説明

カウルルーバ

【課題】種々の車両への搭載自由度が高く、エネルギー吸収量の調整が容易であって、フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、安定して所定のエネルギーを吸収可能なカウルルーバの提供。
【解決手段】本発明のカウルルーバ15は、本体部16と、フードパネル3の後縁の下方を支持する支持部20と、を備えている。本体部16の前端側に、上方に延びて上端側を支持部10の後端と連結される連結縦壁23が、配設される。連結縦壁23の下端側に、フードパネル3の後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、支持部20を、本体部16側から分離させる分離予定部26が、形成される。支持部20の下降移動時に、分離予定部26で分離された本体部16側の部位が、連結縦壁23に対して相対移動しつつ、連結縦壁23の凹凸24を乗り越えることにより、支持部20の運動エネルギーを低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンルームの上方を覆うフードパネルと、フードパネルの後方に配置されるフロントウィンドシールドと、の間のカウルの部位において、車幅方向の略全域にわたって配設されるカウルルーバに関し、特に、フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、塑性変形してエネルギー吸収可能とされるカウルルーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行者の頭部等の干渉物が干渉した際の衝突エネルギーを吸収可能に塑性変形するカウルルーバとしては、車幅方向の略全域にわたって配設されて左右方向に略沿った長尺状の合成樹脂製とされるとともに、フロントウィンドシールドの前縁から前方に延びる本体部と、本体部の前端側においてフードパネルの後縁の下方を支持可能に略前後方向に沿って配設される支持部と、を備え、この本体部と支持部とを上下方向に略沿って形成される連結縦壁により、連結させている構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。このカウルルーバでは、連結縦壁と本体部とに、それぞれ、略左右方向に沿った凹溝状の折曲予定部を複数個並設させており、フードパネルの後縁に下方への荷重が急激に加わって、支持部に下方へ押し下げるような荷重が急激に加わった際に、連結縦壁及び本体部を、折曲予定部の部位で屈曲させるように塑性変形させて、エネルギー吸収する構成であった。
【特許文献1】特開2005−306086公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のカウルルーバでは、本体部の領域にも、左右方向に沿って配置される折曲予定部を、前後方向で複数並設させている構成であることから、本体部が、前後の幅寸法を広く確保する必要があって、種々の車両への搭載自由度が低く、例えば、フードパネルの後縁からフロントウィンドシールドまでの距離が短いデザインの車両には、充分なエネルギー吸収量を確保し難いことから、採用し難かった。
【0004】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、種々の車両への搭載自由度が高く、エネルギー吸収量の調整が容易であって、かつ、フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、安定して所定のエネルギーを吸収可能なカウルルーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るカウルルーバは、エンジンルームの上方を覆うフードパネルと、フードパネルの後方に配置されるフロントウィンドシールドと、の間のカウルの部位において、車幅方向の略全域にわたって配設されるとともに、左右方向に略沿った長尺状の合成樹脂製とされて、
フロントウィンドシールドの前縁から前方に延びるように構成されて、カウルパネルの上方の領域を覆うとともに、下面側をカウルパネルに支持される本体部と、
本体部の前端側において、フードパネルの後縁の下面を支持可能に、略前後方向に沿って配設される支持部と、
を備えて、フードパネルを介在させて支持部に急激に下方への荷重が加わった際に、一部を変形させる構成のカウルルーバであって、
本体部の前端側に、本体部の前端近傍から上方に延びて略上下方向に沿って配設されるとともに、上端側を支持部の後端と連結される連結縦壁が、配設され、
連結縦壁の上端側若しくは下端側のいずれか一方に、フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、支持部を、本体部側から分離させて、フードパネルとともに押し下げられるように下降移動可能とする分離予定部が、形成され、
