ガスセンサ
【課題】センサ部と端子部との位置合せを高精度かつ容易に行うことができ、生産性を向上させることのできるガスセンサを得る。
【解決手段】センサ部2の他端部2bに設けた接点部2cをホルダ部3の他端側から突出させ、その接点部2cを碍子5によって覆う。碍子5の内側には、複数の接点部2cにそれぞれ接触する複数の端子部6を設けている。センサ部2の他端部2bと碍子5との間に、センサ部2が碍子5に対してセンサ部2の位置ズレを防止する位置決め部30を設ける。これにより、センサ部2の碍子5に対する取付位置がズレるのが規制され、センサ部2と碍子5との相対位置を、接点部2cと端子部6とが合致する位置に予め設定しておくことにより、センサ部2と碍子5とを組み付けるのみで、接点部2cと端子部6とを高い精度で位置合せすることができる。
【解決手段】センサ部2の他端部2bに設けた接点部2cをホルダ部3の他端側から突出させ、その接点部2cを碍子5によって覆う。碍子5の内側には、複数の接点部2cにそれぞれ接触する複数の端子部6を設けている。センサ部2の他端部2bと碍子5との間に、センサ部2が碍子5に対してセンサ部2の位置ズレを防止する位置決め部30を設ける。これにより、センサ部2の碍子5に対する取付位置がズレるのが規制され、センサ部2と碍子5との相対位置を、接点部2cと端子部6とが合致する位置に予め設定しておくことにより、センサ部2と碍子5とを組み付けるのみで、接点部2cと端子部6とを高い精度で位置合せすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のガスセンサとして、例えば、自動車の内燃機関を制御するために排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサなどがある。このようなガスセンサとして、ガス成分を検出するセンサ部を備え、当該センサ部を排気管に取り付けるホルダ部に嵌挿して保持するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、センサ部の一端部に設けたガス測定部を、ホルダ部に装着したプロテクタで覆って排気管の内部に挿入する一方、センサ部の他端部の外周に設けた接点部を碍子で覆うとともに、碍子に設けた端子部を接点部に接触させるようにしている。
【0004】
そして、ガス測定部で検出したガス成分を、接点部および端子部を介して当該端子部に接続した外部ハーネスによって電気信号として取り出している。
【特許文献1】特開2005−241346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のガスセンサでは、センサ部の他端部を、センサ部の接点部と碍子に設けた端子部とが接触するように碍子に組み付けるため、接点部と端子部との位置合わせに高い精度が要求される。そのため、センサ部を碍子に組み付ける際の作業効率が悪く、ガスセンサの生産性が悪化してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、センサ部と端子部との位置合せを高精度かつ容易に行うことができ、生産性を向上させることのできるガスセンサを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一端部にガス測定部が設けられるとともに、他端部の外周に接点部が設けられたセンサ部と、前記センサ部を嵌挿して保持し、一端側に前記ガス測定部を覆うプロテクタが装着されたホルダ部と、前記接点部に接触する端子部が設けられ、前記ホルダ部の他端側に前記センサ部の他端部を覆うように配設された絶縁体と、を備えるガスセンサにおいて、前記センサ部の他端部と前記絶縁体との間に、前記絶縁体に対する前記センサ部の位置決めを行う位置決め部が設けられていることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、センサ部の他端部と絶縁体との間に位置決め部を設けて、センサ部の絶縁体に対する取付位置がズレるのを防止するようにしたので、位置決め部によって決定されるセンター部と絶縁体との相対位置を、接点部と端子部とが合致する位置に予め設定しておくことにより、センサ部と絶縁体とを位置決め部を介して組み付けるだけで接点部と端子部との位置合せを高い精度で行うことができる。したがって、センサ部の他端部と絶縁体との間に位置決め部を設けるという簡単な構成により、センサ部と絶縁体との組み付けを容易に行うことができ、以て、ガスセンサの生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を具現化した実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、内燃機関を搭載した自動車の排気管に装着された空燃比検出用の酸素センサを例示する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態にかかるガスセンサの縦断面図、図2は、図1のA−A線に沿った拡大断面図、図3は、センサ部を示す図であって、(a)は、センサ部の側面図、(b)は、図3(a)のB−B線に沿った断面図、図4は、センサ部の構成を示す分解斜視図、図5は、センサ部の他端部の先端形状を概略的に示す要部斜視図、図6は、センサ部と碍子とをそれぞれ概略的に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を概略的に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を概略的に示す断面斜視図、図7は、センサ部と碍子とをそれぞれ詳細に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を詳細に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を詳細に示す断面斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態にかかる酸素センサ(ガスセンサ)1は、一端部2a(図1中下端部)にガス測定部2Dが設けられるとともに、他端部2b(図1中上端部)の外周2fに複数の電極部(接点部)2cが露出して設けられた円筒状のセンサ部2を備えており、この電極部2cはガス測定部2Dと電気的に接続されている。このセンサ部2は酸素濃度(ガス成分)を検出するもので、ホルダ部3に嵌挿して保持されるようになっている。
【0012】
センサ部2の一端部2aに設けられたガス測定部2Dは、ホルダ部3の一端側(図1中下端側)から突出しており、このガス測定部2Dはホルダ部3の一端側に装着されたプロテクタ4によって覆われている。このように、プロテクタ4によってセンサ部2を覆うことで、ガス測定部2Dを排気ガス中の異物から保護することができる。
【0013】
また、センサ部2の他端部2bに設けられた電極部2cは、ホルダ部3の他端側(図1中上端側)から突出しており、その電極部2cは絶縁体としての碍子5によって覆われている。碍子5の内側には、複数の電極部2cにそれぞれ接触する鉤状に屈曲した複数の端子部6が設けられており、これら複数の端子部6の間にセンサ部2の他端部2bが嵌合され、当該碍子5の外側をケーシング7により囲繞することで内部を保護している。
【0014】
電極部2cは、図2に示すように、センサ部2の外側に露出するように周方向に等間隔で4箇所配設されており、各電極部2cには、それぞれに対応した4つの端子部6が接触している。各端子部6は、図1に示すように、電極部2cに接触する先端部が略U字状に折曲されて碍子5の内周5cと他端部2bの外周2fとの間に形成される空間部Sの間で挟持されることで弾発力が付与されており、そのU字状先端部6aが碍子5の内周5cに規制されつつ弾発力をもって電極部2cに圧接されることで電気的に接続される。そして、端子部6は、結合部14を介してリード線13内の芯線13aと電気的に接続されている。
【0015】
また、センサ部2の他端部2bは、碍子5の底面5bに対して軸方向に空隙部S1をあけて挿入されるようになっている。よって、センサ部2と碍子5との組み付け時または組み付け後に例えば車両の振動等によってセンサ部2が移動した場合においても、碍子5の底面5bにセンサ部2の他端部2bが接触することがない。
【0016】
