説明

カメラシステム

【課題】カメラシステムのカメラ装置と受信装置の両方にOSDの描画機能が付いていた場合に、システム上で動作させるアプリケーションに応じて、OSDの描画機能のON/OFFを調整する。
【解決手段】カメラ装置は、画像にOSDによる表示要素を描画するOSD描画部と、OSD描画部を制御するOSD制御部とを備えている。カーナビゲーション装置などの受信装置は、OSD描画部と、OSD制御部とを備えており、バックミラーなどの受信装置は、OSD描画部と、OSD制御部とを備えていない。カーナビゲーション装置などの受信装置のOSD制御部は、カメラ装置のOSD制御部に対して、OSD機能をON/OFFを制御するOSD制御情報を送信し、カメラ装置は、それに従ってOSDによる表示要素を重畳した画像をカーナビゲーション装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラシステムに係り、特に、カメラ装置で撮影した画像にOSD描画をおこなって表示するカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
OSD(On Screen Display)は、画面の画像や動画上に任意の文字や記号を表示する機能であり、画像出力の分野では広く用いられている。特に、カーナビゲーションシステムの分野では、OSDにより運転支援情報をカメラ装置で撮影した画像に重畳して表示するカメラシステムが使われている。例えば、特許文献1と特許文献2には、車両の後方視界を写し出すモニタに、車両の予想軌跡をカメラの撮像画像上に重畳して表示する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−175482号公報
【特許文献2】特開2000−272445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、カメラシステムは、カメラ装置と、カメラ装置で撮影した画像を表示する表示装置(受信装置)で構成される。このカメラシステムでは、上記の特許文献1または特許文献2に記載されているように、運転支援情報のOSD表示をする場合、OSDの描画機能は、受信装置にあるのが一般的であったが、近年、OSDの描画機能が付いたカメラ装置が増えてきているおり、カメラ装置でもOSD描画をおこなうことができるようになってきている。このように、カメラ装置と受信装置の両方にOSDの描画機能が付いていた場合、アプリケーションに応じて、どちらの装置にあるOSDの描画機能を使用するか否かを選択したい場合がある。
【0005】
しかしながら、従来技術では、OSD描画のON/OFFの一方を選択することはできても、アプリケーションに応じて切り替えることが困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、カメラシステムのカメラ装置と受信装置の両方にOSDの描画機能が付いていた場合に、システム上で動作させるアプリケーションに応じて、OSDの描画機能のON/OFFを選択することのできるカメラシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカメラシステムは、カメラ装置により撮像した画像を、カメラ装置に接続された受信装置で受信して、受信装置側で画像を表示するカメラシステムであって、カメラ装置は、画像にOSDによる表示要素を描画するOSD描画部と、OSD描画部を制御するOSD制御部とを備えていて、受信装置は、画像にOSDによる表示要素を描画するOSD描画部と、OSD描画部を制御するOSD制御部とを備えている。
【0008】
受信装置は、例えば、カーナビゲーション装置であり、カーナビゲーション装置で画像認識をおこなうときには、カメラ装置のOSD制御部に対して、送信されてくる画像にOSD描画をOFFにするOSD制御情報を送信する。これにより、カーナビゲーション装置で、画像認識の精度を低下させることなく、画像認識をおこなうことができる。また、受信装置が、バックミラーのときには、 OSD機能は備えておらず、その場合には、カメラ装置では、OSD描画をおこなった画像を送信する。
【0009】
また、カメラ装置のOSD制御部に対して、送信されてくる画像の色差信号にOSDによる表示要素を重畳するか否かの制御情報を送信するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カメラシステムのカメラ装置と受信装置の両方にOSDの描画機能が付いていた場合に、システム上で動作させるアプリケーションに応じて、OSDの描画機能のON/OFFを選択することのできるカメラシステムを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るカメラシステムを車両に搭載した例を示す模式図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るカメラシステムのブロック構成図である。
