説明

カラー表示装置,液晶表示装置、および半透過液晶表示装置

【課題】
カラー表示装置において赤色(R),緑色(G),青色(B)副画素に加えて、白色(W)副画素を配線数を増加させずに追加すると単位面積あたりの色毎の画素数が減るために解像度が劣化する。
【解決手段】
視感度に応じて副画素の面積および数を調整する。具体的には、視感度の相対的に低い赤色(R)及び青色(B)副画素の面積を視感度の相対的に高い緑色(G)及び白色(W)副画素の面積の略2倍とし、緑色(G)及び白色(W)副画素の数を赤色(R)及び青色(B)副画素の2倍とする。大きい方の副画素は複数の単位副画素から構成される。小さい方の副画素は一つの単位副画素から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示するカラー表示装置,液晶表示装置、および半透過液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー表示装置としては、CRT(Cathode Ray Tube),液晶表示装置(LCD、Liquid Crystal Display),プラズマディスプレイパネル(PDP、Plasma Display Panel),有機LED(OLED、Organic Light Emitting Diode),フィールドエミッションディスプレイ(FED、Field Emission Display),電気泳動やエレクトロクロミックに代表される電子ペーパー表示装置等、様々な方式が実用化されている。カラー表示を実現するための手段として主流な方式は、非発光型の方式であるLCDにおいては、赤色(R),緑色(G),青色(B)の三原色カラーフィルタ備えた副画素を並置して画素を構成し、各副画素毎の明るさを任意に調整して加法混色により色を表現する方式である。また、発光型の方式である他の方式においては、赤色(R),緑色(G),青色(B)の三原色の蛍光体を備えた副画素を並置して画素を構成し、LCDと同様に各副画素毎の明るさを任意に調整しLCDと同じく加法混色により色を表現している。
【0003】
三原色の副画素を並置して加法混色によりカラー表示を行う方式の場合色鮮やかなカラー表示が可能な反面、各原色が割り当てられる副画素の面積が画素の面積の1/3であるため効率が低く十分な光量を確保しようとする場合に問題が生じる。
【0004】
この問題を解決する方法の一つとして、特許文献1に記載のような白色(W)の副画素を追加する構成が提案されている。非発光型のLCDにおける白色(W)の副画素においては、カラーフィルタの光吸収がないため、光源の利用効率を高めることができる。発光型の方式における白色(W)の副画素は単位面積あたりの輝度が高いために、表示装置の高輝度化が容易である。
【0005】
白色(W)の副画素を追加する場合に、単純に副画素を追加すると信号線ないしは走査線のいずれかないし双方が増加するという副作用が存在する。白色(W)の副画素追加によっても配線数を増加させない画素構成について記述している例としては特許文献2が挙げられる。
【0006】
三原色の副画素を並置して加法混色によりカラー表示を行う方式の場合の他の課題として、色再現範囲が三原色の各色の色度座標から決定される3角形の範囲内に限られてしまい、自然界の実際の色のうち再現できない領域が広く残るという点が挙げられる。本課題の解決方法としては四原色の副画素を並置することにより色再現範囲を3角形から4角形に広げる試みがなされている。
【0007】
四原色の表示装置の例としては特許文献3が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−295717号公報
【特許文献2】US20050225575
【特許文献3】特開2005−338783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
