説明

ガス加熱装置およびこれを有する反応副生成物防止装置

【課題】ガスを分子レベルまで均一かつ高効率で加熱することができる小型のガス加熱装置を安価を提供する。
【解決手段】ガスを通すガス管23と、このガス管内に配設された通気自在のメタル製繊維不織布25と、ガス管を加熱するハロゲンランプ24と、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は窒素(N)ガス等の不活性ガスを主に加熱する場合に好適なガス加熱装置およびこれを半導体や液晶等の製造プロセスに適用した反応副生成物防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な半導体や液晶等を製造する半導体等製造装置は図4に示すように構成され、半導体ウエハやガラス基板の表面に、チッ化膜や酸化膜等を形成するためのチャンバ1を備えている。このチャンバ1内には、プロセスガスとしてSiH(モノシラン)、SiHCl(ジクロロシラン)、NH(アンモニア)、TEOS(テオス)、O(酸素)等が、プロセスに応じて単一または適宜組み合わされて供給される。
【0003】
これらのプロセスガスは、チャンバ1内で高温の雰囲気で分解された後、チャンバ1から排気管2を通じて弁3、排気ポンプ4、ポンプ騒音低減用サイレンサ5、反応副生成物捕捉用トラップ6および除害装置7、排気管8、図示しないスクラバーへと排出される。これらチャンバ1よりも下流の排気管2、排気ポンプ3等のプロセスガス流路には、プロセスガスが、NHCl(塩化アンモニウム)、SiO(酸化ケイ素)等の反応副生成物を大量に発生させる。
【0004】
これらの反応副生成物の蓄積は、排気管2等チャンバ1よりも下流側のプロセスガス流路を閉塞するため定期的に取り除かねばならず、その除去費用が例えば1回100万円程かかり、月1回必要であり、メンテナンス費用の増大を招いている。さらに、そのメンテナンスの都度、製造装置の運転を中止しなければならず、安全性および生産性に大きな支障をもたらしている。
【0005】
これらの反応副生成物は、排気管2の外壁の温度が高過ぎると、気相反応により排気管の内壁面に形成され、また排気管2等の温度が低いと、排気管2の内壁の吸着層における化学反応により形成される。すなわち、反応副生成物を発生させないためには、排気管中のガスをある温度範囲で均一に保つ必要がある。
【0006】
そこで従来から、反応副生成物を発生させないために、配管やガス流路等を外部より加熱することが行なわれている。一般的には排気管2、弁3、排気ポンプ4等の配管・機器の外壁にテープヒータ9を巻き付けて加熱している。しかし、排気管2等をテープヒータ9により加熱する方法は排気管2や排気ポンプ4等の低い箇所ができ、ここに集中的に反応副生成物が発生し、課題の解決に結びついていない。
【0007】
また、生成した反応副生成物をトラップ6で捕獲する方法もとられているが、このトラップ6で捕捉した反応副生成物を頻繁に取り除かねばならず、同様な課題を残している。
【0008】
図5は排気管2内に、可燃性プロセスガスの希釈ガスとして注入する窒素を加熱してHOTガス化するガス加熱装置10を示している。このガス加熱装置10は密閉容器11内に、窒素(N)ガスを通すコイル状のガス管12を内蔵する一方、この密閉容器11内に、ホットガス等の加熱媒体を通す媒体流路13を形成し、この加熱媒体によりガス管12内のNガスを加熱するようになっている。
【0009】
また、図6で示すガス加熱装置14は密閉容器15内に、電気ヒータ16を内蔵する一方、Nガスを流すガス流路17を形成し、電気ヒータ16によりNガスを加熱するようになっている。しかしながら、このような従来のガス加熱装置10,14では、HOT化された窒素ガスをプロセスガス流路内に注入しても、このNガスによりプロセスガスを分子レベルまで均一な温度に加熱できないので、排気管2内のプロセスガスを均一に加熱することは困難である。すなわち、数メータ以上の長尺の排気管2では反応副生成物発生の抑止策とはなりにくい。また、これらのガス加熱器10,14は一般に伝熱係数が低いため、熱損失が大きく、そのために、装置が大型になり排気管2や排気ポンプ4等の機器に取り付けるのが困難である。