連結縦壁が、表面側に、上下方向に沿って並設される多段状の凹凸を、備える構成とされ、
本体部側から分離されてフードパネルとともに押し下げられる支持部の下降移動時に、分離予定部の部位で分離された支持部側の部位、あるいは、本体部側の部位が、連結縦壁に対して上下方向に略沿って相対移動される構成とされ、この相対移動時に、凹凸を乗り越えることにより、支持部の運動エネルギーを低減可能に、構成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明のカウルルーバでは、フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わり、このフードパネルの後縁側を介して、カウルルーバの支持部が、急激に下方に押し下げるような力を受けると、支持部が、分離予定部の部位で、本体部側から分離されることとなる。その後、本体部側から分離された支持部が、フードパネルとともに押し下げられて、本体部に対して、下降移動することとなるが、このとき、分離予定部の部位で分離された支持部側の部位、あるいは、本体部側の部位が、連結縦壁の表面側に設けられる多段状の凹凸を乗り越えつつ、連結縦壁に対して上下方向に略沿って相対移動されることとなる。そして、分離予定部の部位で分離された支持部側の部位、あるいは、本体部側の部位が凹凸を乗り越える際に、支持部の運動エネルギーが、低減されることとなる。
【0007】
すなわち、本発明のカウルルーバでは、上下方向に略沿って配設される連結縦壁に、上下方向に沿って並設される多段状の凹凸を設け、この凹凸を、分離予定部の部位で分離された支持部側の部位、あるいは、本体部側の部位によって乗り越えさせることにより、支持部の運動エネルギーを低減させていることから、フードパネルの後縁からフロントウィンドシールドまでの距離が短いデザインの車両にも採用できて、種々の車両への搭載自由度が高い。また、本発明のカウルルーバでは、フードパネルの後縁を介して支持部に伝わる下方に押し下げるような力を、支持部側の部位あるいは本体部側の部位と、連結縦壁と、の上下方向に略沿った相対移動により、吸収させており、この相対移動の方向は、支持部の移動方向に略沿っていることから、安定して支持部の運動エネルギーを吸収することができる。また、本発明のカウルルーバでは、凹凸の形状を変更すれば、エネルギー吸収量も変更することができることから、エネルギー吸収量の調整も容易である。
【0008】
したがって、本発明のカウルルーバでは、種々の車両への搭載自由度が高く、エネルギー吸収量の調整が容易であって、かつ、フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、安定して所定のエネルギーを吸収することができる。
【0009】
また、本発明のカウルルーバにおいて、本体部を、連結縦壁との交差部位より前方側に延びる支持片部を備えるとともに、支持片部の下面側をカウルパネルに支持される構成として、
分離予定部を、連結縦壁の下端側となる連結縦壁と本体部との交差部位に配設させて、分離時に、本体部に、連結縦壁を挿通可能とする挿通孔を形成可能とするように、構成して、
凹凸を、連結縦壁の前面側に、形成させる構成とすることが好ましい。
【0010】
上記構成のカウルルーバでは、支持片部の下面側がカウルパネルに支持される構成であることから、フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、分離予定部の部位を円滑に分離させることができる。また、上記構成のカウルルーバでは、連結縦壁と本体部との分離後に形成される挿通孔に連結縦壁を挿通させるようにして、支持部が、連結縦壁とともに下降移動する際に、挿通孔の前縁側となる支持片部が、カウルパネルに支持されて下方へ移動し難いことから、支持部の移動方向を安定させることができるとともに、連結縦壁に設けられた凹凸を、確実に挿通孔の前縁側の周縁部位と接触させつつ、支持部を下降移動させることができる。さらに、上記構成のカウルルーバでは、凹凸が、連結縦壁の前面側に形成され、本体部側に形成されていないことから、車両搭載時に、雨水や直射日光等が当たることを防止できて、耐久性を維持することができる。
【0011】
さらにまた、本発明のカウルルーバにおいて、分離予定部を、連結縦壁の上端側となる連結縦壁と支持部との連結部位付近に、配設させて、
凹凸を、連結縦壁の前面側において、前方側に突出する突起部から、構成してもよい。
【0012】
上記構成のカウルルーバにおいても、凹凸が、連結縦壁の前面側に形成され、本体部側に形成されていないことから、車両搭載時に、雨水や直射日光等が当たることを防止できて、耐久性を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本明細書では、前後の方向及び上下の方向は、それぞれ、車両の前後方向に沿う方向及び車両の上下方向に沿う方向を基準とし、左右の方向は、車両の前方側から後方側を見た際の左右の方向に沿う方向を基準とする。
