説明

カラー画像形成装置

【課題】カラー画像形成装置でハガキや厚紙も転写紙として使えるようなぺーパーフリー性を達成し、小型化、転写紙の処理操作性の向上等も図る。
【解決手段】感光体ベルト1上に形成されたトナー像を中間転写ベルト10に繰り返し転写して複数のトナー像を重ね合わせて合成トナー像を形成し、これを中間転写ベルト10上から転写紙に一括転写してカラー画像を形成する装置である。中間転写ベルト10は回動ローラ11、12の間に架設して傾斜させて配置し、傾斜ベルト面の下方で感光体ベルト1のトナー像を転写させる。装置本体の下方側に給紙カセット17、上方側にスタック部を配置し、搬送ローラ19、レジストローラ50、転写ローラ14、定着装置49までの搬送経路を中間転写ベルト10とほぼ平行に傾斜させる。この転写紙搬送経路に対して手差し給紙ユニット51から給紙可能に連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体重ねを行うか、中間転写体を有するカラー複写機、カラープリンター、カラーファクシミリなどのカラー画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカラー画像形成装置の代表的なものとしては、潜像を形成する感光体ドラムと転写紙を保持し感光体上のトナー像を転写する転写ドラムを用いた方式のものや、感光体ドラム上に複数のトナーを重ね合わせて転写紙に転写する方式や、感光体ドラム上に形成される各色のトナー像を順次に重ね、例えば中間転写ベルトの同一位置に転写し、この転写像を転写紙に転写する方式が実用化されている。転写ドラムを用いた方式では、静電気的や機械的に転写ドラムに転写紙を保持しなければならないので、ハガキのような小サイズの紙や、厚紙などは転写紙として使用することが困難であり、いわゆるペーパーフリーではない。また機械的に転写紙の先端を保持する方式では、転写紙全面に画像を転写することができない。さらに、転写ドラムとしてA4サイズの転写紙を使用可能な装置で約φ100mm以上のドラム径、A3サイズの転写紙を使用可能な装置で約φ150mm以上のドラム径が必要となるので、装置本体の大型化を招いていた。
【0003】
これに対し、感光体ベルト重ね方式や中間転写ベルト方式では、転写方式としてはハガキや厚紙も転写紙として使えるようなぺーパーフリー性を兼ね備えており、転写ベルトの構成次第では装置本体を小型化することも可能である。しかしながら、搬送システム全体としては、厚紙対応やジャム処理性を考慮している小型化のカラー装置は、本発明者らの知るところでは今までなかった。特に厚紙対応に関しては、近年カラー装置の転写紙への厚紙要求がポスターやクリスマスカードなどの使用でかなりの厚さまでに及んでおり、通常のモノクロレーザープリンタは坪量157g/m2が限度であるのに対し、坪量250g/m2まで要求されるので対応が難しかった。
【0004】
特許文献1に開示の技術では、中間転写ベルトを使用して転写紙搬送経路を上搬送タイプにして小型化を図っているが、搬送経路としては給紙カセット部や排紙スタック部が飛び出しているので、必ずしも装置本体全体としては小型化を達成できていない。また特許文献2に開示の技術では、感光体上カラー色重ね方式で、プロセスカートリッジをクラムシェルタイプの上部本体に保持、転写紙搬送経路を開放可能として一側面より操作可能としているが、搬送経路に厚紙対応のための工夫がなされていない。
【特許文献1】特開平2−294673号公報
