説明

カードコネクタ

【課題】カードの挿抜に対して十分な耐久性を有し、安定した電気的接続を行うことができるとともに、小型化且つ低背化を図ること。
【解決手段】カードコネクタ100の天板部104にコンタクト130が配設されている。コンタクト130は、ハウジング140の上面部142内に挿入方向に沿って埋設されるとともに、カード挿入口102側の部位と、カード挿入口102側よりも挿入方向側に位置する部位とを上面部142の厚み方向にずらす段差部135を有する架設片部132と、架設片部132から分岐してなりメモリカード20の電極21と接触する接触片部134とを有する。上面部142は、架設片部132の形状に沿って形成されている。上面部142において段差部135より挿入方向側の上面部分142cに、段差部135よりカード挿入口102側の上面部分142bの外面と外面を略面一としたプレート150の後側被覆板152を積層する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入されたメモリカードを装着位置で保持して、当該メモリカードの電極に電気的に接続されるカードコネクタに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ機能付き携帯電話或いはデジタルカメラで撮像された画像データを記憶する記録媒体、携帯型音楽再生機で再生される音楽デジタルデータを記憶する記録媒体、或いは、作成した文章データを記憶する記憶媒体として、カード型のメモリカードが知られている。
【0003】
メモリカードは、一般的に、外観が矩形薄板形状に形成された小型の樹脂製パッケージの内部に読み書き自在な半導体メモリ(RAM)が収容されるともに、パッケージにおける一方の裏面の端部に電気的に接続される複数の電極が並設されてなる。
【0004】
メモリカードは、種類毎に決められた寸法、形状に形成され、デジタルカメラ、携帯型音楽再生機、ノート型パソコン、携帯電話機等の装着される電子機器には、メモリカードの種類毎の寸法、形状に対応したカードコネクタを介して装着される。
【0005】
一般にカードコネクタは、例えば、特許文献1に示すように、樹脂製のハウジングにシールドカバーを被せることで、平板状をなし、前面側に形成されたカード挿入口に連通するカード挿入空間を形成している。
【0006】
ハウジングは、絶縁性を確保するために樹脂により形成され、カード挿入空間を底面側で仕切り、挿入方向端部に、挿入されるカードの電極に接触する端子が配設された板状の底面部と、カード挿抜方向に沿って底面部の両側部から立ち上がるハウジング側壁部と、挿入方向側の端部を閉塞する後壁部とを有している。カバーは、ハウジング全体を覆って静電対策を施すために、金属板によって、ハウジングのシールドカバーは、カード挿入空間の上面側を仕切る板状のカバー上板部と、ハウジング側壁部を覆う左右側壁とが一体形成されてなる。また、このカードコネクタは、プッシュインプッシュアウト式のロック機構を備えるコネクタであり、接触端子群の左右の一側部側に、ロック機構の一部であるスライダが前後方向に摺動自在に配設されている。このロック機構では、カードを挿入方向に押圧すると、カードに係合したスライダを移動させてカードをカード装着位置で保持し、再度カードを挿入方向に押圧するとスライダは保持状態を解除して抜脱方向に移動することによって、カードを押して抜脱方向に排出する。
【0007】
ところで、カードコネクタでは、上述のように、接点を設けた面を下向き(ハウジング側)にして挿入する「ノーマルタイプ」と、接点を設けた面を上向き(シールドカバー側)にして挿入する「リバースタイプ」とが知られている。
【0008】
図7は、従来のリバースタイプの構成を模式的に示す要部断面図である。
【0009】
図7に示すように、リバースタイプのカードコネクタ1は、前面側にカード挿入口2を有し、カード挿入口2から、接点が形成された面20aを上向きにしたメモリカードが挿入される。カードコネクタ1は、矩形板状の上板部3aの両側辺から垂下された両側壁部を備えるハウジングに、シールドカバーを被せることで形成され、両側壁部の下辺部には、直交して配置され、上板部3aと対向するリブ3cが設けられている。
【0010】
このリブ3cによって、接点が形成された面20aとは逆側の面を両側方から支持する。ハウジング3は絶縁部材である樹脂により形成され、挿入されるカード20において接点が配設された面20aと対向する上板部3aには、カード20の電極に接触する端子5が配設されている。
【0011】
ここでは、端子5は、ハウジング3の上板部3aの延在方向に沿って埋設されており、挿入されるカード20の接点側の面を覆うカードコネクタ1自体の上面部1aは、下側から樹脂層3a、端子層5、樹脂層3a及びシールドカバー層4により形成されている。
