説明

カルバメート化合物

式I(式中R、R、R、R、RおよびRは本出願の中で定義されている):
(I)


によって表される構造を有するカルバメート化合物は、抗腫瘍剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗癌剤として有用であるカルバメート化合物、並びにそれらの製造および使用についての方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、国立衛生研究所によって与えられる認可番号5R43 CA109840−02に基づき、一部アメリカ政府の支援を受けて発明された。アメリカ政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
プロテインが真核細胞核内および核外へ移動する通過は、厳しく制御された能動輸送過程であり、核内移行(または核外輸送)といわれる。輸送されるプロテインには特徴的な短いアミノ酸配列が含まれ、核内移行配列(「NLS」)または核外輸送配列(「NES」)と呼ばれ、それらをそれぞれ、核内移行または核外輸送される「カーゴ・プロテイン(cargo protein)」として同定した。輸送因子プロテインはNLSまたはNESを認識し、カーゴ・プロテインと結合し、核膜孔複合体(それは、核内および核外への出入り口である)を通って運ばれる。核内移行を媒介する輸送因子をインポーチンと呼び;逆に、核外輸送を媒介するものをエクスポーチンと呼ぶ。
【0004】
エクスポーチンはCRM1であり、エクスポーチン1ともいわれる。核外輸送に係わる別のプロテインはRanであり、それはグアノシン三リン酸が結合した形(「Ran−GTP」)およびグアノシン二リン酸が結合した形(「Ran−GDP」)で存在する。核の中で、CRM1はRan−GTPおよびカーゴ・プロテインとともに三重複合体を形成する。複合体は核膜孔複合体を通って核から出て、細胞質へ入る。そこで、プロテインRanGAPはRan−GTPの内因性ATP合成酵素活性を活性化し、それをRan−GDPに変換し、三重複合体の解離を引き起こして、カーゴ・プロテインを放出する。次いで、CRM1は再び核に入り、新たにサイクルを開始する。核外輸送が阻害されれば、通常の細胞周期の進行は乱され、アポトーシスが生じ得る。
【0005】
Hokanson et al., US 4,771,070 (1988) and Nettleton et al., US 4,792,522 (1988) で報告されているように、レプトマイシンB(「LMB」、かつてはエラクトシン(elactocin)、NSC364372、またはPD114720として知られていた)は抗腫瘍剤であり、抗菌性の天然物で元々はストレプトマイセスspp.から単離された。
【化1】

【0006】
その後、LMBはCRM1の共有結合的阻害剤であることが発見された。CRM1カーゴ・プロテインの中で、その核外輸送が結果的にLMBによって阻害されるのは、p53、p73、STAT1、(i)ADAR1、Rev、アクチン、およびBcr−Ablである。例えば、 Nishi et al., J. Biol. Chem. 1994, 269 (9), 6320-6324; Fukuda et al., Nature 1997, 390, 308-311; Kudo et al., Exp. Cell Res. 1998, 242, 540-547 を参照。これらのカーゴ・プロテインの多くは癌に係わっており、潜在的な抗癌剤としてのLMBへの関心をもたらす(Komiyama et al., J. Antibiotics 1985, 38 (3), 427-429; Wang et al., US 2003/0162740 A1 (2003))。しかしながら、哺乳類細胞に対するLBMの細胞毒性は(Hamamoto et al., J. Antibiotics 1983, 36 (6), 639-645)、その抗癌剤としての可能性を相殺してしまう。1994年のLMB第1相試験は、過剰の毒性のせいで中止させられた(Newlands et al., Br. Cancer J. 1996, 74, 648-649)。
【0007】
LMBは、レプトマイシンファミリーといわれる天然物ファミリーの原型であり、分子の一方の端に2,3−デヒドロ−δ−バレロラクトン環を有し(C〜C)、Cの位置から伸びた炭素鎖が6E、8Zおよび12E、14Eジエン系を有する、特徴がある。レプトマイシンファミリーの化学および生物学的な概説は、Kalesse et al., Synthesis 2002, 8, 981-1003 を参照。レプトマイシンファミリーの他のメンバーには、レプトマイシンA、ラトジャドン(Ratjadone)、アングイノマイシンA〜D、カリスタチン(callystatin)A、カズサマイシンA(かつてはCL−1957Bとして知られた)、カズサマイシンB(かつてはCL−1957Eとして知られた)、レプトルスタチン、およびレプトフラニンA〜Dが含まれる。レプトマイシンファミリーの他のいくつかのメンバーの構造を、以下に示す。
【化2】

【0008】
レプトマイシンファミリー化合物の構造活性相関に関する研究は、わずかである。上記のKudo et al., の文献は、LMBのニトロメチルバレロラクトン誘導体が不活性であることを示し、2,3−デヒドロ−δ−バレロラクトン部分が不可欠なファルマコフォアであることを示唆した。Kuhnt et al., Applied Environ. Microbiol. 1998, 64 (2), 714-720 によると、LMBを多くの細菌および真菌による生物変換にさらした結果、いくつかの誘導体が生じた。Dong et al., US 2005/0272727 A1 (2005) および Dong et al., WO 2007/033214 (2007) には、それぞれ、レプトマイシンファミリー化合物のアミドおよびエステルが開示されている。
【化3】

【0009】
この節で引用している文書の開示物は、本明細書で引例として援用されている。
【0010】
(発明の簡単な説明)
本発明は、抗癌剤として有用であり、レプトマイシンファミリーと構造的に関係がある化合物を提供する。
【0011】
1つ目の形態において、式I:
【化4】

[式中、
は、HまたはC〜Cアルキルであり;
は、C〜Cアルキルであり;
は、HまたはOHであり;
およびRは、各々独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、CHR、または(CHRであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、結合して
【化5】

