説明

カリウムチャネル活性化因子として有用な、新規の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体

本発明は、医学的有用性を有する新規の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、薬物の製造のための本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体の使用、本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体を含む医薬組成物、及びK7チャネルの活性化に対して応答性である、対象の障害、疾患又は状態を治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学的有用性を有する新規の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、薬物の製造のための本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体の使用、本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体を含む医薬組成物、及びK7チャネルの活性化に応答性である、対象の障害、疾患又は状態を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カリウム(K)チャネルは、K選択性チャネルタンパク質の構造的及び機能的に多様なファミリーであり、細胞中に遍在し、いくつかの重要な細胞機能の制御におけるその中心的な重要性を示している。Kチャネルは、クラスとして広く分布している一方、このクラスの個々の要素として又はファミリーとして別個に分布している。
【0003】
最近、電位依存性カリウムチャネルの新しいファミリーであるKCNQチャネルが、治療薬開発の標的として注目を集めている。ヒトのKCNQ1チャネルは、Wang,Qらにより開示されており[Wang,Qら;Nature Genet.1996年、第12巻、17〜23頁]、ヒトのKCNQ2チャネルは、Biervertらにより開示されており[Biervertら、Science 1998年、第279巻、403〜406頁]、ヒトのKCNQ3チャネルは、Schroederらにより開示されており[Schroedertら、Nature 1998年、第396巻、687〜690頁]、ヒトのKCNQ4チャネルは、Kubischらにより開示されており[Kubischら、Cell 1999年、第96巻(3号)、437〜46頁]、ヒトのKCNQ5チャネルは、Schroederらにより開示されている[Schroederら、J.Biol.Chem.2000年、第275巻(31号)、24089〜24095頁]。最新の命名法によると、KCNQ1〜KCNQ5チャネルは、現在、K7.1〜K7.5とも表記される。
【0004】
生物中のKCNQチャネルの分布から、KCNQチャネル調節因子は、疼痛、偏頭痛、緊張性頭痛、CNS障害、外傷に起因するCNS損傷、脳卒中又は神経変性疾病又は疾患、学習及び認識障害、動作及び運動障害、多発性硬化症、心不全、心筋症、心障害、炎症性疾患、眼科的状態、進行性難聴又は耳鳴、閉塞性又は炎症性気道疾患、などの広範囲な状態の治療又は軽減のため尿失禁の治療又は予防を含む膀胱制御の誘発又は維持のために潜在的に有用であると考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、K7チャネルの活性化に応答性である、障害、疾患又は状態と戦うための医学的有用性を有する、新規の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本発明は、式Iの2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、
【化1】


立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドを提供する。式中、R、R、R及びLは以下に定義される。
【0007】
他の態様において、本発明は、治療有効量の本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又はその薬学的に許容される付加塩を含む医薬組成物を提供する。
【0008】
第3の態様からみると、本発明は、医薬組成物を製造するための、本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又はその薬学的に許容される付加塩の使用に関する。
【0009】
本発明の第4の態様において、本発明は、ヒトを含む生きている動物体の、K7チャネルの活性化に応答性である疾患又は障害又は状態を治療、予防又は軽減する方法であってその必要のあるそのような生きている動物体に、治療有効量の、本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又はその薬学的に許容される付加塩を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0010】
本発明の他の目的は、以下の詳細な説明及び実施例から当業者には明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体は、式I、
【化2】