カラーフィルタによる吸収損失を軽減する方法として白色(W)画素を追加することは有効であるが、単純に赤色(R),緑色(G),青色(B)に加えて白色(W)副画素数を増やすことになるため配線数が増加してしまう。この問題を特許文献2に記載の方法で解決しようとした場合には、精細度の赤色(R),緑色(G),青色(B)並置方式に比べて横方向の色毎の画素数を半分にしているため、副作用として解像度低下の問題が発生する。300ppi(Pixels per inch)を超えるような超高精細表示装置の場合にはこの副作用は顕在化し難い。しかしながら、200ppi 前後の中精細から高精細表示装置においては画像によっては本副作用が顕在化する。本発明は解像度の低下を防止しながらカラーフィルタによる吸収損失を軽減した表示装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、特に液晶表示装置の場合の課題として、カラーフィルタによる損失の低減と同時に副画素の周辺部分を遮光するためのブラックマトリクスによる損失の低減が挙げられる。あるいはまた、特に液晶表示装置として同一基板上に形成されたコモン電極とくし歯状の信号電極により液晶を駆動する方式を採用した場合の課題として、隣接する副画素間での混色を防止するために、くし歯状の信号電極端部と信号線との距離を十分確保する必要があるが、それによる損失を低減することも課題として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため本発明においては、複数の赤色(R),緑色(G),青色(B),白色(W)副画素から構成される単位画素配列をマトリクス状に配列してカラー表示を行うカラー表示装置において、各色の総面積は略等しくしながらも、色毎に副画素の面積及び数が異なっていることを特徴とするカラー表示装置を提供する。
【0012】
より具体的には、赤色(R)及び青色(B)副画素の面積を緑色(G)及び白色(W)副画素の面積の略2倍とし、緑色(G)及び白色(W)副画素の数を赤色(R)及び青色(B)副画素の数の2倍とし、繰り返し単位の画素単位構成に含まれる副画素が、2個の赤色(R)副画素と2個の青色(B)副画素と4個の緑色(G)副画素と4個の白色(W)副画素の合計12副画素から構成する。
【0013】
また、各副画素は1つないし複数連続して配置された略同じ面積の単位副画素から構成されており、赤色(R)及び青色(B)副画素は2個の単位副画素から構成されており、緑色(G)及び白色(W)副画素は1つの単位副画素から構成されている。
【0014】
また、カラー液晶表示装置における上記課題を解決するため本発明においては、複数の赤色(R),緑色(G),青色(B),白色(W)副画素から構成される単位画素配列をマトリクス状に配列してカラー表示を行うカラー表示装置が2枚の基板間に設けた間隙に液晶を充填されたカラー液晶表示装置であって、赤色(R)副画素と緑色(G)副画素の間、及び青色(B)副画素と緑色(G)副画素の間にはブラックマトリクスを形成し、赤色(R)副画素と白色(W)副画素の間、及び青色(B)副画素と白色(W)副画素との間にはブラックマトリクスを形成しないことを特徴とするカラー液晶表示装置を提供する。
【0015】
前記カラー液晶表示装置においては、赤色(R)ないし青色(B)副画素と白色(W)副画素との間における赤色ないし青色カラーフィルタの境界を赤色(R)ないし青色(B)副画素と白色(W)副画素との間の信号線よりも白色(W)副画素側に配置するとなおよい。
【0016】
あるいはまた、複数の赤色(R),緑色(G),青色(B),白色(W)副画素から構成される単位画素配列をマトリクス状に配列してカラー表示を行うカラー表示装置が2枚の基板間に設けた間隙に液晶を充填されたカラー液晶表示装置における上記課題を解決するため本発明においては、前記各副画素において一方の基板上に設けられたコモン電極とくし歯状の信号電極により液晶を駆動される構成をとっており、色によって信号線と信号電極端部との距離を変えていることを特徴とするカラー液晶表示装置を提供する。
【0017】
さらに前記カラー液晶表示装置においては、色によってくし歯状の信号電極のくし歯の本数を変えるとなおよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、配線数を増やさずに白色(W)画素を追加することによりカラーフィルタによる損失を軽減して、なおかつ解像度の低下を軽減した表示装置ならびにそれを用いた情報端末機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1の表示装置の平面図。
【図2】本発明の実施例1の画素単位構成の説明図。
【図3】本発明の実施例1の画素単位構成の他の例の説明図。
【図4】本発明のブラックマトリクスレイアウト方法の応用例の説明図。
【図5】従来のR,G,B並置方式における実施例1と同等の面積の画素配列の説明図。
【図6】信号配線駆動回路における階調生成部および階調電圧セレクタの説明図。
【図7】携帯電話システムの説明図。
【図8】本発明の実施例3の画素単位構成の説明図。
【図9】本発明の実施例3の画素単位構成の他の例の説明図。