を形成するが、ただしRはC(=O)NHもあり得て;
は、HまたはC(=O)NRであり;
は、無置換もしくは置換アリール、無置換もしくは置換ヘテロアリール、無置換もしくは置換シクロ脂肪族、無置換もしくは置換ヘテロシクロ脂肪族、CO、シアノ、またはCORであり;
は、無置換もしくは置換アリール、無置換もしくは置換ヘテロアリール、無置換もしくは置換シクロ脂肪族、無置換もしくは置換ヘテロシクロ脂肪族、NR、CO、OH、ハロ、シアノ、OR、またはCORであり;
は、各々独立して、H、OHまたはC〜Cアルキルであり;並びに
nは、各々独立して、2、3、4、5、または6である]
によって表される構造を有する化合物、またはそれの医薬的に許容される塩が提供されている。
【0012】
2つ目の形態において、本発明の化合物の有効量を標的細胞に接触させることを特徴とする、標的細胞の増殖を阻害する方法が提供されている。該標的細胞は、癌細胞(特に膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、中枢神経系の癌、結腸癌、頭頸部癌、白血病、肝癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、または腎癌細胞)であり得る。
【0013】
3つ目の形態において、本発明の化合物の治療上の有効量を、過剰増殖性疾患に罹患している患者に投与することを特徴とする、過剰増殖性疾患の治療方法が提供されている。治療される該過剰増殖性疾患は、癌(特に膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、中枢神経系の癌、結腸癌、頭頸部癌、白血病、肝癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、または腎癌)であり得る。患者は、好ましくは哺乳類、特にヒトである。
【0014】
4つ目の形態において、過剰増殖性疾患(それは癌、特に膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、中枢神経系の癌、結腸癌、頭頸部癌、白血病、肝癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、または腎癌であり得る)を治療する薬物の製造のための、本発明の化合物の使用が提供されている。
【0015】
5つ目の形態において、本発明の化合物および賦形剤を含む医薬製剤が提供されている。
【0016】
6つ目の形態において、本発明の化合物の阻害量を細胞に接触させることを特徴とする、CRM1媒介性プロセスによって細胞核からのプロテインの外への輸送を阻害する方法が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1〜3は、本発明の化合物の合成に関して、1つ目、2つ目、3つ目の反応式を示す。
【0018】
図4〜15は、本発明の化合物に関する、H−NMRスペクトルを示す。
【0019】
(発明の詳細な説明)
(定義)
「脂肪族」は、特定の数の炭素原子(例えば、「C脂肪族」、「C〜C脂肪族」、または「CからC脂肪族」のようにであり、後者2つの語句は1〜5炭素原子を有する脂肪族部分と同義語である)、または炭素原子の数が明確に指定されていない場合には1〜4炭素原子(不飽和脂肪族部分の場合は、2〜4炭素)を有する、直鎖もしくは分岐鎖であり、飽和もしくは不飽和の、非芳香族炭化水素部分を意味する。
【0020】
「アルキル」は、飽和脂肪族部分を意味し、炭素原子の番号を指定するための同じ慣例が適用できる。例として、C〜Cアルキル部分には、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、1−ブチル、2−ブチル、n−ペンチル、などが含まれる。
【0021】
「アルケニル」は、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を有する脂肪族部分を意味し、炭素原子の番号を指定するための同じ慣例が適用できる。例として、C〜Cアルケニル部分には、これらに限定されないが、エテニル(ビニル)、2−プロペニル(アリルまたはプロパ−2−エニル)、シス−1−プロペニル、トランス−1−プロペニル、E−(またはZ−)2−ブテニル、3−ブテニル、1,3−ブタジエニル(ブタ−1,3−ジエニル)、1−ペンテニル、などが含まれる。
【0022】
「アルキニル」は、少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を有する脂肪族部分を意味し、炭素原子の番号を指定するための同じ慣例が適用できる。例として、C〜Cアルキニル基には、エチニル(アセチレニル)、プロパルギル(プロパ−2−イニル)、1−プロピニル、ブタ−2−イニル、などが含まれる。
【0023】
「シクロ脂肪族」は、1〜3の環を有し、それぞれの環が3〜8(好ましくは3〜6)の炭素原子を有する、飽和もしくは不飽和の、非芳香族炭化水素部分を意味する。「シクロアルキル」は、それぞれの環が飽和である、シクロ脂肪族部分を意味する。「シクロアルケニル」は、少なくとも一つの環が少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を有する、シクロ脂肪族部分を意味する。「シクロアルキニル」は、少なくとも一つの環が少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を有する、シクロ脂肪族部分を意味する。例として、シクロ脂肪族部分には、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロへプチル、シクロオクチル、およびアダマンチルが含まれる。好ましいシクロ脂肪族部分はシクロアルキルであり、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルである。
【0024】
「ヘテロシクロ脂肪族」は、少なくとも一つの環において、3(好ましくは1〜2)炭素までがN、O、またはS(ここで、NおよびSは適宜酸化されてもよく、またNは適宜四級化されてもよい)から独立に選択されるヘテロ原子に置換された、シクロ脂肪族部分を意味する。同様に、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルケニル」、および「ヘテロシクロアルキニル」は、それぞれ、その環の少なくとも一つが修飾された、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはシクロアルキニル部分を意味する。典型的なヘテロシクロ脂肪族部分には、アジリジニル、アゼチジニル、1,3−ジオキサニル、オキセタニル、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニルスルホン、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキシド、チオモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラニル、テトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、1,4−ジオキサニル、チエタニル、などが含まれる。
【0025】
「アルコキシ」、「アリールオキシ」、「アルキルチオ」、および「アリールチオ」は、それぞれ、−O(アルキル)、−O(アリール)、−S(アルキル)、および−S(アリール)を意味する。例にはそれぞれ、メトキシ、フェノキシ、メチルチオ、およびフェニルチオがある。
【0026】
「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0027】
「アリール」は、それぞれの環が3〜7炭素原子を有し、少なくとも一つの環が芳香族である、単環式、二環式、または三環式環系を有する、炭化水素部分を意味する。その環系における環は、互いと縮合する(例えば、ナフチルにおけるように)か、または互いと結合して(例えば、ビフェニルにおけるように)もよく、そして非芳香族環と縮合または結合してもよい(例えば、インダニルまたはシクロヘキシルフェニルにおけるように)。さらなる例として、アリール部分には、これらに限定されないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントラセニル、およびアセナフチルが含まれる。
【0028】
「ヘテロアリール」は、それぞれの環が3〜7炭素原子を有し、少なくとも一つの環が芳香族環で、N、O、またはS(ここで、NおよびSは適宜酸化されてもよく、またNは適宜四級化されてもよい)から独立に選択されるヘテロ原子が1〜4含まれる、単環式、二環式、または三環式環系を有する部分を意味する。そのような、少なくとも一つのヘテロ原子を含む芳香族環は、別の種類の環と縮合するか(例えば、ベンゾフラニルまたはテトラヒドロイソキノリルにおけるように)、または別の種類の環と直接結合する(例えば、フェニルピリジルまたは2−シクロペンチルピリジルにおけるように)ことができる。さらなる例として、ヘテロアリール部分には、ピロリル、フラニル、チオフェニル(チエニル)、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、N−オキソピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、シンノリニル、キノザリニル、ナフチリジニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フェノチアゾリル、ベンジミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、ジベンゾチオフェニル、アクリジニル、などが含まれる。
【0029】
部分が置換されてもよいと示されている(例えば、「置換もしくは無置換」または「独立して置換された」を用いて、「置換もしくは無置換C〜Cアルキル」または「独立して置換されたヘテロアリール」のように表現されている)場合に、そのような部分は、一またはそれ以上(好ましくは1〜5、より好ましくは1または2)の独立に選択された置換基を有する。当業者は、化学的に安定であり、当技術分野で公知の技術並びに本明細書で記述している方法によって合成できる化合物を提供するために、置換基が結合している部分を考慮して、置換基および置換パターンを選択することができる。
【0030】
「アリールアルキル」、「(ヘテロシクロ脂肪族)アルキル」、「アリールアルケニル」、「アリールアルキニル」、「ビアリールアルキル」などは、例えば、ベンジル、フェネチル、N−イミダゾリルエチル、N−モルホリノエチルなどにおけるように、アルキル、アルケニル、またはアルキニル部分が開いた(open)(満たされていない(unsatisfied))原子価を伴う、場合によっては、アリール、ヘテロシクロ脂肪族、ビアリール、などの部分によって置換される、場合によっては、アルキル、アルケニル、またはアルキニル部分を意味する。逆に、「アルキルアリール」、「アルケニルシクロアルキル」などは、例えば、メチルフェニル(トリル)またはアリルシクロヘキシルにおけるように、場合によっては、アルキル、アルケニルなどの部分によって置換される、場合によっては、アリール、シクロアルキル、などの部分を意味する。「ヒドロキシアルキル」、「ハロアルキル」、「アルキルアリール」、「シアノアリール」などは、特定されている置換基(場合によっては、ヒドロキシル、ハロなど)の一またはそれ以上によって置換される、場合によっては、アルキル、アリール、などの部分を意味する。
【0031】
例として、許容される置換基には、これらに限定されないが、アルキル(特にメチルまたはエチル)、アルケニル(特にアリル)、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、ハロ(特にフルオロ)、ハロアルキル(特にトリフルオロメチル)、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル(特にヒドロキシエチル)、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(ヒドロキシアルキル)、−O(ハロアルキル)(特に−OCF)、−O(シクロアルキル)、−O(ヘテロシクロアルキル)、−O(アリール)、アルキルチオ、アリールチオ、=O、=NH、=N(アルキル)、=NOH、=NO(アルキル)、−C(=O)(アルキル)、−C(=O)H、−COH、−C(=O)NHOH、−C(=O)O(アルキル)、−C(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)NH、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)、アジド、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(アリール)、−NH(ヒドロキシアルキル)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)、−NHC(=NH)NH、−OSO(アルキル)、−SH、−S(アルキル)、−S(アリール)、−S(シクロアルキル)、−S(=O)アルキル、−SO(アルキル)、−SONH、−SONH(アルキル)、−SON(アルキル)、などが含まれる。
【0032】
置換されている部分が脂肪族部分の場合に、好ましい置換基は、アリール、ヘテロアリール、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、ハロ、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(ヒドロキシアルキル)、−O(ハロアルキル)、−O(シクロアルキル)、−O(ヘテロシクロアルキル)、−O(アリール)、アルキルチオ、アリールチオ、=O、=NH、=N(アルキル)、=NOH、=NO(アルキル)、−COH、−C(=O)NHOH、−C(=O)O(アルキル)、−C(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)NH、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)、アジド、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(アリール)、−NH(ヒドロキシアルキル)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)、−NHC(=NH)NH、−OSO(アルキル)、−SH、−S(アルキル)、−S(アリール)、−S(シクロアルキル)、−S(=O)アルキル、−SO(アルキル)、−SONH、−SONH(アルキル)、および−SON(アルキル)である。より好ましい置換基は、ハロ、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(アリール)、=O、=NOH、=NO(アルキル)、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)NH、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)、アジド、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(アリール)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)、および−NHC(=NH)NHである。
【0033】
置換されている部分がシクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリール、またはヘテロアリール部分の場合に、好ましい置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(ヒドロキシアルキル)、−O(ハロアルキル)、−O(シクロアルキル)、−O(ヘテロシクロアルキル)、−O(アリール)、アルキルチオ、アリールチオ、−C(=O)(アルキル)、−C(=O)H、−COH、−C(=O)NHOH、−C(=O)O(アルキル)、−C(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)NH、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)、アジド、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(アリール)、−NH(ヒドロキシアルキル)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)、−NHC(=NH)NH、−OSO(アルキル)、−SH、−S(アルキル)、−S(アリール)、−S(シクロアルキル)、−S(=O)アルキル、−SO(アルキル)、−SONH、−SONH(アルキル)、および−SON(アルキル)である。より好ましい置換基は、アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)(アルキル)、−C(=O)H、−COH、−C(=O)NHOH、−C(=O)O(アルキル)、−C(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)NH、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(アリール)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)、および−NHC(=NH)NHである。
【0034】
本発明のアリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ脂肪族基、およびヘテロシクロ脂肪族基にとって好ましい置換基には、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ハロ(特にフルオロまたはクロロ)、O(C〜Cアルキル)、OCF、CF、CFCF、シアノ、ニトロ、C(=O)(C〜Cアルキル)、OH、O(CHOH、O(CHO(C〜Cアルキル)、およびO(CH(ハロ)が含まれる(ここで、mは2〜4)。
【0035】
範囲が述べられている場合に(例えば、「C〜Cアルキル」または「5〜10%」におけるように)、そのような範囲にはその範囲の終点が含まれる。
【0036】
特定の立体異性体が特に示されている場合(例えば、構造式において関連する立体中心が太線または破線の結合によって、構造式においてEまたはZ配置を有するために二重結合の描写によって、あるいは立体化学命名法を用いることによって示されている場合)でない限り、本発明の範囲内においてあるゆる立体異性体が、純粋な化合物並びにそれらの混合物として含まれる。特に断りがなければ、個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、および組み合わせ、並びにそれらの混合物は全て本発明によって包含されている。
【0037】
当業者は、化合物が、本明細書で用いられる構造式に描かれたものと等しい、互変異性型(例えば、ケト型およびエノール型)、共鳴構造型、および双性イオン型を有してもよく、またその構造式がそのような互変異性型、共鳴構造型、または双性イオン型を包含することを、理解している。
【0038】
「医薬的に許容される塩」は、医薬製剤に適した化合物の塩を意味する。化合物が一またはそれ以上の塩基性官能基を有する場合、その塩は、硫酸塩、臭化水素塩、酒石酸塩、メシル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、ヨウ化水素塩、硝酸塩、塩酸塩、乳酸塩、メチル硫酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、メシル酸塩、ラクトビオン酸塩、スベリン酸塩、トシル酸塩、などの酸付加塩であってもよい。化合物が一またはそれ以上の酸性部分を有する場合、その塩は、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、アンモニウム塩、亜鉛塩、ピペラジン塩、トロメタミン塩、リチウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、4−フェニルシクロヘキシルアミン塩、ベンザチン塩、ナトリウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などの塩であってもよい。多形性の結晶形および溶媒和物も、本発明の範囲内において包含されている。
【0039】
(化合物および方法)
好ましい形態において、式I中のRはHまたはMeである。別の好ましい形態において、式I中のRはMeまたはEtである。別の好ましい形態において、式I中のRはHまたはMeであり、かつRはMeまたはEtである。
【0040】
別の好ましい形態において、RおよびRのそれぞれは、生理的pHでイオン化される官能基を欠く。
【0041】
別の好ましい形態において、式I中のRはH、RはMe、そしてRはHであり、式I−a:
【化6】