【特許文献2】特開平3−271754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、装置本体の搬送品質全体にてハガキや厚紙も転写紙として使えるようなぺーパーフリー性を達成するとともに、装置本体の小型化を図り、転写紙の処理操作性の向上と高画像品質を保ったカラー画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカラー画像形成装置のうち請求項1に係るものは、カラー画像形成装置における装置本体の小型化、厚紙搬送品質の安定化を図るために、静電潜像を形成する担持体を介するか直接複数のトナー像の重ね合わせを行って合成トナー像を形成し、該合成トナー像を転写紙に一括転写するトナー像担持体を有するカラー画像形成装置において、少なくとも2本のローラで架設したベルト状のトナー像担持体の一のベルト面を傾斜させて配置し、装置本体の下方側に第一の給紙部を、上方側に排紙部を配置し、上記傾斜ベルト面の上方に該傾斜ベルト面とほぼ平行な転写紙搬送経路を設け、該傾斜した転写紙搬送経路に対して連結して搬送する第二の給紙部を備えることを特徴とする。
【0007】
同請求項2に係るものは、フリクションパッド給紙における搬送品質の安定化を図るために、上記第二の給紙部をフリクションパッド給紙方式のものとし、転写紙進入方向とパッド分離後からレジストローラまでの搬送路の方向を約20〜40度の角度をなすように設定したことを特徴とする。
【0008】
同請求項3に係るものは、給紙以降の搬送品質安定化を図るために、上記第二の給紙部から上記レジストローラ、転写ローラ、定着装置までの搬送路の方向をほぼ一直線をなすように配置したことを特徴とする。
【0009】
同請求項4に係るものは、ジャム処理の操作性向上を図るために、上記装置本体が不動部筐体に対して下側を中心に転写紙搬送経路が開放可能な前部筐体を有することを特徴とする。
【0010】
同請求項5に係るものは、第二の給紙部の収納性向上を図るために、上記前部筐体に第二の給紙部の転写紙ガイド及び受け部材を、折り畳み収納あるいは着脱可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係るカラー画像形成装置は、少なくとも2本のローラで架設されたベルト状のトナー像担持体の1ベルト面を傾斜配置し、装置本体の下方側に第一の給紙部を、上方側に排紙部を配置し、傾斜した転写紙搬送経路に対して連結して搬送する第二の給紙部を備えるようにしたので、縦横丁度よいバランスの装置の大きさにでき、また第二の給紙部からの傾斜搬送路にかけての分岐角度が鈍角になるので、厚紙搬送時の紙の腰の強さの影響が少なくて済み、第二の給紙部による厚紙搬送品質の安定化が図れるという効果がある。
【0012】
請求項2に係るカラー画像形成装置は、第二の給紙部をフリクションパッド給紙とし、転写紙進入方向とパッド分離後からレジストローラまでの搬送路の方向を約20〜40度傾けて構成したので、上記共通の効果に加え、第二の給紙部の転写紙をほぼ水平にセットしても、第二の給紙部からの転写紙進入方向とパッド分離後からレジストローラまでの搬送路の方向を約20〜40度をなすように設定でき、搬送品質安定化が図れるという効果がある。
【0013】
請求項3に係るカラー画像形成装置は、給紙直後の転写紙搬送路をほぼ一直線上に配置しているので、上記共通の効果に加え、厚紙なども安定して送れ、また用紙先端のローラ突入時や後端抜けによる振動画像ブレが現れることもないという効果がある。
【0014】
請求項4に係るカラー画像形成装置は、ジャム処理のための転写紙搬送経路の開放部位が装置本体の前面部に有り、開放支点を同下側としたので、上記共通の効果に加え、ジャム処理操作が分かりやすく、開放された前カバーの落下などを心配せず安心して操作でき、また、作像系のユニットを動作させずにジャム処理のみが可能となるので、トナー落ちなどの不具合もないという効果がある。
【0015】
請求項5に係るカラー画像形成装置は、第二の絵紙部を傾斜搬送部に折り畳み、収納可能に設けたので、上記共通の効果に加え、スペースを有効利用でき、装置本体の前面出っ張りも押さえられるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係るカラー画像形成装置の実施の形態を図面を参照して説明する。図1に本発明のカラー画像形成装置の一実施形態を示す。図1において、1はベルト状像担持体たる可撓性のベルト状感光体で(以下感光体あるいは感光体ベルトという)、この感光体ベルト1は回動ローラ2、3の間に架設されており、回動ローラ2、3の駆動により図中時計方向に回転、搬送される。4は帯電手段たる帯電チャージャー、5は像露光手段たるレーザー書き込み系ユニット、6はイエロー、マゼンタ、シアンのカラー現像剤を収容した3個の現像手段、すなわち回転型カラー現像器で、7はカラー現像器6とは別に設けてある黒色の現像剤を収容した現像手段である黒現像器である。
