説明

ガスタービンエンジン

本発明は、第1コンプレッサ(22,122,722)の周方向に分配された少なくとも1列のコンプレッサブレード(27,127a,127b,127c,127d,727)を備える第1コンプレッサ(22,122,722)と、燃焼室(23)と、前記第1タービン(24,124)の周方向に分配された少なくとも1列のタービンブレード(28,128)を備える第1タービン(24,124)と、を連続流関係で包含し、前記第1コンプレッサ(22,122,722)と前記第1タービン(24,124)とが、第1シャフト(29,129)により回転式に固定接続される、ガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)に関する。本発明は、前記第1タービン(24,124)の回転速度に応じて前記ガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)におけるガス流量に影響するのに前記第1タービン(24,124)が適しており、前記ガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)がさらに、前記第1タービン(24,124)の回転速度を制御するための手段(33,133,733)を包含すること、を特徴としている。本発明は、軸流ガスタービンエンジンにおけるガスの流れ割合を制御する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンと、軸流ガスタービンエンジンのガス流量を制御するための方法とに関連する。本発明は特に、航空機の推進のために配設されたガスタービンエンジンに関連する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンの燃費は、通常、セミパワー運転時の低い圧力と(圧縮空気と流入空気との間の)温度比とにより、フルパワー時よりもセミパワー時の方が高い。ガスタービンエンジンがセミパワー時に高い圧力および温度での運転を可能とするならば、かなりの燃費節約(大量生産のターボファン航空機エンジンではおよそ5%)を達成することが可能であるかもしれない。航空機ターボジェットエンジンなどの軸流ガスタービンエンジンに可変サイクルを適用することが、この目的のために有益であることが知られている。要するに、ガスタービンエンジンへの可変サイクルの適用は、ある種のエンジンの空気質量流量および圧力比が様々な運転モードに適応可能であることを意味する。可変サイクルガスタービンエンジンの効果は、例えば、特許文献1、特許文献2、そして非特許文献1に記載されている。
【0003】
可変サイクルターボファンエンジンを実現するには、様々な方法がある。最も一般的な二つの方法は、可変ファン流または可変コア流を設けることである。これらのうち可変ファン流は、主として超音速航空機に有益である。
【0004】
大部分の可変サイクルガスタービンエンジンは、エンジンの低圧部分の変化に左右される。一つの例は、熱交換サイクルで作動する可変低圧タービンを使用することである。しかし、これには大型で重い熱交換器が必要であり、耐久性/信頼性の欠点を潜在的に伴う。
【0005】
別の例は可変タービン冷却を使用することであり、この場合には、最大効率が求められる巡航段階中にタービンの冷却および関連の損失が軽減される。しかし、温度および圧力の低下によるセミパワー運転の主要な非効率性に対処していないので、この概念は、充分なエネルギー節約の可能性を与えるものではない。
【0006】
可変コア流ガスタービンエンジンの根拠となる理論は非常に有望なものであるが、この概念の実際の遂行には依然として問題が残っている。
【0007】
可変コア流を実現するため、特許文献2は、高圧タービンエリアを変化させるための可変タービンステータブレードの使用を提案している。しかし、燃焼エリアの下流近くに配設された可変ブレードは、非常に高温の危険な環境に曝される。そのため、この解決法の欠点は、関係する部品の耐久性/信頼性に疑問が残ることである。
【0008】
ゆえに、この分野での改良が依然として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,287,715号明細書
【特許文献2】米国特許第5,806,303号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Lundbladh,A.およびAvellan,R. 「亜音速航空輸送における可変サイクルエンジンの将来性」ISABE 2007−1156,2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、ガスタービンエンジン、特に、従来のガスタービンエンジンと比較して低燃費である航空機推進のためのガスタービンエンジンを提供することである。この目的は、独立クレーム1,24,28に含まれる技術的特徴により規定される装置および方法によって達成される。従属クレームは、本発明の好都合な実施形態、別の発展例、そして変形例を含む。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1コンプレッサの周方向に分配された少なくとも1列のコンプレッサブレードを備える第1コンプレッサと、燃焼室と、第1タービンの周方向に分配された少なくとも1列のタービンブレードを備える第1タービンとを連続流関係で包含し、第1コンプレッサと第1タービンとが第1シャフトによって回転式に固定接続される、ガスタービンエンジンに関する。
【0013】
進歩性を持つガスタービンエンジンは、第1タービンの回転速度に応じてガスタービンエンジンにおけるガス流量に影響するのに第1タービンが適しており、第1タービンの回転速度を制御するための手段をガスタービンエンジンがさらに包含することを特徴とする。
【0014】
ゆえに、進歩性を持つガスタービンエンジンでは、第1タービンの回転速度を制御することによりエンジンにおけるガス流量を変化させることが可能である。ガスタービンエンジンにおける流量を減少させることの効果は、全体的な圧力比、つまり燃焼室の圧力とガスタービンエンジンの主な空気入口での圧力との間の比が上昇することである。ゆえに本発明では、可変サイクルエンジンを設けるのにガスタービンエンジンが使用されるように、圧力比と流量とを相互に切り離す。ガスタービンエンジン、つまりターボファンエンジンなどのエンジンコアは、最大パワーを提供するために高流量・中高圧力比で回転するか、セミパワーで最大効率(つまり最低燃費)を提供するために低流量・高圧力比で回転することが可能である。
【0015】
従来のガスタービンエンジンでは、燃焼室へ供給される燃料の量が増加するにつれて、ガス流量と圧力比の両方が上昇する。進歩性を持つガスタービンエンジンでは、低レベルの燃料供給でも高い圧力に到達することが可能である、つまりセミパワーにおいて高い運転水準でコンプレッサを作動させることが可能である。
【0016】