によって表される構造を有する化合物に対応する。
【0042】
式IまたはI−aの化合物の好ましい形態において、RはHである。式IまたはI−aの化合物の、さらに好ましい形態において、RはHである。式IまたはI−aの化合物の、さらに好ましい形態において、RおよびRのそれぞれはHである。
【0043】
別の好ましい形態において、式I中で、
およびRは、各々独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、CHR、または(CHRであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって結合して
【化7】

を形成し;並びに
は、各々独立して、HまたはC〜Cアルキルである。
【0044】
式IまたはI−a中の、好ましいNR基には:
【化8】

【化9】

が含まれる。
【0045】
本発明の化合物の例を、表Aで一覧にする。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【0046】
これらの中で、好ましい化合物はA−1、A−2、A−4、A−15、A−16、A−17、A−19、およびA−21である。それらの構造の全体を、以下:
【化10】

【化11】

に示す。
【0047】
式I−aの化合物の、別の好ましい形態において、NR部分にはトリフルオロメチル置換ピリジル環が含まれ、またRはHである。そのような化合物の具体例には:
【化12】

が含まれる。
【0048】
別の好ましい形態において、本発明の化合物は式A−4:
【化13】

の構造を有する。
【0049】
本発明の化合物を製造するための1つ目の方法を、図1に示す。C24アルコールII(ここでR、R、およびRは上で定義されている)から出発し、イソシアネートO=C=NRとのカルバモイル化により、化合物I−bを得る(すなわち、化合物IでRおよびRがいずれもH)。C24の第一アルコール基はC19の第二アルコール基よりも反応性に富み、したがって基本的にC24だけでカルバモイル化が起こり、それは4−(ジメチルアミノ)ピリジン(「DMAP」)が加えられた、より強い条件(more forcing conditions)下においても同じである。図1の方法は、イソシアネートO=C=NRが市販のものであり、もっとも実用的である。
【0050】
2つ目の方法を図2に示す。図1の方法と異なり、この方法では、RがH(すなわち、化合物I−c)またはC(=O)NR(すなわち、化合物I−d)である化合物Iを得ることができる。さらに図1の方法と異なり、この方法では、RがHでない化合物を得ることもできる。再びC24アルコールIIから出発し、カルボニルジイミダゾール(1.0〜1.2等量)と反応させて、モノアシルイミダゾールIII−aを得る。しかし、より多くのカルボニルジイミダゾール(約2.5等量)を用いると、ビスアシルイミダゾール化合物III−bが形成される。アミンHNRと、アシルイミダゾールIII−aまたはIII−bを反応させて、それぞれ、化合物I−cまたはI−dを得る。
【0051】
3つ目の方法を図3に示す。この方法は、式I中のNR部分(C24またはC19のいずれとの結合でもよい)がNHである場合に適当である。C24アルコールIIをイソシアン酸トリクロロアセチル(約1.75等量)と反応させ、続いて中性アルミナで処理して、I−e(すなわち化合物Iで、RがH、NRがNH)およびI−f(すなわち化合物Iで、RがNR、NRそのそれぞれがNH)の化合物の混合物(約1:1)を得た。しかし、より多くのイソシアン酸トリクロロアセチル(約5等量)を用いると、化合物I−fのみが得られた。
【0052】
適したC24アルコールIIはレプトルスタチン(かつてはS−59917aとして知られていた)であり、それは微生物のストレプトマイセスsp.SAM1595によって生合成される。その生成、単離、解析は、Abe et al., J. Antibiotics 1993, 46(5), 735-40; Abe et al., JP 05-039283 (1993) (対応するケミカル・アブストラクト・ナンバーは、119:137524); および Abe et al., J. Antibiotics 1993, 46(5), 728-734 に記述されており;それらの開示物は引例として援用されている。
【化14】

【0053】
別の適したC24アルコールIIはレダクトレプトマイシンAであり、その製造およびストレプトマイセスsp.MJ132−NF5培養からの単離は、Hosokawa et al., J. Antibiotics 1993, 46(4), 676-8、に記述されており、その開示物は引例として援用されている。構造的に、レダクトレプトマイシンAは、C24カルボン酸基がアルコールに還元されたレプトマイシンAと一致する。
【化15】

【0054】
C24カルボン酸基が還元されたレプトマイシンB誘導体は、レダクトレプトマイシンAと類似し、それは用いることのできる、さらに別の適したC24アルコールIIである。その製造は、Kobayashi et al., Tetrahedron Lett. 1998, 39(45), 8291-8294 に記述されており、その開示物は引例として援用されている。
【化16】

【0055】
他の、天然に存在するレプトマイシンファミリーのメンバー(例えば、カズサマイシンおよびアングイノマイシン)におけるC24カルボン酸基の還元によって、さらに他のC24アルコールIIを製造できることも、当業者は理解している。
【0056】
別の形態において、式(IV):
【化17】

によって表される構造を有するカルバメート化合物が提供されている。
【0057】
理論によって束縛されるものではないが、本発明の化合物は、標的癌細胞においてCRM−1媒介性の核外輸送プロセスを阻害するLMBと類似の機構により働き、したがって細胞周期停止および/またはアポトーシスも含むと考えられる。LMBの2,3−デヒドロ−δ−バレロラクトン部分は、マイケル反応受容体である。LMBは、酵母CRM1のシステイン529と一緒にマイケル付加物を形成することによって、CRM1を阻害することが示されている。Kudo et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. (USA) 1999, 96(3), 9112-9117(ヒトCRM1のシステインに対応するのは、528の位置)。ラトジャドン(Ratjadone)というレプトマイシンファミリーの別のメンバーは、同じ機構によってCRM1を阻害することが示されている。Meissner et al., FEBS Lett. 2004, 576, 27-30.
【化18】