【特許文献1】特開2002−184525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、電子部品の小型薄型化に伴い、カードコネクタ自体の小型化、且つ低背化が望まれており、図7に示すリバースタイプのカードコネクタ1の構造においても、カード20の挿抜に対して十分な耐久性を有し、安定した電気的接続を行うことができる前提において更なる低背化が望まれている。
【0013】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、カードの挿抜に対して十分な耐久性を有し、安定した電気的接続を行うことができるとともに、小型化且つ低背化を図ることができるカードコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のカードコネクタは、カード挿入口を介して挿入されるメモリカードを収容し、収容した前記メモリカードにおいて接続端子が配設された面に対向する天板部と、前記天板部に配設され、収容された前記メモリカードの前記接続端子に接続するコンタクトとを有するカードコネクタであって、挿入方向に沿って延在し、前記メモリカードの一方の面に対向する面状の上面部と、前記上面部から所定間隔をあけて垂下され前記メモリカードの両側面のそれぞれを囲むように配置される両側壁部とを有し、前記上面部及び両側部で前記メモリカードを収容する樹脂製のハウジングと、前記ハウジングに取り付けられるシールドカバーとを備え、前記コンタクトは、前記ハウジングの上面部内に前記挿入方向に沿って埋設されるとともに、カード挿入口側の部位と、前記カード挿入口側よりも挿入方向側に位置する部位とを前記上面部の厚み方向にずらす段差部を有する固定片部と、前記固定片部から分岐して挿入方向に且つカードの収容領域側に突出して形成され、前記接続端子と接触する接触片部とを有し、前記上面部は、前記固定片部の形状に沿って形成され、前記天板部は、前記上面部において、前記段差部よりカード挿入口側の上面部分及び前記段差部より挿入方向側の上面部分のうち、前記段差部より挿入方向側に位置する一方の上面部分に、他方の上面部分の外面と外面を略面一とした前記シールドカバーの被覆板部を積層してなる構成を採る。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カードの挿抜に対して十分な耐久性を有し、安定した電気的接続を行うことができるとともに、小型化且つ低背化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係るカードコネクタの構成を示す図であり、図1はカードコネクタを上方からみた斜視図、図2は同カードコネクタを下方からみた斜視図である。
【0018】
図1及び図2に示すメモリカードコネクタ100は、プッシュインプッシュアウト(「プッシュ(ロック)/プッシュ(イジェクト)」ともいう)式イジェクト機構110を有するカードコネクタ100であり、ICチップを内蔵するメモリカードを装填して使用される。
【0019】
図3はカードコネクタに装着されるメモリカードの平面図である。
【0020】
図3に示すメモリカード20は、略矩形板状をなし、一方の面(ここでは便宜上裏面とする)の先端部分に電極21が挿入方向と直交する方向に一列に並べて配置されている。また、メモリカード20において長手方向に沿って延在する両側面には、それぞれ表面側を突出させて薄肉部が形成され、薄肉部のうちの一側面部22には、イジェクト機構110のスライダ111に係脱自在な凹状の切り欠き部23が形成されている。このメモリカード20は、一般的に、データの消去・書き込みを自由に行なうことができ、電極21は、内蔵され、電源を切っても内容が消えないフラッシュメモリ(Flash Memory)に接続されている。
【0021】
図1及び図2に示すカードコネクタ100は、平面視略矩形状の扁平な板状をなし、一側面(前面)側に形成されたカード挿入口102から挿入されるメモリカード20(図3参照)を収容する収容部(カード装着領域)103と、収容部103の側方に配置され、カード挿入口102から収容部103内に挿入されるカード20(図3参照)をロック及び排出するイジェクト機構110とを備える。
【0022】
なお、メモリカード20は、種類ごとに決められた寸法、形状に形成されているため、本実施の形態のメモリカードコネクタ100は、使用されるメモリカードの寸法、形状に対応しているものとする。なお、このメモリカードとしては、PCカード,コンパクトフラッシュ(登録商標)カード,スマートメディア(登録商標)、SDカード(Secure Digital memory card)(登録商標)、メモリースティック(登録商標)等が挙げられる。また、メモリカードは、自由にデータの読み書きが行えるものであるが、複写が自由にできないものであってもよい。
