説明

カラーフィルター用着色液

【課題】分散性や安定性に優れたカラーフィルター用着色液とカラーフィルター用組成物が求められている。また、少ない製造工程で得られ、耐熱性、堅牢性が優れたカラーフィルターが求められている。また、このようなカラーフィルターに適した硬化膜が得られる、カラーフィルター用組成物が求められている。
【解決手段】式(1)で表される構造を有する化合物(g1)を含む溶媒(G)、および、顔料(B)を含有する、カラーフィルター用着色液。


(式(1)中、R1は炭素数2〜20のアルキレンであり、R2は炭素数1〜10のアルキルまたはアセチルであり、nは1〜20の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター用着色液、カラーフィルター用組成物、当該組成物を用いて作成されたカラーフィルター、カラーフィルターを用いた液晶表示素子および固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示素子などのカラーフィルターの形成法は、フォトリソグラフィー法、印刷法およびインクジェット法などがある。現在はフォトリソグラフィー法が主流になっているが、最近では表示素子の大画面化に伴い、製造工程が少なく、低コストの面からインクジェット法が注目を集めている。
【0003】
しかしながら、顔料とポリマーを配合した組成物をインクジェット法によりカラーフィルターを形成する場合、ジェッティング時の液柱の精度が低く、サテライトが発生し、意図した画素にジェッティングすることが難しく、赤色、緑色、青色が混ざり合う欠点を有していた。サテライトとは、インクジェットヘッドのノズルから吐出されるインク滴で、主インク滴から分離したインク滴である。
【0004】
またカラーフィルターは、カラー液晶表示素子の製造工程において、たとえばITOスパッタリング工程や配向膜形成工程において、有機溶剤、酸、アルカリ溶液などの種々の薬品処理や、表面が局部的に高温に加熱されるために、劣化、損傷、変質が起こることがある。これに対して、耐薬品性や耐熱性を向上させることを目的に、アクリルアミド系重合体を配合したインクジェット用インクが開発されている(たとえば、特開平8−171010号公報(特許文献1)を参照)。その他の手法としては、カラーフィルターの保護膜材料としてシリコン含有ポリアミド酸組成物を用いる技術が開発されている(たとえば、特開平9−291150号公報(特許文献2)を参照)。
【0005】
最近、カラー液晶表示素子の大型化に伴い、各製造工程においての耐薬品性や耐熱性への要求が厳しく、更なる改良が求められている。しかしながら、上記アクリル樹脂は200℃以上の高温にさらされると樹脂が分解しはじめる欠点を有していた。また、上記保護膜による手法は、保護膜を形成する必要がある分、製造工程数が増加し、コスト高が懸念されている。
【特許文献1】特開平8−171010号公報
【特許文献2】特開平9−291150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記状況の下、分散性や安定性に優れたカラーフィルター用着色液とカラーフィルター用組成物が求められている。
また、少ない製造工程で得られ、耐熱性、堅牢性が優れたカラーフィルターが求められている。また、このようなカラーフィルターに適した硬化膜が得られる、カラーフィルター用組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の構造を有する化合物を溶媒として含む組成物が、カラーフィルター用組成物として優れていることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、以下のような組成物などを提供する。
【0008】
[1] 式(1)で表される化合物(g1)を含む溶媒(G)、および、顔料(B)を含有する、カラーフィルター用着色液。
【化5】

(式(1)中、R1は炭素数2〜20のアルキレンであり、R2は炭素数1〜10のアルキルまたは式(10)で表される基であり、nは1〜20の整数である。また、式(10)中、R3は炭素数1〜5のアルキルである。)
[2] 化合物(g1)が式(2)または式(3)で表される化合物である、[1]に記載のカラーフィルター用着色液。

【化6】

(式(2)および式(3)中、nはそれぞれ独立して1〜20の整数である。)
[3] 化合物(g1)が式(4)または式(5)で表される化合物である、[1]に記載のカラーフィルター用着色液。
【化7】

【0009】
[4] 溶媒(G)の沸点が180℃以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載のカラーフィルター用着色液。
[5] さらに、重合性二重結合を有する化合物(D)と、光重合開始剤(E)とを含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載のカラーフィルター用着色液。
[6] 式(11)で表される構成単位と式(12)で表される構成単位とを有する化合物であるポリエステルアミド酸(A)、および、[1]〜[5]のいずれかに記載のカラーフィルター用着色液を含有するカラーフィルター用組成物。
【化8】

(式(11)および式(12)中、R11〜R13はそれぞれ独立して炭素数2〜100の有機基である。)