【図10】本発明の実施例4の画素単位構成の説明図。
【図11】本発明の実施例4の画素単位構成の他の例の説明図。
【図12】本発明の実施例4の画素単位構成の他の例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図を用いて各実施例を説明します。
【実施例1】
【0021】
図1を用いて本実施例の構成について説明する。図1は本実施例の表示装置の平面図であり、色毎に設けられた副画素からなる画素がマトリクス状に配置された表示領域における複数の画素である。本実施例の表示装置は液晶表示装置であり、各副画素毎に設けられた薄膜トランジスタ,配線などをマトリクス状に配置した第一の基板とカラーフィルタやブラックマトリクスを配置した第二の基板との間に液晶層が充填された構成であり、いわゆるアクティブマトリクス駆動方式である。第一の基板及び第二の基板の液晶層とは反対側の表面には偏光板などの光学フィルムが貼付けされている。本実施例の表示装置は、図示されていないバックライトを光源として、偏光板を通過した偏光を液晶層を電気的に制御することによりその偏光状態を変調し、他方の偏光板の透過率を変調することにより任意の明るさの表示を行うことができる。
【0022】
図1は周期的に配列された画素の単位構成120を示しており、赤色(R)副画素121R及び青色(B)副画素121Bは各々2つずつ、緑色(G)副画素121G及び白色(W)副画素121Wは各々4つずつ、合計12副画素を含んでいる。赤色(R)副画素121R及び青色(B)副画素121Bについては、さらに単位副画素109に分割することができ、赤色(R)副画素121R及び青色(B)副画素121Bは2つの単位副画素から構成されている。赤色(R)副画素121R及び青色(B)副画素121Bの縦横比は横1に対し概ね縦2である。一方、緑色(G)副画素121G及び白色(W)副画素121Wの縦横比は概ね1:1である。緑色(G)副画素121G及び白色(W)副画素121Wは1つの単位副画素109から構成されている。
【0023】
赤色(R)副画素121R及び青色(B)副画素121Bと緑色(G)副画素121G及び白色(W)副画素121Wの面積は異なっており、前者の面積は後者の略2倍である。
【0024】
このように赤色(R)副画素121R及び青色(B)副画素121Bと緑色(G)副画素121G及び白色(W)副画素121Wとで数及び面積を変えている理由は視感度と解像度との関係に基づく。人間の目は視感度が高い色の分解能が視感度の低い色の分解能に比べ相対的に高いことが知られている。本実施例においては、赤色(R),緑色(G),青色(B),白色(W)のうち相対的に視感度の高いG、W副画素の数を相対的に視感度の低いR,B副画素の数に対して2倍としている。
【0025】
各副画素の配列を単純化して表記した図を図2に示す。また、従来のR,G,B並置方式において、図2に示した本実施例の画素単位構成120と同等の面積の副画素配列を単純化して表記した図を図5に示す。従来のR,G,B並置方式においては、1つの画素は3つの副画素からなっており、図5は2×2の画素における合計12副画素を示している。図2と図5を比較すると分かるように、本実施例は白色(W)副画素121Wを追加しているが、同等の面積における副画素数は同じく12副画素である。緑色(G)副画素121G及び白色(W)副画素121Wの数は同等であるのに対し、赤色(R)副画素121R及び青色(B)副画素121Bの数は半分としている。
【0026】
図2の副画素配列の変形例として図3のような、一部の緑色(G)副画素と白色(W)副画素の配置を図2の配列とは入れ替えた構成も可能である。
【0027】
画素は少なくとも第一の基板上に形成された走査線101,第一の信号線102B,第二の信号線102G,第三の信号線102W,薄膜トランジスタ103R,103G,103B,103W,コモン電極104(図1中の記号はコモン電極に設けられたコンタクトホールを示している),アモルファスシリコン層105,信号電極106及び113と、第二の基板上に形成されたブラックマトリクス110,赤色(R)カラーフィルタ111R,緑色(G)カラーフィルタ111G,青色(B)カラーフィルタ111B,白色(W)カラーフィルタ111Wと、第一の基板と第二の基板との間に設けられた間隙に充填された液晶層から構成されている。ブラックマトリクス110は遮光が目的であるため不透明であるが、図中においては背景の構成を隠さないように輪郭を示すに留めている。