【0014】
第1実施形態のカウルルーバ15は、図1,2に示すように、車両Vにおけるフードパネル3と、フードパネル3の後方に配置されるフロントウィンドシールド7との間のカウル9の部位に配設されている。実施形態のカウルルーバ15は、ボディ1側の部材であるカウルパネル10とともにカウル9の部位を構成している。
【0015】
フードパネル3は、図1に示すように、車両VにおけるエンジンルームERの上方を覆うように配設されるもので、左右方向の両縁側における後端近傍に配置される図示しないヒンジ部により、車両Vのボディ1に対して、前開きで開閉可能に連結されている。フードパネル3は、アルミニウム(アルミニウム合金)等からなる板金製として、上面側のアウタパネル4と、下面側に位置してアウタパネル4より強度を向上させたインナパネル5と、から構成されている。実施形態の場合、フードパネル3は、歩行者の頭部等の干渉物Mを受け止めた際に、この干渉物Mの運動エネルギーを吸収できるように、塑性変形可能に、構成されている。
【0016】
カウルパネル10は、実施形態の場合、図2に示すごとく、三枚の鋼板からなるパネル材11,12,13の所定箇所を溶接させて構成されるとともに、カウルルーバ15側から流入するエアAを室内側に導く流路10aと、カウルルーバ15側から流入する雨水Rを車両Vの左右両縁から滴下させる流路10bと、を備える構成とされている。
【0017】
カウルルーバ15は、カウル9の部位において、車幅方向の略全域にわたって配設されるとともに、左右方向に略沿った長尺状の合成樹脂製とされている。実施形態の場合、カウルルーバ15は、フードパネル3の後縁3aとフロントウィンドシールド7との間の三日月状のスペースに、車両Vの左右両縁付近まで延びるように配設されるもので、上方から見て左右方向の端部側を後方に向けるように、左右方向に沿って僅かに湾曲した略三日月形状とされている(図3参照)。カウルルーバ15は、実施形態の場合、ポリプロピレン(PP)製とされている。ポリプロピレン(PP)としては、耐衝撃性に優れたものを使用することが好ましく、具体的には、PPと少量のエチレン系モノマーとの共重合体、耐衝撃性を付与する繊維性フィラーを含有させたPP、さらには、それらにエチレンプロピレンゴム(EPR)等の軟質成分を含有させたもの等を例示することができる。
【0018】
カウルルーバ15は、図2,3に示すように、カウルパネル10の上方の領域を覆う本体部16と、本体部16の前端16a側におけるフードパネル3の後縁3aの下方に配設される支持部20と、本体部16と支持部20とを連結する連結縦壁23と、を備えている。実施形態のカウルルーバ15では、本体部16、支持部20、及び、連結縦壁23は、一体的に構成されている。
【0019】
本体部16は、フロントウィンドシールド7の前縁7aから前方に延びる略前後方向に沿った板状とされるもので、上方から見て略三日月状とされている。本体部16における前端16a側には、連結縦壁23との交差部位より前方側に延びる支持片部17が、本体部16の前端16aから連続的に延びるように、形成されている。そして、本体部16は、この支持片部17を、左右方向に沿って多数並設される図示しないクリップ等を利用してカウルパネル10のパネル材11に連結させて、支持片部17の下面側の部位をカウルパネル10に支持されるように、車両Vのボディ1側に連結されている。また、本体部16は、図示しない左右両端側の部位においても、車両Vのボディ1側に連結されている。本体部16には、エアAや雨水R等をカウルパネル10側に流す複数の挿通孔16cが、形成されている。また、本体部16には、ワイパ8を貫通可能な貫通孔16dも、形成されている。さらに、本体部16における後端16b側には、フロントウィンドシールド7の前縁7aを嵌め込むウェザストリップ18が、固着されている。
【0020】
支持部20は、カウルルーバ15の左右方向に沿った全域にわたって形成されるとともに、フードパネル3の後縁3aの下方に配設されて、フードパネル3の後縁3aの下方を支持可能なように、略前後方向に沿った板状とされている。具体的には、支持部20は、左右方向の幅寸法を、本体部16の左右方向の幅寸法と一致させるとともに、フードパネル3における後縁3a側の上面側に略沿わせるように、後端側を上方に位置させ前端側を下方に位置させるように水平方向に対して傾斜して構成されている。支持部20には、エンジンルームER内のシール性を確保可能に、フードパネル3の後縁3a側の下面3bをシールするためのウェザストリップ21が、組み付けられている。ウェザストリップ21は、支持部20における左右方向の略全域にわたって配設されるもので、フードパネル3の後縁3a側における下面3bに対して、左右方向の略全域にわたって圧接されて、フードパネル3の後縁3a側における下面3bをシールしている。すなわち、支持部20は、車両搭載状態において、圧接されたウェザストリップ21を介して、常時、フードパネル3自体の荷重を受けつつ、フードパネル3の後縁3a側の下面3bを支持する構成とされている。
