説明

カードコネクタ

【課題】樹脂製のハウジングの強度を確保した状態で、薄肉化を図り、小型化及び低背化を図ること。
【解決手段】樹脂製のハウジング140にプレート150を被せて、カード挿入口102と、カード挿入口102から挿入されるメモリカードを収容する収容部103とを形成する。ハウジング140の上面部142は、収容部103に収容されたメモリカード20において電極21が配設された一方の面20aに対向して配置され、メモリカード20の電極21に電気的に接続されるコンタクト130がインサート成形によって配設されている。ハウジング140は、上面部142から突出して設けられ、メモリカードの挿入方向に沿って延在し、収容部103を仕切るカム側壁部146に、上面部142内に埋設された金属製の板状の埋設部163に直交して連続する金属製の補強板160を埋設している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入されたメモリカードを装着位置で保持して、当該メモリカードの電極に電気的に接続されるカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ機能付き携帯電話或いはデジタルカメラで撮像された画像データを記憶する記録媒体、携帯型音楽再生機で再生される音楽デジタルデータを記憶する記録媒体、或いは、作成した文章データを記憶する記憶媒体として、カード型のメモリカードが知られている。
【0003】
メモリカードは、一般的に、外観が矩形薄板形状に形成された小型の樹脂製パッケージの内部に読み書き自在な半導体メモリ(RAM)が収容されるともに、パッケージにおける一方の裏面の端部に電気的に接続される複数の板状の電極(パッド)が並設されてなる。
【0004】
メモリカードは、種類毎に決められた寸法、形状に形成され、デジタルカメラ、携帯型音楽再生機、ノート型パソコン、携帯電話機等の装着される電子機器には、メモリカードの種類毎の寸法、形状に対応したカードコネクタを介して装着される。
【0005】
メモリカードコネクタとしては、例えば、特許文献1に示すように、先端側の一側辺部に切り欠き部が形成されたメモリーカードを装着するプッシュプッシュイジェクト(プッシュインプッシュアウト)タイプのメモリカードコネクタが知られている。
【0006】
このカードコネクタは、メモリカードが挿入されるカード挿入口を前面側に有し、内部に、カード挿入口から挿入されたメモリカードを収容する収容部を備える扁平の箱状をなすコネクタ本体を備える。このコネクタ本体は、板状をなし、収容するメモリカードのパットに接触する端子が配設された底板部、底板部の両辺部から立ち上がる両側壁部及び底板部の後端辺部から立ち上がり後端側を閉塞する後壁部を有する樹脂製のハウジングと、ハウジングを上方から覆うシールドカバーとにより形成される。
【0007】
また、このカードコネクタは、シールドカバーの上面部の下方で、且つ、カードの挿入方向に沿うハウジング内の一側に、カード挿抜方向に移動自在に配置され、カードの切り欠き部に係合する張り出し部を有するスライド部材を備える。このスライド部材は、圧縮バネ等の付勢部材により抜脱方向に付勢されるとともに、挿抜方向への移動の際にハートカム溝により案内されるように構成される。ハートカム溝は、スライド部材又はハウジングの一方に形成され、ハートカム溝と他方とは、ハートカム溝内を摺動するロックピンにより連結されている。この構成によって、カードコネクタでは、カードをカード挿入口から挿入すると、スライド部材の張り出し部に、カードの切り欠き部が係合して、スライド部材はカードにより押し込まれ、ハートカム溝に案内されつつ挿入方向に移動する。スライダ部材が、カードの装着位置まで移動すると、カードはコネクタに装着位置で保持される。次いで、コネクタに装着されたカードを再び挿入方向に押圧すると、スライダはハートカム溝におけるカードの装着位置から離脱して、カードの保持状態を解除し、ハートカム溝に案内されて抜脱方向に移動する。これにより、スライダはカードを抜脱方向に押し出して排出する。
【特許文献1】特開2005−100836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、電子部品の小型薄型化に伴い、カードコネクタ自体の小型化、且つ低背化が望まれている。この場合、上記構成のカードコネクタの構造では、シールドカバーにより被覆されるハウジング自体の底板部及び底板部か立ち上がる各壁部の厚みを薄肉にして小型化することが考えられる。
【0009】
