説明

ガス化処理方法とその装置

【課題】ガス化炉本体内に可燃性原料を投入・加熱して得られたガスは低カロリーの可燃性ガスのため、そのガスの用途は限られたものとなっている。
【解決手段】ガス化炉本体内に生成するガスを高カロリー可燃性ガスとするために、ガス化炉本体内に空気を供給する。また、この空気供給手段として、ガス化炉本体内に配置されスクリュー軸を貫通するように孔を設け、空気供給手段及びスクリューの孔を介してガス化炉本体内に空気を供給するよう構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス化処理方法とその装置に係り、特に木質チップ等のようなゴミ処理時に発生する低カロリーの可燃性ガスを抑制して高カロリーの可燃性ガスを生産する方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、木質チップ等のゴミを焼却処理することで発生する二酸化炭素やダイオキシンが地球環境破壊につながることから、ゴミを焼却しないで800℃以上の高温で熱分解処理するガス化炉が注目されている。
ガス化炉は炭化炉とも呼称され、特許文献1、2のようなものが公知となっている。特許文献1には、乾留時間を短縮することを目的として、ホッパーより供給される被乾留物の供給口と乾留塔内とを遮断してバーナーを介して被乾留物を乾留させて発生ガスを吸引することが記載されている。特許文献2には、ガス化炉と燃焼炉よりなる処理装置を小型化するために、装置を縦方向に構成したことが記載されている。
【特許文献1】特開平1−28077号公報
【特許文献2】特開2004−233048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ガス化炉は、ゴミ処理過程で生産(発生する)される乾留の可燃性ガスのカロリーが4〜6MJ程度と低く、採集されたガスは燃焼による熱利用等に用途が限られ、その低カロリー性からガスエンジン等の内燃機関の燃料として利用するには不向きであり、内燃機関を原動機として発電機を駆動し、電気に転換することは難しい状態となっていて、多様化が望めないという問題を有している。
なお、高カロリー可燃性ガスの発生要因及び低カロリー可燃性ガスの発生は次の理由による。
(1)高カロリー可燃性ガスを生産するためには、外部から供給するガス化剤である処理原料の燃焼用空気量を適切に制御することが必要となるが、ガス化炉は原料の供給、排出工程において外部の空気が混入する可能性が高く、空気の遮断やコントロールが難しい。このため、外部から混入する過多の空気により燃焼反応が促進されて可燃性ガスが低カロリーとなる。このときのガス化反応において、タール、すす、チャーの発生がない場合、生成されるガスの主要組成を簡易的な化学反応で示すと次のようになる。
CnHmOp+aO2+bH2O→cCO+dCO2+eH2+CxHy
ここで、800℃以上の理論的な化学平衡としてはCxHyの発生ばかりでなく、単にCO,CO2,H2 のクリーンガスのみとなる。高温かつ長時間反応では平衡ガス組成に近い組成となる。ただし、ガス化剤が極端に少ない場合には化学平衡計算からもCH4とCの発生が認められる。(参照文献:社団法人日本エネルギー学会編 バイオマスハンドブックp.93)
(2)高カロリーの可燃性ガスを生産するには、処理原料を急速に熱分解する方法が有効であるが、処理原料が固体であるため、外部から熱を加える方式のみでは、装置内にて急速に均一な高温の反応場が形成できず原料処理に偏りが生じる。これにより、ガス化炉から生産される可燃性ガスのカロリー不均一性(低カロリー化)やガス発生量(体積)の増減がみられる。
【0004】