ホルダ部3の中心部には、円筒状に形成したセンサ部2を挿通する挿入孔3aが形成されており、その挿入孔3aには、センサ部2の外周2fとホルダ部3との間を圧縮によりシールするシール材としてのセラミック粉8を装填したシール部9が設けられている。
【0017】
また、ホルダ部3には、上部外側に断面六角形状となる六角部3bが形成されているとともに、下部外側に雄ねじ部3cが形成されている。そして、雄ねじ部3cを排気管Eのねじ穴Hに螺合して、六角部3bに工具を嵌合して締め付けることにより、ホルダ部3を排気管Eに固定している。このとき、排気管Eと六角部3bとの間にガスケットGを介在させて、ホルダ部3と排気管Eとの取付部の気密性を確保している。
【0018】
シール部9は、ホルダ部3の挿入孔3aを拡径させて形成したシール材収納スペース10内に充填した耐熱性のセラミック粉8と、セラミック粉8の充填側(図1中上端側)に配置されるスペーサ11と、を備えている。
【0019】
そして、セラミック粉8の上端に配置したスペーサ11を、シール材収納スペース10の開口部周縁部(図1中上端部)の加締め部3dによってセンサ部2の径方向内側に向けて全周加締め等により曲げ加工することで、セラミック粉8を圧縮してセンサ部2とホルダ部3との間をシールするとともに、センサ部2をホルダ部3に位置決めしている。また、シール部9は、ホルダ部3とセンサ部2との間の隙間等を塞ぎ、ホルダ部3内に外部の水分等が浸入するのを遮断するとともに、排気管内の排気ガス等がケーシング7側に侵入するのを遮断する機能を有している。
【0020】
なお、本実施形態では、セラミック粉8として、例えば、ステアタイト、または、未焼結のタルクが使用されており、スペーサ11として、円筒形状のワッシャが用いられている。
【0021】
また、図1に示すように、筒状に形成したケーシング7の上部内側には例えばフッ素ゴム等の耐熱性のシーリングラバー12を圧入して密閉し、そのシーリングラバー12に上述の端子部6に個々に接続した複数(本実施形態では4本)のリード線13を貫通させて外部に導き出している。なお、端子部6の一端部6cとリード線13との結合部14から突出するリード板14aとは、例えばスポット溶接によって結合される。また、ケーシング7はレーザ溶接7bによってホルダ部3の外周に固定されており、レーザ溶接によってケーシング7とホルダ部3との間のシール性を確保している。
【0022】
ケーシング7の内方に収納した碍子5は円筒状に形成されており、碍子5の底部5bには、端子部6の固定部6bを挿入する取付孔15が周方向に等間隔をもって複数(本実施形態ではセンサ部2の周方向に90°おきに4箇所)形成されている。このように、複数の端子部6を周方向に等分配して配置することで、これら複数の端子部6の間に挟持されるセンサ部2を碍子5の中心に配置しやすくしている。
【0023】
なお、碍子5と他端部2bとの間に設けた空間部Sは、シール部9、シーリングラバー12およびケーシング7とホルダ部3との嵌着部分7cによってほぼ気密性が保持されるが、リード線13の芯線13aと被覆材13bとの微少な隙間のみを介して外部と連通し、ケーシング7の内部に酸素濃度検出に用いる基準大気が導入されるようになっている。
【0024】
また、本実施形態では、ホルダ部3の位置決め面3eとケーシング7の縮径段部7aとの間に弾性部材として、略円環状もしくは略C字形状で、断面C字状のCリング16を介在させることで碍子5をホルダ部3の位置決め面3eに固定している。このCリング16は、碍子5とケーシング7との間に挟持されて、弾性的または弾塑性的な反発力を生じさせ、碍子5をケーシング7に対してホルダ部3側、すなわち、軸方向一方側(図1中下側)に押しつける力を生じさせている。これにより、碍子5をホルダ部3の位置決め面3eに強固に固定し、碍子5の軸方向の振動を抑制している。
【0025】
特に、2輪車のような高周波の振動が生じる場合のように、排気管18から伝達される振動のレベルが大きい場合、碍子5および端子部6の変位が増大し、端子部6がへたり易くなる虞があるが、本実施形態では、このCリング16によって、碍子5の振動を抑制するとともに端子部6による碍子5の振動抑制効果と協働して、より端子部6のへたりを抑制することができる。
【0026】
プロテクタ4は、例えば、金属材料、セラミックス材料によって形成された内筒4a、外筒4bにより有底筒状の二重構造に形成されており、それら内筒4aおよび外筒4bの適宜箇所にはガス流通用の複数の小孔4cを形成している。そして、その小孔4cから取り込んだ排気ガスをセンサ部2のガス測定部2Dに接触させるようにしている。
【0027】
本実施形態では、外筒4bの先端側4eが内筒4aに向けて径方向内向きに縮径されており、この縮径部位に、内筒4aの外周側に隙間嵌めで嵌合される嵌合開口4fが設けられている。
【0028】
また、内筒4aの一方側(図1中下側)の端部4dに、ガス流通用の小孔4cが形成されている。
【0029】
この内筒4aおよび外筒4bに形成された小孔4cを経由して検出ガスがプロテクタ4内に進入すると、検出ガスがガス測定部2Dの周囲に到達し、ガス測定部2Dに排気ガスが接触して排気ガス中の酸素濃度がガス測定部2Dで電気信号に変換される。そして、その電気信号の情報が電極部2cおよび端子部6を経由してリード線13から外部に取り出されることとなる。
【0030】
なお、プロテクタ4とホルダ部3とは、例えば、レーザ溶接4gによって全周溶接固定されている。
【0031】
センサ部2は、図3および図4に示すように、基体となる芯ロッド20と、この芯ロッド20の外周面20aの所定(ほぼ半周)領域に形成したヒータパターン21と、このヒータパターン21を覆うヒータ絶縁層22と、を備えている。そして、芯ロッド20の外周面20a上でヒータパターン21と重ならずに略反対側の位置に酸素イオン伝導性の固体電解質層23が設けられ、この固体電解質層23の内面に内側電極24と、固体電解質層23の外面に外側電極25と、が形成されている。
【0032】
また、内側電極24の内面と芯ロッド20の外周面20aとの間には緩和層26が設けられるとともに、固体電解質層23の外面を除いて両電極24,25のリード線部24a,25aおよび、緩和層26の一部外面には保護層27が形成されており、保護層27や固体電解質層23の外面を覆うように拡散層28が形成されている。そして、芯ロッド20の外面全体の領域を覆うようにスピネル保護層28bが形成されている。
【0033】
本実施形態では、芯ロッド20は、絶縁材料であるアルミナなどのセラミック材料によって中実円柱状に形成されている。
【0034】
ヒータパターン21は、タングステンや白金などの発熱性導体材料で形成され、芯ロッド20の先端側から基端側に向けて延びる一対のリード部21a,21aを有しており、これらのリード部21a,21aには、上述の4本のリード線13(図1参照)のうちの2本が電気的に接続されている。そして、外部電源によりそれら2本のリード線13を介してヒータパターン21に通電することにより発熱し、固体電解質層23を昇温させて活性化する。
【0035】
ヒータ絶縁層22は、絶縁材料で形成されており、ヒータパターン21の電気的絶縁を確保している。
【0036】
固体電解質層23は、例えば、ジルコニアの粉体中に所定重量パーセントのイットリアの粉体を混合させてペースト状にしたものをパターニングし、それぞれを焼成することで形成されている。固体電解質層23は、内側電極24と外側電極25との間で、周囲の酸素濃度差に応じた起電力を発生させ、その厚さ方向に酸素イオンを輸送するものである。
【0037】
そして、これら固体電解質層23、内側電極24および外側電極25により、酸素濃度を電気信号として取り出す酸素濃度検出部29が構成されている。なお、酸素濃度検出部29とヒータパターン21とは、芯ロッド20を挟んで互いに対向する位置に配置している。
【0038】
内側電極24および外側電極25はそれぞれ導電性を有し、かつ、酸素が透過できるサーメット構造の金属材料(例えば白金)によって形成されている。これら内側電極24および外側電極25には、上述した4本のリード線13のうち残りの2本のリード線13が1本づつ接続されており、内側電極24と外側電極25との間に生じた出力電圧をそれらリード線13間の電圧として検出できるようになっている。
【0039】
