説明

カチオン伝導体、中間体、高分子電解質膜および電池

【課題】単結合の回転を利用したイオン伝導体の低温特性を維持するとともに、イオン伝導度を向上する。
【解決手段】下記一般式(1)
【化15】


(式中、Rは重合可能な不飽和結合を有する化合物が重合した有機基、iはRの重合度、XはQまたはS−Vであり、QはRと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基、Sは前記Rと結合する有機基、Vは前記Sと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基Mk+はk価のカチオン、n、mは1以上の整数)で示されるカチオン伝導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン伝導性の有機電解質、高分子電解質膜、その中間体および電解質膜を用いたリチウム電池などの電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術の進歩により、電子機器の性能が向上して小型化・ポータブル化が進み、その電源としてエネルギー密度の高い二次電池が望まれている。これらの要求に応え、近年、エネルギー密度を大幅に向上できる非水電解液系二次電池、すなわち、有機電解液系リチウムイオン二次電池(以下、単に「リチウム電池」と記す)が開発され、急速に普及している。リチウム電池には、例えば正極の活物質としてリチウムコバルト複合酸化物等のリチウム含有金属複合酸化物が用いられ、負極の活物質としてはリチウムイオンの層間への挿入(リチウム層間化合物の形成)および層間からのリチウムイオンの放出が可能な多層構造を有する炭素材料が主に用いられている。
【0003】
リチウム電池は電解液として可燃性の有機電解液を使用しているため、電池のエネルギー密度向上に伴い、過充電、過放電などの濫用時の安全性確保が困難になりつつある。このため、可燃性の有機電解液を固体のリチウムイオン伝導性高分子に置き換えたリチウムポリマー電池が開発されている。
【0004】
現在までに検討されているイオン伝導性高分子のイオン伝導メカニズムは、高分子の分子鎖の運動と協同的に起こることが知られている。イオン伝導度は分子鎖の運動性に支配されており、セグメント運動に必要な活性化エネルギーの大きい分子鎖の運動により支配されることになる。そのため、室温でのイオン伝導度は10−4Scm−1程度であるが、低温になるに従って大きく減少する。
【0005】
そこで、本発明者らはこれまでに特許文献1で開示したように、分子鎖の運動に支配されないイオン伝導メカニズムとして、活性化エネルギーの低い単結合の回転をイオンの伝導に用いることを着想した。そして、リチウムイオンの配位子となる官能基を有する有機基が、他の有機基に単結合により結合され、広い温度領域で自由な回転が可能となるイオン伝導性高分子を見出した。このイオン伝導性高分子は、回転により隣接する同様の官能基とリチウムイオンを交換し、この交換作用を利用することによりイオン伝導を実現する。このイオン伝導機構により温度依存性に優れるポリマー電解質を達成することが可能となった。
【0006】
特許文献2には、室温から300℃の範囲で液体の挙動を示す含フッ素重合体からなるイオン性液体に関するもので、その原料として種々の物質が開示されている。
【0007】
特許文献3には、新規の高分子固体電解質として、5員環構造を有するビニルイミダゾリン重合体が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2004−6273号公報
【特許文献2】特開2005−350604号公報
【特許文献3】特開2000−302939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、単結合の回転を利用したイオン伝導体の低温特性を維持するとともに、イオン伝導度を更に向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるカチオン伝導体は、室温から約300℃の範囲で固体であり、かつカチオンに対して配位能を有する物質を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明によるカチオン伝導体は、下記一般式(1)
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、Rは重合可能な不飽和結合を有する化合物が重合した有機基、iはRの重合度で、50〜1000が好ましく、XはQまたはS−Vであり、QはRと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基、Mk+はk価のカチオン、n、mは1以上の整数)で示される。この一般式において、前記複素環式有機基QまたはVは主鎖のRに対して一軸回転容易な構造をとり、その結果QまたはVに配位したカチオンが他のQまたはVの配位可能な原子に容易に移動する結果、ポリマーのイオン伝導度が改善される。そのため、QまたはVは、その一軸回転がなるべく妨げられないような、立体障害の少ない構造をとることが重要である。
【0014】
また、上記一般式(1)は、下記一般式(2)で示されるカチオン伝導体を含む。
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、Rは重合可能な不飽和結合を有する化合物が重合した有機基、iはRの重合度で、50から1000が好ましく、QはRと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基、Mk+はk価のカチオン、n、mは1以上の整数。
【0017】
更に、上記一般式(1)は、下記一般式(3)で示されるカチオン伝導体を含む。
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、Rは重合可能な不飽和結合を有する化合物が重合した有機基、iはRの重合度で50〜1000が好ましく、Sは前記Rと結合する有機基、Vは前記Sと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基、Mk+はk価のカチオン、n、m、kは1以上の整数)で示されるカチオン伝導体。
【0020】
本発明は、前記カチオン伝導体の前駆体である中間体を提供するもので、その一般式(4)は以下のとおりである。
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、Rは重合可能な不飽和結合を有する化合物が重合した有機基、XはQまたはS−Vであり、QはRと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基、Mk+はk価のカチオン、n、mは1以上の整数)
前記一般式(4)は、下記の一般式(5)で示されるカチオン伝導体の中間体を含む。
【0023】
【化5】

