説明

カメラ、送信方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】ユーザが確実に、安心して分かり易く、通信対象機器に撮影画像データを送信することができるようにすること。
【解決手段】イメージャ3で撮影し、デジタルデータとしてメモリ6に記録された撮影画像データを送信部8により通信対象機器20に通信する際、特定部7により、上記イメージャ3による上記通信対象機器20の撮像結果を利用して上記通信対象機器20を特定して、その特定した通信対象機器20に相応しいプロトコルにてデータ通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、特には、撮影した画像をデジタル信号に変換して記録するデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラでは、フィルム時代のカメラとは異なり、撮影画像がデジタルデータとして電子化されているため、フィルムを現像してプリントするといった従来の写真の楽しみ方の他に、種々のデータ取り扱い方法が考えられる。
【0003】
例えば、カメラ内のメモリに記録された撮影画像データを、当該カメラに接続したプリンタやモニタ等の通信対象機器に送信して、プリンタで印刷したり、モニタで表示したりするような使い方や、カメラ内のメモリが一杯になってしまうと、それ以上撮影ができなくなるので、その撮影画像データをパソコン(PC)等の通信対象機器に転送したりするような使い方がある。
【0004】
この撮影画像データを転送する方法として、PC等の分野で普及しているネットワークの考え方を応用するような提案が特許文献1等で見受けられる。
また、カメラによる入力画像に基づいて、各物理オブジェクトの識別及び位置を認識する処理を備える情報制御システムも提案されている。
【特許文献1】特開2002−199324号公報
【特許文献2】特開2004−164069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような提案は、PCのネットワークの中にカメラやプリンタなどの映像関連機器を取り込んだものであり、普段PCを使い慣れていない人には、使いにくいものであった。
【0006】
また、ネットワークになると、どの機器に繋がっているかもわかりにくかった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、ユーザが確実に、安心して分かり易く、通信対象機器に撮影画像データを送信することができるカメラ及びその送信方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のカメラの一態様は、被写体を撮影する撮影部と、
撮影されメモリに記録されたデータを通信対象機器に通信する通信部と、上記撮影部による上記通信対象機器の外観撮影結果から通信対象機器を特定する対象機器特定部と、特定された通信対象機器に応じて、この通信対象機器に送信するのに適するフォーマットに送信データを変換するフォーマット部と、を具備することを特徴とする。
また、本発明の送信方法は、撮影した画像データを通信対象機器に送信する送信方法において、通信対象機器を撮影し、この通信対象機器の外観撮影結果から通信対象機器をデータベースによって検索して通信対象機器を特定し、特定された通信対象機器に応じて、この通信対象機器に送信するのに適するフォーマットに画像データを変換して、変換された画像データを通信対象機器に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザが確実に、安心して分かり易く、データ転送対象機器に撮影データを送信することができるカメラ及びその送信方法等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係るカメラの第1実施形態となるデータ送信機能付カメラ10及びその撮影画像データの送り先である通信対象機器20のブロック構成図である。
【0012】
本第1実施形態におけるデータ送信機能付カメラ10内には、通常のデジタルカメラと同様に、ユーザが操作するモードスイッチ1a,レリーズスイッチ1b等の操作状態を検出し、プログラムされている所定のシーケンスで撮影その他の機能を働かせるCPU1が設けられている。プログラムはCPU1内部に格納されている。即ち、このCPU1は、撮影時には、撮影レンズ2から得られた被写体像が撮影部であるイメージャ(撮像素子)3に結像するので、その像の濃淡に従って各画素の出力が適正な範囲に収まるようにイメージャ3を露出制御したり、その出力をA/D変換器4でデジタル化したデータを、画像処理回路5で色バランスや濃淡変化を整えたり、圧縮したりして、データ記録部であるメモリ6にその結果を記録させるといった一連のシーケンスを制御する。また、CPU1は表示制御部として、そのメモリ6への記録結果をLCD等からなるモニタ部である表示部9に表示させるよう画像処理回路5を制御したりすることもできる。なお、その表示部9は、撮影前から、イメージャ3に入射する像をモニタ可能としておき、ファインダのように利用することができる。