また、緩和層26は、ジルコニアとアルミニウムの混合材料に、さらに、例えばカーボンなどの空孔形成剤(焼失剤)を加えて混合したものをパターニングし、それを焼成することにより形成した多孔質構造をしており、センサ部2の周囲を流れる被測定ガスの一部を図4に示す後端側の端面から矢印a方向へと移動させて緩和層26の内部に拡散させつつ、この被測定ガスを内側電極24へ向けて透過させる機能を有している。そして、固体電解質層23を通じて内側電極24側に導入された酸素は、さらに、緩和層26内に進入することができるようになっている。
【0040】
また、緩和層26は、アルミナとジルコニアの混合体で形成されることで、焼結時において固体電解質層23と芯ロッド20との間の応力差を緩和する機能も有している。
【0041】
拡散層28は、外部に露出される外側電極25を覆い、測定ガス中の有害物等を通過させず、測定ガス中の酸素が通過できる材質、例えばアルミナと酸化マグネシウムの混合体の多孔質構造体として形成される。
【0042】
スピネル保護層28bは、測定ガス中の酸素を透過でき、拡散層28よりも粗い多孔質構造体として形成される。
【0043】
ここで、本発明では、図5〜図7に示すように、センサ部2の他端部2bと碍子5との間に、センサ部2が碍子5に対してセンサ部2の取付位置がズレるのを防止する位置決め部30が設けられている。なお、図6(a)、(b)は、便宜上、センサ部を上下逆に示している。
【0044】
この位置決め部30は、センサ部2の他端部2bに形成され、当該他端部2bの底面2eの形状がセンサ部2の中心軸Cを中心に1回回転対称性を有する非円形状挿入部31と、碍子5に形成され、非円形状挿入部31の底面2eの形状に対応した断面形状を有し、当該非円形状挿入部31が嵌合する非円形状凹部32と、を備えている。なお、1回回転対称を有する形状とは、軸を中心に1回転(360°回転)するまでの間に、回転させる前の図形と、回転させた後の図形とが重なり合う回数が1回のみの形状(すなわち、360°回転させないと回転する前の形状と重なり合うことがない形状)のことをいう。
【0045】
本実施形態では、非円形状挿入部31は、センサ部2の他端部2bの先端に直線状凹部31aを設けることで形成されており、非円形状凹部32は、碍子5の底部5aに直線状凹部31aに係合するリブ状突起32aを設けることで形成されている。
【0046】
したがって、センサ部2に他端部2b側から碍子5を挿入して組み付ける際には、図6(a)および図7(a)に示すように、碍子5のリブ状突起32aをセンサ部2の直線状凹部31aに対向させて差し込むことにより、図6(b)および図7(b)に示すように、碍子5に形成した非円形状凹部32がセンサ部2に形成した非円形状挿入部31にほぼ密接して嵌合する。これにより、センサ部2と碍子5とが位置決めされ、センサ部2の碍子5に対する中心位置が、例えば径方向にズレることを規制することができる。このとき、直線状凹部31aとリブ状突起32aとが係合する相対位置を、センサ部2の電極部2cと碍子5の端子部6とが合致する位置に予め設定している。
【0047】
また、図6(b)に示すように、非円形状挿入部31と非円形状凹部32とを嵌合させた状態では、センサ部2の先端と碍子5の底部5aとの間に適宜な隙間δが設けられるようにしている。このような隙間δを設けることで、組み付け時または組み付け後の車両振動等によってセンサ部2が碍子5に接触することがなくなり、センサ部2もしくは碍子5の破壊を防止することができる。
【0048】
以上の本実施形態によれば、センサ部2の他端部2bと碍子(絶縁体)5との間に位置決め部30を設けて、センサ部2が碍子5に対してセンサ部2の中心位置が、例えば径方向にズレるのを規制するようにするとともに、位置決め部30によって決定されるセンサ部2と碍子5との相対位置を、電極部2cと端子部6とが合致する位置に予め設定しているので、センサ部2と碍子5とを位置決め部30を介して組み付けるだけで電極部2cと端子部6との位置合せを高い精度で行うことができる。したがって、センサ部2の他端部2bと碍子5との間に位置決め部30を設けるという簡単な構成により、センサ部2と碍子5との組み付けを容易に行うことができ、以て、酸素センサ1の生産性を向上させることができる。
【0049】
また、位置決め部30によって電極部2cと端子部6とが高い精度で組み付けられるため、両者の接続不良を防止することができ、検出(出力)精度を向上することができる。
【0050】
また、位置決め部30によってセンサ部2が碍子5に固定されるため、車両振動等によるセンサ部2の振れを防止することができ、以て、電極部2cと端子部6との接圧を良好に維持することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、位置決め部30を、センサ部2の他端部2bに形成され、当該他端部2bの底面2eの形状がセンサ部2の中心軸Cを中心に1回回転対称性を有する非円形状挿入部31と、碍子5に形成され、非円形状挿入部31の底面2eの形状に対応した断面形状を有し、当該非円形状挿入部31が嵌合する非円形状凹部32と、によって形成している。これにより、非円形状挿入部31と非円形状凹部32とを単に嵌合しつつセンサ部2と碍子5とを組み付けるのみで、それら両者の回転方向の位置合せをより簡単に行うことができる。しかも、センサ部2の他端部2bの底面2eの形状がセンサ部2の中心軸Cを中心に1回回転対称性を有しているため、センサ部2が誤った位置で挿入されることで、電極部と端子部との接続位置がズレてしまい、所望の検出(出力)結果が得られない場合があるが、本実施形態ではこれを有利に解決することができる。
【0052】
さらに、非円形状挿入部31が、センサ部2の他端部2bの先端に直線状凹部31aを設けることで形成されるとともに、非円形状凹部32が、碍子5の底部5aに直線状凹部31aに係合するリブ状突起32aを設けることで形成されているため、直線状凹部31aとリブ状突起32aとの係合による位置合せが可能となるので、非円形状挿入部31および非円形状凹部32の構成をより簡素化することができ、酸素センサ1の生産性をより一層向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態で例示した円筒形状で形成される酸素センサに本構成を適用した場合、センサ部2が、碍子5に対してセンサ部2の中心軸C回りに回転してしまうことを防止することができる。すなわち、本実施形態では、位置決め部30は、センサ部2が当該センサ部2の中心軸C周りに回転するのを規制する回転規制部としても機能している。
【0054】
(第2実施形態)
図8は、センサ部の他端部の先端形状を概略的に示す要部斜視図、図9は、センサ部と碍子とをそれぞれ概略的に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を概略的に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を概略的に示す断面斜視図である。なお、本実施形態にかかるガスセンサは、上記第1実施形態にかかるガスセンサと同様の構成要素を備える。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0055】
本実施形態にかかる酸素センサ1は、基本的に上記第1実施形態の酸素センサ1と同様の構成をしており、図8および図9に示すように、センサ部2の他端部2bと碍子5との間(例えば、センサ部2の他端部2bの外周2fと碍子5の内周5cとの間)に位置決め部30Aが設けられている点が上記第1実施形態と異なっている。
【0056】
本実施形態にかかる位置決め部30Aは、センサ部2の他端部2bに形成された非円形状挿入部31と、碍子5に形成された非円形状凹部32と、を備えている。
【0057】
具体的には、非円形状挿入部31が、センサ部2の他端部2bの側面の一部に切除部31bを設けることで形成されており、非円形状凹部32が、切除部31bに係合する突出部32bを設けることで形成されている。
【0058】
本実施形態では、切除部31bは、図8に示すように、センサ部2の他端部2bの一側を、図中2点鎖線に示すように蒲鉾状に切除することで形成されており、センサ部2の中心軸Cと平行な縦平面31cと、中心軸Cに垂直な横平面31dと、が形成されている。
【0059】
また、突出部32bは、図9(a)に示すように、碍子5の内周の底部5a近傍に、上述した切除部31bの形状に対応するように突出形成されており、その突出部32bには、切除部31bの縦平面31cに係合する平坦面32cと、切除部31bの横平面31dに係合する棚面32dと、が形成されることになる。
