説明

オーバーヘッドスキャナ装置、画像取得方法、および、プログラム

【課題】原稿を読み取らせる操作性に優れ、高精細な画像を取得することができる、オーバーヘッドスキャナ装置、画像取得方法、および、プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】本実施形態によれば、エリアセンサを制御して、複数の画像を連続して取得し、取得した複数の画像から特徴点を抽出し、抽出した特徴点を複数の画像間で比較することにより、当該特徴点の速度ベクトルを演算し、演算した速度ベクトルに基づいて、リニアセンサによる読み取り開始を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドスキャナ装置、画像取得方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナで、多数のページを有する本など複数枚の原稿を読み取る場合には、利用者が原稿の目的のページを開き、原稿を読み取り台に設置し、読取開始ボタンを押す等の動作を繰り返し行っている。
【0003】
ここで、特許文献1には、エリアセンサとラインセンサを兼ね備えた装置において、エリアセンサにてプレスキャンした画像から読み取り範囲と原稿サイズを認識し、リニアセンサにて原稿を読み取ることが開示されている。
【0004】
また、非特許文献1,2には、高速エリアセンサで撮像した動画のフレームに補正をかけてスキャン画像を形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−167934号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Ishikawa Komuro Laboratory、“ブックフリッピングスキャニング”、[online]、掲載年月日不明、石川小室研究室、[平成22年5月25日検索]、インターネット<URL:http://www.k2.t.u−tokyo.ac.jp/vision/BookFlipScan/index−j.html>
【非特許文献2】Erico Guizzo、“Superfast Scanner Lets You Digitize a Book By Rapidly Flipping Pages”、[online]、2010年3月17日、IEEE Spectrum、[平成22年5月25日検索]、インターネット<URL:http://spectrum.ieee.org/automaton/robotics/robotics−software/book−flipping−scanning>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のスキャナにおいては、原稿の画像を読み取らせるための操作が煩雑であったり画像の精細度が低かったりする等の問題点を有していた。
【0008】
例えば、特許文献1に記載のスキャナでは、エリアセンサによるプレスキャンにより原稿サイズやオフセット等を認識することができるものの、フラットベッド型スキャナであるため複数枚の原稿を読み取らせるためには、原稿圧板を開けてページめくりした原稿を下向きに設置し原稿圧版を閉める等の動作を繰り返し行う必要があり、操作が煩雑であるという問題を有していた。
【0009】
また、非特許文献1,2に記載のスキャナでは、オーバーヘッド型の高速エリアセンサで動画像からスキャン画像を取得できるものの、原稿を高精細に読み取る為には高価な機材を用いなければならないという問題点を有していた。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、原稿の読み取り操作性に優れ、高精細な画像を取得することができる、オーバーヘッドスキャナ装置、画像取得方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するため、本発明のオーバーヘッドスキャナ装置は、エリアセンサとリニアセンサと制御部とを備え、前記制御部は、前記エリアセンサを制御して、複数の画像を連続して取得するエリア画像取得手段と、前記エリア画像取得手段により取得された前記複数の画像から、特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、前記特徴点抽出手段により抽出された前記特徴点を前記複数の画像間で比較することにより、当該特徴点の速度ベクトルを演算する速度ベクトル演算手段と、前記速度ベクトル演算手段により演算された前記速度ベクトルに基づいて、前記リニアセンサによる読み取り開始を判定する読取開始判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るオーバーヘッドスキャナ装置は、前記に記載のオーバーヘッドスキャナ装置において、前記読取開始判定手段は、前記速度ベクトルに基づく動きが停止した場合に、前記リニアセンサによる読み取り開始を判定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るオーバーヘッドスキャナ装置は、前記に記載のオーバーヘッドスキャナ装置において、更に記憶部を備え、前記制御部は、前記速度ベクトル演算手段により演算された前記速度ベクトルに基づいて、原稿のページめくり方向を判定するページ方向判定手段と、前記読取開始判定手段により読み取り開始が判定された場合に、前記リニアセンサを制御して、前記原稿の画像を取得するリニア画像取得手段と、前記リニア画像取得手段により取得された前記画像を分割する画像分割手段と、前記画像分割手段により分割された前記画像を、前記ページ方向判定手段により判定された前記ページめくり方向に従って並び替えて前記記憶部に格納するページ並び替え手段と、を更に備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るオーバーヘッドスキャナ装置は、前記に記載のオーバーヘッドスキャナ装置において、前記画像分割手段は、前記リニア画像取得手段により取得された前記画像の階調差から前記原稿と背景の境界線を求め、前記境界線の上下辺においてそれぞれ変曲点を求め、前記変曲点を結ぶ線で当該画像を左右に分割することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るオーバーヘッドスキャナ装置は、前記に記載のオーバーヘッドスキャナ装置において、前記制御部は、前記画像分割手段により分割された前記画像の湾曲歪みを補正する湾曲補正手段、を更に備え、前記ページ並び替え手段は、前記湾曲補正手段により補正された前記画像を、前記ページ方向判定手段により判定された前記ページめくり方向に従って並び替えて前記記憶部に格納することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るオーバーヘッドスキャナ装置は、前記に記載のオーバーヘッドスキャナ装置において、前記制御部は、前記画像分割手段により分割された前記画像から肌色の部分領域を検出する肌色検出手段、を更に備え、前記ページ並び替え手段は、前記肌色検出手段により前記肌色の前記部分領域が検出された前記画像を前記記憶部に格納せず削除することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るオーバーヘッドスキャナ装置は、前記に記載のオーバーヘッドスキャナ装置において、前記リニアセンサによる読み取り開始を判定していない場合において、前記速度ベクトルに基づく動きがある場合に前記リニアセンサの回路を起動させ、前記速度ベクトルに基づく動きがない場合に前記リニアセンサの回路を停止させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るオーバーヘッドスキャナ装置は、前記に記載のオーバーヘッドスキャナ装置において、光源を更に備え、前記制御部は、前記光源を制御して、前記リニアセンサの制御可能状態または読み取り範囲を示す光を発光させる光源制御手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るオーバーヘッドスキャナ装置は、前記に記載のオーバーヘッドスキャナ装置において、前記制御部は、前記速度ベクトル演算手段により演算された前記速度ベクトルの履歴に基づいて、前記特徴点の移動により囲まれた切り出し範囲で、前記リニアセンサにより読み取られた前記画像を切り出す画像切出手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明は画像取得方法に関するものであり、本発明に係る画像取得方法は、エリアセンサとリニアセンサと制御部とを備え、オーバーヘッドスキャナ装置の前記制御部で実行される、前記エリアセンサを制御して、複数の画像を連続して取得するエリア画像取得ステップと、前記エリア画像取得ステップにて取得された前記複数の画像から、特徴点を抽出する特徴点抽出ステップと、前記特徴点抽出ステップにて抽出された前記特徴点を前記複数の画像間で比較することにより、当該特徴点の速度ベクトルを演算する速度ベクトル演算ステップと、前記速度ベクトル演算ステップにて演算された前記速度ベクトルに基づいて、前記リニアセンサによる読み取り開始を判定する読取開始判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0021】