【0010】
また、他のガス加熱装置としては、下記の特許文献1に記載された熱交換器がある。この熱交換器は、伝熱媒体が供給、排出される熱交換容器と、この熱交換容器内に軸方向に多段で配置された複数の環状管と、これらの環状管管の複数箇所を各周方向流路における流入口と流出口の位置が周方向にずれるように連通した連通管とを有し、これら環状管内を通るガスを、熱交換容器内の伝熱媒体により熱交換、すなわち加熱するようになっている。
【特許文献1】特開平7−294162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような従来の熱交換器も伝熱係数が低いので、伝熱媒体が供給される熱交換容器と、この熱交換容器内に、その伝熱媒体により浸漬された状態で収容される多段の環状管が共に大きく、高価であるうえに熱交換効率が悪いという課題がある。
【0012】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、ガスを分子レベルで均一かつ高効率で加熱することができる小型のガス加熱装置を安価を提供することにある。
【0013】
また、他の目的は分子レベルで均一に加熱したガスをプロセスガスの流路に注入することにより、このプロセスガス流路に生成される反応副生成物の生成付着を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明は、ガスを通すガス管と、このガス管内に配設された通気自在の金属製熱伝導性部材と、上記ガス管を加熱する加熱装置と、を具備していることを特徴とするガス加熱装置である。
【0015】
請求項2に係る発明は、上記ガス管は、コイル状に形成され、上記加熱装置は、上記ガス管のコイル状巻回部内に同心状に配設され、上記熱伝導性部材は、アルミニウムや銅、ステンレス等の金属製高熱導性物質よりなる繊維状、布状物質、線状、板状、管状のいずれかに形成され、または、これら2種以上の形状の熱伝導性部材の組合せよりなることを特徴とする請求項1記載のガス加熱装置である。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項1または2記載のガス加熱装置と、このガス加熱装置のガス管の入口側に不活性ガスを供給するガス供給装置と、上記ガス加熱装置の加熱温度を制御する温度制御装置と、上記ガス加熱装置のガス管の出口側を、プロセスガスを排気する排気流路に連結して不活性ホットガスを注入する注入管と、を具備していることを特徴とする反応副生成物防止装置である。
【0017】
請求項4に係る発明は、上記注入管は、半導体ウエハや液晶等のワークを加工するためにプロセスガスが供給されるチャンバから排気されるプロセスガス排気流路、上記チャンバからプロセスガスを排気する排気ポンプ内のプロセスガス流路、この排気ポンプよりも下流側のプロセスガス排気流路の少なくともいずれかに連結されていることを特徴とする請求項3記載の反応副生成物防止装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、ガスがガス管内の金属製熱伝導性部材を通気する際に乱流を生じ、その乱流状態でこの金属製熱伝導性部材と加熱装置により加熱されるので、ガスを分子レベルまで均一に加熱することができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、ガス加熱装置により分子レベルまで均一に加熱した高温ガスをプロセスガス排気流路に注入するので、このプロセスガスを均一に加熱することができる。このために、プロセスガス排気流路に反応副生成物が生成付着するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、添付図面中、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0021】
図1は本発明の第1の実施形態係るガス加熱装置21の構成図である。このガス加熱装置21は所要形状のケーシング22内に、ガス管23と、加熱装置の一例であるハロゲンランプ24とを配設している。