【0060】
なお、本実施形態にあっても、図9(b)に示すように、非円形状挿入部31と非円形状凹部32とを嵌合させた状態では、センサ部2の先端と碍子5の底部5aとの間に適宜な隙間δが設けられるようにしている。また、本実施形態にあっても図9(a)、(b)は便宜上、センサ部2を上下逆に示している。
【0061】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0062】
さらに、本実施形態によれば、非円形状挿入部31を、センサ部2の他端部2bの側面の一部に切除部31bを設けることで形成し、非円形状凹部32を、切除部31bに係合する突出部32bを設けることで形成しているため、センサ部2および碍子5の成形型を容易に形成することができ、酸素センサ1の生産性をより一層向上させることができるという利点がある。
【0063】
(第3実施形態)
図10は、センサ部の他端部の先端形状を概略的に示す要部斜視図、図11は、センサ部と碍子とをそれぞれ概略的に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を概略的に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を概略的に示す断面斜視図である。なお、本実施形態にかかるガスセンサは、上記第1実施形態にかかるガスセンサと同様の構成要素を備える。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0064】
本実施形態にかかる酸素センサ1は、基本的に上記第1実施形態の酸素センサ1と同様の構成をしており、図10および図11に示すように、センサ部2の他端部2bと碍子5との間に位置決め部30Bが設けられている点が上記第1実施形態と異なっている。
【0065】
具体的には、非円形状挿入部31が、センサ部2の他端部2bの側面の一部に切除部31bBを設けることで形成されており、非円形状凹部32が、切除部31bBに係合する突出部32bBを設けることで形成されている。
【0066】
ここで、本実施形態では、図10に示すように、切除部31bBは、センサ部2の他端部2bのほぼ半周をL字状に切除することで形成されており、センサ部2の中心軸Cと平行で稜線Rを有する山折り状の縦平面31cBと、中心軸Cに垂直で稜線Rを挟んだ両側に配置される横平面31dBと、が形成されている。
【0067】
また、突出部32bBは、図11(a)に示すように、碍子5の内周の底部5a近傍に、上述した切除部31bBの形状に対応するように突出形成されており、その突出部32bBには、切除部31bBの縦平面31cBに係合する角面32cBと、切除部31bBの横平面31dBに係合する棚面32dBと、が形成されることになる。
【0068】
なお、本実施形態にあっても、図11(b)に示すように、非円形状挿入部31と非円形状凹部32とを嵌合させた状態では、センサ部2の先端と碍子5の底部5aとの間に適宜な隙間δが設けられるようにしている。また、本実施形態にあっても図11(a)、(b)は便宜上、センサ部2を上下逆に示している。
【0069】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態および第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0070】
また、上述した各実施形態において、碍子5をCリング16による押圧力によってホルダ部3側に固定する効果に加え、位置決め部30,30A,30Bによって、センサ部2を碍子5への位置決め、回転規制を行うことで、碍子5の内側に配置された端子部6加わる車両振動を抑制でき、端子部6のへたりを防止し、電気的接続の信頼性を向上することもできる。
【0071】
以上、本発明にかかるガスセンサの好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限ることなく要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態を採用することができる。
【0072】
例えば、上記実施形態では、ガスセンサとして酸素センサを例示したが、これに限ることなく、他のガス成分を検出するセンサであっても本発明を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるガスセンサの縦断面図。
【図2】図1のA−A線に沿った拡大断面図。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるセンサ部を示す図であって、(a)は、センサ部の側面図、(b)は、図3(a)のB−B線に沿った断面図。
【図4】本発明の第1実施形態にかかるセンサ部の構成を示す分解斜視図。
【図5】本発明の第1実施形態にかかるセンサ部の他端部の先端形状を概略的に示す要部斜視図。
【図6】本発明の第1実施形態にかかるセンサ部と碍子とをそれぞれ概略的に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を概略的に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を概略的に示す断面斜視図。
【図7】本発明の第1実施形態にかかるセンサ部と碍子とをそれぞれ詳細に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を詳細に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を詳細に示す断面斜視図。
【図8】本発明の第2実施形態にかかるセンサ部の他端部の先端形状を概略的に示す要部斜視図。
【図9】本発明の第2実施形態にかかるセンサ部と碍子とをそれぞれ概略的に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を概略的に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を概略的に示す断面斜視図。
【図10】本発明の第3実施形態にかかるセンサ部の他端部の先端形状を概略的に示す要部斜視図。
【図11】本発明の第3実施形態にかかるセンサ部と碍子とをそれぞれ概略的に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を概略的に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を概略的に示す断面斜視図。
【符号の説明】
【0074】
1 酸素センサ
2 センサ部
2a センサ部の一端部
2b センサ部の他端部
2c 電極部(接点部)
2D ガス測定部
3 ホルダ部
4 プロテクタ
5 碍子(絶縁体)
6 端子部
30 位置決め部
31 非円形状挿入部
31a 直線状凹部
31b 切除部
32 非円形状凹部
32a リブ状突起
32b 突出部
C 中心軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のガスセンサとして、例えば、自動車の内燃機関を制御するために排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサなどがある。このようなガスセンサとして、ガス成分を検出するセンサ部を備え、当該センサ部を排気管に取り付けるホルダ部に嵌挿して保持するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、センサ部の一端部に設けたガス測定部を、ホルダ部に装着したプロテクタで覆って排気管の内部に挿入する一方、センサ部の他端部の外周に設けた接点部を碍子で覆うとともに、碍子に設けた端子部を接点部に接触させるようにしている。
【0004】
そして、ガス測定部で検出したガス成分を、接点部および端子部を介して当該端子部に接続した外部ハーネスによって電気信号として取り出している。