【0013】
A/D変換器4の結果は、デジタル化された画像信号なので、この出力を、所定のパターンと比較することによって、イメージャ3に入射している像が何であるかを判定することができる。即ち、対象機器特定部である特定部7は、送信モード時には、A/D変換器4の出力と、撮像された通信対象機器がどのようなものであるかを検索するためのデータが記録されているデータベース部11とを用いて、当該データ送信機能付カメラ10を何に向けているか、つまり、どのような通信対象機器に対して送信しようとしているのかを判定する。そして、フォーマット部8aは、選択された撮影画像データをメモリ6から読み出して、送信先のアドレスやプロトコルを決定し画像データを送信に適当なフォーマットに変換する。通信部である送信部8は、その特定した通信対象機器20(送信先アドレス)に適当な変換がなされたデータを送信する。データベース部11は、例えば、メモリ6の一部であっても良い。
【0014】
ここで、本実施形態におけるデータ送信機能付カメラ10は、次のような使われ方を想定している。即ち、図2(A)は、ユーザ100がデータ送信機能付カメラ10で撮影した画像を、当該データ送信機能付カメラ10の背面の表示部9を用いて確認している状態を示しており、図2(B)に示すような画像を所定操作により選択して、通信対象機器20として図2(C)に示すようなプリンタ20Aから、これを出力しようとしている。このとき、ユーザ100は、図2(C)に示すように、該データ送信機能付カメラ10を送信先の通信対象機器20であるプリンタ20Aに狙いを定め、図2(D)に示すように表示部9を眺めながらそのプリンタ20Aを撮影することで、そのプリンタ20Aを通信対象機器20として指定することができる。これにより、データ送信機能付カメラ10は、上述した撮影レンズ2や撮像系の回路を用いて、送信先の通信対象機器20がプリンタ20Aであることを判定し、このプリンタ20Aに撮影画像データを送信するためのフォーマットやプロトコルを定める等して、このプリンタ20Aから、図2(E)に示すように、図2(B)のような選択撮影画像データが画像24として印刷される。図2(F)は、ユーザ100が印刷された画像24を鑑賞して楽しんでいる様子を示している。
【0015】
また、本実施形態におけるデータ送信機能付カメラ10は、次のような使われ方も想定している。即ち、図3(A)は、通信対象機器20としてのプロジェクタ20Bに対して撮影画像データを送信している様子を示す図であり、ユーザ100は、該データ送信機能付カメラ10の表示部9を見ながら、送信対象であるプロジェクタ20Bを狙って画像取得を行っている。表示部9上には、図3(B)のように、プロジェクタ20Bが写るので、ユーザ100は難しい手続きを踏むことなく、送信先を間違えることもなく、正しいデータ送信ができ、画像を思った通りに楽しむことができる。つまり、図3(C)に示すように、撮影した画像データを送信されたプロジェクタ20Bによって、拡大投影表示して楽しむことができる。このとき、プロジェクタ20Bに近接してプリンタ20Aが置かれていても、ユーザ100がデータ送信機能付カメラ10(表示部9)で狙ったのがプロジェクタ20Bであれば、間違ってプリンタ20Aに撮影画像データが送られたりして、無駄なプリントを行ってしまうようなことはない。
【0016】
これにより、撮影画像データの通信を無線で行う場合、操作を単純化すると、想定されていない機器にデータ送信されてしまうことがあるが、本実施形態では、操作は容易で且つこうした誤動作を防止することができる。
【0017】
なお、送信先の通信対象機器20としては、こうした再生機器の他、データストレージ機器やPCやサーバなどが考えられる。
【0018】
つまり、図1のデータ送信機能付カメラ10は、特定部7の作用によって、パターンマッチングのような方法で図2(D)や図3(B)のような通信対象機器20の像がどんな機器であるかを判定できるので、その機器に相応しいプロトコルにて、データ通信が行われるように、フォーマット部8aにて、選択された撮影画像データをメモリ6から読み出して、送信に適当なフォーマットに変換し、通信部である送信部8からその特定した通信対象機器20(送信先アドレス)へデータ送信を行う。
【0019】