[7] ポリエステルアミド酸(A)が、少なくともテトラカルボン酸二無水物(a1)、ジアミン(a2)および多価ヒドロキシ化合物(a3)を反応させることにより得られた化合物である、[6]に記載のカラーフィルター用組成物。
[8] ポリエステルアミド酸(A)が、さらに1価アルコール(a4)を反応させることにより得られる反応生成物である、[7]に記載のカラーフィルター用組成物。
[9] ポリエステルアミド酸(A)が、さらにスチレン−無水マレイン酸共重合体(a5)とシリコン含有モノアミン(a6)とからなる群から選択される1以上を反応させることにより得られる反応生成物である、[7]または[8]に記載のカラーフィルター用組成物。
[10] ポリエステルアミド酸(A)が、Xモルのテトラカルボン酸二無水物(a1)、Yモルのジアミン(a2)およびZモルの多価ヒドロキシ化合物(a3)を、数式(1)および数式(2)の関係が成立する比率で反応させて得られる、[7]〜[9]のいずれかに記載のカラーフィルター用組成物。
0.2≦Z/Y≦8.0・・・・・・・・・(1)
0.2≦(Y+Z)/X≦1.5・・・・・(2)
【0010】
[11] さらに、エポキシ樹脂(C)を含有する、[6]〜[10]のいずれかに記載のカラーフィルター用組成物。
[12] エポキシ樹脂(C)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、およびエポキシ基を有するモノマーとN−置換マレイミド化合物との共重合体からなる群から選択される1種以上の化合物である、[11]に記載のカラーフィルター用組成物。
[13] エポキシ樹脂(C)が、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンと1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノールとの混合物、および2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンからなる群から選択される1種以上の化合物である、[11]に記載のカラーフィルター用組成物。
【0011】
[14] インクジェットインク組成物である、[6]〜[13]のいずれかに記載のカラーフィルター用組成物。
[15] [6]〜[14]のいずれかに記載のカラーフィルター用組成物を用いて作製されたカラーフィルター。
[16] [15]に記載のカラーフィルターを用いた液晶表示素子。
[17] [15]に記載のカラーフィルターを用いた固体撮像素子。
【発明の効果】
【0012】
本発明の好ましい態様のカラーフィルター用着色液とカラーフィルター用組成物は分散性や安定性に優れている。また、本発明の好ましい態様のカラーフィルター用組成物は、インクジェットインク組成物として用いることができ、該インクジェットインク組成物は、インクジェット適性を満足する。
本発明の好ましい態様のカラーフィルター用組成物を硬化して得られるカラーフィルターは、コントラストが高い。また本発明の好ましい態様のカラーフィルターは堅牢性に優れ、耐薬品性、耐熱性が高い。
本発明の好ましい態様のカラーフィルター用組成物をインクジェットインク組成物として用いることで、アウトガスを少なくして、液晶組成物への影響を低減させることができ、信頼性の高いカラー液晶表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
1 カラーフィルター用着色液とカラーフィルター用組成物
本発明のカラーフィルター用着色液は、カラーフィルター用組成物に用いられる着色された液体であり、式(1)で表される構造を有する化合物(g1)を含む溶媒(G)および顔料(B)を含有していれば特に限定されるものではない。本発明の好ましい態様のカラーフィルター用着色液は、均一なカラーフィルターを形成するという観点から、顔料(B)がコロイドまたは平均粒径10μm以下の粒子、または粒子の凝集体として溶媒(G)に分散している液体である。
本発明のカラーフィルター用着色液における、顔料(B)の分散度は特に限定されないが、均一なカラーフィルタを形成するという観点から、平均粒径が1μm以下の粒子が凝集せずに均一に分散している着色液が好ましい。
そして、本発明のカラーフィルター用組成物は、少なくとも本発明のカラーフィルター用着色液とポリエステルアミド酸(A)を含む組成物である。本発明のカラーフィルター用組成物は、さらに重合性二重結合を有する化合物(D)、光重合開始剤(E)、エポキシ樹脂(C)等を任意に含んでもよい。
【0014】
本発明のカラーフィルター用組成物の粘度適性範囲は特に限定されないが、25℃における粘度適性範囲は、好ましくは3〜200mPa・sであり、より好ましくは5〜100mPa・sであり、さらに好ましくは7〜50mPa・sである。
また、本発明のカラーフィルター用組成物をインクジェット組成物として用いる場合には、そのインクジェット吐出温度において、好ましくは5〜40mPa・sであり、より好ましくは7〜30mPa・sであり、さらに好ましくは10〜20mPa・sである。
【0015】
1.1 溶媒(G)
本発明のカラーフィルター用着色液に含まれる溶媒(G)は式(1)で表される構造を有する化合物(g1)を含む。
ここで、式(1)中、R1は炭素数2〜20のアルキレンであるが、これらの中でも、R1は、炭素数2〜5のアルキレンが好ましい。式(1)中、R2は炭素数1〜10のアルキルまたは式(10)で表される基であるが、これらの中でも、R2は炭素数1〜5のアルキルまたはアセチルが好ましい。式(1)中、nは1〜20の整数であるが、これらの中でも、nは1〜5が好ましい。
【0016】
化合物(g1)は、式(2)または(3)で表される構造を有することが好ましい。
ここで、式(2)および(3)中、nは1〜20の整数であるが、これらの中でも、nは1〜5が好ましく、1であることが最も好ましい。
【0017】
また、溶媒(G)は化合物(g1)を含めば特に限定されない。したがって、溶媒(G)は単独でも、2種以上の混合物でもよい。また、本発明のカラーフィルター用組成物をインクジェットインク組成物として使用する場合、当該組成物によるノズルの詰まりを生じにくくするために、溶媒(G)は180℃以上の沸点を有することが好ましく、180℃〜250℃の沸点を有することがさらに好ましい。
【0018】
本発明のカラーフィルター用着色液の固形分は、当該組成物を硬化して得られるカラーフィルターの膜厚により選択することになるが、該カラーフィルター用組成物100重量部中に、好ましくは5〜50重量部(溶剤は95〜50重量部)、より好ましくは10〜40重量部(溶剤は95〜60重量部)、さらに好ましくは15〜35重量部(溶剤は95〜65重量部)で含まれる。
【0019】
1.2 顔料(B)
本発明のカラーフィルター用着色液に含まれる顔料(B)は、有機顔料または無機顔料から選ばれるが、カラーフィルターには、高い色純度、耐薬品性、耐熱性が求められることから、色純度、耐薬品性、耐熱性が優れる有機顔料が好ましい。
【0020】
顔料(B)に用いられる有機顔料としては、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントブラック1、またはC.I.ピグメントブラック7などのカラーインデックス番号が付けられているものを挙げることができる。
【0021】
顔料(B)に用いられる無機顔料としては、酸化チタン、チタンブラック、カーボンブラックなどが含まれる。これらの無機顔料および有機顔料は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0022】
1.3 ポリエステルアミド酸(A)
本発明のカラーフィルター用組成物に含まれるポリエステルアミド酸(A)は、式(11)で表される構成単位と式(12)で表される構成単位とを有すれば特に限定されるものではない。
ここで、式(11)と(12)中のR11はそれぞれ独立して4価の有機基であり、式(11)中のR12と式(12)中のR13はそれぞれ独立して2価の有機基である。
【0023】
本明細書中、「有機基」とは特に限定されるものではないが、たとえば、置換基を有していてもよい炭素数1〜100の炭化水素が挙げられ、好ましくは炭素数1〜100の炭化水素が挙げられる。
【0024】
本明細書において、「炭素数1〜20の炭化水素」の炭化水素は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。炭素数2〜20の炭化水素が非環式の場合には、直鎖状でもよいし、枝分かれでもよい。「炭素数1〜20の炭化水素」には、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数2〜20のアルキニル、炭素数4〜20のアルキルジエニル、炭素数6〜18のアリール、炭素数7〜20のアルキルアリール、炭素数7〜20のアリールアルキル、炭素数4〜20のシクロアルキル、炭素数4〜20のシクロアルケニルなどが含まれる。
本明細書において、「炭素数1〜20のアルキル」は、炭素数1〜10のアルキルであることが好ましく、炭素数1〜6のアルキルであることが更に好ましい。アルキルの例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0025】
本明細書において、「炭素数2〜20のアルケニル」は、炭素数2〜10のアルケニルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルケニルであることが更に好ましい。アルケニルの例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。
【0026】
本明細書において、「炭素数2〜20のアルキニル」は、炭素数2〜10のアルキニルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルキニルであることが更に好ましい。アルキニルの例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
【0027】
本明細書において、「炭素数4〜20のアルキルジエニル」は、炭素数4〜10のアルキルジエニルであることが好ましく、炭素数4〜6のアルキルジエニルであることが更に好ましい。アルキルジエニルの例としては、制限するわけではないが、1,3−ブタジエニル等を挙げることができる。
【0028】
本明細書において、「炭素数6〜18のアリール」は、炭素数6〜10のアリールであることが好ましい。アリールの例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0029】
本明細書において、「炭素数7〜20のアルキルアリール」は、炭素数7〜12のアルキルアリールであることが好ましい。アルキルアリールの例としては、制限するわけではないが、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチル等を挙げることができる。
【0030】
本明細書において、「炭素数7〜20のアリールアルキル」は、炭素数7〜12のアリールアルキルであることが好ましい。アリールアルキルの例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等を挙げることができる。
【0031】
本明細書において、「炭素数4〜20のシクロアルキル」は、炭素数4〜10のシクロアルキルであることが好ましい。シクロアルキルの例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
【0032】