【0024】
(式中、Rは重合可能な不飽和結合を有する化合物が重合した有機基、QはRと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基、Mk+はk価のカチオン、n、mは1以上の整数)
また、上記一般式(4)は、下記一般式(6)で示されるカチオン導電体の中間体を含む。
【0025】
【化6】

【0026】
(式中、Rは重合可能な不飽和結合を有する化合物が重合した有機基、Sは前記Rと結合する有機基、Vは前記Sと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基、Mk+はk価のカチオン、n、m、kは1以上の整数)
前記一般式(1)〜(3)で示されるカチオン伝導体の好ましい具体例として、下記一般式(7)で示されるカチオン伝導体を含む。
【0027】
【化7】

【0028】
(式中、Rは重合可能な不飽和結合を有する化合物が重合した有機基、iはRの重合度、Sは前記Rと結合する有機基、Mk+はk価のカチオン、n、m、kは1以上の整数)
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、単結合の回転を利用したイオン伝導体の低温特性を維持するとともに、イオン伝導度を更に向上した電解質、その中間体、電解質膜およびそれを用いたリチウム二次電池等の電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の実施の形態を以下に詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
本発明に係る一実施例としてのカチオン伝導体は、前記一般式(3)で示されるものを用いた。特に、本実施例のカチオン伝導体は、有機基Sと有機基Vとの結合が単結合であり、この単結合を介してVが自由に回転している。また、本実施例における化合物は、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基Qに配位したカチオンMk+が隣接する有機基Q同士で容易に移動交換することによりカチオン伝導性を示す。
【0032】
つぎに、一般式(3)で示される具体的なカチオン伝導体の合成方法1を示す。アミノ−2、6−ジオキサン10gをピリジン0.2dmに溶解した溶液に対して、攪拌しながら4−ビニルベンゾイルクロライド(19g、110mmol)を添加し、室温下で100時間反応させた。反応溶液に2%塩酸(0.2dm)を添加した後に、酢酸エチルを用いて分液抽出を行った。硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して中間体1(N−2、6−ジオキサニル−4−ビニル−ベンズアミド)を得た。
【0033】
得られた上記重合体の中間体1の化学式を以下に示す。
【0034】
【化8】

【0035】
得られた中間体1の5gをN−メチルピロリドン0.1dmに溶解させ、そこに2、2’−アゾビスイソブチロニトリル0.02gを溶解させたN−メチルピロリドン溶液4cmを滴下して加え、攪拌し、100℃に加熱した。この反応溶液にメタノールを滴下して再沈させて室温から300℃において固体であるポリマー1(ポリ(N−2、6−ジオキサニル−4−ビニル−ベンズアミド))を得た。
【0036】
このポリマー1gとリチウムトリフルオロスルホンイミド塩2gをN−メチルピロリドン20mlに溶解させて、四フッ化エチレンシート上にキャストして、常温で減圧乾燥させて、膜厚が100μmのポリマー電解質1のキャストフィルムを作製した。このキャストフィルムを直径15mmのステンレス(SUS304)電極間にはさみ、評価セルを作製した。
【0037】
室温においてこのセルに振幅電圧10mVを印加し、交流インピーダンスの測定を行った。周波数範囲は1Hzから1MHzとした。交流インピーダンス測定から得られたバルク抵抗値の逆数からイオン伝導度を求めた。イオン伝導度は比較例におけるポリマー電解質より高い伝導度を示した。
【実施例2】
【0038】
前記一般式(3)の重合体について説明する。
【0039】
本実施例のカチオン伝導体は、有機基Sと有機基Vとの結合が単結合であり、この単結合を介して有機基Vが自由に回転している。また、本実施例における化合物は、有機基Vに配位したカチオンMk+が隣接する有機基V同士で容易に移動交換することによりカチオン伝導性を示す。
【0040】
ここで、有機基Sと有機基Vとの結合が単結合であることが重要であるが、有機基Rと有機基Sとの結合は単結合に限定されない。
【0041】
つぎに、一般式(3)で示される具体的なカチオン伝導体の合成方法2を示す。2−アミノ−s−トリアジン12.5gをピリジン0.2dmに溶解した溶液に対して、攪拌しながら4−ビニルベンゾイルクロライド19gを添加し、室温下で100時間反応させた。反応溶液に2%塩酸0.2dmを添加した後に、酢酸エチルを用いて分液抽出を行った。硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して固体と思われる中間体2(N−s−トリアジニル−4−ビニルベンズアミド)を得た。
【0042】
得られた中間体2の化学式を以下に示す。
【0043】
【化9】