立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドにより特徴づけられ、
式中、Rは、アルキル、フェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル又はベンゾ[1,4]ジオキシニルを表し、前記フェニルは、アルキル、ハロ、トリフルオロメチル、アルコキシ、シアノ及びジフルオロメトキシから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されており、
は、水素を表し、
は、アルキル又はフェニルを表し、前記フェニルは、アルキル、ハロ、アルコキシ及びトリフルオロメチルから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されており、
Lは、−CR’R”−、−CH−CR’R”−、−CR’R”−CH−及びシクロアルキルから選択されるリンカーを表し、ここでR’及びR”は、それぞれ独立に、水素、アルキル又はハロを表す。
【0012】
ある実施形態では、本発明の誘導体は、Rが、アルキル又はフェニルを表し、前記フェニルはアルキル、ハロ及びトリフルオロメチルから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されており、Rが、水素を表し、Rが、フェニルを表し、前記フェニルは、アルキル、ハロ及びトリフルオロメチルから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されており、Lが、−CR’R”−、−CH−CR’R”−、−CR’R”−CH−及びシクロアルキルから選択されるリンカーを表し、ここでR’及びR”は、それぞれ独立に、水素、アルキル又はハロを表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドである。
【0013】
他の実施形態では、本発明の誘導体は、Rが、アルキル又はフェニルを表し、前記フェニルは、アルキル、ハロ、トリフルオロメチル、アルコキシ、シアノ及びジフルオロメトキシから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されている、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドである。
【0014】
他の実施形態では、Rは、フェニルを表し、前記フェニルは、アルキル、ハロ及びトリフルオロメチルから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されている。
【0015】
他の実施形態では、Rは、フェニルを表し、前記フェニルは、アルキル、ハロ及びトリフルオロメチルから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されている。
【0016】
他の実施形態では、Rは、アルキル、ハロ及びトリフルオロメチルから選択される置換基で1回又は2回置換されているフェニル基を表す。
【0017】
他の実施形態では、Rは、アルキル、例えば、メチルで1回又は2回置換されているフェニル基を表す。
【0018】
他の実施形態では、Rは、トリフルオロメチルで1回又は2回置換されているフェニル基を表す。
【0019】
他の実施形態では、Rは、アルコキシで1回又は2回置換されているフェニル基を表す。
【0020】
他の実施形態では、Rは、シアノで1回又は2回置換されているフェニル基を表す。
【0021】
他の実施形態では、Rは、ジフルオロメトキシで1回又は2回置換されているフェニル基を表す。
【0022】
他の実施形態では、Rは、ハロ、例えば、フルオロで1回又は2回置換されているフェニルを表す。
【0023】
他の実施形態では、Rは、ハロ、例えば、フルオロで1回置換されているフェニルを表す。
【0024】
他の実施形態では、Rは、ベンゾ[1,3]ジオキソリルを表す。
【0025】
他の実施形態では、Rは、ベンゾ[1,4]ジオキシニルを表す。
【0026】
他の実施形態では、Rは、アルキルを表す。
【0027】
他の実施形態では、本発明の誘導体は、Rが、水素を表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドである。
【0028】
他の実施形態では、本発明の誘導体は、Rが、アルキルを表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドである。
【0029】
他の実施形態では、本発明の誘導体は、Rが、アルキル、ハロ、アルコキシ及びトリフルオロメチルから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されているフェニルを表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドである。
【0030】
他の実施形態では、Rは、アルキル、ハロ及びトリフルオロメチルから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されているフェニルを表す。
【0031】
他の実施形態では、Rは、アルキル、ハロ、アルコキシ及びトリフルオロメチルから選択される置換基で1回又は複数回置換されているフェニルを表す。
【0032】
他の実施形態では、Rは、ハロ、例えば、フルオロ及びトリフルオロメチルから選択される置換基で1回又は2回置換されているフェニルを表す。
【0033】
他の実施形態では、Rは、ハロ、例えば、フルオロで1回又は2回置換されているフェニルを表す。
【0034】
他の実施形態では、Rは、アルキルで1回又は2回置換されているフェニルを表す。
【0035】
他の実施形態では、Rは、アルコキシで1回又は2回置換されているフェニルを表す。
【0036】
他の実施形態では、Rは、ハロ、例えば、フルオロで1回置換されているフェニルを表す。
【0037】
他の実施形態では、Rは、ハロ、例えば、フルオロで2回置換されているフェニルを表す。
【0038】
他の実施形態では、Rは、トリフルオロメチルで1回又は2回置換されているフェニルを表す。
【0039】
他の実施形態では、Rは、ハロ、例えば、フルオロで1回、及びトリフルオロメチルで1回置換されているフェニルを表す。
【0040】
他の実施形態では、Rは、フェニルを表す。
【0041】
他の実施形態では、本発明の誘導体は、Lが、−CR’R”−、−CH−CR’R”−、−CR’R”−CH−及びシクロアルキルから選択されるリンカーを表し、ここでR’及びR”は、それぞれ独立に、水素、アルキル又はハロを表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドである。
【0042】
他の実施形態では、Lは、−CR’R”−、−CH−CR’R”−及びシクロアルキルから選択されるリンカーを表し、ここでR’及びR”は、それぞれ独立に、水素又はアルキル、例えば、メチルを表す。
【0043】
他の実施形態では、Lは、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH(CH)−、−CH−CH(CH)−、−CH−C(CH−及びシクロプロピルから選択されるリンカーを表す。
【0044】
他の実施形態では、Lは、−CH−を表す。
【0045】
他の実施形態では、Lは、−CH−CH−を表す。
【0046】
他の実施形態では、Lは、−CH−CH−CH−を表す。
【0047】
他の実施形態では、Lは、−CH(CH)−を表す。
【0048】
他の実施形態では、Lは、−CH−CH(CH)−を表す。
【0049】
他の実施形態では、Lは、−CH−C(CH−を表す。
【0050】
他の実施形態では、Lは、シクロプロピルを表す。
【0051】
他の実施形態では、本発明の誘導体は、Rが、ハロ、例えば、フルオロで1回置換されているフェニルを表し、Rが、ハロ又はトリフルオロメチルで1回又は複数回、場合により置換されているフェニルを表し、Lが、−CH−、−CH(CH)−、−CH−CH(CH)−又はシクロプロピルを表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドである。
【0052】
他の実施形態では、本発明の誘導体は、Rが、ハロ、例えば、フルオロで1回置換されているフェニルを表し、Rが、アルキルを表し、Lが、−CH−を表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドである。
【0053】
他の実施形態では、本発明の誘導体は、Rが、アルキル、ハロ、トリフルオロメチル、アルコキシ、シアノ及びジフルオロメトキシで1回又は2回置換されているフェニルを表し、Rは、ハロで2回置換されているフェニルを表し、Lが、−CH−を表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドである。
【0054】
他の実施形態では、本発明の誘導体は、Rが、アルキル、ハロ、トリフルオロメチル、アルコキシ、シアノ及びジフルオロメトキシで1回又は2回置換されているフェニルを表し、Rが、アルキルを表し、Lが、−CH−を表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドである。
【0055】
他の実施形態では、本発明の誘導体は、Rが、アルキルで1回又は複数回置換されているフェニルを表し、Rが、ハロ、例えばフルオロで1回又は2回置換されているフェニルを表し、Lが、−CH−を表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドである。
【0056】
他の実施形態では、本発明の誘導体は、Rが、ベンゾ[1,3]ジオキソリル又はベンゾ[1,4]ジオキシニルを表し、Rが、ハロで2回置換されているフェニルを表し、Lが、−CH−を表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドである。
【0057】
他の実施形態では、本発明の誘導体は、Rが、ベンゾ[1,3]ジオキソリル又はベンゾ[1,4]ジオキシニルを表し、Rが、アルキルを表し、Lが、−CH−を表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドである。
【0058】
他の実施形態では、本発明の誘導体は、Rが、アルキルを表し、Rが、ハロで2回置換されているフェニルを表し、Lが、−CH−を表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドである。
【0059】
他の実施形態では、本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体は、
N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−2−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド;
2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−アセトアミド;
2−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−アセトアミド;
(S)−N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−2−フェニル−プロピオンアミド;
N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−3−(3−フルオロ−フェニル)−プロピオンアミド;
(R)−N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−3−フェニル−ブチルアミド;
(R)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−アミド;
N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−2−(3−フルオロ−フェニル)−アセトアミド;
N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチル−ブチルアミド;
