説明

カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生及び放出促進作用を有する可食性組成物

【課題】胃粘膜傷害,生活習慣病,肥満,悪性腫瘍および骨粗鬆症の予防及び治療、臓器移植拒絶反応の軽減、感染等の侵襲要因に対する生体侵襲反応に伴う臓器障害の予防及び軽減、花粉症治療、さらには育毛に関し、有用であって、しかも、消化器官への刺激を伴わず、副作用のない自然の成分を用いた可食性組成物を提供する。
【解決手段】ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する可食性組成物とする。そして、その可食性組成物を、胃粘膜傷害,生活習慣病,肥満,悪性腫瘍および骨粗鬆症の予防及び治療用、臓器移植拒絶反応軽減用、感染等の侵襲要因に対する生体侵襲反応に伴う臓器障害の予防及び軽減用、花粉症治療用、さらには頭髪等の育毛用の、可食性組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する可食性組成物に関する。詳しくは、本発明は、胃粘膜傷害,生活習慣病,肥満,悪性腫瘍等の発生予防と治療用、骨粗鬆症の予防と治療用、臓器移植拒絶反応軽減用、感染等の侵襲要因に対する生体侵襲反応に伴う臓器障害の予防と軽減用、花粉症治療用、ならびに、育毛用等の、可食性組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代社会においては、多かれ少なかれ生体の内部環境を撹乱させるような社会的、心理的および身体的なストレスを避けて生活することはできない。ストレスと疾病の関連の重要性は、社会的心理的ストレッサーが、その発症に深くかかわっている病態、すなわち消化性潰瘍、過敏性大腸症候群、気管支喘息、高血圧、虚血性心疾患および糖尿病などにおいて指摘されてきたが、これらのほかにも、社会的心理的ストレスにより免疫能が低下し、感染症や発癌などのリスクが増加することも知られている。また、薄毛、抜け毛に悩む男女が増加しているが、これも、遺伝的素因、老化などの要因以外に、ストレスの影響が大きいことが指摘されている。
【0003】
一方、感染や外傷などといった、身体への物理化学的ストレッサーに対する生体反応は、社会的心理的ストレッサーに対する生体反応と極めて類似しており、これらの生体反応の発現にTNF−αなどの炎症性サイトカインが重要であることが明らかになってきた。
【0004】
TNF−αは、基本的にはストレス反応における生体防御に最も重要な役割を果たす物質であり、単球、好中球および血管内皮細胞などを活性化し、炎症反応の拡大に大きく関与する。しかしながら、強力で継続的なストレスにより上記TNF−αの産生が過剰になると、血栓形成などの循環障害や実質細胞のアポトーシスを引き起こすことで臓器機能障害や形態変化などを惹起し、生体をいわゆる悪液質に陥れ、さまざまな疾病症状が現れるようになる。このような観点から、多くの病因をストレッサーと考えれば、それらに対する反応が、その疾病の病態であり、また、臨床症状であると考えることができる。
【0005】
たとえば、消化性潰瘍の発症は、TNF−αによって惹起される胃粘膜の炎症が重要な原因となっている。また、TNF−αの産生亢進によって、糖尿病、高血圧、高脂血症および動脈硬化などの生活習慣病や、癌、骨粗鬆症の発症リスクが大きくなることが知られている。
【0006】
TNF−αの産生の抑制には、神経ペプチドの一種であるカルシトニン遺伝子関連ペプチドが重要な役割を果たしている。カルシトニン遺伝子関連ペプチドは、ホルモンであるカルシトニンと構造が非常に類似した37個のアミノ酸からなるペプチドで、この遺伝子はカルシトニン遺伝子と同じ遺伝子上にあり、そのオルタナティブ・スプライシング(alternative splicing)により生成される。カルシトニン遺伝子関連ペプチドは、血管拡張作用、骨芽細胞の増殖、また破骨細胞の活性化抑制、食欲の抑制、さらにNFκBの活性化を抑制して、TNF−αの産生抑制や癌細胞のアポトーシスを促進する。また、カルシトニン遺伝子関連ペプチドが血管内皮細胞に作用することにより、NOや、PGI2 などのプロスタグランジンの産生が亢進するが、これらの物質は、血流増加作用に加えてTNF−α産生抑制作用を発揮する。さらに、カルシトニン遺伝子関連ペプチドは、循環器系にも重要な作用を及ぼすことが知られており、全身の血管拡張作用、陽性変時及び変力作用、NaClの体外排泄作用、冠血管拡張作用、及び腎血流増加作用などを有している。
【0007】
さらに、カルシトニン遺伝子関連ペプチドは、上記のようにTNF−αの過剰な産生を抑制するとともに、インスリン様成長因子Iを誘導する。インスリン様成長因子Iは、毛包の成長を促進し、毛周期における休止期から成長期への移行と成長期の延長に関して重要な働きをしていると考えられている(以上、非特許文献1〜4参照)。
【0008】
現状では、TNF−αの過剰な産生に起因すると考えられる上記疾病の治療には、対症療法的な薬剤が用いられることが多い。しかし、このような薬剤は、病態の主原因にかかわるものではなく、むしろ副作用が問題となる場合が多いことから、近年、そのような副作用を伴わずに、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生および放出促進作用を有する可食性組成物として、カプサイシンによるカルシトニン遺伝子関連ペプチドの放出促進作用と、イソフラボンによるカルシトニン遺伝子関連ペプチド産生促進作用を組み合わせた、胃粘膜障害、生活習慣病、肥満、悪性腫瘍および骨粗鬆症の予防および治療用、臓器移植拒絶反応軽減用、感染等の侵襲要因に対する生体侵襲反応に伴う臓器障害の予防と軽減用、さらには育毛用の、可食性組成物が提案されている(特許文献1参照)。
【非特許文献1】岡嶋研二著「生体侵襲と疾患−重症敗血症から生活習慣病まで」現代医療社、2003年
【非特許文献2】Harada N、Okajima K 、Uchiba M 、Katsuragi T 、Contribution of capsaicin-sensitive sensory neurons to stress-induced increase in gastric tissue levels of prostaglandins in rats 、 Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol、2003 Jul 31 [Epub ahead of print]
【非特許文献3】Vignery A 、McCarthy TL 、The neuropeptide calcitonin gene-related peptide stimulates insulin-like growth factor 1 production by primary fetal rat osteoblasts、Bone、1996、Vol 18、No 4、331-335
【非特許文献4】Philpott MP 、Sanders DA、Kealey T、Effects of insulin and insulin-like growth factors on cultured human hair follicles: IGF-1 at physiologic concentrations is an important regulator of hair follicle growth in vitro 、J Invest Dermatol 、1994、Vol 102 、No 6、857-861
