説明

カメラ、カメラアクセサリおよびカメラシステム

【課題】同一のカメラアクセサリが複数ある場合に管理し易くする。
【解決手段】バッテリパック20がカメラ19に装填されると、カメラCPU11はそのバッテリパック20の名称の入力をユーザに促す。ユーザが好みの名称を入力すると、カメラCPU11はその名称と、バッテリメモリ23bに記録されている個体識別符号とを対応づけてカメラメモリ12に記憶(登録)する。ユーザがカメラ10で所定のバッテリ情報表示操作を行うと、カメラCPU11は、そのとき装填されているバッテリパック20のバッテリメモリ23bから個体識別符号および充電回数を読み出すとともに、個体識別符号に対応してカメラメモリ12に記憶されている名称を読み出し、充電回数とともに表示部14に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、カメラに装着可能なアクセサリ、およびカメラとアクセサリとから成るカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラに装着されるアクセサリとして、例えば給電用のバッテリパックがある。特許文献1には、繰り返し充電可能なバッテリパックにおいて、マイコンを内蔵し、電池状態(電流値、電圧値、残容量など)を検出して外部に送信可能なものが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−161852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同種のカメラアクセサリを複数所有し、そのいずれかを使用したい場合、使用すべきアクセサリを外観から判断することは難しいことが多い。例えば上記バッテリパックは、劣化の度合いによって外観上に差異が生ずるわけではなく、またカメラに装填してもある程度使用しなければ劣化の度合いを把握することはできない。このため、複数のバッテリパックのうち、劣化したバッテリパックを持って撮影に出かけてしまうといった不都合が起こり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るカメラは、装着されたカメラアクセサリとの通信が可能なカメラであって、 ユーザによって入力された前記カメラアクセサリの名称を該カメラアクセサリから得た個体識別情報と対応づけてカメラ内のメモリに登録する登録手段を備える。
入力された名称が他のアクセサリの名称と重複する場合は登録を不可としてもよい。上記名称をアクセサリ側のメモリにも登録してもよい。当該カメラの使用状況を名称に対応づけてアクセサリのメモリに登録してもよい。メモリの登録情報に基づいて、装着されているアクセサリの名称を報知する報知手段を設けてもよい。
本発明に係るカメラアクセサリは、カメラに装着して使用可能なアクセサリであって、ユーザによって入力された当該アクセサリの名称が登録されるメモリを備える。
当該アクセサリが装着されるカメラごとに名称を登録可能としてもよい。
本発明に係るカメラシステムは、カメラと、カメラに装着されるカメラアクセサリとから成るシステムであって、カメラは、カメラアクセサリから通信によって個体識別情報を取得し、ユーザによって入力されたカメラアクセサリの名称を、上記取得した個体識別情報と対応づけてカメラのメモリに登録する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、カメラに装着可能なアクセサリにユーザが好みの名称を付することができ、複数の同種アクセサリを所有する場合に管理し易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜図7により本発明の一実施の形態を説明する。
図1は電子カメラ10およびバッテリパック20から成るカメラシステムの制御ブロック図である。バッテリパック20の筐体21内には、繰り返し充電が可能な一対の電池セル22と制御回路部23とが収容されている。また筐体21の外面には、給電用の+/−電極24,25と、通信端子26とが露出している。
【0008】
制御回路部23は、CPU23aやメモリ23bなどから構成され、メモリ23bには例えば図2に示すように、当該バッテリパック20を識別するための固体識別符号と、電池充電回数とが対応づけられて記憶される。固体識別符号は、他のバッテリパック20と重複しない固有の符号であり、これはバッテリ製造段階においてメモリ23bに記憶される。充電回数は、製造時には0が記憶され、ユーザが充電を行うたびに充電器(不図示)がバッテリパック20と通信を行い、メモリ23bの充電回数を更新する。これにより、メモリ23bには常に正しい充電回数が記録されていることになる。
【0009】
