説明

カーボンナノチューブ織物及びそれを利用したヒーター

【課題】加熱効率と加熱強度が高いカーボンナノチューブ織物及びそれを利用したヒーターを提供する。
【解決手段】カーボンナノチューブ織物は、シート状または糸状の紡織材料と、複数のカーボンナノチューブからなるフィルム状または糸状のカーボンナノチューブ構造体と、からなる。前記紡織材料及び前記カーボンナノチューブ構造体は前記カーボンナノチューブ織物の縦糸及び横糸を構成している。前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接続して、カーボンナノチューブワイヤ又はカーボンナノチューブフィルム143aとなっていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ織物及びカーボンナノチューブ織物を利用したヒーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱のために用いられる織物は、加熱素子及び少なくとも二つの電極を備え、前記二つの電極は、前記加熱素子の表面に、互いに間隔をおいて配置され、且つ前記加熱素子に電気的に接続される。前記電極を通じて、前記加熱素子に電圧が印加される場合、前記加熱素子は、熱を生成する。
【0003】
前記加熱素子は、タングステンなどの金属系又は炭素繊維からなる。金属材料は、良好な電導性を有するので、金属系からなる前記加熱素子には低電圧を印加しても、高エネルギーの熱を放出することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、“Spinning continuous carbon nanotube yarns”、Nature、2002年、第419巻、p.801
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、金属系は酸化しやすいので、前記加熱できる織物の使用寿命が短い。さらに、金属材料の密度が高いので、金属系からなる前記加熱素子の重量は重い。従って、金属系からなる前記加熱素子の応用範囲は狭くなる。更に、金属系からなる前記加熱素子は、曲げや折りによって容易に壊れてしまい、希望の形に曲げることが難しく、その耐久性に影響を与える。一方で、炭素繊維からなる加熱素子の、加熱効率と加熱強度は低いので、省エネ対策と環境保護問題に利点がない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、前記課題を解決するために、本発明は加熱効率と加熱強度が高いカーボンナノチューブ織物及びそれを利用したヒーターを提供する。
【0007】
本発明のカーボンナノチューブ織物は、シート状または糸状の紡織材料と、複数のカーボンナノチューブからなるフィルム状または糸状のカーボンナノチューブ構造体と、からなる。前記紡織材料及び前記カーボンナノチューブ構造体は前記カーボンナノチューブ織物の縦糸及び横糸を構成している。
【0008】
前記紡織材料は、シート状又は糸状である。
【0009】
前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接続して、カーボンナノチューブワイヤ又はカーボンナノチューブフィルムになる。
【0010】
本発明のヒーターは、カーボンナノチューブ織物及び少なくとも二つの電極を含む。前記カーボンナノチューブ織物は、シート状または糸状の紡織材料と、複数のカーボンナノチューブからなるフィルム状または糸状のカーボンナノチューブ構造体と、からなる。前記紡織材料及び前記カーボンナノチューブ構造体は前記カーボンナノチューブ織物の縦糸及び横糸を構成している。前記少なくとも二つの電極から前記カーボンナノチューブ織物へ電流を流すと、前記複数のカーボンナノチューブは熱を放出する。
【0011】
本発明の発熱用積層体は、カーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブフィルム構造体と、該カーボンナノチューブフィルム構造体の両側に積層されたシート状の紡織材料とを具備している。
【発明の効果】
【0012】
従来の技術と比べて、本発明のカーボンナノチューブ織物及びそれを利用したヒーターは、複数のカーボンナノチューブを含んでおり、前記カーボンナノチューブは、良好な強度と靭性を有するので、前記カーボンナノチューブ織物の力学性能、靭性、及び機械強度が良い。前記カーボンナノチューブ織物及びそれを利用したヒーターの使用寿命は長くなる。一方で、前記加熱素子におけるカーボンナノチューブは理想な黒体構造を有するので、前記カーボンナノチューブ織物を利用したヒーターは、広い熱輻射の範囲及び高い熱転換率を有する。且つ、前記ヒーターは、優れた加熱性能及び良好な熱伝導性を有する。複数のカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ構造体は薄く、その単位面積当たりの熱容量が低いので、前記カーボンナノチューブ織物及びそれを利用したヒーターの熱応答は速く、エネルギー消費が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】図1中のカーボンナノチューブフィルムのカーボンナノチューブセグメントの構造を示す図である。
【図3】図1に示すカーボンナノチューブフィルムを引き出す見取り図である。
【図4】非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】カーボンナノチューブが配向して配置されるプレシッド構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】カーボンナノチューブが配向せずに配置されるプレシッド構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】綿毛構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】本発明実施例1のカーボンナノチューブ織物の一つの構造を示す図である。
【図10】図9に示すカーボンナノチューブ織物のカーボンナノチューブワイヤ構造体の一つの構造を示す図である。