であるか、又はその薬学的に許容される付加塩である。
【0060】
他の実施形態では、本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体は、
2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−N−(6−イソブチルアミノ−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アセトアミド;
2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[6−(5−フルオロ−2−メチル−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−アセトアミド;
2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[6−(2,6−ジメチル−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−アセトアミド;
2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[2−ピロリジン−1−イル−6−(4−トリフルオロメチル−ベンジルアミノ)−ピリジン−3−イル]−アセトアミド;
N−{6−[(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)−アミノ]−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル}−3,3−ジメチル−ブチルアミド;
N−[6−(3,4−ジフルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−アセトアミド;
N−{6−[(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)−アミノ]−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル}−2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−アセトアミド;
N−[6−(4−シアノ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−アセトアミド;
N−[6−(3,4−ジフルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチル−ブチルアミド;
2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[6−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−アセトアミド;
N−[6−(4−ジフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−アセトアミド;
N−[6−(4−ジフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチル−ブチルアミド;
2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{6−[(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−アミノ]−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル}−アセトアミド;
N−{6−[(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−アミノ]−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル}−3,3−ジメチル−ブチルアミド;
であるか、又はその薬学的に許容される付加塩である。
【0061】
本明細書に記載されている実施形態の2つ以上のいかなる組合せも、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0062】
置換基の定義
本発明の文脈においては、アルキル基は、1価で、飽和の、直鎖又は分岐の炭化水素鎖を指す。炭化水素鎖は、好ましくは、1から18個の炭素原子(C1〜18アルキル基)、より好ましくは、1から6個の炭素原子(C1〜6アルキル基、低級アルキル)を含み、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルを含む。好ましい実施形態においては、アルキルは、C1〜4アルキル基を表し、ブチル、イソブチル、s−ブチル、及びt−ブチルを含む。本発明の他の好ましい実施形態においては、アルキルは、C1〜3アルキル基を表し、特に、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであってもよい。
【0063】
本発明の文脈においては、アルコキシ基は、−O−アルキル基を指す。代表的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、1−プロポキシ、2−プロポキシ)、ブトキシ(例えば、1−ブトキシ、2−ブトキシ、2−メチル−2−プロポキシ)、ペントキシ(1−ペントキシ、2−ペントキシ)、ヘキソキシ(1−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ)、等が含まれる。
【0064】
本発明の文脈においては、シクロアルキル基は、環式アルキル基を指し、好ましくは、3から7個の炭素原子を含むもの(C3〜7シクロアルキル)を含み、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを含む。
【0065】
本発明の文脈においては、シアノは、−CN基を意味する。
【0066】
本発明の文脈においては、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0067】
薬学的に許容される塩
本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体は、意図した投与に適切な任意の形態で提供してもよい。適切な形態としては、薬学的に(すなわち、生理学的に)許容される塩、及び本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体のプレ又はプロドラッグ形態が含まれる。
【0068】
薬学的に許容される付加塩の例としては、塩酸から誘導される塩酸塩、臭素酸から誘導される臭素塩、硝酸から誘導される硝酸塩、過塩素酸から誘導される過塩素酸塩、リン酸から誘導されるリン酸塩、硫酸から誘導される硫酸塩、蟻酸から誘導される蟻酸塩、酢酸から誘導される酢酸塩、アコニット酸から誘導されるアコニット酸塩、アスコルビン酸から誘導されるアスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸から誘導されるベンゼンスルホン酸塩、安息香酸から誘導される安息香酸塩、桂皮酸から誘導される桂皮酸塩、クエン酸から誘導されるクエン酸塩、エンボン酸から誘導されるエンボン酸塩、エナント酸から誘導されるエナント酸塩、フマール酸から誘導されるフマール酸塩、グルタミン酸から誘導されるグルタミン酸塩、グリコール酸から誘導されるグリコール酸塩、乳酸から誘導される乳酸塩、マレイン酸から誘導されるマレイン酸塩、マロン酸から誘導されるマロン酸塩、マンデル酸から誘導されるマンデル酸塩、メタンスルホン酸から誘導されるメタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸から誘導されるナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸から誘導されるフタル酸塩、サリチル酸から誘導されるサリチル酸塩、ソルビン酸から誘導されるソルビン酸塩、ステアリン酸から誘導されるステアリン酸塩、コハク酸から誘導されるコハク酸塩、酒石酸から誘導される酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸から誘導されるトルエン−p−スルホン酸塩、等などの、非毒性の無機及び有機の酸付加塩が含まれるがこれらに限られるわけではない。そのような塩は、当技術分野に周知の記載されている手順で形成し得る。
【0069】
薬学的に許容されるとは考えられていないシュウ酸などのその他の酸は、本発明の化合物及びその薬学的に許容される酸付加塩を得るステップにおける中間体として有用な塩の調製ステップにおいて有用であり得る。
【0070】
本発明の化合物の薬学的に許容される陽イオン塩の例としては、陰イオン基を含む本発明の化合物の、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、コリン、リシン、及びアンモニウムなどの塩が含まれるが、これらに限られるわけではない。そのような陽イオン塩は、当技術分野に周知の記載されている手順で形成し得る。
【0071】
薬学的に許容される付加塩の例としては、塩酸塩、臭素塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、アコニット酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマール酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩由来、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩、等などの、非毒性の無機及び有機の酸付加塩が含まれるが、これらに限られるわけではない。そのような塩は、当技術分野に周知の記載されている手順で形成し得る。
【0072】
本発明の化合物の薬学的に許容される陽イオン塩の例としては、陰イオン基を含む本発明の化合物の、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、コリン、リシン、及びアンモニウムなどの塩が含まれるが、これらに限られるわけではない。そのような陽イオン塩は、当技術分野に周知の記載されている手順で形成し得る。
【0073】
立体異性体
本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体は、(+)及び(−)形態、並びにラセミ体(±)で存在し得る。ラセミ体及び個々の異性体それ自体は、本発明の範囲内である。
【0074】
ラセミ体は、公知の方法及び技法により光学対掌体に分割し得る。ジアステレオマー塩を分離する1つの方法は、光学活性な酸を使用し、塩基で処理して光学活性アミン化合物を遊離させることである。ラセミ体を光学対掌体に分割するための他の方法は、光学活性マトリックス上でのクロマトグラフィーに基づいている。ラセミ体を分割するためのさらに他の方法は、追加の立体中心を共有結合で導入することによる。非キラルマトリックス上でのクロマトグラフィーに基づく分離又は単純結晶化、次いで、さらに他のキラル中心を導入するために用いた共有結合の開裂により、分割した物質が遊離される。本発明のラセミ化合物は、例えば、d−又はl−塩(酒石塩、マンデル酸塩、又はカンファースルホン酸塩)の分別結晶化又は共有結合修飾により、その光学対掌体に分割し得る。
【0075】
光学異性体を分割するための他の方法は当技術分野で公知である。そのような方法としては、Jaques J、Collet A、及びWilen S「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」、John Wiley and Sons、New York(1981年)に記載されているものを含む。
【0076】
光学活性な化合物はまた、光学活性な出発物質から調製し得る。
【0077】
調製の方法
本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体は、化学的合成のための従来の方法、例えば、実施例に記載されたものにより調製し得る。本出願に記載した方法のための出発物質は、公知である又は、市場で入手できる化学品から従来の方法により容易に調製し得る。