【0044】
得られた中間体2の5gをN−メチルピロリドン0.1dmに溶解させ、そこに2、2’−アゾビスイソブチロニトリル0.02gを溶解させたN−メチルピロリドン溶液4cmを滴下して加え、攪拌し、100℃に加熱した。この反応溶液にメタノールを滴下して再沈させて室温から300℃において固体であるポリマー2(ポリ(N−s−トリアジニル−4−ビニルベンズアミド))を得た。
【0045】
このポリマー1gとリチウムトリフルオロスルホンイミド塩2.5gとをN−メチルピロリドン20mlに溶解させて、四フッ化エチレンシート上にキャストして、常温で減圧乾燥させて、膜厚が100μmのポリマー電解質2によるキャストフィルムの膜を作製した。このキャストフィルムを直径15mmのステンレス(SUS304)電極間にはさみ、評価セルを作製した。
【0046】
室温においてこのセルに振幅電圧10mVを印加し、交流インピーダンス測定を行った。周波数範囲は1Hzから1MHzとした。交流インピーダンス測定から得られたバルク抵抗値の逆数からイオン伝導度を求めた。イオン伝導度は比較例におけるポリマー電解質より高い伝導度を示した。
【実施例3】
【0047】
前記一般式(3)の重合体について説明する。
【0048】
本実施例において、有機基Rはポリスチレンとしているが、本来、有機基Rは特に制限がなく、飽和炭化水素化合物、不飽和炭化水素化合物、芳香族系炭化水素化合物など種々の有機基が適用可能である。炭化水素化合物の有機基に限らず窒素、硫黄、酸素などの元素を含んでいてもよい。分子量にも制限がなく、低分子量化合物から高分子量化合物まで使用可能である。高分子量化合物は低分子量化合物単量体の重合体であってもよい。
【0049】
Rが高分子化合物である場合、単量体の重合度に対応した数であってもよい。また、各単量体が複数個置換されていてもよい。重合の手段について制限はなく、付加重合、重付加、重縮合などを用いることができる。
【0050】
本実施例における有機基Vはカチオンを配位しうる元素を1個以上持った複素環式化合物である。特に、有機基Vとして複素環式芳香族化合物であるピリジル基、ピリミジル基、s−トリアジニル基が望ましい。
【0051】
特許文献1に記載されたカチオン伝導体は、6員環構造を有する芳香族化合物に対して、置換基としてリチウムイオン配位性を有する官能基、例えばメトキシ基(−OCH)が導入された構造、すなわちジメトキシフェニル基がアミド基を介してポリマー主鎖に対して結合した構造を有している。このジメトキシフェニル基とアミド基とを結合する単結合を介して運動することにより、イオン伝導が起きる。
【0052】
この運動の際に、置換基として導入されているリチウムイオン配位性を有するメトキシ基が、その官能基自身の分子の大きさによって、イオン伝導を行う運動に対して阻害的に働くことが考えられる。また、リチウムイオン配位性を有する置換基は、単結合の回転を阻害するだけでなく、カチオン伝導体の有機溶媒に対する溶解度に影響を与えて加工性を損ねることがある。
【0053】
本発明によるカチオン伝導体においては、有機基Vは、6員環構造を有するが、炭素原子、水素原子以外の種類の原子を含有する複素環式芳香族化合物である。その際、含有する原子が、6員環構造内に存在する場合にイオン配位性を示す。
【0054】
イオン伝導を行うための単結合を介した運動を達成するための構造において、イオンが配位するための機能は、イオン配位性を有する官能基である置換基ではなく、イオン配位性を示す元素から構成される6員環構造のみで達成することができる。このため、イオン伝導のための回転運動を阻害されることがなく、上記の課題を解決することが可能である。
【0055】
つぎに、一般式(3)で示される具体的なカチオン伝導体の合成方法3を示す。2−ヒドロキシピリミジンハイドロクロライド13.3gをテトラヒドロフラン0.2dmに溶解し、トリエチルアミン12.1gを加えた。この溶液に対して、攪拌しながらメタクリル酸−2−イソシアネートエチルエステル15.5gを添加して60度で30時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮した後に、2%塩酸0.2dmを添加した後に、酢酸エチルを用いて分液抽出を行った。硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して固体と思われる中間体3を得た。
【0056】
得られた中間体3の化学式を以下に示す。
【0057】
【化10】