こうして送信されてきた撮影画像データは、通信対象機器20の受信部21にて受信され、その受信した撮影画像データがデータ再生部22で再生され、出力部23より、該通信対象機器20がプリンタ20Aならプリントして、プロジェクタ20Bなら拡大投影して、出力される。
【0020】
図4は、このようなデータ送信機能付カメラ10のCPU1の動作フローチャートを示す図である。
【0021】
即ち、まず、ユーザ100が撮影を楽しむため、ユーザ100が撮影モードを選択したかどうかを、モードスイッチ1aの状態により判別する(ステップS1)。ここで、撮影モードが選択されたと判別した場合には、表示部9をファインダとして使用するために、画像処理回路5を制御してイメージャ3に入射する画像を表示部9に表示させる(ステップS2)。そして、レリーズスイッチ1bの操作状態を判定し(ステップS3)、それが操作されるまで、上記ステップS1乃至S3を繰り返す。而して、レリーズスイッチ1bが操作されたと判別したときには、撮影(ステップS4)、画像処理(ステップS5)、メモリ6への記録(ステップS6)、等の通常のカメラのシーケンスを実行する。
【0022】
また、上記ステップS1において、撮影モードではないと判別されたときには、次に、ユーザ100が撮影した画像データを見るため、ユーザ100が画像表示モードを選択したかどうかを、モードスイッチ1aの状態により判別する(ステップS10)。ここで、この画像表示モードが選択されていないと判別した場合には、省エネルギーのため、表示部9をオフして(ステップS12)、上記ステップS1に戻る。
【0023】
これに対して、表示モードが選択されたと判別した場合には(ステップS10)、該CPU1に接続された不図示のスイッチのユーザ操作に応じて、メモリ6に記録された撮影画像データの選択やその選択撮影画像データの表示部9への表示を行う(ステップS11)。そしてその後、ユーザ100が選択撮影画像データを通信対象機器20に送信するために、送信モードを選択したかどうかを、モードスイッチ1aの状態により判別する(ステップS20)。ここで、この送信モードが選択されていないと判別した場合には、上記ステップS1に戻る。
【0024】
一方、送信モードが選択されたと判別した場合には、送信相手である通信対象機器20を狙って選べるように、撮影レンズ2からイメージャ3に入射した像データをリアルタイムに表示部9に表示するよう画像処理回路5の制御を行うと共に、その画像の特徴点を特定部7に入力できるような制御も行う(ステップS21)。この特徴点から、送信相手の通信対象機器20を判別するべく、特定部7にデータベース部11の記録データと比較させ(ステップS22)、データベース部11に、対象となる機器の情報が有れば(ステップS23)、その通信対象機器20を送信アドレスとして、その通信対象機器20に適した方法にて送信部8にデータ送信を行わせる(ステップS25)。なお、このデータ送信中に、送信先画像を表示部9に表示させるようにして、ユーザ100が正しく送信されていることを判断できるようにすることが好ましい(ステップS24)。
【0025】
また、特定部が対象となる機器の情報がデータベース部11に見つからない場合には(ステップS23)、表示部9上に対象となる機器の一覧を表示させ、そこから送信先の通信対象機器20の選択ができるようにする(ステップS27)。機器一覧のデータは、データベース11に格納されているものを利用する。一覧としては、機器外観画像を表示させる。機器の名称を表示させても良い。そして、上記ステップS25に進み、その選択された通信対象機器20に適した方法にて送信部8にデータ送信を行わせる。
【0026】
以上説明したように、このようなフローによって、ユーザ100は通信対象機器20を簡単に指定して、その機器にふさわしい間違いのないデータ送信を行うことができる。
【0027】
即ち、ユーザ100はデータ送信機能付カメラ10の表示部9を有効利用して、送信先を確認しながら、撮影した画像データを記録乃至は再生用の機器である通信対象機器20に安心して確実に送信し、思い通りの整理や鑑賞を楽しむことが可能となる。
【0028】
また、ユーザ100は、データ送信機能付カメラ10の表示部9を見て、自分が撮影画像データを送りたい送信先を指定したり、チェックしたりすることができ、間違った相手に送るような失敗をしないので、セキュリティ上安全なシステムを提供することができる。
【0029】