【0017】
レーザー書き込み系ユニット5は、図示せぬ半導体レーザーで発生させたレーザービームが駆動モータ5Aにより回転されるポリゴンミラー5Bにより回転走査され、fθレンズ5Cを経てミラーにより光路を曲げられて、予め帯電手段たる帯電チャージャー4によって一様に帯電された感光体ベルト1の円周上に露光され、静電潜像を形成する。このためレーザー書き込み系ユニット5は、上面にスリット状の露光用開口部を設けた保持筐体に収めて装置本体に組み込まれている。給紙カセット17上部でレーザー書き込み系ユニット5の下部には図示せぬ底板が設けてあり、そこにレーザー書き込み系ユニット5を組み込み、各ユニットを支持するために装置本体の側板をローラ軸方向の左右に設け、底板に組み付けてある。レーザー書き込み系ユニット5には図示したものの他に、発光部と収束性光伝送体を一体とした光学系等も使用されている。また帯電チャージャー4、レーザー書き込み光5D、感光体用クリーニングブレード15Aは感光体ベルト1を架設している回動ローラ2側に設けられている。
【0018】
カラー現像器6および黒現像器7は、各々所定の位置で上記感光体ベルト1と近接あるいは接触する現像ローラを各々備え、感光体ベルト1上の潜像を非接触現像あるいは接触現像法により顕像化する機能を有する。10は中間転写体たる中間転写ベルトであり、この中間転写ベルト10は回動ローラ11、12の間に架設して傾斜させて配置し、回動ローラ11、12の駆動により図中反時計回りに回転、搬送される。中間転写ベルト10の下側の傾斜ベルト面は、感光体ベルト1と中間転写ベルト10は回動ローラ3の部位で接触しており、感光体ベルト1上の第一回目の顕像が、中間転写ベルト内に設けられたバイアスブラシ13により中間転写べルト10上に転写され(1次転写位置)、そして同じプロセスを反復することにより、第二回目の顕像、第三回目の顕像、第四回目の顕像が中間転写ベルト10上にそれぞれ重ねられて位置ズレを生じないように転写される。中間転写ベルト10の回動ローラ11上部には、中間転写ベルト10に接離するように二次転写部材たる転写ローラ14が設けられている。この1次転写位置から2次転写位置までの中間転写ベルト10上の距離は、最大画像出力長さ以上に設定してある。
【0019】
図中15は感光体ベルト1のクリーニングブレード15Aを含む廃棄トナー回収容器、16は中間転写ベルト10のクリーニング装置で、中間転写ベルト用クリーニング装置16のブレード16Aは画像形成中には中間転写ベルト10の表面より離間した位置に保たれ、画像二次転写後のクリーニング時のみ図示のように中間転写ベルト10の表面に圧接される。
【0020】
図2はカラー及び黒現像器6、7の内部構成を示し、図3はカラー現像器6の斜視図である。この回転型カラー現像器6には回転体であるケーシング21が回転中心Oを中心に回転自在に設けられており、ケーシング21は図示せぬ駆動機構の駆動により図中時計方向に回転できるようになっている。また、ケーシング21はイエロー、マゼンタ、シアンのカラー現像ユニット22(−Y、M、C)を一体に保持している。各色のカラー現像ユニット22(−Y、M、C)は同一形態及び同一動作を取る。
【0021】
回動ローラ2、3の間に架設された感光体ベルト1は、両回動ローラ2、3間の2つの展張部のうちの一方を外側に押し出すようにバックアップローラ35を設け、上部のベルト面を垂直に、下部のベルト面を若干斜めに傾くようにして、黒現像器7を上部、カラー現像器6を下部に配置してある。即ち、中間転写ベルト10を傾斜させ、感光体ベルト1はほぼ垂直としてあるので、廃棄トナー回収容器15はある一定容量のスペースが確保できている。
