説明

カメラ支援を伴うGNSS方法及び受信機

ポータブル・デバイスにおいてナビゲーション情報を計算する方法であって、複数のナビゲーション衛星からナビゲーション信号を受信するよう構成されたGNSS受信機と、ナビゲーション信号からGNSSポジション情報を抽出するGNSSプロセッサとを備える方法。このGNSS受信機は更に、カメラ・モジュールから画像データを取得するよう構成されている。この方法は、カメラ・モジュールからポジション情報のセットを導出することと、カメラによって導出されたポジション情報を、ナビゲーション・プロセッサに提供することと、GNSS受信機のポジション・フィックスを生成するために、カメラによって導出されたポジション情報のセットとナビゲーション信号とを使用することと、生成されたポジション・フィックスに基づいて、ナビゲーション情報を計算することとから成る各ステップを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、汎用コンピュータ、PDAあるいはセル電話のような、別のホスト・システムへと統合されるポータブル信号無線ローカリゼーション受信機に関する。これら別のホスト・システムは、ローカリゼーション処理を助けるために、カメラによって提供されるデータを使用する。
【背景技術】
【0002】
GPS(全地球ポジショニング・システム)、GLONASSあるいはガリレオのような全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)は多くの軌道衛星からブロードキャストされた無線信号の受信に依存しており、これらの信号に含まれる情報を使用して、受信機から受信衛星の各々までの距離、あるいは範囲を判定する。これらの衛星の軌道が既知となると、GPS受信機の絶対的な時間及び位置が幾何学的に判定されうる。
【0003】
GNSS無線ローカリゼーション・システムに対抗して、速度方向及び速度を導出することを可能にする埋込センサー情報に基づいて独立型形式でポジショニング情報を提供するために、慣性ナビゲーション・システム(INS)が発展された。INSシステムは一般に、加速度計及びジャイロスコープのような専用慣性測定ユニット(IMU)を含む。通常、INSシステムはより信頼性のあるポジショニング情報を提供しうるが、多くの処理電力を必要とし、かなり高価でもある。
【0004】
以下の説明は、主としてGNSSシステムとしてのGPS全地球ポジショニング・システムに関する。しかし、本発明はこの特定のシステムに限定されず、例えば、GLONASSシステムあるいはガリレオ・システムのような、同じ原理に基づく無線ローカリゼーション・システムのための受信機においても使用されうるし、本発明を適用できる更なるその他の無線ローカリゼーション・システムへ拡張されうる。
【0005】
オリジナルのGPS無線ローカリゼーション・システムの場合において、空間ビークルあるいはSVとも称される動作中のGPS衛星の各々は、2つの搬送波周波数でナビゲーション無線信号を発信している。この2つの搬送波周波数は、“L1”及び“L2”として示され、それぞれが1572.42MHz及び1227.60MHzに定められているこのL1及びL2搬送波は、C/A(粗捕捉)符号及びP(Y)符号と呼ばれる2つのディジタル測距符号シーケンスによって変調される。後者の符号は主として、米国の政府及び軍以外には公開されていない。
【0006】
商業用GPS受信機によって使用されるC/A符号は、L1搬送波において、及びL2搬送波において変調される。各GPS衛星に独特であるC/A符号は、1.023MHzの遷移レートを持ち、1023ビットの反復を備える擬似ランダム・ゴールド符号、あるいは「チップ」を備え、PRNと省略して示されることが多い。このように、このC/A符号はミリ秒毎に反復する。測距符号シーケンスは、一般的に正確な時間である「GPS時間」と同期される。「GPS時間」は、各衛星のボード上の正確な時間によって保たれ、マスター時計に合わせて同期される。C/A符号を用いたPSK変調による効果は、1MHz帯域幅にわたって変調信号のスペクトルを拡散することである。
【0007】
L1及びL2搬送波は、更に50bpsのナビゲーション・メッセージ、すなわちNAV符号、を搬送する。ナビゲーション・メッセージは、時間、クロック補正、及び大気データに応じたGPS衛星の座標をその他の情報とともに含む。NAVメッセージは、NAVビットが1の場合はいつでも、C/A符号の論理値の逆数をとることによって符号化され、その他は変わらないままにしておく。
【0008】
これらの符号を捕捉し、ポジション・フィックスを実行するために、GPS受信機は、各受信衛星のために、1.023MHzに近い周波数で動作する局所的なNCOに対して調整されたC/A符号の局所的なレプリカ、すなわちPRN符号、を生成する。この符号はその後、相関値のピークが、受信機と衛星との間の距離に左右される時間シフトの特定の値のために入手されるまで、雑音レベル次第でより長いあるいは短い時間の間に、時間偏移され、受信機の相関エンジンにおける受信信号と相関付けられ、統合される。
【0009】