赤色(R)カラーフィルタ111R,緑色(G)カラーフィルタ111G,青色(B)カラーフィルタ111Bについては、既存のカラーレジストにより形成されている。白色(W)カラーフィルタ111Wとしては、カラーレジストを除去しておくか、あるいはカラーレジストが除去されたことにより形成された段差を透明なレジストにより埋めて形成しても良い。走査線101,信号線102B,102G,102W,信号電極106は低抵抗の金属材料により形成されている。コモン電極104や信号電極113は透明電極により形成されている。信号電極106と信号電極113はコンタクトホール107,108を介して接続されている。液晶層はコモン電極104と信号電極113との間に印加される電界により駆動される。本実施例は薄膜トランジスタ103においてアモルファスシリコン層105を用いたアモルファスシリコン薄膜トランジスタを用いているが、他のトランジスタ方式、例えば低温ポリシリコントランジスタや有機トランジスタなどを用いてもかまわない。
【0028】
(他のディスプレイについての記述)
本発明の副画素配列は本実施例において述べた液晶表示装置以外の他の表示装置、例えば有機LED,電気泳動やエレクトロクロミック等の電子ペーパー表示装置,プラズマディスプレイパネル,フィールドエミッションディスプレイパネル,CRT等においても適用できるのはいうまでもない。
【0029】
有機LEDやプラズマディスプレイパネル等の自発光型の表示装置においては、液晶表示装置におけるカラーフィルタの役割に相当するのが各色毎の蛍光体であることは言うまでもない。
【0030】
自発光型の表示装置においても白色蛍光体とカラーフィルタとを組み合わせてカラー表示を行う方式が知られているが、その場合には本実施例の液晶表示装置と同様な考え方で設計できる。
【0031】
(単位副画素についての詳細)
赤色(R)副画素121R及び青色(B)副画素121Bは次に述べる理由により同一の信号線に薄膜トランジスタ103が接続された2つの単位副画素109から形成されている。本実施例の副画素は色毎にサイズが異なっているが、もしも大きいほうの副画素である赤色(R)副画素121Rないし青色(B)副画素121Bを単位副画素109に分割しなかった場合、薄膜トランジスタ103Rないし103Bで駆動するべき液晶層の面積が緑色(G)副画素121Gないし白色(W)副画素121Wのそれとは異なってしまう。したがって、薄膜トランジスタ103が担う液晶層を誘電体としたいわゆる液晶容量の大きさが色毎に異なってしまう。あるいは、副画素の大きさが色毎に異なると信号電極113と信号線102との間の寄生容量の大きさが色毎に異なってしまう。アクティブマトリクス駆動においては、薄膜トランジスタ103自身の容量や寄生容量に起因するフィードスルー電圧が駆動電圧の誤差として発生する。フィードスルー電圧は液晶容量や寄生容量の大きさに依存する。したがってもしも液晶容量や寄生容量が副画素毎に異なると、フィードスルー電圧も異なってしまう。各副画素のフィードスルー電圧が一定であれば、コモン電位と信号電位との相対関係を補正することによりフィードスルー電圧の影響を緩和することも可能であるが、副画素毎にフィードスルー電圧が異なる場合には補正できない。このため、本実施例においては大きいほうの副画素を小さい方の副画素と同じ大きさの単位副画素で分割し、各薄膜トランジスタ103が担うべき液晶容量や寄生容量が略等しくなるように構成している。この構成により、フィードスルー電圧の副画素依存性が十分小さく抑えることができ、副画素の面積が色毎に異なる構成においても、従来から知られているフィードスルー電圧対策をそのまま適用することができるようにしている。
【0032】
(他のディスプレイ方式についての説明)
ここまで本実施例は主としてアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置について述べたが、本発明の大きさの異なる副画素のうち大きいほうの副画素を単位副画素に分割した構成は他のアクティブマトリクス駆動方式の表示方式、具体的には有機LED表示装置、電気泳動やエレクトロクロミック等の電子ペーパー表示装置、においても適用できるのはいうまでもない。なぜならば、アクティブマトリクス駆動方式の場合、各副画素の薄膜トランジスタ103の担う容量が変動するとノイズとしてのフィードスルー電圧が変動してしまうことにより表示画像が意図した明るさからずれてしまう現象は共通であるからである。
【0033】
(ブラックマトリクスについて)
