルスルフィド(Di−n−hexanoyl Sulfide)、ジステアロイルスルフィド(Distearoyl Sulfide)、ビスフェノキシアセチルスルフィド(Bis(phenoxyacetyl)Sulfide)などのジアシルスルフィド(Diacyl Sulfide)化合物を含むことができる。
【0024】
以下、各ステップについて、具体的な実施例を参照しながら説明する。
(a)ステップは、無水マグネシウムハライドを無水アルコールと炭化水素溶媒に溶解した後、ここに沈澱促進剤を加えて60〜150℃で1〜5時間に亘って反応させてマグネシウム担体混合溶液を製造するステップである。
【0025】
すなわち、(a)ステップは、マグネシウム担体混合溶液を製造するステップであって、無水二塩化マグネシウム1モルを0.1〜20モル、好ましくは0.1〜10モルの無水アルコールと0.1〜20モルの炭化水素溶媒に溶解した後、ここに0.001〜10モル、好ましくは0.001〜1モルの沈澱促進剤を加え、60〜150℃で1〜5時間に亘って反応させてマグネシウム担体混合溶液を製造する。
【0026】
前記炭化水素溶媒は、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタタデカンなどの脂肪族系炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの置換族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素を含むことができ、好ましくは脂肪族系炭化水素、より好ましくはデカンである。
【0027】
前記沈澱促進剤は触媒粒子生成速度を調節する役割をし、無水アセト酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水コハク酸などの無水有機酸、アセト酸、プロピオン酸、ブチル酸、アクリル酸、メタアクリル酸などの有機酸、アセトン、メチルエチルケトン、ベンゾフェノンなどのケトン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、1,3−ジエーテルなどのエーテル、アルデヒド、サクシネート、ジアシルスルフィド、アミド、およびその混合物を含むことができ、好ましくは無水有機酸、より好ましくは無水フタル酸である。沈澱促進剤の濃度は、無水二塩化マグネシウム1モルあたり0.01〜10モル、好ましくは0.01〜1モルを用いることが好ましい。
【0028】
ここで、無水マグネシウムハライドは化学式(1)の構造を有し、特に、無水二塩化マグネシウム(MgCl)を用いることが好ましい。
【0029】
【化1】

【0030】
前記化学式(1)において、Mは金属であり、Xはハロゲン、RはC〜C10ヒドロカルビルオキシであり、nは金属の酸化数0〜2である。
【0031】
好ましくは、XはCl、Br、Iであり、RはC〜Cアルコキシまたはフェノキシである。
【0032】
より好ましくは、前記化学式(1)において、XはClであり、Rはエトキシ、ブトキシある。最も好ましくは、前記化学式(1)において、XはClである。
【0033】
前記(b)ステップは、固体触媒の沈殿物を得るステップであって、マグネシウム1モルあたり1〜20モルの化学式(2)で表示される遷移金属化合物と炭化水素溶媒を−40〜10℃の間で冷却させた後、ここにマグネシウム担体混合物を1〜5時間に亘って徐々に滴下した後、0.1〜5ml/minの速度で温度を70〜130℃で1〜6時間に亘って昇温させた後、1〜4時間に亘って反応した後に沈殿物を得る。このとき、温度条件と昇温速度が担体均一性に影響を及ぼす。
【0034】
【化2】