【特許文献1】特開2005−241346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のガスセンサでは、センサ部の他端部を、センサ部の接点部と碍子に設けた端子部とが接触するように碍子に組み付けるため、接点部と端子部との位置合わせに高い精度が要求される。そのため、センサ部を碍子に組み付ける際の作業効率が悪く、ガスセンサの生産性が悪化してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、センサ部と端子部との位置合せを高精度かつ容易に行うことができ、生産性を向上させることのできるガスセンサを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一端部にガス測定部が設けられるとともに、他端部の外周に接点部が設けられたセンサ部と、前記センサ部を嵌挿して保持し、一端側に前記ガス測定部を覆うプロテクタが装着されたホルダ部と、前記接点部に接触する端子部が設けられ、前記ホルダ部の他端側に前記センサ部の他端部を覆うように配設された絶縁体と、を備えるガスセンサにおいて、前記センサ部の他端部と前記絶縁体との間に、前記絶縁体に対する前記センサ部の位置決めを行う位置決め部が設けられていることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、センサ部の他端部と絶縁体との間に位置決め部を設けて、センサ部の絶縁体に対する取付位置がズレるのを防止するようにしたので、位置決め部によって決定されるセンター部と絶縁体との相対位置を、接点部と端子部とが合致する位置に予め設定しておくことにより、センサ部と絶縁体とを位置決め部を介して組み付けるだけで接点部と端子部との位置合せを高い精度で行うことができる。したがって、センサ部の他端部と絶縁体との間に位置決め部を設けるという簡単な構成により、センサ部と絶縁体との組み付けを容易に行うことができ、以て、ガスセンサの生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を具現化した実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、内燃機関を搭載した自動車の排気管に装着された空燃比検出用の酸素センサを例示する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態にかかるガスセンサの縦断面図、図2は、図1のA−A線に沿った拡大断面図、図3は、センサ部を示す図であって、(a)は、センサ部の側面図、(b)は、図3(a)のB−B線に沿った断面図、図4は、センサ部の構成を示す分解斜視図、図5は、センサ部の他端部の先端形状を概略的に示す要部斜視図、図6は、センサ部と碍子とをそれぞれ概略的に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を概略的に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を概略的に示す断面斜視図、図7は、センサ部と碍子とをそれぞれ詳細に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を詳細に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を詳細に示す断面斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態にかかる酸素センサ(ガスセンサ)1は、一端部2a(図1中下端部)にガス測定部2Dが設けられるとともに、他端部2b(図1中上端部)の外周2fに複数の電極部(接点部)2cが露出して設けられた円筒状のセンサ部2を備えており、この電極部2cはガス測定部2Dと電気的に接続されている。このセンサ部2は酸素濃度(ガス成分)を検出するもので、ホルダ部3に嵌挿して保持されるようになっている。
【0012】
センサ部2の一端部2aに設けられたガス測定部2Dは、ホルダ部3の一端側(図1中下端側)から突出しており、このガス測定部2Dはホルダ部3の一端側に装着されたプロテクタ4によって覆われている。このように、プロテクタ4によってセンサ部2を覆うことで、ガス測定部2Dを排気ガス中の異物から保護することができる。
【0013】
また、センサ部2の他端部2bに設けられた電極部2cは、ホルダ部3の他端側(図1中上端側)から突出しており、その電極部2cは絶縁体としての碍子5によって覆われている。碍子5の内側には、複数の電極部2cにそれぞれ接触する鉤状に屈曲した複数の端子部6が設けられており、これら複数の端子部6の間にセンサ部2の他端部2bが嵌合され、当該碍子5の外側をケーシング7により囲繞することで内部を保護している。
【0014】
電極部2cは、図2に示すように、センサ部2の外側に露出するように周方向に等間隔で4箇所配設されており、各電極部2cには、それぞれに対応した4つの端子部6が接触している。各端子部6は、図1に示すように、電極部2cに接触する先端部が略U字状に折曲されて碍子5の内周5cと他端部2bの外周2fとの間に形成される空間部Sの間で挟持されることで弾発力が付与されており、そのU字状先端部6aが碍子5の内周5cに規制されつつ弾発力をもって電極部2cに圧接されることで電気的に接続される。そして、端子部6は、結合部14を介してリード線13内の芯線13aと電気的に接続されている。
【0015】
また、センサ部2の他端部2bは、碍子5の底面5bに対して軸方向に空隙部S1をあけて挿入されるようになっている。よって、センサ部2と碍子5との組み付け時または組み付け後に例えば車両の振動等によってセンサ部2が移動した場合においても、碍子5の底面5bにセンサ部2の他端部2bが接触することがない。
【0016】
ホルダ部3の中心部には、円筒状に形成したセンサ部2を挿通する挿入孔3aが形成されており、その挿入孔3aには、センサ部2の外周2fとホルダ部3との間を圧縮によりシールするシール材としてのセラミック粉8を装填したシール部9が設けられている。
【0017】
また、ホルダ部3には、上部外側に断面六角形状となる六角部3bが形成されているとともに、下部外側に雄ねじ部3cが形成されている。そして、雄ねじ部3cを排気管Eのねじ穴Hに螺合して、六角部3bに工具を嵌合して締め付けることにより、ホルダ部3を排気管Eに固定している。このとき、排気管Eと六角部3bとの間にガスケットGを介在させて、ホルダ部3と排気管Eとの取付部の気密性を確保している。
【0018】
シール部9は、ホルダ部3の挿入孔3aを拡径させて形成したシール材収納スペース10内に充填した耐熱性のセラミック粉8と、セラミック粉8の充填側(図1中上端側)に配置されるスペーサ11と、を備えている。
【0019】
そして、セラミック粉8の上端に配置したスペーサ11を、シール材収納スペース10の開口部周縁部(図1中上端部)の加締め部3dによってセンサ部2の径方向内側に向けて全周加締め等により曲げ加工することで、セラミック粉8を圧縮してセンサ部2とホルダ部3との間をシールするとともに、センサ部2をホルダ部3に位置決めしている。また、シール部9は、ホルダ部3とセンサ部2との間の隙間等を塞ぎ、ホルダ部3内に外部の水分等が浸入するのを遮断するとともに、排気管内の排気ガス等がケーシング7側に侵入するのを遮断する機能を有している。
【0020】
なお、本実施形態では、セラミック粉8として、例えば、ステアタイト、または、未焼結のタルクが使用されており、スペーサ11として、円筒形状のワッシャが用いられている。
【0021】
また、図1に示すように、筒状に形成したケーシング7の上部内側には例えばフッ素ゴム等の耐熱性のシーリングラバー12を圧入して密閉し、そのシーリングラバー12に上述の端子部6に個々に接続した複数(本実施形態では4本)のリード線13を貫通させて外部に導き出している。なお、端子部6の一端部6cとリード線13との結合部14から突出するリード板14aとは、例えばスポット溶接によって結合される。また、ケーシング7はレーザ溶接7bによってホルダ部3の外周に固定されており、レーザ溶接によってケーシング7とホルダ部3との間のシール性を確保している。
【0022】
ケーシング7の内方に収納した碍子5は円筒状に形成されており、碍子5の底部5bには、端子部6の固定部6bを挿入する取付孔15が周方向に等間隔をもって複数(本実施形態ではセンサ部2の周方向に90°おきに4箇所)形成されている。このように、複数の端子部6を周方向に等分配して配置することで、これら複数の端子部6の間に挟持されるセンサ部2を碍子5の中心に配置しやすくしている。