【0021】
連結縦壁23は、本体部16の前端16a側において、本体部16の前端16a近傍から上方に延びて略上下方向に沿って配設されるとともに、上端23a側を支持部20の後端20aと連結される構成である。具体的には、実施形態の場合、連結縦壁23は、左右方向の幅寸法を、本体部16及び支持部20の左右方向の幅寸法と略一致させるとともに、上下方向に略沿って配設される板状とされて、上端23a側を支持部20の後端20aと連結させ、下端23b側を本体部16における前端16a付近となる支持片部17の後側となる位置と連結させている。実施形態の場合、連結縦壁23は、フードパネル3の後縁3aが下方への荷重を受けて押し下げられる際の押し下げ方向に略沿うように、フードパネル3の後縁3a側における上面3cと略直交して、鉛直方向(上下方向)に対して若干傾斜するように、構成されている。
【0022】
連結縦壁23における前面側には、上下方向に沿って並設される多段状の凹凸24が、配設されている。実施形態の場合、凹凸24は、多数の断面楔状の突起部24aを左右方向に沿わせるように形成した断面略鋸刃状として、上下方向の略全域にわたって、形成されている。また、実施形態の場合、凹凸24のピッチは、本体部16に形成される後述する挿通孔28の前縁側の周縁部位28aが凹凸24(突起部24a)を乗り越えて移動する際に適度な抵抗を受けて支持部20の運動エネルギーを低減できるように、隣り合う突起部24aの先端24b相互の離隔距離L1を、挿通孔28の周縁部位28aの肉厚t1(本体部16の肉厚)より大きくして、構成されている(図4参照)。
【0023】
連結縦壁23と本体部16との交差部位には、図2,4に示すように、フードパネル3の後縁3aに下方への荷重が急激に加わった際に、破断して、連結縦壁23及び支持部20を本体部16側から分離させる分離予定部26が、形成されている。実施形態の場合、分離予定部26は、本体部16の下面側であって、連結縦壁23の前面近傍及び後面近傍となる前後方向に沿った2箇所において、それぞれ、本体部16の下面側を断面略楔状に切り欠いて構成される凹溝26aを、左右方向に沿った全域にわたって連続的に配設させて、構成されている。そして、実施形態の場合、分離予定部26は、各凹溝26aの先端26bから上方に切れ目を入れるようにして、連結縦壁23と本体部16とを分離させることとなり、分離後には、図4のBに示すように、挿通孔28が、形成されることとなる。この挿通孔28は、連結縦壁23を挿通可能に構成されるもので、具体的には、挿通孔28の前縁側の周縁部位28aが相対的に凹凸24(突起部24a)を乗り越えて移動する際に適度な抵抗を受けて支持部20の運動エネルギーを低減できるように、前後方向の開口幅寸法W1を、連結縦壁23における凹凸24の突起部24aの先端24bの部位の肉厚t2より若干小さくして、構成されている(図4参照)。
【0024】
また、分離予定部26は、破断強度を、通常使用時において、フードパネル3自体の荷重を受けつつ支持部20によりフードパネル3の後縁3a側の下面3bを支持している状態では破断されず、歩行者の頭部等の干渉物M(図2参照)がフードパネル3の後縁3a側に干渉して、フードパネル3の後縁3a側を介して支持部20に下方への荷重が急激に加わった際に、凹溝26aの先端26bから上方に切れ目を入れるようにして、連結縦壁23と本体部16とを分離可能な強度に、設定されている。そして、分離予定部26が周縁の部位を破断させれば、支持部20と連結縦壁23とが、本体部16に対して分離され、連結縦壁23が分離されて形成された挿通孔28内に、連結縦壁23を挿通させるようにして、支持部20と連結縦壁23とが、フードパネル3とともに押し下げられて下降移動することとなる。
【0025】
第1実施形態のカウルルーバ15では、歩行者の頭部等の干渉物Mがフードパネル3の後縁3a側に干渉して、フードパネル3の後縁3a側に下方への荷重が急激に加わり、このフードパネル3の後縁3a側を介して、カウルルーバ15の支持部20が、急激に下方に押し下げるような力F(図2参照)を受けると、支持部20が、分離予定部26の部位で、本体部16側から分離されることとなる。具体的には、第1実施形態の場合、本体部16が、前端16a側であって、連結縦壁23の前方に位置する支持片部17の下面側をカウルパネル10に支持されていることから、本体部16が下方へ押し下げられず、支持部20と連結縦壁23とが下方へ押し下げられることとなり、連結縦壁23と本体部16との交差部位付近に応力集中が生じて、連結縦壁23と本体部16との間に設けられた分離予定部26が破断して、連結縦壁23及び支持部20が、本体部16から分離されることとなる。その後、本体部16側から分離された支持部20と連結縦壁23とが、フードパネル3とともに押し下げられて、本体部16に対して、下降移動することとなるが、このとき、分離予定部26の部位で分離された本体部16側の部位である挿通孔28の周縁部位28aが、連結縦壁23の前面側に設けられる多段状の凹凸24を乗り越えつつ、連結縦壁23に対して上下方向に略沿って相対移動されることとなる(図5参照)。