【0023】
具体的に、カードコネクタ100は、メモリカード側の電極21に接触するコンタクト130を有するハウジング140に、上方からシールドカバーであるシールドプレート(以下、「プレート」という)150を被せることで形成されている。
【0024】
図2に示すようにハウジング140は、挿入されるメモリカード20の接点(電極)21を有する面(図3に示す表面20bと反対側の裏面)20aに対向して配置され、接点21を有する面を被覆する上面部142と、上面部142の一側方側に沿って配置され、イジェクト機構110の底面部分を形成する機構底面部143と、上面部142の他側辺部から垂直に立ち下がり、収容部103を他側面側で仕切る側壁部144と、上面部142の後端辺部から垂直に立ち下がり、収容部103を後端側で仕切る後壁部145とを有する。すなわち、ハウジング140は、挿入方向に沿って延在し、メモリカード20の一方の面20aに対向する面状の上面部142と、上面部142から所定間隔をあけて垂下されメモリカード20の両側面のそれぞれを囲むように配置される両側壁部(側壁部144とイジェクト機構110の内壁部分)とで、メモリカード20を収容する。
【0025】
図4は、図1に示すカードコネクタにおいてプレート150を外した状態を示す図である。
【0026】
ハウジング140は、樹脂等の絶縁材料から形成され、上面部142と、側壁部144と、当該側壁部144の内壁面と幅方向で対向するイジェクト機構110の内側面とで、正面視略コ字をなし、これら上面部142、側壁部144、イジェクト機構110で収容部103の上面及び両側面を画成している。
【0027】
図4に示すように、ハウジング140の収容部103の側方に配置するイジェクト機構110は、ハウジング140の機構底面部143上に配置されるスライダ111、ハートカム溝113及びロックピン115を、上方からプレート150で覆うことで形成される。
【0028】
スライダ111は、挿入方向に移動自在で且つ、カード挿入口102近傍では、収容部103側から離間する方向に揺動可能に配置されており、付勢部材である圧縮コイルバネ112によりカード挿入口102側に付勢されている。
【0029】
スライダ111は、上面部142下方の収容部103内に突出する爪部111aを有し、この爪部111aは、カード挿入口102から挿入されるメモリカード20の切り欠き部23に係合する。
【0030】
なお、爪部111aは、カード挿入口102近傍において、スライダ111自体が収容部103側から離間する方向に揺動した際に、収容部103内から後退する。
【0031】
また、機構底面部143において、スライダ111の移動領域よりも挿入方向側(奥側に相当し、コネクタの後端側)には、ハートカム溝113が形成されている。スライダ111にはロックピン114の一端部が回動自在に取り付けられている。ロックピン115は、スライダ111から後方に延在して配置され、その他端部はハートカム溝113内に摺動自在に配置されている。
【0032】
スライダ111は、プレート150のスライダ押圧片1513によりハウジング140の機構底面部143側に押圧されつつ、挿入方向に移動自在となっている。また、ロックピン114は、ロックピン押圧片1514により他端部がハートカム溝113から離脱せずに摺動するようにハートカム溝113側に押圧されている。なお、圧縮コイルバネ112は、スライダ111と後壁部145(図2参照)間に架設されている。
【0033】
このように構成されたイジェクト機構110は、従来のものと同様に機能する。つまり、挿入されるメモリカードに爪部111aが係合して挿入方向に押圧されると、スライダ111は、圧縮コイルバネ112に抗して奥側に移動し、ロックピン115はハートカム溝113のストレート部を通ってロック部に係合する。再びスライダ111が挿入方向側に押圧されると、ロック部から開放されて、ストレート部とは逆側の溝部を通って移動開始位置に移動する。これによりスライダ111のロック状態は解除されて、圧縮コイルバネ112によりカード挿入口102側に移動して、メモリカードを排出位置に移動させる。
【0034】
また、一側方にイジェクト機構110の機構底面部143を有するハウジング140では、板状の上面部142に中央部分に開口部142aが形成されている。この開口部142aは、挿入方向でそれぞれ高さレベルが異なる前端側の上面部分142bと後端側の上面部分142cとで囲まれてなる。
【0035】