「第1タービンの回転速度に応じてガスタービンエンジンにおけるガス流量に影響するのに第1タービンは適している」というのは、すなわち、第1タービンに関連する入口ステータがないことを意味する。通常、このようなステータはタービンの一部を形成すると考えられ、タービンのパワー出力を増大させるようにタービンロータへのガス流を渦流化するためタービンロータの上流に配置される。タービン入口ステータは、エンジン運転範囲の大部分にわたって流れが調節されるように配設されるのが普通である。これは、コンプレッサおよび燃焼器のエンジン部品の流れ設計を単純化する。調節されるガス流の流量は、下流タービンロータの回転速度の変化など下流の変化によって影響されない。対照的に、本発明のタービンでは、ガスが多かれ少なかれ軸方向にタービンロータへ流入できる。軸方向ガス流の流量は、タービンの回転速度に影響を受ける程度が(未調節)渦流よりも高い。
【0017】
本発明の好都合な実施形態では、第1タービンの回転速度を制御するための手段は、第1コンプレッサの少なくとも1列のコンプレッサブレードの上流に配設された可変ガス流案内手段を包含し、可変ガス流案内手段は、第1コンプレッサの回転速度に影響するようにガス流を案内するのに適している。こうして、回転式に固定接続されているので、第1タービンの回転速度も影響を受ける。
【0018】
例えば、第1コンプレッサの少なくとも1列のコンプレッサブレードへの入口流を若干の正渦流から若干の逆渦流へ変化させるのに、案内手段が使用される。これは、第1コンプレッサの、ゆえに第1シャフトおよび第1タービンの回転速度が低下することを意味する。従来のタービン入口ステータがないなどの第1タービンの機構のため、エンジンにおけるガス流量も減少する。
【0019】
可変ガス流案内手段は、一組の可変ガス流案内翼を包含することが好ましい。このタイプの案内翼はそれ自体周知であり、そのため本発明への適応が容易である。
【0020】
「可変ガス流案内手段が、第1コンプレッサの回転速度に影響するようにガス流を案内するのに適している」ということは、エンジンの運転中に第1コンプレッサを流れるガス、または少なくとも、案内手段の下流に配置された少なくとも1列のコンプレッサブレードに向かって流れるガスの渦流の程度に、この手段が影響を与える可能性があることを意味している。例えば、これらのコンプレッサブレードに向かって流れるガスの渦流に影響を与えるという案内手段の能力を大幅に低下させる他のいかなる部品も、案内手段とコンプレッサブレードとの間に配設されるべきではないということをこれが意味していることは、当該技術の熟練者には理解できる。この能力は、従来の可変コンプレッサ案内翼の能力にいくつかの点で類似している。しかし、このような従来の案内翼は、主としてコンプレッサ安定性を制御するのに使用されるのに対して、本発明の案内手段は、第1コンプレッサの回転速度を制御するための違う方法で制御される。
【0021】
本発明の好都合な実施形態では、第1タービンの少なくとも1列のタービンブレードが燃焼室に長手方向に隣接して配設される。これは、タービンロータが燃焼室のすぐ下流に配設されることを意味し、さらに、燃焼室の下流で第1タービンの上流の領域には、ステータ翼(ノズルブレード)も類似のガス偏向部品も配設されないことを明白にする。こうして、ガスタービンエンジンの運転中にこの領域を流れるガス流の大きな偏向を防止するように、ガスタービンエンジンが配設されるのである。
【0022】
本発明の好都合な実施形態では、ガスタービンエンジンは、第2シャフトにより回転式に固定接続された第2コンプレッサと第2タービンとを包含し、第2コンプレッサは燃焼室の上流に配設され、第2シャフトは第1シャフトに対して同心に配設され、第2タービンは第1タービンの下流に配置される。このようにして、ガスタービンエンジンの効率およびパワー出力が上昇する。効率を上昇させるため第1シャフトと反対方向に回転するように第2シャフトが配設されることが好ましい。
【0023】
本発明の好都合な実施形態では、第2コンプレッサは第1コンプレッサの上流に配設される。このような設計により、部品の応力を低下させることと、より単純なベアリング機構を使用することとが可能になる。
【0024】
本発明の好都合な実施形態では、第2コンプレッサの周囲で回転するように配設されたケースを第1コンプレッサが包含し、このケースは、第2コンプレッサに向かう内側方向に突出する複数列のコンプレッサブレードを備え、第1コンプレッサと第2コンプレッサとは重複している。このような逆回転コンプレッサにより、少ないエーロフォイルで高い圧力比を得ることが可能となる。
【0025】
本発明の好都合な実施形態では、第1および第2コンプレッサが部分的にのみ重複するように、第2コンプレッサが第1コンプレッサよりも長い距離にわたって軸方向に延在する。第1コンプレッサの最上流列のコンプレッサブレードの上流に配置された複数列のコンプレッサブレードを、第2コンプレッサブレードが有することが好ましい。可変案内翼が1列のみ、つまり入口に設けられるので、完全に重複する逆回転コンプレッサが中程度の速度で回転することは困難である。逆回転コンプレッサを部分的重複状態で配設することにより、高い圧力比が望ましい場合に、コンプレッサの安定性にとって重要である(入口以外の)可変案内翼をコンプレッサにさらに数列設けることが可能になる。
【0026】
このような逆回転コンプレッサでは、第1コンプレッサの上流に、そして第1コンプレッサの最上流列のコンプレッサブレードの上流に配置された複数列のコンプレッサブレードの下流に、可変ガス流案内手段が配置されることが好ましい。
【0027】
本発明の好都合な実施形態では、第1コンプレッサの下流および燃焼室の上流に配置された第1支承フレームに、第1ロータ機構が装着され、第1ロータ機構は、第1コンプレッサと第1シャフトと第1タービンとを包含する。重複コンプレッサが使用される場合には、第1コンプレッサの上流に配置された第2支承フレームにも第1ロータ機構が装着されることが好ましい。こうして、シャフト間ベアリングがなくても有効なベアリング機構が得られる。可変ガス流案内手段は、第2支承フレームに装着されることが好ましい。
【0028】
ガスタービンエンジンコアの半径は、第1コンプレッサの上流よりも第1コンプレッサと第2コンプレッサとが重複する距離において短いことが好ましい。ガスタービンエンジンの半径は、第2支承フレームまたはその周囲で下流方向に見て短くされることが好ましい。このような設計により、第1コンプレッサの上流のステータ・ロータ段が充分に高速で回転する、つまり充分に高いマッハ数で回転して、段ごとに高い圧力比が得られるのに対して、逆回転が加えられる下流の段では、過剰な衝撃損失を回避するのに充分な低速で回転できる。
【0029】
