説明

カーボンナノチューブのインクジェット塗布

微粒子、有機材料、非有機材料、または溶媒と混合されていることがある、または混合されていないことがあるカーボンナノチューブが、基板上に堆積されて、冷陰極を形成する。カーボンナノチューブ混合物の堆積は、インクジェット印刷プロセスまたはスクリーン印刷プロセスを使用して行われることがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、カーボンナノチューブに関し、詳細には、電界放出用途でのカーボンナノチューブの利用に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、電界放出用途で多く使用されている。カーボンナノチューブ(CNT)には、2つの族、すなわち単層ナノチューブ(SWNT)と多層ナノチューブ(MWNT)とがある。どちらの材料も、長く(11〜10000ミクロン)、細い(直径0.001〜0.1ミクロン)。この高い縦横比、およびそれらが半導電性または金属性であることが、それらを電界放出用途のための理想的な候補にする。これらの材料からの電界放出は、印加される電界に平行にCNT繊維が整列される場合に、さらに改善される。また、適切な基板材料上に低温でCNT材料を塗布し、大規模製造に適した方法を使用してこれらの材料を整列させる安価な方法が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明、およびその利点のより完全な理解のために、ここで、添付図面に関連してなされる以下の説明を参照する。
【0004】
以下の説明では、本発明の完全な理解を可能にするために、特定の陰極構成などいくつかの特定の詳細を記載する。しかし、そのような特定の詳細を用いずに本発明が実施されることもあることは当業者に明らかであろう。他の例では、よく知られている回路は、不必要な詳細で本発明を不明瞭にしないようにブロック図の形態で図示されている。ほとんどの部分に関して、タイミング考慮などに関する詳細は、そのような詳細が本発明の完全な理解を得るために必要なく、かつ当業者の技術範囲内にあるので、省かれている。
【0005】
ここで図面を参照すると、図面中、図示されている要素は、必ずしも寸法を合わせて示されておらず、同一または同様の要素は、いくつかの図を通じて同じ参照番号で表されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本発明は、再現可能であり安価な様式で、ほぼ任意の基板材料上にCNT材料を塗布し、CNT繊維を電界放出のために活性化する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
カーボンナノチューブ粉末の原材料は、Carbon Nanotechnologies, Incからの精製された単層カーボンナノチューブ(SWNT)粉末(Part #HPR92 S13)であってよい。これらのSWNTは、直径が約1nmであり、長さが100nmよりも長かった。しかし、本発明で使用するためのカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、金属性、半導電性、または絶縁性カーボンナノチューブ、(表面上の金属、合金で被覆された)金属被覆カーボンナノチューブなどの機能性カーボンナノチューブ、およびアルカリ材料処理カーボンナノチューブ(表面上に吸着された低仕事関数材料)、またはこれらの前述のカーボンナノチューブタイプの混合物であってよい。CNTを除いては、炭素から触媒をなくすためにCNT材料を精製する必要はない。
【0008】
カーボンナノチューブは非常に強いファンデルワールス力を受け、その結果、幅および長さに沿って互いに付着されたカーボンナノチューブ群を含むロープを形成する。一般に、束状のそのようなCNTは、様々なナノメーター直径を有し、長さが2〜20マイクロメートルの範囲にあり、またはそれよりも大きい。インクジェットプロセスのための良好なインクを得るために、そのような束は、さらに分散される必要があることがある。1つの方法は、CNT材料を、より短い長さに粉砕することである。また、カーボンナノチューブに非常に良く作用する有機または非有機の多くのタイプの分散剤が存在する。追加のより強い分散剤または機械的な攪拌などが、ロープ内のカーボンナノチューブを分散するために必要とされることがある。その結果、滑らかで均質であり、インクジェットプロセスおよび機器と適合する適正な粘性を有するインクが得られる。これは、材料性質のより良い制御を可能にする。いくつかの場合には、粉砕を用いずに満足な結果が実現されることがある。