しかしながら、上記構造のハウジングにおいて底板部の薄肉化を図ることに加えて、ハウジングの内部において、底板部から立ち上がる各壁部を含むカードの収容領域を仕切る部材を薄肉化してハウジングの幅方向の長さを更に短くしようとする場合、メモリカードを収容するハウジング自体としての強度確保が困難になるという懸念がある。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、樹脂製のハウジングの強度を確保した状態で、薄肉化を図り、小型化及び低背化を図ることができるカードコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のカードコネクタは、樹脂製のハウジングにシールドカバーを被せて、カード挿入口と、前記カード挿入口から挿入されるメモリカードを収容する収容部とを有するコネクタ本体が形成されたカードコネクタであって、前記ハウジングは、前記収容部に収容されたメモリカードにおいて面上接続端子が配設された一方の面に対向して配置されるとともに、前記メモリカードの前記面上接続端子に電気的に接続されるコンタクトがインサート成形によって配設された板状部と、前記板状部から突出して設けられ、前記メモリカードの挿入方向に沿って延在し、前記収容部を仕切る仕切壁部とを備え、前記仕切壁部には、前記板状部内に埋設された金属製の板状の埋設部に直交して連続するとともに、当該仕切壁部の延在方向に沿って金属製の補強板が埋設されている構成を採る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自身の強度を確保した状態で、樹脂製のハウジングの薄肉化を図り、小型化及び低背化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係るカードコネクタの構成を示す図であり、カードコネクタを上方からみた斜視図、図2は、同カードコネクタを下方からみた斜視図である。
【0015】
図1及び図2に示すカードコネクタ100は、プッシュインプッシュアウト(「プッシュ(ロック)/プッシュ(イジェクト)」ともいう)式イジェクト機構110を有するカードコネクタ100であり、ICチップを内蔵するメモリカードを装填して使用される。また、本実施の形態のカードコネクタ100は、カード挿入口102となる前面側に加えて、基板に実装される面側に開口する収容部103を有し、基板に実装される面とは逆側の面(実装された際の上面)に、メモリカード20(図3参照)の電極21(図3参照)に接触するコンタクト130を設けたリバースタイプのコネクタである。つまり、カードコネクタ100の天板部は、内部の収容部103にカード挿入口102から挿入されるメモリカード20の電極21を有する面に対向して配置されている。
【0016】
図3はカードコネクタに装着されるメモリカードの平面図である。
【0017】
図3に示すメモリカード20は、略矩形板状をなし、一方の面(ここでは便宜上裏面とし表面20bと逆側の面)20a(図7及び図8参照)の先端部分に電極21が挿入方向と直交する方向に一列に並べて配置されている。なお、メモリカード20において表面(一方の面20aとは逆側の面)20bを、以下では、他方の面20bともいう。
【0018】
また、メモリカード20において長手方向に沿って延在する両側面には、それぞれ表面側を突出させて薄肉部が形成され、薄肉部のうちの一側面部22には、イジェクト機構110のスライダ111に係脱自在な凹状の切り欠き部23が形成されている。このメモリカード20は、一般的に、データの消去・書き込みを自由に行なうことができ、電極21は、内蔵され、電源を切っても内容が消えないフラッシュメモリ(Flash Memory)に接続されている。
【0019】
図1及び図2に示すカードコネクタ100は、平面視略矩形状の扁平な板状をなし、一側面(前面)側に形成されたカード挿入口102から挿入されるメモリカード20(図3参照)を収容する収容部(カード装着領域)103と、収容部103の側方に配置され、カード挿入口102から収容部103内に挿入されるカード20(図3参照)をロック及び排出するイジェクト機構110とを備える。
【0020】
なお、メモリカード20は、種類ごとに決められた寸法、形状に形成されているため、本実施の形態のカードコネクタ(メモリカードコネクタ)100は、使用されるメモリカードの寸法、形状に対応しているものとする。なお、このメモリカードとしては、PCカード,コンパクトフラッシュ(登録商標)カード,スマートメディア(登録商標)、SDカード(Secure Digital memory card)(登録商標)、メモリースティック(登録商標)等が挙げられる。また、メモリカードは、自由にデータの読み書きが行えるものであるが、複写が自由にできないものであってもよい。
【0021】
具体的に、カードコネクタ100は、メモリカード側の電極21に接触するコンタクト130がインサート成形により配設されたハウジング140に、上方からシールドカバーであるシールドプレート(以下、「プレート」という)150を被せることで形成されている。
【0022】
