説明

オンラインシステムの制御方法及びオンラインシステム

【課題】時間をオンライン制御の要素として用いるオンラインサービスにおけるサーバの処理負担の低減及びデータの信頼性が担保されたオンラインシステムの制御方法及びオンラインシステムを提供する。
【解決手段】本発明のネットワークNを介してユーザ端末300と接続され、ユーザ端末300との間で少なくとも計時データを用いたオンライン制御を遂行するサーバ100を備えたオンラインシステムの制御方法は、ユーザ端末300に設けられた計時手段332により、ユーザ端末300がオンラインサービスに伴う計時処理を遂行するステップと、計時処理における所定のタイミングでサーバ100に計時処理要求を送信するステップと、サーバ100が、計時処理要求の受信に応答して計時データを生成するステップと、サーバ100が、生成された計時データを用いたオンライン制御を行うステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ及びクライアント(ユーザ端末)間のオンラインシステムの制御方法に関し、詳しくは、複数のユーザが少なくとも計時データを用いたオンライン制御を遂行するサーバに接続して行われるオンラインサービスに係るオンラインシステムの制御方法及びオンラインシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット等のネットワークを経由して提供されるゲームサービスに、オンラインゲームサービスがある。オンラインゲームサービスは、インターネットを介して接続するユーザ端末とデータ通信を行いながらゲームを進行し、インターネットを介して複数ユーザが同時に同じゲームに参加することが可能である。なお、オンラインゲームは、複数のユーザがオンライン上で同時に同じゲーム進行(ゲーム空間)を共有するシステムの総称であるが、例えば、ゲームサーバとデータ通信を行いながらゲームを個別に進行するネットワークゲームもオンラインゲームとして位置付けられている。
【0003】
特許文献1には、ゲームサーバとしてのゲームデータ配信装置とクライアントとしての携帯端末機との間でデータ通信を行いながら、ユーザ(プレーヤ)の操作情報に基づいて進行される育成シュミレーションゲームが提案されている。この育成シュミレーションゲームは、時間(ゲーム内時間(仮想時間)、実時間)をゲーム制御の要素として用い、ゲーム進行中の進行時間や当該ゲームをプレイしてから再開するまでの時刻(ゲーム終了時刻から次回ゲーム開始時刻までの経過時間)を計時するなどして、これらの計時結果をキャラクタの能力パラメータ増減等の制御に反映させている。
【0004】
図11は、従来のオンライン育成シュミレーションゲームにおけるゲームサーバとユーザ端末間の処理遷移を説明するためのフローチャートである。
【0005】
まず、ユーザは、オンラインサービスを提供するオンラインゲーム提供システムの認証サーバによるログイン処理を経て(ステップS1301、S1201)、オンラインゲーム提供システムが提供するゲーム開始(起動)画面から所望のゲームを開始する(ステップS1302)。ユーザ端末からのゲーム開始要求を受信したゲームサーバは、ユーザ端末とのゲームセッションを確立し(ステップS1101)、ゲーム制御を開始する(ステップS1102)。
【0006】
従来の育成シュミレーションゲームでは、ゲーム開始時から計測した時間を計時データとして用い、例えば、10分経過毎に、育成キャラクタが1歳年を取るように当該育成キャラクタのパラメータを変更するなどのゲーム制御が行われる。このため、ゲームサーバでは、各ユーザに対して個別に計時処理を行い(計時処理を起動、ステップ1103)、ゲーム終了まで計時処理による時間計測を行う(ステップS1107)。なお、経過時間に応じたゲーム制御は、任意に設定可能であり、仮想時間若しくは実時間を基準にキャラクタのゲームパラメータを変化させることができる。さらにゲームサーバは、計時データを用いたゲーム制御に加え、ユーザ端末に入力された操作入力情報を受信し、ゲームルールに応じたゲーム制御を行う。このゲーム制御は、計時データと連動させてパラメータ増減値を変化させることもできる。
【0007】
ゲームが開始されると、ユーザは、ユーザ端末のマウス、キーボード等の操作入力手段を介してゲーム空間内の育成キャラクタを操作することができ、ゲーム空間内のキャラクタ移動、アイテム使用、他のキャラクタとの対戦、その他ゲームルールに基づく育成キャラクタの操作が可能となる(ステップS1303)。これらのユーザ操作入力情報は、ゲームサーバに送信され、ユーザからの操作入力情報に基づいたゲーム制御が行われる(ステップS1104)。また、上述のように、計時処理による計時データを用いたゲーム制御もユーザ操作入力情報と連動して、又は独立して行われる。そして、ゲームサーバは、ゲーム制御の結果を反映させたユーザ端末でのゲーム表示を行うために、ユーザ端末にゲーム制御情報を送信し(ステップS1105)、ユーザ端末では、受信したゲーム制御情報を用いて育成キャラクタ及びゲーム空間の表示制御を行い、ディスプレイ等の表示部にゲーム表示を行う(ステップS1304)。
【0008】
これらの処理は、ユーザが当該ゲームの終了操作を行うまで、又はゲームルールに基づくゲーム終了の際まで繰り返し行われる(ステップS1305)。ユーザが当該ゲームを終了させる場合、ユーザ端末からゲーム終了要求がゲームサーバに送信され(ステップS1306)、ゲームサーバ側でのゲーム終了処理が実行される(ステップS1106)。ゲーム終了処理は、ユーザのゲームデータ(セーブデータ)の格納処理、ゲームセッションの終了処理、及び該ユーザに対する計時終了処理が含まれる(ステップS1107、S1108)。
【0009】
【特許文献1】特開2001−79270号公報(図5等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
通常、オンラインゲームでは、上述のように、ユーザ端末に入力されるユーザの操作入力情報に基づき、ゲームサーバ側においてゲームキャラクタのパラメータ増減処理、イベント発生処理(イベント判定処理)、シナリオ処理などのゲーム進行において主要なゲーム制御処理が行われ、ユーザ端末側は、ゲームサーバから送信されるゲーム制御情報(表示制御データ)に基づくゲーム表示の機能(インターフェース機能)のみを担う。
【0011】
このようにユーザ端末側において上記主要なゲーム制御処理を遂行しない理由は、オンラインゲームにおけるゲーム公正性担保の必要性にある。すなわち、オンラインゲームは、インターネットを介して複数のユーザが同時に参加することが可能であることから、公正なゲーム進行が実現されていないと、ユーザの当該ゲームへの興味がそがれてしまう。このため、ゲーム進行におけるゲーム制御処理をゲームサーバ側で遂行させ、ユーザ端末側(クライアント側)では、ゲーム表示等のインターフェース機能のみを遂行させることで、ユーザ端末側でのゲームデータの改ざんや不正なゲーム制御を防止している。
【0012】
