説明

ガス処理装置

【課題】プラズマの発生に影響を与える処理対象ガスの複数種類の環境要素の変化に対して、ガス処理能力を適切に調整する。
【解決手段】ハニカム構造体4の上流側に風速センサ21と湿度センサ22と温度センサ23を設け、風速センサ21が検出する処理対象ガスGSの風速、湿度センサ22が検出する処理対象ガスGSの湿度、温度センサ23が検出する処理対象ガスGSの温度を制御部CNTへ与える。制御部CNTにおいて、処理対象ガスGSの風速,湿度,温度に基づいて風速,湿度,温度毎に現在のプラズマの発生状況を判断し、この風速,湿度,温度毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて高電圧印加部20からのハニカム構造体4の電極8と電極9との間への高電圧を制御する(印加時間や休止期間を制御する)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理対象ガスに含まれる有害ガスを浄化するガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、排気ガス中で高電圧放電を行ってプラズマ状態を作ることで、排気ガスに含まれる有害ガスの浄化を行う技術が知られている。近年、この技術は、脱臭を目的として、工場の排気を浄化する浄化装置や室内の空気を浄化する空気清浄機に応用されつつある。
【0003】
熱的に非平衡な状態、つまり気体の温度やイオン温度に比べ、電子温度が非常に高い状態のプラズマ(非平衡プラズマ(以下、単にプラズマと言う))は、電子衝突でつくられるイオンやラジカルが常温では起こらない化学反応を促進させるので、有害ガスを効率的に除去あるいは分解することが可能な媒体として有害ガス処理において有用であると考えられている。実用化で肝心なことは、処理時のエネルギーの効率の向上と、プラズマで処理した後に完全に安全な生成物質へと変換されることである。
【0004】
一般に、大気圧でのプラズマは気体放電や電子ビームなどによって生成される。現在において、適用が考えられているものに、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、フロン、CO2 ,揮発性有機溶剤(VOC)などがある。中でもNOxは車の排ガスなどに含まれているので早急な実用化が必要となっている。
【0005】
NOx除去における放電プラズマ(気体放電によって生成されたプラズマ)内の現象は、電子衝突によって1次的に生成されたイオンやラジカルが最初の反応を起こし、その後の反応を通してN2 ,H2 O,NH4 NO3 などの各粒子に変換されて行くものと考えられている。
【0006】
また、有害ガスを例えばアセトアルデヒドやホルムアルデヒドとした場合、この有害ガスをプラズマを通すことによって、CO2 とH2 Oに変換される。この場合、副生成物として、オゾン(O3 )が発生する。
【0007】
図17に放電プラズマを利用した従来のガス処理装置の要部を例示する(例えば、特許文献1参照)。同図において、1は処理対象ガス(有害ガスを含む空気)GSが流れるダクト(通風路)であり、ダクト1内には、ダクト1の入口から出口へ向かう方向に沿って放電電極2とアース電極3とが交互に配置され、これら電極2,3間にセルと呼ばれる多数の貫通孔4aを有するハニカム構造体4が配設されている。貫通孔4aはハニカム構造体4に蜂の巣状に設けられている。5は高電圧電源である。なお、ハニカム構造体4はセラミックス等の絶縁体で形成されており、特許文献2にもその使用例がある。
【0008】
放電電極2は、金属製メッシュ、極細ワイヤ、または針状体等で形成されている。各放電電極2は、導線6によって高電圧電源5の+極に接続されている。アース電極3は、金属性メッシュ等で形成されている。各アース電極3は、導線7によって高電圧電源5の−極に接続されている。
【0009】
このガス処理装置では、処理対象ガスGSをダクト1に流し、放電電極2とアース電極3との間に高電圧電源5からの高電圧(数kV〜数10kV)を印加する。これにより、各ハニカム構造体4の貫通孔4a内にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0010】
この種のガス処理装置では、処理対象ガスの風速、湿度、温度などプラズマの発生に影響を与える処理対象ガスの環境要素をモニターし、その環境要素のモニタ結果に基づいて印加する高電圧を制御することが必要であることが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
例えば、処理対象ガスの通過風量が小さい場合は、ガス処理能力を小さくして、省エネルギーを図ることが可能である。このため、処理対象ガスの風速を検出し、処理対象ガスの風速(風量)が大きい場合はプラズマの発生能力を上げるように、処理対象ガスの風速(風量)が小さい場合はプラズマの発生能力を下げるように、ハニカム構造体に印加する高電圧を制御する。
【0012】
また、ハニカム構造体は処理対象ガス内の水分が多い場合(高湿状態)はプラズマの発生が活発になり、逆に水分が少ない場合(低湿状態)はプラズマの発生が抑制される。このため、処理対象ガスの湿度を検出し、高湿状態ではハニカム構造体への印加電圧を下げて省エネルギーを図り、低湿状態ではハニカム構造体への印加電圧を上げてガス処理能力を高める。
【0013】
また、ハニカム構造体は処理対象ガスの温度が高い場合(高温状態)はプラズマの発生が活発になり、逆に温度が低い場合(低温状態)はプラズマの発生が抑制される。このため、処理対象ガスの温度を検出し、高温状態ではハニカム構造体への印加電圧を下げて省エネルギーを図り、低温状態ではハニカム構造体への印加電圧を上げてガス処理能力を高める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−140562号公報
【特許文献2】特開2001−276561号公報
【特許文献3】特開2004−68613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上述した従来のガス処理装置では、プラズマの発生に影響を与える処理対象ガスの複数種類の環境要素を考慮するものとした場合、これら複数種類の環境要素間でプラズマの発生能力の増減要求が対立した場合のアルゴリズムが確立されておらず、複数種類の環境要素の変化に対してガス処理能力を適切に調整することができなかった。
【0016】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、プラズマの発生に影響を与える処理対象ガスの複数種類の環境要素の変化に対して、ガス処理能力を適切に調整することが可能なガス処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するために本発明は、通風路内に配置され、通風路内を流れる処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する多孔体と、この多孔体の外側の一方および他方に配置される第1および第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に高電圧を印加し多孔体の貫通孔にプラズマを発生させる高電圧印加手段と、プラズマの発生に影響を与える処理対象ガスの複数種類の環境要素の状況を検出する環境要素検出手段と、環境要素検出手段によって検出された複数種類の環境要素の状況に基づいて各環境要素毎に現在のプラズマの発生状況を判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて高電圧印加手段からの第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する制御手段とを設けたものである。
【0018】
この発明によれば、通風路内に多孔体が配置され、この多孔体の外側の一方および他方に第1の電極および第2の電極が配置され、第1の電極と第2の電極との間に高電圧が印加される。この第1の電極と第2の電極との間に印加される高電圧の印加は制御手段によって制御される。この場合、制御手段は、環境要素検出手段によって検出されたプラズマの発生に影響を与える処理対象ガスの複数種類の環境要素(例えば、風速、湿度、温度など)の状況に基づいて各環境要素毎に現在のプラズマの発生状況(例えば、能力不足、能力適正、能力過剰など)を判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する。
【0019】
また、本発明は、通風路内に間隔を設けて配置され、通風路内を流れる処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数の多孔体と、複数の多孔体のうち処理対象ガスの通過方向の最も上流に配置される多孔体の上流側に配置される上流側電極と、複数の多孔体のうち処理対象ガスの通過方向の最も下流に配置される多孔体の下流側に配置される下流側電極と、上流側電極および下流側電極の一方を第1の電極、他方を第2の電極とし、第1の電極と第2の電極との間に高電圧を印加し多孔体の貫通孔および多孔体間の空間にプラズマを発生させる高電圧印加手段と、プラズマの発生に影響を与える処理対象ガスの複数種類の環境要素の状況を検出する環境要素検出手段と、環境要素検出手段によって検出された複数種類の環境要素の状況に基づいて各環境要素毎に現在のプラズマの発生状況を判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて高電圧印加手段からの第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する制御手段とを設けたものである。
【0020】
この発明によれば、通風路内に間隔を設けて多孔体が配置され、この複数の多孔体のうち最も上流に配置される多孔体の上流側に上流側電極が配置され、最も下流に配置される多孔体の下流側に下流側電極が配置され、上流側電極および下流側電極の一方を第1の電極、他方を第2の電極とし、第1の電極と第2の電極との間に高電圧が印加される。この第1の電極と第2の電極との間に印加される高電圧の印加は制御手段によって制御される。この場合、制御手段は、環境要素検出手段によって検出されたプラズマの発生に影響を与える処理対象ガスの複数種類の環境要素(例えば、風速、湿度、温度など)の状況に基づいて各環境要素毎に現在のプラズマの発生状況(例えば、能力不足、能力適正、能力過剰など)を判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する。
【0021】