最適な相関付けを達成するのに必要とされる時間シフト量、すなわち擬似範囲は、衛星とGPS受信機との間の距離を示すものである。通常、GPSの内部クロックは、GPS衛星クロックに関する大きな誤差によって影響を受ける。この誤差を解決するために、GPS受信機は、3つの空間座標x,y,z及び時間tを備えるポジション・フィックスを提供するために、少なくとも4つの衛星を捕捉しなければならない。
【0010】
GPS受信機が位相オフセットにおける十分な数の衛星信号をローカライズしようと努めている位相、すなわちそれらのポジションに関する知識をほとんど持たない、あるいは全く持たないドップラーシフト空間は、通常「捕捉」状態と呼ばれる。ピークが発見されると、それらのドップラー周波数及び位相オフセットが、空間ビークル及び受信機の動きにより、コンスタントに変化する。「トラッキング」状態において、有効なポジション・フィックスを提供するために、システムは相関ピークのドリフトに従わなければならない。
【0011】
GPS及びその他のGNSSシステムで生じる1つの問題は、空の視界が遮られる、特に建物内である場合は必ず、信号強度が更に減じられ、微弱になりすぎるということである。この信号強度は通常、地表上のGPS信号のノミナルな信号強度である−130mBmWである。到達されたレベルは、雑音フロアをはるかに下回る。故に、信号は統計的技術の使用によってのみ受信されうるために、更なる処理電力を必要とする。都市の谷間としても知られる、GPS信号受信の質が悪いために信号対雑音比(SNR)が高すぎる地域では、GPS信号は喪失されうる。
【0012】
この問題を克服するために、GPS信号が一時的に利用不可能になることに対処するために、シームレス・ナビゲーション・システムが提案されている。
【0013】
国際特許出願WO2004/070は、緊密なGPS/INS統合に基づいたナビゲーションによる解決策を開示している。このGPS/INS統合では、関連センサー・システム(例えば慣性測定ユニット、すなわちIMU)からのデータ、及び共有のクロック・ユニットによって予め同期されているGPSからのデータを、カルマン・フィルタが処理する。この解決策は実際に、より優れたナビゲーションの正確性及びレジリエンシー(resiliency)を提供するが、その一方で、同期のためにかなりのハードウェア・オーバヘッドを内在的に包含し、著しい処理電力を必要とする。故に、この解決策は、制限された処理電力及びスペースしか持たない小さなポータブル・デバイスには適切でない。
【0014】
米国特許出願US6876945は、INS/GPS統合システムの別例を提供している。ここでは、慣性測定ユニット(IMU)と超音波ドップラー速度測定センサー(UVM)との結合は、GPS信号が利用不可能な場合に、向上したシームレス・ナビゲーション能力を提供する。UVMは、統合されたナビゲーション・システムの正確性レベルを維持するために、GPS信号妨害の間IMUを支援するためのものでる。この解決策は、GPS支援のためのバックアップ・データ・サプライヤとして、未だいずれの視覚手段をも使用していない。
【0015】
よって、効率の観点から前述の従来技術の問題を克服する、視覚手段を使用したナビゲーション・システム及び方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0016】
本発明の目的は、利用可能なリソースを最大限に利用するナビゲーション方法及びシステムのための、より優れたレジリエンシーを提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、カメラから導出されたポジション・データを使用するナビゲーション方法及びシステムを提供することである。
【0018】
本発明によると、これらの目的は、ポータブル・デバイスにおいてナビゲーション情報を計算する方法によって達成される。このポータブル・デバイスは、複数のナビゲーション衛星からナビゲーション信号を受信するよう構成されたGNSS受信機と、前述のナビゲーション信号からGNSSポジション情報を抽出するGNSSプロセッサとを備える。このGNSS受信機は更に、カメラ・モジュールから画像データを入手するよう構成されている。この方法は、
カメラ・モジュールからポジション情報のセットを導出することと、カメラによって導出されたポジション情報を、ナビゲーション・プロセッサに提供することと、GNSS受信機のポジション・フィックスを生成するために、前述のカメラによって導出されたポジション情報のセットと前述のナビゲーション信号とを使用することと、前述の生成されたポジション・フィックスに基づいて、ナビゲーション情報を計算することとから成る各ステップを備える。
【0019】
これらの目的は、カメラによって支援されるGNSSナビゲーションのためのデバイスによっても達成されうる。このデバイスは、ナビゲーション・ソフトウェアによって使用されるナビゲーション・バックアップ・モジュールに、インタフェースを通して接続されているカメラ・モジュール及びGNSSモジュールを備える。
【0020】