しかしながら、このような状況は、ゲームサーバ側に大きな負担を強いることになる。つまり、インターネットを介して複数の人が同時に参加することが可能であるオンラインゲームは、複数のユーザに対する各ゲーム制御を同時並行して行わなければならず、参加するユーザ数が増加すると、ゲームサーバにおけるゲーム処理負荷が増加し、レスポンス性を低下させ、ゲームサービスの品質に劣化させる要因となる。
【0013】
特に、上記特許文献1の育成シュミレーションゲームに代表されるように、計測した時間をゲーム制御の要素として用いる場合、ゲームサーバは、通常のゲーム制御処理に加え、ゲーム進行中常にプレイ時間を計測する計時処理を各ユーザに対して行う必要がある。言い換えれば、1つのゲームに対して複数のユーザが参加、若しくは複数のユーザが個々にゲームを行う場合、ゲームサーバは、各ユーザ分の計時(タイマー)処理を同時に立ち上げて処理しなければならず、処理負担が極めて大きなものとなる(図11参照)。
【0014】
そこで、本発明の目的は、時間をオンライン制御の要素として用いるオンラインサービスにおけるサーバの処理負担の低減及びデータの信頼性が担保されたオンラインシステムの制御方法及びオンラインシステムを提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、時間をゲーム制御の要素として用いるオンラインゲームにおけるゲームサーバの処理負担を低減させるとともに、ゲームの公正性が担保されたゲーム制御方法及びゲームシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の1つの観点としてのオンラインシステムの制御方法は、ネットワークを介してユーザ端末と接続され、上記ユーザ端末との間で少なくとも計時データを用いたオンライン制御を遂行するサーバを備えたオンラインシステムの制御方法であって、上記ユーザ端末に設けられた計時手段により、上記ユーザ端末がオンラインサービスに伴う計時処理を遂行するステップと、上記計時処理における所定のタイミングで上記サーバに計時処理要求を送信するステップと、上記サーバが、上記計時処理要求の受信に応答して計時データを生成するステップと、上記サーバが、生成された計時データを用いた上記オンライン制御を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、上記1つの観点としてのオンラインシステムの制御方法を適用したオンラインシステムは、ユーザ端末と、ネットワークを介して上記ユーザ端末と接続され、該ユーザ端末との間で少なくとも計時データを用いたオンライン制御を遂行するサーバとを備えたオンラインシステムであって、上記ユーザ端末が、上記オンライン制御に基づくオンラインサービスにおけるユーザ端末側の処理を行う処理手段と、上記オンラインサービスに伴う計時処理を遂行する計時手段と、上記計時処理における所定のタイミングで上記サーバに計時処理要求を送信する計時処理要求手段とを有し、上記サーバが、上記計時処理要求の受信に応答して計時データを生成する計時データ制御手段と、生成された計時データを用いた上記オンライン制御を行う制御手段と、有することを特徴とする。
【0018】
本発明の他の観点としてのオンラインシステムのゲーム制御方法は、ネットワークを介してユーザ端末と接続され、上記ユーザ端末との間で少なくとも計時データを用いたゲーム制御を遂行するゲームサーバを備えたオンラインシステムのゲーム制御方法であって、上記ユーザ端末に設けられた計時手段により、当該ユーザ端末がオンラインゲームに伴う計時処理を遂行するステップと、上記計時処理における所定のタイミングで上記ゲームサーバに計時処理要求を送信するステップと、上記ゲームサーバが、上記計時処理要求の受信に応答して上記計時データを生成するステップと、上記ゲームサーバが、生成された計時データを用いた上記ゲーム制御を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明のさらなる他の観点としてのオンラインシステムのゲーム制御方法、複数のプレイヤが同時に同じゲームを共有するためのゲーム空間を提供するとともに、少なくとも計時データを用いたゲーム制御を遂行するゲームサーバを備えるオンラインシステムのゲーム制御方法であって、ネットワークを介して上記ゲームサーバに接続されるプレイヤのユーザ端末が、該ユーザ端末に設けられたオンラインゲームに伴う計時処理を遂行するステップと、上記ユーザ端末が上記計時処理における所定のタイミングで上記ゲームサーバに計時処理要求を送信するステップと、上記ゲームサーバが、上記ユーザ端末から上記計時処理要求の受信した場合に、上記ゲーム空間内の複数のプレイヤの各計時データを生成するステップと、生成された各計時データを用いて、複数の各プレイヤに応じた上記ゲーム制御を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、オンラインサービスに伴う計時処理がユーザ端末側で実行され、かつオンライン制御に用いられる計時データが、ユーザ端末から送信される計時処理要求に基づいてサーバ側で生成されるため、サーバの処理負担を低減させることが可能となるとともに、オンライン制御に係る計時データの管理がサーバ側で遂行され、好適なデータの信頼性に基づくオンラインサービスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0022】
本発明のオンラインシステムの制御方法は、時間をオンライン制御の要素として用いるオンラインサービス提供システムに適用され、計時処理(若しくは計時処理に準じる処理)を行う計時手段が、オンラインサーバ側ではなく、各ユーザ端末側に設けられる。すなわち、図11に示すように、サーバ側においてユーザ毎に個別の計時(タイマー)機能を遂行させ、計時データを用いた制御を実行するのではなく、サーバが、ユーザ端末の計時処理に基づいて送信される計時処理要求に応じて計時データを生成し、オンラインサービスに係るオンライン制御を行う。なお、以下、本発明のオンラインシステムの制御方法を、プレイ時間等をゲーム制御の要素として用いるオンラインゲームサービス(オンラインゲームシステム)を一例に説明する。
【0023】
なお、本発明のオンラインゲームシステムは、複数のユーザがオンライン上で同時に同じゲーム進行(ゲーム空間)を共有しながら進行する多人数参加型(massively multiplayer)オンラインゲームのみならず、同じゲームであっても複数のユーザに独立したゲーム空間でゲームが進行するオンラインゲームも含まれる。つまり、オンラインゲームの提供形態を問わず、インターネット等のネットワークを介してアクセスする複数のユーザに対してゲームサービスを提供するオンラインゲームシステムに適用される。
【0024】