【0023】
なお、碍子5と他端部2bとの間に設けた空間部Sは、シール部9、シーリングラバー12およびケーシング7とホルダ部3との嵌着部分7cによってほぼ気密性が保持されるが、リード線13の芯線13aと被覆材13bとの微少な隙間のみを介して外部と連通し、ケーシング7の内部に酸素濃度検出に用いる基準大気が導入されるようになっている。
【0024】
また、本実施形態では、ホルダ部3の位置決め面3eとケーシング7の縮径段部7aとの間に弾性部材として、略円環状もしくは略C字形状で、断面C字状のCリング16を介在させることで碍子5をホルダ部3の位置決め面3eに固定している。このCリング16は、碍子5とケーシング7との間に挟持されて、弾性的または弾塑性的な反発力を生じさせ、碍子5をケーシング7に対してホルダ部3側、すなわち、軸方向一方側(図1中下側)に押しつける力を生じさせている。これにより、碍子5をホルダ部3の位置決め面3eに強固に固定し、碍子5の軸方向の振動を抑制している。
【0025】
特に、2輪車のような高周波の振動が生じる場合のように、排気管18から伝達される振動のレベルが大きい場合、碍子5および端子部6の変位が増大し、端子部6がへたり易くなる虞があるが、本実施形態では、このCリング16によって、碍子5の振動を抑制するとともに端子部6による碍子5の振動抑制効果と協働して、より端子部6のへたりを抑制することができる。
【0026】
プロテクタ4は、例えば、金属材料、セラミックス材料によって形成された内筒4a、外筒4bにより有底筒状の二重構造に形成されており、それら内筒4aおよび外筒4bの適宜箇所にはガス流通用の複数の小孔4cを形成している。そして、その小孔4cから取り込んだ排気ガスをセンサ部2のガス測定部2Dに接触させるようにしている。
【0027】
本実施形態では、外筒4bの先端側4eが内筒4aに向けて径方向内向きに縮径されており、この縮径部位に、内筒4aの外周側に隙間嵌めで嵌合される嵌合開口4fが設けられている。
【0028】
また、内筒4aの一方側(図1中下側)の端部4dに、ガス流通用の小孔4cが形成されている。
【0029】
この内筒4aおよび外筒4bに形成された小孔4cを経由して検出ガスがプロテクタ4内に進入すると、検出ガスがガス測定部2Dの周囲に到達し、ガス測定部2Dに排気ガスが接触して排気ガス中の酸素濃度がガス測定部2Dで電気信号に変換される。そして、その電気信号の情報が電極部2cおよび端子部6を経由してリード線13から外部に取り出されることとなる。
【0030】
なお、プロテクタ4とホルダ部3とは、例えば、レーザ溶接4gによって全周溶接固定されている。
【0031】
センサ部2は、図3および図4に示すように、基体となる芯ロッド20と、この芯ロッド20の外周面20aの所定(ほぼ半周)領域に形成したヒータパターン21と、このヒータパターン21を覆うヒータ絶縁層22と、を備えている。そして、芯ロッド20の外周面20a上でヒータパターン21と重ならずに略反対側の位置に酸素イオン伝導性の固体電解質層23が設けられ、この固体電解質層23の内面に内側電極24と、固体電解質層23の外面に外側電極25と、が形成されている。
【0032】
また、内側電極24の内面と芯ロッド20の外周面20aとの間には緩和層26が設けられるとともに、固体電解質層23の外面を除いて両電極24,25のリード線部24a,25aおよび、緩和層26の一部外面には保護層27が形成されており、保護層27や固体電解質層23の外面を覆うように拡散層28が形成されている。そして、芯ロッド20の外面全体の領域を覆うようにスピネル保護層28bが形成されている。
【0033】
本実施形態では、芯ロッド20は、絶縁材料であるアルミナなどのセラミック材料によって中実円柱状に形成されている。
【0034】
ヒータパターン21は、タングステンや白金などの発熱性導体材料で形成され、芯ロッド20の先端側から基端側に向けて延びる一対のリード部21a,21aを有しており、これらのリード部21a,21aには、上述の4本のリード線13(図1参照)のうちの2本が電気的に接続されている。そして、外部電源によりそれら2本のリード線13を介してヒータパターン21に通電することにより発熱し、固体電解質層23を昇温させて活性化する。
【0035】
ヒータ絶縁層22は、絶縁材料で形成されており、ヒータパターン21の電気的絶縁を確保している。
【0036】
固体電解質層23は、例えば、ジルコニアの粉体中に所定重量パーセントのイットリアの粉体を混合させてペースト状にしたものをパターニングし、それぞれを焼成することで形成されている。固体電解質層23は、内側電極24と外側電極25との間で、周囲の酸素濃度差に応じた起電力を発生させ、その厚さ方向に酸素イオンを輸送するものである。
【0037】
そして、これら固体電解質層23、内側電極24および外側電極25により、酸素濃度を電気信号として取り出す酸素濃度検出部29が構成されている。なお、酸素濃度検出部29とヒータパターン21とは、芯ロッド20を挟んで互いに対向する位置に配置している。
【0038】
内側電極24および外側電極25はそれぞれ導電性を有し、かつ、酸素が透過できるサーメット構造の金属材料(例えば白金)によって形成されている。これら内側電極24および外側電極25には、上述した4本のリード線13のうち残りの2本のリード線13が1本づつ接続されており、内側電極24と外側電極25との間に生じた出力電圧をそれらリード線13間の電圧として検出できるようになっている。
【0039】
また、緩和層26は、ジルコニアとアルミニウムの混合材料に、さらに、例えばカーボンなどの空孔形成剤(焼失剤)を加えて混合したものをパターニングし、それを焼成することにより形成した多孔質構造をしており、センサ部2の周囲を流れる被測定ガスの一部を図4に示す後端側の端面から矢印a方向へと移動させて緩和層26の内部に拡散させつつ、この被測定ガスを内側電極24へ向けて透過させる機能を有している。そして、固体電解質層23を通じて内側電極24側に導入された酸素は、さらに、緩和層26内に進入することができるようになっている。
【0040】
また、緩和層26は、アルミナとジルコニアの混合体で形成されることで、焼結時において固体電解質層23と芯ロッド20との間の応力差を緩和する機能も有している。
【0041】
拡散層28は、外部に露出される外側電極25を覆い、測定ガス中の有害物等を通過させず、測定ガス中の酸素が通過できる材質、例えばアルミナと酸化マグネシウムの混合体の多孔質構造体として形成される。
【0042】
スピネル保護層28bは、測定ガス中の酸素を透過でき、拡散層28よりも粗い多孔質構造体として形成される。
【0043】
ここで、本発明では、図5〜図7に示すように、センサ部2の他端部2bと碍子5との間に、センサ部2が碍子5に対してセンサ部2の取付位置がズレるのを防止する位置決め部30が設けられている。なお、図6(a)、(b)は、便宜上、センサ部を上下逆に示している。
【0044】
この位置決め部30は、センサ部2の他端部2bに形成され、当該他端部2bの底面2eの形状がセンサ部2の中心軸Cを中心に1回回転対称性を有する非円形状挿入部31と、碍子5に形成され、非円形状挿入部31の底面2eの形状に対応した断面形状を有し、当該非円形状挿入部31が嵌合する非円形状凹部32と、を備えている。なお、1回回転対称を有する形状とは、軸を中心に1回転(360°回転)するまでの間に、回転させる前の図形と、回転させた後の図形とが重なり合う回数が1回のみの形状(すなわち、360°回転させないと回転する前の形状と重なり合うことがない形状)のことをいう。
【0045】
本実施形態では、非円形状挿入部31は、センサ部2の他端部2bの先端に直線状凹部31aを設けることで形成されており、非円形状凹部32は、碍子5の底部5aに直線状凹部31aに係合するリブ状突起32aを設けることで形成されている。
【0046】
したがって、センサ部2に他端部2b側から碍子5を挿入して組み付ける際には、図6(a)および図7(a)に示すように、碍子5のリブ状突起32aをセンサ部2の直線状凹部31aに対向させて差し込むことにより、図6(b)および図7(b)に示すように、碍子5に形成した非円形状凹部32がセンサ部2に形成した非円形状挿入部31にほぼ密接して嵌合する。これにより、センサ部2と碍子5とが位置決めされ、センサ部2の碍子5に対する中心位置が、例えば径方向にズレることを規制することができる。このとき、直線状凹部31aとリブ状突起32aとが係合する相対位置を、センサ部2の電極部2cと碍子5の端子部6とが合致する位置に予め設定している。