この発明において、プラズマは多孔体の貫通孔だけではなく、多孔体間の空間(空気層)にも発生する。このため、貫通孔内での有害ガスの分子分解効果に加え、多孔体間の空間での有害ガスの分子分解効果が加わり、さらにこの貫通孔内での分子分解効果と多孔体間の空間での分子分解効果との相乗効果により、有害ガスの無害な物質への分解が促進される。また、多孔体間の空間には、均一なプラズマが大量に発生する。
【0022】
また、この発明において、多孔体間には空気層が設けられるので、上流側電極と下流側電極との間のインピーダンスが安定し、多孔体の吸湿・乾燥によるインピーダンス変化に対して流れる電流の変化が小さくなり、専用に設計された特殊な高電圧電源を使用する必要がなくなる。
また、この発明において、電極は上流側電極と下流側電極の2個の電極のみでよく、多孔体毎に電極を配置する必要がなくなり、部品点数が削減され、構造が簡単となり、組立工数も少なくて済む。
【0023】
また、本発明は、通風路内に間隔を設けて配置され、通風路内を流れる処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数の多孔体と、複数の多孔体のうち隣り合う複数の多孔体を1群の多孔体群とし、これら多孔体群毎にその両端に位置する多孔体の外側に配置された第1および第2の電極と、各多孔体群の第1の電極と第2の電極との間に高電圧を印加し多孔体の貫通孔および多孔体間の空間にプラズマを発生させる高電圧印加手段と、プラズマの発生に影響を与える処理対象ガスの複数種類の環境要素の状況を検出する環境要素検出手段と、環境要素検出手段によって検出された複数種類の環境要素の状況に基づいて各環境要素毎に現在のプラズマの発生状況を判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて高電圧印加手段からの第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する制御手段とを設けたものである。
【0024】
例えば、この発明において、複数の多孔体を第1の多孔体群と第2の多孔体群とに分けた場合、第1の多孔体群の両端に位置する多孔体の外側に第1の電極と第2の電極が配置され、第2の多孔体群の両端に位置する多孔体の外側に第1の電極と第2の電極が配置され、第1の多孔体群の第1の電極と第2の電極との間および第2の多孔体群の第1の電極と第2の電極との間に高電圧が印加される。この第1の多孔体群および第2の多孔体群の第1の電極と第2の電極との間に印加される高電圧の印加は制御手段によって制御される。この場合、制御手段は、環境要素検出手段によって検出されたプラズマの発生に影響を与える処理対象ガスの複数種類の環境要素(例えば、風速、湿度、温度など)の状況に基づいて各環境要素毎に現在のプラズマの発生状況(例えば、能力不足、能力適正、能力過剰など)を判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する。
【0025】
なお、この場合、第1の多孔体群に対して配置する第1の電極および第2の電極と、第2の多孔体群に対して配置する第1の電極および第2の電極とが存在することになるが、第1の多孔体群に対して配置する第2の電極と第2の多孔体群に対して配置する第1の電極とを共通電極とするなどとしてもよい。
また、本発明において、多孔体は、処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有していればよく、その貫通孔は必ずしも蜂の巣状に設けられていなくてもよい。
【0026】
本発明において、制御手段はプラズマの発生状況の総合的な判断結果に基づいて高電圧印加手段からの第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御するが、その際のプラズマの発生状況の総合的な判断結果を得る方式として次のような方式が考えられる。
(1)各環境要素毎に現在のプラズマの発生状況を能力不足,能力適正,能力過剰の何れに該当するかを判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を各環境要素間に定められた優先度に従って総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて高電圧印加手段からの第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する(優先度方式)。
(2)各環境要素毎に現在のプラズマの発生状況を能力不足,能力適正,能力過剰の何れに該当するかを判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を能力不足,能力適正,能力過剰の各項目に該当する数に従って総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて高電圧印加手段からの第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する(投票方式)。
(3)各環境要素毎に現在のプラズマの発生状況を能力不足,能力適正,能力過剰の何れに該当するかを判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果をその判断結果に各環境要素毎に定められた重みを乗じて総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて高電圧印加手段からの第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する(重み付け方式)。
【0027】
また、本発明において、制御手段はプラズマの発生状況の総合的な判断結果に基づいて高電圧印加手段からの第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御するが、その際のプラズマの発生状況の総合的な判断結果に従う制御方式として次のような方式が考えられる。
(1)総合的な判断結果からプラズマの発生能力を増大させる必要があると判断した場合、第1の電極に接地電位から正方向に立ち上がる正電圧(+V)を、第2の電極に接地電位から負方向に立ち下がる負電圧(−V)を、第1の電極への正電圧の立ち上がり状態と第2の電極への負電圧の立ち下がり状態とが一部重なるように交互に切り換えて印加させる。これにより、第1の電極への正電圧の立ち上がり状態と第2の電極への負電圧の立ち下がり状態とが重なった期間、第1の電極と第2の電極との間に印加される差電圧が倍電圧(2V=+V−(−V))となり、プラズマの発生状態がさらに活発となって、プラズマの発生能力が増大する。
(2)総合的な判断結果からプラズマの発生能力を減少させる必要があると判断した場合、第1の電極に接地電位から正方向に立ち上がる正電圧(+V)を、第2の電極に接地電位から負方向に立ち下がる負電圧(−V)を、第1の電極への正電圧が接地電位に立ち下がった状態と第2の電極への負電圧が接地電位に立ち上がった状態とが一部重なるように交互に切り換えて印加させる。これにより、第1の電極への正電圧が接地電位に立ち下がった状態と第2の電極への負電圧が接地電位に立ち上がった状態とが重なった期間、第1の電極と第2の電極との間に電圧が印加されなくなり、この期間を高電圧の休止期間として、プラズマの発生能力が減少する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、プラズマの発生に影響を与える処理対象ガスの複数種類の環境要素の状況を検出し、この検出された複数種類の環境要素の状況に基づいて各環境要素毎に現在のプラズマの発生状況を判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて高電圧印加手段からの第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御するようにしたので、各環境要素毎のプラズマの発生状況の判断結果を考慮した総合的な判断結果に基づいて高電圧の印加が制御されるものとなり、プラズマの発生に影響を与える処理対象ガスの複数種類の環境要素の変化に対して、ガス処理能力を適切に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るガス処理装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す図である。
【図2】このガス処理装置における制御部が出力する駆動パルスPS1,PS2および駆動パルスPS2のオンタイミングの変化を示すタイムチャートである。
【図3】駆動パルスPS1のオンタイミングに対する駆動パルスPS2のオンタイミングの遅延時間TC1、進み時間TC2が0とされている場合のハニカム構造体の電極への印加電圧の変化を示すタイムチャートである。
【図4】図3のタイムチャートにおいて駆動パルスPS1,PS2が「H」レベルとなった時のハニカム構造体の電極間への高電圧の印加を説明する図である。
【図5】図3のタイムチャートにおいて駆動パルスPS1,PS2が「L」レベルとなった時のハニカム構造体の電極間への高電圧の印加を説明する図である。
【図6】駆動パルスPS1のオンタイミングに対する駆動パルスPS2のオンタイミングの遅延時間TC1がTC1>0とされた場合のハニカム構造体の電極への印加電圧の変化を示すタイムチャートである。
【図7】駆動パルスPS1のオンタイミングに対する駆動パルスPS2のオンタイミングの進み時間TC2がTC2>0とされた場合のハニカム構造体の電極への印加電圧の変化を示すタイムチャートである。
【図8】このガス処理装置の制御部においてプラズマの発生状況の総合的な判断結果を優先度方式で得るようにした場合の動作を示すフローチャートである。
【図9】このガス処理装置の制御部においてプラズマの発生状況の総合的な判断結果を投票方式で得るようにした場合の判断ロジックを示す図である。
【図10】このガス処理装置の制御部においてプラズマの発生状況の総合的な判断結果を重み付け方式で得るようにした場合の能力制御参照値Cの値と総合判断結果との関係を示す図である。
【図11】本発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態2)の要部を示す図である。
【図12】本発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態3)の要部を示す図である。
【図13】本発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態4)の要部を示す図である。