【特許文献1】特開2005−68129公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記提案の可食性組成物には、そのカルシトニン遺伝子関連ペプチドの放出を促進するために多量のカプサイシンが含まれている。そして、このカプサイシンが、胃や食道をはじめとする消化器官に対し一時的に激しい刺激を与えるため、人によっては、摂取直後に胃等の消化器官に不快感を生じる場合がある。また、その刺激のために、多量の水とともに摂取しないと摂取しづらい等の問題もある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、胃粘膜傷害,生活習慣病,肥満,悪性腫瘍および骨粗鬆症の予防及び治療、臓器移植拒絶反応の軽減、感染等の侵襲要因に対する生体侵襲反応に伴う臓器障害の予防及び軽減、花粉症治療、さらには育毛に関し、有用であって、しかも、消化器官への刺激を伴わず、副作用のない自然の成分を用いた可食性組成物の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明は、以下の(1)から(13)の、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する可食性組成物を要旨とするものである。
(1)ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する可食性組成物。
(2)ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する、胃粘膜傷害予防及び治療用可食性組成物。
(3)ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する、生活習慣病予防及び治療用可食性組成物。
(4)ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する、肥満予防及び治療用可食性組成物。
(5)ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する、悪性腫瘍発生予防,再発予防及び治療用可食性組成物。
(6)ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する、骨粗鬆症予防及び治療用可食性組成物。
(7)ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する、臓器移植拒絶反応軽減用可食性組成物。
(8)ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する、感染,外傷,手術等の侵襲要因に対する生体侵襲反応に伴う臓器障害の予防及び軽減用可食性組成物。
(9)ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する、花粉症治療用可食性組成物。
(10)ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する、育毛用可食性組成物。
(11)イソフラボンが、大豆由来のイソフラボンである(1)から(10)のいずれかに記載の可食性組成物。
(12)ラズベリーケトンが、ラズベリー由来のラズベリーケトンである(1)から(11)のいずれかに記載の可食性組成物。
(13)カプシエイトが、唐辛子品種「CH−19甘」由来のカプシエイトである(1)から(12)のいずれかに記載の可食性組成物。
【0012】
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、ラズベリーの香気成分であるラズベリーケトン、辛みのない唐辛子品種「CH−19甘」から抽出されたカプシエイト、一般に食されている蜂蜜、および健康食品として広く認知されているローヤルゼリーに、カプサイシン感受性知覚神経を活性化させ、神経末端からのカルシトニン遺伝子関連ペプチドの放出を促進する作用があることを突き止めた。また、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの放出促進を介して、血中および皮膚のインスリン様成長因子I濃度の上昇に関与することも、動物実験により見いだした。このように、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーは、カプサイシンと同様、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの放出促進作用を有するが、しかし、カプサイシンのように辛味や刺激はない。本発明者らは、このことに着目し、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーの少なくとも一つと、イソフラボンとを組み合わせることを想起した。そして、研究を重ねた結果、上記組み合わせが、イソフラボンとカプサイシンとの組み合わせと同様に、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生および放出が著明に促進され、胃粘膜傷害を予防及び治療、糖尿病、高血圧、高脂血症および動脈硬化などの生活習慣病や肥満、悪性腫瘍の発生及び再発、骨粗鬆症の予防及び治療、臓器移植後の拒絶反応の軽減、感染、外傷、手術等の様々な侵襲要因による臓器障害予防または治療、花粉症治療、さらには育毛に対して有用であることを突き止めた。しかも、この組み合わせによる可食性組成物は、消化器官への刺激を伴わず、水無しでも摂取しやすく、さらに副作用のない自然の成分を用いているため、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0013】
本発明の、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とする可食性組成物は、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生および放出を促進することによって、胃粘膜傷害を予防及び治療する効果を有するだけでなく、糖尿病、高血圧、高脂血症および動脈硬化などの生活習慣病や肥満、悪性腫瘍の発生予防及び再発予防効果、骨粗鬆症の予防及び治療効果、臓器移植後の拒絶反応の軽減、感染,外傷,手術などの様々な侵襲要因による臓器障害予防または治療効果、花粉症治療効果、さらには育毛に対して有用な効果を有する。また、本発明のカルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する可食性組成物は、その作用も穏やかで副作用がなく、安全性が高いうえ、胃等の消化器官を刺激することもない。このような本発明の可食性組成物は、現代の生活において問題となる疾病の予防や治療、あるいは身体的コンプレックスの克服を図る上で、大きく役に立つことが期待される。
【0014】
特に、本発明のカルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生および放出促進作用を有する可食性組成物に関し、イソフラボンが、大豆由来のイソフラボンである場合や、ラズベリーケトンが、ラズベリー由来のラズベリーケトンである場合や、カプシエイトが、唐辛子品種「CH−19甘」由来のカプシエイトである場合、安全性については問題がなく、その作用も穏やかで副作用の心配がないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0016】
本発明の可食性組成物は、先にも述べたように、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとの組み合わせに特徴を有するものであり、これら各成分を、必須成分として含有するものである。このような構成によって、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生および放出が著明に促進されるようになる。ここで、必須成分とは、任意成分に対するものであって、構成上必ず含有される成分のことをいい、量的な制約は受けない。
【0017】