【0035】
前記化学式(2)において、Mは金属であり、Xはハロゲン、RはC〜C10ヒドロカルビルオキシであり、nは金属の酸化数0〜4である。
【0036】
好ましくは、前記化学式(2)において、MはTi、Zr、Hf、RfなどのIVB族、V、Nb、Ta、DbなどのVB族、またはCr、Mo、W、SgなどのVB族であり、
XはCl、Br、Iであり、RはC〜Cアルコキシまたはフェノキシである。
【0037】
より好ましくは、前記化学式(2)において、MはTi、Zr、Hf、RfなどのIVB族であり、XはClであり、Rはエトキシ、ブトキシある。最も好ましくは、前記化学式(2)において、MはTiであり、RはClである。
【0038】
前記(c)ステップは、固体触媒沈殿物を炭化水素溶媒で洗浄した後、マグネシウム1モルあたり1〜20モルの遷移金属化合物と0.01〜2モルの内部電子供与体を50〜130℃で添加して1〜5時間に亘って反応させ、固体成分をろ過して化合物を得る。製造された化合物は、炭化水素溶媒としてチタニウム成分が検出されないまで洗浄して固体触媒を得る。
【0039】
ここで(c)ステップで内部電子供与体を添加するものと記載されているが、内部電子供与体は必ずしも(c)ステップで添加する必要はなく、(a)ステップで沈澱促進剤と共に添加しても問題ない。また、(a)ステップと(c)ステップで同時に添加してもよい。
【0040】
上述した方法によって製造された固体触媒の構成成分は、触媒総重量に対し、チタニウム0.1〜6.0重量%、マグネシウム10〜30重量%、ハロゲン40〜70重量%、および内部電子供与体5〜30重量%を含む。また、前記製造された固体触媒は、高活性、高立体規則性、および広い分子量分布および低微分含量を示し、触媒活性向上のために担体に遷移金属化合物が盛られた形態で製造されることが好ましい。
【0041】
前記製造された固体触媒をオレフィン重合に適用するときには、前記製造された触媒を主触媒とし、下記化学式(4)で表示される有機アルミニウム化合物を助触媒とし、下記化学式(5)で表示される外部電子供与体を副触媒として用いる。
【0042】
【化4】