【0022】
ケーシング22は、円筒または角筒等所要形状の密閉容器に構成され、そのほぼ全内面を、研磨加工による鏡面や反射材塗布等により反射面22aに形成し、ハロゲンランプ24からの輻射熱を反射面22aによりガス管23側へ集中的に反射させるようになっている。
【0023】
また、ケーシング22は、その内外に、ハロゲンランプ24を出入し得るようにハロゲンランプ24の設置箇所近傍の底部や側面を着脱自在に構成し、または、その底部や側面の一部に、ハロゲンランプ24を出入し得る出入窓(図示省略)を形成している。
【0024】
ガス管23は、例えば直状円管に形成され、その軸方向両端部に入口管部23aと出口管部23dを形成する一方、ケーシング22内に延在する軸方向中間部に、入口管部23aと出口管部23bよりも所要径大径の大径管部23cを所要長一体に連成している。
【0025】
ガス管23は、その大径管部23c内に、通気自在のメタル製繊維不織布25を収容している。このメタル製繊維不織布25は通気自在の金属製熱伝導性部材の一例であり、例えば熱伝導率の高いアルミニウムや銅、ステンレス等の金属を繊維状に形成し、さらにこの金属製繊維を通気自在の不織布やフェルトに形成したものであり、大径管部23内にガスを通すことが可能な量が充填される。また、メタル製繊維不織布25は、その入口管部23側端部やその他の適宜箇所を大径管部23cの内面に固定している。
【0026】
ガス管23は、その入,出口管部23a,23bをケーシング22の軸方向両端板に貫通させた状態でこれら両端板に固定し、入口管部23aの入口外端部には図示しないガス供給装置が接続され、窒素(N)ガス等の不活性ガスやその他所要のガスが所定圧で所定量供給されるようになっている。
【0027】
出口管部23aは、そのケーシング22から外部へ延出する外端部にて、温度センサ26を配設している。温度センサ26には図示しない信号線により温度制御装置を電気的に接続している。
【0028】
温度制御装置は、例えばマイクロプロセッサ等からなり、出口管部23bへ排出されるガスの温度が図示しない温度設定器により設定された温度で一定になるように単一または複数本のハロゲンランプ24の点消灯ないし調光を制御して発熱量を制御するものである。
【0029】
単一または複数本のハロゲンランプ24は、大径管部23cの近傍に配設され、または、大径管部23cの外側を周方向に囲むように配設してもよい。
【0030】
ガス加熱装置21はこのように構成されているので、大径管部23cを含むガス管23とその内部のメタル製繊維不織布25はハロゲンランプ24により加熱される。したがって、ガス管23の入口管部23aに不活性ガス等のガスが供給されると、このガスが大径管部23c内のメタル製繊維不織布25を通気する際に、その多数の繊維または繊維同士間の多数の微小間隙により乱流を発生させ、その乱流状態で熱伝導率の高いメタル製繊維不織布25により加熱される。このために、ガスが分子レベルで均一に加熱される。
【0031】
また、メタル製繊維不織布25は熱伝導率が高いので、高効率でガスに伝熱して加熱することができるうえに、不織布により構成されているので、ガスのパス路が長大化するので、その分、加熱面積の拡大を図ることができる。このために、加熱効率をさらに向上させることができる。また、ガス加熱装置21の熱交換(加熱)効率が高い分、このガス加熱装置21の小型軽量化を図ることができる。
【0032】
この出口管部23bでは、温度センサ26によりガスの温度が検出され、その検出信号が図示しない温度制御器に与えられる。
【0033】
温度制御器はこの温度検出信号が示す温度を設定温度と比較し、その偏差を解消させるための制御信号を求め、この制御信号に基づいてハロゲンランプ24の点灯を制御する。これにより、出口管部23bから排気されるガスの温度を設定値で一定に制御することができる。
【0034】
