説明

カラーフィルタ及びその製造方法

【課題】フィルタ面における各画素の角(カド)部の丸みが小さい矩形の正方画素を有し、正方画素の断面の角(カド)部の丸みも小さい矩形に形成されたカラーフィルタを提供する。
【解決手段】複数の受光素子を有する支持体と、前記支持体の受光素子形成面側に設けられ、顔料及び下記一般式(I)で表される化合物を含み、波長365nmの光の透過率が0.1%以上10.0%以下、より好ましくは0.1%以上5.0%以下であってパターンサイズが0.5μm以上1.2μm以下である着色画素とを備えている〔R〜R:H、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基(同時にHを表さない。RとRはNと共に環状アミノ基を形成してもよい);R:電子吸引基;R:電子吸引基〕。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料を着色剤として含むカラーフィルタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固体撮像装置の画素の微細化に伴い、露光及び現像によるパターン形成、いわゆるフォトリソ法によるパターン形成では、カラーフィルタの微細化及び薄膜化の要求に対して、カラーフィルタの分光特性とパターン形成性の両立が困難になってきている。
【0003】
固体撮像素子用のカラーフィルタは、CCDやCMOSなどの固体撮像素子の解像度向上の目的で、画素数の高いものが要求されている。例えば、デジタルカメラの画素数においては、1995年当時は40万画素弱程度であったものが、2000年には300万画素、さらに近年では1000万画素以上にまでなっている。高画素数化に伴ない、カラーフィルタの1画素の大きさも、1990年代後半では5μm前後の大きさであったものが、近年では1.5μm以下の大きさまで小さくなろうとしている。このように画素サイズが小さくなるに従い、フォトリソ法で形成される画素の形状に関しての技術的問題が顕在化してきた。
【0004】
すなわち、フォトリソ法を用いたカラーフィルタの製造に際しては、一般に、基板上に塗布形成され、分散顔料で着色されたフォトレジスト膜上にフォトマスクを通して画素パターンを露光し、アルカリ現像して画素を形成するが、画素サイズが小さくなるにつれ、逆にパターンのエッジや角(カド)が丸くなって画素間に隙間ができる面積の割合が大きくなり、近年はCCD等で画素形状として数多く採用されている正方画素を形成するのが難しい状況となっている。画素サイズが微小化するほど、パターンのエッジや角(カド)の丸みで画素全体の形状自体が丸形に近づき、デバイスとして画像表示した際の色バランスやコントラスト等の画像特性が低下する。
【0005】
また、固体撮像素子の薄型化に伴ない、着色パターンの薄層化も進んでおり、例えば厚みが1μm以下が求められるようになってきた。薄膜化が進むにつれ、顔料等の着色剤の膜中の相対量が増える反面、着色剤以外のフォトリソ性に寄与する成分の膜中の量が相対的に減少する傾向にもあり、フォトリソ法で正方画素を形成しにくい要因の1つともなっている。
【0006】
上記に関連して、微細パターンの形状の丸まりを解消する方法として、ドライエッチング法によりパターン形成をする技術が開示されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−77038号公報
【特許文献2】特開2008−122890号公報
【特許文献3】特開2008−122891号公報
【特許文献4】特開2008−129430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ドライエッチング法によるパターン形成技術が検討されてはいるものの、フォトリソ法は、形成されたパターンの位置精度が高く、大画面・高精細カラーディスプレイ用のカラーフィルタの作製に適しており、しかも製造コスト、製造容易性の面でも有利であることから、未だフォトリソ法によりカラーフィルタを作製する方法が主流である。そのため、従来より汎用されているフォトリソ法で、微細なパターンを従来より高精度に形成する技術が期待されている。
【0009】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、フィルタ面における各画素の角(カド)部の丸みが小さい矩形の正方画素を有し、正方画素の断面の角(カド)部の丸みも小さい矩形に形成されたカラーフィルタ、及び低照度(特に高照度の95%以下の低照度)での線幅等の形状バラツキを小さく抑え、現像残渣が少なく、微細(0.5μm以上1.2μm以下のパターンサイズ)ながら解像性の高い正方の画素パターンを形成することができるカラーフィルタの製造方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 複数の受光素子を有する支持体と、前記支持体(好ましくはその受光素子形成面側)に設けられ、顔料及び下記一般式(I)で表される化合物を含み、波長365nmの光の透過率が0.1%以上10.0%以下であってパターンサイズが0.5μm以上1.2μm以下である着色画素と、を備えたカラーフィルタである。
【0011】
【化1】