【0009】
CNT束を粉砕するために、典型的なボールミルが使用された。図1は、そのようなボールミルの概略図である。この機械の速度は、約50〜60rpm(毎分回転数)である。この方法では、0.2gのCNT束と、40〜100個のAl2O3ボール(直径5〜10mm)とが、200〜300mlのIPA(イソプロピルアルコール)中に混合された。混合物は、CNTを分散するために1〜7日間粉砕された。また、界面活性剤(Triton(商標)X-100、100mlのIPA当たり約1滴、ドデシルベンゼンナトリウム)または他の種類の材料を、CNTのより良い分散を実現するために混合物に添加することもできる。
【0010】
他の溶媒を、IPAの代わりに使用することができる(例えばアセトン)。また、溶媒の混合物を使用することもできる。CNTは、水、IPA、アセトン、MeOHなどの無機溶媒、またはそのような溶媒の混合物と混合することができる。また、CNTは、ビヒクル、エポキシなどの有機溶媒、またはそのような溶媒の混合物と混合することもできる。さらに、CNTは、無機および有機溶媒の両方と混合することもできる。IPAは安価であり、それほど有害または有毒というわけではなく、比較的低温で乾燥させることができる。また、CNTは、溶媒、およびナノ微粒子などの微粒子と混合することもできる。微粒子は、CNT溶媒溶液中に混合することもでき、微粒子のサイズは、ナノ、ミクロ、またはさらに長いサイズであってよい。微粒子は、金属(Ag、Cu、Auなど)、合金(Ni-Ti、Al-Tiなど)、半導体(Si、TiO2など)、絶縁体(ガラス、Al2O3など)、ポリマー、粘土の微粒子、または前述した任意の微粒子の混合物であってよい。
【0011】
CNTは、簡単に凝集する(互いに付着する)ことがあるので、CNTを基板上に噴霧する前に、CNT溶液に対して超音波混合プロセスが行われて、CNTを再び分散した。カーボンナノチューブをさらに分散するために、Sonics and Materials Inc. (Danbury, CT)によって製造された超音波装置が使用された。IPAが約40℃まで暖まり始めるまで、フルパワーで3〜5分間であった。また、溶液に超音波エネルギーを加える他の手段が試行されることもある。それにより、インクジェット印刷プロセス前またはプロセス中に、混合物を攪拌、超音波処理、または他の処置をして混合物を分散することができ、インクジェットノズルの詰まりを回避し、カーボンナノチューブコーティングの均一性を保つ。また、混合物は、印刷プロセス中に加熱または冷却することもできる。
【0012】
溶液中でCNTを分散する他の手段が使用されることもある。高い剪断力を加える機械を使用して、CNTを分散することができる。これらの機械は、溶液の噴流を堅い表面に当て、または溶液内に戻して、大きなキャビテーション力および大きな剪断力を生み出し、これが、CNTの凝集塊を引き離す助けとなる。界面活性剤またはポリマーが溶液に添加されることがあり、ナノ微粒子を一体に保持する結合力を弱め、また、ナノ微粒子が分離された後にそれらを離したままにする助けとなる。
【0013】
次に、プロセスは、基板上へのCNT混合物の噴霧に関わる。この方法では、CNT混合物は、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、有機物、および半導体など様々な種類の基板上に噴霧することができる。基板は、導電性、絶縁性、または半導電性のパターン形成層で被覆することができ、いくつかの領域に導電性を提供し、他の領域に電気絶縁または選択された電気抵抗を提供する。これらの層は、印刷法(厚膜)を使用して、または蒸着、スパッタリング、もしくは他の薄膜法によって堆積することができる。追加される層の追加のパターン形成のために、標準のフォトリソグラフィパターン形成および/またはエッチングプロセスが必要とされることもある。さらに、焼成/硬化/乾燥プロセスの後に基板上にCNTを固着するために、結合剤、はんだ、ガラスフリットなどの低融点材料を混合物に添加することができる。
【0014】