【0078】
また、本発明のある化合物は、従来の方法を用いて、本発明の他の化合物に変換し得る。
【0079】
本明細書に記載の反応の最終生成物は、従来の方法、例えば、抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィー等により単離し得る。
【0080】
生物学的活性
本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体は、電位依存性K7(KCNQ)カリウムイオンチャネルの調節因子として有用であることが見出された。現在は、5つのそのようなチャネル、すなわち、K7.1(KCNQ1)チャネル、K7.2(KCNQ2)チャネル、K7.3(KCNQ3)チャネル、K7.4(KCNQ4)チャネル、及びK7.5(KCNQ5)チャネル、並びにこれらのサブユニットのヘテロマーの組合せが知られている。さらに、調節活性は、阻害的(すなわち、阻害活性)又は刺激性(すなわち、活性化活性)であり得る。
【0081】
調節活性は、例えば、国際特許公開第2004/080377号(NeuroSearch A/S)に記載のような、又は実施例に記載のような当技術分野で公知である、従来の方法、例えば、結合又は活性試験を用いて決定できる。
【0082】
本発明のある態様では、本発明の化合物は、K7.2、K7.3、K7.4及び/又はK7.5カリウムチャネル、及びこれらのヘテロマーの組合せにおいて刺激活性を示す。
【0083】
したがって、本発明の化合物は、ヒトを含む生きている動物体の、K7カリウムチャネルの調節に応答性である疾患又は障害又は状態の、治療、予防又は軽減のために有用であると考えられている。
【0084】
生物内のK7チャネルの分布から、K7チャネル調節因子は、感情障害、神経病理学的障害、不安障害、うつ病、双極性障害、睡眠障害、嗜癖、摂食障害、恐怖症、神経変性障害、パーキンソン病、気分障害、精神障害、強迫行動、躁病、精神病、統合失調症、認知症、アルツハイマー病、てんかん、痙攣、発作性障害、欠神発作、血管攣縮、冠動脈攣縮、振戦、筋肉攣縮、重症筋無力症、運動ニューロン疾患、動作及び運動障害、チック障害、パーキンソン様運動障害、本態性振戦、多発性硬化症、脊髄萎縮側策硬化症(ALS)、多系統萎縮症、皮質基底核変性症、HIV付随認知症、ハンチントン病、ピック病、多形性心室頻拍、機能性腸障害、外傷起因CNS損傷、脳卒中又は神経変性疾病又は疾患、運動失調、ミオキミア、痙攣、ミオパチー、学習及び認識障害、記憶機能障害、記憶障害、加齢に伴う記憶喪失、ダウン症候群、疼痛、急性又は慢性疼痛、軽度の疼痛、中等度又は激しい疼痛、神経因性疼痛、中枢性疼痛、糖尿病性神経障害に関する連疼痛、ヘルペス後神経痛に関連する疼痛、末梢神経傷害に関連する疼痛、体性痛、内臓痛又は皮膚の疼痛、炎症又は感染に起因する疼痛、術後痛、幻肢痛、神経興奮性亢進障害、末梢神経興奮亢進、慢性頭痛、偏頭痛、偏頭痛に関連する障害、緊張性頭痛、低血圧、高血圧、心不全、心障害、心筋症、不整脈、心臓虚血、QT延長症候群、炎症性疾患又は状態、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、クロイツフェルト−ヤコブ病、閉塞性又は炎症性気道疾患、ぜん息、気道反応性亢進、じん肺症、アルミニウム肺症、炭粉症、石綿肺、珪肺症、脱睫毛、鉄沈着症、珪肺症、タバコ中毒症、綿肺症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道過敏性の憎悪、嚢胞性線維症、難聴又は難聴、進行性難聴、耳鳴、薬物依存性又は薬物嗜癖性障害、機能亢進性胃運動、眼科的状態、勃起不全、線維筋痛症、膀胱制御の誘導又は維持のため、夜間頻尿、膀胱攣縮、過敏性膀胱(OAB)、膀胱流出閉塞、間質性膀胱炎(IC)(有痛性膀胱症候群とも呼ばれる)並びに尿失禁のような広範囲な状態の治療又は軽減に有用であると考えられている。
【0085】
他の実施形態では、本発明によって企図されている疾患、障害又は状態は、パニック障害、広場恐怖症、恐怖症、社会不安障害、強迫性障害、及び外傷後ストレス障害などの不安障害である。他の実施形態では、本発明によって企図されている疾患、障害又は状態は、不安である。他の実施形態では、本発明によって企図されている疾患、障害又は状態は、統合失調症である。
【0086】
ある実施形態では、本発明の化合物は、CNSの疾患、障害又は有害な状態の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。他の実施形態では、疾患、障害又は状態は、感情障害、神経病理学的障害、不安障害、うつ病、双極性障害、睡眠障害、嗜癖、摂食障害、恐怖症、神経変性障害、パーキンソン病、気分障害、精神障害、強迫行動、躁病、精神病又は統合失調症である。
【0087】
他の実施形態では、本発明の化合物は、外傷若しくは脊髄の損傷によるCNSの損傷、脳卒中、外傷性脳傷害、神経変性疾病若しくは疾患、認知症、アルツハイマー病、運動ニューロン疾患、パーキンソン様運動障害、本態性振戦、多発性硬化症、脊髄萎縮側策硬化症(ALS)、多系統萎縮症、HIV随伴認知症、ハンチントン病、ピック病、多形性心室頻拍、振戦、筋肉攣縮、重症筋無力症、痙攣、運動失調、ミオキミア、発作、てんかん又は痙縮の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。他の実施形態では、本発明の化合物は、てんかんの治療、予防又は軽減に有用である。
【0088】
他の実施形態では、本発明の化合物は、急性及び慢性疼痛、急性、慢性若しくは再発性の軽度の疼痛、中等度若しくはさらに重度の疼痛、疼痛、並びに術後痛、幻肢痛、慢性頭痛、治療後神経痛、神経因性疼痛、中枢性疼痛、又は糖尿病性神経障害に関連する疼痛、ヘルペス後神経痛に関連する疼痛、末梢神経損傷若しくは薬物中毒、偏頭痛及び偏頭痛関連障害に関連する疼痛及び緊張性頭痛に関連する疼痛を含む、疼痛の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。他の実施形態では、疼痛は、内臓痛若しくは皮膚の疼痛を含む体性痛、又は炎症若しくは感染に起因する疼痛である。他の実施形態では、疼痛は、神経障害性、例えば、中枢神経系又は末梢神経系への傷害に起因する、例えば、組織外傷、感染、糖尿病、自己免疫疾患、関節炎又は神経痛によるものである。他の実施形態では、本発明の化合物は、疼痛及び神経障害性疼痛の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。
【0089】
他の実施形態では、本発明の化合物は、嗜癖、例えば、薬物嗜癖、薬物乱用、コカイン乱用、ニコチン乱用、タバコ乱用、アルコール中毒若しくはアルコール依存、又は化学物質、特に、オピオイド、ヘロイン、コカイン及びモルフィン、ベンゾジアゼピン及びベンゾジアゼピン様薬物、並びにアルコールの乱用の中止により引き起こされる禁断症状の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。
【0090】
他の実施形態では、本発明の化合物は、学習及び認識障害、記憶機能障害、記憶障害、加齢に伴う記憶喪失又はダウン症候群の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。
【0091】
他の実施形態では、本発明の化合物は、慢性頭痛、偏頭痛、偏頭痛関連障害又は緊張性頭痛の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。他の実施形態では、本発明の化合物は、偏頭痛の治療又は軽減に有用であると考えられている。
【0092】
他の実施形態では、本発明の化合物は、心臓若しくは骨格筋に伴う疾患、障害若しくは状態、心不全、心筋症、不整脈、心臓虚血又はQT延長症候群の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。
【0093】
他の実施形態では、本発明の化合物は、炎症性疾患若しくは状態、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎又はクロイツフェルト−ヤコブ病の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。
【0094】
他の実施形態では、本発明の化合物は、ぜん息、閉塞性若しくは炎症性気道疾患、気道反応性亢進、アルミニウム肺症、炭粉症、石綿肺、珪肺症、脱睫毛、鉄沈着症、珪肺症、タバコ中毒症及び綿肺症などのじん肺症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道過敏性の憎悪又は嚢胞性線維症の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。他の実施形態では、本発明の化合物は、ぜん息の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。
【0095】
他の実施形態では、本発明の化合物は、進行性難聴又は耳鳴の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。
【0096】
他の実施形態では、本発明の化合物は、眼科的障害、薬物依存若しくは薬物中毒障害又は機能亢進性胃運動の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。
【0097】
他の実施形態では、本発明の化合物は、夜間頻尿、膀胱攣縮、過敏性膀胱(OAB)、間質性膀胱炎(IC)及び尿失禁の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。他の実施形態では、本発明の化合物は、尿失禁の治療、予防又は軽減に有用であると考えられている。
【0098】
医薬組成物
ある態様からみると、本発明は、ヒトを含む哺乳類の、K7チャネルの調節に応答性である疾患又は障害又は状態を治療、予防又は軽減するための医薬組成物を製造するための本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又はその薬学的に許容される付加塩の使用に関する。
【0099】
他の態様からみると、本発明は、治療有効量の本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又はその薬学的に許容される付加塩を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に含む、K7チャネルの調節に応答性である疾患又は障害又は状態を治療、予防又は軽減するための医薬組成物を提供する。
【0100】
本発明に従う使用のための2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体は、未加工の化合物の形態で投与してもよいが、活性成分を、場合によっては、薬学的に許容される塩の形態で、1種又は複数種の補助剤、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤、及び/又は他の慣習的薬学的補助剤と共に医薬組成物中に導入することが好ましい。
【0101】
好ましい実施形態では、本発明は、1種又は複数種の薬学的に許容されるそのための担体、及び、場合によっては、当技術分野で公知であり使用されている、その他の治療目的の及び/又は予防的な成分と共に、本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体を含む医薬組成物を提供する。担体(単数又は複数)は、製剤中のその他の成分と適合し及びその受容者に対して有害でないという意味で、「許容される」ものでなければならない。
【0102】
本発明の医薬組成物は、所望の治療に適切な都合の良いいかなる経路で投与してもよい。投与の好ましい経路としては、経口投与、特に、錠剤、カプセル、糖衣錠、粉末、又は液体形態、及び非経口投与、特に、皮膚、皮下、筋肉内、又は静脈内注射が含まれる。医薬組成物は、所望の製剤に適した標準の及び従来の技法を用いて当業者により調製され得る。所望ならば、活性成分を徐放するように順応させた組成物を使用してもよい。