【0058】
本発明の化合物はマイケル受容体ファルマコフォアを保有し、したがって同じ阻害機構によって機能することが期待される。
【0059】
多くの癌細胞は、アポトーシス誘導性の癌抑制プロテインp53の機能の低下をもらたらす突然変異を有する(Vousden et al., Nat. Rev. Cancer 2002, 2, 594-504)。そのような癌の例には、前立腺癌およびヒト・パピローマウイルス(HPV)に伴う子宮頸癌が含まれる。LMBは、子宮頸癌細胞核において、p53プロテインの蓄積を引き起こすことが示されている(Lane et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. (USA) 2000, 97(15), 8501-8506)。LMBは、核でp53を捕捉し(trap)、前立腺癌細胞でアポトーシスを誘導することが示されいる。したがって、前立腺癌細胞はLMBに対して感受性が高い(Peehl et al., Prostate 2003, 54, 258-267)。
【0060】
適当な癌の種類に対して、本発明の化合物は他の抗癌剤と一緒に相乗的に用いることができ、特にチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、イマチニブ(そのメシレートはグリベック(登録商標)という商標名で知られている))と一緒にである。いくつかの癌(例えば、慢性骨髄性白血病(CML))は、融合プロテインBcr−Ablの発現によって引き起こされる特徴を有する。通常、Bcr−Ablは核内へ輸送されないが、Bcr−Abl/イマチニブ複合体は核内へ輸送される。LMBも存在するなら、それはBcr−Ablが核外へ輸送されるのを妨げる。核内に閉じ込められたBcr−Ablは、イマチニブとの可逆的複合体から解離することによりアポトーシスを引き起こし、結果的にBcr−Abl陽性細胞は死ぬ。例えば、 Vigneri et al., Nature Medicine 2001, 7, 228-234; Wang et al., US 2003/0162740 A1 (2003) を参照。従って、イマチニブおよび本発明の化合物の組み合わせは、Bcr−Abl陽性癌細胞を相乗的に攻撃するための機構を提供することができる。
【0061】
Santi et al., US 2005/0203174 A1 (2005)(その開示物は本明細書で引用として援用している)では、様々な併用療法(LMBおよび第2の(second)抗癌剤が含まれる)を説明している。作用の機構がおそらく共通であることを考えれば、そこに開示されている併用療法は、LMBの代わりに本発明の化合物を用いて行うことができると予想される。
【0062】
従って、本発明の化合物は、プロテイン(例えば、p53、p73、Bcr−Abl、STAT1、(i)ADAR1、Rev、および細胞核からのアクチン)の核外輸送を阻害するために用いることができ、それは、上のようなプロテインに関してCRM1と共有結合付加体を形成し、CRM1媒介輸送プロセスを干渉することによって行う。ある形態において、阻害されるプロテインはp53である。別の形態において、阻害されるプロテインはBcr−Ablである。細胞型および標的プロテインに依存して若干のばらつきが予想されるが、一般に、用いられる阻害量は0.03〜740nMの範囲内であり、好ましくは0.3〜100nM、より好ましくは0.3〜20nMである。
【0063】
本発明の化合物は、これらに限定されないが、過剰増殖性疾患:例えば、頭頸部癌(例えば、頭部腫瘍、頚部腫瘍、鼻腔腫瘍、副鼻腔腫瘍、鼻咽頭腫瘍、口腔腫瘍、中咽頭腫瘍、喉頭腫瘍、下咽頭腫瘍、唾液腺腫瘍、および傍神経節腫);肝癌および胆道系(biliary tree)癌(特に肝細胞癌);腸癌(特に結腸直腸癌);卵巣癌;小細胞および非小細胞肺癌;乳癌;肉腫(例えば、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、胎児性横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、神経線維肉腫、骨肉腫、滑膜肉腫、脂肪肉腫、および胞状軟部肉腫;白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、および慢性骨髄性白血病(CML));中枢神経系の腫瘍(特に脳腫瘍);リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫、リンパ球様形質(lymphoplasmacytoid)リンパ腫、濾胞性リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、B系列大細胞(B−lineage large cell)リンパ腫、バーキットリンパ腫、およびT細胞未分化大細胞リンパ腫)のような疾患を治療するために用いることができる。臨床的には、本明細書で記述されている方法の実践および組成物の使用は、癌性増殖における大きさもしくは数の低下、および/または(適用される場合)随伴症状における低下をもたらす。病理学的には、本明細書で記述されている方法の実行および組成物の使用は、病理学的に関連性のある反応(例えば、癌細胞増殖の抑制、癌または腫瘍の大きさの低下、さらなる転移の予防、および腫瘍血管新生の阻害)を生み出す。そのような疾患の治療方法には、患者に、独創的な組み合わせの治療上の有効量を投与することが含まれる。その方法は、必要であれば繰り返してもよい。特に、癌は前立腺癌、白血病、肺癌、乳癌、神経芽細胞腫、腎癌、子宮頸癌(特にヒト・パピローマウイルス(HPV)が係わる子宮頸癌)、および結腸癌であり得る。
【0064】
細胞の過剰増殖を特徴とする非癌性疾患もまた、本発明の化合物によって治療できる。そのような疾患の実例には、これらに限定されないが:萎縮性胃炎、炎症性溶血性貧血、移植片拒絶、炎症性好中球減少、水疱性類天疱瘡、セリアック病、脱髄性神経障害、皮膚筋炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)、多発性硬化症、心筋炎、筋炎、鼻ポリープ、慢性副鼻腔炎、尋常性天疱瘡、原発性糸球体腎炎、乾癬、術後の癒着、狭窄または再狭窄、強膜炎、強皮症、湿疹(例えば、アトピー性皮膚炎、刺激性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎)、歯周病(すなわち、歯周炎)、多発性嚢胞腎、および1型糖尿病が含まれる。他の例には、血管炎(例えば、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎、高安動脈炎)、結節性多発動脈炎、アレルギー性血管炎および肉芽腫症(チャーグ−ストラウス病(Churg−Strauss disease))、多発性血管炎重複症候群、過敏性血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)、血清病、薬物性血管炎、感染性血管炎、腫瘍性血管炎、結合組織病と関連する血管炎、補体系の先天性欠損に関連する血管炎、ウェゲナー(Wegener’s)肉芽腫症、川崎病、中枢神経系の血管炎、バージャー病および全身性硬化症);胃腸菅疾患(例えば、膵炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、潰瘍性直腸炎、原発性硬化性胆管炎、特発性が含まれるいかなる原因の良性狭窄(例えば、胆管、食道、十二指腸、小腸または大腸の狭窄);気道疾患(例えば、喘息、過敏性肺炎、石綿症、珪肺症、並びに塵肺症、慢性気管支炎および慢性閉塞性気道疾患の他の形態);鼻涙管疾患(例えば、特発性が含まれるいかなる原因の狭窄);および耳菅疾患(例えば、特発性が含まれるいかなる原因の狭窄)が含まれる。特に、非癌性の症状は足底疣贅、心臓肥大、または癌悪液質があり得る。
【0065】
本発明の化合物は、他の抗癌剤または細胞毒性薬と組み合わせて投与することができ、それには、アルキル化剤、血管形成阻害剤、代謝拮抗剤、DNA切断剤、DNA架橋剤、DNA挿入剤、DNAマイナー・グルーブ(minor groove)結合剤、エンジイン、熱ショックプロテイン90阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、免疫調節剤、微小管安定剤、ヌクレオシド(プリンまたはピリミジン)類似体、核外輸送阻害剤、プロテアソーム阻害剤、トポイソメラーゼ(IまたはII)阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、およびセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤が含まれる。特定の抗癌剤または細胞毒性薬には、β−ラパコン、アンサミトシン(ansamitocin)P3、アウリスタチン、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カリスタチン(callistatin)A、カンプトセシン、カペシタビン、CC−1065、シスプラチン、クリプトフィシン、ダウノルビシン、ジソラゾール、ドセタキセル、ドキソルビシン、デュオカルマイシン、ダイネミシン(dynemycin)A、エポチロン、エトポシド、フロクスウリジン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲフィチニブ、ゲルダナマイシン、17−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)、17−(2−ジメチルアミノエチル)アミノ17−デメトキシゲルダナマイシン(17−DMAG)、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イマチニブ、インターフェロン、インターロイキン、イリノテカン、マイタンシン、メトトレキサート、マイトマイシンC、オキサリプラチン、パクリタキセル、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、チオテパ、トポテカン、トリコスタチンA、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、レナリドマイド(レブリミド(登録商標))、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、およびセツキシマブ(アービタックス(Erbitux)(登録商標))が含まれる。
【0066】
好ましくは、本発明の化合物は、精製および単離された形で提供され、例えばカラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、再結晶、または他の精製技術を用いる。本発明の化合物の特定の立体異性体が示されている場合、そのような立体異性体には実質的に他の立体異性体が含まれないことが好ましい。
【0067】
本発明の化合物は、本発明の化合物および賦形剤を含む医薬製剤として用いてもよい。用いられ得る賦形剤には、担体、界面活性剤、増粘剤または乳化剤、固体結合剤、分散補助剤または攪拌補助剤、可溶化剤、着色剤、香味剤、コーティング剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、防腐剤、等張剤、およびそれの組み合わせが含まれる。適当な賦形剤の選択および使用は、Gennaro, ed., Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed. (Lippincott Williams & Wilkins 2003) に示されており、その開示物は本明細書で引用として援用している。
【0068】
組成物は、固体、半固体、または液体の形態のような、いずれかの適当な形であり得る。一般に、医薬品は、有機もしくは無機で、外部からの、腸内への、もしくは非経口の投与(application)に適した担体または賦形剤と混合した、活性成分として本発明の化合物の一またはそれ以上を含む。該活性成分は、例えば、通常の非毒性で、錠剤、ペレット、カプセル、坐剤、ペッサリー、溶液、乳液、懸濁液、および使用に適した他の任意の形にとって医薬的に許容される担体を用いて作られ得る。用いることができる担体には、水、グルコース、ラクトース、アラビア・ゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプン糊、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ、ジャガイモデンプン、尿素、および製造に用いるのに適した他の担体が、固体、半固体、または液体の形で、含まれる。また、補助安定剤、増粘剤、および着色剤、並びに芳香剤を用いてもよい。投与の好ましい様式には、静脈内に、および特定の徴候(子宮頸癌、膀胱癌、または足底疣贅)の場合には局所的に投与することが含まれる。
【0069】
適用できる場合において、本発明の化合物はマイクロカプセルおよびナノ粒子として製造してもよい。一般的な手順は、例えば、Bosch et al., US 5,510,118 (1996); De Castro, US 5,534,270 (1996); および Bagchi et al., US 5,662,883 (1997), の中で説明されており、それらは本明細書で引用により全て援用されている。体積に対する面積の比率を増加させることで、これらの剤形で化合物の経口デリバリーができ、そうすることによってはじめて経口投与が可能となった。
【0070】
本発明の化合物の投与量レベルは、約0.1mg〜約100mg/体重kg/日、好ましくは約1mg〜約50mg/体重kg/日の範囲である。より好ましくは、投与量レベルは約1mg〜約20mg/体重kg/日であり、それは患者を70kgと仮定すれば、患者一人あたり70mg〜1400mg/日に相当する。本発明の化合物は断続的に(すなわち、半週、週、半月、月に1回の間隔で)投与すればよい。
【0071】
担体物質と組み合わせて一つの剤形を製造し得る活性成分の量は、治療される宿主および投与の特定の様式に依存して変わる。例えば、ヒトの経口投与のために意図される剤形は担体物質を含むことができ、それは組成物総量の約5%〜約95%の間で変わり得る。投与単位形態は、一般に活性成分の約5mg〜約500mgを含む。
【0072】
しかしながら、どんな特定の患者における具体的な投与レベルも、様々な要素に依存することが理解される。これらの要素には、用いられる特定の化合物の活性;患者の年齢、体重、全体的な健康、性別、および食事;投与の時間およびルート、並びに薬剤の排出の割合;治療において混合薬が用いられているか否か;そして、治療がされている、特定の疾患または症状の重症度が含まれる。
【0073】
本発明の実践(practice)は、以下の実施例を参照することによってさらに理解することができ、それらは実例として提供されるのであって、限定のために提供されるのではない。
【0074】
実施例1:レプトルスタチン
ストレプトマイセスsp.菌株SAM1595を、−80℃のバイアル内で、グリセロール(30%、v/v)に貯蔵した。一つのバイアルを解凍し(thawed)、その内容物をL2培地(大豆油、60mL/L; ベーシック酵母(basic yeast)、30g/L;KCl、3g/L;KHPO、0.2g/L;CaCO、3g/L)が50mL含まれる、バッフル付250mLの三角振盪フラスコに移した。フラスコを、24℃で4日間、2インチのスロー・インキュベーター(throw incubator)内で培養した。フラスコの中身を、L2培地(500mL)が含まれる、2.8Lのフェルンバッハ・フラスコ(Fernbach flask)へ移した。フェルンバッハ・フラスコ(Fernbach flask)を、24℃で2日間、2インチのスロー・インキュベーター(throw incubator)内で培養した。二次的(secondary)種培養液(200mL)は、バイオリアクター内で、L2培地の4Lを播種するために用いた。培養条件は24℃、通気速度を0.5v/v/m、はじめに600rpmに設定された攪拌カスケード(stir cascade)を用いて溶存酸素圧を飽和状態の30%、そしてpHはHSO(2.5N)またはNaOH(2.5N)を用いて7.0に、調節した。培養して7日後、培養液(3L)を、100%メタノール溶液(3L)で終夜抽出した。抽出混合物をブフナー漏斗で濾過し、濾過ケーキ(filter cake)を50:50=メタノール:水(200mL)で洗浄した。精製プロセスに用いられた全ての溶媒には、0.1%(v/v)酢酸が含まれていた。レプトルスタチンをメタノール抽出物から、低圧C18クロマトグラフィーによって精製した。全回収率が32%で、レプトルスタチンを黄色の油状物として得た(総量115mg)。
【0075】
実施例2:24−アシルイミダゾールレプトルスタチン
この実施例では、代表的なC24アルコールIIとしてレプトルスタチンを用いて、図2の反応式によるモノアシルイミダゾール化合物III−aの製造を説明する。
【0076】
1,1’−カルボニルジイミダゾール(54mg、0.3333mmol、1.01eq)を、レプトルスタチン(164mg、0.3293mmol、1eq)の乾燥アセトニトリル溶液(1mL)に加えた。反応混合物を室温で2.5時間攪拌し、溶媒を取り除いた。生成物をシリカゲル・カラム・クロマトグラフィー(10〜50%アセトンのヘキサン溶液グラジエント)により精製し、24−アシルイミダゾールレプトルスタチンを得た(182mg)。MS (m/z): C35H48N2O6の計算値 592.765 ;実験値 615.427 (M+Na+).
【化19】