本出願および特許請求の範囲では、「電界エミッタ混合物」は、電界放出性質を有する、インクジェットプロセスを使用して分注することができる任意の混合物を意味することがある。そのような電界エミッタ混合物は、溶媒、分散剤、またはその両方を伴うカーボンナノチューブであってよい。さらに、電界の下で電子を放出することができるナノ材料の任意の混合物が使用されることがある。ナノ材料の混合物は、粘土、粘土微粒子、または有機粘土を伴うカーボンナノチューブであってよい。他のナノ材料は、フラーレン、黒鉛微粒子、非晶質炭素微粒子、ダイヤモンド微粒子など他の形態の炭素、およびダイヤモンドライクカーボンや煤など明確に定義されない形態を含むことがある。他の微粒子は、アルミナ、シリカ、窒化ホウ素、ガラス、または炭化珪素など、絶縁性またはワイドバンドギャップ微粒子を含むことがある。さらに他の微粒子は、Siなど、半導電性であってよい。さらに他のものは、Fe、Ni、あるいは導体、半導体、および/または絶縁体の合金など、導電性であってよい。
【0015】
図2を参照すると、より均一であり、良く分散されたCNT溶液コーティングを基板上に得るために、噴霧前に、より多くのIPAを上記の溶液に添加することができる。この方法では、噴霧用のCNT溶液201は、1000mlのIPA中で約0.05gのCNTであってよい。濃縮ガス203が、噴霧器202を充填して、噴霧液を生成することができる。CNT混合物206は、シャドウマスク205を使用することによって、選択された領域上に噴霧することができる。予期されない領域に溶液206が流れるのを防止するために、基板204は、噴霧プロセス中、表側と裏側との両方で50℃〜100℃に加熱することができる。基板204は、CNT混合物206が表面全体を均一に覆うまで複数回、前後または上下に噴霧することができる。CNT206の厚さは、約1〜2μmであってよい。次いで、それらは、空気中で自然に、またはヒートランプ207を使用して乾燥される。また、基板の加熱を使用することもできる。
【0016】
また、インクジェット印刷または他の印刷技法(または任意の他の堆積プロセス)も、CNT混合物を基板に塗布するために使用されることがある。インクジェットプロセスは、大規模製造環境で利点を有する。
【0017】
図15は、本発明のいくつかの実施形態による、CNTおよび微粒子混合物を基板上に堆積することができるスクリーン印刷法を例示する。基板1501が、基板ステージ/チャック1502上に配置され、イメージスクリーンステンシル1503と接触される。次いで、CNTおよび微粒子を備える混合物1504(本明細書で説明される方法を使用して生成されることがある)が、スキージ1505を用いて、イメージスクリーンステンシル1503にわたって「拭われる(wiped)」。その際、CNT混合物1504は、イメージスクリーンステンシル1503にある開口の真下の領域内でのみ基板1501に接触する。次いで、基板ステージ/チャック1502が下降されて、パターン形成された陰極材料を基板1501上に現す。次いで、パターン形成された基板が基板ステージ/チャックから取り外される。
【0018】
図16Aおよび図16Bは、CNT混合物を基板上に堆積するために吐出器またはインクジェットプリンタが使用される実施形態を例示する。図16Aを参照すると、印刷ヘッド1601が、所望の様式で基板1604の上を並進される。基板1604の上を並進されるとき、印刷ヘッド1601は、CNT混合物を備える液滴1602を噴霧する。これらの液滴1602が基板1604に接触すると、それらは、CNTを備える印刷された陰極材料1603を形成する。いくつかの実施形態では、基板1604は、前記液滴中の溶媒の急速な蒸発を行うために加熱される。そのような基板温度は、70〜80℃であってよい。分注中に、熱および/または超音波エネルギーが印刷ヘッド1601に加えられることがある。さらなる複数のヘッドを使用することもできる。
【0019】
図16Bは、絶縁スペーサによって離隔されたウェルを有する基板がパターン形成される別の実施形態を例示する。
【0020】
CNTが基板に塗布された後、いくらかのCNTを表面から除去するために、テーピングプロセスが使用されることがある。この方法では、CNTを表面から除去するために、3M Scotchテープが使用されることがある。しかし、多くの他の多様なテープをこのプロセスに使用することができる。テープは、CNTコーティング上に貼付される。必ずテープとCNTコーティングとの間に空気が存在しないようにすることが重要である。それらの間に空気が存在する場合、その領域にあるCNTは除去されない。ゴムローラを使用してテープをさらに押圧し、界面での空気ギャップをなくすことができる。最後に、テープは、一端から引き上げることによって取り除かれる。非常に薄いCNT層が基板上に残される。