本明細書において、「炭素数4〜20のシクロアルケニル」は、炭素数4〜10のシクロアルケニルであることが好ましい。シクロアルケニルの例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
【0033】
本明細書において、「炭素数2〜20のアルコキシ」は、炭素数2〜10のアルコキシであることが好ましく、炭素数2〜6のアルコキシであることが更に好ましい。アルコキシの例としては、制限するわけではないが、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
【0034】
本明細書において、「炭素数6〜20のアリールオキシ」は、炭素数6〜10のアリールオキシであることが好ましい。アリールオキシの例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
【0035】
本明細書において、「アルキルチオ(−SY1、式中、Y1は置換を有してもよい炭素数2〜20のアルキルを示す。)」および「アルキルスルホニル(−SO23、式中、Y3は置換を有してもよい炭素数1〜20のアルキルを示す。)」において、Y1およびY3は、炭素数2〜10のアルキルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルキルであることが更に好ましい。アルキルの例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0036】
本明細書において、「アリールチオ(−SY2、式中、Y2は置換を有してもよい炭素数6〜18のアリールを示す。)」および「アリールスルホニル(−SO24、式中、Y4は置換を有してもよい炭素数6〜18のアリールを示す。)」において、Y2およびY4は、炭素数6〜10のアリールであることが好ましい。アリールの例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0037】
「炭素数1〜20の炭化水素」、「炭素数2〜20のアルコキシ」、「炭素数6〜20のアリールオキシ」、「アミノ」、「シリル」、「アルキルチオ」、「アリールチオ」、「アルキルスルホニル」、「アリールスルホニル」には、置換基が導入されていてもよい。この置換としては、たとえば、エステル、カルボキシル、アミド、アルキン、トリメチルシリル、アミノ、ホスホニル、チオ、カルボニル、ニトロ、スルホ、イミノ、ハロゲノ、またはアルコキシなどを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上、置換可能な最大数まで導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0038】
本明細書において、「置換基を有してもよいアミノ」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
【0039】
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
【0040】
以上、1価の有機基の具体例を挙げたが、本明細書中、2価の有機基の具体例としては、本明細書中に記載された1価の有機基においてさらに価数を1つ増やした基が挙げられる。同様に、本明細書中、4価の有機基の具体例としては、本明細書中に記載された1価の有機基においてさらに価数を3つ増やした基が挙げられる。
【0041】
ポリエステルアミド酸(A)は、たとえば、少なくともテトラカルボン酸二無水物(a1)、ジアミン(a2)および多価ヒドロキシ化合物(a3)を反応させることにより得られる。この場合、式(11)と式(12)中のR11はテトラカルボン酸二無水物残基であり、式(11)中のR12はジアミン残基であり、式(12)中のR13は多価ヒドロキシ化合物残基であり好ましくはジオール残基である。
【0042】
原料としてさらに1価アルコール(a4)を反応させることにより得られるものであってもよく、また、原料としてさらにスチレン−無水マレイン酸共重合体(a5)および/またはシリコン含有モノアミン(a6)を反応させることにより得られるものであってもよい。
【0043】
ポリエステルアミド酸(A)の合成には、少なくとも溶剤が必要であり、この溶剤をそのまま残してハンドリング性等を考慮した液状やゲル状の組成物としてもよいし、この溶剤を除去して運搬性などを考慮した固形状の組成物としてもよい。
【0044】
1.3.1 テトラカルボン酸二無水物(a1)
ポリエステルアミド酸(A)の合成に用いることができるテトラカルボン酸二無水物(a1)の具体例としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物、たとえば3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物またはエチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)(商品名;TMEG−100、新日本理化(株)製)など;脂環式テトラカルボン酸二無水物、たとえばシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、またはシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物など;ならびに脂肪族テトラカルボン酸二無水物、たとえばエタンテトラカルボン酸二無水物またはブタンテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。
【0045】
これらの中でも顔料の色純度に影響を与え難い、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、またはエチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)(商品名;TMEG−100、新日本理化(株)製)などが好ましく、さらに、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物または3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物などが特に好ましい。
【0046】
1.3.2 ジアミン(a2)
ポリエステルアミド酸(A)の合成に用いることができるジアミン(a2)の具体例としては、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル][3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル][3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンまたは2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどを挙げることができる。
【0047】
これらの中でも顔料の色純度に影響を与え難い、3,3'−ジアミノジフェニルスルホンまたはビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンなどが好ましく、さらに、3,3'−ジアミノジフェニルスルホンなどが特に好ましい。
【0048】
1.3.3 多価ヒドロキシ化合物(a3)
ポリエステルアミド酸(A)の合成に用いることができる多価ヒドロキシ化合物(a3)の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量1,000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、分子量1,000以下のポリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2,7−ヘプタントリオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、3,6−オクタンジオール、1,2,8−オクタントリオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2,9−ノナントリオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2,10−デカントリオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ビスフェノールA(商品名)、ビスフェノールS(商品名)、ビスフェノールF(商品名)、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミン、などを挙げることができる。
【0049】
これらの中でも溶剤への溶解性が優れる、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、または1,8−オクタンジオールなどが好ましく、さらに、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールまたは1,6−ヘキサンジオールなどが特に好ましい。
【0050】
1.3.4 1価アルコール(a4)
ポリエステルアミド酸(A)の合成に用いることができる1価のアルコール(a4)の具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、フェノール、ボルネオール、マルトール、リナロール、テルピネオール、ジメチルベンジルカルビノール、または3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等を挙げることができる。
【0051】
これらの中でもイソプロピルアルコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、または3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンが好ましい。これらを使用してできるポリエステルアミド酸と、エポキシ樹脂を混合した場合の相溶性を考慮すると、1価のアルコール(a4)としてベンジルアルコールを使用することがより好ましい。
【0052】
1.3.5 スチレン−無水マレイン酸共重合体(a5)
カラーフィルター用組成物の耐熱性および耐アルカリ性を高めるために、ポリエステルアミド酸(A)の原料として、さらに酸無水物基を3個以上有する化合物を添加してもよい。酸無水物基を3個以上有する化合物としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体(a5)などを挙げることができる。スチレン−無水マレイン酸共重合体(a5)を構成する各成分の比率については、スチレン/無水マレイン酸のモル比は1〜5が好ましく、1〜3が特に好ましい。スチレン−無水マレイン酸共重合体(a5)の具体例としては、川原油化(株)製、SMA3000P、SMA2000P、SMA1000Pなどの市販品を挙げることができる。
【0053】
1.3.6 シリコン含有モノアミン(a6)
カラーフィルター用組成物の耐熱性を向上させるために、ポリエステルアミド酸(A)の原料として、さらにシリコン含有モノアミン(a6)を添加してもよい。シリコン含有モノアミン(a6)の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、およびm−アミノフェニルメチルジエトキシシランなどを挙げることができる。これらの中でも3−アミノプロピルトリエトキシシラン、およびp−アミノフェニルトリメトキシシランが好ましく、3−アミノプロピルトリエトキシシランが耐熱性および耐酸性が良好で、特に好ましい。
