説明

ガスバーナー

大きな表面を有する基板の火炎処理、たとえば燃焼化学気相成長(CCVD)法で基板をコーティングするのに特に好適なガスバーナーは、ガス供給接続部(2)およびノズルプレート(3)を有するバーナー本体(1)を含む。バーナー本体(1)およびノズルプレート(3)はともにガスプレナムを構成し、ノズルプレート(3)は、プレナムの穿孔された壁部分を構成する。ノズルプレート(3)は、ノズルプレートのプレナム側(5)から火炎側(6)に延在する多数のノズル(4)を含み、積層に配置され、かつノズル延在部にほぼ垂直またはほぼ平行に延在する複数のシート(10)からなる。シート(10)は貫通開口部を有し、すべてのシートの貫通開口部は、少なくとも部分的に互いに位置合わせされるか、または櫛状の形態を有する。バーナーのノズルプレート(3)は、バーナーの寸法およびノズルの必要とされるアスペクト比とは無関係に、簡単に、たとえば市販の穿孔された金属シート材料で作製することができ、ノズルの寸法または密度に関する様々な要件に容易に適合させることができ、容易に洗浄することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の包括部分に係るガスバーナーに関する。ガスバーナーは、火炎列を設けるのに好適であり、たとえば、いわゆる燃焼化学気相成長(CCVD)法において表面を活性化するかまたは表面をコーティングするために、たとえば、基板表面の火炎処理、特に大きな基板表面の火炎処理のための装置において利用可能であるような特徴を有する。
【背景技術】
【0002】
大きな表面を有する基板、たとえば、ポリマー膜の準無限ウェブ、ボール紙、金属箔、押出成形された幕、またはそれらの組み合わせを火炎処理するための設備は、通常は、ガスバーナーもしくは複数のガスバーナーと、ガスバーナーによって生じる火炎列中をまたは火炎列を越えて基板を移動させるための手段(たとえば回転ドラム)とが備えられる。火炎列は、通常は火炎帯の形態を有し、基板の移動方向に垂直に基板の幅にまたがる。このような設備は、たとえばWO2007/051340に記載されている。
【0003】
上記の種類の設備において行なわれる火炎処理工程によって実現することができる処理品質は、火炎帯の、特にその全長にわたる、すなわち基板の移動方向に垂直な均一性と、この均一性の時間的な恒常性とに相対的に依存する。この均一性を実現するには、比較的高密度の火炎を有する火炎列が必要であり、火炎は可能な限り同様の特徴を有し、かつできる限り長期間、高い恒常性で燃焼することができなければならない。
【0004】
火炎列を設けるための既知のガスバーナーは、通常はガス供給接続部と、一方側に穿孔された壁部分とを有するガスプレナムを含み、供給されたガスは、穿孔された壁からプレナムの外に出て、この壁の外側で燃焼する。高密度の火炎のために、穿孔されたプレナムの壁は、たとえばUS2003/044342に記載されているような、一連の重ねられた波形金属細片、多孔質の耐熱要素、または複数の多孔質の耐熱プレート群を含む。このような穿孔されたプレナム壁部分によって、十分な長さの高密度の小さいノズルを実現することができる。しかし、ノズルの断面およびノズルの長さは、断面および長さの範囲内でほぼ任意に変動し、極めて高品質レベルでの表面処理用途には十分ではないことがわかっている。
【0005】
高品質の火炎処理に好適な上記の条件を満たすことができる既知のバーナーは、ガスプレナムの穿孔された壁部分として、たとえば青銅からなる1片の金属ノズルプレートを含む。しかし、このようなノズルプレートは比較的高いアスペクト比の高密度の小さいノズルを必要とし、必要な精度のために、穿孔によって作製する必要がある。穿孔動作によってアスペクト比に上限が課され、高い機械および/または手間賃と結び付けられる。
【0006】
WO01/57438は、並列に配置された複数のスリット状貫通開口部を有する管状のバーナー本体を含むガスバーナーを開示している。また、バーナー本体上には、同じく貫通開口部を含む保護シールドが配置され、その位置および形態は、バーナー本体の貫通開口部に適合される。保護シールドは、過度な熱曝露からバーナー本体を保護するように機能する。
【0007】