【0012】
前記一般式(I)において、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数6〜20のアリール基を表す。RとRとは互いに同一でも異なっていてもよいが、同時に水素原子を表すことはなく、R及びRは窒素原子と共に環状アミノ基を形成してもよい。R及びRは、各々独立に電子吸引基を表す。
【0013】
<2> 顔料、重合性モノマー、光重合開始剤、及び前記一般式(I)で表される化合物を少なくとも含む感光性着色組成物を、複数の受光素子を有する支持体(好ましくはその受光素子形成面側)に塗布し、塗布形成された塗布層を露光し、現像することにより、波長365nmの光の透過率が0.1%以上10.0%以下であってパターンサイズが0.5μm以上1.2μm以下である着色パターンを形成するカラーフィルタの製造方法である。
【0014】
<3> 前記波長365nmの光の透過率が0.1%以上5.0%以下であることを特徴とする前記<1>に記載のカラーフィルタである。
【0015】
<4> 前記波長365nmの光の透過率が0.1%以上5.0%以下であることを特徴とする前記<2>に記載のカラーフィルタの製造方法。
【0016】
<5> 前記光重合開始剤の含有比率が、感光性着色組成物の全固形分に対して1.5〜10質量%の範囲であることを特徴とする前記<2>または前記<4>に記載のカラーフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フィルタ面における各画素の角(カド)部の丸みが小さい矩形の正方画素を有し、正方画素の断面の角(カド)部の丸みも小さい矩形に形成されたカラーフィルタを提供することができる。また、
本発明によれば、低照度(特に高照度の95%以下の低照度)での形状バラツキを小さく抑え、現像残渣が少なく、微細(0.5μm以上1.2μm以下のパターンサイズ)ながら解像性の高い正方の画素パターンを形成することができるカラーフィルタの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】着色パターンの断面において、(a)逆テーパーのときの形状、(b)順テーパーのときの形状を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法について詳細に説明する。
本発明のカラーフィルタは、複数の受光素子を有する支持体(例えばその受光素子形成面側)にカラーフィルタ(着色画素)が配置された固体撮像素子のカラーフィルタであり、具体的には、顔料及び紫外線吸収剤を含み、波長365nmの光の透過率が0.1%以上10.0%以下、好ましくは0.1%以上5.0%以下であり、パターンサイズが0.5μm以上1.2μm以下である着色画素を設けて構成したものである。
【0020】
本発明においては、カラーフィルタが特定構造の紫外線吸収剤を含み、波長365nmの光の透過率が0.1%以上10.0%以下(好ましくは0.1%以上5.0%以下)であること、換言すれば、フォトリソ法による0.5μm以上1.2μm以下のパターンサイズのパターニングを特定構造の紫外線吸収剤の存在下、波長365nmの光の透過率を10.0%以下(好ましくは5.0%以下)に抑えて行なうことで、0.5μm以上1.2μm以下の微細なパターンサイズでありながら、形状バラツキが小さく抑えられるので、フィルタ面の法線方向から観察される各画素の角(カド)部の丸みが小さい矩形の正方形状を有すると共に、その画素断面も角(カド)部の丸みが小さい矩形状であるカラーフィルタが得られる。
【0021】
−支持体−
支持体としては、例えば、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)基板などが挙げられる。また、裏面照射素子などにも用いることができる。CMOS基板などでは、着色画素はCMOSセンサーの上に設けられた保護膜上に形成されるのが好ましく、保護膜としてはSiN、SiON、SiOなどの無機膜が挙げられる。無機膜については、特に制限はない。さらに、画素形成領域の保護膜をインナーレンズとして機能させるようにして表面に凹凸を有する形態、保護膜がポリイミドなどの有機膜である形態が考えられるが、前記凹凸を有する形態では凹凸を解消するための平坦化層として、保護膜が有機系の膜である形態の場合、エッチングストッパーとして機能させるために更にSi、Ti、Zr、Ta、Ca等を分散させた組成物を熱硬化等することにより形成した透明層を更に含んでもよい。
【0022】
−着色画素−
本発明のカラーフィルタは、複数の受光素子を有する支持体(例えばその受光素子形成面側)に、着色画素を有しており、例えば着色画素、ブラックマトリクスなどが規則的に配列されたパターンを有することができる。本発明における着色画素は、少なくとも顔料と紫外線吸収剤とを含み、波長365nmの光の透過率を0.1%以上10.0%以下、好ましくは0.1%以上5.0%以下とし、パターンサイズを0.5μm以上1.2μm以下として構成されたものである。
【0023】
本発明のカラーフィルタの365nmの波長光の透過率は、0.1%以上10.0%以下(好ましくは0.1%以上5.0%以下)である。透過率が0.1%以上であることは、紫外線吸収剤を積極的に含むために波長365nmに光吸収を持つことを意味する。また、この透過率が10.0%を超える、すなわちカラーフィルタを形成する塗布膜の透過率が10.0%を超えると、フィルタ面の法線方向から観察される各画素の角(カド)部の丸まりを防止できず、画素断面で観察される角(カド)部の丸まりも防止することができないことに加え、さらに現像残渣の頻度が悪化する。
なお、着色パターンを形成する感光性着色組成物からなる塗布膜と、該塗布膜を露光・現像によりパターニングした後の着色パターンとの間では、透過率の変化は無視することができる。
中でも、365nmの波長光の透過率は、前記同様の理由から、0.1〜5.0%が好ましい。
【0024】
カラーフィルタの365nmの波長光の透過率は、分光光度計(MCPD−2000、大塚電子(株)製)を用い、膜に入射した光量に対する膜透過して出射した光量の比を求めて得られる値である。
【0025】
カラーフィルタを構成する着色画素のサイズは、デバイスの小型化、固体撮像素子の高速作動の観点から小さいことが望ましく、本発明のカラーフィルタを構成する着色画素は、四辺形に配列形成されており、そのパターンサイズ(フィルタ面の法線方向からみた各画素の矩形の一辺の距離)を0.5μm以上1.2μm以下としたものである。画素サイズがこの範囲のサイズでありながら、フィルタ面の法線方向から観察される各画素の角(カド)部及び/又は画素断面で観察される角(カド)部において丸みが抑制されている。
【0026】
−顔料−
顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を用いることができる。顔料は、無機顔料又は有機顔料を問わず、膜形成したときに高透過率が得られるものが好ましいことを考慮すると、できるだけ粒子径が小さく微少な粒子サイズの顔料が好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、好ましくは平均一次粒子径0.01〜0.3μm、より好ましくは0.01〜0.15μmの顔料である。
【0027】
平均一次粒子径が前記範囲内であると、透過率が高く、色特性が良好であると共に、高いコントラストのカラーフィルタを形成するのに有効である。平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、粒子が凝集していない部分で粒子サイズを100個計測し、その平均値を算出することによって求められる。
【0028】
前記無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができる。具体的には、例えば、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
【0029】
前記有機顔料としては、例えば、
C.I.Pigment Red 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 9, 10, 14, 17, 22, 23, 31, 38, 41, 48:1, 48:2, 48:3, 48:4, 49, 49:1, 49:2, 52:1, 52:2, 53:1, 57:1, 60:1, 63:1, 66, 67, 81:1, 81:2, 81:3, 83, 88, 90, 105, 112, 119, 122, 123, 144, 146, 149, 150, 155, 166, 168, 169, 170, 171, 172, 175, 176, 177, 178, 179, 184, 185, 187, 188, 190, 200, 202, 206, 207, 208, 209, 210, 216, 220, 224, 226, 242, 246, 254, 255, 264, 270, 272, 279;
C.I.Pigment Yellow 1, 2, 3, 4, 5, 6, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 20, 24, 31, 32, 34, 35, 35:1, 36, 36:1, 37, 37:1, 40, 42, 43, 53, 55, 60, 61, 62, 63, 65, 73, 74, 77, 81, 83, 86, 93, 94, 95, 97, 98, 100, 101, 104, 106, 108, 109, 110, 113, 114, 115, 116, 117, 118, 119, 120, 123, 125, 126, 127, 128, 129, 137, 138, 139, 147, 148, 150, 151, 152, 153, 154, 155, 156, 161, 162, 164, 166, 167, 168, 169, 170, 171, 172, 173, 174, 175, 176, 177, 179, 180, 181, 182, 185, 187, 188, 193, 194, 199, 213, 214;
C.I.Pigment Orange 2, 5, 13, 16, 17:1, 31, 34, 36, 38, 43, 46, 48, 49, 51, 52, 55, 59, 60, 61, 62, 64, 71, 73;
C.I. Pigment Green 7, 10, 36, 37;
C.I.Pigment Blue 1, 2, 15, 15:1, 15:2, 15:3, 15:4, 15:6, 16, 22, 60, 64, 66, 79, 79のCl置換基をOHに変更したもの,
C.I.Pigment Violet 1, 19, 23, 27, 32, 37, 42;
C.I.Pigment Brown 25, 28:
C.I.Pigment Black 1, 7;等を挙げることができる。
【0030】
これらの中で好ましい顔料としては、C.I.Pigment Yellow 11, 24, 108, 109, 110, 138, 139, 150, 151, 154, 167, 180, 185;C.I.Pigment Orange 36, 71;C.I.Pigment Red 122, 150, 171, 175, 177, 209, 224, 242, 254, 255, 264;C.I.Pigment Violet 19, 23, 32;C.I.Pigment Blue 15:1, 15:3, 15:6, 16, 22, 60, 66;C.I.Pigment Green 7, 36, 37;C.I.Pigment Black 1, 7、を挙げることができる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0031】
本発明においては、必要に応じて、微細でかつ整粒化された有機顔料を用いることができる。顔料の微細化は、顔料と水溶性有機溶剤と水溶性無機塩類と共に高粘度な液状組成物として摩砕する工程である。具体的には、特開2007−112934号公報の段落番号[0030]〜[0032]に記載されている。そして、同公報の段落番号[0034]の記載のように、摩砕後の混合物を80℃の温水に水溶性有機溶剤と水溶性無機塩類と共に溶解し、濾過、水洗し、オーブンで乾燥させて、微細な顔料を得ることができる。
【0032】
有機顔料は、単独もしくは、色純度を上げるために種々組合せて用いることができる。組合せの具体例を以下に示す。
例えば、赤色用の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料の単独又はそれらの少なくとも1種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料又はペリレン系赤色顔料、アントラキノン系赤色顔料、ジケトピロロピロール系赤色顔料と、の混合などを用いることができる。例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド155、C.I.ピグメント・レッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー139又はC.I.ピグメント・レッド177との混合が好ましい。
また、赤色顔料と他色顔料との質量比は、100:5〜100:80が好ましい。該質量比は、100:5以上であると、400nm〜500nmの光透過率が抑えられ、色純度を上げることができ、100:80以下であると発色力が良好である。特に該質量比としては、100:10〜100:65の範囲が最適である。なお、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
【0033】
また、緑色用の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を1種単独で又は、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料若しくはイソインドリン系黄色顔料との混合を用いることができる。このような例としては、C.I.ピグメント・グリーン7、36、37とC.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー180又はC.I.ピグメント・イエロー185との混合が好ましい。
緑色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:200が好ましい。該質量比は、100:5以上であると400〜450nmの光透過率が抑えられ、色純度を上げることができ、100:200以下であると主波長が長波長偏らずにNTSC目標色相からのズレを回避できる。該質量比としては、100:20〜100:150の範囲が特に好ましい。
【0034】
青色用の顔料としては、フタロシアニン系顔料を1種単独で、若しくはこれとジオキサジン系紫色顔料との混合を用いることができる。特に好適な例として、C.I.ピグメント・ブルー15:6とC.I.ピグメント・バイオレット23との混合を挙げることができる。
青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:100が好ましく、より好ましくは100:70以下である。
【0035】
また、ブラックマトリックス用途に好適な顔料としては、カーボンブラック、グラファイト、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン単独又は混合を用いることができ、カーボンブラックとチタンブラックとの組合せが好ましい。
また、カーボンブラックとチタンブラックとの質量比は、100:0〜100:60の範囲が好ましい。100:61以上では、分散安定性が低下する場合がある。
【0036】
カラーフィルタを構成する着色画素における顔料の含有率としては、特に限定されるものではないが、色分離の観点から、組成物の全固形分に対して、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以上が特に好ましい。顔料の含有量の上限値は、60質量%が望ましい。
【0037】
また、カラーフィルタは、前記顔料を分散するための顔料分散剤及び顔料誘導体を更に含有してもよい。これらの詳細は後述する。
【0038】
<一般式(I)で表される化合物>
本発明のカラーフィルタは、共役ジエン系化合物である下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種を紫外線吸収剤として含有する。この共役ジエン系化合物を用いることにより、特に低照度露光を行なった際のその後の現像性能変動を抑えるので、パターンの線幅、膜厚、分光スペクトル等のパターン形成性に関係する露光照度依存性を抑制することができる。
【0039】
【化2】