なお、この実施形態で示したような無線のデータ通信方法としては、種々のものが提案されている。例えば、近距離の機器間通信では、Bluetooth(登録商標)という技術が知られている。これは、2.4GHzの周波数帯の電波を利用したもので、ハードウェア的にもモバイル性に優れ、図5(A)のような周波数ホッピング技術の採用によって、干渉に強く、マルチタスクに対応し、最大8台までの端末と同時通信が可能であるという特徴を有する。この実施形態の内容では、データ送信機能付カメラ10は、プリンタ20Aやプロジェクタ20Bにも同時送信できるが、ユーザ100が想定していない機器と同時通信可能である。
【0030】
このBluetooth(登録商標)技術は、図5(B)のようなプロトコルスタックから構成されており、通信回路の消費電力等のハードウェア的な既定を行う物理層201の上に、実際に通信されたデータを使って再生等の動作を制御するためのソフトウェアからなるアプリケーション層202までが階層化されている。
【0031】
図5(A)のように縦軸で示された時間変化に従って、通信周波数をランダムに変化させるのが周波数ホッピングであるが、物理層201では、このようなホッピング周波数の周期や、例えば625μsec等の所定時間毎に分けて送られるパケット通信の分割スロットの周期を制御する。
【0032】
それに先立ち、図5(C)に示すデータ送信のフローチャートを例にすれば、まずデータ送信機能付カメラ10は、周りにどのような機器があるかを知るために、送信部8によりパケット同報通信を行い(ステップS40)、応答してくる信号を検出して(ステップS41)、その応答と本実施形態では通信時に撮像された機器の画像特徴とから、対応する通信対象機器20(送信アドレス)を選択し、それに対して前述の同期を確立する(ステップS42)。これらは接続する相手を決定し、接続相手の周波数ホッピングパターンを同期させるもので、プロトコル階層の物理層201の作用である。
【0033】
物理層201の上の階層である通信リンク層203では、制御パケットによってデータのやり取りの手順を定め管理することによって通信リンクの確立を行う(ステップS43)。次に、機器相互間に論理的な接続を提供する伝送路を論理チャネル層204で確立させ(ステップS44)、上位のサービス層205によってコネクションの確立を行う(ステップS45)。これは、各端末でどのようなサービスが利用可能であるかを認識し合う手段を提供するプロトコルによって論理的接続を確立するステップである。
【0034】
以上説明した階層が通信の基盤を規定し、コアプロトコル206と呼ばれる部分である。
【0035】
適切な再生が行われるために、正しくデータを扱うための取り決めがあり、そのコアプロトコル206の上の階層には、プロファイル層207及びアプリケーション層202があり、各々、アプリケーションを定義してのデータ形式の決定や(ステップS46)、データ通信を行う(ステップS47)。
【0036】
このように、干渉の影響を受けにくくして、確実な通信を可能としている。
【0037】
本実施形態では、Bluetooth(登録商標)通信という廉価で汎用的な技術を利用しつつ電波を利用して指向性の制限が無く、どの機器と通信しているかわからないような状況をデータ送信機能付カメラ10の表示部9によって視認可能として、安心したワイヤレス通信を行うことができる。勿論、この通信方式以外にも、無線LANのような規格によって応用しても良い。
【0038】
また、本実施形態の特徴としての機器特定機能を利用して、それら2つの通信方式の内、適切な方式を切り替えても良い。
【0039】
なお、通信先の特定としては、図6(A)及び(C)に示すプリンタ20Aやプロジェクタ20Bのように、基準指標として+印25を設ける。そして、図6(B)及び(D)に示すように各機器の輪郭の角部など各特徴ポイント(黒点)の座標をその+印25に基づいて求め、それらの分布によって、機器を特定するようにしても良いし、この特徴ポイントの分布が、上記+印25よりも上の方に分布しているか下の方に分布しているかによって、機器判定を行っても良い。
【0040】
例えば、図7(A)及び(B)に示すように、+印25の中心を座標(0,0)とし、+印25の先端の座標からこの中心までの長さを基準として、機器の角部の座標を求めることができる。プリンタ20Aの場合は、図7(A)に示すように機器の角部座標が分布し、プロジェクタ20Bの場合は、図7(B)に示すように機器の角部座標が分布する。この座標のデータを、データ送信機能付カメラ10がデータベース部11に予め記録しておけば、それがどのような機器であるかを判定することができるので、図6(B)又は(D)のように斜めに検出したり、検出距離が変わっても、補正算出できる。
【0041】
また、データベース部11としてデータ送信機能付カメラ10に搭載するメモリの記録容量が有限であることから、全ての通信可能機器の座標を記録できないことが考えられるが、そのときは、データ送信機能付カメラ10がその通信機能を利用してメモリデータをサーバから更新したりできるようにしておけば良い。