図6は、同上参照文献のp.109に記載されている「加熱温度とガス組成の関係」図で、瞬間過熱による熱分解ガスの組成を対数目盛りで示したものである。400℃の処理温度では60%がCO2で占められる。高温ではCO2濃度が下がり、可燃性ガス(CO,CO2,H2)の濃度が高くなることがわかる。したがって、4〜6MJ程度の低カロリー可燃性ガスの発生を抑制し、13MJ以上の高カロリー可燃性ガスの生産が可能であれば、このガスを利用したコージェネレーションシステムの構築等に用途が広がって多様化が望め、未活用のエネルギーの有効利用が図れる。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは高カロリー可燃性ガスの生産を可能としたガス化処理方法とその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1は、縦型のガス化炉本体内に回転自在に設けられたスクリューを配設し、ガス化炉本体内に可燃性原料を投入してその側面より加熱し、得られたガスを捕集するものにおいて、
前記ガス化炉本体内に空気を供給して高カロリー可燃性ガスを生成することを特徴としたものである。
【0007】
本発明の第2は、前記ガス化炉本体の加熱は、ガス化炉側面を過熱して前記可燃性原料を燃焼させ、急速加熱することを特徴としたものである。
【0008】
本発明の第3は、前記ガス化炉本体の加熱は、酸素量2%〜10%の範囲の空気供給量としたことを特徴としたものである。
【0009】
本発明の第4は、前記ガス化炉本体内への空気供給は、前記スクリュー軸に設けられた軸孔を介して供給することを特徴としたものである。
【0010】
本発明の第5は、前記ガス化炉本体内に送出された空気は、前記スクリューに設けられた攪拌羽根によって分散されることを特徴としたものである。
【0011】
本発明の第6は、縦型のガス化炉本体内に回転自在に設けられたスクリューを配設し、ガス化炉本体内に可燃性原料を投入してその側面より加熱し、得られたガスを捕集するものにおいて、
前記スクリュー軸に、一端が空気供給手段と連通し他端がガス化炉本体内に連通する孔を設け、空気供給手段及びスクリューを介してガス化炉本体内に空気を供給するよう構成したことを特徴としたものである。
【0012】
本発明の第7は、前記ガス化炉本体を包み込むように加熱炉を配設し、この加熱炉を介してガス化炉本体の側面を加熱するよう構成したことを特徴とした。
【0013】
本発明の第8は、前記ガス化炉本体内に連通するスクリュー軸孔は、放出された空気がガス化炉本体内でスクリューの攪拌羽根によって分散される位置に設けられたことを特徴としたものである。
【0014】
本発明の第9は、前記ガス化炉本体の下部側面に空気供給用の孔を設け、この孔を介してガス化炉本体内に空気を供給するよう構成したことを特徴としたものである。
【0015】
本発明の第10は、前記ガス化炉本体の原料投入口側と炭化物の出口側にそれぞれコンベヤーを設け、各コンベヤー若しくは各コンベヤーの搭載物によって投入口及び出口側よりの空気の入出を遮断するよう構成したことを特徴としたものである。
【0016】
本発明の第11は、前記各コンベヤーの駆動停止は、ガス化炉本体に設置されたセンサーの出力信号によって制御されることを特徴としたものである。
【0017】
本発明の第12は、前記ガス化炉本体の側面加熱部にチャンバーを設け、このチャンバー及びチャンバーに連設されたガス誘引管を通して生成ガスを捕集することを特徴としたものである。
【0018】
本発明の第13は、前記チャンバー及びガス誘引管を通して捕集された生成ガスを、内燃機関の燃焼に利用することを特徴としたものである。
【0019】
本発明の第14は、前記チャンバー及びガス誘引管を通して捕集された生成ガスを、ガス化炉本体の加熱用の燃料としたことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によれば、高カロリー可燃性ガスの生成が可能となったことにより、その燃料を外燃・内燃機関の発電に利用でき、その用途が広がって多様化が望めるものである。また、高カロリー可燃性ガスの生成が可能となったことにより外部加熱方式の燃料として利用でき、処理原料自らが生産するエネルギーで、自らを処理できるリサイクル機構が構築できる等の効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明のガス化炉の概略構成図を、また、図2は具体的な部分構成図を示したものである。各図において、1は熱伝導効率の良い耐熱金属などにより構成される縦型のガス化炉本体で、円筒状に形成されている。