【図3】本発明の第二の実施形態に係るカメラシステムのブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る各実施形態を、図1ないし図3を用いて説明する。
【0013】
〔実施形態1〕
以下、本発明に係る第一の実施形態を、図1および図2を用いて説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るカメラシステムを車両に搭載した例を示す模式図である。
図2は、本発明の第一の実施形態に係るカメラシステムのブロック構成図である。
【0014】
本実施形態に係るカメラシステムは、図1に示されるように、車両に搭載されるカーナビゲーションシステムであって、カメラ装置10と、カーナビゲーション装置20と、バックミラー30から構成される。
【0015】
カメラ装置10は、車の後方に設置して、後方の様子を撮像をおこなうカメラである。
【0016】
カーナビゲーション装置20は、地図による経路情報表示、車両の近傍の撮像画像を表示する機能、コンテンツの再生機能、画像認識機能など様々な機能を備えて、運転手の運転支援をおこなう装置である。
【0017】
バックミラー30は、カメラ装置で撮像した車両後方の映像をモニタに映し出す装置である。
【0018】
以下、本実施形態では、車両の後退時に運転者が後方を振り向かなくても、車載モニタの画面に車両の後方視界を写し出すと同時に、ハンドルの操舵角の情報から車両の予想軌跡を計算して、カメラ装置10で撮影した画像にOSDとして重畳して表示する運転支援システムを例に採って説明する。
【0019】
カメラ装置10は、図2に示されるように、撮像部101、OSD描画部102、OSD制御部103、画像IF104を備えている。
【0020】
また、カーナビゲーション装置20は、画像IF201、画像認識部202、メモリ203、OSD描画部204、OSD制御部205、操舵角取得部206、画像表示部207を備えている。
【0021】
また、バックミラー30は、画像IF301、画像表示部302を備えている。
【0022】
先ず、カメラ装置10の構成を説明する。
【0023】
撮像部101は、外部光を入力とし光電変換をおこない画像を生成する。OSD描画部102は、カメラ装置10で生成した画像にOSDにより文字、図形などの表示要素を重畳して描画する。OSD制御部103は、カーナビゲーション装置20のOSD制御部205と通信をおこなうためのOSD制御部間の通信機能を有しており、OSD描画機能のON/OFFを指示するOSD制御情報と、OSD描画に必要な描画情報を通信する。また、OSD制御部103は、OSD描画部102を制御する機能を有しており、OSD制御情報と描画情報に基づきOSD描画部102に、OSDの描画を指示する。画像IF104は、カーナビゲーション装置20の画像IF201と、バックミラー30の画像IF301に画像を出力するインターフェースである。このときの画像の出力形式は、NTSC(National Television System Committeeによるコンポジット映像信号)、LVDS(Low voltage differential signaling)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)など規格化されたアナログ信号またはデジタル信号で出力してもよいし、画像圧縮したストリームをイーサネット(登録商標)のフレーム形式など、パケット化して出力してもよいし、無線LAN(Local Area Network、IEEE 802.11の伝送規格によるもの)、UWB(Ultra Wide Band)などの無線通信形式で出力することにしてもよい。
【0024】
次に、カーナビゲーション装置20の構成を説明する。
【0025】
カーナビゲーション装置20は、様々なアプリケーションを実現できる機能を有しており、アプリケーションに応じて使用する機能ブロックが異なる。
【0026】
画像IF201は、カメラ装置10より出力されたインターフェースにより伝送されてくるデータを受信して、カメラ装置10の画像IF104で変換した方式の逆変換をおこない、カーナビゲーション装置20で使用する画像の形式に戻す部分である。例えば、圧縮されている場合には、伸張して、画像を元に戻すなどである。