また、本発明はプログラムに関するものであり、本発明に係るプログラムは、エリアセンサとリニアセンサと制御部とを備え、オーバーヘッドスキャナ装置の前記制御部に実行させるための、前記エリアセンサを制御して、複数の画像を連続して取得するエリア画像取得ステップと、前記エリア画像取得ステップにて取得された前記複数の画像から、特徴点を抽出する特徴点抽出ステップと、前記特徴点抽出ステップにて抽出された前記特徴点を前記複数の画像間で比較することにより、当該特徴点の速度ベクトルを演算する速度ベクトル演算ステップと、前記速度ベクトル演算ステップにて演算された前記速度ベクトルに基づいて、前記リニアセンサによる読み取り開始を判定する読取開始判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は記録媒体に関するものであり、本発明に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記に記載の本発明に係るプログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、制御部は、エリアセンサを制御して、複数の画像を連続して取得し、取得された複数の画像から、特徴点を抽出し、抽出された特徴点を複数の画像間で比較することにより、当該特徴点の速度ベクトルを演算し、演算された速度ベクトルに基づいて、リニアセンサによる読み取り開始を判定する。これにより、原稿を読み取らせる操作性に優れ、かつ、高精細な画像を取得することができるという効果を奏する。例えば、従来のスキャナは、装置に組み込まれたボタンや、スキャナに接続されたパソコン上から制御しなければならず、特に、複数枚の原稿を処理する場面において生産性の低下を招いていたが、この発明によれば、原稿の読み取り開始のための特別なボタンやツール等を必要とすることなく、高精細な原稿の画像を取得することができる。
【0024】
また、本発明によれば、制御部は、速度ベクトルに基づく動きが停止した場合に、リニアセンサによる読み取り開始を判定する。これにより、ページめくりや手で原稿を押さえる等の原稿の設置が完了した時点で、自動的に読み取り開始を行うので、優れた操作性を発揮することができるという効果を奏する。
【0025】
また、本発明によれば、制御部は、演算された速度ベクトルに基づいて、原稿のページめくり方向を判定し、読み取り開始が判定された場合にリニアセンサを制御して、原稿の画像を取得し、取得された画像を分割し、分割された画像を、判定されたページめくり方向に従って並び替えて記憶部に格納する。これにより、ページめくりによる動きからページの順番を判定してページ順にページ単位に分割された画像を並び替えることができるので、読み取った画像をコンピュータ上で分割や並び替えする等の編集作業が不要になり、生産性が大幅に上昇するという効果を奏する。例えば、複数のページを有する本などの原稿をスキャンする場合には、従来、利用者は、1)ページをめくり、2)スキャン開始ボタンを押し、3)スキャンの完了を待ち、4)ページを左右に分割し、5)ページの湾曲を補正し、6)ページの順番に並び替えて保存する等の作業が必要であったが、本発明によれば、利用者は、スキャナを操作することなく、本を次々にめくるだけで、本等の原稿の電子化が可能となり、その結果、スキャナ制御で利用者の手を煩わせることがないので手間を省き生産性を向上させることができるという効果を奏する。
【0026】
また、本発明によれば、取得された画像の階調差から原稿と背景の境界線を求め、境界線の上下辺においてそれぞれ変曲点を求め、変曲点を結ぶ線で当該画像を左右に分割する。これにより、本などのように左右見開きページで構成されている場合に、正確にページ単位で画像を分割することができるという効果を奏する。
【0027】
また、本発明によれば、制御部は、分割された画像の湾曲歪みを補正し、補正された画像を、判定されたページめくり方向に従って並び替えて記憶部に格納する。これにより、本などのように複数枚の紙が片側で綴じられている場合等に発生する湾曲歪みを補正して、歪みのないページ単位の画像を取得することができるという効果を奏する。
【0028】
また、本発明によれば、制御部は、分割された画像から肌色の部分領域を検出し、肌色の部分領域が検出された画像を記憶部に格納せず削除する。これにより、利用者が不要なページ上を手で伏せた場合に、肌の色により画像上の手の領域を検出して、不要なページを含まない原稿画像を取得することができるという効果を奏する。
【0029】
また、本発明によれば、リニアセンサによる読み取り開始を判定していない場合において、速度ベクトルに基づく動きがある場合にリニアセンサの回路を起動させ、速度ベクトルに基づく動きがない場合にリニアセンサの回路を停止させる。これにより、原稿を設置していない場合等のようにリニアセンサによる読み取りが不要な場合において、リニアセンサをスタンバイ状態にして節電につなげることができるという効果を奏する。
【0030】
また、本発明によれば、制御部は、光源を制御して、リニアセンサの制御可能状態または読み取り範囲を示す光を発光させる。これにより、読み取り前に、リニアセンサが読み取り可能状態になったことやリニアセンサの読み取り範囲等を、利用者に通知することができるという効果を奏する。
【0031】
また、本発明によれば、制御部は、演算された速度ベクトルの履歴に基づいて、特徴点の移動により囲まれた切り出し範囲で、リニアセンサにより読み取られた画像を切り出す。これにより、利用者が指先で切り出したい範囲の外周をなぞった場合に、利用者の意図に沿って正確に画像を切り出すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、オーバーヘッドスキャナ装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、リニア撮像部110とエリア撮像部120を一体化させた装置の外観の一例を示し、主走査方向と副走査方向とモータ12による回転方向との関係を示す図である。
【図3】図3は、リニア撮像部110を側面から見た状態を表し、光源制御部102kの制御によるライン光源140からの光照射の一例を示す図である。
【図4】図4は、本実施形態のオーバーヘッドスキャナ装置100における基本処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、ページめくりの際に撮像された2枚のエリア画像(時刻t−1のエリア画像と時刻tのエリア画像)間で演算された速度ベクトル(オプティカルフロー)の一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施形態のオーバーヘッドスキャナ装置100における具体化処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、原稿監視処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図8は、動体監視処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】図9は、画像補正処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】図10は、画像分割部102gによる画像分割処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】図11は、境界線(図の実線部分)と変曲点(図示の円の中心点)と分割線(図の破線部分)の関係を示す図である。
