説明

カーナビゲーション装置及びデータベース

【課題】 施設と契約した駐車場に関する施設の特典の内容を認識できるようにして、使い勝手を良くする。
【解決手段】 本発明のカーナビゲーション装置1は、表示手段7と、この表示手段7に施設と契約された駐車場の情報を表示する表示制御手段2とを備えたものにおいて、表示制御手段2は、駐車場の情報を表示するときに、施設を利用した場合の施設と契約された駐車場に関する少なくとも特典情報の内容を表示するように構成されているところに特徴を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デパートなどの施設と契約された駐車場の情報を表示する機能を備えたカーナビゲーション装置及びデータベースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカーナビゲーション装置において、目的地として施設(例えばデパートなど)を設定する場合、施設の入り口を目的地として設定し、経路を計算して案内するようにしていた。この場合、施設の建物に駐車場がないときには、ユーザーは施設の周辺の駐車場を探して駐車する必要があった。ところで、通常、施設には契約した駐車場があり、ユーザーは購入した物品の金額に応じて上記契約した駐車場を無料で利用できる特典があるが、ユーザーはそのことを知らないために、施設が契約していない有料の駐車場に駐車してしまうことがあり、上記駐車場の特典を有効に利用できないという問題点があった。
【0003】
これに対して、施設と契約した駐車場を案内する構成として、特許文献1に記載された構成がある。この構成では、施設と契約した駐車場が1つ以上表示され、その中から選択して経路案内することが可能なように構成されている。
【特許文献1】特許第34577483号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成の場合、各駐車場の料金体系はわかるが、施設の特典の内容(購入した物品の金額に応じた駐車場の無料時間等)はわからなかった。このため、ユーザーが駐車した駐車場が施設から遠かった場合には、ユーザーが意図したとおりの無料時間(料金時間)内に駐車場に戻れないことがあるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、施設と契約した駐車場に関する施設の特典の内容を認識することができて、使い勝手の良いカーナビゲーション装置及びデータベースを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカーナビゲーション装置は、表示手段と、この表示手段に施設と契約された駐車場の情報を表示する表示制御手段とを備えたものにおいて、前記表示制御手段は、前記駐車場の情報を表示するときに、前記施設を利用した場合の前記駐車場に関する少なくとも特典情報の内容を表示するように構成されているところに特徴を有する。
【0007】
上記構成によれば、施設と契約された駐車場の情報を表示するときに、施設を利用した場合の上記駐車場に関する少なくとも特典情報の内容を表示するように構成したので、上記駐車場に関する施設の特典の内容をユーザーが容易に認識することができるようになり、使い勝手が良くなる。
【0008】
また、上記構成の場合、現在地から選択された駐車場まで、または、選択された駐車場内の所定の位置までの経路を計算する経路計算手段を備えるように構成することが好ましい。更に、前記経路計算手段は、現在地から駐車場の入り口を経由して前記駐車場内の所定の位置までの経路を計算するように構成されていることがより一層好ましい。更にまた、前記表示制御手段は、駐車場から施設までの距離や方向等の情報を含む案内情報を表示するように構成されていることが良い構成である。
【0009】