2は筒状に形成された加熱炉で、この加熱炉2を貫通するようにしてガス化炉本体1が配設され、且つこの加熱炉の下部には燃焼室3を備えている。燃焼室3には、プロパンガス等を燃料とする燃焼バーナー4とブロワー5が配置されて、燃焼時には必要とする空気はこのブロワー5から圧送される。そして、これら2〜5によって加熱部6が構成されて高カロリー可燃性ガスが生産される。生産された高カロリー可燃性ガスは燃焼後高温(800〜1000℃)となるため、電気に転換できる外燃機関全般(スターリングエンジンなど)の熱源として利用され、発電を行うことができる。内燃機関全般(ガスエンジンなど)に燃料として利用するためには、可燃性ガスを冷却する必要がある。そのために内燃機関の燃料消費量に適した容量のサイクロンが設けられ、このサイクロンにて徐塵して交換器、及びバイオマスフィルタを介し図示省略の内燃機関へ燃料として送出される。
【0022】
なお、図2は自燃方式の場合を示したもので、ガス化炉本体1で生成されたバイオガスは、チャンバー11、ガス誘引管12を介して採取されたガス中の粉塵を除去するためのサイクロン20が設けられる。このサイクロン20にて貯留されたガスは、粉塵等が除去された後に交換器21に送られ冷却されて酢液やタールが除去され、バイオマスフィルタ22で再度の粉塵等の除去が施されて燃料とすべく燃焼室3に供給される。サイクロンから燃焼室までのシステム構成は処理原料の種類,性状により適宜設計される。24は排気部で、この排気部を通って無煙排気が外部に放出される。燃焼処理時にはガス化炉本体1の中位部は還元層となり、また、下部は酸化層となるが、ガス化炉本体1には酸化層及び還元層付近に発生した可燃性ガスを回収するための最適な位置にガス滞留用チャンバー11、ガス誘引管12が設けられ、このガス誘引管が加熱炉内を貫通することによって温度低下によるタールなどの形成を防いでいる。
【0023】
7は縦型の排出スクリューで、ガス化炉本体1の下部において炉本体内部を垂直に貫くように配設され、図示省略されたモータ等の駆動源によって常時回動するよう構成される。また、この排出スクリュー7は攪拌羽根8を有すると共に、スクリュー先端には炭化物の固化を防ぐために尖状部7a形が形成され、且つスクリュウの軸内部にはスクリュー冷却用の空気が流通するような軸孔7bが穿設されており、その上部位置においてガス化炉本体1の室内と連通した孔部7cを有している。9はガス化炉本体1の側壁に貫通された孔で、適切な口径にて穿設されている。この孔9とスクリューの軸孔7bとは、ブロワー10からの空気供給管10aより途中にて分岐した管に各別に接続されてガス化炉本体1の内部燃焼に使われる空気を供給するのに利用され、空気量のコントロールのために重要な役割を果たす。
【0024】
なお、図2では内部燃焼に使用される空気の流通ルートは、スクリュー軸に設けられた軸孔7b穴部7cのルートとガス化炉本体の側面に設けた孔9の2ルートとなっているが、本来は、軸孔7b穴部7cのルートのみの方がブロワー10よりの供給空気量の制御の容易さや、スクリュー7の冷却に有利となる。しかし、軸孔7b穴部7cのルートのみでは、処理原料の種類、粒子径などによっては空気が十分にガス化炉内に供給できないことも考えられるので、図2では処理原料の種類、粒子径などに応じた適量の空気が供給されるように孔9を設けた機構となっている。したがって、これら排出スクリュー7、攪拌羽根8及び孔9の形状や大きさ、回転数等は処理原料の種類、性状に応じて適切に設計される。
【0025】
ガス化炉本体1の上部には原料投入ホッパー13、原料供給コンベヤー14及びスライド式のセンサー19が設けられており、ホッパー13に投入された原料はこのコンベヤー14によってガス化炉本体1内に運ばれる。コンベヤー14は例えば10度以上の傾斜を付けることによって、停止時の逆回転(原料の戻し)機能により、原料による空気遮断を行っている。さらに、原料投入ホッパー13内には回転翼方式のセンサー15が設置されており、ガス化炉本体1へ供給した原料が減少して回転翼が回転運動を始めると、原料である例えば木質バイオマスをホッパー13へ投入する機構となっている。
【0026】