【図11】図9に示すカーボンナノチューブ織物のカーボンナノチューブワイヤ構造体のもう一つの構造を示す図である。
【図12】本発明実施例1のカーボンナノチューブ織物のもう一つの構造を示す図である。
【図13】本発明実施例2のヒーターの一つの構造を示す図である。
【図14】図13のXIV−XIVを沿った断面図である。
【図15】本発明実施例2のヒーターのもう一つの構造を示す図である。
【図16】本発明のヒーターを採用したインソールの構造を示す図である。
【図17】本発明のヒーターを採用した帽子の構造を示す図である。
【図18】本発明のヒーターを採用した毛布の構造を示す図である。
【図19】本発明のヒーターを採用した理学療法器の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0015】
(実施例1)
本実施例は、カーボンナノチューブ織物を提供する。前記カーボンナノチューブ織物は、紡織材料と、複数のカーボンナノチューブと、を含む。前記複数のカーボンナノチューブは、前記紡織材料に付着されている。
【0016】
前記紡織材料は、綿、麻、ナイロン、スパンデックス、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、羊毛、シルク及び炭素繊維など紡織材料のいずれか一種からなり、シート状又は糸状に形成されている。前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接続して、カーボンナノチューブ構造体に形成されている。
【0017】
前記カーボンナノチューブ構造体は、分子間力で緊密に接続した複数のカーボンナノチューブを含む。前記カーボンナノチューブ構造体は、自立構造の薄膜の形状に形成されている。ここで、自立構造とは、支持体材を利用せず、前記カーボンナノチューブ構造体を独立して利用することができるという形態のことである。すなわち、前記カーボンナノチューブ構造体を対向する両側から支持して、前記カーボンナノチューブ構造体の構造を変化させずに、前記カーボンナノチューブ構造体を懸架させることができることを意味する。例えば、カーボンナノチューブワイヤ構造体又はカーボンナノチューブフィルム構造体である。前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径は0.5nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径は1nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径は1.5nm〜50nmに設定される。該カーボンナノチューブ構造体は大きな比表面積(例えば、100m/g以上)を有する。該カーボンナノチューブ構造体の単位体積当たりの熱容量は、0(0は含まず)〜2×10−4J/cm・Kであるが、好ましくは、0(0は含まず)〜1.7×10−6J/cm・Kであり、本実施例では、1.7×10−6J/cm・Kである。前記カーボンナノチューブ構造体の熱容量が小さいので、前記カーボンナノチューブ構造体からなる加熱部品の熱応答速度が速く、物体への加熱時間を短縮させる。
【0018】
前記カーボンナノチューブ構造体には、複数のカーボンナノチューブが均一に分散されている。該複数のカーボンナノチューブは分子間力で接続されている。前記カーボンナノチューブ構造体には、前記複数のカーボンナノチューブが配向し又は配向せずに配置されている。前記複数のカーボンナノチューブの配列方式により、前記カーボンナノチューブ構造体は非配向型のカーボンナノチューブ構造体及び配向型のカーボンナノチューブ構造体の二種に分類される。本実施例における非配向型のカーボンナノチューブ構造体では、カーボンナノチューブが異なる方向に沿って配置され、又は絡み合っている。配向型のカーボンナノチューブ構造体では、前記複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列している。又は、配向型のカーボンナノチューブ構造体において、配向型のカーボンナノチューブ構造体が二つ以上の領域に分割される場合、各々の領域における複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されている。この場合、異なる領域におけるカーボンナノチューブの配列方向は異なる。
【0019】
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚の、厚さが0.5nm〜10μmであるカーボンナノチューブフィルム、少なくとも一本の、直径が0.5nm〜10μmであるカーボンナノチューブワイヤ、又は前記カーボンナノチューブフィルム及びカーボンナノチューブワイヤを組み合わせて形成された物である。前記カーボンナノチューブ構造体が、複数のカーボンナノチューブワイヤからなる場合、前記複数のカーボンナノチューブワイヤは、間隔をおいて平行するように配置されることができ、又は、互いに交叉するように配置されることができ、又は、隙間なく並列されることもできる。
【0020】
本発明のカーボンナノチューブ構造体としては、以下の(一)〜(四)のものが挙げられる。
【0021】