また、時間をゲーム制御の要素として用いるゲームとしては、例えば、育成ゲーム、シュミレーションゲーム、シューティングゲーム、RPG(ロールプレイングゲーム)、レースゲームなどがあり、各ゲームにおいて時間(ゲーム空間内の仮想時間、若しくは実時間)をゲームパラメータに反映させるゲーム制御としては、プレイ時間により育成キャラクタの年齢や能力パラメータを変化させるゲーム制御、ゲーム空間の背景、音楽などを変化させるゲーム制御、タイムレースや制限時間が設けられたゲームなどにおける計時データを用いたゲーム制御等がある。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係るオンラインゲームシステムの概略図である。本実施形態のオンラインゲームシステムは、ゲームサーバ100、オンラインゲームシステムにインターネット等のネットワークNを介して接続可能なユーザ端末300、当該オンラインゲームシステムによるゲームサービスを受けるユーザの認証処理を行う認証サーバ200、及びユーザ情報DB400を含む。
【0026】
なお、これらの他にコミュニケーション機能、チャット機能を提供するコミュニティーサーバなど、ゲームサービス以外の、若しくはゲームサービスに付随するオンラインサービスのためのサーバを含むことができる。また、ゲームサーバ100、認証サーバ200を含む各サーバは、各機能を担う個別のサーバを適用しているが、これに限らず、1つのサーバ、例えば、ゲームサーバ100に認証サーバ200の機能を組み込み、ゲームサーバ100がユーザ情報DB400に格納された情報を用いてユーザ認証処理を遂行するように構成することも可能である。
【0027】
図2に示すように、本実施形態のゲームサーバ100は、ネットワークNを介したユーザ端末300との通信制御及び認証サーバ200との通信制御を行う通信制御部110、ゲームサーバ100全体の制御を司る制御部(CPU)120、ゲームサービスとして複数のユーザ端末300に提供されるオンラインゲームの制御を行うゲーム制御部130、及び各ゲームのゲームデータを格納するゲームデータベース140で構成されている。
【0028】
本実施形態のゲーム制御部130は、後述するユーザ端末300からの計時処理要求を受信して計時データを生成する計時データ制御部131をさらに有する。計時データ制御部131により生成された計時データは、ゲーム制御部130によりゲーム制御の要素として用いられる。
【0029】
図3に示すように、本実施形態のユーザ端末300は、ネットワークNを介したゲームサーバ100との通信制御を行う通信制御部310、ユーザ端末300全体の制御を司る制御部(CPU)320、ユーザ端末300側のゲーム処理を行うゲームクライアント330を備えるとともに、外部インターフェース340、操作部350(キーボード、マウス、コントローラ等)、表示制御部360、表示部370(表示ディスプレイ)を備える。
【0030】
ゲームクライアント330は、一般的なオンラインゲームにおいて適用される技術であり、ゲームを行うユーザ端末300に対して予め(若しくはゲーム開始時に)インストールされ、ユーザ端末300側のゲーム処理全般を担う。本実施形態のゲームクライアント330は、ゲームサーバ100から送信されるゲーム制御情報に応じて表示制御部360を介した表示部370へのゲーム表示処理を行うゲーム処理部331、ゲームに基づく計時処理を行う計時部332、この計時部332の計時処理における所定のタイミングで計時処理要求をゲームサーバ100に送信する計時処理要求部333、当該ゲームに使用される多様なグラフィックデータ、ゲームルールが定義されたゲーム基本ファイル、及び更新ファイルなどの情報が格納されるゲームデータ格納部334を備える。ゲームデータ格納部334に格納されるデータは、ゲーム開始時、ゲーム終了時、又はゲーム進行中にゲームサーバ100との通信により適宜更新される情報が含まれる。
【0031】
ここで、ゲームサーバ100及びユーザ端末300の各構成等について以下に詳述する。
【0032】
まず、本実施形態の計時データは、上述のように、ゲームサーバ100側の計時手段に基づいて生成されるのではなく、また、ユーザ端末300の計時部332で計測された計測時間データを用いて生成されるのではなく、ゲームサーバ100が、ユーザ端末300の計時部332の計時処理に基づいて送信される計時処理要求を受信することで、生成される。より具体的には、本実施形態の計時データ制御部131は、ユーザ端末300においてユーザのゲーム開始操作に応答してゲーム開始時刻(第1時刻)を当該ユーザと対応付けてゲームデータベース140に格納する。そして、ゲームサーバ100がゲーム実行中にユーザ端末300から送信される計時処理要求を受信すると、計時データ制御部131が、この計時処理要求を受信した時刻(第2時刻)とゲームデータベース140に格納されたゲーム開始時刻との差分(経過時間)を演算し、この差分に基づくゲーム制御のための計時データを生成する。ゲーム制御部130は、生成された計時データを用いたゲーム制御を行い、このゲーム制御の結果をユーザ端末300に反映させるために、ゲーム制御情報を生成して通信制御部110を介してユーザ端末300に送信する。
【0033】
ゲーム開始時刻の取得処理は、ゲームサーバ100のシステムクロックに基づく時間情報を活用することができ、システムクロックに基づく実時間を基準とする時刻をそのままゲームデータベース140に格納してもよく、実時間を基準とする時刻をゲーム内の仮想時間軸を基準に変換した仮想時刻をゲームデータベース140に格納してもよい。また、上記ゲーム開始操作に応答して取得されるゲーム開始時刻(第1時刻)は、ゲームサーバ100がユーザ端末からのゲーム開始要求を受信した際の時刻のみならず、ユーザ端末300とのゲームセッションを確立する際(確立開始時、確立終了時)の時刻、又はゲームセッション確立後にゲーム制御が開始される際の時刻であってもよい。
【0034】
また、ゲーム制御部130は、従来のオンラインゲームと同様に、上記計時データを用いたゲーム制御に加え、ユーザ端末300に入力された操作入力情報を受信し、ゲームルールに応じたゲーム制御を行う。そして、ゲームサーバ100側でのゲーム制御は、ユーザの操作入力情報及び/又は計時制御データに基づくゲームパラメータ生成(更新)処理と、ゲームパラメータの生成に伴い、ユーザ端末300にゲーム制御の結果を表示するためのゲーム制御情報生成処理とが含まれる。生成されたゲームパラメータは、各ユーザに紐付けられてゲームデータベース140に格納される。
【0035】
一方、ユーザ端末300の計時部332は、ゲーム実行中の実時間又はゲーム内の仮想時間を基準に時間を計測する計測処理と、予め設定された任意の所定のタイミングを出力したり、計測処理の計測された時間が所定の時間に達した際の所定のタイミングを出力するタイミング処理とを含む計時処理を行う。そして、本実施形態の計時処理要求部333は、これらの計時部332の計時処理に基づく所定のタイミングで計時処理要求を、通信制御部310を介してゲームサーバ100に送信する。
【0036】
計時部332のタイミング処理についてより具体的に説明すると、第1に、計時部332は、ゲーム及びゲーム進行に対応した任意のタイミング処理を遂行することができる。例えば、0.5秒間隔のタイミングを設定し、0.5秒間隔で計時処理要求部333が計時処理要求をゲームサーバ100に送信したり、ゲーム内仮想時間を基準に15分経過する毎にキャラクタのパラメータ(年齢等)が増加する計時データを用いたゲーム制御が行われる場合に、このパラメータの変動処理時間に合わせたタイミング、すなわち、15分間隔で計時処理要求を送信するタイミングに設定することもできる。