【0054】
1.3.7 酸無水物基を1つ有する化合物(a7)
ポリエステルアミド酸(A)の原料には、必要に応じて、酸無水物基を1つ有する化合物を用いてもよい。
酸無水物基を1つ有する化合物を添加してポリエステルアミド酸(A)を合成することにより、ポリエステルアミド酸(A)の重量平均分子量を低下させ、カラーフィルター用組成物をジェッティングした際に、液柱の吐出精度を向上させることができる。酸無水物基を1つ有する化合物の具体例としては、トリメリット酸無水物、フタル酸無水物を挙げることができる。
【0055】
1.3.8 重合反応に用いる溶剤(a8)
ポリエステルアミド酸(A)を合成するための重合反応に用いる溶剤(a8)の具体例としては、エチレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、n−プロピルアセテート,n−ブチルアセテート、イソブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノールアセテート、3−メトキシブチルアセテート、トリアセチン、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドなどを挙げることができる。
【0056】
これらの中でも、カラーフィルター用組成物をジェッティングした際に、液柱の吐出精度が高い、エチレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、トリアセチン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メトキシプロピオン酸メチル、またはN−メチル−2−ピロリドンなどが好ましい。
【0057】
これらの溶剤は単独、または2種以上の混合溶剤として使用できる。また、30重量%以下の割合であれば上記溶剤以外に他の溶剤を混合して用いることもできる。
【0058】
なお、これらの溶剤(a8)を、カラーフィルター用組成物を構成する溶媒(G)の一部としてそのまま用いてもよい。
【0059】
1.3.9 ポリエステルアミド酸(A)の合成条件
テトラカルボン酸二無水物(a1)Xモル、ジアミン(a2)Yモルおよび多価ヒドロキシ化合物(a3)Zモルを上記溶剤(a8)中で反応させてポリエステルアミド酸(A)を合成する場合、X、YおよびZはそれらの間に数式(1)および数式(2)の関係が成立するような割合に定めることが好ましい。この範囲であれば、ポリエステルアミド酸(A)の溶剤への溶解性が高く、顔料との親和性が高く、結果として耐薬品性、耐熱性に優れたカラーフィルターを得ることができる。
0.2≦Z/Y≦8.0・・・・・・・・・(1)
0.2≦(Y+Z)/X≦1.5・・・・・(2)
数式(1)の関係は、好ましくは0.7≦Z/Y≦7.0であり、より好ましくは1.3≦Z/Y≦7.0である。また、数式(2)の関係は、好ましくは0.5≦(Y+Z)/X≦0.9であり、より好ましくは0.7≦(Y+Z)/X≦0.8である。
【0060】
なお、原料としてさらに1価アルコール(a4)、スチレン−無水マレイン酸共重合体(a5)またはシリコン含有モノアミン(a6)を反応させる場合であっても、基本的には上記数式の関係が好ましい。
反応原料全体(100重量部)に対して、1価アルコール(a4)は好ましくは0〜50重量部、さらに好ましくは0〜20重量部、スチレン−無水マレイン酸共重合体(a5)は好ましくは0〜50重量部、さらに好ましくは0〜30重量部、シリコン含有モノアミン(a6)は好ましくは0〜50重量部、さらに好ましくは0〜20重量部が好ましい。
【0061】
ポリエステルアミド酸(A)が、分子末端に酸無水物基を有している場合には、必要により、上述した1価アルコール(a4)を添加して反応させることができる。1価アルコール(a4)を添加して反応することにより得られたポリエステルアミド酸(A)は、エポキシ樹脂との相溶性が改善されるとともに、それらを含むカラーフィルター用組成物をジェッティングした際に液柱の吐出精度を向上させ、サテライトが抑制される。
【0062】
反応原料の反応系への添加順序には、特にこだわらない。たとえば、テトラカルボン酸二無水物(a1)とジアミン(a2)および多価ヒドロキシ化合物(a3)を同時に反応溶剤に加える方法でもよい。また、ジアミン(a2)および多価ヒドロキシ化合物(a3)を反応溶剤中に溶解させた後、テトラカルボン酸二無水物(a1)を添加する方法でもよい。または、テトラカルボン酸二無水物(a1)とジアミン(a2)をあらかじめ反応せしめた後、その反応生成物に多価ヒドロキシ化合物(a3)を添加する方法でもよい。
また、1価アルコール(a4)は、テトラカルボン酸二無水物(a1)と同時に添加させても、テトラカルボン酸二無水物(a1)と、ジアミン(a2)および多価ヒドロキシ化合物(a3)の反応が終了した後に添加させてもよい。スチレン−無水マレイン酸共重合体(a5)および酸無水物基を1つ有する化合物(a7)は、テトラカルボン酸二無水物(a1)と同時に添加させるとよい。また、シリコン含有モノアミン(a6)を反応させる場合には、テトラカルボン酸二無水物(a1)と、ジアミン(a2)および多価ヒドロキシ化合物(a3)の反応が終了した後に、反応液を40℃以下まで冷却した後、シリコン含有モノアミン(a6)を添加し、10〜40℃で0.1〜6時間反応させるとよい。
【0063】
重合反応に用いる溶剤(a8)は、テトラカルボン酸二無水物(a1)、ジアミン(a2)および多価ヒドロキシ化合物(a3)の合計100重量部に対し100重量部以上使用すると、反応がスムーズに進行するので好ましい。反応は40℃〜200℃で、0.2〜20時間反応させるのがよい。
【0064】
このようにして合成されたポリエステルアミド酸(A)は、式(11)で表される構成単位と式(12)で表される構成単位を含み、その末端は原料であるテトラカルボン酸二無水物(a1)、ジアミン(a2)もしくは多価ヒドロキシ化合物(a3)に由来する酸無水物基、アミノ基もしくはヒドロキシ基であるか、またはこれら化合物以外の添加物がその末端を構成する。式(11)および式(12)において、R11はテトラカルボン酸二無水物(a1)の残基であり、好ましくは炭素数2〜30の有機基である。R12はジアミン(a2)の残基であり、好ましくは炭素数2〜30の有機基である。R13は多価ヒドロキシ化合物(a3)の残基であり、好ましくは炭素数2〜20の有機基である。
【0065】
得られたポリエステルアミド酸(A)の重量平均分子量は1,000〜50,000であることが好ましく、1,000〜20,000がより好ましい。これらの範囲にあれば、耐薬品性および耐熱性が良好となる。
【0066】
1.4 重合性二重結合を有する化合物(D)
本発明のカラーフィルター用組成物は重合性二重結合を有する化合物(D)を含んでもよい。重合性二重結合を有する化合物(D)としては、重合性二重結合を1個以上有すれば特に限定されるものではないが、(メタ)アクリロイル基を1個以上有していることが好ましい。
【0067】
具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ビス[(メタ)アクリロキシネオペンチルグリコール]アジペート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ)フェニル]プロパン、(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]スルホン、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン,エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン,エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリグルセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、(メタ)アクリル化イソシアヌレート、またはウレタン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの重合性二重結合を有する化合物(D)は1種の化合物であっても、2種以上の異なる種類の混合物であってもよい。
【0068】
また、重合性二重結合を有する化合物(D)が、(メタ)アクリロイル基を2〜20個有する化合物を50重量%以上含有していると、硬化速度が速いために好ましい。また、重合性二重結合を有する化合物(D)が、(メタ)アクリロイル基を4〜20個有する化合物を50重量%以上含有していると、さらに硬化速度が速くいっそう好ましい。
(メタ)アクリロイル基を4〜20個有する化合物の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジグリセリンテトラアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、またはウレタン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0069】
1.5 光重合開始剤(E)
本発明のカラーフィルター用組成物は光重合開始剤(E)を含んでもよい。光重合開始剤(E)としては、光によりラジカルを発生させる性質を有する限り、特に限定されるものではない。具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、1,2−オクタジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、または1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(o−ベンゾイルオキシム)などが挙げられる。
【0070】
これらの中でも、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、または1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(o−ベンゾイルオキシム)などが好ましい。
【0071】
これらの光重合開始剤(E)は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
【0072】
1.6 エポキシ樹脂(C)
本発明のカラーフィルター用組成物はエポキシ樹脂(C)をさらに含んでもよい。エポキシ樹脂(C)はカラーフィルター用組成物を構成する他成分との相溶性が良ければ特に限定されることはないが、好ましくはエポキシ基を有するモノマーの単独重合体、エポキシ基を有する2種以上のモノマーの共重合体、およびエポキシ基を有するモノマーとエポキシ基を有さないモノマーとの共重合体、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、またはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂から選択される1種以上の化合物である。
【0073】
エポキシ基を有するモノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレートまたはメチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0074】
エポキシ基を有さないモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレンなどや;N−置換マレイミド化合物、たとえばN−フェニルマレイミド、またはN−シクロヘキシルマレイミドなどを挙げることができる。