(一)ドローン構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、超配列カーボンナノチューブアレイ(非特許文献1を参照)から引き出して得られたドローン構造カーボンナノチューブフィルム(drawn carbon nanotube film)である。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、端と端が接続されている(図3を参照)。即ち、単一の前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で長さ方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。また、前記複数のカーボンナノチューブは、前記カーボンナノチューブフィルムの表面に平行して配列されている。図1及び図2を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルム143aは、複数のカーボンナノチューブセグメント143bを含む。前記複数のカーボンナノチューブセグメント143bは、長さ方向に沿って分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメント143bは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145を含む。単一の前記カーボンナノチューブセグメント143bにおいて、前記複数のカーボンナノチューブ145の長さが同じである。前記カーボンナノチューブフィルム143aを有機溶剤に浸漬させることにより、前記カーボンナノチューブフィルム143aの強靭性及び機械強度を高めることができる。有機溶剤に浸漬された前記カーボンナノチューブフィルムの単位面積当たりの熱容量は低くなるので、その加熱効果を高めることができる。前記カーボンナノチューブフィルム143aの幅は100μm〜10cmに設けられ、厚さは0.5nm〜100μmに設けられる。
【0022】
前記カーボンナノチューブ構造体は、積層された複数の前記カーボンナノチューブフィルムを含むことができる。この場合、隣接する前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で結合されている。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、それぞれ0°〜90°の角度で交差している。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが0°以上の角度で交差する場合、前記カーボンナノチューブ構造体に複数の微孔が形成される。又は、前記複数のカーボンナノチューブフィルムは、隙間なく並列されることもできる。
【0023】
前記カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、カーボンナノチューブアレイを提供する第一ステップと、前記カーボンナノチューブアレイから、少なくとも、一枚のカーボンナノチューブフィルムを引き伸ばす第二ステップと、を含む。
【0024】
(二)カーボンナノチューブワイヤ
図4を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤは、分子間力で接続された複数のカーボンナノチューブからなる。この場合、一本のカーボンナノチューブワイヤ(非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ)は、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。前記カーボンナノチューブセグメントは、同じ長さ及び幅を有する。さらに、各々の前記カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。前記複数のカーボンナノチューブはカーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。図5を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤをねじり、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。ここで、前記複数のカーボンナノチューブは前記カーボンナノチューブワイヤの中心軸を軸に、螺旋状に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。前記カーボンナノチューブ構造体は、前記非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ、又はそれらの組み合わせのいずれか一種からなる。
【0025】
前記カーボンナノチューブワイヤを形成する方法は、カーボンナノチューブアレイから引き出してなるカーボンナノチューブフィルムを利用する。前記カーボンナノチューブワイヤを形成する方法は、次の三種がある。第一種では、前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの長手方向に沿って、前記カーボンナノチューブフィルムを所定の幅で切断し、カーボンナノチューブワイヤを形成する。第二種では、前記カーボンナノチューブフィルムを有機溶剤に浸漬させて、前記カーボンナノチューブフィルムを収縮させてカーボンナノチューブワイヤを形成することができる。第三種では、前記カーボンナノチューブフィルムを機械加工(例えば、紡糸工程)してねじれたカーボンナノチューブワイヤを形成する。詳しく説明すれば、まず、前記カーボンナノチューブフィルムを紡糸装置に固定させる。次に、前記紡糸装置を動作させて前記カーボンナノチューブフィルムを回転させ、ねじれたカーボンナノチューブワイヤを形成する。
【0026】
(三)プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは、プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム(pressed carbon nanotube film)である。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。前記カーボンナノチューブフィルムは、押し器具を利用することにより、所定の圧力をかけて前記カーボンナノチューブアレイを押し、該カーボンナノチューブアレイを圧力で倒すことにより形成された、シート状の自立構造を有するものである。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向は、前記押し器具の形状及び前記カーボンナノチューブアレイを押す方向により決められている。
【0027】