【0058】
得られた中間体3の5gをN−メチルピロリドン0.1dmに溶解させ、そこに2、2’−アゾビスイソブチロニトリル0.02gを溶解させたN−メチルピロリドン溶液4cmを滴下して加え、攪拌し、100℃に加熱した。この反応溶液にメタノールを滴下して再沈させて室温から300℃において固体であるポリマー3を得た。
【0059】
このポリマー1gとリチウムトリフルオロスルホンイミド塩2.3gとをN−メチルピロリドン20mlに溶解させて、四フッ化エチレンシート上にキャストして、常温で減圧乾燥させて、膜厚が100μmのポリマー電解質3によるキャストフィルムの膜を作製した。このキャストフィルムを直径15mmのステンレス(SUS304)電極間にはさみ、評価セルを作製する。
【0060】
室温においてこのセルに振幅電圧10mVを印加し、交流インピーダンス測定を行った。周波数範囲は1Hzから1MHzとした。交流インピーダンス測定から得られたバルク抵抗値の逆数からイオン伝導度を求めた。イオン伝導度は比較例におけるポリマー電解質より高い伝導度を示した。
【実施例4】
【0061】
さらに、本発明に係る一実施例としてのカチオン伝導体は、一般式(3)におけるSがアミド基であり、RにC(炭素原子)が結合し、アミド基のN(チッ素原子)にピリミジル基が結合したアミド基を有する一般式(8)で示される化合物である。このような化合物が最も好ましい。
【0062】
【化11】

【0063】
このような化合物において、ピリミジル基のイオン配位性である2つの窒素原子に対してそれぞれカチオンが配位するときの構造について記述する。カチオンに対する配位能を有する窒素原子を6員環構造中に有するピリミジル基の近傍にアミド基が存在することにより、アミド基中のカルボニル基(−C=O)の酸素原子とピリミジル基の窒素原子との2つのイオン配位性官能基によりカチオンに配位することが可能となる。ピリミジル基の6員環構造中に2つある窒素原子のもう一つの方においては、カチオンが配位可能な官能基はピリミジル基の6員環構造中の窒素原子のみとなる。このようにピリミジル基の2つの窒素原子に対してそれぞれカチオンが配位するとき、片方はピリミジル基の窒素原子とカルボニル基の酸素原子とあわせて2つの配位、もう一方はピリミジル基の窒素原子のみの配位、といったように、配位能が異なることになる。
【0064】
このような異なる配位能の官能基が同一分子内に存在する構造が多数配置された状態において、カチオンの移動が促進される。これによりカチオンの配位能が低い官能基から配位能の高い官能基へのカチオンの移動が促進される。このようなメカニズムを用いる場合、すなわち、活性化エネルギーの低い単結合の回転運動をイオン伝導に用いる場合、例えば高分子のセグメント運動が抑制される低い温度においても高いイオン伝導度が得られる。さらに、アミド基などの有機基Sを含む方がカチオンの配位能の高低差を発現することにより、一層高いイオン伝導度が得られる。
【0065】
つぎに、一般式(8)で示される具体的なカチオン伝導体の合成方法3を示す。2−アミノピリミジン12gをピリジン0.2dmに溶解した溶液に対して、攪拌しながら4−ビニルベンゾイルクロライド19gを添加し、室温下で97時間反応させた。反応溶液に2%塩酸0.2dmを添加した後に、酢酸エチルを用いて分液抽出を行った。硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して固体の中間体4(N−ピリミジニル−4−ビニルベンズアミド)を得た。
【0066】
得られた中間体4の化学式を以下に示す。
【0067】
【化12】

【0068】
得られた中間体4の5gをN−メチルピロリドン0.1dmに溶解させ、そこに2、2’−アゾビスイソブチロニトリル0.05gを溶解させたN−メチルピロリドン溶液4cmを滴下して加え、攪拌し、100℃に加熱した。この反応溶液にメタノールを滴下して再沈させて室温から300℃において固体であるポリマー4(ポリ(N−ピリミジニル−4−ビニルベンズアミド))を得た。この合成反応全体を示せば以下のとおりである。
【0069】
【化13】