本発明に用いるラズベリーケトンは、特に限定されるものではないが、採取が容易で、かつ安全性等の観点から、ラズベリー由来のラズベリーケトンを用いることが望ましい。また、本発明に用いるカプシエイトも、特に限定されるものではないが、採取が容易で、かつ、安全性等の観点より、唐辛子から選抜育種された品種「CH−19甘」を用いることが望ましい。なお、上記ラズベリーケトンおよびカプシエイトは、ラズベリーや、上記特定の唐辛子品種を粉砕、粉末化したものをそのまま使用することもできるが、濃度の高いラズベリーケトンやカプシエイトを用いるため、その抽出物やその精製物を用いることも可能である。ラズベリーケトンやカプシエイトを抽出する溶媒は、特に限定されるものではないが、水又はエタノールなどのアルコールを用いるのが好ましい。また、精製の方法は、合成吸着剤やイオン交換樹脂、限外ろ過などを使用することが可能であるが、特に限定されるものではない。抽出液又は精製液は、そのまま使用しても良いが、それらを濃縮した濃縮液、もしくは、抽出液又は精製液を乾燥したあと粉末化したものを使用しても良い。
【0018】
さらに、本発明に用いる蜂蜜およびローヤルゼリーは、特に限定されず、一般的なもの(市販のもの)でよい。
【0019】
一方、本発明に用いるイソフラボンの由来は、特に限定されるものではなく、たとえば大豆種子、葛根およびそれらを用いた食品などがあげられる。なかでも大豆の胚軸にはイソフラボンが多量に含まれるため都合が良い。また、納豆などの食品を用いることも可能である。
【0020】
上記イソフラボンには、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン、ダイズイン、ゲニスチン、グリシチン、6 ”−O−マロニルダイズイン、6 ”−O−マロニルゲニスチン、6 ”−O−マロニルグリシチン、6 ”−O−アセチルダイズイン、6 ”−O−アセチルゲニスチン、6 ”−O−アセチルグリシチンや納豆にみられる6 ”−O−サクシニルダイズイン、6 ”−O−サクシニルゲニスチン、6 ”−O−サクシニルグリシチン及びプエラリンなどが含まれる。なお、上記の各種イソフラボンは、本発明において、単独であるいは二種以上併せて用いられる。
【0021】
濃度の高いイソフラボンを使用するため大豆や大豆食品、大豆胚軸、葛根などの抽出物やその精製物を用いることも可能である。イソフラボンを抽出する溶媒は、特に限定されるものではないが、水又はエタノールなどのアルコールを用いるのが好ましい。また、精製の方法は、合成吸着剤やイオン交換樹脂、限外ろ過などを使用することが可能であるが、特に限定されるものではない。抽出液又は精製液は、そのまま使用しても良いが、それらを濃縮した濃縮液、もしくは、抽出液又は精製液を乾燥したあと粉末化したものを使用しても良い。
【0022】
本発明の可食性組成物は、上述のようにして得られたラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーの少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とするものであり、これらを混合したものをそのまま直接使用してもよいが、一般には、これらを、適当な液状担体に溶解あるいは分散させたり、適当な粉末担体に混合させたものを使用する。そして、上記イソフラボンが有効成分となり得るための含有量は、通常、液剤では0.001〜0.5重量%(以下、「%」と略す)の範囲であると好適であり、粉剤の場合は0.01〜80%の範囲であると好適であり、粒剤の場合は0.01〜40%の範囲であると好適である。他方、上記ラズベリーケトンが有効成分となり得るための含有量は、通常、液剤では0.05〜20%の範囲であると好適であり、粉剤の場合は0.05〜100%の範囲であると好適であり、粒剤の場合は0.05〜100%の範囲であると好適である。また、上記カプシエイトが有効成分となり得るための含有量は、通常、液剤では0.0001〜0.05%の範囲であると好適であり、粉剤の場合は0.0001〜5%の範囲であると好適であり、粒剤の場合は0.0001〜5%の範囲であると好適である。さらに、上記蜂蜜が有効成分となり得るための含有量は、通常、液剤では0.05〜100%の範囲であると好適であり、粉剤の場合は0.05〜100%の範囲であると好適であり、粒剤の場合は0.05〜100%の範囲であると好適である。また、上記ローヤルゼリーが有効成分となり得るための含有量は、通常、液剤では0.05〜100%の範囲であると好適であり、粉剤の場合は0.05〜100%の範囲であると好適であり、粒剤の場合は0.05〜100%の範囲であると好適である。
【0023】
そして、本発明においては、上記イソフラボンと、上記ラズベリーケトン等(ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリー)との割合が重要であり、イソフラボン:ラズベリーケトン=10:1〜1:2000の重量比で含有していると好ましく、より好ましくは、イソフラボン:ラズベリーケトン=1:1〜1:200の重量比の範囲である。また、イソフラボン:カプシエイト=1:10〜5000:1の重量比で含有していると好ましく、より好ましくは、イソフラボン:カプシエイト=1:1〜500:1の重量比の範囲である。さらに、イソフラボン:蜂蜜=10:1〜1:2000の重量比で含有していると好ましく、より好ましくは、イソフラボン:蜂蜜=1:1〜1:200の重量比の範囲である。また、イソフラボン:ローヤルゼリー=10:1〜1:2000の重量比で含有していると好ましく、より好ましくは、イソフラボン:ローヤルゼリー=1:1〜1:200の重量比の範囲である。すなわち、このような割合で双方が含有していると、双方の相乗効果により、本発明において要求されるカルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用が効果的に得られるようになるからである。なお、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーは、上記範囲内において併用することも可能である。
【0024】
本発明の可食性組成物は、人間のみでなく、ペットや家畜等の動物においても、人間に投与した際にみられる前述の作用効果と同様の作用効果が期待されるものである。そして、その投与量は、投与対象とする生物の違い、前述の各種作用効果のうちのいずれを得ることを目的とするのかといった違い、投与される者の性別、体重、年齢等の条件に応じて適宜設定される。例えば、成人に対しては、上記ラズベリーケトン等とイソフラボンとの混合物を1日あたり10〜5000mgとなるよう、数回に分けて投与することができる。また、ペットや家畜等の動物においては、動物用飼料に上記混合物を0.001〜5%の範囲で含有させ、1 日当たり1〜5000mg/kg体重の範囲となるよう投与するのが好ましい。
【0025】
本発明のカルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有する可食性組成物は、上述したようにラズベリーケトン等とイソフラボンとを有効成分として含むものであれば、その形状や飲食方法を特に問うものではない。具体的には、飲料や調理食品、デザート、菓子、乳製品、麺類、パン類などの一般的な食品のほか、好ましくは錠剤、粉剤、顆粒剤などの固形物や半固形剤をあげることができる。
【0026】
上記ラズベリーケトン等とイソフラボン以外の任意成分としては、たとえば、甘味料、塩味料、酸味料、うまみ料などの調味料、乳化剤、分散剤、抗酸化剤、防腐剤、増粘剤、結合剤、香料などがあげられる。また、錠剤や粉剤、顆粒剤などの場合は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、皮膜剤、滑沢剤、増量剤、希釈剤、pH調整剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、嬌味嬌臭剤、着色剤などが例示できる。