【0103】
本発明の医薬組成物は、経口用、直腸用、気管用、鼻用、肺用、局所用(頬側用、及び舌下用を含んで)、経皮用、膣用又は非経口用(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、脳内、眼内注射若しくは点滴を含む)投与に適切なもの、又は粉末及び液体エアロゾル投与を含む吸入法若しくはガス吸入法による又は徐放系による投与に適切な形態でのものであってもよい。徐放系の適切な例としては、本発明の化合物を含む固体疎水性ポリマーの半透過性のマトリックスが含まれるが、このマトリックスは、成形した製品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態でもよい。
【0104】
本発明の化合物は、したがって、従来の補助剤、担体又は希釈剤と共に、医薬組成物及びその単位投与形態に配置してもよい。そのような形態としては、すべては経口用であるが、固体、特に、錠剤、充填したカプセル剤、粉剤及びペレット剤の形態、及び液剤、特に、水溶液若しくは非水溶液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤及びそのようなもので充填したカプセル、直腸投与のための坐剤、及び非経口用の殺菌した注射用溶液が含まれる。そのような医薬組成物及びその単位投与形態は、追加の活性化合物又は主剤を含有又は不含有で、従来の比率で従来の成分を含んでもよく、そのような単位投与形態は、用いられる意図した毎日の投与量範囲と釣り合った活性成分のいかなる適切な有効量を含んでいてもよい。
【0105】
本発明の化合物は、広範囲の経口及び非経口投与形態で投与し得る。当業者には明白であろうが、以下の投与形態は、活性成分として、本発明の化合物又は本発明の化合物の薬学的に許容される塩のいずれかを含むことができる。
【0106】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するための、薬学的に許容される担体は、固体又は液体のいずれかであり得る。固体形態の製剤としては、粉剤、錠剤、ピル、カプセル、カシェ剤、坐剤及び分散可能な顆粒が含まれる。固体の担体は、希釈剤、芳香剤、安定化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル化剤としても作用し得る1種又は複数種の物質であり得る。
【0107】
粉末の形態では、担体は、細粒化した固体であり、細粒化した活性成分との混合物である。
【0108】
錠剤では、活性成分は、適切な比率で必要な結合能力を有する担体と混合され、所望の形やサイズに詰め込まれる。
【0109】
粉末及び錠剤は、好ましくは、5又は10から約70%の活性成分を含む。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカンス、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、カカオバター、等である。「製剤」とい言う用語は、カプセルが、その中において、担体含有又は不含有で、担体に取り囲まれている限り、そしてそのことにより活性成分と一体となっている限り、担体としてのカプセル化材料を含む活性化合物の製剤を含むことを意図している。同様に、カシェ剤及びトローチも含まれる。錠剤、粉末、カプセル、ピル、カシェ剤及びトローチは、経口投与に適切な固体形態として用い得る。
【0110】
坐剤の調製のためには、脂肪酸グリセリドの混合物又はカカオバターなどの、低融点のワックスを、最初に融解し、活性成分を、攪拌することなどによってその中に均一に分散させる。融解した均一な混合物を次いで、都合の良いサイズの型に注入し、冷却し、それによって固化させる。
【0111】
膣投与に適切な組成物は、活性成分に加えて、当技術分野で適切であるとして公知の担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、泡剤又は噴霧剤として提供することができる。
【0112】
液体製剤としては、液剤、懸濁剤及び乳化剤、例えば、水又は水−プロピレングリコール溶液が含まれる。例えば、非経口の注射液製剤は、水性のポリエチレングリコール溶液中の溶液として製剤し得る。
【0113】
本発明に従う化合物は、このようにして、非経口投与(例えば、ボーラス注射などの注射又は連続点滴による)のために製剤され、アンプル、充填済み注射器、少量点滴中の単位剤形で、又は防腐剤入りの多回投与容器中で提供し得る。組成物は、油性又は水性媒体中の懸濁液、溶液又は乳化液のような形態でもよく、懸濁化、安定化及び/又は分散化剤などの製剤化剤を含んでもよい。別法として、活性成分は、使用前に、適切な媒体、例えば、無菌の発熱物質を含まない水を用いて構成するための、無菌固体の無菌状態での単離により又は溶液からの凍結乾燥により得られた粉末形態でもよい。
【0114】
経口使用に適した水性溶液は、活性成分を水に溶解し、必要により、適切な着色剤、芳香剤、安定化剤及び濃厚化剤を加えることにより調製し得る。
【0115】
経口使用に適した水性懸濁液は、微粉化した活性成分を、天然若しくは人工のガム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース又は他の周知の懸濁化剤などの粘稠な材料と共に水中に分散して作製し得る。
【0116】
使用直前に経口投与のための液体形態の製剤に変換することを意図した固体形態の製剤も含まれる。そのような液体形態としては、溶液、懸濁液、及び乳濁液を含む。活性成分に加えて、そのような製剤は、着色剤、芳香剤、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然甘味剤、懸濁化剤、濃厚化剤、可溶化剤等を含んでもよい。
【0117】
表皮への局所投与のために、本発明の化合物は、軟膏、クリーム若しくはローション、又は経皮パッチとして製剤してもよい。軟膏及びクリームは、例えば、適切な濃厚化剤及び/又はゲル化剤の添加によって水性の又はオイルベースで製剤してもよい。ローションは、水性の又はオイルベースで製剤してもよく、一般には、1種又は複数種の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、濃厚化剤又は着色剤も含むであろう。
【0118】
口内局所投与に適切な組成物は、芳香を付与したベース、通常、ショ糖及びアカシア又はトラガント中に活性剤を含むトローチ剤、ゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアカシアなどの不活性ベース中に活性成分を含むトローチ、及び適切な液体担体中に活性成分を含む口腔洗浄薬を含む。
【0119】
溶液又は懸濁液は、直接鼻腔へ、従来の手段、例えば、滴下器、ピペット又はスプレーにより適用される。組成物は単回又は複数回剤形で提供されてもよい。
【0120】
呼吸器への適用はまた、活性成分が、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、若しくはジクロロテトラフルオロエタンなどのクロロフルオロカーボン(CFC)、二酸化炭素、又はその他の適切なガスなどの適切な噴射剤と共に圧力パックで提供される、エアロゾル製剤により達成されてもよい。エアロゾルはまた、簡便には、レシチンなどの界面活性剤を含み得る。薬物の投与量は、目盛弁の装着により制御され得る。
【0121】
別法として、活性成分は、乾燥粉末形態、例えば、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体、及びポリビニルピロリドン(PVP)などの適切な粉末ベース中の化合物の粉末混合物の形で提供されてもよい。簡便には、粉末担体は、鼻腔中でゲルを形成するであろう。粉末組成物は、単回剤形、例えば、ゼラチンなどのカプセル若しくはカートリッジ中で、又は吸入器により粉末が投与され得るブリスター包装で提供してもよい。
【0122】
鼻腔内用組成物を含む、呼吸器への投与を意図した組成物においては、化合物は、一般に、例えば、5μ以下の程度の小さな粒径を有する。そのような粒径は、当技術分野で公知の手段、例えば、微粒子化により達成し得る。
【0123】
所望ならば、活性成分を徐放するように適合させた組成物を、採用することも可能である。
【0124】
医薬製剤は、好ましくは、単位投与形態である。そのような形態では、製剤は、適当量の活性成分を含む単位投与量に分割される。単位投与形態は、包装された錠剤、カプセル、及びバイアル又はアンプル中の粉末などの製剤の個別量を含む包装である、包装製剤であり得る。また、単位投与形態は、カプセル、錠剤、カシェ剤又はトローチ剤自体でもよく、又はこれらのいずれかの包装形態のものの適当数であってもよい。
【0125】
経口投与のための錠剤又はカプセル及び静脈内投与及び連続的点滴のための液体は、好ましい組成物である。
【0126】
製剤及び投与手法に関するさらなる詳細は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Maack Publishing Co.社、Easton,PA)の最新版中に見つけられる。
【0127】
実際の投与量は、治療中の疾患の性質や重症度に依存し、医師の裁量の範囲内であり、所望の治療効果を得るために本発明の特定の状況に対して投与量の用量設定により変化し得る。しかし、各投与当たり約0.1〜約500mg、好ましくは、約1〜約100mg、最も好ましくは、約1〜約10mgの活性成分を含む医薬組成物が、治療処置のためには適当であることが現在企図されている。
【0128】
活性成分は、1日当たり、1回又は数回の投与で投与され得る。特定の状況下では、0.1μg/kg i.v.及び1μg/kg p.o.の低い投与量で、満足できる結果を得ることができる。投与量範囲の上限は、現時点では、約10mg/kg i.v.及び100mg/kg p.o.と考えられている。好ましい範囲は、約0.1μg/kgから約10mg/kg/日 i.v.及び約1μg/kgから約100mg/kg/日 p.o.である。
【0129】
治療法
別の態様では、本発明は、ヒトを含む生きている動物体の、K7チャネルの活性化に応答性である、疾患又は障害又は状態を治療、予防又は軽減する方法であって、その必要のある、ヒトを含むそのような生体動物体に有効量の本発明の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体を投与するステップを含む方法を提供する。
【0130】
本発明に企図されている好ましい医学的な適用は、上記に記載したものである。
【0131】
現時点では、適切な投与量範囲は、1日0.1から2000mg、1日10〜1000mg、及び特に、1日30〜100mgであるが、通常通り、投与の正確な様式、投与される形態、投与が対象としている適用、関係する対象及び関係する対象の体重、及びさらには主治医又は主治獣医師の好みや経験に依存すると企図されている。
【0132】
特定の場合には、0.005mg/kg i.v.及び0.01mg/kg p.o.までの低投与量で、満足できる結果が得られ得る。投与量範囲の上限は、約30mg/kg i.v.及び500mg/kg p.o.である。好ましい範囲は、約0.001から約100mg/kg i.v.及び約0.1から約30mg/kg p.o.である。
【実施例】
【0133】
本発明を以下の実施例を参照してさらに例示するが、請求されている本発明の範囲をいかなる意味でも制限することを意図したものではない。
【0134】
実施例中に用いられる略語は、以下の意味を有する。
MeCN:アセトニトリル
DCM:ジクロロメタン
EDC・HCl:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド,HCl
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EtOH:エタノール
EtOAc:酢酸エチル
MeOH:メタノール
NMP:N−メチルピロリドン
THF:テトラヒドロフラン
RT:室温
【0135】
(例1)
調製例
本発明の化合物は、化合物3に対してスキーム1で例示した一般的な表記で概略したが、以下により詳細にさらに記述するようにして合成され得る。
【0136】
スキーム1
【化3】