【0070】
このポリマー1gとリチウムトリフルオロスルホンイミド塩2.5gとをN−メチルピロリドン20mlに溶解させて、四フッ化エチレンシート上にキャストして、常温で減圧乾燥させ、膜厚が100μmのポリマー電解質4によるキャストフィルムの膜を作製した。このキャストフィルムを直径15mmのステンレス(SUS304)電極間にはさみ、評価セルを作製した。
【0071】
室温においてこのセルに振幅電圧10mVを印加し、交流インピーダンス測定を行う。周波数範囲は1Hzから1MHzとした。交流インピーダンス測定から得られたバルク抵抗値の逆数からイオン伝導度を求めた。イオン伝導度は比較例におけるポリマー電解質より高い伝導度を示した。
【実施例5】
【0072】
下記一般式(9)の重合体について説明する。
【0073】
【化14】

【0074】
2−ピリミジンカルボキリッククロライド14.3gを蒸留乾燥したテトラヒドロフラン0.3dmに溶解させ、4−アミノスチレン12.0gをゆっくりと滴下して2日間室温で攪拌する。反応溶液を濃縮して、酢酸エチルおよび2規定の塩酸から酢酸エチル層を抽出する。これを塩酸、飽和食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥した後に濃縮、精製して固体と思われる中間体5(N−(4−ビニルフェニル)ピリミジン−2−カルボキシリックアミド)を得た。
【0075】
得られた中間体5の化学式を以下に示す。
【0076】
【化15】