【0047】
また、図6(b)に示すように、非円形状挿入部31と非円形状凹部32とを嵌合させた状態では、センサ部2の先端と碍子5の底部5aとの間に適宜な隙間δが設けられるようにしている。このような隙間δを設けることで、組み付け時または組み付け後の車両振動等によってセンサ部2が碍子5に接触することがなくなり、センサ部2もしくは碍子5の破壊を防止することができる。
【0048】
以上の本実施形態によれば、センサ部2の他端部2bと碍子(絶縁体)5との間に位置決め部30を設けて、センサ部2が碍子5に対してセンサ部2の中心位置が、例えば径方向にズレるのを規制するようにするとともに、位置決め部30によって決定されるセンサ部2と碍子5との相対位置を、電極部2cと端子部6とが合致する位置に予め設定しているので、センサ部2と碍子5とを位置決め部30を介して組み付けるだけで電極部2cと端子部6との位置合せを高い精度で行うことができる。したがって、センサ部2の他端部2bと碍子5との間に位置決め部30を設けるという簡単な構成により、センサ部2と碍子5との組み付けを容易に行うことができ、以て、酸素センサ1の生産性を向上させることができる。
【0049】
また、位置決め部30によって電極部2cと端子部6とが高い精度で組み付けられるため、両者の接続不良を防止することができ、検出(出力)精度を向上することができる。
【0050】
また、位置決め部30によってセンサ部2が碍子5に固定されるため、車両振動等によるセンサ部2の振れを防止することができ、以て、電極部2cと端子部6との接圧を良好に維持することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、位置決め部30を、センサ部2の他端部2bに形成され、当該他端部2bの底面2eの形状がセンサ部2の中心軸Cを中心に1回回転対称性を有する非円形状挿入部31と、碍子5に形成され、非円形状挿入部31の底面2eの形状に対応した断面形状を有し、当該非円形状挿入部31が嵌合する非円形状凹部32と、によって形成している。これにより、非円形状挿入部31と非円形状凹部32とを単に嵌合しつつセンサ部2と碍子5とを組み付けるのみで、それら両者の回転方向の位置合せをより簡単に行うことができる。しかも、センサ部2の他端部2bの底面2eの形状がセンサ部2の中心軸Cを中心に1回回転対称性を有しているため、センサ部2が誤った位置で挿入されることで、電極部と端子部との接続位置がズレてしまい、所望の検出(出力)結果が得られない場合があるが、本実施形態ではこれを有利に解決することができる。
【0052】
さらに、非円形状挿入部31が、センサ部2の他端部2bの先端に直線状凹部31aを設けることで形成されるとともに、非円形状凹部32が、碍子5の底部5aに直線状凹部31aに係合するリブ状突起32aを設けることで形成されているため、直線状凹部31aとリブ状突起32aとの係合による位置合せが可能となるので、非円形状挿入部31および非円形状凹部32の構成をより簡素化することができ、酸素センサ1の生産性をより一層向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態で例示した円筒形状で形成される酸素センサに本構成を適用した場合、センサ部2が、碍子5に対してセンサ部2の中心軸C回りに回転してしまうことを防止することができる。すなわち、本実施形態では、位置決め部30は、センサ部2が当該センサ部2の中心軸C周りに回転するのを規制する回転規制部としても機能している。
【0054】
(第2実施形態)
図8は、センサ部の他端部の先端形状を概略的に示す要部斜視図、図9は、センサ部と碍子とをそれぞれ概略的に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を概略的に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を概略的に示す断面斜視図である。なお、本実施形態にかかるガスセンサは、上記第1実施形態にかかるガスセンサと同様の構成要素を備える。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0055】
本実施形態にかかる酸素センサ1は、基本的に上記第1実施形態の酸素センサ1と同様の構成をしており、図8および図9に示すように、センサ部2の他端部2bと碍子5との間(例えば、センサ部2の他端部2bの外周2fと碍子5の内周5cとの間)に位置決め部30Aが設けられている点が上記第1実施形態と異なっている。
【0056】
本実施形態にかかる位置決め部30Aは、センサ部2の他端部2bに形成された非円形状挿入部31と、碍子5に形成された非円形状凹部32と、を備えている。
【0057】
具体的には、非円形状挿入部31が、センサ部2の他端部2bの側面の一部に切除部31bを設けることで形成されており、非円形状凹部32が、切除部31bに係合する突出部32bを設けることで形成されている。
【0058】
本実施形態では、切除部31bは、図8に示すように、センサ部2の他端部2bの一側を、図中2点鎖線に示すように蒲鉾状に切除することで形成されており、センサ部2の中心軸Cと平行な縦平面31cと、中心軸Cに垂直な横平面31dと、が形成されている。
【0059】
また、突出部32bは、図9(a)に示すように、碍子5の内周の底部5a近傍に、上述した切除部31bの形状に対応するように突出形成されており、その突出部32bには、切除部31bの縦平面31cに係合する平坦面32cと、切除部31bの横平面31dに係合する棚面32dと、が形成されることになる。
【0060】
なお、本実施形態にあっても、図9(b)に示すように、非円形状挿入部31と非円形状凹部32とを嵌合させた状態では、センサ部2の先端と碍子5の底部5aとの間に適宜な隙間δが設けられるようにしている。また、本実施形態にあっても図9(a)、(b)は便宜上、センサ部2を上下逆に示している。
【0061】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0062】
さらに、本実施形態によれば、非円形状挿入部31を、センサ部2の他端部2bの側面の一部に切除部31bを設けることで形成し、非円形状凹部32を、切除部31bに係合する突出部32bを設けることで形成しているため、センサ部2および碍子5の成形型を容易に形成することができ、酸素センサ1の生産性をより一層向上させることができるという利点がある。
【0063】
(第3実施形態)
図10は、センサ部の他端部の先端形状を概略的に示す要部斜視図、図11は、センサ部と碍子とをそれぞれ概略的に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を概略的に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を概略的に示す断面斜視図である。なお、本実施形態にかかるガスセンサは、上記第1実施形態にかかるガスセンサと同様の構成要素を備える。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0064】
本実施形態にかかる酸素センサ1は、基本的に上記第1実施形態の酸素センサ1と同様の構成をしており、図10および図11に示すように、センサ部2の他端部2bと碍子5との間に位置決め部30Bが設けられている点が上記第1実施形態と異なっている。
【0065】
具体的には、非円形状挿入部31が、センサ部2の他端部2bの側面の一部に切除部31bBを設けることで形成されており、非円形状凹部32が、切除部31bBに係合する突出部32bBを設けることで形成されている。
【0066】
ここで、本実施形態では、図10に示すように、切除部31bBは、センサ部2の他端部2bのほぼ半周をL字状に切除することで形成されており、センサ部2の中心軸Cと平行で稜線Rを有する山折り状の縦平面31cBと、中心軸Cに垂直で稜線Rを挟んだ両側に配置される横平面31dBと、が形成されている。
【0067】
また、突出部32bBは、図11(a)に示すように、碍子5の内周の底部5a近傍に、上述した切除部31bBの形状に対応するように突出形成されており、その突出部32bBには、切除部31bBの縦平面31cBに係合する角面32cBと、切除部31bBの横平面31dBに係合する棚面32dBと、が形成されることになる。