本発明に従うデバイス及び方法は、GPS信号が、微弱あるいは利用不可能である場合に、処理電力の観点において制限された要件を伴って、バックアップ・ポジション情報サプライヤと共に提供されるシームレス・ナビゲーション・システムを提供する。これらは容易に統合されうるし、新世代モバイル電話のような、カメラと共に提供される既存のポータブル・デバイスにおいて使用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明は、例として与えられ図によって例示される実施形態の説明の助けを借りて、より理解されるだろう。
【図1】図1は、本発明に従うGNSS、カメラ、及び補足的なナビゲーション・モジュールを備えるシステムの論理図を示している。
【図2】図2は、本発明に従う標準的なナビゲーション及びカメラによって支援されるナビゲーションの諸段階を伴う状態図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、ナビゲーション・システム及びそれに関連するナビゲーション方法に関する。このナビゲーション方法は、ポータブル・デバイス、あるいは図1で説明されるようなホスト・システム101上で動作する。ホスト・システム101は、GNSS受信機104、望ましくは、衛星によって送られるナビゲーション信号112を受信するRFフロント・エンド106と、GNSSプロセッサ105とを統合したGPS受信機104を含む。GNSS受信機104は、PDA(情報携帯端末)やセルラ電話内のモジュールでありうる。しかし、例えばGPS PCカードのような適切なバスを使用して、ホスト・デバイス101へと接続されうるプラグ可能なモジュールから成りうる。
【0023】
図1において例示される好適な実施形態によると、「GPS受信機」104は、通信インタフェース107を通してホスト・システムのカメラ・モジュール102へと結合される。カメラ・モジュール102は、レンズ113を伴って示され、更に、例えばCCD画像センサーあるいはCMOS画像センサーのようなセンサー103を含む。
【0024】
インタフェース107は、カメラ・モジュール102とGNSS受信機モジュール104との間の接続のためだけでなく、モジュール102、104の両方を、いわゆるナビゲーション・バックアップ・モジュール111に接続することもする。本発明に従うナビゲーション・バックアップ・モジュール111は、標準的な衛星ナビゲーション信号112が適切かつ信頼できるポジショニングを提供し損ねた場合に、それらを除くその他のローカリゼーション入力のソースによってナビゲーション・ソフトウェア110のナビゲーション処理を支援するモジュールである。このナビゲーション・バックアップ・モジュールは望ましくは、例えば、衛星信号の信号強度をモニタする、センサー・マネージャ・ユニット108と、更にセンサー・データ出力を処理しポジション情報を導出するマッピング・モジュール109とを含む。
【0025】
本発明によると、衛星信号112とは別に使用される入力のソースは、カメラ・モジュール103によって提供される画像データである。GNSS受信機104を含むポータブル・デバイス101が現在動いているか静止しているかを知るために、画像データ出力が優先的に処理される。ポジション情報のセットは例えば、カメラ・モジュールによって記録された画像のシーケンスから導出されうる。これによって、その後、これらの画像のシーケンスに基づいて、移動速度を推定することが可能となる。ポジショニング情報を導出するこのステップが、いわゆるマッピング・モジュール109によって実行されうるが、画像データ処理アルゴリズムが動作する物理的な位置の制約はないため、このアルゴリズムが、カメラ・モジュール102に埋め込まれたハードウェア上で動作することも考えられる。これは、マッピング・モジュール109がこの場合、カメラ・モジュール内に物理的に含まれていることを意味している。よって、図1に例示された実施形態は、ハードウェア実装の観点から限定的であると考えられるべきではなく、その目的は主に、機能とモジュールとの間の論理区分を示すことである。
【0026】
画像出力からポジション情報を導出するための別のオプションはまた、ランドマークの特徴を利用することである。例えば、必要とされた特徴を抽出する画像処理アルゴリズムのおかげでランドマークが画像上に認識されると、この特徴が正確な位置あるいは地理的座標に既に関連付けられていれば、例えば、このランドマークは、予め認識され、GPSによって判定されたポジション・フィックスに関連付けられているので、抽出されたランドマークの特徴によって正確なポジションを検索することが可能になる。この場合、ポジション情報を導出するステップは単純に、デバイス101のメモリ内に、あるいは直接カメラ・モジュール102内に格納された既知の位置のセットを用いて、抽出された特徴をマッピングすることから成る。効率化のために、ポジション座標を用いてランドマークをマッピングするステップはオフラインで行われる。
【0027】
ランドマークの特徴の認識は、恐らくは、GPS受信機104の電源が入れられた場合にのみ実行されうる。それに対して、電力節約のためにGPS受信機104の電源が切られている間、ランドマークの特徴は、カメラによって撮られた画像内に含まれている。
【0028】