【0077】
得られた中間体5の5gをN−メチルピロリドン0.1dmに溶解させ、そこに2、2’−アゾビスイソブチロニトリル0.05gを溶解させたN−メチルピロリドン溶液4cmを滴下して加え、攪拌し、100℃に加熱した。この反応溶液にメタノールを滴下して再沈させて室温から300℃において固体であるポリマー5(ポリ(N−(4−ビニルフェニル)ピリミジン−2−カルボキシリックアミド))を得た。
【0078】
このポリマー1gに、側鎖に対して当量数を変化させてそれぞれ所定量のリチウムトリフルオロスルホンイミド塩を加え、N−メチルピロリドン20mlに溶解させて、四フッ化エチレンシート上にキャストして、常温で減圧乾燥させて、膜厚が100μmのポリマー電解質5のキャストフィルムを作製した。このキャストフィルムを直径15mmのステンレス(SUS304)電極間にはさみ、評価セルを作製した。
【0079】
室温においてこのセルに振幅電圧10mVを印加し、交流インピーダンス測定を行った。周波数範囲は1Hzから1MHzとした。交流インピーダンス測定から得られたバルク抵抗値の逆数からイオン伝導度を求める。イオン伝導度は比較例におけるポリマー電解質より高い伝導度を示した。測定結果を図2に示す。
【0080】
本図において、横軸にリチウム塩の添加当量、縦軸にイオン伝導度をとっている。グラフの下方に本発明の実施例5および従来例の構造式を示してある。本発明の実施例5の場合、リチウム塩の添加当量を0.5当量から5当量まで変化させて測定した結果を示してある。一方、従来例の場合、リチウム塩の添加当量を1当量および2当量として測定した結果である。
【0081】
本発明の実施例5の場合、2当量でイオン伝導度が極大となっている。本図から、実施例5の場合、従来例に比べて、リチウムイオンの添加当量が0.5〜5当量の範囲でイオン伝導度が高いことがわかる。そして、望ましいリチウムイオンの添加当量は、1〜2当量である。
【0082】
ピリミジル基の2つの窒素原子に対してそれぞれカチオンが配位する場合、片方はピリミジル基の窒素原子とカルボニル基の酸素原子とあわせて2つの配位、もう一方はピリミジル基の窒素原子のみの配位といったように、異なる配位状態を形成することが可能である。
【0083】
そのため、官能基Rとピリミジル基とを結合するアミド基の結合方向が異なることで、アミド基中のカルボニル基(−C=O)の酸素原子とピリミジル基の窒素原子との2つのイオン配位性官能基のカチオンに対する配位距離が変化する。このため、官能基Rとピリミジル基とを結合するアミド基の結合方向は、カチオンへの配位能の高低差を制御することになる。
【0084】
このような異なる配位能の官能基が同一分子内に存在する構造が多数配置された状態において、カチオンの移動が促進されるため、前述のアミド基の結合方向についても効果がある。そのため、カチオンの配位能が低い官能基から配位能の高い官能基へのカチオンの移動が影響される。
【0085】
また、比較例に示した従来材料におけるリチウムイオンが配位する官能基がメトシキ基の酸素原子であるのに対して、本発明におけるリチウムイオンが配位する官能基は、側鎖を形成するピリミジル基の窒素原子であるため、イオンの配位様式が異なると考える。
【0086】
本実施例では、使用するカチオンとしてリチウムを用いているが、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム等のアルカリ土類金属、あるいは水素イオンなどを用いることも考えられる。中でも、リチウムイオンが最も好ましい。
【0087】
また、リチウムイオンの供給源としてリチウム塩を用いることができる。リチウム塩としては、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsFなどのうち1種類もしくは2種類以上を選択して用いることができる。リチウムイオンの添加量についてはリチウム伝導に関わる有機基V1つに対してモル比で1当量以上が好ましい。
【0088】
図3は、本発明による実施例5と特許文献3記載のデータとを比較したグラフである。
【0089】
本図において、横軸に温度、縦軸にイオン伝導度をとっている。実施例5のリチウム塩の添加当量を1当量および2当量とした場合を示してある。
【0090】
本発明による実施例5と特許文献3記載のデータとの比較から、通常の使用温度である40℃以下では、本発明による実施例5の方が、イオン伝導度が高いことがわかる。
【0091】
なお、特許文献3記載の高分子固体電解質は、ビニルイミダゾリン重合体、金属塩および可塑剤を混合したものである。これに対して、本発明による高分子固体電解質は可塑剤等の添加物を使用していない。この点で、本発明による高分子固体電解質の方が簡便に製造することができると考える。
【実施例6】
【0092】
図1は、本発明の一実施例としてのカチオン伝導性ポリマー電解質を用いたリチウム電池の断面図である。
【0093】
本実施例のリチウムイオン伝導性のポリマー電解質3は、ポリマーとリチウム塩との複合体からなるものであるが、イオン伝導に寄与する有機基を有するカチオン伝導体の中間体とリチウム塩とを有機溶媒に溶解した溶液を重合した後に、有機溶媒を除去することによって得ることができる。
【0094】
ポリマー電解質3の形態は、リチウム電池用の電解質として用い、正極1と負極2との間のセパレータとしての機能を兼ねさせる場合、シート状に形成する。このシート状のポリマー電解質3を得るには、イオン伝導に寄与する有機基を有するカチオン伝導体の中間体とリチウム塩とを有機溶媒に溶解した溶液を加熱により付加重合することにより重合を行い、有機溶媒を蒸発除去するという方法により得られる。また、カチオン伝導体を有機溶媒に溶解した溶液を混合したものにリチウム塩を添加した後に、ポリ四フッ化エチレンシート上にキャストした後に、有機溶媒を蒸発除去するという方法によっても得られる。
【0095】
ポリマー電解質3とリチウム塩とを溶解させる有機溶媒としては、リチウム塩を充分に溶解し、ポリマー電解質3と反応しない物質、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンなどが用いられる。
【0096】
さらに、リチウムを可逆的に吸蔵・放出する正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)などの層状化合物、もしくは一種以上の遷移金属を置換したもの、マンガン酸リチウム(Li1+xMn2−x(ただしx=0〜0.33)、Li1+xMn2−x−y(ただし、MはNi、Co、Cr、Cu、Fe、Al、Mgより選ばれた少なくとも1種の金属を含み、x=0〜0.33、y=0〜1.0、2−x−y>0)、LiMnO、LiMn、LiMnO、LiMn2−x(ただし、MはCo、Ni、Fe、Cr、Zn、Taより選ばれた少なくとも1種の金属を含み、x=0.01〜0.1)、LiMnMO(ただし、MはFe、Co、Ni、Cu、Znより選ばれた少なくとも1種の金属を含む)、銅−リチウム酸化物(LiCuO)、LiV、LiFe、V、V12、VSe、Cuなどのバナジウム酸化物、ジスルフィド化合物、Fe(MoOなどを含む混合物、あるいはポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの1種または2種以上が挙げられる。
【0097】
また、リチウムを可逆的に吸蔵・放出する負極活物質としては、天然黒鉛、石油コークス、石炭ピッチコークス等から得られる易黒鉛化材料を2500℃以上の高温で熱処理したもの、メソフェーズカーボン、非晶質炭素、炭素繊維、リチウム金属、リチウムと合金化する金属、または炭素粒子表面に金属を担持した材料が用いられる。例えば、リチウム、アルミニウム、スズ、ケイ素、インジウム、ガリウム、マグネシウムより選ばれた金属あるいはそれらの合金である。また、該金属または該金属の酸化物を負極活物質として利用できる。
【0098】
本実施例のポリマー電池は、上記正極活物質を用いて作成した正極1と、上記負極活物質を用いて作製した負極2とでシート状のポリマー電解質3を挟むことで得られる。他にも、正極活物質とポリマー電解質3との密着性、あるいは負極活物質とポリマー電解質3との密着性を向上するために、ポリマー電解質3を含む正極1・負極2を作製することが可能である。
【0099】
また、本実施例のポリマー電池は、正極1および負極2を、ポリマー電解質3を介して巻回または積層することにより作製することもできる。
【0100】
その際は、正極1・負極2上で前述のようにイオン伝導に寄与する有機基を有するカチオン伝導体の中間体とリチウム塩とを有機溶媒に溶解した溶液を加熱により付加重合することにより重合を行い、有機溶媒を蒸発除去するという方法により得られる。またカチオン伝導体を有機溶媒に溶解した溶液を混合したものにリチウム塩を添加した溶液を電極上にキャストして有機溶媒を除去することによって得られる。このようにして得られた正極1・負極2を張り合わせることでポリマー電池を得ることも可能である。
【0101】
また、以下に示すような電気機器に搭載することに適する。例えば、電気自動車、電動式自転車、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオレコーダー、ミニディスクポータブルプレイヤー、デジタルオーディオプレイヤー、パーソナルデジタルアシスタント、腕時計、ラジオ、電子手帳、電動工具、掃除機、玩具、エレベーター、災害用ロボット、医療介護用歩行補助機、医療介護用車椅子、医療介護用移動式ベッド、非常用電源、ロードコンディショナー、電力貯蔵システムなどの電源としてのリチウム二次電池の電解質として用いることができる(実施例6)。
【0102】
また、電解液を用いないため、安全性が高まり、保護回路が不必要となることが予想されるため、家庭用の充電池として用いることができる他、大型化することが可能となるため、家庭・地域用の分散電源に適する。また、低温時においても常温並みの性能が維持され、高温においても液漏れが起こらないため、これら民生用の用途以外にも、広い温度条件で用いることができるため、軍需用、宇宙用、災害用の用途にも適する。
【0103】
他にも、電池をアルミラミネートフィルム4で封止したラミネート電池とすることが可能である。この場合、薄型化・小型化ができるため、電子ペーパー、センサーネットワークの用途にも適する。
【0104】
また、一般式(1)〜(3)におけるMk+を水素イオンとすることにより燃料電池の電解質膜として用いることも考えられる。
(比較例)
特許文献1に記載した方法により得た比較例中間体(特許文献1記載の中間体1)からなる単独重合体を用いたカチオン伝導体の合成方法を示す。なお、中間体の構造は以下に示すとおりである。
【0105】
【化16】