これらの中でも、得られる共重合体がポリエステルアミド酸(A)との相溶性が優れているメチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、N−フェニルマレイミド、またはN−シクロヘキシルマレイミドなどがさらに好ましい。
【0075】
エポキシ基を有するモノマーとエポキシ基を有さないモノマーとの共重合体における各モノマーの割合は、エポキシ基を有するモノマーが30モル%以上であると耐薬品性に優れるので好ましい。また、エポキシ基を有するモノマーが50モル%以上であるとさらに好ましい。
エポキシ基を有するモノマーの単独重合体、エポキシ基を有する2種以上のモノマーの共重合体、またはエポキシ基を有するモノマーとエポキシ基を有さないモノマーとの共重合体の分子量は、重量平均分子量で1,000〜100,000が好ましく、1,000〜10,000がより好ましい。これらの範囲にあれば、溶剤に対する溶解性が優れ、それらを含むカラーフィルター用組成物としての粘度が低下するから、インクジェットインク組成物としてジェッティングした際に液柱の精度が向上し、サテライトが抑制される。
【0076】
また、エポキシ樹脂(C)の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、n−ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、またはN−シクロヘキシルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体などを挙げることができる。
【0077】
さらに、エポキシ樹脂(C)の他の好ましい具体例としては、エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート190P、エピコート191P(以上商品名、油化シェルエポキシ(株)製)、エピコート1004、エピコート1256(以上商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製)、EPPN−501H、502H(商品名;日本化薬(株)製)、JER 1032H60(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、JER 157S65、157S70(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN−201(商品名;日本化薬(株)製)、JER 152、154(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EOCN−102S、103S、104S、1020(商品名;日本化薬(株)製)、セロキサイド2021、またはEHPE−3150(以上商品名、ダイセル化学工業(株)製)などを挙げることができる。これらの中でもTECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製)などは耐熱性が良好で好ましい。
【0078】
さらに、エポキシ樹脂(C)の他の好ましい具体例としては、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンと1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノールとの混合物、または2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンが挙げられる。
【0079】
1.7.1 熱硬化性カラーフィルター用組成物
本発明のカラーフィルター用組成物の一態様は熱硬化性の組成物である。
熱硬化性カラーフィルター用組成物は、少なくともポリエステルアミド酸(A)と、顔料(B)とを含有し、ジェッティングした時のインクジェット特性が優れる。該組成物は、硬化原理はこれに限定されないが、加熱によりポリエステルアミド酸(A)が有するアミド酸とカルボン酸とが分子内で反応して、および/またはポリエステルアミド酸(A)の分子間のアミド酸とカルボン酸とが反応して硬化し、製膜後のカラーフィルターの色純度、耐熱性、耐薬品性は優れている。
さらに、エポキシ樹脂(C)を含有した熱硬化性カラーフィルター用組成物は、ジェッティングした時のインクジェット特性を維持しながら、硬化原理はこれに限定されないが、加熱によりポリエステルアミド酸(A)が有するカルボン酸とエポキシ樹脂(C)とが反応して、製膜後のカラーフィルターの色純度、耐熱性、耐薬品性がさらに向上する。
この場合、ポリエステルアミド酸(A)A重量部、顔料(B)B重量部およびエポキシ樹脂(C)C重量部の重量割合には、数式(3)および数式(4)の関係が成立することが好ましい。この範囲であれば、ジェッティングした時のインクジェット特性、製膜後のカラーフィルターの色純度、耐熱性、耐薬品性のバランスが良好である。
0.05≦B/(A+C)≦5.0・・・・(3)
0.02≦C/A≦4.0・・・・・・・・(4)
【0080】
数式(3)の「B/(A+C)」は、より好ましくは0.1〜3.0であり、さらに好ましくは0.5〜2.0である。また、数式(4)の「C/A」は、より好ましくは0.05〜3.0であり、さらに好ましくは0.1〜2.0である。
【0081】
その他の添加剤として、基板との密着性を向上させるために、カップリング剤を使用することができ、上記カラーフィルター用組成物の固形分100重量部に対し、好ましくは0〜20重量部、より好ましくは0〜10重量部、さらに好ましくは0〜5重量部添加して用いられる。
また、下地基板への濡れ性を向上させるために、界面活性剤を使用することができ、上記カラーフィルター用組成物の固形分100重量部に対し、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部添加して用いられる。
また、透明性の向上、カラーフィルターが高温にさらされた場合の黄変を防止するために、酸化防止剤を使用することができ、上記カラーフィルター用組成物の固形分100重量部に対し、好ましくは0〜10重量部、より好ましくは0〜3重量部、さらに好ましくは0〜1重量部添加して用いられる。
【0082】
1.7.2 光硬化性カラーフィルター用組成物
本件発明のカラーフィルター用組成物の一態様は光硬化性の組成物である。
上記カラーフィルター用組成物として光硬化性のカラーフィルター用組成物について説明する。光硬化性カラーフィルター用組成物は、少なくともポリエステルアミド酸(A)と、顔料(B)と、重合性二重結合を有する化合物(D)と、光重合開始剤(E)とを含有し、ジェッティングした時のインクジェット特性が優れる。該組成物は、重合・硬化原理はこれに限定されないが、光照射により光重合開始剤(E)を開始剤として重合性二重結合を有する化合物(D)が重合した後、さらに、加熱によりポリエステルアミド酸(A)が有するアミド酸とカルボン酸とが分子内で反応して、および/またはポリエステルアミド酸(A)の分子間のアミド酸とカルボン酸とが反応して硬化し、製膜後のカラーフィルターの色純度、耐熱性、耐薬品性は優れている。
ポリエステルアミド酸(A)と、顔料(B)と、エポキシ樹脂(C)と、重合性二重結合を有する化合物(D)と、光重合開始剤(E)とを含有した光硬化性カラーフィルター用組成物は、ジェッティングした時のインクジェット特性を維持し、重合・硬化原理はこれに限定されないが、光照射により光重合開始剤(E)を開始剤として重合性二重結合を有する化合物(D)が重合した後、さらに、加熱によりポリエステルアミド酸(A)が有するカルボン酸とエポキシ樹脂(C)とが反応して、製膜後のカラーフィルターの色純度、耐熱性、耐薬品性がさらに向上する。
この場合、ポリエステルアミド酸(A)A重量部、顔料(B)B重量部、エポキシ樹脂(C)C重量部および重合性二重結合を有する化合物(D)D重量部の重量割合には、数式(5)、数式(6)および数式(7)の関係が成立することが好ましい。この範囲であれば、ジェッティングした時のインクジェット特性、製膜後のカラーフィルターの色純度、耐熱性、耐薬品性のバランスが良好である。
0.05≦B/(A+C+D)≦5.0・・・(5)
0.02≦(C+D)/A≦4.0・・・・・(6)
0.1≦C/D≦4.0・・・・・・・・・・(7)
【0083】
数式(5)の「B/(A+C+D)」は、より好ましくは0.1〜3.0であり、さらに好ましくは0.5〜2.0である。また、数式(6)の「(C+D)/A」は、より好ましくは0.05〜3.0であり、さらに好ましくは0.1〜2.0である。また、数式(7)の「C/D」は、より好ましくは0.5〜3.0であり、さらに好ましくは1.0〜2.0である。
なお、光重合開始剤(E)は、重合性二重結合を有する化合物(D)100重量部に対し、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1.0〜20重量部添加して用いられる。
【0084】
その他の添加剤として、カップリング剤、界面活性剤および酸化防止剤などを使用することができるが、添加量については、上記熱硬化性カラーフィルター用組成物で記載したとおりである。
【0085】
1.8 その他の添加物(F)
本発明のカラーフィルター用着色液またはカラーフィルター用組成物には、必要に応じて上記以外のその他の添加物(F)を含有してもよい。このようなその他の添加物(F)として、分散剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤、加工安定剤などが挙げられる。
【0086】
分散剤は、顔料を溶媒中に均一に分散させるために用いることができ、たとえば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アクリル系高分子顔料分散剤、シリコン系高分子顔料分散剤、ポリエステル系高分子顔料分散剤、エチレンイミン系高分子顔料分散剤等を用いることができる。具体的には、ルーブリゾール(株)製ソルスパース32000、ソルスパース24000、ソルスパース20000等を用いることが好ましい。分散剤は、顔料に対して好ましくは10〜100重量部、より好ましくは20〜80重量部、さらに好ましくは30〜60重量部添加して用いられる。
【0087】
カップリング剤は、たとえば基板との密着性を向上させるために用いることができ、たとえば、シラン系、アルミニウム系またはチタネート系などの化合物を用いることができる。
具体的には、シラン系としては、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、または3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができ、アルミニウム系としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどを挙げることができ、チタネート系としては、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートなどを挙げることができる。これらの中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが、密着性を向上させる効果が大きいため好ましい。
【0088】