ブラックマトリクス110の役割としては次に示すいくつかの理由が挙げられる。(1)薄膜トランジスタ103への外光の浸入の防止、(2)液晶層が所定の動きを示さず黒表示時に光漏れを生じてしまう領域の遮光、(3)第一の基板と第二の基板とを張り合わせた際にずれが発生した場合にカラーフィルタが隣接副画素に露出することの防止、などが主たる理由である。三番目の理由からR−G間,G−B間,R−B間にはブラックマトリクスが設けられている。例えば彩度の高い赤色(R)表示をしている場合には赤色(R)副画素121Rのみ点灯し、隣接する緑色(G)副画素121Gや青色(B)副画素121Bは非点灯である。第一の基板と第二の基板がずれていて、緑色(G)カラーフィルタ111Gないし青色(B)カラーフィルタ111Bが赤色(R)副画素121Rに一部重畳すると混色が生じてしまう。このため第一の基板と第二の基板とのずれがある一定の範囲内であれば混色が生じないように隣接副画素間にブラックマトリクスが形成されている。このブラックマトリクス配置の副作用は、表示に有効な領域を一部遮光してしまい効率が低下することである。
【0034】
そこで本実施例のW−B間,W−R間の一部にはブラックマトリクスを設けていない。白色(W)副画素121Wを点灯するのは彩度の低い色であることから、青色(B)副画素121B及び赤色(R)副画素121Rも同時に点灯する。したがって、赤色(R)カラーフィルタ111Rないし青色(B)カラーフィルタ111Bが白色(W)副画素121Wに僅かに重畳しても影響は無視できる。この観点からW−B間,W−R間の一部にはブラックマトリクスを設けていない。ただし、W−R間でブラックマトリクスを設けていない領域における赤色(R)カラーフィルタの境界112Rは白色(W)画素側に設けられている。また、W−B間でブラックマトリクスを設けていない領域における青色(B)カラーフィルタの境界112Bについても同様に白色(W)副画素側に設けられている。これは、第一の基板と第二の基板とを張り合わせた際にずれたとしても白色(W)カラーフィルタが隣接する青色(B)副画素ないし赤色(R)副画素に浸入しないようにするためである。本実施例のブラックマトリクスレイアウトにより、本来表示に有効な領域をブラックマトリクスにより遮光して低下させていた効率を回復させている。
【0035】
本実施例と同様な原理により液晶を駆動する従来のカラー表示装置においては、隣接する副画素の信号電極113の端部間の距離は電界の隣接副画素への漏れに起因する混色を防止するために一定の距離を確保しておく必要がある。効率の観点からはこの距離はやや広過ぎる。なぜならば、信号線102と信号電極113の端部との距離が広いと、この間の領域を効率よく駆動することが困難となるためである。本実施例においては、副画素間に2本の信号線102B及び102Wが配置される部分が存在しており、この部分においては信号電極113の端部の隣接副画素間の距離は十分確保できる。したがって、2本の信号線102B及び102Wに隣接する副画素の信号電極113端部と信号線102Bないし102Wとの距離は、1本の信号線102Gに隣接する副画素の信号電極113端部と信号線102Gとの距離に比べ短くしている。
【0036】
本構成のブラックマトリクスの配置は他のカラーフィルタ配列方式においても適用できる。
【0037】
図4は特許文献2に記載のようなカラーフィルタ配列に本実施例のブラックマトリクスレイアウトを適用した場合についての説明図である。緑色(G)副画素と赤色(R)副画素との間、緑色(G)副画素と青色(B)副画素との間には基板合わせずれ起因の混色を防止するためにブラックマトリクス110を設けているのに対し、白色(W)副画素の左右にはブラックマトリクス110を設けていない。
【0038】
また、青色(B)副画素のカラーフィルタの境界112Bは信号線102よりも白色(W)副画素側に設けており、赤色(R)副画素のカラーフィルタの境界112Rも信号線102よりも白色(W)副画素側に設けている。これは、基板合わせずれが生じたとしても白色(W)副画素のカラーフィルタが赤色(R)ないし青色(B)副画素に浸入しないようにするためである。白色(W)副画素の信号電極113Wのくし歯本数は他の色の信号電極113のくし歯本数に比べて増やしている。隣接する副画素の信号電極113の端部間の距離は電界の隣接副画素への漏れに起因する混色を防止するために一定の距離を確保しておく必要がある。
【0039】