【0106】
得られたカチオン伝導体の比較例中間体140gをテトラヒドロフラン5dmに溶解させ、そこにアゾビスイソブチロニトリル0.4gを加えて65℃で攪拌した。この反応溶液をn−ヘキサン10dmに滴下して比較例ポリマー(ポリ(N−(4−ビニルフェニル)−2、6−ジメトキシ−安息香酸アミド))を得た。得られたポリマーの構造は、以下のとおりである。
【0107】
【化17】

【0108】
得られたポリマー50gをN−メチルピロリドン2dmに溶解させて、側鎖に対して1当量、2当量となるように所定量のリチウムトリフルオロスルホンイミド塩を加えて混合した後に、テフロン(登録商標)シート上にキャストし、60℃で減圧乾燥させて膜厚が100μmである比較例ポリマー電解質のキャストフィルムの膜を作製した。このキャストフィルムを用いて実施例1と同様の方法でイオン伝導度を求めた。
【0109】
比較例中間体および比較例ポリマーの構造から理解されるように、主鎖に結合する6員環の近傍にCOやOが比較的密集しているために、6員環の回転が阻害されると考えられる。これに対し、本発明のポリマーは立体障害ができるだけ少ないように工夫されているのでイオン伝導度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明による実施例のリチウム二次電池の構造を示す断面図である。
【図2】本発明による実施例5の効果を示すグラフである。
【図3】本発明による実施例5と特許文献3記載のデータとを比較したグラフである。
【符号の説明】
【0111】
1…正極、2…負極、3…ポリマー電解質、4…アルミラミネートフィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、Rは重合可能な不飽和結合を有する化合物が重合した有機基、iはRの重合度、XはQまたはS−Vであり、QはRと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基、Sは前記Rと結合する有機基、Vは前記Sと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基、Mk+はk価のカチオン、n、mは1以上の整数)で示されるカチオン伝導体。
【請求項2】
下記一般式(2)
【化2】