前端側の上面部分142bと後端側の上面部分142cでは、互いに対向する方向(挿抜方向)に向かって突出する突出片どうしが連続しており、この連続する突出片どうしで開口部142aの両側辺部を画成している。これら突出片どうしの接合部分に、挿入方向と直交する方向に段差が形成され、この段差を境界にして前端側の上面部分142bと後端側の上面部分142cとで高さレベルがずれている。これにより前端側の上面部分142bと後端側の上面部分142cは、互いに高さが異なる平面領域に配置された状態となっている。ここでは、後端側の上面部分142cが、前端側の上面部分142bよりも高さレベルを低くしている。
【0036】
後端側の上面部分142cは、上面部140においてコンタクト130の接点が配置される部分よりも挿入方向側の部分であり、前端側の上面部分142bよりもカードコネクタ100の厚み方向で収容部103側に近くなっている。後端側の上面部分142cは前端側の上面部分142bの厚みよりも薄く、側面視して上面部142は、後端側の上面部分142cで窪んだ形状となっている。なお、この窪み部分にプレート150の後側被覆板152が積層した状態で被せられている。
【0037】
上面部142の開口部142a内には、開口部142aを仕切る前端側開口辺部142dから後端側開口辺部142eに渡ってコンタクト130が架設されている。
【0038】
コンタクト130は、弾性変形可能な導電性を有する部材により形成され、前端側から後端側に向かって分岐して延在するように配設され、前端側から後端側に開口部内を架設するように配設された架設片部(固定片部)132と、先端部分でメモリカード20の電極21と接触する接触片部134とを有する。
【0039】
ここでは、コンタクト130は、上面部142に埋設された導電製の板材(ここでは板金)を加工することにより形成されている。板金は、ハウジングにインサート成形により成形され、これにより上面部142は、板金の表裏面に極薄の樹脂層を形成してなる構成となっている。
【0040】
上面部142の前端側の上面部分142bに配設されたコンタクト130の前端側の部位は、左右方向で隣り合う他のコンタクト130における前端部側の部位とは絶縁された状態で配置されている。
【0041】
図5は本実施の形態に係るカードコネクタのコンタクトを示す要部側断面図である。
【0042】
図1、図2及び図5に示すように、コンタクト130の架設片部132は、開口部142a内における中途部分に段差部(Z型に屈曲したZ曲げ部)135を有し、この段差部135を挟み前端部側と後端部側とで位置する水平面が上下(厚さ方向)にずれている。
【0043】
段差部135は、上面部140において前端側の上面部分142bと後端側の上面部分142cとの境界の段差に対応して形成され、架設片部132において上面部142の段差に幅方向で並ぶ位置に形成されている。
【0044】
これにより、コンタクト130は、段差部135によって上面部142において、位置する高さレベルが異なる前端側の上面部分142b及び後端側の上面部分142cの表裏面にそれぞれ対応した状態で設けられている。
【0045】
コンタクト130では、架設片部132の端部(コネクタの後端側の端部)132aは、後壁部145内を通るように折曲され、後壁部145の外面から後方に突出するリード130bにそれぞれ接続されている。このリード部130bは、カードコネクタ100が基板に実装された際に、対応する基板の配線パターンに各々接続される。
【0046】
このようにコンタクト130は、リード部130bから後壁部145、上面部142の後端側の上面部分142cを通って開口部142a間に架設されている。この開口部142a内ではコンタクト130は、開口部142aの前端部側で折り返されて後端側に、架設片部132から離間する方向に傾斜して延びる先端部分の接触片部134の先端部分でメモリカード20の電極21に接続される。
【0047】
コンタクト130では、ハウジング140の上面部142内に、架設片部132が、挿入方向に沿って埋設されている。架設片部132は、カード挿入口側の部位と、カード挿入口側よりも挿入方向側に位置する部位とを上面部142の厚み方向にずらす段差部135を有している。また、接触片部134は架設片部132から分岐して挿入方向に且つ収容部103側に突出して形成され、電極(接続端子)21と接触する。
【0048】
このコンタクト130の架設片部132の形状に沿って上面部142は形成され、上面部142は、前面側の外縁142f(図1参照)に形成された掛止部136によって、プレート150のカバー上板部121における前側被覆板154に固定されている。
【0049】
掛止部136は、上面部142に、前面側の外縁142f(図1参照)から前方(カード排出方向)に突出して設けられ、ここでは、コンタクト130を形成する板金において、カード挿入口102側に配置される部分の一部を加工することで形成されている。このため、掛止部136は、インサート成形によってハウジングの上面部142に一体的に形成されている。