なお、この実施形態では金属製高熱伝導性部材の一例としてメタル製繊維不織布25を使用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば金属製熱伝導性部材としては、アルミニウムや銅ステンレス等の金属製高熱伝導性物質により線状、板状、管状のいずれかに形成され、または、これら2種以上の形状の熱伝導性部材の組合せよりなる。ここで線状とは棒状を含み、板状とは平板や波板等所要形状の板形状を含み、管状とは、円管、矩形管や2重管等の多重管を含む。しかし、いずれの場合にもガスが通気し得るように熱伝導性部材自体を形成し、または複数の熱伝導性部材をガス管23内に充填する際に、複数の熱伝導性部材間にガスを通気させるための間隙を形成することが必要である。
【0035】
図2は本発明の第2の実施形態に係るガス加熱装置21Aの全体構成を示す模式図である。
【0036】
このガス加熱装置21Aは、上記図1で示す第1の実施形態に係るガス加熱装置21におけるガス管23の大径管部23cを、コイル管部23dに置換すると共に、ハロゲンランプ24を、コイル管部23dのコイル状巻回部内にて同心状に配設し、ケーシング22の軸方向一端側に入口管部23aと出口管部23bを並設した点に主な特徴を有する。これ以外の構成は上記第1の実施形態と同様である。
【0037】
すなわち、ガス加熱装置21Aは、ガス管23の軸方向中間部に、このガス管23をコイル状に巻回してなるコイル管部23dを形成している。
【0038】
このコイル管部23dは入口管部23aの一端に接続されてケーシング22内に延在する直管状の往管部23eがケーシング22の他端側で再び入口管部23aおよび出口管部23b側へ折り返す復管部で形成され、これら往管部23eおよび復管のコイル管部23d内には、上記メタル製繊維不織布25を所定量充填している。メタル製繊維不織布25はコイル管部23dがコイル状に構成される前の直管状態のときに、その内部に充填され、その充填後コイル状に形成される。
【0039】
そして、このコイル管部23dのコイル巻回部内の中心軸部にて、ハロゲンランプ24を同心状に配設し、ハロゲンランプ24の外周面とコイル管部23dの内周面との間には径方向に所定の間隙を設けている。
【0040】
したがって、このガス加熱装置21Aによれば、コイル管部23dによりハロゲンランプ24により加熱されるケーシング22内に延在するガス管23の全長とその内部に充填されるメタル製繊維不織布25の長さを延伸することができるので、ハロゲンランプ24とメタル製繊維不織布25による加熱(伝熱)面積の拡大を図ることができる。このために、ガスの加熱効率をさらに向上させることができる。
【0041】
なお、コイル管部23dのコイル巻回ピッチを最小にして窓に巻回することによりハロゲンランプ24からの輻射熱がコイル巻回部の外部へリークするリーク量を低減し、または、コイル巻回径も可及的に小さくしてコイル管部23dのコイル巻回内周面をハロゲンランプ24に可及的に接近させてもよく、これによれば、さらに加熱効率を向上させることができる。また、上記ハロゲンランプ24は電熱ヒータ等他の加熱手段に置換ないし併設してもよい。
【0042】
図3は本発明の第3の実施形態に係る3台の反応副生成物防止装置31を、半導体や液晶等の製造装置である半導体等製造装置32に配設した場合の一例の構成を示す構成図である。
【0043】
この半導体等製造装置32は、図4で示す半導体や液晶等の半導体等製造装置に、テープヒータ8に代えて反応副生成物装置31を設けた点に主な特徴を有する。したがって、図3では図4で示す半導体等製造装置と同一または相当部分には同一符号を付して、その重複した説明を省略または簡単化している。
【0044】
図3に示すように、反応副生成物装置31はガス加熱装置21A、ガス供給装置33、温度制御装置34および注入管35を具備している。ガス加熱装置は図1、図2で示すガス加熱装置21,21Aのいずれか一方、例えば21Aであり、窒素ガス(N)等の不活性ガスを120〜150℃に加熱するものである。ガス供給装置33は、ガス加熱装置21Aに、SiHやSiHCl等の可燃性プロセスガスの濃度を希釈して不燃性を向上させる窒素ガス(N2)やアルゴン(Ar)等の不活性ガスを所定量供給するものである。
【0045】