DE2605954は、絡み合うように配列された複数の折畳みシート要素によってノズルプレートが形成されるガスバーナーを開示している。このように、ガス用ノズルが形成される。折畳みシートが使用されているため、シートの面が互いに正確に位置せず、ガスがシート同士の間の空間を不確定に流れる可能性がある。また、開口部は貫通しておらず、ガスはシート要素の角の周りを流れる。したがって、正確で安定した燃焼条件を実現することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、火炎列を設けるためのガスバーナーを作製することであり、火炎列は少なくとも、1片の金属ノズルプレートを含む上記の既知のバーナーのように、大きな基板表面の最高品質の火炎処理に好適であるが、当該装置は、相対的により簡単な手段で、なおかつ高い精度で生成することができる。さらに、バーナーの生成はノズルのアスペクト比に限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
当該目的は、独立請求項に規定されるガスバーナーによって実現される。従属請求項は、本発明に係るガスバーナーの好ましい実施例を規定する。
【0010】
本発明に係るガスバーナーは、同じ目的で使用される既知のバーナーのように、ガス供給接続部およびノズルプレートを有するバーナー本体を含み、バーナー本体およびノズルプレートはガスプレナムを構成し、ノズルプレートはガスプレナムの穿孔された壁部分を構成する。本発明に係るガスバーナーのノズルプレートは、積層状の配列の複数のシートを有し、シートは、ノズルプレートのプレナム側から火炎側に延在する複数のノズルを積層が含むように、積層において形成および配列される。ノズルプレートは、好ましくは、バーナー本体とは別個に形成される要素である。すなわち、ノズルプレートは、バーナー本体とは別個に作製することができる。したがって、ノズルプレートを所望枚数のシートで作製することができ、その後バーナー本体に接続することができる。ノズルプレートがバーナー本体に固定される領域において、バーナー本体は開口することができる、またはガス用の貫通開口部を有する壁を特徴とすることができる。
【0011】
数枚のシート、特に少なくとも3枚のシートの組合せによって、ノズル開口部が形成されることが好ましく、開口部は、最長の方向において、ガスの流出方向における長さよりも直径が小さい。
【0012】
当該シートはノズル長さにほぼ垂直に延在し、(多孔質プレートの任意の貫通開口部と対照的に)明確な貫通開口部を有し得る。すべてのシートの貫通開口部は、積層において少なくとも部分的に互いに位置合わせされて、ノズルを形成する。ノズルの一定の開口幅(直径)を維持しつつ、シートの枚数を増やすことによってノズル長さを容易に延長することができる。当該シートはノズル長さにほぼ平行に延在してもよい。シートの少なくとも一部は鋸歯状のエッジを有する櫛状の形態を有し、ノズルプレートの火炎側に面する。シートの櫛状に配列された歯の間の間隙が、隣接するシートノズルとともに形成される。したがって、長さと直径との比較的高い比率によって、難なく間隙を作製することができる。間隙は、特に、薄いシート材料から打抜きによって形成することができる。これは、最初に述べたようにすべての側面でノズルを区切る1片の厚いノズルプレートを穿孔する方法とは逆である。
【0013】
本発明に係るバーナーのノズルプレートは典型的に長方形の形態を有し、(処理装置において基板の動きに平行に延在する)幅は数センチメートル(たとえば3〜20cm)、長さは数メートル(たとえば1〜3m)まで、厚さは約5〜20mmである。ノズルプレートを通ってプレナム側から火炎側に達するノズルは、有利に、0.5〜2mmの範囲の寸法の断面を有し、およそ同じ範囲において互いに離間する。これにより、アスペクト比は約2.5〜40となり、ノズルの密度はたとえば0.25または0.5ノズル/mm2程度となる。
【0014】