【0026】
具体的には、実施形態の場合、挿通孔28の周縁部位28aは移動せず、連結縦壁23が、支持部20とともに、本体部16(挿通孔28の周縁部位28a)に対して下降移動することとなる。そして、挿通孔28の周縁部位28aは、凹凸24の突起部24aを乗り越える際に、口開きするように撓み、その後、閉じるように復元する動作を、繰り返すように弾性変形する態様となることから、弾性変形時のエネルギーや、乗り越え時の摩擦熱等により、支持部20の運動エネルギーを吸収することができる。そのため、フードパネル3の後縁3a側に歩行者の頭部等の干渉物Mが干渉しても、干渉時の運動エネルギーを、カウルルーバ15により吸収しつつ受け止めることができ、干渉物Mを的確に保護することができる。なお、第1実施形態のカウルルーバ15では、分離予定部26は左右の略全域にわたって形成されているが、干渉物Mが干渉した領域から左右方向に離れたエリアでは、下方への押圧力が少ないことから、この領域では、分離予定部26は破断されず、干渉物Mの下方への押圧力を受けて下降移動する支持部20及び連結縦壁23は、支持部20及び連結縦壁23自体における分離予定部26が破断されない左右方向に離れたエリアの部位により、支持されることとなる。
【0027】
そして、第1実施形態のカウルルーバ15では、上下方向に略沿って配設される連結縦壁23に、上下方向に沿って並設される多段状の凹凸24を設け、この凹凸24を、本体部16側の部位である挿通孔28の周縁部位28aによって乗り越えさせることにより、支持部20の運動エネルギーを低減させていることから、フードパネルの後縁からフロントウィンドシールドまでの距離が短いデザインの車両にも採用できて、種々の車両への搭載自由度が高い。また、第1実施形態のカウルルーバ15では、フードパネル3の後縁3aを介して支持部20に伝わる下方に押し下げるような力Fを、挿通孔28の周縁部位28aと連結縦壁23との上下方向に略沿った相対移動により吸収させており、この相対移動の方向は、支持部20の移動方向に略沿っていることから、安定して支持部20の運動エネルギーを吸収することができる。また、第1実施形態のカウルルーバ15では、凹凸24や挿通孔28の形状を変更すれば、エネルギー吸収量も変更することができることから、エネルギー吸収量の調整も容易である。具体的には、挿通孔28の開口幅寸法や、挿通孔28の周縁部位28aの肉厚、そして、凹凸24の形状等を変更すれば、エネルギー吸収量を容易に変更することができる。
【0028】
したがって、第1実施形態のカウルルーバ15では、設計変更が容易であって、かつ、フードパネル3の後縁3a側に下方への荷重が急激に加わった際に、円滑にエネルギー吸収することができる。
【0029】
また、第1実施形態のカウルルーバ15では、分離予定部26を、連結縦壁23の下端23b側となる連結縦壁23と本体部16との交差部位に配設させており、分離予定部26の分離後に本体部16に形成される挿通孔28に、連結縦壁23を挿通させつつ、支持部20と連結縦壁23とを本体部16に対して下降移動させる構成である。このとき、第1実施形態のカウルルーバ15では、支持片部17の下面側がカウルパネル10に支持される構成であることから、フードパネル3の後縁3a側に下方への荷重が急激に加わった際に、分離予定部26の部位を円滑に分離させることができる。さらに、第1実施形態のカウルルーバ15では、連結縦壁23と本体部16との分離後に形成される挿通孔28に連結縦壁23を挿通させるようにして、支持部20が、連結縦壁23とともに下降移動する際に、挿通孔28の前縁側となる支持片部17が、カウルパネル10に支持されて下方へ移動し難いことから、支持部20の移動方向を安定させることができるとともに、連結縦壁23に設けられた凹凸24を、確実に挿通孔28の前縁側の周縁部位28aと接触させつつ、支持部20を下降移動させることができる。さらにまた、第1実施形態のカウルルーバ15では、凹凸24が、連結縦壁23の前面側に形成され、本体部16側に形成されていないことから、車両搭載時に、雨水や直射日光等が当たることを防止できて、耐久性を維持することができる。
【0030】
次に、本発明の第2実施形態であるカウルルーバ31について説明をする。第2実施形態のカウルルーバ31は、図6に示すように、前述の第1実施形態のカウルルーバ15と同様に、カウル9の部位において、車幅方向の略全域にわたって配設されるとともに、左右方向に略沿った長尺状の合成樹脂製とされ、フードパネル3の後縁3aとフロントウィンドシールド7との間の三日月状のスペースに、車両Vの左右両縁付近まで延びるように配設されるもので、前述のカウルルーバ15と同様に、ポリプロピレン(PP)製とされている。