また、本発明のデータベースは、請求項1記載のカーナビゲーション装置において使用されるものにおいて、多数の施設の情報から構成されるものであって、契約した駐車場を有する施設の情報には、前記契約した駐車場の情報が含まれている施設情報データベースと、多数の駐車場の情報から構成されるものであって、施設と契約された駐車場の情報には、前記施設を利用した場合の前記駐車場に関する特典の情報が含まれている駐車場情報データベースとを備え、更に、前記施設情報データベースと前記駐車場情報データベースとをリンクさせるように構成したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例について、図面を参照しながら説明する。まず、図1は、本実施例のカーナビゲーション装置1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。この図1に示すように、カーナビゲーション装置1は、制御回路2と、位置検出器3と、操作スイッチ群4と、通信装置5と、地図データ入力部6と、表示部7と、音声出力装置8と、外部メモリ9と、リモコンセンサ10とから構成されている。
【0011】
上記制御回路2は、カーナビゲーション装置1の動作全般を制御する機能を有しており、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらを接続するバス(いずれも図示しない)を備えて構成されている。本実施例の場合、制御回路2が表示制御手段および経路計算手段としての各機能を有している。
【0012】
位置検出器3は、GPS(Global Positioning System )受信機11と、ジャイロスコープ12と、車速センサ13と、地磁気センサ14とから構成されている。位置検出器3は、上記4つのセンサ11〜14により互いに補間しながら車両の現在位置を検出するように構成されており、高精度の位置検出機能を有している。尚、位置検出精度をそれほど必要としない場合には、4つのセンサ11〜14のうちの何れかで(または複数のセンサの組み合わせで)位置検出器3を構成しても良い。また、車両のステアリングの回転センサや、ホイールの車輪センサ等を適宜組み合わせて位置検出器3を構成しても良い。
【0013】
操作スイッチ群4は、表示部7の表示画面の上面に設けられたタッチスイッチ(タッチパネル)と、表示部7の周辺部に設けられたメカニカルなプッシュスイッチ(図示しない)等とから構成されている。通信装置5は、例えばVICS通信装置や、携帯電話機(専用の携帯電話端末や汎用の携帯電話機等)などで構成されており、この通信装置5を介して外部の情報供給センタ(例えばVICSセンタや種々の情報センタ等)との間でデータを送受信することができるように構成されている。
【0014】
地図データ入力部6は、CD−ROM、DVD−ROM、HDD、メモリ等を読み取り可能な読取装置で構成されており、地図データベース6a、施設情報データベース6b、駐車場情報データベース6c等の各種のデータベースを入力するための装置である。表示部7は、地図を表示するための例えばカラー液晶ディスプレイで構成されており、地図データ(道路データ、文字データ及び背景データ等)、自車位置マーク、誘導経路等の付加データ等を重ねて表示することが可能なように構成されている。この構成の場合、表示部7が、表示手段としての機能を有している。音声出力装置8は、音声案内の各種のメッセージや操作音等を出力する機能を有している。
【0015】
外部メモリ9は、メモリスティックやメモリカードや磁気テープ等の読取装置で構成されており、地図データや音楽データや映像データ等を入力するための装置である。尚、ユーザーは、図字しないリモコンを操作することにより、リモコンセンサ10を介して制御回路2へ操作信号を与えることが可能なように構成されている。
【0016】
また、制御回路2は、現在位置(出発地)から目的地までの最適経路(誘導経路)を自動的に計算して設定する機能(経路計算機能)を備えており、この自動的に最適経路を設定する方法としては、例えばダイクストラ法等を使用している。尚、目的地は、ユーザーが操作スイッチ群4やリモコンを操作して設定することが可能なように構成されている。更に、制御回路2は、表示部7に表示されている地図上に上記目的地までの最適経路(誘導経路)を重ねて表示する機能や、現在位置を上記地図上に位置付けるマップマッチング処理を実行する機能等を備えている。また、制御回路2には、車両に搭載されたオーディオ装置(図示しない)が接続されており、制御回路2によってオーディオ装置をコントロールすることが可能なように構成されている。
【0017】
次に、上記構成のカーナビゲーション装置1の作用、特には、施設が契約した駐車場を選択して目的地として設定し、更に、その駐車場まで経路案内する場合の制御動作について、図2〜図4も参照して説明する。このうち、図2に示すフローチャートは、制御回路2の制御のうちの上記制御動作の内容を示している。