界面活性剤は、たとえば下地基板への濡れ性を向上させるために用いることができ、シリコン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、またはフッ素系界面活性剤などを用いることができる。具体的には、シリコン系としては、Byk−300、Byk−306、Byk−335、Byk−310、Byk−341、Byk−344、またはByk−370(それぞれ商品名;ビック・ケミー(株)製)などが挙げられ、アクリル系としては、Byk−354、ByK−358、またはByk−361(それぞれ商品名;ビック・ケミー(株)製)などが挙げられ、フッ素系としては、DFX−18、フタージェント250、またはフタージェント251(それぞれ商品名;ネオス(株)製)などを挙げることができる。
【0089】
酸化防止剤は、たとえば透明性の向上、カラーフィルターが高温にさらされた場合の黄変を防止するために用いることができ、ヒンダードフェノール系などを用いることができる。具体的には、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 1076、IRGANOX 1135、またはIRGANOX 1520L(それぞれ商品名;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)などを挙げることができる。
【0090】
光安定剤は、たとえば紫外線エネルギーによって生じる有害なフリーラジカルを捕捉し、色純度の変化を防止するために用いることができ、ヒンダードアミン系などを用いることができる。具体的には、TINUVIN 111 FDL、TINUVIN 123、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、TINUVIN 5100、TINUVIN 5050、TINUVIN 5060、またはTINUVIN 5151(それぞれ商品名;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)などを挙げることができる。
【0091】
加工安定剤は、たとえばカラーフィルターが高温にさらされた場合の色純度変化を防止するために用いることができ、リン系などを用いることができる。具体的には、IRGAFOS XP40、またはIRGAFOS XP60(それぞれ商品名;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)などを挙げることができる。
【0092】
2 カラーフィルター用組成物から形成された硬化膜
上述するように、本発明のカラーフィルター用着色液は、溶媒(G)と顔料(B)とを含有し、それらを均一に混合溶解または混合分散することにより得ることができる。また、本発明のカラーフィルター用組成物は、上記着色液にさらにポリアミド酸(A)を混合することによって得られる。そして、本発明の組成物に、さらに重合性二重結合を有する化合物(D)、光重合開始剤(E)、またはポリエステルアミド酸(A)を混合し、さらに必要に応じてカップリング剤、界面活性剤または酸化防止剤等を選択して添加することができる。ただし、重合性二重結合を有する化合物(D)および光重合開始剤(E)を添加した場合、光硬化性カラーフィルター用組成物と同様に、光照射による硬化を行うことが好ましい。
【0093】
また、上述するように、光硬化性カラーフィルター用組成物は、上記熱硬化性カラーフィルター用組成物に重合性二重結合を有する化合物(D)および光重合開始剤(E)を含有させ、それらを均一に混合溶解することにより得ることができる。
【0094】
カラーフィルターは、上記のようにして調製されたカラーフィルター用組成物を、たとえば、ブラックマトリックスを設けた基体表面へインクジェット法により、インクジェットインク組成物を吐出ヘッドから吐出させて画素部を形成させた後に、その画素部を熱により硬化させるか、または光により重合させた後に熱により硬化させて得ることができる。
【0095】
熱のみで硬化させる場合は、画素部をホットプレート、またはオーブンなどで加熱(プリベーク)して硬化膜を得ることができる。加熱条件は各成分の種類および配合割合によって異なるが、通常70〜120℃で、オーブンなら5〜15分間、ホットプレートなら1〜5分間である。その後、塗膜を硬化させるために180〜250℃、好ましくは200〜250℃で、オーブンなら30〜90分間、ホットプレートなら5〜30分間、加熱処理する。
【0096】
光重合させた後に熱により硬化させる場合は、各成分の種類および配合割合によって異なるが、通常70〜120℃で、オーブンなら5〜15分間、ホットプレートなら1〜5分間乾燥した後に、紫外領域から可視光領域の波長(なかで紫外線が好ましい)の光で、照射量はi線で5〜1000mJ/cm2照射する。最後に、塗膜を硬化させるために180〜250℃、好ましくは200〜250℃で、オーブンなら30〜90分間、ホットプレートなら5〜30分間、加熱処理することによって硬化膜を得ることができる。
【0097】
3 液晶表示素子
本発明の液晶表示素子は、互いに対向して配置される一対の基板間をスペーサーによって所定幅に規制しその間隙に液晶材料が封入(封入部分を液晶層と称する)された液晶表示素子であり、その液晶層の厚さを一定に保持するために基板上に配置されるスペーサーが、既述した本発明の感光性樹脂転写材料を用いて形成されたものである。すなわち、前記一対の基板の一方として既述の本発明の液晶表示素子用基板を用いて構成したものである。
【0098】
液晶表示素子における液晶としては、STN型、TN型、GH型、ECB型、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、VA型、MVA型、ASM型、IPS型、OCB型、AFFS型その他種々のものが好適に挙げられる。本発明のフォトスペーサーは均一性に優れるためIPS型、MVA型、AFFS型、OCB型等のセルギャップ均一性が特に要求される方式に対して特に適している。
【0099】
本発明の液晶表示素子の基本的な構成態様としては、1)薄膜トランジスタ(TFT)等の駆動素子と画素電極(導電層)とが配列形成された駆動側基板と、カラーフィルター 及び対向電極(導電層)を備えたカラーフィルター 側基板とをスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、2)カラーフィルター が前記駆動側基板に直接形成されたカラーフィルター 一体型駆動基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、等を挙げることができる。本発明の液晶表示素子は、各種液晶表示機器に好適に適用することができる。
【実施例】
【0100】
次に本発明を合成例、実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
まず、以下に示すように、テトラカルボン酸二無水物(a1)、ジアミン(a2)および多価ヒドロキシ化合物(a3)を反応させることによって、ポリエステルアミド酸(A)の溶液を合成した。
【0101】
[ポリエステルアミド酸A1の合成]
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた500mlの四つ口フラスコに、脱水精製したETBアセテート(商品名;エチレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、チッソ(株)製、以下「ETB」と略記)180g、1,4−ブタンジオール13g、ベンジルアルコール10g、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(以下「ODPA」と略記)74gを仕込み、乾燥窒素気流下130℃で3時間攪拌した。その後、当該反応液を25℃まで冷却し、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン(以下「DDS」と略記)11g、ETB72gを投入し、30℃で2時間攪拌した後、115℃で1時間攪拌して淡黄色透明なポリエステルアミド酸の30重量%溶液を得た(ポリエステルアミド酸A1)。
【0102】
[ポリエステルアミド酸A2の合成]
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた500mlの四つ口フラスコに、脱水精製したCS−12グリコールエーテル(商品名;プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、チッソ(株)製、以下「CS−12」と略記)270g、ODPA13g、SMA1000P(商品名;スチレン−無水マレイン酸共重合体、川原油化(株)製)39g、ベンジルアルコール15g、1,4−ブタンジオール2.5gの順に仕込み、乾燥窒素気流下130℃で3時間攪拌した。その後、当該反応液を25℃まで冷却し、DDS2.5g、DPMA18gを投入し、30℃で2時間攪拌した後、115℃で1時間攪拌して淡黄色透明なポリエステルアミド酸の20重量%溶液を得た(ポリエステルアミド酸A2)。
【0103】
[ポリエステルアミド酸A3の合成]
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた500mlの四つ口フラスコに、脱水精製したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と略記)180g、1,4−ブタンジオール13g、ベンジルアルコール10g、ODPA74gを仕込み、乾燥窒素気流下130℃で3時間攪拌した。その後、当該反応液を25℃まで冷却し、DDS11g、PGMEA72gを投入し、30℃で2時間攪拌した後、115℃で1時間攪拌して淡黄色透明なポリエステルアミド酸の30重量%溶液を得た(ポリエステルアミド酸A3)。
【0104】
次に、カラーフィルター用着色液を以下に示すように調製した。
【0105】
[実施例1(着色液)]
ETB20gにルーブリゾール(株)製ソルスパース3200を5g溶解し、C.I.ピグメントレッド254を12gとC.I.ピグメントイエロー139を3g加えて3本ロールミルで混練した後、ETB40gと直径0.5mmのジルコニアビーズ400gを加えてサンドミルで20時間攪拌した。この液を孔径1μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターで濾過して赤色着色液を得た。
【0106】
[実施例2(着色液)]
CS−12を20gにルーブリゾール(株)製ソルスパース3200を5g溶解し、C.I.ピグメントグリーン36を12gとC.I.ピグメントイエロー150を8g加えて3本ロールミルで混練した後、CS−12を40gと直径0.5mmのジルコニアビーズ400gを加えてサンドミルで20時間攪拌した。この液を孔径1μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターで濾過して緑色着色液を得た。
【0107】
[実施例3(着色液)]
ETB20gにルーブリゾール(株)製ソルスパース3200を5g溶解し、C.I.ピグメントブルー15:6を20g加えて3本ロールミルで混練した後、ETB60gと直径0.5mmのジルコニアビーズ400gを加えてサンドミルで20時間攪拌した。この液を孔径1μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターで濾過して青色着色液を得た。
【0108】
[比較例1(着色液)]
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下PGMEAと略す)20gにルーブリゾール(株)製ソルスパース3200を5g溶解し、C.I.ピグメントレッド254を12gとC.I.ピグメントイエロー139を3g加えて3本ロールミルで混練した後、PGMEA40gと直径0.5mmのジルコニアビーズ400gを加えてサンドミルで20時間攪拌した。この液を孔径1μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターで濾過して赤色着色液を得た。