シートは、たとえば金属、好ましくは鋼(たとえば炭素鋼または酸化防止鋼)からなるが、真鍮または青銅で構成されてもよい。典型的に0.5〜2mm(好ましくは0.8〜1.5mm、さらに好ましくは1mm)の厚さを有する。このような金属シート材料は市販されており、目的に好適な明確な開口部のパターン(穿孔された金属シート)で構成される。シート材料は所定の寸法に切断することができ、場合によっては、たとえばレーザ(レーザ切断)、ジェット切断またはフライス加工によって、貫通開口部または鋸歯状のエッジが設けられる。1枚の完全なシートを同時に穿孔することができるか、または半無限のシート材料の細片を連続して打抜くことによってシートを生成することができる打抜き器具を用いて打抜きによって生成されることが好ましい。
【0015】
ノズルプレートをシートで作製するには、複数のシートが積層され、積層中のシートは互いに固定され、固定手段は、バーナー本体の一部であっても、ノズルプレートの追加部分を構成してもよい。また、シートをエッジの少なくとも一部に沿って互いに溶接することも可能である。積層を形成するには、シートは平坦かつ直線状であることが好ましく、すなわちいずれの場合でも平坦な上側および下側を特徴とする。ノズルプレートにおいて、隣接するシートの上側および下側は互いの表面上に位置し、したがって接触領域では、好ましくはガスは通過することができない。シートは好ましくは曲げられていないため、一般にノズルを区切るまたは規定する隣接層を互いに容易にずらすことができ、したがって互いに正確に位置合わせすることができる。シートを互いに移動させることによって、ノズル開口部の断面を規格に応じて変動させることができる。
【0016】
本発明に係るバーナーによって生じる火炎列は、火炎処理品質に関して最高水準を満たすことができ、既知の1片の青銅ノズルプレートほど、生成に関しての要求はそれほど厳しくない。本発明に係るバーナーのさらなる利点は、ノズルプレートの生成が容易である点、または1枚のノズルプレートを様々な要件(様々な処理、様々なガス等)に適合させる点であり、異なる数のシートおよび/または異なる種類のシートを積層することによって、ほんの少数の異なるシート種類から多数の異なるノズルプレートを作製することができる。さらに、異なる材料のシート、たとえば、ノズルプレートの火炎側を構成する、熱および酸化に対する耐性が高く、したがって高価な材料からなる1枚のシートと、ノズルプレートのプレナム側を構成する、耐性が低く、したがって高価ではない材料からなる複数のさらなるシートとを組合せることができる。本発明に係るバーナーのさらなる利点は、ノズルプレートをバーナー本体から取外し、かつシートを分離させることによって、ノズルを容易にかつ十分に洗浄することが可能となる点であり、ノズルプレートが長寿命となる。
【0017】
図面に関連して、本発明に係るガスバーナーをさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ノズルプレートのシートがノズル長さにほぼ垂直に配列された、本発明に係るガスバーナーの第1の実施例を示す図である。
【図2】図1のバーナーの実施例のノズルプレートの分解図である。
【図3】火炎側から見た、図1のバーナーの実施例のノズルプレートの図である。
【図4】プレナム側から見た、図1のバーナーの実施例のノズルプレートの図である。
【図5】ノズルプレートのシートがノズル長さにほぼ平行に配列された、本発明に係るガスバーナーの第2の例示的な実施例を示す図である。
【図6】図5のバーナーの実施例のノズルプレートのシートの分解図である。
【図7】ノズルプレートの一部を構成する積層に配列された、図5のバーナーの実施例のノズルプレートのシートの図である。
【図8】本発明に係るバーナーのさらなる実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明に係るガスバーナーの第1の例示的な実施例を示し、ガスバーナーは、ガス供給接続部2およびノズルプレート3を有するバーナー本体1を含み、バーナー本体1およびノズルプレート3はともにガスプレナムを構成し、ノズルプレート3は、プレナムの穿孔された壁部分を構成する。ノズルプレート3のノズル4は、ノズルプレート3のプレナム側5から火炎側6に達する。例示を簡略化するために、図1のバーナーの寸法の関係は、実際のバーナーの関係とは一致しない。特に、バーナー本体は通常はより長く、ノズルは例示されているよりも小さく、より互いに接近している。
【0020】