【0021】
カーボンナノチューブエミッタを活性化する他の方法を使用することができる。これらの方法は、基板にフォームシートを塗布するためにラミネータを使用することを含む。この場合、ラミネータが、フォームシートを基板および炭素被膜の表面に押圧する。いくらかのCNT材料が、フォームシートによって取り上げられ、基板上の残りのCNT材料の放出特性を改善する。他の活性化プロセスは、CNTを活性化するためにレーザを使用することを含む。さらなる他の活性化プロセスは、微粒子で基板の表面をブラストすることを含む。また、CNT被膜を活性化するためにガスプラズマが使用されることもある。
【0022】
図3A〜図3Gは、前述のプロセスをさらに詳細に例示する。図3Aで、基板301が洗浄される。図3Bで、導電性(例えば金属)フィードライン302が、印刷法を使用することによって基板301に加えられる。図3Cで、シャドウマスク303が加えられ、シャドウマスク303の穴は、CNT材料を堆積することが望まれる基板の領域に位置合わせされる。シャドウマスク303を基板301に保持するために、磁石304が使用されることがある。図3Dで、CNT混合物305を上に噴霧するために、前述の噴霧プロセス(図2参照)が使用される。混合物305中の溶媒が蒸発し、CNT材料305を残す。蒸発プロセスを速めるため、およびマスク303の下に混合物が進むのを妨げるために、ヒーター306が、基板301および磁石304の裏側に適用され、別法として、ヒートランプ(図示せず)が表側で使用されることもある。
【0023】
図3Eは、マスク303、磁石304、およびヒーター306が取り除かれた後の冷却陰極を示す。CNT材料305が、フィードライン302上にパターン形成される。必要な場合には、CNT材料305を、さらに乾燥させることがある。
【0024】
図3Fは、陰極の表面へのテープ309の貼付を示し、テープの接着剤がCNT材料305と接触している。テープ309は、テープ基板308に塗布されることがある。コンプライアントローラ307を使用して、テープ309をCNT材料305上にさらに押圧するために、テープの圧延が使用されることもある。
【0025】
図3Gは、テープ309の取外しを示す。これは、基板裏当て308の一端から他端に引き上げることによって行うことができる。したがって、CNT材料305の一部310が除去され、テープ309は、フィードライン302上のCNT材料305を位置合わせさせる。テープ309は廃棄することができる。
【0026】
このプロセスによって作成されるサンプル冷陰極の電界放出画像が、図4に示される。
【0027】
カーボンナノチューブを、全ての種類の接着剤などのホスト材料と混合する技法が知られている(時として、これは「ペースト形態のカーボンナノチューブ」と呼ばれる)。このペーストは、一般に、局所化された放出スポットを画定するために基板に印刷(例えば、スクリーンまたはインクジェット印刷)される。これらの放出スポットでは、カーボンナノチューブは、ペーストと均質に混合される。印刷後の未使用状況では、カーボンナノチューブは、ペーストでランダムな配向を有し、これは、ナノチューブの大部分が、基板の垂直方向に関して様々な角度で向けられ、しかしまた多くの他のカーボンナノチューブが、基板に平行な線の周りでも同様に分布されることを意味する。その結果、基板に関して垂直に向けられていないこれらのカーボンナノチューブの電界放出への寄与は最小、またはゼロである。さらに、材料内での高い濃度の炭素繊維の存在およびランダムな配向が、カーボンナノチューブを含むペーストにおける最適化されていない電界分布を生み出し、その結果、隣接するナノチューブ間の遮蔽効果を生み出すことがある。
【0028】
これらのナノチューブを機械的に、またはその他の方法で再整列させることができるプロセスを有することが望ましく、また、いくつかの場合には、活性デバイスにおける遮蔽効果を低めるためにカーボンナノチューブの密度を低下することが非常に重要となる。このプロセスは、既存の軟質接着剤を利用して実施することができ、すなわち、これらの軟質接着剤で被覆された維持基板を、カーボンナノチューブを含む印刷ペーストの表面に塗布することができ、それにより、上記の軟質接着剤を使用する引張りプロセスにおいて、以下の結果を実現するためにカーボンナノチューブに対して適切な力を及ぼすことができる。
a)垂直に位置合わせされた、または基板の垂線に関して小さな分布を有するカーボンナノチューブの濃度を増加すること。