【0031】
カウルルーバ31は、図6に示すように、カウルパネル10の上方の領域を覆う本体部32と、本体部32の前端32a側におけるフードパネル3の後縁3aの下方に配設される支持部33と、本体部32と支持部33とを連結する連結縦壁34と、を備えている。実施形態のカウルルーバ31においても、本体部32、支持部33、及び、連結縦壁34は、一体的に構成されている。
【0032】
本体部32は、フロントウィンドシールド7の前縁7aから前方に延びる略前後方向に沿った板状とされるもので、前端32a近傍の部位を、左右方向に沿って多数並設される図示しないクリップ等を利用してカウルパネル10のパネル材11に連結させて、前端32a近傍の下面側の部位をカウルパネル10に支持されるように、車両Vのボディ1側に連結されている。また、本体部32は、前述のカウルルーバ15の本体部16と同様に、図示しない左右両端側の部位においても、車両Vのボディ1側に連結されている。さらに、本体部32には、図示しないが、前述のカウルルーバ15における本体部16と同様に、エアや雨水等をカウルパネル10側に流す複数の挿通孔と、ワイパ8を貫通可能な貫通孔と、が、形成されている。本体部32における後端32b側には、フロントウィンドシールド7の前縁7aを嵌め込むウェザストリップ18が、固着されている。
【0033】
支持部33は、前述のカウルルーバ15における支持部20と同様に、フードパネル3の後縁3aの下方に配設されて、フードパネル3の後縁3aの下方を支持可能なように、略前後方向に沿った板状とされて、フードパネル3における後縁3a側の上面側に略沿わせるように、後端側を上方に位置させ前端側を下方に位置させるように水平方向に対して傾斜して構成されている。支持部33には、前述のカウルルーバ15における支持部20と同様に、ウェザストリップ21が、組み付けられている。
【0034】
連結縦壁34は、本体部32の前端32a側において、本体部32の前端32a近傍から上方に延びて略上下方向に沿って配設されるとともに、上端34a側を支持部33の後端33aと連結される構成である。具体的には、実施形態の場合、連結縦壁34は、左右方向の幅寸法を、本体部32及び支持部33の左右方向の幅寸法と略一致させるとともに、上下方向に略沿って配設される板状とされて、上端34a側を支持部33の後端33aと連結させ、下端34b側を本体部32における前端32aと連結させている。第2実施形態においても、連結縦壁34は、フードパネル3の後縁3aが下方への荷重を受けて押し下げられる際の押し下げ方向に略沿うように、フードパネル3の後縁3a側における上面3cと略直交して、鉛直方向(上下方向)に対して若干傾斜するように、構成されている。
【0035】
連結縦壁34における前面側には、上下方向に沿って並設される多段状の凹凸としての突出片(突起部)35が、配設されている(図6,7参照)。実施形態の場合、突出片35は、略等間隔で配置されて、それぞれ、連結縦壁34に対して略直交するように前方側に向かって突出するとともに左右の全域にわたって配置される平板状とされるもので、支持部33の下降移動時に、支持部33の後端33aと確実に接触可能なように、連結縦壁34の下端34b側にかけて段階的に突出量を大きくして、構成されている。また、実施形態の場合、突出片35相互の離隔距離L2は、支持部33の肉厚t3より大きくするように、設定されている。そして、突出片35自体は、支持部33の後端33aが突出片35を乗り越えて移動する際に、適度な抵抗を受けて支持部33の運動エネルギーを低減できるような肉厚に設定されており、実施形態の場合、突出片35の肉厚t4は、支持部33の肉厚t3より小さく設定されている(図7参照)。
【0036】
連結縦壁34と支持部33との交差部位には、図7に示すように、フードパネル3の後縁3aに下方への荷重が急激に加わった際に、破断して、支持部33を連結縦壁34から分離させ、本体部32側から分離させる分離予定部36が、形成されている。実施形態の場合、分離予定部36は、支持部33の下面側であって、連結縦壁34近傍となる後端33a側において、断面略楔状に切り欠いて構成される凹溝36aを、左右方向に沿った全域にわたって連続的に配設させて、構成されている。また、分離予定部36は、破断強度を、通常使用時において、フードパネル3自体の荷重を受けつつ支持部33によりフードパネル3の後縁3a側の下面3bを支持している状態では破断されず、歩行者の頭部等の干渉物M(図6参照)がフードパネル3の後縁3a側に干渉して、フードパネル3の後縁3a側を介して支持部20に下方への荷重が急激に加わった際に、破断されて、連結縦壁34と支持部33とを分離可能な強度に、設定されている。そして、分離予定部36が周縁の部位を破断させれば、支持部33が、連結縦壁34及び本体部32に対して分離されることとなって、支持部33が、フードパネル3とともに押し下げられて下降移動することとなる。