ノズルプレート3は、複数のシート10(図1に例示されるようにたとえば6枚のシート)を含み、ノズルの長さにほぼ垂直に延在し、明確な貫通開口部を含み、各シートの貫通開口部が積層の他のすべてのシートの開口部と十分に位置合わせされてノズルを形成するように積層される。
【0021】
シート10の積層は、たとえば、バーナー本体の長さにわたって延在する対応する溝11によって、互いにかつバーナー本体1に対して所定の位置に保持される。積層は、積層全体を貫通するもしくは少数のノズルを貫通する対応する孔を通って延在するリベットもしくはボルトによって、またはシートのエッジに沿った溶接接続によって、追加的に安定化され得る。
【0022】
図2は、図1のバーナーのノズルプレート3の6枚のシート10をさらに詳細に示す。6枚のシートは、異なる2種類のシートからなる。ノズルプレート3の火炎側6を構成する4枚の第1の種類のシート10.1は、たとえば円形の貫通開口部(孔)のパターンを有し、開口部の各1つは、バーナーによって生じる火炎列の1つの炎を供給する。第1の種類のシート10.1は、たとえば、シートのエッジに平行に延在する列に配列された規則的なパターンの孔を有する穿孔された金属シート材料からなり、ある特定の列の孔は、隣接する列の孔同士の間の空間に位置合わせされる。このような穿孔されたシート材料は市販されている。
【0023】
少なくとも1枚の(例示では2枚の)第2の種類のシート10.2は、ノズルプレートのプレナム側5を構成する。これらのシート10.2は、第1の種類のシート10.1と同じパターンの貫通開口部の一部を含み、このパターンの他の部分の代わりに、シートの長さに平行に延在し、たとえば孔の2列と同じ幅を有するほぼ長方形の貫通開口部を含む。第2の種類のシート10.2は、長方形の開口部を切断し、このように孔の列の一部を除去することによって、第1の種類のシートと同じ穿孔された金属シート材料で形成されることが好ましい。
【0024】
図1のバーナーのノズルプレート3を火炎側6(図3)およびプレナム側5(図4)から示す図3および図4からわかるように、第2の種類のシート10.2の孔は、対応するノズルの有効断面が減少するように、孔の直径よりも小さい孔ずれ量dによって列方向にずらされる。他方で、長方形の貫通開口部と位置合わせされる列の孔は、孔の断面に対応する有効断面を有する。断面がより大きいノズル列は処理火炎を供給するように機能し得、断面を減少させたノズルは、より大きな処理火炎を維持するのに必要な、より小さい支持火炎を供給するように機能する。
【0025】
図2から図4に示される例示的なノズルプレートは、2列の処理火炎の2本の帯を含む火炎帯を生成し、両側と帯の間とに、火炎を支持する列が1本ずつある。図2の第1の種類のシート10.1を、他の、場合によってはシートごとに異なるパターンの孔ならびに長方形の開口部および/またはずれ量が異なる孔パターンを有する第2の種類のシートと積層することによって、極めて多様なパターンの異なる寸法の火炎の火炎帯を生成することが可能となり、ノズルプレート3の製造は、ほぼ同じかつ常に極めて簡単である。
【0026】
もちろん、シートが互いに変位可能となるように、たとえば、バーナーおよびノズルプレートを分解することなくノズルの少なくとも一部のノズル断面を多様な要件に適合させることができるように、シートをバーナーに配列することも可能である。
【0027】
一部のノズルの有効断面を減少させるために同じ断面の孔のずれ量を用いる代わりに、より孔が小さいシートを使用して、小さい方の孔が他のシートのより大きい孔と位置合わせされるように配列することも可能である。
【0028】
明らかに、第1の種類のシートのみでノズルプレートを作製することも可能であり、すべてのシートのすべての孔は、互いに正確にまたは部分的に位置合わせされ得る。選択された一部のシートにこのような多様なずれ量を与えることによって、有効ノズル断面を容易に、つまり対応する孔ずれ量を有するシートを選択し、ノズルプレートのプレナム側に位置決めすることによって設定することが可能となる。
【0029】
上記の場合のいずれにおいても、それぞれ非円形断面を有する貫通開口部もしくはノズルを、代わりにたとえば正方形、長方形または多角形の断面を有するように設計することももちろん可能である。