図6を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向して配列される場合には、該カーボンナノチューブフィルムは、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブを含む。ローラー形状を有する押し器具を利用して、同じ方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを同時に押す場合、基本的に同じ方向に配列されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。また、ローラー形状を有する押し器具を利用して、異なる方向に沿って、前記カーボンナノチューブアレイを同時に押す場合、前記異なる方向に沿って、選択的な方向に配列されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0028】
図7を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向せずに配置される場合には、該カーボンナノチューブフィルムは、等方的に配列されている複数のカーボンナノチューブを含む。隣接するカーボンナノチューブが分子間力で相互に引き合い、接続する。該カーボンナノチューブ構造体が平面等方性を有する。該カーボンナノチューブフィルムは、平面を有する押し器具を利用して、カーボンナノチューブアレイが成長された基板に垂直な方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを押すことにより形成される。
【0029】
前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの傾斜の程度は、前記カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブと該カーボンナノチューブフィルムの表面とは、角度αを成し、該角度αは0°以上15°以下である。好ましくは、前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが該カーボンナノチューブフィルムの表面に平行する(即ち、角度αは0°である)。前記圧力が大きくなるほど、前記傾斜の程度が大きくなる。前記カーボンナノチューブフィルムの厚さは、前記カーボンナノチューブアレイの高さ及び該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。即ち、前記カーボンナノチューブアレイの高さが大きくなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が小さくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが大きくなる。これとは逆に、カーボンナノチューブアレイの高さが小さくなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が大きくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが小さくなる。
【0030】
(四)綿毛構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは綿毛構造カーボンナノチューブフィルム(flocculated carbon nanotube film)である。図8を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、絡み合い、等方的に配列されている。前記カーボンナノチューブ構造体においては、前記複数のカーボンナノチューブが均一に分布されている。複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されている。単一の前記カーボンナノチューブの長さは、100nm以上であり、100nm〜10cmであることが好ましい。前記カーボンナノチューブ構造体は、自立構造の薄膜の形状に形成されている。ここで、自立構造は、支持体材を利用せず、前記カーボンナノチューブ構造体を独立して利用することができるという形態である。前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接近して、相互に絡み合って、カーボンナノチューブネット状に形成されている。前記複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されて、多くの微小な穴が形成されている。ここで、単一の前記微小な穴の直径が10μm以下になる。前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは、相互に絡み合って配置されるので、該カーボンナノチューブ構造体は柔軟性に優れ、任意の形状に湾曲して形成させることができる。用途に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体の長さ及び幅を調整することができる。前記カーボンナノチューブ構造体の厚さは、0.5nm〜1mmである。
【0031】
前記カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、下記のステップを含む。
【0032】
第一ステップでは、カーボンナノチューブ原料(綿毛構造カーボンナノチューブフィルムの素になるカーボンナノチューブ)を提供する。
【0033】
ナイフのような工具でカーボンナノチューブを基材から剥離し、カーボンナノチューブ原料が形成される。前記カーボンナノチューブは、ある程度互いに絡み合っている。前記カーボンナノチューブの原料においては、該カーボンナノチューブの長さは、100マイクロメートル以上であり、10マイクロメートル以上であることが好ましい。
【0034】
第二ステップでは、前記カーボンナノチューブ原料を溶剤に浸漬し、該カーボンナノチューブ原料を処理して、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を形成する。
【0035】