【0037】
第2に、計時部332は、ゲームルールに基づく時間計測における所定のタイミング、例えば、特定のイベントが発生するゲームにあっては、ゲーム進行時間を計測しつつ、計測時間がイベント発生(開始)時間に達した際に、計時処理要求部333が計時処理要求をゲームサーバ100に送信するようにすることができる。また、このイベント発生から終了までの間、上記所定間隔で計時処理要求をゲームサーバ100に送信するように構成することも可能である。
【0038】
また、上述のように、ゲームサーバ100の計時データ制御部131は、ユーザ端末300で計測された計測時間データを用いて計時データを生成しないため、ユーザ端末300からゲームサーバ100に送信される計時処理要求には、計時部332で計測した計測時間データは含まれていない(計測時間データを含ませる必要がない)。
【0039】
また、計時データ制御部131による計時データ生成処理において、本実施形態では、ユーザ端末300からの計時処理要求を受信した時刻(第2時刻)は、ゲームデータベース140又は他の記憶装置に一時的に格納し、当該処理後に消去してデータとしてゲームサーバ100が保持しないように構成している。すなわち、計時データ制御部131は、例えば、所定のタイミングで送信される最新の計時処理要求を受信した時刻を一時的に格納し、ゲームデータベース140から抽出したゲーム開始時刻を用いて計時データを生成し、計時データの生成処理後に、一時的に格納した計時処理要求を受信した時刻をゲームデータベース140又は他の記憶装置から消去する(ゲームサーバ100に計時処理要求の過去の受信時刻を保持しない)。
【0040】
また、計時データ制御部131は、ゲーム終了に応答してゲーム終了時刻を格納する。具体的には、ユーザ端末300のゲーム終了操作に伴い、当該ユーザ端末300から送信されるゲーム終了要求を受信した時刻、ゲーム終了に際してユーザ端末300とのゲームセッションを終了した時刻、及びゲーム中に何らかの理由(ユーザ端末300での強制クローズ、強制シャットダウン操作やゲームサーバ100との通信セッションが確立できなくなった場合など)でゲームセッションが終了(遮断)した際の時刻をゲーム終了時刻(第3時刻)として当該ユーザと対応付けてゲームデータベース140に格納する。
【0041】
そして、本実施形態の計時データ制御部131は、ゲーム終了後に(ゲーム終了時刻格納後、又はゲーム終了時刻の格納と同時に)、ゲーム終了時刻(第3時刻)とゲーム開始時刻(第1時刻)との差分に基づくトータル計時データ生成処理を遂行する。
【0042】
このトータル計時データは、ゲームの不正を防止するために、計時要求処理を受信した時刻に基づくゲーム制御を、最終的なゲームデータとして用いるのではなく、ゲーム開始から終了までの経過時間に基づいて、改めて計時データを算出する。そして、このトータル計時データを用いたゲーム制御により生成されるゲームデータをゲームデータベース140に格納する。
【0043】
次に、図4から図7を参照しながら、本実施形態のオンラインゲームシステムのゲーム制御における処理遷移を説明する。
【0044】
まず、図11に示した従来のオンライン育成シュミレーションゲームと同様に、オンラインゲームサービスの提供を受けるために、ユーザは、予めユーザ登録を行い、ユーザ登録情報が、ユーザ情報データベース400に格納される。そして、認証サーバ200が提供する認証画面からユーザID、パスワードを入力し、認証サーバ200による認証を得る。
【0045】
認証処理後、図4に示すように、ユーザ端末300には、オンラインゲームシステムが提供するゲームのゲーム開始画面から提供され、ユーザは、所望のゲームを開始(起動)する(ステップS301)。ユーザ端末300でのゲーム開始操作は、ゲーム開始要求としてゲームサーバ100に送信される。ゲームサーバ100では、ゲーム開始要求の受信に伴ってゲーム開始処理を実行する。ゲーム開始処理には、ゲーム制御部130が、当該ゲームが初めて当該ユーザに提供されるものであるか否かを判別し、初めて起動されるゲームであれば、上記ゲームクライアント330をユーザ端末300にインストールする処理と、通信制御部110が、ユーザ端末300とのオンライン通信によるゲーム制御を行うためのゲームセッションを確立する処理(ステップS101)と、が含まれる。
【0046】
ゲーム制御部130は、ユーザ端末300とのゲームセッションが確立した後に、ゲーム制御を開始する(ステップS102)。ゲーム制御部130は、まず、当該ユーザのゲームパラメータ(セーブデータ)をゲームデータベース140から抽出し、最新のゲームパラメータに基づくゲーム制御情報を生成し、ユーザ端末300に通信制御部110を介して送信する。このゲーム制御情報は、ユーザ端末300でのゲーム表示処理等に用いられる。なお、ゲーム制御部130は、ユーザ端末300のゲーム開始操作に応答してゲーム開始時刻をゲームデータベース140に格納する。このゲーム開始時刻は、上述のように、ユーザ端末300のゲーム開始操作に応答してゲーム開始要求の受信した時刻、ユーザ端末300のゲーム開始操作に応答してゲームセッションを確立する際(確立開始時、確立終了時)の時刻、若しくは、ユーザ端末300のゲーム開始操作に応答してゲーム制御を開始した時刻のである。
【0047】
ユーザ端末300では、ゲームサーバ100でのゲーム制御開始に伴って、ゲーム処理を開始する。ゲームクライアント330のゲーム処理部331は、ゲームサーバ100から送信されるゲーム制御情報を受信し、表示制御部360を介した表示部370へのゲーム表示を行うとともに、計時部332の計時処理を起動する(ステップS302、S303)。
【0048】
ユーザ(プレイヤ)は、ユーザ端末300の操作部350を介して操作入力を行い(ステップS304)、ゲームを進行させる。ユーザの操作入力情報は、ゲームサーバ100に送信され、この操作入力情報を受信したゲーム制御部130は、ゲームデータベース140に格納された当該ゲームのゲームルールを参照しながら、ゲーム制御を行う(ステップS103)。そして、ゲーム制御部130は、ゲーム制御による結果をユーザ端末300に反映させるため、ゲーム制御情報を生成し、ユーザ端末300に送信する(ステップS104)。ユーザ端末では、受信したゲーム制御情報を用いてゲームデータ格納部334を参照しながら、表示部370への表示制御を行い、表示部370にゲーム表示を行う(ステップS305)。
【0049】
また、ゲーム制御部130は、計時データを用いたゲーム制御を、このユーザの操作入力情報を用いたゲーム制御と連動して、又は独立して行う。
【0050】
ユーザ端末300は、計時部332による計時処理により、所定のタイミングで計時処理要求をゲームサーバ100に送信する(ステップS306)。なお、計時部332が予め設定されたタイミングで計時処理要求部333に送信要求を指示し、計時処理要求部333がこの送信要求指示を契機に計時処理要求をゲームサーバ100に送信するように構成することができる。
