説明

カメラおよびその製造方法

【課題】簡易な仕組みで2つの画像を重ね合わせた合成画像を生成する。
【解決手段】マニュアルフォーカスの操作量を取得し、取得された操作量と所定の切出規則とに基づいて原画像GBから部分的に画像を切り出す切出位置K(X,Y)を設定すると共に設定した切出位置K(X,Y)に従って部分画像を切り出して、原画像GAに重ね合わせたファインダー画像GFを生成し、生成されたファインダー画像GFを表示する。これにより、複雑な機構を採用することなく、簡易な仕組みで2つの原画像GA,GBを重ね合わせたファインダー画像GFを生成して表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラおよびその製造方法に関し、詳しくは、マニュアルフォーカスが可能なカメラおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のカメラとしては、半透明鏡を含むファインダー光学系と、三角測量の原理を用いて撮影用レンズのマニュアルフォーカス操作に連動して回動する距離計光学系とからなる、いわゆる二重像合致式のレンジファインダーを備えるカメラが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなカメラでは、ファインダー画像として、ファインダー光学系から入力されるファインダー像に距離計光学系から入力される距離計像を半透明鏡を介して重ね合わせた画像が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−122907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したカメラでは、距離計光学系をマニュアルフォーカス操作に連動して精度よく回動させる必要があり、そのために複雑な機構が必要となる。そのような機構においては、機構を構成する各構成部品の製造公差やカメラへの組み付けに高い精度が要求され、組み付け時の調整作業も時間の掛かるものとなる。また、何らかの衝撃などを受けて機構の精度が低下すると、ファインダー画像の二重像の重なり具合にも影響を及ぼすことになるが、複雑な機構であるためユーザー側でその影響を解消することは困難であった。
【0005】
本発明は、簡易な仕組みで2つの画像を重ね合わせた合成画像を生成するカメラおよびその製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカメラおよびその製造方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のカメラは、
マニュアルフォーカスが可能なカメラであって、
画像を表示する画像表示手段と、
レンズを介して得られる被写体の像を光電変換して第1の画像を生成する第1の撮像手段と、
レンズを介して得られる被写体の像を光電変換して第2の画像を生成する前記第1の撮像手段とは異なる第2の撮像手段と、
マニュアルフォーカスの操作量を取得する操作量取得手段と、
前記取得された操作量と所定の切出規則とに基づいて、前記第2の画像から部分的に画像を切り出す切出位置を設定すると共に該設定した切出位置に従って部分画像を切り出して前記第1の画像に重ね合わせた合成画像を生成する合成画像生成手段と、
該生成された合成画像を表示するよう前記表示手段を制御する表示制御手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明のカメラでは、マニュアルフォーカスの操作量を取得し、取得された操作量と所定の切出規則とに基づいて第2の撮像手段により生成される第2の画像から部分的に画像を切り出す切出位置を設定すると共に設定した切出位置に従って部分画像を切り出して第1の撮像手段により生成される第1の画像に重ね合わせた合成画像を生成し、生成された合成画像を表示するよう表示手段を制御する。これにより、第2の画像からマニュアルフォーカスの操作量に応じた切出位置で切り出した部分画像を第1の画像に重ね合わせた合成画像を表示することができる。この結果、複雑な機構を採用することなく、簡易な仕組みで2つの画像を重ね合わせた合成画像を生成して表示することができる。
【0009】
こうした本発明のカメラにおいて、前記合成画像生成手段は、マニュアルフォーカスによる焦点が被写体に合うほど前記合成画像における重ね合わせ部分のずれが小さくなるよう前記切出位置を設定して前記合成画像を生成する手段であるものとすることもできる。こうすれば、生成された合成画像を用いて被写体に焦点が合っているか否かを確認することができる。
【0010】
また、本発明のカメラにおいて、前記合成画像生成手段は、前記所定の切出規則として、前記第1の撮像手段のレンズと前記第2の撮像手段のレンズとの間隔と、前記取得された操作量から導かれる被写体までの距離とに基づく三角測量の原理により定められた規則を用いる手段であるものとすることもできる。
【0011】
さらに、所定の基準距離に設置された目標物に焦点合わせされた際の前記合成画像における重ね合わせ部分のずれの確認を伴って前記所定の切出規則の補正が可能な補正用モードを有する本発明のカメラにおいて、前記補正用モードにおいて、前記合成画像の重ね合わせ部分のずれが所定の程度以下になる前記切出位置の変更指示を受け付ける指示受付手段と、前記補正用モードにおいて、前記受け付けられた切出位置の変更量を前記所定の基準距離における補正量として用いて前記切出規則を補正する補正手段とを備えるものとすることもできる。こうすれば、簡易な処理でユーザーによる切出規則の補正を可能とすることができる。なお、「所定の程度以下」には、重ね合わせ部分の画像同士の位置のずれが予め定められた所定量以下となるものやユーザーの目視によりずれがないことを確認した状態を含むものである。この態様の本発明のカメラにおいて、前記表示制御手段は、前記補正用モードにおいては、前記合成画像における重ね合わせ部分を拡大表示するよう前記表示手段を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、重ね合わせ部分のずれの確認を容易なものとして、よりスムーズに切出規則の補正をすることができる。