移動速度、方向のようなポジション情報のセットを導出するステップは、ジャイロスコープ及び加速器あるいは任意の慣性測定ユニットのためのものと似た種類の支援を提供することである。提案された支援による解決策は、慣性センサーによって提供される精度には及ばない。しかし、特に受信機をホストしているデバイスが、多くの場合そうであるように既に画像センサーを含んでいる場合、この解決策は既存のリソースを有効に使用するため追加のハードウェアを必要としない。画像に基づく支援は、機能的にも使用し易い。必要条件は、カメラをホストするデバイス101がポケット、すなわち画像スナップショットを撮れない場所に位置していないということのみである。
【0029】
カメラ・モジュール102から導出されたポジション情報のセットは、ナビゲーション・プロセッサへと供給される。このナビゲーション・プロセッサは、GNSS受信機104のGNSSプロセッサ105、例えばDSP、でありうるが、必ずしもそうである必要ではない。様々な実施形態において、これは例えばカメラ及びGNSSモジュール102、104の両方と共通バスを通して接続されているホスト・システム101のプロセッサでありうる。このナビゲーション・プロセッサは、GNSS受信機104のポジション・フィックス及び位置座標を計算するために、カメラによって導出された情報のセット及びナビゲーション信号112の両方を使用する。ローカリゼーション処理のために使用される利用可能な情報の2つのセットは、情報の冗長を提供する。この情報の冗長は、例えば、GNSSナビゲーション信号112が断続的にしか利用できない場合に、システムの信頼性とレジリエンシーを強化するために、最大限のフレキシビリティを与える。このように、カメラによって導出されたポジション情報のセットは、バックアップとして及び補助としての両方に使用されうる。
【0030】
図2は、本発明に従う方法の好適な実施形態を例示した状態図を、レジリエンシーを強調して示している。ナビゲーションが開始されると(ステップ201)、GNSS受信機104が信号取得モードに入る(ステップ202)。このステップの間、例えば前述されたランドマークを使用する独立型モードにおいて、カメラは校正される(ステップ203)。衛星ナビゲーション信号112から導出された衛星ベースのポジション情報に基づいて、校正ステップ203を実行することもありうる。GNSS受信機104とカメラ・モジュール102との結合206によって、計算されたGNSSベースのポジション・フィックスを考慮してカメラによって導出された情報を処理し、必要なマッピングと調整を実行することが可能になる。
【0031】
校正に対する結合206のパターンは、ポジション座標がこの段階の間に別々に計算されるという意味において、好ましくは疎である。図2に例示された好適な実施形態によると、GNSSのローカリゼーション情報のセットは、カメラによって導出された情報より優先される。よって、カメラによるナビゲーション支援がパッシブ・モードにあるということを示すために、校正ステップ203が破線で示されている。しかしながら、カメラ・モジュール102及びGNSS受信機が密なパターンに従って結合されており、モジュール102、104のうちのいずれかによって提供される最も正確かつ信頼できる情報に従ってローカリゼーション・ポジション・フィックスを選択的に調節する際、結果の精度を高めるために相互の校正を実行しうる、ということも考えられうる。故に、画像ベースの支援は、衛星信号から導出されたポジションをクロスチェックするために使用されうる。
【0032】
図2の図解によると、ローカリゼーション処理がGNSS信号のみを使用して(ステップ202)実行されるモード210において、ナビゲーション処理が開始する。ステップ204は、ナビゲーション・プロセッサにおける、カメラによって導出されたポジション情報の使用の選択的なアクティベーションに対応している。このアクティベーションは、前述の複数のナビゲーション衛星からのナビゲーション信号112の受信が不十分、あるいは存在しない場合になされる。これによって、例えばSNR比の特定のレベルのようなしきい値が前もって決定される。アクティベーションは、例えば、ナビゲーション・モード(ステップ207)において切換を実行するセンサー管理モジュール108によって引き起こされ、段階211を開始しうる。段階211では、カメラによって導出されたポジション情報が、ナビゲーション・プロセッサによって積極的に使用される。
【0033】
このモード211において、カメラによって支援されるナビゲーションは、利用可能な衛星信号112がもう存在しない場合、デッド・レコニング・モード(例示されず)に入る。しかし、デッド・レコニング・モードは、均一に保たれる必要があるGNSS受信機104の動きの一貫性に基づいて、アクノレッジされる必要がある。カメラ・モジュール102からポジショニング情報のセットを導出するステップ205は、このようにデッド・レコニング・モードのためのスリーピング・モード・ループを伴う電力管理機能を備える。カメラ・モジュール102は、速度あるいは方向における変化が検出されない限り、スリーピング・モードに留まる。例えばセンサー管理モジュール108によるアクティベーションは、GNSS受信機104の経路をたどりながらポジション情報を導出するために、例えばマッピング・モジュール109からの、更なる処理を必要とする。通行人による動きの場合において、あるいは信号受信が一般的に屋外より困難である屋内での使用に対して、本発明に従うデッド・レコニング・バックアップ・ナビゲーション機能はとても便利でありうる。次の段落において説明されるような新しい信号取得段階を再開させる場合において、カメラ・モジュール102が、例えば1つの部屋の同じ環境であると認識した場合に、ポジションは変わっていない、と表示することは、GNSSナビゲーション処理を助ける有用な情報の一部である。