本発明の好都合な実施形態では、第1タービンのタービンブレードが少なくとも60°のブレード出口角を有する。ブレード出口角は、タービンが遅延調整された時に流量を充分に減少させるため、ブレード間のエリアを充分に狭くするのに充分なほど広くあるべきである。第1タービンのタービンブレードは、およそ45度以下の傾斜を持つことが好ましい。コンプレッサの可変入口案内翼の適切な設定などにより、第1タービンが若干の負荷のみを受けている時のガス流を最大化するために、タービンブレードのプロフィールは少量の傾斜を持つべきである。
【0030】
本発明の好都合な実施形態では、第1タービンの回転速度を制御するための手段は、第1シャフトから機械力を取り出すための機構を包含する。これは、代替手段として、または可変ガス流案内手段との組み合わせで使用できる。機械力を取り出すための機構が、第1シャフトに接続された発電機を包含することが好ましい。
【0031】
本発明は、軸流ガスタービンエンジンのガス流量を制御するための方法にも関する。進歩性を持つ方法は、タービンの回転速度を制御するステップを包含し、タービンの回転速度に応じてガスタービンエンジンにおけるガス流量に影響するのに、タービンが適している。
【0032】
進歩性を持つ方法の好都合な実施形態では、タービンに回転式に固定接続されたコンプレッサの少なくとも1列のコンプレッサブレードの上流に配設された可変ガス流案内手段を調節するステップを包含する。ガス流の逆渦流を増加させるか正渦流を減少させるように可変ガス流案内手段を調節することによりタービンの回転速度を低下させるステップを包含することが好ましい。
【0033】
進歩性を持つ方法の好都合な実施形態では、タービンに回転式に固定接続されたシャフトから機械力を取り出すステップを包含する。
【0034】
本発明は、第1コンプレッサを包含する第1ロータ機構と、第2コンプレッサを包含する第2ロータ機構とを包含する軸流ガスタービンエンジンに関しており、第1および第2ロータ機構は同心に配置されるとともに反対方向に回転するように配設され、第1コンプレッサは、第2コンプレッサの周囲で回転するように配設されたケースを包含し、このケースは、第2コンプレッサに向かう内側方向に突出する複数列のコンプレッサブレードを備え、第1コンプレッサと第2コンプレッサとは重複する。本発明では、第1および第2コンプレッサが部分的にのみ重複するように、第1コンプレッサより長い距離にわたって第2コンプレッサがガスタービンエンジンの軸方向に延在する。上述したように、このように部分的に重複する逆回転コンプレッサ機構によって、高い圧力比が望ましい場合にコンプレッサの安定性にとって重要である(入口以外の)可変案内翼をコンプレッサにさらに数列設けることが可能となる。このようなコンプレッサ機構を備えるガスタービンエンジンは、様々な用途で有益である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
以下に挙げる本発明の説明では、以下の図を参照する。
【図1】本発明によるガスタービンエンジンの好適な第一実施形態を概略図で示す。
【図2】図1に示されたタービンのタービンブレードのプロフィールを示す。
【図3】従来のタービンブレードのプロフィールを示す。
【図4】本発明によるガスタービンエンジンの好適な第二実施形態を概略図で示す。
【図5】本発明によるガスタービンエンジンの好適な第三実施形態を概略図で示す。
【図6】本発明によるガスタービンエンジンの好適な第四実施形態を概略図で示す。
【図7】本発明によるガスタービンエンジンの好適な第五実施形態を概略図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明の第一実施形態を概略図で示す。図1は、最も重要な部品を中心としており、進歩性を持つガスタービンエンジン1を最も単純な形で示す。ガスタービンエンジン1のエンジンコア25には、コンプレッサ22と燃焼室23とタービン24とが配設されている。ケーシング26は、エンジンコア25を画定する。コンプレッサ22は、コンプレッサ22の周方向に配設された1列のコンプレッサブレード27を有し、タービン24は、タービン24の周方向に配設された1列のタービンブレード28を有する。ガスタービンエンジン1の長手軸または中心線20を中心として同心に配設されたシャフト29を介して、コンプレッサ22とタービン24とが機能的に接続されている。長手軸20は、上流方向20aおよび下流方向20bに延在している。コンプレッサブレード27の上流には、一組の可変入口案内翼33が配置されている。
【0037】
コンプレッサ22とシャフト29とタービン24とは、コンプレッサ22と燃焼室23との間に配置されたコンプレッサ後部フレーム(CRF)32にベアリング31を介して装着および支承されたロータ機構を形成する。
【0038】
タービン24のタービンブレード28の列は、燃焼室23の下流で長手方向に隣接して配置されている。「長手方向に隣接して」の表現は、記載された長手方向隣接部品の間に他のロータブレードの列および/またはステータ翼の列が存在しないことを意味する。これを表現する別の方法は、タービンブレード28の列は、燃焼室23のすぐ下流に配置されていると述べることである。
【0039】
図1は、ガスタービンエンジン1のエンジンコア25の上半分のみを示すことに言及しておく。エンジンコア25の機構は、中心線20の下でもほぼ同じである(鏡像反転している)。これは、本書の同タイプの図すべてに有効である。
【0040】
コアガス流は、矢印30で示されている。従来の方法において、コアガス流は、コンプレッサ22(および他のコンプレッサ)を通過する時に圧縮され、燃料と混合されて燃焼室23で燃焼され、燃焼室23の下流で1枚または数枚のタービンを駆動するのに使用され、このタービンが対応のコンプレッサまたはファンを駆動する。コア画定部材26の外側に、バイパスガス(空気)流が従来方法で配設されてもよい。これは、本発明のすべての実施形態について有効である。
【0041】
図1に示された入口案内翼33、コンプレッサ22、シャフト29、そしてタービン24の主な機能は、エンジンコア25内でのガス流量の制御を可能にすることである。こうして、圧力比を制御することと、ゆえに、異なる運転水準の間でコンプレッサの運転をシフトさせることが可能である。これは、可変サイクルガスタービンエンジンを設けるのにエンジンコア25が使用されることを意味する。エンジンコア25におけるガス流量の制御は、シャフト29の回転速度を制御することによって達成される。
【0042】
「ガス流量」の語により、本書では、淀み点温度における軸流速度と音速との間の比に比例する正規化ガス流が意味される。この正規化ガス流量は、流速(m/s)にも質量流量(kg/s)にも等しくない。温度の変化は圧力よりも少ないため、本発明は質量流量よりもガスの流速に影響することに言及しておく。燃焼室へ供給される燃料の量は、ガスの流速よりも質量流量に影響することにも言及しておく。
【0043】