【0040】
前記一般式(I)において、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数6〜20のアリール基を表し、RとRとは互いに同一でも異なっていてもよいが、同時に水素原子を表すことはない。
【0041】
、Rで表される炭素原子数1〜20のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−へキシル基、シクロへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基、エイコシル基、メトキシエチル基、エトキシプロピル基、2−エチルへキシル基、ヒドロキシエチル基、クロロプロピル基、N,N−ジエチルアミノプロピル基、シアノエチル基、フェネチル基、ベンジル基、p−t−ブチルフェネチル基、p−t−オクチルフェノキシエチル基、3−(2,4−ジーt−アミルフェノキシ)プロピル基、エトキシカルボニルメチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−フリルエチル基などが挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−へキシル基が好ましい。
、Rで表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基の置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、置換カルバモイル基、置換スルファモイル基、ニトロ基、置換アミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
【0042】
、Rで表される炭素原子数6〜20のアリール基は、単環であっても縮合環であってもよく、置換基を有する置換アリール基、無置換のアリール基のいずれであってもよい。例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基等を挙げることができる。また、置換基を有する置換アリール基の置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、置換カルバモイル基、置換スルファモイル基、ニトロ基、置換アミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。中でも、置換又は無置換のフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が好ましい。
【0043】
また、R及びRは、窒素原子と共に、環状アミノ基を形成してもよい。環状アミノ基としては、例えば、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基、ヘキサヒドロアゼピノ基、ピペラジノ基等が挙げられる。
【0044】
上記のうち、R、Rとしては、炭素数1〜8の低級のアルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチルなど)、又は置換もしくは無置換のフェニル基(例えば、トリル基、フェニル基、アニシル基、メシチル基、クロロフェニル基、2,4−ジーt−アミルフェニル基など)が好ましい。また、RとRとが結合して、式中のNで表される窒素原子を含んで環(例えば、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環など)を形成していることも好ましい。
【0045】
前記一般式(I)において、R及びRは、電子吸引基を表す。ここで、電子吸引基は、ハメットの置換基定数σ値(以下、単に「σ値」という。)が、0.20以上1.0以下の電子吸引性基が好ましい。より好ましくは、σ値が0.30以上0.8以下の電子吸引性基である。
ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために、1935年にL. P. Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く
妥当性が認められている。ハメット則により求められた置換基定数には、σ値とσ値とがあり、これらの値は多くの一般的な成書に記載があるが、例えば、J.A. Dean編「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw-Hill)や「化学の領域増刊」、122号、96〜103頁、1979年(南江堂)、Chemical Reviews, 91巻、165頁〜195頁、1991年に詳しい。本発明では、これらの成書に記載の文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれる限り包含されることは勿論である。
【0046】
前記σ値が、0.20以上1.0以下の電子吸引性基の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアリールオキシ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルアミノ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、σ値0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基、複素環基、塩素原子、臭素原子、アゾ基、又はセレノシアネート基が挙げられる。これらの置換基のうち、更に置換基を有することが可能な基は、先に挙げたような置換基を更に有してもよい。
【0047】
上記のうち、本発明においては、Rとしては、シアノ基、−COOR、−CONHR、−COR、−SOより選択される基が好ましく、また、Rとしては、シアノ基、−COOR、−CONHR、−COR、−SOより選択される基が好ましい。R及びRは、各々独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数6〜20のアリール基を表す。R、Rで表される炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基は、前記R、Rにおける場合と同義であり、好ましい態様も同様である。
これらのうち、R、Rとしては、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、スルファモイル基が好ましく、特にアシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、スルファモイル基が好ましい。
また、R及びRは、互いに結合して環を形成してもよい。
【0048】
また、上記のR、R、R、及びRの少なくとも1つは、連結基を介して、ビニル基と結合したモノマーより導かれるポリマーの形になっていてもよい。また、他のモノマーとの共重合体であってもよい。
前記共重合体である場合、他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−アルアクリル酸(例えば、メタクリル酸などのアクリル酸類から誘導されるエステル、好ましくは低級アルキルエステル及びアミド(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−へキシルアクリレート、オクチルメタクリレート、及びラウリルメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド等))、ビニルエステル(例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート及びビニルラウレート等)、アクリロ二トリル、メタクリロ二トリル、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン及びその誘導体、例えばビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルアセトフェノン、スルホスチレン、及びスチレンスルフィン酸等)、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテル(例えば、ビニルエチルエーテル等)、マレイン酸エステル、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルピリジン、2−及び4−ビニルピリジン等がある。
このうち、特にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物が好ましい。
コモノマー化合物の2種以上を一緒に使用することもできる。例えば、n−ブチルアクリレートとジビニルベンゼン、スチレンとメチルメタクリレート、メチルアクリレートとメタクリレート酸等を使用できる。
【0049】
以下、前記一般式(I)で表される化合物の好ましい具体例〔例示化合物(1)〜(14)〕を示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
【0050】
【化3】