b)最適なカーボンナノチューブ表面密度を実現するために、いくらかのカーボンナノチューブを混合物から完全に引き出すこと。
c)最適な軟質接着剤を使用することによって、放出領域の表面汚染を最小限に抑え、それでも上の結果aおよびbを実現すること。
【0029】
この技術を利用して、優れた放出結果を得ることができる。図5は、図6A〜図6Bに関してさらに詳細に説明される「ペースト形態のカーボンナノチューブ」プロセスを用いて作成された冷陰極サンプルの電界放出画像を例示する。図6Aで、基板601が洗浄される。図6Bで、導電性(例えば金属)フィードライン602が、印刷法を使用して基板601上に堆積される。図6Cは、あるパターンでフィードライン602上に印刷される、ペースト603と混合されたCNT材料の混合物を示す。ペースト603は、CNT材料、銀ペースト、ガラスフリット、ガラスフリットビヒクル、およびガラスフリットシンナからなることがある。このペーストの例は、0.5グラムのCNT材料、1.4グラムのフリットビヒクル、および1.25グラムの銀ペーストである(銀ペーストは、デュポン(Dupont)製品7713、導体組成であってよく、フリットビヒクルは、デジョーファインケミカル社(Daejoo Fine Chemical Co., Ltd.)からのデジョービークル(Daejoo Vehicle) DJB-715またはピアスアンドスティーブンス(Pierce and Stevens) F1016A02であってよく、CNT材料は、カーボンナノテクノロジー社(Carbon Nanotechnologies, Inc.)によって提供されることがあり、精製され、または未精製であり、CNT材料は、多層または単層であってよい)。
【0030】
図6Dで、裏当て605に塗布された接着剤テープ604が、陰極の表面に貼付されることがあり、それによりテープの接着剤604が、CNTペースト材料603と接触する。均一な接触圧力を加えるために、ローラ606が使用されることがある。図6Eは、一方の側から他方の側に引き剥がすことによって取り外されたテープ604を示す。いくらかのCNT材料ペースト607が、テープ604によって引き剥がされる。このプロセスでは、CNT繊維は、垂直方向に整列され、整列されていないCNT繊維603の密度が減少される。
【0031】
代替のプロセスは、IPA(アルコールまたは他の溶媒)ホスト中での、単層または多層、あるいは単層および多層カーボンナノチューブの混合物の利用である。さらに、カーボンナノチューブとIPAとの溶液を均質化するために、何らかの化学物質が混合物に添加されて、カーボンナノチューブ間の表面力を減少し、最小の束(一体となったカーボンナノチューブの凝集物またはクラスタ)を伴うIPAとの均質な混合物中で、隔離されたカーボンナノチューブを得る。
【0032】
この方法の利点は、この均質な混合物を得ることによって、噴霧プロセスを、版下または他の種類のマスクを通して利用することができることであり、それにより、マスクを通して活性基板上に直接この混合物を噴霧することが、将来の放出部位にカーボンナノチューブを局所化し、これらのカーボンナノチューブの固定は、基板上への噴霧によって実現され、ここで基板温度は50〜100℃である。
【0033】
さらに、所望の放出位置でのカーボンナノチューブの固定後、同じ引張り技法を使用することができ、しかしこのときは、引張り力は、噴霧された材料上の第1の層において露出された全てのカーボンナノチューブに対して、より均一に及ぼされる。その結果、位置合わせプロセスおよびカーボンナノチューブの密度の減少は、より効率的であり、より効果的であり、より制御可能である。
【0034】
図8を参照すると、代替の実施形態が例示されており、ここでは、前述した様式で電子源材料を活性化するために、パターン形成された、またはエンボス加工された活性化表面が使用される。しばしば、電子源を有する陰極板は、平坦な活性面(例えば接着剤テープ)からの活性化をしやすい平坦な表面ではない。したがって、テープが貼付されるとき、この例ではカーボンチューブである電子源材料を適切に活性化することができないことがある。この問題に対処するために、エンボス加工された活性面を使用することができ、それにより接着剤は、各画素部位で電子源材料まで達することができる。さらに、活性化される必要がない領域は、接着剤材料と接触されない。そのようなパターン形成された活性面は、ある領域のみが活性化される必要がある場合、エンボス加工を用いずに使用することもできることに留意されたい。図8では、基板801は、その上にある導電性陰極802のパターンと、パターン形成された絶縁体804とを有し、絶縁体804の上に金属ゲート805が堆積されている。次いで、カーボンナノチューブ803が、陰極802の上に堆積される。カーボンナノチューブ803を活性化するために、接着剤807が、裏当てフィルム806の上にエンボス加工されることがあり、それにより接着剤807は、絶縁体804の壁の内部のカーボンナノチューブ803まで達する。