一方、カメラ10は、CPU11、メモリ12、カメラ駆動部13、表示部14、操作部15、通信部16などを有する。カメラ駆動部13は、一般的なカメラ動作を実現するための撮像回路、画像処理回路、画像記録回路、レンズ駆動回路などから構成される。操作部15は、レリーズボタンを始めとする種々の操作部材と、それらの操作部材の操作に応じてオン・オフするスイッチ類から構成される。表示部14は、例えば画像表示が可能な液晶モニタと、その表示駆動回路とから構成される。モニタには、画像の他にメニュー画面等も表示可能であり、後述するバッテリ管理における操作画面もここに表示される。通信部16は、バッテリパック20と通信を行うための回路である。
【0010】
カメラ10の電池室(不図示)にバッテリパック20が装填されると、バッテリパック20の+/−電極24,25がカメラ側の電極17,18と接触し、カメラ10側のCPU11や各回路に給電がなされる(給電ラインは図示を省略している)。同時にバッテリパック20の通信端子26がカメラ10の同端子19と接触し、CPU23a,11間で通信が可能となる。
【0011】
以下、バッテリパック20/カメラ10のCPU23a/11をそれぞれバッテリCPU/カメラCPUと呼び、同様に両者のメモリ23b/12をそれぞれバッテリメモリ/カメラメモリと呼ぶ。
【0012】
次に、カメラ10によるバッテリパック管理について説明する。
カメラの使用にあたっては、電源確保が困難な場所で長時間使用することを想定し、バッテリパック20を1個のみでなく複数個用意しておくことが望ましい。しかし、保有するバッテリパック20の数が増えると、その管理が難しい。
【0013】
例えば、バッテリパック20は電池の充電を繰り返すほどに劣化が進み、ついには充電しても満足な給電が行えなくなる。ところが、バッテリパック20の外観は使用頻度に拘わらず常に同一であるから、複数のバッテリパック20を保有する場合にそれぞれの劣化の度合いを判断するのは困難である。そのため、図らずも1個のバッテリパック20を集中的に使用して劣化させてしまい、思わぬところで電池切れなどのトラブルに見舞われるおそれがあった。このようなトラブルを避けるためにも、全てのバッテリパック20の使用率が平均化されるように順番に使用していくことが望ましいが、バッテリパック20の外観が同じであるためそのような使用は難しい。
【0014】
そこで本実施形態では、バッテリパック20に対してユーザの好みの名称を付し、ユーザがその名称でバッテリパック20を管理できるようにした。基本的には、カメラ10にバッテリパック20が初めて装填されたときに、カメラCPU11がユーザに名称の入力を促し、ユーザが好みの名称を入力すると、その名称と、バッテリメモリ23bに記録されている個体識別符号とを対応づけてカメラメモリ12に記憶(登録)する。かかる対応関係は、図3にテーブルで示すように複数のバッテリパック20に対して登録できる。
【0015】
ユーザがカメラ10で所定のバッテリ情報表示操作を行うと、カメラCPU11は、そのとき装填されているバッテリパック20のバッテリメモリ23bから個体識別符号を読み出し、その個体識別符号に対応してカメラメモリ12に記憶されている名称を読み出し、表示部14に表示する。ユーザは表示された名称を見て、例えば「これは前回使用したバッテリパックであるから今回は使用しない」といったような措置がとれる。このようにユーザ自身がつけた名称でバッテリパック20を管理できるので、符号の羅列に過ぎない個体識別符号で管理するより管理し易い。
【0016】
また、上述したようにバッテリメモリ23bには、個体識別符号と対応して充電回数も記録されているので、カメラ10でバッテリパック20の名称とともに充電回数を表示することも容易である(例えば図4参照)。これによれば、より厳密なバッテリ管理が行える。
【0017】
ところで、カメラ10は複数のバッテリパック20を交換して使用できると同時に、バッテリパック20もまた常に同一のカメラ10で使用されるとは限らず、複数のカメラ10で使用されることもある。バッテリパック20の開発負荷や、ユーザの金銭面での負担を軽減するために、共通のバッテリパック20を複数種類のカメラで使用できるようするのが一般的であり、同一機種だけでなく異なる機種間で同一のバッテリパック20が使い回されることがある。
【0018】
バッテリパック20の共用が可能な複数台のカメラ10を同一の個人ユーザが所有している場合は、そのバッテリパック20はいずれのカメラ10でも共通の名称で管理される方が好都合である。そこで、あるカメラ10で一度バッテリ名称を登録したときに、その名称をカメラメモリ12と同時にバッテリメモリ23bにも登録しておく。その後、そのバッテリパック20を他のカメラ10に装填したときに、そのカメラ10がバッテリメモリ23bから登録名を呼び出し、その名称を表示する。これによれば、ユーザは一度名称
を入力するだけで済む。