図2に示すようにハウジング140は、挿入されるメモリカード20の接点(電極)21を有する面(図3に示す表面20bと反対側の裏面)20a(図7及び図8参照)に対向して配置され、接点21を有する面を被覆する上面部(板状部)142と、上面部142の一側方側に沿って配置され、イジェクト機構110の底面部分を形成する機構底面部143と、上面部142の他側辺部から垂直に立ち下がり、収容部103を他側面側で仕切る側壁部144と、上面部142の後端辺部から垂直に立ち下がり、収容部103を後端側で仕切る後壁部145とを有する。機構底面部143は、上面部142と略平行に配置されており、上面部142の一側辺部から略直交して立ち下がりイジェクト機構110と収容部103とを仕切るカム側壁部146に直交して設けられている。
【0023】
図4は、図1に示すカードコネクタにおいてプレート150を外した状態を示す図である。
【0024】
ハウジング140は、樹脂等の絶縁材料から形成され、上面部142と、側壁部144と、当該側壁部144の内壁面と幅方向で対向し、カム側壁部146を含むイジェクト機構110の内側面とで、正面視略コ字状をなしている。カードコネクタ100では、収容部103は、上面部142、側壁部144、イジェクト機構110で上面及び両側面側を画成されている。
【0025】
図4に示すように、ハウジング140の収容部103の側方に配置するイジェクト機構110は、ハウジング140の機構底面部143上に配置されるスライダ111、ハートカム溝(カム溝部)113及びロックピン115を、上方からプレート150で覆うことで形成される。
【0026】
スライダ111は、挿入方向に移動自在で且つ、カード挿入口102近傍では、収容部103側から離間する方向に揺動可能に配置されており、付勢部材である圧縮コイルバネ112によりカード挿入口102側に付勢されている。
【0027】
スライダ111は、上面部142下方の収容部103内に突出する爪部111aを有し、この爪部111aは、カード挿入口102から挿入されるメモリカード20の切り欠き部23に係合する。
【0028】
なお、爪部111aは、カード挿入口102近傍において、スライダ111自体が収容部103側から離間する方向に揺動した際に、収容部103内から後退する。
【0029】
このように、カードコネクタ100は、収容部103の一側方側に配置されたイジェクト機構を備える。イジェクト機構110では、スライダ111は、ハウジング140内に、挿入方向及び排出方向に移動自在に配設されている。スライダ111は、メモリカードの収容部103内への挿入に伴いメモリカードにより押圧されて奥側の装着位置まで移動するとともに、排出時にはカード挿入口側の排出位置まで移動して、排出位置でメモリカード20をカード挿入口から外側に突出させた状態で保持する。コイルバネ112は、スライダ111を排出方向へ付勢する。また、ハート形のハートカム溝113は、ハウジング140に形成され、一端部でスライダ111に連結されたロックピン115の他端部が係合している。ロックピン115は、スライダ111の移動に伴い、他端部がハートカム溝113内を摺動して、スライダ111を、コイルバネ112の付勢力に抗して装着位置に保持する位置と保持を解除する位置とに移動させる。
【0030】
また、ハートカム溝113は、機構底面部143(図2参照)において、スライダ111の移動領域よりも挿入方向側(奥側に相当し、コネクタの後端側)に形成され、カム側壁部146で収容部103と仕切られている。
【0031】
図5は本実施の形態に係るカードコネクタのコンタクトを示す要部側断面図である。また、図6は、ハウジングの備える補強板の説明に供する図であり、補強板のカード挿入口側からみた要部断面図である。
【0032】
図2、図4〜図6に示すように、カム側壁部146は、上面部142から直交して下方に突出して、且つ、挿入方向に延在するように配設されている。
【0033】
このカム側壁部146内には、当該カム側壁部146の延在方向に沿って板金からなる補強板160が埋設されている。
【0034】
補強板160は、上面部142に配設されるコンタクト130とともにハウジング140にインサート成形されるインサート品としての一枚の板金を加工することによって形成されている。
【0035】
補強板160は、上面部142にコンタクト130とともにインサート成形される板金の一部として形成されている。具体的には、図6に示すように上面部142内に埋設される板状の埋設部163から立ち上がるように形成されている。つまり、インサート品としての板金状態時では、コンタクト130Aの一部となる部位から折曲されることにより形成される。言い換えれば、補強板160は、上面部(板状部)142内においてコンタクト130とともにインサート成形される板状の埋設部163に連続する板金の一部を埋設部163に対して垂直に切り起こしてなる。
【0036】
埋設部163は、上面部142内に配設されるコンタクト130の一部と同一平面上に配置されている。この埋設部163は、インサート時には、最もイジェクト機構110側に近いコンタクト130Aに連続して形成され、ハウジング140の上面部142にインサート成形された後、コンタクト130Aと分離されることで設けられる。