【0137】
6−クロロ−3−ニトロ−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン(中間体化合物)
【化4】


MeCN(250mL)中2,6−ジクロロ−3−ニトロピリジン(23.5g、109.6mmol)の溶液に、トリエチルアミン(46.7mL、328mmol)を加えた。反応混合物を0℃に冷却し、ピロリジン(9mL、109.6mmol)を加えた。完全に加え終わった後、反応混合物をRTまで温めた。3時間攪拌した後、反応混合物をろ過し、沈殿物を100mLのDCMで3回、洗浄した。DCM分画を合一して約250mLまで濃縮し、1MのHCl、水、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥して、真空下で濃縮した後、黄色の固体収率25.9gを得た。ヘプタン:EtOAc 9:1のカラムクロマトグラフィーを用いて精製して、黄色固体として21.6g(85%)収率を得た。
【0138】
(4−フルオロ−ベンジル)−(5−ニトロ−6−ピロリジン−1−イル−ピリジン−2−イル)−アミン(中間体化合物1.1)
【化5】


MeCN(100mL)中6−クロロ−3−ニトロ−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン(10.0g、43.9mmol)の溶液へ、トリエチルアミン(18.7mL、131.8mmol)を加えた。反応混合物を0℃に冷却し、4−フルオロベンジルアミン(5.5mL、48.3mmol)を滴加した。完全に加え終わった後、反応混合物を室温まで温め、一夜還流させた。反応混合物を150mLの1M HCl中に注いだ。水層を80mLのEtOAcで3回抽出した。合せた有機層を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空下で濃縮して、暗赤色の油を得た。単離した油に4−フルオロベンジルアミン(10mL、87mmol)を加え、反応混合物を、約1時間、80℃に加熱した。完全に反応した混合物を1M HCl(aq)150mL中に注いだ。水層を80mLのEtOAcで3回抽出した。合せた有機層を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空下で濃縮して、15.8gを得(定量的収率)、それをそのまま次のステップに用いた。
【0139】
−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ピロリジン−1−イル−ピリジン−2,5−ジアミン(中間体化合物)
【化6】