【0050】
ここでは、掛止部136は、上面部142の前側外縁から排出方向(前側に相当)に上面部142に沿って延出された板状をなす2つの板状突出片136a及び爪片部136bを有する。板状突出片136aは、幅方向に離間して並べて配置され、前側被覆板154の裏面に当接する。爪片部136bは、板状突出片136a間から排出方向に向かって延出され、表面側に折曲してなる段差によって、前側被覆板154において開口部155を仕切る挿入方向側の縁部で、挿入方向側に延び出るように形成された被掛止片154aの表面に当接する。
【0051】
爪片部136bを被掛止片154aに係合するとともに、板状突出片136aを前側被覆板154の所定部分に係合させることによって、掛止部136は、プレート150の前側被覆板部154を厚み方向で挟持している。この掛止部136によって、上面部142は、プレート150のカバー上板部151に形成された開口部155内に、当該カバー上板部151と略同一平面上で固定されている。
【0052】
図1及び図2に示すようにプレート150は、導電性を有し、ここでは金属板に折曲等の加工を施すことにより形成され、平面視略矩形状をなし、ハウジング140の上面部142の外面を覆うカバー上板部151と、カバー上板部151の両側辺部を直交するように折曲してなる側板部156、157とを有する。
【0053】
カバー上板部151は、収容部103上に配置されるとともに機構底面部143を上方から覆う。また、側板部156、157は、カバー上板部151の両側辺部から垂下して形成され、ハウジング120の側壁部144の外面及びイジェクト機構110の外面を被覆する。
【0054】
図2に示すようにプレート150の側板部157の下辺部には、側壁部144の底面に沿って、コネクタの内側に折曲されてなるリブ158が形成されている。このリブ158は、収容部103の下方に延び出して、ハウジング140の側壁部144の内側から突出し、ハウジングの上面部142と対向している。
【0055】
また、このリブ158は、幅方向で対向する機構底面部143の下面から突出するリブ162とともに、カードコネクタ100に対して表裏逆に収容部103内に挿入されるメモリカード20の表面20bを両側方向から支持する。
【0056】
プレート150のカバー上板部151において収容部103と重なる領域の中央部分、つまり、幅方向に離間して配置される後側被覆板152及び前側被覆板154間には、開口部155が形成されている。この開口部155内に、ハウジング140の上面部142の前端側部分142b及び開口部142aが配設されている。
【0057】
このようにプレート150は、後側被覆板152を、ハウジングの上面部142における後端側の上面部分142c上に被せるとともに、開口部155内に、掛止部136を前側被覆板154に掛止させたハウジング140の上面部142を、前端側の上面部分142b及び上面部142の開口部142a内のコンタクト130を位置させた状態で取り付けている。
【0058】
このプレート150の上板部151には、イジェクト機構110を覆う部位に、イジェクト機構110内部で挿入方向に移動自在に配置されたスライダ111を底面側に押圧して上下方向の移動を規制するスライダ押圧片1513と、スライダ111に追従して移動するロックピン115がハートカム溝113から抜けることを防止するロックピン押圧片1514とが形成されている。
【0059】
これらスライダ押圧片1513とロックピン押圧片1514とは、弾性変形する部材によりプレート150に一体的に形成されている。ここでは、スライダ押圧片1513及びロックピン押圧片1514は、板金を加工してなるプレート150のカバー上板部151の一部を、下方に突出させて板バネとして加工することによって形成している。これらスライダ押圧片1513とロックピン押圧片1514は、イジェクト機構110のスライダ111及びロックピンの挿入方向と直交する方向(ここでは上下方向)の移動を規制する。
【0060】
このようにプレート150にスライダ押圧片1513とロックピン押圧片151が一体的に形成されているため、プレート150の厚みは、スライダ押圧片1513とロックピン押圧片1514の機能を有する所定の厚みを有する。
【0061】
なお、プレート150は、コネクタとメモリカード間を流れる信号の動作周波数によって生じる他部品或いは電子機器近傍の他機器に対する電磁妨害(EMI、Electro Magnetic Interference)となる電磁ノイズを防止する。
【0062】