図1に示されたガスタービンエンジン1と従来のガスタービンとの間には重要な設計上の相違がいくつか存在する。従来のガスタービンエンジンでは、タービンの主な目的は、ガス流からできる限り多くのエネルギーを抽出してこれを機械(回転)エネルギーに変換することである。この目的のため、従来のガスタービンエンジンは、タービンのパワー出力を増大させるように、燃焼室とタービンロータとの間にタービンロータへの流れを渦流化するためのノズルブレード(ステータ翼)を、そして入口ステータと協働してタービンおよびその対応シャフトの回転を発生させるのに特に適したタービンブレードを備える。対照的に、ここで説明するシステムでは、タービン24とそのブレード28との主な目的は、タービンパワー出力を発生させるばかりでなく、エンジンコア25におけるガス流量の制御を容易にすることである。
【0044】
このような設計上の相違の一例は、タービン24が入口ステータと関連していない、つまりタービン24にステータがないことである。ゆえに、図1に示された例では、タービンブレード28の上流には入口ステータは配設されていない。こうしてガスは、タービンブレード28に到達する時に、かなりの程度が軸方向に流れるのである。このようにガスタービンエンジン1を配設することにより、回転力を発生させるというタービン24の能力が低下するが、他方ではタービン24の回転速度がそこでのガス流量に効果を及ぼすことになる。
【0045】
タービンの一部を成すと通常は考えられるステータである、タービン24の上流に配置された従来のタービン入口ステータは、流れの向きを接線方向に変える、つまりタービンをできる限り効率的に回転させるように、そして調節されたガス流を発生させるように、タービンロータブレードの方へ流れを渦流化するのである。ガス流が調節される点よりも下流のロータは、ガス流量に効果を及ぼさない。さらに、流れが調節されないとしても、流れが接線方向というよりは軸方向に向けられる場合には、ガス流量に効果を及ぼすという下流ロータの能力が向上する。
【0046】
図1に示されたエンジン1と大部分の従来ガスタービンとの別の設計上の相違は、タービンブレード28のプロフィールである。図2は、タービンブレード28のプロフィールを示す。軸方向のガス流の方向が、矢印30で記されている。図3は、ガスタービンエンジンに使用するための一般的なタービンブレード28bのプロフィールを示す。タービンステータによって向きを変えられた部分的に接線方向のガス流の方向は、矢印30bで記されている。図2と3を比較すると、違うタイプのタービンブレード28,28bのプロフィールが異なっていることが分かるだろう。
【0047】
図3に示された従来のタービンブレード28bのプロフィールは、(タービンステータにより達成される)かなりの接線方向の偏向を流れが受けた時に有効となるように設計されている。このような従来のタービンブレード28bは傾斜が強く、流れの流入速度または角度に関係なくやや大量の流れのみを通過させる。主として、本発明でこのようなブレード28bが使用されてもよいが、ガス流の変化の規模、つまり第1タービン24の回転速度が変化する時の最大および最小ガス流量の比はかなり小さいだろう。
【0048】
タービンブレード28のプロフィールは、大量の最大ガス流量を可能にするのにほとんど障害とならないという点において、ガス流量の制御を容易にするように設計されている。ブレード出口角β(図2参照)は、タービン24が遅延調整される時に流量を充分に減少させるため、ブレード28の間のエリアを充分に狭くするのに充分な大きさにすべきである。仮説上、ガスタービンエンジン1の運転中にシャフト29が静止した場合には、タービン24における、つまりタービンブレード28の列における有効流面積は、(ブレード28の長さがブレード28の間の距離に等しいかこれより長いと仮定して)タービン24の周囲の環状エンジンコア25の面積のcosβにほぼ等しい。タービン24が自由回転している場合、つまり、タービンブレード28とガス流との間でエネルギーの伝達が何も行われない(またはごく少量のみ行われる)ように、ガス流に適した速度でタービン24が回転する場合、そしてタービンブレード28が薄くて直線状である場合には、有効流面積は環状コア面積に近づく。こうして、タービン24/タービンシャフト29の回転速度を変化させることにより、エンジンコア25におけるガス流量が変化する。少なくとも理論上では、上述した終点(静止時および自由回転時)の間でタービンシャフト29の回転速度を変化させることにより、ガス流量はせいぜい1:cosβの間で変化する。理論的には、少なくとも2の係数変化が望ましい場合には、βは少なくとも60°である(cos60°=0.5なので)。タービンブレード28のブレード出口角βは、さらに大きいことが好ましい。
【0049】
コンプレッサの可変入口案内翼33の適切な設定により、タービン24に加えられるのが軽い負荷のみである時にガス流を最大化するため、タービンブレード28のプロフィールは傾斜が少量で厚みが少ない、つまり図3に示されたブレード28bよりも傾斜が少量で厚みが少なくあるべきである。適当な傾斜は45°以下であるが、これは用途にも左右される。
【0050】
設計上というよりは機能上の性質であるが、図1に示されたエンジン1と大部分の従来ガスタービンとの間の他の相違は、コンプレッサブレード27の上流に配置された一組の可変入口案内翼33であり、この案内翼33は、コンプレッサ22、ゆえにシャフト29およびタービン24の回転速度に影響するようにガス流を案内するように配設される。主に、コンプレッサ22の運転をより高い運転水準にする、つまり所与のガス流量での圧力を高くするようにガス流量を減少させるのに、案内翼33が使用される。ガス流量を低下させるため、該当のコンプレッサ段、つまりこの例では単一の列のコンプレッサブレード27への入口流の逆渦流を増加させる(正渦流を減少させることと同じ)ように、可変入口案内翼33が制御される。この入口流の逆渦流を増加させることは、コンプレッサ22が同じ回転速度でより多くの仕事量(エネルギー)をガス流に加えるという効果を持っている。仕事量が増加すると、シャフト29を介して対応のタービン24が付与するものよりも多くのトルクをコンプレッサ22に吸収させることになる。こうしてロータ機構全体、つまりコンプレッサ22とシャフト29とタービン24とが減速する。この低い回転速度では、ステータのないタービン24はもはや同じ量のガス流を受容することができず、圧力が高くて流量が少ない流れを提供するようにコンプレッサの流れを絞る。ゆえに、この変化はコンプレッサ22の運転水準を上昇させる。
【0051】
可変コンプレッサ案内翼つまり可変コンプレッサステータは、それ自体周知である。しかし、進歩性を持つガスタービンエンジンでは、他の実施形態における可変入口案内翼33および対応の案内翼は、別の機能を与える従来の動作と異なる方法で作動する。大まかに述べて、所定のロータ回転速度において案内翼33がどの角度に配置されるかに相違が見られる。従来は、このようなステータは、高いまたはフルロータ速度では開位置に、低いロータ速度では閉じた正渦流位置に置かれる。本発明では、発明に関連するステータ、可変入口案内翼33などは、いかなるロータ速度でも開位置または逆渦流位置に置かれる。従来の機能は、主としてコンプレッサの安定性を制御することであり、進歩性を持つガスタービンは、安定機能を実施する可変案内翼を備えることが好ましい。代わって本発明に関連する可変案内部材の機能は、主に、案内翼の下流のコンプレッサ段でのエネルギー伝達を制御することである。