(4−フルオロ−ベンジル)−(5−ニトロ−6−ピロリジン−1−イル−ピリジン−2−イル)−アミン(3.1g、9.8mmol)を96%EtOH(50mL)中に溶解し、水中50%スラリーのラネーニッケル触媒(1.0g)を加えた。反応混合物は水素及び附属の水素風船でパージした。反応混合物を室温で一夜激しく攪拌し、その後反応混合物をhyfloを通してろ過し、真空下で蒸発させて、LC−MSによる純度が73%である黒い油として2.5g(89%)を得た。生成物はそのまま次の反応に用いた。
【0140】
N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−2−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド(化合物1)
【化7】


−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ピロリジン−1−イル−ピリジン−2,5−ジアミン(0.1、0.35mmol)をDCM(4mL)に溶解し、3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸(88.9mg、0.4mmol)、HOAt(74mg、0.54mmol)及びEDC・HCl(104mg、0.54mmol)を加えた。反応混合物を室温で一夜攪拌した。水(3mL)を反応混合物に加え、混合物を30分間激しく攪拌した。反応混合物を相分離器でろ過し、溶媒を乾燥するまで蒸発させ、分取LC―MSを用いて精製した固体、48mg(28%)の表題化合物を得た。LC−ESI−HRMSで[M+H]+は491.1884Daを示す。計算値491.187026Da、差2.8ppm。
【0141】
以下の化合物2から13は、同様にして合成した。
【表1−1】


【表1−2】

【0142】
(例2)
代替法として、同様の化合物は、以下の実施例に記載する方法により合成し得る。
【0143】
ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル−(5−ニトロ−6−ピロリジン−1−イル−ピリジン−2−イル)−アミン(中間化合物)
【化8】


DMSO(15mL)中の6−クロロ−3−ニトロ−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン(2g、8.79mmol)、ピペロニルアミン(1.59g、10.54mmol)及びトリエチルアミン(3mL、22mmol)の溶液を、マイクロウエーブオーブン(Biotage Optimizer)中で20分間、150℃に加熱した。反応混合物を200mLの飽和NaHCO中に注ぎ、エーテルで抽出した。有機相を乾燥し(MgSO)、ろ過し、乾燥まで蒸発させ、フラシュカラムクロマトグラフィー(flashmaster、80gカラム、ベンジン/EtOAc)を用いて精製し、表題化合物に一致するオレンジ色の結晶性化合物2.77g(92%)を得た。
【0144】
N−{6−[(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)−アミノ]−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル}−3,3−ジメチル−ブチルアミド(化合物14)
【化9】


THF(20mL)中、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル−(5−ニトロ−6−ピロリジン−1−イル−ピリジン−2−イル)−アミン(化合物1.14、1.39g、4.06mmol)及びラネーニッケル(0.35g)のスラリーをアルゴンで5分間パージし、次いでヒドラジン1水和物(0.61mmol、12.2mmol)を加えた。反応混合物をrtでNガスの流出が停止するまで攪拌した。3,3−ジメチルブチリルクロリド(0.85mL、6.1mmol)を加え、反応混合物を週末の間攪拌を続けた。次いで反応混合物に飽和NaHCO(aq)及びDCMを加え、相分離器を通してろ過した。ろ液を真空下で蒸発させ、ジエチルエーテル中で粉砕し、乾燥後0.95g(57%)の表題化合物を赤色固体として得た。LC−ESI−HRMSで[M+H]+は、411.2403Daを示す。計算値411.239071Da。
【0145】
以下の化合物15から22は、同様にして合成した。
【表2−1】