【0030】
図5は、本発明に係るバーナーのさらなる例示的な実施例を示す。バーナーは、バーナー本体1およびノズルプレート3を含み、ノズルプレート3を構成するシート10は、ノズル延在部にほぼ平行に方向付けられ、好ましくはバーナー本体の長さに平行である。
【0031】
図6および図7から、シート10をより大きな縮尺で見ることができ、図6は、分解した状態のシート10の一部を示し、図7は、ノズルプレート3の、すなわちシート10の積層の一部を示す。ここでも2種類のシート(第3の種類のシート10.3および第4の種類のシート10.4)があり、交互に積層されている。第3の種類のシート10.3は櫛状の形態を有し、鋸歯状のエッジがノズルプレート3の火炎側6に面しており、すなわちこのエッジの領域において、たとえば長方形の歯22の間に間隙21を有する。第4の種類のシート10.4はほぼ長方形の形態を有し、直線状のエッジがノズルプレートの火炎側に面し、積層において、第3の種類のシート10.3の鋸歯状のエッジと位置合わせされている。歯22の間の間隙21の深さは、第4の種類のシート10.4の幅よりも大きく、これらの間隙21の底部が横方向のノズル口23を構成し、プレナムからノズルにガスを流入させることができる。ノズル4の各々は、1枚の第3の種類のシート10.3の2つの歯22と、2枚の隣接する第4の種類のシート10.4とによって、ノズルプレートの火炎側に区切られ、長方形または正方形の断面を有する。これは、ノズル4が列に配列され、図5および図7に例示されるノズルプレート3の場合のように、隣接する列のノズルが互いに位置合わせされても、互いにジグザグに配置されてもよいことを意味する。DE2605954に係るノズルプレートとは対照的に、ノズルを限定する壁は直線状であり、すなわち実際のノズルにおいて、ガスの流れは突出するエッジに当たらない。
【0032】
図5から図7に示されるノズルのジグザグ配置は、同様の歯/間隙パターンを有する複数の櫛状シート10.3(第3の種類のシート)によって実現することができ、第1のこのようなシート10.3′の歯/間隙パターンは対称的であり、シートはいずれかの端部にけがき(たとえば切欠き50)を有し、第2のこのようなシート10.3″の歯/間隙パターンは第1のシート10.3′に対してずらされており、したがって非対称的であり、シートは一方側にのみ、けがきを有する。積層において、(第4の種類のシートと互い違いの)第3の種類のシートは、シート10.3″(けがきは左側)−シート10.3′−シート10.3″(けがきは右側)−などのように配列される。
【0033】
図5から図7に例示される積層のさらなる変更は、単一の第3の種類のシート10.3の間に2枚の第4の種類のシート10.4を、もしくはその逆に積層することによって実現することができ、このようにノズル密度を減少させるか、またはノズル断面を増大させる。異なる積層パターンを用いることによって、処理火炎のためのより大きいノズルと、火炎を支持するためのより小さいノズルとからなる列を生成することも可能である。これは、異なる間隙/歯パターンを有する第3の種類のシート10.3を用いることによっても実現することができる。
【0034】
櫛状のシート(第3の種類のシート10.3)および長方形のシート(第4の種類のシート10.4)を積層する代わりに、シート幅の半分よりも深い間隙21を歯22の間に有する櫛状のシートのみを使用し、かつ鋸歯状のエッジがノズルプレートの火炎側およびノズルプレートのプレナム側に面し、間隙が少なくとも部分的に互いに位置合わせされた状態で、櫛状のシートを互い違いにすることも可能である。
【0035】
図7に示される積層においてシート10を位置合わせし固定するために、シートは、たとえば、シートが正確に積層されると互いに位置合わせされる位置合わせ孔24を有し、孔を通ってリベットまたはボルトが押込まれ、シートの積層に対して固定される。
【0036】