【0051】
【化4】

【0052】
【化5】



【0053】
前記一般式(I)で表される化合物は、特公昭44−29620号公報、特開53−128333号公報、特開昭61−169831号公報、特開昭63−53543号公報、特開昭63−53544号公報、特開昭63−56651号公報に記載の方法により合成することができる。
【0054】
以下、本発明の代表的化合物の具体的な合成方法について記述する。
−例示化合物(1)の合成法−
3−アニリノアクロレインアニル(13.3g)と、エチルフェニルスルホニルアセテート(14.3g)を無水酢酸(40ml)中で85〜90℃に2時間加熱する。減圧乾燥下に無水酢酸を除き、エタノール(40ml)とジ−n―へキシルアミン(24.1g)を加えて2時間還流する。エタノールを除去し、残渣をカラムクロマトにかけ、精製し、エタノールより再結晶すると目的物が得られる(融点=95〜96℃)。
【0055】
カラーフィルタを構成する着色画素における前記一般式(I)で表される共役ジエン系化合物の含有量としては、着色画素のフィルタ面及び画素断面(フィルタ面に直交する平面で裁断した断面)における角(カド)の丸みを抑えて矩形性を高める点で、着色画素の全固形分に対し、0.1〜10質量%以上が好ましく、1.0〜5.0質量%であることが更に好ましい。
【0056】
上記のようなパターンの変化は、露光光源であるg線、h線、i線などの紫外線に対しての光吸収が少ないマゼンタ色又は赤色の感光性着色組成物で顕著となる。よって、前記一般式(I)で表される化合物(共役ジエン系化合物)は、マゼンタ色又は赤色の感光性着色組成物又は着色画素を構成する場合に特に有効である。
【0057】
本発明における着色画素は、上記成分以外に、光重合開始剤や重合性モノマー、顔料分散剤及び/又は顔料誘導体、アルカリ可溶性樹脂などの他の成分が更に含まれていてもよい。
【0058】
本発明における着色画素は、例えば、顔料と紫外線吸収剤と光重合開始剤と重合性モノマーとを含有する感光性着色組成物を用いて好適に作製することができる。具体的には、顔料、重合性モノマー、光重合開始剤、及び前記一般式(I)で表される化合物(共役ジエン系化合物)を少なくとも含む感光性着色組成物を、複数の受光素子を有する支持体の例えば受光素子形成面側に塗布し、塗布形成された塗布層を(好ましくはフォトマスクを介して)露光し、現像することにより、波長365nmの光の透過率が0.1%以上10.0%以下(好ましくは0.1%以上5.0%以下)であってパターンサイズが0.5μm以上1.2μm以下である着色パターン(着色画素)を形成する。これより、カラーフィルタが作製される。
感光性着色組成物は、一般的には溶剤が用いられ、必要に応じて、更に顔料分散剤及び/又は顔料誘導体、アルカリ可溶性樹脂などの他の成分を用いて構成することができる。
【0059】
顔料を着色剤として含む感光性の組成物を、既述の一般式(I)で表される特定構造の紫外線吸収剤を用いて構成することにより、露光時の照度依存性、特に低照度(例えば高照度の95%以下の照度)でパターン露光を行なって現像する際の現像性能変動を抑えるので、パターンサイズが0.5μm以上1.2μm以下である微細な着色パターンを形成する場合に、現像後の残膜率や現像残渣の変動、パターン幅のバラツキなどの形状バラツキが抑えられ、所望の前記サイズで矩形性の高いパターンを安定的に形成することができる。
【0060】
顔料及び紫外線吸収剤の詳細については、既述した通りであり、好ましい態様も同様である。
顔料の感光性着色組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分(質量)に対して、25質量%以上が好ましく、25〜60質量%がより好ましく、30〜60質量%が更に好ましい。顔料の含有量が前記範囲内であると、色濃度が充分で優れた色特性を確保するのに有効である。
紫外線吸収剤(特に一般式(I)で表される共役ジエン系化合物)の感光性着色組成物中における含有量は、組成物全固形分に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜7.5質量%がより好ましく、1.0〜5.0質量%が特に好ましい。紫外線吸収剤、特に共役ジエン系化合物の含有量は、0.01質量%以上であると、露光時の光遮蔽能力が良好で重合の進み過ぎによるパターンの太りを防止して所期のパターン形状を得やすく、周辺残渣の発生もより抑えられる。また、10質量%以下であると、露光時の光遮蔽能力が強過ぎず、重合がより良好に進行する。
【0061】
<顔料分散剤>
感光性着色組成物は、既述の顔料に加え、顔料を分散するための顔料分散剤を含有してもよい。顔料分散剤を含有することにより、顔料の組成物中での分散性を向上させることができる。顔料分散剤としては、例えば、公知の顔料分散剤や界面活性剤を適宜選択して用いることができる。
【0062】
具体的には、顔料分散剤として多くの種類の化合物を使用可能であり、例えば、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学工業(株)製)、W001(裕商(株)製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商(株)製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(いずれもサンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(ゼネカ(株)製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化(株)製)及びイソネットS−20(三洋化成工業(株)製)、Disperbyk 101,103,106,108,109,111,112,116,130,140,142,162,163,164,166,167,170,171,174,176,180,182,2000,2001,2050,2150(ビックケミー(株)製)が挙げられる。その他、アクリル系共重合体など、分子末端もしくは側鎖に極性基を有するオリゴマーもしくはポリマーが挙げられる。
【0063】
顔料分散剤の感光性着色組成物中における含有量としては、既述の顔料の質量に対して、1〜100質量%が好ましく、3〜70質量%がより好ましい。
【0064】
<顔料誘導体>
感光性着色組成物は、必要に応じて、前記顔料分散剤と共に顔料誘導体を添加することができる。顔料分散剤と親和性のある部分あるいは極性基が導入された顔料誘導体を顔料表面に吸着させ、これを顔料分散剤の吸着点として用いることで、顔料を微細な粒子として感光性着色組成物に分散させ、その再凝集を防止することができ、コントラストが高く、透明性に優れたカラーフィルタを構成するのに有効である。
【0065】
具体的には、顔料誘導体は、有機顔料を母体骨格とし、側鎖に酸性基や塩基性基、芳香族基を置換基として導入した化合物である。ここでの有機顔料は、具体的には、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノリン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンゾイミダゾロン顔料等が挙げられる。一般に、色素と呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系、トリアジン系、キノリン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開平11−49974号公報、特開平11−189732号公報、特開平10−245501号公報、特開2006−265528号公報、特開平8−295810号公報、特開平11−199796号公報、特開2005−234478号公報、特開2003−240938号公報、特開2001−356210号公報等に記載されているものを使用できる。
【0066】
顔料誘導体の感光性着色組成物中における含有量としては、顔料の質量に対して、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。該含有量が前記範囲内であると、粘度を低く抑えながら、分散を良好に行なえると共に分散後の分散安定性を向上させることができ、透過率が高く優れた色特性が得られる。また、カラーフィルタを作製するときには良好な色特性を有する高コントラストに構成することができる。
【0067】
分散の方法は、例えば、顔料と顔料分散剤を予め混合してホモジナイザー等で予め分散しておいたものを、ジルコニアビーズ等を用いたビーズ分散機(例えばGETZMANN社製のディスパーマット)等を用いて微分散させることによって行なえる。分散時間としては、3〜6時間程度が好適である。
【0068】
<光重合開始剤>
光重合開始剤としては、例えば、特開平57−6096号公報に記載のハロメチルオキサジアゾール、特公昭59−1281号公報、特開昭53−133428号公報等に記載のハロメチル−s−トリアジン等活性ハロゲン化合物、米国特許USP−4318791、欧州特許公開EP−88050A等の各明細書に記載のケタール、アセタール、又はベンゾインアルキルエーテル類等の芳香族カルボニル化合物、米国特許USP−4199420明細書に記載のベンゾフェノン類等の芳香族ケトン化合物、Fr−2456741明細書に記載の(チオ)キサントン類又はアクリジン類化合物、特開平10−62986号公報に記載のクマリン類又はロフィンダイマー類等の化合物、特開平8−015521号公報等のスルホニウム有機硼素錯体等、等を挙げることができる。
【0069】
前記光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ケタール系、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾイル系、キサントン系、トリアジン系、ハロメチルオキサジアゾール系、アクリジン類系、クマリン類系、ロフィンダイマー類系、ビイミダゾール系、オキシムエステル系等が好ましい。
【0070】
前記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノンなどを好適に挙げることができる。
【0071】
前記ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを好適に挙げることができる。
【0072】
前記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1等を好適に挙げることができる。
【0073】
前記ベンゾイン系又はベンゾイル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチルo−ベンゾイルベゾエート等を好適に挙げることができる。