【0043】
前記化学式(4)において、RはC〜C20アルキルであり、Xはハロゲンであり、nは0〜3である。
【0044】
【化5】

【0045】
前記化学式(5)において、RはC〜C20ヒドロカーボンであり、好ましくはC〜C10アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C20アリール、C〜C10アルケニル、A〜C10ハロアルキル、またはC〜C10アミノアルキル、クロリンであり、RはC〜C20ヒドロカーボンであり、好ましくはC〜C10アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C20アリール、C〜C10アルケニル、C〜C10アルコキシアルキルであり、nは0〜4である。
【0046】
前記化学式(5)で表示される化合物は有機シリコン化合物が好ましく、具体的には、トリエチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジソプロピルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランジ、好ましくはジフェニルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジトキシシランである。
【0047】
外部電子供与体は重合時に助触媒と共に用いられ、必要によって用いることができる。外部電子供与体の濃度は、助触媒モルあたり0.001〜50モル%、好ましくは0.01〜20モル%、より好ましくは0.02〜10モル%を含む。
【0048】
もし、外部電子供与体の濃度が0.001モル%未満であれば立体規則性が改善されないという問題点が発生し、50モル%を超過すれば立体規則性にこれ以上影響を及ぼさない。
【0049】
本発明に係る固体触媒をオレフィン重合に適用すれば、重合物の立体規則性と活性が高く、分子量分布が広いポリオレフィンを製造することができる。
【0050】
重合用オレフィンはCH=CHRであり、ここで、RはHまたはC〜C12である。
【0051】
本発明において「重合」とは、単独重合だけはなく共重合も含む。
【0052】
重合反応は、気状、液状、または溶液状で行われることができる。液状で重合反応を行うときは炭化水素溶媒を用いてもよく、オレフィン自体を溶媒として用いることもできる。重合温度は、通常は−50〜350、好ましくは0〜200の範囲が適当である。もし、重合温度が−50未満であれば触媒の活性が良くなく、350を超過すれば立体規則性が低下するため好ましくない。重合圧力は、通常は常圧〜250atm/、好ましくは常圧〜200atm/であり、重合反応は回分式、半連続式、連続式のうちのいずれかの方法によって行うことができる。重合圧力が250atm/以上の場合には、工業的および経済的の側面において好ましくない。
【0053】
本発明に係る固体触媒を用いて製造されたポリオレフィンには、通常に添加される熱安定剤、光安定剤、難燃剤、カーボンブラック、顔料、酸化防止剤などを添加することができる。また、前記製造されたポリオレフィンは、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリブテン、EP(エチレン/プロピレン)ゴムなどと混合して用いることもできる。
【0054】
本発明に係るオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒は、高活性と高立体規則性を示すため、原料内の高価なチタニウムの使用量を大幅に減少させることができ、触媒製造費用を節減する効果がある。また、本発明のチーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたポリオレフィンは、粒子が大きくて均一であり、分子量分布を広く示すため、板、フィルム、容器、および繊維などの成形材料として有効に用いることができる。
【0055】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし後述する実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、実施例によって本発明の内容が限定されることはない。
【実施例】
【0056】
実施例と比較例
触媒性能評価実験
本発明に係るオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の性能を評価するために、下記のような実験を実行した。
【0057】
2Lの大きさの重合反応器を利用してプロピレンの重合を行った。反応器内を3torr以下の真空で減圧させ、高純度の窒素を満たし入れる過程を5回繰り返した。反応器に500gのプロピレンと750ccの水素を常温で満たし入れた後、トリエチルアルミニウム3mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.18mmol、下記のそれぞれの実施例および比較例で製造された触媒0.0044mmolを入れ、反応器の温度を70℃に上げて1時間に亘って反応させた。前記重合体に少量のメタノールを投入して重合を終決させた。反応生成物を約5重量%HCl−メタノールで24時間に亘って撹拌した後、再び綺麗なメタノールで24時間に亘って撹拌して洗浄した後、ろ紙にろ過した後、約80℃で12時間以上に亘って真空乾燥させて最終重合生成物を得た。
【0058】
触媒の活性は、最終重合生成物の重さからkg−ポリマー/g−触媒の単位で求めた。
【0059】
ポリプロピレンの立体規則性(I.I.:isotacticity index)は、沸騰したヘプタンに溶けない量の立体規則性で行った。重合体は予め熱安定剤で処理し、分析中の分解を防止した。一定量の完全に乾燥させた重合体を円筒ろ紙(timble filter)に定量して入れた後、ソックスレ形態(Soxhlet type)抽出装置でヘプタンとして抽出した。抽出時間は5時間に固定し、抽出後に溶けずに残った重合体を収去して80℃で真空乾燥させた後に定量して重さを測定し、溶けずに残った重合体の重さと本来入れた重合体の重さの比によって立体規則性を求めた。
【実施例1】
【0060】
実施例1:
高純度窒素雰囲気下において、攪拌機付きの二重ジャケットガラス反応器内に無水二塩化マグネシウム4.8g(0.05mol)と2−エチル−1−ヘキサノール25ml(0.16mol)、デカン23ml(0.12mol)を入れて温度を130℃に上げた後、澄んだ溶液が生成されるまで撹拌した。ここに無水フタル酸1.4g(0.01mol)を添加して1時間に亘って撹拌し、マグネシウム担体混合溶液を製造した。四塩化チタニウム14ml(0.1mol)とトルエン100ml(0.94mol)を温度−20℃に低めた後、マグネシウム担体混合溶液を徐々に滴下した後、0.5ml/minの速度で110℃まで温度を一定に上げた後、2時間に亘って温度を維持して化合物を得た。前記化合物をトルエンで2回洗浄した後、四塩化チタニウム25ml(0.23mol)とトルエン100ml(0.94mol)を入れて110℃まで昇温した後、ジベンゾイルスルフィド2.4g(0.010mol)を添加して2時間に亘って反応させて沈殿物を得た。この後、固体成分をろ過してトルエンとヘキサンで洗浄して固体触媒を得た。
【実施例2】
【0061】
実施例2:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにビス(2−メチルベンゾイル)スルフィド2.7g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例3】