【0037】
また、補強板160の下辺部には、収容部103側に直交して突出するフランジ162が形成されている。フランジ162は、幅方向で離間して配置され、側壁部144の下方から内方に突出するリブ158(図2参照)とで、カードコネクタ100に対して表裏逆に収容部103内に挿入されるメモリカード20の表面20bを両側方向から支持する。
【0038】
この補強板160を含むカム側壁部146により仕切られるハートカム溝113には、
スライダ111に一端部を回動自在に取り付けられ、当該スライダ111から後方に延在して配設されたロックピン115の他端部が、摺動自在に配置されている。
【0039】
スライダ111は、プレート150のスライダ押圧片1513によりハウジング140の機構底面部143側に押圧されつつ、挿入方向に移動自在となっている。また、ロックピン114は、ロックピン押圧片1514により他端部がハートカム溝113から離脱せずに摺動するようにハートカム溝113側に押圧されている。なお、圧縮コイルバネ112は、スライダ111と後壁部145間に架設されている。
【0040】
このように構成されたイジェクト機構110は、従来のものと同様に機能する。つまり、挿入されるメモリカードに爪部111aが係合して挿入方向に押圧されると、スライダ111は、圧縮コイルバネ112に抗して奥側に移動し、ロックピン115はハートカム溝113のストレート部を通ってロック部に係合する。なお、ロック部は、ハートカム溝113においてストレート部に後端側で連続して配置され、平面視して前側(排出方向)側に突出したV字状をなす部分である。再びスライダ111が挿入方向側に押圧されると、ロック部から開放されて、ストレート部とは逆側の溝部を通って移動開始位置に移動する。これによりスライダ111のロック状態は解除されて、圧縮コイルバネ112によりカード挿入押102側に移動して、メモリカードを排出位置に移動させる。
【0041】
ここで、図2及び図4に戻り、一側方にイジェクト機構110の機構底面部143を有するハウジング140では、板状の上面部142に中央部分に開口部142aが形成されている。この開口部142aは、挿入方向でそれぞれ高さレベルが異なる前端側の上面部分142bと後端側の上面部分142cとで囲まれてなる。
【0042】
前端側の上面部分142bと後端側の上面部分142cでは、互いに対向する方向に向かって突出する突出片どうしが連続しており、この連続する突出片どうしで開口部142aの両側辺部を画成している。これら突出片どうしの接合部分に、挿入方向と直交する方向に段差が形成され、この段差を境界にして前端側の上面部分142bと後端側の上面部分142cとで高さレベルがずれている。これにより前端側の上面部分142bと後端側の上面部分142cは、互いに高さが異なる平面領域に配置された状態となっている。ここでは、後端側の上面部分142cが、前端側の上面部分142cよりも高さレベルを低くしている。
【0043】
後端側の上面部分142cは、上面部140においてコンタクト130の接点が配置される部分よりも挿入方向側の部分であり、前端側の上面部分142bよりもコネクタ100の厚み方向で収容部103側に近くなっている。後端側の上面部分142cは前端側の上面部分142bの厚みよりも薄く、側面視して上面部142は、前端側の上面部分142cで窪んだ形状となっている。なお、この窪み部分にプレート150の後側被覆板152が積層した状態で被せられている。
【0044】
上面部142の開口部142a内には、開口部142aを仕切る前端側開口辺部142dから後端側開口辺部142eに渡って複数のコンタクト130が架設されている。
【0045】
コンタクト130は、補強板160とともに、弾性変形可能な導電性を有する部材により形成されている。コンタクト130は、前端側から後端側に向かって分岐して延在するように配設され、前端側から後端側に開口部内を架設するように配設された架設片部(固定片部)132と、先端部分でメモリカード20の電極21と接触する接触片部134とを有する。
【0046】
ここでは、コンタクト130は、上面部142に埋設された導電製の板材(ここでは板金)を加工することにより形成されている。板金は、ハウジングにインサート成形により成形され、これにより上面部142は、板金の表裏面に極薄の樹脂層を形成してなる構成となっている。
【0047】
上面部142の前端側の上面部分142bに配設されたコンタクト130の前端側の部位は、左右方向で隣り合う他のコンタクト130における前端部側の部位とは絶縁された状態で配置されている。
【0048】
なお、ハウジング140の上面部142に配設されたコンタクト130のうち、他側方側に配設されたコンタクト130Aは、インサート品としての板金状態において、架設片部132と、補強板160(図6参照)に連続する埋設部163とは一体的に形成されている。具体的には、インサート品としての板金時において、コンタクト130Aでは、後端側の上面部分142c内に配設される架設片部132に埋設部163が連続している。このコンタクト130Aの架設片部132は、インサート成形後、埋設部163と連続する部位を上面部142ごと穿孔して打ち抜くことで分離される。