【0051】
ゲームサーバ100は、ユーザ端末300から送信される計時処理要求を通信制御部110を介して受信すると、計時データ制御部131が、この計時処理要求を受信した時刻を、ゲームデータベース140又は他の記憶装置に一時的に格納する(ステップS105a)。そして、計時データ制御部131は、この計時処理要求を受信した時刻とゲームデータベース140に格納されたゲーム開始時刻との差分を演算し、この差分に基づいたゲーム制御のための計時データを生成する(ステップS105b)。ゲーム制御部130は、生成された計時データを用いたゲーム制御を行い(ステップS105c)、このゲーム制御の結果をユーザ端末300に反映させるために、ゲーム制御情報を生成して通信制御部110を介してユーザ端末300に送信する(ステップS105d)。ユーザ端末では、受信したゲーム制御情報を用いてゲームデータ格納部334を参照しながら、表示部370への表示制御を行い、表示部370にゲーム表示を行う(ステップS307)。
【0052】
なお、上述のように、計時データの生成後に、計時データ制御部131は、一時的に格納した計時処理要求を受信した時刻をゲームデータベース140又は他の記憶装置から消去する。
【0053】
このステップ105に相当する処理は、例えば、ユーザ端末300の計時部332の計時処理における所定のタイミングが0.5秒間隔である場合、計時処理要求部333は、0.5秒間隔で計時処理要求をゲームサーバ100に送信するので、0.5秒間隔でゲーム実行中に繰り返し行われることになる(図5参照)。
【0054】
ユーザ端末300のゲーム処理部331は、ユーザによるゲーム終了操作を検出するまで(ステップS308)、ユーザのゲーム操作入力情報の送信、計時処理要求の送信処理、ゲーム制御情報を受信してゲーム制御結果を反映させたゲーム表示を行う処理を繰り返し行う(ステップS304、S305、S306、S307)。
【0055】
ユーザがゲーム終了を選択すると、ゲーム処理部331は、ゲーム終了処理を遂行するためのゲーム終了要求をゲームサーバ100に送信し、ユーザ端末300側での計時部332の終了処理を含むゲーム終了処理を実行する(ステップS309、S310)。ゲーム終了要求を受信したゲームサーバ100は、通常のゲーム終了処理(セーブデータの格納、ゲームセッションの終了等)を行うとともに、ユーザ端末300のゲーム終了操作に伴い、当該ユーザ端末300から送信されたゲーム終了要求を受信した時刻をゲーム終了時刻としてゲームデータベース140に格納し、ゲーム終了時刻とゲーム開始時刻との差分に基づくトータル計時データ生成処理を遂行し(ステップS106)、生成されたトータル計時データを、ゲームデータベース140に格納する。
【0056】
図7は、本実施形態のゲームデータベース140に格納されたゲームデータの一例を示すテーブル図である。図7に示すように、ゲーム開始時刻、ゲーム終了時刻、ゲーム開始時刻からゲーム終了時刻までのプレイ時間(トータル計時データ)、及びゲームパラメータ(キャラクタパラメータ)がユーザのユーザIDに紐付けられて格納されている。また、誤差時間は、例えば、15分経過すると1歳が増えるゲームの場合を例に説明すると、ゲーム終了時刻と15分/1歳との差分であり、次回のユーザが当該ゲームを行う際に、この誤差時間を考慮してゲームが開始されるようにする。
【0057】
また、本実施形態のトータル計時データは、1度のゲーム開始から終了までのプレイ時間である。なお、プレイ履歴として、過去のプレイ時間を格納したり、総プレイ時間を格納するようにしてもよい。なお、ゲーム開始時刻、ゲーム終了時刻、プレイ時間(トータル計時データ)の各データは、基本的にユーザのゲームデータとしてゲームデータベース140に常に保持する必要はない。すなわち、後述するように、トータル計時データを用いたゲーム制御は、ゲームパラメータの整合性を担保する処理である。このため、次回のゲーム開始の際に整合性が担保されたゲームパラメータがゲームデータベース140に格納されていればよく、これらのデータは、トータル計時データを用いたゲーム制御後にゲームデータベース140から消去することができる(一時的に記憶されるデータとして位置付けることができる)。言い換えれば、本実施形態では、ゲームデータベース140にこれらのデータを一時的に格納しているが、ゲームデータベース140以外の他の記憶手段に記憶させて、トータル計時データを用いたゲーム制御後に消去するように構成することができる。
【0058】
なお、図4では、説明の便宜のため、ユーザの操作入力情報を用いたゲーム制御(ステップS103、S104)の後に、計時処理要求に基づくゲーム制御(ステップS105)を記載しているが、これらのゲーム制御処理は、同時並行に行われ、上述のように、相互に連動させ、又は各々独立して行う。
【0059】
図6は、トータル計時データを用いたゲーム終了後のゲーム制御を説明するためのフローチャートであり、当該処理は、計時データを用いて生成されるゲームパラメータの整合性を担保する処理である。
【0060】
図6に示すように、ユーザ端末300でのゲーム終了操作に基づいて送信されるゲーム終了要求を受信した場合、若しくは、上述のように、ユーザ端末300からの該ゲーム終了要求の受信に関わらず、ゲーム中に何らかの理由でゲームセッションが遮断された場合(ステップS106a)に、ゲームサーバ100のゲーム制御部130は、ゲームデータ(ゲームパラメータ)をゲームデータベース140に格納するとともに(ステップS107)、ゲーム終了要求を受信した時刻(又はゲームセッションが遮断され、終了した際の時刻)を、ゲームデータベース140に格納する(ステップS108)。また、ユーザ端末300とのゲームセッションが切断されて終了していない場合には、ゲームセッション終了処理もステップS107と同時に又は当該ステップS107の処理後に行う(ステップS109)。
【0061】
その後、計時データ制御部131は、ゲーム開始時刻及びゲーム終了時刻をゲームデータベース140から抽出し(ステップS110)、ゲーム開始からゲーム終了までのトータル計時データを生成する(ステップS111)。ゲーム制御部130は、このトータル計時データを用いてゲームルールに基づくゲーム制御処理を経て、ゲームパラメータを生成する(ステップS112)。
【0062】
そして、ゲーム制御部130は、トータル計時データを用いて生成されたゲームパラメータをゲームデータベース140に格納(更新)する(ステップS113)。この場合、ゲームデータベース140に格納されているゲームパラメータとトータル計時データを用いて生成されたゲームパラメータと比較して、ゲームパラメータが一致しない場合に、ゲームデータベース140に格納されている該当するゲームパラメータを、トータル計時データを用いたゲームパラメータに更新するようにしてもよい。また、各ゲームパラメータの他に、図7に示した誤差時間もトータル計時データを用いて同様に更新することも可能である。トータル計時データを用いたゲーム制御によるゲームパラメータの更新処理後、本実施形態のゲーム制御部130は、ゲームデータベース140に格納されている当該ユーザに係るゲーム開始時刻、ゲーム終了時刻、トータル計時データを、該ゲームデータベース140から消去する(ステップS114)。