【0027】
画像認識部202は、例えば、歩行者検出、物体検出、飛び出し検出、道路標識認識、車線逸脱検出、衝突検出などの画像認識をおこなう。この画像認識結果は、図示していないがスピーカから音声により運転者に警告をおこなう、あるいは、OSD描画部204を使用してモニタ表示により運転者に知らせるなど運転支援情報をドライバーに提供するために用いられる。
【0028】
メモリ203は、画像を蓄えるためのメモリであり、画像認識部203で1フレーム前の画像を使用したい場合などに画像を蓄えておくことができる。
【0029】
OSD描画部204は、画像にOSDによる表示要素を重畳描画するブロックである。本実施形態では、ハンドルの操舵角の情報を操舵角取得部206より取得し、取得した操舵角の情報に基づいてOSD制御部205で車両の予想軌跡を算出して、算出した予想軌跡をOSD描画部204により描画するものとする。
【0030】
OSD制御部205は、車両の予想軌跡の算出して、OSD描画部205を制御する機能を有する。さらに、カメラ装置10のOSD制御部103と通信をおこなうためのOSD制御部間の通信機能を有しており、OSD描画機能のON/OFFを指示するOSD制御情報と、OSD描画に必要な描画情報を通信する。OSD描画に必要な描画情報とは、本実施形態では、具体的には、車両の操舵角の情報であり、カメラ装置10で車両の予想軌跡のOSDを描画する場合には、OSD制御部205が、この操舵角の情報をカメラ装置10のOSD制御部103に送信することにより、カメラ装置10でも車両の予想軌跡を算出することができる。
【0031】
コンテンツ再生部208は、DVD(Digital Versatile Disc)や、BD(Blu-ray Disc)のコンテンツを再生するディスクドライブであり、あるいは、デジタルTV放送を視聴するテレビなどのブロックであり、車内インフォテーメント(情報を得ることそのものが楽しみとなるような番組・サービス)用途に使用する。
【0032】
画像表示部207は、カーナビゲーションシステムのモニタなどの画像を表示するモニタであり、接続されてあるカメラ装置10から送られてくる画像を表示してもよいし、コンテンツ再生部で再生したコンテンツを表示してもよい。また、画像認識部202により画像認識した結果を表示するようにしてもよい。
【0033】
最後に、バックミラー30の構成を説明する。
【0034】
画像IF301では、カメラ装置10より出力されたインターフェースにより伝送されてくるデータを受信して、カメラ装置10の画像IF104で変換した方式の逆変換をおこない、カーナビゲーション装置20で使用する画像の形式に戻す部分である。画像表示部302は、受信した画像を表示するモニタ部分である。
【0035】
次に、本実施形態のカメラシステムの使用アプリケーションに応じたOSD制御部の制御方法について説明する。
【0036】
本実施形態でのOSD表示は、後方に運転しているときのハンドルの操舵角の情報を基づいて、車両の予想軌跡を計算してカメラが撮像した画像に重畳して表示するものとする。
【0037】
先ず、第一のケースとして、カーナビゲーション装置20の画像表示部207で車両の予想軌跡をOSD表示すると同時に、画像認識部202を用いて衝突検出をおこない、衝突しそうになった場合に、音声により衝突警告をおこなう場合について考える。この場合には、画像認識部202にOSDを重畳した画像を入力すると認識率が低下してしまう可能性が大きいため、OSDを重畳していない画像がカーナビゲーション装置20で必要となる。そこで、カーナビゲーション装置20のOSD制御部205は、カメラ装置10のOSD制御部103と通信をおこない、カメラ装置10のOSD描画部102でOSDの描画をおこなわないようにOSD制御情報をOFFにして、カメラ装置10のOSD描画部102を伝送する。これにより、カメラ装置10では、画像IF104からカーナビゲーション装置20の画像IF104に、画像を伝送するときには、OSDの描画をおこなっていない画像を伝送する。カーナビゲーション装置20では、画像認識部202にOSDを重畳していない画像を入力することにより、画像の認識率の低下を招くことはない。そして、カーナビゲーション装置20側の操舵角取得部206により得た操舵角の情報に基づき、OSD制御部205が、OSD描画部204にてOSDによる予想軌跡を描画することを指示し、画像表示部207で表示することにより、OSD描画をおこなった画像を表示することが可能となる。