【0077】
実施例3:19,24−ビスアシルイミダゾールレプトルスタチン
この実施例では、代表的なC24アルコールIIとしてレプトルスタチンを用いて、図2の反応式によるビスアシルイミダゾール化合物III−bの製造を説明する。
【0078】
1,1’−カルボニルジイミダゾール(127mg、0.7840mmol、2.4eq)を、レプトルスタチン(163mg、0.3273mmol、1eq)の乾燥アセトニトリル溶液(3mL)に加えた。反応混合物を室温で終夜攪拌し、溶媒を取り除いた。生成物をシリカゲル・カラム・クロマトグラフィー(10〜50%アセトンのヘキサン溶液グラジエント)により精製し、19,24−ビスアシルイミダゾールレプトルスタチンを得た(128mg)。MS (m/z): C39H50N4O7の計算値 686.4 ;実験値 687.5 (M+H+), 709.5 (M+Na+).
【化20】

【0079】
実施例3:化合物A−1
この実施例では、図1の反応式に従って化合物A−1の合成を説明する。
【0080】
ベンジルイソシアネート(192μL、1.5562mmol、2.48eq)およびDMAP(115mg)を、レプトルスタチン(312mg、0.6265mmol、1eq)の乾燥CHCl溶液(5mL)に加えた。反応混合物を室温で2.5時間攪拌し、溶媒を取り除いた。生成物をシリカゲル・カラム・クロマトグラフィー(10〜50%アセトンのヘキサン溶液グラジエント)により精製し、続いてC−18逆相MPLC(20〜100%アセトニトリル水溶液グラジエント)を行い、化合物A−1を得た(279mg)。MS (m/z): C39H53NO6の計算値 631.4 ;実験値 654.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.42, 164.08, 156.72, 144.88, 139.94, 139.00, 138.63, 136.24, 136.34, 130.75, 129.45, 128.57, 128.33, 127.70, 127.41, 127.34, 125.40, 121.50, 121.06, 78.65, 74.09, 61.67, 46.71, 45.61, 44.99, 44.01, 40.70, 33.12, 32.25, 30.01, 20.70, 20.34, 16.16, 15.98, 13.73, 13.06, 12.57. 化合物A−1のH−NMRスペクトルを、図4に示す。
【0081】
実施例4:化合物A−2
これは、図1の反応式による合成の別の例である。
【0082】
イソシアン酸メチル(66μL、1.100mmol、2.5eq)およびDMAP(40mg)を、レプトルスタチン(219mg、0.4398mmol、1eq)の乾燥CHCl溶液(5mL)に加えた。反応混合物を窒素下の室温で4時間攪拌し、溶媒を取り除いた。生成物をシリカゲル・カラム・クロマトグラフィー(5〜40%アセトンのヘキサン溶液グラジエント)により精製し、続いてC−18逆相MPLC(20〜100%アセトニトリル水溶液グラジエント)を行い、化合物A−2を得た(185mg)。MS (m/z): C33H49NO6の計算値 555.4 ;実験値 578.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.54, 164.03, 157.29, 144.70, 139.87, 139.05, 136.29, 135.34, 130.81, 129.47, 128.34, 127.75, 125.40, 121.65, 121.22, 78.66, 74.19, 61.52, 46.49, 45.62, 43.95, 40.73, 33.10, 32.28, 30.08, 27.54, 20.72, 20.36, 16.15, 15.99, 13.92, 13.08, 12.29. 化合物A−2のH−NMRスペクトルを、図5に示す。
【0083】
実施例5:化合物A−3およびA−4(混合物)
この実施例では、図3の反応式に従って、化合物A−3およびA−4の混合物の合成を説明する。
【0084】
トリクロロアセチルイソシアネート(5μL、0.04204mmol、1.74eq)を、レプトルスタチン(12mg、0.0241mmol、1eq)の乾燥CHCl溶液(1mL)に加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌し、次いで中性Alクロマトグラフィーカラムに直接乗せた。4時間後、生成物をアセトンで溶離した。溶媒を蒸発させ、生成物をシリカゲル・カラム・クロマトグラフィー(5〜60%アセトンのヘキサン溶液グラジエント)により精製し、化合物A−3(6mg)および化合物A−4(6mg)(MS (m/z): C33H48N2O7の計算値 584.346.340 ;実験値 607.392 (M+Na+))を得た。化合物A−3の MS (m/z) : C32H47NO6の計算値 541.3 ;実験値 564.4 (M+Na+). 化合物A−3の 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.54, 164.05, 156.87, 144.71, 140.25, 139.05, 136.30, 135.34, 130.82, 129.48, 128.33, 127.77, 125.39, 121.65, 120.82, 78.66, 74.19, 61.81, 46.49, 45.63, 43.94, 40.73, 33.09, 32.28, 30.08, 20.72, 20.36, 16.14, 16.00, 13.93, 13.09, 12.28. 化合物A−3のH−NMRスペクトルを、図6に示す。化合物A−4に関する分析の詳細は、次の実施例を参照。
【0085】
実施例6:化合物A−4
この実施例では、限られた量のトリクロロアセチルイソシアネートを用いて、図1の反応式による化合物A−4の合成を説明する。
【0086】
トリクロロアセチルイソシアネート(73.6μL、0.6189mmol、5eq)を、レプトルスタチン(74mg、0.1237mmol、1eq)の乾燥CHCl溶液(2mL)に加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌し、次いで中性Alクロマトグラフィーカラムに直接乗せた。4時間後、生成物をアセトンで溶離した。溶媒を蒸発させ、生成物をシリカゲル・カラム・クロマトグラフィー(5〜60%アセトンのヘキサン溶液グラジエント)により精製し、化合物A−4を得た(55mg)。 MS (m/z): C33H48N2O7の計算値 584.4 ;実験値 607.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 211.89 (C17), 164.16 (C1), 157.25, 157.13, 145.02 (C3), 139.36 (22), 139.05 (C9), 136.25 (C14), 135.29 (C13), 130.89 (C7), 129.52 (C8), 128.53 (C15), 127.83 (C12), 125.36 (C6), 121.48 (C2), 121.05 (C23), 78.94 (C5), 76.64 (C19), 61.78 (C24), 46.78 (C18), 45.45 (C16), 44.38 (C21), 40.77 (C11), 32.79 (C20), 32.54 (C10), 30.11 (C4), 20.87 (10Me), 20.34 (8Me), 16.05 (16Me), 15.91 (22Me), 14.07 (18Me), 13.13 (14Me), 12.82 (20Me). 化合物A−3のH−NMRスペクトルを、図6に示す。
【0087】
化合物A−4は、以下のようにも合成できる:レプトルスタチン(17.78g、35.70mmol、1eq)の乾燥CHCl溶液(360mL)に、トリクロロアセチルイソシアネート(10.57mL、89.25mmol、2.5eq)を加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌した。CHClをロータリーエバポレーターで除去し、メタノール(360mL)を加え、続いてNaHCO(89g)を加えた。反応混合物を室温で2.5時間攪拌した。固形物を濾過により除去し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。生成物をシリカゲル・カラム・クロマトグラフィー(5〜60%アセトンのヘキサン溶液グラジエント)により精製し、化合物A−4を得た(16.5g)。
【0088】
実施例7:化合物A−5
化合物A−5を図2の反応式に従い、中間体III−aを経由して合成した。
【0089】
N−(2−アミノエチル)ピロリジン(6.8μL、0.05374mmol、4.4eq)および酢酸(3μL、0.053mmol、4.3eq)を、24−アシルイミダゾールレプトルスタチン(7.3mg、0.01233mmol、1eq)の乾燥テトラヒドロフラン溶液(1.5mL)に加えた。反応混合物を、室温で5時間攪拌した。反応混合物をシリカ・ゲル・クロマトグラフィーカラムに直接乗せて精製し(2〜6%メタノールのCHCl溶液グラジエント)、化合物A−5を得た(7.1mg)。MS (m/z): C38H58N2O6の計算値 638.4 ;実験値 639.4(M+H+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.52, 164.04, 156.78, 144.73, 139.76, 139.05, 136.27, 135.35, 130.80, 129.46, 128.34, 127.73, 125.40, 121.63, 121.20, 78.67, 74.07, 61.63, 55.22, 54.03, 46.54, 45.62, 43.95, 40.72, 38.86, 33.08, 32.28, 30.07, 29.68, 20.71, 20.36, 16.16, 15.98, 13.91, 13.08, 12.36. 化合物A−5のH−NMRスペクトルを、図8に示す。
【0090】
以下の実施例では、先の実施例と同じように行われた合成は、単にそう述べて簡潔化する。特に断りがなければ、そのような合成で、遊離塩基または塩酸塩として用いるアミンは市販品として入手可能であった。塩酸塩として得た場合、遊離塩基は、塩酸塩をメタノール溶液中に溶解し、過剰の固形炭酸ナトリウムで処理し、濾過し、ロータリーエバポレーターによってメタノールを除去し、高減圧下で乾燥することにより生成した。
【0091】
実施例8:化合物A−6
化合物A−6を、化合物A−5と同じように製造したが、但し2−(ピリジン−3−イル)エタンアミンを用いた。MS (m/z): C39H54N2O6の計算値 646.4 ;実験値 647.4(M+H+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.44, 164.02, 156.52, 150.14, 147.85, 144.69, 140.12, 139.05, 136.38, 136.24 135.39, 134.33, 130.77, 129.46, 128.340, 127.68, 125.41, 123.54, 121.65, 121.00, 78.64, 73.54, 61.54, 46.89, 45.70, 44.05, 41.84, 40.73, 33.37, 33.06, 32.28, 30.08, 20.70, 20.37, 16.18, 15.92, 13.88, 13.09, 12.82. 化合物A−6のH−NMRスペクトルを、図9に示す。
【0092】
実施例9:化合物A−7
化合物A−7を、化合物A−5と同じように製造したが、但し2−モルホリノエタンアミンを用いた。MS (m/z): C38H58N2O7の計算値 654.4 ;実験値 655.4(M+H+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.45, 164.02, 156.62, 144.70, 139.95, 139.03, 136.29, 135.34, 130.81, 129.48, 128.33, 127.75, 125.40, 121.65, 121.15, 78.65, 74.11, 66.88, 61.55, 57.44, 53.32, 46.56, 45.61, 43.98, 40.73, 37.19, 33.10, 32.29, 30.08, 20.72, 20.37, 16.17, 16.01, 13.86, 13.08, 12.41. 化合物A−7のH−NMRスペクトルを、図10に示す。
【0093】
実施例10:化合物A−8
化合物A−8を、化合物A−5と同じように製造したが、但しN,N−ジエチルエタン−1,2−ジアミンを用いた。MS (m/z): C38H60N2O6の計算値 640.5 ;実験値 641.5(M+H+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.52, 164.02, 156.74, 144.70, 139.70, 139.04, 136.27, 135.35, 130.80, 129.46, 128.34, 127.74, 125.40, 121.45, 121.31, 78.66, 74.18, 61.46, 51.87, 46.75, 46.50, 45.61, 43.96, 40.72, 38.41, 33.09, 32.28, 30.07, 20.71, 20.36, 16.17, 15.98, 13.91, 13.08, 12.30, 11.51. 化合物A−8のH−NMRスペクトルを、図11に示す。
【0094】
実施例11:化合物A−9
2−(4−フルオロフェニル)エチルアミン(13μL、0.09923mmol、4.02eq)および酢酸(3μL、0.053mmol、2.15eq)を、24−アシルイミダゾールレプトルスタチン(14.6mg、0.02466mmol、1eq)の乾燥テトラヒドロフラン溶液(1mL)に加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物をシリカ・ゲル・クロマトグラフィーカラム(5〜40%アセトンのヘキサン溶液グラジエント)に直接乗せて精製し、化合物A−9を得た(9.6mg)。MS (m/z): C40H54NO6の計算値 663.4 ;実験値 686.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.49, 164.03, 162.84, 160.41, 156.55, 144.71, 140.00, 139.03, 136.29, 135.34, 134.41, 130.80, 130.20, 130.13, 129.48, 128.33, 127.75, 125.40, 121.64, 121.08, 115.48, 115.26, 78.65, 74.16, 61.54, 46.51, 45.61, 43.94, 42.23, 40.73, 36.63, 35.38, 33.09, 32.28, 30.07, 20.72, 20.36, 16.16, 16.00, 13.87, 13.08, 12.34. 化合物A−9のH−NMRスペクトルを、図12に示す。