【0012】
また、マニュアルフォーカスが可能な撮影用のレンズとして、焦点距離の異なるレンズが交換可能に取り付けられる本発明のカメラにおいて、前記第1の撮像手段と前記第2の撮像手段とは、撮像素子のサイズが同一で且つ同一焦点距離のパンフォーカスレンズを有する手段として構成されてなるものとすることもできる。こうすれば、第2の画像から切り出した部分画像を大きさの調整をすることなく第1の画像に重ね合わせることができ、スムーズに画像の合成処理を行なうことができる。
【0013】
さらに、本発明のカメラにおいて、前記第1の撮像手段のレンズと前記第2の撮像手段のレンズとは、取付位置が同じ高さとなるよう組み付けられてなるものとすることもできる。こうすれば、切出位置の設定を容易に行なうことができる。なお、「同じ高さ」とは、完全に一致するものに限られず、切出位置が変化しない程度の多少の誤差を許容するものである。
【0014】
本発明のカメラの製造方法は、
マニュアルフォーカスが可能なカメラの製造方法であって、
(a)画像を表示する画像表示手段と、レンズを介して得られる被写体の像を光電変換して第1の画像を生成する第1の撮像手段と、レンズを介して得られる被写体の像を光電変換して第2の画像を生成する前記第1の撮像手段とは異なる第2の撮像手段と、マニュアルフォーカスの操作量を取得する操作量取得手段と、前記第1の撮像手段のレンズと前記第2の撮像手段のレンズとの間隔と前記操作量取得手段により取得される操作量から導かれる被写体までの距離とに基づく三角測量の原理により前記第2の画像から部分的に画像を切り出す切出位置を設定すると共に該設定した切出位置に従って部分画像を切り出して前記第1の画像に重ね合わせた合成画像を生成する合成画像生成手段と、該生成された合成画像を表示するよう前記表示手段を制御する表示制御手段と、各種データを記憶する記憶手段とを組み付ける組付工程と、
(b)所定の基準距離に目標物を設置して、該設置した目標物に焦点合わせをする準備工程と、
(c)前記合成画像生成手段に前記合成画像を生成させ、該生成させた合成画像の重ね合わせ部分のずれを確認したときには、該ずれが所定の程度以下になるように前記設定された切出位置に対する調整を行なう調整工程と、
(d)前記ずれが所定の程度以下になったときに設定されている切出位置に基づいて、前記操作量取得手段で取得される操作量と前記切出位置とを関連付けた切出規則を生成させ、該生成させた切出規則を前記記憶手段に登録させる登録工程と
を備えることを要旨とする。
【0015】
この本発明のカメラの製造方法によれば、各構成部品を組み付け、所定の基準距離に目標物を設置して設置した目標物に焦点合わせをし、合成画像生成手段に合成画像を生成させ、生成させた合成画像の重ね合わせ部分のずれを確認したときには、そのずれが所定の程度以下になるように設定された切出位置に対する調整を行ない、ずれが所定の程度以下になったときに設定されている切出位置に基づいて、操作量取得手段で取得される操作量と切出位置とを関連付けた切出規則を生成させ、生成させた切出規則を記憶手段に登録させる。これにより、各構成部品の組付誤差などに起因するカメラの個体差に伴う切出位置のずれを解消した上で切出規則を登録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】デジタルカメラ10の構成の概略を示す構成図。
【図2】デジタルカメラ10の斜視図。
【図3】デジタルカメラ10の背面図。
【図4】切出規則Rkを生成する方法の考え方を示す説明図。
【図5】原画像GBにおける切出位置Kの一例を示す説明図。
【図6】ファインダー画像表示処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図7】ファインダー画像GFが生成される様子を示す説明図。
【図8】ファインダー画像GFのずれとピント合わせとの関係を示す説明図。
【図9】補正処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図10】補正用モードでのファインダー画像GF’の一例を示す説明図。
【図11】第2のサブ電子撮像ユニット50の位置がずれた様子を示す説明図。
【図12】デジタルカメラ10の製造工程の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態であるデジタルカメラ10の構成の概略を示す構成図であり、図2はデジタルカメラ10の斜視図であり、図3はデジタルカメラ10の背面図である。
【0018】
本実施形態のデジタルカメラ10は、本体12と、被写体の像を光電変換し撮影画像としてのデジタル信号を出力するメイン電子撮像ユニット20と、被写体を光電変換しファインダー画像を生成するためのデジタル信号を出力する第1のサブ電子撮像ユニット40と、第1のサブ電子撮像ユニット40と同様に被写体を光電変換しファインダー画像を生成するためのデジタル信号を出力する第2のサブ電子撮像ユニット50と、メイン電子撮像ユニット20や第1および第2のサブ電子撮像ユニット40,50から出力される信号を入力して所定の画像処理を施して画像データや画像ファイルを生成する画像処理部70と、画像処理部70から入力した画像データをEVF(Electronic View Finder)82や液晶モニター84に表示させる表示制御部80と、ユーザーによって操作される各種の操作スイッチ群90と、画像処理部70により生成された画像ファイルを保存可能なメモリーカード60と、装置全体を制御するメインコントローラー30とを備える。