原料供給コンベヤー14は、スライド式センサー19により制御されており、炉内の処理原料量が一定以下になるとスライド式センサー19が反応して原料供給コンベヤー14を一定期間運転する。ガス化炉下部には、炭化物排出ホッパー16、炭化物排出コンベヤー17および回転翼方式のセンサー23が設置されており、回転翼式センサー23の回転翼が停止する(炭化物で充満する)と炭化物排出コンベヤー17が運転され、炭化物が排出される。また、排出される炭化物は高温であるため、安全性を考慮して水冷ジャケット18がガス化炉本体1の下部および炭化物排出コンベヤー17に設置されている。
【0027】
上記のように構成された本発明において、ゴミ(原料)の処理方法を原料の流れに沿って説明する。
まず、原料を原料投入ホッパー13から適量投入すると、その原料は原料供給コンベヤー14によりガス化炉本体1に連続投入される。ガス化炉本体1に投入された原料によってガス化炉本体1が充満されたところで加熱炉2に設置された燃焼バーナー4を点火し、外部加熱による熱分解を開始する。この時、排出スクリュー7は、蒸し焼き状態となるまでその回転は停止しておく。この状態で、ガス化炉本体1の炉内では熱分解反応が進行するにつれて酸化層、還元層が形成される。
【0028】
炉内温度は酸化層で800℃、還元層で700℃近辺となるが、この温度に達する前の適切な経過時間となったときに排出スクリュー7の回転を開始して炭化物の排出と、ブロワー10による空気の供給を行うと共に、内部燃焼も開始する。このとき、スクリュー7の孔部7c及び孔9より放出される空気はスクリューの回転作用に伴い、スクリュー自体を冷却しながらガス化炉内へ均一に空気供給することができる。この空気を利用して処理原料の一部を内部燃焼させ、発生した高温ガスをガス化炉内に対流させることができて均一な熱拡散が可能となる。蒸し焼き状態の処理原料から発生する高温ガスは、ガス化炉上部では投入時に原料に含まれる水分を除去(脱水)する作用を担う。燃焼室内の温度は1000℃程度、加熱部の下部温度は900℃程度、上部温度は600℃程度近辺となり、この状態で投入された新たな処理原料の昇温速度は平均11℃/sで急速な加熱(熱分解)ができる。熱分解処理された原料は炭化物またはチャーとなって炭化物排出コンベヤー17にて炉外に排出される。発生した高カロリー可燃性ガスは、ガス滞留用チャンバー11およびガス誘引管12にて回収される。回収された可燃性ガスは適切な内・外燃焼機関を用いて発電用燃料として使われる。
【0029】
以上のような本発明によれば、次のような効果が生じるものである。
【0030】
(1)処理原料を急速に熱分解する方法として、化石燃料を用いた燃焼バーナー4または処理原料より発生する可燃性ガスの燃焼で発生する熱を利用して間接的に処理原料に熱を加える外部加熱方式と、処理原料の一部を燃焼させ、その燃焼熱を分解に利用する内部加熱方式を併用する構造としたことにより、熱は高温ガスとしてガス化炉の内外に対流することで処理原料からくまなく、可燃性ガスを取り出すことができる。
【0031】
(2)処理原料に均一かつ容易に高温ガスを接触させるために、高温ガスをガス化炉下部から上部に誘導できる縦型構造とした。また、この構造により処理原料と高温ガスの接触反応に伴って発生する可燃性ガスも容易にガス化炉の上部から捕集することができる。さらに、可燃性ガス誘引管を加熱炉内に配置することで発生する可燃性ガスを高温に保つことができ、温度低下によるタールの形成、付着を防ぐことができる。
【0032】
(3)熱分解後の排出物(炭化物)の固化を防ぐ手段として、ガス化炉本体下部に縦型排出スクリュー7を装備しており、このスクリューが回転することで熱分解後の炭化物の固化を防ぐことができる。また、スクリューの先端を炭化物が固化する酸化層まで伸ばすことで炭化物が大きな固まりとなるのを未然に防いでいる。更に、スクリュー7の先端を尖状とすることで炭化物を固化させない作用を持たせているので、炭化物固化現象は防止される。
【0033】