【0027】
以下に、実施例をあげて本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
【0028】
〔痛み刺激の確認試験〕
無作為に抽出した男女52人を対象とし、1グループ4人の計13グループにわけた。そして、そのうちのグループ1では、イソフラボン(IS)を含む錠剤(イソフラボン抽出物;フジッコ社製のフジフラボンP40を使用)の投与により1日40mgのイソフラボンを摂取させ、グループ2では、カプサイシン(CA)を含む錠剤の投与により1日1mgのカプサイシンを摂取させた。グループ4にはラズベリーケトン(RA)を含む錠剤の投与により1日625mgのラズベリーケトンを摂取させた。グループ6にはカプシエイト(CE)を含む錠剤の投与により1日1mgのカプシエイトを摂取させた。グループ8には蜂蜜(HO)を含む錠剤の投与により1日625mgの蜂蜜を摂取させた。グループ10にはローヤルゼリー(RO)を含む錠剤の投与により1日600mgのローヤルゼリーを摂取させた。また、グループ3、5、7、9、11には、グループ1に投与したのと同様のイソフラボンと、それに加え、カプサイシン、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーを含む錠剤(グループ2、4、6、8、10に投与のものと同様)を、下記の表1および表2に示すようにそれぞれ投与した。さらに、グループ12には、上記イソフラボン、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーの5種全てを含む錠剤を投与し、グループ13には疑似錠剤を投与した。これを40日間にわたって行った。そして、投与期間中に胃への刺激(痛み等)を感じた被験者数を記録した。この結果を、下記の表1および表2に併せて示す。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
上記表の結果より、カプサイシンを投与したグループ2、3では、4人全ての被験者が胃への刺激を感じており、この刺激は、イソフラボンと併用した場合であっても抑えられないことがわかる。これに対し、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーは、カプサイシンのような刺激を伴わず、これらとイソフラボンとを併用した本発明のグループ(グループ3、5、7、9、11、12)でも、同様に、胃への刺激を伴わないことが認められた。
【実施例2】
【0032】
〔胃潰瘍患者への投与試験〕
内視鏡で胃潰瘍が認められている患者を対象とし、1グループ4人の計22グループにわけた。そして、そのうちのグループ1では、イソフラボン(IS)を含む錠剤(イソフラボン抽出物;フジッコ社製のフジフラボンP40を使用)の投与により1日40mgのイソフラボンを摂取させ、グループ2では、カプサイシン(CA)を含む錠剤の投与により1日1mgのカプサイシンを摂取させた。グループ3にはラズベリーケトン(RA)を含む錠剤の投与により1日625mgのラズベリーケトンを摂取させた。グループ12にはカプシエイト(CE)を含む錠剤の投与により1日1mgのカプシエイトを摂取させた。グループ17には蜂蜜(HO)を含む錠剤の投与により1日625mgの蜂蜜を摂取させた。グループ20にはローヤルゼリー(RO)を含む錠剤の投与により1日600mgのローヤルゼリーを摂取させた。また、グループ4〜11、13〜16、18、19、21には、グループ1に投与したのと同様のイソフラボンと、それに加え、カプサイシン、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜、またはローヤルゼリーを含む錠剤(グループ2、3、12、17、20に投与のものと同様)を、下記の表3および表4に示す組み合わせで、それぞれ投与した。また、グループ22には擬似錠剤を投与した。これを20日間にわたって行った。
【0033】
そして、投与期間中の自覚症状の確認を行うとともに、投与終了後、胃の内視鏡検査を行った。この結果を、下記の表3および表4に併せて示す。なお、各データは、それぞれのグループでの平均値を示すものである。
【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
上記表の結果より、イソフラボン、カプサイシン、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーを単独で摂取したグループ(グループ1、2、3、12、17、20)の被験者は、胃潰瘍に対して著明な改善効果が認められなかった。これに対し、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーのうちの少なくとも1つと、イソフラボンとを同時に摂取した本発明のグループ(グループ4〜11、13〜16、18、19、21)では、胃潰瘍に対して著明な改善効果が認められた。
【実施例3】
【0037】
〔水浸拘束ストレス胃粘膜病変モデルにおける、イソフラボン等によるカルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生および放出促進作用と胃粘膜傷害抑制作用の検定〕
13群に分けたウィスター系雄ラット(280〜320g、1群あたり8匹)を24時間絶食させた後、12群については水温22℃の水槽内に設置したストレスゲージに8時間拘束した(水浸拘束群)。拘束後、全群のラットを屠殺し、胃の摘出をおこなった。
【0038】
ここで、上記12群は、後記の表5および表6に示すように、上記絶食前に投与した飼料等から、イソフラボン(IS)投与群、カプサイシン(CA)投与群、ラズベリーケトン(RA)投与群、イソフラボン+ラズベリーケトン(IS+RA)投与群、カプシエイト(CE)投与群、イソフラボン+カプシエイト(IS+CE)投与群、蜂蜜(HO)投与群、イソフラボン+蜂蜜(IS+HO)投与群、ローヤルゼリー(RO)投与群、イソフラボン+ローヤルゼリー(IS+RO)投与群、イソフラボン+ラズベリーケトン+カプシエイト+蜂蜜+ローヤルゼリー(IS+RA+CE+HO+RO)投与群、非投与群(標準食のみ。対照群)のいずれかに属する。すなわち、IS投与群では、水浸拘束処理前28日よりイソフラボンの摂取量が90mg/kg体重/dayとなるよう大豆胚芽抽出物(フジフラボンP10、フジッコ社製)を添加した飼料で飼育を行った。また、CA投与群では、カプサイシンを、10%のTween20を含む10%エタノール水溶液に溶かし、水浸拘束の1時間前に経口投与した(カプサイシンとして1mg/kg体重の投与)。RA投与群では、ラズベリーケトンを水浸拘束の1時間前に経口投与した(ラズベリーケトンとして625mg/kg体重の投与)。CE投与群では、カプシエイトを水浸拘束の1時間前に経口投与した(カプシエイトとして1mg/kg体重の投与)。HO投与群では、蜂蜜を水浸拘束の1時間前に経口投与した(蜂蜜として625mg/kg体重の投与)。RO投与群では、ローヤルゼリーを水浸拘束の1時間前に経口投与した(ローヤルゼリーとして600mg/kg体重の投与)。さらに、これら飼育方法の組み合わせにより、IS+RA投与群、IS+CE投与群、IS+HO投与群、IS+RO投与群、IS+RA+CE+HO+RO投与群の飼育を行った。
【0039】
そして、上記13群、すなわち、正常群(normal;水浸拘束なし)と対照群(Control;水浸拘束)と11のテスト群(水浸拘束+イソフラボン等の投与)から摘出された胃をもとに、その胃部傷害指数、胃部カルシトニン遺伝子関連ペプチド濃度(CGRP)の測定を行った。これらの結果を、下記の表5および表6に併せて示す。なお、各データは、それぞれの群での平均値を示すものである。
【0040】
【表5】