前記カーボンナノチューブ原料を前記溶剤に浸漬した後、超音波式分散、又は高強度攪拌又は振動などの方法により、前記カーボンナノチューブを綿毛構造に形成させる。前記溶剤は水または揮発性有機溶剤である。超音波式分散方法の場合、カーボンナノチューブを含む溶剤に対して10〜30分間処理する。カーボンナノチューブは大きな比表面積を有し、カーボンナノチューブの間に大きな分子間力が生じるので、前記カーボンナノチューブはそれぞれもつれて、綿毛構造に形成されている。
【0036】
第三ステップでは、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶液をろ過して、最終的な綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を取り出す。
【0037】
まず、濾紙が置かれたファネルを提供する。前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶剤を濾紙が置かれたファネルにつぎ、しばらく放置して、乾燥させると、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体が分離される。図8を参照すると、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブが互いに絡み合って、不規則的な綿毛構造となる。
【0038】
分離された前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を容器に置き、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を所定の形状に展開し、展開された前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体に所定の圧力を加え、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体に残留した溶剤を加熱させるか、或いは、該溶剤を自然に蒸発させると、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0039】
前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体が展開される面積によって、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの厚さと面密度を制御できる。即ち、一定の体積を有する前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体は、展開される面積が大きくなるほど、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの厚さと面密度が小さくなる。
【0040】
また、微多孔膜とエアーポンプファネル(Air−pumping Funnel)を利用して綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。具体的には、微多孔膜とエアーポンプファネルを提供し、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶剤を、前記微多孔膜を通して前記エアーポンプファネルにつぎ、該エアーポンプファネルに抽気し、乾燥させると、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。前記微多孔膜は、平滑な表面を有する。該微多孔膜において、単一の微小孔の直径は、0.22マイクロメートルにされている。前記微多孔膜は平滑な表面を有するので、前記カーボンナノチューブフィルムは容易に前記微多孔膜から剥落することができる。さらに、前記エアーポンプを利用することにより、前記綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムに空気圧をかけるので、均一な綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムを形成させることができる。
【0041】
図9を参照すると、一つの例として、本実施例のカーボンナノチューブ織物16は、少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤ構造体160と、少なくとも一本の基線162からなる。前記基線162は、紡織材料からなる。前記基線162を縦糸または横糸のどちらか一方とすることもできるし、縦糸及び横糸の両方とすることもできる。同様に、カーボンナノチューブワイヤ構造体160を横糸または縦糸のどちらか一方とすることもできるし、横糸及び縦糸の両方とすることもできる。前記カーボンナノチューブ織物16は、前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160及び前記基線162を織って形成されたものである。前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160及び前記基線162を織る方法に対しては特に制限がなく、例えば、前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160及び前記基線162は、平織り、斜文織又は繻子織などの方法によって織られることができる。前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160を、前記カーボンナノチューブ織物16の所定領域だけに配置させることができる。
【0042】
前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160は、前記カーボンナノチューブ織物16に均一的に配列することができる。隣接する前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160の間の距離、又は隣接する前記基線162の間の距離は、0〜30μmである。本実施例において、前記カーボンナノチューブ織物16における前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160の間の距離は全て、16μmである。
【0043】