【0074】
前記キサントン系光重合開始剤としては、例えば、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、モノイソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、等を好適に挙げることができる。
【0075】
前記トリアジン系光重合開始剤としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ビフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メチルビフェニル)−s−トリアジン、p−ヒドロキシエトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル−s−トリアジン、3,4−ジメトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−ベンズオキソラン−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(クロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(クロロメチル)−s−トリアジン等を好適に挙げることができる。
【0076】
前記ハロメチルオキサジアゾール系光重合開始剤としては、例えば、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾール等を好適に挙げることができる。
【0077】
前記アクリジン類系光重合開始剤としては、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン等を好適に挙げることができる。
【0078】
前記クマリン類系光重合開始剤としては、例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を好適に挙げることができる。
【0079】
前記ロフィンダイマー類系光重合開始剤としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等を好適に挙げることができる。
【0080】
前記ビイミダゾール系光重合開始剤としては、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,2’−ベンゾチアゾリルジサルファイド等を好適に挙げることができる。
【0081】
前記オキシムエステル系光重合開始剤としては、例えば、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−プロプル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、O−ベンゾイル−4’−(ベンズメルカプト)ベンゾイル−ヘキシル−ケトキシムなどを好適に挙げることができる。
【0082】
上記以外に、2,4,6−トリメチルフェニルカルボニル−ジフェニルフォスフォニルオキサイド、ヘキサフルオロフォスフォロ−トリアルキルフェニルホスホニウム塩等が挙げられる。
【0083】
中でも、前記一般式(I)で表される共役ジエン系化合物と組合せて用いた場合に少量添加で高感度化できる点で、オキシムエステル系化合物が好ましく、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンが最も好ましい。
【0084】
光重合開始剤の感光性着色組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、1.5質量%以上が好ましく、1.5〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜8.0質量%である。光重合開始剤の含有量が1.5質量%以上であると、塗布膜の透過率10.0%以下、好ましくは5.0%以下に調整下、着色パターンをより矩形に形成することができる。
【0085】
また、光重合開始剤には、特開2008−292548号公報の段落番号[0105]〜[0107]、[0109]に記載の増感剤や光安定剤、他の公知の光重合開始剤、熱重合防止剤を併用してもよい。
【0086】
<重合性モノマー>
重合性モノマーとしては、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性二重結合を有し、かつ常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物が好ましい。重合性モノマーは、前記光重合開始剤等と共に含有することにより、本発明における感光性着色組成物をネガ型に構成することができる。
【0087】
重合性モノマーの例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの;特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレート及びこれらの混合物;を挙げることができる。
更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも挙げることができる。中でも、重合性モノマーとしては、多官能(メタ)アクリル化合物が好ましい。
【0088】
重合性モノマーの感光性着色組成物中における含有量は、組成物の全固形分に対して、10〜80質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。該含有量が上記範囲内であると、充分な硬化度と未露光部の溶出性とを保持でき、露光部の硬化度を充分に維持することができ、未露光部の溶出性が著しい低下を防ぐことができる。
【0089】
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明における感光性着色組成物には、アルカリ可溶性樹脂を用いて構成することができる。アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ可溶性であれば特に限定はないが、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選ばれることが好ましい。
【0090】
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であり、かつ有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。
【0091】
上記のほか、アルカリ可溶性樹脂としては、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。
【0092】
また、前記線状有機高分子重合体は、親水性を有するモノマーを共重合したものであってもよい。親水性を有するモノマーの例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級若しくは3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のブチル(メタ)アクリレート、又は、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。その他の親水性を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸基、燐酸エステル基、4級アンモニウム塩基、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸及びその塩に由来の基、モルホリノエチル基等を含むモノマー等も有用である。
【0093】
また、アルカリ可溶性樹脂は、架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有してもよく、例えば、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有するポリマー等も有用である。重合性基を有するポリマーの例としては、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。また、硬化皮膜の強度を高めるために、アルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンとのポリエーテル等も有用である。
【0094】
これら各種アルカリ可溶性樹脂の中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。アクリル系樹脂としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーの重合により得られる共重合体や、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、現像性、液粘度等の観点から、重量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×10の重合体が好ましく、2000〜1×10の重合体がより好ましく、5000〜5×10の重合体が特に好ましい。
【0095】
アルカリ可溶性樹脂の感光性着色組成物中における含有量は、現像性等の観点から、組成物の全固形分に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%が更に好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。
【0096】
<有機溶剤>
本発明における感光性着色組成物は、一般には、有機溶剤を用いて構成することができる。有機溶剤は、各成分の溶解性や感光性着色組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はないが、特に紫外線吸収剤、バインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。また、本発明における感光性着色組成物を調製する際には、少なくとも2種類の有機溶剤を含むことが好ましい。
【0097】
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル及び2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
【0098】
これらの有機溶剤は、紫外線吸収剤及びアルカリ可溶性樹脂の溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0099】