【0041】
【表6】

【0042】
上記表の結果より、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーのうちの少なくとも1つと、イソフラボンとを同時に摂取することは、胃部のカルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生を促進し、胃粘膜の傷害を予防及び治療しうることがわかる。
【実施例4】
【0043】
〔卵巣摘出ラットにおけるイソフラボン等によるカルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生促進作用と骨粗鬆症に対する効果の検定〕
13群に分けた80日齢のSD系雌ラット(1群あたり6匹。なお、上記13群のうちの12群は、卵巣摘出がなされた、摘出後10日目のラット)に、標準食〔カルシウム欠乏飼料(Ca:0.004%、P:0.3%)〕等を投与して、28日間飼育した。その後、1晩(18時間)絶食させ、全群のラットを屠殺し、そこから大腿骨を摘出した。
【0044】
ここで、上記卵巣摘出の12群は、後記の表7および表8に示すように、上記絶食前に投与した飼料等から、イソフラボン(IS)投与群、カプサイシン(CA)投与群、ラズベリーケトン(RA)投与群、イソフラボン+ラズベリーケトン(IS+RA)投与群、カプシエイト(CE)投与群、イソフラボン+カプシエイト(IS+CE)投与群、蜂蜜(HO)投与群、イソフラボン+蜂蜜(IS+HO)投与群、ローヤルゼリー(RO)投与群、イソフラボン+ローヤルゼリー(IS+RO)投与群、イソフラボン+ラズベリーケトン+カプシエイト+蜂蜜+ローヤルゼリー(IS+RA+CE+HO+RO)投与群、非投与群(標準食のみ)のいずれかに属する。すなわち、IS投与群では、標準食以外に、1%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液に懸濁したダイズインを、飼育期間中、経口投与(ダイズインの摂取量が90mg/kg体重/dayとなるよう投与)した。CA投与群では、標準食以外に、カプサイシンを10%のTween20を含む10%エタノール水溶液に溶かしたものを、飼育期間中、経口投与(カプサイシンの摂取量が1mg/kg体重/dayとなるよう投与)した。RA投与群では、標準食以外に、ラズベリーケトンを、飼育期間中、経口投与(ラズベリーケトンの摂取量が625mg/kg体重/dayとなるよう投与)した。CE投与群では、標準食以外に、カプシエイトを、飼育期間中、経口投与(カプシエイトの摂取量が1mg/kg体重/dayとなるよう投与)した。HO投与群では、標準食以外に、蜂蜜を、飼育期間中、経口投与(蜂蜜の摂取量が625mg/kg体重/dayとなるよう投与)した。RO投与群では、標準食以外に、ローヤルゼリーを、飼育期間中、経口投与(ローヤルゼリーの摂取量が600mg/kg体重/dayとなるよう投与)した。さらに、これら投与方法の組み合わせにより、IS+RA投与群、IS+CE投与群、IS+HO投与群、IS+RO投与群、IS+RA+CE+HO+RO投与群の飼育を行った。
【0045】
そして、上記13群、すなわち、正常群(normal;卵巣摘出なし)と対照群(Control;卵巣摘出)と11のテスト群(卵巣摘出+イソフラボン等の投与)から摘出された大腿骨をもとに、その湿重量を測定するとともに、ピクノメーターによりその体積を測定し、骨密度を算出した。また、骨組織のカルシトニン遺伝子関連ペプチド濃度(CGRP)の測定も行った。これらの結果を、下記の表7および表8に併せて示す。なお、各データは、それぞれの群での平均値を示すものである。
【0046】
【表7】

【0047】
【表8】

【0048】
上記表の結果より、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーのうちの少なくとも1つと、イソフラボンとを同時に摂取することは、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生および放出を促進し、骨粗鬆症を予防及び治療しうることがわかる。
【実施例5】
【0049】
〔脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHR−SP)におけるイソフラボン等によるカルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生促進作用と高血圧に対する効果の検定〕
18週齢の雄性SHRSP/lzmラットを、1グループ6匹の計12グループにわけた。そして、そのうちのグループ1では、イソフラボン(IS)の摂取量が90mg/kg体重/dayとなるように大豆胚芽抽出物(フジフラボンP40)を添加した飼料で飼育した。グループ2では、カプサイシン(CA)の摂取量が1mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。グループ3ではラズベリーケトン(RA)の摂取量が625mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。グループ5ではカプシエイト(CE)の摂取量が1mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。グループ7では蜂蜜(HO)の摂取量が625mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。グループ9では、ローヤルゼリー(RO)の摂取量が600mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。また、グループ4、6、8、10、11では、これら飼育方法の組み合わせ(下記の表9および表10に示す組み合わせ)により、飼育した。グループ12は、対照群とした。
【0050】
そして、投与50日目の尾部血圧測定を行った。この結果を、下記の表9および表10に併せて示す。なお、各データは、それぞれのグループでの平均値を示すものである。
【0051】
【表9】