【0068】
なお、本実施形態にあっても、図11(b)に示すように、非円形状挿入部31と非円形状凹部32とを嵌合させた状態では、センサ部2の先端と碍子5の底部5aとの間に適宜な隙間δが設けられるようにしている。また、本実施形態にあっても図11(a)、(b)は便宜上、センサ部2を上下逆に示している。
【0069】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態および第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0070】
また、上述した各実施形態において、碍子5をCリング16による押圧力によってホルダ部3側に固定する効果に加え、位置決め部30,30A,30Bによって、センサ部2を碍子5への位置決め、回転規制を行うことで、碍子5の内側に配置された端子部6加わる車両振動を抑制でき、端子部6のへたりを防止し、電気的接続の信頼性を向上することもできる。
【0071】
以上、本発明にかかるガスセンサの好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限ることなく要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態を採用することができる。
【0072】
例えば、上記実施形態では、ガスセンサとして酸素センサを例示したが、これに限ることなく、他のガス成分を検出するセンサであっても本発明を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるガスセンサの縦断面図。
【図2】図1のA−A線に沿った拡大断面図。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるセンサ部を示す図であって、(a)は、センサ部の側面図、(b)は、図3(a)のB−B線に沿った断面図。
【図4】本発明の第1実施形態にかかるセンサ部の構成を示す分解斜視図。
【図5】本発明の第1実施形態にかかるセンサ部の他端部の先端形状を概略的に示す要部斜視図。
【図6】本発明の第1実施形態にかかるセンサ部と碍子とをそれぞれ概略的に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を概略的に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を概略的に示す断面斜視図。
【図7】本発明の第1実施形態にかかるセンサ部と碍子とをそれぞれ詳細に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を詳細に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を詳細に示す断面斜視図。
【図8】本発明の第2実施形態にかかるセンサ部の他端部の先端形状を概略的に示す要部斜視図。
【図9】本発明の第2実施形態にかかるセンサ部と碍子とをそれぞれ概略的に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を概略的に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を概略的に示す断面斜視図。
【図10】本発明の第3実施形態にかかるセンサ部の他端部の先端形状を概略的に示す要部斜視図。
【図11】本発明の第3実施形態にかかるセンサ部と碍子とをそれぞれ概略的に示す断面斜視図であって、(a)は、センサ部と碍子との組み付け前段階の状態を概略的に示す断面斜視図、(b)は、センサ部と碍子との組み付け完了の状態を概略的に示す断面斜視図。
【符号の説明】
【0074】
1 酸素センサ
2 センサ部
2a センサ部の一端部
2b センサ部の他端部
2c 電極部(接点部)
2D ガス測定部
3 ホルダ部
4 プロテクタ
5 碍子(絶縁体)
6 端子部
30 位置決め部
31 非円形状挿入部
31a 直線状凹部
31b 切除部
32 非円形状凹部
32a リブ状突起
32b 突出部
C 中心軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部にガス測定部が設けられるとともに、他端部の外周に接点部が設けられたセンサ部と、
前記センサ部を嵌挿して保持し、一端側に前記ガス測定部を覆うプロテクタが装着されたホルダ部と、
前記接点部に接触する端子部が設けられ、前記ホルダ部の他端側に前記センサ部の他端部を覆うように配設された絶縁体と、を備えるガスセンサにおいて、
前記センサ部の他端部と前記絶縁体との間に、前記絶縁体に対する前記センサ部の位置決めを行う位置決め部が設けられていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記センサ部が当該センサ部の中心軸周りに回転するのを規制する回転規制部であることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記回転規制部は、
前記センサ部の他端部に形成され、底面の形状が前記センサ部の中心軸を中心に1回回転対称性を有する非円形状挿入部と、
前記絶縁体に形成され、前記非円形状挿入部の底面形状に対応した断面形状を有し、当該非円形状挿入部が嵌合する非円形状凹部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記非円形状挿入部は、前記センサ部の他端部の先端に直線状凹部を設けることで形成され、前記非円形状凹部は、前記絶縁体の底部に前記直線状凹部に係合するリブ状突起を設けることで形成されることを特徴とする請求項3に記載のガスセンサ。
【請求項5】
前記非円形状挿入部は、前記センサ部の他端部側面の一部に切除部を設けることで形成され、前記非円形状凹部は、前記切除部に係合する突出部を設けることで形成されることを特徴とする請求項3に記載のガスセンサ。
【請求項1】
一端部にガス測定部が設けられるとともに、他端部の外周に接点部が設けられたセンサ部と、
前記センサ部を嵌挿して保持し、一端側に前記ガス測定部を覆うプロテクタが装着されたホルダ部と、
前記接点部に接触する端子部が設けられ、前記ホルダ部の他端側に前記センサ部の他端部を覆うように配設された絶縁体と、を備えるガスセンサにおいて、
前記センサ部の他端部と前記絶縁体との間に、前記絶縁体に対する前記センサ部の位置決めを行う位置決め部が設けられていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記センサ部が当該センサ部の中心軸周りに回転するのを規制する回転規制部であることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記回転規制部は、
前記センサ部の他端部に形成され、底面の形状が前記センサ部の中心軸を中心に1回回転対称性を有する非円形状挿入部と、
前記絶縁体に形成され、前記非円形状挿入部の底面形状に対応した断面形状を有し、当該非円形状挿入部が嵌合する非円形状凹部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記非円形状挿入部は、前記センサ部の他端部の先端に直線状凹部を設けることで形成され、前記非円形状凹部は、前記絶縁体の底部に前記直線状凹部に係合するリブ状突起を設けることで形成されることを特徴とする請求項3に記載のガスセンサ。
【請求項5】
前記非円形状挿入部は、前記センサ部の他端部側面の一部に切除部を設けることで形成され、前記非円形状凹部は、前記切除部に係合する突出部を設けることで形成されることを特徴とする請求項3に記載のガスセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−210350(P2009−210350A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52452(P2008−52452)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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