【0052】
図1に示されたコンプレッサ22および/またはタービン24は多段タイプである、つまり複数のブレード列を包含する。重要なのは、可変案内翼33が少なくとも1列のコンプレッサブレードの上流に配置されることと、少なくとも第1列のタービンブレード、つまり最上流に配置されたタービンブレード列が、上述したようにガス流量に影響を与えられることである。
【0053】
効率およびパワー出力を上昇させるため、またはターボファンエンジンを設けるように外部負荷または推進ファンを駆動するために、図1に概略図示されたガスタービンエンジン1が別のタービンを備えるのは、ごく当然のことである。
【0054】
図4は、進歩性を持つガスタービンエンジンの第二実施形態を示す。この場合、ガスタービンエンジン100は、二つの逆回転ロータ機構を包含する、つまり反対方向に回転するようにロータ機構が配設されるのである。第1ロータ機構は、第1シャフト129により機能的に接続された第1コンプレッサ122と第1タービン124とを包含する。この第1ロータ機構は、図1に示されたロータ機構に対応する。第2ロータ機構は、第2シャフト229を介して機能的に接続された第2コンプレッサ222と第2タービン224とを包含する。2本のシャフト129,229は、中心線20を中心として同心に配設されている。
【0055】
図1と同様に、ケーシング26は、上述した部品を包囲してエンジンコア25を画定する。長手軸20を中心とする機構も類似している。
【0056】
第1ロータ機構は、ベアリング131を介して、コンプレッサ後部フレーム(CRF)32(第1ロータ機構の後部/下流部)とコンプレッサ中央フレーム(CMF)32b(第1ロータ機構の前部/上流部)とに装着されている。第2ロータ機構は、ベアリング231を介して、タービン中央フレーム(TMF)32c(第2ロータ機構の後部/下流部)と中間ケース(IMC)32d(第2ロータ構成の前部/上流部)とに装着されている。ゆえに、逆回転ロータ機構は、下流方向に順に四つのフレームIMC、CMF、CRF、TMFによって支承されている。IMC32dは、第2コンプレッサ222の上流に設けられている。CMF32bは、第1コンプレッサ122の上流で、第2コンプレッサ222に沿って下流方向ほぼ中ほどに設けられている。CRF32は、燃焼室23と第1コンプレッサ122との間に設けられている。TMF32cは、第2タービン224の下流に設けられている。
【0057】
第1ロータ機構のタービン区分は、図1に示されたものと類似している、つまり第1タービン124は、第1タービン124の周方向に配設された1列のタービンブレード128を有するのである。上述した理由のため、タービンブレード128は燃焼室23に長手方向に隣接して配置されている、つまり燃焼室23と第1タービン124のブレード128との間に設けられるステータ翼もロータブレードも存在しないのである。
【0058】
第1コンプレッサ122は、周方向に配設された4列のコンプレッサブレード127a,127b,127c,127dを有する。コンプレッサブレード127aの第1上流列は、続く下流コンプレッサブレード127b,127c,127dを保持する回転ケースまたはスリーブ122bを支承するのに使用される。回転ケース122bは第2コンプレッサ222の下流部を中心として回転するように配設され、ガスは回転ケース122bと第2コンプレッサ222との間を流れる予定である。ゆえに、コンプレッサブレード127a,127b,127c,127dは、第2コンプレッサ222に向かう内側方向に回転ケース122bから突出するのである。
【0059】
第1コンプレッサ122は、CRF32より上流で第2コンプレッサ222に部分的にのみ沿って延在するため、二つのコンプレッサ122,222は部分的にのみ重複している。第1組の可変入口案内翼133は、第1コンプレッサ122の上流つまりコンプレッサブレード127の列すべての上流において、可動フラップの形でCMF32bに配置されている。
【0060】
第2コンプレッサ222は、第1コンプレッサ122と比べてさらに上流まで延在し、CMF32bの上流と下流の両方に複数列のコンプレッサブレード227つまり複数のコンプレッサ段を備える。CMF32bとCRF32との間において、3組または3列の第2コンプレッサブレード227の各々が2列の第1コンプレッサブレード127a,127b,127c,127dの間に配置されている。第2組の可変入口案内翼233は、第1コンプレッサ222の上流に配置されている。CMF32bの上流において2列のコンプレッサブレード227の間には、一組の可変(入口以外)案内翼233bも配置されている。これら2組の案内翼233,233bの目的は、安定した効率的なセミ速度運転を可能にすることである。
【0061】
第2タービン224の主な目的は、(様々な目的に使用される)回転エネルギーを発生させることであり、そのため第2タービン224のタービンブレード228は、図3に示されたものと一致するプロフィールを有する。第1および第2タービン124,224の間には、ステータ翼(不図示)が配置されている。
【0062】
図1に関連して説明されたものと同じように、第1タービン124およびそのブレード128の主な目的は、タービンパワー出力を発生させることの他に、エンジンコア25のガス流量の制御を容易にすることである。そのため第1タービン124は、図1のタービン24と同じように設計されている。
【0063】
第1および第2コンプレッサ122,222はともに、エンジンコア25において下流に向かうガス(空気)流を圧縮するのに有益である。
【0064】
第1組の可変入口案内翼133、第1コンプレッサ122、第1シャフト129、そして第1タービン124の主な機能は、図1に関連して説明したのと同じように、エンジンコア25におけるガス流量の制御を可能にすることである。これは、上述したのと同じ効果を持ち、同じように実行される、つまり、圧力比に影響を及ぼす第1ロータ機構の回転速度に影響を与えるのに、入口案内翼133が使用されるのである。
【0065】
図4に示されたガスタービンエンジン100は、少数のエーロフォイルで高い圧力比を得るため完全逆回転タービンおよびコンプレッサを使用する。第1コンプレッサ122に割り当てられた可変入口案内翼133が第2コンプレッサ222の半分程度下流に設けられるように、逆回転の第1および第2コンプレッサ122,222は部分的にのみ重複している。部分的または半分だけ重複した逆回転コンプレッサ122,222を配設することにより、以下の二つの問題が解決される。1)ステータのないタービン124はステータを備えるタービンと同様の仕事量を提供できず、重複により高い圧力比が得られる。2)1列のみの可変案内翼が入口に設けられているので、完全に重複する逆回転コンプレッサはセミ速度での回転が困難である。逆回転コンプレッサを部分的重複状態で配設することにより、高い圧力比が望ましい場合には、コンプレッサの安定性にとって重要である(入口以外)可変案内翼をコンプレッサにさらに数列設けることが可能になる。