【図12】図12は、湾曲補正部102hによる湾曲補正処理の詳細を示すフローチャートである。
【図13】図13は、湾曲補正部102hによる湾曲補正処理の一例を模式的に示した図である。
【図14】図14は、ページ並び替え処理の詳細を示すフローチャートである。
【図15】図15は、利用者により読み込み不要なページが手で伏せられた状態を模式的に示す図である。
【図16】図16は、本実施形態のオーバーヘッドスキャナ装置100における節電処理および光源制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明に係るオーバーヘッドスキャナ装置、画像取得方法、および、プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。特に、本実施形態においては、読み取り対象を本などの原稿として説明することがあるが、これに限られず、ステープルで綴じられた媒体や、単票を重ねた束等を読み取り対象としてもよい。
【0034】
[1.本実施形態の構成]
本実施形態に係るオーバーヘッドスキャナ装置100の構成について図1を参照して説明する。図1は、オーバーヘッドスキャナ装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0035】
図1に示すように、オーバーヘッドスキャナ装置100は、リニア撮像部110と、エリア撮像部120と、制御部102とを少なくとも備え、本実施形態において、記憶部106と入出力インターフェース部108とインジケータ光源130とライン光源140を更に備える。また、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0036】
記憶部106は、各種のデータベースやテーブルやファイルなどを格納する。記憶部106は、ストレージ手段であり、例えばRAM・ROM等のメモリ装置や、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等を用いることができる。記憶部106には、CPU(Central Processing Unit)に命令を与え各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。記憶部106は、図示の如く、画像データ一時ファイル106a、加工画像データファイル106b、および、指標物ファイル106cを備える。
【0037】
このうち、画像データ一時ファイル106aは、リニア撮像部110またはエリア撮像部120で読み取られた画像データを一時的に記憶する。
【0038】
また、加工画像データファイル106bは、リニア撮像部110で読み取られた画像データから、後述する画像分割部102gや湾曲補正部102hやページ並び替え部102j等により加工または編集された画像データを記憶する。
【0039】
また、指標物ファイル106cは、利用者により提示される手や指等の指標物の色や形等を記憶する指標物記憶手段である。ここで、指標物ファイル106cは、利用者ごとに、利用者の手や指の色(肌色)や形等を記憶してもよい。
【0040】
入出力インターフェース部108は、リニア撮像部110やエリア撮像部120、インジケータ光源130、ライン光源140を、制御部102と接続する。ここで、インジケータ光源130には、LED光源やモニタ等を用いることができる。ライン光源140は、LED光源やレーザー光源等を用いることができ、当該光源から読み取り範囲に光を射出する。
【0041】
また、リニア撮像部110は、上向きに設置された原稿を、リニアセンサ13を用いて上方よりスキャンして原稿の画像を読み取る。ここで、本実施形態において、リニア撮像部110は、図1に示すように、コントローラ11と、モータ12と、リニアセンサ(ラインセンサ)13と、A/Dコンバータ14とを備える。コントローラ11は、入出力インターフェース部108を介した制御部102からの指令に応じて、モータ12、リニアセンサ13、および、A/Dコンバータ14を制御する。リニアセンサ13は、原稿の主走査方向のラインから届く光を、ライン上の画素ごとにアナログ電荷量に光電変換する。そして、A/Dコンバータ14は、リニアセンサ13から出力されたアナログ電荷量をデジタル信号に変換し、一次元の画像データを出力する。モータ12が回転駆動すると、リニアセンサ13の読み取り対象の原稿ラインが副走査方向に移動する。これにより、ラインごとに一次元の画像データがA/Dコンバータ14から出力され、制御部102は、これらを合成することにより二次元の画像データを生成する。ここで、図2は、リニア撮像部110とエリア撮像部120を一体化させた装置の外観の一例を示し、主走査方向と副走査方向とモータ12による回転方向との関係を示す図である。
【0042】
図2に示すように、原稿を上向きに設置して、上方よりリニア撮像部110にて原稿を撮像する場合、図示の主走査方向のラインの一次元画像データが、リニアセンサ13により読み取られる。そして、モータ12の駆動によりリニアセンサ13が図示の回転方向に回転すると、それに伴って、リニアセンサ13の読み取りラインは、図示の副走査方向に移動する。これにより、二次元の原稿の画像データが、リニア撮像部110によって読み取られることとなる。
【0043】
再び図1に戻り、エリア撮像部120は、上向きに設置された原稿を、エリアセンサ22を用いて上方よりスキャンして原稿の画像を読み取る。ここで、本実施形態において、エリア撮像部120は、図1に示すように、コントローラ21と、エリアセンサ22と、A/Dコンバータ23とを備える。コントローラ21は、入出力インターフェース部108を介した制御部102からの指令に応じて、エリアセンサ22、および、A/Dコンバータ23を制御する。エリアセンサ22は、原稿平面(図2に図示した主走査方向と副走査方向の2次元平面)から届く光を、画素ごとにアナログ電荷量に光電変換する。そして、A/Dコンバータ23は、エリアセンサ22から出力されたアナログ電荷量をデジタル信号に変換し、二次元の画像データを出力する。これにより、二次元の画像データがA/Dコンバータ23から出力される。なお、本実施形態において、エリアセンサ22に比べて、リニアセンサ13は、1ラインの画素数を多く読み取れるので、エリア撮像部120により読み取られる画像よりも、リニア撮像部110により読み取られる画像の方が高精細(高画質)である。なお、以下、両者を区別するために、エリア撮像部120により読み取られる画像を「エリア画像」と呼び、リニア撮像部110により読み取られる画像を「リニア画像」と呼ぶ場合がある。
【0044】
制御部102は、オーバーヘッドスキャナ装置100を統括的に制御するCPU等からなる。制御部102は、制御プログラムと各種の処理手順等を規定したプログラムと所要データとを格納するための内部メモリを有し、これらプログラムに基づいて種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部102は、図示の如く、大別して、エリア画像取得部102aと、特徴点検出部102bと、速度ベクトル演算部102cと、ページ方向判定部102dと、読取開始判定部102eと、リニア画像取得部102fと、画像分割部102gと、湾曲補正部102hと、肌色検出部102iと、ページ並び替え部102jと、光源制御部102kを備える。
【0045】