(4)内部加熱(燃焼)に利用され、高カロリーの可燃性ガスを生産するために最も重要な酸化剤である空気量を制御するために、スクリュー7内部を空洞構造としてブロワー10から空洞内に空気を供給する構成としている。すなわち、スクリュー軸に空気供給のための流通孔7b,7cを設け、7cより放出される空気がスクリューの回転作用に伴う効果によって、スクリュー自体を冷却しながらガス化炉内へ均一に空気供給することができる。この空気を利用して処理原料の一部を内部燃焼させ、発生した高温ガスをガス化炉内に対流させることができて均一な熱拡散が可能となる。また、空気の供給ルートをスクリュー経由に限定することでブロワーの風量調整のみで空気供給量のコントロールが容易に可能となる。ただし、処理原料の粒径によっては空気が十分供給されないため、図2のように、スクリュー以外にガス化炉の下部側壁から空気を供給する構造を併設することでより効果を高めている。さらに、生産された可燃性ガスが高カロリーであることから、一部を燃焼室に導き、燃料として利用する構造も併設することで、燃料費および二酸化炭素の削減に寄与できる。
【0034】
(5)スクリュー以外からの空気混入を防ぐためにガス化炉の原料入口および出口には空気遮断(シール)機構として、原料供給コンベヤーを装備している。コンベヤーの設置によりガス化炉内が直接外気にさらされることが防止され、さらに、コンベヤーに10゜以上の傾斜を設けることでコンベヤー停止時には数秒間の逆回転機能を持たせて処理原料を利用した空気遮断を実現した。これによりガス化炉内への不均一、過多の空気混入を防ぎ、高カロリー可燃性ガスの生産を促進している。また、原料投入及び排出口には回転翼式のセンサーを装備して、上記コンベヤーとの連係を取ることで、シール性を高めている。ただし、センサーは本方式に限定されるものではなく、適切な方式が採用できる。
【0035】
(6)ガス化炉に投入・排出する原料はガス化炉の内容量に適した一定量に制御しないと供給空気量を頻繁に制御する必要性が生じる。この実施例においては、投入原料の妥当性を検知するスライド式センサーを炉上部に装備し、その検出信号を利用することによって容易に対応することで、ガス化炉からの低カロリー可燃性ガスの発生を抑制し、高カロリーガスの生産の実現を可能とした。
図4及び図5は、本発明によるガス化処理装置によって生産(発生)された高カロリー可燃性ガスの成分測定結果である。この例では木質バイオマスであるウッドチップ(1〜20mmφ)を原料としてブロワー10からの空気量(酸素)制御の結果として発生した可燃性ガスの成分を比較した。図5は、横軸に供給した酸素濃度、縦軸に発熱量を示したもので、空気量(酸素1)を10%〜2%までコントロールすることによって、総発熱量(カロリー)が8〜23MJまで上昇することが明らかになった。とくに可燃性ガスの主成分となるメタン(CH4)ガス濃度に差が見られる。この結果により、13MJ以上の高カロリー可燃性ガスを生産することが可能となって発電システムの用途に適用でき、本発明の有効性が明らかである。
【0036】
図3は他の実施例を示したものである。図1、図2と同一部分若しくは相当部分には同符号を付してある。加熱炉(ガス化炉)6にて生成されたバイオガスはサイクロン20に回収されて粉塵等を除去した後、熱交換器21に送出される。熱交換器21には、その外周には冷却水が流通していてバイオガスを冷却しながら酢液やタール分を除去しそれらを外部で回収する。酢液等の除去されたバイオガスはバイオフィルター22に送られて更に粉塵等が除去され、その後、加温器25に送られる。加温器25には、排気部24を介して無煙排気が導入されており、バイオガスは高温状態の無煙排気によって加温され、誘引ブロワー26により誘引されて燃焼室3に供給されてガス化炉の燃料として使用される。一方、加温器25においてバイオマスガスの加温に供された無煙排気は、排気ファン27等を通して外部に放出される。
勿論、この実施例の場合にも、図1と同様にブロワー10を介してコントロール用の空気がガス化炉本体1に供給され、高カロリー可燃性ガスの生成を可能としている。したがって、この実施例によれば、図1と同様の効果を有するとともに、更に、図2と同様に燃料費及び二酸化炭素の削減に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態を示す概略の構成図。
【図2】本発明のガス化炉の一部縦断正面図。
【図3】本発明の他の実施例を示す概略の構成図。
【図4】可燃性ガス成分測定結果図。
【図5】酸素濃度と総発熱量の関係図。