このように、本実施の形態のカードコネクタ100は、カード挿入口102となる前面側に加えて、基板に実装される面側に開口する収容部103を有し、基板に実装される面とは逆側の面(実装された際の上面)に、メモリカード20の電極21に接触するコンタクト130を設けたリバースタイプのコネクタである。つまり、カードコネクタ100では、天板部104は、内部の収容部103にカード挿入口102から挿入されるメモリカード20の電極21を有する面に対向して配置される。
【0063】
コネクタ100の天板部104は、前面側(カード挿入口102側)から後面側に向かって、前側被覆板(カード挿入口側被覆板部)154、コンタクト130がインサートされたハウジング140の上面部142、及び、上面部142における後端側の上面部分142c上に積層された後側被覆板(被覆板部)152からなる。
【0064】
すなわち、天板部104は、上面部142において、段差部135よりカード挿入口側の上面部分142b及び段差部135より挿入方向側の上面部分142cのうち段差部135よりも挿入方向側に位置する一方の上面部分142cに、他方の上面部分142bの外面と外面を略面一としたシールドプレート150の後側被覆板152を積層してなる。
【0065】
また、天板部104は、プレート150の後側被覆板154とともに、後側被覆板152よりも抜脱方向側で開口部155を挟む位置に配置され、カード挿入口102の上辺部を仕切るとともにハウジング140の両側壁部上に架設されたプレート150の前側被覆板(カード挿入口側被覆板部)154を有する。
【0066】
これにより、ハウジング140の上面部142におけるカード挿入口102側の上面部分(前端側の上面部分)142bは、収容部103に対して高さ方向に、段差部135より挿入方向側の上面部分(後端側の上面部分)142cよりも後退する。また、上面部142において前端側の上面部分142bは、前側被覆板154に挿入方向側で隣接して配置されている。この前側被覆板154は、上面部142における前側の上面部分142bと略同一平面上に配置されるとともに、当該上面部分142bを固定している。
【0067】
上面部142では、前端側の上面部分142bが前側被覆板154と略同一平面状に配置され、前端側の上面部分142bの表面(外面)は、前側被覆板154の表面(外面)と略同一平面上に位置している。
【0068】
この前端側の上面部分142bは、プレート150の前側被覆板154に、コンタクト130とともにインサート板金としてインサート成形された掛止部136を挿入方向(ここでは水平方向)に嵌合させることによって固定されている。なお、ハウジング140の上面部142に埋設される各金属部材(例えば、コンタクト130、コンタクト130のうち上面部142に沿って配置され上面部142自体を補強するコンタクト及び掛止部136等)は、所定形状に加工された一枚のインサート品としてインサート板金によって形成されている。これにより樹脂製の上面部142に、上面部142とは別部材の金属部材を後工程で各々埋め込む手間を省くことができ、更に、上面部142自体の強度を向上させつつ上面部142の厚みを薄くできる。
【0069】
つまり、上面部142における前端側の上面部分142bは、インサート板金によって補強され、掛止部136を介して、前側被覆板154に支持されることによって配置されている。この構成では、インサート板金とともに一体成形された際の前端側の上面部分142bにおける樹脂部分の厚みを従来のコネクタと同様の部分の厚みよりも厚くし、従来のコネクタで同様の部分に積層されたシールドカバーを省略している。
【0070】
つまり、カードコネクタ100では、前端側の上面部分142bは、上面にプレート150を積層することなく、従来と比較して、その厚みを薄くして、カード挿入時にコンタクト130との接続の際に加わる荷重に対する強度を確保している。
【0071】
また、上面部142の後端側の上面部分142cは、前端側の上面部分142bよりも高さレベルが低く、積層される後側被覆板152により補強されるとともに、コンタクト130、掛止部136等としてインサート成形された板金を介して前側被覆板154に支持されている。
【0072】
このように構成されたカードコネクタ100の上面部分を、従来のカードコネクタの上面部分と比較して説明する。
【0073】
図6は本実施の形態に係るメモリカードコネクタの要部構成を模式的に示す断面図である。
【0074】
従来のリバースタイプコネクタにおける上面部分の構造は、前面側から後面側全ての部位を、収容部側から順に、樹脂層、コンタクト層、樹脂層及びプレート(シールドカバー)層によって形成されている(図7参照)。つまり、従来のカードコネクタでは、コンタクトやプレートの上面部は平面状、言い換えれば、それぞれ断面視所定厚を有する直線状であり、組み立てた際の各々の部材における厚み寸法の総和がコネクタ自体の厚みAとなっている。従来の構成では、収容部の上面を仕切る上面部分では、ハウジングの上面部の上方から、その全面を覆うようにプレートを取り付けている。この構成により、収容部を上面側で仕切る上面部に、上面部に埋設されたコンタクトが、挿入されたメモリカードのパットとの接触により受ける応力に耐えうる強度(接触硬度)が確保されていた。