【0066】
図5は、本発明によるガスタービンエンジン500の第三の好適な実施形態を概略図で示す。第三実施形態と図4に示された第二実施形態との相違は、CMF32bまたはその周囲で、エンジンコア25の半径が下流方向に見ると減少することである。言い換えると、エンジンコア25の半径、つまり長手軸20とケーシング26との間の距離は、第1コンプレッサ122の上流よりも、第1コンプレッサ122が配置されて逆回転が加えられる距離に沿っての方が短い。この設計により、CMF32bおよび第1コンプレッサ122の上流のステータ・ロータ段が充分な高速で回転する、つまり充分に高いマッハ数で回転して、段ごとに高い圧力比を提供することが可能であるのに対して、逆回転が加えられるCMF32bの下流の段は、充分な低速で回転して過剰な衝撃損失を回避することができる。温度はコンプレッサ内で上昇して後部(下流)の段についてはマッハ数を減少させるので、エンジンコア半径が一定(図4)であってもこの現象は部分的に対処されるが、半径の変化はさらに最適な条件を与えることになる。半径の減少による付加的な長所は、一定半径の設計よりも低いハブ・先端半径比と長いブレードとを後部の段が有することである。こうして先端での漏出ばかりでなくシュラウドおよび先端での流損失を減少させ、こうして段の効率を上昇させる。
【0067】
コンプレッサ区分の上流部と下流部との間でエンジンコア半径がどれほど異なっているべきかは、用途に左右される。
【0068】
図6は、本発明によるガスタービンエンジン600の好適な第四実施形態を概略図で示す。概して、回転ケーシング122b(図4参照)に対する応力は、多段逆回転装置の逆回転ロータの速度を制限する。これを回避するため、単一段の逆回転コンプレッサを使用できる。このような場合には、コンプレッサ中央フレーム(CMF)32bのない、より単純なベアリング機構を使用できる。図6は、このようなタイプのガスタービンエンジンの一例を示す。
【0069】
図6において、可変入口案内翼33、第1ロータ機構(つまり第1コンプレッサ22、第1シャフト29、第1タービン24)およびその装着点、エンジンコアケーシング26などは、図1に示されたものと類似している。図4および5に示された実施形態と同じように、図6に示された実施形態は、第2コンプレッサ622と、タービンブレード628を備える第2タービン624とを含む。第1および第2コンプレッサ22,622は逆回転するが、この例では重複していない。第2コンプレッサ622は第1コンプレッサ22の上流に設けられ、図4に示されたものと同じように、IMC632dおよびTMF632cでケーシング26に装着されている。図6に示されたガスタービンエンジン600は、主として上述したのと同じ方法で機能する。
【0070】
図7は、本発明によるガスタービンエンジン700の好適な第五実施形態を概略図で示す。これは、図6に示された実施形態の変形例であり、部品はかなりの程度で同一である。この例では、第1逆回転コンプレッサ722は、コンプレッサブレード727の追加列を包含する二段コンプレッサであり、第1コンプレッサ722は、(図4に示された実施形態と対照的に)回転ケースのない従来構造である。コンプレッサブレード27,727の列の間には、付加的な可変案内翼733が配置されている。
【0071】
図4乃至7に概略的に示されたガスタービンエンジンが、さらに数列のコンプレッサおよびタービンブレードと、タービン列の間のステータとに加えて、別のタービンとシャフトとコンプレッサ、例えば低圧(LP)コンプレッサとLPタービンとを接続するLPシャフトを備えてもよいことは言うまでもない。
【0072】
示された図は概略的であることを指摘しておくべきである。例えば、図4および5に示されたケース122bは、これがケーシング26に対して回転移動可能である独立部分であることを示すため、ケーシング26よりもはるかに厚く描かれている。しかし、ケース122bがケーシング26の一部を形成すると見なすことも可能であり、それは、これら二つのケーシング部品が一緒にエンジンコア25を画定するからである。さらに、可変案内翼は、周知の手段によってケーシング26に直接的または間接的に装着される。
【0073】
二つのコンプレッサが「重複する」という表現により、他のコンプレッサのコンプレッサブレードの列のそれぞれ上流および下流に配置された少なくとも2列のコンプレッサブレードを、少なくとも1つのコンプレッサが有することを意味する。
【0074】
本発明は概して、軸流ガスタービンエンジン、つまり航空機の推進のために配設されたガスタービンエンジンとともに他の目的で配設されたガスタービンエンジンにも適用可能である。
【0075】
本発明は、上述した実施形態により制限されず、請求項の範囲内において様々な方法で変形されてもよい。例えば、第1タービン24,124の回転速度を制御するための手段は、対応のコンプレッサ22,122の回転速度に影響する可変ガス流案内手段を必ずしも含む必要はない。代替的に、または組み合わせで、回転速度を制御するための手段が、対応のシャフト29,129から機械力を取り出すための機構を包含することが可能である。このような機構の例は、シャフト29,129に接続された発電機であり、発電機は、シャフト/タービンの回転を減速する間に電気を発生させるのに使用される。
【0076】
図は、シャフト間ベアリングのない逆回転ロータのための機能的ベアリング機構を示す。これは、ベアリングで高い相対回転速度が回避されるという点で好都合である。しかし本発明では、上述したのと同じ方法でロータ構成がベアリングおよび支承フレームに装着される必要はない。
【符号の説明】
【0077】
1,100,500,600,700 ガスタービンエンジン
20 中心線
20a 上流方向
20b 下流方向
22 コンプレッサ
23 燃焼室
24 タービン
25 エンジンコア
26 ケーシング
27,627,727 コンプレッサブレード
28 タービンブレード
29 シャフト
30 コアガス流の方向
30b ガス流の方向
31 ベアリング
32 コンプレッサ後部フレーム
32b コンプレッサ中央フレーム
32c,632c タービン中央フレーム
32d,632d 中間ケース
33,633,633b,733 入口案内翼
122 第1コンプレッサ
122b 回転ケース
124 第1タービン
127a,127b,127c,127d コンプレッサブレード
128 タービンブレード
129 第1シャフト
131 ベアリング
133 可変入口案内翼
222,622 第2コンプレッサ
224,624 第2タービン
227 第2コンプレッサブレード
228,628 第2タービンブレード
229,629 第2シャフト
231 ベアリング
233,233b 案内翼