【0034】
カメラによって支援されるモードは、例えば、十分な数の衛星信号が取得され、確実にトラッキングされている場合にディアクティベートされうる。切換復帰する前のチェッキング・ステップが、衛星信号112の品質トラッキングに基づいて、以前使用された選択的アクティベーション・ステップ204と同じように例示されている。ナビゲーション・モードがGNSS標準モードへと切換復帰された(ステップ208)後、衛星ナビゲーション信号112のみが使用される別の段階210’が開始する。この新しい段階210’のために、カメラによって導出されたポジション情報のセットに基づいて、カメラによって支援される段階211が衛星信号112の新しい取得(ステップ202’)のためのサーチ空間を制限することを可能にし、よって、そのために必要とされる取得時間及び処理電力の両方を短縮するサーチ処理における支援を提供する。デッド・レコニング・ステップ、あるいは単純にカメラによって支援されるステップの後に、取得時間に関するこの利得は重要視される。しかし、この種の支援が、ナビゲーション処理の開始201すぐからでも提供されうるということ、更に具体的に言えば、必ずしもモード・スイッチ207,208の後である必要はないということが、正しく理解されるだろう。
【0035】
カメラ支援が積極的に使用される、されないに関わらず、矢印210、210’、211は、ナビゲーション・モードの時間シーケンスに対応し、フィードバック・ループは各段階におけるロッキングをそれぞれ示している、ということも正しく理解されるだろう。
【0036】
開示された方法及びナビゲーション・システムは、GPS受信機を装備する新世代モバイル電話のように、カメラが備えられた一般的な任意のポータブル・デバイスとの容易な統合が意図されている。ハードウェア実装のために例示された例は、依然として、構造選択の観点から限定的だと考えられるべきではない。当業者は、インタフェース107、モジュール108、109及びプロセッサ105が、サポートされた規格及び通信プロトコルのみならず回路構成選択の観点からいかなる限定をも伴って解釈されるべきではないということを容易に理解するだろう。モジュールのほとんどがハードウェア・ベースよりもむしろソフトウェア・ベースでナビゲーション方法を実行することが必要とされる解決策が考え出されるということも考えられるので、ナビゲーション・ソフトウェアとのコラボレーションは容易になされる。
【0037】
特に、GNSS受信機104のポジション・フィックスの生成及びナビゲーション情報の計算を含む、カメラによって支援されるナビゲーション処理に含まれる任意のステップ、及び本明細書において先に述べられた任意のステップと同様に、開始することによってカメラ・モジュール102からポジション情報を導出するステップ205を実行するソフトウェア・モジュールを提供することが有利だろう。このようなモジュールは、例えば、GPSモジュールと共に送られるナビゲーション・ソフトウェア111用のアドオンとして、供給される。
【0038】
本発明は、前述の例に限定されず、添付の特許請求の範囲内でいくつかの変形例及び実施形態を可能にする。例えば、白線のポジションを認識することによってレーンの変更を検出するような、例えば、道路パターンの認識から動きを検出するために、カメラが使用される。本発明は、単一カメラの場合あるいは単一レンズ画像システムの場合の、いずれにも限定されない。本発明における方法は、ステレオ画像システムが使用される場合も含んでいる。
【0039】
本発明の別の変形例によると、カメラ・モジュールから導出されたポジション情報は、画像の形成を必要としない。例えば運転中、カメラは周囲の明かりの突然の変化を検出し、車両がトンネルに入った、あるいはトンネルから出たと推定しうる。カメラによって導出されたポジション情報は、ポジション・フィックスを向上するために、あるいはナビゲーション情報を計算するために使用されうる。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブル・デバイス(101)においてナビゲーション情報を計算する方法であって、前記デバイス(101)が、GNSS受信機(104)を備え、前記GNSS受信機(104)は、複数のナビゲーション衛星からナビゲーション信号(112)を受信するよう構成され、前記ナビゲーション信号(112)からGNSSポジション情報を抽出するためにGNSSプロセッサ(105)を備え、前記GNSS受信機(104)はカメラ・モジュール(102)からデータを取得するよう更に構成されており、前記方法は、
前記カメラ・モジュール(102)からポジション情報のセットを導出すること(205)と、