有機溶剤の感光性着色組成物中における含有量は、塗布性の観点から、組成物の全固形分濃度が5〜80質量%になる量とすることが好ましく、5〜60質量%が更に好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。
【0100】
<その他の添加物>
本発明における感光性着色組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば、充填剤、上記以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤等を配合することかできる。添加物の具体例としては、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレート等の結着樹脂以外の高分子化合物;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;及びポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
【0101】
また、本発明における感光性着色組成物は、感光性着色組成物の紫外線未照射部におけるアルカリ溶解性を促進し、現像性の更なる向上を図る場合には、有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量の有機カルボン酸を含有することができる。
有機カルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0102】
本発明のカラーフィルタは、支持体上に、複数の受光素子と、波長365nmの光の透過率が0.1%以上10.0%以下、好ましくは0.1%以上5.0%以下であってパターンサイズが0.5μm以上1.2μm以下である複数の着色もしくは非着色のパターンが配列形成されてなるものであり、複数の受光素子を有する支持体の例えば受光素子形成面側に、前記複数の着色もしくは非着色のパターンを配列形成することができる方法により作製される。本発明においては、好ましくは、顔料、重合性モノマー、光重合開始剤、及び前記一般式(I)で表される化合物を少なくとも含む感光性着色組成物を用いて作製される。
【0103】
具体的には、感光性着色組成物を、例えば、複数の受光素子を有する支持体の受光素子形成面の上に直接又は他の層を介して、塗布して(好ましくはその後に乾燥させて)塗布層を形成し(以下、これを「塗膜形成工程」ということがある。)、塗布形成された塗布層をフォトマスクを介して(好ましくは例えばi線等の紫外線で)画像様に露光し(以下、これを「露光工程」ということがある。)、露光された前記塗布層を現像液(例えばアルカリ現像液)で現像する(以下、「現像工程」ということがある。)ことにより着色パターンを形成ことができる。また、本発明においては、必要に応じて、現像処理した後の着色パターンに加熱処理を施す工程(以下、「ポストベーク工程」ということがある。)を更に設けることができる。
また、本発明のカラーフィルタの製造方法においては、必要に応じて、露光・現像後のパターンを更に加熱及び/又は露光することによって硬化させる硬化工程を更に設けることができる。
【0104】
前記塗膜形成工程は、感光性着色組成物を例えば支持体上に、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スリット塗布等の塗布方法により塗布して(好ましくはその後に乾燥させて)感放射線性の着色組成物層(塗布層)を形成する。
【0105】
前記露光工程は、前記塗膜形成工程で形成された塗布層を(フォトマスクを介して)特定のパターンにて画像様に活性光線又は放射線を照射して露光する。活性光線又は放射線としては、赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外先、X線、電子線等を挙げることができるが、少なくとも紫外線であることが好ましく、特にg線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。露光は、固体撮像素子用のカラーフィルタでは、ステッパー露光機で主としてi線を使用した露光が好ましい。
【0106】
露光照度は、液晶表示装置用のカラーフィルタの作製に用いられるプロキシミテイ露光機及びミラープロジェクション露光機では、スループットの観点より、10mW/cm以上が好ましく、20mW/cm以上が更に好ましく、30mW/cm以上が特に好ましい。固体撮像素子用のカラーフィルタの作製に用いられるステッパー露光機では、同じくスループットの観点より、300mW/cm以上が好ましく、500mW/cm以上が更に好ましく、1000mW/cm以上が特に好ましい。また、露光量は、同じくスループットの観点より、一般に1000mJ/cm以下が好ましく、500mJ/cm以下が更に好ましく、300mJ/cm以下が特に好ましい。
【0107】
前記現像工程は、露光された塗布層を現像液で現像処理し、パターンを顕在化する。
現像液としては、感光性着色組成物の未露光部を溶解し、かつ露光部(放射線照射部)を溶解し難いものであれば、いかなるものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤及びその組合せ、アルカリ性の水溶液を用いることができる。
【0108】
前記有機溶剤としては、感光性着色組成物を調製する際に使用することができる既述の溶剤を挙げることができる。
【0109】
前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−7−ウンデセン等が挙げられる。
【0110】
現像液としては、アルカリ濃度を好ましくはpH11〜13、さらに好ましくはpH11.5〜12.5となるように調整したアルカリ性の水溶液を使用することが好ましい。アルカリ濃度は、pH13以下であるとパターンの荒れや剥離、残膜率の低下を回避でき、pH11以上であると現像速度が良好で残渣の発生を防止できる。
【0111】
現像工程は、アルカリ性の水溶液などの現像液を用いて現像処理するが、現像方法には、例えば、ディップ法、スプレー法、パドル法等がある。現像温度は、15〜40℃で行なうことが好ましい。また、現像後は一般に流水にて洗浄が行なわれる。
【0112】
さらに、本発明のカラーフィルタの製造方法においては、現像後の塗布層を充分に硬化させるために、ポストベーク工程を設けて加熱処理が施されることが好ましい。ポストベーク工程における加熱温度は、100〜300℃が好ましく、150〜250℃が更に好ましい。また、加熱時間は、10分〜1時間程度が好ましく、5分〜30分程度が更に好ましい。
【0113】
本発明のカラーフィルタは、CCDやCMOS等の固体撮像素子に用いられるものであり、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS等に好適である。本発明のカラーフィルタは、例えば、CCDを構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるカラーフィルタとして用いることが可能となる。
【実施例】
【0114】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0115】
(実施例1)
−顔料分散組成物の調製−
(レッド顔料分散組成物R−1の調製)
下記組成の成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3,000r.p.m.で3時間撹拌して混合し、顔料を含む混合溶液を調製した。
<組成>
・Pigment Red 254(顔料)・・・10部
・Pigment Yellow 139(顔料)・・・2.5部
・高分子分散剤BYK−161(ビックケミー社製)・・・2.5部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業社製、製品名:MMPGAC)・・・35部
【0116】
続いて、上記より得られた混合溶液を、さらに0.3mmφジルコニアビーズを用いたビーズ分散機ディスパーマット(GETZMANN社製)にて6時間分散処理を行ない、その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2,000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、レッド顔料分散組成物R−1を得た。
【0117】
(グリーン顔料分散組成物G−1の調製)
前記レッド顔料分散組成物R−1の調製において、組成を下記に変更したこと以外は、レッド顔料分散組成物と同様にして、混合溶液の調製及び分散処理を行なった。
<組成>
・Pigment Green 36(顔料)・・・10部
・Pigment Yellow 139(顔料)・・・2.5部
・高分子分散剤BYK−161(ビックケミー社製)・・・2.5部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業社製、製品名:MMPGAC)・・・35部
【0118】
(ブルー顔料分散組成物B−1の調製)
前記レッド顔料分散組成物R−1の調製において、組成を下記に変更したこと以外は、レッド顔料分散組成物と同様にして、混合溶液の調製及び分散処理を行なった。
<組成>
・Pigment Blue 15:6(顔料)・・・12.5部
・高分子分散剤BYK−161(ビックケミー社製)・・・2.5部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業社製、製品名:MMPGAC)・・・35部
【0119】
−平坦化膜用レジスト液の調製−
下記組成中の諸成分をホモジナイザー攪拌機で混合、攪拌して、平坦化膜用レジスト液を調製した。
<組成>
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=70/30[モル比])共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(45%、重量平均分子量30000、藤倉化成(株)製、製品名:アクリベースFF−187)・・・22部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート・・・6.5部
(日本化薬社製、製品名:KAYARAD DPHA)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業社製、製品名:MMPGAC)・・・13.8部
・エチル−3−エトキシプロピオネート(長瀬産業社製)・・・12.3部
・ハロメチルトリアジン化合物(下記化合物I;PANCHIM社製のトリアジンPP(製品名))・・・0.3部
【0120】
【化6】