【0022】
カラー現像器6における現像位置では、現像ローラ23が感光体ベルト1と所定の線速比をもって感光体ベルト1の移動方向と同方向に回転するように、感光体ベルト1に対向して配設される。また現像ローラ23下方には、発泡ポリウレタン等の弾性体からなる供給ローラ25が摺擦部において現像ローラ23と摺擦し、且つ現像ローラ23と同方向に所定の線速比をもって回転するように設けられている。供給ローラ25の回転方向下流側にステンレス等のバネ性を有する薄板からなる現像ブレード26が、その一端が現像ローラ23に接するように設けられている。
【0023】
図3に示すように、カラー現像器6の手前側にはトナー収容部29が設けられており、スクリュー状の第一トナー搬送部材27は、トナー収容部29からカラー現像器6の後方のカラー現像ユニット22側板に至るまで現像ローラ23及び供給ローラ25と並行して配設され、図の手前から後側に向けてトナーを搬送するようになっている。そして現像ローラ23及び供給ローラ25と連動するとともに、それらと所定の線速比をもって回転する。仕切板24は、その一部が供給ローラ25に接するように配設されており、現像ローラ23、供給ローラ25等により、第一トナー搬送部材27を取り巻くトナー搬送スペースが形成される。供給ローラ25上に供給されたトナーは供給ローラ25により現像ローラ23表面に供給されて帯電し、現像ローラ23表面に担持される。現像ローラ23表面に担持されたトナーは現像ブレード26により薄層化され、感光体ベルト1表面に形成された静電潜像を現像する。
【0024】
ところで、上記現像工程で使用されなかったトナーは、第一トナー搬送部材27によりトナー収容部29対向する側のカラー現像器6の後端部に搬送され、現像ローラ23及び供給ローラ25の軸方向有効径部外側に設けられたトナー循環部に到達し、トナーは重力によりカラー現像ユニット22下部に落下する。カラー現像ユニット22下部には、やはりスクリュー状の第二トナー搬送部材28が現像ローラ23、供給ローラ25および第一トナー搬送部材27と並行して配設され、第一トナー搬送部材27とは逆方向にトナーを搬送するように回転して、前記現像工程で使用されなかったトナーをトナー収容部29に搬送する。第一トナー搬送部27および第二トナー搬送部材28のトナー搬送量を適切に設定することで、カラー現像ユニット22内のトナー量検知や複雑なトナー供給量制御を行うことなく供給ローラ25上にトナーを供給でき、レイアウト自由度が大きく、感光体ベルト1に対する断面占有率の小さな小型カラー現像器6となっている。なお図3のカラートナーカートリッジ30はトナー収容部29に対して着脱自在になっていて、トナー補給時にカラートナーカートリッジ30を交換するようになっている。
【0025】
黒現像器7は現像容器41内に黒のトナーを内包したタイプの現像器で、トナーエンド時が現像器の寿命交換とする、いわゆる現像カートリッジとして一体的に形成された現像器である。カラー現像器6のカラー現像ユニット22と同様に現像ローラ23が感光体ベルト1と所定の線速比をもって感光体ベルト1の移動方向と同方向に回転するように、感光体ベルト1に対向して配設される。また現像ローラ23上方には、発泡ポリウレタン等の弾性体からなる供給ローラ25が摺擦部において現像ローラ23と摺擦し、且つ現像ローラ23と同方向に、所定の線速比をもって回転するように設けられ、さらにステンレス等のバネ性を有する薄板からなる現像ブレード26がその一端が現像ローラ23に接するように設けられている。現像容器41内には、供給ローラ25及び現像ローラ23側にトナーを搬送、撹拌する第一アジテータ42と第二アジテータ43が設けられている。ここではトナーを内包したタイプの現像カートリッジとしたが、当然、カラー現像器のようにトナーカートリッジを交換、補給するタイプの現像器でもよい。また、黒現像器7は感光体ベルト1に対して水平方向に揺動可能で、非現像時には感光体ベルト1より離れ、現像時には感光体ベルト1に接近又は、接触する動作を行う。