【0019】
メイン電子撮像ユニット20は、図示しないレンズマウントを介して本体12に交換可能に取り付けられマニュアルフォーカスレンズとして構成された撮影レンズ21と、撮影レンズ21を介して入力した光を光電変換によって電気信号に変換する周知のCCDイメージセンサーとして構成されたイメージセンサー22と、撮影レンズ21とイメージセンサー22との間に配置されたフォーカルプレーンシャッター23と、イメージセンサー22を駆動するドライバー回路24と、イメージセンサー22から出力された電気信号をデジタル信号に変換して出力するアナログフロントエンド(AFE)26とを備える。イメージセンサー22は、数百万〜千数百万画素のセンサーとして構成されている。なお、イメージセンサー22としてCCDイメージセンサーを例示したが、CMOS型のイメージセンサーを採用してもよい。
【0020】
撮影レンズ21は、凸レンズと凹レンズとを組み合わせて構成されたレンズ群21aと、光量を調節する絞り機構21bと、ユーザーによる回転操作(ピント合わせ操作)がなされることにより焦点位置が変わる距離リング21cと、撮影レンズ21の取り付け側に設けられ距離リング21cの操作量(回転量)に応じて繰り出し量が変化するよう螺旋状に形成された繰り出し部21dとを備える。なお、この撮影レンズ21の光軸は、本体12の底面と平行になっている。距離リング21cには、図示は省略したが、距離目盛りが外周部分に表示されている。また、繰り出し部21dは、本体12内に前後方向に変位可能に設けられた連動コロ29に当接している。このため、距離リング21cの操作量は、繰り出し部21dの繰り出し量を介して連動コロ29の変位量に変換されることになる。また、デジタルカメラ10には、この連動コロ29の変位量を検出可能なコロ位置センサー29aが取り付けられている。これにより、距離リング21cの操作量は、コロ位置センサー29aの検出値として検出されることになる。即ち、メイン電子撮像ユニット20(撮影レンズ21)のピント位置を反映した値が検出され、以下、この検出値を操作量Soとする。
【0021】
第1のサブ電子撮像ユニット40は、レンズ群41a,41cと絞り機構41bとを有するパンフォーカス式のサブレンズ41と、サブレンズ41を介して入力した光を光電変換によって電気信号に変換する周知のCCDイメージセンサーとして構成されたイメージセンサー42と、イメージセンサー42を駆動するドライバー回路44と、イメージセンサー42から出力された電気信号をデジタル信号に変換して出力するAFE46とを備える。また、第2のサブ電子撮像ユニット50は、第1のサブ電子撮像ユニット40と同一の構成を備えているため、各構成要素については第1のサブ電子撮像ユニット40の構成要素の符号に値10を加えた符号として、その説明を省略する。これらの第1および第2のサブ電子撮像ユニット40,50は、本体12内の所定間隔Aだけ離れた位置に、本体12の底面から略同じ高さの位置に組み付けられる。このとき、サブレンズ41の光軸とサブレンズ51の光軸とは、本体12の底面と平行に組み付けられる。なお、メイン電子撮像ユニット20のイメージセンサー22が数百万〜千数百万画素のセンサーとして構成されているのに対し、イメージセンサー42,52は、例えば200万画素など、数十万〜数百万画素のセンサーとして構成されている。
【0022】
画像処理部70は、図示しないが、RGB画素の色補間処理やホワイトバランス処理、色再現処理、リサイズ処理、ガンマ補正処理、画像ファイル生成処理などのデジタルカメラにおける周知の画像処理を実行する各種の画像処理機能ブロックを備える。この画像処理部70は、メイン電子撮像ユニット20から出力されるデジタル信号を入力し画像処理を実行して撮影画像を生成したり、生成した撮影画像を所定形式の画像に変換し撮影情報を付加して画像ファイルを生成したり、第1のサブ電子撮像ユニット40から出力されるデジタル信号を入力し画像処理を実行して原画像GAを生成したり、第2のサブ電子撮像ユニット50から出力されるデジタル信号を入力し画像処理を実行して原画像GBを生成したりする。また、画像処理部70は、原画像GBから部分的に画像を切り出す切出処理を実行する切出処理部と、切り出した部分画像を原画像GAの中央部分に重ね合わせる合成処理を実行する合成処理部とを備えており、原画像GBから切り出した部分画像を原画像GAに重ね合わせることによりEVF82に表示するためのファインダー画像GFを生成する。なお、画像処理部70の合成処理部は、下層の画像に対して上層に重ね合わせる画像の透明度を示す係数αを用いて下層の画像の画素値と上層の画像の画素値とを混合して合成画像の画素値を生成する、いわゆるαブレンド処理が可能となっている。
【0023】
表示制御部80は、画像処理部70で生成されたファインダー画像GFをEVF82に表示したり、画像処理部70で生成された撮影画像やメモリーカード60に保存された画像ファイル内の撮影画像を液晶モニター84に表示したりする。なお、表示制御部80は、ファインダー画像GFの特定の部分を拡大してEVF82に表示する拡大表示処理が可能となっている。
【0024】