【0052】
【表10】

【0053】
上記表の結果より、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーのうちの少なくとも1つと、イソフラボンとを同時に摂取することは、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生および放出を促進するため、高血圧に対して効果があることがわかる。また、血中のカルシトニン遺伝子関連ペプチドを測定したところ、グループ4、6、8、10、11が、他のグループよりも高く、グループ12に対して有意差が認められた。
【実施例6】
【0054】
〔卵巣摘出ラットにおけるイソフラボン等によるカルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生および放出促進作用と食欲抑制による肥満防止効果の検定〕
13群に分けた80日齢のSD系雌ラット(1群あたり7匹。なお、上記13群のうちの12群は、卵巣摘出がなされた、摘出後10日目のラット)を、28日間飼育した。そして、飼育期間中、飼料は自由に摂取させた。ただし、上記各群に与えた飼料は、後記の表11および表12に示すように、標準食〔カルシウム欠乏飼料(Ca:0.004%、P:0.3%)〕、イソフラボン(IS)(標準食にイソフラボン0.25%を添加した飼料)、カプサイシン(CA)(標準食にカプサイシン0.005%を添加した飼料)、ラズベリーケトン(RA)(標準食にラズベリーケトン1%を添加した飼料)、イソフラボン+ラズベリーケトン(IS+RA)(標準食にイソフラボン0.25%とラズベリーケトン1%を添加した飼料)、カプシエイト(CE)(標準食にカプシエイト0.005%を添加した飼料)、イソフラボン+カプシエイト(IS+CE)(標準食にイソフラボン0.25%とカプシエイト0.005%を添加した飼料)、蜂蜜(HO)(標準食に蜂蜜1%を添加した飼料)、イソフラボン+蜂蜜(IS+HO)(標準食にイソフラボン0.25%と蜂蜜1%を添加した飼料)、ローヤルゼリー(RO)(標準食にローヤルゼリー1%を添加した飼料)、イソフラボン+ローヤルゼリー(IS+RO)(標準食にイソフラボン0.25%とローヤルゼリー1%を添加した飼料)、イソフラボン+ラズベリーケトン+カプシエイト+蜂蜜+ローヤルゼリー(IS+RA+CE+HO+RO)(標準食にイソフラボン0.25%とラズベリーケトン1%とカプシエイト0.005%と蜂蜜1%とローヤルゼリー1%を添加した飼料)のいずれかである。
【0055】
そして、上記13群、すなわち、正常群(normal;卵巣摘出なし)と対照群(control;卵巣摘出)と11つのテスト群(卵巣摘出+イソフラボン等の投与)について、平均摂餌量と最終体重の測定を行った。これらの結果を、下記の表11および表12に併せて示す。なお、各データは、それぞれの群での平均値を示すものである。
【0056】
【表11】