【0121】
−平坦化膜の作製−
得られた平坦化膜用レジスト液を、CMOSセンサー上にデバイス封止膜としてPPX膜(ポリペラキシリレン)が形成されたCMOS基板を用意し、このCMOS基板上に スピンコートを用いて塗布した。次いで、塗布膜面の表面温度120℃で120秒間、ホットプレート上で加熱処理し、CMOS基板上に約2μmの膜厚の均一な塗布膜を得た。次いで、220℃の条件下で1時間、オーブンにてその塗布膜を硬化処理して、平坦化膜を形成した。
【0122】
−感光性着色組成物の調製−
次いで、前記レッド顔料分散組成物R−1をサンドミル分散機で混練・分散して得られた顔料分散液を用い、下記組成の成分を混合して感光性着色組成物を調製した。
<組成>
・樹脂A・・・8.54部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=70/30[モル比])共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液〔30質量%、重量平均分子量30000、藤倉化成(株)製、製品名:アクリベースFF−187〕)
・モノマーA・・・3.33部
(製品名:KAYARAD DPHA、日本化薬社製;ジペンタエリスリトールペンタアクリレート)
・前記レッド顔料分散組成物R−1 ・・・27.88部
・溶剤A(有機溶剤)・・・55.78部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;ダイセル化学工業社製、製品名:MMPGAC)
・開始剤A(下記化合物II;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、製品名:IRGACURE OXE01)・・・0.235部
・下記化合物III(一般式(I)で表される紫外線吸収剤)・・・0.755部
・界面活性剤A・・・0.36部
(フッ素系界面活性剤;大日本インキ化学工業社製、製品名:メガファックF−144)
・重合禁止剤A(関東化学(株)製;p−メトキシフェノール) ・・・0.001部
【0123】
【化7】