【図14】本発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態5)の要部を示す図である。
【図15】駆動パルスPS2のオフタイミングに対する駆動パルスPS1のオフタイミングの遅延時間TD1を調整するようにした例を示すタイムチャートである。
【図16】駆動パルスPS2のオフタイミングに対する駆動パルスPS1のオフタイミングの進み時間TD2を調整するようにした例を示すタイムチャートである。
【図17】放電プラズマを利用した従来のガス処理装置の要部を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1はこの発明に係るガス処理装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す図である。同図において、図17と同一符号は図17を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0031】
この実施の形態1では、ダクト1内にハニカム構造体4を配置し、このハニカム構造体4の外側の一方および他方に第1の電極8および第2の電極9を配置し、第1の電極8を導線16によって高電圧印加部20の正電圧供給端子T1に接続し、第2の電極9を導線17によって高電圧印加部20の負電圧供給端子T2に接続している。
【0032】
ハニカム構造体4は、セラミックス等の絶縁体で形成されており、処理対象ガスGSが通過する多数の貫通孔(セル)4aを有している。第1の電極8および第2の電極9は、処理対象ガスGSが通過するように、金属製メッシュとされている。
【0033】
高電圧印加部20は、トランスTR1,TR2と、ダイオードD1,D2,D3,D4と、コンデンサC1,C2と、トランジスタQ1,Q2,Q3と、抵抗R1,R2,R3と、スイッチング用集積回路IC1,IC2と、制御部CNTとを備えている。高電圧印加部20において、トランジスタQ1のコレクタはトランスTR2の1次巻線の一端に接続され、トランジスタQ1のエミッタは接地されている。トランスTR2の1次巻線の他端には電源電圧Vcが印加されている。
【0034】
また、高電圧印加部20において、トランジスタQ2のコレクタは抵抗R1を介して高電位電源に接続され、トランジスタQ2のエミッタは接地されている。トランジスタQ3のコレクタはトランスTR1の1次巻線の一端に接続され、トランジスタQ3のエミッタは接地されている。トランスTR1の1次巻線の他端には電源電圧Vcが印加されている。トランジスタQ3のベースはスイッチング用集積回路IC1を介しトランジスタQ2のコレクタと抵抗R1との接続点に接続され、スイッチング用集積回路IC1とトランジスタQ3のベースとの接続ラインには抵抗R3を介して高電位電源が接続されている。また、トランジスタQ1のベースはスイッチング用集積回路IC2を介して制御部CNTの駆動パルスPS2の出力端子O2に接続され、スイッチング用集積回路IC2とトランジスタQ1のベースとの接続ラインには抵抗R2を介して高電位電源が接続されている。トランジスタQ2のベースは制御部CNTの駆動パルスPS1の出力端子O1に接続されている。
【0035】
また、高電圧印加部20において、トランスTR1の2次巻線の一端と正電圧供給端子T1との間には、そのカソードを正電圧供給端子T1側としてダイオードD1が接続されており、ダイオードD1のカソードとトランスTR1の2次巻線の他端との間にはコンデンサC1が接続されている。コンデンサC1とトランスTR1の2次巻線の他端との接続ラインは接地されている。更に、トランスTR1の非動作時の電圧降下防止用のダイオードD3が、そのカソードをダイオードD1のカソード側に向けて、そのアノードを接地側に向けて、コンデンサC1と並列に接続されている。
【0036】
また、高電圧印加部20において、トランスTR2の2次巻線の一端と負電圧供給端子T2との間には、そのアノードを負電圧供給端子T2側としてダイオードD2が接続されており、ダイオードD2のアノードとトランスTR2の2次巻線の他端との間にはコンデンサC2が接続されている。コンデンサC2とトランスTR2の2次巻線の他端との接続ラインは接地されている。更に、トランスTR2の非動作時の電圧降下防止用のダイオードD4が、そのアノードをダイオードD2のアノード側に向けて、そのカソードを接地側に向けて、コンデンサC2と並列に接続されている。
【0037】
また、この実施の形態1では、ハニカム構造体4の上流側に処理対象ガスGSの風速を検出する風速センサ21と、処理対象ガスGSの湿度を検出する湿度センサ22と、処理対象ガスGSの温度を検出する温度センサ23とを設け、この風速センサ21が検出する処理対象ガスGSの風速、湿度センサ22が検出する処理対象ガスGSの湿度および温度センサ23が検出する処理対象ガスGSの温度を制御部CNTへ与えるようにしている。
【0038】
制御部CNTは、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、本実施の形態特有の機能として駆動パルスPS1,PS2の出力機能を有している。
【0039】
この例では、制御部CNTの出力端子O1より、時間幅TW1の駆動パルスPS1をトランジスタQ2のベースに所定周期で与え、制御部CNTの出力端子O2より、時間幅TW2の駆動パルスPS2をスイッチング用集積回路IC2に所定周期で与える。
【0040】
また、図2(a)に示すように、駆動パルスPS1をそのオン期間Tonとオフ期間Toff とが等しいデューティ比50%のパルスとし、図2(b)〜(d)に示すように、駆動パルスPS1のオンタイミングに対する駆動パルスPS2のオンタイミングを後述するプラズマの発生状況の総合的な判断結果に基づいて自動調整する。
【0041】
なお、この場合、駆動パルスPS1のオンタイミングに対する駆動パルスPS2のオンタイミングの調整量をTCとし、駆動パルスPS1のオンタイミングに対して遅延させる方向への調整量を遅れ時間TC1、進ませる方向の調整量を進み時間TC2とする。また、この実施の形態において、スイッチング用集積回路IC1およびIC2は、「494」タイプのスイッチングコントロールICを用いている。
【0042】
〔駆動パルスPS2のオンタイミングの遅延時間TC1、進み時間TC2が0(TC1,TC2=0(TC=0))とされている場合の動作〕
図3に駆動パルスPS2のオンタイミングの遅延時間TC1、進み時間TC2が0とされている場合のハニカム構造体4の電極8および9への印加電圧の変化を示す。
【0043】
高電圧印加部20において、制御部CNTの出力端子O1からの駆動パルスPS1が「H」レベルとなると(図3(a):t1点)、トランジスタQ2がオンとされる。トランジスタQ2がオンとされると、スイッチング用集積回路IC1のデッドタイムコントロール端子dc1が「L」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC1から高周波スイッチングパルスが出力される。この高周波スイッチングパルスによりトランジスタQ3がオン、オフされ、トランスTR1の1次巻線に電流が流れ、トランスTR1の2次巻線側に電圧V1が発生する(図4参照)。この電圧V1は、コンデンサC1によって平滑され、ダイオードD1を介してハニカム構造体4の第1の電極8に印加される。すなわち、ハニカム構造体4の第1の電極8に、接地電位(GND)から正方向に立ち上がる正電圧+V1が印加される(図3(b):t1点)。
【0044】
また、制御部CNTの出力端子O2からの駆動パルスPS2が駆動パルスPS1と同タイミングで「H」レベルとなると(図3(c):t1点)、スイッチング用集積回路IC2のデッドタイムコントロール端子dc2が「H」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC2からの高周波スイッチングパルスの出力が中断される。これによりトランジスタQ1がオフとされ、トランスTR2の2次巻線を流れる電流が遮断される。これにより、コンデンサC2の蓄積電荷がダイオードD2,トランスTR2の2次巻線の経路で放電し、それまでハニカム構造体4の第2の電極9に印加されていた負電圧−V2(後述)が接地電位(GND)に向かって変化する(図3(d):t1点)。
【0045】
ここで、駆動パルスPS1の「H」レベルへの立ち上がり時には、すなわち第1の電極8に正電圧+V1を印加する電圧の切換時には、第2の電極9への印加電圧が接地電位(GND)に戻されるまでの間、第1の電極8と第2の電極9との間には正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2が瞬間的に印加された後、V1へと降下するオーバシュート電圧が印加される。この場合、V1=V2=Vとすると、倍電圧2Vが第1の電極8と第2の電極9との間に瞬間的に印加されることになる。
【0046】
高電圧印加部20において、駆動パルスPS2が「L」レベルとなると(図3(c):t2点)、スイッチング用集積回路IC2のデッドタイムコントロール端子dc2が「L」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC2から高周波スイッチングパルスが出力される。この高周波スイッチングパルスの出力によりトランジスタQ1がオン、オフされ、トランスTR2の1次巻線に電流が流れ、トランスTR2の2次巻線側に電圧V2が発生する(図5参照)。この電圧V2は、コンデンサC2によって平滑され、ダイオードD2を介してハニカム構造体4の第2の電極9に印加される。すなわち、ハニカム構造体4の第2の電極9に、接地電位(GND)から負方向に立ち下がる負電圧−V2が印加される(図3(d):t2点)。
【0047】
また、制御部CNTの出力端子O1からの駆動パルスPS1が駆動パルスPS2と同タイミングで「L」レベルとなると(図3(a):t2点)、トランジスタQ2がオフとされる。トランジスタQ2がオフとされると、スイッチング用集積回路IC1のデッドタイムコントロール端子dc1が「H」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC1からの高周波スイッチングパルスの出力が中断される。これによりトランジスタQ3がオフとされ、トランスTR1の2次巻線を流れる電流が遮断される。これにより、コンデンサC1の蓄積電荷がトランスTR1の2次巻線,ダイオードD1の経路で放電し、それまでハニカム構造体4の第1の電極8に印加されていた正電圧+V1が接地電位(GND)に向かって変化する(図3(b):t2点)。
【0048】