【0109】
[比較例2(着色液)]
PGMEA20gにルーブリゾール(株)製ソルスパース3200を5g溶解し、C.I.ピグメントグリーン36を12gとC.I.ピグメントイエロー150を8g加えて3本ロールミルで混練した後、PGMEA40gと直径0.5mmのジルコニアビーズ400gを加えてサンドミルで20時間攪拌した。この液を孔径1μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターで濾過して緑色着色液を得た。
【0110】
[比較例3(着色液)]
PGMEA20gにルーブリゾール(株)製ソルスパース3200を5g溶解し、C.I.ピグメントブルー15:6を20g加えて3本ロールミルで混練した後、PGMEA60gと直径0.5mmのジルコニアビーズ400gを加えてサンドミルで20時間攪拌した。この液を孔径1μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターで濾過して青色着色液を得た。
【0111】
このようにして得られたポリエステルアミド酸と着色液とを用いてカラーフィルター用組成物を調製した。
【0112】
[実施例4(カラーフィルター用組成物)]
下記を混合し、孔径0.5μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターで濾過して、粘度16.8mPa・sの赤色のカラーフィルター用組成物を得た。粘度はE型粘度計(商品名;VISCONIC END(株)東京計器製)を使用して25℃で測定した。(以下同じ)
ETB 10.0g
ポリエステルアミド酸A1 14.0g
実施例1の赤色着色液 20.0g
TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製) 2.0g
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン 0.6g
Byk−344(商品名;ビック・ケミー(株)製) 0.1g
【0113】
このカラーフィルター用組成物を用いて、ジェッティングした時のインクジェット特性(ジェッティング特性)、耐熱性、耐薬品性および電圧保持率、コントラストを以下の評価方法で行った。評価結果は表1に示す。
【0114】
(ジェッティング特性の評価方法)
カラーフィルター用組成物を、FUJIFILM Dimatix社製のDMP−2800型、10pl用のヘッドを用いて、吐出電圧が16Vで30℃の条件下で、ガラス基板に塗布し、ドットパターンを形成した。ジェッティング時の液柱が垂直方向に吐出され、サテライトは発生しなかった場合を「○」、液柱が隣の液柱と接触する、またはサテライトが発生した場合を「×」とした。
【0115】
(耐熱性の評価方法)
透明ガラス基板に、カラーフィルター用組成物をスピンコート方式にて塗布した後に、ホットプレート上で80℃で3分間プリベークして塗膜を形成した。その後に、オーブンで230℃で30分加熱することにより塗膜を硬化し、膜厚1.5μmの硬化膜を得た。
【0116】
この膜を更に250℃で1時間再加熱した後、再加熱前の膜厚および色純度に対する加熱後の残膜率および色差(△E)で評価した。加熱後の残膜率が97%以上である場合を「○」とし、97%未満の場合を「×」とした。色差が1未満の場合を「○」とし、1以上の場合を「×」とした。
【0117】
なお、残膜率測定は、KLA TENCOR(株)製の商品名P−15の段差・表面あらさ・微細形状測定装置を用いて行った。また、色純度測定は、(有)東京電色技術センターの商品名MICRO COLOR ANALYZER TC−1800Mの分光光度計装置を用いて行った。
【0118】
(耐薬品性の評価方法)
透明ガラス基板に、耐熱性の評価と同様にして、膜厚1.5μmの硬化膜を形成した。
この硬化膜に、下記の処理を別々に施した後、各処理前の膜厚に対する各処理後の残膜率を耐熱性の評価と同様にして測定した。各処理後の残膜率が95%以上の場合を「○」とし、各処理後の残膜率が95%未満の場合を「×」とした。
IPA処理:イソプロピルアルコール中に50℃で30分間浸漬
NMP処理:N−メチル−2−ピロリドン中に50℃で30分間浸漬
GBL処理:γ−ブチロラクトン中に50℃で30分間浸漬
【0119】
(電圧保持率の評価方法)
耐熱性の評価方法と同様に、透明ガラス基板にカラーフィルター用組成物をスピンコート方式にて塗布した後に、ホットプレート上で80℃で3分間プリベークして塗膜を形成した。その後に、オーブンで230℃で30分加熱することにより塗膜を硬化し、膜厚1.5μmの硬化膜を得た。
【0120】
この硬化膜をガラス基板から削り取った。これを1.5重量%になるようにチッソ社製JC−5044XXの液晶組成物と混合して、60℃で48時間浸漬し、電圧保持率測定用のサンプルを調製した。このサンプルを孔径0.2μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターで濾過した。
【0121】
液晶セルは片面にITO電極を設けた10cm角の透明ガラス基板のITO電極側に、チッソ社製PIA−5550の配向剤をスピンコート法で塗布し、100℃で10分間乾燥した後、オーブンで250℃で90分間処理を行い、膜厚約0.06μmの配向膜を膜付けした基板を得た。この基板2枚の配向膜面をそれぞれラビング処理し、1枚の基板上に直径が約6μmのビーズスペーサを散布し、もう1枚の基板をラビング方向が平行で、かつ互いに対向するようにエポキシ系シール材(三井化学社製LCストラクトボンド)を使用して貼り合せて液晶セルを組み立て、硬化膜と液晶の混合物を封入した。封入後120℃で30分間アイソトロピック処理を行い、室温まで徐冷して液晶セルを得た。
【0122】
この液晶セルを、東陽テクニカ社製の液晶物性測定システム6254型を用いて、温度60℃において、ゲートパルス幅60μs、周波数0.3Hz、波高±5Vの矩形波をソースに印加することにより変化するドレインをオシロスコープより読み取った。これを4回実施し、平均値を求めた。電圧保持率が95%以上の場合を「○」、95%未満を「×」とした。
【0123】
(コントラストの評価方法)
耐熱性の評価方法と同様に、透明ガラス基板にカラーフィルター用組成物をスピンコート方式にて塗布した後に、ホットプレート上で80℃で3分間プリベークして塗膜を形成した。その後に、オーブンで230℃で30分加熱することにより塗膜を硬化し、膜厚1.5μmの硬化膜を得た。
このガラス基板を液晶評価装置(大塚電子株式会社:LCD−5200)にセットし、ガラスの両側にある偏向板を回転させながら光量を測定し、その最大値と最小値の比をコントラストとした。
【0124】
[実施例5(カラーフィルター用組成物)]
下記を混合し、孔径0.5μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターで濾過して、粘度14.2mPa・sの緑色のカラーフィルター用組成物を得た。
CS−12 8.0g
ポリエステルアミド酸A2 16.0g
実施例2の緑色着色液 25.0g
TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製) 2.0g
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン 0.6g
Byk−344(商品名;ビック・ケミー(株)製) 0.1g
【0125】
このカラーフィルター用組成物を用いて、実施例4と同様の方法でジェッティング特性、耐熱性、耐薬品性および電圧保持率、コントラストを以下の評価方法で行った。評価結果は表1に示す。
【0126】
[実施例6(カラーフィルター用組成物)]
下記を混合し、孔径0.5μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターで濾過して、粘度16.1mPa・sの青色のカラーフィルター用組成物を得た。
ETB 10.0g
ポリエステルアミド酸A1 14.0g
実施例3の青色着色液 18.0g
TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製) 2.0g
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン 0.6g
Byk−344(商品名;ビック・ケミー(株)製) 0.1g
【0127】
このカラーフィルター用組成物を用いて、実施例4と同様の方法でジェッティング特性、耐熱性、耐薬品性および電圧保持率、コントラストを以下の評価方法で行った。評価結果は表1に示す。
【0128】
[比較例4]
下記を混合し、孔径0.5μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターで濾過して、粘度12.6mPa・sの赤色のカラーフィルター用組成物を得た。
PGMEA 10.0g
ポリエステルアミド酸A3 14.0g
比較例1の赤色着色液 20.0g
TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製) 2.0g
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン 0.6g
Byk−344(商品名;ビック・ケミー(株)製) 0.1g
【0129】
このカラーフィルター用組成物を用いて、実施例4と同様の方法でジェッティング特性、耐熱性、耐薬品性および電圧保持率、コントラストを以下の評価方法で行った。評価結果は表1に示す
【0130】
[比較例5]
下記を混合し、孔径0.5μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターで濾過して、粘度12.2mPa・sの緑色のカラーフィルター用組成物を得た。
PGMEA 8.0g
ポリエステルアミド酸A3 16.0g
比較例2の緑色着色液 25.0g
TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製) 2.0g
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン 0.6g
Byk−344(商品名;ビック・ケミー(株)製) 0.1g
【0131】
このカラーフィルター用組成物を用いて、実施例4と同様の方法でジェッティング特性、耐熱性、耐薬品性および電圧保持率、コントラストを以下の評価方法で行った。評価結果は表1に示す。
【0132】
[比較例6]
下記を混合し、孔径0.5μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターで濾過して、粘度13.5mPa・sの青色のカラーフィルター用組成物を得た。
PGMEA 10.0g
ポリエステルアミド酸A3 14.0g
比較例3の青色着色液 18.0g
TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製) 2.0g
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン 0.6g
Byk−344(商品名;ビック・ケミー(株)製) 0.1g
【0133】
このカラーフィルター用組成物を用いて、実施例4と同様の方法でジェッティング特性、耐熱性、耐薬品性および電圧保持率、コントラストを以下の評価方法で行った。評価結果は表1に示す。
【0134】
【表1】