温度制御装置34は、ガス加熱装置21Aによる窒素ガス(N2)などの不活性ガスの加熱温度を、ガス加熱装置21Aの温度センサ26により検出された検出信号に基づいて検出する手段と、ガス加熱装置21Aにより加熱すべき温度を所定値に設定する設定手段と、その所定値一定で制御する手段とを有する。注入管35は、ガス加熱装置21Aにより加熱した所定温度のN2等の不活性ガスを希釈用ホットガスとして所定量、半導体等製造装置32の所要箇所に注入するものである。
【0046】
すなわち、注入管35は、その入口端部をガス加熱装置21Aのホットガス出口部に接続する一方、注入口端部を、チャンバ1のプロセスガス排気側の排気管2aにおける弁7よりも上流側の途中と、排気ポンプ3内のプロセスガス流路、例えばその導入路の途中またはその下流側と、この排気ポンプ3よりも下流側の排気管2bの途中と、にそれぞれ接続している。
【0047】
これら反応副生成物装置31は、そのホットガスを、チャンバ1の直ぐ下流側には、1〜2L/minで注入し、排気ポンプ3内には、例えば30〜50L/minで注入し、さらに排気ポンプ3の下流側排気管2bには例えば50〜150L/minで注入するように構成されている。
【0048】
次に、この半導体等製造装置32の作用を説明する。
【0049】
まず、チャンバ1内には、図示しないプロセスガス供給源からSiH(モノシラン)、SiHCl(ジクロロシラン)、NH(アンモニア)、TEOS(テオス)、O(酸素)等がプロセスに応じて適宜単独または組み合せてプロセスガスとして適量供給され、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により半導体ウエハまたはガラス基板の表面に、窒化膜や酸化膜等の膜が形成される。
【0050】
これらチャンバ1内で反応せずに残った余剰のプロセスガスは排気管2aを通って排気ポンプ4に吸引されて排気される。この排気管2aの途中には、反応副生成物装置31から所定温度に加熱された窒素(N)等の不活性ガスがホットガスとして所定量注入される。
【0051】
すなわち、反応副生成物装置31は、ガス供給装置33から所定量のN等の不活性ガスがガス加熱装置21Aに供給され、ここで分子レベルまで均一な所定温度に加熱されてホットガスとして注入管35から排気管2a内に注入される。このホットガスの温度は温度制御装置により所定値に設定され、かつその設定値一定に制御される。
【0052】
このために、排気管2a内を通るプロセスガスは、ガス加熱装置21Aにより分子レベルまで均一に加熱されたN等のホットガスに混合されて加熱されるので、このプロセスガスの温度を均一にすることができる。しかも、可燃性のプロセスガス濃度が希釈されるので、その可燃性も低減させることができる。
【0053】
これにより、排気管2a内でプロセスガスの反応副生成物が発生するのを抑制することができる。このために、反応副生成物が排気管2a内に付着し堆積し、その管壁が閉塞するのを防止ないし低減することができる。
【0054】
また、このN等のホットガスは、排気ポンプ4のプロセスガス導入路と、その下流側ないし排気管2bにも反応副生成物装置31から注入されるので、この排気ポンプ4のプロセスガス導入路と、その下流側ないし排気管2bにも、反応副生成物が生成付着して、その流路が閉塞するのを防止ないし低減することができる。
【0055】
これにより、排気管2a,2bや弁3の排気ポンプ4内の反応副生成物を除去するメンテナンスを削減することができるので、そのメンテナンスコストの低減と、半導体等製造装置の稼働率を向上させることができる。
【0056】
このために、図4で示す従来の半導体等製造装置におけるトラップ6を削減することができる。また、サイレンサ5がポンプ騒音の低減の外に反応副生成物のトラップ機能も兼用している場合には、その反応副生成物のトラップとしてのサイレンサ5を削減することができる。その結果、半導体等製造装置全体の小形化とコスト低減とを共に図ることができる。
【0057】
また、ホットガスを加熱効率の高い小形のガス加熱装置21Aにより加熱するので、ホットガスの加熱効率を向上させることができると共に、半導体等製造装置全体としての小形化も図ることができる。しかも、このホットガスの加熱温度を温度制御装置により所要の温度に一定に制御することができるので、プロセスガスの温度むらに起因する反応副生成物の生成を抑制することができる。