【0124】
【化8】

【0125】
−塗布膜の作製−
上記より得られた感光性着色組成物を、前記CMOS基板の平坦化膜上にスピンコートにより塗布した後、塗布膜面の表面温度100℃で120秒間、ホットプレートで加熱処理して乾燥させ、乾燥後の膜厚が0.6μmの塗布膜を形成した。
【0126】
−カラーフィルタの画素パターンの作製−
次に、乾燥後の塗布膜に対して、1.0μmの正方ピクセルがそれぞれ基板上の4mm×3mmの領域に配列されたマスクパターンを介して、i線ステッパー(キャノン(株)製のFPA−3000i5+)により、露光量100mJ/cmで露光した。
【0127】
パターン露光された塗布膜は、有機アルカリ性現像液CD−2000(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の60%水溶液を用いて、室温にて60秒間、パドル現像した後、さらに20秒間スピンシャワーにて純水でリンスを行なった。その後更に、純水にて水洗を行なった。その後、水滴を高圧のエアーで飛ばし、基板を自然乾燥させ、220℃で300秒間、ホットプレートでポストベーク処理し、CMOS基板上に着色パターン(着色樹脂被膜)を形成した。
以上のようにして、固体撮像素子用カラーフィルタを作製した。
【0128】
−評価−
上記より得られた固体撮像素子用カラーフィルタについて、下記の評価、測定を行なった。評価、測定の結果は、下記表2に示す。
【0129】
−1.画素パターンの形状−
(1−1)フィルタ面における評価
得られたカラーフィルタの1.0μm四方の画素パターンの形状を、測長SEM(S−4800H、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、CMOS基板上のカラーフィルタの上方から(フィルタ面の法線方向から)3万倍で観察し、画素が隣接する各画素の角(カド)の形状を下記の評価基準にしたがって評価した。なお、角(カド)の形状が丸まっているものは、隣り合う他色のパターン形状と異なるために、画像認識時に混色、ノイズとして計測されてしまい、表示画像の色相やコントラストが低下、ひいてはデバイスの性能を悪化させる。
<評価基準>
○:角(カド)の丸みが小さく、良好な矩形が得られた。
△:角(カド)に丸みができたが、実用上許容できる程度であった。
×:角(カド)に扇状に丸みがついており、矩形が得られなかった。
【0130】
(1−2)画素断面における評価
得られたカラーフィルタの1.0μm四方の画素パターンの形状を、SEM(S−4800H、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、CMOS基板上のカラーフィルタをフィルタ面に垂直な平面で切断した切断面を2万倍で観察し、切断面の形状を下記の評価基準にしたがって評価した。なお、切断面の形状が図1(a)に示す逆テーパーであるものは、形成されたパターンの色相が不均一で表示画像の色相やコントラストを損ない、ひいてはデバイスの性能を悪化させる。また、図1(b)に示す順テーパーであるものは、隣り合う他色のパターン形状と異なるために、画像認識時に混色、ノイズとして計測されてしまい、表示画像の色相やコントラストが低下、ひいてはデバイスの性能を悪化させる。
<評価基準>
○ :切断面は矩形であった。
△ :実用上許容できる程度であるが、切断面はやや順テーパー状であった。
× :切断面は逆テーパー又は順テーパーであった。
【0131】
−2.周辺残渣−
ポストベーク後のカラーフィルタの画素パターンを、測長SEM(S−7800H、(株)日立製作所製)を用いて、CMOS基板上のカラーフィルタの更に上方から3万倍で観察し、目視により残渣の有無を下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
○:現像残渣はなかった。
△:現像残渣が僅かにみられたが、実用上許容できる程度であった。
×:残渣の発生が顕著であった。
【0132】
−3.パターンサイズ−
ポストベーク後のカラーフィルタの画素パターンの形状を、測長SEM(S−7800H、(株)日立製作所製)を用いて、CMOS基板上のカラーフィルタの更に上方から3万倍で観察した。パターンサイズは、マスクパターンの1.0μmの正方ピクセルからの辺長のずれの程度(適性寸法)の観点から、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
○:パターンサイズは0.90μm以上1.10μm未満であった。
×:パターンサイズは0.90μm未満あるいは1.10μm以上であった。
【0133】
−4.365nmの光透過率−
感光性着色組成物をガラス基板(コーニング1737)にスピンコートにより塗布した後、塗布膜面の表面温度を100℃として120秒間、ホットプレートで加熱処理して乾燥させることにより形成した膜厚1.0μmの膜に波長365nmの光を入射し、透過率を分光光度計(機器名MCPD−2000、大塚電子(株)製)にて、膜を通過して透過した光の透過率を測定した。
【0134】
(実施例2〜20)
実施例1において、感光性着色組成物の組成を下記表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、感光性着色組成物を調製し、カラーフィルタを作製すると共に、評価を行なった。評価、測定の結果は下記表2に示す。
【0135】
(比較例1〜15)
実施例1において、感光性着色組成物の組成を下記表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、感光性着色組成物を調製し、カラーフィルタを作製すると共に、評価を行なった。評価、測定の結果は下記表2に示す。
【0136】
【表1】

【0137】
以下、前記表1の紫外線吸収剤等の欄に記載の化合物の構造を示す。
【化9】



【0138】
【化10】

【0139】
【表2】

【0140】
前記表2に示すように、塗布後の365nmの波長光の透過率を10.0%以下に抑え、一般式(I)で表される紫外線吸収剤を用いた実施例では、パターンの形状バラツキが抑えられ、残渣が少なく、矩形の良好なパターンを形成することができた。これに対し、比較例では、所望サイズのパターン形成性が悪く、着色パターンの矩形性に劣っていた。
また、実施例1、実施例3〜9、実施例11〜15、及び実施例17〜20に示すように、塗布後の365nmの波長光の透過率を5.0%以下にすると上面からの形状が更によくできた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受光素子を有する支持体と、前記支持体に設けられ、顔料及び下記一般式(I)で表される化合物を含み、波長365nmの光の透過率が0.1%以上10.0%以下であってパターンサイズが0.5μm以上1.2μm以下である着色画素と、を備えたカラーフィルタ。
【化1】


〔一般式(I)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数6〜20のアリール基を表す。RとRとは互いに同一でも異なっていてもよいが、同時に水素原子を表すことはなく、R及びRは窒素原子と共に環状アミノ基を形成してもよい。R及びRは、各々独立に電子吸引基を表す。〕
【請求項2】
顔料、重合性モノマー、光重合開始剤、及び下記一般式(I)で表される化合物を少なくとも含む感光性着色組成物を、複数の受光素子を有する支持体に塗布し、塗布形成された塗布層を露光し、現像することにより、波長365nmの光の透過率が0.1%以上10.0%以下であってパターンサイズが0.5μm以上1.2μm以下である着色パターンを形成するカラーフィルタの製造方法。
【化2】


〔一般式(I)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数6〜20のアリール基を表す。RとRとは互いに同一でも異なっていてもよいが、同時に水素原子を表すことはなく、R及びRは窒素原子と共に環状アミノ基を形成してもよい。R及びRは、各々独立に電子吸引基を表す。〕
【請求項3】
前記波長365nmの光の透過率が0.1%以上5.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記波長365nmの光の透過率が0.1%以上5.0%以下であることを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項5】
前記光重合開始剤の含有比率が、感光性着色組成物の全固形分に対して1.5〜10質量%の範囲であることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載のカラーフィルタの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−224308(P2010−224308A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72586(P2009−72586)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】