エリア画像取得部102aは、エリア撮像部120を制御して、複数のエリア画像を連続して取得する。例えば、エリア画像取得部102aは、上述のように、エリア撮像部120のコントローラ21を制御して、エリアセンサ22により光電変換されA/Dコンバータ23によりアナログデジタル変換された画像データを取得して画像データ一時ファイル(バッファ)106aに格納する処理を繰り返す。すなわち、エリア画像取得部102aは、エリアセンサ22でモーション撮影を行って連続画像(動画像)を取得することにより、原稿のページめくりや利用者の手の動き等を監視(モニタリング)する機能を有する。
【0046】
特徴点検出部102bは、エリア画像取得部102aにより取得されたエリア画像から特徴点を検出する。具体的には、特徴点検出部102bは、エリア画像取得部102aにより画像データ一時ファイル106aに格納されたエリア画像の画像データに基づいて、エリア画像から特徴点を抽出する。例えば、特徴点検出部102bは、公知の特徴点抽出法(例えば、公知のオプティカルフロー推定法や公知のパターン認識アルゴリズムにおける特徴点抽出法)を用いて、特徴点(特徴的な画素)を抽出してもよい。
【0047】
速度ベクトル演算部102cは、特徴点抽出部102bにより抽出された特徴点を複数のエリア画像間で比較することにより、当該特徴点の速度ベクトルを演算する。例えば、速度ベクトル演算部102cは、エリア画像取得部102aにより取得され画像データ一時ファイル106aに格納された前回(時刻t−1)のエリア画像と、新たに取得された今回(時刻t)のエリア画像との間で、特徴点抽出部102bにより抽出された特徴点が移動した距離および向きを算出することにより、当該特徴点の速度ベクトルを演算する。ここで、速度ベクトル演算部102cは、オプティカルフロー推定法(勾配法)により特徴点(特徴的な画素)の追跡を行い、オプティカルフローにより速度ベクトル場、すなわち物体(原稿や手など)の挙動を把握してもよい。
【0048】
ページ方向判定部102dは、速度ベクトル演算部102cにより演算された速度ベクトルに基づいて、原稿のページめくり方向を判定する。例えば、ページ方向判定部102dは、速度ベクトル演算部102cにより演算された複数の特徴点の速度ベクトル(オプティカルフロー)のうち、右向きの速度ベクトルが多い場合は左から右へページめくりされたと判定し、左向きの速度ベクトルが多い場合は右から左へページめくりされたと判定してもよい。
【0049】
読取開始判定部102eは、速度ベクトル演算部102cにより演算された速度ベクトルに基づいて、リニアセンサ13による読み取り開始を判定する。例えば、読取開始判定部102eは、速度ベクトル演算部102cにより演算された速度ベクトルに基づく動きが停止した場合に、リニアセンサ13による読み取り開始を判定してもよい。また、読取開始判定部102eは、速度ベクトル演算部102cにより演算された速度ベクトルに基づいて、手や指などの指標物が特定の動き(ピースサインなどのジェスチャー)を表している場合に、リニアセンサ13による読み取り開始を判定してもよい。ここで、読取開始判定部102eは、節電のためにリニアセンサ13の電源管理を行ってもよく、例えば、リニアセンサ13による読み取り開始を判定した場合にリニアセンサ13の回路を起動させ、読み取り開始を判定していない場合にリニアセンサ13の回路を停止させてもよい。
【0050】
リニア画像取得部102fは、読取開始判定部102eにより読み取り開始が判定された場合に、リニア撮像部110を制御して、リニアセンサ13によるリニア画像を取得する。例えば、リニア画像取得部102fは、上述のように、リニア撮像部110のコントローラ11を制御して、モータ12を回転駆動させ、リニアセンサ13により光電変換されA/Dコンバータ14によりアナログデジタル変換されたラインごとの一次元画像データを合成することにより、二次元の画像データ(リニア画像の画像データ)を生成し、画像データ一時ファイル106aに格納する。
【0051】
画像分割部102gは、リニア画像取得部102fにより取得されたリニア画像を分割して分割画像を生成する。具体的には、画像分割部102gは、リニア画像取得部102fにより取得され画像データ一時ファイル106aに格納された画像データに基づくリニア画像を分割し、分割画像の画像データを生成する。ここで、画像分割部102gは、リニア画像の階調差から、原稿と背景の境界線(原稿エッジ)を求め、境界線の上下辺においてそれぞれ変曲点を求め、変曲点を結ぶ線で当該エリア画像を左右に分割してもよい。この場合に、画像分割部102gは、求めた境界線の範囲で原稿領域を切り出す画像切出手段として機能してもよい。また、画像分割部102gは、速度ベクトル演算部102cにより演算された速度ベクトルの履歴に基づいて、特徴点の移動により囲まれた切り出し範囲で、リニア画像を切り出してもよい。すなわち、利用者が切り出したい範囲を囲むように周囲を指先で一筆書きのようになぞった場合、画像分割部102gは、利用者の指先の特徴点の速度ベクトル群において、始点と終点が重なったことを判定して切り出し範囲を特定し、当該切り出し範囲でリニア画像を切り出してもよい。
【0052】
湾曲補正部102hは、画像分割部102gにより分割された画像の湾曲歪みを補正する。例えば、湾曲補正部102hは、原稿エッジの上辺の湾曲が、当該上辺に接する水平な線になるように分割画像の歪み補正を行ってもよい。
【0053】
肌色検出部102iは、画像分割部102gにより分割された分割画像から肌色の部分領域を検出する。例えば、肌色検出部102iは、指標物ファイル106cに記憶された利用者の手の色(肌色)に基づいて、公知のパターン認識アルゴリズム等により分割画像から肌色の部分領域を検出してもよい。
【0054】
ページ並び替え部102jは、画像分割部102gにより分割された分割画像の画像データを、ページ方向判定部102dにより判定されたページめくり方向に従って並び替えて加工画像データファイル106bに格納する。なお、ページ並び替え部102jは、湾曲補正部102hにより分割画像が歪み補正された場合は、当該補正後の分割画像の画像データを格納する。また、ページ並び替え部102jは、肌色検出部102iにより肌色の部分領域が検出された分割画像を加工画像データファイル106bに格納することなく削除する。
【0055】
光源制御部102kは、インジケータ光源130を制御して、リニアセンサ13の制御可能状態を示す光を発光させ、または、ライン光源140を制御して、リニアセンサ13の読み取り範囲を示す光を発光させる。ここで、図3は、リニア撮像部110を側面から見た状態を表し、光源制御部102kの制御によるライン光源140からの光照射の一例を示す図である。図3に示すように、光源制御部102kは、モータ12を駆動させることにより、ライン光源140を回転方向に回転させ、ライン光源140からの主走査方向のライン光を、読み取り範囲を限度として副走査方向に移動させることで、利用者に読み取り範囲を通知してもよい。
【0056】
[2.本実施形態の処理]
上述した構成のオーバーヘッドスキャナ装置100で実行される処理の一例について、図4〜図16を参照して説明する。
【0057】
[2−1.基本処理]
本実施形態のオーバーヘッドスキャナ装置100における基本処理の一例について図4および図5を参照して説明する。図4は、本実施形態のオーバーヘッドスキャナ装置100における基本処理の一例を示すフローチャートである。
【0058】
図4に示すように、まず、エリア画像取得部102aは、エリア撮像部120を制御して、複数のエリア画像を連続して取得する(ステップSA1)。例えば、エリア画像取得部102aは、エリア撮像部120のコントローラ21を制御して、エリアセンサ22により光電変換されA/Dコンバータ23によりアナログデジタル変換されたエリア画像の画像データを取得して画像データ一時ファイル106aに格納する。
【0059】
そして、特徴点検出部102bは、エリア画像取得部102aにより取得されたエリア画像から特徴点を検出する(ステップSA2)。具体的には、特徴点検出部102bは、エリア画像取得部102aにより画像データ一時ファイル106aに格納された画像データに基づいて、エリア画像から特徴点を抽出する。例えば、特徴点検出部102bは、公知の特徴点抽出法(例えば、公知のオプティカルフロー推定法や公知のパターン認識アルゴリズムにおける特徴点抽出法)を用いて、特徴点(特徴的な画素)を抽出してもよい。
【0060】