【0026】
プロセスカートリッジ31としては、感光体ベルト1、帯電チャージャー4、中間転写ベルト10、中間転写ベルト用クリーニング装置16、レジストローラ50B、搬送ローラ20Bを一体の構成とし、廃棄トナー回収容器15は、プロセスカートリッジ31に対して交換可能に組み込まれている。プロセスカートリッジ31のケース外装部分のレジストローラ50Bの面は搬送ガイドとしての機能も備えている。
【0027】
ここで、中間転写ベルト10上よりクリーニングブレード16Aにて掻き取られた廃棄トナーは、中間転写ベルト用クリーニング装置16内に設けられたオーガ16Bによって断面手前方向に搬送され、さらにプロセスカートリッジ31手前側面に設けられた図示せぬ搬送部材により廃棄トナー回収容器15へ搬送され、取りまとめられる。これにより、プロセスカートリッジ31を交換せずに廃棄トナーは回収可能となるので、プロセスカートリッジの長寿命化が図れる。
【0028】
また搬送ローラ20A、B、レジストローラ50A、B、転写ローラ14、定着装置49の定着ローラ49A、Bまでの搬送経路は、ほぼ中間転写ベルト10の傾斜ベルト面と平行に配置して装置本体の小型化を図ってある。
【0029】
上述したカラー画像形成装置による画像形成のプロセスは次のように行われる。まず多色像の形成は、以下に述べる像形成システムに従って遂行される。即ち、オリジナル画像を撮像素子が走査するカラー画像データ入力部で得られたデータを画像データ処理部で演算処理して画像データを作成し、これは一旦画像メモリー格納される。次いで該画像メモリーは、記録時とりだされて記録部である例えば図1の装置で示したカラー画像形成装置へと入力される。即ち上記プリンタとは別体の画像読み取り装置から出力される色信号が上記レーザー書き込み系ユニット5に入力されると、レーザー書き込み系ユニット5においては半導体レーザー(図示せず)で発生されたレーザービームは駆動モータ5Aにより回転されるポリゴンミラー5Bにより回転走査され、fθレンズ5Cを経てミラーにより光路を曲げられて、予め帯電手段たる帯電チャージャー4によって一様に帯電された感光体ベルト1の円周上に露光され、静電潜像が形成される。
【0030】
ここで、露光する画像パターンは所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン、黒に色分解したときの単色の画像パターンである。形成されたカラー3色の静電潜像は回転型カラー現像器6の回転動作によりイエロー、マゼンタ、シアンの現像ユニットを逐次感光体ベルト1に対向し現像され、顕色化され単色化されて単色画像が形成され(この時、黒現像器7は感光体ベルト1に対して非現像位置まで待避している。)、黒の静電潜像は黒現像器7で現像され、顕色化され単色化されて単色画像が形成される。感光体ベルト1上に形成された単色画像は、感光体ベルト1に接触しながら図中反時計回りに回転する中間転写ベルト10上に順次重ね合わせて転写される。中間転写ベルト10上に重ね合わされたイエロー、マゼンタ、シアン、黒の画像は、給紙カセット17から給紙ローラ18、搬送ローラ19A、B、レジストローラ50A、50Bを経て転写部へ搬送され、転写ローラ14が中間転写ベルト10の回動ローラ11部に転写紙を介して接触し、転写される。この時、転写ローラ14が接触した時点では前述したように中間転写ベルト上の画像後端1次転写部を抜けている。転写終了後、転写紙は定着装置49により定着されてフルカラー画像が完成する。
【0031】
次に装置本体の構成について図1、4に基づいて説明する。装置本体構造としては、不動部筐体たる本体フレーム9部と転写紙搬送経路が開放可能な前部筐体たる前フレーム8によって構成され、本体フレーム9の下部には給紙カセット17を配置し、中央部に各現像器、プロセスカートリッジ31を交換可能に配置し、さらにその上方に定着装置49を配置し、排紙スタック部が形成されている。
【0032】