【0049】
図1、図2及び図5に示すように、コンタクト130の架設片部132は、開口部142a内における中途部分に段差部(Z型に屈曲したZ曲げ部)135を有し、この段差部135を挟み前端部側と後端部側とで位置する水平面が上下(厚さ方向)にずれている。
【0050】
段差部135は、上面部140において前端側の上面部分142bと後端側の上面部分142cとの境界の段差に対応して形成され、架設片部132において上面部142の段差に幅方向で並ぶ位置に形成されている。
【0051】
これにより、コンタクト130は、段差部135によって上面部142において、位置する高さレベルが異なる前端側の上面部分142b及び後端側の上面部分142cの表裏面にそれぞれ対応した状態で設けられている。
【0052】
コンタクト130では、架設片部132の端部(コネクタの後端側の端部)132aは、後壁部145内を通るように折曲され、後壁部145の外面から後方に突出するリード130bにそれぞれ接続されている。このリード部130bは、カードコネクタ100が基板に実装された際に、対応する基板の配線パターンに各々接続される。
【0053】
このようにコンタクト130は、リード130bから後壁部145、上面部142の後端側の上面部分142cを通って開口部142a間に架設されている。この開口部142a内ではコンタクト130は、開口部142aの前端部側で折り返されて後端側に、架設片部132から離間する方向に傾斜して延びる先端部分の接触片部134の先端部分でメモリカード20の電極21に接続される。
【0054】
掛止部136は、上面部142に、前側に突出するように設けられ、ここでは、コンタクト130を形成する板金において、カード挿入口102側に配置される部分の一部を加工することで形成されている。ここでは、掛止部136は、インサート成形によってハウジングの上面部142に一体的に形成されている。
【0055】
掛止部136は、上面部142の前側外縁から排出方向(前側に相当)に上面部142に沿って延出された板状をなす2つの板状突出片136a及び爪片部136bを有する。板状突出片136aは、幅方向に離間して並べて配置され、前側架設板部154の裏面に当接する。爪片部136bは、板状突出片136a間から排出方向に向かって延出され、表面側に折曲してなる段差によって、前側被覆板154において開口部155を仕切る挿入方向側の縁部で、挿入方向側に延び出るように形成された被掛止片154aの表面に当接する。
【0056】
爪片部136bを被掛止片154aに係合するとともに、板状突出片136aを前側被覆板154の所定部分に係合させることによって、掛止部136は、プレート150の前側被覆板部154を厚み方向で挟持している。この掛止部136によって、上面部142は、プレート150のカバー上板部151に形成された開口部155内に、当該カバー上板部151と略同一平面上で固定されている。
【0057】
図1及び図2に示すようにプレート150は、導電性を有し、ここでは金属板に折曲等の加工を施すことにより形成され、平面視略矩形状をなし、ハウジング140の上面部142の外面を覆うカバー上板部151と、カバー上板部151の両側辺部を直交するように折曲してなる側板部156、157とを有する。
【0058】
カバー上板部151は、収容部103上に配置されるとともに機構底面部143を上方から覆う。また、側板部156、157は、カバー上板部151の両側辺部から垂下して形成され、ハウジング120の側壁部144の外面及びイジェクト機構110の外面を被覆する。
【0059】
プレート150のカバー上板部151において収容部103と重なる領域の中央部分、つまり、幅方向に離間して配置される後側被覆板152及び前側被覆板154間には、開口部155が形成されている。この開口部155内に、ハウジング140の上面部142の前端側部分142b及び開口部142aが配設されている。
【0060】
このようにプレート150は、後側被覆板152を、ハウジングの上面部142における後端側の上面部分142c上に被せるとともに、開口部155内に、掛止部136を前側被覆板154に掛止させたハウジング140の上面部142を、前端側の上面部分142b及び上面部142の開口部142a内のコンタクト130を位置させた状態で取り付けている。
【0061】
このプレート150の上板部151には、イジェクト機構110を覆う部位に、イジェクト機構110内部で挿入方向に移動自在に配置されたスライダ111を底面側に押圧して上下方向の移動を規制するスライダ押圧片1513と、スライダ111に追従して移動するロックピン115がハートカム溝113から抜けることを防止するロックピン押圧片1514とが形成されている。