(式中、Rは重合可能な不飽和結合を有する化合物が重合した有機基、iはRの重合度、QはRと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基、Mk+はk価のカチオン、n、mは1以上の整数)で示される請求項1記載のカチオン伝導体。
【請求項3】
下記一般式(3)
【化3】

(式中、Rは重合可能な不飽和結合を有する化合物が重合した有機基、iはRの重合度、Sは前記Rと結合する有機基、Vは前記Sと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基、Mk+はk価のカチオン、n、m、kは1以上の整数)で示される請求項1記載のカチオン伝導体。
【請求項4】
前記一般式(1)、(2)および(3)における重合前のRが重合可能な官能基を持つ有機基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカチオン伝導体。
【請求項5】
前記一般式(1)、(2)および(3)における重合前のRが付加重合可能な不飽和結合を持つ有機基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカチオン伝導体。
【請求項6】
前記一般式(3)における前記Vが、イオン配位性を有する窒素を含む6員環構造である複素環式芳香族化合物を有することを特徴とする請求項3記載のカチオン伝導体。
【請求項7】
前記一般式(2)における前記Qが6員環構造である複素環式芳香族化合物の有機基であることを特徴とする請求項2記載のカチオン伝導体。
【請求項8】
前記一般式(3)における前記Sがアミド基であることを特徴とする請求項3記載のカチオン伝導体。
【請求項9】
前記一般式(3)における前記Vがピリジル基であることを特徴とする請求項3または6記載のカチオン伝導体。
【請求項10】
前記一般式(3)における前記Vがピリミジル基であることを特徴とする請求項3または6に記載のカチオン伝導体。
【請求項11】
前記一般式(2)または(3)における前記カチオンMk+がリチウムイオンであることを特徴とする請求項1〜10に記載のカチオン伝導体。
【請求項12】
前記リチウムイオンの添加当量が0.5〜5当量であることを特徴とする請求項11記載のカチオン伝導体。
【請求項13】
前記リチウムイオンの添加当量が1〜2当量であることを特徴とする請求項11記載のカチオン伝導体。
【請求項14】
請求項6記載のカチオン伝導体であって、前記Vにおける複素環式化合物中のイオン配位性を有する窒素の位置が、前記Vに含まれる6員環構造である複素環式化合物のアミド基への結合位置に対して隣であるオルトの位置にあることを特徴とするカチオン伝導体。
【請求項15】
請求項7記載のカチオン伝導体であって、前記一般式(2)における複素環式化合物中のイオン配位性を有する窒素の位置が、前記Qに含まれる6員環構造である複素環式化合物の前記Rへの結合位置に対して隣であるオルトの位置にあることを特徴とするカチオン伝導体。
【請求項16】
前記一般式(2)または(3)における前記カチオンMk+がリチウムイオンであることを特徴とする請求項14または15に記載のカチオン伝導体。
【請求項17】
前記リチウムイオンの添加当量が0.5〜5当量であることを特徴とする請求項16記載のカチオン伝導体。
【請求項18】
前記リチウムイオンの添加当量が1〜2当量であることを特徴とする請求項16記載のカチオン伝導体。
【請求項19】
下記一般式(4)
【化4】

(式中、Rは重合可能な官能基を持つ有機基、XはQまたはS−Vであり、QはRと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基、Mk+はk価のカチオン、n、mは1以上の整数)で示されるカチオン伝導体の中間体。
【請求項20】
下記一般式(5)
【化5】

(式中、Rは重合可能な官能基を持つ有機基、QはRと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基、Mk+はk価のカチオン、n、mは1以上の整数)で示される請求項19記載のカチオン伝導体の中間体。
【請求項21】
下記一般式(6)
【化6】

(式中、Rは重合可能な不飽和結合を有する有機基、Sは前記Rと結合する有機基、Vは前記Sと単結合を介して結合し、カチオンに対して配位能を有する複素環式化合物の有機基、Mk+はk価のカチオン、n、m、kは1以上の整数)で示される請求項19記載のカチオン伝導体の中間体。
【請求項22】
請求項19〜21のいずれかに記載のカチオン伝導体の中間体と重合性化合物との共重合体を含むカチオン伝導体。
【請求項23】
請求項1〜18のいずれかに記載のカチオン伝導体を成膜したことを特徴とする高分子電解質膜。
【請求項24】
カチオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質を有する正極と、カチオンの吸蔵・放出が可能な負極活物質を有する負極とを含み、前記正極および前記負極が高分子電解質膜を介して巻回または積層してある電池であって、前記高分子電解質膜が請求項23記載の高分子電解質膜であることを特徴とする電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−251533(P2008−251533A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56332(P2008−56332)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】