前フレーム8は、回転支点となる本体フレーム9に設けられた回転支持軸9Aを中心に回動可能となるように支持されており、画像形成出力時は図1に示すように本体フレーム9に保持されている。ジャム処理時は保持を解除することで、時計回り方向へ開放可能となり、テンションスプリングなどの動力で開放状態を維持することができる。前フレーム8には搬送路の一部となるレジストローラ50A、転写ローラ14等が保持されている。これにより前フレーム8の開放時には、図4に示すように搬送経路が開放され、用紙ジャム処理が行われる。この時作像系のユニットを動作させずに、ジャム処理のみが可能となるので、トナー落ちなどの不具合もない。
【0033】
さらに本体フレーム9には、プロセスカートリッジ31を後述する構成で保持し、回転支点となる本体フレーム9に設けられた回転支持軸9Bを中心に回動可能となるように支持された中間フレーム40が図5に示すように左右に設けられている。中間フレーム40は、通常時(プロセスカートリッジ、各現像器の交換時以外)は本体フレーム9に保持されていて、保持を解除することで、図中時計回り方向へ開放可能となる。
【0034】
図6はプロセスカートリッジ31の着脱位置、図7はプロセスカートリッジ31の着脱状態を示す。プロセスカートリッジ31の両側面には着脱操作方向と平行となるためのレール突起32が設けられ、これに対応して中間フレーム40には同様に着脱操作方向と平行となるためのレール状の溝40Aが設けられている。このため、装着時は中間フレーム40にプロセスカートリッジ31が保持される。また、中間フレーム40を図6の位置で支持固定した状態で、プロセスカートリッジ31を矢印方向に操作すれば、プロセスカートリッジ31は中間フレーム40より容易に着脱可能となる。特にプロセスカートリッジ31の先方に取っ手33を設けてあるとさらに操作性が増す。また溝40Aの形状は、プロセスカートリッジ31挿入側をラッパ状に開放してあれば、多少のズレは問題なく装着できる。
【0035】
ここでプロセスカートリッジ31の操作方向は、中間転写ベルト10の2本のローラに張架された方向で、且つ感光体ベルト1の張架されたベルト面が中間転写ベルト面に対してほぼ平行となるよう配置してあるので、現像から転写間のスペースを狭くでき、装置本体の断面をも小さくできる。
【0036】
中間フレーム40はプロセスカートリッジ31の着脱位置に対してさらに開放可能であり、図8に示すように前フレームの開放位置と同じ位置まで達する。この位置でプロセスカートリッジを装着したまま中間フレーム40を支持固定させることで、プロセスカートリッジを一旦装置本体外に退かせることなく、プロセスカートリッジの奥側に配置された各現像器6、7部が大きく開放されるので、各現像器6、7の着脱操作性は良好なものとなる。
【0037】
ここで、中間フレーム40を2段階に支持固定する機構の一例として図7に示すように、中間フレーム40の回転支点下側には溝が2箇所設けてあり、板バネ34が図中の矢印方向に一定のバネ力で揺動するよう本体フレームに組み込まれている。板バネ34の揺動先端部34Aは、中間フレーム40が回転されて溝40B、Cに対応し、入り込むことで、中間フレーム40を2段階にラッチ、支持固定する。このとき、プロセスカートリッジ31の着脱回転方向の位置をプロセスカートリッジの重心位置Gが中間フレーム40の回転中心位置のほぼ鉛直線上になるような位置で支持固定し、着脱移動方向をほぼ鉛直線上にさせるよう取っ手33の位置を合わせることで、プロセスカートリッジを支持固定させるための板バネ34のバネ力が微小ですみ、中間フレーム40の回動操作時の安定感がでて、かつプロセスカートリッジが重力的に不安定な状態に陥ることなく操作できる。また、中間フレーム40の第二の支持固定位置では前フレームの一部利用して回転止めのストッパー部材として使用するならば、中間フレーム40の溝40Cはなくすこともできる。
【0038】