【0035】
本発明を実施するための代表的なハードウェア環境が図7に示され、図7は、従来のマイクロプロセッサなど中央処理装置(CPU)710と、システムバス712を介して相互接続されたいくつかの他のユニットとを有する本発明によるデータ処理システム713の例示的なハードウェア構成を例示する。データ処理システム713は、ランダムアクセスメモリ(RAM)714と、読出し専用メモリ(ROM)716と、ディスクユニット720およびテープドライブ740などの周辺デバイスをバス712に接続するための入出力(I/O)アダプタ718と、キーボード724、マウス726、および/またはタッチスクリーンデバイス(図示せず)など他のユーザインターフェースデバイスをバス712に接続するためのユーザインターフェースアダプタ722と、データ処理システム713をデータ処理ネットワークに接続するための通信アダプタ734と、バス712をディスプレイデバイス738に接続するためのディスプレイアダプタ736とを含む。CPU710は、図示されない他の回路を含むことがあり、この回路は、例えば実行ユニット、バスインターフェースユニット、演算論理ユニットなど、マイクロプロセッサ内部で一般に見られる回路を含む。また、CPU710は、単一の集積回路に常駐していてもよい。ディスプレイデバイス738は、本明細書で説明されるディスプレイ技術を実装することができる。
【0036】
ナノチューブを成長させるためにCVDを利用し、あるいはナノチューブを噴霧し、またはペースト内に混合し、次いで、電子電界放出のために基板に塗布すると、電子放出電流が、基板上に塗布されたときのカーボンナノチューブ密度に強く関係付けられることは明らかである。表面を活性化することによって(例えば、いくらかのカーボンナノチューブ材料を除去するために接着剤テープを使用することによって)、より良い電子放出特性を実現することができることが分かっている。例えば、シリコンウェハ上の噴霧およびペーストカーボンナノチューブの4つの例が作成され、各グループからウェハの1つが活性化され、1つのウェハが比較標準として保たれた。次いで、これらが検査されて、ナノチューブが、ハイパワーSEM画像から平方面積当たりで数えられた。図9は、ペースト比較標準ウェハからのSEM写真を例示し、図10は、ペースト活性化ウェハを例示する。図11は、噴霧活性化ウェハを例示する。以下の表は、試料それぞれに関する平方センチメートル当たりのCNT密度を示す。
【0037】
【表1】

【0038】
図12を参照すると、所与の電界で、活性化されたデバイスからの放出は、非活性化デバイスの放出よりもはるかに良かった。SEM写真は、活性化後のカーボンナノチューブ密度が非活性化試料の約1%〜10%であることを示している。電界放出は、平方センチメートル当たりのCNT密度が1×1010未満である場合に改善される。したがって、放出電流は、カーボンナノチューブ密度に反比例する。図13は、非活性化画素の部位からの電界放出を示し、図14は、活性化画素の部位からの発光を示す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態によるプロセスを例示する図である。
【図2】基板にカーボンナノチューブを塗布するためのプロセスを例示する図である。
【図3A】本発明の実施形態によるプロセスを例示する図である。
【図3B】本発明の実施形態によるプロセスを例示する図である。
【図3C】本発明の実施形態によるプロセスを例示する図である。
【図3D】本発明の実施形態によるプロセスを例示する図である。
【図3E】本発明の実施形態によるプロセスを例示する図である。
【図3F】本発明の実施形態によるプロセスを例示する図である。
【図3G】本発明の実施形態によるプロセスを例示する図である。
【図4】本発明によるプロセスを用いて作成されるサンプルの電界放出画像を例示する図である。
【図5】本発明による実施形態の1つを用いて作成されるサンプルの電界放出画像を例示する図である。
【図6A】基板にカーボンナノチューブを塗布するための本発明によるプロセスを例示する図である。