【0062】
これらスライダ押圧片1513とロックピン押圧片1514とは、弾性変形する部材によりプレート150に一体的に形成されている。ここでは、スライダ押圧片1513及びロックピン押圧片1514は、板金を加工してなるプレート150のカバー上板部151の一部を、下方に突出させて板バネとして加工することによって形成している。これらスライダ押圧片1513とロックピン押圧片1514は、イジェクト機構110のスライダ111及びロックピンの挿入方向と直交する方向(ここでは上下方向)の移動を規制する。
【0063】
このようにプレート150にスライダ押圧片1513とロックピン押圧片1514が一体的に形成されているため、プレート150の厚みは、スライダ押圧片1513とロックピン押圧片1514の機能を有する所定の厚みを有する。
【0064】
なお、プレート150は、コネクタとメモリカード間を流れる信号の動作周波数によって生じる他部品或いは電子機器近傍の他機器に対する電磁妨害(EMI、Electro Magnetic Interference)となる電磁ノイズを防止する。
【0065】
また、プレート150の側板部157の下辺部に形成されたリブ158(図2参照)は、側壁部144の底面に沿って、コネクタの内側に折曲されてなる。このリブ158は、ハウジング140の側壁部144の内側から収容部103側に突出し、ハウジングの上面部142と対向する。
【0066】
このように構成されたカードコネクタ100では、メモリカード20(図3参照)が、電極21を配設した面がハウジング140の上面部142と対向するように、カード挿入口102を介して挿入される。
【0067】
収容部103内に収容されるメモリカード20は、上面部142側から突出する弾性変形する接触片部134によって上面部142と離間する方向に押圧される。
【0068】
これにより、メモリカード20は、収容部103内では、上面部142と対向して配置されるリブ158、機構底面部143における前側の平面部分の内側辺部及びフランジ162側に押し付けられた状態となり、保持される。
【0069】
よって、メモリカード20挿入時では、リブ158は、メモリカード20の他方の面を、メモリカード20に係合したスライダ111が移動する機構底面部143における前側の平面部分の内側辺部とで、保持する。
【0070】
またリブ158は、メモリカード20の収容時には、機構底面部143における前側の平面部分の内側辺部に加えて、フランジ162とともにメモリカード20を保持する。
【0071】
図7は、本実施の形態に係るカードコネクタにメモリカードを装着した状態を示す要部側断面図である。なお、図7では、プレート150を便宜上外している。
【0072】
図7に示すように、挿入されたメモリカード20は収容部103内において、電極21が配設された面20aをカードコネクタ100の天板と対向させて配置されている。メモリカード20は、挿入方向に沿った上面部分の位置が前端側と後端側とでずれた上面部142から収容部103内に突出するコンタクト130の接触片部134に押圧されて機構底板部143及びフランジ162によって保持されている。これによりカードコネクタ100内における厚み方向への移動は規制されている。なお、カードコネクタ100の収容部103内のメモリカード20は、挿抜方向への移動は、イジェクト機構110において装着位置にロックピン115が位置することにより規制されている。
【0073】
このカードコネクタ100のハウジング140では、収容部103に収容されたメモリカード20を両側方から囲む一方の側壁部144は、プレート150の側板部157により被覆されることで、収容部103を仕切る側壁部分としての強度を有する。
【0074】
また、収容部103に収容されたメモリカード20を両側方から囲む他方の側壁部分を形成するカム側壁部146には、コンタクト130とともにインサート成形によって、上面部142内の埋設部163から立ち上がる補強板160が埋設されている。
【0075】
これにより、ハウジング140において収容部103と、イジェクト機構110のハートカム溝113とを仕切るカム側壁部146を、十分に強度を確保しつつ薄肉に形成して、メモリカード20を安定して収容して、電気的接続を行うことができる。
【0076】
図8は、本実施の形態に係るカードコネクタにメモリカードが挿入した状態を示す要部構成図である。
【0077】
カードコネクタ100では、収容部103とイジェクト機構110のカム溝113とを仕切るカム側壁部146に、収容部103の上面部分を仕切るハウジングの140の上面部142に埋設された埋設部163から立ち上がる補強板160が埋設されている。
【0078】
これにより、図8に示すように、カードコネクタ100にカード挿入口102から挿入されるメモリカード20が斜めに挿入され、メモリカード20の先端部の角部が側壁部146押圧する場合でも、その押圧力に耐えることができる。
【0079】