第二の給紙部たる手差し給紙ユニット51を図9、10を参照して説明する。手差し給紙ユニット51は、使用されないときは図1に示すように前フレーム8に搬送路とほぼ平行になるように折り畳み、装置の前面や高さ方向に飛び出さないように収納する。手差し給紙ユニット51は、使用時には図中時計方向に開いてセットする(図9)もので、給紙方式はフリクションパッド方式で構成されている。図中52は転写紙底板で、回転軸52Aを中心に回動可能で、スプリング52Bにより手差しローラ53側へ加圧されている。また図中54は転写紙両サイドを揃えるサイドガイドで、底板52に対して横方向に摺動可能となっている。手差しローラ53にはさらに、パッド台55に組み込まれたフリクションパッド55Aがスプリング55Bによって手差しローラ53側へ加圧されており、手差し給紙ユニット51にセットされた転写紙の1枚目だけが手差しローラ53の回転によって搬送される構成となっている。
【0039】
即ち本実施形態装置は、通常頻繁に使用される普通紙は装置本体の内部に配置されている給紙カセットから搬送させ、たまに厚紙などの特殊紙を通紙するときには、手差し給紙ユニット51から搬送させるように使い分けるものである。
【0040】
ここで転写紙の進入方向に対しフリクションパッド55Aの表面は、適宜角度だけ傾斜させる(図11中の角度θ)ことが分離性能上必要とされている。即ち、多数枚送り可能なフリクションパッド給紙は、摩擦分離方式の中で最も簡単な構成で、分離可能な紙質の範囲が広く取れるが、転写紙進入方向とパッド面の角度は20〜40度、好ましくは20〜35度に設定することが望ましい。また、手差しローラ53の次のローラの搬送方向によっては、フリクションパッド55Aの分離性能に影響する。図11において転写紙Pを図中矢印H方向に搬送すると、フリクションパッド55Aを転写紙Pが押し下げてしまい、分離圧が低下して重送を引き起こすので、図中矢印F方向(パッド面に対し数度上向き)に次のローラの搬送方向を合わせなくてはならない。そこで図12に示すように、転写紙Pの進入方向とパッド分離後からレジストローラ50までの搬送路の方向を約20〜40度の角度をなすように設定し、また手差しローラ53からレジストローラ50、転写ローラ14、定着装置49までの搬送路の方向をほぼ一直線上になるように配置してある。なお、転写ローラ14から定着装置49のローラ49A、49B間は、腰の弱い転写紙にも対応する場合は、突入位置が多少下方向にずれるので、定着ローラ49A、49B位置は直線上より多少下方向になることもある。
【0041】
なお以上説明してきた実施形態は、中間転写体ベルト方式のものであるが、図13に示す本発明の第2の実施形態装置のように感光体ベルト1'上で4色重ねを行う方式でも、搬送部に関しては同形状、同構成が取れる。この場合は、帯電チャージャー4を廃棄トナー回収容器15の下方に配置し、その下にレーザー書き込みが来るようにレーザー書き込み系ユニット5を配置し、さらにその下にカラー及び黒現像器6、7を配置させる。これは、トナー像担持体として中間転写体ベルトを用いるか感光体ベルトを用いるかの違いによるのみの差異である。感光体ベルト方式では図のようにさらに小型化が可能であるが、この方式では予め転写されたトナー像の上から再度感光体上を帯電露光して潜像を形成し、現像を行うというプロセスを複数回行うため、帯電の均一性を良好に保つことが困難であり、画質は中間転写体ベルト方式に比べ劣る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のカラー画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のカラー画像形成装置のカラー及び黒現像器の内部構成を示す断面図である。
【図3】図1のカラー画像形成装置のカラー現像器の斜視図である。
【図4】図1のカラー画像形成装置の前フレームをあけた状態の断面図である。
【図5】プロセスカートリッジと、その支持用の中間フレームの斜視図である。
【図6】プロセスカートリッジの着脱位置を示す断面図である。
【図7】プロセスカートリッジの着脱状態を示す側面図である。
【図8】中間フレームの開放状態の断面図である。