操作スイッチ群90は、シャッターボタン90aやダイヤルスイッチ(SW)90b,巻上レバー90c,モード選択ボタン90d,OKボタン90e,キャンセルボタン90f,JOGダイヤル90gなどからなる。シャッターボタン90aは、撮影レンズ21を通じてイメージセンサー22上に結像された画像を取り込む指示をユーザーから受け付けるためのボタンである。ダイヤルスイッチ90bは、ユーザーによるシャッタースピードや露出値などの撮影に関する各種設定値を設定するためのスイッチである。巻上レバー90cは、巻上操作に伴って、フォーカルプレーンシャッター23の図示しないシャッター幕をシャッターの切られた状態から再度次回のシャッター動作が可能な状態に引き上げて機械的に固定するためのボタンである。モード選択ボタン90dは、各種モードを選択するためのボタンである。ここで、選択可能なモードとしては、液晶モニター84の明るさの設定などの各種設定を行なう設定用モードやファインダー画像GFの生成に用いられる後述する切出規則Rkを補正するための補正用モードなどがある。OKボタン90eは、各種選択を決定するためのボタンであり、キャンセルボタン90fは、一旦行なった選択を解除するためのボタンである。JOGダイヤル90gは、回転操作に伴って、液晶モニター84に表示される各種項目を選択するためのカーソルを移動させたり、各種設定値の数値を変更したりする。また、このJOGダイヤル90gは、上方に引き上げられた状態と下方に押し下げられた状態のいずれかの状態とされ、上方に引き上げられた状態で回されると液晶モニター84に表示される画像を上下にスクロールさせるためのダイヤルとして機能し、下方に押し下げられた状態で回されると左右にスクロールさせるためのダイヤルとして機能する。
【0025】
メインコントローラー30は、CPU32を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、処理プログラムや各種テーブルを記憶するROM34と、データを一時的に記憶するRAM36と、データを書き換え可能で電源を切ってもデータを保持するフラッシュメモリー38と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。フラッシュメモリー38には、ファインダー画像GFの生成に用いられる切出規則Rkが登録されている。メインコントローラー30には、操作スイッチ群90からの各種の操作信号やコロ位置センサー29からの操作量So、メモリーカード60から読み出した画像ファイル、画像処理部70からの各種画像などが入力される。また、メインコントローラー30からは、フォーカルプレーンシャッター23へのシャッター駆動信号やドライバー回路24,44,54への制御信号、メモリーカード60へ書き込む画像ファイル、画像処理部70への画像処理指令、表示制御部80への表示制御指令などが出力される。
【0026】
ここで、切出規則Rkについて説明する。この切出規則Rkは、ファインダー画像GFを生成するためにピント合わせ操作に応じて原画像GBから部分画像を切り出す切出位置Kを設定するための規則である。図4は、切出規則Rkを生成する方法の考え方を示す説明図であり、図5は、原画像GBにおける切出位置Kの一例を示す説明図である。図4に点線で示す領域は、第2のサブ電子撮像ユニット50の撮像領域のイメージを示す。図4に示すように、サブ電子撮像ユニット40の光軸上の距離L1の位置にある被写体(図4中に黒丸で図示、以下同様)は、第2のサブ電子撮像ユニット50の光軸から角度θ1をなす撮像領域上の位置(白丸)に撮像される。同様に、距離L2の被写体(黒三角)は角度θ2をなす位置(白三角)に、距離L3の被写体(黒四角)は角度θ3をなす位置(白四角)にそれぞれ撮像される。このような角度θと距離Lと所定間隔Aとは、三角測量の原理により式(1)のような関係にあり、所定間隔Aは既知の定数であるため距離Lが決まれば角度θを求めることができる。また、図5に示すように、原画像GB(撮像領域)の中心を原点として図5中左右方向をX軸,上下方向をY軸とするXY座標系を設定すると、原画像GBの中の被写体画像の位置は、デジタルカメラ10から被写体までの距離が短くなるほど原点から遠ざかり、距離が遠くなるほど原点に近くなり無限遠の距離では原点に一致する。なお、図5では、図4に示した撮像領域の左右方向と方向を合わせるために、便宜上、本来の画像から左右を反転させた原画像GBを図示するものとした。なお、第1および第2のサブ電子撮像ユニット40,50は、本体12の同じ高さの位置に組み付けているから、通常、原画像GBの中の被写体画像の位置は、X座標の値が変化しY座標の値は値0のまま変化することはない。これらのことから、原画像GAの中央部に映し出された距離L1の位置にある被写体画像は、原画像GBにおいては、距離L1に対応する位置K1(X1,0)を中心として映し出されることになる。ここで、被写体までの距離に応じて変化する距離リング21cの操作量をコロ位置センサー29aによって操作量Soとして検出しているため、操作量Soに基づいて距離Lを導くことができる。このため、操作量Soから距離Lを導いて、導いた距離Lと式(1)とから角度θを求め、角度θとX座標の値との関係を予め設定しておけば、角度θに対応するX座標の値即ち切出位置Kを導出することが可能となる。本実施形態では、このような操作量Soと切出位置Kとの対応関係を切出規則Rkとして記憶しているものとした。この切出規則Rkは、操作量Soと切出位置Kとの関係式として記憶し、切出位置Kを求める場合に、その関係式を用いて操作量Soから演算を行なって切出位置Kを求めるものとした。なお、角度θの最大値はサブレンズ51の画角により定まり、それに対応するX座標の値から角度θとX座標の値との関係を設定することができる。
【0027】
tanθ=A/L ・・・(1)
【0028】
次に、こうして構成された本実施形態のデジタルカメラ10の動作について説明する。図6は、メインコントローラー30により実行されるファインダー画像表示処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、図示しない電源ボタンがオンにされ、撮影モードを開始してからオフされるまで実行される。なお、画像処理や表示制御などは、実際には画像処理部70や表示制御部80が主体となって行なわれるものであるが、以下の説明では特に主体を区別することなく説明する。このルーチンが実行されると、メインコントローラー30は、まず、第1および第2のサブ電子撮像ユニット40,50の2つのイメージセンサー42,52を駆動してデジタル信号の読み出しを行なう(ステップS100)。次に、読み出したデジタル信号に対して各種の画像処理を実行して原画像GA,GBを生成する(ステップS110)。原画像GA,GBを生成すると、コロ位置センサー29aからの距離リング21cの操作量Soを入力し(ステップS120)、入力した操作量Soを用いて切出規則Rkを参照して切出位置Kを設定する(ステップS130)。