本実施の形態のカードコネクタ100では、樹脂製のハウジング140にプレート150を被せて、カード挿入口102と、カード挿入口102から挿入されるメモリカードを収容する収容部103とを形成する。ハウジング140は、収容部103に収容されたメモリカード20において電極21(面上端子)が配設された一方の面20aに対向して配置される上面部(板状部)142と、上面部142から突出して設けられ、メモリカードの挿入方向に沿って延在し、収容部103を仕切るカム側壁部(仕切壁部)146とを備える。上面部142には、収容部103に収容されたメモリカードの電極21に電気的に接続されるコンタクト130がインサート成形されている。カム側壁部(仕切壁部)146には、上面部142内に埋設された金属製の板状の埋設部163に直交して連続するとともに、カム側壁部(仕切壁部)146の延在方向に沿って金属製の補強板160が埋設されている。
【0080】
このようにメモリカードコネクタ100では、コンタクト130、掛止部136等をインサート成形により備えるハウジング(インサートハウジング)内の板金をコネクタ自体の補強として用いることができる。これにより、コネクタの低背化、省スペース化に伴うハウジング140における樹脂厚の薄さの強度不足を解消できる。
【0081】
具体的には、コネクタの省スペース化に伴い、カードの収容部103とその他の機構部(ここでは、イジェクト機構110)との間の仕切壁を設ける必要がある場合でも、当該仕切壁を薄肉化して、ハウジング全体の薄肉化を図り、低背化及び小型化を図ることができる。
【0082】
また、ハウジング140の上面部142におけるカード挿入口102側の上面部分142bは、収容部103に対して、段差部135より挿入方向側の上面部分142cよりも後退する。また、上面部142において前端側の上面部分142bは、前側被覆板154に挿入方向側で隣接して配置されている。この前側被覆板154は、上面部142における前側の上面部分142bと略同一平面上に配置されるとともに、当該上面部分142bを固定している。
【0083】
上面部142では、前端側の上面部分142bが前側被覆板154と略同一平面状に配置され、前端側の上面部分142bの表面(外面)は、前側被覆板154の表面(外面)と略同一平面上に位置している。この前端側の上面部分142bは、コンタクト130とともにインサート板金としてインサート成形された掛止部136をプレート150の前側被覆板154に挿入方向側から水平に嵌合させることによって固定されている。
【0084】
また、上面部142における前端側の上面部分142bは、インサート板金によって補強され、掛止部136を介して、前側被覆板154に支持されることによって配置されている。これにより、カードコネクタ100では、前端側の上面部分142bは、上面にプレート150を積層することなく形成され、その厚みを薄くして、カード挿入時にコンタクト130との接続の際に加わる荷重に対する強度が確保されている。
【0085】
また、上面部142の後端側の上面部分142cは、前端側の上面部分142bよりも高さレベルが低く、積層される後側被覆板152により補強されるとともに、コンタクト130、掛止部136等としてインサート成形された板金を介して前側被覆板154に支持されている。
【0086】
カードコネクタ100の天板部を構成する上面部142では、インサート成形によって開口部142a内で挿入方向に延在して配設されたコンタクト130の途中に段差部135が形成されており、開口部142aを挟み前端側(カード挿入口側)と後端側とで上下方向にずれている。この構成により、本実施の形態のカードコネクタ100は、従来構成ではデッドスペースであった天板部における挿入方向側の部分(上面部142の後端側の上面部分142c)の裏面と対向する部分を有効利用しつつ、必要なクリアランスを確保して、コネクタ自体の低背化を図っている。
【0087】
さらに、カードコネクタ100では、ハウジング140の上面部142に埋設されるコンタクト130、埋設部163、掛止部136等の金属部材は、所定形状に加工された一枚のインサート品としてインサート板金によって形成されている。これにより樹脂製の上面部142に、上面部142とは別部材の金属部材を後工程で各々埋め込む手間を省くことができ、更に、上面部142自体の強度を向上させつつ上面部142の厚みを薄くできる。
【0088】
本実施の形態では、イジェクト機構110のカム側壁部146に埋設される補強板部160は、収容部103の一側面を仕切る内壁面の一部として収容部103側に露出する構成としたが、これに限らず、カム側壁部146の一部として形成されていればどのように形成されてもよい。例えば、カム側壁部146においてハートカム溝113を仕切る他方の面側に露出させて、上面部142から立ち上がるカム側壁部146の一部として形成されてもよい。