【図9】図1のカラー画像形成装置の第二の給紙部たる手差し給紙ユニットをあけて使用する状態の断面図である。
【図10】図9の状態の転写紙搬送状態を示す要部の断面図である。
【図11】図9の状態における転写紙の搬送方向と分離性能を説明するための断面図である。
【図12】図9の状態の転写紙搬送状態を示す概念図である。
【図13】本発明のカラー画像形成装置の他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 感光体ベルト
2、3 回動ローラ
4 帯電チャージャー
5 レーザ−書き込み系ユニット
6 カラー現像器
7 黒現像器
8 前フレーム
9 本体フレーム
10 中間転写ベルト
11、12 回動ローラ
13 バイアスブラシ
14 転写ローラ
15 廃棄トナー回収容器
16 中間転写ベルト用クリーニング装置
17 給紙カセット
18 給紙ローラ
19A、19B、20A、20B 搬送ローラ
21 ケーシング
22 カラー現像ユニット
23 現像ローラ
24 仕切板
25 供給ローラ
26 現像ブレード
27 第一トナー搬送部材
28 第二トナー搬送部材
29 トナー収容部
30 カラートナーカートリッジ
31 プロセスカートリッジ
32 レール突起
33 取っ手
34 板バネ
35 バックアップローラ
40 中間フレーム
41 現像容器
42 第一アジテータ
43 第二アジテータ
49 定着装置
49A、49B 定着ローラ
50A、50B レジストローラ
51 手差し給紙ユニット
52 底板
53 手差しローラ
54 サイドガイド
55 パッド台
55A フリクションパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を形成する担持体を介するか直接複数のトナー像の重ね合わせを行って合成トナー像を形成し、該合成トナー像を転写紙に一括転写するトナー像担持体を有するカラー画像形成装置において、少なくとも2本のローラで架設したベルト状のトナー像担持体の一のベルト面を傾斜させて配置し、装置本体の下方側に第一の給紙部を、上方側に排紙部を配置し、上記傾斜ベルト面の上方に該傾斜ベルト面とほぼ平行な転写紙搬送経路を設け、該傾斜した転写紙搬送経路に対して連結して搬送する第二の給紙部を備えることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
上記第二の給紙部をフリクションパッド給紙方式のものとし、転写紙進入方向とパッド分離後からレジストローラまでの搬送路の方向を約20〜40度の角度をなすように設定したことを特徴とする請求項1のカラー画像形成装置。
【請求項3】
上記第二の給紙部から上記レジストローラ、転写ローラ、定着装置までの搬送路の方向をほぼ一直線をなすように配置したことを特徴とする請求項1または2のカラー画像形成装置。
【請求項4】
上記装置本体が不動部筐体に対して下側を中心に転写紙搬送経路が開放可能な前部筐体を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかのカラー画像形成装置。
【請求項5】
上記前部筐体に第二の給紙部の転写紙ガイド及び受け部材を、折り畳み収納あるいは着脱可能としたことを特徴とする請求項4のカラー画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−201808(P2006−201808A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102882(P2006−102882)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【分割の表示】特願2004−217692(P2004−217692)の分割
【原出願日】平成8年4月25日(1996.4.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】