そして、速度ベクトル演算部102cは、特徴点抽出部102bにより抽出された特徴点を複数の画像間で比較することにより、当該特徴点の速度ベクトルを演算する(ステップSA3)。具体的には、速度ベクトル演算部102cは、エリア画像取得部102aにより取得され画像データ一時ファイル106aに格納された前回(時刻t−1)のエリア画像と、新たに取得された今回(時刻t)のエリア画像との間で、特徴点が移動した距離および向きを算出することにより、当該特徴点の速度ベクトルを演算する。例えば、速度ベクトル演算部102cは、オプティカルフロー推定法(勾配法)により特徴点(特徴的な画素)の追跡を行い、オプティカルフローにより速度ベクトル場、すなわち物体(原稿や手など)の挙動を把握してもよい。
【0061】
ここで、図5は、ページめくりの際に撮像された2枚のエリア画像(時刻t−1のエリア画像と時刻tのエリア画像)間で演算された速度ベクトル(オプティカルフロー)の一例を示す図である。なお、図5の黒丸点は、速度ベクトルの始点(時刻t−1における特徴点の位置)を表し、実線または破線の黒丸点とは反対側の一端は、速度ベクトルの終点(時刻tにおける特徴点の位置)を表している。また、実線は、右から左の軌跡を表し、破線は、左から右の軌跡を表している。図5に示すように、エリア画像取得部102aにより取得された2枚のエリア画像間で速度ベクトルが特徴点毎に算出され、特に、めくっている途中のページの移動に従って、右から左向きの速度ベクトルが多くなっている。このように、オプティカルフローにより速度ベクトル場、すなわち物体(原稿や手)の挙動を把握することができる。
【0062】
ここで、速度ベクトル演算部102cは、オプティカルフロー推定法のうち特に勾配法(Lucas Kanade Algorithm)を用いて、特徴点の探索と追跡を行ってもよい。勾配法は、「時間が変化しても特徴的な画素の明るさは一定である」との仮定により二乗誤差を求める手法であり、例えば以下の式により二乗誤差を求めてもよい。すなわち、二乗誤差が小さいほど2つのエリア画像間における特徴点の類似度が高いので、類似度が最も高い特徴点を結ぶ軌跡を速度ベクトルとして演算してもよい。
【数1】

(ここで、SSDは、二乗誤差を表し、2つのエリア画像間の類似度を表す指標となる。また、I(x,y,t)は、座標(x,y,t)における画素値であり、Wは、画素の集合(探索範囲)を表す。)
【0063】
再び図4に戻り、読取開始判定部102eは、速度ベクトル演算部102cにより演算された速度ベクトルに基づいて、リニアセンサ13による読み取り開始を判定する(ステップSA4)。例えば、読取開始判定部102eは、速度ベクトル演算部102cにより演算された速度ベクトルに基づく動きが停止した場合に、リニアセンサ13による読み取り開始を判定してもよい。また、読取開始判定部102eは、速度ベクトル演算部102cにより演算された速度ベクトルに基づいて、手や指などの指標物が特定の動き(ジェスチャー)を表している場合に、リニアセンサ13による読み取り開始を判定してもよい。
【0064】
そして、読取開始判定部102eにより読み取り開始が判定された場合(ステップSA4、Yes)、リニア画像取得部102fは、リニア撮像部110を制御して、リニアセンサ13によるリニア画像を取得する(ステップSA5)。例えば、リニア画像取得部102fは、リニア撮像部110のコントローラ11を制御して、モータ12を回転駆動させ、リニアセンサ13により光電変換されA/Dコンバータ14によりアナログデジタル変換されたラインごとの一次元画像データを合成することにより、二次元の画像データを生成し、画像データ一時ファイル106aに格納する。なお、読取開始判定部102eにより読み取り開始が判定されなかった場合(ステップSA4、No)、制御部102は、ステップSA1に処理を戻し、上述したステップSA1〜ステップSA4の処理を繰り返し、原稿のページめくりや利用者の手の動き等を継続して監視する。
【0065】
以上が、本実施形態のオーバーヘッドスキャナ装置100における基本処理の一例である。
【0066】
[2−2.具体化処理]
つづいて、上述した基本処理において、更に、ページ方向判定処理や画像分割処理や湾曲補正処理、肌色検出処理、ページ並び替え処理等を更に含む具体化処理の一例について図6〜図15を参照して説明する。図6は、本実施形態のオーバーヘッドスキャナ装置100における具体化処理の一例を示すフローチャートである。
【0067】
図6に示すように、まず、オーバーヘッドスキャナ装置100の制御部102は、エリア撮像部120を制御して、原稿監視処理を行う(ステップSB1)。ここで、図7は、原稿監視処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0068】
図7に示すように、エリア画像取得部102aは、エリア撮像部120を制御して、エリア画像の画像データを取得する(ステップSB11)。
【0069】
そして、エリア画像取得部102aは、取得したエリア画像の画像データに基づいて、公知のパターン認識アルゴリズム等により白色の矩形等を検出することにより、原稿を検出する(ステップSB12)。
【0070】
そして、原稿が検出できない場合(ステップSB13、No)、エリア画像取得部102aは、バッファである画像データ一時ファイル106aに、今回取得したエリア画像の画像データを格納し(ステップSB14)、上述したステップSB11〜ステップSB13の処理を繰り返す。
【0071】
一方、原稿が検出できた場合(ステップSB13、Yes)、エリア画像取得部102aは、原稿監視処理を終える。
【0072】
再び図6に戻り、オーバーヘッドスキャナ装置100の制御部102は、動体監視処理を行う(ステップSB2)。ここで、図8は、動体監視処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0073】
図8に示すように、特徴点検出部102bは、エリア画像取得部102aにより取得され画像データ一時ファイル106aに格納された前回(時刻t−1)のエリア画像と、新たに取得された今回(時刻t)のエリア画像から、特徴点を検出する(ステップSB21)。
【0074】
そして、速度ベクトル演算部102cは、特徴点抽出部102bにより抽出された特徴点をエリア画像間(時刻t−1のエリア画像と時刻tのエリア画像との間)で比較することにより、当該特徴点の速度ベクトルを演算する(ステップSB22)。例えば、速度ベクトル演算部102cは、上述した二乗誤差を求める数式を用いて、最も類似度の高い特徴点をエリア画像間で探索し、探索した特徴点同士を結ぶ軌跡で速度ベクトル(オプティカルフロー)を算出してもよい。
【0075】
そして、読取開始判定部102eは、速度ベクトル演算部102cにより演算された速度ベクトルに基づいて、動きがあるか否かを判定する(ステップSB23)。例えば、読取開始判定部102eは、速度ベクトル演算部102cにより演算された速度ベクトルが長さ0のゼロベクトルであるか否かを判定する。
【0076】
読取開始判定部102eにより動きがあると判定された場合(ステップSB23、Yes)、ページ方向判定部102dは、速度ベクトル演算部102cにより演算された速度ベクトルに基づいて、原稿のページ方向を判定する(ステップSB24)。例えば、ページ方向判定部102dは、速度ベクトル演算部102cにより演算された複数の特徴点の速度ベクトルのうち、右向きの速度ベクトルが多い場合は左から右へページめくりされたと判定し、左向きの速度ベクトルが多い場合は右から左へページめくりされたと判定してもよい。
【0077】
そして、エリア画像取得部102aは、今回取得された時刻tのエリア画像の画像データを、バッファである画像データ一時ファイル106aに格納する(ステップSB25)。
【0078】
そして、エリア画像取得部102aは、エリア撮像部120を制御して、新たに時刻t+1のエリア画像の画像データを取得する(ステップSB26)。以降は、上述したステップSB21〜ステップSB23の処理を繰り返す。
【0079】
ステップSB23において動きがないと判定した場合、例えば速度ベクトルがゼロベクトルの場合(ステップSB23、No)、エリア画像取得部102aは、ページ方向判定部102dによりページ方向が判定済であるか否かを判定し(ステップSB27)、ページ方向が未判定の場合(ステップSB27、No)、ステップSB25に処理を戻し、上述した処理を繰り返す。