しかしながら効率の観点からはこの距離はやや広過ぎる。三原色の副画素に加えて白色(W)副画素を設けた構成の場合、赤色(R)副画素ないし青色(B)副画素を点灯する際に白色(W)副画素を消灯することはあるが、逆に白色(W)副画素を点灯する場合には赤色(R)副画素、青色(B)副画素は同時に点灯するため、白色(W)副画素の信号電極113W端部の電界が隣接する副画素に漏れることに起因する混色を心配する必要がない。したがって、三原色の他の副画素とは異なり白色(W)副画素の信号電極113Wのくし歯の本数を増やし、信号電極113W端部と信号線102との間の距離を三原色の副画素における信号電極113の端部と信号線102との間の距離に対して短くしている。
【実施例2】
【0040】
単位副画素構成を取らない場合の周辺回路の工夫
本実施例は、図2ないし図3に示した画素配列において、単位副画素構成を採用せずに色毎に副画素サイズが異なる場合に生じる課題の、実施例1とは異なる解決方法である。色毎に副画素サイズが異なる場合に生じる問題点は、各副画素の電気特性(保持容量,寄生容量)が異なることにより、副画素毎にフィードスルー電圧が異なり、最適コモン電位が異なった値をとることである。大きさの異なる副画素を夫々第1種の副画素と第2種の副画素と称する。大きさの異なる第1種の副画素と第2種の副画素、それぞれに最適な階調電圧を供給する方法について図6を用いて説明する。本実施例では、第1種の副画素を緑色(G)と白色(W)副画素、第2種の副画素を赤色(R)と青色(B)副画素とした場合について説明する。
【0041】
図6(a)は、構成の概略図である。階調電圧生成部305はV0からV255の256個の階調電圧を階調電圧セレクタ302に供給する。階調電圧セレクタは、前記256個の階調電圧から、画像データに対応する階調電圧を画像データ出力端子4001に出力する。セレクタスイッチ4002は、画像データ出力端子4001を信号SELにしたがって、緑色(G)と白色(W)の副画素に接続されている信号配線4003又は、赤色(R)と(B)の副画素に接続されている信号配線4004に接続する。図6(a)では、セレクタスイッチ4002を液晶パネル上に作製した場合を示していて、画像データ出力端子4001は、信号配線数の半分になっている。例えば、図6(b)のように、セレクタスイッチ4002を信号配線駆動回路内に作製し、画像データ出力端子4001が信号配線の数だけ存在する構成も考えられる。
【0042】
階調電圧生成部は、電流増幅を行うオペアンプ3052と階調数を増やすためのストリング抵抗3083からなる出力段3080と、第1階調電圧の基準電圧を生成する第1ラダー抵抗3081と第2階調電圧の基準電圧を生成する第2ラダー抵抗3082と、第1ラダー抵抗および第2ラダー抵抗から出力される電圧を、信号SELに同期して切り替えて、前記オペアンプ3052に電圧を出力する基準電圧切り替えスイッチ3084を有する。本実施例においては、各ラダー抵抗を、液晶の極性反転周期に同期した極性反転信号Mによって制御されるスイッチも記載されている。このスイッチによって、極性反転にも同期してラダー抵抗値が切り替わる。本構成は、2種類のラダー抵抗で基準電位を、少なくても2系統生成し、信号SELで切り替えてオペアンプに入力することで、第1階調電圧及び第2階調電圧を信号配線に供給する構成である。
【0043】
その他の構成としては、ラダー抵抗を一本とし、その抵抗値を時分割で変更できる構成としても、第1階調電圧及び第2階調電圧を信号配線に時分割で供給できるし、ストリング抵抗を時分割で制御する構成も考えられる。
【0044】
図7は、本発明を携帯電話機に適用した場合のブロック図である。図7において、1004はホスト局を表し、1000は携帯電話機を表している。携帯電話機の主な構成要素は、入力手段1001,主メモリ1002,送受信部1003,CPU,液晶表示装置1である。また、液晶表示装置の主な構成要素は、液晶パネル2,信号配線駆動回路3,走査配線駆動回路4,電源回路5,バックライト部6である。さらに、信号配線駆動回路3の構成要素はタイミング制御回路300,メモリ301,階調電圧セレクタ302,インターフェイス303,制御レジスタ304,階調電圧生成部305である。
【0045】
携帯電話機1000のCPUは、携帯電話機の各種動作制御を行う。液晶表示装置1の制御に関しては、前記ホスト局1004から受信した情報や、主メモリ1002内に記録されていたデータを表示できるように、表示同期信号及び画像データ306をタイミング制御部300に出力する。また、動作を規定するデータ307(本実施例では、このデータをインストラクションと呼ぶことにする。)を発行する。インターフェイス303はCPUとインストラクションを含むデータの送受信を行い、また、制御レジスタ304とも前記データの送受信を行う。インストラクションは制御レジスタ304に格納される。