図8は、本発明に係るガスバーナーのさらなる例示的な実施例の断面図である。バーナーはバーナー本体1およびノズルプレート3を含み、ノズルプレート3は、たとえば図2に示される複数の第1の種類のシート10.1からなり、したがって同じノズルのパターンを有する。バーナーのプレナムは、中央区画30.1および2つの側方区画30.2に分けられ、区画はバーナーの長さに沿って延在し、区画の各々は、それ自身のガス供給接続部(2.1、2.2)を有する。プレナム部分30.1および30.2に供給されるガスG.1およびG.2は、異なる区画から送られる火炎が例示のとおり異なる寸法を有し、このようにたとえばより大きい処理火炎とより小さい支持火炎とを構成するように、異なる圧力を有してもよい。代替的に、またはさらに、ガスG.1およびG.2は、異なるガスであってもガス混合物であってもよい。たとえば、ガスG.2は、燃焼ガスおよび酸素または空気の混合物であってもよく、ガスG.1は、基板表面上に堆積される成分の前駆体をさらに有してもよい。基板が、バーナーによって生じる火炎帯を越えて、または火炎帯中を方向Fに移動されると、前処理(たとえば表面活性化)、次いで燃焼化学気相成長法、次いで後処理(たとえば堆積されたコーティングのアニーリング)を受けることになる。
【0037】
もちろん、異なる化合物を連続して堆積するために異なる前駆体を含むガスが供給されるプレナム区画を設けることも可能である。
【0038】
代替的に、プレナム区画G.1およびG.2は、バーナー本体の長さに沿ってではなく幅に沿って延在し、すなわちバーナー本体の長さに沿って、または処理されるウェブの幅に沿って、異なる区画が存在する。このような区画にたとえば上記のような処理用ガスが送られる場合、ウェブはその幅にわたって異なった処理を受ける。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火炎列を設けるためのガスバーナーであって、装置は、ガス供給接続部(2)およびノズルプレート(3)を有するバーナー本体(1)を備え、前記バーナー本体(1)および前記ノズルプレート(3)はともにガスプレナムを構成し、前記ノズルプレート(3)は、ガスプレナムの穿孔された壁部分を構成し、前記ノズルプレート(3)は、前記ノズルプレート(3)のプレナム側(5)から火炎側(6)に延在する複数のノズル(4)を含み、前記ノズルプレート(3)は、明確な貫通開口部または鋸歯状のエッジを有しかつ積層に配列される複数のシート(10)を含むことを特徴とする、ガスバーナー。
【請求項2】
前記ノズルプレート(3)は、前記バーナー本体(1)とは別個に形成される要素であることを特徴とする、請求項1に記載のガスバーナー。
【請求項3】
各シート(10)は平坦な上側および下側を有することを特徴とし、隣接するシート同士の上側および下側は、前記ノズルプレート(3)において互いの表面上に位置する、請求項1または2に記載のガスバーナー。
【請求項4】
前記シート(10)はノズル延在部にほぼ垂直に配列され、すべてのシートは複数の貫通開口部を有し、積層において、前記シート(10)の貫通開口部の少なくとも一部は互いに十分に位置合わせされて、ともに前記ノズル(4)を形成することを特徴とする、請求項1または2に記載のガスバーナー。
【請求項5】
前記ノズルプレート(3)は、同一の貫通開口部のパターンを有する複数の第1の種類のシート(10.1)を含み、前記シートの1枚は、前記ノズルプレート(4)の火炎側(6)を構成することを特徴とする、請求項4に記載のガスバーナー。
【請求項6】
貫通開口部は円形の断面を有することを特徴とする、請求項5に記載のガスバーナー。
【請求項7】
前記ノズルプレート(3)は、ノズルプレートのプレナム側(5)を構成しかつ第1の種類のシート(10.2)と同じパターンの貫通開口部を少なくとも部分的に有する少なくとも1枚の第2の種類のシート(10.2)をさらに含むことを特徴とし、前記第2の種類のシート(10.2)の貫通開口部のパターンは、前記第1の種類のシート(10.1)の貫通開口部のパターンに対してずらされており、ずれ量(d)は、前記パターンの貫通開口部の断面の寸法よりも小さい、請求項5から6のうちいずれか1項に記載のガスバーナー。
【請求項8】
前記第2の種類のシート(10.2)は、前記パターンの貫通開口部の断面よりも大きいさらなる貫通開口部を有することを特徴とする、請求項7に記載のガスバーナー。
【請求項9】
前記シート(10)は、互いに、かつ前記バーナー本体(1)に対して所定の位置に締付けられることを特徴とする、請求項4から8のうちいずれか1項に記載のガスバーナー。