ここで、駆動パルスPS2の「L」レベルへの立ち下がり時には、すなわち第2の電極9に負電圧−V2を印加する電圧の切換時には、第1の電極8への印加電圧が接地電位(GND)に戻されるまでの間、第1の電極8と第2の電極9との間には正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2が瞬間的に印加された後、V2へと降下するオーバシュート電圧が印加される。この場合、V1=V2=Vとすると、倍電圧2Vが第1の電極8と第2の電極9との間に瞬間的に印加されることになる。
【0049】
このようにして、駆動パルスPS2のオンタイミングの遅れ時間TC1、進み時間TC2が0とされている場合、駆動パルスPS1,PS2のオンタイミングおよびオフタイミングで、第1の電極8と第2の電極9との間に正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2が瞬間的に印加される。
【0050】
なお、この例では、V1,V2を数kV〜数10kVの高電圧(V1=V2=V)とし、駆動パルスPS1,PS2のオンタイミングおよびオフタイミングでは倍電圧2Vが瞬間的に印加されるものとする。これにより、ハニカム構造体4の貫通孔4aにプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解されるものとなる。なお、この場合、駆動パルスPS1,PS2のオンタイミングおよびオフタイミング以外の期間においても高電圧Vが印加されるので、プラズマは発生する。
【0051】
〔駆動パルスPS2のオンタイミングの遅延時間TC1がTC1>0とされた場合の動作〕
制御部CNTは、図3に示したTC1,TC2=0の制御状態から、プラズマの発生能力を増大させる必要があると判断すると、その時のプラズマの発生能力の必要量に応じて遅れ時間TC1を大きくする(TC1>0)。この時のプラズマの発生能力を増大させる必要があるか否かの判断は、風速センサ21が検出する処理対象ガスGSの風速、湿度センサ22が検出する処理対象ガスGSの湿度および温度センサ23が検出する処理対象ガスGSの温度に基づいて行う。
【0052】
この場合、制御部CNTは、風速センサ21が検出する処理対象ガスGSの風速に基づいて、現在のプラズマの発生状況を「能力不足」,「能力適正」,「能力過剰」の何れに該当するかを判断する。また、湿度センサ22が検出する処理対象ガスGSの湿度に基づいて、現在のプラズマの発生状況を「能力不足」,「能力適正」,「能力過剰」の何れに該当するかを判断する。また、温度センサ23が検出する処理対象ガスGSの温度に基づいて、現在のプラズマの発生状況を「能力不足」,「能力適正」,「能力過剰」の何れに該当するかを判断する。そして、この風速に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果と、湿度に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果と、温度に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果を総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいてプラズマの発生能力を増大させる必要があるか否かを判断する。この際の総合的な判断結果を得る方式としては、優先度方式、投票方式、重み付け方式があるが、これについては後述する。
【0053】
図6に駆動パルスPS2のオンタイミングの遅延時間TC1がTC1>0とされた場合のハニカム構造体4の電極8および9への印加電圧の変化を示す。
【0054】
高電圧印加部20において、制御部CNTの出力端子O1からの駆動パルスPS1が「H」レベルとなると(図6(a):t1点)、トランジスタQ2がオンとされる。トランジスタQ2がオンとされると、スイッチング用集積回路IC1のデッドタイムコントロール端子dc1が「L」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC1から高周波スイッチングパルスが出力される。この高周波スイッチングパルスによりトランジスタQ3がオン、オフされ、トランスTR1の1次巻線に電流が流れ、トランスTR1の2次巻線側に電圧V1が発生する(図4参照)。この電圧V1は、コンデンサC1によって平滑され、ダイオードD1を介してハニカム構造体4の第1の電極8に印加される。すなわち、ハニカム構造体4の第1の電極8に、接地電位(GND)から正方向に立ち上がる正電圧+V1が印加される(図6(b):t1点)。
【0055】
そして、TC1時間の経過後、制御部CNTの出力端子O2からの駆動パルスPS2が「H」レベルとなると(図6(c):t2点)、スイッチング用集積回路IC2のデッドタイムコントロール端子dc2が「H」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC2からの高周波スイッチングパルスの出力が中断される。これによりトランジスタQ1がオフとされ、トランスTR2の2次巻線を流れる電流が遮断される。これにより、コンデンサC2の蓄積電荷がダイオードD2,トランスTR2の2次巻線の経路で放電し、それまでハニカム構造体4の第2の電極9に印加されていた負電圧−V2(後述)が接地電位(GND)に向かって変化する(図6(d):t2点)。
【0056】
ここで、駆動パルスPS1の「H」レベルへの立ち上がり時には、すなわち第1の電極8に正電圧+V1を印加する電圧の切換時には、TC1時間の間、第1の電極8への正電圧+V1の立ち上がり状態と第2の電極9への負電圧−V2の立ち下がり状態とが重なり、第1の電極8と第2の電極9との間には正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2が継続して印加される。この場合、V1=V2=Vとすると、倍電圧2Vが第1の電極8と第2の電極9との間にTC1時間の間印加されることになる。
【0057】
高電圧印加部20において、駆動パルスPS2が「L」レベルとなると(図6(c):t3点)、スイッチング用集積回路IC2のデッドタイムコントロール端子dc2が「L」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC2から高周波スイッチングパルスが出力される。この高周波スイッチングパルスの出力によりトランジスタQ1がオン、オフされ、トランスTR2の1次巻線に電流が流れ、トランスTR2の2次巻線側に電圧V2が発生する(図5参照)。この電圧V2は、コンデンサC2によって平滑され、ダイオードD2を介してハニカム構造体4の第2の電極9に印加される。すなわち、ハニカム構造体4の第2の電極9に、接地電位(GND)から負方向に立ち下がる負電圧−V2が印加される(図6(d):t3点)。
【0058】
また、制御部CNTの出力端子O1からの駆動パルスPS1が駆動パルスPS2と同タイミングで「L」レベルとなると(図6(a):t3点)、トランジスタQ2がオフとされる。トランジスタQ2がオフとされると、スイッチング用集積回路IC1のデッドタイムコントロール端子dc1が「H」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC1からの高周波スイッチングパルスの出力が中断される。これによりトランジスタQ3がオフとされ、トランスTR1の2次巻線を流れる電流が遮断される。これにより、コンデンサC1の蓄積電荷がトランスTR1の2次巻線,ダイオードD1の経路で放電し、それまでハニカム構造体4の第1の電極8に印加されていた正電圧+V1が接地電位(GND)に向かって変化する(図6(b):t2点)。
【0059】
ここで、駆動パルスPS2の「L」レベルへの立ち下がり時には、すなわち第2の電極9に負電圧−V2を印加する電圧の切換時には、第1の電極8への印加電圧が接地電位(GND)に戻されるまでの間、第1の電極8と第2の電極9との間には正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2が瞬間的に印加された後、V2へと降下するオーバシュート電圧が印加される。この場合、V1=V2=Vとすると、倍電圧2Vが第1の電極8と第2の電極9との間に瞬間的に印加されることになる。
【0060】
このようにして、駆動パルスPS2のオンタイミングの遅延時間TC1がTC1>0とされた場合、第1の電極8への正電圧+V1の立ち上がり状態と第2の電極9への負電圧−V2の立ち下がり状態とが重なるTC1時間の間、正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2が第1の電極8と第2の電極9との間に印加され、ハニカム構造体4の貫通孔4aに発生するプラズマの量が増大する。
【0061】
〔駆動パルスPS2のオンタイミングの進み時間TC2がTC2>0とされた場合の動作〕
制御部CNTは、図3に示したTC1,TC2=0の制御状態から、プラズマの発生能力を減少させる必要があると判断すると、その時のプラズマの発生能力の必要量に応じて進み時間TC2を大きくする(TC2>0)。この時のプラズマの発生能力を減少させる必要があるか否かの判断は、風速センサ21が検出する処理対象ガスGSの風速、湿度センサ22が検出する処理対象ガスGSの湿度および温度センサ23が検出する処理対象ガスGSの温度に基づいて行う。
【0062】
この場合、制御部CNTは、風速センサ21が検出する処理対象ガスGSの風速に基づいて、現在のプラズマの発生状況を「能力不足」,「能力適正」,「能力過剰」の何れに該当するかを判断する。また、湿度センサ22が検出する処理対象ガスGSの湿度に基づいて、現在のプラズマの発生状況を「能力不足」,「能力適正」,「能力過剰」の何れに該当するかを判断する。また、温度センサ23が検出する処理対象ガスGSの温度に基づいて、現在のプラズマの発生状況を「能力不足」,「能力適正」,「能力過剰」の何れに該当するかを判断する。そして、この風速に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果と、湿度に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果と、温度に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果を総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいてプラズマの発生能力を減少させる必要があるか否かを判断する。この際の総合的な判断結果を得る方式としては、優先度方式、投票方式、重み付け方式がある(後述)。
【0063】
図7に駆動パルスPS2のオンタイミングの進み時間TC2がTC2>0とされた場合のハニカム構造体4の電極8および9への印加電圧の変化を示す。