【0037】
そして、第2実施形態のカウルルーバ31では、歩行者の頭部等の干渉物Mがフードパネル3の後縁3a側に干渉して、フードパネル3の後縁3a側に下方への荷重が急激に加わり、このフードパネル3の後縁3a側を介して、カウルルーバ31の支持部33が、急激に下方に押し下げるような力F(図6参照)を受けると、支持部33が、分離予定部36の部位で、本体部32側から分離されることとなる。具体的には、第2実施形態の場合、連結縦壁34と支持部33との間に設けられた分離予定部36が破断して、支持部33が、連結縦壁34及び本体部32から分離されることとなる。その後、本体部32側から分離された支持部33が、フードパネル3とともに押し下げられて、本体部32及び連結縦壁34に対して、下降移動することとなるが、このとき、分離予定部36の部位で分離された支持部33側の部位である支持部33の後端33aが、連結縦壁34の前面側に設けられる多段状の突出片(突起部)35を乗り越えつつ、連結縦壁34に対して上下方向に略沿って相対移動されることとなる(図8参照)。
【0038】
具体的には、実施形態の場合、連結縦壁34は本体部32とともに下降移動せず、支持部33が、連結縦壁34に対して下降移動することとなる。そして、支持部33の後端33aは、突出片35を乗り越える際に、突出片35を、撓みと復元とを繰り返すように弾性変形させる態様となることから、弾性変形時のエネルギーや、乗り越え時の摩擦熱等により、支持部33の運動エネルギーを吸収することができる。そのため、フードパネル3の後縁3a側に歩行者の頭部等の干渉物Mが干渉しても、干渉時の運動エネルギーを、カウルルーバ31により吸収しつつ受け止めることができ、干渉物Mを的確に保護することができる。なお、第2実施形態のカウルルーバ31においても、分離予定部36は左右の略全域にわたって形成されているが、干渉物Mが干渉した領域から左右方向に離れたエリアでは、下方への押圧力が少ないことから、この領域では、分離予定部36は破断されず、干渉物Mの下方への押圧力を受けて下降移動する支持部33は、支持部33自体における分離予定部36が破断されない左右方向に離れたエリアの部位により、支持されることとなる。
【0039】
そして、第2実施形態のカウルルーバ31においても、上下方向に略沿って配設される連結縦壁34に、上下方向に沿って並設される多段状の突出片35を設け、この突出片35を、支持部33の後端33aによって乗り越えさせることにより、支持部33の運動エネルギーを低減させていることから、フードパネルの後縁からフロントウィンドシールドまでの距離が短いデザインの車両にも採用できて、種々の車両への搭載自由度が高い。また、第2実施形態のカウルルーバ31においても、フードパネル3の後縁3aを介して支持部33に伝わる下方に押し下げるような力Fを、支持部33と連結縦壁34との上下方向に略沿った相対移動により、吸収させており、この相対移動の方向は、支持部33の移動方向にほぼ沿っていることから、安定して、支持部33の運動エネルギーを吸収することができる。また、第2実施形態のカウルルーバ31においても、突出片35の形状を変更すれば、エネルギー吸収量も変更することができることから、エネルギー吸収量の調整も容易である。
【0040】
したがって、第2実施形態のカウルルーバ31においても、種々の車両への搭載自由度が高く、エネルギー吸収量の調整が容易であって、かつ、フードパネル3の後縁3a側に下方への荷重が急激に加わった際に、安定して所定のエネルギーを吸収することができる。
【0041】
また、第2実施形態のカウルルーバ31においても、突出片35が、連結縦壁34の前面側に形成され、本体部32側に形成されていないことから、車両搭載時に、雨水や直射日光等が当たることを防止できて、耐久性を維持することができる。
【0042】
なお、第1,第2実施形態のカウルルーバ15,31では、それぞれ、全体を一体的に構成しているが、例えば、第1実施形態のごとく本体部と連結縦壁との間に分離予定部を設ける構成のカウルルーバでは、本体部を、支持部及び連結縦壁とは別体から構成し、第2実施形態のごとく支持部と連結縦壁との間に分離予定部を設ける構成のカウルルーバでは、支持部を、連結縦壁及び本体部とは別体から構成し、それぞれ、接着剤等を利用して連結させる構成としてもよい。
【0043】
また、第1,第2実施形態のカウルルーバ15,31では、左右の略全域にわたって形成される分離予定部26,36は、干渉物Mがフードパネル3の後縁3aを介して干渉した領域のみが破断されることとなり、下降移動する支持部20,33は、分離予定部26,36の破断しない領域における支持部20,33自体で支持させる構成であるが、支持部20,33の左右両縁側を、カウルパネルやフロントフェンダー等に連結させて、ボディ側に支持させる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態であるカウルルーバが搭載される車両の平面図である。