【請求項10】
前記シート(10)は、ノズル延在部にほぼ平行に配列され、前記シートの少なくとも一部は、歯(22)と前記歯の間に間隙(21)とを有する鋸歯状のエッジを含む櫛状の第3の種類のシート(10.3)であることを特徴とする、請求項1から3のうちいずれか1項に記載のガスバーナー。
【請求項11】
前記第3の種類のシート(10.3)は第4の種類のシート(10.4)と交互に配列され、鋸歯状のエッジは前記ノズルプレート(3)の前記火炎側(6)にあり、前記第4の種類のシート(10.4)の対応するエッジはほぼ直線状であり、前記第3の種類のシート(10.3)の前記歯(22)の間の前記間隙(21)の深さは、前記第4の種類(10.4)のシートの対応する寸法より大きいことを特徴とする、請求項10に記載のガスバーナー。
【請求項12】
前記第3の種類のシート(10.3)は、規則的なパターンの間隙(21)および歯(22)を有し、前記第3の種類のシート(10.3)のうちの別のシートのパターンは、互いにずらされていることを特徴とする、請求項10から11のいずれか1項に記載のガスバーナー。
【請求項13】
前記シート(10)は、市販の穿孔された金属シート材料からなる、請求項1から9のうちいずれか1項に記載のガスバーナー。
【請求項14】
前記シート(10)は、打抜き、レーザ切断、ジェット切断、またはフライス加工によって特注される、請求項1から12のうちいずれか1項に記載のガスバーナー。
【請求項15】
前記シート(10)の厚さは、0.5〜2mmであることを特徴とする、請求項1から14のうちいずれか1項に記載のガスバーナー。
【請求項16】
前記シート(10)は、鋼、真鍮または青銅からなることを特徴とする、請求項1から15のうちいずれか1項に記載のガスバーナー。
【請求項17】
前記シート(10)は、位置合わせ孔(24)をさらに有し、前記位置合わせ孔(24)を貫通するボルトまたはリベットによって互いに保持されることを特徴とする、請求項1から16のいずれか1項に記載のガスバーナー。
【請求項18】
プレナムは、複数のプレナム区画(30.1、30.2)を有すること特徴とし、プレナム区画の各1つは、別個のガス供給接続部(2.1、2.2)を有する、請求項1から17のうちいずれか1項に記載のガスバーナー。
【請求項19】
前記ノズルプレート(3)はほぼ長方形の形態を有し、前記プレナム区画は、前記ノズルプレート(3)の長さまたは幅に平行に延在することを特徴とする、請求項18に記載のガスバーナー。
【請求項20】
基板表面の火炎処理のための装置における、請求項1から19のうちいずれか1項に記載のガスバーナーの使用。
【請求項21】
前記基板は、半無限のウェブの形態を有し、前記バーナーによって生じる火炎帯を越えてまたは火炎帯中を回転ドラムで搬送されることを特徴とする、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記火炎処理は、燃焼化学気相成長法であることを特徴とする、請求項20から21のうちいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
異なるガスおよび/または異なる圧力のガスが、異なるプレナム区画に供給される、請求項18または19に記載のガスバーナーの使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2011−511242(P2011−511242A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543351(P2010−543351)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000021
【国際公開番号】WO2009/094791
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(505118763)テトゥラ・ラバル・ホールディングス・アンド・ファイナンス・ソシエテ・アノニム (5)
【氏名又は名称原語表記】TETRA LAVAL HOLDINGS & FINANCE S.A.
【Fターム(参考)】