【0095】
実施例12:化合物A−10
化合物A−10を、化合物A−9と同じように製造したが、但し2−メトキシエタンアミンを用いた。MS (m/z): C35H53NO7の計算値 599.4 ;実験値 622.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.52, 164.02, 156.67, 144.69, 139.88, 139.04, 136.28, 135.34, 130.81, 129.47, 128.34, 127.75, 125.40, 121.66, 121.15, 78.66, 74.19, 71.43, 61.57, 58.74, 46.49, 45.61, 43.94, 40.73, 33.09, 32.29, 30.07, 29.68, 20.71, 20.36, 16.16, 15.99, 13.90, 13.08, 12.28. 化合物A−10のH−NMRスペクトルを、図13に示す。
【0096】
実施例13:化合物A−11
化合物A−11を、化合物A−9と同じように製造したが、但し2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)エタンアミンを用いた。MS (m/z): C39H56N2O7の計算値 664.4 ;実験値 665.4(M+H+), 687.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.45, 165.85, 164.05, 159.62, 156.58, 144.73, 140.12, 139.03, 136.28, 135.35, 130.80, 129.49, 128.34, 127.75, 125.40, 121.63, 120.95, 110.57, 78.65, 74.08, 61.62, 46.58, 45.62, 43.95, 40.73, 40.61, 33.08, 32.28, 30.08, 22.28, 20.72, 20.36, 16.16, 15.98, 13.86, 13.09, 12.42, 10.90, 10.13. 化合物A−11のH−NMRスペクトルを、図14に示す。
【0097】
実施例14:化合物A−12
化合物A−12を、化合物A−9と同じように製造したが、但し(4−フルオロフェニル)メタンアミンを用いた。MS (m/z): C39H52FNO6の計算値 649.4 ;実験値 672.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.44, 164.09, 163.30, 160.86, 156.69, 144.84, 140.06, 139.02, 136.26, 135.33, 134.46, 130.78, 129.46, 129.15, 129.07, 128.32, 127.73, 125.38, 121.53, 120.98, 115.48, 115.26, 78.66, 74.08, 61.73, 46.66, 45.61, 44.28, 43.98, 40.71, 33.11, 32.26, 30.03, 20.70, 20.34, 16.15, 15.98, 13.76, 13.06, 12.51. 化合物A−12のH−NMRスペクトルを、図15に示す。
【0098】
実施例15:化合物A−13
化合物A−13を、化合物A−5と同じような方法で製造したが、但し1−(2−アミノエチル)ピロリジン−2−オンを用いた。MS (m/z): 675.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.42, 176.08, 164.03, 156.88, 144.73, 139.77, 139.01, 136.21, 135.35, 130.74, 129.43, 128.36, 127.66, 125.38, 121.59, 121.12, 78.63, 73.69, 61.55, 47.59, 46.77, 45.61, 44.03, 42.51, 40.69, 38.95, 33.00, 32.24, 30.84, 20.67, 20.33, 18.03, 16.03, 16.15, 15.87, 13.78, 13.05, 12.68.
【0099】
実施例16:化合物A−14
24−アシルイミダゾリドレプトルスタチン(190mg、0.3204mmol、1eq)の乾燥テトラヒドロフラン溶液(5mL)に、2−(イミダゾル−1−イル)−エチルアミン(142mg、1.281mmol、4eq)および酢酸(90.7μL、1.6023mmol、5eq)を加えた。反応混合物を室温で5時間攪拌した。反応混合物をシリカ・ゲル・カラム(2〜6%メタノールのジクロロメタン溶液)に直接乗せて精製し、化合物A−14を得た(102mg)。MS (m/z): 実験値 636.4(M+H+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.40, 164.09, 156.72, 144.90, 140.23, 139.01, 137.41, 136.12, 135.41, 130.70, 129.40, 128.42, 127.55, 125.38, 121.48, 120.80, 118.86, 78.65, 72.93, 61.71, 47.41, 46.43, 45.74, 44.19,, 41.68, 40.68, 33.09, 32.22, 30.01, 20.64, 20.33, 16.20, 15.86, 13.65, 13.51, 13.04.
【0100】
実施例17:化合物A−15
化合物A−15を、化合物A−14と同じような方法で製造したが、但し(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)メタンアミンを用いた。MS (m/z): 659.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.41, 169.88, 164.06, 161.62, 156.65, 144.83, 140.15, 138.99, 136.25, 135.32, 130.75, 129.45, 128.31, 127.71, 125.40, 121.54, 120.84, 100.85, 78.64, 74.04, 61.91, 46.67, 45.60, 43.98, 40.70, 36.91, 33.09, 32.24, 30.03, 20.69, 20.34, 16.14, 15.97, 13.75, 13.06, 12.53, 12.21.
【0101】
実施例18:化合物A−16
化合物A−16を、化合物A−14と同じような方法で製造したが、但しピリジン−2−イルメタンアミンを用いた。MS (m/z): 655.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.36, 164.02, 157.22, 156.78, 149.04, 144.82, 139.85, 138.98, 136.71, 136.20, 135.33, 130.72, 129.42, 128.34, 127.67, 125.40, 122.25, 121.63, 121.51, 121.08, 78.62, 74.05, 61.70, 46.74, 46.03, 45.59, 44.03, 40.69, 33.12, 32.23, 30.01, 20.68, 20.33, 16.15, 15.96, 13.71, 13.05, 12.60.
【0102】
実施例19:化合物A−17
化合物A−17を化合物A−5と同じような方法で製造したが、但し(R)−3−アミノプロパン−1,2−ジオールを用い、また溶媒にはTHF/DMF(1mL:1mL)を用いた。MS (m/z): 638.4(M+H+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.49, 164.26, 157.96, 145.00, 140.15, 139.06, 136.30, 135.34, 130.84, 129.45, 128.27, 127.72, 125.32, 121.51, 120.91, 78.75, 73.57, 71.17, 63.75, 61.96, 47.00, 45.71, 44.10, 43.27, 40.71, 33.10, 32.27, 30.04, 20.71, 20.35, 16.16, 15.96, 13.65, 13.08, 13.08.
【0103】
実施例20:化合物A−18
化合物A−18を化合物A−4と同じような方法で製造した。この場合に、化合物A−1を出発物質として用い、トリクロロアセチルイソシアネート(2.5eq)と反応させた。MS (m/z): 740.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 211.75, 164.08, 156.80, 155.88, 155.41, 144.86, 141.40, 139.00, 138.16, 136.30, 135.26, 130.87, 129.52, 128.51, 128.24(2x), 127.85(3x), 127.11, 125.33, 121.55, 119.59, 78.90, 76.48, 63.61, 46.77, 46.64, 45.38, 44.38, 40.76, 32.67, 32.53, 30.13, 20.84, 20.35, 16.02, 15.98, 14.19, 13.15, 12.82.
【0104】
実施例21:化合物A−19
化合物A−19を化合物A−5と同じような方法で製造したが、但しアミンとしてチアゾール−2−イルメタンアミンを用いた。MS (m/z): 661.3 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.28, 168.32, 163.97, 156.47, 144.74, 142.33, 140.11, 138.89, 136.13, 135.23, 130.65, 129.34, 128.23, 127.59, 125.28, 121.42, 120.70, 119.23, 78.54, 73.88, 61.93, 46.65, 45.50, 43.92, 42.39, 40.59, 33.00, 32.14, 29.92, 20.59, 20.24, 16.06, 15.88, 13.62, 12.96, 12.55.
【0105】
実施例22:化合物A−20
化合物A−20を化合物A−4と同じような方法で製造した。この場合に、化合物A−19を出発物質として用い、トリクロロアセチルイソシアネート(1.2eq)と反応させた。MS (m/z): 704.3 (M+Na+). 1H NMR (400 MHz, CDCL3), δ (ppm), 7.70 (d, J=3.2 Hz, 1H), 7.28 (d, J=3.2 Hz, 1H), 6.91 (dt, J=9.6, 4.4 Hz, 1H), 6.69 (d, J=15.6 Hz, 1H), 6.05 (d, J=9.6 Hz, 1H), 6.02 (d, J=15.6 Hz, 1H), 5.72 (dd, J=15.6, 7.2 Hz, 1H), 5.57 (dt, J=15.6, 6.8 Hz, 1H), 5.49 (br, 1H), 5.31 (t, J=6.4 Hz, 1H), 5.26 (d, J=10 Hz, 1H), 5.09 (d, J=9.6 Hz, 1H), 5.01 (dd, J=8.8, 2 Hz, 1H), 4.95 (q-like, J=7.6 Hz, 1H), 4.72 (br, 2H), 4.68 (d, J=6 Hz, 2H), 4.63 (m, 2H), 3.66 (m, 1H), 2.93 (m, 1H), 2.65 (m, 1H), 2.46 (m, 2H), 2.06 (m, 3H), 1.83 (s, 3H), 1.82 (s, 3H), 1.66 (m, 1H), 1.64 (s, 3H), 1.13 (d, J=6.8 Hz, 3H), 1.10 (d, J=6.4 Hz, 3H), 0.96 (d, J=6.4 Hz, 3H), 0.67 (d, J=6.4 Hz, 3H).
【0106】
実施例23:化合物A−21
化合物A−21を、化合物A−14と同じような方法で製造したが、但し(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メタンアミンを用いた。MS (m/z): 701.4(M+H+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.42, 164.05, 161.48, 156.79, 146.08 (d, J = 4 Hz), 144.78, 140.18, 139.01, 136.27, 135.32, 133.86 (d, J = 3 Hz) 130.78, 129.46, 128.31, 127.73, 125.37, 125.32 (q, J = 66 Hz), 121.57, 121.30, 120.88, 78.65, 74.04, 61.92, 46.64, 46.01, 45.61, 43.98, 40.71, 33.11, 32.26, 30.04, 20.69, 20.33, 16.14, 15.99, 13.77, 13.06, 12.49.
【0107】
(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メタンアミン(VI)を以下のように製造した:炭酸水素ナトリウム(0.25g)およびパラジウム炭素(0.5g、50%ウェット(wet)、10%Pd/C)を、(3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メタンアミン(V)塩酸塩(50mLメタノール溶液中、0.5g)のメタノール溶液に加えた。混合物を、水素バルーン下で3時間かけて水素化した。反応混合物を濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をメタノール溶液(5mL)に再び溶解し、再び濾過し、再び蒸発させて、粗生成物(VI)を得た(0.33g)。1H-NMR (CD3OD, 400 MHz): δ 8.92 (s, 1H), 8.16 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.35 (s, 2H).
【化21】