前記カメラ・モジュールによって導出されたポジション情報を、ナビゲーション・プロセッサに提供することと、
前記GNSS受信機(104)のポジション・フィックスを生成するために、前記カメラ・モジュールによって導出されたポジション情報のセットと前記ナビゲーション信号とを使用することと、
前記生成されたポジション・フィックスに基づいて、ナビゲーション情報を計算することと
から成る各ステップを備える方法。
【請求項2】
前記カメラ・モジュールによって導出されたポジション情報のセットは、前記カメラ・モジュール(102)によって記録された画像のシーケンスから入手され、前記画像のシーケンスから前記GNSS受信機の動きを推定するステップを備えている請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カメラ・モジュールによって導出されたポジション情報のセットの前記GNSS受信機(104)の均一な動きとの一貫性に基づいて、デッド・レコニング・ポジション推定モードがアクノレッジされる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記カメラ・モジュールによって導出されたポジション情報に基づいて、前記複数のナビゲーション衛星から受信されたナビゲーション信号(112)の取得のためのサーチ空間を制限するステップを更に備える請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のナビゲーション衛星からのナビゲーション信号(112)の受信が不十分あるいは存在しない場合に、前記ナビゲーション・プロセッサ内の、前記カメラ・モジュールによって導出されたポジション情報のセットが選択的にアクティベートされる(204)請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記カメラ・モジュール(102)からの画像データにおけるランドマークの特徴を認識するステップを更に備え、前記カメラ・モジュール(102)からポジション情報のセットを導出するステップ(205)が、前記ランドマークの特徴の既知のポジションを検索することにおいてなされる請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ランドマークの特徴を認識するステップが、前記GNSS受信機(104)の電源が入っている場合にのみ実行され、前記GNSS受信機の電源が切られている間、前記ランドマークの特徴は前記カメラ・モジュール(102)によって以前に撮られた画像内に含まれている請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記カメラ・モジュールからポジション情報のセットを導出するステップ(205)が、電力管理機能を含む請求項1乃至7のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記カメラ・モジュールによって導出されたポジション情報を校正するステップ(203)を更に備える請求項1乃至8のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記校正するステップが、前記複数のナビゲーション衛星から受信されたナビゲーション信号(112)から導出された衛星ベースのポジション情報に結合すること(206)によって実行される請求項10に記載の方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のうち何れか1項に記載のステップを実行するためのコンピュータ・プログラム製品。
【請求項12】
請求項1乃至10のうち何れか1項に記載のステップを実行するナビゲーション・ソフトウェア(110)によって使用されるナビゲーション・バックアップ・モジュール(111)に、インタフェース(107)を通して接続されたカメラ・モジュール(102)及びGNSSモジュール(104)を備える、カメラによって支援されるGNSSナビゲーションのためのデバイス。
【請求項13】
前記ナビゲーション・バックアップ・モジュール(111)が、前記カメラ・モジュール(102)及び前記GNSS受信機(104)のセンサー(103,106)を管理するためのセンサー管理モジュール(108)を更に備える請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ナビゲーション・プロセッサが、前記GNSSプロセッサ(105)である請求項12又は請求項13に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−508190(P2011−508190A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537452(P2010−537452)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067342
【国際公開番号】WO2009/074654
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】