【図2】第1実施形態のカウルルーバの車両搭載状態を示す前後方向に沿った概略縦断面図であり、図1のII−II部位に対応する。
【図3】第1実施形態のカウルルーバの平面図である。
【図4】第1実施形態のカウルルーバにおける分離予定部の部位を示す概略拡大断面図であり、分離前の状態と、分離後において連結縦壁と本体部とを上下に離した状態と、を示す。
【図5】第1実施形態のカウルルーバにおいて、車両搭載時に、フードパネルの後縁側に下方への荷重が加わってカウルルーバが変形する状態を示す概略縦断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態であるカウルルーバの車両搭載状態を示す前後方向に沿った概略縦断面図である。
【図7】第2実施形態のカウルルーバにおける連結縦壁の部位を示す概略拡大断面図である。
【図8】第2実施形態のカウルルーバにおいて、車両搭載時に、フードパネルの後縁側に下方への荷重が加わってカウルルーバが変形する状態を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1…ボディ、
3…フードパネル、
3a…後縁、
7…フロントウィンドシールド、
10…カウルパネル、
15,31…カウルルーバ、
16,32…本体部、
17…支持片部、
20,33…支持部、
23,34…連結縦壁、
24…凹凸、
26,36…分離予定部、
28…挿通孔、
28a…周縁部位、
35…突出片(突起部)、
ER…エンジンルーム、
M…干渉物、
V…車両。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームの上方を覆うフードパネルと、該フードパネルの後方に配置されるフロントウィンドシールドと、の間のカウルの部位において、車幅方向の略全域にわたって配設されるとともに、左右方向に略沿った長尺状の合成樹脂製とされて、
前記フロントウィンドシールドの前縁から前方に延びるように構成されて、カウルパネルの上方の領域を覆うとともに、下面側をカウルパネルに支持される本体部と、
該本体部の前端側において、前記フードパネルの後縁の下面を支持可能に、略前後方向に沿って配設される支持部と、
を備えて、前記フードパネルを介在させて前記支持部に急激に下方への荷重が加わった際に、一部を変形させる構成のカウルルーバであって、
前記本体部の前端側に、前記本体部の前端近傍から上方に延びて略上下方向に沿って配設されるとともに、上端側を前記支持部の後端と連結される連結縦壁が、配設され、
該連結縦壁の上端側若しくは下端側のいずれか一方に、前記フードパネルの後縁側に下方への荷重が急激に加わった際に、前記支持部を、前記本体部側から分離させて、前記フードパネルとともに押し下げられるように下降移動可能とする分離予定部が、形成され、
前記連結縦壁が、表面側に、上下方向に沿って並設される多段状の凹凸を、備える構成とされ、
前記本体部側から分離されて前記フードパネルとともに押し下げられる前記支持部の下降移動時に、前記分離予定部の部位で分離された前記支持部側の部位、あるいは、前記本体部側の部位が、前記連結縦壁に対して上下方向に略沿って相対移動される構成とされ、この相対移動時に、前記凹凸を乗り越えることにより、前記支持部の運動エネルギーを低減可能に、構成されていることを特徴とするカウルルーバ。
【請求項2】
前記本体部が、前記連結縦壁との交差部位より前方側に延びる支持片部を備えるとともに、該支持片部の下面側を前記カウルパネルに支持される構成とされ、
前記分離予定部が、前記連結縦壁の下端側となる前記連結縦壁と前記本体部との交差部位に配設されて、分離時に、前記本体部に、前記連結縦壁を挿通可能とする挿通孔を形成可能とするように、構成されて、
前記凹凸が、前記連結縦壁の前面側に、形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカウルルーバ。
【請求項3】
前記分離予定部が、前記連結縦壁の上端側となる前記連結縦壁と前記支持部との連結部位付近に、配設されて、
前記凹凸が、前記連結縦壁の前面側において、上下方向に沿って並設される多段状とされて、それぞれ、前方側に突出する突起部から、構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカウルルーバ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−154810(P2009−154810A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337753(P2007−337753)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】