【0135】
表1に示した結果から明らかなように、実施例4〜6のカラーフィルター用組成物はジェッティング特性が良好であり、硬化膜はコントラストに優れていることが判る。一方、比較例4〜6のカラーフィルター用組成物はジェッティング特性が不良であり、硬化膜のコントラストが低い。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明のカラーフィルター用着色液または本発明のカラーフィルター用組成物を用いてカラーフィルターを製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物(g1)を含む溶媒(G)、および、顔料(B)を含有する、カラーフィルター用着色液。
【化1】

(式(1)中、R1は炭素数2〜20のアルキレンであり、R2は炭素数1〜10のアルキルまたは式(10)で表される基であり、nは1〜20の整数である。また、式(10)中、R3は炭素数1〜5のアルキルである。)
【請求項2】
化合物(g1)が式(2)または式(3)で表される化合物である、請求項1に記載のカラーフィルター用着色液。

【化2】

(式(2)および式(3)中、nはそれぞれ独立して1〜20の整数である。)
【請求項3】
化合物(g1)が式(4)または式(5)で表される化合物である、請求項1に記載のカラーフィルター用着色液。
【化3】

【請求項4】
溶媒(G)の沸点が180℃以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用着色液。
【請求項5】
さらに、重合性二重結合を有する化合物(D)と、光重合開始剤(E)とを含有する、請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルター用着色液。
【請求項6】
式(11)で表される構成単位と式(12)で表される構成単位とを有する化合物であるポリエステルアミド酸(A)、および、請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルター用着色液を含有するカラーフィルター用組成物。
【化4】

(式(11)および式(12)中、R11〜R13はそれぞれ独立して炭素数2〜100の有機基である。)
【請求項7】
ポリエステルアミド酸(A)が、少なくともテトラカルボン酸二無水物(a1)、ジアミン(a2)および多価ヒドロキシ化合物(a3)を反応させることにより得られた化合物である、請求項6に記載のカラーフィルター用組成物。
【請求項8】
ポリエステルアミド酸(A)が、さらに1価アルコール(a4)を反応させることにより得られる反応生成物である、請求項7に記載のカラーフィルター用組成物。
【請求項9】
ポリエステルアミド酸(A)が、さらにスチレン−無水マレイン酸共重合体(a5)とシリコン含有モノアミン(a6)とからなる群から選択される1以上を反応させることにより得られる反応生成物である、請求項7または8に記載のカラーフィルター用組成物。
【請求項10】
ポリエステルアミド酸(A)が、Xモルのテトラカルボン酸二無水物(a1)、Yモルのジアミン(a2)およびZモルの多価ヒドロキシ化合物(a3)を、数式(1)および数式(2)の関係が成立する比率で反応させて得られる、請求項7〜9のいずれかに記載のカラーフィルター用組成物。
0.2≦Z/Y≦8.0・・・・・・・・・(1)
0.2≦(Y+Z)/X≦1.5・・・・・(2)
【請求項11】
さらに、エポキシ樹脂(C)を含有する、請求項6〜10のいずれかに記載のカラーフィルター用組成物。
【請求項12】
エポキシ樹脂(C)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、およびエポキシ基を有するモノマーとN−置換マレイミド化合物との共重合体からなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項11に記載のカラーフィルター用組成物。
【請求項13】
エポキシ樹脂(C)が、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンと1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノールとの混合物、および2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンからなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項11に記載のカラーフィルター用組成物。
【請求項14】
インクジェットインク組成物である、請求項6〜13のいずれかに記載のカラーフィルター用組成物。
【請求項15】
請求項6〜14のいずれかに記載のカラーフィルター用組成物を用いて作製されたカラーフィルター。
【請求項16】
請求項15に記載のカラーフィルターを用いた液晶表示素子。
【請求項17】
請求項15に記載のカラーフィルターを用いた固体撮像素子。

【公開番号】特開2009−122478(P2009−122478A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297540(P2007−297540)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】