【0062】
実施例3:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにビス(3−メチルベンゾイル)スルフィド2.7g(0.05mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例4】
【0063】
実施例4:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにビス(4−メチルベンゾイル)スルフィド2.7g(0.05mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例5】
【0064】
実施例5:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにビス(4−メトキシベンゾイル)スルフィド3.0g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例6】
【0065】
実施例6:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにビス(4−クロロベンゾイル)スルフィド3.1g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例7】
【0066】
実施例7:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにビス(4−ニトロベンゾイル)スルフィド3.3g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例8】
【0067】
実施例8:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにジプロピオニルスルフィド1.5g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例9】
【0068】
実施例9:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにジブチリルスルフィド1.7g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例10】
【0069】
実施例10:
記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにビス(2−メチルプロピオニル)スルフィド1.7g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例11】
【0070】
実施例11:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにジノーマルヘキサノイルスルフィド2.3g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例12】
【0071】
実施例12:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにジステアロイルスルフィド5.7g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例13】
【0072】
実施例13:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにビスフェノキシアセチルスルフィド3.0g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例14】
【0073】
実施例14:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにブチリックアンハイドライド1.6g(0.010mol)を用いたことを除いては、実施例14と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例15】
【0074】
実施例15:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにベンゾイックアンハイドライド2.3g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例14と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例16】
【0075】
実施例16:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにアセチックアンハイドライド1.0g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例14と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例17】
【0076】
実施例17:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにイソブチリックアンハイドライド1.6g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例14と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例18】
【0077】
実施例18:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにN−ベンゾイル−N−メチルベンズアミド(N−Benzoyl−N−methylbenzamide)2.5g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例19】
【0078】
実施例19:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにN−ベンゾイル−N−エチルベンズアミド(N−Benzoyl−N−ethylbenzamide)2.5g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例20】
【0079】
実施例20:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにN−ベンゾイル−N−プロピルベンズアミド(N−Benzoyl−N−propylbenzamide)2.7g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【実施例21】
【0080】
実施例21:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにN−ベンゾイル−N−フェニルベンズアミド(N−Benzoyl−N−phenylbenzamide)3.0g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【0081】
比較例1:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにジエチルフタレート2.2g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【0082】
比較例2:
前記実施例1において、ジベンゾイルスルフィドの代わりにジアイソブチルフタレート2.8g(0.01mol)を用いたことを除いては、実施例1と同じようにして固体触媒を製造した。
【0083】
触媒の重合活性、重合生成物の立体規則性、および特性を表1に示した。
【0084】
【表1】