【0108】
実施例24:化合物A−22
化合物A−22を、化合物A−14と同じような方法で製造したが、但し(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)メタンアミンを用いた。MS (m/z): 723.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.42, 164.07, 156.75, 149.08, 147.00 (q, J=34.5 Hz), 144.81, 140.40, 138.99, 137.79, 136.39, 136.25, 135.28, 130.77, 129.44, 128.25, 127.70, 125.31, 121.49, 120.65, 120.27, 78.63, 73.97, 62.00, 46.62, 45.59, 43.91, 42.09, 40.68, 33.07, 32.22, 30.01, 20.66, 20.29, 16.09, 15.95, 13.76, 13.02, 12.45.
【0109】
実施例25:化合物A−23
化合物A−23を、化合物A−14と同じような方法で製造したが、但し(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メタンアミンを用いた。MS (m/z): 723.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.46, 164.02, 158.33, 156.72, 147.57 (q, J=35 Hz), 144.73, 140.18, 138.98, 138.04, 136.25, 135.29, 130.76, 129.43, 128.28, 127.71, 125.36, 124.46, 121.55, 120.88, 118.93, 78.62, 74.13, 61.86, 46.51, 45.80, 45.57, 43.91, 40.68, 33.07, 32.23, 30.01, 20.66, 20.30, 16.10, 15.96, 13.82, 13.03, 12.30.
【0110】
実施例26:化合物A−24
化合物A−24を、化合物A−14と同じような方法で製造したが、但し(4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メタンアミンを用いた。MS (m/z): 701.4(M+H+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.45, 164.04, 159.25, 156.76, 150.17, 144.77, 140.19, 139.01, 138.97 (q, J = 68 Hz), 136.25, 135.33, 130.77, 129.45, 128.32, 127.72, 125.38, 121.57,120.88, 117.91, 117.17, 78.65, 74.09, 61.93, 46.62, 46.05, 45.61, 43.96, 40.70, 33.11, 32.26, 30.04, 20.68, 20.33, 16.14, 15.98, 13.78, 13.05, 12.43.
【0111】
実施例27:化合物A−25
化合物A−25を、化合物A−14と同じような方法で製造したが、但し(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メタンアミンを用いた。MS (m/z): 723.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 215.53, 164.02, 156.55, 154.22, 151.50, 144.72, 139.92, 139.03, 136.28, 135.34, 134.22, 134.17, 130.80, 129.45, 128.34, 127.74, 125.40, 124.36, 124.04, 123.71, 123.38, 122.14, 121.87, 121.62, 121.15, 78.66, 74.21, 61.77, 46.50, 45.61, 43.96, 43.07, 40.71, 33.10, 32.27, 30.05, 20.69, 20.34, 16.15, 16.00, 13.90, 13.07, 12.27.
【0112】
実施例28:化合物IV
トリクロロアセチルイソシアネート(125μL、1.054mmol、2.5eq)を、24−アシルイミダゾリドレプトルスタチン(250mg、0.4216mmol、1eq)のCHCl溶液(3mL)に加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌し、次いで中性Alカラム上に乗せ、終夜カラムの上に置いた。生成物を、メタノールを用いてカラムから溶離し、シリカゲル・カラム・クロマトグラフィー(3〜4%MeOHのCHCl溶液グラジエント)で精製した。化合物IVの生成物を得た(100mg)。MS (m/z): 564.4 (M+Na+). 13C NMR (100 MHz, CDCL3), δ (ppm), 211.80, 164.14, 157.13, 144.95, 139.05, 136.89, 136.38, 135.26, 130.95, 129.5, 128.52, 127.93, 126.15, 125.31, 121.54, 79.02, 75.52, 59.13, 46.93, 45.39, 44.73, 40.80, 32.65, 32.52, 30.15, 20.93, 20.36, 15.93, 15.50, 14.27, 13.29, 13.19.
実施例29:核外輸送阻害
【0113】
本発明の化合物が核外輸送を阻害する能力は、以下のようにして評価した。
【0114】
1〜5×10細胞を、12mmカバーガラスまたはチャンバースライド(例えば、Lab−Tek#177445)のウェルにまいた(seeded)。細胞を37℃で終夜かけて成長させ、細胞を表面に付着させた。培地を除去し、望ましい試験化合物が含まれる培地に置き換え、必要な期間(典型的に1時間)インキュベートした。回復実験(recovery experiment)のために、細胞をPBSまたは培地で洗浄し、試験化合物のない培地で目的の回復期間(典型的に8、24、または48時間)インキュベートした。培地を除去し、カバーガラス/ウェルをPBS(pH7.4)で1分間洗浄した。カバーガラスまたはスライドを室温で20分間、3.7%ホルムアルデヒドのPBS溶液で固定し、PBS溶液で3回洗浄し、CRM1基質RanBP1(CRM1 substrate RanBP1)を染色した。
【0115】
カバーガラスまたはチャンバースライドを透過処理し、10% donkey serum、0.1%トリトン X−100のPBS溶液で、30分間室温でブロッキングした(blocked)。一次抗体をPBS溶液で希釈し、室温で1時間インキュベートした:ヤギ抗RanBP1(Santa Cruz Biotechnology、sc−1160;1:50希釈)およびマウス抗チューブリン(Sigma、T9026;1:400)。細胞をPBS溶液で5分間洗浄した(3回)。二次抗体ロバ抗ヤギCy3(705−165−147、Jackson Immunoresearch)およびロバ抗マウスFITC(715−095−150、Jackson Immunoresearch)をPBS溶液で1:200に希釈し、室温で1時間インキュベートした。二次抗体を除去し、細胞を核染色色素(例えば、DAPI(Sigma、D8417;2.5μg/mLのPBS溶液)またはHoechst 33342(Molecular Probes、H3570;100ng/mLのPBS溶液))を用いて、室温で5分間染色した。細胞をPBS溶液で5分間洗浄し(3回)、カバーガラスをFluorSave(EMD Biosciences、80058−108)を用いてマウントした(mounted)。RanBP1の核(N)局在性または細胞質(C)局在性を、40倍の対物レンズを付けたZeiss Axiovert200倒立落射蛍光顕微鏡を用いて調べた。最初のドラッギング(drugging)期間の後、核局在化(N>C)を確認した。回復(Recovery)を以下のように定義した:速い(fast)回復(8時間で、C≧N)、緩やかな(moderate)回復(24時間で、C≧N)、または遅い(slow)回復(24時間で、N>C)。
【0116】
天然のレプトマイシンA、レプトマイシンB、およびレプトルスタチンが含まれる比較のデータと一緒に、結果を表Bに示す。結果から分かるように、核外輸送阻害の持続期間は、試験化合物に依存して変わる。
【表2】