【0064】
高電圧印加部20において、制御部CNTの出力端子O2からの駆動パルスPS2が「H」レベルとなると(図7(c):t0点)、スイッチング用集積回路IC2のデッドタイムコントロール端子dc2が「H」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC2からの高周波スイッチングパルスの出力が中断される。これによりトランジスタQ1がオフとされ、トランスTR2の2次巻線を流れる電流が遮断される。これにより、コンデンサC2の蓄積電荷がダイオードD2,トランスTR2の2次巻線の経路で放電し、それまでハニカム構造体4の第2の電極9に印加されていた負電圧−V2(後述)が接地電位(GND)に向かって変化する(図7(d):t0点)。
【0065】
そして、TC時間の経過後、制御部CNTの出力端子O1からの駆動パルスPS1が「H」レベルとなると(図7(a):t1点)、トランジスタQ2がオンとされる。トランジスタQ2がオンとされると、スイッチング用集積回路IC1のデッドタイムコントロール端子dc1が「L」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC1から高周波スイッチングパルスが出力される。この高周波スイッチングパルスによりトランジスタQ3がオン、オフされ、トランスTR1の1次巻線に電流が流れ、トランスTR1の2次巻線側に電圧V1が発生する(図4参照)。この電圧V1は、コンデンサC1によって平滑され、ダイオードD1を介してハニカム構造体4の第1の電極8に印加される。すなわち、ハニカム構造体4の第1の電極8に、接地電位(GND)から正方向に立ち上がる正電圧+V1が印加される(図7(b):t1点)。
【0066】
ここで、駆動パルスPS2の「H」レベルへの立ち上がり時には、すなわち第2の電極9への負電圧−V2の印加を第1の電極8への正電圧+V1への印加に切り換える電圧の切換時には、駆動パルスPS1が「H」レベルへ立ち上がるまでの間(ほぼTC2時間)、第1の電極8への正電圧+V1が接地電位に立ち下がった状態と第2の電極9への負電圧−V2が接地電位に立ち上がった状態とが重なり、第1の電極8と第2の電極9との間に電圧が印加されなくなる。すなわち、駆動パルスPS2が「H」レベルへ立ち上がってから駆動パルスPS1が「H」レベルへ立ち上がるまでのほぼTC2時間の間、第1の電極8と第2の電極9との間への高電圧(V1,V2)の印加が休止される。
【0067】
高電圧印加部20において、駆動パルスPS2が「L」レベルとなると(図7(c):t2点)、スイッチング用集積回路IC2のデッドタイムコントロール端子dc2が「L」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC2から高周波スイッチングパルスが出力される。この高周波スイッチングパルスの出力によりトランジスタQ1がオン、オフされ、トランスTR2の1次巻線に電流が流れ、トランスTR2の2次巻線側に電圧V2が発生する(図5参照)。この電圧V2は、コンデンサC2によって平滑され、ダイオードD2を介してハニカム構造体4の第2の電極9に印加される。すなわち、ハニカム構造体4の第2の電極9に、接地電位(GND)から負方向に立ち下がる負電圧−V2が印加される(図7(d):t2点)。
【0068】
また、制御部CNTの出力端子O1からの駆動パルスPS1が駆動パルスPS2と同タイミングで「L」レベルとなると(図7(a):t2点)、トランジスタQ2がオフとされる。トランジスタQ2がオフとされると、スイッチング用集積回路IC1のデッドタイムコントロール端子dc1が「H」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC1からの高周波スイッチングパルスの出力が中断される。これによりトランジスタQ3がオフとされ、トランスTR1の2次巻線を流れる電流が遮断される。これにより、コンデンサC1の蓄積電荷がトランスTR1の2次巻線,ダイオードD1の経路で放電し、それまでハニカム構造体4の第1の電極8に印加されていた正電圧+V1が接地電位(GND)に向かって変化する(図7(b):t2点)。
【0069】
ここで、駆動パルスPS2の「L」レベルへの立ち下がり時には、すなわち第2の電極9に負電圧−V2を印加する電圧の切換時には、第1の電極8への印加電圧が接地電位(GND)に戻されるまでの間、第1の電極8と第2の電極9との間には正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2が瞬間的に印加された後、V2へと降下するオーバシュート電圧が印加される。この場合、V1=V2=Vとすると、倍電圧2Vが第1の電極8と第2の電極9との間に瞬間的に印加されることになる。
【0070】
このようにして、駆動パルスPS2のオンタイミングの進み時間TC2がTC2>0とされた場合、第2の電極9への負電圧−V2の印加を第1の電極8への正電圧+V1への印加に切り換える電圧の切換時に、ほぼTC時間の間、第1の電極8への正電圧+V1が接地電位に立ち下がった状態と第2の電極9への負電圧−V2が接地電位に立ち上がった状態とが重なり、第1の電極8と第2の電極9との間に電圧が印加されなくなり、この期間を高電圧の休止期間としてハニカム構造体4の貫通孔4aに発生するプラズマの量が減少する。また、この高電圧の休止期間において処理対象ガスGSがハニカム構造体4に吸着し、この休止期間中に吸着された分も含めて高電圧印加時に分解処理が行われるものとなり、低電力でも効率的にガス処理を行うことが可能となる。
【0071】
〔優先度方式〕
図8に制御部CNTにおいてプラズマの発生状況の総合的な判断結果を優先度方式で得るようにした場合のフローチャートを示す。なお、この優先度方式を採用するにあたっては、風速センサ21によって検出される処理対象ガスGSの風速と、湿度センサ22によって検出される処理対象ガスGSの湿度と、温度センサ23によって検出される処理対象ガスGSの温度との間に優先度を定めておく。この例では、「風速」を優先度1、「湿度」を優先度2、「温度」を優先度3とする。
【0072】
この場合、制御部CNTは、先ず、優先度1の風速センサ21が検出する処理対象ガスGSの風速に基づいて、現在のプラズマの発生状況を判断する(ステップS101)。そして、この風速に基づく現在のプラズマの発生状況が「能力不足」,「能力適正」,「能力過剰」の何れに該当するかを判断し(ステップS102)、「能力不足」であればプラズマの発生能力を増大させ(ステップS108)、「能力過剰」であればプラズマの発生能力を減少させる(ステップS109)。
【0073】
風速に基づく現在のプラズマの発生状況が「能力適正」であれば、制御部CNTは、優先度2の湿度センサ22が検出する処理対象ガスGSの湿度に基づいて、現在のプラズマの発生状況を判断する(ステップS103)。そして、この湿度に基づく現在のプラズマの発生状況が「能力不足」,「能力適正」,「能力過剰」の何れに該当するかを判断し(ステップS104)、「能力不足」であればプラズマの発生能力を増大させ(ステップS108)、「能力過剰」であればプラズマの発生能力を減少させる(ステップS109)。
【0074】
湿度に基づく現在のプラズマの発生状況が「能力適正」であれば、制御部CNTは、優先度3の温度センサ23が検出する処理対象ガスGSの温度に基づいて、現在のプラズマの発生状況を判断する(ステップS105)。そして、この温度に基づく現在のプラズマの発生状況が「能力不足」,「能力適正」,「能力過剰」の何れに該当するかを判断し(ステップS106)、「能力不足」であればプラズマの発生能力を増大させ(ステップS108)、「能力過剰」であればプラズマの発生能力を減少させ(ステップS109)、「能力適正」であれば現在のプラズマの発生能力を維持させる(ステップS107)。
【0075】
〔投票方式〕
図9に制御部CNTにおいてプラズマの発生状況の総合的な判断結果を投票方式で得るようにした場合の判断ロジックを示す。
【0076】
この投票方式では、風速センサ21によって検出される処理対象ガスGSの風速に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果と、湿度センサ22によって検出される処理対象ガスGSの湿度に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果と、温度センサ23によって検出される処理対象ガスGSの温度に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果とは同じ重みを持つものとする。
【0077】
この投票方式において、制御部CNTは、各センサによる個別の判断結果を「能力不足」,「能力適正」,「能力過剰」のどの項目に該当するかを調べ、各項目に該当する数が最大の項目より総合的な判断結果を得る。この場合、「能力不足」に該当する数が最大であれば、総合的な判断結果を「能力増大」とし、「能力過剰」に該当する数が最大であれば、総合的な判断結果を「能力減少」とする。「能力適正」に該当する数が最大であれば、総合的な判断結果を「現状維持」とする。なお、3項目が同数の場合には、特別ルールとして、総合的な判断結果を「現状維持」とする。
【0078】
この例では、プラズマの発生に影響を与える処理対象ガスの環境要素を風速,温度,湿度の3種類とし、この3種類の環境要素の状況を検出するようにしているが、この環境要素は風速,温度,湿度の3種類に限られるものではない。例えば、処理対象ガスの濃度、ハニカム構造体での異常放電なども環境要素として考えられる。処理対象ガスの環境要素の種類が増えたような場合、最大数となる項目が2項目生じる場合がある。このような場合、特別ルールとして、「能力過剰」と「能力適正」が同数の場合には総合的な判断結果を「能力減少」とし、「能力適正」と「能力不足」が同数の場合には総合的な判断結果を「能力増大」とし、「能力過剰」と「能力不足」が同数の場合には総合的な判断結果を「現状維持」とする。
【0079】
〔重み付け方式〕
図10に制御部CNTにおいてプラズマの発生状況の総合的な判断結果を重み付け方式で得るようにした場合の能力制御参照値Cの値(後述)と総合判断結果との関係を示す。
【0080】
この重み付け方式では、風速センサ21によって検出される処理対象ガスGSの風速、湿度センサ22によって検出される処理対象ガスGSの湿度、温度センサ23によって検出される処理対象ガスGSの温度に対し、個々に重みWi(0<Wi<1)を予め定めておく。この場合、その重みWiの合計は、1とする(ΣWi=1)。
【0081】