【0038】
次に、第二のケースとして、バックミラー30で車両の予想軌跡のOSD付きの画像を表示したい場合について考える。バックミラー30にはOSDの描画機能が付いていないため、カメラ装置10のOSD描画部102を使用する必要がある。そこで、カーナビゲーション装置20のOSD制御部205は、バックミラー30に画像を送るときに、カメラ装置10のOSD描画部102でOSDの描画をおこなうようにOSD制御情報をONにして送り、かつ、描画情報(操舵角取得部206により取得された操舵角の情報)をカメラ装置10のOSD制御部103に送信する。これにより、カメラ装置10のOSD制御部103は、OSD描画部102に対して、受信した描画情報より算出される車両の予想軌跡をカメラ装置で撮像した画像に重畳して、OSD描画をおこなうように指示し、OSD描画をおこなった画像は、バックミラー30に伝送される。これにより、バックミラー30は、車両の予想軌跡を、撮像した画像をOSD描画することができる。
【0039】
次に、第三のケースとして、バックミラー30では、車両の予想軌跡を表示すると共に、カーナビゲーション装置20では、画像認識部202で衝突検出をおこない、かつ、画像表示部207では、コンテンツ再生部208で再生したコンテンツを表示する場合について考える。この場合、画像認識部202へOSD描画をした画像を入力すると認識率が低下してしまう可能性が大きいという問題がある。
【0040】
ところで、映像信号は、一般に、同期信号、輝度信号、色信号よりなるが、画像認識には、輝度信号のみしか使用しないことが多い。これを利用して、カメラ装置10のOSD描画部102では、色差信号のみにOSD情報を重畳することにする。具体的には、カーナビゲーション装置20のOSD制御部205は、描画情報(操舵角の情報)をカメラ装置10のOSD制御部103に送信すると共に、色差信号のみにOSDの表示要素を重畳することを指令する描画情報を伝送する。
【0041】
これを受けて、カメラ装置10のOSD制御部103は、OSD描画部102は、色差信号のみにOSDの表示要素を重畳した画像を生成し、カーナビゲーション装置20とバックミラー30に伝送する。
【0042】
これにより、バックミラー30には、OSD付きの画像を表示することができ、カーナビゲーション装置20では、画像認識部202においては、輝度信号に対して画像認識をおこなうことにより、画像認識の認識率が低下することは無いというように、OSD表示と画像認識の両立が可能となる。
【0043】
以上の実施形態のように、カメラ装置10のOSD制御部103とカーナビゲーション装置20のOSD制御部205が、OSD制御部間での通信をおこない、OSD描画のON/OFFなどの制御情報、さらには、OSDの描画時に必要な描画情報のやり取りをおこなうことにより、アプリケーションに応じて複数あるOSD描画機能を選択して使用することが可能となる。
【0044】
本実施形態では、カーナビゲーション装置20からカメラ装置10側にOSDの制御情報を送ったが、逆に、カメラ装置10側からカーナビゲーション装置20側に、OSDの制御情報を送るようにしてもよい。
【0045】
本実施形態では、ハードウエアのOSD制御部103、OSD制御部105を用いてOSD描画部102、OSD描画部103を制御する例を説明したが、マイコンなどのプロセッサがOSD制御部103、OSD制御部105と同様の処理を行うとしてもよい。
【0046】
本実施形態では、OSD表示する情報として、ハンドルの操舵角の情報から車両の予想軌跡に計算してOSD表示する例を説明したが、画像認識部202により画像認識した結果を警告情報としてOSD表示することにしてもよいし、運転アシスト情報としてOSD表示することにしてもよい。また、カメラ装置10のOSD制御部103とカーナビゲーション装置20のOSD制御部205間の通信は、画像IF104間と画像IF201間で、画像を伝送している伝送路とは、別の伝送路で通信する例で説明したが、例えば、イーサネットなどの双方向に伝送できる伝送路を使用した場合、一つのイーサネットケーブルで、画像情報と、OSD制御情報、OSD描画に必要な情報を通信することにしてもよい。さらに、ハンドルの操舵角の情報をOSD制御部間で通信する例を記載したが、カメラ装置側にも、カメラ装置10の操舵角取得部206と同一の操舵角取得部があり、カメラ装置と受信装置とも同一の操舵角の情報を取得できる場合には、OSDの描画機能のON/OFFの情報のみを通信することにしてもよい。また、本実施形態では、カメラ装置1台と受信装置2台(カメラ装置10、カーナビゲーション装置20)の構成で説明したが、カメラ装置と受信装置の台数を制限する必要は無く、複数台になったとしても、OSD制御部を有するカメラ装置と受信装置と、画像情報と、OSD制御情報、OSD描画に必要な情報を通信することにより、同様の効果が得られる。