実施例30:生物活性
【0117】
本発明の化合物の生物活性を、様々な腫瘍細胞株の増殖に対する阻害効果を測定することにより評価した。結果(レプトマイシンA、レプトマイシンB、およびレプトルスタチンに関する比較データも含まれる)は、表Cで一覧にしている。HCT−116は、ヒト結腸癌細胞株である。LNCapは、ヒト前立腺癌細胞株である。SiHaは、HPV−16陽性ヒト子宮頸癌株である。
【表3−1】

【表3−2】

【0118】
表Dは、様々な細胞株に対する化合物A−1およびA−4の活性に関する、付加的なデータを示す。場合によっては、レプトマイシンB(LMB)および/または化合物VI(Dong et al., US 2005/0272727 A1 (2005))における比較データも提供する。
【化22】

【表4−1】

【表4−2】

【0119】
試験に用いられた追加の細胞株は、様々な異なる癌を表す:膀胱癌(UM−UC−3)、乳癌(BT474、HCC1937、MDA−MB468、NCI−ADR)、中枢神経系の癌(U87MG(グリオーマ)、SKNSH(神経芽細胞腫))、結腸癌(LoVo、LS411N、LS513)、頭頸部癌(CAL−27、FaDu)、白血病(CCRF−CEM、MOLT−4)、肝癌(HepG2)、肺癌(A549、NCI−H23、NCI−H358)、黒色腫(Colo829)、卵巣癌(OVCAR−4)、膵癌(BxPC−3、Mia−PaCa2)、前立腺癌(22Rv1、PC−3)、および腎癌(A−498、Caki−1)。
【0120】
要約すると、表CおよびDのデータは、本発明の化合物が様々な癌(すなわち、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、中枢神経系の癌、結腸癌、頭頸部癌、白血病、肝癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、および腎癌)を治療するのに効果的であることを示す。
【0121】
上述した本発明の詳細な説明には、本発明の特定の部分または側面に、主としてまたは排他的に関係している箇所が含まれる。これは明確化および便宜上のためであること、ある特定の特徴はそれが開示されている箇所のみではなくそれ以上に関連し得ること、並びに本明細書の開示には、異なる箇所にある情報の、あらゆる適当な組み合わせが含まれることが理解される。同じように、本明細書の様々な図および説明は本発明の特定の形態に関するものだが、理解されるべきことは、特定の図または形態との関連で特定の特徴が開示されている場合に、そのような特徴も、適当な範囲において、他の図もしくは形態との関連で、他の特徴との組み合わせで、または一般に本発明の中で用いることができることである。
【0122】
さらに、本発明は特に、ある好ましい形態という観点から説明されているが、本発明はそのような好ましい形態に限定されない。むしろ、本発明の範囲は添付した特許請求の範囲によって定義される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
は、HまたはC〜Cアルキルであり;
は、C〜Cアルキルであり;
は、HまたはOHであり;
およびRは、各々独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、CHR、または(CHRであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、結合して
【化2】

を形成するが、ただしRはC(=O)NHもあり得て;
は、HまたはC(=O)NRであり;
は、無置換もしくは置換アリール、無置換もしくは置換ヘテロアリール、無置換もしくは置換シクロ脂肪族、無置換もしくは置換ヘテロシクロ脂肪族、CO、シアノ、またはCORであり;
は、無置換もしくは置換アリール、無置換もしくは置換ヘテロアリール、無置換もしくは置換シクロ脂肪族、無置換もしくは置換ヘテロシクロ脂肪族、NR、CO、OH、ハロ、シアノ、OR、またはCORであり;
は、各々独立して、H、OHまたはC〜Cアルキルであり;並びに
nは、各々独立して、2、3、4、5、または6である]
によって表される構造を有する化合物、またはそれの医薬的に許容される塩。
【請求項2】
式I−a:
【化3】

によって表される構造を有する、請求項1の化合物。
【請求項3】
NRが、
【化4】

からなる群より選択される、請求項2の化合物。
【請求項4】
【化5−1】

【化5−2】

からなる群より選択される、請求項2の化合物。
【請求項5】
NRにトリフルオロメチル置換ピリジル部分が含まれ、RがHである、請求項2の化合物。
【請求項6】
【化6−1】

【化6−2】

からなる群より選択される、請求項5の化合物。
【請求項7】
式A−4:
【化7】

によって表される構造を有する、請求項2の化合物。
【請求項8】
請求項1の化合物の有効量を標的細胞に接触させることを特徴とする、標的細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項9】
該標的細胞が癌細胞である、請求項8の方法。
【請求項10】
該標的細胞が膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、中枢神経系の癌、結腸癌、頭頸部癌、白血病、肝癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、または腎癌細胞である、請求項8の方法。
【請求項11】
請求項1の化合物の治療上の有効量を、過剰増殖性疾患に罹患している患者に投与することを特徴とする、過剰増殖性疾患の治療方法。
【請求項12】
該過剰増殖性疾患が癌である、請求項11の方法。
【請求項13】
該過剰増殖性疾患が膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、中枢神経系の癌、結腸癌、頭頸部癌、白血病、肝癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、または腎癌である、請求項11の方法。
【請求項14】
過剰増殖性疾患を治療する薬物の製造のための、請求項1の化合物の使用。
【請求項15】
請求項1の化合物および賦形剤を含む、医薬製剤。
【請求項16】
請求項1の化合物の阻害量を細胞に接触させることを特徴とする、CRM1媒介性プロセスによって細胞核からのプロテインの外への輸送を阻害する方法。
【請求項17】
式(IV):
【化8】

によって表される構造を有する化合物。

【公表番号】特表2010−519337(P2010−519337A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551992(P2009−551992)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/002309
【国際公開番号】WO2008/106047
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(500017830)コーサン バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】