この重み付け方式において、制御部CNTは、風速センサ21によって検出される処理対象ガスGSの風速に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果が「能力過剰」の場合、風速に対して定められた重みWiにk=−1を乗じたものを個別判断結果Ri=Wi×k=−Wiとする。同様に、湿度センサ22によって検出される処理対象ガスGSの湿度に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果が「能力過剰」の場合、湿度に対して定められた重みWiにk=−1を乗じたものを個別判断結果Ri=Wi×k=−Wiとし、温度センサ23によって検出される処理対象ガスGSの温度に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果が「能力過剰」の場合、温度に対して定められた重みWiにk=−1を乗じたものを個別判断結果Ri=Wi×k=−Wiとする。
【0082】
また、制御部CNTは、風速センサ21によって検出される処理対象ガスGSの風速に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果が「能力適正」の場合、風速に対して定められた重みWiにk=0を乗じたものを個別判断結果Ri=Wi×k=0とする。同様に、湿度センサ22によって検出される処理対象ガスGSの湿度に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果が「能力適正」の場合、湿度に対して定められた重みWiにk=0を乗じたものを個別判断結果Ri=Wi×k=0とし、温度センサ23によって検出される処理対象ガスGSの温度に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果が「能力適正」の場合、温度に対して定められた重みWiにk=0を乗じたものを個別判断結果Ri=Wi×k=0とする。
【0083】
また、制御部CNTは、風速センサ21によって検出される処理対象ガスGSの風速に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果が「能力不足」の場合、風速に対して定められた重みWiにk=+1を乗じたものを個別判断結果Ri=Wi×k=+Wiとする。同様に、湿度センサ22によって検出される処理対象ガスGSの湿度に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果が「能力不足」の場合、湿度に対して定められた重みWiにk=+1を乗じたものを個別判断結果Ri=Wi×k=+Wiとし、温度センサ23によって検出される処理対象ガスGSの温度に基づく現在のプラズマの発生状況の判断結果が「能力不足」の場合、温度に対して定められた重みWiにk=+1を乗じたものを個別判断結果Ri=Wi×k=+Wiとする。
【0084】
そして、制御部CNTは、このようにして求めた全ての個別判断結果Riを積算し、この個別判断結果Riの積算値を能力制御参照値C(C=Σ(Wi×k))として求める。この能力制御参照値Cは、−1≦C≦+1となるが、この能力制御参照値Cと総合判断結果との関係を図10に示すように定めておく。なお、図10において、mは、0≦m<1の値とする。
【0085】
制御部CNTは、この図10に示された関係に従って、能力制御参照値Cが−1≦C<−mの場合には総合判断結果を「能力減少」とし、能力制御参照値Cが−m≦C≦mの場合には総合判断結果を「現状維持」とし、能力制御参照値Cがm<C≦+1の場合には総合判断結果を「能力増大」とする。
【0086】
〔実施の形態2〕
実施の形態1では、ダクト1内にハニカム構造体4を1つしか配置しなかったが、ダクト1内にハニカム構造体4を複数配置するようにしてもよい。
【0087】
図11にダクト1内にハニカム構造体4を複数配置した例(実施の形態2)を示す。この実施の形態2では、ダクト1内にダクト1の入口から出口へ向かう方向に沿って所定の間隔G(G1,G2)を設けてハニカム構造体4(4−1〜4−3)を配置し、このハニカム構造体4のうち最も上流に配置されるハニカム構造体4−1の上流側に第1の電極(上流側電極)8を、最も下流に配置されるハニカム構造体4−3の下流側に第2の電極(下流側電極)9を配置し、上流側電極8を導線16によって高電圧印加部20の正電圧供給端子T1に接続し、下流側電極9を導線17によって高電圧印加部20の負電圧供給端子T2に接続するようにしている。高電圧印加部20は実施の形態1で使用したものと同じである。
【0088】
この実施の形態2において、各ハニカム構造体4の単位面積当たりの貫通孔4aの数は等しくされている。すなわち、ハニカム構造体4−1〜4−3として、単位面積当たりの貫通孔4aの数が等しい同一種類のハニカム構造体4を使用している。また、ハニカム構造体4−1と4−2との間の間隔G1と、ハニカム構造体4−2と4−3との間の間隔G2とは等しく、例えば0.5mm〜数mmとされている。これにより、ハニカム構造体4−1と4−2との間に空気層12−1が形成され、ハニカム構造体4−2と4−3との間に空気層12−2が形成されている。以下、空気層12(12−1,12−2)を空間ギャップと呼ぶ。
【0089】
このガス処理装置においても、トランジスタQ2のベースに駆動パルスPS1を与え、高電圧印加部20のスイッチング用集積回路IC2に駆動パルスPS2を与える。これにより、実施の形態1と同様にして、プラズマの発生状況の総合的な判断結果に基づいて、上流側電極(第1の電極)8と下流側電極(第2の電極)9との間に、正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2がその印加時間が自動調整されながら印加されたり、正電圧+V1と負電圧−V2とが交互にその高電圧の休止期間が自動調整されながら印加されたりする。この高電圧の印加により、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間ギャップ12にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0090】
このガス処理装置において、プラズマはハニカム構造体4の貫通孔4aだけではなく、ハニカム構造体4間の空間ギャップ12にも発生する。このため、貫通孔4a内での有害ガスの分子分解効果に加え、ハニカム構造体4間の空間ギャップ12での有害ガスの分子分解効果が加わり、さらにこの貫通孔4a内での分子分解効果とハニカム構造体4間の空間ギャップ12での分子分解効果との相乗効果により、有害ガスの無害な物質への分解が促進され、ガス処理能力が高まる。
【0091】
また、このガス処理装置において、ハニカム構造体4間の空間ギャップ12には、対向する貫通孔4aの縁面から電界が広がって、均一なプラズマが大量に発生する。これにより、貫通孔4a内に発生するプラズマのばらつきによる影響が小さくなり、ガス処理能力が安定する。
【0092】
また、このガス処理装置において、ハニカム構造体4間には空気層である空間ギャップ12が設けられるので、この空間ギャップ12により上流側電極8と下流側電極9との間のインピーダンスが安定し、ハニカム構造体の吸湿・乾燥によるインピーダンス変化に対して流れる電流の変化が小さくなる。これにより、上流側電極8と下流側電極9との間に加わる高電圧値の変化が小さくなり、専用に設計された特殊な高電圧電源を使用する必要がなくなる。
【0093】
また、このガス処理装置において、電極は上流側電極8と下流側電極9の2個の電極のみでよく、ハニカム構造体4毎に電極を配置する必要がない。これにより、部品点数が削減され、構造が簡単となり、組立工数も少なくて済み、コストダウンが図られる。
【0094】
〔実施の形態3〕
実施の形態2では、ダクト1の入口から出口へ向かう方向に沿って複数のハニカム構造体4をダクト1内に設けるようにしたが、図12に示すように、ダクト1の入口から出口へ向かう方向に対し直交する方向に沿って複数のハニカム構造体4をダクト1内に設けるようにしてもよい。
【0095】
このようにすると、各ハニカム構造体4がダクト1の入口から出口へ向かう方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置されるので、ダクト1の入口から出口へ向かう方向に沿って配置される場合よりも、処理対象ガスGSが各ハニカム構造体4の貫通孔4aやハニカム構造体4間の空間ギャップ12でプラズマに晒される時間が長くなる。これにより、ガス分解が行われる機会が多くなり、ガス処理能力が向上し、高速流におけるガス処理能力の低下を防ぐことが可能となる。
【0096】
〔実施の形態4〕
図13にこの発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態4)の要部を示す。この実施の形態4では、ハニカム構造体4−1と4−2との間に間隔G1を設けて、ハニカム構造体4−3と4−4との間に間隔G2を設けて、ハニカム構造体4−1〜4−4をダクト1内に配置している。
【0097】
また、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−1と4−2を第1のハニカム構造体群4Aとし、この第1のハニカム構造体群4Aの両端に位置するハニカム構造体4−1および4−2の外側に、第1の電極として電極8を、第2の電極として電極9を配置している。
【0098】
同様にして、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−3と4−4を第2のハニカム構造体群4Bとし、この第2のハニカム構造体群4Bの両端に位置するハニカム構造体4−3および4−3の外側に、第1の電極として電極10を、第2の電極として電極9を配置している。
【0099】
なお、この実施の形態4において、電極9は第1のハニカム構造体群4Aの第2の電極と第2のハニカム構造体群4Bの第2の電極とを兼ねた共通電極とされているが、第1のハニカム構造体群4Aの第2の電極と第2のハニカム構造体群4Bの第2の電極とを独立した電極とするようにしてもよい。
【0100】
電極8,9および10は、処理対象ガスGSが通過するように、金属製メッシュとされている。また、この実施の形態4では、電極8および10を導線16および18によって高電圧印加部20の正電圧供給端子T1に接続し、電極9を導線17によって高電圧印加部20の負電圧供給端子T2に接続するようにしている。高電圧印加部20は実施の形態1で使用したものと同じである。
【0101】