前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160は、少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤ161を含む。図10及び図11を参照すると、例えば、前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160が複数の前記カーボンナノチューブワイヤ161を含んでいる場合、前記複数のカーボンナノチューブワイヤ161は、前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160の中心軸に平行して配列され、又は前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160の中心軸を軸に、螺旋状に配列される。前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160は、複数のカーボンナノチューブを含む自立構造を有するものである。前記カーボンナノチューブワイヤ161は、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ又はそれらの組み合わせのいずれか一種からなる。
【0044】
例えば、前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160は、少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤ161が例えば金属、ポリマー、非金属などの材料と複合されて形成されたカーボンナノチューブ複合ワイヤを含むことができる。カーボンナノチューブは、良好な耐熱性を有するので、前記カーボンナノチューブワイヤ161ポリマーが複合されて形成されたカーボンナノチューブ複合ワイヤは燃えにくく、カーボンナノチューブ織物10の難燃性を増加させる。
【0045】
前記基線162の直径に対しては特に制限がなく、好ましくは、前記基線162の直径は、前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160の直径と同じである。前記基線162は、所定の耐熱性を有することが好ましく、応用によって異なる材料からなる前記基線162を選択する。本実施例において、前記基線162は、綿からなる。
【0046】
図12を参照すると、もう一つの例として、本実施例のカーボンナノチューブ織物16は、カーボンナノチューブ構造体163、第一織物層165a及び第二織物層165b、を含む。前記第一織物層165a及び第二織物層165bは、紡織材料からなり、前記カーボンナノチューブ構造体163の対向する両側に設置している。即ち、前記カーボンナノチューブ構造体163は、前記第一織物層165aと前記第二織物層165bに挟まれて配置される。
【0047】
前記カーボンナノチューブ構造体163は、接着剤によって、又は縫い込み方式によって、前記第一織物層165a及び第二織物層165bの間に固定されている。前記接着剤に対しては特に制限がなく、前記カーボンナノチューブ構造体163が、前記第一織物層165a及び第二織物層165bに緊密に接着すればよい。前記カーボンナノチューブ織物16の耐用性を高めるために、前記接着剤は、良好な防水性を有することが好ましい。
【0048】
(実施例2)
本実施例では、ヒーターを提供する。前記ヒーターは、カーボンナノチューブ織物と、第一電極と、第二電極と、を備えている。前記第一電極及び第二電極は、それぞれ前記カーボンナノチューブ織物に電気的に接続されている。前記カーボンナノチューブ織物は、実施例1のカーボンナノチューブ織物16と同じである。
【0049】
前記第一電極及び第二電極は、金属、合金、酸化インジウムスズ(ITO)又はアンチモンドープ酸化スズ(ATO)などの導体材料からなる。前記金属又は合金は、アルミニウム、銅、タングステン、モリブデン、金、チタン、パラジウム、セシウム、銀などの一種又は数種である。前記第一電極及び第二電極の形状に対しては特に制限がなく、その形状は薄膜状、棒状、線状、ブロック状であることができる。好ましくは、前記第一電極及び第二電極は、それぞれ導線であり、その直径が、0.5nm〜100μmである。本実施例において、前記第一電極及び第二電極は、それぞれ銀導線であり、その直径が5nmである。前記銀導線は、前記カーボンナノチューブ織物に織られるか、縫い込まれることができ、且つ、前記カーボンナノチューブ織物に電気的に接続している。一方で、前記第一電極及び第二電極を、導電接着剤(例えば、導電性銀接着剤、図示せず)を利用して、前記カーボンナノチューブ織物に直接に電気的に接続させることができる。
【0050】
前記第一電極及び第二電極が短絡することを防止するために、前記第一電極と第二電極は、間隔をおいて配置される。前記第一電極及び第二電極が前記カーボンナノチューブ織物に設置される位置は、前記カーボンナノチューブの配列方向と関係がある。前記ヒーターに応用する場合、前記第一電極及び第二電極により、前記ヒーターに電圧を印加した後、前記ヒーターにおける前記カーボンナノチューブ織物は、所定の波長を有する熱を放出することができる。前記カーボンナノチューブ織物におけるカーボンナノチューブは理想な黒体構造を有するので、前記ヒーターは広い熱輻射の範囲及び高い熱転換率を有する。前記カーボンナノチューブ織物におけるカーボンナノチューブは、良好な導電性と熱安定性を有するので、酸化ガスを有する典型的な環境や大気の環境でも、前記ヒーターを安全に露出させることができる。
【0051】
図13及び図14を参照すると、一つの例として、本実施例のヒーター10のカーボンナノチューブ織物16は、少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤ構造体160と、少なくとも一本の基線162を含む場合、第一電極12及び第二電極14は、それぞれ前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160に電気的に接続される。好ましくは、前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160の、一つの端部が、前記第一電極12に電気的に接続され、該端部に対向する端部が前記第二電極14に電気的に接続される。本実施例において、前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160は、前記第一電極12から第二電極14までの方向に沿って配列されている。