【0075】
これに対して、図6に示す本実施の形態に係るカードコネクタ100における上面部分の構成、つまり、収容部103の天板部104の構成は、挿入方向で離間する位置で、異なる断面形状となっている。
【0076】
具体的には、カードコネクタ100の天板部104を構成する上面部142では、インサート成形によって開口部142a内で挿入方向に延在して配設されたコンタクト130の途中に段差部135が形成されており、開口部142aを挟み前端側(カード挿入口側)と後端側とで上下方向にずれている。
【0077】
つまり、樹脂製のハウジング140の上面部142は、インサート成形された段差部135を有するコンタクト130によって、前端側の上面部分142b及び後端側の上面部分142cとで高さ(高さレベル)が異なっている。
【0078】
このように前端側の上面部分142b及び後端側の上面部分142cとで高さ(高さレベル)が異なる上面部142に対してプレート150が取り付けられている。
【0079】
プレート150は、ハウジング140に対して、カバー上板部151の開口部155(図1参照)内に、前端側の上面部分142bを位置させ、掛止部136を前側被覆板154に掛止させて前側辺部を固定しつつ、後端側の上面部分142c上に後側被覆板152を重ねることで取り付ける。
【0080】
これにより、図6に示すように、コンタクト130、樹脂層及びプレート(シールドカバー)層のすべてを必要としない前端側の部分(上面部142において前端側の上面部分142bが位置する部分)104bは、コンタクト130がインサートされた樹脂層のみにより形成されている。これは、コンタクトを有する樹脂層をプレート150で被覆してなるカードコネクタの天板部における前端側(カード挿入口102側)の部分を、コンタクト130となる板金をインサート成形してなるハウジングの上面部142のみで、その強度を確保できることに起因する。つまり、コネクタ100では、天板部104の前端側(カード挿入口102側)の部分は、従来と異なり、コンタクト130をインサート成形したハウジング140と、プレート150とがコネクタの厚み方向に重なることなく形成されている。
【0081】
このようにコンタクト130となるインサート板金がインサートされた樹脂層からなる上面部142の前端側の上面部分142bは、カード挿入口102の縁部を形成する板金製の前側被覆板154に略同一平面上で隣接し、掛止部136で掛止されることで、プレート150に安定的に固定されている(図5参照)。
【0082】
また、図6に示すように、メモリカードとの接点部部分よりも前側(挿入方向側)の部分104cは、コンタクト130の板金がインサートされた樹脂層(前側の上面部分142c)及び当該樹脂層上のプレート層(後側被覆板152)の層により形成される。
【0083】
具体的には、コネクタの後端部分104cでは、プレート150の後側被覆板152により被覆される後端側の上面部分142cが、段差部135によって、前端側の上面部分142bの樹脂層よりも高さレベルが低くなっている。このため後端側の上面部分142cは、前端側の上面部分142bよりも収容部103側に位置している。この後端側の上面部分142c上に後側被覆板152が、その表面を、上面部142の前端側の上面部分142bと略同一平面上に位置させた状態で積層されている。
【0084】
これにより本実施の形態のカードコネクタ100は、メモリカード20を収容する収容部103の前端側の高さC及び後端側の高さDを従来のコネクタ1(図7参照)と同様に確保しつつ、コネクタの厚みBを、従来のコネクタ1の厚みAよりも薄くできる。
【0085】
よって、本実施の形態のカードコネクタ100は、従来構成ではデッドスペースであった天板部104における挿入方向側の部分(上面部142の後端側の上面部分142c)の裏面と対向する部分を有効利用しつつ、必要なクリアランスを確保して、コネクタ自体の低背化を図ることができる。またカードコネクタ100では、コンタクト130は、後壁部145側から突出させることなく、天板部104となるハウジング140の上面部142にインサート成形によって形成している。これにより、後壁部145にコンタクト130を固定する構造にする必要がなく、その分の前後方向の厚みを削減することができる。