722 第1逆回転コンプレッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コンプレッサ(22,122,722)の周方向に分配された少なくとも1列のコンプレッサブレード(27,127a,127b,127c,127d,727)を備える第1コンプレッサ(22,122,722)と、
燃焼室(23)と、
前記第1タービン(24,124)の周方向に分配された少なくとも1列のタービンブレード(28,128)を備える第1タービン(24,124)と、
を連続流関係で包含し、
前記第1コンプレッサ(22,122,722)と前記第1タービン(24,124)とが、第1シャフト(29,129)により回転式に固定接続される、
ガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)において、
前記第1タービン(24,124)の回転速度に応じて前記ガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)におけるガス流量に影響するのに前記第1タービン(24,124)が適しており、
前記ガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)がさらに、前記第1タービン(24,124)の回転速度を制御するための手段(33,133,733)を包含すること、
を特徴とするガスタービンエンジン。
【請求項2】
前記第1タービン(24,124)の回転速度を制御するための前記手段が、前記第1コンプレッサ(22,122,722)の少なくとも1列のコンプレッサブレード(27,127a,127b,127c,127d,727)の上流に配設された可変ガス流案内手段(33,133,733)を包含し、前記可変ガス流案内手段(33,133,733)が、前記第1コンプレッサ(22,122,722)の回転速度に影響するようにガス流を案内するのに適していること、
を特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項3】
前記可変ガス流案内手段が、1組の可変ガス流案内翼(33,133,733)を包含すること、
を特徴とする請求項2に記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項4】
前記第1タービン(24,124)の前記少なくとも1列のタービンブレード(28,128)が、前記燃焼室(23)に長手方向に隣接して配設されること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項5】
第2シャフト(229,629)により回転式に固定接続された第2コンプレッサ(222,622)と第2タービン(224,624)とを包含し、前記第2コンプレッサ(222,622)が前記燃焼室(23)の上流に配設され、前記第2シャフト(229,629)が前記第1シャフト(29,129)に対して同心に配設され、前記第2タービン(224,624)が前記第1タービン(24,124)の下流に配置されること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項6】
前記第2シャフト(229,629)が、前記第1シャフト(29,129)に対して反対方向に回転するように配設されること、
を特徴とする請求項5に記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項7】
前記第2コンプレッサ(622)が前記第1コンプレッサ(22)の上流に配設されること、
を特徴とする請求項5または6に記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項8】
前記第1コンプレッサ(122)が、前記第2コンプレッサ(222)の周囲で回転するように配設されたケース(122b)を包含し、前記第2コンプレッサ(222)へ向かう内側方向に突出する複数列のコンプレッサブレード(127a,127b,127c,127d)を前記ケース(122b)が備え、前記第1コンプレッサ(122)と前記第2コンプレッサ(222)とが重複すること、
を特徴とする請求項6に記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項9】
前記第1および第2コンプレッサが部分的にのみ重複するように、前記第2コンプレッサ(222)が前記第1コンプレッサ(122)より長い距離にわたって軸方向に延在すること、
を特徴とする請求項8に記載のガスタービンエンジン。
【請求項10】
前記第1コンプレッサ(122)の最上流の列のコンプレッサブレード(127a)の上流に配置された複数列のコンプレッサブレード(227)を前記第2コンプレッサ(222)が有すること、
を特徴とする請求項8に記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項11】
前記第1コンプレッサ(122)の上流で、前記第1コンプレッサ(122)のコンプレッサブレード(127a)の最上流の列の上流に配置された前記複数列のコンプレッサブレード(227)の下流に、前記可変ガス流案内手段(133)が配置されること、
を特徴とする請求項2および10に記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項12】
前記第1コンプレッサ(22,122,722)の下流で前記燃焼室(23)の上流に配置された第1支承フレーム(32)に、第1ロータ機構が装着されて、前記第1ロータ機構が、前記第1コンプレッサ(22,122,722)と前記第1シャフト(29,129)と前記第1タービン(24,124)とを包含すること、
を特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項13】
前記第1コンプレッサ(122)の上流に配置された第2支承フレーム(32b)にも前記第1ロータ機構が装着されること、
を特徴とする請求項12に記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項14】
前記可変ガス流案内手段(133)が前記第2支承フレーム(32b)に装着されること、
を特徴とする請求項11または13に記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項15】
ガスタービンエンジンコア(25)の半径が、前記第1コンプレッサ(122)の上流よりも、前記第1コンプレッサ(122)と前記第2コンプレッサ(222)とが重複する距離において短いこと、
を特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項16】
前記ガスタービンエンジンコア(25)の半径が、前記第2支承フレーム(32b)および前記第2支承フレームの周囲において下流方向に見て短くなること、
を特徴とする請求項13または15に記載のガスタービンエンジン。