【0052】
前記カーボンナノチューブ織物16の面積が一定である場合、前記第一電極12及び第二電極14の間に印加される電圧と、前記カーボンナノチューブ織物16における前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160の直径及び密度と、を調整して、前記カーボンナノチューブ織物16から、異なる波長の電磁波を輻射させることを実現できる。前記第一電極12及び第二電極14の間に印加された電圧が一定である場合、前記カーボンナノチューブ織物16における前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160の直径及び密度が大きくなるほど、前記カーボンナノチューブ織物16から放出される電磁波の波長は短くなる。前記第一電極12及び第二電極14の間に印加された電圧が一定である場合、前記カーボンナノチューブ織物16における前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160の直径及び密度が小さくなるほど、前記カーボンナノチューブ織物16から放出される電磁波の波長はより長くなる。前記カーボンナノチューブ織物16における前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160の直径及び密度が一定である場合、前記第一電極12及び第二電極14の間に印加された電圧が大きくなるほど、前記カーボンナノチューブ織物16から放出される電磁波の波長は短くなる。即ち、前記ヒーター10は可視光線の熱を輻射することができる。前記カーボンナノチューブ織物16における前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160の直径及び密度が一定である場合、前記第一電極12及び第二電極14の間に印加された電圧が小さくなるほど、前記カーボンナノチューブ織物16から放出される電磁波の波長は長くなる。即ち、前記ヒーター10は赤外線の熱を輻射することができる。
【0053】
前記ヒーター10における前記カーボンナノチューブワイヤ構造体160の直径が5mmである場合、前記第一電極12及び第二電極14の間に印加された電圧を10V〜30Vに調整すると、前記加熱素子16から波長の長い電磁波を放出させることができる。この場合、前記ヒーター10の温度が50℃〜500℃になる。理想な黒体構造を有する物体として、カーボンナノチューブが200℃〜450℃の温度に達する場合、前記加熱素子16のカーボンナノチューブワイヤ構造体160は、赤外線の熱を輻射することができる。この場合、前記ヒーター10の、熱輻射が最も安定し、熱転換率が最高である。
【0054】
更に、不活性ガス又は真空環境で、前記ヒーター10に印加された電圧を80V〜150Vに調整すると、前記ヒーター10から波長が短い電磁波を放出させることができる。前記ヒーター10に印加された電圧が150Vより大きい場合、前記ヒーター10は、例えば赤光、黄光などの可視光線を順次的に放出することができる。この場合、前記ヒーター10の温度が1500℃以上になる。前記ヒーター10に印加された電圧が十分に高い場合、前記ヒーター10から、細菌を殺すことができる紫外線の熱が輻射される。カーボンナノチューブは、よい電磁遮蔽特性を持っていので、前記カーボンナノチューブからなる前記ヒーター10は、よい電磁遮蔽特性を有する。従って、前記ヒーター10を、放射線防護服などの分野に使用することができる。
【0055】
図15を参照すると、もう一つの例として、本実施例のヒーター10のカーボンナノチューブ織物16は、カーボンナノチューブ構造体163、紡織材料からなる第一織物層165a及び第二織物層165bを含む場合、前記第一電極12及び第二電極14は、それぞれ前記カーボンナノチューブ構造体163に電気的に接続される。本実施例において、前記カーボンナノチューブ構造体163におけるカーボンナノチューブは、前記第一電極12から第二電極14までの方向に沿って配列されている。
【0056】
前記カーボンナノチューブ構造体163における前記カーボンナノチューブの密度を調整することにより、前記カーボンナノチューブ織物16の異なる領域で抵抗を調整することができ、前記カーボンナノチューブ織物16の各々の領域で放出させる温度を制御することを実現できる。
【0057】
(実施例3)
本実施例は、実施例2のヒーターを利用した加熱装置を提供する。前記加熱装置は、本体と、該本体に埋め込まれたヒーターと、を含んでいる。前記加熱装置の構造に対して特に制限は無く、例えば、前記加熱装置は、加熱可能なインソール、帽子、毛布又は物理療法機器である。
【0058】
図16を参照すると、一つの例として、本実施例の加熱装置は、加熱可能なインソール100である。前記インソール100は、それに埋め込まれている靴底の形状を有するヒーター102を含む。前記インソール100は、更に前記ヒーター102を挟んで配置された靴底の形状を有する二つの表層104を含む。前記ヒーター102は、前記二つの表層104を縫うことにより接合されている。前記ヒーター102は、図13及び図15に示すヒーター10からなる。即ち、前記ヒーター102は、図13又は図15に示すヒーター10を、靴底の形状に裁断されて形成する。前記二つの表層104は、皮膚に快適な織物からなる。前記ヒーター102は、図15に示すヒーター10からなる場合、前記二つの表層104を省略することができる。
【0059】
カーボンナノチューブは、大きな比表面積を有するので、良好な吸着容量を有する。カーボンナノチューブを含むヒーター102は、脱臭効果を持つことができる。さらに、ポリビニルピロリドン(PVP)のような親水基又は親水・親油基を、カーボンナノチューブに導入されることができる。この場合、ヒーター102は吸汗性の機能を持つことができる。従って、脱臭性及び吸汗性を有するインソール100を得る。