【0058】
さらに、排気ポンプ4のプロセスガス導入路またはその下流側流路にもホットガスを注入するので、この排気ポンプ4のプロセスガス導入路やその下流側流路における反応副生成物の生成ないし付着、堆積を抑制ないし低減させることができる。
【0059】
なお、この半導体等製造装置32では、反応副生成物装置31を3台設ける場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば排気ポンプ4のプロセスガス導入路およびその下流側流路、またはその下流側の排気管2b内に注入する反応副生成物装置31の1台でもよい。あるいは、反応副生成物装置31を4台以上設け、ホットガス注入箇所を4箇所以上設けてもよい。
【0060】
また、これら3台のガス供給装置33,33,33と、ガス加熱装置21A,21A,21Aおよび温度制御装置34,34,34を、それらの各1台、33,21A,34によりそれぞれ共用し、各注入管33の注入箇所に応じてホットガスの注入量とホットガス温度を適宜制御し得るように構成してもよい。また、サイレンサ5を削除しない場合には、このサイレンサ5の下流側にて排気管2b内へN等のホットガスを所要量注入するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施形態に係るガス加熱装置の構成図。
【図2】本発明の第2実施形態に係るガス加熱装置の構成図。
【図3】本発明の第3実施形態に係る反応副生成物装置を設けた半導体等製造装置の構成図。
【図4】一般的な半導体等製造装置の構成図。
【図5】図4で示す半導体等製造装置に配設される従来のガス加熱装置の構成図。
【図6】他の従来のガス加熱装置の構成図。
【符号の説明】
【0062】
21,21A ガス加熱装置
22 ケーシング
23 ガス管
23c 大径管部
23d コイル管部
24 ハロゲンランプ
25 メタル製繊維不織布
26 温度センサ
31 反応副生成物装置
32 半導体等製造装置
33 ガス供給装置
34 温度制御装置
35 注入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを通すガス管と、
このガス管内に配設された通気自在の金属製熱伝導性部材と、
上記ガス管を加熱する加熱装置と、
を具備していることを特徴とするガス加熱装置。
【請求項2】
上記ガス管は、コイル状に形成され、
上記加熱装置は、上記ガス管のコイル状巻回部内に同心状に配設され、
上記熱伝導性部材は、アルミニウムや銅、ステンレス等の金属製高熱導性物質により繊維状、布状、線状、板状、管状のいずれかに形成され、または、これら2種以上の形状の熱伝導性部材の組合せよりなることを特徴とする請求項1記載のガス加熱装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のガス加熱装置と、
このガス加熱装置のガス管の入口側に不活性ガスを供給するガス供給装置と、
上記ガス加熱装置の加熱温度を制御する温度制御装置と、
上記ガス加熱装置のガス管の出口側を、プロセスガスを排気する排気流路に連結して不活性ホットガスを注入する注入管と、
を具備していることを特徴とする反応副生成物防止装置。
【請求項4】
上記注入管は、半導体ウエハや液晶等のワークを加工するためにプロセスガスが供給されるチャンバから排気されるプロセスガス排気流路、上記チャンバからプロセスガスを排気する排気ポンプ内のプロセスガス流路、この排気ポンプよりも下流側のプロセスガス排気流路の少なくともいずれかに連結されていることを特徴とする請求項3記載の反応副生成物防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−19509(P2006−19509A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195816(P2004−195816)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(599002490)株式会社オムニ研究所 (2)
【Fターム(参考)】