【0080】
一方、エリア画像取得部102aは、ページ方向判定部102dによりページ方向が判定済であると判定すると(ステップSB27、Yes)、リニア画像の読み取り開始のトリガを発行する(ステップSB28)。以上で、動体監視処理のサブルーチンを終える。
【0081】
再び図6に戻り、リニア画像取得部102fは、読取開始判定部102eにより発行された読み取り開始のトリガに従って、リニア撮像部110を制御して、リニアセンサ13によるリニア画像の画像データを取得する(ステップSB3)。
【0082】
そして、オーバーヘッドスキャナ装置100の制御部102は、画像補正処理を行う(ステップSB4)。ここで、図9は、画像補正処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0083】
図9に示すように、画像分割部102gは、リニア画像取得部102fにより取得されたリニア画像を分割して分割画像を生成する(ステップSB41)。ここで、図10は、画像分割部102gによる画像分割処理の詳細を示すフローチャートである。
【0084】
図10に示すように、画像分割部102gは、リニア画像取得部102fにより取得されたリニア画像の画像データを取得すると(ステップSB411)、リニア画像の階調差等に基づいて、原稿と背景の境界線(原稿エッジ)を検出する(ステップSB412)。
【0085】
そして、画像分割部102gは、検出した境界線から、境界線の上下辺における変曲点を検出する(ステップSB413)。ここで、図11は、境界線(図の実線部分)と変曲点(図示の円の中心点)と分割線(図の破線部分)の関係を示す図である。図11に示すように、本などのようにページの片側が綴じられている場合は、ページを開いた場合に紙がたわむことにより、境界線の上下の辺が滑らかに歪むが、綴じられた端部において上下辺の接線の傾きが急激に変化する。画像分割部102gは、この性質を利用して、境界線の上下辺から、それぞれの変曲点を求める。
【0086】
そして、画像分割部102gは、2つの変曲点を結ぶ線を分割線として、この分割線と境界線で囲まれた左右の2つのページ領域を、切り出し範囲と設定する(ステップSB414)。
【0087】
そして、画像分割部102gは、リニア画像の画像データから、切り出し範囲の分割画像を抽出してページを切り出し(ステップSB415)、分割画像を画像データ一時ファイル106aに保存する(ステップSB416)。
【0088】
再び、図9に戻り、湾曲補正部102hは、画像分割部102gによりページ単位で抽出された分割画像の湾曲歪みを補正する(ステップSB42)。ここで、図12は、湾曲補正部102hによる湾曲補正処理の詳細を示すフローチャートである。
【0089】
図12に示すように、湾曲補正部102hは、切り出し範囲の上辺(すなわち、境界線(原稿エッジ)の上辺)に点で接する水平線を作成する(ステップSB421)。
【0090】
そして、湾曲補正部102hは、切り出し範囲の上辺の湾曲が水平線に一致するように縦ラインの高さを揃え、分割画像の歪みを補正する(ステップSB422)。ここで、図13は、湾曲補正部102hによる湾曲補正処理の一例を模式的に示した図である。図13において、太い破線は、作成した水平線を表し、細い破線は、元の切り出し範囲(湾曲したページの境界線)を表し、実線は、補正後の切り出し範囲を表す。
【0091】
図13に示すように、湾曲補正部102hは、一例として、元の切り出し範囲の分割画像を、縦方向に1画素幅の短冊状に分割して、この短冊状の縦ラインの上端が水平線に達するまで垂直移動させることにより、分割画像の歪み補正を行ってもよい。
【0092】
再び図9に戻り、オーバーヘッドスキャナ装置100の制御部102は、画像分割部102gによりページ単位に分割された、湾曲補正部102hによる補正後の分割画像の画像データを、ページ方向判定部102dにより判定されたページ方向に従って並び替える(ステップSB43)。ここで、図14は、ページ並び替え処理の詳細を示すフローチャートである。
【0093】
図14に示すように、肌色検出部102iは、歪み補正後の分割画像の色相に基づいて、肌色の部分領域を検出する(ステップSB431)。例えば、肌色検出部102iは、指標物ファイル106cに記憶された利用者の手の色(肌色)に基づいて、公知のパターン認識アルゴリズム等により分割画像から肌色の部分領域を検出する。図15は、利用者により読み込み不要なページが手で伏せられた状態を模式的に示す図である。図15に示すように、利用者が任意のページの読み取りを希望しない場合、当該ページを手で覆うと、手を含む原稿のリニア画像が取得されるので、肌色検出部102iは、肌色領域を検出することにより利用者の手を検出することができる。
【0094】
肌色検出部102iにより手が検出されなかった場合(ステップSB432、No)、ページ並び替え部102jは、歪み補正後の分割画像の画像データを、ページ方向判定部102dにより判定されたページ方向に従って並び替えて加工画像データファイル106bに格納する(ステップSB433)。例えば、ページ方向判定部102dにより判定されたページ方向が右から左へのページめくりを表す場合、見開き左ページを右ページよりも先になるようにページ順に加工画像データファイル106bに格納する。なお、肌色検出部102iにより分割画像から手が検出された場合(ステップSB432、Yes)、ページ並び替え部102jは、当該分割画像の画像データを加工画像データファイル106bに格納することなく削除する。
【0095】
そして、ページ並び替え部102jは、左右のページの分割画像とも上述の処理を終えたか否かを判定し(ステップSB434)、未処理の分割画像がある場合(ステップSB434、No)、上述の処理を繰り返す。一方、未処理の分割画像がない場合(ステップSB434、Yes)、ページ並び替え処理を終える。
【0096】
再び図6に戻り、オーバーヘッドスキャナ装置100は、以上のように複数枚のページを含む原稿について処理を行い、各種処理後の画像データが加工画像データファイル106bに保存された状態で(ステップSB5)、具体化処理を終える。
【0097】
以上が、本実施形態のオーバーヘッドスキャナ装置100における具体化処理の一例である。なお、上述した具体化処理においては、左右見開き2ページの画像が読み取られる場合の1回の処理の流れについて説明したが、上述したステップSB1〜ステップSB5の処理を繰り返し行うことにより、他の見開きページについても自動的に続けて読み込むことができる。
【0098】
[2−3.節電処理および光源制御処理]
つづいて、上述した具体化処理において、更に、節電処理と光源制御処理等を更に含む処理の一例について図16を参照して説明する。図16は、本実施形態のオーバーヘッドスキャナ装置100における節電処理および光源制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0099】
上記実施形態で説明したように、オーバーヘッドスキャナ装置100は、エリア撮像部120を制御して原稿監視処理や動体監視処理を行っており、エリア撮像部120を介して取得されるエリア画像に基づいて、リニア撮像部110による高精細なリニア画像の読み取り開始のトリガを発行する。したがって、常にリニア撮像部110を起動させておく必要はないので、トリガ発行前にはスタンバイ状態にして節電化を図ることも可能である。例えば、利用者がページめくりをした後、発行したトリガに従ってリニア画像が読み取られたが、利用者が次の動きを示さない場合に、スタンバイ状態にしておき、利用者の動きがあった場合にスタンバイ状態から復帰させる処理を行ってもよい。
【0100】
すなわち、図16に示すように、オーバーヘッドスキャナ装置100は、読取開始判定部102eによりリニア画像の読み取り開始のトリガが発行されていない場合において(ステップSC1、No)、上述したステップSB21〜ステップSB23と同様の処理を行う(ステップSC2〜ステップSC4)。なお、以降の処理は、上述した具体化処理と並行して処理を行う。