【図6B】基板にカーボンナノチューブを塗布するための本発明によるプロセスを例示する図である。
【図6C】基板にカーボンナノチューブを塗布するための本発明によるプロセスを例示する図である。
【図6D】基板にカーボンナノチューブを塗布するための本発明によるプロセスを例示する図である。
【図6E】基板にカーボンナノチューブを塗布するための本発明によるプロセスを例示する図である。
【図7】本発明に従って構成されるデータ処理システムを例示する図である。
【図8】本発明の実施形態による電子源材料を活性化するための別のプロセスを例示する図である。
【図9】ペーストとして塗布されたシリコンウェハ上のカーボンナノチューブを例示する図である。
【図10】ペーストとして塗布されて活性化されたシリコンウェハ上のカーボンナノチューブを例示する図である。
【図11】噴霧法を使用して塗布されたカーボンナノチューブを例示する図である。
【図12】活性化および非活性化カーボンナノチューブに関する電流対電界のグラフを例示する図である。
【図13】非活性化された画素の放出部位の画像を例示する図である。
【図14】本発明による活性化された画素からの放出部位の画像を例示する図である。
【図15】基板上へのCNTおよび微粒子混合物の堆積に使用することができるスクリーン印刷デバイスを例示する図である。
【図16A】基板上にCNTおよび/または微粒子混合物を堆積するために分注またはインクジェット印刷を使用することができる方法を例示する図である。
【図16B】基板上にCNTおよび/または微粒子混合物を堆積するために分注またはインクジェット印刷を使用することができる方法を例示する図である。
【符号の説明】
【0040】
201 CNT溶液
202 噴霧器
203 濃縮ガス
204 基板
205 シャドウマスク
206 CNT混合物
207 ヒートランプ
208 ヒーター
306 ヒーター
710 中央処理装置
712 システムバス
713 データ処理システム
714 RAM
716 ROM
718 入出力アダプタ
720 ディスクユニット
722 ユーザインターフェースアダプタ
724 キーボード
726 マウス
734 通信アダプタ
736 ディスプレイアダプタ
738 ディスプレイデバイス
801 基板
802 金属陰極
803 カーボンナノチューブ
804 絶縁体
805 金属ゲート
806 裏当てフィルム
807 接着剤
1501 基板
1502 基板ステージ/チャック
1503 イメージスクリーンステンシル
1504 混合物
1505 スキージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット吐出器を使用して基板上に電界エミッタ混合物を選択的に堆積する段階を含む、電界放出陰極を製造する方法。
【請求項2】
前記電界エミッタ混合物が、さらに、カーボンナノチューブを備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電界エミッタ混合物が、さらに、カーボンナノチューブおよび溶媒を備える請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電界エミッタ混合物が、さらに、カーボンナノチューブおよび他のナノ微粒子を備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
電界エミッタ混合物を収容するリザーバと、
事前定義されたパターンで基板上に前記電界エミッタ混合物を選択的に堆積するための、前記リザーバに接続されたインクジェットプリンタと
を備える装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【公表番号】特表2008−542980(P2008−542980A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510214(P2008−510214)
【出願日】平成18年5月5日(2006.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/017208
【国際公開番号】WO2006/121772
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(505131522)アプライド・ナノテック・ホールディングス・インコーポレーテッド (27)
【Fターム(参考)】