【0029】
こうして、切出位置Kを設定すると、原画像GBの切出位置Kに対応した所定の大きさの切出領域から部分画像を切り出して(ステップS140)、切り出した部分画像を画像GAの中央に重ね合わせてファインダー画像GFを生成する(ステップS150)。ファインダー画像GFの生成は、下層の原画像GAに対する上層の原画像GBの透明度を示す係数αに基づいて、原画像GBの画素値bと原画像GAの画素値aとを混合するαブレンド処理により、重ね合わせ部分の画素値を生成することにより行なう。なお、重ね合わせ部分を除く部分は、原画像GAの画素値aを用いる。図7は、ファインダー画像GFが生成される様子を示す説明図である。図示するように、ファインダー画像GFの重ね合わせ部分はαブレンド処理により二重像として生成される。なお、図7においても、図5と同様に原画像GA,GBの左右を反転させて図示するものとし、重ね合わせ部分では、原画像GBからの部分画像を実線で示し原画像GAを点線で示す。
【0030】
こうしてファインダー画像GFを生成すると、生成したファインダー画像GFをEVF82に表示して(ステップS160)、ステップS100に戻り処理を繰り返す。このように、メイン電子撮像ユニット20のピント位置を反映するコロ位置センサー29aからの操作量Soを用いて切出規則Rkから、切出位置Kを設定すると共に切出位置Kに従って切り出した部分画像を原画像GAに重ね合わせたファインダー画像GFを表示することができる。即ち、メイン電子撮像ユニット20のピント合わせ操作に応じて重ね合わせ部分の二重像が変化するファインダー画像GFを生成することができる。そして、この切出位置Kは、メイン電子撮像ユニット20のピント位置の被写体を第2のサブ電子撮像ユニット50で撮像したときの原画像GB中の被写体画像の位置に対応する。図8は、ファインダー画像GFのずれとピント合わせとの関係を示す説明図である。図8(b)では、重ね合わせ部分にずれが生じていないが、これは原画像GB中の被写体画像から正しい位置の画像を切り出していることを意味し、被写体にピントが合致している。一方、図8(a),(c)では重ね合わせ部分にずれが生じており、これは原画像GB中の被写体画像からずれた位置の画像を切り出していることを意味し、被写体とピントがずれている。なお、図8(a)では、被写体よりも手前側にピントがずれており、図8(c)では被写体よりも奥側にピントがずれている。このように、ユーザーは、ファインダー画像GFの重ね合わせ部分のずれを確認しながら、ピント合わせをすることができる。
【0031】
次に、ユーザーにより切出規則Rkが補正される際のデジタルカメラ10の動作について説明する。図9は、メインコントローラー30により実行される補正処理ルーチンの一例を示す説明図である。この処理は、ユーザーによるモード選択ボタン90dの操作により補正用モードとされたときに実行される。この補正処理ルーチンが実行されると、メインコントローラー30は、まず、基準距離として例えば上述した距離L2の位置に目標物Mを置いて、距離リング21cの距離目盛りが距離L2を示す回転位置となるよう操作する作業を行ない、作業が完了すればOKボタン90eを操作することを促す旨の指示画面を液晶モニター84に表示する(ステップS200)。そして、ユーザーによりOKボタン90eが操作されるのを待って(ステップS210)、現在の切出位置Kに従ってファインダー画像GFを生成する(ステップS220)。この処理は、上述したファインダー画像表示処理ルーチンの処理と同様に行なわれる。なお、このときの切出位置Kは、距離リング21cが距離L2の回転位置となるため、距離L2における切出位置K2(X2,0)となる。そして、生成されたファインダー画像GFの重ね合わせ部分を拡大したファインダー画像GF’をEVF82に表示する(ステップS230)。
【0032】
図10は、補正用モードでのファインダー画像GF’の一例を示す説明図である。図示するように、重ね合わせ部分が拡大して表示されると共に調整中であることを示すメッセージが表示される。ここで、本来であれば、図10(b)に示すように、重ね合わせ部分にずれのないファインダー画像GF’が表示される。しかし、衝撃を与えたなど何らかの異常により、第1および第2のサブ電子撮像ユニット40,50の位置や角度がずれてしまった場合には、重ね合わせ部分にずれが生じることがある。図11は、第2のサブ電子撮像ユニット50の位置がずれた様子を示す説明図である。図示するように、第2のサブ電子撮像ユニット50の光軸が角度θzだけずれた状態となっている。このために、撮像領域の原点がずれ、切出規則Rkに基づいて切出位置Kを設定しても正常時とは異なる切出位置となって原画像GBから正しい部分画像が切り出されないことになる。したがって、図10(a),(c)に示すように、ファインダー画像GF’の重ね合わせ部分にずれが生じることになる。なお、図10では、左右方向にずれが生じている場合を示しているが、位置ずれの方向によっては、上下方向にずれが生じることもある。
【0033】