【0046】
信号配線駆動回路3は信号線101を、走査配線駆動回路4は走査線102を駆動する。電源回路5は、携帯電話機から供給される電圧を元に、信号配線駆動回路3,走査配線駆動回路4に電源電圧を供給する。また、該回路は対向電極を駆動する回路を内蔵する。
【0047】
タイミング制御部300は画像データをメモリ301からリードし、1行分の画像データを、階調電圧セレクタ302に順次一斉に出力する。階調電圧セレクタ302は画像データに従って、階調電圧生成部305で生成される階調電圧の何れかの電圧を選択して各信号配線に電圧を印加する。階調電圧生成部305は全階調数分の階調電圧を生成する部位である(64階調表示の場合、64個の電圧を生成する。)。
【実施例3】
【0048】
(RGBC配列)
本実施例は、図2ないし図3に示した副画素配列におけるカラーフィルタの他の構成について述べる。図2ないし図3においては、三原色の赤色(R),緑色(G),青色(B)に加え白色(W)副画素を備える構成であったが、図8ないし図9に示したように赤色(R)及び青色(B)に比べて視感度の高い緑色(G)及び白色(W)副画素を夫々同じく視感度の高い青味を帯びた緑色(CG)及び黄色味を帯びた緑色(YG)とした四原色の構成としてもよい。この構成の効果は三原色の赤色(R),緑色(G),青色(B)だけの場合に比べて色再現範囲を広げることができることである。それでいてなおかつ、三原色の赤色(R),緑色(G),青色(B)のみの従来の画素構成に対して信号線及び走査線の数は増えていない。そのため、同じ面積の四原色の副画素を並置した構成に比べて開口率を高めることが可能であり、高効率かつ広色再現範囲の表示装置を実現できる。
【実施例4】
【0049】
(半透過の場合)
本実施例は、副画素が透過部と反射部とから構成される半透過液晶表示装置に関する。三原色の赤色(R),緑色(G),青色(B)の副画素のみからなる、従来の半透過液晶表示装置においては、充分な反射率と透過表示の高色再現性とを両立させるために、反射部におけるカラーフィルタを一部除去して白色の領域を副画素内に設ける構成がとられている。反射表示は白黒でもよいという場合には、図10ないし図11に示したように白色(W)副画素にのみ反射部121W(R)を設ける構成としてもよい。あるいはまた、図12に示したように全ての副画素に反射部121B(R),121G(R),121R(R),121W(R)を設けて半透過仕様の画素とした場合に、白色(W)副画素と他の副画素とで反射部の面積比率を変えても良い。
【0050】
何れの場合にも反射部においては白色(W)の領域の比率が透過部に比較して高く、反射部において色再現範囲を下げて反射率を高める効果が期待できる。本構成を別の見方をすると、白色(W)副画素のみ透過部の面積比率が低い構成とも言える。白色(W)画素の追加は、輝度向上には資するものの、原色の面積比率が相対的に低下し、原色と白色との輝度比が増大する傾向にある。白色(W)副画素の透過部開口率を三原色の副画素の開口率に比べて小さくすることにより白色表示時の輝度と三原色単独表示時の輝度との比を緩和することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、携帯電話に代表される情報端末機器に用いられる液晶表示装置の視認性を向上するための重要な発明である。
【符号の説明】
【0052】
101 走査線、102 信号線、103 薄膜トランジスタ、106,113 信号電極、104 コモン電極、105 アモルファスシリコン層、107,108 コンタクトホール、109 単位副画素、110 ブラックマトリクス、111 カラーフィルタ、112 カラーフィルタの境界、120 画素単位構成、121 副画素。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の赤色(R),緑色(G),青色(B),白色(W)副画素から構成される単位画素配列をマトリクス状に配列してカラー表示を行うカラー表示装置が2枚の基板間に設けた間隙に液晶を充填されたカラー液晶表示装置であって、
赤色(R)副画素と緑色(G)副画素の間、及び青色(B)副画素と緑色(G)副画素の間にはブラックマトリクスを形成し、赤色(R)副画素と白色(W)副画素の間、及び青色(B)副画素と白色(W)副画素との間にはブラックマトリクスを形成しないことを特徴とするカラー液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1記載のカラー液晶表示装置において、