【0085】
表1に示すように、本発明に係る内部電子供与体として化学式(3)の構造を有するアミド、カルボキシ酸無水物、ジアシルスルフィドを用いたオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒は、高活性、高立体規則性、および低微分含量を示すことを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部電子供与体として化学式(3)の構造を有する化合物が用いられたことを特徴とする、オレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒。
【化3】

・・・(3)
ここで、YはN−R、O、またはSのうちのいずれか1つであり、R、RとRは同じであるか、または異なることがあり、水素またはC〜C20線形または枝型アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリール置換体、アルキルアリール、アルキルアリール置換体、またはヘテロアトムを含むアルキルアリールである。
【請求項2】
前記化学式(3)は、YがN−Rであるアミドであり、前記アミドは、N−ベンゾイル−N−メチルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−エチルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−プロピルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−イソプロピルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−ブチルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−ヘキシルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−シクロペンチルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−シクロヘキシルベンズアミド、N−ベンゾイル−N−フェニルベンズアミド、N−プロピオニル−N−メチルベンズアミド、N−プロピオニル−N−エチルベンズアミド、N−プロピオニル−N−プロピルベンズアミド、N−プロピオニル−N−イソプロピルベンズアミド、N−プロピオニル−N−ブチルベンズアミド、N−プロピオニル−N−ヘキシルベンズアミド、N−プロピオニル−N−シクロペンチルベンズアミド、N−プロピオニル−N−シクロヘキシルベンズアミド、N−プロピオニル−N−メチルベンズアミド、N−ブチリルN−エチルベンズアミド、N−ブチリル−N−プロピルベンズアミド、N−ブチリル−N−イソプロピルベンズアミド、N−ブチリル−N−ブチルベンズアミド、N−ブチリル−N−ヘキシルベンズアミド、N−ブチリル−N−シクロペンチルベンズアミド、またはN−ブチリル−N−シクロヘキシルベンズアミドであることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒。
【請求項3】
前記化学式(3)は、XがOであるカルボキシ酸無水物であり、前記カルボキシ酸無水物は、アセチックアンハイドライド、プロピオニックアンハイドライド、パルミチックアンハイドライド、ヘプタノイックアンハイドライド、ヘキサノイックアンハイドライド、ステアリックアンハイドライド、ノナノイックアンハイドライド、2−エチルヘキサノイックアンハイドライド、2−スルホベンゾイックアンハイドライド、1,8−ナプタリックアンハイドライド、フタリックアンハイドライド、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボキシリックアンハイドライド、ベンゾイックアンハイドライド、グリシンアンハイドライド、サクシニックアンハイドライド、マレイックアンハイドライド、グルタリックアンハイドライド、テトラクロロフタリックアンハイドライド、3−メチルフタリックアンハイドライド、3−クロロフタリックアンハイドライド、イサトイックアンハイドライド、カルビックアンハイドライド、3−フルオロフタリックアンハイドライド、4−フルオロフタリックアンハイドライド、4−メチルフタリックアンハイドライド、トリフルオロフタリックアンハイドライド、テトラフルオロフタリックアンハイドライド、クロロアセチックアンハイドライド、シトラコニックアンハイドライド、テトラブロモフタリックアンハイドライド、2,3−ピリジネジックカルボキシリックアンハイドライド、ホモフタリックアンハイドライド、シス−1,2,3,6−テラヒドロフタリックアンハイドライド、4,5−ジクロロフタリックアンハイドライド、トリメチルアセチックアンハイドライド、イタコニックアンハイドライド、3,4,5,6−テトラヒドロフタリックアンハイドライド、2,2−ジメチルグルタリックアンハイドライド、3,3−ジメチルグルタリックアンハイドライド、2−フェニルグルタリックアンハイドライド、ジクロロアセチックアンハイドライド、3−メチルグルタリックアンハイドライド、ジグルコリックアンハイドライド、2,3−ピラジネジカルボキシリックアンハイドライド、3,3−テトラメチレングルタリックアンハイドライド、ジフェニックアンハイドライド、3−エチル−3メチルグルタリックアンハイドライド、イソニックコチニックアンハイドライド、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボキシリックアンハイドライド、2,2−ジメチルサクシニックアンハイドライド、ヘクサヒドロジ−4−メチルフタリックアンハイドライド、3−ヒドロキシフタリックアンハイドライド、またはアイオドアセチックアンハイドライドであることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒。
【請求項4】
前記化学式(3)は、YがSであるジアシルスルフィドあり、前記ジアシルスルフィドは、ジベンゾイルスルフィド(Dibenzoyl Sulfide)、ビス(2−メチルベンゾイル)スルフィド(Bis(2−methylbenzoyl)Sulfide)、ビス(3−メチルベンゾイル)スルフィド(Bis(3−methylbenzoyl)Sulfide)、ビス(4−メチルベンゾイル)スルフィド(Bis(4−methylbenzoyl)Sulfide)、ビス(4−メトキシベンゾイル)スルフィド(Bis(4−methoxybenzoyl)Sulfide)、ビス(4−クロロベンゾイル)スルフィド(Bis(4−chlorobenzoyl)Sulfide)、ビス(4−ニトロベンゾイル)スルフィド(Bis(4−nitrobenzoyl)Sulfide)、ジプロピオニルスルフィド(Dipropionyl Sulfide)、ジブチルスルフィド(Dibutyryl Sulfide)、ビス(2−メチルプロピオニル)スルフィド(Bis(2−methylpropionyl)Sulfide)、ビス(3−メチルプロピオニル)スルフィド(Bis(3−methylpropionyl)Sulfide)、ビス(4−メチルプロピオニル)スルフィド(Bis(4−methylpropionyl)Sulfide)、ジヘキサノイルスルフィド(Di−n−hexanoyl Sulfide)、ジステアロイルスルフィド(Distearoyl Sulfide)、またはビスフェノキシアセチルスルフィド(Bis(phenoxyacetyl)Sulfide)であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒。
【請求項5】
(a)無水マグネシウムハライドを無水アルコールと炭化水素溶媒に溶解した後、ここに沈澱促進剤を加えてマグネシウム担体混合溶液を製造するステップ、(b)前記マグネシウム担体混合物を遷移金属化合物に添加して反応させて沈殿物を得るステップ、(c)前記沈殿物を洗浄して固体触媒を得るステップを含むオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法であって、前記オレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法に用いられる内部電子供与体は化学式(3)の構造を化合物とし、前記内部電子供与体は前記(a)ステップまたは(c)ステップのうちのいずれか1つ以上のステップに添加されることを特徴とする、オレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【化3】