こうしてファインダー画像GF’を表示すると、JOGダイヤル90gによる調整操作(ステップS240)やOKボタン90eの操作(ステップS250)がなされるのを待つ。調整操作がなされたときには、上下方向か左右方向かを判定する(ステップS260)。上述したように、JOGダイヤル90gを引き上げた状態で操作されたときには上下方向と判定し、引き下げた状態で操作されたときには左右方向と判定する。上下方向と判定したときには、JOGダイヤル90gの操作量に応じた変更量Δyを設定し(ステップS270)、切出位置K(X,Y)の値Yを変更する(ステップS280)。なお、JOGダイヤル90gを引き上げた状態で右に回されたときには上方向への変更として変更量Δyに正の値を設定し、左に回されたときには下方向への変更として変更量Δyに負の値を設定する。一方、左右方向と判定したときには、JOGダイヤル90gの操作量に応じた変更量Δxを設定し(ステップS290)、切出位置K(X,Y)の値Xを変更する(ステップS300)。なお、JOGダイヤル90gを引き下げた状態で右に回されたときには右方向への変更として変更量Δxに正の値を設定し、左に回されたときには左方向への変更として変更量Δxに負の値を設定する。
【0034】
こうして切出位置Kを変更すると、ステップS220に戻り処理を繰り返し、ファインダー画像GF’のずれが確認されなくなるまでユーザーからの調整操作を繰り返し受け付ける。そして、ステップS250でOKボタン90eが操作されたと判定したときには、現在の切出位置Kで切出規則Rkを補正するか否かを問い合わせる確認メッセージをEVF82に表示して(ステップS310)、ボタン操作がなされるのを待つ(ステップS320)。ステップS320でキャンセルボタン90fが操作されると、再びステップS220に戻り処理を繰り返す。一方、ステップS320でOKボタン90eが操作されると、変更量ΔX(変更量Δxの累積値)と変更量ΔY(変更量Δyの累積値)とを距離L2における補正量として用いて切出規則Rkを補正して(ステップS330)、本ルーチンを終了する。このとき、被写体までの距離が距離L2でない場合についても変更量ΔXと変更量ΔYとに基づいて補正するが、複数の基準距離のそれぞれについて変更量ΔXと変更量ΔYとを取得して、それらに基づいて切出規則Rkを補正してもよい。例えば、図11の場合を考えると、変更量ΔXはずれの角度θzの影響を解消するような値となっているから、角度θzのずれによる切出位置KのX軸方向の位置ずれが変更量ΔXに相当すると考えられる。このため、本来の角度θ2と値X2との関係と、角度(θ2+θz)と値(X2+ΔX)との関係とから、ずれの角度θzを求めることができる。そして、操作量Soから距離Lを導いて角度θを求める際に、このずれの角度θzが反映されるよう切出規則Rkを補正する。一方、変更量ΔYが設定されている場合には、図11の場合とは異なり、光軸が上下方向にずれていると考えられる。このため、本来は切出位置Kの値Yは値0であるが、値ΔYとなるよう補正する。このように、簡易な方法でユーザーによる切出規則Rkの補正を可能とすることができる。
【0035】
ここで、デジタルカメラ10の出荷時の切出規則Rkは、デジタルカメラ10の製造工程において、デジタルカメラ10の個体差を反映した上で登録されている。以下、デジタルカメラ10の製造方法と合わせて説明する。図12は、デジタルカメラ10の製造工程の一例を示す説明図である。デジタルカメラ10の製造工程としては、まず、各構成部品を本体12に組み付ける(工程S400)。この組付工程では、メイン電子撮像ユニット20や第1および第2のサブ電子撮像ユニット40,50、画像処理部70、表示制御部80、EVF82、液晶モニター84、操作スイッチ群90、メインコントローラー30などが本体12に組み付けられる。このときフラッシュメモリー38には、切出規則Rkを生成するために基準距離L(ここでは、距離L1とする)におけるデフォルトの切出位置k1(x1,0)が登録されている。こうしてデジタルカメラ10を組み付けると、切出規則Rkを生成するための準備を行なう(工程S410)。この準備工程では、デジタルカメラ10の図示しない電源ボタンをオンとして三脚などに固定し、固定されたデジタルカメラ10から距離L1だけ離れた位置に目標物Mを置き、距離リング21cに記された距離目盛りが距離L1を示す回転位置となるよう回転操作する。また、このとき、デジタルカメラ10では、電源ボタンがオンされたことにより、上述したファインダー画像表示処理ルーチンが実行される。このため、デフォルトの切出位置k1に従って生成されたファインダー画像GFがEVF82に表示される。
【0036】
こうしてファインダー画像GFが表示されると、表示されたファインダー画像GFの重ね合わせ部分のずれを確認する(工程S420)。このとき、デジタルカメラ10の個体差に伴って、重ね合わせ部分に若干のずれが生じることがある。なお、デジタルカメラ10の個体差は、第1および第2のサブ電子撮像ユニット40,50や連動コロ29などの各部品の製造誤差や組付誤差、イメージセンサー42,52の特性などに起因して生じるものである。そして、確認工程においてずれを確認したときには、そのずれが確認できなくなるまで位置調整を行なう(工程S430)。この位置調整は、図9の補正処理ルーチンの調整処理と同様に行なわれる。ずれが確認できなくなったときには、距離L1における切出位置として切出規則Rkを生成してフラッシュメモリー38に登録する(工程S440)。切出規則Rkの生成は、図9の補正処理ルーチンにおける切出規則Rkの補正と同様に行なわれる。例えば、X軸方向に対して調整がなされたときには、その調整量からずれの角度θzを求め、操作量Soから角度θを求める際に、ずれの角度θzが反映されるよう切出規則Rkを生成する。これにより、左右方向のズレに対応させることができる。また、Y軸方向に対して調整がなされたときには、その調整量からY座標の値を設定してデフォルトの値0に加えて切出規則Rkを生成する。これにより、上下方向のズレに対応させることができる。したがって、デジタルカメラ10の組付誤差などに起因して生じる個体差に伴うずれを排除して、精度の高い切出規則Rkを生成して登録することができる。