【0057】
【表12】

【0058】
上記表の結果より、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーのうちの少なくとも1つと、イソフラボンとを同時に摂取することは、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生および放出を促進し、食欲を抑制し肥満を予防及び治療しうることがわかる。
【実施例7】
【0059】
〔大腸癌細胞高転移株を移植して作成した肝転移モデルにおけるイソフラボン等によるカルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生促進作用と悪性腫瘍に対する効果の検定〕
12グループに分けた(1グループあたり5匹)所定のラットの脾臓すべてに、ヒト大腸癌細胞高転移株を移植し、肝転移モデルを作成した。癌細胞移植後10日目に肝の虚血再灌流を行い、その後に転移した癌細胞数を計測した。
【0060】
ところで、癌細胞移植前28日より、上記12グループは、イソフラボン(IS)投与群、カプサイシン(CA)投与群、ラズベリーケトン(RA)投与群、イソフラボン+ラズベリーケトン(IS+RA)投与群、カプシエイト(CE)投与群、イソフラボン+カプシエイト(IS+CE)投与群、蜂蜜(HO)投与群、イソフラボン+蜂蜜(IS+HO)投与群、ローヤルゼリー(RO)投与群、イソフラボン+ローヤルゼリー(IS+RO)投与群、イソフラボン+ラズベリーケトン+カプシエイト+蜂蜜+ローヤルゼリー(IS+RA+CE+HO+RO)投与群、非投与群(標準食のみ。対照群)のいずれかに属する。すなわち、IS投与群では、イソフラボンの摂取量が90mg/kg体重/dayとなるように大豆胚芽抽出物(フジフラボンP40)を添加した飼料で飼育した。また、CA投与群では、カプサイシンの摂取量が1mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。RA投与群では、ラズベリーケトンの摂取量が625mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。CE投与群では、カプシエイトの摂取量が1mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。HO投与群では、蜂蜜の摂取量が625mg/kg体重/dayとなるよう蜂蜜を添加した飼料で飼育を行った。RO投与群では、ローヤルゼリーの摂取量が600mg/kg体重/dayとなるようローヤルゼリーを添加した飼料で飼育を行った。さらに、これら飼育方法の組み合わせにより、IS+RA投与群、IS+CE投与群、IS+HO投与群、IS+RO投与群、IS+RA+CE+HO+RO投与群の飼育を行った。
【0061】
そして、上記のようにして、転移した癌細胞数を計測した結果、イソフラボン、カプサイシン、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーを単独で摂取したグループでの癌細胞転移数は、非投与群での癌細胞転移数と比べると少なかったものの、有意な差ではなかった。これに対し、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーのうちの少なくとも1つと、イソフラボンとを同時に摂取したグループでは、有意に転移が抑制された。また、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの量も他グループよりも高い値を示した。これにより、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーのうちの少なくとも1つと、イソフラボンとを同時に摂取することは、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生を促進し、悪性腫瘍の転移に対して効果があることがわかる。
【実施例8】
【0062】
〔ラット肝移植モデルにおけるイソフラボン等によるカルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生促進作用と高血圧に対する効果の検定〕
12グループに分けた(1グループあたり5匹)所定のラットすべてから摘出した肝を、臓器保存液に24時間保存した後、同系ラットに移植手術を行った。このようにして着生率をみると同時に、抹消血のリンパ球を分離し、FACSにて細胞表面の分子について解析を行った。
【0063】
ところで、肝移植前28日より、上記12グループは、イソフラボン(IS)投与群、カプサイシン(CA)投与群、ラズベリーケトン(RA)投与群、イソフラボン+ラズベリーケトン(IS+RA)投与群、カプシエイト(CE)投与群、イソフラボン+カプシエイト(IS+CE)投与群、蜂蜜(HO)投与群、イソフラボン+蜂蜜(IS+HO)投与群、ローヤルゼリー(RO)投与群、イソフラボン+ローヤルゼリー(IS+RO)投与群、イソフラボン+ラズベリーケトン+カプシエイト+蜂蜜+ローヤルゼリー(IS+RA+CE+HO+RO)投与群、非投与群(標準食のみ。対照群)のいずれかに属する。すなわち、IS投与群では、イソフラボンの摂取量が90mg/kg体重/dayとなるように大豆胚芽抽出物(フジフラボンP40)を添加した飼料で飼育した。また、CA投与群では、カプサイシンの摂取量が1mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。RA投与群では、ラズベリーケトンの摂取量が625mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。CE投与群では、カプシエイトの摂取量が1mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。HO投与群では、蜂蜜の摂取量が625mg/kg体重/dayとなるよう蜂蜜を添加した飼料で飼育を行った。RO投与群では、ローヤルゼリーの摂取量が600mg/kg体重/dayとなるようローヤルゼリーを添加した飼料で飼育を行った。さらに、これら飼育方法の組み合わせにより、IS+RA投与群、IS+CE投与群、IS+HO投与群、IS+RO投与群、IS+RA+CE+HO+RO投与群の飼育を行った。
【0064】
そして、上記のようにして実験を行った結果、イソフラボン、カプサイシン、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーを単独で摂取したグループでの着生率は、非投与群での着生率と比べると若干高かったものの、有意な差ではなかった。これに対し、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーのうち少なくともの1つと、イソフラボンとを同時に摂取したグループでは、明らかに着生率が向上し、移植免疫寛容状態になっていることがわかった。また、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの量も他グループよりも明らかに高い値を示した。これにより、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーのうちの少なくとも1つと、イソフラボンとを同時に摂取することは、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生を促進し、臓器移植の拒絶反応が軽減されたことがわかる。
【実施例9】
【0065】
〔エンドトキシンによるショックモデルに対するイソフラボン等によるカルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生促進作用と血圧低下に対する効果の検定〕
12グループに分けた(1グループあたり5匹)所定のラットすべてに、エンドトキシン5mg/kg体重を静脈注射し、ショックモデルを作成し、血圧の測定を行った。
【0066】
ところで、エンドトキシン投与前28日より、上記12グループは、イソフラボン(IS)投与群、カプサイシン(CA)投与群、ラズベリーケトン(RA)投与群、イソフラボン+ラズベリーケトン(IS+RA)投与群、カプシエイト(CE)投与群、イソフラボン+カプシエイト(IS+CE)投与群、蜂蜜(HO)投与群、イソフラボン+蜂蜜(IS+HO)投与群、ローヤルゼリー(RO)投与群、イソフラボン+ローヤルゼリー(IS+RO)投与群、イソフラボン+ラズベリーケトン+カプシエイト+蜂蜜+ローヤルゼリー(IS+RA+CE+HO+RO)投与群、非投与群(標準食のみ。対照群)のいずれかに属する。すなわち、IS投与群では、イソフラボンの摂取量が90mg/kg体重/dayとなるように大豆胚芽抽出物(フジフラボンP40)を添加した飼料で飼育した。また、CA投与群では、カプサイシンの摂取量が1mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。RA投与群では、ラズベリーケトンの摂取量が625mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。CE投与群では、カプシエイトの摂取量が1mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。HO投与群では、蜂蜜の摂取量が625mg/kg体重/dayとなるよう蜂蜜を添加した飼料で飼育を行った。RO投与群では、ローヤルゼリーの摂取量が600mg/kg体重/dayとなるようローヤルゼリーを添加した飼料で飼育を行った。さらに、これら飼育方法の組み合わせにより、IS+RA投与群、IS+CE投与群、IS+HO投与群、IS+RO投与群、IS+RA+CE+HO+RO投与群の飼育を行った。
【0067】
そして、上記のようにして、血圧の測定を行った結果、イソフラボン、カプサイシン、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーを単独で摂取したグループでは、非投与群と比較して血圧の低下がやや抑えられたものの、有意な差ではなかった。これに対し、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーのうちの少なくとも1つと、イソフラボンとを同時に摂取したグループでは、著明な血圧低下抑制効果が認められた。また、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの量も他グループよりも明らかに高い値を示した。これにより、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーのうちの少なくとも1つと、イソフラボンとを同時に摂取することは、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生を促進し、感染に対する過剰な生体侵襲反応が抑えられたことがわかる。
【実施例10】
【0068】
〔花粉症患者への投与試験〕
くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉、鼻の痒み、目の痒み、目の充血、涙目、倦怠感等の花粉症が発症している患者(24〜56歳)を対象とし、1グループ10〜11人の計9グループにわけた。そして、そのうちのグループ1では、カプサイシン(CA)を含む錠剤の投与により1日6mgのカプサイシンを摂取させた。グループ3では、ラズベリーケトン(RA)を含む錠剤の投与により1日1250gのラズベリーケトンを摂取させた。グループ5では、カプシエイト(CE)を含む錠剤の投与により1日6mgのカプシエイトを摂取させた。グループ7では、蜂蜜(HO)を含む錠剤の投与により1日1250gの蜂蜜を摂取させた。グループ9では、ローヤルゼリー(RO)を含む錠剤の投与により、1日1200mgのローヤルゼリーを摂取させた。また、グループ2、4、6、8、10には、カプサイシン、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜、ローヤルゼリーに加えて、下記の表13に示す組み合わせで、イソフラボン(IS)を含む錠剤の投与により1日40mgのイソフラボンを摂取させ、グループ11には擬似錠剤を投与した。これを7日間にわたって行った。
【0069】
そして、摂取前と摂取後との症状を比較する官能試験を行った。この結果を、下記の表13に併せて示す。
【0070】
【表13】

【0071】
上記表の結果より、カプサイシン、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーを単独で摂取したグループでは、擬似錠剤を投与したグループ11に比べ、花粉症の諸症状に対して、ある程度の改善効果が認められた。なお、カプサイシンを摂取させたグループ1および2では、花粉症の諸症状に対して改善効果が認められたものの、胃への刺激が強く、不快症状を訴えるものがあった。そして、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーのうちの少なくとも1つと、イソフラボンとを同時に摂取したグループ4、6、8、10では、花粉症の諸症状に対して著明な改善効果が認められた。
【実施例11】
【0072】
〔イソフラボン等による毛包中のカルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生促進作用と育毛効果の検定〕
3週齢で購入したC3H/He系マウスを、1週間の馴化飼育後、ランダムに1グループ10匹に分け、そのうちのグループ1では、イソフラボン(IS)の摂取量が40mg/kg体重/dayとなるように大豆胚芽抽出物(フジフラボンP40)を添加した飼料で飼育し、グループ2では、カプサイシン(CA)の摂取量が2mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。グループ3ではラズベリーケトン(RA)の摂取量が1250mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。グループ8ではカプシエイト(CE)の摂取量が2mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。グループ11では蜂蜜(HO)の摂取量が1250mg/kg体重/dayとなるよう調製した飼料で飼育した。また、グループ4〜7、9、10および12では、これら飼育方法の組み合わせ(下記の表14および表15に示す組み合わせ)により、飼育した。グループ13は、対照群とした。
【0073】
そして、6週齢で毛刈りを行い、その後の発毛の状況を観察した。すなわち、試験飼料の摂取開始後40日以内に毛の再生が完了したマウスの数の測定を行った。この結果を、下記の表14および表15に示す。
【0074】
【表14】