このガス処理装置においても、トランジスタQ2のベースに駆動パルスPS1を与え、高電圧印加部20のスイッチング用集積回路IC2に駆動パルスPS2を与える。これにより、実施の形態1と同様にして、プラズマの発生状況の総合的な判断結果に基づいて、第1のハニカム構造体群4Aの第1の電極8と第2の電極9との間および第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極10と第2の電極9との間に、正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2がその印加時間が自動調整されながら印加されたり、正電圧+V1と負電圧−V2とが交互にその高電圧の休止期間が自動調整されながら印加されたりする。この高電圧の印加により、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間ギャップ12にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0102】
このガス処理装置では、第1のハニカム構造体群4Aの第1の電極8と第2の電極9との間および第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極10と第2の電極9との間に高電圧を個別に印加しているので、空間ギャップ12−1,12−2での電位を安定的に高電界状態に保ち、プラズマを安定して発生させることが可能となる。
【0103】
なお、このガス処理装置において、第1のハニカム構造体群4Aおよび第2のハニカム構造体群4Bに対して高電圧印加部20を個別に設け、第1のハニカム構造体群4Aに印加する高電圧(VA)と第2のハニカム構造体群4Bに印加する高電圧(VB)とを異なる値とするようにしてもよい。高電圧VAと高電圧VBの値を異ならせるようにすると、第1のハニカム構造体群4Aと第2のハニカム構造体群4Bとでプラズマの発生量を変えて、分解可能な有害ガスの種類を異ならせたりすることが可能となる。
【0104】
〔実施の形態5〕
図14にこの発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態5)の要部を示す。この実施の形態5では、ハニカム構造体4−1と4−2との間に間隔G1を設けて、ハニカム構造体4−3と4−4との間に間隔G2を設けて、ハニカム構造体4−5と4−6との間に間隔G3を設けて、ハニカム構造体4−1〜4−6をダクト1内に配置している。
【0105】
また、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−1と4−2を第1のハニカム構造体群4Aとし、この第1のハニカム構造体群4Aの両端に位置するハニカム構造体4−1および4−2の外側に、第1の電極として電極8を、第2の電極として電極9を配置している。
【0106】
同様にして、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−3と4−4を第2のハニカム構造体群4Bとし、この第2のハニカム構造体群4Bの両端に位置するハニカム構造体4−3および4−3の外側に、第1の電極として電極10を、第2の電極として電極9を配置している。
【0107】
同様にして、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−5と4−6を第3のハニカム構造体群4Cとし、この第3のハニカム構造体群4Cの両端に位置するハニカム構造体4−5および4−6の外側に、第1の電極として電極10を、第2の電極として電極11を配置している。
【0108】
なお、この実施の形態5において、電極9は第1のハニカム構造体群4Aの第2の電極と第2のハニカム構造体群4Bの第2の電極とを兼ねた共通電極とされているが、第1のハニカム構造体群4Aの第2の電極と第2のハニカム構造体群4Bの第2の電極とを独立した電極とするようにしてもよい。また、電極10は第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極と第3のハニカム構造体群4Cの第1の電極とを兼ねた共通電極とされているが、第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極と第3のハニカム構造体群4Cの第1の電極とを独立した電極とするようにしてもよい。
【0109】
電極8,9,10および11は、処理対象ガスGSが通過するように、金属製メッシュとされている。また、この実施の形態5では、電極8および10を導線16および18によって高電圧印加部20の正電圧供給端子T1に接続し、電極9および11を導線17および19によって高電圧印加部20の負電圧供給端子T2に接続するようにしている。高電圧印加部20は実施の形態1で使用したものと同じである。
【0110】
このガス処理装置においても、トランジスタQ2のベースに駆動パルスPS1を与え、高電圧印加部20のスイッチング用集積回路IC2に駆動パルスPS2を与える。これにより、実施の形態1と同様にして、プラズマの発生状況の総合的な判断結果に基づいて、第1のハニカム構造体群4Aの第1の電極8と第2の電極9との間、第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極10と第2の電極9との間および第3のハニカム構造体群4Cの第1の電極10と第2の電極11との間に、正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2がその印加時間が自動調整されながら印加されたり、正電圧+V1と負電圧−V2とが交互にその高電圧の休止期間が自動調整されながら印加されたりする。この高電圧の印加により、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間ギャップ12にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0111】
このガス処理装置では、第1のハニカム構造体群4Aの第1の電極8と第2の電極9との間、第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極10と第2の電極9との間および第3のハニカム構造体群4Cの第1の電極10と第2の電極11との間に高電圧を個別に印加しているので、空間ギャップ12−1,12−2,12−3での電位を安定的に高電界状態に保ち、プラズマを安定して発生させることが可能となる。
【0112】
なお、このガス処理装置において、第1のハニカム構造体群4A、第2のハニカム構造体群4Bおよび第3のハニカム構造体群4Cに対して高電圧印加部20を個別に設け、第1のハニカム構造体群4Aに印加する高電圧(VA)と、第2のハニカム構造体群4Bに印加する高電圧(VB)と、第3のハニカム構造体群4Cに印加する高電圧(VC)とを異なる値とするようにしてもよい。高電圧VAと高電圧VBと高電圧VCの値を異ならせるようにすると、第1のハニカム構造体群4Aと第2のハニカム構造体群4Bと第3のハニカム構造体群4Cとでプラズマの発生量を変えて、分解可能な有害ガスの種類を異ならせたりすることが可能となる。
【0113】
なお、上述した実施の形態2〜5では、ハニカム構造体4(4−1〜4−6)の単位面積当たりの貫通孔4aの数を等しくしているが、ハニカム構造体(4−1〜4−6)の単位面積当たりの貫通孔4aの数を選択的に異ならせるようにしてもよい。
【0114】
例えば、図13に示した構成において、ハニカム構造体4−1,4−2については単位面積当たりの貫通孔4aの数を少なし、ハニカム構造体4−3,4−4については単位面積当たりの貫通孔4aの数を多くするようにしたり、ハニカム構造体4−1,4−2,4−3,4−4の順で単位面積当たりの貫通孔4aの数を多くするなどとしてもよい。
【0115】
ハニカム構造体4−1,4−2,4−3,4−4の順で単位面積当たりの貫通孔4aの数を多くすると、ハニカム構造体4−1,4−2,4−3,4−4の順でプラズマの発生量が大きくなり、各ハニカム構造体4で分解可能な有害ガスの種類を異ならせることが可能となる。
【0116】
例えば、その分子が持つエネルギー準位が順に高い有害ガスA,B,C,Dが処理対象ガスGSに含まれていたものとした場合、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスAをハニカム構造体4−1で分解し、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスBをハニカム構造体4−2で分解し、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスCをハニカム構造体4−3で分解し、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスDをハニカム構造体4−4で分解するなど、各ハニカム構造体4で分解可能な有害ガスの種類を異ならせることができる。
【0117】
この場合、ハニカム構造体4−2での有害ガスBの分解に際し、ハニカム構造体4−1によって分解しきれなかった有害ガスAの分解が行われ、ハニカム構造体4−3での有害ガスCの分解に際し、ハニカム構造体4−1,4−2で分解しきれなかった有害ガスA,Bの分解が行われ、ハニカム構造体4−4での有害ガスDの分解に際し、ハニカム構造体4−1,4−2,4−3で分解しきれなかった有害ガスA,B,Cの分解が行われる。
【0118】
このような方法とすると、1つのハニカム構造体4で全ての有害ガスA,B,C,Dの分解を行うようにした場合よりも、有害ガスの分解に際して発生する副生成物(例えば、オゾン)の発生量を少なくすることができる。
【0119】
また、上述した実施の形態2〜5ではハニカム構造体4間の間隔G(G1,G2,G3)を等しくしているが、異ならせるようにしてもよい。例えば、図14に示した構成において、ハニカム構造体4間の間隔G1,G2,G3を異ならせると、空間ギャップ12−1,12−2,12−3でのプラズマの発生量が異なるものとなり、ハニカム構造体4−1〜4−6の単位面積当たりの貫通孔4aの数を選択的に異ならせた場合と同様の作用・効果を得ることができる。この場合、ハニカム構造体4−1〜4−6を単位面積当たりの貫通孔4aの数が等しい同一種類のハニカム構造体とすることができるので、部品の種類を増やさずに済む。
【0120】
また、上述した実施の形態1〜5において、ハニカム構造体4はオゾンを分解する触媒機能を備えたものとしてもよく、例えば、図13に示した構成において、ハニカム構造体4−4の下流位置にオゾンを分解する触媒を設けるようにしてもよい。
【0121】