【0037】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のEVF82が本発明の「画像表示手段」に相当し、第1のサブ電子撮像ユニット40が「第1の撮像手段」に相当し、第2のサブ電子撮像ユニット50が「第2の撮像手段」に相当し、コロ位置センサー29aが「操作量取得手段」に相当し、メインコントローラー30と画像処理部70とが「合成画像生成手段」に相当し、表示制御部80が「表示制御手段」に相当する。また、JOGダイヤル90gが「指示受付手段」に相当し、メインコントローラー30が「補正手段」に相当する。
【0038】
以上詳述した本実施形態のデジタルカメラ10によれば、マニュアルフォーカスの操作量Soを取得し、取得された操作量Soを用いて所定の切出規則Rkを参照して第2のサブ電子撮像ユニット50により生成される原画像GBから部分的に画像を切り出す切出位置Kを設定し、設定した切出位置Kに従って原画像GBから部分画像を切り出して第1のサブ電子撮像ユニット40により生成される原画像GAに重ね合わせてファインダー画像GFを生成し、生成したファインダー画像GFをEVF82に表示するから、複雑な機構を採用することなく、簡易な仕組みで2つの原画像GA,GBを重ね合わせたファインダー画像GFを生成して表示することができる。
【0039】
また、補正用モードにおいてユーザーによる操作によって設定された変更量に応じて切出規則Rkを補正するものとしたから、ユーザーによる切出規則Rkの補正を可能とすることができる。また、補正用モードでのファインダー画像GF’は、重ね合わせ部分を拡大表示するものとしたから、ずれの確認を容易なものとしてスムーズに切出規則Rkの補正をすることができる。さらに、第1および第2のサブ電子撮像ユニット40,50は、同一の構成を備えるものとしたから、原画像GBから切り出した部分画像を拡大などすることなく原画像GAに重ね合わせることができる。
【0040】
なお、本発明は上述した実施態様に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0041】
上述した実施形態では、メイン電子撮像ユニット20により被写体の像を光電変換して得た画像信号に基づいて撮影画像を生成したが、これに限られず、メイン電子撮像ユニット20の代わりに被写体の像を銀塩フィルムに写し取ることにより撮影画像を生成する銀塩カメラを採用してもよい。
【0042】
上述した実施形態では、第1および第2のサブ電子撮像ユニット40,50との取付位置が同じ高さとなるよう本体12に組み付けるものとしたが、これに限られず、異なる高さに組み付けるものとしてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、ファインダー画像GF,GF’をEVF82に表示するものとしたが、これに限られず、液晶モニター84に表示するものとしてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、操作量Soを用いて切出規則Rkを参照してX座標の値を演算により導くものとしたが、これに限られるものではない。例えば、距離リング21cの距離目盛りに表示される代表的な距離毎に切出位置Kを予めマップとして登録しておくものとしてもよいし、さらに多くの切出位置Kを予めマップとして登録しておくものとしてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、切出規則Rkをフラッシュメモリー38に登録するものとしたが、これに限られず、ROM34に登録するものとしてもよい。その場合、切出規則Rkに対する補正量は、フラッシュメモリー38に登録するものとすればよい。
【0046】
上述した実施形態では、距離リング21cの回転量を連動コロ29を介して検出するものとしたが、距離リング21cの回転角を検出することにより回転量を直接検出するものとしてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、2つの原画像GA,GBをαブレンド処理を用いてそのまま重ね合わせることでファインダー画像GFを生成するものとしたが、原画像GA,GBの少なくとも一方の色を変化させた上でαブレンド処理を用いて重ね合わせることでファインダー画像GFを生成するものとしてもよい。この場合、原画像GAの重ね合わせ部分の画像や原画像GBから切り出した部分画像をモノクロ化したりアンバー色を着色したりするものなどとすればよい。これにより、原画像GAの重ね合わせ部分の画像と原画像GBから切り出した部分画像との区別を容易にすることができる。
【0048】
上述した実施形態では、第1および第2のサブ電子撮像ユニット40,50における光軸回りの回転を考慮することなく切出位置Kや切出領域を定めるものとしたが、第1および第2のサブ電子撮像ユニット40,50における光軸回りの回転を反映した切出位置Kや切出領域として、被写体にピントが合致している場合に、重ね合わせ部分の回転方向のずれが生じないようにしてもよい。この場合、切出規則Rkの補正時にも回転に対応した補正を行ない、切出規則Rkには回転に対応した情報を含めることが望ましい。
【0049】
上述した実施形態では、切出規則Rkの生成時や補正時に距離リング21cの回転量を連動コロ29を介して検出するものとしたが、生成時や補正時には基準距離Lを指定しているので距離リング21cの回転量を検出しないものとしてもよい。この場合、撮影レンズ21を取り付けることなく取り外した状態で、切出規則Rkの生成や補正を行なうものとしてもよい。
【0050】