【0063】
このように本実施形態のオンラインゲームシステムは、オンラインゲームの計時処理がユーザ端末300側で実行され、かつゲーム制御の要素として用いられる計時データを、ゲーム開始時刻とユーザ端末300から送信される計時処理要求を受信した時刻との差分に基づいてゲームサーバ100側で生成し、ユーザ端末300で生成される計時データを使用しない。このため、ゲームサーバ100側での処理負担を低減させつつ、ゲームの改ざんや不正を好適に防止することが可能となる。より具体的には、本実施形態のオンラインゲームシステムは、ゲームに使用される計時処理機能をユーザ端末300(クライアント)に持たせつつ、計時処理要求のみをゲームサーバ100に送信し、ゲームサーバ100側で生成したゲームデータをユーザ端末300に送信して表示させるので、ゲームサーバ100における計時処理機能の負荷軽減とともに、ゲーム制御に係る計時データの管理がゲームサーバ側で遂行され、プレイヤによるゲームの不正や改ざんを行い難く、好適なデータの信頼性に基づくオンラインゲームサービスを提供することができる。
【0064】
したがって、インターネット等のネットワークを介して複数の人が同時に参加するオンラインゲームであって、計時データを用いたゲーム制御を行うゲームの好適なレスポンス性を実現できるとともに、当該ゲームサービスの品質に劣化させることなく、好適なサービス提供が可能となる。
【0065】
また、本実施形態では、ゲーム開始と終了に基づいて1度のプレイ(プレイ時間)におけるゲームパラメータの整合性を維持している。つまり、計時処理要求の送信及び受信において、何らかのプレイやの不正(改ざん)があった場合や計時処理要求の各受信タイミングでのゲーム制御にエラーがあった場合、ゲームパラメータの整合性を保つことができないが、ゲームが終了された際に、1度のプレイ全体の計時データに依存するゲームパラメータの整合性を確保することで、ゲームサーバ100は、プレイヤの評価やゲーム進行を公正なゲームパラメータを用いて行うことができる。
【0066】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態におけるゲームサーバ100aの構成ブロック図である。本実施形態は、複数のユーザが同時に同じゲーム空間を共有しながら進行する多人数参加型(massively multiplayer)オンラインゲームにおいて、計時データをゲーム制御の要素として用いる場合のオンラインゲーム制御方法である。本実施形態は、同一のゲーム空間に複数のプレイヤが参加する場合、上記第1実施形態のように、計時処理要求を各ユーザ端末300が個別にゲームサーバに送信することで各プレイヤの計時データを生成するのではなく、複数のユーザ端末300の中の1のユーザ端末300からの計時処理要求を受信することで、同一ゲーム空間内の全てのプレイヤの計時データを生成する。以下、上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、その他については説明を省略する。
【0067】
本実施形態のゲームサーバ100aは、上記第1実施形態のゲームサーバ100に対し、ゲームルーム制御部132を有している。ゲームルーム制御部132は、複数のプレイヤが同時に同じゲームを共有するためのゲーム空間を提供する。具体的には、オンラインゲームにおける既存のロビーサーバと同様の機能を担い、1つ又は複数のゲームルームを形成し、これらのゲームルームが表示されたロビー画面をユーザ端末300に提供する。
【0068】
また、ゲームルーム制御部132は、1つのゲームルーム、すなわち、同一のゲーム空間を共有しながらゲームを進行するゲーム空間内の複数のプレイヤのうち、計時処理を遂行する計時対象プレイヤを決定し、計時対象プレイヤ以外のユーザ端末300に、計時処理の中止若しくは計時処理を遂行しない旨の指示要求を送信するとともに、計時対象プレイヤのユーザ端末300に計時部332の計時処理を起動する指示を送信する。したがって、ゲームサーバ100aは、複数のユーザ端末300の中の1のユーザ端末300のみの計時処理要求により、同一ゲーム空間内の全てのプレイヤの各計時データ生成及び各ゲーム制御を行う。
【0069】
図9、図10は、本実施形態のオンラインゲーム制御の処理遷移を説明するためのフローチャート図である。
【0070】
図9に示すように、ゲームサーバ100aのゲームルーム制御部132は、ユーザ端末300とのゲームセッションの確立処理後、ロビー画面をユーザ端末300に提供し(ステップS101a)、ユーザは、表示されたロビー画面のゲームルームを選択する(ステップS301a)。ユーザのゲームルームの選択情報は、ゲームサーバ100aに送信され、ゲームルーム制御部132による計時処理を遂行する1の計時対象プレイヤの決定処理が遂行される(ステップS102a)。
【0071】
ゲーム空間内の複数のプレイヤの中から計時処理を遂行する1の計時対象プレイヤを決定は、無作為抽出により決定をすることができ、また、最初にゲームルームに参加したプレイヤを計時対象プレイヤとして決定することもできる。
【0072】
計時処理を遂行する1の計時対象プレイヤを決定したゲームルーム制御部132は、ゲーム制御部130のゲーム制御開始に伴い(ステップS103a)、計時対象プレイヤ以外のユーザ端末300に、計時処理の中止若しくは計時処理を遂行しない旨の指示要求を送信し、計時対象プレイヤのユーザ端末300に計時部332の計時処理を起動する指示を送信する(ステップ104a)。なお、ゲームクライアント330が、ゲーム開始によりゲーム処理部331が自動的に計時部332を起動するように構成されている場合には、計時対象プレイヤのユーザ端末300に計時部332の計時処理を起動する指示を送信せず、計時対象プレイヤ以外のユーザ端末300に、計時処理の中止若しくは計時処理を遂行しない旨の指示要求を送信すればよい。
【0073】
そして、計時データ制御部131は、計時対象プレイヤのユーザ端末300のみから計時処理要求の受信し、ゲーム空間内の複数のプレイヤの各計時データを生成する。図10に示すように、計時データ制御部131は、計時対象プレイヤのユーザ端末300から計時処理要求を受信すると、ゲームデータベース140に格納されている各プレイヤのゲーム開始時刻と当該計時処理要求を受信した時刻の差分に基づいて、各プレイヤの計時データを生成する。ゲーム制御部130は、各計時データを用いたプレイヤ毎のゲーム制御を行い、各ユーザ端末300にゲーム制御情報を送信する。
【0074】