【0047】
〔実施形態2〕
以下、本発明に係る第二の実施形態を、図3を用いて説明する。
図3は、本発明の第二の実施形態に係るカメラシステムのブロック構成図である。
【0048】
第一の実施形態では、図2のような予めカメラ装置と受信装置の構成が決められたカメラシステムを前提として説明した。本実施形態は、ユーザが任意に受信装置やカメラ装置を増やした場合にも対応可能なカメラシステムである。例として、カメラ装置と受信装置は、イーサネットで接続し、画像情報と同時にOSD制御情報もイーサネットのフレーム形式を用いて伝送する場合について説明する。
【0049】
本実施形態のカメラシステムは、図3に示されるように、カメラ装置10、カーナビゲーション装置20a、カーナビゲーション装置20b、バックミラー30がイーサネットによるネットワークによって接続された形態である。
【0050】
カメラ装置、カーナビゲーション装置、バックミラーの各装置としての機能は、第一の実施形態と、ほとんど同じなので、異なる所を重点的に説明する。
【0051】
カメラ装置10は、イーサネットIF105、カーナビゲーション装置20a(カーナビゲーション装置20bの構造もカーナビゲーション装置20aと同じ)は、イーサネットIF209、バックミラー30は、イーサネットIF303を有し、イーサネットのフレーム形式で、互いに第一の実施形態で示したような画像情報と、OSD制御情報を伝送する。
【0052】
ネットワークにより任意の装置が接続された形態では、第一の実施形態のように予め接続された装置の構成が既知の場合とは、異なり、装置が新たに追加されるため、決められた装置固定として決められた手順では、システム内の連携をおこなうことできないという問題がある。そこで、以下のような手順によりキャリブレーションをおこなうことでこの問題を解決する。
【0053】
先ず、システムを構成する機器に、マスタとスレーブの設定をおこなえるようにする。ここでは、カーナビゲーション装置20aのOSD制御部205をマスタとする。本例では、カーナビゲーション装置20aのOSD制御部205をマスタとしたが、もちろん、ネットワーク上に接続されたどのOSD制御部をマスタとしてもよい。
【0054】
そして、システム立上げ時に、マスタとしたOSD制御部205から、ネットワークを介して、各装置に対して、OSD機能があるか否かを判別するためのOSD機能問合せ判別用イーサネットフレームを送信する。このOSD機能判別用イーサネットフレームを受信したカメラ装置10、カーナビゲーション装置20b、バックミラー30の各装置から返ってきた返信用イーサネットフレームにより、OSD制御部205は、各装置のOSD機能の有無を判定する。
【0055】
この場合、カメラ装置10、カーナビゲーション装置20bは、OSD機能があるので、OSD制御部205に対して、OSD機能ありの返信用イーサネットフレームを返す。
【0056】
一方、バックミラー30のようなOSD制御部が無い装置の場合は、OSD機能判別用イーサネットフレームを受信してもOSDの描画機能の有無を返信することができない。よって、OSD制御部205は、返信が無かった装置については、OSDの描画機能が無い装置として扱う。
【0057】
次に、OSDの描画機能の有無の情報に基づき、第一の実施形態のように、マスタとしたOSD制御部205から制御情報を送信することにより、アプリケーションに応じて、複数あるOSDの描画機能を選択することが可能となる。
【0058】
例えば、マスタとなるOSD制御部205は、OSD機能問合せ判別用イーサネットフレームの返信結果により、バックミラー30がOSDの描画機能がないことが分かる。それを受けて、OSD制御部205は、バックミラー30がOSDの描画機能がないという情報を、カメラ装置10のOSD制御部103に送信することにより、カメラ装置10のOSD制御部103は、OSDの描画機能が無いバックミラー30で画像を表示する場合に、カメラ装置のOSDの描画機能をONにし、OSDの表示要素を重畳してからバックミラー30に画像を送信することにする。
【0059】