【0042】
また、図6(B)及び(D)から明らかなように、この2つの機器では、基準指標である+印25に対し特徴点分布が図6(B)では上に、図6(D)では下に分布している。このような特徴も利用すれば、特定部7では、例えば図8に示すようなフローチャートによって、通信対象機器20がプロジェクタ20Bであるのかプリンタ20Aであるのかを判別することができる。
【0043】
即ち、データ送信機能付カメラ10で撮影した画像を分析して、前述の基準指標としての+印25を検出する(ステップS50)。次に、その中心を算出し、これを座標算出の原点とする(ステップS51)。この指標検出が手ぶれや撮影距離やポイントの不適切によってできない場合には(ステップS52)、ユーザ100に対して警告を行って(ステップS53)、上記ステップS50に戻る。これにより、ユーザ100は、もっとふさわしい位置から、通信対象機器20の撮像をやり直すことになる。
【0044】
これに対して、指標中心算出がOKと判定されると(ステップS52)、その+印25の各先端を検出して、各座標を算出する(ステップS54)。これによって、特徴点までの座標算出時のx,y方向の基本の長さを算出することができる。これが検出できないときには(ステップS55)、各特徴ポイント位置を検出して(ステップS56)、それらが図6(B)のように指標の上の方に分布しているか、図6(D)のように下の方に分布しているかを判別することによって、機器の形状を判定し(ステップS57)、ユーザ100が求める送信先がプリンタ20Aであるのか(ステップS58)、プロジェクタ20Bであるのか(ステップS59)、を判定する。
【0045】
また、上記ステップS55において、+印25の各先端の座標を検出できたと判別された場合には、当該通信対象機器20の特徴ポイント座標を検出して(ステップS60)、図7(A)及び(B)に示すような特徴点座標判定による機器判定を行い、ユーザ100の求める送信先の通信対象機器20が何であるかを判定する(ステップS61)。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、長さ情報を持つ指標と、通信対象機器20の外形の特徴点座標とから、通信対象機器特定を行うので、通信対象機器20までの撮像距離にバラツキや位置ずれがあっても正しい機器判定ができる。また、特徴点の分布によって判定も可能としたので、より検出ミスの警告を出さずに、ストレスのない操作応答が楽しめる。
【0047】
また、図9に示すように、近年、普及している、二次元コード等のコード部26を通信対象機器20の外装に取り付けて、これをデータ送信機能付カメラ10の撮影機能を有効利用して読み取ることによって、送信先の通信対象機器特定を行い、最適な送信フォーマットによる送信ができるようにしても良い。
【0048】
このように、本実施形態では、データ送信機能付カメラ10の撮影機能を有効利用して、通信対象機器20の外装に取り付けられた基準指標等を検出し、この映像情報を分析して、ユーザが想定する送信先を特定し、送信先のアドレスやフォーマット、送信プロトコルを切り替えて、最適な送信制御を達成することができる。
【0049】
[第2実施形態]
図10は、本発明の第2実施形態に係るカメラのブロック構成図である。この実施形態では、送信先のアドレスやフォーマット、送信プロトコルを決定するだけでなく、送信先の再生能力や必要なデータ量を判定し、そのデータ量に応じた効率的なデータ送信を行うものである。
【0050】
そのため、本実施形態に係るカメラは、図1のブロック図とは異なり、データ変換部5aを有する。つまり、基本構成は図1と同じであるが、撮影レンズ2を介してイメージャ3で光電変換され、A/D変換器4でデジタル化されて、画像処理回路5で圧縮された画像データは、メモリ6に記録された状態と、表示部9に表示される状態とでは、表示部9の再生能力が一般に粗いために、同じ素材でありながら必要なデータ量は異なる。これと同様に、送信先の通信対象機器20が、小型のプリンタ20Aであるのか大型のプリンタ20Aであるのかによっても、また表示解像度がSVGAのプロジェクタ20BであるのかXGAのプロジェクタ20Bであるのかによっても、送信するデータ量は異ならせた方が良い。これは、特にワイヤレスの通信では通信スピードの限界から、無用に大きなデータを送信するとリアルタイムの再生ができなくなるからでもある。
【0051】
図11に示すように、イメージャ3の出力をA/D変換したものとメモリ6に記録されるものではデータ量が変わるし、表示部9での表示用データは更に小さいデータとなる。送信用の画像データも通信対象機器20に合わせて、同図に示すように解像を粗くした小さな画像データを送信させた方が高速通信も可能となる。