【表2−2】

【0146】
生物学的活性
標準のパッチクランプの設定で、例えば、国際特許公開第2004/080377号に概説されているように、ヒトK2+3チャネルを安定に発現する細胞系HEK293を用いて、本発明の化合物が、様々な濃度で様々な程度で、チャネルの活性化因子であることが見出された。
【0147】
こうしたチャネル活性化因子によって得られる効果は、所与の濃度でのベースライン電流の増加の百分率で記載される。ベースライン電流を100%とし、電流の増加をこれに対して表す。すなわち、1nAから1.2nAへの増加は、120%と報告する。
【表3】

【0148】
本明細書においては本発明の特定の実施形態を例示の目的で記載したが、上述の記載から、本発明の精神や範囲から乖離することなく、種々の変形がなし得ることが理解できよう。したがって、本発明は附属の特許請求の範囲により制限されるべきものではない。
【0149】
上述の記載、特許請求の範囲及び/又は附属する図面において開示された特徴は、個別に及びそれらのいかなる組合せにおいても共に、それらの広範囲の形態において、本発明を実現するための材料であり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、
【化1】


立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシド
(式中、Rは、アルキル、フェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル又はベンゾ[1,4]ジオキシニルを表し、前記フェニルは、アルキル、ハロ、トリフルオロメチル、アルコキシ、シアノ及びジフルオロメトキシから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されており、
は、水素を表し、
は、アルキル又はフェニルを表し、前記フェニルは、アルキル、ハロ、アルコキシ及びトリフルオロメチルから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されており、
Lは、−CR’R”−、−CH−CR’R”−、−CR’R”−CH−及びシクロアルキルから選択されるリンカーを表し、ここでR’及びR”は、それぞれ独立に、水素、アルキル又はハロを表す。)。
【請求項2】
が、アルキル又はフェニルを表し、前記フェニルは、アルキル、ハロ及びトリフルオロメチルから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されており、
が、水素を表し、
が、フェニルを表し、前記フェニルは、アルキル、ハロ及びトリフルオロメチルから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されており、
Lが、−CR’R”−、−CH−CR’R”−、−CR’R”−CH−及びシクロアルキルから選択されるリンカーを表し、ここでR’及びR”は、それぞれ独立に、水素、アルキル又はハロを表す、
請求項1に記載の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又は立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシド。
【請求項3】
が、アルキルを表す、請求項1から2までのいずれか一項に記載の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又は立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシド。
【請求項4】
が、フェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル又はベンゾ[1,4]ジオキシニルを表し、前記フェニルはアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、アルコキシ、シアノ及びジフルオロメトキシから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されている、請求項1に記載の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又は立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシド。
【請求項5】
が、アルキルを表す、請求項1、3から4までのいずれか一項に記載の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又は立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシド。
【請求項6】
が、アルキル、ハロ、アルコキシ及びトリフルオロメチルから選択される置換基で1回又は複数回、場合により置換されている、フェニルを表す、請求項1から4までのいずれか一項に記載の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又は立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシド。
【請求項7】
Lが、−CR’R”−、−CH−CR’R”−、−CR’R”−CH−及びシクロアルキルから選択されるリンカーを表し、ここでR’及びR”は、それぞれ独立に、水素又はアルキルを表す、請求項1から6までのいずれか一項に記載の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又は立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシド。
【請求項8】
N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−2−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド;
2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−アセトアミド;
2−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−アセトアミド;
(S)−N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−2−フェニル−プロピオンアミド;
N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−3−(3−フルオロ−フェニル)−プロピオンアミド;
(R)−N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−3−フェニル−ブチルアミド;
(R)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−アミド;
N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−2−(3−フルオロ−フェニル)−アセトアミド;
N−[6−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチル−ブチルアミド;
である、請求項1に記載の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又は立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシド。
【請求項9】
2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−N−(6−イソブチルアミノ−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アセトアミド;
2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[6−(5−フルオロ−2−メチル−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−アセトアミド;
2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[6−(2,6−ジメチル−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−アセトアミド;
2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[2−ピロリジン−1−イル−6−(4−トリフルオロメチル−ベンジルアミノ)−ピリジン−3−イル]−アセトアミド;
N−{6−[(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)−アミノ]−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル}−3,3−ジメチル−ブチルアミド;
N−[6−(3,4−ジフルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−アセトアミド;
N−{6−[(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)−アミノ]−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル}−2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−アセトアミド;
N−[6−(4−シアノ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−アセトアミド;
N−[6−(3,4−ジフルオロ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチル−ブチルアミド;
2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[6−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−アセトアミド;
N−[6−(4−ジフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−アセトアミド;
N−[6−(4−ジフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチル−ブチルアミド;
2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{6−[(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−アミノ]−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル}−アセトアミド;
N−{6−[(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−アミノ]−2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル}−3,3−ジメチル−ブチルアミド;
である、請求項1に記載の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又は立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシド。
【請求項10】
治療有効量の請求項1から9までのいずれか一項に記載の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又は立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドを含む、医薬組成物。
【請求項11】
医薬組成物を製造するための、請求項1から9までのいずれか一項に記載の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又は立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドの使用。
【請求項12】
ヒトを含む哺乳動物の、K7チャネルの活性化に応答性である疾患又は障害又は状態の治療、予防又は軽減のための医薬組成物を製造するための、請求項1から9までのいずれか一項に記載の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドの使用。
【請求項13】
疾患、障害又は状態が、疼痛、神経変性障害、偏頭痛、双極性障害、躁病、てんかん、痙攣、発作及び発作性障害、不安、うつ病、統合失調症及び尿失禁である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
疾患、障害又は状態が、疼痛、軽度、中等度の若しくは重度の疼痛、急性、慢性若しくは再発性疼痛、神経因性疼痛、偏頭痛に起因する疼痛、術後痛、幻肢痛、神経因性疼痛、慢性頭痛、緊張性頭痛、中枢性疼痛、糖尿病性神経障害に関連する疼痛、治療後神経痛に関連する疼痛、又は末梢神経損傷に関連する疼痛である、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
薬物として使用するための、請求項1から9までのいずれか一項に記載の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又は立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシド。
【請求項16】
ヒトを含む哺乳動物の、K7チャネルの活性化に応答性である疾患又は障害又は状態の治療、予防又は軽減に使用するための、請求項1から9までのいずれか一項に記載の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又は立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシド。
【請求項17】
ヒトを含む、生きている動物体の、K7チャネルの活性化に応答性である疾患又は障害又は状態を治療、予防又は軽減する方法であって、その必要のあるそのような生きている動物体に、治療有効量の、請求項1から9までのいずれか一項に記載の2−ピロリジニル−3−アミド−6−アミノ−ピリジン誘導体、又は立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのN−オキシドを投与するステップを含む、方法。

【公表番号】特表2011−506390(P2011−506390A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537428(P2010−537428)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067164
【国際公開番号】WO2009/074593
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】