【0086】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。なお、上記本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、種々の改変をなすことができ、そして本発明が該改変させたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係るカードコネクタは、カードの挿抜に対して十分な耐久性を有し、安定した電気的接続を行うことができるとともに、小型化且つ低背化を図ることができる効果を有し、特に、メモリカードの接点を有する面を天板側にして挿入されるリバースタイプのメモリカード用コネクタとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタの構成を示す図
【図2】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタの構成を示す図
【図3】同カードコネクタに装着されるメモリカードの平面図
【図4】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいてプレートを外したハウジングの平面図
【図5】本実施の形態に係るカードコネクタのコンタクトを示す要部側断面図
【図6】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタの上面部分の構成を模式的に示す側断面図
【図7】従来のカードコネクタの構成を模式的に示す断面図
【符号の説明】
【0089】
20 メモリカード
100 カードコネクタ
102 カード挿入口
103 収容部
104 天板部
110 イジェクト機構
130 コンタクト
135 段差部
140 ハウジング
142 上面部
142b 前端側の上面部分
142c 後端側の上面部分
150 プレート
152 プレートの後側被覆板
154 プレートの前側被覆板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード挿入口を介して挿入されるメモリカードを収容し、収容した前記メモリカードにおいて接続端子が配設された面に対向する天板部と、前記天板部に配設され、収容された前記メモリカードの前記接続端子に接続するコンタクトとを有するカードコネクタであって、
挿入方向に沿って延在し、前記メモリカードの一方の面に対向する面状の上面部と、前記上面部から所定間隔をあけて垂下され前記メモリカードの両側面のそれぞれを囲むように配置される両側壁部とを有し、前記上面部及び両側部で前記メモリカードを収容する樹脂製のハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられるシールドカバーとを備え、
前記コンタクトは、前記ハウジングの上面部内に前記挿入方向に沿って埋設され、カード挿入口側の部位と、前記カード挿入口側よりも挿入方向側に位置する部位とを前記上面部の厚み方向にずらす段差部を有する固定片部と、
前記固定片部から分岐して挿入方向に且つカードの収容領域側に突出して形成され、前記接続端子と接触する接触片部とを有し、
前記上面部は、前記固定片部の形状に沿って形成され、
前記天板部は、前記上面部において、前記段差部よりカード挿入口側の上面部分及び前記段差部より挿入方向側の上面部分のうち、前記段差部より挿入方向側に位置する一方の上面部分に、他方の上面部分の外面と外面を略面一とした前記シールドカバーの被覆板部を積層してなるカードコネクタ。
【請求項2】
前記コンタクトの固定片部は、前記上面部にインサート成形により設けられている請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項3】
前記シールドカバーは、前記天板部において前記カード挿入口の上辺部を仕切るとともに前記ハウジングの両側壁部上に架設されたカード挿入口側被覆板部を有し、
前記ハウジングの上面部における前記カード挿入口側の上面部分は、前記収容部に対して、前記段差部より挿入方向側の上面部分よりも後退するとともに、前記カード挿入口側被覆板部に挿入方向側で隣接して配置され、
前記カード挿入口側被覆板部は、前記上面部における前記カード挿入口側の上面部分と略同一平面上に配置されるとともに、当該カード挿入口側の上面部分が固定されている請求項1記載のカードコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−199837(P2009−199837A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39366(P2008−39366)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】