【0018】
まず、図2のステップS1において、ユーザーは、目的地を入力するために、地図データ入力部6の施設情報データベース6bに基づいて施設を検索し、所望の施設(例えば買い物を行いたい特定のデパート)を選択する。この場合、施設の検索方法や操作方法等としては、周知の方法を用いれば良い。また、施設情報データベース6bには、図4(a)に示すように、各施設毎に、カテゴリ、名称、住所、電話番号、ロゴマーク表示座標、案内入り口座標の各情報が格納されていると共に、施設が契約した1つ以上の駐車場の情報が格納されている。各契約駐車場の情報としては、名称、住所、電話番号、駐車料金、無料時間(施設の特典の情報)、駐車位置座標の各情報が格納されている。
【0019】
ここで、駐車場情報データベース6cについても、図4(b)を参照して説明する。この駐車場情報データベース6cには、各駐車場毎に、カテゴリ、名称、住所、電話番号、ロゴマーク表示座標、案内入り口座標、車両の高さ制限の各情報が格納されている。そして、駐車場情報データベース6cと上記施設情報データベース6bとは、駐車場の名称、住所、または、電話番号の情報の中の少なくとも1つの情報の一致を判定することにより、関連付け(即ち、リンク)られている。この関連付けにより、駐車場の名称や駐車場の位置等のような駐車場に関係する索引のデータが重複することを防止でき、契約した駐車場が、目的地の施設が変わる毎に、名称が変わったり、駐車場の位置がずれたりすることを防止できる。
【0020】
さて、上記ステップS1にて、施設が入力(指定)されると、ステップS2へ進み、施設に契約された駐車場の情報を表示部7に、図3に示すように表示する。ここで、表示される駐車場の情報は、例えば、駐車場の名称、施設(目的地)までの距離、施設(目的地)までの経路(経路の簡単な説明)、駐車料金、無料時間(施設の特典の情報)などである。尚、駐車場から施設(目的地)までの距離や施設(目的地)までの経路については、制御回路2により駐車場から施設までの経路を歩道を優先して(即ち、歩行者ナビとして)経路計算して求めるように構成されている。そして、求められた経路は、表示部7に表示される(図3において破線L1で示す)。また、上記した駐車場から施設までの距離や施設までの経路の簡単な説明(例えば方向などの情報)の情報は、駐車場から施設までの案内情報を構成している。
【0021】
そして、上記構成の場合、契約された駐車場が複数ある場合には、例えば次候補キーの操作により、複数の駐車場の情報を順に表示できるように構成されている。また、表示部7に表示されている地図上に表示されている駐車場のマークにカーソルを近づけると(またはクリックして選択すると)、その駐車場の情報が表示されるように構成されている。尚、各駐車場から施設までの経路については、上記表示の前に経路計算されるように構成されている。この場合、経路計算に用いる駐車場の位置は、駐車場情報データベース6c内に格納されている案内入り口座標であり、施設の位置は、施設情報データベース6b内に格納されている案内入り口座標である。
【0022】
そして、ステップS3へ進み、ユーザーは、表示された駐車場情報(特には、施設の特典の情報(無料時間)と施設までの距離等)を参照しながら使用する駐車場を選択(決定)する。続いて、ステップS4へ進み、現在地から上記選択された駐車場までの経路を計算するように構成されている。この場合、経路計算に用いる駐車場の位置は、駐車場情報データベース6c内に格納されている駐車場の案内入り口座標であるが、その駐車場が広く、施設の特典を受けるユーザーが駐車できる場所が限定されている場合には、その場所の座標を、駐車位置座標として、施設情報データベース6b内の上記施設のデータの中に格納しておき、この駐車位置座標を、上記経路計算に用いる駐車場の位置としている。即ち、現在地から駐車場の入り口(案内入り口座標)を経由して駐車場内の所定の位置(駐車位置座標)までの経路を計算するように構成されている。
【0023】
尚、施設が契約した駐車場がないときには、上記ステップS4では、現在地から施設までの経路を計算するように構成されている。この場合、経路計算に用いる施設の位置は、施設情報データベース6b内に格納されている施設の案内入り口座標である.