また、ゲームルーム制御部132は、計時対象プレイヤがゲームを終了する場合に、計時処理を遂行する他の1の計時対象プレイヤを改めて決定する処理を行う。ゲームルーム制御部132は、ゲーム空間内の複数のプレイヤからのゲーム終了要求を受信した場合、ゲームを終了するプレイヤが計時対象プレイヤであるか否かを判別する(ステップS105a)。判別の結果、ゲームを終了するプレイヤが計時対象プレイヤである場合には(S106a)、ゲーム空間内の複数のプレイヤのうち、計時処理を遂行する他の1の計時対象プレイヤを決定する(ステップS107a)。ステップS105aの判別処理は、どのプレイヤが計時対象プレイヤであるかを示すフラグを上記決定の際に格納しておくことで、当該フラグを参照して行うことができる。改めて計時対象プレイヤとして決定されたプレイヤのユーザ端末300には、ステップS104aと同様に、計時部332の計時処理を起動する指示を送信する(ステップ108a)。すなわち、ゲームルーム制御部132は、ゲーム終了に応答して、例えば、ユーザ端末300のゲーム終了操作に伴い、当該ユーザ端末300から送信されるゲーム終了要求を受信した際、ゲーム終了に際してユーザ端末300とのゲームセッションを終了した際、及びゲーム中にゲームセッションが何らかの理由(ユーザ端末300での強制クローズ、強制チャットダウン操作やゲームサーバ100との通信セッションが確立できなくなった場合)で終了(遮断)した際に、ゲームを終了するプレイヤが計時対象プレイヤであるか否かを判別し、ゲームを終了するプレイヤが計時対象プレイヤである場合には、他のプレイヤに計時処理を引き継ぐように制御する。
【0075】
このように本実施形態では、同一のゲーム空間に複数のプレイヤが参加する場合、計時処理要求を各ユーザ端末300が個別に受信するのではなく、同一のゲーム空間内でプレイする複数のユーザ端末300の中の1のユーザ端末300のみに計時処理を行わせ、1のユーザ端末300からの計時処理要求により、同一のゲーム空間内でプレイする他のプレイヤの計時データを生成する。
【0076】
このため、ゲームサーバ100a側の計時処理要求受信に伴う処理負担が軽減されるとともに、計時対象プレイヤ以外のユーザ端末300においても、計時処理が起動されないため、処理負担が軽減される。
【0077】
なお、本発明のオンラインシステムの制御方法を、オンラインゲームサービスを一例に説明したが、これに限らず、ユーザ端末とのオンライン制御において時間を要素として用いる他のオンラインサービスにも適用可能である。例えば、多数の人々が遠隔地からのストップウォッチのような機能を使用するシステムや、とても極めて多人数へ現在の経過時刻を知らせる為のシステムなどに適用可能であり、オンラインシステムにおいて利用時間等を計測し、その計測時間をオンライン制御に使用するシステム全般に適用可能である。
【0078】
すなわち、上述のように、本発明のオンラインゲームシステムの制御方法は、オンラインサービスに使用される計時処理機能をクライアントに持たせつつ、計時処理要求のみをサーバに送信し、サーバ側で生成したデータをクライアントに送信して表示させるので、オンラインシステムにおいて利用時間等を計測し、その計測時間をオンライン制御に使用するシステム全般に適用可能であり、サーバにおける計時処理機能の負荷を軽減することができるとともに、オンライン制御に係る計時データの管理がサーバ側で遂行されるので、好適なデータの信頼性に基づくオンラインサービスを提供することができる。
【0079】
以上、本発明の詳細な説明では具体的な実施形態について説明したが、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で多様に変形できる。よって、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るオンラインゲーム提供システムの概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るゲームサーバの構成ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るユーザ端末の構成ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るゲームサーバ−ユーザ端末間のゲーム処理遷移を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るオンラインゲーム制御における計時処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るオンラインゲーム制御におけるトータル計時処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るゲームサーバのゲームデータベースに格納されるゲームデータの一例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るオンラインゲーム提供システムのゲームサーバ100の構成ブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るゲームサーバ−ユーザ端末間のゲーム処理遷移を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るオンラインゲーム制御における計時処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】従来のオンライン育成シュミレーションゲームのゲームサーバ−ユーザ端末間のゲーム処理遷移を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
100 ゲームサーバ
110 通信制御部
120 制御部(CPU)
130 ゲーム制御部
131 計時データ制御部
132 ゲームルーム制御部
200 認証サーバ
300 ユーザ端末
310 通信制御部
320 制御部(CPU)
330 ゲームクライアント
331 ゲーム処理部
332 計時部
333 計時処理要求部
334 ゲームデータ格納部
340 外部インターフェース
350 操作部
360 表示制御部
370 表示部
400 ユーザ情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してユーザ端末と接続され、前記ユーザ端末との間で少なくとも計時データを用いたオンライン制御を遂行するサーバを備えたオンラインシステムの制御方法であって、
前記ユーザ端末に設けられた計時手段により、前記ユーザ端末がオンラインサービスに伴う計時処理を遂行するステップと、
前記計時処理における所定のタイミングで前記サーバに計時処理要求を送信するステップと、
前記サーバが、前記計時処理要求の受信に応答して前記計時データを生成するステップと、
前記サーバが、生成された前記計時データを用いた前記オンライン制御を行うステップと、を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記サーバが、前記ユーザ端末のオンラインサービス開始操作に応答してサービス開始時刻を取得するステップを含み、
前記計時データを生成するステップは、