【0019】
一方、例えばカメラ10を複数台所有する報道関係の団体などでは、複数のユーザ間でバッテリパック20の使い回しが頻繁に行われる。このような場合は、上述とは逆にカメラ10毎に名称をつけられるようにした方が好都合である。他人のつけた名称よりも自分でつけた名称の方が管理し易いからである。そこで、このような2つの相異なるケースに鑑み、一度名称の付けられたバッテリパック20に対し、その名称を他のカメラ10でも踏襲するか、あるいは他のカメラ10で新たな名称をつけるかを、ユーザが選択できるようにすることが望ましい。これを実現するための制御の一例を以下に示す。
【0020】
図5はバッテリメモリ23bの登録情報を示し、図2との相違点は、カメラ10にて付されたバッテリ名称がカメラ毎に記録される点である。なお、「カメラA」,「カメラB」のように記載したが、実際にはカメラの機種名が記録される。
【0021】
カメラ10にバッテリパック20が装填されると、カメラ10側の各回路がバッテリパック20から給電を受け、カメラCPU11が制御を開始する。特にバッテリパック20装填直後は、図6に示すバッテリ管理サブルーチンを実行する。
【0022】
図6において、まずステップS1でバッテリパック20と通信を行い、バッテリメモリ23bから個体識別符号を取得する。ステップS2では、取得した個体識別符号がカメラメモリ12内に登録されているか否かにより、当該バッテリパック20の過去における装填の有無を判定する。取得した個体識別符号がカメラメモリ12に登録されている場合は、当該バッテリパック20が当該カメラ10に過去に装填されている、つまり当該カメラ10におけるバッテリ名称が既に存在する判断し、ステップS14でその名称および充電回数を表示してリターンする。
【0023】
一方、取得した個体識別符号がカメラメモリ12に登録されていなければ、当該バッテリパック20が当該カメラ10に初めて装填されたと判断し、ステップS3で初めて装填された旨の表示を行う。ステップS4では、当該バッテリパック20が過去に他のカメラ10に装填されたことがあるか否かを判定する。もし他のカメラ10に装填されていれば、そのカメラ10で付けられた名称がバッテリメモリ23bに登録されている筈である。その場合はステップS4が肯定され、ステップS5で他のカメラ10で登録された名称を一覧表示する(例えば、図7参照)。ステップS6では、ステップS5で一覧表示された名称のいずれかでよいか否かをユーザに問う。例えば、表示部14に「既に登録されている名前でよいですか」のようなメッセージを表示する。
【0024】
ユーザは上記の問いかけに対し、登録されている名称でよければOK操作を行い、新たな名称をつけたければNG操作を行う。OK操作が行われると、ステップS7でユーザの名称選択操作を待つ。ユーザは、例えば図7の表示において、所定操作によりハイライト枠を上下に移動させることによりいずれかの名称を選択する。選択後、決定操作を行うとステップS8に進み、名称登録を行う。すなわち、選択された名称を当該カメラ10における名称としてカメラメモリ12に記憶するとともに、バッテリメモリ23bには、選択された名称を当該カメラ10の機種名に対応づけて記憶する。なお、バッテリメモリ23bに1つの名称しか登録されていない場合は、ステップS7の選択操作を待たずに自動的にその名称を記憶してもよい。
【0025】
一方、ステップS4またはS6が否定された場合、すなわちバッテリメモリ23bに名称登録がなかったか、あるいは登録されている名称でよいかの問いかけに対してユーザがNG操作を行った場合は、ステップS9に進む。ステップS9では今すぐ名称を登録するかをユーザに問う。ユーザがNG操作を行うと、ステップS10でカメラ10が仮の名称を設定して登録し、ステップS14に進む。
【0026】
ステップS9でユーザがOK操作を行った場合は、ステップS11で名称入力画面を表示する。ユーザは、カメラ10の文字入力機能を用いて任意の名称を入力する。入力する名称は、ユーザ個人の好みの名称でもよいし、大勢でバッテリパックを使い回す場合には、所定の規則に則った名称でもよい。例えばある企業の複数の部署でバッテリパックを使用する場合は、部署名をバッテリ名称としてもよい。
【0027】
名称が入力されるとステップS12が肯定され、ステップS13で一意の名称か否かを判定する。すなわち、カメラメモリ12の登録内容(例えば図3)を参照し、入力された名称が他のバッテリパック20の名称と重複しないかどうか判定する。重複する場合はその名称は登録不可とし、名称の再入力を促してステップS12に戻る。一意の名称であった場合は、その名称を登録すべくステップS8に進む。
【0028】