【0052】
従って、本実施形態に係るカメラでは、図12のフローチャートに示すように、イメージャ3とA/D変換器4から撮影画像データを得(ステップS71)、その撮影画像データを用いて、送信先の通信対象機器20の特定を特定部7で行う(ステップS72)。そして、その特定結果に従って、送信先のアドレスやプロトコルをフォーマット部8aで決定する。さらに、データ変換部5aが、メモリ6に記録されている画像データが送信先の通信対象機器20の必要データ量になるような画素数や圧縮率を決定する(ステップS73)。そしてデータ変換部5aが、メモリ6に記録されている画像データを、決定された画素数や圧縮率に変換または/及び圧縮する(ステップS74)。送信部8は、データ変換部5aで必要なデータ量に変換された画像データを送信先の通信対象機器20に送信する(ステップS75)。
【0053】
このように、本第2実施形態では、通信対象機器20の能力に応じ、例えばプロジェクタ20Bやプリンタ20Aに送信するときは、その解像力に応じデータの量を制限するので、上記第1実施形態と同様に簡単設定が可能であると共に、更に、高速に送信でき、送信中のノイズや不意の状況変化による送信ミスも減らすことのできる通信機能に特徴を持つカメラを提供することが可能となる。
【0054】
また、第1、第2実施形態の制御処理(図4、8、12のフローチャートで示される)は、CPU1の制御の下で主に特定部7、フォーマット部8a、送信部8等により実現される。つまり、ソフトウェアとハードウェアの共同処理でなされるわけであるが、全てをソフトウェアまたはハードウェアで実現しても、当然によい。そして、全てをソフトウェアで実現する場合には、ソフトウェアのプログラムに従って各動作がなされるので、ソフトウェアのプログラム自体が上述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラム自体が本発明を構成する。
【0055】
また、これらのプログラムはCPU内部に記憶されているほかに、ROMやカメラに着脱可能な記録媒体に格納されても良い。記録媒体としては、フロッピィディスク(登録商標)、CD−ROMの他にも、DVD等の光学記録媒体、MD等の磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。
【0056】
また、上記実施形態ではカメラを例に説明したが、これに限られるものではなく、本発明の制御手法は、例えばPDAやパーソナルコンピュータ、携帯電話機等、種々の電子機器に応用することが可能である。以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明に係るカメラの第1実施形態となるデータ送信機能付カメラ及びその撮影画像データの送り先である通信対象機器のブロック構成図である。
【図2】図2は、第1実施形態におけるデータ送信機能付カメラの使われ方の例を説明するための図である。
【図3】図3は、第1実施形態におけるデータ送信機能付カメラの使われ方の別の例を説明するための図である。
【図4】図4は、第1実施形態におけるデータ送信機能付カメラのCPUの動作フローチャートを示す図である。
【図5】図5(A)は、周波数ホッピング技術を説明するための図、図5(B)はBluetooth(登録商標)技術を説明するためのプロトコルスタックを示す図であり、図5(C)はデータ送信動作のフローチャートを示す図である。
【図6】図6は、送信先の通信対象機器の特定方法を説明するための図である。
【図7】図7は、通信対象機器の基準指標である+印と特徴点との関係を説明するための図である。
【図8】図8は、特定部の動作フローチャートを示す図である。
【図9】図9は、送信先の通信対象機器の別の特定方法を説明するための図である。
【図10】図10は、本発明の第2実施形態に係るカメラのブロック構成図である。
【図11】図11は、イメージャの出力をA/D変換した撮影画像データ、メモリに記録される撮影画像データ、表示部での表示用の撮影画像データ、及び送信用の撮影画像データのデータ量の違いを説明するための図である。
【図12】図12は、第2実施形態に係るカメラのCPUの送信動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1…CPU、 1a…モードスイッチ、 1b…レリーズスイッチ、 2…撮影レンズ、 3…イメージャ、 4…A/D変換器、 5…画像処理回路、 5a…データ変換部、 6…メモリ、 7…特定部、 8…送信部、 8a…フォーマット部、 9…表示部、 10…データ送信機能付カメラ、 11…データベース部、 20…通信対象機器、 20A…プリンタ、 20B…プロジェクタ、 21…受信部、 22…データ再生部、 23…出力部、 24…画像、 25…+印、 26…コード部、 100…ユーザ、 201…物理層、 202…アプリケーション層、 203…通信リンク層、 204…論理チャネル層、 205…サービス層、 206…コアプロトコル、 207…プロファイル層。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影する撮影部と、