また、上述した実施の形態2,3(図11,図12)において、ハニカム構造体4の数は、2つ以上あれば、幾つあっても構わない。また、上述した実施の形態4(図13)において、ハニカム構造体4の数は、2つ以上のハニカム構造体群を形成することができればよく、幾つあっても構わない。実施の形態5(図14)では、実施の形態4の変形例として、ハニカム構造体群を3つ設けた例を示している。
【0122】
また、上述した実施の形態1〜5において、副生成物としてオゾンを大量に発生させ、オゾン発生器として転用するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態1〜5において、ハニカム構造体4には貫通孔4aが蜂の巣状に設けられているが、多数の貫通孔4aが設けられていればよく、蜂の巣状に限られるものではない。
【0123】
また、上述した実施の形態1〜5では、駆動パルスPS1のオンタイミングに対する駆動パルスPS2のオンタイミングの遅延時間TC1を調整するようにしたが、図15に示すように、駆動パルスPS2のオフタイミングに対する駆動パルスPS1のオフタイミングの遅延時間TD1を調整するようにしてもよい。
【0124】
また、上述した実施の形態1〜5では、駆動パルスPS1のオンタイミングに対する駆動パルスPS2のオンタイミングの進み時間TC2を調整するようにしたが、図16に示すように、駆動パルスPS2のオフタイミングに対する駆動パルスPS1のオフタイミングの進み時間TD2を調整するようにしてもよい。
【0125】
また、駆動パルスPS1のオンタイミングに対する駆動パルスPS2のオンタイミングの遅延時間TC1と、駆動パルスPS2のオフタイミングに対する駆動パルスPS1のオフタイミングの遅延時間TD1をともに調整するようにしてもよく、駆動パルスPS1のオンタイミングに対する駆動パルスPS2のオンタイミングの進み時間TC2と、駆動パルスPS2のオフタイミングに対する駆動パルスPS1のオフタイミングの進み時間TD2をともに調整するようにしてもよい。
【0126】
また、上述した実施の形態1〜5では、プラズマの発生状況の総合的な判断結果に基づいて、正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2の印加時間を自動調整したり、正電圧+V1と負電圧−V2とを交互に印加する際の高電圧の休止期間を自動調整するようにしたが、電極間に印加する高電圧の値そのものを自動調整するようにしたり、電極間に印加する高電圧の周波数を自動調整するなどとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明のガス処理装置は、燃料電池等に用いられる水素を効率的に生成する目的で、炭化水素類等から水素含有ガスを生成する、いわゆる改質にも適用することができる。例えばオクタン(ガソリンの平均分子量に比較的近い物質)C818の場合は、本ガス処理装置に供給すると下記(1)式で示される化学反応が促進され、その結果水素ガスを効率よく生成することができる。
818+8H2O+4(O2+4N2)→8CO2+17H2+16N2・・・・(1)
【符号の説明】
【0128】
1…ダクト(通風路)、4(4−1〜4−6)…ハニカム構造体、4a…貫通孔(セル)、4A,4B,4C…ハニカム構造体群、8〜11…電極、12(12−1〜12−3)…空間ギャップ、16〜19…導線、G(G1〜G3)…間隔、GS…処理対象ガス、20…高電圧印加部、21…風速センサ、22…湿度センサ、23…温度センサ、TR1,TR2…トランス、D1,D2,D3,D4…ダイオード、C1,C2…コンデンサ、Q1,Q2,Q3…トランジスタ、R1,R2,R3…抵抗、T1…正電圧供給端子、T2…負電圧供給端子、IC1,IC2…スイッチング用集積回路、CNT…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風路内に配置され、前記通風路内を流れる処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する多孔体と、
この多孔体の外側の一方および他方に配置される第1および第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極との間に高電圧を印加し前記多孔体の貫通孔にプラズマを発生させる高電圧印加手段と、
前記プラズマの発生に影響を与える前記処理対象ガスの複数種類の環境要素の状況を検出する環境要素検出手段と、
前記環境要素検出手段によって検出された複数種類の環境要素の状況に基づいて各環境要素毎に現在の前記プラズマの発生状況を判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて前記高電圧印加手段からの前記第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするガス処理装置。
【請求項2】
通風路内に間隔を設けて配置され、前記通風路内を流れる処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数の多孔体と、
前記複数の多孔体のうち前記処理対象ガスの通過方向の最も上流に配置される多孔体の上流側に配置される上流側電極と、
前記複数の多孔体のうち前記処理対象ガスの通過方向の最も下流に配置される多孔体の下流側に配置される下流側電極と、
前記上流側電極および前記下流側電極の一方を第1の電極、他方を第2の電極とし、前記第1の電極と第2の電極との間に高電圧を印加し前記多孔体の貫通孔および前記多孔体間の空間にプラズマを発生させる高電圧印加手段と、
前記プラズマの発生に影響を与える前記処理対象ガスの複数種類の環境要素の状況を検出する環境要素検出手段と、
前記環境要素検出手段によって検出された複数種類の環境要素の状況に基づいて各環境要素毎に現在の前記プラズマの発生状況を判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて前記高電圧印加手段からの前記第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするガス処理装置。
【請求項3】
通風路内に間隔を設けて配置され、前記通風路内を流れる処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数の多孔体と、
前記複数の多孔体のうち隣り合う複数の多孔体を1群の多孔体群とし、これら多孔体群毎にその両端に位置する多孔体の外側に配置された第1および第2の電極と、
前記各多孔体群の第1の電極と第2の電極との間に高電圧を印加し前記多孔体の貫通孔および前記多孔体間の空間にプラズマを発生させる高電圧印加手段と、
前記プラズマの発生に影響を与える前記処理対象ガスの複数種類の環境要素の状況を検出する環境要素検出手段と、
前記環境要素検出手段によって検出された複数種類の環境要素の状況に基づいて各環境要素毎に現在の前記プラズマの発生状況を判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて前記高電圧印加手段からの前記第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするガス処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載されたガス処理装置において、
前記制御手段は、
前記各環境要素毎に現在のプラズマの発生状況を能力不足,能力適正,能力過剰の何れに該当するかを判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を各環境要素間に定められた優先度に従って総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて前記高電圧印加手段からの前記第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか1項に記載されたガス処理装置において、
前記制御手段は、
前記各環境要素毎に現在のプラズマの発生状況を能力不足,能力適正,能力過剰の何れに該当するかを判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果を前記能力不足,能力適正,能力過剰の各項目に該当する数に従って総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて前記高電圧印加手段からの前記第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項6】
請求項1〜3の何れか1項に記載されたガス処理装置において、
前記制御手段は、
前記各環境要素毎に現在のプラズマの発生状況を能力不足,能力適正,能力過剰の何れに該当するかを判断し、この各環境要素毎の現在のプラズマの発生状況の判断結果をその判断結果に各環境要素毎に定められた重みを乗じて総合的に判断し、この総合的な判断結果に基づいて前記高電圧印加手段からの前記第1の電極と第2の電極との間への高電圧の印加を制御する
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載されたガス処理装置において、
前記制御手段は、
前記総合的な判断結果から前記プラズマの発生能力を増大させる必要があると判断した場合、
前記第1の電極に接地電位から正方向に立ち上がる正電圧を、前記第2の電極に接地電位から負方向に立ち下がる負電圧を、前記第1の電極への正電圧の立ち上がり状態と前記第2の電極への負電圧の立ち下がり状態とが一部重なるように交互に切り換えて印加させる
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項8】
請求項1〜6の何れか1項に記載されたガス処理装置において、
前記制御手段は、
前記総合的な判断結果から前記プラズマの発生能力を減少させる必要があると判断した場合、
前記第1の電極に接地電位から正方向に立ち上がる正電圧を、前記第2の電極に接地電位から負方向に立ち下がる負電圧を、前記第1の電極への正電圧が接地電位に立ち下がった状態と前記第2の電極への負電圧が接地電位に立ち上がった状態とが一部重なるように交互に切り換えて印加させる
ことを特徴とするガス処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−234258(P2010−234258A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84787(P2009−84787)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】