【0060】
前記ヒーター102は電磁波を放射するため、電圧を印加することによって、前記インソール100を乾燥させることができる。それ故、前記インソール100は、長期的に濡れた状態で着用されることはない。前記インソール100の足と接触する位置に前記ヒーター102が配置されることで、足に理療の作用を与えることができる。
【0061】
図17を参照すると、一つの例として、本実施例の加熱装置は、加熱可能な帽子200である。前記帽子200は、それに埋め込まれているヒーター202を含む。前記帽子200は、更に前記ヒーター202を挟むように配置された二つの表層204を含む。前記ヒーター202は、図13又は図15に示すヒーター10を、裁断して形成する。
【0062】
前記帽子200に含まれているヒーター202と二つの表層204の構造及び材料は、前記インソール100の構造及び材料と同じである。前記ヒーター202は、前記帽子200の、耳に対応する位置に配置されることができる。前記ヒーター202におけるカーボンナノチューブ又はカーボンナノチューブワイヤ構造体の密度を調整することによって、前記帽子200の異なる位置で温度を制御させる。
【0063】
図18を参照すると、一つの例として、本実施例の加熱装置は、加熱可能な毛布300である。前記毛布300は、それに埋め込まれているヒーター302を含む。前記毛布300は、更に前記ヒーター302を挟むように配置された二つの表層304を含む。前記ヒーター302は、図13又は図15に示すヒーター10を、裁断して形成する。前記毛布300全体に前記ヒーター302が設置されていることが好ましい。
【0064】
図19を参照すると、一つの例として、本実施例の加熱装置は、加熱可能な理学療法器400である。前記理学療法器400は、少なくとも一つの理学療法用バンド402を含む。各々の理学療法用バンド402は、ヒーター404と、前記ヒーター404を挟むように配置された二つの表層406を含む。前記ヒーター404は、図13又は図15に示すヒーター10からなる。前記ヒーター404は、前記理学療法用バンド402のうち、治療する位置によって異なる位置に配置される。例えば、前記理学療法器400は、膝に理学療法を適用する場合、前記ヒーター404は、前記理学療法器400の膝に対応する位置に配置される。
【0065】
前記理学療法器400は、二つの理学療法用バンド402を含む。前記ヒーター404は、前記理学療法用バンド402の局部領域に配置されている。前記理学療法器400を使用する場合、前記理学療法用バンド402を一つの電源408に電気的に接続させる。前記理学療法器400は、超過稼働及び過剰温度などを防止できる保護機能を有する補助設備をさらに含むことができる。
【0066】
本発明のカーボンナノチューブ織物の適用分野に制限はなく、従来の織物で適用される分野にも適用される。例えば、カーボンナノチューブ織物は、衣類に使用される。また、本発明のカーボンナノチューブ織物からなるヒーターは、部屋に掛けられてラジエーターのように使用されることもできる。
【符号の説明】
【0067】
10、102、202、302、404 ヒーター
12 第一電極
14 第二電極
16 カーボンナノチューブ織物
165a 第一織物層
165b 第二織物層
100 インソール
104、204、304、406 表層
160 カーボンナノチューブワイヤ構造体
161 カーボンナノチューブワイヤ
163 カーボンナノチューブ構造体
162 基線
200 帽子
300 毛布
400 理学療法器
402 理学療法用バンド
408 電源
143a カーボンナノチューブフィルム
143b カーボンナノチューブセグメント
145 カーボンナノチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状または糸状の紡織材料と、複数のカーボンナノチューブからなるフィルム状または糸状のカーボンナノチューブ構造体と、からなるカーボンナノチューブ織物であって、
前記紡織材料及び前記カーボンナノチューブ構造体は前記カーボンナノチューブ織物の縦糸及び横糸を構成していることを特徴とするカーボンナノチューブ織物。
【請求項2】
前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接続して、カーボンナノチューブワイヤ又はカーボンナノチューブフィルムになっていることを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ織物。
【請求項3】
カーボンナノチューブ織物及び少なくとも二つの電極を含むヒーターであって、
前記カーボンナノチューブ織物は、シート状または糸状の紡織材料と、複数のカーボンナノチューブからなるフィルム状または糸状のカーボンナノチューブ構造体と、からなり、
前記紡織材料及び前記カーボンナノチューブ構造体は前記カーボンナノチューブ織物の縦糸及び横糸を構成しており、
前記少なくとも二つの電極から前記カーボンナノチューブ織物へ電流を流すと、前記複数のカーボンナノチューブは熱を放出することを特徴とするヒーター。
【請求項4】
カーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブフィルム構造体と、該カーボンナノチューブフィルム構造体の両側に積層されたシート状の紡織材料とを具備したことを特徴とする発熱用積層体。

【図2】
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【図3】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−38238(P2011−38238A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181621(P2010−181621)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】