なお、ユーザはカメラの使用時において、所定のバッテリ情報表示操作を行うことにより、図4に示したような名称と充電回数をいつでも表示させることができる。また、カメラが付した仮の名称はいつでも正式な名称に変更できる他、一度登録した名称の変更も自由である。これらは、例えばカメラ10でバッテリ名称登録・変更モードを設定して行うようにすればよい。
【0029】
以上では、バッテリ名称と充電回数とを対応づけて表示するようにしたが、他のバッテリ情報(例えば、電流値、電圧値、残容量など)をバッテリパック20から取得し、これらを表示できるようにしてもよい。またバッテリメモリに図5で示した以外の情報を記憶させ、それらの情報をカメラでバッテリ名称とともに表示することで、バッテリ管理に役立たせることができる。この種の情報としては、例えば当該バッテリパックを最後に使用したカメラの機種名やロット番号や、カメラの使用状況(例えば、当該バッテリパックを使用して最後に撮影された日付、当該バッテリパックを使用してのトータルの、あるいは機種毎のレリーズ回数)などが考えられる。これらの情報は、カメラCPUとの通信によって取得することが可能である。また、バッテリメモリに記憶される他の情報として、ユーザのコメントがある。これは、例えば他人あるいは他の部署にバッテリパックを貸し出すときの希望返却日であってもよい。
【0030】
名称の入力機能および表示機能はカメラの必須要件ではない。例えば、カメラにパーソナルコンピュータを接続し、そのパーソナルコンピュータを入力手段および表示手段として使用してもよい。また以上では、カメラアクセサリとしてバッテリパックを例に挙げたが、それ以外のアクセサリとして、交換レンズ、メモリカード、外付け閃光装置などにも本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るカメラシステムの構成図。
【図2】バッテリメモリに記憶される情報の一例を示す図。
【図3】カメラメモリに記憶される情報の一例を示す図。
【図4】カメラにおけるバッテリパック情報の表示例を示す図。
【図5】バッテリメモリに記憶される情報の他の例を示す図。
【図6】カメラで行われるバッテリ管理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図7】上記ルーチンにおける名称選択画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0032】
10 カメラ
11 カメラCPU
12 カメラメモリ
14 表示部
20 バッテリパック
23a バッテリCPU
23b バッテリメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着されたカメラアクセサリとの通信が可能なカメラにおいて、
ユーザによって入力されたカメラアクセサリの名称を該カメラアクセサリから得た個体識別情報と対応づけてカメラ内のメモリに登録する登録手段を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記登録手段は、前記入力された名称が他のアクセサリの名称と重複する場合は登録を不可とすることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記登録手段は、前記名称を前記アクセサリに設けられたメモリにも登録することを特徴とする請求項1または2に記載のカメラ。
【請求項4】
前記登録手段は、当該カメラの使用状況を前記名称に対応づけて前記アクセサリのメモリに登録することを特徴とする請求項3に記載のカメラ。
【請求項5】
前記メモリの登録情報に基づいて、装着されているアクセサリの前記名称を報知する報知手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカメラ。
【請求項6】
カメラに装着して使用可能なアクセサリにおいて、
ユーザによって入力された当該アクセサリの名称が登録されるメモリを備えたことを特徴とするカメラアクセサリ。
【請求項7】
前記メモリには、当該アクセサリが装着されるカメラごとに前記名称が登録可能であることを特徴とする請求項5に記載のカメラアクセサリ。
【請求項8】
カメラと、カメラに装着されるカメラアクセサリとから成るカメラシステムにおいて、
前記カメラは、前記カメラアクセサリから通信によって個体識別情報を取得し、ユーザによって入力された前記カメラアクセサリの名称を前記取得した個体識別情報と対応づけてカメラのメモリに登録することを特徴とするカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−240839(P2007−240839A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62609(P2006−62609)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】