【0075】
【表15】

【0076】
上記表の結果より、イソフラボン、カプサイシン、ラズベリーケトン、カプシエイト、または蜂蜜を単独で摂取したマウス(グループ1、2、3、8および11)は、対照群と比較して若干の育毛効果が認められたものの、有意な差ではなかった。これに対し、ラズベリーケトン、カプシエイトまたは蜂蜜のうちの少なくとも1つと、イソフラボンとを同時に摂取した本発明のグループ(グループ4〜7、9、10および12)では、著明な育毛効果のあることが認められた。また、毛包中のカルシトニン遺伝子関連ペプチド量を測定した結果、これら本発明のグループが、他のグループと比較して有意に多いことがわかった。
【実施例12】
【0077】
〔ヒトに対する育毛効果〕
脱毛、薄毛の悩みを持っているボランティア男性(30〜50才)を対象とし、1グループ5人の計6グループにわけた。そして、そのうちのグループ1では、イソフラボン(IS)を含む錠剤(イソフラボン抽出物;フジッコ社製のフジフラボンP40を使用)の投与により1日40mgのイソフラボンを摂取させ、グループ2では、カプサイシン(CA)を含む錠剤の投与により1日2mgのカプサイシンを摂取させた。グループ4ではローヤルゼリー(RO)を含む錠剤の投与により3000mgのローヤルゼリーを摂取させた。またグループ3、5にはイソフラボンを含む錠剤の投与により1日40mgのイソフラボンと、それに加え、カプサイシンを含む錠剤の投与により1日2mgのカプサイシン(グループ3)、または、ローヤルゼリーを含む錠剤の投与により1日3000mgのローヤルゼリー(グループ5)を、下記の表16に示す組合せで摂取させた。なお、グループ6には疑似錠剤を摂取させた。これを6ケ月にわたって行った。
【0078】
つぎに、上記試験中(試料を摂取する前、3ケ月摂取後、および6ケ月摂取後)に採取しておいた抜け毛の本数を測定し、抜け毛改善効果の評価を行った。なお、上記抜け毛の測定方法は、4日間の連続洗髪を行い、後半3日間の抜け毛をメッシュの微細な不織布で採取し、その本数を計数し、行った。そして、上記評価の判定は、試料摂取前に対する各々の時期における抜け毛本数の変化から次のように示した.
+++:抜け毛本数が30本以上減っており、著しい効果が認められた。
++:抜け毛本数が20本以上減っており、かなりの効果が認められた。
+:抜け毛本数が10本以上減っており、わずかな効果が認められた。
±:抜け毛本数の減少が10本未満もしくは増加しており、効果が殆ど認められなかった。
【0079】
また、同時に、投与期間中に、胃への刺激(痛み等)を感じた被験者数を記録し、この結果を、下記の表16に併せて示した。
【0080】
【表16】

【0081】
上記表の結果より、カプサイシンまたはローヤルゼリーを単独で摂取したグループでは、擬似錠剤を投与したグループ6に比べ、ある程度の抜け毛の改善効果が認められた。そして、イソフラボンと、カプサイシンまたはローヤルゼリーとを同時に摂取させたグループ3および5では、抜け毛に対して著明な改善効果が認められた。なお、カプサイシンを摂取させたグループ2および3でも、抜け毛の改善効果が認められたものの、胃への刺激が強く、すべての被験者が不快症状を訴えた。すなわち、グループ5のように、イソフラボンとローヤルゼリーとを同時に摂取することにより、イソフラボンとカプサイシンの組合せ同様の著明な抜け毛改善効果が、胃への刺激なしで得られることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の可食性組成物は、ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜またはローヤルゼリーのうちの少なくとも1つと、イソフラボンとを必須成分とするものであり、社会的心理的、あるいは身体的ストレスによって亢進する、TNF−αなどの炎症性サイトカインの産生を抑える働きとインスリン様成長因子Iを誘導する働きを持つカルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生を促進することにより、胃粘膜傷害、生活習慣病、肥満、悪性腫瘍の発生予防及び再発予防効果、骨粗鬆症を予防及び治療する効果を持ち、臓器移植後の拒絶反応の軽減、感染,手術,外傷後の侵襲反応による臓器障害の予防および治療効果、花粉症治療、さらには頭髪等の育毛効果を有する。また、作用が穏やかで、副作用がなく、安全性が高い。このような本発明の可食性組成物は、現代の生活において問題となる疾病の予防や治療、あるいは身体的コンプレックスの克服を図る上で、大きく役に立つことが期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有することを特徴とする可食性組成物。
【請求項2】
ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有することを特徴とする、胃粘膜傷害予防及び治療用可食性組成物。
【請求項3】
ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有することを特徴とする、生活習慣病予防及び治療用可食性組成物。
【請求項4】
ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有することを特徴とする、肥満予防及び治療用可食性組成物。
【請求項5】
ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有することを特徴とする、悪性腫瘍発生予防,再発予防及び治療用可食性組成物。
【請求項6】
ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有することを特徴とする、骨粗鬆症予防及び治療用可食性組成物。
【請求項7】
ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有することを特徴とする、臓器移植拒絶反応軽減用可食性組成物。
【請求項8】
ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有することを特徴とする、感染,外傷,手術等の侵襲要因に対する生体侵襲反応に伴う臓器障害の予防及び軽減用可食性組成物。
【請求項9】
ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有することを特徴とする、花粉症治療用可食性組成物。
【請求項10】
ラズベリーケトン、カプシエイト、蜂蜜およびローヤルゼリーからなる群から選ばれた少なくとも一つと、イソフラボンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用を有することを特徴とする、育毛用可食性組成物。
【請求項11】
イソフラボンが、大豆由来のイソフラボンである請求項1〜10のいずれか一項に記載の可食性組成物。
【請求項12】
ラズベリーケトンが、ラズベリー由来のラズベリーケトンである請求項1〜11のいずれか一項に記載の可食性組成物。
【請求項13】
カプシエイトが、唐辛子品種「CH−19甘」由来のカプシエイトである請求項1〜12のいずれか一項に記載の可食性組成物。

【公開番号】特開2007−291014(P2007−291014A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121074(P2006−121074)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(503401669)
【出願人】(506141579)
【出願人】(591183625)フジッコ株式会社 (15)
【Fターム(参考)】