赤色(R)ないし青色(B)副画素と白色(W)副画素との間における赤色ないし青色カラーフィルタの境界を赤色(R)ないし青色(B)副画素と白色(W)副画素との間の信号線よりも白色(W)副画素側に配置していることを特徴とするカラー液晶表示装置。
【請求項3】
階調電圧を生成する階調電圧生成部と該階調電圧生成部で生成された電圧から画像データに応じた電圧を選択して画像データ出力端子から当該電圧を出力する階調電圧セレクタを有する液晶パネルにおいて、
大きさの異なる第1種の副画素と第2種の副画素が存在し、第1信号配線に接続される全ての副画素を第1種の副画素、第2信号配線に接続される全ての副画素を第2種の副画素とし、
当該副画像データ出力端子は、セレクタスイッチによって、第1または第2信号配線に接続される構成であり、セレクタスイッチは信号SELによって、接続先を第1または、第2信号配線に切り替える構成であって、
該階調電圧生成部は、第1種の副画素に対応する第1階調電圧と第2種の副画素に対応する第2階調電圧を、それぞれ生成し、信号SELに同期して、画像データ出力端子が第1信号配線に接続されているときは、階調電圧生成回路は第1階調電圧を出力し、画像データ出力端子が第2信号配線に接続されているときは、階調電圧生成回路は第2階調電圧を出力することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の液晶表示装置において、
前記階調電圧生成部は、第1階調電圧の基準となる電圧を生成するための第1ラダー抵抗と第2階調電圧の基準となる電圧を生成するための第2ラダー抵抗を、少なくても1本ずつ有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項4記載の液晶表示装置において、
前記階調電圧生成部は、前記第1および第2ラダー抵抗と階調電圧を階調電圧セレクタに出力する段に設けられるオペアンプから構成され、第1ラダー抵抗と第2ラダー抵抗から出力される電圧を、信号SELに同期して切り替えて、前記オペアンプに電圧を出力するスイッチを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
請求項3記載の液晶表示装置において、
前記階調電圧生成部において、階調電圧の基準となる電圧を生成するためのラダー抵抗を、走査期間よりも短時間の間に、切り替えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
請求項3記載の液晶表示装置において、
前記液晶パネルに、セレクタスイッチを内蔵することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
4色の副画素から構成される単位画素配列をマトリクス状に配列してカラー表示を行うカラー表示装置がバックライトからの照明光のオンオフ制御による透過表示を行う透過部と外光の反射率を制御する反射表示を行う反射部の双方を兼ね備えた半透過液晶表示装置であって、
前記副画素における前記透過部と前記反射部との比率が色によって異なることを特徴とする半透過液晶表示装置。
【請求項9】
請求項8記載の半透過液晶表示装置において、
4色の副画素が赤色(R),緑色(G),青色(B),白色(W)副画素から構成されており、前記白色(W)副画素における前記透過部と前記反射部の比率が他の色の副画素と異なっており、副画素の面積に占める前記反射部の比率が大きいことを特徴とする半透過液晶表示装置。
【請求項10】
請求項8に記載の半透過液晶表示装置において、
4色の副画素が赤色(R),緑色(G),青色(B),白色(W)副画素から構成されており、前記反射部が白色(W)副画素にのみ構成されていることを特徴とする半透過液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−118538(P2012−118538A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−287949(P2011−287949)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2006−275967(P2006−275967)の分割
【原出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】