前記計時処理要求を受信した時刻と前記サービス開始時刻との差分に基づいて前記計時データを生成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
ユーザ端末と、ネットワークを介して前記ユーザ端末と接続され、該ユーザ端末との間で少なくとも計時データを用いたオンライン制御を遂行するサーバとを備えたオンラインシステムであって、
前記ユーザ端末が、前記オンライン制御に基づくオンラインサービスにおけるユーザ端末側の処理を行う処理手段と、
前記オンラインサービスに伴う計時処理を遂行する計時手段と、
前記計時処理における所定のタイミングで前記サーバに計時処理要求を送信する計時処理要求手段と、を有し、
前記サーバが、
前記計時処理要求の受信に応答して計時データを生成する計時データ制御手段と、
生成された前記計時データを用いた前記オンライン制御を行う制御手段と、有することを特徴とするオンラインシステム。
【請求項4】
ネットワークを介して複数のユーザ端末と接続され、前記ユーザ端末との間で少なくとも計時データを用いたオンライン制御を遂行するサーバであって、
前記ユーザ端末に設けられた計時手段の計時処理における所定のタイミングで該ユーザ端末から送信される計時処理要求の受信する通信制御手段と、
前記計時処理要求の受信に応答して前記計時データを生成する計時データ制御手段と、
生成された前記計時データを用いて前記オンライン制御を行う制御手段と、を有することを特徴とするサーバ。
【請求項5】
少なくとも計時データを用いたオンライン制御を遂行し、前記オンライン制御に基づくオンラインサービスを提供するサーバに、ネットワークを介して接続可能なユーザ端末であって、
前記オンラインサービスに伴う計時処理を遂行する計時手段と、
前記計時処理における所定のタイミングで計時処理要求を前記サーバに送信する計時処理要求手段と、
前記サーバが前記計時処理要求の受信に応答して生成した計時データを用いて遂行する前記オンライン制御に基づいた前記オンラインサービスにおけるユーザ端末側の処理を行う処理手段と、を有することを特徴とするユーザ端末。
【請求項6】
少なくとも計時データを用いたオンライン制御を遂行し、前記オンライン制御に基づくオンラインサービスを提供するサーバに、ネットワークを介して接続可能なユーザ端末としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記オンラインサービスに伴う計時処理を遂行する計時機能と、
前記計時処理における所定のタイミングで計時処理要求を前記サーバに送信する計時処理要求機能と、
前記サーバが前記計時処理要求の受信に応答して生成した計時データを用いて遂行する前記オンライン制御に基づいた前記オンラインサービスにおけるユーザ端末側の処理を行う処理機能と、を有することを特徴とするプログラム。
【請求項7】
ネットワークを介してユーザ端末と接続され、前記ユーザ端末との間で少なくとも計時データを用いたゲーム制御を遂行するゲームサーバを備えたオンラインシステムのゲーム制御方法であって、
前記ユーザ端末に設けられた計時手段により、当該ユーザ端末がオンラインゲームに伴う計時処理を遂行するステップと、
前記計時処理における所定のタイミングで前記ゲームサーバに計時処理要求を送信するステップと、
前記ゲームサーバが、前記計時処理要求の受信に応答して前記計時データを生成するステップと、
前記ゲームサーバが、生成された前記計時データを用いた前記ゲーム制御を行うステップと、を含むことを特徴とするオンラインシステムのゲーム制御方法。
【請求項8】
前記ゲームサーバが、前記ユーザ端末のゲーム開始操作に応答してゲーム開始時刻を取得するステップを含み、
前記計時データを生成するステップは、
前記計時処理要求を受信した時刻と前記ゲーム開始時刻との差分に基づいて前記計時データを生成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のオンラインシステムのゲーム制御方法。
【請求項9】
前記ゲームサーバが、前記ユーザ端末のゲーム開始操作に応答してゲーム開始時刻を取得するステップと、
前記ゲームサーバが、前記ユーザ端末との間のオンラインゲーム終了に応答してゲーム終了時刻を取得するステップと、
前記ゲームサーバが、前記ゲーム終了時刻と前記ゲーム開始時刻との差分に基づくトータル計時データを生成するステップと、
前記トータル計時データを用いた前記ゲーム制御により生成されるゲームデータをゲームデータベースに格納するステップと、を含むことを特徴とする請求項7に記載のオンラインシステムのゲーム制御方法。
【請求項10】
複数のプレイヤが同時に同じゲームを共有するためのゲーム空間を提供するとともに、少なくとも計時データを用いたゲーム制御を遂行するゲームサーバを備えるオンラインシステムのゲーム制御方法であって、
ネットワークを介して前記ゲームサーバに接続されるプレイヤのユーザ端末が、該ユーザ端末に設けられたオンラインゲームに伴う計時処理を遂行するステップと、
前記ユーザ端末が前記計時処理における所定のタイミングで前記ゲームサーバに計時処理要求を送信するステップと、
前記ゲームサーバが、前記ユーザ端末から前記計時処理要求の受信した場合に、前記ゲーム空間内の複数のプレイヤの各計時データを生成するステップと、
生成された前記各計時データを用いて、前記複数の各プレイヤに応じた前記ゲーム制御を行うステップと、を含むことを特徴とするオンラインシステムのゲーム制御方法。
【請求項11】
前記ゲームサーバが、前記ゲーム空間内の複数のプレイヤのうち、前記計時処理を遂行する計時対象プレイヤを決定するステップと、
前記ゲームサーバが、前記計時対象プレイヤ以外の前記ユーザ端末に、前記計時処理の中止若しくは前記計時処理を遂行しない旨の指示要求を送信するステップと、を含むことを特徴とする請求項10に記載のオンラインシステムのゲーム制御方法。
【請求項12】
前記ゲーム空間内の複数のプレイヤのゲーム終了に応答して、ゲームを終了するプレイヤが前記計時対象プレイヤであるか否かを判別するステップと、
前記ゲームを終了するプレイヤが前記計時対象プレイヤである場合に、前記ゲーム空間内の複数のプレイヤのうち、前記計時処理を遂行する他の計時対象プレイヤを決定するステップと、
前記計時対象プレイヤのユーザ端末に、前記計時処理の遂行する旨の指示要求を送信するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のオンラインシステムのゲーム制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−287510(P2008−287510A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131890(P2007−131890)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(505205812)エヌエイチエヌ コーポレーション (408)
【出願人】(501333021)NHNJapan株式会社 (29)
【Fターム(参考)】