【0101】
そして、読取開始判定部102eは、速度ベクトルに基づいて動きがあると判定した場合(ステップSC4、Yes)、リニアセンサ13周辺の回路を起動させる(ステップSC5)。ここで、リニアセンサ13周辺の回路には、リニアセンサ13の回路のほか、コントローラ11やモータ12やA/Dコンバータ14の回路を含めてもよい。
【0102】
そして、光源制御部102kは、インジケータ光源130を制御して、リニアセンサ13の制御可能状態を示す光を点灯させる(ステップSC6)。
【0103】
そして、光源制御部102kは、ライン光源140を点滅制御して、リニアセンサ13の読み取り範囲を示す光を照射させる(ステップSC7)。例えば、光源制御部102kは、モータ12を駆動させることにより、ライン光源140を回転方向に回転させ、ライン光源140からの主走査方向のライン光を点滅させながら、読み取り範囲を限度として副走査方向に移動させることで、利用者に読み取り範囲を通知してもよい。
【0104】
一方、ステップSC4において、読取開始判定部102eは、速度ベクトルに基づいて動きがないと判定した場合(ステップSC4、No)、リニアセンサ13周辺の回路を停止させる(ステップSC8)。
【0105】
そして、光源制御部102kは、インジケータ光源130を消灯させ(ステップSC9)、ライン光源140を消灯させる(ステップSC10)。
【0106】
オーバーヘッドスキャナ装置100は、読取開始判定部102eによりリニア画像の読み取り開始のトリガが発行されるまで(ステップSC1、No)、以上の処理を繰り返し実行して節電化を図り、かつ、利用者にリニアセンサ13の制御可能状態や読み取り範囲を光で通知する。なお、スキャン開始のトリガが発行される毎に(ステップSC1、Yes)、上述した処理を改めてステップSC1に戻し、新たなトリガが発行されるまでの間、上述した処理を繰り返してもよい。
【0107】
以上が、節電処理および光源制御処理の一例である。
【0108】
[3.本実施形態のまとめ、及び他の実施形態]
以上、本実施形態によれば、オーバーヘッドスキャナ装置100は、エリア撮像部120を制御して、エリア画像を連続して取得し、取得されたエリア画像から特徴点を抽出し、エリア画像間で特徴点を比較することにより、当該特徴点の速度ベクトル(オプティカルフロー)を演算し、演算された速度ベクトルに基づいて、リニアセンサ13による読み取り開始を判定する。これにより、原稿の読み取り操作性に優れ、かつ、高精細な画像を取得することができる。例えば、従来のスキャナは、装置に組み込まれたボタンや、スキャナに接続されたパソコン上から制御しなければならず、特に、複数枚の原稿を処理する場面において生産性の低下を招いていたが、この発明によれば、原稿の読み取り開始のための特別なボタンやツール等を必要とすることなく、高精細な原稿の画像を取得することができる。
【0109】
また、本実施形態によれば、オーバーヘッドスキャナ装置100は、速度ベクトルに基づく動きが停止した場合に、リニアセンサ13による読み取り開始を判定する。これにより、ページめくりや手で原稿を押さえる等の原稿の設置が完了した時点で、自動的に読み取り開始を行うので、優れた操作性を発揮することができる。
【0110】
また、本実施形態によれば、オーバーヘッドスキャナ装置100は、演算した速度ベクトルに基づいて、原稿のページめくり方向を判定し、読み取り開始を判定した場合にリニア撮像部110を制御して、原稿のリニア画像を取得し、リニア画像を分割し、分割した分割画像を、判定したページめくり方向に従って並び替えて加工画像データファイル106bに格納する。これにより、ページめくりによる動きからページの順番を判定してページ順にページ単位に分割された画像を並び替えることができるので、読み取った画像をコンピュータ上で分割や並び替えする等の編集作業が不要になり、生産性を大幅に上昇させることができる。すなわち、本実施形態によれば、利用者は、スキャナを操作することなく、本を次々にめくるだけで、本等の原稿の電子化が可能となり、その結果、スキャナ制御で利用者の手を煩わせることがないので手間を省き生産性を向上させることができる。
【0111】
また、本実施形態によれば、オーバーヘッドスキャナ装置100は、取得したリニア画像の階調差から原稿と背景の境界線(原稿エッジ)を求め、境界線の上下辺においてそれぞれ変曲点を求め、変曲点を結ぶ分割線で当該リニア画像を左右に分割する。これにより、本などのように左右見開きページで構成されている場合に、正確にページ単位で画像を分割することができる。
【0112】
また、本実施形態によれば、オーバーヘッドスキャナ装置100は、分割した分割画像の湾曲歪みを補正し、補正した分割画像を、判定したページめくり方向に従って並び替えて加工画像データファイル106bに格納する。これにより、本などのように複数枚の紙が片側で綴じられている場合等に発生する湾曲歪みを補正して、歪みのないページ単位の画像を取得することができる。
【0113】
また、本実施形態によれば、オーバーヘッドスキャナ装置100は、分割した分割画像から肌色の部分領域を検出し、肌色の部分領域が検出された分割画像を加工画像データファイル106bに格納することなく削除する。これにより、利用者が不要なページ上を手で伏せた場合に、肌の色により画像上の手の領域を検出して、不要なページを含まない原稿画像を取得することができる。
【0114】
また、本実施形態によれば、オーバーヘッドスキャナ装置100は、リニアセンサ13による読み取り開始を判定していない場合において、速度ベクトルに基づく動きがある場合にリニアセンサ13周りの回路を起動させ、速度ベクトルに基づく動きがない場合にリニアセンサ13周りの回路を停止させる。これにより、原稿を設置していない場合等のようにリニアセンサ13による読み取りが不要な場合において、リニアセンサ13をスタンバイ状態にして節電につなげることができる。
【0115】
また、本実施形態によれば、オーバーヘッドスキャナ装置100は、インジケータ光源130を制御してリニアセンサ13の制御可能状態を示す光を発光させ、また、ライン光源140を制御して読み取り範囲を示す光を点滅発光させる。これにより、読み取り前に、リニアセンサ13が読み取り可能状態になったことやリニアセンサ13の読み取り範囲等を、利用者に通知することができる。
【0116】
また、本実施形態によれば、オーバーヘッドスキャナ装置100は、演算した速度ベクトルの履歴に基づいて、特徴点の移動により囲まれた切り出し範囲で、リニア画像を切り出す。これにより、利用者が指先で切り出したい範囲の外周をなぞった場合に、利用者の意図に沿って正確に画像を切り出すことができる。
【0117】
さらに、本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。例えば、オーバーヘッドスキャナ装置100がスタンドアローンの形態で処理を行う場合を一例に説明したが、オーバーヘッドスキャナ装置100とは別筐体のクライアント端末からの要求に応じて処理を行い、その処理結果を当該クライアント端末に返却するようにしてもよい。また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0118】
また、オーバーヘッドスキャナ装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、オーバーヘッドスキャナ装置100の各装置が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じてオーバーヘッドスキャナ装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDなどの記憶部106などには、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。また、このコンピュータプログラムは、オーバーヘッドスキャナ装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0119】
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD、および、Blu−ray Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0120】