一方、カーナビゲーション装置20bのように、受信側にOSDの描画機能がある場合には、OSD制御部205は、カーナビゲーション装置20bがOSDの描画機能があるという情報を、カメラ装置10のOSD制御部103に送信することにより、カメラ装置10のOSD制御部103は、OSDの描画機能があるカーナビゲーション装置20bで画像を表示する場合に、カメラ装置のOSDの描画機能をOFFにし、OSDの表示要素を重畳せずに、カーナビゲーション装置20bに画像を送信することにする。
【0060】
このように、システム立上げ時に、ネットワークを介して、各装置のOSDの描画機能の有無を確認することで、ユーザが接続装置を増やしたときでも、アプリケーションに応じて、第一の実施形態と同様に、複数あるOSDの描画機能を選択することが可能となる。
【0061】
なお、本実施形態では、ネットワークの例として、イーサネットの例を記載したが、双方向に伝送可能な伝送方式であれば、イーサネットに限る必要はない。
【符号の説明】
【0062】
10…カメラ装置
20…カーナビゲーション装置
20a,20b…カーナビゲーション装置
30…バックミラー
101…撮像部
102…OSD描画部
103…OSD制御部
104…画像IF
105…イーサネットIF
201…画像IF
202…メモリ
203…画像認識部
204…OSD描画部
205…OSD制御部
206…操舵角取得部
207…画像表示部
208…コンテンツ再生部
209…イーサネットIF
301…画像IF
302…画像表示部
303…イーサネットIF

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ装置により撮像した画像を、前記カメラ装置に接続された受信装置で受信して、受信装置側で前記画像を表示するカメラシステムにおいて、
前記カメラ装置は、前記画像にOSD(On Screen Display)による表示要素を描画するOSD描画部と、前記OSD描画部を制御するOSD制御部とを備え、
前記受信装置は、前記画像にOSDによる表示要素を描画するOSD描画部と、前記OSD描画部を制御するOSD制御部とを備え、
前記受信装置の前記OSD制御部は、接続された前記カメラ装置の前記OSD制御部に対して、前記カメラ装置でのOSD制御情報を送信する、または、
前記カメラ装置の前記OSD制御部は、接続された前記受信装置の前記OSD制御部に対して、前記受信装置でのOSD制御情報を送信することを特徴とするカメラシステム。
【請求項2】
前記受信装置と、前記カメラ装置とは、互いにOSD描画に必要な描画情報を伝送することを特徴とする請求項1記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記カメラ装置または前記受信装置でのOSD制御情報は、各々に接続された前記カメラ装置または前記受信装置から送信されてくる画像にOSDによる表示要素を重畳するか否かの制御情報を送信することを特徴とする請求項1記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記カメラ装置または前記受信装置でのOSD制御情報は、各々に接続された前記カメラ装置または前記受信装置から送信されてくる画像の色差信号にOSDによる表示要素を重畳するか否かの制御情報を送信することを特徴とする請求項1記載のカメラシステム。
【請求項5】
一つ以上のカメラ装置により撮像した画像を、前記カメラ装置に接続された一つ以上の受信装置で受信して、受信装置側で前記画像を表示するカメラシステムにおいて、
前記カメラ装置は、前記画像にOSD(On Screen Display)による表示要素を描画するOSD描画部と、前記OSD描画部を制御するOSD制御部とを備えることがあり、
前記受信装置は、前記画像にOSDによる表示要素を描画するOSD描画部と、前記OSD描画部を制御するOSD制御部とを備えることがあり、
カメラシステムの中でマスタとして設定された前記受信装置または前記カメラ装置は、各々に接続されたスレーブとして設定された前記受信装置または前記カメラ装置に対して、OSD描画機能の有無を問い合わせ、マスタとして設定された前記受信装置または前記カメラ装置は、前記OSD描画機能の有無を問い合わせ結果に基づき、スレーブとして設定された前記受信装置または前記カメラ装置に対して、OSD制御情報を送信することを特徴とするカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−31109(P2013−31109A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167221(P2011−167221)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】