【0089】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。なお、上記本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、種々の改変をなすことができ、そして本発明が該改変させたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係るカードコネクタは、コネクタ本体の強度を確保した状態で、樹脂製のハウジングの薄肉化を図り、小型化及び低背化を図ることができる効果を有し、特に、メモリカードの接点を有する面を天板側にして挿入されるリバースタイプのメモリカード用コネクタとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタの構成を示す図
【図2】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタの構成を示す図
【図3】同カードコネクタに装着されるメモリカードの平面図
【図4】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいてプレートを外したハウジングの平面図
【図5】本実施の形態に係るカードコネクタのコンタクトを示す要部側断面図
【図6】ハウジングの備える補強板の説明に供する図
【図7】本実施の形態に係るカードコネクタにメモリカードを装着した状態を示す要部側断面図
【図8】本実施の形態に係るカードコネクタにメモリカードが挿入した状態を示す要部構成図
【符号の説明】
【0092】
20 メモリカード
100 カードコネクタ
102 カード挿入口
103 収容部
110 イジェクト機構
130 コンタクト
140 ハウジング
142 上面部
160 補強板
163 埋設部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のハウジングにシールドカバーを被せて、カード挿入口と、前記カード挿入口から挿入されるメモリカードを収容する収容部とを有するコネクタ本体が形成されたカードコネクタであって、
前記ハウジングは、前記収容部に収容されたメモリカードにおいて面上接続端子が配設された一方の面に対向して配置されるとともに、前記メモリカードの前記面上接続端子に電気的に接続されるコンタクトがインサート成形によって配設された板状部と、
前記板状部から突出して設けられ、前記メモリカードの挿入方向に沿って延在し、前記収容部を仕切る仕切壁部とを備え、
前記仕切壁部には、前記板状部内に埋設された金属製の板状の埋設部に直交して連続するとともに、当該仕切壁部の延在方向に沿って金属製の補強板が埋設されているカードコネクタ。
【請求項2】
前記補強板及び埋設部は、前記板状部にインサート成形されて前記コンタクトとなるインサート板金の一部として前記ハウジングに設けられ、
前記補強板は、前記板状部内において前記コンタクトとともにインサート成形される前記埋設部に連続する板金の一部を前記埋設部に対して垂直に切り起こしてなる請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタ本体は、前記収容部の一側方側に配置されたイジェクト機構を備え、
前記イジェクト機構は、前記ハウジング内に、前記挿入方向及び排出方向に移動自在に配設され、前記メモリカードの前記収容部内への挿入に伴い前記メモリカードにより押圧されて奥側の装着位置まで移動するとともに、排出時には前記カード挿入口側の排出位置まで移動して、前記排出位置で前記メモリカードを前記カード挿入口から外側に突出させた状態で保持するスライド部材と、前記スライド部材を前記排出方向へ付勢する付勢部材と、前記ハウジングに形成されるハート形のカム溝部と、一端部で前記スライド部材に連結するとともに他端部で前記カム溝部内に係合するように配設され、前記スライド部材の移動に伴い、他端部が前記カム溝部内を摺動して、前記スライド部材を、前記付勢部材の付勢力に抗して前記装着位置に保持する位置と保持を解除する位置とに移動させるロックピンとを有し、
前記カム溝部は、前記コネクタ本体内に前記収容部と幅方向で隣接するように前記ハウジングに形成され、
前記仕切壁部は、前記コネクタ本体内で、前記収容部と前記ハートカム溝との間に形成されている請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項4】
前記板状部は、当該板状部を外方から被覆するシールドカバーの上板部とともに、基板に実装されるコネクタ本体の天板部を形成する請求項1記載のカードコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−199838(P2009−199838A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39367(P2008−39367)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】