【図6】加熱温度とガス組成の関係図。
【符号の説明】
【0038】
1…ガス化炉本体
2…加熱炉
3…燃焼室
4…燃焼バーナー
5、10…フロワー
6…加熱部
7…排出スクリュー
8…攪拌羽根
9…孔部
20…サイクロン
21…熱交換器
22…バイオマスフィルター


【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型のガス化炉本体内に回転自在に設けられたスクリューを配設し、ガス化炉本体内に可燃性原料を投入してその側面より加熱し、得られたガスを捕集するものにおいて、
前記ガス化炉本体内に空気を供給して高カロリー可燃性ガスを生成することを特徴としたガス化処理方法。
【請求項2】
前記ガス化炉本体の加熱は、ガス化炉側面を過熱して前記可燃性原料を燃焼させ、急速加熱することを特徴とする請求項1記載のガス化処理方法。
【請求項3】
前記ガス化炉本体の加熱は、酸素量2%〜10%の範囲の空気供給量としたことを特徴とした請求項1又は2記載のガス化処理方法。
【請求項4】
前記ガス化炉本体内への空気供給は、前記スクリュー軸に設けられた軸孔を介して供給することを特徴とした請求項1乃至3記載のガス化処理方法。
【請求項5】
前記ガス化炉本体内に送出された空気は、前記スクリューに設けられた攪拌羽根によって分散されることを特徴とした請求項1乃至4記載のガス化処理方法。
【請求項6】
縦型のガス化炉本体内に回転自在に設けられたスクリューを配設し、ガス化炉本体内に可燃性原料を投入してその側面より加熱し、得られたガスを捕集するものにおいて、
前記スクリュー軸に、一端が空気供給手段と連通し他端がガス化炉本体内に連通する孔を設け、空気供給手段及びスクリューを介してガス化炉本体内に空気を供給するよう構成したことを特徴としたガス化処理装置。 -
【請求項7】
前記ガス化炉本体を包み込むように加熱炉を配設し、この加熱炉を介してガス化炉本体の側面を加熱するよう構成したことを特徴とした請求項6記載のガス化処理装置。
【請求項8】
前記ガス化炉本体内に連通するスクリュー軸孔は、放出された空気がガス化炉本体内でスクリューの攪拌羽根によって分散される位置に設けられたことを特徴とした請求項6又は7記載のガス化処理装置。
【請求項9】
前記ガス化炉本体の下部側面に空気供給用の孔を設け、この孔を介してガス化炉本体内に空気を供給するよう構成したことを特徴とした請求項6乃至8の何れかであることを特徴としたガス化処理装置。
【請求項10】
前記ガス化炉本体の原料投入口側と炭化物の出口側にそれぞれコンベヤーを設け、各コンベヤー若しくは各コンベヤーの搭載物によって投入口及び出口側よりの空気の入出を遮断するよう構成したことを特徴とした請求項6乃至9の何れかに記載したガス化処理装置。
【請求項11】
前記各コンベヤーの駆動停止は、ガス化炉本体に設置されたセンサーの出力信号によって制御されることを特徴とした請求項6乃至10の何れかに記載したガス化処理装置
【請求項12】
前記ガス化炉本体の側面加熱部にチャンバーを設け、このチャンバー及びチャンバーに連設されたガス誘引管を通して生成ガスを捕集することを特徴とした請求項6乃至11の何れかに記載したガス化処理装置。
【請求項13】
前記チャンバー及びガス誘引管を通して捕集された生成ガスを、内燃機関の燃焼に利用することを特徴とした請求項6乃至12の何れかに記載したガス化処理装置。
【請求項14】
前記チャンバー及びガス誘引管を通して捕集された生成ガスを、ガス化炉本体の加熱用の燃料としたことを特徴とした請求項6乃至13の何れかに記載したガス化処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−152193(P2006−152193A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348040(P2004−348040)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【出願人】(592141053)明和工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】