記憶部106に格納される各種のデータベース等(画像データ一時ファイル106a、加工画像データファイル106b、および指標物ファイル106c)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理に用いる各種のプログラム、テーブル、および、データベース等を格納する。
【0121】
また、オーバーヘッドスキャナ装置100は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、該情報処理装置に任意の周辺装置を接続して構成してもよい。また、オーバーヘッドスキャナ装置100は、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
以上のように、本発明に係るオーバーヘッドスキャナ装置、画像取得方法、および、プログラムは、産業上の多くの分野、特にスキャナで読み取った画像を扱う画像処理分野で実施することができ、極めて有用である。
【符号の説明】
【0123】
100 オーバーヘッドスキャナ装置
102 制御部
102a エリア画像取得部
102b 特徴点検出部
102c 速度ベクトル演算部
102d ページ方向判定部
102e 読取開始判定部
102f リニア画像取得部
102g 画像分割部
102h 湾曲補正部
102i 肌色検出部
102j ページ並び替え部
102k 光源制御部
106 記憶部
106a 画像データ一時ファイル
106b 加工画像データファイル
106c 指標物ファイル
108 入出力インターフェース部
110 リニア撮像部
11 コントローラ
12 モータ
13 リニアセンサ
14 A/Dコンバータ
120 エリア撮像部
21 コントローラ
22 エリアセンサ
23 A/Dコンバータ
130 インジケータ光源
140 ライン光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリアセンサとリニアセンサと制御部とを備え、
前記制御部は、
前記エリアセンサを制御して、複数の画像を連続して取得するエリア画像取得手段と、
前記エリア画像取得手段により取得された前記複数の画像から、特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
前記特徴点抽出手段により抽出された前記特徴点を前記複数の画像間で比較することにより、当該特徴点の速度ベクトルを演算する速度ベクトル演算手段と、
前記速度ベクトル演算手段により演算された前記速度ベクトルに基づいて、前記リニアセンサによる読み取り開始を判定する読取開始判定手段と、
を備えたことを特徴とするオーバーヘッドスキャナ装置。
【請求項2】
前記読取開始判定手段は、
前記速度ベクトルに基づく動きが停止した場合に、前記リニアセンサによる読み取り開始を判定することを特徴とする請求項1に記載のオーバーヘッドスキャナ装置。
【請求項3】
更に記憶部を備え、
前記制御部は、
前記速度ベクトル演算手段により演算された前記速度ベクトルに基づいて、原稿のページめくり方向を判定するページ方向判定手段と、
前記読取開始判定手段により読み取り開始が判定された場合に、前記リニアセンサを制御して、前記原稿の画像を取得するリニア画像取得手段と、
前記リニア画像取得手段により取得された前記画像を分割する画像分割手段と、
前記画像分割手段により分割された前記画像を、前記ページ方向判定手段により判定された前記ページめくり方向に従って並び替えて前記記憶部に格納するページ並び替え手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のオーバーヘッドスキャナ装置。
【請求項4】
前記画像分割手段は、
前記リニア画像取得手段により取得された前記画像の階調差から前記原稿と背景の境界線を求め、前記境界線の上下辺においてそれぞれ変曲点を求め、前記変曲点を結ぶ線で当該画像を左右に分割することを特徴とする請求項3に記載のオーバーヘッドスキャナ装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記画像分割手段により分割された前記画像の湾曲歪みを補正する湾曲補正手段、
を更に備え、
前記ページ並び替え手段は、
前記湾曲補正手段により補正された前記画像を、前記ページ方向判定手段により判定された前記ページめくり方向に従って並び替えて前記記憶部に格納することを特徴とする請求項3または4に記載のオーバーヘッドスキャナ装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記画像分割手段により分割された前記画像から肌色の部分領域を検出する肌色検出手段、
を更に備え、
前記ページ並び替え手段は、
前記肌色検出手段により前記肌色の前記部分領域が検出された前記画像を前記記憶部に格納せず削除することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のオーバーヘッドスキャナ装置。
【請求項7】
前記読取開始判定手段は、
前記リニアセンサによる読み取り開始を判定していない場合において、前記速度ベクトルに基づく動きがある場合に前記リニアセンサの回路を起動させ、前記速度ベクトルに基づく動きがない場合に前記リニアセンサの回路を停止させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のオーバーヘッドスキャナ装置。
【請求項8】
光源を更に備え、
前記制御部は、
前記光源を制御して、前記リニアセンサの制御可能状態または読み取り範囲を示す光を発光させる光源制御手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のオーバーヘッドスキャナ装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記速度ベクトル演算手段により演算された前記速度ベクトルの履歴に基づいて、前記特徴点の移動により囲まれた切り出し範囲で、前記リニアセンサにより読み取られた前記画像を切り出す画像切出手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のオーバーヘッドスキャナ装置。
【請求項10】
エリアセンサとリニアセンサと制御部とを備え、オーバーヘッドスキャナ装置の前記制御部で実行される、
前記エリアセンサを制御して、複数の画像を連続して取得するエリア画像取得ステップと、
前記エリア画像取得ステップにて取得された前記複数の画像から、特徴点を抽出する特徴点抽出ステップと、
前記特徴点抽出ステップにて抽出された前記特徴点を前記複数の画像間で比較することにより、当該特徴点の速度ベクトルを演算する速度ベクトル演算ステップと、
前記速度ベクトル演算ステップにて演算された前記速度ベクトルに基づいて、前記リニアセンサによる読み取り開始を判定する読取開始判定ステップと、
を含むことを特徴とする画像取得方法。
【請求項11】
エリアセンサとリニアセンサと制御部とを備え、オーバーヘッドスキャナ装置の前記制御部に実行させるための、
前記エリアセンサを制御して、複数の画像を連続して取得するエリア画像取得ステップと、
前記エリア画像取得ステップにて取得された前記複数の画像から、特徴点を抽出する特徴点抽出ステップと、
前記特徴点抽出ステップにて抽出された前記特徴点を前記複数の画像間で比較することにより、当該特徴点の速度ベクトルを演算する速度ベクトル演算ステップと、
前記速度ベクトル演算ステップにて演算された前記速度ベクトルに基づいて、前記リニアセンサによる読み取り開始を判定する読取開始判定ステップと、
を含むことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−254366(P2011−254366A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127761(P2010−127761)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】