撮影されメモリに記録されたデータを通信対象機器に通信する通信部と、
上記撮影部による上記通信対象機器の外観撮影結果から通信対象機器を特定する対象機器特定部と、
特定された通信対象機器に応じて、この通信対象機器に送信するのに適するフォーマットに送信データを変換するフォーマット部と、を具備する
ことを特徴とするカメラ。
【請求項2】
上記対象機器特定部は、上記撮影部による通信対象機器の外観撮影結果を、データベースによって検索して通信対象機器を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
上記対象機器特定部は、上記外観撮影結果とデータベースによって機器が特定できないときには、上記データベースに格納された機器画像の一覧を表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載のカメラ。
【請求項4】
上記対象機器特定部は、上記撮影部によって得られる通信対象機器の外観輪郭から、通信対象機器を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項5】
上記対象機器特定部は、当該通信対象機器の外装に取り付けられたコード部の画像から、通信対象機器を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項6】
画像を表示するモニタ部と、
上記対象機器特定部によって通信対象機器が特定されたとき、上記モニタ部上に、通信対象機器の外観画像を表示させる表示制御部と、を更に具備する
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のカメラ。
【請求項7】
上記対象機器特定部により特定された通信対象機器にとって必要なデータ量を送信するように、上記メモリに記録されたデータを変換する変換部を更に具備する
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のカメラ。
【請求項8】
撮影した画像データを通信対象機器に送信する送信方法において、
通信対象機器を撮影し、この通信対象機器の外観撮影結果から通信対象機器をデータベースによって検索して通信対象機器を特定し、
特定された通信対象機器に応じて、この通信対象機器に送信するのに適するフォーマットに画像データを変換して、変換された画像データを通信対象機器に送信する
ことを特徴とする送信方法。
【請求項9】
撮影した画像データを通信対象機器に送信する送信方法をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
上記送信方法は、
通信対象機器を撮影し、この通信対象機器の外観撮影結果から通信対象機器をデータベースによって検索して通信対象機器を特定し、
特定された通信対象機器に応じて、この通信対象機器に送信するのに適するフォーマットに画像データを変換して、変換された画像データを通信対象機器に送信する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
撮影した画像データを通信対象機器に送信する送信方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納するコンピュータ読取可能な記録媒体において、
上記送信方法は、
通信対象機器を撮影し、この通信対象機器の外観撮影結果から通信対象機器をデータベースによって検索して通信対象機器を特定し、
特定された通信対象機器に応じて、この通信対象機器に送信するのに適するフォーマットに画像データを変換して、変換された画像データを通信対象機器に送信する
ことを特徴とするコンピュータ読取可能な記録媒体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−314079(P2006−314079A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37146(P2006−37146)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】