上述した実施形態では、切出規則Rkの生成時や補正時における調整を作業者やユーザーによるJOGダイヤル90gの手動操作に基づいて行なうものとしたが、これに限られず、自動で行なうものとしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 デジタルカメラ、12 本体、20 メイン電子撮像ユニット、21 撮影レンズ、21a レンズ群、21b 絞り機構、21c 距離リング、21d 繰り出し部、22 イメージセンサー、23 フォーカルプレーンシャッター、24 ドライバー回路、26 アナログフロントエンド(AFE)、29 連動コロ、29a コロ位置センサー、30 メインコントローラー、32 CPU、34 ROM、36 RAM、38 フラッシュメモリー、40 第1のサブ電子撮像ユニット、41,51 サブレンズ、41a,41c,51a,51c レンズ群、41b,51b 絞り機構、42,52 イメージセンサー、44,54 ドライバー回路、46,56 アナログフロントエンド(AFE)、50 第2のサブ電子撮像ユニット、60 メモリーカード、70 画像処理部、80 表示制御部、82 EVF、84 液晶モニター、90 操作スイッチ群、90a シャッターボタン、90b ダイヤルスイッチ(ダイヤルSW)、90c 巻上レバー、90d モード選択ボタン、90e OKボタン、90f キャンセルボタン、90g JOGダイヤル、GA,GB 原画像、GF,GF’ ファインダー画像、A 所定間隔、M 目標物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マニュアルフォーカスが可能なカメラであって、
画像を表示する画像表示手段と、
レンズを介して得られる被写体の像を光電変換して第1の画像を生成する第1の撮像手段と、
レンズを介して得られる被写体の像を光電変換して第2の画像を生成する前記第1の撮像手段とは異なる第2の撮像手段と、
マニュアルフォーカスの操作量を取得する操作量取得手段と、
前記取得された操作量と所定の切出規則とに基づいて、前記第2の画像から部分的に画像を切り出す切出位置を設定すると共に該設定した切出位置に従って部分画像を切り出して前記第1の画像に重ね合わせた合成画像を生成する合成画像生成手段と、
該生成された合成画像を表示するよう前記表示手段を制御する表示制御手段と
を備えるカメラ。
【請求項2】
前記合成画像生成手段は、マニュアルフォーカスによる焦点が被写体に合うほど前記合成画像における重ね合わせ部分のずれが小さくなるよう前記切出位置を設定して前記合成画像を生成する手段である請求項1記載のカメラ。
【請求項3】
前記合成画像生成手段は、前記所定の切出規則として、前記第1の撮像手段のレンズと前記第2の撮像手段のレンズとの間隔と、前記取得された操作量から導かれる被写体までの距離とに基づく三角測量の原理により定められた規則を用いる手段である請求項1または2記載のカメラ。
【請求項4】
所定の基準距離に設置された目標物に焦点合わせされた際の前記合成画像における重ね合わせ部分のずれの確認を伴って前記所定の切出規則の補正が可能な補正用モードを有する請求項1ないし3いずれか1項に記載のカメラであって、
前記補正用モードにおいて、前記合成画像の重ね合わせ部分のずれが所定の程度以下になる前記切出位置の変更指示を受け付ける指示受付手段と、
前記補正用モードにおいて、前記受け付けられた切出位置の変更量を前記所定の基準距離における補正量として用いて前記切出規則を補正する補正手段と
を備えるカメラ。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記補正用モードにおいては、前記合成画像における重ね合わせ部分を拡大表示するよう前記表示手段を制御する手段である請求項4記載のカメラ。
【請求項6】
マニュアルフォーカスが可能な撮影用のレンズとして、焦点距離の異なるレンズが交換可能に取り付けられる請求項1ないし5いずれか1項に記載のカメラであって、
前記第1の撮像手段と前記第2の撮像手段とは、撮像素子のサイズが同一で且つ同一焦点距離のパンフォーカスレンズを有する手段として構成されてなる
カメラ。
【請求項7】
前記第1の撮像手段のレンズと前記第2の撮像手段のレンズとは、取付位置が同じ高さとなるよう組み付けられてなる請求項1ないし6いずれか1項に記載のカメラ。
【請求項8】
マニュアルフォーカスが可能なカメラの製造方法であって、
(a)画像を表示する画像表示手段と、レンズを介して得られる被写体の像を光電変換して第1の画像を生成する第1の撮像手段と、レンズを介して得られる被写体の像を光電変換して第2の画像を生成する前記第1の撮像手段とは異なる第2の撮像手段と、マニュアルフォーカスの操作量を取得する操作量取得手段と、前記第1の撮像手段のレンズと前記第2の撮像手段のレンズとの間隔と前記操作量取得手段により取得される操作量から導かれる被写体までの距離とに基づく三角測量の原理により前記第2の画像から部分的に画像を切り出す切出位置を設定すると共に該設定した切出位置に従って部分画像を切り出して前記第1の画像に重ね合わせた合成画像を生成する合成画像生成手段と、該生成された合成画像を表示するよう前記表示手段を制御する表示制御手段と、各種データを記憶する記憶手段とを組み付ける組付工程と、
(b)所定の基準距離に目標物を設置して、該設置した目標物に焦点合わせをする準備工程と、
(c)前記合成画像生成手段に前記合成画像を生成させ、該生成させた合成画像の重ね合わせ部分のずれを確認したときには、該ずれが所定の程度以下になるように前記設定された切出位置に対する調整を行なう調整工程と、
(d)前記ずれが所定の程度以下になったときに設定されている切出位置に基づいて、前記操作量取得手段で取得される操作量と前記切出位置とを関連付けた切出規則を生成させ、該生成させた切出規則を前記記憶手段に登録させる登録工程と
を備えるカメラの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−133796(P2011−133796A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295203(P2009−295203)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】