続いて、ステップS5へ進み、現在地から駐車場(駐車場がないときは施設)まで経路案内を実行する。そして、駐車場に到着した後は、ステップS6へ進み、駐車場から施設の入り口までの経路、即ち、案内図と、施設までの距離と、駐車場の料金と、駐車場の無料時間の情報(いくら買い物すると、駐車料金が無料となるかの情報等)とを表示部7に表示する。これと共に、施設までの距離と、駐車場の料金と、駐車場の無料時間の情報については、音声で案内するようにも構成されている。
【0024】
このような構成の本実施例によれば、施設と契約された駐車場の情報を表示するときに、施設を利用した場合の上記駐車場に関する少なくとも特典情報(具体的には、いくら買い物すると駐車料金が無料となるかなどの情報)の内容を表示部7に表示するように構成したので、上記駐車場に関する施設の特典の情報の内容をユーザーが容易に認識することができ、ユーザーに最適な駐車場を案内することが可能となり、使い勝手が良くなる。
【0025】
また、上記構成の場合、現在地から選択された駐車場まで、または、選択された駐車場内の所定の位置までの経路を計算して経路案内するように構成したので、選択された駐車場に、または、選択された駐車場が広い場合にその駐車場内の所定の位置に容易に到達することができる。
【0026】
更に、上記実施例においては、駐車場から施設までの経路を歩道を優先して経路計算して経路案内するように構成したので、駐車場から施設までの経路が不明確であったり、遠くても、ユーザーは迷うことなく施設へ到達することができる。
【0027】
尚、上記実施例においては、駐車場の情報を表示部7に表示するに際して、図3に示すように、駐車場毎に情報を表示するように構成したが、これに限られるものではなく、施設と契約された全ての駐車場の情報を一覧表にして表示部7に表示するように構成しても良い。このように構成した場合、ユーザーは、表示部7に表示された一覧表の中から所望の(最適な)駐車場を選択するようにすれば良い。そして、この構成の場合、一覧表の中の駐車場の順序は、無料駐車時間の長い順、或は、施設までの距離が短い順などとしても良い。
【0028】
また、駐車場を選択するときに(図2のステップS3)、ユーザーが購買する予定の金額を入力可能なように構成して、購買金額と所要時間(駐車場から施設まで歩く時間)等からユーザーが施設に滞在できる時間を、各駐車場毎に計算して表示するように構成しても良い。このように構成すると、ユーザーによる最適な駐車場の選択がより一層容易になる。
【0029】
更に、上記実施例において、施設と契約された駐車場の情報として、車両の高さ制限の他の車両サイズの制限や、駐車場から施設まで歩く時間や、クレジットカードの利用の可否や、空状況(VICS等から取得可能な情報)の各情報を表示するように構成しても良い。このように構成すると、最適な駐車場を選択し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例を示すカーナビゲーション装置のブロック図
【図2】フローチャート
【図3】地図と駐車場情報の表示例を示す図
【図4】データベースのデータ構造を示す図
【符号の説明】
【0031】
図面中、1はカーナビゲーション装置、2は制御回路(経路計算手段、表示制御手段)、5は通信装置、6は地図データ入力部(データベース)、6bは施設情報データベース、6cは駐車場情報データベース、7は表示部(表示手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、この表示手段に施設と契約された駐車場の情報を表示する表示制御手段とを備えたカーナビゲーション装置において、
前記表示制御手段は、前記駐車場の情報を表示するときに、前記施設を利用した場合の前記駐車場に関する少なくとも特典情報の内容が表示されるように構成されていることを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
現在地から選択された駐車場まで、または、前記選択された駐車場内の所定の位置までの経路を計算する経路計算手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路計算手段は、現在地から駐車場の入り口を経由して前記駐車場内の所定の位置までの経路を計算するように構成されていることを特徴とする請求項2記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、駐車場から施設までの距離や方向等の情報を含む案内情報を表示するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1記載のカーナビゲーション装置において使用されるデータベースにおいて、
多数の施設の情報から構成されるものであって、契約した駐車場を有する施設の情報には、前記契約した駐車場の情報が含まれている施設情報データベースと、
多数の駐車場の情報から構成されるものであって、施設と契約された駐車場の情報には、前記施設を利用した場合の前記駐車場に関する特典の情報が含まれている駐車場情報データベースとを備え、
前記施設情報データベースと前記駐車場情報データベースとをリンクさせるように構成したことを特徴とするデータベース。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−201020(P2006−201020A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12623(P2005−12623)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】