【請求項17】
前記第1タービン(24,124)の前記タービンブレード(28,128)が少なくとも60°のブレード出口角(β)を有すること、
を特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のガスタービンエンジン。
【請求項18】
前記第1タービン(24,124)の前記タービンブレード(28,128)がおよそ45°以下の傾斜を有すること、
を特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載のガスタービンエンジン。
【請求項19】
前記第1タービン(24,124)の前記タービンブレード(28,128)が、前記第2タービン(224,624)の前記タービンブレード(228,628)よりも少量の傾斜と少ない厚みとを有すること、
を特徴とする請求項5に記載のガスタービンエンジン。
【請求項20】
前記第1タービン(24,124)の回転速度を制御するための前記手段が、前記第1シャフト(29,129)から機械力を取り出すための機構を包含すること、
を特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項21】
機械力を取り出すための前記機構が、前記第1シャフト(29,129)に接続された発電機を包含すること、
を特徴とする請求項20に記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項22】
前記第1タービン(24,124)のエンジンコア(25)が配置される前記ガスタービンエンジンのエンジンコア(25)をケーシング(26)が画定すること、
を特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項23】
前記ガスタービンエンジンが、航空機の推進のために配設されたターボファンエンジンであること、
を特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載のガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)。
【請求項24】
軸流ガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)のガス流量を制御するための方法において、
タービン(24,124)の回転速度を制御するステップであって、前記タービン(24,124)の回転速度に応じて前記ガスタービンエンジン(1,100,500,600,700)におけるガス流量に影響を与えるのに前記タービン(24,124)が適しているステップ、
を包含することを特徴とする方法。
【請求項25】
前記タービン(24,124)に回転式に固定接続されたコンプレッサ(22,122,722)の少なくとも1列のコンプレッサブレード(27,127a,127b,127c,127d,727)の上流に配設された可変ガス流案内手段(33,133,733)を調節するステップ、
を包含することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ガス流の逆渦流を増加させるか正渦流を減少させるように前記可変ガス流案内手段(33,133,733)を調節することにより、前記タービン(24,124)の回転速度を低下させるステップ、
を包含することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記タービン(24,124)に回転式に固定接続されたシャフト(29,129)から機械力を取り出すステップ、
を包含することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項28】
第1コンプレッサ(122)を包含する第1ロータ機構と、
第2コンプレッサ(222)を包含する第2ロータ機構と、
を包含し、
前記第1および第2ロータ機構が、同心に配置されるとともに、反対方向に回転するように配設され、
前記第2コンプレッサ(222)の周囲で回転するように配設されたケース(122b)を前記第1コンプレッサ(122)が包含し、前記第2コンプレッサ(222)に向かう内側方向に突出する複数列のコンプレッサブレード(127a,127b,127c,127d)を前記ケース(122b)が備え、前記第1コンプレッサ(122)と前記第2コンプレッサ(222)とが重複する、
軸流ガスタービンエンジン(100,500)において、
前記第1および第2コンプレッサが部分的にのみ重複するように、前記ガスタービンエンジン(100,500)の軸方向において、前記第2コンプレッサ(222)が前記第1コンプレッサ(122)よりも長い距離にわたって延在すること、
を特徴とする軸流ガスタービンエンジン。
【請求項29】
前記第1コンプレッサ(122)の最上流の列のコンプレッサブレード(127a)の上流に配置された複数列のコンプレッサブレード(227)を前記第2コンプレッサ(222)が有すること、
を特徴とする請求項28に記載のガスタービンエンジン(100,500)。
【請求項30】
前記第1ロータ機構が、前記第1コンプレッサ(122)の下流に配置された第1支承フレーム(32)に装着されること、
を特徴とする請求項28または29に記載のガスタービンエンジン(100,500)。
【請求項31】
前記第1コンプレッサ(122)の上流で前記第2コンプレッサ(222)の複数列のコンプレッサブレード(227)の下流に配置された第2支承フレーム(32b)にも、前記第1ロータ機構が装着されること、
を特徴とする請求項30に記載のガスタービンエンジン(100,500)。
【請求項32】
前記ロータ機構が配置されるエンジンコア(25)の半径が、前記第1コンプレッサ(122)の上流よりも、前記第1コンプレッサ(122)と前記第2コンプレッサ(222)とが重複する距離に沿って短いこと、
を特徴とする請求項28乃至31のいずれかに記載のガスタービンエンジン。
【請求項33】
前記エンジンコア(25)の半径が、前記第2支承フレーム(32b)または前記第2支承フレームの周囲で下流方向に見て短くなること、
を特徴とする請求項31または32に記載のガスタービンエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−508135(P2011−508135A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539349(P2010−539349)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/SE2007/001151
【国際公開番号】WO2009/082281
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(500204267)ボルボ エアロ コーポレイション (26)
【Fターム(参考)】