・・・(3)
ここで、YはN−R、O、またはSのうちのいずれか1つであり、R、RとRは同じであるか、または異なることがあり、水素またはC〜C20線形または枝型アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリール置換体、アルキルアリール、アルキルアリール置換体、またはヘテロアトムを含むアルキルアリールである。
【請求項6】
前記(a)ステップにおいて、沈澱促進剤は、無水有機酸、有機酸、エーテル、アルデヒド、ケトン、ジアシルスルファイド、アミドで構成された群から選択されたいずれか1つ以上であることを特徴とする、請求項5に記載のオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項7】
前記(a)ステップにおいて、沈澱促進剤は、無水アセト酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、アセト酸、プロピオン酸、ブチル酸、アクリル酸、メタアクリル酸、アセトン、メチルエチルケトン、ベンゾフェノン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、1,3−ジエーテルなどのエーテル、アルデヒド、サクシネート、ジアシルスルフィド、アミド、およびその混合物であることを特徴とする、請求項5に記載のオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項8】
前記(a)ステップにおいて、無水マグネシウムハライドは、化学式(1)の構造を有することを特徴とする、請求項5に記載のオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【化1】

ここで、Mは金属であり、Xはハロゲン、RはC〜C10ヒドロカルビルオキシであり、nは金属の酸化数0〜2である。
【請求項9】
前記(a)ステップにおいて、無水マグネシウムハライドは無水二塩化マグネシウムであることを特徴とする、請求項8に記載のオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項10】
前記遷移金属化合物は、化学式(2)の構造を有することを特徴とする、請求項5に記載のオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【化2】

ここで、Mは金属であり、Xはハロゲン、RはC〜C10ヒドロカルビルオキシであり、nは金属の酸化数0〜4である。
【請求項11】
前記MはTi、Zr、Hf、RfのIVB、またはCr、Mo、W、SgのVB族であり、XはCl、Br、I、Rはエトキシ、ブトキシ、クロロトリエトキシ、ジクロロジトキシ、トリクロロエトキシであることを特徴とする、請求項10に記載のオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項12】
前記MはTiであり、RはClであることを特徴とする、請求項10に記載のオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項13】
前記炭化水素溶媒は、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタタデカン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、およびキシレンからなる群より選択された1種以上であることを特徴とする、請求項5に記載のオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項14】
重合用オレフィンはCH=CHRであり、ここで、RはHまたはC〜C12であることを特徴とする、請求項5に記載のオレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項15】
請求項5〜14のうちのいずれかの項に記載の方法によって製造された固体触媒であって、前記固体触媒の構成成分は触媒総重量に対し、チタニウム0.1〜6.0重量%、マグネシウム10〜30重量%、ハロゲン40〜70重量%、および内部電子供与体5〜30重量%を含むことを特徴とする、オレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒。
【請求項16】
請求項5〜14のうちのいずれかの項に記載の方法によって製造された固体触媒、化学式(4)で表示される有機アルミニウム化合物、および化学式(5)で表示される外部電子供与体を含むことを特徴とする、オレフィン重合用チーグラー・ナッタ触媒。
【化4】

前記化学式(4)において、RはC〜C20アルキルであり、Xはハロゲンであり、nは0〜3である。
【化5】

ここで、RとRはC〜C20ヒドロカーボンであり、nは0〜4である。

【公表番号】特表2013−515835(P2013−515835A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547027(P2012−547027)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【国際出願番号】PCT/KR2010/009523
【国際公開番号】WO2011/081460
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(501434948)ヒョスン・コーポレーション (18)
【氏名又は名称原語表記】HYOSUNG CORPORATION
【Fターム(参考)】